【モバマス】みく「自分を曲げに曲げています……」【ガルパン】 (114)

設定大改装注意
キャラ崩壊注意
※草は笑いの度合いを表します



あらすじ
【モバマス】加蓮「北条加蓮は実在の人物ではありません……」【ガルパン】
【モバマス】加蓮「北条加蓮は実在の人物ではありません……」【ガルパン】 - SSまとめ速報
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【モバマス】莉嘉「実姉のいない高3JKです……」【ガルパン】
【モバマス】莉嘉「実姉のいない高3JKです……」【ガルパン】 - SSまとめ速報
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【モバマス】アーニャ「日本語は流暢に喋られます……」【ガルパン】
【モバマス】アーニャ「日本語は流暢に喋られます……」【ガルパン】 - SSまとめ速報
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【モバマス】楓「25歳だけど高校に通っています……」【ガルパン】
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【モバマス】智絵里「突撃という言葉に敏感に反応してしまいます……」【ガルパン】
【モバマス】智絵里「突撃という言葉に敏感に反応してしまいます……」【ガルパン】 - SSまとめ速報
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【モバマス】智絵里「突撃という言葉に敏感に反応します……」【ガルパン】(没案)
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476881468

CGプロ――



加蓮「みくの様子がおかしい?」

李衣菜「そう! 絶対おかしいよ!」

李衣菜「レッスンや収録に参加できる日はまちまちだし、遊びに誘ってもいつも断るし!」

奈緒「それくらいなら、よくある話だろ」

凛「本当は嫌われてるんじゃないの?」

李衣菜「そんなことないってば!」

李衣菜「一緒にお風呂に入るときは背中を流し合うくらいには仲良しだよ!」





加蓮「おっ」

奈緒「キマシタワー」

凛「kwsk」

李衣菜「ひえー! TP名物誘導尋問だー!」ウワーン

凛「茶番は置いといて……」

凛「みくがおかしいと思う、何か決定的な理由があるんでしょ?」

李衣菜「そう! それが、かなり厄介なことになっちゃって……」

奈緒「おいおい、怖い話はやめてくれよな……」

李衣菜「みくっていつも制服で帰るでしょ?」

加蓮「うん、前川さんのことだね?」

李衣菜「いつも着てる割には妙に綺麗だなって思って、この間ブレザーを調べたんだ」

凛「名前が違ってた、とかいうオチはやめてよ?」

李衣菜「そしたらタグを見つけたんだけど――」

李衣菜「『佐藤衣装』って書いてあったんだ……」

凛「……」

奈緒「」

加蓮「……」

李衣菜「それってさ……実在しない学校の制服ってこと……だよね?」

凛「……」

奈緒「」

加蓮「……」









奈緒「な、なな、なんだってぇー!!」ガクブル

凛「!?」

加蓮「!?」

李衣菜「ね?! 絶対おかしいでしょ!?」

奈緒「つまり、みみ、みくは、この世界に存在しない、ナニモノかということにぃ……!」ガクブル

李衣菜「私は、猫又説を主張してるんだけどね?」

奈緒「よよ、よ、妖怪だとぉ……?!」ガクブル

李衣菜「そう、老いた猫が妖怪化したという、あの猫又!」

奈緒「みみ、み、みくは一体いくつなんだぁ……!?」

李衣菜「そんなのもう関係ないよ! 妖怪は不死の存在、あとは毎日墓場で運動会なんだから!」

奈緒「そ、そそ、それってまさか……ウサミン星人の上位互換……?!」ガクガクブルブル

凛「李衣菜、ちょっと待っててくれる?」ガシッ

加蓮「3人で打ち合わせするから」ガシッ

奈緒「ああぁあぁぁ……!」ズルズルガクブル

李衣菜「出たー! TP名物TP会議だー!」

凛「奈緒、驚きすぎ」

奈緒「だだ、だ、だって……!」ガクブル

奈緒「存在しない人間なんて、まるで幽霊じゃんか!」

奈緒「ならせめて妖怪と思ったほうが――!」

加蓮「その理論だと、私も幽霊なんだけど?」

奈緒「……」

奈緒「あっ」

凛「どう? 落ち着いた?」

奈緒「あぁ……ありがとう」

加蓮「うん、じゃあ戻ろうか」

凛「お待たせ」

李衣菜「あ、うん……」

奈緒「……」フゥ...









奈緒「現実を見ろ、みくはカスタムだ」キリッ

李衣菜「な、なんだってー!」

凛「ンフッw」

加蓮「ンハッw」

凛「キリッじゃないよww」

加蓮「一番ビビってたの、自分じゃんwww!」

凛「何でww格好つけるわけwww?」

加蓮「お前だよwww現実を見るのはwwお前だよwww」

凛「奈緒悪い子ww分かってて笑わせにくる悪い子www」

加蓮「李衣菜も気付いてよwwそいつwさっきまでプルプル震えてたやつだからwww」





奈緒「な?」キリッ

奈緒「それで? この話を持ちかけてきたってことは、私たちに用事があるんだろう?」キリッ

李衣菜「そう! そうなんだよ!」

李衣菜「みくのことを調べたくて、プロデューサーに相談したんだけどさ――」





P「それなら加蓮が良いな。あいつ勘が良すぎて、俺の仕事を増やすくらいだから」





李衣菜「――って言われたんだ」

奈緒「ほほぅ、なるほどね」キリッ

凛(何? Pさんを怒らせたの?)ヒソヒソ

加蓮(最近、同僚のカスタムバラしばっかりしてたから……)ヒソヒソ

凛(そりゃ怒るよ)ヒソヒソ

凛(だって、カスタムの子たちって、バレるたびに報告書提出するんでしょ?)

加蓮(そうだよ。いつ、どこで、誰に、どうして、なぜ、どんな風にバレたか……全部書く必要があるから面倒なんだよね……)

凛(そして、その報告を受けるたびに、プロデュースを全て再検討し直す作業がPに発生する……と)

加蓮(ここしばらくの間に、5人もバラしちゃったからなぁ……)

凛(昨日見たけど、P泣いてたよ?)

加蓮(それで今、面倒くさい問題を、私が抱えるはめに……)

凛(自業自得かな)

凛(というか、Pも相当キてるよね)

凛(後でみくのバレ報告が来るって、気付いてないみたいだし……)

加蓮(でも、私はPさんの信頼を受けて頼まれたわけだから、期待には応えないと)キリッ

凛(ダメだこの子wwまた報告書を提出させるつもりだwww)

加蓮(みくの名前でね!)

凛(www……ふぅw)

凛(分かったよ、私も手伝うから)

加蓮(それじゃ、今回はTPwith李衣菜で!)

凛(はいはい)

加蓮「まぁまぁ2人とも、ここで喋ってても埒が明かないよ」

凛「まずは全員でみくを尾行しようか」

李衣菜「尾行か……私、初めてなんだよなぁ」

奈緒「たびたびあってたまるか!」

凛「今日のみくのスケジュールは?」

李衣菜「この時間なら、もうすぐレッスンが終わる頃だね。それで、しばらく休みだったはず」

加蓮「つまり……みくが家に帰る日!」

奈緒「拠点に上がり込んで、洗いざらい吐いてもらうか!」

凛「毛玉を……ね」キリッ

奈緒「ってそれじゃ本物の猫じゃん!!」

4人「「HAHAHAHA」」

夕方――



みく「お先に失礼するにゃー♪」





ちひろ「お疲れ様です~」

凛「目標、事務所を出たよ」

奈緒「このあとの行動は分かるか?」

李衣菜「うん、まずは電車に乗るよ」

加蓮「それじゃ、距離を一定に保ちながら尾行を開始します」

電車内――



みく「……」ドクショ





奈緒「みくが真面目に読書してる……」

李衣菜「アイドルの姿ばかり見てるから、なんか新鮮だよね」

加蓮「この電車って……」

凛「うん、海に向かってるね」

某駅前――



みく「……」トコトコ





奈緒「目の前が港だな」

李衣菜「うわ!? 何あの船!! でっか!!」

凛「やっぱり、学園艦……!」

加蓮「しかも、あれは……!」

奈緒「おい! あの学園艦……聖グロリアーナのだぞ?!」

李衣菜「せい……あんな……何て?」

奈緒「聖グロリアーナ女学院!! その学園艦!!」

奈緒「『タイが曲がってらしてよ?』とかいう空気全開の、由緒正しいお嬢様学校だよ!!」

李衣菜「えー! そりゃロックだなぁ!」

加蓮「うん、まぁUKロックかもね」

李衣菜「ゆ、ゆー……何て?」

加蓮「あっ(察し)」

加蓮「なんでもないよ(慈愛の目)」

某公衆トイレ前――


みく「……」キョロキョロ

みく「……」キョロキョロ





奈緒「公衆トイレの前で、挙動不審だな」

李衣菜「あっ、小走りで入ってった」

加蓮「それじゃ、私が様子を見に行くね?」スタスタ

凛「気を付けてね」ノ

奈緒「何に気を付けるんだよ」ノ

凛「レバーを押すときに力を入れすぎて、指を骨折しないように、とか……」

奈緒「指弱っ」

2分後――



みほ「お待たせしました」

奈緒「相変わらず早いなー、それも西住流?」

みほ「うん、お母さん直伝の」

奈緒「家元wwオリジナルwww」

みほ「うちのお母さんって若々しいですよね? あれ、西住流化粧術なんです」

奈緒「家元www何してるんだよww」

李衣菜「えっ誰この人?!」

凛「加蓮だよ」

みほ「李衣菜さん、はじめまして。北条加蓮としてお世話になってます、西住みほです」ペコリ

李衣菜「えぇえぇぇ!? 加蓮ってカスタムだったのぉ!?」

みほ「このことは内緒でお願いします」

李衣菜「が……頑張る!」

凛「また報告書書くはめになるよ?」

みほ「大丈夫! 私、書くの早くなったから」ニコリ

凛「慣れちゃダメなヤツだよそれwww」

奈緒「それで、中はどうだった?」

みほ「使用中が1つだけでした」

凛「その間、トイレに出入りした人はいないよ」

李衣菜「ねぇ、これってどういうこと?」

奈緒「つまり、今から出てくるのが、みくのカスタム前ってことだ」

李衣菜「あっ……そうか」

凛「さて……鬼が出るか、蛇が出るか……」

みほ「なるべく知ってる人だと良いなぁ……」

ガチャンッ

ギィィィ...





奈緒「あ! もうすぐ出てくるぞ!」

凛「隠れて、隠れて!」

??「……」コソコソ





李衣菜「……えっ!?」

みほ「あの人は……!」

ローズヒップ「……」キョロキョロ





奈緒「聖グロリアーナ戦車道、クルセイダー小隊長のローズヒップ!!」

凛(奈緒、前より詳しくなったなぁ……)

李衣菜「えっ、うそ、あれがみくなの?!」

みほ「目標、港へ向かって歩き始めました。このまま尾行を続けます」

聖グロリアーナ学園艦――



ローズヒップ「お久し振りですわー!」タタタタッ

風紀委員「ローズヒップさん、入艦ですね」カキカキ

風紀委員「あぁ、ローズヒップ様の溌剌としたお姿……何度見てもお美しいですわぁ……///」

李衣菜「……今時、あんな言葉遣いの人っていたんだね」

凛「そっちが気になったんだ」

奈緒「早く着けようぜ?」

凛「無茶言わないの。学園艦は学校だよ?」

凛「そんな突然訪れて『はいどうぞ』って通してもらえるわけないじゃない」

奈緒「あ……そっか」

李衣菜「えぇ~。それじゃ、今日はもう終わり?」

みほ「……あ、待ってください!」

ダージリン「あら、ローズヒップ。お帰りなさい」

ローズヒップ「ダージリン様! また会えてわたくし嬉しいですのー!」

ダージリン「フフ……そうね、少し久しぶりね」

ダージリン「いらっしゃい、今日はお菓子がたくさんあるから、貴女にも手伝ってもらいたいの」

ローズヒップ「わたくしがダージリン様たちとティータイムですか!? 身に余る幸栄ですわー!」









李衣菜「う、うそだ……みくが、みくが綺麗な女性に尻尾降ってる……!」ワナワナ

奈緒「ブンブンふってるのが目に見えるな」

凛「完全に犬じゃんww猫キャラwwなのにwww」

みほ「それでは皆さん、私のあとについてきてください!」

風紀委員「そろそろ出港時間ですわ」

風紀委員「また陸とさよならですのね……」

風紀委員「別に揺れないんだから良いじゃん」

風紀委員「ちょっと、言葉遣いが乱れてましてよ?」

風紀委員「実際に酔った方っていらっしゃるのかしら?」

風紀委員「ローズヒップ様は以前『入学初日だけ酔った』と仰っていましたわ!」

風紀委員「学園艦で酔うなんて、都市伝説だとばかり思っていましたの」

風紀委員「世の中、まだまだ分からないことがたくさんありますのね」

風紀委員「まあ私たちは、一般常識が一番危ういですけれど」

風紀委員ズ「「OHOHOHO」」









みほ「あの! すみません!」

風紀委員「……ん?」

みほ「私、大洗女子学園の!! 西住みほです!!」

みほ「ダージリンさんに至急用がありまして!! 直接伺いに来ました!!」

風紀委員「おぉー! あの西住みほだぁ!」

風紀委員「こら! 言葉遣いがなっていませんわよ!」

風紀委員「申し訳ありませんが、手続きが無い方を通すわけには――」









ダージリン「……今、みほさんの名前が聞こえた気がしたんだけど……」スタスタ

みほ「あ! ダージリンさん!」

ダージリン「……あら! みほさんじゃないの、どうしてここに?」

みほ「実はダージリンさんに大事な用があるんです」

奈緒「だけどここの人たちが、入れてくれないんだよ」

ダージリン「……後ろの方たちは?」

みほ「こちらは、手前から神谷奈緒さん、渋谷凛さん、多田李衣菜さんといいます」

みほ「皆、私の大切な仲間です」

風紀委員「えっ?! しぶりん来てるの!? どこどこどこ!?」

風紀委員「こら! 奈緒様を無視するなんて、いい度胸ですわね!?」

風紀委員「だりーなをスルーする者は地獄の業火に焼かれるであろう」

風紀委員「言葉遣い!」

ダージリン「皆さん、とても有名な方たちなのね」

みほ「あはは……」

ダージリン「分かりました、話は部屋で聞きましょう」

ダージリン「この方たちを通してあげてちょうだい」

風紀委員「あの……もうすぐ出港なんですけど……」

ダージリン「この方たちは、それを覚悟でここへやって来ているわ」

ダージリン「大事なお客様を迎えるよう、各所連絡お願いね?」

風紀委員「はっ! 了解しました!」ビシッ

風紀委員「お客様ですわ! しっかりもてなすのですよ!」

聖グロリアーナ「「承りましたわ!!!!」」

ダージリン「それでは、私に着いてきてください」スタスタ

みほ「ありがとうございます!」トコトコ





李衣菜「どうしよう、この空気に慣れる気がしない……」トコトコ

凛「大丈夫、諦めるっていう最後の慣れがあるから」スタスタ

奈緒「すげぇ! あたし、聖グロの学園艦にいる!!」ワクワク

ダージリン「それにしても、美しいお友達ですわね?」

みほ「実は(自分を含めて)全員アイドルなんです」

ダージリン「あらっそうなの?」

ダージリン「ゴメンなさいね、私、そういうのに疎くて……」

李衣菜「あっ気にしなくて良いんで!」

奈緒「これくらい、いつものことだしな」

凛「すみません……初対面なのに、馴れ馴れしくて……」

ダージリン「構いませんわ。うちはいつもこの調子ですから、むしろ新鮮ですの」

みほ「みんな、ダージリンさんに失礼だよ?」

李衣菜「あはは、ゴメンなさい」タハハ

李衣菜「ダージリン?さんって、スゴい人なの?」

ダージリン「あら、どうしてそう思ったかしら?」

李衣菜「だって、さっきまで堅物だった子たちが、ダージリンさんが来た途端に言いなりになったから……」

奈緒「李衣菜は、戦車道は知ってる?」

李衣菜「え? いやぁ、全然……」

奈緒「ここ聖グロリアーナは、その戦車道の全国レベルの強豪校なんだよ」

李衣菜「へぇー! スゴい!」

奈緒「そしてこの方こそ、その戦車道の隊長をつとめるダージリン、その人だ!」

李衣菜「それってさ、甲子園強豪校のキャプテンみたいな感じ?!」

奈緒「おっ、よく知ってるなぁ、甲子園のことなんて!」

李衣菜「ソファで酔いつぶれてたやきうのお姉ちゃんに教わったんだー」

奈緒「サンキューユッキ」

ダージリン「確かに、その認識で正しいですわ」

李衣菜「そんなにスゴい人だったなんて……」ホエー

ダージリン「でも、その理論で言えば、みほさんの方がもっと『スゴい人』ね」

みほ「そんな、私なんて……」アワアワ

ダージリン「謙遜しなくても結構よ?」

ダージリン「なんてったって、素人同然の弱小校を半年で優勝に導いた隊長なんですもの」

李衣菜「えぇえぇぇ?! 半年で全国優勝?! スゴすぎる!!」

ダージリン「私たち戦車道の間では有名人ですわ」

ダージリン「『素人ばかりを取り揃え、六月半で最後までイカせた姫』として……ね?」

みほ「ブフッwww」

奈緒「ちょww突然の下ネタwww」

李衣菜「お嬢様学校で下ネタとか、ロックすぎる!」ワクワク

みほ「も、もう! ダージリンさんってば///」

ダージリン「フフ……冗談ですわ♪」

ダージリン「今のは友人(ケイ)の受け売りよ」









凛(この人……クールの皮を被ったキュートだ……!)

凛(そう、まるで李衣菜や奈緒のような……!)ゴクリ

紅茶の園――



ダージリン「お待たせ」ガチャリ

オレンジペコ「遅かったですね、ダージリン様?」

ダージリン「実は人と会っていたの……あら」

ダージリン「来てくれたのね、ローズヒップ?」

ローズヒップ「はい! ダージリン様との約束なら、絶対に守ってみせますわー!」

ダージリン「それなら、ちょうど良かったわね」

ダージリン「実は今、みほさんとそのお友達が来ているの」

ダージリン「是非お茶会に参加してもらおうと思ったのだけれど……良いかしら?」

オレンジペコ「みほさんなら歓迎します」

アッサム「ということは、あんこうの人たちかしら?」

ダージリン「いえ、今日は違うお友達なの」

アッサム「あら……珍しいこともあるのね」

ローズヒップ「わたくしは誰でもウェルカムですの!」

ダージリン「フフ……ローズヒップは、一番驚くと思うわ」

ローズヒップ「へ?」

ダージリン「では、どうぞ」

みほ「お久し振りですー」ヒョコッ

凛「お邪魔します」ゾロゾロ

李衣菜「失礼しまーす!」ゾロゾロ

奈緒「うおぉ! ここがあの、聖グロ生でも簡単に入れないと噂の『紅茶の園』かー!」ゾロゾロ









ローズヒップ「」





みほ「ちょwwフフッwww」

凛「完全にww静止したwww」

ダージリン「こちらはみほさんのお友達の渋谷凛さん、神谷奈緒さん、多田李衣菜さんよ」

ダージリン「みんなアイドルなんですって」

オレンジペコ「わぁ……私、アイドルの人なんて初めて見ます!」

アッサム「道理で、美人ばかり揃ってると思いましたわ」

ダージリン「ゴメンなさい、私たちはあまりテレビとか見ないものだから……」

ダージリン「この場に、皆さんを知っている方がいませんの……」

凛「あ、そうなんですか?」

みほ「十時愛梨さんとか、ご存知ありませんか? CGプロ所属のシンデレラガールなんですけど……」

アッサム「ゴメンなさい」ペコリ

奈緒「いやぁwww良いですよww」

李衣菜「そっかぁwww知ってる人いないのかぁwww」









ローズヒップ「」





みほ「www」

凛「www」

ダージリン「ローズヒップも、確か詳しくないと言っていたわよね?」

ローズヒップ「」









ローズヒップ「……はぃ……」ボソッ









みほ「www」

凛「www」ダンダン

奈緒「ナハハwww」

李衣菜「ファーwww」





オレンジペコ(これは……)

アッサム(まさか……)

ダージリン「皆さん一般家庭出身だと仰っていたので、ローズヒップなら一番話が合うと思いますわ」

李衣菜「それじゃ私、ローズヒップさんの隣ー!」ズイッ

凛「なら私は、反対側の隣が良いな」ズイッ

ローズヒップ「」





※図解

李ロ凛
テーブル





オレンジペコ「ローズヒップ様w大人気ですねw」←察した

アッサム「まさに両手に花ですわw」←察した

李衣菜「私、ローズヒップさんに聞きたいことが、たくさんあるんですよぉ」ニヤニヤ

凛「奇遇だね、実は私もあるんだ」

ローズヒップ「……あっはいなんでしょ……」

みほ「www」フルフル

李衣菜「好きな動物は猫ですかww?」

凛「ねぇwww嫌いな食べ物は魚かなww?」

李衣菜「好きな食べ物はwハンバーグwwですかww?」

凛「好きな言葉はw猫語だったりしてwww」

ローズヒップ「しししし知りませんわそんなことととと」ガクブルビチャビチャ

ダージリン「紅茶、こぼれてるわよ?」フフフ

李衣菜「あっそうだ、それならこれを観てくれますか?」つDVD

ダージリン「これは……?」

李衣菜「私の所属してるユニット『*』のライブ映像です!」

ローズヒップ「?!?!?!?!」ブーッ

ダージリン「あら、早速観ましょうか」

アッサム「では、私のノートPCを使いましょう」ガチャガチャ

オレンジペコ「流石、手際が良いですね」

アッサム「これからの時代には、こうした技術も必要ですのよ?」サイセイスタート

みくりーな『~♪』





オレンジペコ「うわぁ……! 李衣菜さん、可愛いですね!」

李衣菜「私としては『ロックだね』って言われたいんだけどなぁ……」

ダージリン「あら(突然)」

ダージリン「お隣の可愛い子は誰かしら(棒)」

李衣菜「その子は私のパートナーの、前川みくです(棒)」

李衣菜「ご覧の通り、猫を全面に出した、いわゆる猫キャラなんですよ(棒)」

凛「みくは可愛いよね(棒)」

奈緒「あぁ、可愛いよな(棒)」

ローズヒップ「」

アッサム「……あら?」



李衣菜『みくだって、しおらしさとは無縁じゃん!』

みく『それ、李衣菜チャンに言われたく無いにゃ!』



オレンジペコ「ケンカしてますけど?」

凛「ケンカするほど仲が良いってやつだよ(棒)」



李衣菜『それじゃ、実際にやって見せてよ!』

みく『やってやんよ!』

李衣菜『それじゃーねぇ……お嬢様言葉! ハイ!』

みく『え゛? えっと……』






みく『リミッター外しちゃいますのよ!』





李衣菜『どんな状況なのさ!?』

観客『『ワハハハハ……!!』』









ローズヒップ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」

凛「www」ドッ

しばらくして――



みほ「出てきてください、ローズミックさん」

ローズヒップ「これ以上いぢめないで欲しいんですけど」ズーン...

李衣菜「すっかりテーブルの下に潜り込んじゃった……」

奈緒「完全に乃々じゃねーかコレ」

凛「このままじゃ埒があかないね」

オレンジペコ「どうしましょうか?」

アッサム「う~ん……こういう状況のデータは持っていないわ……」

ダージリン「……私に任せてちょうだい」

ダージリン「ローズヒップ、立ち上がりなさい」

ローズヒップ「え、でも……」

ダージリン「あなたの長所は、どんな困難にも全力でぶつかることのできるところよ?」

ダージリン「私の知るローズヒップは、こんなことで挫けるような子じゃないわ」

ダージリン「私の中のローズヒップのイメージ……守ってくれるかしら?」

ローズヒップ「ダージリン様……」





ローズヒップ「了解ですわー……」ゴソゴソ

奈緒「勢いが死んでるww」

みほ「でも、ローズミックさんが出てきてくれました」

凛「それ、連呼しないでww鬼畜めwww」ダンダン

みほ「かくかくしかじか」

ローズヒップ「くるせいだーず」





みほ「つまりローズミックさんは昔から、セルプロでアイドル活動をしていたんですね?」

ローズヒップ「はい……うちは大家族だから、家計の足しにしたいと思って……」

CGプロ用語――セルプロ



セルフプロデュースの略称

事務所に所属せず、自分で自分をプロデュースするアイドルを意味する

やりたい放題出来るのが特徴だが、文字通り全てを自分でこなす必要があるため、新規参入しやすい反面、継続するにはある種の才能が必要である

奈緒「それで好きな猫をモチーフに、猫アイドルになったのは分かるけど……」

李衣菜「別にウィッグまでかぶる必要無かったんじゃないの?」

オレンジペコ「その赤髪、綺麗ですよ?」

ローズヒップ「えっと、これはその……」

ローズヒップ「棒読みでお嬢様な高校生スクールアイドルと、キャラデザがかぶってると抗議されるのを避けるためでして……」

凛「まきちゃんはそんなこと言わない」

奈緒「まきちゃん」

凛「それにしても、立派な赤髪だね」

奈緒「日本人でここまで立派な赤髪の地毛って、珍しすぎるよな」

ローズヒップ「あ、これは母の遺伝ですの」

奈緒「えっ」

ローズヒップ「わたくし、赤髪の綺麗なイギリス人の母と日本人の父のハーフなのですわ」

みほ「えぇ?! ローズミックさんってハーフだったんですか!?」

ダージリン(日本人)「それは、初耳だわ」

アッサム(日本人)「私も知りませんでした」

オレンジペコ(日本人)「どうりで端整な顔立ちをしていると思いました」

李衣菜「なんか今、失礼なテロップが流れた気がする……」

みほ「でも、よく聖グロリアーナに入学できましたね?」

凛「ここって偏差値高いことで有名だよ?」

奈緒「しかも学費が高そうだ」

アッサム「その心配は無用ですわ」

アッサム「ローズヒップは成績優秀者として、奨学金が出ていますの」

TP「「えええぇぇ?!」」

李衣菜「えっ?! みくって、そんなに賢いの!?」

アッサム「正直な話、学業には自信のある私でも、歯が立ちませんわ」

李衣菜「すげー! みくすげー!」

凛「えっ、それじゃ、入学式に壇上に上がったの?」

アッサム「上がりましたよ」

ダージリン「上がっていたわ」

オレンジペコ「写真でなら、見たことがあります」

みほ「えぇ~……イメージが……」

ローズヒップ「私はなんにでも一生懸命なだけですのよー!」プンプン

ローズヒップ「まぁ……そんなわけなので……」

ローズヒップ「学園艦ではローズヒップとして、事務所では前川みくとして、公共の場では前川さんとして、家では大阪丸出しの大家族の末っ子として……」

ローズヒップ「時と場合によって、自分のキャラを調整しています……」

李衣菜「自分曲げすぎじゃない!?」

ローズヒップ「曲げ曲げですわ……」

凛「しかも大阪出身なんだよね?」

アッサム「あとイギリス人とのハーフも」

奈緒「キャラ濃すぎィ!」

ローズヒップ「だからキャラ作りでデチューンしていますの」

李衣菜「キャラを作ってキャラを減らすって、初めて聞いたんだけど……」

みほ「皆を騙している罪悪感とか、無いんですか?」

ローズヒップ「どれも生活に必要だったので……特には……」

奈緒「無いのかよ」

オレンジペコ「え?! オレンジペコ様は関西人なんですか?!」

ローズヒップ「いやそれはちゃうねんて今はほんまごっつ標準語いけるし」

オレンジペコ「すごく大阪ですね!?」

アッサム「……先日『ダージリン様の机の上はなおしておきましたわ!』などと意☆味☆不☆明のことを言っていたのは……もしかして方言……?!」

ローズヒップ「いやいや、なおすは普通に標準語やんか」

アッサム「違います!」





※なおす……関西では『片付ける』を意味します

李衣菜「家では関西弁なんだ……」

凛「今までよく隠せたね」

ローズヒップ「めっさ頑張りましてよ?」

奈緒「出てる出てる」

みほ「方言については、私も思い当たるところがあります」

みほ「基本的に、周りが標準語だと、特に訛らないんですよ」

凛「そうなんだ」

みほ「ローズミックさんは、家に同郷の親族がたくさんいるから、家だけ方言になるんだと思います」

ローズヒップ「そう! その通りですの!」

みほ「ですよね!」キャッキャッ

李衣菜「地方出身あるあるなのかな?」

奈緒「多分な」

みほ「私も実家に帰った時は、熊本弁全開ですから」

凛「あ、そっか。熊本出身なんだっけ?」

ダージリン「熊本弁のみほさん……是非聞きたいわ」

オレンジペコ「あっ私も」

みほ「では、今だけ……」コホン









みほ「闇に飲まれよ、聖なる英姫、橙の従者、黄金の知将、公爵の薔薇騎士よ!(お疲れ様です、ダージリンさん、オレンジペコさん、アッサムさん、ローズミックさん!)」

3人「「!?!?!?!?」」

みほ「来る鉄の聖戦、我が軍勢も力を手に入れ、聖騎士団を打ち砕いて見せよう!(次の大会では、大洗もたくさん練習してくるので、負けませんよ!)」

李衣菜「おー!」パチパチ

奈緒「立派な熊本弁だなー!」パチパチ

ローズヒップ「何を仰ってるかさっぱり分かりませんのー!」パチパチ

凛「今度蘭子を連れて実家に行って良い?」パチパチ

みほ「剛の流派の顕現とその体現者の赦しがあらば(うん、お母さんとお姉ちゃんが良いって言ったら)」





アッサム(えっ驚いてるの私たちだけ!?)

オレンジペコ(ローズヒップ様も普通に受け止めています……!)

ダージリン(生熊本弁……初めて聞いたわ)ウキウキ

凛「せっかくだから、みくの姿になってよ」

ローズヒップ「え゛っ」

ダージリン「あら、それは素敵ね」

オレンジペコ「アイドルのローズヒップ様のお姿、是非見たいです」

アッサム「えぇ、とても興味深いわ」

みく「でも……」

奈緒「だからってそのままだと、加蓮がいじり続けるぞ?」

みほ「お願いしますローズミックさん!」

ローズヒップ「さっきからうぜぇですの!」

アッサム「ローズヒップ」

ローズヒップ「あ、はい……先程から雑念を催しすぎですの」

李衣菜「それ正しいの?」

ダージリン「ローズヒップ、是非あなたのアイドルの姿が見たいわ」

ローズヒップ「でも、その……服を脱ぐ必要が、ありまして……」

ローズヒップ「この神聖な紅茶の園で、そんな破廉恥なことは――!」

ダージリン「今だけ認めます!」

オレンジペコ「異議ありません!」

アッサム「D・V・D! D・V・D!」

奈緒「それ、外では絶対に言っちゃダメだから!」

ダージリン「ローズヒップ、お願い?」

ローズヒップ「うぅぅ……ダージリン様が仰るなら……」

みほ「報告書のことは私が詳しいので安心してください、ローズミックさん!」

ローズヒップ「分かりました! 分かりましたからいい加減、そのローズミックさんはやめてくれですわー!」

ローズヒップ「……とはいっても、実際にはあまりすることはありませんの」ガサゴソ

ローズヒップ「……お言葉に甘えて、服を脱がせていただきますわ」プチプチ

ローズヒップ「とにもかくにも、この貧胸(バストダウン)ブラを脱ぎまして……」ボロンッ

アッサム(でかっ!!)

オレンジペコ(綺麗……///)

ダージリン(ぐぬぬ)

李衣菜「そのわがままボディ、ずっと隠してるの?」

ローズヒップ?「もう、おっぱいパンっパンですわ!」

奈緒「ハーフなら、妙にスタイルが良いのも頷けるわー」

ローズヒップ?「今日はお気に入りの猫チャンブラをつけて……」ヨイショヨイショ

凛「そのサイズで、よくそんな可愛いの見つけたね?」

ローズヒップ?「実はコレ、前のライブの衣装をもらいましたの」

凛「あっその手があったか……!」

ローズヒップ?「猫チャンしっぽは……今日はスカートにつけますわ」カチャッ

ローズヒップ?「あとはみくウィッグをつけて……」パチッパチッ

ローズヒップ?「11ヶ所とめて……」パチッパチッ

奈緒「多いwww」

李衣菜「アイドルへの気合いがスゴい伝わってくる……」

李衣菜「あれ!? それじゃ、今まで一緒にお風呂に入ったときも……?!」

ローズヒップ?「『今日は髪洗わない日だから』って、いつもタオル頭に巻いてたでしょ?」パチッパチッ

李衣菜「……確かに!」

ローズヒップ?「あとは、モードをアイドルに変更すれば……」ティンッ

??「完成!」









みく「猫アイドル・前川みくの誕生にゃ!」ニャニャーン

アッサム「ローズ……ヒップ……?!(混乱)」

オレンジペコ「わぁ……可愛いですよ、ローズヒップ様!」

みく「のんのん! 今の私は前川みくにゃ! お分かりかにゃ、オレンジペコチャン?」ニャーン

オレンジペコ「あ、はい……///」ドキッ

ダージリン「フフフ……オレンジペコったら」クスクス

オレンジペコ「あぅぅ……///」

凛「それじゃみくは、高2だったんだね」

※遅ればせながら、本SSはローズヒップ高校2年生説を採用していますの

みく「中1でアイドルを始めたんだけど、小学生って言った方がウケが良いって聞いたから……」

奈緒「理由が俗い」

ダージリン「人は必ず、誰にも知られていない秘密を抱えているの」

ダージリン「でも、時にはそれが驚異となって、私たちに襲いかかることがあるわ」

ダージリン「大洗との親善試合で、一瞬にして4台も仲間を失った時のように……」

みほ「ダージリンさん……」

ダージリン「それを受け入れて、どれだけ私たちの戦車道を貫き通せるか――これはあなたの宿題よ、オレンジペコ」

オレンジペコ「分かりました」

オレンジペコ「必ず答えを見つけ、証明して見せます」

奈緒「なんか、すごく良い現場に立ち会ったみたいだな」

凛「部活って良いなぁ……」

みく「聖グロリアーナの戦車道は選択授業にゃ」

みく「あの……みくは正体を隠してアイドルをしてるから……」

みく「本当は、こうして正体をバラすのは、すっっっごい問題行為なの……」

みく「だからお願いします……この事は、ここだけの秘密に……!」ドゲザァ

ダージリン「……」

ダージリン「あら、ローズヒップが見当たりませんわね?」

アッサム「変装でもしているのでは?」

ダージリン「それはないでしょう。ねぇ?」

アッサム「そうですわね」

オレンジペコ「はい、仰る通りです」

みく「……ダージリンチャン、ありがとにゃあ!」ギュウゥゥ!!

ダージリン「あらあら、甘えん坊な子猫ちゃんだこと」ナデナデ

奈緒(……これが聖グロの外交力……!)ゴクリ

凛「私も、あんな風に頼れる先輩が欲しいな……」

みほ「卯月さんがいるじゃないですか」

凛「卯月は違うかな」

奈緒「即答」

李衣菜「バッサリ」

凛「それだったら、加蓮や奈緒の方が、頼れる先輩って感じかな?」

みほ「あ、はい///」

奈緒「急にデレるなよ///」

李衣菜「……」ニヤニヤ

ダージリン「ローズヒップがいないなら、仕方ないわね」

ダージリン「みくさん、ご一緒にお茶は如何かしら?」

みく「みく、イギリスのティータイムなんて初めてにゃ……」

ダージリン「私たちが教えますから、気楽にどうぞ」

みく「それじゃ、お呼ばれしまーす♪」

奈緒(そこまでなりきるのか……流石はトップアイドル)

アッサム「ここまで出来るのに、私の時はどうして1年半もかかったのかしら……」アタマカカエ

みく「いやぁ……さすがに淑女弁は難しくって……」

アッサム「ちょ゛?!」

ダージリン「フフ……淑女弁……フフフ……」テカクシー

オレンジペコ「言い得て妙です」

みほ(ダージリンさん、肩震えてますよ!)

しばらくして――



奈緒「いやぁ~……もうお腹いっぱいだぁ~……」

李衣菜「こんなに本格的なティータイム、生まれて初めて!」

凛(……桃華も将来、ここに通うのかな?)

オレンジペコ「楽しんでいただけたようですね」

みほ「はい。ありがとうございました」

みく「楽しかったにゃ!」

ダージリン「フフ……」

アッサム「……ところで、皆さんはこれから、どうなさるつもりですか?」

李衣菜「え?」

アッサム「いえ、もう学園艦は出港していますし……」

凛「え」

奈緒「あ」

李衣菜「ウソ!?」

アッサム「……もしかして、考えていなかった……とか?」

凛「ち、違うの! そこまで考えが至らなかっただけで……!」

みく「人はそれを『考えていなかった』って言うにゃ!」

奈緒「ぐっ……正論はやめろぉ……!」

アッサム「アッサムです!」

オレンジペコ「みほさんは、どうするつもりでしたか?」

みほ「うん……やろうと思えば何とでもなるから、大丈夫かなって」

オレンジペコ「なるほど」

アッサム「まぁ、そうですわね」

李衣菜「えっ? そんなものなの!?」

凛「さすが学園艦暮らしが長いだけあるね」

みほ「それに、いざとなったら、飛行機を所有している学園艦に連絡して、乗せてもらうって手もあるから」

奈緒「はぁ?! 何だそれ!?」

みほ「たとえばケイさんに――あ、サンダースの戦車道の隊長さんなんだけど」

みほ「たとえば『学園艦間輸送訓練に付き合いたい』と話をつけて、『聖グロリアーナ→サンダース→東京→大洗』で空輸を行うのがスムーズかな?」

アッサム「今の学園艦の位置情報を踏まえると、それが最短経路ですわね」カタカタ

ダージリン「その時は、聖グロリアーナ名物のきゅうりを贈りましょう」

みほ「うちは干し芋のストックがありますから、それでいきます」

オレンジペコ「私、そろそろサンダース流のピザが食べたいと思っていました」ワクワク

みほ「うちはスペアリブ用のお肉が欲しいかなぁ……」





李衣菜「何この別世界の会話」

凛「さすが戦車道歴が長いだけあるね」

奈緒「というか、そんな無茶苦茶な計画を通せる力を持ってるみほがやべぇ」

ダージリン「皆さんは、明日以降の予定は大丈夫かしら?」

奈緒「えっと……明後日までなら」パラッ

李衣菜「こっちも大丈夫!」ピッピッ

凛「……うん、何とかなるよ」

奈緒(せめて手帳か何かを見てから言えよ……)ゴクリ

李衣菜(シンデレラガールの『何とかなる』は威圧感がすごい……)ゴクリ

ダージリン「それなら宿舎に空きがあるので、そこに泊まったらどうかしら?」

奈緒「良いんですか!?」

ダージリン「みほさんの大切なお友達ですもの、丁重におもてなししなくては……ね」

李衣菜「よ、良かった~……」ホッ

ダージリン「そうだ。折角ですから、私たちの練習でも見学なさる?」

奈緒「え! 良いんですか!?」

ダージリン「そうね……『来賓への催し及び聖グロリアーナの戦車道の宣伝のため』という口実でどうかしら?」

アッサム「さっそく各車長に連絡します」

ダージリン「ありがとう」

李衣菜「これって、もしかしてスゴいこと?」

奈緒「ロックなことだな」

李衣菜「マジで!? ウッヒョー!!」

奈緒「おいクールアイドル」

みほ「やみのま!」

李衣菜「やみのま!(条件反射)」

ダージリン「フフ……やみのま」

奈緒「やみのまー」

凛「やみのま」

アッサム(えっなにこれ)ヒソヒソ

オレンジペコ(何かの儀式でしょうか?)ヒソヒソ

ダージリン「それではアッサム、凛さんたちを宿舎へご案内してあげて」

ダージリン「みほさんは私と打ち合わせをしますので。その後で私が案内するわ」

アッサム「分かりました」

ダージリン「後は、そうね……みくさんはオレンジペコに、芸能界の話をしてもらえるかしら?」

みく「任せるにゃ!」

オレンジペコ「ありがとうございます」wktk

ダージリン「それではみほさん、こちらへ」トコトコ

みほ「はい、失礼します……」トコトコ

学園艦――艦内廊下――



みほ「こんなにしていただいて、ありがとうございます」

ダージリン「構いませんわ。みほさんの新しいご友人には、私たちも興味津々ですので」

みほ「あはは……」

ダージリン「……」

みほ「あの……」

ダージリン「何?」










みほ「どうして嘘ついているんですか?」





ダージリン「……」

ダージリン「……フフ」

ダージリン「突然何を言うかと思えば……」フフフ

ダージリン「みほさんは、いつも私たちを驚かせてくれるのね?」

みほ「はぁ……」

ダージリン「それで、私が嘘をついていると思ったのは、何故かしら?」

みほ「やみのまー!」

ダージリン「えぇ、やみのま」

みほ「……ダージリンさんがこれを知っているのは、不自然なんです」

ダージリン「……」

みほ「ダージリンさんを始め、あの場にいた聖グロリアーナ生は全員『アイドルに詳しくない』と証言しました」

みほ「アイドルの中でも特に知名度の高いシンデレラガールの3代目・凛さんを見ても、初代・愛梨さんの名前を出しても、それは同じでした」

みほ「それはつまり、2代目・蘭子さんのことも知らないのが自然です」

みほ「なのにダージリンさんは、私の熊本弁に驚くことなく、むしろ楽しそうに聞き入っていました」

みほ「熊本弁は、蘭子さんの登場によって広く知れ渡った方言です。彼女なくして熊本弁は語れません」

ダージリン「……」

みほ「極めつけはやみのまです」

みほ「あの時私は、文脈を無視して言いました」

みほ「普通は、あれが挨拶だなんて思いませんよ?」

ダージリン「……その前に『闇に飲まれよ』と仰っていたわ、その略だと思って――」

みほ「あの短時間で、しかも略称だと思いつく人はそういません」

ダージリン「……意味は分からなくても、挨拶だと思ったから――」

みほ「いえ、その言い分も厳しいです」

ダージリン「なぜ?」

みほ「そもそも、あれを初回で聞き取れる人って、まずいないんです」

みほ「『やみ……え、何て?』って言われるのがオチですから」

ダージリン「そう……」

ダージリン「……」










ダージリン「おやりになるわね?」フゥ








ダージリン「みほさんの言うとおりよ」

ダージリン「私は、そこまでアイドルに疎くはないし、皆さんのことも全員知っていました」

みほ「それなら、どうして……?」

ダージリン「単純に、イメージの問題ですわ」

ダージリン「歴史と伝統の聖グロリアーナ女学園の戦車道隊長・ダージリンが、アイドルのことに詳しいと知られて、プラスになるとは思えませんもの」

みほ「本当は、どのくらい詳しいんですか?」

ダージリン「一通り……かしら? 深い話題でなければ、たいていのアイドルのことは理解しているつもりよ」

ダージリン「少なくとも隊員たちの話題は、おおよそ理解しているわ」

ダージリン「ちなみに私、箱では推さない主義なので」

みほ「い、意外と詳しい……」

みほ「さっき『全員知っていた』って言いましたよね?」

みほ「それってもしかして、みくさんのこともですか?」

ダージリン「……」

ダージリン「こんな言葉を知っているかしら?」

ダージリン「『深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ』」





みく「……そこでみくが、仁奈チャンを迎えに行ったにゃ!」

オレンジペコ「ニーチェですね」

みく「仁奈チャンだよ!?」





ダージリン「詮索したくなる気持ちは分かるけれど、深追いしてはいけないわ……元の自分に戻れなくなってしまうから」

みほ「は、はい……」

みほ(これってもしかして……聖グロリアーナの闇……?!)ゴクリ

ダージリン「……今の状況に意訳すれば……」









ダージリン「『恥ずかしいからこれ以上聞かないで』……という意味よ……///」

みほ「あっゴメンなさい///」

ダージリン「……」コホン

ダージリン「とはいえ、黙っていると根掘り葉掘り聞かれてしまいそうだから……」

ダージリン「私の推しメンを紹介して、この話題は終わりましょう」

みほ「分かりました」

みほ(想像以上にダージリンさんがアイドルに詳しい……)

みほ「でも、ダージリンさんのお眼鏡にかなう子って、なかなかいなさそうですよね」

ダージリン「……確かに、3人しかいないわ」

みほ「3人もいるんだ」

ダージリン「感想はご自由に」

みほ「それって、誰ですか……?」

ダージリン「……」フフ










ダージリン「推しが前川みく」



ダージリン「激推しが北条加蓮」



ダージリン「神推しがオレンジペコよ」








みほ「……フフ……そうですね、アイドルですね」クスクス

ダージリン「えぇ、最後だけは譲れないわ」ニコリ

みほ「それにしても……そっか、ダージリンさんにはバレてたんですね」

ダージリン「これでも、大勢の隊員を預かる隊長ですのよ?」

みほ「やっぱりダージリンさんは凄いです……!」

ダージリン「フフ……」










ダージリン(言えない……)





ダージリン(本当は、公衆トイレでのやり取りを全部見てしまったから、とは言えないわ――!!)








同刻――
CGプロ――



P「おーい! お待たせー!」

P「あれ? どこ行ったかな?」

P「……あ、電話中か」

??「えぇー! また変なこと言って、相手困らせてるの?!」

??「今は私無理だから、そっちでなんとかできそう? ……本当? それじゃお願いね?」ピッ

P「忙しかったか?」

??「あ゛……んんっ! いえ! もう済みました!」

P「今から車回すから、玄関口で待っててくれ」









有香「押忍! 今日もお願いします!」





続く?

以上です、ありがとうございました

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