西住みほ「優花里さんが戦車の主砲から覗いてる」 (193)

杏「じゃーん! 大洗のせんしゃ倶楽部から寄贈されたⅣ号戦車の等身大オブジェだー」

「「おぉ~」」

柚子「小さなお子さんが触れても大丈夫なようにエラストマーで作られています」

桂利奈「えらすとまーってなんですかー?」

桃「ゴム弾性を有する工業用材料の総称のことだ」

杏「つまりはゴムだな」

優季「わぁ、ゴムなんだぁ」

あゆみ「確かにぷにぷにしてるぅ」

紗希「……」プニプニ

あや「やだー変な感触ぅ」

梓「すごいけど、これ、どうするんですか?」

桃「大洗を象徴する戦車として、ここに置いておく」

杏「自由に遊んでいいからねー」

みほ「すごい……。全部ゴムでできてるけど、中もしっかり作りこんである」

カエサル「職人技だな」

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ねこにゃー「みてみて、引っ張るとある程度は伸びるよ」グニーッ

ももがー「おもしろいなり!」グニーッ

ぴよたん「どこまで伸びるか気になるぞな!」

柚子「あんまり無茶しないでね。千切れるかもしれないから」

みどり子「こんなの邪魔になるだけなんじゃ……」

モヨ子「校門の脇に設置するぐらいならいいかも」

希美「うん」

みどり子「そうかしら」

ナカジマ「中々の一品だなぁ」

スズキ「うん。一つ一つに拘りを感じる」

ホシノ「履帯も動くぞ」

ツチヤ「これにエンジン積んだら、走るんじゃね?」

ナカジマ「無理でしょー」

優花里「これなら家の中にあっても床を傷つけたりしなくていいですね!!」

エルヴィン「家の中に入れるためには窓か玄関をぶち壊す必要があるだろうけど」

おりょう「中に入ることもできるぜよ」

左衛門佐「しかし、ゴムの臭いが凄まじいでござる」

華「そうですね。この強い臭いは慣れるまでに時間がかかりそうです」

麻子「慣れる必要性を感じない」

典子「八九式のゴム戦車も作ってほしい!!」

妙子「それで八九式の良さを広めるんですね!!」

典子「ああ!! ついでにバレーボールの良さもだ!!」

あけび「ナイスアイディアです! キャプテン!!」

忍「燃えてきたぁ!!」

桃「ゴム戦車とバレーボールにはなんの繋がりもないぞ」

優花里「私たちにとっては最高の贈り物でありますね!」

沙織「もっと実用的なほうが良かった気もするけど」

華「いいではありませんか。祝福の品としてはこれ以上にない物だと思いますわ」

麻子「だからってゴム戦車か」

みほ「でも、なんでゴムで戦車を作ろうと思ったんだろう」

杏「将来的には軟式戦車道でも作ろうとしてるんじゃない?」

みほ「軟式って……」

麻子「ゴムボール野球とはわけが違うぞ」

柚子「新しい戦車グッズの試作品っていうことみたいだけど」

桃「臭いの問題をクリアできなければ、とても商品化はできないだろう」

カエサル「模型のほうがいいかもしれないな」

優花里「これはこれで良さがありますよぉ」

あや「そうですかぁ?」

みどり子「秋山さんは戦車グッズならどんなものでも良さを見出せるってだけでしょ」

優花里「えへへ」

沙織「ゆかりん、褒められてはないから」

優花里「個人的には欲しいぐらいなんですが」

杏「自宅には置けないんじゃないかねぇ」

みほ「臭いの問題もそうだけど、やっぱり大きさがね」

優花里「そうですね。学校にきたらいつでも見れますし」

桂利奈「わーい!! 弾むよ、これー!!」ボヨンボヨン

優季「たのしぃ」ボヨンボヨン

梓「わぁぁ!! ちょっと!! 危ないからやめて!!」

杏「わーい」ボヨンボヨン

梓「会長までやめてくださいってばぁ!!」

ねこにゃー「や、やってみない……」

優花里「色んな遊び方があるんですね」

カエサル「このベトベトする感じがなければ、私も遠慮なく遊ぶんだが」

桃「ベビーパウダーを使うと改善されると説明を受けたが」

おりょう「ほう。そのような方法があるとは」

ナカジマ「ベビーパウダーっていう発想はなかったですね」

柚子「明日にでも買ってきて塗ってみる?」

桃「そうだな。折角、置くのだから誰にでも触れてもらいたい」

優花里「このゴム戦車ならもしかして……」

みほ(優花里さん……?)

――翌日――

沙織「でさぁ、そのイケメン教師と冴えない女の子が恋に落ちちゃうわけ。すっごい泣けるし、胸がキューンってしちゃうの!」

華「そうしたロマンチックな恋愛をしてみたいですね」

沙織「でしょー!? みぽりんもそう思わない!?」

みほ「あ、えー、ど、どうかな。起きればいいけど、現実には難しいような」

沙織「だめだめ、みぽりんっ。まずは信じなきゃ! 信じていれば、5秒後とかに予期せぬ出来事が起こったりするんだって」

華「ここは女子校ですし」

みほ「男の先生もみんな既婚者だったような」

華「不倫はダメですよ」

沙織「しないわよー!!! でも、ちょっとそういうのにも興味あったり……」

みほ「えぇ……」

……シクシク……シクシク……

みほ「え? 今、何か聞こえなかった?」

沙織「え? ううん。何も」

みほ「気の所為かな」

典子「バレー部! ファイオー!!」

妙子「オー!!」

あけび「復活するその日まで!!」

忍「朝練だ!!」

典子「よし!! 校庭を3周したら終わりだ!!」

妙子・あけび・忍「「はい!!」」

……だれかー……

典子「ん?」

妙子「どうしました?」

典子「近藤、靴紐が解きかけてるぞ」

妙子「あ、ホントだ。危ない危ない」

……たすけてくださぁい……

妙子「できました!」

典子「よし!! ランニング開始だー!!」

忍「ここを通るとゴムの臭いがしますね」

ツチヤ「やっぱ、あの第4コーナーの入り方、痺れたよな」

ホシノ「うん。才能を感じた」

スズキ「ああいう選手のマシンを整備出来たら、楽しいだろうなぁ」

……だれか……

ナカジマ「ゴムのⅣ号戦車、ここにいつまで置いておくんだろう」

ツチヤ「寄贈品だし、しばらくは飾っておくんじゃない」

ホシノ「私たちの後輩が困りそう」

スズキ「確かにな。ずっとこのままってわけにもいかないかも」

……だれかー……

ナカジマ「今、声がしなかった?」

ホシノ「いや。聞こえなかったけど」

ナカジマ「空耳かな」

ツチヤ「エンジン音の聞きすぎで耳が悪くなったんじゃね」

ナカジマ「残念ながら、耳はよくなる一方だ」

……だれかいませんかー……

桂利奈「わーい!!」テテテッ

梓「危ないことしないでよー」

桂利奈「はぁーい!!」

優季「私もまたはずんじゃおっかなぁ」

梓「こらこら、二人同時に弾まないで。何かあったらどうするの」

あゆみ「梓ってお姉さんみたい」

梓「二人が危なっかしいからだって」

あや「たしかにねー」

優季「えぇー? あやにだけは言われたくないのにぃ」

あや「なんでよー!」

紗希「……」

桂利奈「どうしたの?」

紗希「砲身……」グニーッ

桂利奈「砲身?」

紗希「砲身の中、見て」

みほ「優花里さん、今日は欠席なの?」

沙織「朝からいないんだって」

華「体調でも崩したのでしょうか」

みほ「心配だね」

麻子「お見舞いにでも行くか」

みほ「うん、そうしよう」

沙織「でも、携帯にかけてもでないんだよね」

みほ「電話にも出られないのかも……」

麻子「動けないということか」

沙織「今からいかない?」

華「流石に授業をサボるのはどうかと」

沙織「だって、ゆかりんのこと心配だもん。もし、とてつもない事件に巻き込まれていたら……」

麻子「考えすぎだ。そんなことあるわけ――」

「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」

みほ「え!? な、なに!?」

桂利奈「わぁぁぁぁ!!!!」

沙織「桂利奈ちゃん!! チョット、ストップ、ストップ!!」ギュッ

桂利奈「さおりせんぱぁい!!」

沙織「何があったの?」

桂利奈「ご、ごむせんしゃ……ごむせんしゃに……」

沙織「ゴム戦車?」

優季「さおりせんぱぁい!!」

沙織「優季ちゃん!?」

あゆみ「せんぱぁーい!!」

沙織「どうしたの!?」

梓「あ、あの!! あの!!」

みほ「澤さん。落ち着いて。深呼吸しましょう」

梓「は、はい。ふぅ……ふぅ……はー……」

みほ「どうかしたの?」

梓「それが、紗希が砲身の中を覗きこんだので、私たちもその中を見たんです。そしたら……」

麻子「本当なのか?」

みほ「冗談であんなことを言うとは思えないし」

華「砲身の中を覗いてみましょう」

沙織「それじゃ、引っ張るよ」グニーッ

華「はい」グニーッ

みほ「んー……」

麻子「どうだ、西住さん」

みほ「……」

沙織「みぽりん?」

華「中はどうなっているのでしょうか?」

みほ「優花里さん……」

優花里『にしずみどのー!!!』

沙織「ゆかりん!?」

みほ「……」

優花里『あの!! こんなことになってしまいました!! 本当にすみません!!』

杏「朝、砲身がすこーし歪に膨らんでるなとは思ってたんだ」

みほ「違和感に気が付けなかった……」

カエサル「私は違和感を覚えたが、まさかグデーリアンが入っているとは思わなかった」

典子「全然、分かりませんでした!!!」

妙子「ごめんなさい!!」

ねこにゃー「何か入れてるのかなとはおもってました」

ももがー「砲弾だとおもったなり」

桃「秋山、私たちの声は聞こえるな?」

優花里『はい、なんとか』

エルヴィン「中を見ると、ちょうどグデーリアンの顔がみえるぞ」

おりょう「むむ。状況的には悲愴なはずなのに、なぜか危機感が湧いてこないぜよ」

左衛門佐「一見すれば遊んでいるようにしかみえないからな」

優花里『真剣にこまっているんですぅ!!』

みどり子「まず、どうしてこんなことになったのか聞きたいわ」

優花里『それは……』

――早朝――

優花里「はぁぁ……」

優花里「見れば見るほど、よくできていて、これはもはや芸術品」

優花里「内部も完璧に再現されているし。やっぱり、一台欲しいなぁ」

優花里「お母さんがダメっていうだろうなぁ」

優花里「……」

優花里「パンツァー・フォー!!」

優花里「操縦席に移動して……」

優花里「どこにでもいきますよ!!」

優花里「次は通信手の席に……」

優花里「感度良好!! 友軍の健闘を祈る!!」

優花里「そして、装填手の席に」

優花里「装填、いつでも可能です!!」

優花里「……一度、やってみたかったけど……どうしよう……けど、これなら……」

優花里「秋山優花里!! 砲弾となって敵を撃破します!! イヤッホー!! サイコーだぜ!!!」ググググッ

優花里『――で、今に至るわけです』

エルヴィン「自分自身を装填したというのか」

おりょう「神風ぜよ」

杏「回天だな」

カエサル・エルヴィン・左衛門佐・おりょう「「それだぁ!!!」」

みほ「やめてください!!」

麻子「縁起でもない」

桃「全く……」

柚子「それじゃ、今から引っ張り出してあげよう」

ナカジマ「外からじゃ手が届きませんね」

桃「では中からだな。おい、誰かゴム戦車内から秋山を引っ張りだせ」

華「既に試しています」

桃「なに?」

沙織「一度、やってみたんですけど」

みほ「いくら引っ張っても無理なんです。ぴったり挟まっていて」

典子「このぉぉ」グググッ

優花里『いたたたた!!!』

典子「ダメだ。本当にビクともしない」

妙子「一度入ったなら、出ることもできるはずなのに」

あけび「ゴムだから無理なのかな」

忍「外から砲身部分を引っ張れば、隙間ができて秋山先輩も身動きがとれるようになるんじゃない?」

典子「いいぞ!! 河西!! それでいくぞ!!」

杏「それは厳しいんじゃないかね」

典子「根性でどうにかしますけど」

杏「砲身部分のゴムの密度はかなり高い。容易には引っ張れないし、引っ張れば千切れるだけだろうな」

ねこにゃー「打つ手なしなんですか」

左衛門佐「では、砲身を切り落とせばいい」シャキン

優花里『そ、それだけはやめてください!!』

左衛門佐「え?」

優花里『折角、私たちのために作ってくれたゴム戦車を……壊すなんて……やめてほしいんです……』

沙織「ゆかりん、何言ってるの!?」

桃「秋山!! こちらはお前を助けようとしているんだぞ!?」

優花里『それは分かっているのですが……。戦車の形をしているモノを壊すなんてこと……』

みどり子「そもそも秋山さんがこんなことしなければ、ゴム戦車はずっと無傷でいられたのよ」

桃「園の言う通りだ。壊すのが惜しいと思うのなら、どうしてこんなことをした!!」

優花里『自分がどれほど愚かなことをしたのかは自覚しています!! これは私が招いた結果です!!』

桃「だったら……!!」

優花里『でも、この子を傷つけてほしくないんですぅ!! お願いします!! みなさん!!』

桃「話にならない。杉山」

左衛門佐「……」

桃「杉山清美!!」

カエサル「誰のことだ」

エルヴィン「さぁ?」

おりょう「そんな名前の生徒がいたぜよ?」

左衛門佐「知らんな」

桃「こいつらはぁ……」

柚子「おさえて、桃ちゃん。ちゃんとソウルネームで呼んであげないと」

桃「……左衛門佐!!」

左衛門佐「応!」

桃「そのどこからか出した刀で砲身を斬れ」

左衛門佐「いいのか。これはただの模造刀だが」シャキン

桃「誰か切れるモノをもってこい!!!」

優花里『ここから抜け出せたらどんな命令でもききます!! だから、この子に傷だけはつけないでください!!』

桃「うるさい!! ゴム戦車の中に生徒が閉じ込められているなんてこと、外に知られたら学園の恥だ! 今すぐ助け出す!!」

桂利奈「そこまで言うことないと思う」

優季「だよねぇ」

あや「嫌な先輩だよねぇ」

桃「聞こえてるぞ!! もういい!! 私がのこぎりでも持ってくる!!」

みほ「ま、待ってください!」

桃「なんだ、西住まで邪魔をするつもりか」

みほ「確かに優花里さんの自業自得です。このゴム戦車を壊さないで助けてほしいなんて、身勝手なことだって思います」

優花里『うぅ……』

みほ「けど、わざわざ切らなくても助け出せる方法はあると思います」

桃「あのな……」

麻子「これは私たちのために特別に作った品だ。昨日の今日で壊してしまうのは、製作者に悪い」

華「それに大洗を象徴する戦車だと河嶋先輩が言っていましたわ。象徴を簡単に壊してしまってもいいのでしょうか」

桃「ぐっ……」

沙織「ゆかりんが嫌だって言ってるんだし、とりあえずは壊さない方向で助けてみませんか?」

典子「私もそれがいいと思います!!」

ねこにゃー「秋山さんもⅣ号戦車も助け出すっていうことでいいんじゃないでしょうか?」

エルヴィン「犠牲の上でなりたつ平和など、本当に平和と言えるのか」

みどり子「あーもー」

モヨ子「そど子はどっちがいい?」

みどり子「秋山さんを擁護するつもりは一切ないけど、西住さんの言い分にも一理はあるわね」

麻子「本当は壊したくないんだろ、そど子。素直になれ」

杏「んじゃ、どうやって助ける?」

桃「会長!? いいんですか!?」

杏「いいんじゃない?」

桃「はぁ……」

優花里『みなさん!! 本当に申し訳ありません!!』

沙織「気にしないで。ちゃんとゆかりんもゴム戦車も助けるから」

優花里『たけべどのぉ……』

カエサル「グデーリアンを助ける方法だが、グデーリアンを押し出す、あるいは引っ張り出すの二択になるわけだ」

おりょう「外側からでは手が届かないから、内側から引っ張り出すしかないぜよ」

エルヴィン「しかし、ゴムの摩擦力はすさまじく、グデーリアンは微動だにしない」

左衛門佐「あらすじだけで大洗女子学園の劇場版が作れそうでござる」

ナカジマ「なんか面白い話になってきたなぁ」

スズキ「モノが詰まったときの定番といえば、やっぱり油だ」

ホシノ「オイルを持ってこようか」

ツチヤ「エンジンオイルなら山ほどあるな」

みほ「それは助け出したあとの処理が大変になるんじゃあ……」

ホシノ「大丈夫。植物油を使うから。酸化しやすいのが弱点だけど」

みほ「そういう問題でもないんですけど」

優花里『やってください!』

みほ「優花里さん……」

優花里『思い切りかけてください!! 顔にも!! 足にも!! いえ!! 全身に!!」』

優季「顔にかけちゃっていいんですかぁ?」

あゆみ「トロトロになっちゃいますよ」

優花里『構わないよ。私はそれだけのことをしたんだから』

梓「そんなこと言わないでください」

あや「私だって砲身の中に潜り込んでたかもしれませんから!!」

優季「あやならしそうだよね」

優花里『大丈夫だよ。気を遣わないで。さぁ、ナカジマ殿!! 顔にかけてください!!』

杏「せめてサラダ油ぐらいにしておいたら? 調理室にあるはずだし」

柚子「借りてきますね」

柚子「借りてきました」

杏「よーし。秋山ちゃん、顔にかけていいんだな」

優花里『お願いします!!』

杏「河嶋、かけちゃって。たっぷりとな」

桃「はっ」

優花里『ご迷惑をおかけします。河嶋殿』

桃「覚悟しろ、秋山。泣き言は許さん」

優花里『はい!!』

みほ「これでなんとかなるかな……」

沙織「ゆかりーん、出てこれたら一緒にお風呂はいろーね」

優花里『はい!! 是非、ご一緒させてください!!』

桃「いくぞ!!」トロトロ

優花里『うぶ……!? おぅ……』

桃「大丈夫かー!?」

優花里『つ、つづけてくださぁい!!』

桃「これでどうだ」

みほ「優花里さん、体は動かせる?」

優花里『む、無理みたいです』

麻子「潤滑油があっても自力では出てこれないか」

沙織「よぉーし!! それならゆかりんをひっぱろー!!」

典子「その役目は私たちに任せてください!!」

妙子「大洗で一番の根性と体力があるアヒルさんチームが秋山先輩を救ってみせます!!」

あけび「バレー部ファイトー!!」

忍「いいですか、西住先輩」

みほ「はい。お願いします」

典子「根性で引っ張るぞー!!!」

妙子・あけび・忍「「はい!!!」」

みどり子「大丈夫なんでしょうね」

典子「せーので引くぞ! せーのっ!! ファイトー!!!」

妙子・あけび・忍「「いっぱーつ!!!」」ズルンッ

典子「うわぁ!?」

みほ「どうかしましたか!?」

典子「いえ、手が滑ってしまいました」

妙子「秋山先輩の下半身がヌルヌルしていて、足を掴もうとしたらズルっとなりました」

沙織「ゆかりんの下半身がヌルヌルって……」

カエサル「あまり、良い表現ではないな……」

ホシノ「なんで?」

優花里『ダメなのですか……』

典子「いえ、マッチポイントにはまだ早い!! 引いてダメなら押すまでだ!!」

妙子「逆転の発想ですね!」

典子「根性でおせー!! 手をのばせー!!」

妙子「私なら届くかも!!」グググッ

優花里『おぉぉ!? 動いています!!』

典子「そのまま秋山さんを発射しろ!!」

妙子「えーい!!」グググッ

妙子「手が届かない位置にまで秋山さんが移動しちゃいました……」

優花里『うぅぅ』

みほ「優花里さん!!」

沙織「ゆかりーん!!」

エルヴィン「くそー!! 外からでも手が届かない絶妙な位置だぞ!!」

おりょう「うむむ……!! 失策ぜよ!!」

みどり子「煤落とし用の棒を突っ込んでみたら?」

希美「良い考えなのよ、そど子」

桃「それでいくぞ。近藤、もう一度だ」

妙子「はい!!」

典子「秋山さんを救えるのは近藤だけだ!」

妙子「ここから押します!! えーい!!!」ズポッ

優花里『はぁん!?』

華「優花里さん、どうかしました?」

優花里『い、いえ……その……臀部を押されるのはちょっと……その……はずかしいのですが……』

典子「何をしているんだ! 秋山さんを辱めてどうする!! 足の裏を狙うんだ!!」

妙子「すみません!! でも、ここからだと中の様子がよくわからなくて……上手く足を狙えません……」

優花里『我儘ばかりいって、すみません……』

沙織「お、乙女のウィークポイントだもんね! やっぱり、外側から押してあげるほうがいいんじゃない?」

麻子「それだと秋山さんの顔面を押すことになるが」

沙織「顔はダメー!! 乙女の命だもん!!」

優花里『武部殿、いいんです。この際、後ろからでも前からでも突いてください!! 今のは少し驚いてしまっただけですから!!』

沙織「そんなこといわないでゆかりん!! 乙女である以上、そこは守らないと!!」

優花里『こんな私の事など、心配しなくてもいいんです!! 突かれても仕方のない人間なんです!!」

みほ「落ち着いて、優花里さん」

杏「もう一回、足の裏を狙って押してみたら?」

妙子「は、はい、やってみます」

あけび「がんばって、妙子ならできるよ!!」

妙子「うん。今度は慎重に……慎重に……」ズブブブッ

優花里『ぁ……んっ……』

カエサル「作業を中止しろー!! グデーリアンの顔が紅潮している!!」

ももがー「まずいなり!!」

ぴよたん「貞操の危機だっちゃ!!」

梓「貞操とか言わないであげてください!!」

妙子「先輩!! 大丈夫ですか!?」

優花里『う、うん。なんともないよ』

忍「棒で突くのは難しいみたい」

あけび「いい案だとおもったのにぃ」

あや「でも、どうしよう。他に良い手とかある?」

桂利奈「あ! 良い作戦おもいついた!」

あゆみ「お! なになに?」

桂利奈「まずは私が砲身の中に入るの! でね、次は優季ちゃんが入って、その次はあやちゃんが入るの」

優季「あ~、わかったぁ。それでどんどん上の人を押し出していくんだぁ。桂利奈ちゃん、てんさぁい」

桂利奈「えへへ~。名付けてところてん作戦!! これで優花里先輩を助けられるよ!!」

みほ「やめて!」

桂利奈「ダメですか?」

みほ「確かに優花里さんは外に出ることができるけど、中に入った数人が同じように嵌っちゃう可能性が高いから」

優季「あぁ~、そっかぁ。流石、西住隊長」

桂利奈「おみそれしました!!」

みほ「あはは……」

華「しかし、現状では棒で押し出す以外に道はなさそうですが」

優花里『私なら平気です!! そのまま突いてください!!」

カエサル「ダメだ、グデーリアン。お前に恥ずかしい思いをさせたくはない」

優花里『今、まさに恥ずかしいので問題ありません!!』

カエサル「それとこれとは話が違う!!」

エルヴィン「すぐに助け出せると思ったんだが」

モヨ子「上手くいきませんね……」

桃「やはり砲身を切ったほうがよさそうだな」

優花里『……』

みほ「ま、待ってください! まだ諦めるには早いです! もう少しだけ時間をください!!」

桃「まだ早いだと? 西住、名案がでるまで1時間、2時間と秋山をこのままにしておくつもりか」

みほ「それは……」

桃「……勝手にしろ。秋山がこれ以上に恥ずかしい思いをすることになろうとも、私は知らないからな」

柚子「桃ちゃん!」

みほ「……」

杏「河嶋も秋山ちゃんのこと心配してるんだよ」

みほ「会長……」

杏「このままじゃ食事も簡単にはできないし、なによりお手洗いにだっていけないからな」

エルヴィン「そうだった……」

ねこにゃー「トイレにいけなかったら……」

ぴよたん「ペットボトルがあるずら」

ももがー「秋山さんがボトラーデビュー!?」

ねこにゃー「おぉぉ!! ついに私たちの仲間が……!!」

桂利奈「ぼとらーってなに?」

あゆみ「なんだろう?」

優花里『あの……西住殿……』

みほ「なにかな?」

優花里『もういいです』

みほ「え?」

優花里『私の自業自得なのに、ここまで迷惑をかけてしまって、弁明の余地はありません。手段を頼める立場でもありません』

みほ「優花里さん、待って」

優花里『砲身を切ってください。それで解決しますから』

みほ「けど……」

優花里『いいんです。私の所為です。作ってくれた人にも平身低頭で謝ります。大洗の全生徒に向けて土下座したって構いません』

みほ「優花里さん……」

優花里『切ってください……この子を……』

みほ「……」

優花里『ごめんね……私の所為で……切らなきゃいけなくなって……うぅぅ……』

みほ「私は、諦めない。だから、優花里さんも私たちのことを信じてください」

優花里『にしずみ、どの……もう、いいんですよぉ……もう……』

みほ「よくないよ。優花里さんは嬉しかったんだよね。砲身の中に入れて」

優花里『は、はい……』

みほ「何度も入っていいようにするから。これから何度でも砲身の中に潜り込めるように助け方を考えるから」

優花里『にしずみどのぉ……そこまで……そこまでかんがえてくれるなんて……』

みほ「もう少しだけ、辛抱してて」

優花里『はい!! お願いします!! 西住殿!!』

桃「いいのか」

柚子「いいんじゃないかな」

桃「どうなっても知らんぞ」

みどり子「ねえ、そろそろ授業が始まっちゃうけど、みんなは欠席するの?」

麻子「それ以外に道はない」

みどり子「冷泉さんはサボりたいだけでしょ」

麻子「秋山さんを助けたいだけだ、そど子」

みどり子「そんなの私だって同じよ。けど、良い案が出ないなら、ここにみんなが集まる意味もないし、授業にはきちんと出席するべきじゃないかしら」

麻子「こんなときでも仕事か。感心する」

みどり子「学生の本分を忘れるなってことよ」

麻子「秋山さんのことは忘れろというのか」

みどり子「授業を受けながらでも救出方法は考えられるでしょ」

杏「まぁまぁ、そど子」

みどり子「その名前で呼ばないでください!!」

杏「そど子の言うこともわかる。現状、すぐには秋山ちゃんを助けられないし、授業を大人しく受けるってのもアリだな」

みどり子「ですよね」

麻子「会長まで薄情だな」

優花里『私のために欠席日数を増やさないでください、冷泉殿』

麻子「だが……」

杏「とりあえず、一旦解散ってことにして、また放課後に救出活動を再開するって感じで」

桂利奈「優花里先輩がかわいそうですよぉ」

桃「そもそもの原因は秋山自身だ。可哀想などと思うことはない」

あや「え~」

優季「河嶋先輩、きびしすぎますよぉ」

桃「知らん。いくぞ、柚子」

柚子「待ってよ、桃ちゃん」

カエサル「小山先輩まで行ってしまうのか」

柚子「私も救出方法を考えておくから」

桃「早く来い」

柚子「それじゃ、またあとでね」

杏「みんなー、ちゃんと授業にでるようにねー」

おりょう「生徒会の三人は公私混同しないスタイルぜよ」

左衛門佐「グデーリアンの身から出た錆びとは言え、実にさっぱりしているな」

優花里『いいんですよぉ。みなさんも教室へ戻ってください。私も自力でどうにか脱出する術を考えますので』

みほ「優花里さん……」

みどり子「ほら、みんな! 教室に向かってー! 予鈴が鳴るわよー」

麻子「冷血そど子め」

みどり子「何か言った?」

麻子「別に」

沙織「ゆかりん、あの、ホントに大丈夫?」

優花里『呼吸はできますし、サラダ油にまみれている以外に健康状態に問題は見られませんので』

華「心配です」

優花里『早く行ってください。私の所為で五十鈴殿が遅刻してしまっては心が痛みます』

みほ「それじゃあ、優花里さん、あの、次の空き時間にまた様子を見に来るから」

沙織「ゆかりんを外に出す方法、必死に考えるからね!!」

優花里『ありがとうございます!!』

カエサル「後ろ髪を引かれるが、私たちがここにいてグデーリアンが自然と出てくるわけもないからな」

エルヴィン「すぐに戻ってくる!! それまで待っていてくれ!!」

優花里『私のことは気にしないでください』

妙子「次の授業ってなんだっけ?」

あけび「数学だったような」

忍「一日ぐらい欠席してもいいんじゃない?」

みどり子「ダメよ! 行きなさい」

忍「は、はい」

キーンコーンカーンコーン

優花里(みなさん、授業に間に合ったでしょうか)

優花里(いつまでも西住殿たちに甘えてはダメ。自分の力でどうにかしないと)

優花里『ふーん!! んー!!』

優花里(どこに力を入れても空転しているような感覚……。これでは手の打ちようが……)

優花里(やっぱり砲身を切って……)

桃「秋山」

優花里『え? 河嶋殿ですか?」

桃「砲口からチューブを投入する。それを咥えろ」

優花里『は、はい』

桃「入れるぞ」スルスル

優花里『はむっ』

桃「咥えたか?」

優花里『ふふぁえふぁふぃふぁ』

桃「では、思い切り吸え」

優花里『んー!!』チュゥゥゥ

桃「もっとだ。もっと強く」

優花里『んんんー!!』チュゥゥゥ

優花里(これは……お茶……!)

桃「飲めたか」

優花里『ふぁい! ふぉふぇふぁふぃふぁ!!』

桃「そうか。水分補給は問題なさそうだな」

優花里『ふぁふぁふぇふぁふぉふぉ、ふぉうふぃふぇ……』

桃「では、もう行く。喉が渇けばそれを吸え。1リットル分はある」

優花里『ふぁふぁふぇふぁふぉふぉー!?』

優花里(河嶋殿、私のために用意してくれたのですか)

優花里(今、ゴム戦車を壊すこともできたのに)

優花里(河嶋殿、ありがたくいただきます)

優花里「ふむー!!!」チュゥゥゥゥゥ!!!

優花里(とても美味しいです、河嶋殿!)

杏「河嶋ぁ、どこ行ってた?」

桃「秋山の様子を見にです」

柚子「お茶を持って?」

桃「見てたのか」

柚子「見えちゃった」

杏「なんで砲身を切らなかった? 河嶋は早いとこ秋山ちゃんを出したいって言ってたのに」

桃「特に理由はありません」

杏「ふふん」

桃「本当です」

柚子「砲身を切って助けた後のことを考えると、気が進まないよね」

杏「秋山ちゃん、絶対悲しい顔をするだろうからなぁ」

桃「しかし、今日中には絶対に秋山をあそこから出します」

杏「わかったわかった。んで、河嶋ぁ」

桃「はい?」

杏「秋山ちゃんにお茶を飲ませたの?」

桃「秋山!! すまない!! お茶は全部飲むな――」

みどり子「ほら、秋山さん。スポーツドリンクを持ってきたから、これも飲んで」

優花里『よろしいのですか!?』

モヨ子「はい。ごはんも食べられないだろうし」

希美「これでなんとか飢えを凌いでほしいです」

優花里『私なんかのために……うぅぅ……。よろこんで、いただきます。んんー!!!』チュゥゥゥゥ!!!

みどり子「このこと、冷泉さんには内緒よ。何を言われるかわからないんだから」

希美「ほんとは恥ずかしいだけ」

みどり子「うるさいわよ、パゾ美!」

モヨ子「でも、河嶋さんがチューブを用意してくれていて良かった。そど子は砲口から流し込もうとしてたから」

桃「あぁ……」

柚子「桃ちゃんと同じことを考えてる人がいたみたいだね」

杏「すぐに影響は出ないだろうけど、見えない制限時間はできたな」

桃「そど子!! 何をしているんだ!!」

みどり子「な……!? これは、別に秋山さんの心配とかじゃなくて、ただ飲み切れなかったジュースの廃棄場所を探していて……」

キーンコーンカーンコーン

沙織「授業中に良い作戦を思いついちゃった!!」

みほ「ホント!?」

沙織「あのゴム戦車を戦車で振り回すの! 遠心力でゆかりんが出るんじゃない!?」

華「はぁ……」

みほ「……」

沙織「あれ!? ダメかなぁ!?」

麻子「秋山さんが吹っ飛ぶし、ゴム戦車も傷つき、最悪バラバラになるかもしれないぞ」

沙織「そ、そっかぁ」

桃「どうしよぉ、ゆずちゃぁん」

柚子「桃ちゃん、自分で秋山さんがこれ以上に恥ずかしい思いをすることになるって言ってたのに」

桃「それは秋山が大洗新聞の一面に載ってしまうことを心配しただけで、トイレのことじゃないよぉ」

柚子「そこを心配してたんだ」

みほ「なにかあったんですか?」

杏「ああ、西住ちゃん。いやぁ、それが結構まずいんだよねぇ」

みほ「えぇ!? それじゃあ、優花里さんは短時間に2リットル近くの水分を摂ったんですか」

杏「そうなるね」

麻子「なんてことをしてくれたんだ、そど子」

みどり子「な、なによ! こっちは秋山さんのことが心配で……」

優花里『冷泉殿、園殿を責めないでください。私も朝ご飯以降、何も口にしていなかったとはいえ、卑しいことをしてしまったのですから』

華「目の前に美味しいものがあれば、自然と喉を通ってしまうものですから」

沙織「ゆかりん、まだなんともない?」

優花里『はい。今のところは』

ねこにゃー「ペットボトルはあるから安心して」

ももがー「もしものときは煤落とし棒の先端にペットボトルをくっつけて、後ろから突っ込むなり」

ぴよたん「それで全部回収したらいけるぅ」

沙織「いけないわよ!!」

杏「あんまりゆっくりはしていられないかもな」

みほ(朝ごはんも食べているなら、それも色々と影響してきそうだけど)

優花里(ん……? いや、気のせいです。気のせい、気のせい)

杏「秋山ちゃんを助け出す良い案はある?」

みほ「それがまだ思いつかなくて」

典子「秋山さんの足にロープを括りつけて戦車で引っ張るというのはどうですか?」

エルヴィン「足に括りつけようにも手が届かないぞ」

典子「あぁ……そうでした……」

あゆみ「やっぱ、桂利奈のところてん作戦しかないと思います!」

梓「だから、助けに入った人が嵌っちゃうから危ないってば」

おりょう「トリモチをつけた棒でグデーリアンを引き摺り出す作戦はどうぜよ」

希美「秋山さんに届く前にゴムとかに引っ付きそうですけど」

ねこにゃー「あのぉ、ボクも考えたんだけど、阪口さんのところてん作戦を人がやるんじゃなくて砲弾でしてみたらどうかな?」

みほ「砲弾で?」

柚子「そっか。砲弾で秋山さんを押し出せば……」

桃「秋山を外に出せる!!」

桂利奈「おぉ!! かなり名案ですよぉ!! 猫田先輩!!」

ねこにゃー「い、いや、阪口さんのおかげだから」

沙織「それでいこう! それで!! ゆかりん、もうちょっとだけ待っててね! すぐに出してあげるから!」

優花里『はい!! まだまだ頑張れます!!』

みほ「……」

華「みほさん、何か気になることでもあるのですか?」

みほ「ううん。やってみることに価値があると思うから」

華「そうですか」

妙子「ありったけの訓練弾を持ってきました!!」

杏「おーし。それじゃ、装填かいしぃ」

カエサル「装填なら装填手の出番だな」

桃「各チームの装填手は集合しろ!!」

典子「はい!!」

紗希「……」

ぴよたん「がんばるずら」

スズキ「やるよぉ」

希美「秋山さんのために装填します」

桃「順番に装填していく。恐らく結構な数の砲弾を装填しなければならないだろう。疲れたら交代する。いいな」

「「おー」」

桃「秋山、待っていろ。これで必ず外に出ることができるぞ」

優花里『よろしくお願いします、河嶋殿!』

桃「まずは一発目を」グググッ

桃「一発……目……を……!!!」グググッ

桃「くっ……」

典子「何をしているんですか!? 早く、装填をしてください!!」

桃「は、はいらないんだぁ……!!」

柚子「桃ちゃん、弱すぎ……」

桃「そういうなら誰か代われ!!」

カエサル「私に任せてくれ!! グデーリアン!!」

優花里『カエサル殿!! ご迷惑をおかけします!!』

カエサル「不幸に屈することなかれ、いや、むしろ大胆に積極果敢に、不幸に挑みかかるべし!!!」ググググッ

カエサル「あれ? こ、の……!!」ググググッ

みほ「潤滑油がないとゴムの摩擦が邪魔をして入れにくいと思います」

典子「それもそうですね」

桃「砲弾にサラダ油を塗りたくれ!!」

典子「はい!!」

みほ「いえ! 砲弾に塗ると滑って持てなくなりますから!」

ぴよたん「それじゃあ、穴のほうにぬるずら」

紗希「穴を濡らす」ヌリヌリ

スズキ「これぐらいでいいんじゃない?」

桃「おほん。では、改めて」

桃「いくぞ!!」ヌルンッ

桃「よし!! これなら入れられるぞ!!」

沙織「どんどん入れちゃってください!!」

桃「任せておけ!!」ヌルンッ

ねこにゃー「成功するかもぉ」

優花里(これは……気のせいじゃない……? いえ、やはり気のせいです)

杏「今、何発目?」

柚子「ももちゃーん、いくつ入れたのー?」

桃「5発目だ……!!」グググッ

麻子「左衛門佐さん。秋山さんは動いているか?」

左衛門佐「僅かながら出口に向かってきてはいるが、微々たるものだな」

桃「ふっ……う……!!」

カエサル「河嶋先輩の動きがかなり鈍くなっているな」

みほ「砲弾が重なっていくことで、とても重たくなっているはず……」

カエサル「そうか。それに加えてグデーリアン自身の体重もあるから、そう簡単に押せないのか」

華「サラダ油を使っていても装填しにくくなるのですか」

麻子「量の問題だろうな。砲弾を奥の奥まで滑らせることができるほどの量は使っていないはずだ」

忍「なら、砲口からもっと油を注ぎましょう」

みほ「そんなことしたら優花里さんが油で溺れてしまうかも」

あけび「油で溺れたくはないかもぉ」

桃「はぁ……はぁ……!! おい!! 誰か交代してくれ!!」

カエサル「くっ……!! うぅぅ……!!!」

おりょう「カエサルでも無理っぽいぜよ」

ぴよたん「私がやるだっちゃ!」

カエサル「すまない。あとのことは、頼む」

ぴよたん「いくずらぁ!! ぴよ、たーん!!」グッ

左衛門佐「グデーリアンが更に動いたぞ!!」

ももがー「いくなりー、ぴよたーん」

ぴよたん「もういっぱつぅ!!」ググッ

左衛門佐「その調子でござる!!」

優花里『おぉ!! もう少しです!!』

ねこにゃー「が、がんばれ、ぴよたん!」

ぴよたん「ふぬぬぬ……」ググッ

ナカジマ「失速しちゃったかぁ」

ツチヤ「結構、秋山さんの顔は近づいてるけど、まだ中指すら掠められないな」

優花里「もうちょっとでツチヤどの指が届きそうなのですが……」

ツチヤ「本当にあと少しなんだけどなぁ」

優花里『ツチヤ殿ー!!』

優花里『んっ』ピクッ

優花里(あぅ……。つ、ついに無視できないレベルになってきました……)

ツチヤ「秋山さん、どうかしたー?」

優花里『いえ、なんでもありません』

ぴよたん「アリクイ根性みせてやるってばよー!!!」ググッ

ねこにゃー「がんばるんだにゃー!!」

ぴよたん「んー!!!」

ぴよたん「もう、だめなりぃ……」

ももがー「ギブアップぞな!」

桃「ここまでか。おい! どうだ!!」

左衛門佐「まだ無理でござる」

ナカジマ「あと2センチで指は辛うじて掠りそうってレベルですね」

優花里(ま、まずい……これは……危険です……)

典子「根性で装填だー!! 一緒に押せばなんとかなる!!」グググッ

ぴよたん「おー!!」

妙子「二人で装填は無理だと思いますけどー!」

カエサル「いや、全てがゴムでできていることを忘れるな。左右に引っ張れば、二人が腕を突っ込むこともできるはずだ」

桃「そうか! 左右を引っ張れ!!」

スズキ「オッケー。いっくよー」

希美「オーエス、オーエス」グニグニッ

紗希「……」グニーッ

ぴよたん「少し開いたずら!」

典子「これで二人で腕を突っ込める!!」ググッ

ぴよたん「イクゾー!」ググッ

ツチヤ「おー! 更に秋山さんが近づいたよ!!」

ナカジマ「中指が秋山さんの鼻に触れることができるところまではきてるよー」

ホシノ「あと少しだ! がんばれ、秋山さん!!」

優花里「は、はぃ」

沙織「もうちょっとだよー、ゆかりーん」

みほ「けど、そろそろ……」

典子「くぅぅ……!!」

ぴよたん「うごけうごけうごけー!!」

桃「やはり、限界なのか」

杏「うーん。これ以上は進まなさそうだねぇ」

柚子「そんな……。ここまで来たのに……」

杏「秋山ちゃん、調子どう?」

優花里「はやく、そとに、でたい、ですぅ」

みほ「優花里さん? 凄い汗だけど……」

優花里「ご、ごむにつつまれていると、その、蒸れるので……」

杏「西住ちゃん」

みほ「はい。――優花里さん、砲身はやはり切らないでおきたいかな?」

優花里「うぅ……」

みほ「時間、もうないよね」

優花里「……」

華「時間とは?」

杏「秋山ちゃんにはタイムリミットがある」

沙織「タイムリミットですか?」

麻子「秋山さんが閉じ込められてから既に5時間以上は経過している。5時間もあれば生理現象の一つぐらいは訪れるだろうな」

華「まさか……優花里さん……」

沙織「ゆかりん、お手洗いにいきたいの?」

優花里「……」

みほ「優花里さん、答えて」

優花里「……いえ、私は別に催してなどいません」

みほ「それは、砲身は切らないってこと?」

優花里「お願いします、西住殿。この子は無傷のままでここに、大洗の正門横に居てほしいんです」

みほ「けど……」

優花里「心配いりません。まだ1時間はこのままでもなんとかなります」

麻子「1時間なのか」

おりょう「我慢は体に毒ぜよ」

左衛門佐「グデーリアン、便所に行きたいのならそう言え」

エルヴィン「しかし、トイレに行きたいと宣言してしまえば、それはこのゴム戦車にメスを入れることになる」

カエサル「なにより、お手洗いに行きたいと公表するのは恥ずかしいな」

桃「恥ずかしがっている場合か!! 秋山!! 我慢しているのか!?」

優花里「が、我慢なんて、していません……このまま……続けて、ください……」

忍「とてもそうには見えないけど」

あや「そーだ! 猫田先輩の作戦を実行するときじゃないですか!?」

ねこにゃー「おぉ! そうだった。ペットボトル大作戦、発動のときだぁ」

桂利奈「やっちゃってください!! 猫田先輩!!」

ねこにゃー「ぼ、ボクが活躍できるなんて……」

あゆみ「早くしてください! 優花里先輩、大ピンチですから!!」

沙織「ペットボトルのほうが何十倍も恥ずかしいと思うんだけど!? 大体、いれちゃったあとはどうするのよ!?」

みほ「ペットボトルを入れるには砲弾を全部出さないといけないよね」

ねこにゃー「あ……このままじゃ、ペットボトルは入れられない……」

典子「砲弾を出しましょう!!」

あや「どうやって出すんですか?」

優季「装填しちゃったら、出せないんじゃない?」

あゆみ「引っ張り出そうにも、そこまでゴムは伸びそうにないしね」

典子「うーん……。そうだ!! 発想を逆転させるんだ!!」

あけび「どういうことですか?」

典子「いい? 砲弾の取り出し方法は引っ張るだけじゃない。押し出すこともできるはず」

妙子「分かった。秋山先輩を上から押して砲弾を出すんですね」

典子「逆ところてん作戦よ!!」

忍「キャプテン、冴えてますね!!」

典子「おすぞー!!」

みほ「やっと出かかっているのに戻しちゃダメです!!」

桃「秋山。やせ我慢はするな。このまま時間が過ぎて行けば、お前自身が不利益を被るんだぞ!?」

優花里「私は、信じています。たとえ、最悪の結果になってしまっても、みなさんは……みなさんは……私を受け入れてくれると……」

華「粗相をしてしまっただけで優花里さんのことを嫌ったりは当然しませんが、優花里さん自身が大きな傷を負うことになるのでは?」

優花里「平気です。それに、西住殿は信じてほしいと言ってくれました。だから、信じます」

みほ「あ……」

優花里「必ず、この子は無傷のままで……だから……その……」

みほ「優花里さん?」

優花里「もう……かくごは……できています、ので……お気になさらず……じかん、を、かけて……うぅ……」

カエサル「もう無理だ!! 河嶋先輩!! 切ってくれ!!」

桃「柚子!! のこぎりをもってきてくれ!!」

柚子「う、うん!!」

みほ「待ってください!!」

柚子「え……」

桃「西住!! 何の真似だ!!」

みほ「私が、装填します」

沙織「みぽりん、どういう……」

みほ「あとちょっとで優花里さんを助け出せるんです。ほんの1メートルで優花里さんの顔が砲口から出るはずです。そうしたら、あとは引っ張り出せます」

みほ「ゴム戦車も切らずに済むんです。だから、もう少し時間をください」

優花里『に、しずみどの……』

みほ「救ってみせる。優花里さんも、戦車も」

優花里『西住殿ぉ……』

みほ「行くよ!」グググッ

カエサル「西住隊長! 二人がかりでもビクともしなかったんだ!! ここは切るしか救出する術はない!!」

みほ「優花里さんは、絶望的な状況でも私のことを信じてくれています……!! 私は……それに……応えなきゃ……!!」ググッ

優花里『に、にしずみどの……そこは……危険です……すぐにでも……離れて……くださ……い……』

みほ「大丈夫! 砲弾が詰まってるから、流れてはこないはず!!」

沙織「そういうことじゃないと思うんだけど!?」

みほ「それに万が一、流れてきても私が受け止めるから」

優花里『えぇ!?』

桃「西住!! もうやめろ!! ゴム戦車の砲身を切る以外に秋山を救う方法はないんだ!!」

杏「河嶋」

桃「は、はい?」

杏「持ってきてほしい物がある」

優花里(もう……限界ははるかに超えています……楽になりたい……だけど……)

みほ「ふ……う……!!」グググッ

優花里(私の射線軸には西住殿がいる……。決壊させるわけには絶対にいきません……)

みほ「動いて……お願い……!!」ググググッ

みほ「優花里さんを……助けたい……優花里さんを……だから……!!」

みほ「動いて!!」ググググッ

華「みほさん。やめましょう」

みほ「華……さん……。ごめんなさい。譲れないの……これ、だけは……」

華「一人でできることには限界がありますよ」

みほ「え……」

沙織「みぽりんは何があっても見捨てないもんね」

麻子「さっさと秋山さんを救出するぞ」

みほ「みんな……」

華「共に進んでこその戦車道ですわ」

優花里(あぁ……武部殿、五十鈴殿、冷泉殿までが……私の……射線軸に……益々、我慢しないと……がまん、を……)

麻子「私と沙織で装填口の左右を引っ張る。西住さんと五十鈴さんで押し込んでくれ」

みほ「うん!」

華「分かりました」

沙織「麻子! せーのっ!」

麻子「ほい」グニーッ

華「今です、みほさん!」

みほ「優花里さんを助ける!!」ググググッ

華「想いは一緒ですわ!!」ググググッ

沙織「どうかなー!? うごいてるー!?」

ナカジマ「いや、全然だめだよー」

典子「西住さん!! 五十鈴さん!! 根性です!! こんじょー!!」

みほ「うぅぅ……!!」

華「重い……けれど……これぐらい……優花里さんの辛さに比べれば……!」

ねこにゃー「ボクたちに今、できることはないのかな」

梓「西住先輩……。何か、何かお手伝いができれば……」

華「くっ……!」

みほ「ふぅぅ……」

エルヴィン「無茶だ。二人では動かせるわけがないんだ」

左衛門佐「こんな言葉をしっているか? 矢一本なら一人の力で折ることができるが、三本となったときはなかなか折れない」

おりょう「毛利元就ぜよ」

あや「なんですか、それ?」

左衛門佐「二人でダメならば、三人で押すべし!!」

カエサル「左衛門佐!?」

左衛門佐「助太刀するでござる!!」

みほ「杉山さん!」

左衛門佐「三人ならば、動くかもしれないでござる」

華「そうですね。お願いできますか、杉山さん」

左衛門佐「応!!」

おりょう「本名で呼ばれているのに気が付いてないぜよ」

カエサル「かなり興奮しているときの左衛門佐だな」

麻子「まて。三人分の腕が入るほど広げられはしないぞ」

沙織「ここのゴム、結構かたいよね」

左衛門佐「ならば、腕に油を塗るか」

みほ「それをするなら……。阪口さん!!」

桂利奈「あーい! なんですか!?」

みほ「本当はこんなこと頼みたくはないけど……」

桂利奈「はい?」

みほ「ごめんなさい。もう本当に時間がないから、阪口さんに頼まなきゃいけない」

桂利奈「なにいってるんですか! 先輩の頼みならどんなことだってやりますよぉ!!」

優季「桂利奈ちゃんに何をさせるんですかぁ?」

みほ「……まずは、体操服に着替えてくれる?」

桂利奈「はい!! ちょっと待っててください!! 教室に体操服はあります!!」テテテッ

華「みほさん、何を考えているのですか」

みほ「宇津木さん。サラダ油をできるだけ集めてくれないかな」

優季「はぁい。わかりましたぁ」

桂利奈「着替えてきましたー!!!」

みほ「磯辺さん。このロープを阪口さんの腰に括りつけてください」

典子「はい!! ちょっとごめんね」

桂利奈「どうするんですか?」

麻子「そういうことか」

ねこにゃー「ど、どういうこと?」

麻子「阪口さんが提案したところてん作戦を実行するんだろう」

梓「けど、あれは西住先輩自身がダメだって」

麻子「中に取り残される問題はああしてロープを括りつけることで解決できる」

梓「そういえば……」

ももがー「だったらどうして実行しなかったなり?」

麻子「ロープが途中で解けてしまい中に取り残される可能性は否定できないし、なにより狭い空間に閉じ込められるというのは想像以上の恐怖だ」

麻子「西住さんはそういったことを実行したくはなかったんだろう。自分自身では中に入ることが難しい。だからといってそうしたことを身体の小さな人に任せることもできなかった」

あゆみ「ってことは、桂利奈を中に……」

優季「油、もってきましたよぉ」

あや「桂利奈ちゃんの上半身だけをヌルヌルにしちゃえー」

桂利奈「ヌルヌルだぁ!」キャッキャッ

みほ「阪口さん、入るときは両腕を真っ直ぐに伸ばして入ってください」

桂利奈「はいっ」

優季「桂利奈ちゃん、ぬるぬるぅ」

紗希「ヌルヌル」

カエサル「そのまま阪口さんを押し込み、グデーリアンを押し出すのか」

沙織「けど、今のままでも押せないのに、桂利奈ちゃんを押し込めるのかなぁ」

麻子「阪口さん自身が中で腕を動かせればなんとかなるかもしれない」

華「多少、腕を屈伸させられたらいいんですけど」

みほ「阪口さんなら、できると思う」

優季「はぁい、ぬるぬる桂利奈ちゃん、かんせー」

梓「桂利奈! 怖いかもしれないけど、頑張って!」

あゆみ「桂利奈の腕にかかってるんだからね!!」

桂利奈「あいぃ!!!」

みほ「それじゃあ、いくよ」

桂利奈「いつでもどうぞ!!」

みほ「せーの! えい!!!」グイッ

華「はい!」グイッ

左衛門佐「突貫!!!」グイッ

桂利奈『ゆかりせんぱーい!!!』

優花里『あぁ……はいってきちゃった……』

桂利奈『今、助けますからね!!』

みほ「阪口さん!! 私の掛け声で砲弾を押し上げて!!」

桂利奈『はい!!』

みほ「――撃て!!」

桂利奈『ぅおりゃー!!』

みほ「どうですか!?」

ナカジマ「ごめん!! うごいてないよー!!」

桂利奈『もういっちょー!!』

優花里『西住殿!! 早く!! 阪口殿を外へ!!』

みほ「もう少し時間をください!!」

優花里『いやしかし!!!』

みほ「――撃て!!!」

桂利奈『おりゃー!!!』

ツチヤ「ダメだね。一ミリも動いてない」

みほ「そんな……これでもダメなんて……」

ねこにゃー「ボ、ボクが入ったら、うごいたのかな……」

みほ「磯辺さん! 少しだけロープを引っ張ってください!!」

典子「はい!! そーれ!!」グイッ

みほ「華さん、杉山さん。阪口さんの足を勢いよく押し込もう」

左衛門佐「それしかないか」

華「阪口さん、腕をなるべく真っ直ぐ伸ばしていたほうがいいです」

桂利奈『はいっ!!』

みほ「ごめんなさい、本当に。……これが最後のチャンス」

沙織「最後なら、あの掛け声でいいんじゃない?」

みほ「え?」

カエサル「うん。いつものあれがいいかもしれないな」

エルヴィン「気合も入るというもの」

妙子「やってください、西住先輩!!」

忍「それで秋山先輩を救ってあげてください」

みほ「あれって……」

おりょう「決め台詞があるぜよ」

みどり子「決め台詞とは違うんじゃない?」

希美「前に進むための掛け声だからね」

華「いいですね。みほさん、お願いしますわ」

左衛門佐「あれなら篭る力も五割増しだな」

桂利奈『やっちゃいましょう!!』

みほ「みんな……。うんっ。それじゃあ……」

みほ「パンツァー・フォー!!!」グンッ!!!

桂利奈『アターック!!!!』

あや「いっけー!!!」

桂利奈『一年なめんなー!!!』グンッ!!!

ナカジマ「かなり動いた!!」

ホシノ「これなら顔を掴んで引き摺り出せる!!」

みほ「自動車部のみなさん!! できますか!?」

スズキ「これだけみえてれば……!!」ガシッ

優花里「おぉう」

スズキ「引っこ抜ける!!」ズズッ

ナカジマ「もう出るよ! これ!!」

みほ「はぁ……これで……なんとか……」

典子「もう阪口さんを出しますかー?」

みほ「はい!」

典子「よーし!! 根性でひけー!!」グイッ

桂利奈「ぷはぁ!?」ズルンッ

優季「桂利奈ちゃん、どうだったぁ?」

桂利奈「もうね、すっごく狭くて、砲弾しかみえなかった」

麻子「身動きはとれなかったか」

桂利奈「はい。ゴムで全身が潰れるかと思うぐらいの圧迫感でした」

華「それほどの密度があったのですね」

梓「とにかく無事でよかった」

華「あら……」クンクンッ

沙織「華? 何を嗅いでるのよ」

華「いえ……。阪口さんから、わずかにアンモニア臭が……」

みほ「……!」

桂利奈「え?」

梓「そうですか? 全然わかりませんけど」

華「では、気のせいでしょうか」

麻子「間に合わなかったのか」

みほ「しまった……!! 優花里さんを外に出すのは待ってください!!!」

ナカジマ「待って!! 西住さんが何かいってる!」

スズキ「え?」グイッ

優花里(これでいいんです……これが代償……私はそれだけのことをしてしまったのですか――)

杏「――放水開始!!」

柚子「えーいっ!」バシャァ!!!!

優花里「うわっぷ!?」

ナカジマ「おとと!」

モヨ子「い、いきなり何をするんですかぁ」

杏「だって、秋山ちゃんはずっとサラダ油にまみれてたんだから、絶対に気持ち悪いはずだ」

桃「一刻も早く、洗浄してやったほうがいいだろうという会長のお心遣いだ。感謝しろ、秋山」

柚子「えーい」バシャァ

優花里「うわぁぁ」

沙織「着替えとか、どうするのよ」

みほ「優花里さんの体操服を持ってこないと!! 下着は……私のを貸せば……」

沙織「みぽりん、替えの下着あるの?」

杏「そのままゆっくり秋山ちゃんをひっぱりだしてー」

ツチヤ「はーい。オーエス、オーエス」グイッ

優花里「うぅ……」

柚子「秋山さん、お水かけるよー」バシャ!!

優花里「うぷっ」

桃「秋山、替えの下着と体操着は用意している。更衣室で着替えて来い」

みほ(そこまで用意してたんだ)

優花里「これは……」

杏「河嶋に用意させた。新品だから何も気にしなくていいよー」

優花里「いいのですか……」

杏「はやくいっといで。風邪ひいちゃうよ」

優花里「あの……ありがとうございます……」

柚子「お礼はあとでゆっくり聞くから」

桃「早く行け」

優花里「りょ、了解です」

杏「あと、ちゃーんとトイレもいっておくんだよー」

柚子「会長。そういうことは大声で言わないでください」

杏「そう? 大事なことだし、ちゃんと言っておいた方がいいだろ」

カエサル「間に合ってよかった」

エルヴィン「危ないところだったな」

おりょう「園氏の善意が仇になったぜよ」

みどり子「な、なによ! 私だけが悪いわけじゃないでしょ!?」

モヨ子「うん。私たちの所為だしね」

希美「ごめんなさい」

左衛門佐「まぁまぁ。悪気はないし、全てはグデーリアンを心配してのこと。誰も責めてはいけない」

ねこにゃー「そうです。そど子先輩、気に病むことはないです」

みどり子「わかってるわよ。あと、そど子はやめなさい」

みほ「会長……」

杏「しーっ。秋山ちゃんだって、恥ずかしいんだから」

みほ「本当にありがとうございます」

優花里「ただいま戻りました」

みほ「優花里さん!」

沙織「ゆかりん、なんともない?」

華「怖くありませんでしたか?」

麻子「静脈血栓塞栓症にはなっていないか?」

桂利奈「なんですか、そのナントカけっせんなんとかって」

麻子「エコノミークラス症候群とも言われているものだ。同じ姿勢で居続けると発症する」

あや「きいたことあるぅ」

優季「どうなっちゃうのぉ?」

あゆみ「死んじゃうやつだっけ?」

桂利奈「えぇぇぇ!? 優花里先輩、しんじゃうのー!? やだぁ!!」

あや「死なないでくださぁい!!」

優花里「だ、だいじょうぶ!! 別に呼吸困難にはなってないし、脈も正常だから!!」

みほ「よかった……本当に……」

優花里「みなさん!! この度は本当に、本当に申し訳ありませんでした!!! この失態、どう償えばいいのかもわかりません!!」

典子「失敗は誰にだってありますから」

優花里「いや、でも……今回は度を越えてしまっていますので……」

桃「全くだ!!」

優花里「ひっ」

桃「お前の軽率過ぎる行動のおかげで、どれだけの人員が迷惑をこうむったと思っている!!」

桃「大体、砲身の中に入ってみたいなどという動機もぜんっぜんわからん!!」

優花里「すみません……返す言葉はありません……」

桃「もうこのゴム戦車には二度と近づく――」

杏「はいはい。わかったわかった」

桃「会長!! ここでガツンと言っておかなければ、また同じことを仕出かすかもしれないんですよ!?」

杏「秋山ちゃんが心配なんだよな」

柚子「真っ先に飲み物を持って行ったもんね、桃ちゃん」

桃「それは今関係ない!! あと桃ちゃんと呼ぶな!!」

希美「そど子も風紀委員長としての立場あるから、心配していることを表に出せず、仕方なく一度みんなを教室に戻したんです。で、秋山さんに差し入れを」

みどり子「言わなくていいでしょ!?」

沙織「そういうことだったんですか」

みどり子「風紀委員として当然の行動をとっただけ」

モヨ子「恥ずかしいだけ」

麻子「そど子」

みどり子「あーもー!! 笑いたきゃ笑いなさいよ!! 後のことは確かに考えてなかったわよ!!」

麻子「ありがとう。私の親友をそこまで気にかけてくれて、嬉しいぞ」

みどり子「な……あ……?」

麻子「秋山さんを窮地に立たせた失態は、私の欠席日数オール削除で許してやる」

みどり子「はぁ!? 全国大会のときに消したでしょ!?」

麻子「また増えたんだ」

みどり子「ふやすなー!!」

杏「ま、とりあえず秋山ちゃんは救出できたんだし、めでたしめでたしだな」

みほ「はいっ」

優花里「私、もうこの子には近づきません」

杏「なんで?」

優花里「また砲身の中に入りたくなってはいけませんから」

みほ「助け出す方法は分かったから、別に気にしなくても」

華「そうですわ、優花里さん。思う存分、自分を装填してもいいのですよ」

優花里「いえ。お心遣い感謝しますが、これだけのことをしてしまったのです。とても遊ぶ気にはなれません」

みほ「優花里さん……」

杏「それじゃあ、なんのために西住ちゃんががんばったのかわかんなくなるんじゃない?」

沙織「みぽりんはゆかりんに思う存分遊んでほしくて、無傷で救ったのに」

優花里「……」

みほ「無理もないよね。私だって、遊ぶ気にはなれないと思うし」

優花里「何より、私だけですよね。こんな子供みたいなことで危ない目にあって、みなさんに迷惑までかけてしまうなんて……」

優花里「申し訳ありませんでした」

桃「そ、そんなに落ち込まなくても……」

柚子「桃ちゃん、さっきまで責め立てていたのに」

優花里「無傷でこの子がここにいる。それだけで十分です。あ、でも、みなさんはたくさん触れてあげてくださいね。掃除はあとでやっておきますので」

梓「掃除? ああ、そうですね。油まみれですもんね」

優花里「では!! 今から清掃を始めます!! みなさんは教室にもどっていてください!!」

ナカジマ「すっきりしないな」

ホシノ「仕方ないって。誰だって大騒ぎになった原因が自分なら、また同じようなことをしようとは思わないし」

ぴよたん「少し可哀想……」

カエサル「グデーリアンを元気付けるのには、時間が必要かもしれない」

エルヴィン「……会長。ゴム戦車は商品化を狙っていると言ったな」

杏「ん? ああ、そうみたいだな」

エルヴィン「では、Ⅳ号戦車だけではなく、他の戦車も作ったほうがいいと思うが」

杏「ん?」

みほ「それって、Ⅲ突とかも作ってほしいってこと?」

エルヴィン「いや。大洗を象徴する戦車はⅣ号だけでいい。だが、聖グロリアーナやサンダースは違う戦車でなくてはならないはずだ」

おりょう「そうなるぜよ」

カエサル「アンツィオならカルロベローチェか」

華「あ、それなら花を活けられるようにしてほしいです」

杏「なるほどねぇ。それもいいな」

――数日後――

優花里「はぁ……」


沙織「ゆかりん、またゴム戦車見てため息ついてる」

華「あの戦車がある限り、あの日のことを思い出しているみたいですね」

みほ「うん……」

麻子「おい」

沙織「麻子? おはよう。どうしたの?」

麻子「今朝のネットニュースは見たか」

華「いえ」

みほ「何か書いてあったの?」

麻子「各校で大事件が起こったらしい」

沙織「各校ってどことどこ?」

麻子「聖グロリアーナ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、そして黒森峰だ」

みほ「黒森峰!? な、なにがあったの!? 麻子さん!!」

麻子「ネットニュースを見ればわかる。恐ろしい事件だ」

――聖グロリアーナ女学院――

オレンジペコ「ダージリンさまー!? どこですかー!?」

アッサム「戦車道の授業が始まってしまいますよー!!」

ルクリリ「ダージリン様ー!! どこに行ってしまったんだ」

アッサム「授業をサボタージュする御人ではないのに……」

オレンジペコ「ダージリン様の身になにかあったのでは……」

ローズヒップ「あの中にいるのではございませんこと!?」

オレンジペコ「昨日、大洗から寄贈されたゴムのマチルダⅡですか?」

アッサム「先ほど見たけど、誰も乗っていなかったわ」

ローズヒップ「砲身の中にいるかもしれませんわ」

ルクリリ「それはない」

オレンジペコ「ダージリン様がどうして砲身の中にいるのですか」

ローズヒップ「あの中に入ってみたいと思ってしまうときが稀にあるからですわ!!」

アッサム「いいから、真面目に探しましょう」


ダージリン『ローズヒップ……。中々の勘をしていますわね……。さて、そろそろ恥を捨てるときがきたようね。でないと、更に恥を上塗りすることに……な、なりそう……』モジモジ

――サンダース大付属高校――

ケイ「へループ!!!」

アリサ「え? な、なにやってるんですかぁ!?」

ケイ「アリサー!! ヘルプミー!!」

アリサ「何故、砲身に貴方が!?」

ケイ「いやー、ゴムのファイアフライが届いたから、砲身の中に入れると思ったのよねぇ。でも、見ての通り胸が引っかかちゃってさぁ、身動きとれないの。だから、助けて」

アリサ「……」

ナオミ「せめて装填口から入ればよかったのに」

ケイ「それも考えたけど、私は外から中にいってみたかったのよ」

アリサ「全く動けないんですか」

ケイ「もうジャストフィットしちゃってるわ。あははは。ドンマイ」

アリサ「砲身を切ります」

ケイ「ストップ!!! 大洗からのプレゼントなんだから、切らない方法で助けて」

アリサ「嫌です」

ケイ「ノー!!! アリサー!!」

――アンツィオ高校――

パァン!!!

アンチョビ「何の音だ!?」

カルパッチョ「あちらから聞こえてきたようですが」

アンチョビ「銃声か!?」

ペパロニ「……」

アンチョビ「ペパロニ!! なにがあった!!」

ペパロニ「……」

アンチョビ「おい!! しっかりしろ!! どうしたんだ!?」

ペパロニ「あ、姉さん……」

カルパッチョ「ドゥーチェ、ゴムのカルロベローチェが……」

アンチョビ「機銃身がなくなっているぞ」

ペパロニ「……機銃って、人が入れるようにはなってないんすね」

カルパッチョ「中に入ろうとしたんですか」

アンチョビ「アホかぁ!!! ゴムが千切れただけで済んだからいいものの!! もし窒息したらどうするんだ!!!」

――プラウダ高校――

カチューシャ「はっしゃー!!」ポンッ

ニーナ「おぉー! カチューシャ様、いい具合に発射できるんだべな」

カチューシャ「KV-2の砲身なら、なんてことないわ!」キャッキャッ

ノンナ「……」

カチューシャ「ノンナもやってみる?」

ノンナ「はい」

ニーナ「ノンナ副隊長、入れるっぺな?」

ノンナ「問題はないはず」

カチューシャ「私が装填してあげるわ!!」

ノンナ「では、お願いします」

カチューシャ「いくわよ!!」

ニーナ「ふぬぬ……! 実際の装填ぐらい大変だべな!!」

カチューシャ「ふー、入った入った。さ、ノンナ。バーンと出ちゃって!! バーンと」

ノンナ(しまった……!! 動けません……!!)

訂正
>>156
ニーナ「おぉー! カチューシャ様、いい具合に発射できるんだべな」→ニーナ「おぉー! カチューシャ隊長、いい具合に発射できるんだべな」

――黒森峰女学園――

エリカ「ゴムのティーガー……。大洗も馬鹿げたものを贈ってきたわね。誰が喜ぶっていうのよ」

エリカ「……」キョロキョロ

エリカ「ちょっと中を見てみようかしら……」

エリカ(へ、へえ……。精巧に造られているのね……。細かい拘りを感じるわ……)

エリカ「装填口……」

エリカ「はっ!? な、何をかんがえているのよ! そんなことしたら出られなくなるだけなのは分かり切っているじゃない……」

エリカ「でも……ゴムだし……もしかしたら……」

エリカ「ちょっとだけ……」グニーッ

まほ『エリカ』

エリカ「きゃぁぁ!?」

まほ『しーっ。大きな声を出すな』

エリカ「な、なにをしているのですか?」

まほ『戦車乗りならば一度は夢をみるはずよ』キリッ

エリカ「……ご一緒してもいいでしょうか?」

――大洗女子学園――

麻子「数時間後、レスキュー隊に助けられたらしい」

沙織「みんな入ったんだ」

華「まぁ……」

麻子「黒森峰のNさんは助けられたあとにコメントを残している」

『大変なご迷惑とご心配をおかけしました。戦車乗りとして、自分が砲弾となり装填されるというのは密かな憧れでもありました。その衝動を抑えられませんでした』

みほ「Nさんって……」

華「そうなのですか、みほさん?」

沙織「みぽりんも入ってみたいって思っちゃうの?」

みほ「ないない!! 私はないよぉ!!」

麻子「秋山さん」

優花里「冷泉殿……?」

麻子「秋山さんだけがそうした願いを持っていたわけではないんだ。入りたいって思ってしまうのは戦車乗りならよくあることだと、黒森峰のNさんも言っている」

優花里「あはは……そうみたいですね……」

杏「――だからさぁ、秋山ちゃんも遊んでいいんじゃない? このゴム戦車でさ」

優花里「会長……でも、あれだけの騒ぎを起こしてしまったのですから……」

エルヴィン「グデーリン、誰も迷惑とは思っていない。むしろ、心配しているぐらいだ」

カエサル「好きなものに触れることを我慢するなど、あってはならない」

左衛門佐「拙者たちも歴史グッズに触れられなければ発狂する」

おりょう「考えたくもないぜよ」

優花里「みなさん……」

桃「お前を救い出す方法も確立させた。あんな大騒ぎにはならん」

柚子「大丈夫だよ、秋山さん」

優花里「うぅ……いいんでしょうか……」

麻子「何を遠慮することがある」

華「優花里さんの信じる道をいけばいいのです。わたくしたちはそれを全力でサポートさせていただきますわ」

沙織「ゆかりん! ゆかりんの戦車道って、一台一台の戦車を愛することなんでしょ?」

みほ「きっとゴム戦車も優花里さんに遊んでほしいって思っているんじゃないかな?」

優花里「あ、ありがとうございます!! では、その……」

杏「ちょーっとまった!! 秋山ちゃん、砲身の中に入るなら水着に着替えてね。あと、こっちに潤滑剤を用意してるから、それを全身に塗ってね」

訂正
>>164
エルヴィン「グデーリン、誰も迷惑とは思っていない。むしろ、心配しているぐらいだ」→エルヴィン「グデーリアン、誰も迷惑とは思っていない。むしろ、心配しているぐらいだ」

優花里「これをですか?」

桃「今から砲身の中に入るか?」

優花里「できれば……」

柚子「それじゃあ、潤滑剤のほうはこっちで用意するから。秋山さんは着替えてきて」

優花里「ご迷惑をおかけします。では!」テテテッ

みほ「最初から滑りをよくしておけば、詰まる危険性は少なくなりますもんね」

杏「そういうことだな。河嶋ぁ、ぬるま湯を用意」

桃「はっ」

沙織「これを使うだけでいいんじゃないんですか?」

柚子「原液を直接使うのもいいけど、水で薄めたほうがより多く使えるから」

華「なるほど」

桃「用意できました」

杏「こやまぁ」

柚子「はい。こうやって潤滑液を入れて……」トロォ

柚子「で、お湯と混ぜて」パチャパチャ

杏「エアマットは?」

桃「ここに」

杏「それじゃ、そこに潤滑液を流す」

柚子「はぁーい」トロォ

沙織「それでここに寝るんだ」

カエサル「ううむ。外でしていいのか」

優花里「――きがえてきましたー!!」

杏「よく似合ってるねぇ。ここに寝て」

優花里「はい!!」

柚子「滑りやすくなってるから気を付けてね」

優花里「わかりました!」

杏「それじゃあ、秋山ちゃんにぬりたくれー!!」

柚子「そーれ、そーれ」ヌルヌル

おりょう「手伝うぜよ」ヌルヌル

優花里「あははは!! ちょ、ちょっとくすぐったいです……」

杏「こんなもんかな」

優花里「みなさん! ありがとうございます!!」トロトロ

カエサル「う、うん……」

エルヴィン「グデーリアン……その……いい感じに、濡れているな……」

優花里「では!! 遊んできます!!」

みほ「い、行ってらっしゃい」

優花里「わーい!!」

華「あの、優花里さんは楽しそうですが、見た目があまり……」

おりょう「あれはあれで問題になってしまいそうぜよ」

左衛門佐「グデーリアンがお嫁に行けなくなるかもしれんでござる」

杏「むずかしいね」

みほ「ゴム戦車を誰もこない場所に移すほうがいいのかも」

沙織「それをしちゃうと人気のないところでゆかりんがトロトロになるんだけど」

麻子「余計にマズイな」

優花里『おぉぉぉ!!! スムーズに出入りができますよー!!! みなさーん!! みてください!! ほら!!』ズポズポ

――数日後――

梓「あれ? ゴム戦車がなくなってる」

優季「梓、しらないのぉ? 昨日、移動させたんだってぇ」

梓「そうなの?」

あけび「どこに行っちゃんたんだろう?」

妙子「確か、会長に場所を訊かないと分からないって話だよ」

あや「どういうことー?」

忍「本当に遊びたい人だけを集めたいらしいね」

あゆみ「ふぅん。そのほうがいいのかも。興味本位で砲身の中に入っちゃったら危ないし」

優季「遊んでるのって優花里先輩だけじゃないのぉ」

桂利奈「そうなのかなぁ」

忍「秋山先輩以外に砲身の中に入ってる人はいなかったみたいだけど」

梓「私たちはあの日のことがあるし、入ろうって気分にはならないかも」

あや「興味はあるけどね」

妙子「私は入りたいけど、絶対お尻が閊えそうだし……」

優花里「ふんふーん!」

優花里(みなさんのおかげで、こうして戦車と戯れることができるようになるなんて……。私は世界で一番幸せ者なのかもしれません……)

優花里「今度、みなさんにお礼をしなくては――」ガチャ

優花里「ん……?」

優花里(鍵が開いている……? 私よりも先に誰かが来た……?)

優花里「誰かいますかー?」

優花里「もしかして……いや……でも……一応……」

優花里「あのー?」グニーッ

みほ『……』

優花里「……」

みほ『……ひとりでヌルヌルになるの、抵抗があって……それに穴も優花里さんがよく使ってるし……多少拡張されてるかなって……思って……そのまま……入ったら……出れなくなって……』

優花里「西住殿……」

みほ『……ごめんなさい』


――この日以来、ゴム戦車で遊ぶ人はいなくなったそうです。


おしまい。

やっと終わったか

次はこの二つだね

ダージリン「イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない」キリッ みほ「交際経験は?」
ダージリン「イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない」キリッ みほ「交際経験は?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473314185/)

西住みほ「シスターズ・ウォー!」
西住みほ「シスターズ・ウォー!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473852519/)

両方とも続きを催促するレスがついてるみたいだよ?
ご期待にこたえてあげたら?

簡単なことだと思うけどねえ
どっちもこの人のいつものパターンで続きを書けばいいだけだから

この人のいつものパターン

あんこうチームと生徒会を中心にして「あること」が起こる

「あること」が発展する

大洗各チームの「あること」への対応が描かれる

他の各校の「あること」への対応が描かれる

なんだかんだでハッピーエンド

場面は変わって黒森峰 エリカでオチ

いつものこのパターンで続きを書けばいいと思うけど
得意でしょwww
簡単でしょwww

ところで
>>1の最初の行に

大洗女子学園

ってどうして書かなかったの?

それから

――聖グロリアーナ女学院――
――サンダース大付属高校――
――アンツィオ高校――
――プラウダ高校――
――黒森峰女学園――

どうしたのこれ?
どうしていつもみたいに

聖グロリアーナ女学院
サンダース大付属高校
アンツィオ高校
プラウダ高校
黒森峰女学園

って書かなかったの?
どうしてそう書かなかったの?

それからこれって何?

518 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2016/10/29(土) 20:37:32.84 ID:f8KHteyio
西住みほ「優花里さんが戦車の主砲から覗いてる」
西住みほ「優花里さんが戦車の主砲から覗いてる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476797154/)

完結です

「完結です」www
「です」www
この人が敬語使うの初めて見たwww
どうしていつもの「完結」だけじゃないの?
どうしてこう書いたの?

どんな気持ちで何か所もこう変えたの?
どんな気持ちで変えたの?
ねえどんな気持ち?

この人はどうしてこんなに何か所も変えたのかねえ
この人が変えなくちゃならないのはこんなところじゃないでしょ?

この人が変えなくちゃならないのは


ネットで何か見ると思い付きでスレ立てちゃう性格

筋もオチも考えないままでssを書き始めちゃう性格

ssの中で自分から間違いを認めるのはいいけれど

他人から指摘された間違いは無視する性格

続きを書けなくなっちゃうとそのスレをすぐ放置しちゃう性格

そのまま知らんふりしてhtml化依頼出さずほったらかしにする性格

そのまま何もなかったみたいに別のスレを立てちゃう性格


この人が変えなくちゃならないのはこういうところでしょ?

こういう性格がよく出てたのが宇津木ちゃんの名前の件だったよね
いつかこの人のスレでその経緯を明らかにできると思うよ
みなさん乞うご期待www

これからもこの人は同じことをし続けるんだろうね

だって今まで何度も同じことをし続けたんだから

この人はそういう躾のなってないお子ちゃまなんだから

そんなお子ちゃまにちゃんと躾ができるまでこれからもお説教し続けなくちゃねえ

それに
この人の某スレが某まとめサイトでシュールなことになってるしwww

西住みほ「私の尊敬する人は、サンダース大学付属高校の隊長、ケイさんです!」
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=328904

こんなことが二度と起こらないようにこれからも気をつけなくちゃいけませんwww

そんなわけでこれからもずっと見てるからね

これからもよろしくね♪

依頼スレでの書き方で同一人物か判断してるみたいだから調べてみた
今年のスレだけだが

西住みほ「私の足を舐められる?」秋山優花里「はい。問題ありません」
武部沙織「ゆかりんの誕生日プレゼントは喋る戦車でどう?」
カチューシャ「ノンナ、ナプキンある?」ノンナ「……え?」
西住みほ「ボコミュージアム新アトラクション『ボコ・ハザード』?」
西住みほ「お姉ちゃんのウィーク・ポイント」
西住みほ「ドラフト・ウォー!」
西住みほ「これが本当のドラフト・ウォーです!」
西住みほ「アームレスリング・ウォー」
武部沙織「いいよ。ボコのどこが良いのかわからないけど」西住みほ「……え?」
優花里「学園艦では全てのものを利用しているんですよ」みほ「下水も?」
相良宗介「とても優しいパンツァー・フォー」

場面転換は一緒みたいだけど全部同一人物なのかわからなくない?

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