Girls und panzer/stay night (122)

※聖杯戦争的なことをしてるだけで、型月キャラは出ません。ガルパンです

ゆっくり書いてきます待ってる間は過去作でも読んでてください
西住みそ
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西住まほ「もすかう」
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西住ままほ
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みほ「なんだろうこの痣?」

優花里「どうしました?西住殿」

みほ「手の甲にいつの間にか痣ができてて」

華「痛そうですね。どこかにぶつけたりしました?」

みほ「うーん。そんな覚えはないんだけど……」

沙織「……」

その夜

みほ「あれ、手の甲の痣が形になってる……?」

「病院に行ったほうがいいのかな?」

?「いや、その必要はない」

みほ「誰っ!?」バッ

「え?……お、お姉ちゃん!?」

まほ?「いや、私はみほの姉、西住まほ本人ではない」

みほ「え、じゃああなたは誰なんですか?」

まほ?「私は"願いをかなえる奇跡のティーガーⅠ"を巡って争う"ティーガー戦争"のために召喚された"コマンダー"のサーヴァント、まほ姉だ」

みほ「ティーガー戦争? サーヴァント? なに言ってるのお姉ちゃん」

まほ姉「だから私は召喚された存在で西住まほ本人ではない。その証拠に、電話をしてみるといい」

みほ(お姉ちゃん、昔はよくこんなイタズラしてたなぁ)ピポパ

まほ『もしもし、みほか? こんな時間にどうした?』

みほ(え……、嘘…お姉ちゃんが出たってことはここにいるお姉ちゃんは……)

みほ「あ、お姉ちゃん?ちょっと確認したいんだけど、今黒森峰にいるんだよね?」

まほ『ああ、寮の自室にいるが』

みほ「うん、ありがとう。それだけ確認したかったんだ」ピッ

みほ「じゃあ、さっきの話って?」

まほ姉「事実だ、みほはマスターとして奇跡のティーガー、略してキティに選ばれたんだ」

みほ「マスター?」

まほ姉「マスターが7人、サーヴァントが7人。タッグを組んで最後の一組になるまで戦うんだ」

「サーヴァントは過去、現在、未来から名のあるティーガー乗りが召喚される。私は未来からやってきた西住まほだ。未来ではまほ姉と呼ばれていた」

みほ「たしかに今のお姉ちゃんよりちょっと大人っぽいかも……」

まほ姉「だがみほにとって私はあくまで未来の可能性の一つに過ぎない。現在の変化に応じて未来も変わるからな」

みほ「じゃあお姉ちゃんはどんな未来から召喚されたの?」

まほ姉「私は大学に進学後、大学の全国大会で連覇を成し遂げた。2年目からはみほと一緒で、西住姉妹として活躍した。まほ姉という呼ばれ方もそれゆえだ」

みほ「そうなんだ。私もそうなれたらいいなぁ」

まほ姉「なれるさ。みほが望めばな」

みほ「あ、もう一つ忘れてた、"コマンダー"って?」

まほ姉「ああ、サーヴァントのクラスの事だ。他にチャージャー、ガンナー、コミニケーター、ドライバー、リペアラー、ジャッジ、のクラスがあり、それぞれが違った部分でティーガーの能力を強化する」

みほ「へぇー」

まほ姉「他人事のようにうなずいてるが、みほはこれから私のマスターとして戦うことになるんだ」

みほ「でも私、参加するとか誰にも言ってないし」

まほ姉「手の甲を見せて」グイッ

みほ「えっ?」

まほ姉「この痣の様な物は令呪だ。マスターに逆らうようなサーヴァントが出た時に強制的に3回だけ命令に従わせることができる」

みほ「そうなんだ」

まほ姉「この令呪こそがティーガー戦争のマスターの証。そしてこれが宿った者は奇跡のティーガーを手にし願いを叶える権利と、そのための戦いに身を投じる義務を負う」

みほ「そんな、私戦車道以外の戦いなんて……」

まほ姉「大丈夫。みほは私が守る」

みほ「お姉ちゃん……」

まほ姉「!?」

みほ「どうしたの? お姉ちゃん」

まほ姉「近くに別のサーヴァントが居る。こっちへ向かっているぞ!」ダッ

みほ「どこに行くの!?」ダッ



みほ「お姉ちゃん何処へいったんだろう。……あ、屋根の上に?」

まほ姉「!?、お前は……」

?「驚いたわね。まさか他のクラスのサーヴァントにも"私"が居るなんて」

みほ「お姉ちゃんが……2人?」

まほ?「私が相手なら真名は隠す必要ないわね」

まほ姉「ああ」

まほ?「私は"ジャッジ"のサーヴァントとして召還されたわ。あなたは?」

まほ姉「私は"コマンダー"だ」

まほ?「へぇ、戦闘能力ならトップのクラスじゃない」

「戦闘能力なら……ね」ボソッ

まほ姉「いくぞ!」フォン

みほ「あれ?ここはどこ?さっきまで家のすぐ外にいたのに……いつのまに森に?」

まほ姉「サーヴァント同士が戦うための特殊カーボンフィールドだ」

みほ「お姉ちゃん。いつの間にかティーガーに乗ってる!?」

まほ姉「これであいつと一騎討ちをするんだ」

みほ「私はどうすれば……」

まほ姉「外は危ない。乗るんだ」

みほ「わかった。よっこらせ」カパッ

みほ(……なんだろう。車長の場所以外の席に半透明な人たちが居る……)

まほ姉「彼らはティーガー戦争で、サーヴァントが担当する役割以外を補佐してくれる使い魔だ」

みほ「使い魔?」

まほ姉「私一人ではさすがに戦車は動かせないからな。装填担当、悪いがみほに席を空けてくれ」

装填担当「……」ポヒュ

みほ「消えちゃった……?」

まほ姉「代わりにみほ、装填を頼む」

みほ「あ、うん。わかった」

まほ姉「よし、行くぞ」ブンドドー

まほ姉「周囲にはまだ奴のティーガーの姿はない」

みほ(そういえば、お姉ちゃんと同じ戦車に乗って戦車道するのは初めてかも)

まほ姉「私と、いや西住まほと同じ戦車で戦うのは初めてだ。と思ってそうな顔だな」

みほ「えっ!?なんでわかるの」

まほ姉「みほにとっては初めてでも、私にとってその席で私を補佐するみほは見慣れたものだからな」

みほ「そっか、未来から来たんだもんね……」

まほ姉「正確にはこの世界の未来じゃなくて、違う世界の未来からだけどな」

ズドーン ババーン

みほ「!?」

まほ姉「撃ってきたな」

まほ?「お手並み拝見と行きましょう……"私"」


まほ姉「敵は10時の方向、反撃する!」

操縦担当「……」

砲撃担当「……」

ドドドドドドドドドド

みほ「お姉ちゃん…」

まほ姉「なんだみほ、戦闘中だぞ」

みほ「ティーガーってこんなに足早かったっけ?」

まほ姉「それはテレビ映りとか画的なもんだい…………」

「サーヴァントの力で能力が強化されてるんだ」キリッ

みほ「そうなんだ……」

まほ?「どうする?このまま勝負を着けちゃう?」

???「決着を急ぐことに意味があるとは思えない」ポロロン

まほ?「そう、じゃあ遊んであげましょう」





まほ姉「妙だな」

みほ「どうしたの?」

まほ姉「むこうのティーガーの動きに仕組まれた何かを感じる」

みほ「確かに、あんまり積極的に来ないね」

まほ姉「様子見か。"私"らしくない」

「来ないならこっちから行くまでだ」

「全速前進、正面からぶつかりに行くぞ!」

まほ?「やっぱり来たわ、"私"はそう来るわよね」

???「西住流に撤退はない……その信念は人生に必要なことなのかな?」ポロロン



まほ姉「向こうも迎撃態勢をとっているな」

「すれ違いざまに撃ち込む、照準を合わせろ」

砲撃担当「……」



まほ姉「撃てっ!」ズドン
???「Tulta!」ズドン

ガラガラガラ

まほ姉「……くっ、履帯をやられたか…」

まほ?「こっちの方が有利な位置を取っていたのに、やるわね……」

まほ姉「互いに撃破の旗は上がっていないが、これ以上の戦闘継続も出来ないだろう。ここは痛み分けの引き分けと言ったところか」

まほ?「そうね、決着はまた会った時にね」

ポロロン

スウゥ

みほ「あ、景色が元に戻った」

まほ姉「手強いやつだった……」

みほ「あの人もお姉ちゃん……だったよね?」

まほ姉「ああ、恐らく別に分岐した未来から呼び出された私だ」

みほ「違う未来だとお姉ちゃんもあそこまで変わるんだね」

まほ姉「ああ、私もまさか別の世界の私に会うとは思わなかった」

「奇跡のティーガーから得たティーガー戦争の知識だと、呼び出されるのはほとんどがドイツの軍人となっていたから」

みほ「でも、お姉ちゃんが勝つにはあっちのお姉ちゃんを倒さないといけないんだよね」

まほ姉「ああ、私だろうとまだ知らぬティーガー乗りだろうと倒す。それが私の西住流戦車道だ」

みほ「フフッ」

まほ姉「なにか可笑しかったか?」

みほ「いや、未来から来てもお姉ちゃんはお姉ちゃんだなって思って」

翌日

みほ「学校に行くんだけどお姉ちゃんはどうするの?」

まほ姉「ティーガー戦争中はいつほかのマスターが襲ってくるか分からない。私も一緒に居よう」

みほ「でも、お姉ちゃんは黒森峰に居るから大洗に居るのは不審に思われるんじゃないかな」

まほ姉「ああ、サーヴァントは普段は霊体化して誰にも見えない状態になれるから大丈夫だ」

みほ「霊体? あ、お姉ちゃんが消えた」

まほ姉(こうして見えない状態でいることでエネルギーの節約にもなる)

みほ「すごーい。頭の中に直接声が聞こえてる感じがする」

優花里「西住殿!おはようございます!」

みほ「あ、優花里さん。おはよう」

優花里「西住殿、聞きましたか? 武部殿、今日風邪でお休みらしいです」

みほ「沙織さんが?」

優花里「ええ、昨日からちょっと調子が悪そうでしたよね」

みほ「そうなんだ。放課後お見舞いに行ってあげなきゃね」

ピンポンパンポーン
「普通一科二年A組西住みほ、登校していたら至急生徒会室へ来てくれ」

優花里「何でしょうかね?」

みほ「さぁ……」

華「またついて行きましょうか?」

みほ「ううん、大丈夫。ちょっと行ってくるね」

まほ姉(良い仲間達だな)

みほ「うん。皆私の大切な仲間だから」


おりょう「隊長が独り言を言いながら歩いてるぜよ」

エルヴィン「イマジナリーフレンドか?」

左衛門佐「草の者だろう」

カエサル「ハンズフリーで電話してるんじゃないか」

「「「それだっ!」」」

みほ「失礼します」

杏「あー西住ちゃん、朝からごめんねー。で、来て貰った理由なんだけどさー」

みほ「まあ、見たらわかります……」

ダージリン「御機嫌よう、みほさん」

ケイ「ハァイ!」

アンチョビ「よー西住、遊びに来たぞ」

カチューシャ「……ZZZ」

ノンナ「すいません、カチューシャは昨日楽しみで眠れなかったようで」

西「本日はお招きいただき恐悦至極です!」

杏「いやー、ウチの練習を見学したいって言うからとりあえず全員来てもらっちゃった」

みほ「あはは……」

杏「まあ接待はこっちでやっとくから、皆に今日の訓練には見学者がいるって伝えといて」

みほ「はい。じゃあ私は戻りますね」ガチャ

まほ姉(みほ、ちょっといいか)

みほ「何?」

まほ姉(今の部屋にいた連中の中に、マスターがいる)

みほ「えっ!?」

まほ姉(私と同じように霊体化していたから誰がどんなサーヴァントのマスターかはわからなかったが、あの室内にサーヴァントの魔力を感じた)

みほ「じゃあ、あの中の誰かと……」

まほ姉(戦うことになる)

みほ「そんな……」

みほ「……」

華「みほさん、生徒会室から帰ってきてからずっとあの様子で、まるで戦車道を無理矢理取るよう言われたときみたいなんです」

優花里「何があったんでしょう?」





まほ姉(大丈夫か?)

みほ「……」

まほ姉(やはりショックか…)

みほ「……」

河嶋「では今日の訓練を始める。その前に、今日は他校からの見学者が多数いる、気を引き締めて、だらしないところを見られないようにな」

「「「はーい」」」


カチューシャ「随分緩い雰囲気で訓練してるわね」

ダージリン「でも各車の士気は高いわ」

アンチョビ「ノリの良さならウチも負けてないぞ」



みほ「それでは、各車散会してください。10分後に遭遇戦を開始します」

華「戦車に乗ったらいつものみほさんになりましたね」

優花里「流石は西住殿です」

みほ「この林を抜けたところが私達の開始位置です」

麻子「わかった」

ブロロン

みほ「あれ?」

優花里「こんな竹林学園艦にありましたっけ?」

華「地図を見間違えたんでしょうか?」

みほ「さっきまでは確実に知ってる道だったのに急に知らない場所に……これって」

まほ姉(みほ、これは特殊カーボンフィールドだ)

まほ姉「緊急事態だ、霊体化を解除する」ボンッ

優花里「うわぁ!? 急に人が!?」

華「あら、みほさんのお姉さんですか? どうして大洗に?」

まほ姉「説明は後だ、向こうからティーガーが来ている」

優花里「本当だ、12時の方角にティーガーⅠがいます」

まほ姉「私が相手をする」スッ

ガシャン

優花里「何もないところに突然ティーガーが!? まさか空挺ですか?!」






???「カーボンフィールド内にⅣ号を確認。やはりマスターは……」

カチューシャ「ミホーシャね」

ノンナ「Ⅳ号ごと撃破しますか?」

???「これはティーガー戦争だ、ティーガー以外と戦うのは道理に反する」

まほ姉「みほ達はⅣ号で安全なところまで離れていてくれ」

みほ「え、でも……お姉ちゃん一人じゃ」

まほ姉「心配ないさ」

優花里「あ、あのー……」

みほ「優花里さんどうかしたの?」

優花里「ティーガーは一人では動かせないんじゃ……」

まほ「それは……その、こう、うまい具合に……」

みほ「お姉ちゃんアドリブ下手すぎだよ」

みほ「優花里さん、華さん、麻子さん。詳しい事情は後で話すから、とにかくここから離れてて下さい」

まほ姉「みほも皆と一緒に」

みほ「駄目だよ。お姉ちゃん一人じゃ」

まほ姉「だがみほは友達と戦うかもしれないんだぞ」

みほ「お姉ちゃん、あの時生徒会室に居た人の中の誰かがあっちの戦車にいるんでしょ」

まほ姉「ああ、その可能性が高い」

みほ「なら大丈夫。私、あの人達とは戦って友達になったんだから。今度も同じ事をするだけ」

優花里「あのー」

みほ「優花里さん、どうしたの?」

優花里「あっちのティーガーを倒すためにこのティーガーを動かすんですよね?西住殿が居てもお二人だけじゃ五人乗りのティーガーは満足に動きませんよね?」

麻子「エルヴィラ・ティーガーの、口説き方の本なら読んだことがある」

華「なによりみほさんとお姉さんの一大事に、ただ逃げるなんて出来ません」

みほ「皆……ありがとう」

優花里「おぉー、これがティーガーⅠの車内!」

華「遊びに来てるんじゃないですよ?」

優花里「わかってますよ、不肖、秋山優花里、装填手を務めさせていただきます」

華「私が砲手をやります」

まほ姉「ああ、よろしく頼む」

「よし、Panther vor!」

カチューシャ「向こうのティーガーが動き出したわ」

???「ではこちらも動こうか」

ノンナ「使い魔さん、移動を」

操縦使い魔「ウルァー」





まほ姉「そろそろ有効射程だ」

みほ「でも互いに動いてるからまだ撃っても……」

ズガーン

優花里「うわっ!」

みほ「もう撃ってきた!?」

まほ姉「行進間射撃なのに狙いがかなり正確だな。サーヴァントがガンナーなのか、マスターが優秀な砲手のどちらかかもしれない」

みほ「砲手……あの中だとノンナさんかな?」

まほ姉「プラウダのか。大学になっても彼女はあの腕前ですぐに頭角を現していた」





ノンナ「当たりませんでしたか」

???「ああ、だがかなり惜しかった、次は当たるぞ」ガシャン

カチューシャ「まさか貴方とこうやって共闘するとはね」

???「ふふ、私にとっては当たり前のことなんだがな」

カチューシャ「この時代の貴方はちょっと怖いけど今の貴方は頼りになるわね。”マホーシャ”って呼んであげるわ」

マホーシャ「ああ、未来のカチューシャも私をそう呼んでいたよ」

みほ「相手がノンナさんレベルの砲手だとすると、次の一撃で決められちゃうかも……麻子さん、装填が終わったら一旦急停車してください」

麻子「わかった」

みほ「華さん、停まった所で一撃お願いします。多分向こうもすぐに撃ってくるので狙いを付けるスピードの勝負になります」

華「わかりました」



マホーシャ「次弾装填完了」

ノンナ「これで決めます」カチッ


優花里「装填しました!」

麻子「ん」キキィー

まほ姉「今だっ!」

ズガン   ガキッ


カチューシャ「当たっ……た?」

ノンナ「砲塔に当たって弾かれましたね」

カチューシャ「こっちの被害は?」

マホーシャ「砲身に当てられた。おそらく修理しないと動くかわからないな」





まほ姉「砲塔部に当たったが白旗は出ていないな。異常はあるか?」

華「ダメです、砲塔が回転しなくなってしまいました」

みほ「向こうも旗は出てないけど止まってる」

まほ姉「痛み分けか」

優花里「あれ、景色が見慣れた学園艦に戻ってます」カパッ

まほ姉「さっきの戦いが終わったと判断されてフィールドが解除されたんだ」

「まだ訓練の時間だろう?詳しいことは終わったらみほの家で話そう」

パチン シュン

麻子「ティーガーが消えた……」

華「イリュージョンでしょうか?」

ケイ「あれ?二人ともどこ行ってたの?」

カチューシャ「ちょっと散歩よ」

ケイ「ふーん。あ、ダージリンとアンチョビに会わなかった? 二人もいつの間にかどっか行っちゃって」

ノンナ「いいえ、見てませんね」

西「それより、模擬戦が始まってますよ」

ケイ「あっちこっちに散ったみたいだけどまだあんこうチームが初期位置から動いてないね」

カチューシャ(やっぱりあのティーガーに乗ってたのはミホーシャ達だったのね)

梓「あれ、あそこで停まってるのⅣ号じゃない?」

あゆみ「ホントだ、動かないね?」

あや「こっちに気付いてないんじゃない?」

優季「どーする?」




優花里「とりあえず後で西住殿の家に行くとして、とりあえず模擬戦に戻りましょうか」

みほ「そうだね。……って、もう二十分も経ってる!始まっちゃってるよ。急がないと」

ドーン!!   ポヒュ!

優花里「へ?」

桂利奈「おおー」

優季「うっそぉ、凄~い」

あや「私たちが隊長のⅣ号を倒しちゃったー!」




―――生徒会室

河嶋「なんだあいつら、もう脱落とは情けない!今日は見学者もいるんだぞ」

柚子「そういう私たちももうもうやられたから戻ってきてるんだよ、桃ちゃん」

河嶋「桃ちゃん言うな!」

杏「かーしまが外して奇襲に失敗したからねぇ」

柚子「ところで……、見学の方々が減っているような気がするんですが?」

ケイ「そうなのよ、ダージリンとアンチョビがどこかに行ったまま帰ってこないのよ」

杏「あー、大洗もそれなりに広いからねー。迷子かな」

カチューシャ「いい年して迷子なんてカッコ悪いわね」

ノンナ「カチューシャもさっき迷子になりかけましたよね」

カチューシャ「ノンナ! それは内緒にしといてって言ったでしょ!」

杏「まあ、あまりにも遅かったら風紀委員に探してもらうよ」

ダージリン「そんな、マホタヌーンのティーガーが……」

アンチョビ「マホロニもやられるなんて……2対1だったのに」

???「まず2人……」

ダージリン「あのティーガー、いったい誰がマスターなのかしら?」

アンチョビ「サーヴァントもな、まさか2人の西住まほを1人で倒すなんて」

マホタヌーン「すまないダージリン。負けてしまった」

マホロニ「安斎、私は未来の元居た世界に帰ることになるが、こっちでお前と過ごした時間、楽しかったぞ」

???「逃がさん!」ガシィ

マホロニ「えっ?うわぁ!!」ズルズル

アンチョビ「マホロニ!? お前、マホロニを何処へやった!?」

???「お前もだ」ガシ

マホタヌーン「くっ、こいつ。離せ!」

「うわあああああ」

???「これで2人、回収完了した。次に行くぞ」

シュンッ

ダージリン「消えた……、なんなのかしら……あのサーヴァント」

アンチョビ「わからん。私たちはここで敗退ってことだよな?」

優花里「練習も終わりましたし、西住殿の家へ行きましょうか」

みほ「うん。でもその前にちょっと寄って行っていい?」

優花里「どこにですか?」

華「今朝言ってた沙織さんのお見舞いですよね?」

みほ「うん。メールにも返信が無いし寝込んでるのかも……」

ピンポーン

優花里「返事がありませんね……」

みほ「やっぱり寝てるのかな?」

華「ちょっと入ってみましょうか」

麻子「鍵がないだろ」

華「いざという時の為に合鍵を預かってます」

優花里「なんだか五十鈴殿が武部殿の彼氏みたいですね」

ガチャ

華「沙織さん? 起きてますか?」

シーン

みほ「沙織さーん? ベッドにも居ないね?」

麻子「よく見ると靴もないな。出かけてるのか?」

みほ「ええっ、風邪なのに?」

優花里「行き倒れてたら大変です。探しましょう」ダッ

みほ「うーん。こっちのコンビニにも居ないなぁ」

まほ姉(みほ、コンビニばかり探すのはどうかと思うぞ……)

みほ「でもコンビニならなんでもあるし……」

???「見つけた」

みほ「え?」

エリカ「副隊長も隊長の偽物を連れてるのね?」

みほ「エ……逸見さん!?」

エリカ「今日だけで3人とは、ペースがいいですね、隊長」

まほ??「そうだな良いペースだ」

まほ姉「また”私”のサーヴァントか」

まほ??「なるほど、みほとの絆が強い私か。これは逃せないな」

まほ姉「なんの話だ?」

まほ??「答える必要はない。お前はここで負けるんだから」

みほ「あ、周りが特殊カーボンフィールドになった」

まほ姉「くっ、さっきの戦いで万全ではないがやるしかない」

まほ??「いくぞ、エリカ」

エリカ「はい、隊長」






まほ姉「やはり砲回りの整備が万全ではないな……」

みほ「このティーガーって、やっぱり魔力みたいなもので直してるの?」

まほ姉「いや、使い魔達が手作業で直してる」

操縦担当「……」

通信担当「……」

みほ「ああ、だからなんだか疲れてる感じなんだ……」

まほ??「エリカ、準備は良いか?」

エリカ「はい」

エリカ(ふふっ、私が隊長のパートナーに選ばれるなんてね)

(あの日のことは絶対に忘れないわ!!)



ーーーあの日
まほ「今日の訓練はここまでだ。解散」

「「「はいっ!」」」

ザワザワ

小梅「エリカさん。晩御飯行きましょうか」

エリカ「ええ」

小梅「私はペペロンチーノを」

エリカ「私は煮込みハンバーグで」

店員「かしこまりました」

小梅「あれ?エリカさん。手の甲怪我してない?」

エリカ「あら。痣になってるわね。ぶつけたかしら」



―――夜
エリカ「そろそろ寝る時間……」

まほ??「エリカ、ちょっといいか?」

エリカ「た、隊長!?」

まほ??「エリカに秘密の頼みごとがあるんだ」

エリカ「私にですか!?」

まほ??「ああ、こんな話を信じてもらえるかどうか」

エリカ「なんですか」

まほ??「実は今、私の偽物があちこちに居るんだ」

エリカ「隊長の偽物?」

まほ??「ああ、あちこちの学園艦に現れているらしい。探して”回収”しなければならない」

エリカ「わかりました。お手伝いします」

まほ??「それとこれは秘密の任務、他言無用だ。昼間は何も知らないふりをしていろ、私も昼間はそうする」

エリカ「はいっ!」




エリカ(あれから数日……、各地の学園艦を放課後隊長と巡って今日やっと成果があったわ)

まほ??「よし、目標!前方のティーガーⅠ、panther vor!」

まほ姉「来るぞ」

まほ??「撃てっ!」

ドーン

まほ??「外したか……」

エリカ「次弾装填完了。行けます」


まほ姉「くっ、やはり砲塔のダメージが直っていない。反撃できないぞ」

みほ「どうしよう。これじゃ打つ手が……ううん、諦めたらそこで道は無くなるんだから」

まほ??「とどめだ!」

???「まったーーーーーーーー!!!!!」

エリカ「このどこかで聞いたことのある叫び声……!?」

まほ???「やっと見つけだぞ。反英霊」

まほ??「セイヴァ―のクラスの私。やはり来たか」

まほ???「お前はこのティーガー戦争を破壊する存在だ。私が成敗する」

まほ姉「なんの話だ?」

「みぽりん!大丈夫!?」

みほ「この通信……沙織さん!?」

沙織「うん。こっちのお姉さん…まぽりんのティーガーに乗ってるの」

みほ「ってことは沙織さんも?」

沙織「うん、マスターだよ。っていうかホントにサーヴァントってみんなみぽりんのお姉さんなんだね」

まぽりん「沙織、みほたちのティーガーを援護しつつ、エリカのティーガーへ接近する」

なんかややこしくなってきたから整理
マスター/サーヴァント

みほ/まほ姉
カチューシャ/マホーシャ
ダージリン/マホタヌーン
アンチョビ/マホロニ
???/まほ?
エリカ/まほ??
沙織/まほ???→まぽりん

まほ??「エリカ、ここは一旦引く」

エリカ「2対1でしかも片方は不調。さっきの戦いよりも楽では?」

まほ??「セイヴァ―のクラスは別格だ」

まぽりん「逃げるのか?西住まほが」

まほ??「焦るな、お前の相手は最後にしてやると言ってるんだ。他の5人の私をすべて吸収した後ならお前とて恐れるに足りん」



みほ「えーっと……私たち話から置いてけぼりなんだけど」

まほ姉「みほの友達がマスターで、助けてくれた。ということくらいしかわからないな」

沙織「みぽりん!大丈夫だった?」

みほ「沙織さん。ありがとう」

まぽりん「大丈夫か?」

まほ姉「ああ、助かったよ。だがいいのか?私たちはマスターに呼ばれたサーヴァント同士、最後には戦う間柄だろ」

まぽりん「あいつの出現で事情が変わった」

みほ「エリカさんと一緒にいたお姉ちゃんのこと?」

まぽりん「ああ、あいつはティーガー戦争に呼ばれた他の西住まほとは似て非なる存在」

「アンリマホ(この世すべてのまほ)だ」

みほ「アンリマホ?」

まぽりん「そこにいる西住まほのように、未来から呼ばれたわけでもなく、過去に存在した西住まほでもない」

「あいつはこの世すべてのまほを吸収し、完全な西住まほになろうとしている」

沙織「私も最初にまぽりんに説明された時はよくわかんなかったんだけど、聖なるティーガーを操っていろんな世界のまぽりんを呼び出して、取り込もうとしてるんだって」

まほ姉「それで他のサーヴァントも皆私だったのか」

みほ「沙織さんが呼び出したお姉ちゃんはどんな未来から来たの?」

まぽりん「私は……私も未来から呼ばれた西住まほではない」

「アンリマホという、いわばバグを修正するために生み出された修正パッチのような存在だ」

沙織「だから、自分のことそんないいかたしちゃダメって言ったでしょ」

まぽりん「彼女に令呪を使ってこんなことを言われてしまってな。今の私はまぽりんだ」

まぽりん「奴は去り際に他の5人をすべて吸収すると言っていた。だからほかのサーヴァントにも奴に襲われる前に全員とコンタクトを取りたかったんだけど……」

沙織「仮病で学校を休んで手伝ったんだけど見つからなくて戻ってきたところにみぽりん達が戦ってる気配をまぽりんが感じ取って駆け付けたの」


みほ「他のマスターって、昨日の夜からもう2回、さっきのを入れると3回戦ってるから」

まほ姉「その2人のマスターはこの学園艦にまだいる可能性が高いな」

沙織「ええー!?せっかく今日いろんな学園艦回ったのに結局皆ここにいるのぉー?やだもー」

みほ「え、『皆』ってどういうこと?」

まぽりん「ああ、……残念ながら既に2人、奴にやられているらしい」

まほ姉「そうか、でもなぜそれがわかる」

まぽりん「私が修正パッ……奴を倒すためのサーヴァントだからその特典だ」

沙織「人数はわかるけど場所はわからないって微妙に不便な特典だよ」

みほ「じゃあ残っているのは全部で5組……」

まほ姉「私たちと、奴、それ以外に2組か」

まぽりん「まずはその2組と合流したい」

まほ?「呼んだかしら?」

まほ姉「お前は!?」

まほ?「また会ったわね。”私”」

まほ姉「お前、まだ生きていたのか」

まぽりん「聞いてたなら話が早い、ティーガー戦争に生じたイレギュラーを駆逐するため、力を貸してほしい」

まほ?「いいわよ。私も食べられちゃうのは嫌だもの」

まぽりん「ありがとう。ところで、君の事は何と呼べばいい?」

まほ?「私が居た未来では、……自分で名乗るのはちょっと恥ずかしいんだけど」

まぽりん「気にするな。私もだから」

まほ?「そう? 私は周り、特に下級生から”ままほ”先輩って呼ばれるの」

まほ姉「ママ?」

ままほ「そう、みほのように隊員との距離を縮めようとしたらいつの間にかお母さんみたいだって言われちゃって」

まぽりん「それでままほか」

ままほ「あと1人、今日この学園艦に居たあの”私”かしら?」

まほ姉「会ったのか?」

ままほ「あなたのときと同じよ。ちょっとちょっかい出しただけ」

まほ姉「出会うやつ皆をおちょくってるのか?」

ままほ「とりあえず一回戦って戦力を測っただけよ」

まぽりん「私の所には来てないわね」

沙織「一日中探し回ってたのにー」

ままほ「だって貴女、見るからにヤバそうなんですもの」

沙織「え、そうなの?まほ姉さんとあんまり変わらないように見えるんだけど」

ままほ「いいえ、まぽりんさんは私たち三人の中では圧倒的に……なんというか純粋な力の塊みたいな存在なのよ」

沙織「え?まぽりんってそんなに凄いの?時々みぽりんのお姉さんだって思うくらいポヤッとしてるなぁって思うくらいだった」

まぽりん「ええぇ……」

まほ姉「でもまぽりん…………どうも自分そっくりなのをこう呼ぶのは照れ臭いな」

ままほ「我慢しなさいまほ姉。私だって自分のあだ名を自分で言うのはこそばゆいんだから」

まぽりん「そうだぞまほ姉」

まほ姉「くっ、仕方ないな。……でまぽりん、君は私たちとは違うようだが、具体的にどう違うんだ?」

まぽりん「そうだな、奴が『西住まほ』そのものになろうとしてるって話はしたな」

まほ姉「ああ」

まぽりん「私はその逆。聖なるティーガーがその力に『西住まほ』という仮面を被せたものだ。だからままほが言う純粋な力の塊という表現は間違っていない。言ってしまえば聖なるティーガーに記録された西住まほという概念そのものだ」

まほ姉「だからこそ奴は警戒すると同時にまぽりんを最後の標的として狙っているのか」

ままほ「『西住まほ』の概念そのものなんて、取り込めれば一気に”完成”だものね」

みほ「沙織さん。これ今日のノート」

沙織「ありがとーみぽりん!」

まほ姉「とにかく、そのままほがあったもう一人を探そう」

ままほ「でもあの子。私とやる前からちょっと消耗してたわ。まるでもう一戦やった後みたいに」

まぽりん「不味いぞ、さらにままほとも戦って疲弊したところを奴に狙われたら」

まほ姉「探しに行こう。ままほ、どの辺りで戦った?」

ままほ「学校のグラウンドでよ」

まぽりん「という事は大洗の生徒がマスターか」

まほ姉「いや、今日は他校の隊長たちが来てたからな……」

ままほ「戦った時も話をしたのは”私”同士だけでマスターはティーガーから出てこなかったわ」

―――校門

みほ「さすがにもう皆帰ってるね」

沙織「電気も消えてて真っ暗だね。麻子だったらビビッて絶対入らなそう」

まほ姉「近くにサーヴァントの気配は……」

ままほ「やっぱりもう何処かへ行っちゃったみたいね」

まぽりん「カーボンフィールドでも展開されれば検知できるんだけど……」



―――数十分後

まほ姉「っ!この反応は!?」

まぽりん「カーボンフィールドだ!」

ままほ「行きましょう!」

―――カーボンフィールド内

マホーシャ「くっ……なんだこいつは!?」

アンリマホ「ふふふ……。これでもう一人回収完了だ」




まぽりん「ここだな、突入するぞ」

まほ姉「わかった」

沙織「うわっ、何コレ!?寒い!」

ままほ「雪原フィールドね」

マホーシャ「得意の雪原でここまで追い詰められるとは……」

カチューシャ「弱気な事言ってるんじゃないわよ!」

マホーシャ「わかってる。私達が雪のフィールドで負けるわけがないだろう」



エリカ「意外と粘りますね」

アンリマホ「流石に得意フィールドでは一筋縄では行かないな。アレを使うぞ」

エリカ「アレ、ですか」

アンリマホ「ああ、いくぞ」

ヴェルグ・マホスター
「『偽り写し記す万法』!!」

カチューシャ「な、何よアレ!!?」

マホーシャ「ティーガーが、……分裂しただと?」



「panzer vor!」「みほが返信してくれない」「西住流に後退の二文字はない」
「これも戦車道よ」「ニュルンベルクのマイスタージンガー作戦だ」「みほ警察だ!!!」
「この試合の実況は私、西住まほが務めさせていただきます」「まだ戦車道を続けていたとはな」
「短期転校の手続きは済ませてきた」「決着は生身でつけるぞ!!」「この芳醇な香り…3日ものだな」
「もすかう」「定石通りやりすぎたな、らしくもない」「信じるのと崇拝するのは違う」
「急造でもチームはチームだ」「にゅにゅんべりゅっ・・・」「中隊全速前進、坂を下る」



エリカ「ふふふ、プラウダのチビッ子隊長。今頃慌てるわね」

アンリマホ「この戦力差で一気に押しつぶす」

マホーシャ「来るぞ!!」

ノンナ「反撃します」ズドン

「ぐわっ!」ポヒュ

アンリマホ「1人2人倒したところで無駄だ。『偽り写し記す万法』が作り出す西住まほは幻影などではない。すべてが正真正銘、どこかの世界に存在する西住まほだからな」

カチューシャ「ノンナ!撃って撃って撃ちまくりなさい!」

ノンナ「はい」

ズドン ポヒュ

ズドン ポヒュ

ままほ「これは……」

まほ姉「まさしく戦争……だな」

みほ「でもなんでこんな状況に、ティーガー戦争は1対1だったはずじゃ」

まぽりん「恐らく奴の宝具だろう、それにしてもこれほどの数になっているとは……」




アンリマホ「思ったよりも手こずったが、これで3人目を回収できるな」

マホーシャ「ここまでか……」

まぽりん「まったーーーー!!」ドドドドドドドッ

沙織「まぽりんそれ好きだね」

アンリマホ「出たな。だがお前の相手は後だ」バッ

マホーシャ「はっ、離せっ!」ジタバタ

カチューシャ「アンタ!マホーシャに何すんのよ!」

アンリマホ「回収完了」

カチューシャ「マホーシャ!?消えた?えっ、何処へいったの」

まぽりん「間に合わなかったか。だが、ここで決着をつけさせてもらうぞ、アンリマホ!」

アンリマホ「ほう、この気配……。他の2人も揃ってるのか。ならここで終わらせるのも悪くないな」

まぽりん「終わらせてみせるさ、お前の負けでな」

アンリマホ「まほの軍勢よ!ヤツを踏み潰せ!」

まぽりん「“まほの軍勢”だと? 笑わせるな、ただのコピーの寄せ集めで」

「教えてやる。真の軍勢を」

 まほはひとりにあらず黒森峰はひとつなり
 「『ま ほ の 軍 勢 』」

まぽりん「世界が変われど、変わらず私を慕い、共に戦った仲間たちとの絆」

「それが私、”西住まほ”という概念が待つ至宝、法具」

「さあ行くぞ!黒森峰の強さ、あの身の程知らずに教えてやろう」

「「「「「おぉっー!!」」」」」

ままほ「凄い!黒森峰を部隊丸ごと召喚するなんて」

まほ姉「ああ、ティーガーだけでなくパンターやエレファント、マウスまで居るじゃないか」

みほ「これなら勝てるかも」

まぽりん「各車散開、相手は全車両に西住まほが乗っている。心してかかれ」

「「「はいっ!」」」




アンリマホ「押されている?こっちは全員西住まほなんだぞ!?」

エリカ「ですが、隊列を組んだ編成で……一人二人の隊長が向かっても返り討ちにされてます」

アンリマホ「馬鹿な、西住まほは戦車道において最も完成された存在の筈……」

まぽりん「浅はかだな、戦車道はチームで行うものだ。こんな格言を知っているか?調和する二は完全なる一に勝る」

沙織「それはダージリンさんのキャラじゃ……」

まぽりん「西住まほにこだわるお前に、黒森峰は超えられない」

アンリマホ「私が集めに集めたまほの軍団が壊滅状態だと?」

エリカ「じわじわと撃破される車両も出てきてて、突破されるのも時間の問題です」

アンリマホ「せめてあと一人でも食えていれば……」

「ん? この気配は……」

エリカ「どうしました?」

アンリマホ「エリカ、七時の方角にある雪の塊に榴弾を撃ちこめ」

エリカ「はい」バシュ

ボンッ!

ままほ「あっ!」

まほ姉「不味い、雪のカモフラージュが」

アンリマホ「あの二台のティーガーを優先で狙う」

エリカ「ですが遠すぎます。向かっても追いつく前に向こうの軍勢に阻まれます」

アンリマホ「砲身を向けるだけでいい」

エリカ「はい?」

みほ「向こうの隊長車がこっちを向いたよ」

まほ姉「この距離なら撃っては当たっても有効打には……」

ままほ「そう言う事言ってると……」

ズガーン!

みほ「あんなに離れてるのに至近弾で、しかもすっごい衝撃?どうなってるんだろう?」

ままほ「やっぱり、何かまだ手を隠してたみたいね」

アンリマホ「もう一発だ」

エリカ「魔力の消費は大丈夫なんですか?」

アンリマホ「あの二人を食えばお釣りがくる」

  ゲートオブニシズミ
「『まほの財宝』」

アンリマホ「エリカ、西住家がこれまで使ってきた弾薬の数を知っているか?」

エリカ「……すみません。存じ上げません」

アンリマホ「いや、いい。私もそんなことは知らない。だがこの宝具には今まで西住家が使ってきた砲弾が全て収められている」

エリカ「弾数がほぼ無制限ですか。便利ですね」

アンリマホ「ただの弾じゃない。このすべての弾はその時放たれたのと同じ結果を必ずもたらす」

エリカ「ということは!?」

アンリマホ「次に撃つのが過去にで敵を撃破した弾なら今度もその弾は必ず敵を撃破する。飛距離も装甲も関係ない、撃破するという結果からそこまでの結果が作られる」

エリカ「ということは」

アンリマホ「撃てっ!」ズドン

みほ「また来たっ!」

ポーン

まほ姉「大外れだな」




エリカ「……隊長?」

アンリマホ「西住流といえども百発百中ではない。こういう弾もある」

「次の弾、行くぞ」

ままほ「このままあの砲弾に狙われ続けるのは危険ね」

まほ姉「だが遠すぎる」

ままほ「私が行くわ。沢山居るのはまぽりんが抑えてくれてるから、一対一には持ち込めるし」

まほ姉「手はあるのか?」

ままほ「なきゃこんな役買って出ないわ。それより貴方こそ、いつまで隠してるの?」

まほ姉「……」

みほ「隠してる?」

ままほ「宝具の事よ」

ままほ「サーヴァントは一人一つは宝具を持ってるはず」

まほ姉「……条件がある。今は使えないだけだ」

ままほ「そう。まぁ、使いどころを間違えないことね」

「人生には大切な時が何度か訪れるわ。今がその時なのか、よく考える事ね」ポロロン♪

ままほ「さあ、行きましょ、マスター」

???「ああ」

ブロロロロロロ


エリカ「隊長、一台こっちに向かってきます」

アンリマホ「ほう。一台で挑んでくるか」

「返り討ちだ」

  ゲートオブニシズミ
「『まほの財宝』」

???「来た」ポロロン

ままほ「行くわ」

   ナイトオブ・ティーガー
「『まほは徒手にて死せず』」


バァン

ままほ「貰った!」パシッ

???「トゥータ!」

バァン

エリカ「嘘!?」

アンリマホ「飛んできた弾を掴んでそのまま撃ち返すだと!? 正気か?」

ズドン

エリカ「至近弾です!」

アンリマホ「『まほの財宝』の加護もそのまま撃ち返してきてるな……下手に乱発するとこっちがやられる」

エリカ「ピンチじゃないですか」

アンリマホ「今日手に入れたヤツを試そう。……これは、マホタヌーンが持っていた宝具だな」


アンリミテッド・ティータイムワークス
「『無限の格言』」

ままほ「射程距離ね。なんで動かなくなったのか知らないけど、撃ちなさい!」

ズドドドドド

アンリマホ「こんな格言を知っているか? ”当たらなければどうということはない”」


ままほ「!? 動いてないのに一発も当たらないなんて」

アンリマホ「こんな格言を知っているか? ”サラマンダーよりずっと早い”」ヒュン

ままほ「動いた!?しかもタンケッテみたいに早いわ」



アンリマホ「こんな格言を知ってるか? "薙ぎ払え!!"」

エリカ「さっきから格言が安っぽくないですか?」

アンリマホ「多くのものに意味が伝わる格言ほど効果が高いらしい、多少俗っぽい格言の方が効いたりするものだ」ズドドドドド

ままほ「回避行動!」

ズドドドドド

ままほ「『まほは徒手にて死せず』!!」パシパシッ

ズドドドドド

ままほ「なによこの斉射、裁いても裁いてもキリがないじゃない」パシパシッ

ズドドドド

???「このまま接近するのは危険だね」ポロロン

ままほ「そうね、でも逃げても状況は変わらないわ」

???「刹那主義には賛同できないな」

ままほ「またそんなこと言って。やられちゃったら意味ないでしょう。前に進むしかないの」

アンリマホ「まだ向かってくるな」

エリカ「怯みませんね」

アンリマホ「どちらでもいい。逃げようが向かって来ようが結果は変わらない」

    マホ・ボルク
「『突き穿つ至高の魔弾』!!!」

ままほ「!? 回避!!」

アンリマホ「『まほの財宝』の不確実な結果とは違う。この宝具が生み出す因果の逆転は確実にお前を屠る」






ズガン ポヒュ

ままほ「くっ……」

ザッ

アンリマホ「これで4人目だ」

まほ姉「ままほ!」

アンリマホ「回収完了。……ふふふ、思ったよりも宝具を多く撃たされたが、これであと2人」

まぽりん「貴様っ!」

アンリマホ「完全な”西住まほ”まであと2人だ。それに、お前もそろそろ気づいてるんじゃないか? 私が”西住まほ”になればなるほど、お前の”西住まほ”としての存在は薄くなっていってる事に」

まぽりん「……」

沙織「まぽりん! 黒森峰の人たちが押し返され始めたよ!?」

アンリマホ「ほとんどのまほを吸収した私は、すでにお前を超えている」

みほ「ままほさんもやられちゃった……」

まほ姉「まぽりんも押され始めたな。私たちでアンリマホを叩かなければ勝ちはない」

みほ「でも、あんなに凄い……宝具?のやり取りについていけるかな……」

まほ姉「……」

みほ「お姉ちゃんはああいうのが使えないって言ってたよね? そうなると向こうのそれを警戒しながら接近するしか……」

まほ姉「……みほ」ポン

みほ「ふぇっ!?」

まほ姉「私がヤツを倒すんじゃない。私達でヤツを倒すんだ」ナデナデ

みほ「な、なんで撫でるの?」

まほ姉「大学生になって、私は大学戦車道のレベルの高さに驚いたよ」

「最初の一年は、いくら私が高校トップレベルだったとはいえ下積みに徹さざるを得なかった」

「だが二年目からは急に変わったよ。みほが同じ大学に入ってきてな」

「みほも一年目は車長以外のポジションを選ばざるを得なくて私の元で通信手になった」

「それで上級生との紅白試合で私たちの車両の活躍で下剋上を成し遂げた」

「それ以来、みほは車長になりたければなれる発言力があっても私の車両で私とともに戦ってくれた」

「それで無敵の西住姉妹と呼ばれるようになったんだ」

みほ「それと今撫でられてるのに何の関係が……」

まほ姉「みほはいつでも私と一緒に戦う時、誰よりも真剣に私を勝たせるために助けてくれた」

「それは時を超えて、ここに呼び出されても変わらなかった」

「それで確信したよ。私の宝具がちゃんと使えると」ナデナデ

みほ「えーっと、どういうこと?」

まほ姉「このスキンシップは大学の車内ではいつもやっていることだ、気にするな」ナデナデ

みほ「えぇ……」

まほ姉「行くぞ。私たちでこのティーガー戦争を終わらせに」

「panzer vor!」


                ゲートオブニシズミ
アンリマホ「次の獲物が来たな。『まほの財宝』!!!」

「発射!」


みほ「来たっ!」

まほ姉「このまま突っ込む」

みほ「当たっちゃうよ!?」

まほ姉「大丈夫だ。私にはみほがいるからな」

みほ「え?」

      ミ ホ ロ ン
まほ姉「『全て尊き理想妹』!!!!」パアァァァァァ

みほ「私の服が……これお姉ちゃんと同じ大学のパンツァージャケット?」

まほ姉「ああ」

みほ「!? 2時の方向に進路を変えてください!」

ドゥン

みほ「そのままジグザグに走行して、合図したら急停車で避けます」


アンリマホ「馬鹿な、なぜ当たらない」

まぽりん「あの宝具……」

沙織「え、何か使ってるの? 見た目は変わってないけど」

          ミ ホ ロ ン
まぽりん「あれは『全て尊き理想妹』……」

沙織「みぽりん?」

       ミ ホ ロ ン
まぽりん「『全て尊き理想妹』。数あるまほ宝具の中でも唯一、みほとの強い絆が発動条件の宝具だ」

沙織「宝具って使うのに条件があるの?」

まぽりん「ああ、でも大体はそんなに難しい条件じゃない。逆に難しい条件の宝具は別格に強力だ」

沙織「じゃあみぽりん達のは強いの?」

まぽりん「私の『まほの軍勢』と同じランクEXだろうな」

「調和する二は完全なる一に勝る。見事だ」

まほ姉「アンリマホ、私達が相手だ」

アンリマホ「ふざけないで!お前達など私の敵じゃないわに!私に食われるだけの存在よ!」

まほ姉「化けの皮が剥がれてきたな」

みほ「どういうこと?」

まほ姉「あいつはこの世す全てのまほを名乗ってはいるが、その実態は“西住まほになりたかった何者か”だ」

アンリマホ「……」

まほ姉「確かにお前の執念は本物の西住まほに迫った。だがお前には決定的に足りないものがある」

アンリマホ「そんなことはない!私は完璧な西住まほよ」

まほ姉「すぐにわかる」

みほ「まぽりんさん。上手く一対一に持ち込めるように、他のティーガーの抑え込みをお願いします」

まぽりん「わかった」

みほ「黒森峰の皆さんは隊列を維持したまま相手を押しとどめてください。突っ込んでくる車両がいたら必ず相手よりも多い数で対応してください」

まほ姉「私たちはこれからアンリマホと一対一に持ち込んで、奴を撃破する」

まぽりん「頼むぞ。奴を倒せばそれでこのティーガー戦争は決着だ」

アンリマホ「撃てっ!撃て撃て!叩き潰せ!」

エリカ「ぐっ、正面の軍団が押し返され始めてます。急に統率力が上がった様な」

アンリマホ「なんで、急にそんなに強くなるの!?」



みほ「敵フラッグ車の動きが鈍ってる今のうちに接近します」

まほ姉「接近次第すぐに撃つぞ」


ゲートオブニシズミ
アンリマホ「『まほの財宝』!」ズドン ズドン

みほ「左にフェイントを入れてから真っすぐ突っ切ってください」

アンリマホ「なんで当たらないのよっ!?」

       ミ ホ ロ ン      ゲートオブニシズミ
まぽりん「『全て尊き理想妹』の力が『まほの財宝』の効果を上回ってる」

沙織「みぽりんのアドバイスで黒森峰の人達も立て直したよ」



アンリマホ「副隊長の存在一つでこんなに変わるの!?」

「……そうか、みほの存在が鍵だと言うならこれね」

「『無限の格言』!!」

「(みほにはダージリンの対応力が一番有効、これで)」

プスン

アンリマホ「そんな!?魔力切れ?」

まほ姉「焦るあまりに宝具を乱発し過ぎたな」

「重戦車や宝具は確かに強い、大きいものが強いのは自然の摂理だ」

「だがお前は私を追いかける事に必死になるあまり、自分を見失っている」

「いつかみほにも言ったことだが、お前にも言わせてもらおう」

「私の後を追うのではなく、自分の戦車道を見つけろ、……エリカ」

アンリマホ「……隊長」

まほ姉「撃て!」

みほ「発射!」

ズドン ポヒュ

まぽりん「ティーガー戦争は終結した。まほ姉、みほ。君達の優勝だ」

沙織「みぽりん、お姉さん。おめでとう」

まほ姉「いいのか?まだまぽりんも残っているのに」

まぽりん「私はアンリマホを連れ戻すためだけに呼ばれたからな。それにその役も代わりにやられてしまったし」

「聖なるティーガーに代わって聞こう。君達は何を願う」

みほ「……」

まほ姉「……」

「「考えてなかった……」」

沙織「まぽりん行っちゃったね。でも二人ともそのお願いでよかったの?」

みほ「うん。エリカさんにとってここ数日のことを覚えたままなのは良くない事だと思うから」

まほ姉「そうだな。エリカにはティーガー戦争に関することを忘れてもらう。それが私達の願いだ」

「さて、私もそろそろ元居た時代に帰る頃だ。みほ、この数日間楽しかったぞ」

みほ「うん。そっちの私によろしくね」

まほ姉「ああそうだ。最後にもう一度言っておくが、この世界の未来は決まっていない。あくまで私は別の世界から来た西住まほだからな」

「私の話の通りに同じ大学に何て入らなくていい。みほの戦車道ができる道を選ぶんだぞ」

「じゃあな」

みほ「行っちゃった」

沙織「さぁ、私達も帰ろっか」

みほ「うん」

優花里「それじゃあ、結局武部殿は風邪じゃなかったんですか?」

沙織「うん。私もマスターとしてティーガー戦争に参加したの」

華「そうだったんですか。言ってくれればよかったのに」

麻子「私達三人は夜中まで探したり沙織の部屋で待ってたりしたんだが」

みほ「ごめんなさい。色々あったから……」

優花里「いえ、私は西住殿とティーガーに乗ることができただけで満足ですから」

華「でも二人とも無事で良かったです」

麻子「結局なんだったんだ、そのティーガー戦争とやらは」

沙織「うーん。説明が難しい……」

みほ「そのまま話しても信じてもらえるかな?」

麻子「聖なるティーガー? 願いが叶う? 寝ぼけてるのか?」

沙織「ホントなんだってば!!」

華「沙織さん、まさかその願いでお相手を見つけてもらおうと?」

沙織「それは……ちょっと思ったけど、違うから!」

アハハハ

優花里「あっ、本屋さんに寄ってもいいですか? 月刊戦車道の発売日なんです」

優花里「今月は大学戦車道リーグの特集なんですよね」

みほ「へぇ。あ、この大学のパンツァージャケット……」

優花里「どうしました?」

みほ「……ううん、なんでもない」

みほ「(あのお姉ちゃんが着てたのと同じパンツァージャケットだ……)」

まほ姉「……」

まほ姉「(見慣れた天井……、大学の学生寮だ。戻ってきたのか)」

「(しかしこうして戻ると、まるで夢でも見てたかのようだ)」

コンコン ガチャ

みほ「お姉ちゃん、もう起きてる?」

まほ姉「ああ、今起きた所だ」

みほ「あれ?その割にはパンツァージャケット着てるんだ」

まほ姉「おかげでティーガーに乗って戦う夢を見たよ」

みほ「ティーガーに乗って違う世界のお姉ちゃんと戦う夢?」

まほ姉「!?」

みほ「なんてね。今日は皆で戦車道ショップ行く約束だよね。はやく準備して行こ」

まほ姉「ああ」

みほ「みんなー、お待たせ」

沙織「もー、みぽりんもまほ姉も遅いよ」

華「まあまあ、時間通りですから」

エリカ「ちょっと、隊長にその馴れ馴れしい呼び方はやめなさいっていつも言ってるでしょ」

優花里「いいじゃないですか。本人公認の呼び方なんですし」

麻子「休日なのになんで朝から起きなきゃいけないんだ……」

沙織「まぁまぁ、あとで新しい戦車喫茶行くから」

みほ「お姉ちゃん」

まほ姉「ん?」

みほ「追いかけたんじゃないよ。これが、私の戦車道だから」



終わり

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