八幡「やはり俺が人間を愛しすぎるのはまちがっていない。」 (179)

平塚「比企谷、この作文は何だ?」

八幡「俺の人間への愛を書いたつもりですが」

平塚「テーマは『高校生活を振り返って』だろう」

八幡「振り返ったところ、俺が皆のことをどれだけ愛してるか再認識したんで書いたんですけど」

平塚「はぁ……。しかし『俺は人間が大好きだ。愛してる。だから人間も俺のことを愛するべき』というのはどうなんだ?」

八幡「何か問題でも?」

平塚「だいぶ歪んでいるようだな、君は」

八幡「いやいや。人間は愛するだけじゃなくて愛されないと生きていけないんですよ。あ、アラサーで独身の静ちゃんにはわからないですか」

平塚「比企谷、私に喧嘩を売っているのかな? 売っているな。なら買ってやる! ふん!!」

八幡「おっと」

平塚「くっ。避けるんじゃない!」

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八幡「暴力駄目絶対」

平塚「……もういい。君は私を傷つけた。なので君に奉仕活動を命じる」

八幡「奉仕活動? 奉仕部に入れってことですか?」

平塚「奉仕部のこと知っていたのか?」

八幡「ええ。うちの学校のことなら何でも」

平塚「ほう。なら話が早い」

八幡「入部するのはいいですけど仕事があるんで毎日は無理ですよ」

平塚「君はバイトをしているのか?」

八幡「いえ。アプリを開発して企業に売ったりしてるんですよ」

平塚「そんなことも出来るのか……?」

八幡「ま、小遣い稼ぎみたいなものですけど」

平塚「ふむ。いいだろう。それじゃついてきたまえ」

奉仕部


平塚「失礼する」

雪乃「平塚先生。入る時にはノックを、とお願いしていたはずですが」

平塚「すまない。面倒くさくてな」

雪乃「はぁ。それで隣の男子は?」

八幡「比企谷八幡だ。この部に入部することになった」

雪乃「え」

平塚「彼は歪んだ思考の持ち主でな。君に彼の矯正をお願いしたい」

雪乃「それは平塚先生が行えばいいのでは?」

平塚「私も色々あってな。どうだ?」

雪乃「お断りします。男子と二人きりの部活なんて身の危険を感じます」

八幡「あー、それは安心していいぞ。貧相な体の持ち主には異性としては興味ないから」

雪乃「なっ!?」

平塚「比企谷、君は女性を傷つけるのが好きなのか?」

八幡「別に傷つけるのは好きじゃないです。ただ傷ついて苦しんでる姿を見るのは楽しいです」

雪乃「あなた、クズね……」

八幡「初対面でクズ呼ばわりとは酷いだろ。ま、事実を言われて怒り狂うのはわかるぞ。それが人間だからな」

雪乃「……いいわ。私があなたを矯正してあげる。平塚先生。この依頼承ります」

平塚「そうか。それじゃ後は頼んだぞ」

雪乃「はい。……座ったら?」

八幡「ああ。んでここはなんて部なんだ?」

雪乃「平塚先生から聞いていないの?」

八幡「聞いていない」

雪乃「そう。ならゲームをしましょう。ここが何部かあてるゲーム」

八幡「ゲーム。いいな、ゲームは好きだぞ」

雪乃「そう。さて、ここは何部でしょう?」

八幡「奉仕部だろ」

雪乃「」

八幡「正解だよな」

雪乃「あなた、知ってんじゃない!」

八幡「ああ。知っていた。ただ情報に誤りがあるといけないから念のため聞いてみた」

雪乃「嘘を言ったのね。平塚先生から聞いていたんじゃない!」

八幡「平塚先生からは聞いていない。自分で調べて知っていたんだよ」

雪乃「本当かしら?」

八幡「情報力なら自信がある。例えば雪ノ下が高校で15人から告白されていることとかな」

雪乃「……あなた、私のストーカー?」

八幡「ストーカーじゃない。まあ、嫌いは好きかと言えば好きだけな」

雪乃「い、いきなり何を……っ!?」

八幡「 あぁ。あくまで、好きなのは人間であって雪ノ下じゃないから。 ここ重要」

雪乃「あなた、本当に最低ねっ!」

八幡「どうも。そんなことより奉仕部って依頼人のサポートをするんだろ」

雪乃「ええ。平塚先生曰く、優れた人間は哀れな者を救う義務がある、だそうよ」

八幡「へえ。優れた人間ねえ。てか奉仕部って名前おかしくない? 依頼人のサポートをするのに奉仕部っておかしいだろ?」

雪乃「私に言われても困るわ。平塚先生が決めたんだもの」

八幡「なるほど。静ちゃん、隣人部の真似をしたかったんだろうな」

雪乃「隣人部?」

八幡「ラノベの作中に出てくる部活だ。友人がいない部員が友人を作る部」

雪乃「下らない部ね」

八幡「そうか? 定義は人それぞれだが人生に友人は必要だと思うぞ」

雪乃「それはどうかしら。それにあなたに友人なんているのかしら?」

八幡「まあな。向こうが俺のことどう思ってるかわからないけどな」

雪乃「エア友達じゃないことを祈るわ」

八幡「雪ノ下、お前本当は作品知ってるんじゃないか?」

雪乃「え?」

八幡「ま、いいか。それで依頼がない時は何してるんだ?」

雪乃「読書よ。あなたも好きにしていいわ。私に迷惑が掛からなければね」

八幡「そうか。……なら部室で仕事も出来るかもな。ここってネット繋げられるのか?」

雪乃「ええ。部活中に如何わしいサイトを見る気なのかしら? 気持ち悪いわね」

八幡「そんなことしねえよ。すぐにそういう発想するって雪ノ下って意外とエッチなんだな」

雪乃「……っ!」

八幡「ま、女子高生が性に興味を持つことは健全な証だからな」

雪乃「……もういいわ。これからあなたと一緒に部活動するなんて憂鬱だわ」

八幡「憂鬱結構。憂鬱を乗り換えたら人間として成長出来るじゃねえか。よかったな、成長できるチャンスが出来て。俺に感謝しろよ」

雪乃「……」

八幡「それより雪ノ下が俺のことを知ったのはテスト順位でか?」

雪乃「……そうよ」

八幡「ほーん」

雪乃「なにか?」

八幡「別に。それじゃ俺はそろそろ帰らせてもらうぞ」

雪乃「ええ。このまま会わなくなることを祈るわ」

八幡「祈るだけじゃ何も起きないぞ。自分で行動しないとな」

雪乃「……本当にイラつくわね」

八幡「明日もよろしくな、雪ノ下」

コテハンつけてなかった……
今回はここまで
八幡が臨也みたいなクズになってます


前のSSS
八幡「死ねばいいのに」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460731513/)
八幡「ソードアート・オンライン?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1457/14576/1457623182.html)

奉仕部


八幡「今日も依頼人来ないな」

雪乃「そうね」

八幡「奉仕部じゃなくて読書部に改名した方がいいんじゃね?」

雪乃「……」


結衣「し、失礼しまーす」


八幡「あ、来た」

結衣「なんでここにヒッキーがいんの!?」

八幡「ヒッキーって俺のことか?」

結衣「当たり前じゃん」

八幡「そうか。そのヒッキーは比企谷から? それとも俺が引きこもりだと思ってる?」

結衣「え? 比企谷からだけど」

八幡「名字からか。へえ、まさか自分が知らないところであだ名をつけられてるとはな。俺って結構愛されてるな」

結衣「あ、愛されてっ///」

雪乃「勘違いはほどほどにしなさい。……由比ヶ浜結衣さんよね?」

結衣「あ、うん。あたしのこと知ってるんだ」

八幡「他のクラスの女子なのによく知ってるな。……なにか知るきっかけでもあったのか?」

雪乃「……別に。彼女が目立つ存在だからたまたま知っただけよ」

八幡「ほーん。たまたまねぇ」

雪乃「……それより依頼しに来たのかしら?」

結衣「うん。平塚先生に相談したらここを教えられてね。……ここって生徒のお願いを叶えてくれるんだよね?」

八幡「願いを叶えるって神龍じゃないんだから」

結衣「むっ」

雪乃「願いを叶えられるかどうかはあなた次第よ。奉仕部はあくまで手助けをするだけ」

結衣「つまり?」

雪乃「植えた人に魚を与えるか、魚の獲り方を教えるかの違いよ。自立を促す役割も果たすわ」

八幡「随分原始的な例えだな」

雪乃「黙りなさい。……理解してくれた?」

結衣「なんとなく!!」

雪乃「それで依頼内容は?」

結衣「あの、あのね、クッキーを……」

八幡「ん?」

雪乃「比企谷くん」

八幡「なんだ?」

雪乃「少しは察しなさい。あなたがいると話しづらい内容のようだから席を外してちょうだい」

八幡「なるほど。でも俺も奉仕部の部員だ。依頼内容を聞く権利はあるだろ」

雪乃「あなたねぇ……」

結衣「い、いいよ。どうせヒッキーにも伝わるんだから言うね。えっと、恩人の人にお礼に手作りクッキーを作りたいんだけど……」

雪乃「なるほど。あまり調理経験がないから手伝ってほしいということかしら?」

結衣「……うん」

八幡「青春してんなー。恩人ってなんか助けられたのか?」

結衣「そ、それはその……。あぅ……」

八幡「ま、言い辛かったら言わなくていいけど」

雪乃「それじゃ家庭科の先生にお願いして調理室で行いましょう。私が使用の許可を取るから由比ヶ浜さんは材料を準備してくれるかしら?」

結衣「わかった」

雪乃「先生からの回答を教えるから、明日また部室に来てくれる?」

結衣「うん!」

八幡「なあ、由比ヶ浜」

結衣「な、なに?」

八幡「ちなみに一人でクッキー作り試してみたのか?」

結衣「ううん」

八幡「そうか。ならまだ依頼は受けられないだろ」

結衣「え」

雪乃「依頼を受けるかどうかは部長の私が決めるわ」

八幡「ああ、それについては異論はない。ただ今の状態だと奉仕部の活動理念に反してるだろ?」

雪乃「……一度、由比ヶ浜さんにクッキーを作らせるということかしら?」

八幡「そうだ。一度も挑戦していないのにいきなり人の手を借りるというのは甘えすぎだろ」

雪乃「……そうね。非常に遺憾だけれど比企谷くんの言う通りだわ。由比ヶ浜さん、先に一人でクッキーを作って私たちに持ってきてくれる?」

結衣「え? でもあたし料理なんてしたことないし……」

八幡「ほーん。由比ヶ浜の恩人に対する感謝の気持ちはその程度だったってことか」

結衣「ち、違うし! めっちゃ感謝してるから!!」

八幡「なら頑張ってみれば?」

結衣「でも一人で作ったら食べれるものが作れるかどうか……」

八幡「それは心配しなくていい。どんなゲテモノが出てきても俺が責任もって食べてやるよ」

結衣「え」

八幡「女子が作ったものを食べないわけないだろ。こっちは思春期の男子高校生なんだぞ」

雪乃「だいぶ志向が歪んでいるけれどね」

八幡「それにネットにレシピも載ってるんだからそれ見てやればいいだろ」

結衣「あ、そっか。その手があったんだ」

八幡「レシピだけで不安なら動画もあるはずだ」

結衣「動画か。……なんかいける気がしてきたかも」

八幡「ま、物事を進める時は情報を集めることが大事ってことだ。今のは少し考えればわかることだがだいぶ気持ちも楽になっただろ?」

結衣「うん! それに自分で作ってみて駄目だったらママにも聞いてみればいいんだよね。……なんで思いつかなかったんだろ」

八幡「視野が狭くなってたんだな。精神的に楽になったことで視野が広くなったんだろ」

結衣「ヒッキーって頭いいね」

八幡「一応学年一位だからな」

結衣「マジ!?」

雪乃「……」

八幡「ああ。……それで奉仕部への依頼はどうする?」

結衣「えっと、今回は取り消しさせてもらってもいい?」

八幡「だそうだけど」

雪乃「え、ええ。わかったわ。頑張って」

結衣「うん。ありがと! それじゃーねー!」

雪乃「……」

八幡「不満そうだな」

雪乃「別に」

八幡「……由比ヶ浜が何で奉仕部を頼ってきたと思う?」

雪乃「あなたがさっき言った通りではなくて?」

八幡「それもあるが。……料理に挑戦するとしたら家族、もしくは友達を頼るのが妥当だろ」

雪乃「あの子も実は友達がいないということかしら?」

八幡「あの子もって……。雪ノ下、お前友達いないのか?」

雪乃「……そうね、まずどこからどこまでが友達なのか定義してもらっていいかしら?」

八幡「それは友達がいない人が言う台詞だ」

雪乃「あなたはいるというの?」

八幡「まあな。池袋にいた時に一人だけな。ま、表面上の付き合いならこの学校にもいるけどな」

雪乃「意外ね。あなたの歪んだ思考に付き合える人がいるなんて」

八幡「そいつは俺以上に歪んでいたからな。俺がこうなったのもあいつの影響だろうな」

雪乃「……」

八幡「話が脱線したな。話を戻すけど容姿からわかるように由比ヶ浜は友達が多い。特に同じクラスの三浦と海老名とは仲良しでグループを形成している」

雪乃「その子達に頼れなかった理由があると?」

八幡「正確には頼りたくなかったんだろうな」

雪乃「なぜ?」

八幡「ここからは推測になるけど。由比ヶ浜は空気を読むのが得意な子だ。恐らくグループに真剣な相談を持ち込んで空気を乱したくなかったんだろ」

雪乃「下らないわね。その周囲に合わせようとするの不愉快だわ」

八幡「あくまで俺の推測だ。ただ由比ヶ浜は基本聞き手だからな。あまり自分から物を言うタイプではないことは確かだ」

雪乃「……あなた、詳しすぎるわ。ストーカーの才能があるんじゃない?」

八幡「人間観察してればこれくらい気づくだろ。それと俺にはストーカーの才能はない。特定の個人に依存するタイプじゃないからな」

雪乃「そう」

八幡「雪ノ下はどうなんだろうな」

雪乃「私が特定の人に依存するタイプだと?」

八幡「そう。例えば優秀な姉にコンプレックスを持っているとかな」

雪乃「……っ!?」

八幡「これもあくまで推測だ。今日はもう帰るわ。またな」

雪乃「……」

自宅


八幡「ただいまでごんす」

小町「おかえりー」

八幡「小町、聞いてくれ。今日は面白いことがあったんだ!」

小町「なに? また人間を使ってゲームでもしたの?」

八幡「違う。去年、俺が犬を助けて事故ったことがあっただろ?」

小町「うん。あったあった。お兄ちゃん、足骨折してるんだもーん。凄い面白くて小町的にポイント高かったよ!」

八幡「妹が喜んでくれてよかったよ。それでその時の関係者が一つの教室に集まったんだよ」

小町「関係者って前に教えてくれた飼い主の由比ヶ浜さん?」

八幡「ああ。それと俺を轢いた車に乗っていた女子もだ」

小町「へえ、車に同級生も乗ってたんだ。確か高級車だったよね? お嬢様?」

八幡「雪ノ下建設の次女だな。ま、地域で頑張ってる企業だ」

小町「ふーん。それで?」

八幡「いや。二人ともそのことを黙ってるんだよ」

小町「え? 由比ヶ浜さんってまだお兄ちゃんにお礼してないの?」

八幡「言ってなかったか?」

小町「言ってないし。あれかな? お兄ちゃんがクズ過ぎるから感謝する価値がないってことかな?」

八幡「実の兄をクズ呼ばわりなんて酷い妹だな」

小町「小町は事実を言ってるだけだし。てかお兄ちゃんを殺し損ねた車に乗ってた女子は別に謝る必要ないんじゃない?」

八幡「そうなんだけどな。ただアイツの性格からして罪悪感は感じてるはずだ」

小町「それを見てて楽しいと?」

八幡「もちろん。それに由比ヶ浜は雪ノ下があの場にいたことを知らない。……さっき殺し損ねたって言った?」

小町「言ってないよー。由比ヶ浜さんが雪ノ下さんを知らない?」

八幡「多分車から降りてこなかったんだろうな。……これからあの二人の仲が進展すれば面白いことになるぞ」

小町「進展しそうなの?」

八幡「それもこれからのお楽しみだ。……しまった、クッキー作りは雪ノ下に任せればよかったか。ま、いいか」

小町「クッキー作り?」

八幡「何でもない」

小町「ふーん。あ、そうだ」

八幡「何だ?」

小町「お兄ちゃんの部屋って画鋲あったよね。貰っていい?」

八幡「いいけど。ポスターでも貼るのか?」

小町「ううん。ちょっと小町軽い苛めにあっててさ。それ使おうかなって」

八幡「使うって?」

小町「んー、口の中に入れて脅したりとか?」

八幡「怖い子」

小町「常時ナイフを持ってるお兄ちゃんに言われたくないんだけど」

八幡「お兄ちゃんは非力だから仕方ないんだよ」

小町「てか千葉って池袋を比べれば平和だし必要ないでしょ?」

八幡「……お風呂入ってくるわ」

小町「あ、逃げた!」

ここまで

翌日 体育館裏


八幡「んでこんなところに呼び出して何の用だ? 告白でもしてくれんの?」

結衣「し、しないし!? 何言ってんの! 昨日のお礼だし!!」

八幡「軽くアドバイスしただけだから気にしなくていいぞ」

結衣「でもヒッキーにとっては軽いアドバイスでもあたしへの効果は抜群だったし? だからお礼にクッキーあげる!」

八幡「ありがとさん。んで恩人には渡せたのか?」

結衣「……うん。渡せたよ?」

八幡「そっか。じゃあり難く昼休みに食べさせてもらうわ」

結衣「うん! あと雪ノ下さんにも作ってきたんだけど」

八幡「雪ノ下こそ何もしてないだろ?」

結衣「でもあたしの話聞いてくれたし。それになんか仲良くなれそうな気がするんだよね!」

八幡「……へぇ。いいんじゃねえの? 放課後に部室に来れば?」

結衣「うん!」

昼休み トイレ


八幡「おげぇ……」

戸部「ちょっ、比企谷くん、どしたん!?」

八幡「いや、食中毒的な……?」

戸部「マジか! 救急車呼ぶ的な!?」

八幡「そこまてじゃないな。保健室行ってくるからこの後の授業休むの先生に言っておいてくれないか?」

戸部「わかった。無理そうだったら早退した方がいいべ?」

八幡「お気遣いありがとよ」

戸部「……食中毒的って何食べたんだ?」

放課後 奉仕部


結衣「やっはろー、雪ノ下さん」

雪乃「何か用かしら?」

結衣「あれ? あんま歓迎されてない感じ?」

八幡「雪ノ下はこれが平常運転だから気にしなくていいぞ」

結衣「そ、そっか。えっと、雪ノ下さんにクッキーを作ってきたんだけどもらってくれる?」

雪乃「……なぜ私に?」

結衣「昨日あたしの話聞いてくれたお礼。ヒッキーにも渡してあるんだ」

雪乃「そう。でも私は話を聞いただけだし……」

結衣「いいからいいから。それに雪ノ下さんと仲良くなりたいし」

八幡「よかったな、雪ノ下。由比ヶ浜と仲良くなれば胸が大きくなる方法がわかるかもしれないぞ」

結衣「ふぇ!?」

雪乃「……比企谷くん。帰り道には気をつけなさい。この世の中何が起きるかわからないから」

八幡「怖い怖い。……由比ヶ浜、どうしたんだ?」

結衣「ひ、ヒッキーのエッチ!!」

八幡「別にエッチじゃないだろ。俺はただ雪ノ下にアドバイスをしただけだ」

雪乃「いらないアドバイスだけれどね。巨乳好きの比企谷くん」

八幡「どうも」

結衣「ひ、ヒッキー。巨乳が好きなんだ……。やった」

雪乃「何か言ったかしら?」

結衣「う、ううん! なんも言ってないよ! それよりクッキーどうぞ!!」

雪乃「ありがとう。あり難く頂くわ」

翌日 放課後


結衣「あれ? ヒッキー一人?」

八幡「ああ。雪ノ下はお腹を下してお休みだそうだ」

結衣「そうなんだ。まだ涼しいからお腹出して寝ちゃったのかな?」

八幡「……」

結衣「どしたの?」

八幡「いや、由比ヶ浜は面白いなって思ってな。それより今日はどうしたんだ?」

結衣「……うん。実は奉仕部に入りたくて。それで来たんだけど……」

八幡「入部希望か。そんなに俺と一緒にいたいのか?」

結衣「ち、違うし! 別にヒッキーと一緒にいられるからとかじゃないし!」

八幡「ふーん。冗談なのにそんな必死になって怪しいな」

結衣「う、うるさい! あたしは自分を変えたくてここに来たの!」

八幡「自分を変えたい?」

結衣「うん。あたしってあんま自分の意見を言えないタイプでさ。すぐ人に合そうとしちゃうんだよね」

八幡「別に悪いことじゃないと思うけど」

結衣「でもあたしは今の自分があんま好きじゃないから。今のグループの子達にも気を使っちゃってるし」

八幡「三浦と海老名か」

結衣「うん。二人とは余計な気遣いなく付き合えるようになりたいんだ」

八幡「そうか。ま、いいじゃないか」

結衣「入っていいの?」

八幡「それは平塚先生に聞けよ。それと非公認の部活だから内申に影響あるか不明だぞ。むしろ同好会以下まである」

結衣「それは大丈夫だし。自分のために部活に入りたいから」

八幡「それじゃ一緒に職員室行くか」

結衣「うん!」


一週間後


結衣「二人とも、依頼人連れてきたよー!」

八幡「へえ。依頼人連れて来たってよ。読書しかしてない俺たちより優秀だな」

雪乃「私を一緒にしないでくれる?」

結衣「クラスメイトのさいちゃんです!」


戸塚「戸塚彩加です。あ、比企谷くんも奉仕部だったんだ」


八幡「まあな」

雪乃「部長の雪ノ下雪乃よ。それで依頼内容は?」

八幡「女子と間違われるのがうざくなってきたか?」

戸塚「ち、違うよ。ま、それは思ってるけど。……テニスの練習のサポートをして欲しいんだ」

雪乃「練習のサポート?」

戸塚「うん。うちの学校の運動部って全部弱小でしょ?」

雪乃「え、ええ……」

八幡「意外と口が悪いな」

戸塚「もちろんぼくが所属してるテニス部もそうなんだけど。それで三年生が引退したらもっと弱くなると思うんだ」

八幡「つまり最弱無敗になるしかないと」

戸塚「え?」

八幡「悪い。気にせず続けてくれ」

戸塚「うん。二年生は人数が少なくて、一年生は初心者が多くてね。僕たちが弱いせいでみんなモチベーションが上がらないみたいなんだ。人が少ないと自然とレギュラーだし」

雪乃「それで?」

戸塚「ぼくが上手くなればみんな一緒に頑張ってくれるかなって」

八幡「結構楽観的なんだな」


戸塚「そ、そうかな?」

八幡「ああ。戸塚が上手くなったからと言って他の部員のモチベーションが上がるとは限らないだろ」

戸塚「……そうだね。でもやるだけやってみたいんだ」

雪乃「そう。でも私は遊び程度でテニスをしただけよ。比企谷くんと由比ヶ浜さんは?」

八幡「体育の授業だけだ」

結衣「卓球ならよくしてるよ?」

雪乃「……あまり力になれそうにないのだけれど」

戸塚「うん。サポートだから球出しとかしてくれればいいんだ。練習メニューはスクールから貰ってるし」

八幡「スクールにも通ってるのか?」

戸塚「土日だけね。部活は午前練習しかしてないから」

八幡「そうか。……自分で出来ることはしてるんだな」

雪乃「そうね。わかりました。戸塚くんの依頼を受けます」

戸塚「ありがとう!」

雪乃「練習時間は昼休みでいいのかしら?」

戸塚「うん。朝より昼休みの方が効果もあるだろうし」

結衣「効果?」

八幡「そうか。他の部員たちにアピールするのか」

戸塚「まあね。昼休みにテニスをしてれば嫌でも目立つし」

結衣「つまりどういうこと?」

八幡「簡単に言えばわたし頑張ってますアピールだ」

戸塚「その言い方だとぼくが嫌なやつみたいに聞こえるよ……」

三日後 昼休み


雪乃「戸塚くんが腕を捻ったようだから保健室に行ってくるわ。戻って来れなかったら後片付けお願いしていいかしら?」

結衣「うん。さいちゃん、大丈夫?」

戸塚「大丈夫だよ。比企谷くんもごめんね」

八幡「気にするな。後でな」

戸塚「うん」

雪乃「それじゃ行きましょうか」

結衣「待ってる間どうしよっか?」

八幡「とりあえずボール拾っとくか」

結衣「うん」

10分後


三浦「あ、テニスしてんじゃん。テニス!」

葉山「やあ」

三浦「ねー、結衣。あーしらもここで遊んでいい?」

結衣「え、えっと……」

八幡「……」

三浦「てか結衣ってテニス好きだったんだ。元テニス部のあーしに言ってくれればよかったのにー」

結衣「あ、その……」

八幡(さてと)

戸部「おーっす、比企谷くん!」

八幡「おう。相変わらずうるさいな」

戸部「っべー。いきなりディスられたわ!」

三浦「隼人ー、ラリーしようよ、ラリー!」

葉山「そうだな」

結衣「あ、それは駄目かも……」

三浦「は? なんで?」

結衣「ひぅ。そ、それは、あたしとヒッキーはさいちゃんの練習の手伝いでここにいるだけだから……」

三浦「ふーん。それで戸塚は? それと部外者混じってるじゃん。あーしらが使っても問題なくない?」

八幡「……」

結衣「……ごめん。ここはさいちゃんに顧問に許可を貰って使わせてもらってるから。だからさいちゃん以外は駄目なの……」

三浦「だから結衣と比企谷は部外者なのに使ってるじゃん?」

結衣「それは、その、あたしとヒッキーは練習のサポートを依頼されてお手伝いしてるだけってさっき……」

三浦「だったらあーしらも手伝ってあげるし。それなら問題ないっしょ?」

結衣「え」

三浦「駄目なん?」

結衣「……」

八幡「……わかった。それじゃお言葉に甘えて手伝ってもらうか」

結衣「ヒッキー?」

三浦「さすが比企谷は話が早いし」

八幡「まあな。葉山たちも手伝ってくれるのか?」

葉山「もちろんだよ」

八幡「そうか。んじゃさっそく後片付けしようぜ」

「え」

八幡「今日は戸塚は戻ってこないだろうし。さっさと後片付けして教室に戻ろうぜ」

三浦「何言ってんの? あーしはテニスがしたいんだけど」

八幡「三浦こそ何言ってるんだ? 由比ヶ浜が言ってただろ。ここは戸塚以外は使えないんだ。つまり俺たちもお前たちも戸塚がいなければコートは使えない」

三浦「意味がわかんないし!」

八幡「なら意味がわかるように自分で考えろ。戸部は言ってる意味わかってるよな?」

戸部「お、俺? お、おう。戸塚がいないと駄目ってことだべ?」

八幡「そういうことだ。ほら、突っ立ってないで体動かせよ」

戸部「お、おう!」

海老名「戸部っち……」

葉山「比企谷くん、少しくらいは駄目なのか?」

八幡「少しね。ま、ばれなければいいんじゃねえの?」

三浦「なら!」

八幡「ただばれた場合は戸塚に迷惑が掛かるだろうなあ。部外者にコート使われたのばれたら先生に怒られるだろうなあ」

葉山「うっ」

八幡「よく考えて行動してくれよ」

放課後


八幡「協力してくれてありがとな、海老名さん」

海老名「ううん。わたしはただテニスコートに皆を連れてきただけだし」

八幡「でもそのおかげで由比ヶ浜は成長が出来た」

海老名「結衣と優美子がああなること狙ってたの?」

八幡「少しはな。ま、戸塚が怪我して俺と由比ヶ浜の二人になることは予想出来なかったけど」

海老名「そっか。ま、わたしもこれで結衣と優美子が本当に仲良くなってくれれば嬉しいけど」

八幡「俺もそう思う」

海老名「本当にそう思ってる?」

八幡「酷いな。疑ってるのかよ」

海老名「うん。だって比企谷くんに話掛けられたの今回が初めてだったし」

八幡「悪いな。腐女子は苦手なんだ」

海老名「酷い。……あ、協力したお礼をして欲しんだけどいいかな?」

八幡「いいけど」

海老名「比企谷くんって池袋に住んでたんだよね?」

八幡「中二までな」

海老名「それじゃ今度池袋に一緒に行こうよ」

八幡「それはデートの誘い?」

海老名「うん。BLの素晴らしさをたっぷり教えてあげる」

八幡「それは遠慮したいな」

ここまで
大体チェーンメール以降からクズくなってきます

奉仕部


結衣「ヒッキー、職場見学どこ希望した?」

八幡「まだ決めてねえよ」

結衣「そっか。ゆきのんは?」

雪乃「……」

結衣「ゆきのん、聞いてるの?」

雪乃「もしかして私のことかしら?」

結衣「当たり前じゃん。ゆきのん以外誰がいるっていうの」

雪乃「そのあだ名は勘弁して欲しいのだけれど」

結衣「えー? ゆきのん、可愛いじゃん」

八幡「ちなみに今の可愛いはあだ名のことだぞ」

雪乃「言われてなくてもわかっているわ。雪ノ下さんでいいのだけれど」

結衣「でも友達ならあだ名で呼んだ方がいい感じじゃん?」

雪乃「私と由比ヶ浜さんって友達なの?」

結衣「違うの!?」

雪乃「友達の定義がよくわからないから」

結衣「そ、そっか。それじゃゆきのんがあたしのこと友達と思えるように頑張るよ!」

雪乃「え、ええ」

八幡「よかったじゃないか、友達が出来そうで」

雪乃「黙りなさい」


翌日 放課後


葉山「こんな時間にすまない」

結衣「隼人くん、依頼?」

葉山「ああ。大丈夫かな?」

雪乃「ええ。依頼内容を早く言ってちょうだい」

葉山「うん。実はクラス内でチェーンメールが流行っててね」

結衣「あ……」

雪乃「チェーンメールね」

八幡「まだ流行ってたのか。百年経っても流行ってるとはもはや文化だな」

結衣「ひ、百年!?」

八幡「ああ。日本で最初に流行したチェーンメールの祖は大正時代の『幸福の手紙』だと言われてるんだ」

葉山「『幸福の手紙』?」

八幡「簡略すると『この手紙を受け取ったら、友達三人に同じ内容の手紙を送れ。そうすれば幸せになれる』って感じの文面だ」

雪乃「『不幸の手紙』の逆パターンね」

八幡「そう。大正時代は『幸福の手紙』だったものが、昭和に『不幸の手紙』になった。内容はほとんど同じなのにな」

結衣「ヒッキー、超詳しい」

葉山「俺も知らなかったよ。凄いな」

八幡「凄くはない。調べるのが好きなだけだ。てか俺にチェーンメール来てないんだけど?」

結衣「ヒッキー、クラスメイトとメアド交換してるの?」

八幡「戸塚と戸部と海老名さんとしたな」

結衣「なんで姫菜としてんの!?」

八幡「なんでって交換してって言われたから。……ま、アニメ好き同士話が合うんだよ」

結衣「そ、そうなんだ。……あたしとも交換しよ?」

八幡「いいぞ。葉山の話が終わってからな」

結衣「あ、ごめん」

葉山「いや。メールの内容はこれなんだけど」

八幡「戸部、大岡、大和の中傷か」

葉山「ああ。これが出回ってから、クラスの雰囲気が悪くて。それに友達のことを悪く言われるのも腹が立つし」

雪乃「犯人捜しを手伝ってほしいってことかしら?」

葉山「いや。犯人捜しはせずに丸く収める方法を知りたい」

雪乃「犯人を特定しないと収められないと思うのだけれど?」

葉山「うっ」

八幡「由比ヶ浜、チェーンメールが来たのはいつからだ?」

結衣「先週からかな」

八幡「先週から。……職場見学のグループ分けの話があったな。葉山は誰と行くか決めてるのか?」

葉山「まだだけど」

八幡「そうか」

結衣「ヒッキー、もしかして……」

八幡「ああ。恐らく犯人は戸部、大岡、大和の三人のうち誰かだ。……葉山、お前も予想はついてたんじゃないのか?」

雪乃「え」

葉山「……」

八幡「だから犯人捜しはせずに丸く収める方法を求めた。違うか?」

葉山「……俺はあいつらの中に犯人がいるなんて思いたくない……」

八幡「へえ。つまりその三人とは上っ面だけの友人関係で十分だってことか」

葉山「そんなこと言ってないだろ」

八幡「言ってるようなもんだ。いいか、葉山。人間ってのは誰にでも醜い部分があるもんだ。俺にもお前にも」

葉山「……っ」

八幡「その醜い部分を受け入れず関係を築こうなんて。これが上っ面だけと言わずになんて言うんだ?」

葉山「……」

八幡「本当に友達になりたいなら醜い部分を受け入れろよ。それが本当の友達ってもんじゃねえのか?」

葉山「それは……」

八幡「……ま、お前がそれでいいならいいけどな。それと犯人捜しをせずに丸く収める方法がないこともない」

結衣「ホント?」

八幡「ああ。葉山、お前はこの三人がお前抜きで楽しく会話をしていることを見たことあるか?」

葉山「いや」

雪乃「その場にいないのだからわかるわけないじゃない」

八幡「だな。俺は人間観察が趣味だからよくクラスのことも見てるんだが、その三人はお前がいないと全く会話しないぞ」

葉山「」

結衣「あー、確かに見たことないかも。挨拶するくらい?」

八幡「そうだな。頭がいいお前のことだ。ここまで言えば後はどうすればいいかわかるだろ?」

葉山「……」

10分後


雪乃「納得がいかないわね」

八幡「何がだ?」

雪乃「あの方法で解決するのかしら?」

八幡「どうだろうな。ただ葉山の依頼内容は『犯人捜しをせずに丸く収めたい』だろ?」

雪乃「……」

八幡「まさか依頼内容を無視して犯人捜しをしたかったって言うつもりないよなー?」

雪乃「くっ。……でも止めるなら大本を根絶やしにしないと……」

八幡「それは経験談か?」

雪乃「ええ」

八幡「ならそれはお前の時のパターンだろ。状況はケースバイケースなんだ。昔のやり方が今回も通用するとは限らない」

雪乃「……っ」

八幡「ま、お前の頑固なところも好きだけどな」

雪乃「あなたはまたそんなこと言って!」

結衣「す、好き!?」

八幡「由比ヶ浜の純粋なところも好きだぞ。何色に染まってくか考えると楽しくてしょうがない」

結衣「あ、あたしのことも……」

雪乃「由比ヶ浜さん? 彼が不穏なこと言ってるの聞こえないのかしら?」

翌日 教室


葉山「比企谷くん、俺とグループ組んでくれないか?」

八幡「いいぞ」

葉山「ありがとう。……俺があいつら三人と組まないって言った時は驚いてたよ」

八幡「だろうな。ま、きっかけはアレだが仲良くなってくれればいいんじゃねえの?」

葉山「ああ!」

八幡「もう一人は戸塚でいいか」

戸塚「僕も入っていいの?」

八幡「ああ。二人しかいなかったし。いいだろ?」

葉山「もちろんだよ。よろしく」

戸塚「うん。よろしくね!」

葉山「場所はどうしようか?」

八幡「俺はどこでもいいぞ。自営業希望だから行きたい職場もないし」

戸塚「自営業するの?」

八幡「ああ。卒業したら池袋で情報屋でもやろうかと思ってる」

葉山「情報屋?」

八幡「名前のとおり情報を売買するお仕事だよ。それより場所が決まったら教えてくれ」

葉山「あ、ああ。わかった」

昼休み 屋上


八幡「たまにここに来るのもいいもんだな」

大和「ひ、比企谷」

八幡「ん? どうしたんだ?」

大和「いや。お礼を言おうと思って」

八幡「お礼? チェーンメールを提案したことか?」

大和「ああ」

八幡「アイディアを教えただけで、実際行動したのはお前なんだからお礼なんて不要だぞ」

大和「しかし」

八幡「ま、気持ちだけ受け取っておくわ」

大和「ああ。それじゃ」

八幡「またな」

八幡「……」

一週間前


八幡『戸部と大岡と仲良くなりたい?』

大和『ああ』

八幡『なら直接言えばいいじゃねえか』

大和『俺は口下手だから。それに隼人がいないと不穏な空気で話掛けづらくて……』

八幡『なるほどな』

大和『それに職場見学のグループ分けもあっていつもよりギスギスしてるし……』

八幡『お前、見かけによらずメンタル弱いな』

大和『うっ』

八幡『てか何で俺に相談を?』

大和『比企谷って戸部と仲良いじゃないか。だから……』

八幡『そうでもないけどな。……ま、方法なら教えてやってもいいけど上手くいくとは限らない』

大和『それでもいい』

八幡『それにやり方も正直好ましくない。それでもいいか?』

大和『ああ』

現在


八幡「まさか本当にチェーンメールを送るとは。……海老名さんにバレなければいいけど」

八幡(ま、バレても悪いことをしたわけじゃない。逆に仲良くなるきっかけを与えてやったんだ。感謝してもらいたいくらいか)

八幡(それに大和はいい人そうだし。仲良くなるにつれてチェーンメールを送ったことに対し罪悪感を感じるかもしれない。いや、するな)

八幡(あいつがそれに耐えて友達を続けられるか鑑賞していくか)

八幡(それにしても葉山は本当に思い通りに動いてくれるな。動かしやすくてホント助かるよ)


川崎「あ」


八幡「ん?」

川崎(あたし以外に屋上に人いたんだ)

八幡「確か同じクラスの川崎さんだったか」

川崎「……うん。比企谷だっけ?」

八幡「ああ。前から川崎さんと話してみたかったんだよな」

川崎「あたしと? 別にさん付けじゃなくていいから」

八幡「じゃあ川崎で。妹が川崎の弟さんと同じ塾に通ってるんだよ」

川崎「……そうなんだ」

八幡「弟さんに妹のことこれからもよろしくと伝えておいてくれ」

川崎「うん」

八幡「それじゃーな」

終わり
次は川崎さんの黒レースです

屋上


八幡「よう」

川崎「ん」

八幡「屋上でよく会うな。ここ好きなのか?」

川崎「少なくとも教室よりはね」

八幡「そうか。……それより下着見えてるぞ」

川崎「へっ!?」

八幡「黒のレースか。大人っぽい下着はいてんだな」

川崎「ば、馬鹿じゃないのっ!?」

八幡「せっかく教えてやったのに馬鹿はないだろ。階段上る時は気をつけろよ」

川崎「……」

奉仕部


結衣「ヒッキー、一緒にテスト勉強しよう!」

八幡「テスト勉強?」

結衣「うん。テスト近いからゆきのんと一緒に勉強することにしたの」

雪乃「私はするとは言ってないのだけれど」

結衣「いいじゃん。しようよー」

雪乃「勉強は一人でした方が効率もいいと思うのだけれど」

八幡(雪ノ下は初期戦場ヶ原さんをリスペクトしてるのだろうか)

結衣「おねがーい、ゆきのーん!」

雪乃「しつこいわね。……一回だけよ」

結衣「ありがとう!!」

雪乃「いちいち抱き付かないでちょうだい」

八幡「悪いけど俺はパスだ」

結衣「えー」

八幡「由比ヶ浜と一緒に勉強したら点数下がりそうだし」

結衣「なんでだし!?」

サイゼ


八幡(放課後に一人サイゼ。至福の時間だな)

結衣「あ、ヒッキーじゃん」

雪乃「……」

八幡「げっ」

結衣「げって何だし」

八幡「もしかしてここでテスト勉強するのか?」

結衣「そうだよ」

雪乃「私は部室か図書室がよかったのだけれど」

結衣「ここならご飯食べたりお喋りしながら勉強出来るじゃん?」

八幡「勉強する気あんのかこいつ……」


小町「あれれ? お兄ちゃん」


八幡「小町か」

小町「外で会うなんて珍しいね」

八幡「そうだな。……妹の小町だ」

小町「どもどもー。お兄ちゃんがいつもお世話になってます!」

八幡「この二人は奉仕部の仲間だ」

雪乃「部長の雪ノ下雪乃です。よろしく小町さん」

結衣「え、えっと、由比ヶ浜結衣です……」

八幡「小町がサイゼにいるなんて珍しいな」

小町「うん。同じ塾の子に相談されてねー」

八幡「え? お前に相談する子なんていたんだ」

小町「小町、中学と違って塾じゃ嫌われてないし」

八幡「ほーん。んでその子は?」

小町「お手洗いにいってるよん。相席していい?」

5分後


大志「川崎大志っす。小町さんにはお世話になってます」

八幡「あー、もしかして川崎の妹か」

大志「はい。姉ちゃんがいつもお世話になってます」

結衣「え? 川崎さんの弟さん?」

大志「そうっす」

結衣「言われてみれば似てるかも」

八幡「んでなんの相談受けてんだ? 小町に惚れたりしちゃったわけ?」

大志「ち、違うっす!」

小町「大志くん、ひどーい。即否定とか小町傷ついちゃったなー」

大志「うっ。……今度ジュース奢ります」

小町「もう一声♪」

大志「ご飯奢ります……」

小町「さすが大志くん。ありがとー。ご飯奢る男子って小町的にポイント高い」

八幡「別に奢らなくていいぞ。それで相談内容は?」

大志「はい。さっき言った姉ちゃんのことなんすけど……」

小町「ここ最近帰りが遅いんだって」

八幡「高校生なんだから遅くなることもあるだろ」

大志「でも朝5時なんですよ」

結衣「朝帰りじゃん!?」

小町「大志くんがお姉さんに問い詰めても教えてくれないんだって」

八幡「なるほど」

大志「それとエンジェルなんとかってお店から自宅に電話があって……。姉ちゃん、なんかやばいことしてるのかなって心配なんです……」

結衣「うわ、超怪しい名前だし!?」

雪乃「それで大志くんはお姉さんの朝帰りをやめさせたいのかしら?」

大志「そうっす」

八幡「小町に相談しても解決するとは思えんけどな」

小町「妹ディスするのやめてよねー。小町だって実力行使すれば朝帰りの理由くらい聞き出せるんだから」

大志「実力行使?」

小町「大志くんは気にしなくていいよー」

大志「超気になるんすけど!?」

八幡「ふむ。とりあえず朝帰りをやめさせるには理由・原因を調べる必要があるな」

雪乃「そうね」

八幡「……雪ノ下も考えてくれてるけどいいのか? 部活じゃないんだぞ?」

雪乃「お姉さんがうちの高校の生徒なのでしょう? なら部活の活動の範囲だと思うのだけれど」

八幡「そうか。……ま、原因はすでにわかってるんだけどな」

「え」

大志「ほ、ホントっすか?」

八幡「ああ」

結衣「なんで知ってんの? 相談受けたばかりなのに」

八幡「俺は情報力に優れているからな。雪ノ下ならわかるだろ」

雪乃「……あなた、私以外に川崎さんのこともストーカーしてたのね」

八幡「前から言ってるとおり貧乳には興味はない。確かに川崎はいい体してるが生徒の情報ならある程度持ってるぞ」

雪乃「……っ」

小町「それで原因は?」

八幡「エンジェルラダーというバーでバイトしてるからだ」

大志「バーっすか?」

八幡「ああ。恐らく年齢を偽ってしてるんだろうな」

結衣「なんでそこまで?」

八幡「深夜の方が時給が良いからな」

雪乃「それって校則どころか法律違反じゃない」

八幡「だな。大志、川崎がお金を必要としてる理由はわかるか?」

大志「……恐らく進学費用を貯めてるんじゃないっすかね……」

八幡「進学費用ね」

大志「うちは姉弟が多いので両親が共働きなんすけどお金に余裕がある方じゃないんす」

小町「でも大志くんは塾に通ってるよね?」

大志「姉ちゃんも中三の時に塾通ってたから。俺だけ塾に通わせないわけにはいかないって両親と姉ちゃんが」

雪乃「大志くんの塾の費用の為ってことはないかしら?」

大志「それはないっす。両親が塾の費用は貯めてあると言ってたので」

雪乃「そう。……となるとやはり自分の進学費用の為ということで合ってるのかしらね」

八幡「……」

結衣「とりあえずあたし達も川崎さんに聞いてみようよ」

雪乃「そうね。彼女の為にもバイトは辞めさせないと」


10分後


小町「あのギャルっぽい人が由比ヶ浜さんなんてね」

八幡「高校デビューってやつだな」

小町「だね。うちに来た時は黒髪で大人しそうな感じだったのに。勿体なーい!」

八幡「それよりお兄ちゃん安心したよ。小町に友達がいて」

小町「大志くんはいい人だからねー。素の小町を知っても一緒にいてくれるし」

八幡「そうか。それは貴重な人材だな」

小町「だね。二人とも総武に受かったら付き合っちゃおうかなー」

八幡「いいんじゃねえの。顔もそこそこいいし優良物件だと思うぞ」

小町「あれれ? 妹が嫁ぐ宣言してるのに反対しないの?」

八幡「嫁ぐわけじゃないだろ」

小町「あはは。……てかさっきの由比ヶ浜さん超ウケたんだけど。小町の顔見た時の由比ヶ浜さんの顔っ!!」

八幡「あー、あれは面白かったな。トランプも弱そうだ」

小町「それあるー」

八幡「なんか折本を殴りたくなってきたな」

小町「元カノを殴りたいなんてひどーい」

翌日 昼休み


川崎「んであたしに話って?」

雪乃「単刀直入に言うわ。深夜のバイトをやめなさい」

川崎「……バイト? なんのことかあたしわかんないんだけど」

雪乃「とぼけても無駄よ。エンジェルラダーでバーテンダーをしてるのでしょう?」

川崎「……ッ。へぇ、よくわかったじゃん。てかアンタ達に関係なくない?」

雪乃「あなたの弟さんに相談を受けたのよ」

八幡(受けたのは小町だけどな)

川崎「大志に? ……もしかして比企谷の妹繋がり?」

八幡「その通りだ。たまたまサイゼ千葉駅前店で小町と大志に遭遇してな」

川崎「いや、支店名まで言わなくていいんだけど……。バイト先は大志から聞いたの?」

八幡「違う。俺の情報網だ。バイト先から自宅に電話があったみたいだが店名までわからなかったみたいだ」

川崎「情報網って……。ま、いいや。大志にはあたしから伝えておくからもうあたし達に関わらないでいいから」

雪乃「そういうわけにはいかないわ。あなた、自分が何をしているのか理解しているの?」

川崎「してるよ。お金が必要だからバイトしてる」

雪乃「年齢を偽ってまで?」

川崎「夜の方が時給がいいからね」

雪乃「……進学費用なら奨学金があるじゃない。」

川崎「進学費用? それなら雪ノ下の言う通り奨学金を使うけど」

雪乃「…………は?」

結衣「そ、それじゃ何のためにお金貯めてんの? もしかして悪い男に引っかかったとか!?」

川崎「違うから。あたし、彼氏いないし」

八幡「……恐らく予備校代だろ?」

雪乃「予備校?」

八幡「ああ。実は川崎とは屋上でちょくちょく会っててな。確か国公立大学進学希望だったよな?」

川崎「うん」

八幡「兄妹が沢山いることから実家を出るわけじゃないんだろ。なら地元のCHIBA大を狙ってんだろ?」

川崎「正解。てか家族構成のことまで知ってんだ。アンタ、あたしのこと好きなの?」

八幡「ああ。好きだぞ」

川崎「ふぇっ!?」

結衣「」

八幡「俺は人間が大好きだからな。家族に迷惑を掛けないように勉強とバイトを頑張る川崎は素敵だと思う」

川崎「い、いきなり、にゃに言ってんのっ!!」

八幡「川崎はCHIBA大に受かるために予備校に通いたい。予備校代を稼ぐためにバイトをしていた。原因もわかったことだし行くか」

結衣「え」

雪乃「待ちなさい。まだ彼女を説得していないわ」

川崎「……」

八幡「説得? なんで俺たちが説得しないといけないんだ?」

雪乃「あなた、何を言ってるの?」

八幡「それはこっちの台詞だ。説得するのは大志の役目だろ。俺たちじゃない」

雪乃「校則、法律違反してる人を見逃すと言うの!?」

八幡「校則も法律も関係ないだろ。由比ヶ浜」

結衣「は、はい!」

八幡「奉仕部の活動理念は?」

結衣「えっと、依頼者の願いを叶えるんじゃなくてサポートをするだっけ?」

八幡「ま、そんな感じだ。飢えた人に魚を与えるのではなく、釣り方を教えるんだろ?」

雪乃「……」

八幡「おいおい、部長さんが活動理念を忘れてどうするんだよ?」

雪乃「くっ! でもいくらお金が必要だからって年齢を偽ってバイトするなんて……」

川崎「雪ノ下にはわからないよ。だってアンタってお金持ちのボンボンなんでしょ」

雪乃「……」

川崎「確か雪ノ下建設だっけ? いいよね。お金に苦労したことがない人はさ」

雪乃「実家は関係ないわ!」

八幡「ま、川崎の言いたいことはわかる。実家から通える距離にも関わらず高級マンションで一人暮らししてる女にお金のことは言われたくないよなー」

川崎「え?」

雪乃「……あなた、どこまで知ってるのかしら……」

八幡「だから言ったろ。この学校の生徒のことなら大体知ってるって」

雪乃「……」

結衣「ヒッキー、どっちの味方してんの!?」

八幡「俺? 俺はみんなの味方のつもりだけど?」

結衣「みんなって……」

八幡「それと川崎」

川崎「な、なに?」

八幡「さっきも言ったが勉強とバイトを頑張るお前は素敵だ」

川崎「に、二回も言わなくていいんだけど……」

八幡「そう。自分の為に周りの犠牲をいとわないお前は素敵だ」

川崎「は? 犠牲って?」

八幡「おいおい気づいてないのか?」

川崎「だからなに?」

八幡「まずお前のバイト先。いくら年齢を偽ったとはいえ未成年を働かせたことがばれたらどうなるかわかるだろ?」

川崎「…………ッ!?」

八幡「よくて営業停止。今はSNSですぐに情報が拡散されるからな。最悪評判がどん底まで落ちて潰れる可能性もある」

川崎「そ、それは……」

八幡「それとお前のことを心配する家族だ。どうやらお前がバイトを始めてから心配になったのか大志の成績が落ちてるようだ」

川崎「え」

八幡「小町から塾のテストの結果を聞いてな。せっかく塾に入ったのに成績が落ちてるんじゃ金の無駄だよな」

川崎「……」

八幡「両親だってお前のことが心配で仕事に身が入らないのかもしれない。どうだ、お前のせいで周りに悪影響を与えてることがわかったか?」

川崎「……」

結衣「ひ、ヒッキー。もういいんじゃないかな?」

八幡「……由比ヶ浜。原因がわかったって大志に連絡してきてくれないか?」

結衣「え? 今?」

八幡「ああ。この時間ならあいつも昼休み中だろ」

結衣「わかった」

八幡「それと話ももう終わるからそのまま教室に戻っていいから」

結衣「……うん」

川崎「……あたし、どうすれば……」

八幡「別にこのままでいいんじゃねえの?」

川崎「」

八幡「説得するのは大志だからな。大志に説得されても現状を変える気がなければそのままバイトすればいいじゃねえか?」

雪乃「比企谷くん!」

八幡「俺も雪ノ下も由比ヶ浜も黙っててやる」

川崎「……」

八幡「このままバイトして学校にバレて停学や最悪退学になって堕ちてく川崎も見るのも楽しそうだしな」

川崎「あ、アンタっ!」

八幡「ただ小町が大志と仲が良いからな。今回は小町のおかげでサービスしてやってもいいぞ」

川崎「さ、サービス?」

八幡「俺さ、スマホアプリの開発とかでお金を儲けてるんだよ。川崎のバイト代よりはるかにな」

川崎「アプリの開発……」

八幡「そう。それでもし一発ヤラせてくれればバイトで雇ってやる」

川崎「…………は?」

雪乃「本当に最低ね」

八幡「川崎が巨乳だからってそんなに睨むなよ。胸が小さくなるぞ?」

雪乃「睨んでるのはあなたなのだけれど」

八幡「ま、今のは冗談だけどな」

川崎「じ、冗談?」

八幡「ああ。……もしかして少し考えちゃったのか? それともこういうシチュエーションが好きだったり?」

川崎「ち、違うから! あたし、そんな変態じゃないし!」

八幡「そんな怒らなくても。……それでバイトすんのか?」

川崎「でもあたし、アプリとかよくわからないし……」

八幡「アプリの開発は俺がするからいいんだよ。川崎は書類作成と雑務をしてくれればいい」

川崎「書類ってワードとエクセルが出来ればいいの?」

八幡「そうだ。時給一万くらいでいいか?」

川崎「」

八幡「間違えた。日給一万でどうだ? 一日最大五時間くらい拘束で」

川崎「……本当にいいの?」

八幡「ああ。小町が大志と友達だったことに感謝するんだな」

川崎「うん」

八幡「それと予備校代も川崎の成績次第じゃ免除出来るかもしれない」

川崎「え」

雪乃「……スカラシップね」

八幡「そうだ。もしスカラシップが取れればバイト辞めてもいい」

川崎「……スカラシップって何?」

八幡「成績が良いと授業料が免除されるんだよ。学校の特待生制度と同じだ」

川崎「……そんなのあったんだ……」

週末 自宅


川崎「ここがアンタの部屋」

八幡「面白味もない部屋だろ」

川崎「いや、男子の部屋に入ったの初めてだし」

八幡「そうなのか。モテそうだけどな」

川崎「アンタならあたしの交際歴とかわかってんじゃないの?」

八幡「まあな。美人だけど性格きつそうだから近寄りがたかったんだろうな」

川崎「び、美人って///」


小町「小町、登場ー!」


八幡「……おい、仕事中は部屋に入ってくるなって言っただろ」

小町「小町がお兄ちゃんの言うことに従うとでも? 片腹痛いね!」

川崎「あ、お邪魔してます」

小町「とんでもないです。お兄ちゃんの邪魔ならどんどんして下さい!」

川崎「え」

小町「それと弟の大志くんにはお世話になってます。高校になったら付き合うかもだからよろしくです!」

川崎「」

小町「それと沙希さんにいいものあげますね」

川崎「な、なにこれ?」

小町「え? 避妊具ですよ。コンドーム」

川崎「」

小町「隣の部屋で小町も勉強してるのでやる時は声を出さないようにお願いしますね」

川崎「きゅう」

八幡「おい、バイト初日から気絶させんなよ……」

小町「お兄ちゃん、黒のレースだよ! この人抱かれる気満々だよ!」

ここまで
川崎さんがヒロイン兼相棒な感じで

夏休み前


八幡「戸部」

戸部「比企谷くん、どしたん?」

八幡「金曜に埼玉に行くから付き合え」

戸部「え? 埼玉?」

八幡「おう」

戸部「いやいや、授業あるじゃん。てか埼玉まで何しにいくわけ?」

八幡「ナンパだ、ナンパ」

戸部「ナンパで埼玉まで遠征とかやばすぎっしょ!」

八幡「付き合ってくれたらテスト勉強付き合ってやるぞ」

戸部「お願いしゃす!」

夏休み某日 自宅


八幡「奉仕部の合宿ねえ」

川崎「その部で合宿して意味あんの?」

八幡「ないな。ま、静ちゃんが寂しいから付き合って欲しいんだろ」

川崎「ふーん。外見はいいのに彼氏出来ないって中身が相当やばいんだね」

八幡「だな」

小町「お兄ちゃん、小町もその合宿行っていい?」

八幡「塾は?」

小町「ちょうど授業がない日なのです!」

八幡「ほーん。いいんじゃない? お前が来たら由比ヶ浜見るの楽しくなりそうだし」

小町「だよねー。沙希さんも行くんですか?」

川崎「一応ね」

八幡「けーちゃん達は大丈夫なのか?」

川崎「両親が夏休みで家にいるから。それに予備校もないし」

八幡「そうか。てかスカラシップ取れたのにバイト続けてていいのか?」

川崎「……お金貯めておいて損はないし」

小町「お金貯めるならお兄ちゃんのバイトよりもっといい方法ありますよ?」

川崎「なに?」

小町「援交ですよ。援助交際」

川崎「」

小町「沙希さんなら一回五万でいけるんじゃないですか? お口だけでも二万位取れそう!」

川崎「え、援助交際ってっ///」

小町「でも処女の沙希さんには厳しいか」

川崎「アンタ、中学生のくせに下ネタ多すぎだから!」

小町「えー? 今どきの中学生ならこれくらい当たり前ですよー。大志くんだってたまに小町のことエッチな目で見てますし」

川崎「た、大志が!?」

小町「そうですよー。もしかして自宅で無防備な恰好してません? 気を付けたほうがいいですよー。大志くんだって男なんだから」

川崎「は、はふ……」

当日 車内


平塚「川崎も戸塚も来てくれて助かったよ。人数が少なかったからな」

雪乃「人手が必要だったんですか?」

平塚「ああ。小学生のグリーンキャンプの手伝いでね」

八幡「なら川崎が一番役に立ちそうだな」

小町「だねー」

平塚「そうか。川崎は姉弟が多かったな」

川崎「まあ一応」

結衣「いいなー。あたし一人っ子だから」

戸塚「僕もだよ。八幡も可愛い妹さんがいて羨ましいよ」

小町「やだ。小町、遠まわしに戸塚さんにナンパされてるよ」

戸塚「え」

八幡「戸塚は純粋に褒めてるだけだ」

戸塚「あはは……」

八幡「てか雪ノ下は小さい子とか苦手そうだけど大丈夫なのか?」

雪乃「問題ないわ」

八幡「相変わらず根拠のない自信だな」

雪乃「何ですって?」

千葉村


平塚「着いたぞ」

結衣「うん。なんか空気が綺麗!」

八幡「千葉とあんま変わらない気がするけど」

結衣「もー! こういうのは雰囲気だし!」


葉山「やあ」


結衣「あ、隼人くんだ」

葉山「終業式以来だな」

結衣「うん。隼人くん達も手伝いに?」

葉山「ああ。内申点貰えるって聞いてね」

戸部「比企谷くん、ちーっす!」

八幡「おう」

戸部「夏休み中また埼玉行くべ!」

三浦「さ、埼玉……?」

八幡「あの子とは上手くいってんのか?」

戸部「ぼちぼちって感じ?」

大岡「おいおい、埼玉って何だよ?」

戸部「ん? 実は比企谷くんとナンパしに行っちゃった感じ?」

大岡「マジかよ。ナンパとか比企谷くんやべーわ!」

大和「だな」

三浦(ほっ)

結衣「ひ、ヒッキー。ナンパするんだ……」

八幡「これでも健全な男子高校生だからな」

結衣「そ、そっか……」

小町(うわ、本当にこの人わかりやすい!)

八幡「ま、俺が狙った子は遠距離無理みたいで駄目だったけど」

結衣「そ、そっか!!」

小町「ぶはっ!」

戸塚「小町ちゃん、どうしたの?」

小町「な、なんでもないです……。ひひひ……」

戸塚「ん?」

一時間後


小町「こういうオリエンテーションって面倒くさいよねー」

八幡「まあな。しおりに書いてあることは省いて必要最小限のことだけ言ってほしいもんだ」

川崎「体裁だよ。何か問題があった時に注意事項言ってなかったら責められるからね」

小町「なるほど。さすが小学生の兄妹がいる沙希さんは違いますね」

八幡「そこに気づくなんて中々出来ることじゃないよ」

川崎「……アンタら、馬鹿にしてんの?」

小町「いえいえ。超尊敬してます! そのおっぱいとか!」

川崎「胸は関係ないでしょ!?」

八幡「俺もサキサキのおっぱい好きだぞ」

川崎「サキサキ言うな!」

結衣「……なんか仲良いね……」

オリエンテーリング


雪乃「ぜぇぜぇ」

結衣「ゆきのん、大丈夫?」

雪乃「私、こんな歩いたの久しぶりで……」

結衣「まだ10分しか歩いてないよ!?」

八幡「体力なさすぎだろ」

戸塚「運動神経良さそうなのに意外だね」

八幡「ま、運動神経と体力は別だからな」

戸塚「そっか。……雪ノ下さん、荷物持とうか?」

雪乃「え? でも……」

八幡「ここは戸塚に甘えておいた方がいいんじゃないのか。このままダウンするよりマシだろ」

雪乃「……お願い」

戸塚「うん」

小町「戸塚さん、顔がよくて優しいなんて凄いね。小町が雪ノ下さんなら惚れて告白して振られてストーカーになるまであるよ!」

川崎「それは駄目でしょ。……大志の近くにいさせていいのか不安になってきた……」

八幡「もう遅いぞ」

川崎「だよね。アンタ、妹の手綱ちゃんと握っててよね」

八幡「それは約束できないな」


留美「……」


葉山「あの子、ずっと一人だな」

三浦「一人が好きなんじゃん?」

海老名「……だといいんだけどね」

三浦「え」

海老名「何でもない。いこ?」

三浦「あ、うん」

葉山「……」

お昼


雪乃「あの子ずっと一人ね」

八幡「ああ」

結衣「苛められてたり?」

八幡「どうだろうな。今の時点じゃわからん」

雪乃「そうね。ただ周りの小学生が彼女を見る目からすると」

八幡「あまりよろしくない状況ってわけだ」

雪乃「ええ」


葉山「……よし」


雪乃「やめなさい」

葉山「え?」

雪乃「今、話しかけても逆効果よ」

葉山「けど……」

雪乃「私の時もそうだったでしょ?」

葉山「……っ!」

20分後


結衣「あ、間違ってカレーになめたけ入れちゃった!」

三浦「なんでなめたけ持ってきてるし!?」

八幡「相変わらず馬鹿だな」

留美「ホント、馬鹿ばっか」

八幡「ん?」

留美「……」

八幡「なに? 俺に何か用か?」

留美「名前。名前教えて」

八幡「比企谷八幡」

留美「私は鶴見留美」

八幡「……そうか。鶴見先生のお子さんか」

留美「お母さんのこと知ってるの?」

八幡「ああ。○○小学校に娘さんが通ってると聞いたことがある」

留美「八幡はお母さんの教え子ってこと?」

八幡「そうだな。鶴見は一人でいるのが好きなのか?」

留美「……うん。だってみんなガキなんだもん。私、結構上手く立ち回ってたと思うんだけど。なんかそういうのくだらないからやめた。一人の方が楽かなって」

八幡「小学生なのに大人だねえ」

留美「八幡も一人が好きなんでしょ?」

八幡「おいおい。今は一人でいるけど友達と結構喋ってたりしてたぞ?」

留美「うん。でも一人の方が好きなように見えた。なんとなくだけど」

八幡「……へえ。でも俺は一人でいても周りから嘲笑われたりしないぞ?」

留美「……ッ」

八幡「お前が何で俺に話しかけてきたか教えてやろうか?」

留美「……」

八幡「俺が自分に似ていると思ったんだろ? だがそれは大きな間違いだ。俺は他人を見下したりしない。俺は人間が大好きだからな」

留美「なにそれ?」

八幡「つまりお前のことも好きってことだ」

留美「ロリコン?」

八幡「それは否定させてもらう。恋愛対象じゃなくお前が人間だから好きなだけだ」

留美「意味がわかんない」

八幡「これからわかっていくさ。それで俺に話しかけて何して欲しかったんだ?」

留美「え?」

八幡「苛めから助けて欲しかったのか?」

留美「……別に助けてほしいとは思ってない……」

八幡「苛められてるのは否定しないんだな」

留美「あ」

八幡「まったく最近の子供は。いじめ駄目絶対って習っただろうに」

留美「……仕方ないよ。私もあっち側だったから」

八幡「ほーん」

留美「誰かがハブにされるのがブームになってて。それで仲良かった子がハブにされてね。私も少し距離を置いたけど……。けど気づいたら私がそうなってた」

八幡「なるほど。因果応報ってわけだ」

留美「そうだね。だから仕方ないんだよ」

八幡「その割には現状に不服な顔をしてるな」

留美「……だって惨めなんだもん。……でもいい。中学に上がれば変わると思うし」

八幡「それはどうかな。もし地元の中学に進むならお前のクラスメイトも同級生のままだろ?」

留美「……」

八幡「もしかするといじめが悪化するかもしれない。中学生になれば悪質ないじめも増えるからな」

留美「……そっか」

八幡「ま、自分自身が周りの環境を恨むんだな。それじゃーな」

留美「あっ」


小町「ちょっとお兄ちゃん!」


八幡「あん?」

小町「このまま留美ちゃんを見捨てるの!?」

八幡「見捨てるも何も俺は話を聞いただけなんだけど」

小町「もう。どっかのレベル0さんなら世界を敵に回してもこの女の子を助けてたよ?」

八幡「そんなレベルが違う相手を出されても。てか何でお前がここにいんだよ?」

小町「そりゃ面白い話をしてたからに決まってんじゃん」

留美「……」

八幡「聞いたか。人の不幸話を面白いってよ。最低だな」

小町「それは自覚してるから安心していいよ」

留美「してるんだ……」

小町「うん。あ、わたしは比企谷小町。お兄ちゃんの妹だよ」

留美「鶴見留美です」

小町「うん。実は小町もね、中学でいじめにあってたんだよねー」

留美「そうは見えないけど……」

小町「ま、全員潰したけどね。だから留美ちゃんに小町の経験を踏まえて色々アドバイスしてあげようかなって!」

八幡「いや、お前のアドバイスは参考にならないだろ」

小町「なるよ! 画鋲を口の中に入れたり、便器とキスさせてあげたり!」

八幡「全部暴力じゃねえか……」

小町「小町の拳は汚れてないから大丈夫だよ」

八幡「そういう問題じゃねえ」

小町「それで留美ちゃんはどうしたいの?」

留美「え?」

小町「お兄ちゃんに話しかけたのも助けを求めたからじゃないの?」

留美「私は……」

小町「あー、そういう否定は面倒くさいから早く素直に言ってくれるかなー?」

留美「ひっ。……私は一人でいるのは別にいい。……ただ周りが私を見下すのが嫌だ……」

小町「なるほど。……だってさ、お兄ちゃん」

八幡「俺に丸投げかよ」

小町「ほら、小町は武力担当でお兄ちゃんが頭脳担当っていうか?」

八幡「……」

夕方


葉山「何とかあの子を助けてあげたいと思うんだけどどうだろ? 平塚先生には許可を取ってある」

戸部「隼人くん、優しすぎっしょ!」

三浦「隼人がしたいならいいんじゃん?」

葉山「雪ノ下さん達はどうかな?」

結衣「うん。いいんじゃないかな? やっぱいじめはよくないし」

三浦「……っ」

葉山「ありがとう。……俺は一度クラスの子達で話し合った方がいいと思う」

雪乃「それで解決すると思っているの?」

葉山「あの子達だって話し合えばわかってくれると思う」

雪乃「それはないわ。苛めが悪化するだけよ。ソースは私。よく知っているでしょう?」

葉山「それは……」

海老名「……うん。隼人くんのやり方は通じないと思うな」

葉山「……」

海老名「女子って男子が思ってるより陰湿だよ?」

結衣「まー、そうだよね……」

八幡「……」

葉山「優美子はどう思う?」

三浦「え? あ、あーし?」

葉山「ああ」

三浦「あ、えっと……。あの子可愛かったから他の可愛い子とグループ組んだり、クラスで人気の男子と仲良くなったりとか……?」

八幡「ふはっ」

結衣「んー、それは優美子だから出来るんだよ」

海老名「全員が出来ることじゃないよ」

三浦「……」

海老名「後はわたしみたいに学校以外に居場所を作るとかいいかもね」

雪乃「居場所?」

海老名「うん。私は中学の時に学校じゃぼっちだったけどBLのサークルで友達が出来ました!」

「」

海老名「雪ノ下さんもこの機会にBLどう!? 今期は獲物が沢山あるよ!!」

雪乃「ひっ」

三浦「海老名、擬態」

海老名「ふぅふぅ」

三浦「鼻血止まらないみたいだからお手洗いに連れてく」

葉山「よ、よろしく頼むよ……」

5分後


八幡「なあ」

葉山「何かな?」

八幡「この話し合いって意味あんのか?」

雪乃「どういうことかしら?」

八幡「確かにあいつは一人でいる。けど一人でいるからって苛められてるとは限らないだろ?」

雪乃「そうね。けれど比企谷くんも周りの視線に気づいているでしょ?」

八幡「そうだな。だがあいつはお前たちに助けを求めてきたか?」

葉山「それは……」

戸部「でも苛めを見過ごすのは男としてどうかじゃね?」

八幡「そうだな。戸部の考えはもっともだ。ただ俺たちが手助けすることに対して大きなデメリットがある」

戸塚「デメリット?」

八幡「ああ。俺たちは高校生、あいつは小学生だ」

大岡「だから?」

八幡「少しは頭使えって。そんなんだから童貞なんだぞ」

大岡「ど、童貞じゃないし!?」

小町「童貞なんですね」

大岡「ぐはっ!」

川崎「学校が違うってこと?」

八幡「そうだ。俺たちはキャンプが終わればあいつに関わることはない。もし俺たちが手助けしたせいで二学期以降苛めが悪化したらどうするんだ?」

葉山「そ、それは……」

八幡「葉山、俺はお前が人助けを率先して行うのはいいことだと思う。けれどあくまで自分の手が届く範囲での話だ」

葉山「……」

八幡「あ、もしかして自分が助けたつもりになって二学期以降はあいつがどうなってもいいと思ってたりしたか?」

葉山「そんなわけないだろ!」

八幡「だよな。だったら余計なことしないで時間を潰さない方がいいんじゃないか?」

葉山「くっ」

川崎(アイツこんないい笑顔するんだ)

小町(やっぱお兄ちゃんは小町のお兄ちゃんだね)

戸部「ま、まー確かに俺たちのせいで苛めが悪化したら責任取れないっつーか」

大和「だな」

八幡「それともう一つ。この中であいつとあいさつ以外で会話した奴はいるか?」

「……」

八幡「いないか。あのさ、相手の立場もわかってないのにどうやって助けようとしたわけ?」

雪乃「あの状況を見れば大体わかるわ」

八幡「大体ねえ。でも確実じゃない。それにその判断は勝手に決めつけることになる」

雪乃「……」

八幡「雪ノ下はまだあいつを助けるつもりか?」

雪乃「……ええ。経験者として見過ごすわけにはいかないわ」

八幡「ふーん」

雪乃「……」

八幡「それはお前の事情だろ。お前が苛められてたからと言ってあいつに関わっていい理由にはならないだろ?」

雪乃「私が自分勝手だと言いたいの?」

八幡「お前がそう思うんならそうじゃねえの?」

雪乃「あなたは本当にっ!!」

八幡「雪ノ下、お前の欠点を教えてやろうか?」

雪乃「私に欠点?」

八幡「ああ。お前は相手の立場になって考えることが出来ない」

雪乃「」

八幡「自分の価値観を依頼者に押し付ける。静ちゃんに聞いたよ。俺が入部するまで依頼者とよく揉めていたみたいじゃないか」

雪乃「……」

八幡「本当は自分でわかってるじゃいのか? けど認めるのが嫌なんだろ」

雪乃「わ、私は……」

平塚「そこまでだ」

八幡「静ちゃん」

平塚「ちゃんはやめろ。今日は解散したまえ」

「はい」

ここまで
流石に臨也もルミルミみたいな小さい女の子を追い詰めたりしないと思う

翌日


八幡「泳げる場所があったのか」

戸塚「みたいだね。水着持って来ればよかったかも」

八幡「男子だから下着でもいいんじゃないか? もしかしてブリーフ?」

戸塚「トランクスだよ!」


小町「お兄ちゃーん、戸塚さーん」


八幡「小町は水着持参してたのか」

小町「うん。どう?」

戸塚「似合ってるよ」

八幡「胸が小さい」

小町「戸塚さん、ありがとうございます! お兄ちゃん、死ね!」

八幡「はいはい。60年後くらいに死んでやるよ」

小町「むぅ。あ、沙希さん!」

川崎「……」

八幡「さすが小町とはレベルが違うな。なんてエロい体してるんだ」

川崎「なっ///」

戸塚「もう、セクハラだよ?」

八幡「俺は素直に感想を言ったまでだ」

川崎「ば、馬鹿じゃないの!?」

小町「あ、行っちゃった。……小町も行ってくるね」

戸塚「うん。気を付けてね」

小町「了解であります!」

戸塚「小町ちゃんはいつも元気だね」

八幡「それだけが取り柄だ」

戸塚「あはは。……それより昨日の件はどうするの?」

八幡「昨日も言っただろ。何もしないのが一番だ」

戸塚「そっか。……そうだよね」

30分後


留美「八幡」

八幡「よう。お前も泳ぎに来たのか?」

留美「お前じゃない。留美」

八幡「名前で呼んでいいのか?」

留美「うん。てか何でそんなこと聞くの?」

八幡「下の名前を呼んだだけでセクハラと訴えられる悲しい時代だからさ」

留美「それは会社でしょ。八幡は泳がないの?」

八幡「ああ。留美は何しに来たんだ?」

留美「朝起きたら誰もいなくなってたから適当に散歩」

八幡「……そうか。……昨日の件も聞きにきたんじゃないのか?」

留美「……」

八幡「悪いけど俺じゃあまり力になれん。二学期に転校するか、私立中学を受験して環境を変えてやり直すかくらいだな」

留美「だよね。わかってた」

八幡「親御さんに相談はしてないのか?」

留美「……うん。暴行されてるわけじゃないし。心配は掛けたくない」

八幡「そうか」

留美「それと高校生組で何かあった?」

八幡「何でそう思ったんだ?」

留美「昨日と違ってなんかギクシャクしてる気がする」

八幡「へぇ。よく見てるじゃねえか。でも留美が気にすることじゃない」

留美「……わかった」




雪乃「……」

八幡「よう」

雪乃「……」

八幡「無視は酷いな」

雪乃「……何か用かしら?」

八幡「別に。散歩してたら雪ノ下を見かけたから声を掛けただけだよ」

雪乃「……」

八幡「それじゃな。蚊には気をつけろよ」

雪乃「昨日、あなたに言われてからずっと考えていたわ」

八幡「ん?」

雪乃「悔しいけどあなたの言う通りよ。私は相手の立場を考えたことがなかった」

八幡「認めるのか」

雪乃「ええ。依頼者に自分の価値観を押し付けていたことも否めないわ。だから依頼者と揉め事も絶えなかった」

八幡「……」

雪乃「今回の件もそう。むしろ私情が入っていたと言っても過言じゃないわね」

八幡「それに関しては仕方ないんじゃないか? 同じ境遇の人間を見れば自分に重ねてしまうものだ」

雪乃「……今日は私を責めないのね」

八幡「当たり前だろ?」

雪乃「え?」

八幡「自分の過ちに気づいたんだ。気づいて反省してる人間を責めてどうするんだよ?」

雪乃「……」

八幡「そのうえでもう一度聞こう。雪ノ下、お前はどうしたい?」

雪乃「……彼女が助けを求めるなら私に出来ることをしたい。けれど助けが必要なければ静観するわ」

八幡「……そうか。なら雪ノ下に一つお願いがある」

雪乃「お願い?」

翌朝


雪乃「比企谷くん。平塚先生に聞いてきたけど」

八幡「ああ。助かる。俺が聞いても教えてくれなさそうだからな」

雪乃「本当にいいの?」

八幡「俺たちがやれるとしたらこれしかないだろ?」

雪乃「そうね」

八幡「後は任せるしかないだろ」

雪乃「任せる、ね……」

八幡「今回に限っては俺もお前も留美の力になれない」

雪乃「……ええ。わかっているわ」

一時間後


八幡「よう」

留美「話って何?」

八幡「俺たちはもうすぐ帰るからな。お別れの挨拶だ」

留美「そっか」

八幡「帰ったらお母さんとよく話し合うんだな」

留美「だからお母さんには相談したくないって言ったじゃん」

八幡「いや、帰ったら嫌でも話をすることになる」

留美「どういう意味?」

八幡「鶴見先生―――留美のお母さんに苛めの件を連絡した」

留美「」

八幡「俺にはこれくらいしか出来ないからな。後は頑張れ」

留美「何勝手にお母さんに言ってるの!? 心配掛けたくないって言ったじゃん!!」

八幡「……はっ。心配掛けたくないねえ」

留美「悪い?」

八幡「いや。留美の母親を思う気持ちはいいと思う。美しいと思うまであるな」

留美「……は?」

八幡「でも本当にそう思ってるのか?」

留美「え」

八幡「本当は惨めな自分を見せたくなかったんじゃないのか?」

留美「ッ!?」

八幡「苛めをしていた自分が苛められる立場になってしまったなんてかっこ悪すぎるからなぁ」

留美「……」

八幡「苛められてることがばれればその経緯も話さないといけない。あー、そうか。留美は苛めを受けてることではなく、加害者側だったことを知られなくなかったんだろ?」

留美「……ち、ちがっ……」

八幡「気にするな。人間は皆、都合が悪いことは知られたくないもんだ」

留美「わ、私は……そんなこと……」

八幡「自分を責める必要なんてない。それが人間ってものだ」

留美「やめて……」

八幡「だから俺は留美に機会を与えてあげた。都合の良い、悪い部分をすべてさらけ出して母親とよく話すんだ」

留美「……」

八幡「そうしないと前には進めない」

10分後


八幡「ふぅ」

川崎「アンタさ」

八幡「……もしかして聞いてた?」

川崎「全部ね」

八幡「軽蔑した?」

川崎「まあね。小学生相手に最悪だね、アンタ」

八幡「容赦ないな」

川崎「……でも言い方はどうであれ、親御さんに知らせたのはよかったと思う」

八幡「何でそう思うんだ?」

川崎「苛めで一番いけないのは家族に助けを求めないことだから」

八幡「へぇ」

川崎「助けを求めずに一人で考えても自分を追い詰めるだけだからね。あの子ももしかすると破綻してたかもしれない」

八幡「詳しいな。経験者?」

川崎「少しね。無愛想な性格してるから色々あったんだよね」

八幡「ほーん。……本当、俺の周りは苛められっ子が多いな」

川崎「何か言った?」

八幡「何も。帰るか」

川崎「うん」

総武高校前


平塚「三日間お疲れさん。気を付けて帰れよ」

結衣「ゆきのん、帰りに遊んでかない?」

雪乃「そうね」


陽乃「雪乃ちゃん、迎えに来たよ」


雪乃「……姉さん」

陽乃「静ちゃんも久しぶり」

平塚「だから静ちゃんはやめろと何度も言ってるだろう」

陽乃「もう教え子じゃないんだしいいじゃない。あ、比企谷くん久しぶりだねー」

八幡「そうっすね。先月ぶりですか」

陽乃「そうだね。またデートしようね」

八幡「喜んで」

結衣「……え?」

雪乃「……」

陽乃「あれれ? 雪乃ちゃんは私と比企谷くんの関係を聞いたりしないのかな?」

雪乃「……ええ。由比ヶ浜さん、悪いけどまた今度」

結衣「え、あ、うん……」

雪乃「失礼します」

陽乃「またねー」

八幡「由比ヶ浜、顔色悪いけど大丈夫か?」

結衣「えっ? だ、大丈夫だよ?」

小町「雪ノ下さんと遊べなくなったのがそんなにショックだったんですねー。小町で良ければお付き合いしましょうか?」

結衣「だ、大丈夫。あたしも用事思い出したから帰るね! またね!」

平塚「あ、ああ。また学校で会おう」

自宅


小町「あの人が雪ノ下さんのお姉さんなんだ」

八幡「ああ。似てないだろ?」

小町「うん。似てない。てかあの人と付き合ってるの?」

八幡「違う。本人から依頼を受けているだけだ」

小町「依頼?」

八幡「ああ。シスコンを拗らせた人からの単純で簡単な依頼だよ」

小町「雪ノ下さんのこと?」

八幡「そうだよ。……ん? 知らない番号から電話か」

小町「お兄ちゃんい恨みを持った人からかな?」

八幡「かもな。もしもし?」

『もしもし。雪ノ下だけれど』

ここまで
次回は文化祭です

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年10月20日 (木) 08:29:18   ID: rO-AbC_y

この人のは楽しみ

2 :  SS好きの774さん   2016年10月28日 (金) 20:06:08   ID: C1boEXSA

あの作者の人か
期待です

3 :  SS好きの774さん   2016年10月28日 (金) 20:36:32   ID: bCJCjJjp

海老名ヒロインで

4 :  SS好きの774さん   2016年11月02日 (水) 18:36:41   ID: nahCiW5L

海老名ヒロインで

5 :  SS大好きの774さん   2016年11月05日 (土) 20:20:24   ID: eiI1iq-a

続きが気になります

6 :  SS好きの774さん   2016年11月06日 (日) 22:39:18   ID: XMRPizUS

続きあくしろよ

7 :  SS好きの774さん   2016年11月17日 (木) 01:59:53   ID: GHuQfjkM

なんかもはや原型を留めてねえな
サキサキがメインならなんでもいいけど

8 :  SS好きの774さん   2016年11月23日 (水) 21:07:20   ID: R4UliBUQ

もうオリキャラでやれよ

9 :  SS好きの774さん   2016年11月24日 (木) 04:00:05   ID: BeDyj8wP

このクズい感じ良いね

10 :  SS好きの774さん   2016年11月24日 (木) 12:33:49   ID: R4mzAHuk

サキサキをメインでオナシャス

11 :  SS好きの774さん   2016年11月25日 (金) 01:43:33   ID: a86Y69U9

更新してくれてうれしい

12 :  SS好きの774さん   2016年11月27日 (日) 12:09:36   ID: BQp-Po_x

甘くなくてスゴくイイ
続き楽しみです

13 :  SS好きの774さん   2016年12月07日 (水) 16:23:48   ID: WufN83LZ

はよはよ

14 :  SS好きの774さん   2017年01月28日 (土) 15:26:14   ID: A12awjy6

続きはよ!!

15 :  SS好きの774さん   2017年01月31日 (火) 23:58:55   ID: J008m35k

楽しみが出来た

かなり期待

16 :  SS好きの774さん   2017年04月25日 (火) 21:57:03   ID: WS5AYjcJ

やれ

17 :  SS好きの774さん   2017年06月28日 (水) 03:35:01   ID: eDE6YwLd

続き気になります!

18 :  SS好きの774さん   2018年03月30日 (金) 16:22:42   ID: H369B1Io

あくしろよ

19 :  SS好きの774さん   2018年08月27日 (月) 00:37:28   ID: bF_QuMhr

八幡の思考以外原作を壊してないってのが良いね。ストーリー進行は大まかに言えば原作そのものだし、登場人物の考え方が丸くなった感じ?ただ、いまのところ結衣がかわいそう笑

20 :  SS好きの774さん   2018年10月24日 (水) 23:06:15   ID: M93Klf6t

八幡=デュララララの臨也 小町=臨也の妹
だと思うよ?オリキャラでもクロスでも無い。

で!続編は...ないのかなあ....

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