れんげ「二人でそばにいたいって気持ち」 (11)

れんなつです ちょい百合

原作の翌年の設定です




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[越谷家の前] 

ミーン ミンミンミンミー…


れんげ「なっつーん、来たのーん」

夏海「お、れんちょん」

夏海「昼ごはんは何食べた?」

れんげ「ひやむぎー」

夏海「ウチはそうめん」

れんげ「一緒なん!」

夏海「いや、同じではないかな……太さ違うし」

れんげ「どっちも小麦粉なん。 それに、やせてる人も太ってる人もおんなじ人間なん。 麺も同じなん」

夏海「そういうもんなのかな…?」

れんげ「きっとそうなん」

夏海「まあメシの話はこれくらいにして」

夏海「スケッチブックはちゃんと持ってきた?」

れんげ「持ってきたん。 なっつんこそ忘れてないのんな?」

夏海「もちろん……」ガサゴソ


夏海「……ごめん、取ってくる」

れんげ「おっちょこちょいなんなー」

夏海「おまたせー。 ごめんねれんちょん」

れんげ「いいのん。 それより、どこに行くのん?」

夏海「確かにまだ決めてなかったね……そうだ、神社はどう? 
   観察ついでに、成績がよくなるように神頼みしちゃったりなんて」

れんげ「分かったん! 出発なん!」

れんげ「でもウチはもう十分成績いいけれど……」

夏海「ぐはっ」

テクテク…

夏海「それにしても、自由研究誘ってくれてありがとねれんちょん。 
   一人だと絶対後回しにしちゃうとこだったよ」

れんげ「こちらとしても自然博士の物知りなっつんがついててくれると心強いのん」

夏海「大博士夏海ちゃんを存分に活用してくれたまえ」ハッハッハ

れんげ「調子に…乗ってる…」

夏海「うっさいよっ」

れんげ「このやりとり……デジャブなん!」

夏海「いやあ、前にもあった。 絶対あったよ、うん」

[神社]

夏海「さーて、観察といっても何を観察するかね」

夏海「ウチ的には植物がいいんじゃないかなと思うんだよね。 
   動かないからスケッチしやすいし、食べれるやつ見つけたらおやつにもなるし」

れんげ「なっつん、おやつもりもり取るん!」

夏海「いよーしウチはりきっちゃうぜー」

れんげ「そうなん。 頂上のやつとこのへんのを比べてみるのも面白そうだと思うん」

夏海「おっ、それいいね! じゃあ今日はれんちょんとハイキングだ!」

………
……


[登山道]

れんげ「はっ」

夏海「どしたのれんちょん」

れんげ「今気付いたけど、なっつんってあだ名使ってるのウチだけなん」

夏海「マジで? …マジだった」

夏海「でもれんちょんのことれんちょんって呼んでるのもウチだけじゃない?」

れんげ「ねえねえは?」

夏海「しまった! かず姉忘れてた!」

夏海「自分のボケっぷりに涙が出てきたよ……」

れんげ「どんまいなのん……ねえねえ」

夏海「ウチは!?」ガーン

夏海「ウチも慰めてー」orz

れんげ「へたれてこんでる場合じゃないのん。 ファイトなん! 走るのん!」タタタタ

夏海「うわあスパルタだ!」タタタタ

れんげ「ちょっと疲れてきたん……」ゼエゼエ

夏海「あらま、とばしすぎちゃったかー。 おぶってあげようか? 
   まだウチは元気もりもりだから気にしないでいいよ」

れんげ「大丈夫なん。 こういうときは歌えば元気でるん」

夏海「歌かー…」


夏海「歩こ~歩こ~わたしは~元気~♪ 歩くの~大好き~♪」


れんげ「それもいいけどウチの歌のほうがもっと元気でるのん」

夏海「れんちょん歌作ったの? 面白そう! 聞かせて聞かせて」


れんげ「やーぶれかーぶれのやーぶ医者が~♪ たーけやぶの中へすたこらさ~♪」

れんげ「やーぶからぼーうにすたこらさ~♪ 破れたラブレター持ってすたこらさ~♪」


れんげ「初日の出見にいくときに作った歌なん」

夏海「おおう……なんていうか……れんちょんっぽくていいね!」

夏海「それウチも歌う!」

れんげ「デュエットってやつなんな」


「「やーぶれかーぶれのやーぶ医者が~……」」

れんげ「頂上着いたん!」

夏海「おつかれー」イエーイ

れんげ「いえーいなん」


れんげ「入道雲もくもくなのん」

夏海「セミもめっちゃ鳴いてるし、夏まっさかりだね」

れんげ「なっつんはどの季節が好きなん?」

夏海「んー、やっぱし夏かな」

夏海「冷たいものがおいしいとか、川に飛び込むと超気持ちいいとかいろいろあるけど、
   一番好きなのは……」

れんげ「夏休み?」

夏海「わかってるじゃーん。 さっすがれんちょん」ナデナデ

れんげ「むふー」

夏海「やっぱ休みっていいよね。 宿題がなければもっといいんだけど」

夏海「れんちょんは? どの季節好き?」

れんげ「春なのん。 これまでの自分にさよならして、
    新しい一年に向けて希望を抱く素敵な季節なん」

夏海「なんて大人なコメント……一体何歳なんですかれんげさん!」

れんげ「れでぃーに年を聞くものじゃないのん」

夏海「すげえ…こまちゃんよりずっとレディーが似合ってる……」

れんげ「それより今日は観察に来たのん。 忘れちゃダメなん」

夏海「おっとそうだった。 それじゃぼちぼち始めようか」

れんげ「らじゃーなん!」

[数十分後]

れんげ「……」サラサラ

夏海「調子どう?」ヒョコッ

れんげ「絶好調なん。 自然の中で筆を走らせてると心が落ち着いてくるのん。 
    ところでこいつの名前はなんですのん?」

夏海「それはオジギソウだね。 やっぱれんちょんスケッチ上手いなあ、写真みたい」

れんげ「ほめてくれるのは嬉しいけど、もっと芸術的に書くほうが好みなん」

夏海「それをやると観察じゃなくなっちゃうから今回は我慢だ」

れんげ「しょうがないのんなー」

夏海「そうだれんちょん、オジギソウは触ると葉っぱが閉じるんだよ」

夏海「見ててごらん……えいっ」ツン


パタパタパタ…


れんげ「んなー! 葉っぱが自分で動いたん!?」

夏海「面白いでしょー。 れんちょんもやってみ?」

れんげ「……」ドキドキ

れんげ「のんっ」ツン


パタパタパタッ


れんげ「おおー! すごいのん!」

れんげ「なっつん! ウチこれ気に入りましたん!」

夏海「ふっふっふー……でもねれんちょん、ウチさっきもっと面白いの見つけちゃったんだよね」

れんげ「どこなん?」

夏海「こっちこっちー」

………
……

[2時間後]

夏海「この辺はだいたい観察し終わったね」

れんげ「いろいろ教えてくれてありがとなん。 なっつんと来てよかったのん」

夏海「どういたしまして」ヘヘヘ

れんげ「……む、いつのまにか曇ってるん」

夏海「え? うわっこれ雨雲じゃん。 早く引き上げないと……」


ポツ…ポツ…


れんげ「んなっ!? 顔に雨当たったん!」

夏海「やばいぞこれ土砂降りパターンだ!」


ザアアアアア!


夏海「くっそー! やっぱりか!」

れんげ「なっつん!どうするのん!?」

夏海「とりあえずスケッチブックと筆箱はカバンに!」

れんげ「分かったん!」

夏海「ここに来る途中に物置小屋があったからそこで雨宿りだ! ついてきて!」タタタタタッ

れんげ「なっつん、こけないようにするのん!」タタタタタッ

夏海「もちろん! でも急ぐよ!」タタタタタッ

夏海「うおおおおおお」ダダダダダダ

れんげ「んなあああああ」ダダダダダダ

[物置小屋]

夏海「はあ……はあ……」

れんげ「助かったのん……」

夏海「とりあえずここにいよう。 しばらくすれば止むはずだよ」

れんげ「ふたりともびしょ濡れになっちゃったん」

夏海「災難だったね……ウチがもうちょっと早く気づいてれば……ごめんなれんちょん」

れんげ「ううん。 なっつんは悪くないん」

れんげ「大自然はきまぐれなやつなん。 気にしちゃダメなのん」

夏海「うん…ありがと」


ザアアアア……


夏海「……」

れんげ「セミ、鳴くのやめちゃったん」

れんげ「昼間はあんなににぎやかだったんに」

夏海「雨の日は鳴かないよね。
   ちょっとテンション下がっちゃうのはセミも人間も同じなのかも」

れんげ「そうなんな……」

れんげ「……寒くなってきたん」ブルッ

夏海「夏でも雨が降ると冷えるもんね……
   気休め程度だろうけど、水をしぼっておいたほうがいいかも」

夏海「こうやって服をぎゅっと」ギュー

夏海「髪の毛もしぼろう」ギュー

れんげ「ウチもするん」ギュッ

夏海「手伝ってあげるよ」ニギッ

夏海「ウチは髪の毛ぼさぼさだからいいけど、れんちょんのはきれいだから優しくやろうね」ギュ


れんげ「……そんなこと言われると照れますのん」

夏海「あはは、ごめんごめん」

れんげ「水しぼったらちょっとあったかくなった気がするのん」

夏海「よかった。 やってみたかいがあるね」

夏海「でもまだまだ止みそうにないなあ」

夏海「座って休みたいところだけど、イスはないし……
   積んである木材にもたれるしかないかな、ちょっとごつごつしてるけど」

れんげ「背中痛くなっちゃうん」

夏海「だよね……そうだ、ウチのお腹にもたれてみる? 木よりはごつごつしてないよ」

れんげ「それはちょっと落ち着かないからやめとくのん。 それより、手をつなぎたいのん」

夏海「いいよ」スッ

れんげ「ん」ギュ


れんげ「なっつんの手、ホッとするん」

夏海「ウチも。 手握ってると、ホッとするよね」


ザアアアアア……


れんげ「……」

夏海「……」

れんげ「……」

れんげ「たまには、こうやって雨音に耳を傾けるのも、乙なものなん」

夏海「うん」

れんげ「改めて考えてみると、雨って不思議なんな。 
    水蒸気がのぼって、雲になって、水滴になって落ちてきて……」

れんげ「理屈は分かるのん。 でも、やっぱり不思議なん」

れんげ「空から水が降ってくるってことも、
    ここの屋根に当たって音を立てることも、空気がしっとりすることも」

れんげ「なんだか、そういう身の回りの全てが、良いな、って思えてくるのん」

夏海「そうかー……今日のれんちょんはポエマーだね」


れんげ「雨は不思議なん。 ウチを変な気持ちにさせるのん」

れんげ「だから……」ギュ

れんげ「もう少し、変なことを言わせてほしいん」

夏海「ん……いいよ。 ちゃんと聞くよ」




れんげ「……ウチ、なっつんに恋をしてしまったみたいなのん」

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