のび太「ドラえも~ん!」ドラえもん「おう、野比」 (27)

のび太「ドラえも~ん!」

のび太「あれ、いない……?」

のび太「まったく肝心な時にいないんだから……」

のび太「最近ドラえもんのやつ、ちょっとたるんでるよなぁ」

のび太「ママに頼んで、ドラえもんのおやつのドラ焼き減らしてもらおうかなぁ」



ドラえもん「おう、野比」ニュッ

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のび太「ドラえもん!? なんで引き出しから……!?」

ドラえもん「悪かったな、ちょっと22世紀に用があってよ」

のび太「……?」

のび太「ねえ、ドラえもん」

ドラえもん「なんだよ?」

のび太「なんかいつも違わない?」

ドラえもん「どこも違わねえよ」

のび太「でも……言葉づかいがいつもより乱暴だし……」

のび太「それに色も……いつもは青い部分が、黒くなってるし……」

ドラえもん「どこも違わねえっつってんだろ!!!」

のび太「!」ビクッ

のび太「ご、ごめん……」

ドラえもん「分かればいいんだ」

ドラえもん「で、野比よ。俺に用があったんだろ? どんな用だ?」

のび太「うん……実は今日もジャイアンにイジメられて……」

ドラえもん「ジャイアンにイジメられたぁ!?」

ドラえもん「ジャイアンっつったら、ちゃーんとインプットしてあるぜ」

ドラえもん「この近くに住んでるガキ大将だよなぁ?」

のび太「う、うん」

ドラえもん「ようし、俺に任せとけ! あの野郎は俺がブッ殺してやる!」

のび太「ええ……!? ブッ殺してやるって……」

ドラえもん「おうよ、この改造空気砲で腹ブチ抜いてやるよ」ジャキッ

のび太「ま、待ってよ! そこまでしなくてもいいよ!」

ドラえもん「あぁん? 報復は必要だろうがよ」

のび太「いや、いいよいいよ! ぼくもそこまで気にしてないし」

ドラえもん「なんでえ、つまんねえ」スッ

のび太「ホッ……」

ドラえもん「他にお前を困らせてる奴はいねえのかよ」

のび太「あとは……スネ夫かなぁ」

のび太「今日もイヤミをいわれて自慢話をされて……」

ドラえもん「スネ夫……金持ちのボンボンってやつか」

ドラえもん「よぉ~し、そういう奴は……」

ドラえもん「このタケコプターナックルで切り刻んでやる!」ギャルルルルル

ドラえもん「プロペラ部分であの野郎の顔面ズタズタにしてやるぜ!」ギャルルルルルルル

のび太「やめてよ! やめてったら!」

ドラえもん「……ちっ」

のび太「……」

のび太(やっぱり今日のドラえもんはなにかおかしいぞ……)

のび太(一時的なものであってくれればいいんだけど……)

ママ「のび太! さっきからうるさいわよ! 静かになさい!」

のび太「あ、ママ、ごめんなさーい!」

ドラえもん「!」ピクッ

ドラえもん「野比……今のがお前の母親か?」

のび太「うん、そうだけど……」

ドラえもん「許せねえ……」ビキビキッ

のび太「え?」

ドラえもん「俺らの真剣な話し合いを、うるさいの一言で片づけるなんて許せねえ」

ドラえもん「あのアマは俺のどこでもドアで、冥王星に追放してやらぁ!」

のび太「やめてよ、やめてったらぁ!」

ドラえもん「ちっ、甘いんだよ、お前は!」

のび太(ドラえもんが辛すぎるんだっての……)

ママ「のび太~! しずちゃんが来てくれたわよ~!」



のび太「あっ、はーい!」

ドラえもん「しずちゃん……源静香、たしかお前の結婚相手だったな」

のび太「うん、一緒に宿題する約束してたんだ」

ドラえもん「フッ、なるほど」

ドラえもん「俺は少しの間、消えといてやるよ。せいぜい楽しみな」スッ…

のび太(しずちゃんと様子のおかしいドラえもんがはち合わせることがなくてホッとしたよ)

……

しずか「じゃあ、また明日ね」

のび太「うん、またねー!」

のび太(二人きりで勉強できて……今日はいい一日だった……)



ドラえもん「ウヒヒヒ……」

のび太「!?」ギョッ

のび太「どうしたんだよ、ドラえもん?」

ドラえもん「あれが源か。なかなか可愛いじゃねえか」

のび太「そ、それで?」

ドラえもん「将来はお前の嫁になるわけだが、なにも大人になるまで待つまでもねえ」

ドラえもん「今すぐ楽しもうじゃねえか」

ドラえもん「この絶対動けなくするロープと、絶対服従させる薬を使って……」

ドラえもん「たっぷりとエッチなことをな……」ウヒヒ…

のび太「……」

のび太「いい加減にしろ!」ガシッ

ドラえもん「!」

のび太「しずちゃんにそんなことするなんて、絶対許さないぞ!」

のび太「このっ、このっ!」ポカッポカッ

ドラえもん「この……ガキィ!」グオッ

のび太「うわっ!」ドサッ

ドラえもん「せっかく未来から助けに来てやったってのに、俺の邪魔ばっかしやがって……」

ドラえもん「殺人ショックガンで撃ち殺してやる! 死ねやァ!」ジャキッ

のび太(もうダメだ……!)

ズバッ!


ドラえもん「う”っ!?」バチバチッ

のび太「え!?」

のび太(今のはショックガン……いったい誰が!?)

のび太「あ、あれ? ドラえもんが二人……? あっちのドラえもんはちゃんと青い!」



「のび太君、そいつはぼくのニセモノだ!」

偽ドラえもん「ぐう……!」

ドラえもん「大丈夫かい、のび太君!?」

のび太「ドラえもん!」

偽ドラえもん「ちい……! 22世紀で電撃を浴びせてやったのに、故障してなかったのか!」

ドラえもん「のび太君はぼくが守る!」バシュッ

偽ドラえもん「くたばれやぁっ!」バシュッ



ズバッ!

偽ドラえもん「ぐ、は……」ドサッ…

ドラえもん「ふうっ……」

のび太「やったぁ!」

のび太「だけど、この黒いドラえもんは一体なんだったの……!?」

ドラえもん「未来の悪いロボットが、ぼくになりすまそうとしたんだ」

ドラえもん「過去に行けば、昔の人を未来の道具で支配したり、貴重な品物を入手したりできるからね」

ドラえもん「もちろん、問題のあるロボットはタイムマシンを使えないようになってるんだけど」

ドラえもん「ぼくになりすませば、チェックをすり抜けることができるから……」

のび太「そうだったのか……」

のび太「ありがとう、ドラえもん……!」

ドラえもん「なあに、これぐらいどうってことないよ」

ドラえもん「ぼくこそ、なりすまされたせいで、君を危ない目にあわせちゃった」

のび太「そんなことないって……」

ドラえもん「それじゃ、ぼくはこのニセモノをタイム・パトロールに引き渡してくるね」ガラッ

のび太「行ってらっしゃい!」

のび太「……」

のび太「ドラえもん……」

のび太「最近ちょっとたるんでるなんていって、ごめんよ……」

のび太「帰ってきたら、ドラ焼きいっぱい食べさせてやるからな」

タイムマシンにて――

ドラえもん「……」

偽ドラえもん「……」

ドラえもん「さて、もういいよ」

偽ドラえもん「よっと」ムクッ

偽ドラえもん「どうやら、うまくいったみたいだな」

ドラえもん「うん、これでのび太君はぼくのありがたみを思い出したと思うよ」

ドラえもん「最近どうものび太君は、ぼくに助けられることを当たり前だと思ってるところがあったから」

偽ドラえもん「ま、なにしろこれが俺の仕事だからな」

偽ドラえもん「『ありがたみ思い出させロボット』としてのな」

偽ドラえもん「しっかし……お前さんに化けて、色を黒く塗って……少しやりすぎちまったかな?」

ドラえもん「いいんだよ、やりすぎるぐらいで」

ドラえもん「これできっと、のび太君はたっぷりドラ焼きを買ってくれるはず……ウシシ」

偽ドラえもん「……」

偽ドラえもん「お前さんのが、俺よりよっぽど黒いのかもな」





―おわり―

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