にこ「真姫ってホンット生意気っ!」 希「ほう・・・・」 (183)



にこ「ちょっと頭がいいからって!」

希「医学部志望しとるくらいやしなあ」


にこ「ちょーっとスタイルがいいからって!」

希「あれでまだ発展途上なんよ」


にこ「真姫は上級生に対する敬意ってもんが足りないのよ!」

希「にこっちは真姫ちゃんと同級生やん」


にこ「そのくせに・・・この前さ、にこもピアノが弾けるようになりたくなったから、教えてってお願いしたら、ちゃんと教えてくれて、それで、教えてもらったところを一回や二回・・・三回くらい忘れちゃって、にっこにっこにーで誤魔化しても、気にせず淡々と繰り返し教えてくれてさあ・・・」

にこ「『面倒くさい』とか『気持ち悪い』とか、ひねくれたことの一つや二つ! ぜんっぜん言わないのよ?! ばっかじゃないの?!」

にこ「もう、なによなによ! 淡々とすんのがカッコいいとか思っちゃってるわけ?! にこと同じ一年のくせに可愛げがないんだから! ホンット生意気!」プンプン






希「せやなあ・・・」

希「・・・・・」










にこ「ってぇ!! にこは一年生じゃないってのっ!!」ビシッ








SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476524145


----------------------------------------

アルパカ小屋







真姫「おはよ」

凛「おっはよー!」

茶アルパカ「ブォー」

花陽「真姫ちゃんおはよう!」

花陽「今日もアルパカさんのお世話手伝ってもらってごめんね」

真姫「別に気にしなくていいわよ。好きでやってるんだから」

花陽「うんっ。ありがとう」ニコッ

真姫「いーえ」

花陽「えっ?」

真姫「? どうしたの?」

花陽「あれっ? んんっ? むむむ・・・」ジー

真姫「な、なによ。人の顔覗き込んで」タジッ

花陽「真姫ちゃん? ・・・だよね?」

真姫「えっ?」

花陽「なんかちょっとだけ違和感があるような、ないような・・・う~ん・・・」

真姫「違和感って何よ。意味が分からない」


花陽「うーん。・・・・・・・・だって、あのね」ボソボソ


真姫「時間あまりないんだから、早く終わらせましょ」

花陽「あっ・・・あ、う、うん、ごめんね・・・」

真姫「とりあえず、水を変えてくればいいかしら?」

花陽「そうだね。お願い」

真姫「分かったわ」キュ



白ア/レパヵ「アー・・・」



真姫「んっ?」






                                               
                        _   _                    
                 ,r・     ,,xr〃 .゙━'''ll        _,,,,wr━i,,      
             .,,,ill,wrrll与xii,、     .,l°      .・''”`    】      
             ,,rヘ=l!l'“      .゚゙N  __,,,ill′            .,l「      
    ._     .F             `` ゙゚'r,,          ,,rl″       
  .,レ"'”゙゙≒m,,_ .l,                  ゙゙h、           ll         
 il″ .,,    ゙“        .,,,wr-r,,_ -rri,,      、       ,l         
  ゚゙ll|''”`   ,、       .,广    ”   ゙┓     .゙q      .,l`         
   .゙w,ywr!l″ .,レ''''''''" .._   .lll'″    ]      ゙l,      l          
       廴 广   .'゙llll,            ,F      l: ,     テ         
        ┨.ナ  ,llllll  ゚゙%           ″       .'%              
        .lケ.|,、 .°   廴、     .〟        `              
        .廴 ゙┓     .゙'''゙,ii,,←    レ        ,i″      .〟      
        '┓ ゙fe      ゙ll゙゙゙    .,√         ,,l°       ル      
            ゙゙l〟 .゙゙=←"'''l〟   ,l! .iケ     _,, 'l″        '《      
          `い、     .゙゙'━l'゙°         ll゙`              ゙i、     
              f, 'l,                砲,           ゙li、    
              ゙li,》                "゙ll,、          ゙l,,    
                ”━┓        ョ      ゚%              'l,    
                ゙''li,,,,,,,,__、,vprrii,,ラ      ^              '%   
        .il''ll,,           '*rニrr┛  .゚゙l,       'i、          ゙b  
        廴.゙l, ,・ll,,             ゙ッ 、     .レ             ゙l,  
         ゙l,、゙l,.l  ゙ョ               :li,ll°     ゙l,           ll  
         : ゙l,: '   《            'll,、      ゜             《 
        .l゙~゚''゙    'l、           `゙゙q                 廴
        `゙!ii,,、    .゙li,,,            ″        ll〟       ] 
             ゙”“"'   .゚゙q                     ゙゙!l,,      .'l 
             ゙゙l〟  .゙┓         │              ゙゙l,,     .l:
                 ゙ル  ゙'N,、      ,ill'             ゙l〟    
                  ゙f,,   .゙゙h,,、   .,il“,√                ゙゙l,、   
                   ゙l〟       ,「 .,√               ゙ly   
                 ゙゙m      ,l゜ '″                   ゙゙l、  
                        .,ll|                    ゙l、 
                       :l"'l,                       ┓ 
                      ,lそ ト                    l  
                       ,、.,√                          l、 
                   ,f“ √                           l、
                  ,ケ ″                        ト 
                     “                             





http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira096963.png




真姫「えっ、あれっ? アルパカ・・・・???」

花陽「どうしたの?」

真姫「なんか・・・アルパカが人面になって私を見下ろしながら中指突き立てているように見えるんだけど・・・」

花陽「ええっ? アルパカさんがそんなことする訳ないよ。大丈夫? 真姫ちゃん疲れてるんじゃあ?」

真姫「そうかしら・・・・」ゴシゴシ


凛「凛は牧草取ってくるよ!」

凛「ほーら! 真姫ちゃんいっくにゃー!」ギュ タッタッ

真姫「あっ! そんな引っ張られたら危ないじゃない! やめて!」ヨタヨタ




花陽 「真姫ちゃん・・・・」

臼了/レバヵ「・・・・・・」

茶アルパカ「ブォー」





----------------------------------------
一年生教室
4限目の授業前



真姫「んんっ・・・」フラフラ

真姫(参ったわね・・・。ものすごく眠い・・・)ウツラウツラ

真姫(さっきの笹原先生の授業、ちょっと寝ちゃったし・・・)

真姫(次の授業中は眠らないように、今の内に少しだけ、眠ろうかな・・・・いや、ダメ、もう先生が来る時間)

真姫(・・・・もういっそのこと授業中に堂々と寝ちゃおうかしら・・・。毎日ちゃんと予習復習してるから、授業の2~3回くらい寝ても・・・)

真姫「・・・・・ううん」ブンブン

真姫(昨日、凛が居眠りして深山先生に小突かれてみんなに笑われてた。同じような目に遭うなんてごめんよ)

真姫(次の授業の準備しなきゃ。えっと、次の授業は・・・山内先生ね)


真姫「・・・・・・・・・・」

真姫(・・・・・山内先生って、結構甘いし、授業やることに集中する人だから、生徒が居眠りしてても意外となんにもないかも・・・・)


真姫(・・・・ああもうっ、だからダメでしょ! 何考えてるの! 私は優等生なんだから)ブンブン


ガラガラ


山肉「授業始めますよー。席に付いてくださーい」


真姫(先生きた。・・・・・あらっ? 誰かしらあの先生。初めて見るわね)

真姫(山内先生今日は風邪かなんかで休みで、代理の先生とかかしら?)

真姫(最初に自己紹介するでしょうから、聞いてみましょ)



山肉「Our hunting party entered mountain to hunt the deer.」

山肉「えー、ここでいうpartyとは、パジャマパーティーとかの意味ではなく、集団とか仲間という意味になり―――」





真姫(あれ? 急に授業に入っちゃった。初めて来た先生だから、みんな気になると思うんだけど・・・)キョロキョロ



凛「・・・・・」

花陽「・・・・・」フムフム

生徒達「・・・・」カキカキ



真姫(あ、あれ・・・。みんな普通に授業受けてる)

真姫(私が覚えてないだけで前からいる先生だったのかしら・・・?)

真姫(・・・・・まあ、いいわ、授業受けましょ)



山肉「狩猟と言うと猟銃による方法がイメージされがちです。しかし、猟銃は人や猟犬を誤射してしまう危険性があるのはもちろん、メンテナンスも大変なので、罠を使った罠猟の方が敷居は低く―――」



凛「・・・・・」.....zzz

花陽「・・・・・」ナルホド

生徒達「・・・・」カキカキ



真姫「・・・・・」

真姫「・・・・・」....ウツラ



真姫(はっ。い、いけない・・・)

真姫(うぅ・・・やっぱり眠い・・・)

真姫(この眠気、なんとかならないかしら・・・)

真姫(なんとか)

真姫(・・・・なん・・・・とか)


真姫「・・・・」


真姫「・・・・・・・・」.....zz

真姫「んぐっ」ガバッ

真姫(ああぅう・・・・ね、眠いぃぃ・・・・)ウツラウツラ

真姫(授業、聞かなきゃ・・・)



山禸「さて、こうやっ|捕獲したシカやア・パカをいよいよ捌/いて食べる事になります。自然の神様に感謝し、そして、苦しませないよう素早く絶〒命さ\しょう。臭み□を取るために、まずは血抜)必要です。首の辺りに刃物ψを入れ―――」



凛「・・・・・・」zzz

花陽「ふぇぇ・・・・」シクシク

生徒達「・・・・」カキカキ

真姫「・・・・・」....ウツラ





真姫「んっ!」バッ

真姫(寝てないねて な い ね て な  い   )

真姫(ああああ・・・ダメダメ。眠すぎる)

真姫(5秒。5秒だけ目を閉じてそれでちゃんと起きましょう)

真姫(5、4  3   ニ    i・・・・・・・・・・―――)



屮肉「I have been ate meal of alpaca in Andes. That feel very umakatta.」

屮肉「アルパカの肉は牛に比べたらさっ*りしていて食べやすか#たですね。アルパカ肉は南米のアンデス山脈の人々にと=ては何かのお祭り★の時等に食べられるそうですよ」



凛「・・・・・・」zzz

花陽「・・・・・」ジュルリ...

真姫「・・・・・」....カクッ



出肉「Three alpacas were cultivated by director of Otonoki High. However, In the last School Festival, one of those was ―――」



凛「・・・・・・」zzz

花陽「・・・・・」ゴクリ...

真姫「・・・・・」.....zz



出肉「えー、ここの例文^}もありますように、音ノ木坂学園にはか:「@て3匹のアルパカ%飼育されていましたが、昨年のスクフェスの>--、その内の1匹が―――」



凛「・・・・・・」zzz

花陽「・・・・・」

真姫「・・・・・」.........スヤァ





・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・



凛「ニャ、にゃあ~・・・・・」ビクビク



バーコードリーマン「へへへ・・・・」

スキンヘッドDQN「がはは。びびってるぜぇ、こいつぅ」

お前ら「りんがべぇ」


凛「は、はぁ!? び、びびび、びびってねーし! りりほわだし!!」ガクガク

凛膝「こwんwなwんw大w草w原wでwすwわwろw凛wティwヌwニwウwスwWWWWWʬʬʬʬʬʬʬʬʬʬʬʬlolololololololol」mdr





真姫「待ちなさい。びびは私よ」シュタ




バーコードリーマン「むっ?!」

スキンヘッドDQN「誰だテメェ!」

お前ら「まきちゃん」





  - 1カメ -

真姫「クールで」バッ



     -- 2カメ --

   真姫「冷静沈着」フワァァ....



        --- 3カメ ---

      真姫「西木野真姫よ」バコォン!





バーコードリーマン「クールで!?」

スキンヘッドDQN「冷静沈着?!」

お前ら「まきちゃん」




真姫「獲物は君よ」




バーコードリーマン「言葉を慎め小娘が。儂は納税者だぞ」

スキンヘッドDQN「おぅおぅやれるもんならなってみろぉいクソガキィ!」

お前ら「まきちゃん」




真姫「甘いよ甘い。そんな装備じゃ」カミノケクルクル




バーコードリーマン「何の真似だ」

スキンヘッドDQN「なんでぇなんでぇ! 口だけかおぉん?!」

お前ら「まきちゃん」




真姫「・・・・・・」カミノケクルクル




ドドドドドド ド ┣¨┣¨┣¨┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨




バーコードリーマン「何だ?」

スキンヘッドDQN「あ! あれを見ろ!」

お前ら「まきちゃあ、あ、ああれは、まさか・・・?!」




真姫「・・・・・・」カミノケキタキタ


















  ┗(髪ノ毛 )┓   
   ┏ ┗    =3 <ブッ

  /よお! 待たせたな!\








ハゲ共「「「いやっほおおおい!!!」」」( ゚∀゚)o彡°







凛「また髪の話してる・・・」

真姫「それが重度の恋よ」






< キーンコーンカーンコーン






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・




まきりん「「はっ」」ガバッ



凵内「So, Shimane’s siitake is dog.And, that was alpaca makichan―――で、あるからして、島根県に生息している犬とはアルパカの起源であり、お魚咥えたまきちゃんが重量波によってまきちゃんが励磁したまきちゃんがくっついてまきちゃんまきちゃん」

凵冂「はい、今日はこここっこっこまでまです」


花陽「ふぅ・・・」カタッ



< きりーつ


ガタガタ


< れーい


一年生「「「「あり蛾とうござい痲した」」」」


丄厂「はい、お疲れ様きちゃんでした」


真姫「はぁ・・・・また寝ちゃった・・・」

凜「んー! 良く寝たー! 縺ョ繧!」

花陽「凛ちゃん授業中に寝ちゃだめだよぉぉ・・・」

懍「ささっ! 壹昼食べ繝ワン!」

花陽「もうっ」

廩「赴建赴建! かよちん、真姫ちゃん、こっち巐て一緒に食べるぴょん」

真姫「ええ・・・・・あ、あれ? 凛・・・じゃないわね・・・・。あなただれ?」

Phosphorus「ええっ!? Vx茘ニツ4ホ! 稟は禀でЯlИだこけこっこー」�・

真姫「そ、そうなのかしら・・・。なんか、違和感があるような、無いような・・・」

真姫「これがゲシュタルト崩壊ってやつかしら・・・・」

花陽「?」

真姫「あ、いや。なんでもない・・・ごめんなさい」

真姫「私、ちょっと用事があるから気にしないで食べてて」 

花陽「そお? 分かった、先食べてるね」


真姫(きっと、寝ぼけているだけ・・・。少しだけでいいから、もうちょっとちゃんと眠れば大丈夫なはず・・・)

真姫(・・・・とにかく眠い・・・。お腹は減ってるけど、今は食欲より睡眠欲を優先しましょ・・・)フラフラ

真姫(教室で寝たら、花陽に気を遣わせてしまいそうだし、別の場所で・・・・)フラフラ







----------------------------------------
アイドル研究部
部室



ガチャ


真姫(ちょっと、ここで休ませてもらおう・・・)フラフラ


バタッ


真姫「ふぅ・・」 ズキ

真姫「んっ」

真姫(なんだかさっきからちょっと頭痛がするのよね・・・)ズキズキ

真姫(まあ、一眠りすれば治るでしょ)


真姫「ふぁあ~」

真姫「眠い、眠い」

真姫(まきちゃん眠いな、な に  ヌ   n・・・・・・・・・・―――ぐぅ」

真姫「・・・・」 .....zzz







・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・








花陽「ピャ、ぴゃあ~・・・・・」オロオロ



社畜「鬱だ・・・」

NEET「死のう・・・」

俺「ぷわぷわぁ・・・」



花陽「うぅ~・・・! だれか、だれかたすけて~~~!」



真姫「ちょっとまってて~」スタッ



社畜「睡眠薬で・・・」

NEET「ロープで・・・」

俺「まきちゃん」





  - 1カメ -

真姫「知性」バッ



     -- 2カメ --

   真姫「溢れる」フワァァ....



        --- 3カメ ---

      真姫「美貌」バコォン!



              ~~~~ 123カメ! ~~~~

            真姫「魔法少女☆メディカル☆マッキー♪ よ」プッピガァン!





社畜「知性・・・・?」

NEET「溢れる・・・・?」

俺「まきちゃん」



真姫「ニシキノ風トキメキ抗鬱わっしょい注射1㍑―――」スッ....

真姫「ア・ゲ・ル(はぁと)」ブシュ ズボッ グリグリ



社畜「んほっ?!///」

NEET「あひぃ?!////」

俺「まひひゃん」



真姫「元気100倍ぱっしょねいとになったでしょ。さあ、こんな所で油売ってないで、さっさと馬車馬の如く働き、稼いだ有り金を全て納税と教育に使いなさい」



社畜「うおおおおおお! いくぜ364連勤だああああ!!」ダダダダダ

NEET「はあああああろわああああ!!」ダダダダダ

俺「あひはん(^q^)」スヤァ




真姫「人を元気付け、勤労意欲を刺激し、日本経済を活性化させる。これこそがメディカルアイドルの社会的役目」ファサァァ.....

花陽「真姫ちゃん結婚してかきくけこ」

真姫「そう言うと思ってウェディングケーキは手配済みよ」ホカホカ

花陽「わぁ。それはそれは豪華な寸胴でシャイ煮し終わったばかりの餡子だぁ」しいたけ目








< ただの餡子の塊だよそれ! ぜっんぜん、ひとっつもケーキじゃない!!!

< うわああああああ!









・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・











真姫「はっ」ガバッ

真姫「い、いけない・・・・。結構しっかり眠っちゃった・・・」ゴシゴシ

真姫(時間は・・・・よかった、まだちょっとあるわね)

真姫(まだ眠い・・・)ネムネム

真姫「ふぁー・・・」

真姫(もう一眠り・・・・いや、やめておこう。寝過しちゃうかもしれないし)

真姫(お昼ごはんここに持って来ればよかった。今から教室に戻って食べてもいいけど、もうみんな食べ終わってるだろうし、その中で一人急いで食べるってのも、なんだか優雅さに欠けるからやりたくないわね)

真姫(まあ、いいわ、一食くらい抜いても。もう少しここで暇をつぶしてから教室に戻りましょ)


真姫(何か無いかしら)キョロキョロ


真姫「あら」

真姫「机の上に本が置いてある」

真姫「絵里あたりが持ってきたのかしら」ペラッ

真姫「少し読ませてもらいましょ」













『り、りほ・・・よね? な、なによそれ・・・あなた、本当にそんな姿でステージに立つの・・・?』
もはやりほであるかどうかも怪しい “それ” に対して、えりこは唖然としながらも尋ねた。
濃いアイシャドウとどぎつい赤い色の口紅等のメイク。ギラギラのマニキュアが目立つバターナイフのような爪。
えりこの知っているりほは、メンバーの中で一番若くて天真爛漫で活発で妹みたいな可愛さがあり、一言で言うとマジ天使である。しかし、そんな面影は、今は全く見られない。
そんな彼女を、すたっぴーはじめ、周りの人間は気にも止めない。
そもそも、その周りの人間ですら、りほ程ではないにしろ違和感がある。
えりこは改めて周囲を見渡した。

あやは、えりこがマッキーペンで描いたことりの絵があるペットボトルの水にほとんど口を付けていない。
えみが衣装に着替えるために私服を脱ぐ時、服の隙間から女の子らしい細い腕を見せる。
すずこの目元には隈がない。
よしのは背が低いのに長身のゆりかの衣装を着ようとしている。

今の所、一部の人間はいつも通りであるが、りほ以外にも行動や外見が明らかにおかしい者もいる。
いきなりこうなったわけではない。えりこが最初に周囲の人に違和感を覚えたのは、数日前から。

その頃からえりこは、歌の収録、ライブ、トークイベント、確定申告、ファンミーティング等のやるべきことが立て続けにあり、家に帰れる時間は遅くなり、あまり寝られず、代わりに移動中等のわずかな時に睡眠時間を小まめに確保していた。
しかし、そんな生活に体は慣れておらず、えりこは確実に疲労を溜めていた。
それでも、もう少ししたらオフの日が続くからそれまではがんばろうと、えりこは思っていた。

そんなある日の移動の車中。
えりこは疲れから車中で眠っており、その間に目的に着いて目を覚ました時だった。
何故かあやが運転席に座っており、同乗していたえみに乗車料金を請求していた。えみから乗車料金を受け取ったあやは『釣りはいらねえよ』と言いながらレコード会社宛ての領収書をえみに渡した。えみは『かっこいい』と感想をもらして下車した。
その時のあやの声は脳トロと呼べるような甘い声ではなく、至って普通で特徴の無い声だった。
えみの方を見ると、顔や体の輪郭があやふやに見え、それが本当にえみなのかどうか、はっきりと視認ができない。普段はムードメーカーで明るくて存在感のあるはずのえみだが、その面影が無い。
とにかく、何故あやの声が変わっているのか、何故えみの事をはっきりと視認できないのか、何故事務所の車に乗っているのに乗車料金が発生するのか、何故料金を受け取る側のあやが釣りはいらないと言っているのか、何故移動料金の領収書に宛名が記入されているのか。
この車中での出来事は、違和感しかなかったが、えりこは疲労が溜まっていることを自覚していたので、こんなあり得ない事が起きるのは、目や耳や頭が疲れて正常に働いていないからだと、えりこは自身に言い聞かせ、努めて気にしないようにしていた。
しかし、そんなえりこをあざ笑うかのように、周囲の人間は時間と共に多く変容していき、その時に感じる違和感の大きさは、もはや疲れているとか気のせいなどと言って誤魔化せる領域を明らかに超えていった。


どうしてこうなった。えりこは考えた。今まであり得ないからといって違和感を感じた時に捨てた記憶を拾い集め、思い起こす。
そしてえりこ、はっと一つの仮説を思いつく。

―――私が眠る毎に、みんながおかしくなっていくのかな―――

眠って日を跨いだり、忙しい合間に小まめに睡眠を取った後に、変容する人が増えていたと気が付く。
それに一旦気が付くと、えりこは夜に普通に寝る事すらも抵抗を感じてしまうようになる。かといって眠らない訳にもいかないので、睡眠を取る。すると、また周りの人が変な事になる。
そんな状況はえりこの心身を弱らせる。弱った心身では、大きくなる不安を抑える事が出来ず、不安は次第に恐怖へと変化していった。
えりこは堪らず、未だ違和感の無い近しい人に相談するも、『えっ? どこかおかしい?』と返され、理解されてもらえず、一人で悩み、恐怖する日々が過ぎて行った。

そんな悩みを抱えながらも迎えた今日の晴れ舞台。大勢の観客を集めたステージ上でのライブ。
一緒に立つメンバーの中の数名に違和感と恐怖心を持ちながらも、えりこはステージに向かう。

やはりえりこはプロである。ステージ上では疲労や不安、恐怖を表に出さず、観客たちの大きな期待と歓声にしっかりと応え、大好評にて無事にライブを終える事ができた。

えりこが楽屋に戻ってメイクのしみずさんにメイクを落としてもらったり、髪を梳いてもらう。
明日以降はオフの日が続く。えりこはその安堵と開放感、ライブを成功させた達成感のあまり、溜まっていた疲れが押し寄せ、えりこはそのまま眠ってしまった。

しばらくした後に、しみずさんに起こされて慌てて目を開けるえりこ。
―――私が眠る毎に、みんながおかしくなっていくのかな―――
起きた瞬間に、自身が立てた仮説が真っ先に頭をよぎる。
えりこは恐る恐る、周りを見渡した。
えりこは目に写る光景に愕然とした。

先程まで一緒に居たスタッフやメンバー達は、違和感を覚えながらも、それが誰かなのかぐらいはなんとか認識できていたが、今やそれすらもできない程に、皆変容していた。
ある者は亡霊のようなあやふやな存在になっており、ある者は目や口等がありない場所に位置しており、ある者は関節が通常の人間ではありえない方向に曲がっている。

あやと思われる何かは、チューハイを一口飲んだだけで顔を赤らめ『けぷっ。わたしあんまりおさけのめなくって』と、この世の物とは思えない奇怪な声で言っている。
えみと思われる何かは、眉間に青筋を立てつつ口元だけは不敵に笑っている不気味な表情をしている。
すずこと思われる何かは、とてもアイドルとは思えない程の鋭い目つきに険しい顔になっており、まるで殺し屋のようである。
よしのと思われる何かは、サイズが全然合っていないゆりかの衣装を着ながらヨタヨタと辺りを徘徊している。

みんなおかしくなってしまった。知っている人はいない。
その有様は、えりこにとってはまさに地獄絵図だった。
えりこは恐怖で身を震わせ、顔面蒼白になる。誰かにすがりたい、助けてもらいと思って見渡しても、みんなおかしなことになっている。次におかしくなるのは自分じゃないだろうか・・・それだけは嫌だと、えりこは思うが、だからといってどうしていいか分からない、何もできない。騒がしい空間にいるにも関わらず、広い世界でたった一人残されてしまったような孤独感。まともに話ができそうな人がいない疎外感。追いつめられ、逃げ場がない感覚。


―――あっ、これ、わたし、もうだめだ、これ、だめだわ
仲間を失ってしまい、慣れしたんだ物が全て無くなり、虚無感が湧き上がる。それは恐怖を諦めへと変えていく。えりこは言葉を無くし、異様な世界へと変貌した楽屋でただただ、立ち尽くす。

『寒いよね~、最近。あ、ちょっと待ってて。マシュマロ、温めといたんだ』

気味の悪い喧噪の中、えりこの耳に入って来た聞き慣れたゆりかの声。それを聞いた瞬間、えりこの目に色が戻ってきた。ゆりかに視線を固定して、その一挙手一投足に目を凝らす。
ゆりかは、ひと肌で作った生ぬるい焼きマシュマロをポケットから取り出し、りほと思われる何かに与えようとしている。
間違いなく、あれはゆりかだ。えりこはそう認識した。あのゆりかは最後に残った希望の光。闇に吞まれてしまう前に、取り返さえなくてはならない。絶対に手放す訳には行かない。もう仲間を失いたくない。
一人取り残された感覚が怖くて怖くてしょうがなかったえりこ。
えりこは堪らずゆりかの元へ駆け寄る。ゆりかには、りほと思われる何かがアサガオの蔦のように絡みついていたが、えりこはそれを引きはがし、ゆりかを自身に抱き寄せた。
『なんでえりこ先輩がりほとシカちんの間に入ってくるの?!』
抗議の声が聞こえてきたが、余裕の無いえりこはそんなのに構っていられない。えりこはゆりかの腕を掴み楽屋を飛び出した。
ついでにべちょべちょのマシュマロをりほと思われる何かの手から奪い、走りながらそれを口に頬張る。マシュマロは少しホコリっぽかったが、香るゆりかの尻汗が口の中に広がると、ゆりかを0より近い距離で感じられ、えりこの意識を保たせた。

えりこは、息を切らし、がむしゃらに走り続け、遠くへ遠くへと行こうとするが、体に溜まりに溜まっている疲労がそれを許さない。ある空きスタジオの廊下の前に差し掛かった所で脚から力が抜け、倒れそうになる。
体が床に付く前にゆりかが支えてくれた。ゆりかはそのままえりこを抱きしめ、壁にもたれるように一緒に座る。
周囲に人気は無く静かだ。一先ず危機を脱したえりこは深呼吸をする。もっと遠くへと逃げたいという気持ちもあったが、これ以上動けそうになかった。それでもよかった。おかしくなってないゆりかが隣に居てくれると思うと、それだけでとても安心感があり、さっきまでの恐怖心が嘘のように無くなる。それで十分だ。
何は無くともゆりかだけがいてくれれば、それでいい。一時は全てを失って諦めを覚えたが、ゆりかが戻ってきてくれて、今は傍に居てくれる。
ゆりかは地獄の中から無我夢中で引っ張り上げた唯一の希望。えりこは弱り切った体で精一杯ゆりかの事を抱きしめた。
ゆりかは細い体にも関わらず、胸が大きい。女性として、大変魅力的な体つきだ。まるでグラビアアイドルだ。それは、世の男性のみならず、誰もが欲するも、決して手が届かず、写真で姿を拝むことしかできない存在。
そのゆりかを、今はえりこが抱いている。独り占めにしている。
ゆりかはその見た目通りに、スベスベで柔らかい肌でありながら、お米のような懐かしい良い匂いもする。これを知ることができるのはゆりかを抱いた人だけだ。何万何十万もの人がうらやむその感覚を、今この世でただ一人味わえているえりこ。何物にも変えがたい特別。
えりこの中で特別な幸福感がとても大きくなり、恐怖を安らげた。えりこの荒れた息遣いだけが響いている静かな空間の中、ゆりかが口を開く。



『大丈夫ですかえりこ先輩。えりこ先輩が良くなるでウチが傍にいますから』
ゆりかのネイティブ関西弁。ステージ上ではあまり話さないが、楽屋ではよく聞くそれが優しくえりこの鼓膜を揺らした。
それでえりこの意識がはっきりする。

その瞬間疑念が頭をよぎる。
他の人は知らず知らずのうちにおかしくなっていた。
―――もしかしたら、ゆりかも既に・・・。
ネガティブが溢れ出す。嫌な憶測を拭い去れなくなる。
今一度ゆりかをよく見てみる。顔や体つきは間違いなくゆりかだった。
それでも安心しきれないえりこは、緊張をしながらも質問をした。
『1ドル今いくら?』
『えっ? 10円くらい?』
ポジティブが溢れ出した。えりこの疑念や緊張は、ため息と一緒に体から出て消えた。
このゆりかは紛れも無くゆりかであると確信したえりこ。
ポジティブが溢れ出しているえりこは、ゆりかの肩に頭を置き、全身から力を抜く。普段はあまりスキンシップをしないえりこだが、えりこはポジティブが溢れ出しているので、えりこは自分から積極的にゆりかに身を委ねた。
えりこは恐怖と不安でここ数日しっかりと眠れなかっただけに、ゆりかのふんわりやわらかコットン弱酸性赤ちゃん肌に触れたら、リラックスしてしまい、思わず眠ってしまう。

しばらくして目を覚ますと。変わらず、ゆりかが隣にいてくれた。しかし、表情が分からない。ゆりかは顔を隠すようにスケッチブックを構えて何かを描いている。
えりこは何とはなしに尋ねる
『何を描いているの?』
『えりまきトカゲです』
ゆりかは“模写”が特技だ。
それで描かれた絵の一般的な感想は、
「これディスってるでしょ」「なんでちょっとイケメンになるの?」「気持ち悪い」「怖い」
等など。ゆりかはそんな自身の画風をキュビスムと主張する。
そんなゆりか画伯がお描きあそばされるエリマキトカゲは、
“鏡に映り込んだ怨霊みたいな儚さを携えた四つん這いでロン毛でマフラーを巻いた男性”
のようなお姿になるはずだ。
そんな変な絵を、えりこは容易に想像した。
『描けました。それじゃ見てください。じゃーん』
ゆりかがスケッチブックを反転させ、えりこに描いた絵を見せる。




http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121934.jpg








真姫「きゃ!?」パタンッ

真姫「な、なんなのよぉ・・・・急にリアルな絵が出てきてちょっとびっくりした・・・」ビクビク


真姫「そんなことより怖いのは、周りの人がだんだんおかしくなってしまったことよね。そして大丈夫だと思ってたゆりかも、最後には・・・・・・」

真姫「・・・・えりこが寝ちゃったから、ゆりかもおかしくなった・・・って事よね」



―――私が眠る毎に、みんながおかしくなっていくのかな―――



真姫「・・・・眠る度にみんながおかしくなっていく・・・か」

真姫「・・・・・・っ」ブルッ

真姫「・・・・もうっ! なんでこのシリーズ急にホラーに路線変更しちゃったのよ!」








※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。












キーンコーンカーンコーン



真姫「あっ、予鈴が。もう戻らないと」





----------------------------------------
一年生教室
本日最後の授業前



真姫「んっ・・・」フラッ

真姫(昼休みに仮眠とったけど、まだちょっと眠い・・・)

真姫(頭痛もちゃんと抜けてないわね・・・)ズキッ

真姫(それに、なんかめまいがするような・・・・)フラフラ


真姫(とにかく、授業中寝ないようにコーヒーでもたくさん飲んで・・・・)

真姫(・・・・コーヒーだけで大丈夫かしら。念のため、別の眠気を覚ます他の方法も知っておきたいわね)

真姫(そうよ。だって、カフェインの摂り過ぎは体に良くないもの)

真姫(何か、眠気を覚ます良い方法ないかしら。あったら知りたいわね)

真姫(そういえば、フランス革命をなし得たナポレオンは式典や移動中なんかの時に小まめに眠って睡眠時間を確保していたと聞いたことがあるわね)

真姫(それと同じように・・・あっ、いや、結局それって、さっきみたいに授業中に中途半端に寝たり起きたりを繰り返すことじゃない・・・)

真姫(・・・・んっ? 起きたり寝たりを繰り返して・・・? ―――)



―――私が眠る毎に、みんながおかしくなっていくのかな―――


真姫「!!?」ビクッ

真姫(さっき読んだ本の・・・。な、なんで思い出しちゃうの・・・? 今関係ないでしょ・・・・)

真姫「・・・・・・・・」ビクビク

真姫(あれはフィクション! ・・・・どっちにしろ、私は寝ないの。べ、別に怖いとかじゃ・・・)

真姫「・・・・・・・・」ヒヤヒヤ



「あの・・・真姫ちゃん、ちょっといい?」



真姫「ひっ?!」ビクッ

真姫(い、今の声・・・・。は、はなよ・・・よね?)ビクビク

真姫「・・・・・・・」ビクビク

真姫(大丈夫、大丈夫・・・。花陽は、花陽よ・・・おかしくなってるわけ・・・)ヒヤヒヤ

真姫(あの本はフィクション・・・・。現実に起こるはずないじゃない・・・)ビクビク

真姫(ああもう! 何を怖がってるの私は! 私は大人よ。ホラー映画を見て夜おトイレに行けなくなる子供じゃあるまいし・・・・)ビクビク


真姫(そうよ、無心よ。無心で、振り向けばいい・・・・)ヒヤヒヤ


真姫「・・・・・・・」オソルオソル



真姫「・・・・・・・」クルー.....














花陽「?」キョトン


真姫「は、花陽・・・・。ほっ・・・・」胸撫で下ろし


花陽「どうしたの?」

真姫「・・・あっ、いえ、なんでも。何か用?」

花陽「えっとね、さっきの小テストでどうしても解けないところがあって、教えて欲しいの・・・」モジモジ

真姫「いいわよ。どこ?」

花陽「ここ。この解がどうしても出せなくって・・・・」

真姫「ああ、ここは―――、こうして―――」サラサラ

花陽「ふむふむ」

真姫「この形になったら因数分解できるから、―――それで、こう」

真姫「分かった?」

花陽「なるほど! ありがとう真姫ちゃん!」パナスマイル

真姫「どういたしまして」

花陽「えっ?」

真姫「なに?」

花陽「むむむ」ジー

真姫「?」

花陽「・・・・・・ふむ」ジー

真姫「なによ? 私の顔に何か付いてる?」

花陽「ううん。ちょっと気になって」

真姫「なにが?」

花陽「聞いてもいい?」

真姫「どうぞ」

花陽「じゃあ、聞くね」


花陽「あなたは真姫ちゃんですか?」

真姫「はあ? なにそれ、意味が分からない」

花陽「なんだか今の真姫ちゃん、いつもと違う気がして」

真姫「いつもと違う? 今朝も似たような事言ってたわね。本当に意味が分からないわ。私は私よ。西木野真姫。具体的に何がいつもと違うって言うのよ?」

花陽「えっと・・・。こんなこと言ったら失礼かもだけど・・・」

真姫「気になるじゃない。怒らないから言ってみて」

花陽「う、うん・・・。今の真姫ちゃん、クールで冷静沈着だよ」

真姫「それが何かおかしい?」

花陽「あー・・・ぅぅう~ん・・・・。おかしく・・・・ない、かな?」

真姫「ならいいじゃない」

花陽「う、うん。そうだよね。ごめんね。やっぱり私の気のせいだったかも」


真姫「そう」

花陽「あっ、それとね」

真姫「?」

花陽「真姫ちゃん。よかったら、期末試験対策で、今度一緒に勉強したいんだけど・・・・・。いいかな?」

真姫「ええ、構わないわ」

花陽「本当っ? いつも助けてもらって嬉しい。ありがとう真姫ちゃん!」パナスマイル

真姫「どういたしまして」

花陽「・・・・・・・・・・・・やっぱりおかしい」ボソッ

真姫「えっ、何? もう一回言ってもらえるかしら」

花陽「ううん。それより、真姫ちゃん。私に何かできることある?」

真姫「どうしたのよ、急に」

花陽「いつも真姫ちゃんに助けてばっかりだから、私も真姫ちゃんの役に立ちたいなあって思って」

真姫「別に気にしなくていいけど」

花陽「そお? でも、何か思いついたら言ってね」

真姫「ええ。・・・・あっ、そうね」

花陽「何かあった?」

真姫「知っていたら教えて欲しんだけど」

花陽「なになに? なんでも答えるよっ」

真姫「寝たくない時に目を覚ますいい方法って何か知らない?」

花陽「目を覚ます方法・・・? う~ん、そうだなぁ・・・」

真姫「・・・・・」

花陽「いつも試験前にやってる方法があるけど・・・・・」

真姫「どんなこと?」

花陽「でも、今の真姫ちゃんには教えませんっ」

真姫「はぁ? なによそれ」

花陽「さっ、次は移動教室だよ? そろそろ行こう」

真姫「もう、なんなのよ。まあ、いいわ、行きましょ」スクッ



真姫「あれ? 凛がいないわね」キョロキョロ

真姫「凛、先に行ったの?」キョロキョロ

花陽「凛ちゃんなら私の隣にいるよ?」

真姫「えっ・・・・?」クルッ



巐「・]]bサヤ葩zスセ o・X浴コク?霊鏆ョX犖靠疽]9|ミラクル」



真姫「あっ・・・・えっ?」ビクッ

真姫「な、何言ってるの・・・・? 凛じゃ・・・ない・・・わよ、それ・・・」ビクビクビク

花陽「ふぇ???」キョトン

真姫「い、いいから行きましょ・・・」ガシッ スタスタ

花陽「あっ、真姫ちゃ・・・」ヒッパラレ


真姫(な、なんなのよ一体―――)スタスタ

トンッ

真姫「あっ、ごめんなさ―――・・・・いっ?!」ビクッ

□-□「・Eb}W)!ツサーCo�」

真姫「え、あなた・・・だれ? 水色のリボンだけど、知らない人・・・」

花陽「だれって・・・・。放送部の―――」

真姫「いやっ・・・そんな・・・・」クルッ

真姫「!?」


ガヤガヤ


搭狛》「ォントセット1ャ・\ケヌカ」スタスタ

{ト7「ム-カ・・�@・dニフjSXSW」スタスタ

銖巐「]]bサヤ葩zスセ o・X浴コク」スタスタ

霊鏆「ョX犖靠疽]9|・cz」スタスタ

KyN「ュfレ孅ネ」スタスタ

zKD「ワ Aッg沛#ォ・C」スタスタ

cナ>「ナ汢ッ5ロ・ユミTAコPォ」スタスタ

欸嫣「6」スタスタ



真姫「な、なんなのよ・・・・これ・・・・どうなって・・・・この人達だれ・・・」ガクガク

花陽「真姫ちゃん? やっぱり具合悪いんじゃ・・・・」

花陽「あっ、保健委員の子がいるから、一緒に保健室に行く?」

  「           」

真姫「????」 

花陽「うん。そうみたい。真姫ちゃん、保健室で休んだ方がいいかなって思って」

真姫「!!!?」



繧ー -「文字化けに関するトラブルシューティング:xマ&$Hコ1U2・オ��縫チG {「;ツ>(K�・6帰kミY.@bNノ・vユ{裼カ・� :ルH;カ#・Jf倆・・イ�Z�・%gケXJZエ紘4QPヲ. a寐Oⅳサササ・ シ��昮叝58lB婁・8PY,�訛})



真姫「ちょ、ちょっと花陽・・・! 誰と話ししてるの!? こっち来て!」グイッ ギュ

花陽「わわっ?! 真姫ちゃん!?」ポフッ


繧ー -「・・・・・・」ジリッ....


真姫「いやっ・・・・いやっ・・・・こっち・・・こないで・・・・」ビクビク アトズサリ




トンッ

□-□「・Eb}W)!ツサーCo�」


真姫「ひっ?! またあなた・・・」ビクビク





□-□「・・・・・」

...スチャ




真姫「な、なに・・・? メガネを取っ――――――――――――たら目が無ぇえええええ!!」

真姫「いやっ!! いやああ!!!」ダッ

花陽「わわっ?! 真姫ちゃん?!」ヒッパラレ





----------------------------------------


真姫「はぁっ・・・はぁっ・・・」フラフラ

花陽「ぴゃぁぁ・・・・」ヨタヨタ


真姫「なんで、こんなことに・・・・」ガクッ

花陽「はぁ、ふぅ・・・・・。ね、ねえ真姫ちゃん。もう、授業始まってるよ・・・・?」

真姫「・・・・・そう」

花陽「あの・・・・えっと・・・・」オロオロ

真姫「・・・・・・・・」

花陽「・・・教室行こう・・・?」

真姫「いやっ!」

花陽「ぴゃ」ビクッ


真姫「いや・・・。やだ・・・・」ガクガク

花陽「真姫ちゃん・・・」

真姫「みんなおかしくなってる・・・・。みんな・・・・」

花陽「授業出ないと、先生に怒られちゃうよ・・・・?」

真姫「知らない・・・・・。どうせ先生もおかしくなってる・・・・」

花陽「・・・・」ショボン


真姫「・・・・」

花陽「・・・・」


花陽「・・・・ここ、2年生の教室の近くだね」




真姫「2年生・・・?」

花陽「上級生の場所に、それも授業中に来るって、なんだか緊張するね・・・」オロオロ

真姫「2年生・・・・。どうなっているかしら・・・」

真姫「・・・・今までのも、気のせいだと信じたいし・・・」オソルオソル

真姫「後ろの窓から、こっそり見てみましょ・・・」コソッ チラッ



---------------
2年生教室


丱田「楠倍悟女・v・!・・縲・烙幕」ビシッ



ƒqƒfƒR「・・・・・・」カキカキ

ƒtƒ~ƒR「・・・・・・」カキカキ

ƒ~ƒJ「・・・・・・」カキカキ

”ü–¼「・・・・・・」カキカキ

t「・・・・・・」カキカキ

“V「・・・・・・」サカキカ

‚ ‚ñ‚È「・・・・・・」カキカキ

^—R”ü「・・・・・・」カキカキ

Lynn「・・・・・・」カキカキ

Œb”ü「・・・・・・」カキカキ

—[ŽÀ「・・・・・・」カキカキ

’m「・・・・・」ムシャムシャ

Ê‰Ô「・・・・・・」カキカキ

‚Í‚é‚©「・・・・・・」カキカキ

KŽq「・・・・・・」カキカキ

“ޒÔü「・・・・・・」カキカキ

•¶「・・・・・・」カキカキ

‚¢‚¸‚Ý「・・・・・・」カキカキ

‚¿‚È‚Ý「・・・・・・」カキカキ

‹v”üŽq「・・・・・・」カキカキ

’m‰À「・・・・・・」カキカキ

”ü¹Žq「・・・・・・」カキカキ

Ã「・・・・・・」カチカチ

£“Þ「・・・・・・」カキカキ

—Œb「・・・・・・」カキカキ

Šó–]「・・・・・・」カキカキ

—F—¢「・・・・・・」カキカキ








真姫「やぁっ・・・・」ビクビク

真姫(ただの授業風景のはずなのに、なんでこんなに不気味なの・・・・・)


真姫「あ、ああ・・・んんっ?!」ズキッ

真姫(さっきからあった頭痛・・・ちょっと強くなってきた・・・)ズキズキ

真姫「うっうっ・・・・うぇ・・・・」

真姫(それに、吐き気もしてきた・・・・・・・。気分が悪い・・・)

真姫(なんでこんな・・・・。いや、大丈夫・・・大丈夫だから・・・我慢・・・我慢・・・・考えない・・・・気にしなければ治るはず・・・・)

真姫(落ち着いて・・・・深呼吸して・・・・)


真姫「はぁ・・・・うっ、ふぅ・・・・く、はぁ・・・・・うっ、ぅぅ」


真姫(あれっ、なんで・・・息が乱れて・・・・上手く深呼吸できない・・・・)




花陽「穂乃果ちゃん達のクラスってここだっけ」

真姫「・・・・え? はっ! 三人は・・・?! そうよ! ことほのうみは?!」チラッ









こと:

 ┌(┌^8^)┐ ホノォ...





ほの:





    ,il┻l゙゙゙'┻llllll,,、                      
   .,l゜      '゙lliiiiii,,,,,,,,,eilllllll*lllllii,,,,,,,,,,,,,,         
  .,ll゙`       ,illlllll!゙ ̄       ゛  .゙゙゙ll,,,       
  .ll        ,l!!!!!゙                 ゚゙゙ll,,     
   ll         ,,ll゙                  ゙゙ll     
  .ll,,ll",,   .,ll゙ ,,,,,                  ゙l|    
  ,l!l ,,i゙°、.,ll゙  `.l!                  l|    
 .,,l゙,l!,lil .,lil゙゙,l゙   .ll                  '゙i、   
: 'l゙..,ill゙l゙,,l゙ll.il゙`    l|     ,,     .,,,lll,, ,,ill,、  .l|    
  l" l,l゙゙,l,,l°    ll  .,llll' .,ll゙l| ,,l゙!, .,ll゙゜ .lll゙` ゙ll,,  .li、   
   .゙’ ll゙゜     .il ,,,l゙,l゙゙,,l゙’ll.,lll゙`.li,lll゙`  lll   .゙ll、 l!    
    ___      .゙゙゙゙゙.,,l,ll° '゙゙゜  .゙°       'l,, .l    
   ,ill゙゙゙゙゙lllil         ″               '゙゙゙゙ll,,,_  
  ,ii!°  .,l′      、      ,,__             ゙゙lll,、
 ill°   ll      ,,,iillli、      ゙~゙!ll"             ゙i 
 lll    li、     l!l゙゙゛  ,,,               ,ll    ,ll°
 '゙!l,,,_  .ll,     __  .llllllll゜    ,,iii,,_      l|  ,,,ll゙′
   ゙゙゙lll丶'll,   .lll゙,,ll  'lill゙,,,,,,,  'l゙Wlllll丶    ll ll゙゙°  
   .il′ .llli、   .”゛   .'゙゙ll               ,l″    
   ,il°  ゙!l         ,,            ,l゜     
   ll    .゙l,           ,ll            ll   ,i、  
  .ll!    lll       .,,l″          ,l゙`   .l   
  lll     lll      .'llli,,,、          ,,!    l   
  ll     .ll、      ゚l!lli,,,           ,il゙     l、  
  ll     !l      .,,,,__゙゚,,,,,,,,,,,     ,,,l゙′    .ll   
  .,l"     .゙i,     ゙!ll゙゙゙゙゙゙゙,lllll゙°   ,,l゙`      ll   
  .il      .'li、     ゙゙*lll゙゜     .,,ll°      l,  
  ,l|      ゙!l,            ,,,l゙゜           ll、 
  'l|       .゙li,、            ,,llll゙゜         'li、 
  ,l",,,ll,,     .゙li,、       .,,,l゙`.l、          l|  
  l,,il゙`.ll  .,iillllii,、゙゙ll,,_    .,,lll゙’  'l,          ll  
  ll° .il  .,i!′.゙!,  ゙゙ll,,,ii,,illll゙゙°   .゙ll          ll  
 .ll  .ll .,,il゙   .゙i,            ゙li    ,i     ll  
 il′ '!ll゙°   ゙l,,              '゙l,,   .,lli    ,l′ 
..il゙            ゙゙'               ゙l,,  .,l゚゙i  ,,,, ,l゜  
.`                       ゙゙ll, ,l".'l, ,il ゙l,,,l   
                            ゙ll゙  !lll`    
                                  
              闘争だよっ!







http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121935.jpg




うみ:

                     ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: :                  
                   ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:                   
                  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:                  
                 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:                 
                 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:                
                ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:               
                ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:              
                ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:              
               ;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ,. - ' .、     ,. - ,  .;;;;;;;;;;;:              
               ;;;;;;;;;;;;;;;> ,=ニ\ ゛ | ''゛_,=ヘ   ;;;;;;;;;;;;            
               ;;;;;;;;;;;: : /_\_..`7| l、{''″/__`>ヽ;;;;;;;;;;             
               ;;;;;;;;;;;:  ヽ二・ニゝチ、 ! .ゝrニ・二r  ;;;;;;;;;;;              
               ;;;;;;;;;;;:        ノ | | ヽ      ;;;;;;;;;;;:             
               : ;;;;;;;;;;;:     /  | |  \    ;;;;;;;;;;;;              
               ;;;;;;;;;;;;;;;   / ,,.. | l._,, .  \ ;;;;;;;;;;;;;              
               ;;;;;;;;;;;;;;;:  /    - (__,)-゛   '  ;;;;;;;;;;;;:              
               ;;;;;;;;;;;;;;;;;、.      ,. !.,  .,;;:   ;;;;;;;;;;;;;;:  < みんなの心臓撃ちぬくぞーっ!            
               :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;",,  !''''" ̄~ ̄`''!   ;;;;;;;;;;;;;;;;;;:             
               ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙l,,  '-"" ゛-'  ,,,llll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:             
               ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l゙゙ll,,_     .,,llll゙’.ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;             
              : .;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l,、゙゙゙lllllllllllllll゙゙°  ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,            
         ,,,,,,,llllllliillllll!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙li、            l";;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙ll,,,,,_          
       ,,lllllllll:  :lllllll.l゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;li、           ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i、゙゙lllllllllll,,,,、     
      ,,ll゙..lllllll|  :llllll「|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ll         ,l゜;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;li、:lllllll゜ .,lllii,,,    
     .,illli, llllllli, .llllll|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`:        : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙l,:llllll` .,llllllll゙l,,   
     .,i!!lllllii: llllllll, .lllllll′;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;′      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙l!llll! ,illlllll!’.,lii,、  
     ,ll ゙!!ll,, ゙lllllli, .!゙`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;lllll,,,illllll!゙.,,illllllli、 
     lliiii,, .l| ゙llllll,, .,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:     : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,l;;,llllllll!゙,,iilllll!!゙,l!  
    .llllllllllii,,ll  ゙llllll!ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:    : ;;;;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l,;lllllll゚,illll!!゙’ ll  
    .il゙ .゙゙゙!!lllllii,、.゙!ll.,i′;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l、;;;;;:   : ;;;;;;,i「;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ll,llll゙,iilll!′,,,iilll|  
   ,i!,ii,,,,_ .゚゙!lllli,, `.,″;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙!lllli、;;liiiiil丶;;il″;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;llll!llllllll!l,,,iiillllll!'l!  
   ,ill!lllllllllllli,,、゙llllli,,.l!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙!ll,;;;'llll°;;;,ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,lll,,lll!!゙,,illl!!゙゙゙゜ ll:  
  .,l" '゙!!!!!llllllllii,,゙!lll!,l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'lll;;;;'ll゜;;;;;;lll|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.llllll!ll".,l゙″ .,,iiiill,  
  llii,,,   `゙゙゙!llllii゙`l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;llli,;;;゙;;;;;;;,ill゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,ill゙゙li!゙,ll゙,,,,,,iiiillllllllll!ll, 
  .:llllllllllliii,,,,,,   .゙!l,li,、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,lllllllll|;;;;;.illl;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,illll;.illiilillllllllllllllll゙゙° ll、
  'll゙゙゙!!llllllllllllliiiii,,,,,,ll ゙゚'i,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,iiilli,,,,illllllllllllliiiiillllli、;;;;;;;;;;;;;;;;;,,illllllliilllllllll!!!!゙゙゙゙,,,,,,i,iiiiiiil| 
  .,ill   `゙゚゙゙゙゙゙!!lllllllll,  .~'llliiiiiiiiii,,,,,,,,iiilllllllllllllllllllllllllllllllllllllllli,,,,,,,,,,,,,,,,iilllllllllll゙lll゙″ .,,,,llllllllllllllllll 


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121936.jpg





真姫「っ!!?!」ゾワワ

真姫「あっ、あっ、あ、あ、あああ・・・・」フラフラ.... ペタン

花陽「わわ、真姫ちゃん!」オロオロ

真姫「どんどん、増えていってる・・・変なのが・・・いずれ、みんな・・・ああ・・・・・んくっ?!」ズキッ

真姫「はっ・・・くはっ・・・・んはっ・・・」ゼェゼェ

真姫(頭が・・・・割れそ・・・・)ズキズキ 頭抑え


花陽「えっ? あれ? 真姫ちゃん顔色悪いけど大丈夫?」




真姫「花陽・・・・?」ズキズキ

花陽「だ、大丈夫?」オロオロ


真姫「花陽・・・よね?」ズキズキ

花陽「えっ? うん、花陽だよ?」


真姫「はなよぉ・・・」ギュゥ

花陽「わわっ」


真姫「・・・・」ギュウ

花陽「えっと?」ギュ

真姫「花陽は大丈夫よね・・・?」ギュゥゥ

花陽「えっ、うん??? うん、大丈夫だと思うけど・・・?? それより真姫ちゃんの方が大丈夫に見えないけど・・・・」

真姫「私から離れないで・・・・もう、貴女しかいないの・・・・」フルフル

花陽「えっ? う、うん?」キョトン

真姫「お願いだから・・・・」ギュウ  ...フルフル

花陽「あっ・・・真姫ちゃん、震えてる。寒いの? 本当に具合悪そう・・・。手貸すよ」

真姫「ありがとう・・・・」

花陽「辛い? 保健室、行く?」

真姫「・・・・・いやっ」フルフル

花陽「でも、このままここにいたら・・・」

真姫「・・・・・・・・もう、いや。いやなの・・・・ここは、イヤ・・・・。かえりたい・・・・」

花陽「早退する? その方がいいかも。それじゃ、私カバン取ってきてあげる。ついでに先生にも伝えに行くね」タッ

真姫「あっ・・・ヤッ! 花陽!」ガシッ

花陽「わぁ?!」カクッ

真姫「やめて! 私から離れないでって言ったでしょ!」ギュゥゥ

花陽「あっ、うん・・・。ご、ごめんね」


真姫「・・・・うぅ」フルフル


花陽「・・・・・・・」


真姫「・・・・・・・」フルフル


花陽「あの・・・・」

真姫「・・・・・なによ」

花陽「とりえあず、下駄箱に行く?」

真姫「・・・・・・一緒に行ってくれる?」

花陽「うん、もちろん。立てそう? 私の手、使って」スッ

真姫「・・・・んっ、ありがと・・・・」スクッ



テクテク........






----------------------------------------
廊下




真姫 「・・・・」ヨタヨタ ズキズキ

花陽「真姫ちゃん・・・。すごく顔色悪い・・・。辛そう・・・」

真姫「・・・・そんなこと」ヨタヨタ ズキズキ

真姫(頭、痛い・・・・)ズキズキ

 クラッ

真姫(あ、あれ・・・? な、なにかしら・・・。頭がふらふらして、めまいがして・・・脚が重い・・・・)

真姫「うぅっ・・・」クラクラッ

真姫「あっ」カクッ

花陽「真姫ちゃん?!」ギュ 支え

真姫「・・・・・・なんでも、ない」クラクラ

花陽「なんでもなくないよぉ! そんなに辛いの!!? 苦しいの?! あっあっ、どうしよどうしよ」オタオタ 

真姫「だ、だいじょぶ・・・ぐぐっ」ズキズキ

花陽「全然大丈夫に見えないよぉ! うぅ、うぅぅ! だれか・・・! だれか―――」



花陽「だれかたすけてぇぇぇえええ!」



真姫「・・・・」フラフラ....









スタ


スタ



真姫「・・・・?」


花陽「あっ! 絵里ちゃん!」

真姫「エリー―――ィッ?!」ビクッ





                _,,,,,lll*llllllll゙''┻llli,,eeii,,,、     _,,,,,,,,,,,,,,_       
              ,,lll゙^           ゙゙lli,,,  .,ll゙゙’   .゙゙゙゙゙ll,     
          ,,lll゙゙`                 ゙゙゙li,ll゙’       .!,,    
            ,il゙`                    ゙゙l,        ゙!l,、   
        .,il゙゜ .,,,i、  ,,,,lllllllザ'゙°,    _    l|            'll,,   
       ,i゙’,,,ll゙゙ _,,,,lll゙゙°     .'l,   ゙゙lll,, _,,,,,il,,,,,,,,_          ll   
      .,ll゚,ll゙”,,,,ll゙″        'll,,    .゙ll,”,,lllli、 ゚゙゙lll,   .゙ll,,  .゙l,,  
      ll.,l゙゙,,ll゙°              '゙l,、 ,,  ゙lll,ll゙llll,,  ゙ll,、  ゙ll,  .ll, 
      llll ,ll`              ゙ll,,.゙゙l、  ゙l,lllli '゙li,,、 .゙ll,   .゙゙ii、 .li、 
      ll,ll゙゜                  ゚゙llll,,  lllllll|  ゙゙ll,  ゙i   .l  l| 
   ,,,,,,,、,ll                      'll,、 .lllllll   .゙゙┓l|   l  l| 
  .,,i゙゙゙”゙゙゙li゙l!                      ll,  'li、゙lll,,,、 ゙l,,l   .l  l| 
: ,,lll°  .,l!“      .,,、      .,,,,,,,、    .゙li、.ll  ゙゙ll,, .lill"   l| .ll 
..lll    l゜     ,liillll!       .'゙゙゙゙     l!,,l"   'l! ゚゙li、  .l゜ 'li、
..lll、   l!     '゙゙°._,,,,,、           lil゙   .,ll゙  'l,   ll  l| 
: '゙lll,,,,、 lli、   .,,,,,、 ゙゙゙゙lll    ,,lllli,,,、     'll  .,,,ll゙゙`   'l,  .l|  ,l″
   ゙゙゙゙゙サ.lll   .lll,,,ll" 'lll゙,,aa、 .゙゙゙゙Wl゙′    .,l! .'゙゙°    ll  .l|  ll 
      'lll           ”.lト           ,l"       ll  ll  .ll 
      .゙ll、           i、           ,l゜        l!  l  .ll 
      .'li,        ,l゙              ,l′       .l′ .,l ,,l゙ 
       .lll         ,,,ll′             ,il゜           'l、 ll゙.,ll゙゜ 
       .lll      l!llil,,             ,l″       .,,,,ll,,lll゙l゙°  
       .'ll、         ゙!llili、           ,l゙゜        ,ll!l゙°    
       ゙l、     ,,,,,,,,,,,,,,ll,,,,,,,     .,,ll゙                 
          ゙l,     ゙゙ll,゙ ̄,,llll゙゙°   ,ll゙                  
        .lli、     ゚゙llll゙°    ,,ll゙`                  
        ゙!,,              ,,,,ll゙                    
         ゙゙li,            ,,ll゙゙゜                    
          '゙l,,、         ,,ll゙                       
           ゚゙ll,,,    .,,,,l゙゙゜                       
            ゙゙%llllllll゙゙″  
                      
腹傷





http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121937.jpg




絵呂「まき。とかげ」カサカサ


真姫「えっ、なにそれ・・・・? トカゲ? に見えないわよ・・・。なんか怖い・・・夢に出そう・・・」

カサカサ




http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121940.jpg





真姫「ひっ?! いや・・・なんで、そんな、たくさん・・・こっちこないで・・・」ビクビク




 カサカサ   カサカサ     カサカサ     カサカサ
    カサカサ      カサカサ   カサカサ
カサカサ         カサカサ   サカサマ
 カサカサ    カサカサ   カサカサ    カサカサ  カサカサ  
  カサカサ   カサカサ     カサカサ    カサカサ
     カカカサ         カサカサ
  カサカサ     ササカマ    カサカサ
 カサカサ    カサカサ   カサカサ  カサカサ    
     カサカサ  カサカサ カサカサ     カサカサ    カサカサ
  カカカサ   カナカナ   カサカサ   カサカサ
  カサカサ         カサカサ    カサカサ
     カサカサ    カサカサ   カサカサ    カサカサ





http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121938.jpg








http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121939.jpg

















花陽「絵里ちゃん! 真姫ちゃんが―――」

真姫「いやっ・・・いやっ! いやあああああああああああああああっっっっ!!!!」ガシッ ダダダダ

花陽「―――たいへんんわっわわわ?!」ヒッパラレ





----------------------------------------
アルパカ小屋



茶アルパカ「ン゙-・・・・ブォ」



真姫「はぁっ、はぁっ」ヨタヨタ

花陽「はぁ・・・ふぅ・・・」フラフラ


真姫「はぁっ・・・・・あっ」ガクッ

真姫(なに・・・これ・・・視界がグニャグニャして・・・・・・地面?)クラクラ

真姫「えっ」


ドサッ


真姫「あっ、くぅ」

花陽「ふぅ・・・ぁっ、ま、きちゃ」


真姫(あれ? わたし・・・倒れたの・・・?)

真姫(体が動かない・・・・。立てない・・・)クラクラ

真姫(なんなの・・・・なん・・・・なの・・・?)


真姫「はあっ・・・・はあっ・・・・」グッタリ


真姫(ここ・・・どこ・・・。視界がぼやけて・・・・・あれ?)虚ろ目

真姫(怖い・・・・誰か・・・私は・・・?)

真姫(怖い・・・見えない・・・動かない・・・・頭が揺れる)クラクラ


真姫(怖い・・・・痛い・・・頭・・・気持ち悪い・・・吐きそう・・・)



真姫(怖い・・・・私、どうなるの・・・これ・・・)



真姫(わからない・・・寂しい・・・・なんで・・・・・)



真姫(怖い・・・・・・・・)




真姫「あっ・・・。あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・―――――」パクパク






花陽「真姫ちゃ―――んっ! っと」 抱き起こし


真姫「あっ・・・」トサッ

花陽「大丈夫? ・・・じゃないんだよね、きっと」 パッパッ

真姫「んっ・・・」

花陽「ごめんね・・・真姫ちゃんがどうなっているか、私、よく分からなくて・・・ごめんね・・・」

真姫「はな・・・よ?」

花陽「でも、真姫ちゃんには絶対に良くなって欲しいの・・・! 私じゃ、大した力にならないかもだけど・・・助けになりたい! 今まで私が真姫ちゃんに助けてもらってばっかりだったもん。・・・・」

真姫「・・・・・はなよ」

花陽「それでも真姫ちゃんのために何かしたい。例えば、真姫ちゃんのお家まで、私、真姫ちゃんをおんぶして送るし。真姫ちゃんのためならなんだってやるよ!」

真姫「・・・・・」

花陽「だから、教えて真姫ちゃん。私にできることはある?」

真姫「・・・・・」


真姫「・・・・・・・・・」



真姫「・・・・・・・・・・・・」





真姫「・・・・・・・傍にいて」




花陽「それだけでいいの?」

真姫「・・・・・うん」

花陽「・・・そっか。それじゃ、とりあえず、今はそうするね」 隣に座る


真姫「・・・・・・・・」


花陽「・・・・・・・・」




真姫「・・・・・・・・」


花陽「・・・・・・・・」


ギュ


花陽「・・・?」

真姫「・・・・」ギュウ

花陽「・・・・」 ...ギュ

真姫「んっ・・・・」ギュ

寄り添い



真姫「・・・・・・・・」


真姫「・・・・・・・・」ウトウト


花陽「真姫ちゃん? ・・・・眠いの?」

真姫「んん・・・・・」

花陽「ふふっ、寝ちゃいそうだね」ニコニコ




茶アルパカ「ブォンー」



真姫「んっ・・・・」

花陽「アルパカさん、シッ」




http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121941.jpg






真姫「・・・・・・・・」ウトウト

花陽「大丈夫だよ真姫ちゃん。真姫ちゃんが良くなるで花陽が傍にいるから」ニコニコ

真姫「花陽・・・・・」


真姫(柔らかくて・・・・温かい・・・・)ウトウト


花陽「真姫ちゃん」ヨシヨシ

 
真姫「あふ・・・・」ポワッ

真姫(何これ・・・気持ちい・・・・・)ポワポワ

真姫(花陽・・・柔らかくて、暖かくて、抱き付かれて、頭撫でられて・・・)ポワワ

真姫(眠い・・・・)スヤァ



茶アルパカ「ブォー」

花陽「アルパカさん・・・・・」

花陽「・・・・・・・」

花陽「・・・・・・・」

花よ「・・・・・・・」

はなよ「・・・・・・・」

ハナヨ「・・・・・・・」

ハナ?「・・・・・・・」

ハ??「・・・・・・・」

??「・・・・・・・」

??「・・・・・・・」ジュル...









・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


花陽「ねえ、真姫ちゃん、お家の人に車で迎えに来てもらうこととかできない?」

真姫「えっ、あっ、そうね。和木さんに・・・―――」ピポパ



------------
音ノ木坂学園
校門



キッ

ガチャ、バタン


和木さん「お迎えに上がりました、お嬢様」

真姫「ええ、ありが・・・」

和木さん「・・・・・・」

真姫「何よ、その目」

和木さん「・・・・・・」

真姫「やめて。そんな悲しい物を見るような目で私を見ないで」

和木さん「・・・・・・」

真姫「なんなのよ! やめてって言ってるでしょ!」

和木さん「・・・・・・」

真姫「私をバカにしているの?! 見下しているの?! 一人で自惚れているバカな娘だって!」

和木さん「・・・・・・」

真姫「やめて・・・やめてっ!」

和木さん「・・・・・・」

和木さん「・・・・・・」

和木さん「・・・・・・」

和木さん「・・・・・・」

和木さん「・・・・・・」



和木さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



真姫「やめてぇえええええ!」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・




真姫「ごふっ?!」


真姫「んっぐ?! ゲホッゲホゲホ・・・」


真姫「・・・・・・んぅ」ムクッ


真姫「私、寝てた・・・・??」

真姫「・・・・・・」ボー....



―――私が眠る毎に、みんながおかしくなっていくのかな―――



真姫「!?」ガバッ


真姫「は、花陽!? 花陽は大丈夫!?」



真姫「花陽・・・・・・?」キョロキョロ



真姫「い、いない・・・」



真姫「は、はなよぉ・・・どこに行ったのよぉ・・・」オロオロ





「ま、ふわふわ・・・もこきもこ・・・ふちわふわゃ・・・んえへへ」





真姫「花陽の声?」



真姫「花陽・・・そっちにいるの?」オソルオソル



「うふふャン」カキカキ



真姫「な、なんだ。花陽、そこにいたのね。アルパカに抱き着い・・・ながら、スケッチブックに何か描いてる?」


真姫「絵? アルパカの絵でも描いてるの? 花陽は絵が上手だものね。きっと可愛らしい絵になるはずよね」


真姫「・・・・あれ? アルパカ一匹しかいないじゃない。もう一匹はどうしたのよ?」



「どうしたんかなぁ?」カキカキ

「まき渭ん」カキカキ



真姫「えっ・・・・?」




「どこに行っちゃったんかなぁ? クスクス」



真姫「あ、あ、・・・あなた・・・は、はなよ? ・・・よね? 声は花陽だけど・・・、何よそのネイティブ関西弁は・・・」

真姫「大体、なんでそんなに不自然にスケッチブックを持ち上げながら絵を描いてるの・・・? 顔が見えないんだけど・・・・・・」

真姫「・・・・・ていうか、あなたちょっと、背、伸びてない・・・・?? ほんと、なんで? え? あなた本当に花陽・・・・???」



「ね・m簪」カキカキ

「まキセゃん」カキカキ


真姫「・・・な、なに?」ビク



「シカとかアルパカっ6韈食べたことある奠y?」カキカキ



真姫「な、ないわよ・・・・」ビクビク


「まきちゃん」カキカキ


「す欣ごくおいしいんやって。さ燁の授業で習ったやろぉ?」カキカキ


「ま}價Gゃん」カキカキ



真姫「そ、そうだったかしら・・・・?」ビクビク



「食鯆みたない?」



真姫「え、遠慮しておくわ・・・・」アトズサリ...



「一緒に食べよ? ウチ、焼き肉好きやし」

「まきちゃん」

「たTテよ?」



真姫「わ、分かったわよ・・・また今度ね・・・」





「そんなこと言わんと。だって。ほぉら。ここにね? ちょーどシカとアルパカニF+やん?」






真姫「は、はぁ? あ、あなた、何を言って・・・。アルパカはともかく、鹿なんてこの都会にいる訳―――」



「おるやん」



真姫「えっ・・・?」



「まきちゃん」

「目の前に畧(「・」


真姫「目の前って―――」



「まきちゃん」

「ほら、ここに」


真姫「・・・・??????」




「ウチのこと―――」

「おいしく―――」顔上げ 







真姫「!!!!!?」







シカ「 た ・ べ ・ て ♪」






真姫「っ!?!」



真姫「だっ、誰よあなたっ!!? ついでになんでさっきエリーが連れてた変な生き物を模写してんのよ?!」


シカ「まe竒ゃん」

シカ「食べて♪」 ニジリニジリ



真姫「だからあなた誰よ!!!? 花陽はどうしたのよお!! 花陽を返してええ!! あっ、やっ・・・・いやっ・・・ こないでぇ・・・・!!」







シカ「まきちゃん」

シカ「褜ョゃん」


シカ「まきちゃん」


シカ「たべて」




シカ「まきちモC・」



真姫「ひっ!? ひいっ!!!」



シカ「まきちゃん」


シカ「まきち#<dん」

シカ「ま・KゃんH」
シカ「囂fき・ん」
シカ「まきちゃん」
シカ「まきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃんまきちゃん」

























シカ「  ま  き  ち  ゃ  ん  」



真姫「~~~~~っっっ!!!!!!」ダッダダダ








真姫「いやだいやだいやだ、もういやああ!!」ダダダ

真姫「花陽も、凛も、ことりも、穂乃果も、海未も、エリーも、先生もクラスメイトも・・・!! みんなみんな変に・・・!!」

真姫「なんなのなんなのよお!! ここ学校なのに、変なの、知らない人ばっかり! なんでなのよお!! こんな所に居たくない! 離れたい! 逃げなきゃ!!!」ダダダダ


真姫「走って走って! 逃げて! 中庭を走り抜けて・・・校門を抜けて―――」ダダダダ

真姫「外に出る―――っ?!」ピタッ


真姫「な、なんで校門が閉じられてるの?!」


真姫「あれじゃ通れない―――」




  ヒタ

    ヒタ




真姫「っ!?」ゾクリ

真姫「またっ・・・。近くにいる・・・! もう見たくない! こないで!」

真姫「逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃああ!」タッ

真姫「校門を開け―――開かない?!」ガシャ

真姫「開いて・・・開いてぇ・・・!」ガシャ... ガシャ...

真姫「なんで開かないのぉ・・・」ガクッ

真姫「はぁっ・・・はぁっ・・・・うっ」ズキッ

真姫「頭痛い・・・。苦しい・・・・・」クタッ



「どこに行くの?」



真姫「ひっ?!  いやっ! いやああ! 開いて開いて開いてえええ!!」ガシャガシャガシャ


「まきちゃん」

「ここに居て」

「ここに居たい」


真姫「きゃっ?! き、きたっ・・・・逃げなきゃ! でも、校門が閉じられてて・・・そうだ! 乗り越える!」タッ

真姫「これくらい、私だってよじ登れるわよ! んんっ!!」ガシャガシャ

真姫「たあっ!」ピョン

タッ

真姫「出られた! とにかくどこか遠くに―――」タッタッ


「まきちゃん」


真姫「っ?!」ビクッ


「おかえり」




真姫「な、なに!? 外にまでいるの?! ―――って?! 違う?! ここ校舎の中!!?」

真姫「な、なんで?! 確かに私、校門を乗り越えて外に出たのに・・・!!」


「まきちゃんは仲間」

「一緒だよ」

「一緒に居たいよね」


真姫「いやっ・・・いやっ! 来ないで!」タッ

真姫「いやだいやだいやだ・・・。逃げないと・・・!!」タッタッ


真姫「はっ・・・はっ・・・」タッタッタッ

真姫「はっ・・・うっ・・うぅ」タッ タ クラッ

真姫「も、もう・・・なんなの・・・さっきから頭が痛い・・・重たい・・・」クラクラ

真姫「手足が痺れる・・・」ビリビリ

真姫「吐き気もする・・・視界がぼやけて・・・」クラクラ

真姫「でも・・・行かなきゃ・・・出なきゃ・・・怖い・・・だから・・・」ヨタヨタ

ヨタヨタ...



真姫「中庭に出た・・・。ここを抜けたら校門へ・・・」ヨタヨタ

ヨタヨタ...




---------------



 
真姫「やっと着いた・・・。でも、また、校門、閉まってる・・・」


    ヒタ

  ヒタ



真姫「っ! 追ってきた! は、早く出ないと・・・」

真姫「とにかくよじ登って・・・うっ」クラッ

真姫「手に力が入らない・・・。か、体が持ち上がらない・・・よじ登れない・・・なんで・・・」フラフラ

真姫「はぁっ・・・はぁっ・・・」クタッ


「どこに行くの?」

「まきちゃん」

「わたしたちはここだよ」





真姫「うっ、・・・うぅ!」グッ

真姫「逃げるのぉ!」ググッ... ガシャ.... ガシャ....

真姫「はぁ・・・ふぅ・・・なんとか登れた・・・」ゼェハァ

真姫「後は飛び降りるだけ・・・んっ!」ピョン

真姫「よっ・・・・とっ―――えっ、脚に力が入らな・・・きゃあ!」ズテッ

真姫「あっ、うっうう・・・痛い・・・」ヒリヒリ

真姫「いたい・・・・」ヒリヒリ

真姫「うっ、うっ・・・・ぐすっ・・・」ジワッ



「まきちゃん」

「戻ってきた」



真姫「また校舎の中・・・なんで・・・なんでなんで、なんでえ! なんで外に出られないよお・・・・もういやぁ・・・・」クタッ

真姫「ああ・・・、はぁっ・・・はぁっ・・・・。なんか、疲れちゃった・・・」グッタリ

真姫「体も動かない・・・」



「まきちゃん」

「まきちゃん」



真姫「・・・きっ、来た・・・パジャマを着た知らない人達・・・」

真姫「・・・・パジャマ?」

真姫「なんで学校でパジャマ着てるのかしら、あの人達・・・・」



「まきちゃん」

「好き」

「ここが好き」

「わたしたちが好き」



真姫「いやっ・・・いやっ・・・来ないでよぉ・・・。怖い・・・怖い・・・」ガタガタ



「こわい?」

「まきちゃん」

「こわい」

「なんで?」

「こわいのに戻ってきた?」

「なんで戻って来たの?」

「まきちゃんこわいのに?」



真姫「知らないわよぉ・・・何度も学校から出ようとしても気が付いたら戻って来ちゃうのぉ・・・お願いだから近づかないでぇ・・・」ビクビク






「変なの。戻りたいから戻って来たのにね」

「まきちゃん。ここに居たいのにね」

「ずっとずっと。ずーっと前から」

「まきちゃん。私達を知っていたから」



真姫「何言ってるの・・・・あなた達なんて知らないわよ・・・。ここ学校よ・・・・それなのに、あなたたちなんて、見たことも聞いたこともない、知らない・・・変なのばっかり・・・」



「知らない? 変?」

「まきちゃん」

「知らないと怖い?」

「知らない?」



真姫「そんなの当たり前でしょ! なにがなんだか分からない・・・・。あなたたちの事なんてなんにも知らない・・・・。それなのに私に付きまとって・・・! お願いだから近寄らないで!」



「知りたい?」

「知りたい?」

「知りたい?」

「知りたい?」

「知らなくてもいい?」

「聴いてよ」

「まきちゃん、一緒に感じたい」

「まきちゃん、一緒に遊びたい」

「知ってほしい」

「知っている必要ない?」

「知っている人、なんていなくていい」

「一人でなんでもできる」

「どうせ一人になる」

「それで」

「まきちゃん」



真姫「なんなのよ、なんなのよお・・・・。さっきから訳の無からないことばっかり・・・・。いやあぁ・・・・こんな・・・・怖い・・・こんなところ、居たくない・・・」ガタガタ






「でも仲間は好き」

「だから、私達は知らない仲間」

「ずっと前から知ってる。けど知らない」

「好き? 好き?」

「まきちゃん」

「知りたい?」


「知りたい?」



「聴いてよ。聴いて」



「好き」


「出たくない」

「だから戻って来た」

「嫌いじゃなくて。好き、」

「好き。仲間。これからもずっと変わらない。ここが私達の。終わらない」

「学校、仲間」

「パーティー。仲間」



「 ま き ち ゃ ん 」




「 ダ イ ス キ 」





ジリジリ....

ジリジリ....

ジリジリ....





真姫「いや・・・いやあっ! だからなんで私に付きまとうのよ! 近づかないで! 寄ってこないでええ!!」タッ  タッ.... タッ....

真姫「あっ、くぅ・・・・頭いたい・・・めまいもする・・・・脚に力が入らない・・・うまく走れない・・・・」クラッ

真姫「うぅ、ううぅ! でも、逃げる・・・逃げるぅ・・・!」フラッ ヨタヨタ....フラフラ...トタトタトタ...


真姫「はぁっ、はぁっ・・・・もう、なんなのよぉ・・・私になんの恨みがあるのよぉ・・・・怖い・・・・怖い・・・・・うっ、ううぅ」ジワッ



「まきちゃん」

「ここで私達と」

「ひとつに」

「ここが私達の」



真姫「いやぁ・・・」ウルウル

真姫「ママ・・・パパ・・・助けて・・・・。あなた達きらい・・・きらい! きちゃだめ!」ウルウル



ガラガラ

トタトタ....

ガラガラ


ピシャ


真姫「こわい、こわい・・・・」フルフル

真姫「・・・・・・・・・・・あれっ?」

真姫「ここはっ・・・・音楽室・・・・・?」

真姫「音楽室・・・・・よね?」ビクビク オロオロ




http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121944.jpg






真姫「・・・・・」キョロキョロ


真姫「机、座席・・・」

真姫「窓、カーテン・・・」

真姫「黒板、ピアノ・・・・」


真姫「・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」


真姫「・・・・ピアノ」


真姫「・・・・・・・」ヨロッ


真姫「・・・」ヨタヨタ



ストン



真姫「・・・・・・」スッ....



スコッ



ピアノ「岷・Rイヨ~~」


真姫「えっ」ビクッ

真姫「・・・・??」スッ....


スコッ


ピアノ「ー?u鍮¬捏~~」



真姫「いやっ・・・なによこれ・・・。なんでピアノからこんな不快な音が・・・??」

真姫「気のせいよね・・・もう一度・・・」スコッ


ピアノ「斑#~」



真姫「・・・・・・」スコッ



ピアノ「ト箙~!」








真姫「っ!」ダンッ


ピアノ「z>ォ!」



真姫「~~~!!」ダンッ ダンッ ダンッ

ピアノ「烱・! 坙S! ヲw`!」



真姫「なんでよっ!  なんでピアノからこんな変な音しかでないの・・・! なんでよ・・・・・なんでよ、もう・・・・・・・」

真姫「・・・・」タンッ


ピアノ「髀:O~」



真姫「・・・・・はぁ」クタッ

真姫「こんな音しかでないなら、ピアノ弾けないじゃない・・・」

真姫「ピアノが弾けない・・・」




真姫「・・・・ピアノって何だっけ。どうやって弾くんだっけ」

真姫「ピアノの弾き方分からなくなっちゃった」

真姫「・・・・・」


真姫「・・・・すぅ」

真姫「┬╓┌╣┌д┌И│[┌н┌Я┌╢│`┌╒」

真姫「!!?」

真姫(えっ?! な、なに今の?! これが私の声?!)

真姫(そんな・・・。も、もう一度・・・)


真姫「・・・・すぅ」


真姫「┌╠┌╠┌е┌Ф┌╘┌÷┌а┌╫│`」


真姫(い、イヤァ・・・・。なんなのこれぇ・・・)

真姫(こんな声じゃ、歌も歌えないじゃない・・怖い・・・、いや・・・・)

真姫(歌が歌えない・・・?)

真姫(歌・・・? あれ? 歌ってどうやるんだっけ?)

真姫(歌い方も分からなくなっちゃった)

真姫(そっか・・・わたし、できない・・・できないんだ・・・・できなくなった・・・・なにも・・・ぜんぶ・・・・)

真姫(ぴあのひけない・・・)

真姫(うたもうたえない・・・・)




真姫(みんなしらないひと・・・)


真姫(おしゃべりできない・・・・)


真姫(みんなが、みんなでなくなる・・・・)

真姫(わたしも、わたしでなくなる・・・・)




~~~~~~~~~~~~~~~~

花陽「真姫ちゃん? ・・・だよね?」

花陽「なんかちょっとだけ違和感があるような、ないような・・・う~ん・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~

花陽「あなたは真姫ちゃんですか?」

花陽「なんだか今の真姫ちゃん、いつもと違う気がして」

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫(あっ・・・・そっか・・・。さっき、花陽に言われたことって、こういうことだったのね・・・・)

真姫(そっか・・・そっか・・・・こうして・・・)

真姫(わたしは、ひとりに・・・・・)

真姫(あっ・・・あ、う)


ズキリ


真姫(あたまいたい・・・おなかいたい・・・はきそう・・・つかれた・・・ねむい・・・)クラッ


真姫(ねむい・・・・)ポヤー...


真姫(・・・・・) ....






・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・











真姫(ピアノの弾き方が分からない・・・。歌の歌い方が分からない・・・。音楽ができない・・・。みんなが、みんなじゃない・・・・知らない人ばかり・・・・私は、一人に・・・・)

真姫(そんなの嫌・・・)

真姫「・・・・・」

真姫「・・・・・・・・・・嫌?」

真姫「どうして?」

真姫「どうして嫌なの?」

真姫「μ’sのみんなだって、いずれは卒業する。私は医学部に入る。どうせ医学部に入るのは私以外にいないでしょ。医学部に入って、また私は一人で頑張るだけ。その後は病院を継いで、その流れの中で私の周囲の人は自然と変わるはず。今までだってそう。幼稚園、小学校、中学校。その度に、私の周りの人は変わっていった。変わる度に、私はいつも一人だった」

真姫「ほら、みんながみんなじゃなくなる、周りは知らない人ばかり、私が一人・・・それって、普通のことじゃないかしら?」

真姫「だったら、私は何を怖がっているの?」

真姫「周りは知らない人ばかりなのは、普通の事」



真姫「音楽だって、そんなのできなくて―――」

真姫「何か困るのかしら?」

真姫「元々、私の音楽は終わってた。ううん。始まってすらいないはずよ」

真姫「だって、パパが私を病院の跡継ぎに決めた時から、音楽は私にとって不要じゃないかしら?」

真姫「だったら、いいじゃない。ピアノの弾き方が分からなくても、歌の歌い方が分からなくても」


―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの


真姫「そう、医者になるのが私の夢。子供の頃からの夢」

真姫「歌が歌えない? ピアノが弾けない? 私は一人? 別におかしくないじゃない」

真姫「むしろおかしかったのは、μ’sに入ってからの私」

真姫「音ノ木に入学する前は、私の居場所はいつも図書館や音楽室、放課後の塾の教室だった。休み時間にクラスの真ん中でわいわい騒いでいる、そんな空気の中にはいつも入っていなかった」



―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの



―――ゥ$m・h|ヒm;~薔ヘ_s2ン_yGムセ・Z欣サモケ;呀



真姫「私の将来の夢は医者になる事」


真姫「そんな私がスクールアイドルやってるなんて、不思議。いったいなんでこの私がμ’sなんてやってるのかしら。もしかしてこれって、夢か幻なのかも」

真姫「私は一人で努力して、医者を目指す。」




―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの



―――音楽.・h|ヒm;~薔ヘ_s2ン_yGムストになりモケ;呀




真姫「それが現実。それが私。スクールアイドル、μ’s、ピアノ、歌・・・音楽は・・・―――」

真姫「全て夢」

真姫「一瞬だったような、随分長いような、そんな夢だったわね」

真姫「・・・私の音楽は夢だった」



―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの


―――音m・h|ヒm;~将来はピ_yGムストになりモケ;呀



真姫「夢・・・? 私の夢は医者になる事。あれ? 音楽も夢・・・?」

真姫「夢・・・・? 医者・・・? 音楽・・・?」

真姫「あれ・・・? あれ・・・?」

真姫「私の夢はどっち・・・??」




―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの


―――音楽.・h|ヒm;~将来はピ_yGムストになりモケ;呀




真姫「・・・・医者になるのは・・・。パパの病院を継がなきゃいけない。だから、医者になるのが私の夢」




―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの


―――音楽.・き! 将来はピ_yGムストになりモケ;呀






真姫「・・・・音楽は・・・・。・・・・音楽は? 何? 寝ている時の夢?」

真姫「ただの、夢―――」



―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの








―――音楽が・き! 将来はピ_yニストになりモ呀っ!



真姫「―――じゃない・・・・?」

真姫「・・・・・・・なにこれ。わたし・・むかし・・・。別な事を・・・? ちが、そんな、ない、医者になること以外、そんなこと、言ったことない、だって―――」


『真姫はえらいな。いつも勉強ができて。このままなら西木野病院の名女医さんだぞ』


―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの



―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの


―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの

―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの

―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの





―――ゥ$m・h|ヒm;~薔ヘ_s2ン_yGムセ・Z欣サモケ;呀



真姫「うん。私が、誰よりも尊敬している、大好きなパパからもらった言葉。そのパパは私に病院を継いで欲しいと思ってる」

真姫「わたしは いっぱい べんきょう して おいしゃさんに なるの」

真姫「そう言ったら、パパはとても喜んでくれた」

真姫「だから―――」

真姫「音楽は、ただの夢」


―――音m・h|ヒm;~将来はピ_yGムストになりモケ;呀


真姫「・・・・・・・・・・」


真姫「・・・・・・」


―――音楽がh|ヒm;~将来はピ_ yニストになりモケ;呀


真姫「そんな音楽・・・私、なんで音楽をやっていたの・・・?」

真姫「どうして?」

真姫「ねえ? どうして私は音楽を今までやっていたの? 歌を歌っていたの? ピアノを弾いていたの? 医者になるための勉強だけしていればいいのに」

真姫「どうして?」

真姫「それは・・・。穂乃果にμ’sの作曲を頼まれたから?」

真姫「それは最近の話でしょ。私は高校に入る前からずっとピアノをやっていたわよ」

真姫「そうね。じゃあ、いつから? 私はいつからピアノを弾いていたの?」

真姫「いつ・・・? いつだったかしら・・・」

真姫「中学生? ・・・いえ、その時は既にピアノを弾いていた」

真姫「そうだ。中学1年生の時にピアノ教室を辞めたっけ」

真姫「ピアノ教室はいつから通い始めたの? 小学生から?」

真姫「そう、だったかしら・・・?」

真姫「小学1年生の時にピアノの発表会に出たっけ」

真姫「その時の結果は、2位だった。すごく嬉しくて、その日、家に帰ってすぐにパパに教えた。小学6年生のお姉さんたちがいる中、私は2位だったよ、って。いっぱい褒めてくれると思った。 けれど―――」


『なんだ! 1位じゃないのか!』


真姫「うくっ」ズキン


『ピアノなんてできなくても全然かまわないが、勉強はしっかりやらないとな』



真姫「・・・・その時ね。私の人生にピアノが必要でないと理解したのは」

真姫「ピアノなんてできない。さっき弾いても変な音しか出なかった。正しい弾き方なんて知らない。歌も、歌い方なんて知らない。だけど、それでいいの。だって私は―――」

―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの
















―――音楽が・き! 将来はピ_yニストになりモ呀っ!



真姫「さっきから何・・・?」

真姫「なにか、頭に引っかかる・・・」

真姫「今の私にピアノは弾けない、歌も歌えない。そもそも、音楽なんて必要ない。パパだってそう思ってる」

真姫「それなのに、なんで私はピアノを始めたのかしら・・・? 一番最初のきっかけはなんだったかしら・・・」






『真姫ちゃんは総合病院のお嬢様なんだから、それらしい習い事をしないとね』



真姫「そう、幼稚園に入ったばかりの頃よ」

真姫「 “総合病院のお嬢様” らしい習い事として、ママにピアノの教室に連れられて・・・。そこで、初めてピアノに触った」




真姫「私が音楽を始めたのは幼稚園の頃からで、その理由は “総合病院のお嬢様” らしくあるため」


真姫「別に、好きでもなんでもなくて、音楽を始めたんだ・・・・った・・・・?」


真姫「・・・・・・・・・・」


真姫「・・・・・・・・」






―――音楽が・き! 将来はピ_yニストになりた呀っ!






真姫「・・・・違う」

真姫「違う?」

真姫「確かに、ピアノ教室は自分の意思で通い始めた訳じゃない。・・・・だけど、最初にピアノ教室に通えるんだと思った時、私は物凄く喜んでいた。そのことははっきり覚えてる」

真姫「だけど・・・なんで・・・。喜ぶきっかけ・・・。ピアノを習いたい、そう思いたくなる、何か、きっかけがあった・・・――」

真姫「ピアノ教室に通い始めるよりも、もっと前に、もっとずっと、何か・・・大事で、嬉しくて、楽しくて・・・そんな何かがあった気がする・・・。何かが・・・。音楽をずっと続けたい、上手になりたいって思ったような・・・・・・・・」

真姫「もっと前・・・? そんな前から・・・? 何かが・・・?」

真姫「何か・・・」







―――音楽が好き! 将来はピアニストになりたいっ!




真姫「なんだろう・・・この気持ち。とても懐かしい。ワクワクして、空にでも飛んでしまいそうな、世界がパァーって思いっきり広がった感覚・・・そんな何かがあった・・・」






真姫「・・・・・・・・思い出したい」


真姫「最初に音楽に触れた時の事・・・・。最初に自分から音楽をやりたいと思ったきっかけ・・・。思い出したい・・・」

真姫「思い出して・・・・思い出してっ。その時の事を思いだすの!」

真姫「私が・・・最初に音楽が大好きだと思ったのは・・・・・・・・・・・・…――――」



















      ・・・・・
     ・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・





――――――時を巻き戻して――――――

























 「はっ、はっ、はっ、はっ」 タッタッタッ

   「ほにょかちゃん!」

 「はっ、はっ、はっ、はっ、ふゃ、はっ、はっ」 タッタッタッ

     「はわっ。わっ・・・」




真姫「・・・・・?」ポワァ

真姫「・・・はっ」

真姫「・・・ここは?」キョロキョロ




 「はっ、はっ、ンっ・・・!」タッ....

 「たぁぁぁーーーーっ!!!」ピョン


   「わぁっ!」

     「はわっ・・・んゅ」


 ツルッ


 「んわぁ?!」


 ビチャアアン


 「つめたあああい!!」

   「ほにゅかちゃぁぁぁん!」




真姫「近くの公園・・・?」

真姫「子供が遊んでる・・・」

真姫「あんなにはしゃいで・・・楽しそう・・・・」



~~~~~~~~~~~~~~~~

『お行儀よく、賢く、おしとやかに女の子らしく。パパの娘として恥ずかしくないように、西木野家の娘として決してはしゃぎすぎたりしないように』

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫「・・・・いつも厳しいママが、よく言ってたっけ。だから、私ははしゃがない。遠くで見ているだけ」







 「んんんんっ・・・・・!」ムスッ.... ビッチョリ

 「ううっ、なんでなんでなんでー!!」ジタバタ

   「やっぱりむりだよぉ・・・。帰ろぉ・・・・・」

     「うぅ・・・」モジモジ




真姫「・・・・・・・・」




 「大丈夫! 次こそできる!」


 「んっ、くっ・・・!!!」ジリッ


 「・・・・・いくよっ!!」タッ...



  タッ



     タッ タッ



        タッ タッ タッ.....



















 < ラ~ラララ~♪ 




 「・・・・・・!?」タッタッタッ




真姫「あらっ・・・?」









 < ラ~ラララ~♪ ララララ~ ラララ~♪




真姫「このメロディーは・・・・」

真姫「とても懐かしい気がする・・・・・」

真姫「なにかしら、この曲・・・」



真姫「・・・・・・・・」目を閉じ

真姫「・・・・・・・・」耳を澄まし


まき「・・・・・・」




 < ララ~ ララララ~ ラ~ラララ♪ ラッラララ~♪




まき「・・・・」




 「~~~♪」タッタッ... タッ タンッ タッ タンッ♪ 




< ラーラ ラ~ラ~ラ~ラ♪ 

まき「・・・・・・ら~」




 < ラ~ラ~ラ~♪ ラ~ラ~ラ~♪

まき「・・・・ラ~♪ ラ~ラ~ラ~♪」




 < ラッララ~♪ ラララ~ラ~ラ~ラ~♪

まき「ラッララ~♪ ラララ~ラ~ラ~ラ~♪」




  タッ タンッ タッ 

 「~~~んっ♪」  タッ.....







ふわっ・・・









    r― 、
    ヾ ヽ ヽ
    ノ } l

   /  / /
  ミ  / 彡
  ヾ、/ 彡

   /゙´






 < ラ~ラ~ラ~ラ~♪ ラーラーラー♪

まき「ラ~ラ~ラ~ラ~♪ ラーラーラー♪」




トタトタトタ




 < ラ~ラララ~♪ ラ~ラ~ララ ラララ

まき「ラ~ラララ~♪ ラ~ラ~ララ ラララ」


パチパチパチパチパチ!


まき「ラヴェッ?!」ビクッ

「ねえ! そこのあなた!」

まき「?????」ササッ 隠れ

真姫「・・・・何か用?」

「すごいすごい! すごい!! かんどーしちゃったよ!」パチパチパチ

まき「えっ・・・・?」モジモジ

「きれーな声だね! お歌上手だね! そして! お姫様みたいに かわいーね!」

まき「・・・・・・///」テレテレ

「あなたのお歌のおかげで飛べた気がするの! だってあなたのお歌を聞いたら、なんか元気になったの! ありがとう! すごいすごい! ありがとう!」パチパチパチパチ

まき「//////」テレテレ モジモジ







真姫「これは・・・・・嬉しい? ・・・・・楽しい?」

真姫「・・・・・そう。・・・・思い出した」

真姫「たまたま聞こえてきた歌を、この時、なんとなく真似て歌ったの。そしたら、近くにいた子供に褒められて―――」

真姫「それが、たまらなく嬉しかった。もっと歌ったら、もっと褒めてもらえるのかなって思ったり。そして、なにより・・・」

真姫「私自身、歌っている時は、とても楽しかった。すごく気持ちが良かった」

真姫「頭に描いた音を声で出して、思い通りのメロディーになって、それが自分の耳に響いて、頭の中を駆け廻って、そしてまた出した声は、空のどこまでも遠くに飛んで行って・・・。それが、心地よくって。そんな想いを、共感して一緒に楽しんでくれる人がいた」

真姫「・・・・これが音楽。・・・・・・自分もみんなも楽しめる。音楽は楽しい。音楽が好き。音楽が大好きになった」

真姫「もっと上手に音楽ができるようになりたいって思った。もっともっと音楽を楽しみたい。そう思った時に―――」






真姫「ピアノ教室に通いなさい」

まき「ぴあの?」

真姫「ええ、 “総合病院のお嬢様” なのだから、それらしい習い事をしないとね」

まき「・・・・うん!」




真姫「ピアノは色んな音が出せる。そんなピアノを自由自在に操って、色んな曲を弾けるようになれたらどんなに楽しい事か」

真姫「総合病院のお嬢様だかなんだか知らないけど、理由はどうであれ、私はピアノを習えることに、胸を躍らせたの。それと、上手くなって、あの時褒めてくれた子供みたいに、パパとママにもいつか褒めてもらいたいと思った」




まき「ピアノってどうやって弾くの?」

真姫「それは。それは・・・??」

真姫「・・・・・私に教えてあげられるかしら。私が弾いたら、変な音になるし・・・。ピアノの弾き方、なんか、分かんなくなっちゃってて・・・」

まき「???」

真姫「・・・・・・。私、つい最近までは、普通に、ピアノ弾いていたはずなのにね・・・」

まき「・・・・・」ジー

真姫「な、なによ。変な目で見ないで・・・」



―――



真姫「っ・・。わ、分かったわよ・・・。できるだけ、教えるわよ・・・」

真姫「くっ・・・ちょっとまって、少しだけ・・・・。ピアノの弾き方、今思いだすから・・・・」

真姫「えーっと・・・・」ソワソワ

真姫「・・・まずは何からすればいいんだったかしら・・・。鍵盤をただ押すだけじゃだめなのは確かだけど・・・・。ううっ、分からない・・・。体が覚えちゃって、いつも何も考えず弾いてたから・・・こうやって改まってピアノに向き合ったら、余計に何から始めればいいのか思いつかない・・・・・」

真姫「・・・・・・・・。そもそも、私はどうやってピアノが弾けるようになったのかしら?」

真姫「・・・・私だって、生まれてから誰にも教わらずにピアノを弾けていたわけがない」

真姫「最初は先生にピアノを教わったはずよ。その時の事を思いだしましょう・・・」

真姫「まずは・・・本当の最初の最初、一番最初に教わった事は・・・。えーっと・・・。確か・・・・」

真姫「確か・・・・」



真姫「姿勢・・・だったかしら」

まき「しせい?」

真姫「・・・・そっか。そうね。姿勢ね」

まき「しせい」



真姫「ええ。まずはピアノを弾く時の姿勢をちゃんと覚えて。これをいい加減にしてピアノを弾き続けちゃうと、いずれ体を壊しかねないからね」

まき「うん」



真姫「まずは椅子の高さを合わせましょ。背が低い人は椅子の高さを上げて―――」キュッ キュッ


―――ぐぬぬっ


真姫「・・・・・・・?」キュ...

真姫「何かしら、このデジャブ・・・。最近も同じように、椅子の高さを上げた気が・・・」

真姫「私は結構背が高い方だし、椅子を下げる事はあっても、上げる事なんてあんまりないはずなのに」

真姫「別のだれかが―――」

真姫「あれ・・・? 違うわね、最近、私自身があえて高くした気が・・・。なんでかしら・・・?」



まき「高さはこれでいいの?」

真姫「え、ああ、そうね。その椅子に浅く腰を掛けて」

まき「うん」ストン

真姫「背筋を伸ばして」

まき「うん」ピンッ

真姫「腕を下に真っ直ぐ伸ばして、肩と手の力を抜いて」

まき「うん」ダラーン

真姫「そう、その自然な形のまま、軽く鍵盤の上に手を置いて」

まき「こう?」サッ

真姫「そう。良いわね。その姿勢が基本だからしっかり覚えなさい」

まき「分かった」

真姫「さて、次はいよいよピアノを弾いてみましょうか。鍵盤がたくさんあって混乱するかもしれないけど。とりあえず最初は適当に音を鳴らしてみて。どこでもいいわ。鍵盤を押して音を鳴らし―――」




~~~~~~~~~~~~~~~~


ピアノ「棧期#・~~」


~~~~~~~~~~~~~~~~





真姫「うくっ?!」ズキン

まき「?」キョトン

真姫「ダメ・・・やめて・・・。ピアノはダメ・・・。嫌な音が・・・・・・あんなの、もう聞きたくない・・・」ズキズキ

まき「鳴らしていいの?」スッ

真姫「あっ、ダメッ―――」




















     ポーーーーン +*:.。.*:+☆♪








まき「わぁ・・・!」パァ



真姫「えっ・・・・?」

真姫「なんで・・・なんて・・・綺麗な音・・・」ジーン

真姫「ピアノって、こんなに綺麗な音が出るの・・・?」ジンジン

真姫「身体中に響き渡って、いっぱい弾けて跳んで・・・」ジンジン



まき「うふふっ♪」ウキウキ



ポロン♪

ポロロ~ン♪


真姫「音が心地よくって・・・・・ 気持ちよくって・・・・・・・・」


まき「~♪」

ポロン♪

ポロロン♪


真姫「・・・・・何度も、何度も、何度も音を鳴らして、聴いた―――初めてピアノの音を鳴らした、幼い時のわたし」





真姫「グランドピアノはまじかで見れば見る程、とても大きくて。つやつやに光ってて。小さい体には余計に大きく見えて。世界的な価値を持つ宝物みたいに。きっとこれは高貴な王女様のような人のためにある宝物―――」

真姫「ふと、そんなことを考えたら、こんなにも大切で高価な宝物を、子供の私が夢中になって触っていたら、ダメなんじゃないかと思った。でも、周りの大人達には怒られなかった。だから、もっとたくさん触っていいんだと思った。そうしたら、自分が王女様の気分になって、夢中になって音を出し続けちゃった」

真姫「この時はピアノの弾き方は何にも知らない。ただただ、適当に鍵盤を叩いた。無秩序な音。だけれど、綺麗なピアノの音が鼓膜を揺らす度、心が穏やかになったり、気分が高揚した」

真姫「ピアノの弾き方は何にも知らない。けれど、この気分が変化する感覚が、ピアノに感情を乗せられることなんだと・・・・これが、音楽の素晴らしさなんだと・・・―――初めてピアノを触った幼心ながら、なんとなくそんなことを感じ取ってた」

真姫「ピアノってすごい。楽しい。だから―――」


まき「もっとピアノを弾きたい! 早くちゃんとした曲を弾けるようになりたい!」


真姫「そう。それじゃあ、しっかり練習しないとね」

まき「うん! もっと教えて!」

真姫「ええ。それじゃあ、次のステップ。各指に番号を振りましょう。親指から1,2,3, 4,小指で5番」

まき「1、2、3、4、5」

真姫「そう・・・あらっ、小さい手ね。・・・・小さな、女の子の・・・手・・・?」



―――んぁ? なにっ?



真姫「・・・・別に」



―――ふんっ



真姫「・・・・・・えっ? 今、私、何に・・・? これもデジャブ・・・?」

真姫「小さい・・・手・・・・・」モヤモヤ 

まき「それから?」

真姫「えっ・・・、あ、ええ、それから鍵盤を見て。黒い鍵盤が三つ並んでいる所と、二つ並んでいる所があるわよね。黒い鍵盤が二つ並んでいる所の、すぐ左側の白い鍵盤 が “ド” の音。たくさんあるから、まずは中央の“ド”の位置だけ覚えましょ。ここに右手1番の指を置いて」

まき「うん」スッ

真姫「同じように、他の全部の指を隣の白い鍵盤に置いて。親指から ド レ ミ ファ ソ の音ね」

真姫「それじゃ、簡単な曲を弾いてみましょうか。楽譜を前に置くわね」

まき「・・・・? どうやって読むの?」

真姫「一番低い位置にあるこの音符がド。その一個上の音符がレの音。音符の位置が高くなるほど、鍵盤の右側の高い音を示しているの」

真姫「他にも半音とか音の長さとか、楽譜には色々書かれるけど、今はまだ無理をして細かいところまで読む必要は無いわ」



真姫「早速、この音符の通りに曲を弾いてみて」

まき「えっ、あ、う、うん」

まき「最初のこれは・・・?」

真姫「 ソ よ。だから5番の指ね」

まき「ごばん・・・」スッ

ポーン

まき「次は・・・。えっと」

真姫「 レ 。2番の指」 

まき「にばん・・・」

ポーン

まき「あってる・・・?」

真姫「ええ、あってる」

まき「よかった。次は―――」

真姫「鍵盤は見ないで弾いて。見ながら弾いてたら、鍵盤の位置感覚が養われないわよ」

まき「う、うんっ」

まき「次の音は・・・あっ、同じところ。だから、にばん」スッ

ポーン

真姫「背中が丸くなってる。背筋伸ばして」

まき「あ、うん」ピン

まき「次の音は―――」


真姫(・・・・テンポ悪いわね。全然リズムになってない)

真姫(子供には難しいかしら)



ポーン


真姫「あっ、今の音違うわよ。 ソ だから5番の指を押す」



―――あっ、ああ、そ、そうね



真姫「えっ、あっ・・・。また・・・?」

真姫「私、子供にピアノ教える事なんて今までに無かったと思うけど・・・全然そんな気がしない・・・。なんで・・・?」

真姫「本当に、なんだろう、さっきからのデジャヴ・・・既視感・・・・・・」モヤモヤ


まき「えっと・・・次は―――」シンケン




真姫「・・・・・・・・。言われた通りに楽譜を目で追っている子供。音に強弱を入れるとか、リズムに乗せるとかの余裕なんて全く無くて、ただ、順番に音を鳴らすだけ。それでもピアノを弾けるようになりたいって想いは、真剣な表情にハッキリ現れてて・・・」

真姫「小さい体の、子供。一生懸命にピアノに向き合う姿・・・」

真姫「・・・・・・」

真姫「最近、同じようなことがあった・・・?」



まき「また ソ かな? だから、ごばん・・・」ジー

真姫「楽譜に注視しすぎ。また背筋が曲がってるわよ。ちゃんと伸ばして。それから今、また鍵盤見ようとしたでしょ。見ないで弾きな・・・さ・・・い?」



真姫「―――またデジャブ・・・? だけど、今度のはなんかだか、すごくはっきりと思い出せそう」

真姫「・・・・・同じところ何度も間違えて、私はその度に淡々と指摘していて・・・」

真姫「確か、同じことを何度か指摘された後の彼女は―――」



―――えっ、あっ、こ、これは、その・・・えー・・・・。に、にっこにっこにー!



真姫「そうそう、同じ指摘をされる度に、こうやって誤魔化して・・・・?」

真姫「こうやって、って・・・―――」



―――にっ、にこっ!



真姫「あっ・・・・。そっか・・・・」

真姫「にこちゃん・・・・」



真姫「この前、急にピアノを教えて欲しいって、私の所に来たんだっけ」

真姫「別に断る理由も無かったから、なんとなく教えてた」

真姫「にこちゃんは、私に言われた通りに必死に五線譜の音符を目で追って、鍵盤を叩いてた。誤魔化すまでは、真剣で、とても一所懸命な姿」




真姫「・・・・わたしも、真剣にならないと、失礼よね」

真姫「今までは、ただただ、教本に書いてあるような事を教えていたけど」



真姫「ピアノが弾けるようになるためには―――」

真姫「私がピアノを弾けるようになったきっかけは―――」



真姫「真剣に、それを伝えなきゃ。あの時を思い出して、にこちゃんに・・・・・・」





真姫「・・・・・・・」













真姫「・・・・・私が一緒に演奏するから、私の指を見て、同じように鍵盤を叩いて。さっきは手を見ないで楽譜を見るように言ったかもしれないけど、今だけは、私の指を見て、同じように弾いて」

真姫「多少間違ってもいい。とにかく一度、好きな曲を通して弾いてしまうの。それで『自分の力で弾いたんだ』って思えたのなら、ピアノなんてすぐに演奏できるようになる。・・・・私はそうだった」

真姫「そうだ。リズムが取りやすいよう、私が歌ってあげる。それに合わせて弾いてみて」


真姫「・・・・―――すぅ」





~~~~~~~~~~~~~~~~


真姫「┬╓┌╣┌д┌И│[┌н┌Я┌╢│`┌╒」


~~~~~~~~~~~~~~~~



真姫(・・・っ)

真姫(またっ・・・・。不気味な・・・私の声・・・。こんな声じゃ、歌えない・・・。歌えないの、怖い・・・)

真姫「・・・・・・」


真姫(・・・・・・・・・・いいえ)


真姫(私の声が、あんな音しか出せなかったのは、本当の私から目を逸らしていたから)

真姫(本当の私 は―――)





~~~~~~~~~~~~~~~~


まき「ララ~ ララララ~ ラ~ラララ♪ ラッラララ~♪


~~~~~~~~~~~~~~~~





真姫(―――あの頃から、何も変わってない)

真姫(だから・・・・―――いつだって歌える。・・・・あの頃のように)








真姫「・・・・・!」グッ









真姫「愛してるーっ! ばんざ~い♪」


真姫(?!)




真姫「ここでよかぁった~♪」


真姫(歌える・・・! 私の声だ!)




真姫「わたしたーちーの今がここにあぁる~♪」


真姫(うそっ・・・・自分の声じゃないみたいに大きな声・・・)





真姫「愛してるーばんざ~い♪」


真姫(肺から空気が出て行って・・・喉の振動が脳に響いて・・・なんだか、酸欠で頭がクラクラしてるみたい・・・)

真姫(でも・・・・)





真姫「はじまったばぁっかぁあーりー♪ 明日もーよろーしくねー♪」


真姫(気持ちいい・・・。とにかく気持ちいい・・・・。頭から、酸素と一緒に、歌に乗せたい想いが・・・声として外に出て、空に吸い込まれていく・・・。気持ちい・・・・)





真姫「まだ~~、ゴールじゃな~~~~~~い!」


タン タン タン タン♪

 タン タン タン タン♪

  タン タン タン タン  タララン♪
                   ...ラン


真姫(ピアノもちゃんと弾けている・・・)

真姫(綺麗な音・・・・)

真姫(いつものピアノ・・・。いつも私が弾き続けてきたピアノの音だ・・・・)



 ッタン♪
    ...ッン






真姫「笑ってよ 悲しいーなら~ 吹きとばそぉよー♪」


真姫(私の声が、ピアノの音と混ざって、音楽になって、それが遠く、遠くに、どこまでも遠くへ流れて、響いて、空へと溶けていくような)





真姫「笑えたら変わる景色 晴れ間がーのぞっくー♪」


真姫(これが音楽・・・。気持ちい・・・)





真姫「不安でもしあわせへっ とー つなが~る道がー♪」


真姫(やっぱり、ずっと、同じだった。あの頃から)





真姫「見えてきたーよな 青 空 ~」


タン タララン
タ...     ...ラン


真姫(あら・・・・?)





真姫「時々、雨が降るけーど~♪」


タンッ タタン
......ンッ  .....ランッ


真姫(この音は・・・)





真姫「水が~~~~~っ! なくちゃ たいへ~~ん♪」


ター ター タタン♪ 
....-ッ ...ター  ッン


真姫(ちょっとだけ、音があってない気がする)

真姫(なんだか、初めてピアノを弾き始めた頃の私みたい。懐かしい・・・・)





真姫「乾いちゃー だめーだよー」


真姫(でも、ちゃんとしたピアノの音だ。リズムになってる)


真姫(むしろ、聴いたことのない音色になっていて、とっても新鮮)


真姫(一度は諦めた音楽。歌もピアノも弾けなくなってしまったかと思ったけど。また歌が歌える。それだけで、こんなにも嬉しいのに―――)

真姫(小さい頃からずっとピアノと歌が好きで何度もやっていたのに―――)


真姫(また、今こうして新しい音色に出会えるなんて・・・。幸せ・・・・)





真姫「みんなのー 夢のー木よ そ・だ・てーーーーっ!!!」
                            」


タタンッ♪
 タタンッ♪


真姫(ピアノとピアノ、声と声・・・音が重なって・・・)





真姫「さあ! だいすきだーばんざーい」
  「               」


真姫(こんな感覚初めて・・・。気持ちいい・・・・。気持ちよくって、全く別の世界にいるみたい・・・)





真姫「まけなぁい ゆうぅきー」
  「           」


真姫(このまま、ずっとピアノを弾いていたい・・・歌っていたい・・・)










真姫「わたしーたちはいーまを たのしもー」
  「               もー」


ずっと、この音の世界に浸っていたい・・・。





真姫「だい! すきだーばんざーい」
  「          ざーい」


やっぱり、私・・・





真姫「がんばぁれぇーるぅから~」
  「       るぅから~」


歌うのがすき。





真姫「だいすきだーばんざーい」
  「    だー   -い」


ピアノがすき。





真姫「頑張れるから 昨日に手をふってー」
  「――れるから ――――をふってー」


音楽がだいすき!





真姫「ほらーーー まえ向いて ―― ― ―・・・・」
にこ「ほらーーー まえ向いて ―― ― ―・・・・」



タン タン タン タン♪  
 タン タン タン タン♪
           
 タン タン タン タン♪
  タン タン タン タン♪
            
  タン タン タン タン  タララン♪
   タン タン タン タン  タララン+*:.。.*:+☆♪
                



*・゜゚・*:.。..。.:*・゜・*:.。..。.:*・゜゚・*・゜゚・*:.。..。.:*・゜・*:.。..。.:*・゜゚・*
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・















真姫「はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・」




















 < ちょっとー! そこトンボ掛け終わったばっかりなんだけどー!



 < えーそうなのー? ごめーん!









真姫(・・・・? 今のは、運動部の子の声?)



真姫「はぁっ・・・あっ・・・・えっ? ここは・・・?」ガバッ










http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121948.jpg







にこ「・・・・・ふふっ」にっこり笑顔


真姫「えっ、えっ・・・?」


にこ「ふふっ」


真姫「に、に・・・・」


にこ「声と声、音と音が重なって。やっぱり、気持ち良かった」ニコリ


真姫「にこ・・・・ちゃん・・・・?」キョトン


にこ「んふふっ! それよりどーよぉ! 真姫ちゃん! この曲だけはがんばんって鍵盤の位置を覚えてきたのよ!」

真姫「にこちゃん・・・・・」

にこ「ピアノも作曲もできる大銀河宇宙No.1スーパーアイドルにこにー爆誕も目前って所ね! ふふん!」

真姫「・・・・・・・・」ポー

にこ「さっ、そのためにも、真姫ちゃん、もっとピアノ教えて欲しいにこ!」

真姫「・・・・・」


真姫「・・・・・・」


真姫「・・・・・・・・」ジワッ

にこ「真姫ちゃん?」

真姫「・・・・・・うぅ」ウルウル

にこ「えっ?! ちょっ、真姫ちゃん、泣いて・・・?」

真姫「うっうっ・・・・」ポロポロ

にこ「わわっ」ビクッ

真姫「に゙ごぢゃーん・・・うっ、うっ、ひぐっ・・・」ポロポロ

にこ「な、なに?! どうしたのよ?! どこか痛いの?!」オロオロ

真姫「うっ、くぅ、しっく・・・ちがっ・・・・」ポロポロ

にこ「違うの? それじゃあ・・・・」

真姫「うっ、うっ・・・」ポロポロ

にこ「えっと・・・・」

真姫「にごちゃん・・・・・に゙こぢゃぁん・・・・ゔぁ゙ぁ゙・・・」ポロポロ

にこ「真姫ちゃん・・・・・・」


にこ「・・・・・・・・・」


にこ(ああ・・・これって・・・)

にこ(この泣き方・・・・―――).。oO








~~~~~~~~~~~~~~~~

ザー ザー

ザー ザー

にこ「はぁっ、はぁっ」タッタッタッ

にこ「あの子達、傘持ってないし・・・大丈夫かしら・・・・」タッタッタッ

にこ「早く行かなきゃ・・・!」タッタッタッ


----------------------------------------
公園


にこ「はぁっ、ふぅ、着いた・・・」

にこ「誰も居ないわね・・・」キョロキョロ

にこ「こころ・・・ここあ・・・どこに? どこか別の場所で雨宿りしてるのかしら・・・」


ザー ザー

ザー ザー


にこ「っ・・・・」グッ


にこ「こころー! ここあー! いるー!?」


ザー ザー

ザー ザー








 < お姉さまー!


にこ「こころ!」タッ

ここあ「あっ、あっ・・・うっ、うぅ」ジワッ

にこ「ここあも・・・! よかった・・・」

ここあ「ゔぁ゙ぁ゙! お゙ね゙ぇ゙ぢゃ゙ぁぁぁぁぁん゙!」ポロポロ

にこ「ああ・・・。ごめん・・・・。遅れちゃって、本当にごめんなさい・・・・!」ギュウ

こころ「・・・・・・」グスッ

にこ「こころも・・・辛かったわよね、怖かったわよね・・・・。もう大丈夫だから・・・・!」ギュウッ

~~~~~~~~~~~~~~~~





にこ(昔、こころとここあを公園に待たせてて、私がそこに迎えに行くことになってたのに、私が遅れちゃって、急いで公園に向かっている時、急に土砂降りの雨が降ってきた事があった―――)


にこ(こころとここあは子供だから、近くの雑居ビルで雨宿りするとか、機転を効かせられなくって・・・。その代り私の言った待ち合わせ場所をちゃんと守って、雨が降っても公園から離れず、ずっと待っていた。・・・・・滑り台の下の狭い空間で横雨に打たれながら)

にこ(待っている間、二人とも寒くて孤独で怖くて、物凄く泣きたかったはずだけど、私が迎えに来るって信じてくれていて、どんなに怖くても泣くのを我慢して待っていた)

にこ(私が二人を見つけて駆け寄った途端、ここあは関を切ったように泣き出して・・・。私はここあを力強く抱きしめてあげた)

にこ(こころは、あまり泣かなかった。私の代わりに、ここあの事を守ってあげなきゃって気持ちが表情にしっかり出てた。震える手で、ここあの手をずっと握ってあげていた。私はこころを、偉かったね、ありがとう、って何度も言いながら、抱きしめて、たくさん頭を撫でてあげた)







真姫「うっ、うっ・・・・・・」ポロポロ


にこ(もう、大分前の事だけど・・・・・。今泣いている真姫ちゃんを見て、思い出しちゃった)


にこ(真姫ちゃんが急に泣き出した理由は分からないけれど、ここあがあの時泣き出したのは、ただ単に、寒いとか、寂しいとか、悲しいとかじゃなくて、そんな辛いことの我慢を乗り越えて、私が迎えに来てくれたっていう安心感が、全身に押し寄せて泣いていたんだと思う)

にこ(今の真姫ちゃんが、あの時のここあと同じなら・・・・・)


にこ(私のやるべき事は一つ。安心感を途絶えさせないよう “私はここにいるよ” って強く思ってもらう)

にこ(それには、あの時と同じように、ただただ、こうやって―――)


ギュ

真姫「あっ・・・・」ふわっ

にこ「・・・・・・なにか、怖い事があったの?」ヨシヨシ

にこ(ぐぬぬっ、背、高っ・・・。頭撫でにくっ・・・・・。でも―――)


真姫「・・・・・あ゙っ、・・・・・ゔ、うん゙っ・・・・みんぁ・・・・ひらない人になっえね・・・」グスグス

にこ「うんうん」ヨシヨシ

にこ(―――不安で、何かに怯えて、泣いてる真姫ちゃんは、とても小さく感じる。自然に抱きしめてあげられる。・・・不思議ね。普段だったら、真姫ちゃんは背だけじゃなくて態度もでかくて、一年のくせして可愛げがないから、こんなことしてあげるなんて想像すらできないのに)


真姫「わたし・・・おんがぅ・・・すぎっ、なのに・・・ぴあの・・・うぁも・・・でぎなくなぁてぇぇ・・・・」グスグス

にこ「そう」ポンポン


真姫(怖いのが長かった分、大きかった分、たくさん泣きたくなるんだよね。分かるよ)



真姫「うっ、うぅ、うっくっ・・・・にごぢゃ・・・・・・」グスグス  ...ギュ

にこ「もう大丈夫だから。私が傍にいるから」ギュウ


真姫「ぅん・・・ぅん・・・・」グスグス





---------------


真姫「んっ・・・・」ポワー

にこ「・・・・・」ギュウ


背中ポンポン

頭なでなで


真姫「あふぁ・・・・」トローン








 < ピ ポ ポ ポーン

 < まもなく最終下校時間です。校内に残っている生徒は速やかに下校してください。繰り返します―――




真姫「あっ・・・」

にこ「・・・・・・・さ、帰ろ?」

真姫「・・・・うん」ムクリ

真姫「あっ! いっ・・・」フラッ

にこ「どうしたの?」

真姫「脚が痛くて・・・・」

にこ「脚? あっ、ケガしてるじゃない」

真姫「えっ?! ええあっ。い、いやっ、血がっ、なんでっ」タラー...

にこ「どっかで転んだんでしょ。これが痛くて泣いてたの?」ゴソゴソ

真姫「ど、どうしよ・・・。ま、まずは止血で・・・患部を心臓より高くして・・・そ、それから、外傷薬を―――えっと、ゲンタシンだったかしら・・・えっとえっとっ」オタオタ

にこ「何をブツブツ言ってんのよ。こんなの、マキロンをティッシュにしみ込ませて汚れ落として―――」シュ フキフキ

真姫「いったぁ!?」ヒリヒリ

にこ「大き目の絆創膏貼って、はい終わり」ペタッ

真姫「いっつぅ!! ―――――・・・あっ・・・う、うん・・・・あり  ガト」



にこ「ん。寝る前くらいに絆創膏剥がして、後はガーゼを当てて包帯で固定してね。絆創膏ばっかりだと、接着剤の跡が肌に残っちゃうから」

真姫「あっ、うん・・・・・」


にこ「・・・・・・」


真姫「・・・・・・」


にこ「・・・・・・・」


にこ(とりあえずは泣き止んではくれたみたいだけど。次は・・・うーん・・・)

にこ(あっ、そうだっ。ちょっと煽ってやれば、いつも通りになるかしら。よーし)ニシシ

にこ「こーいうのはー? 真姫ちゃんの方が専門でっしょー? なのに真姫ちゃんはぁ、こんなつまんないケガも自分で治すこともできないんだぁー?」ププ

真姫「・・・・・」シュン...

にこ「え、ちょ、落ち込まないでよっ。そこは『できるわよ!』って怒るところでしょーが」

真姫「・・・・・」シュン...

にこ「・・・もう。ホントどうしたのよ・・・。おかしいわよ、いつもと違う・・・。アンタ本当に真姫ちゃん?」


真姫「えっ、いつもと違う・・・・? ―――はっ」



~~~~~~~~~~~~~~~~

花陽「真姫ちゃん? ・・・だよね?」

花陽「なんかちょっとだけ違和感があるような、ないような・・・う~ん・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~

花陽「あなたは真姫ちゃんですか?」

花陽「なんだか今の真姫ちゃん、いつもと違う気がして」

~~~~~~~~~~~~~~~~



真姫「ね、ねえ・・・にこちゃん・・・。いつもと違うって・・・それ、どういう意味・・・?」フルフル

にこ「どういう意味って。そのまんまの意味だけど」

真姫「ちゃんと教えてっ! お願い!」

にこ「へっ?」ビクッ


真姫「私、花陽にも同じような事言われてたの・・・! 私、真姫なのに、本当に真姫なのかどうか聞かれて・・・。でも、なんでそんなこと思われるのか、意味わかんなくて・・・・」フルフル

にこ「意味分かんないもなにも、なんかアンタ変なんだもん。アンタは真姫ちゃんのようで、真姫ちゃんじゃない」

真姫「いやっ・・・いやっ!! なんでっ?! 私は真姫よ!! 音楽が好きな真姫なの!!」ガシッ

にこ「えっ、な、な」タジッ

真姫「やっと本当の自分を取り戻せたと思ったのにぃ!!! なんで! どうして?! もうおかしくなりたくない!!!」ガクン ガクン

にこ「あわっ、あわっ、ゆらさないでって・・・」グラグラ

真姫「どこ?! どこがおかしいの!? 教えて! 私のどこがおかしいの?! 元に戻して!!」

にこ「分かった分かったから! 言うから! 言うから! 落ち着いてってば!」バッ

真姫「あっ・・・あっ、うぅ・・・」ガクッ

にこ「全く・・・。花陽に同じような事言われたって? 確かに、あの子だったら一目で気が付くでしょうねぇ」

真姫「なんで・・・・・なにがよっ! にこちゃんや花陽に分かって、私に分からないことってなによ!」ガタン

にこ「ああもう! 落ち着けって言ってるでしょ! 第一におかしいのはそれよ! 何をそんなに焦ってるわけ?」

真姫「はっ・・・? 焦ってなんか・・・・」


にこ「クールで冷静沈着? 知性溢れる美貌? これ、誰が言ったんだっけ?」


真姫「・・・・」

にこ「誰が言ったんだっけって質問してるの。答えて」

真姫「・・・・・・わ、わたし」

にこ「そーでしょ! 自分で言ったんでしょうが! でも、はっきり言わせてもらうけどねぇ! 今のアンタはっ クールさも 冷静さも 知性さも! どれも微塵にも感じない!!!」ビシッ

真姫「いたっ」

にこ「いつもは煽ったら怒って食いついてくるのが真姫ちゃんでしょうが。あっ、そういう意味じゃクールで冷静なのはあったらおかしいのか。いやっ、それよりなにより今一番問題なのは、美貌がまっっったく無いことよっ!」

真姫「な、なんでよ・・・。簡単に無くなるものじゃないと思うんだけど・・・・」

にこ「何言ってるの?! 美貌ってのは気を抜いたらすぐ無くなるもんよ! その証拠にその顔よ、顔。なんなのそれ?」

真姫「えっ。えっ? 私、顔が・・・? 顔がおかしなことに・・・?」顔ペタペタ

真姫「まさか、さっきの凛や穂乃果達みたいに・・・」ゾクッ


にこ「鏡貸してあげるから、よく見てみなさい」

真姫「うそっ、私が私じゃなくなって・・・? そんな、見たくない・・・怖い・・・いやっ」フルフル

にこ「いいから見なさいっての!」ズイッ

真姫「ひっ?! ・・・・? えっ? 私・・・?」

真姫「な、なによ。別におかしくないじゃない・・・・・。いつもの私よ・・・・。驚かさないでよ・・・」

にこ「はあ? もっとよく見なさいよ。こんなの全然真姫ちゃんじゃないんだけど」

真姫「・・・・・?」

にこ「まず、この隈! どうしたらこんなのができる訳?」

真姫「くま・・・?」

にこ「目の下に隈を作ってるアイドルなんてありえないん―――くもないか・・・。そういうアイドルもいなくはないんだけど・・・。でも、あるより無い方が良いに決まってる!」

真姫「そうなの・・・」

にこ「それと次にこの目! 初めてアンタを見たときは、吊り目で変な奴って思ってたけど、今は吊り目じゃなくて、タレ目になってる。そのせいで、もっと変な奴になってる」

真姫「タレ目・・・? そ、そうかしら・・・?」

にこ「そうなの! ことりみたいな優しそうなタレ目じゃなくって、なんか疲れ切ってる気持ち悪いタレ目よ」

真姫「き、きもちわるいって・・・・」

にこ「それと、髪もなんか毛先がはねてるし。全体的にパサパサして艶も無い気がする。ちゃんとヘアケアしてんの?」

真姫「してる・・・わよ?」

にこ「嘘。見ればすぐ分かる。だってクルクル巻き毛になってないんだもの。モソモソおろしになってる。最近、髪の毛クルクルしてないでしょ」

真姫「髪の毛クルクル・・・・? なによ、それ?」

にこ「これよ、これ」ツインテクルクル

真姫「えっ? 私そんなこと元からしてないけど」

にこ「無意識だったんかい・・・・」

真姫「?」キョトン

にこ「とにかく! 今の真姫ちゃんは全体的にだらしない! ダメダメね! 一言で言うなら、月曜朝8時の山手線に乗ってるサラリーマンみたいな顔してる! そんなサラリーマンを笑顔にさせて、『がんばろう』って思わせるのが私達の役目なのよ! 分かってんの!? それとも何? そんなヘロヘロの状態でアイドルやれると思ってんの? アイドルなめてんの? 怒るわよ?」

真姫「そ、そんなつもりは・・・」



にこ「私いつも言ってるわよね!

”アイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃない、笑顔にさせる仕事!”

忘れたとは言わせないわよ! そんな情けない姿でどうやって人を笑顔にさせんのよっ!! アイドルはどんなときも最高のパフォーマンスをするものよ!!」




真姫「・・・・・」シュン

にこ「はぁ、全く・・・。最近どういう生活してたの? 例えば睡眠時間。普段からちゃんと寝てるの?」

真姫「そ、そこそこ寝てるわよ」

にこ「そこそこって何時間? 7時間くらいの睡眠が一番いいんだけど」

真姫「ま、まあ・・・・」シドロモドロ

にこ「まあ、ってなによ、まあって。じゃあ、5時間くらい?」

真姫「・・・・・・」ウツムキ

にこ「えっ? それ以下とかあり得ないんだけど。そんなんで授業中とか眠くならないの? 優等生のアンタが授業中に居眠りなんて考えられないし」

真姫「大丈夫よ。あまりカフェインに頼ってないから、それほど健康には―――」

にこ「カフェインがどうのこうのじゃなくって! 寝てないのが健康に良くないんだから、ちゃんと寝なさいって言ってるの!! 寝不足になると、今のアンタみたいに髪や肌に艶が無くなって、それに頭痛とか吐き気とか、なんかめまいがするとか、手足が痺れたり、力が入らないとか、とにかく色々体に悪いんだからねっ! 分かった?!」ズズイ

真姫「わ、わかった・・・」タジッ

にこ「分かればいいのよっ。そんでっ、なんで寝てなかったのよ。勉強?」

真姫「・・・うん」

にこ「ふーん・・・。ま、まあ・・・勉強は大事だけど、メリハリつけなさいっての」

真姫「・・・・・・・・・・・・・・別に、勉強のために寝てなかったんじゃなくって・・・結果的に勉強しかすることがなかったというか・・・。寝てないのは・・・」モニョモニョ

にこ「なんなのよもう、さっきから歯切れ悪いわね。要は寝ないで勉強ばっかりしてたんでしょ。確かに、医学部受験のために徹夜で勉強って、なんかよくありそうな話だけれども」

真姫「・・・・・・」

にこ「医者の不養生ってまさにこのことね。お医者さんになるために勉強するのはいいけど、今のアンタみたいな医者に診察してもらいたい人なんていないわよ」


真姫「・・・・そう・・・よね、私、いくら音楽が好きだって、本当の自分を取り戻したって・・・それは、医者になる目的から、一時的に目を逸らしているだけであって・・・・やっぱり私は・・・ピアニストには・・・」ブツブツ


にこ「??」キョトン









ガラガラッ

山田先生「おーい」


にこ「あっ、先生」

真姫「っ!」ビクッ


山田先生「早く帰れ―」


にこ「あ、はーい」

にこ「真姫ちゃん大丈夫? 立てる? 歩ける?」

真姫「う、うん。大丈夫だから、早く・・・」ビクビク

にこ「? そうね。帰ろう」





----------------------------------------
校門前



真姫「うっ・・・」ピタッ

にこ「」スタスタ

真姫「・・・・」フルフル

にこ「」スタスt....

にこ「あれ?」ピタッ

真姫「・・・・」フルフル

にこ「真姫ちゃん? どうしたの? 校門の前で立ち止っちゃって。早く学校出ないと怒られるわよ」

真姫「う、うん・・・・」

にこ「?」キョトン

真姫「う、うぅ・・・・」フルフル

真姫(怖い・・・。ここを通ったら、また学校に戻ってしまいそう・・・)

真姫(戻されたら・・・)ゾクッ

真姫(ひっ)ゾクゾク

真姫(イヤッ・・・・。考えるのも嫌・・・。怖い・・・・)フルフル

真姫(もうやだ・・・また、周りが変な人ばっかりになるのは、や、嫌・・・・)

真姫(またあそこに戻るのは・・・絶対イヤ・・・・)


にこ「もう、何してんの」タタッ

にこ「早く帰るわよ」手ニギ

真姫「あっ」

にこ「」グイッ スタスタ

真姫「あっ・・・イヤッ・・・」ヨタヨタ


スタスタ 
   ヨタヨタ





真姫(校門を、と、通っちゃう・・・!)ビクッ

真姫(学校に戻されちゃ―――)

真姫「うぅ・・・!」目瞑り

にこ「」スタスタ

真姫「・・・・・」フルフル

にこ「」スタスタ

真姫「・・・・・?」

にこ「」スタスタ

真姫「えっ・・・・」オソルオソル

にこ「」スタスタ

真姫「と、通れた・・・?」キョロキョロ

にこ「んっ?」

真姫「外・・・・だ・・・」

にこ「外? さっきから外歩いてるじゃない」

真姫「はぁ・・・ふぅ・・・」ゼェゼェ

真姫「あ、あはは・・・・。よか・・・たぁ・・・あはは・・・。出られた・・・・」

にこ「??? 下校時間過ぎてるんだから出なきゃダメでしょ」

真姫「・・・・・う、うん。ありが、とう・・・・」

にこ「??? ん。行こ」



にこ「」スタスタ

真姫「・・・・・」ヨロヨロ


にこ「」スタスタ

真姫「・・・・・」テクテク



真姫(にこちゃん・・・・)

真姫(普段は気持ち悪くて、面倒くさくて、赤点ギリギリで、なにかとクセモノのにこちゃんのくせに)

真姫(そのにこちゃんが私の手を取って、私を学校から連れ出してくれた)

真姫(にこちゃんの体はちっちゃくて、手もちっちゃくて―――)

真姫(可愛い)ニギニギ

真姫(ちっちゃくて、柔らかい・・・。こんなに弱々しい、小学生の小さな女の子みたいにかわいい―――女の子の手なのに―――)



にこ「」スタスタ


真姫(こうやって手を握りしめられてると、すごく安心感があって―――)


にこ「」スタスタ

真姫(心強い・・・)


にこ「」スタスタ

真姫(これが、私を助けてくれた手・・・・)ギュッ





真姫(―――不思議)

真姫(あんなに怖かったのに、いつの間にかすっかり忘れちゃってる)

真姫(にこちゃんの手に握りしめられてれば、どんなことでも、なにがあっても大丈夫。にこちゃんが守ってくれるから、平気。そんな気がする)

真姫(ふふっ、今の私は無敵の気分!)ギュウッ



にこ「ねえ」スタスタ

真姫「あっ」

真姫(手を強く握りしめちゃったかしら・・・?)

真姫(さっきから手を握り過ぎて、いい加減離してくれとか言われちゃう・・・?!)

真姫(イヤァ・・・この手は離したくない・・・! 無敵じゃなくなっちゃう・・・)フルフル


にこ「真姫ちゃんさ」

真姫「・・・は、・・・・あっ・・・やっ」フルフル


にこ「手、結構大きいね」

真姫「・・・・・・・・えっ?」キョトン


にこ「細くて、長い。ずっとピアノやってたから?」

真姫「分かんないけど・・・」

にこ「ふーん」

真姫「・・・・・ほっ」

真姫(よかった・・・。手を離してくれって言われなくて・・・)ドキドキ



にこ「・・・・・・」スタスタ


真姫「・・・・・・」テクテク






真姫「あの・・・・」

にこ「?」

真姫「にこちゃんの手も・・・いいと思う。女の子らしくて」

にこ「えっ/// そう?」テレッ

真姫「うん」

にこ「あっ、そ、そりゃそうよねー! だってにこはアイドルだからね! ケアはかかさないもの」

真姫「・・・・にこちゃんって、毎日色々やってるでしょ。家事とか炊事とか。それでこの手なんだもの。本当にちゃんとケアしてるのね」ニギニギ

にこ「ま、まぁねぇ・・・///」テレテレ

にこ「真姫ちゃんの手も・・・上手く言えないけど、なんか、かっこいい。すごく努力してきた手だってのが、触った瞬間に分かったから」

真姫「えっ」

真姫(そんなこと、初めて言われた・・・。そもそそも誰かに手を握られるなんて、滅多になかったし・・・)

真姫(・・・実際の所、私って努力してきた方なのかしら・・・?)

真姫(にこちゃんが言うんだから、そうなのかも)

真姫(・・・・にこちゃんは、普段はいじっぱりで見栄ばっかり張っているおかしな人だけど、実は人の見え無い所でいっぱい努力して、それで空回りして失敗しても、辛い事はずっと一人で抱えて、それでも信念をずっと貫き通して、本当にやりたいことから目を逸らさなかっただけの強さを持ってる)

真姫(・・・ピアノから目を逸らしていた私には無い強さを持ってるにこちゃん)

真姫(それでも、そんなにこちゃんに、私、努力してきたって言われたんだ・・・)

真姫(・・・嬉しい・・・かも)


真姫「・・・・・・///」カァ

真姫(・・・ただにこちゃんと歩いているだけなのに、なんだか楽しくて嬉しい。昔は一人で歩くことが当たり前だった・・・でも、今はにこちゃんが隣にいるって思うと・・・)

真姫「///」ウツムキ

真姫(にこちゃん・・・・///)


にこ「あっ、そういえば。ねえ、真姫ちゃん、ちょっと聞きたいんだけど」

にこ「実はさー。この前、希が『手が小さい人は脳も小さいんやって。にこっちの成績が悪いのもうなづけるなあ』とか言ってくれちゃってさー」

真姫(にこちゃんの手・・・・///)ギュ


にこ「失礼な奴よねー!」

真姫(・・・・・・///)ギュッ


にこ「実際の所どうなの? 手の大きさと脳の大きさって関係あるの?」

真姫(・・・・・・///)ギュッ


にこ「真姫ちゃん?」

真姫「・・・・・。 ・・・えっ? あ、えっと・・・。分からない・・・・。今度パパに聞いてみる・・・」

にこ「うん。お願いねー」





にこ「・・・・・・」スタスタ

真姫「・・・・・・」テクテク



にこ「おっと、もうこんなところまで歩いてきちゃった」

にこ「それじゃ、私はここで」パッ

真姫「ああっ!」

にこ「わっ。どうしたのよ?」

真姫「手、離しちゃ、ヤ・・・」

にこ「ヤ、って言われても・・・。私、ちょっと寄るところあるから」

真姫「あっ、うん・・・そう・・・」シュン

にこ「真姫ちゃんも早く帰って、今日は早く寝なさいよー」

真姫「・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

にこ「また明日ね」タッ


真姫「あっ、あっ」にこ袖クイッ

にこ「お、っとぉ?」グラッ

真姫「あっ・・・、ご、ごめんなさい・・・つい・・・」パッ

にこ「ああ、うん。別にいいけど」

真姫「・・・・・・・」ウツムキ

にこ「えと・・・。今日はうちのマ・・・お母さん夜から出張に行っちゃうから、その前に寄る所寄って、チビ達の面倒見るために早く帰らないといけないの」

真姫「・・・・・・うん」ウツムキ

にこ「真姫ちゃんも早く帰らないと、おうちの人が心配するんじゃ?」

真姫「うん―――」





~~~~~~~~~~~~~~~~

『なんだ! 1位じゃないのか!』

『ピアノなんてできなくても全然かまわないが、勉強はしっかりやらないとな』

和木さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~









真姫「うくっ」ズキズキ

にこ「どうしたの?」

真姫「・・・ううん・・・なんでも ない・・・・」ズキズキ

にこ「・・・? もしかしておうちに帰りたくないとか?」

真姫「別に・・・・・・」ウツムキ

にこ「違うの?」キョトン

真姫「・・・・・」ウツムキ

にこ「・・・・・」


真姫「・・・・・」ウツムキ

にこ「うう~ん・・・・」頬カキカキ


にこ「・・・・・ふぅ」


真姫「・・・・・」ウツムキ

にこ「・・・・・あの・・・もし、よかったら」

真姫「・・・・?」






にこ「今日、うちに泊まる?」












----------------------------------------
HANAMARU STORE


にこ(ううっ・・・・)ノソノソ

真姫「・・・」テクテク


にこ(真姫ちゃんの事、なんか放っておけないから、泊まる? なんてつい言っちゃったけど・・・)

にこ(食事とか、どうしよ・・・。真姫ちゃんって専属の料理人を雇うくらいの家のお嬢様だし・・・。もやしなんて食べさせてもいいものなのかしら・・・)チラッ チラッ

真姫「?」キョトン

にこ(それ以前に、もやし買う所なんて見られたくないけど・・・)


にこ(とりあえずは、買い物かごを持って)パッ


真姫「あっ・・・」シュン

にこ「? ・・・あっ、ご、ごめん、ずっと手、握っちゃってたわね」

にこ(店に入るまで こころ か ここあ が隣にいるつもりで、ずっと無意識で握ってた・・・)

真姫「・・・・・」シュン

にこ(なんかよく分からない表情してる・・・。手握られてるところを誰かに見らていたのが嫌だったかしら・・・? 気を付けましょ・・・)


にこ(とにかく買い物を)

にこ(もやしは買いにくいから・・・とりあえず、もやし売り場はスルーして―――)チラッ





\\千葉県産もやし200g : 9円!!//





にこ(なっ?! 安っ!? これは5袋くらい買わなきゃ!!!)ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイ

真姫「・・・・・」

にこ「はっ////」

にこ(しまった・・・つい・・・)もやしドッサリ

にこ(卑しいって思われちゃう・・・。上品に、上品に・・・・っと)

にこ(上品に、次はそれとなく牛肉コーナーでも歩こうかな・・・・? 牛なんて高いから買えないけど・・・)ノソノソ

ウロウロ


にこ(あら、国内産牛の牛脂がタダで置いてある。これと塩コショウ、だし醤油で、もやし炒めるとおいしいのよね。いくつからもっていこ)ヒョイヒョイ

にこ(後は、どうしようかしら。ちゃんと栄養が欲しいし、魚かしらね。アジの干物でも焼こうかしら)

真姫「・・・・」

にこ(あっ、いけない。つい、いつも通り買い物しちゃってた・・・。今日はお客様で真姫ちゃんがるんだから―――)

にこ「ねえ、真姫ちゃん。何か食べたいものある?」

真姫「えっ?」

にこ(・・・・はっ?! 待ってよ・・・もしかして、私、今とんでもなく危ないこと聞いちゃったんじゃ・・・・?)

にこ(お嬢様の真姫ちゃんが食べたいもの・・・・。ひーっ、怖くて想像したくない・・・。かといって、今さら『やっぱやめ』なんて言ったらカッコ悪すぎるし・・・)冷や汗

真姫「えっと・・・」

にこ(おっ、お願い・・・それなりにお買い求めやすい物でお願いぃぃっ・・・・)ヒヤヒヤ





真姫「・・・・・なんでもいいわ」

にこ「へっ?」

真姫「?」キョトン

にこ「あ、あああ、そ、そう。分かったわ。・・・・・ほっ」胸撫で下ろし

にこ(よかったぁ・・・・・。ふぇぇ、こんなスリルがあるお買い物なんて始めてにこ・・・・)


にこ(そんじゃ、気を取り直してっと、やっぱりアジの干物にしましょっ)

にこ(後は、野菜かしら。今の所もやししか買ってないし・・・もうちょっと何か欲しいわね)


野菜売り場


にこ(うーん・・・どれにしましょ・・・)マジマジ

真姫「・・・・・あっ」ボソッ

にこ「んっ?」クルッ

真姫「・・・っ」プイッ

にこ「??」キョトン

にこ(何かあったのかしら)

にこ(んー? ・・・あっ、もしかしてこれかしら)ヒョイ

真姫「・・・・!」

にこ「」チラッ

真姫「・・・・・・」ジーッ

にこ(やっぱり。私が手に取ったトマトをじっと見てる。さっき聞いた時にトマト食べたいって言えばよかったのに。素直じゃないわねぇ)

にこ(いいわ、トマトはもやしと一緒に、創味シャンタンを絡めながら炒めて、それに炒めた溶き卵を添えたらおいしいし、トマト買ってあげましょっと)スッ

にこ「・・・・」チラッ

真姫「・・・・・」ニコリ

にこ(あっ、なんか嬉しそう。ふふっ、なによ、ちょっとは可愛い所あるじゃない)


にこ(後は何買おうかしら)キョロキョロ

にこ(おつとめ品コーナーでも見てみましょ)テクテク

真姫「・・・」テクテク



にこ(えーっと、今日は何があるかしらっと)

にこ(んんっ?! 王林(りんご)が3個入り100円?! そんなまさかっ・・・・。はっ、分かったわよ、こういうのは、ぶどうみたいに100グラム当たりの値段を表示してんのよねぇ。紛らわしい)

にこ(・・・・いや、間違いなく一袋100円って書いてある・・・)


にこ(なんでこんなに安いのかしら。・・・あっ、傷だらけのリンゴなのね。納得。綺麗に皮を剥いちゃえば関係ないし、買おう! 今日のデザートはこれね)


にこ(あっ、待った、こっちに とちおとめ のおつとめ品がある)

にこ(とちおとめが一パック250円かぁ・・・。安いけど・・・)

にこ(量と値段を考えたら、王林の方が断然お得よねぇ・・・・。あっ、そういえば、この前ここあがイチゴ食べたいって言ってたっけ)

にこ(むー・・・・。やっぱりここは奮発して とちおとめ にするべきかしら・・・)

にこ「・・・・・」チラッ

真姫「?」キョトン

にこ(・・・真姫ちゃんもいるし、ちょっと高級なデザートを・・・。いやっ、でもやっぱり250円は・・・)モンモン



一般買い物おばさん テクテク キョロキョロ

一般買い物おばさん「・・・・おっ」


にこ(あっ、あのおばさん、こっちのおつとめ品コーナー見てる)

一般買い物おばさん テクテクテクテク

にこ(うわっ?! すごい勢いでこっち来る?! なに?! なにっ?! なんなの?! まさかとちおとめなの?! このおつとめ品250円のとちおとめが狙いなの?!)


テクテクテクテクテクテクテクテクテクテクテクテク


にこ(ええい、そうはさせないわ! ここあのためよおおお!)ヒョイ パッ

一般買い物おばさん「・・・・・ちっ」プイッ

にこ「はぁっ・・・・はぁっ・・・・ふっ」ニヤリ



一般買い物おばさん「・・・・・」王林ヒョイ

にこ(やった・・・やったわ。250円のとちおとめゲットよ。しかし・・・・されど250円・・・やってしまった・・・・・。王林は取られちゃったし、もう後には引けない・・・・・)グッタリ

にこ(もういいわ・・・・これ以上の出費を抑えるために、もうレジに行きましょ・・・)トボトボ...

真姫「・・・」テクテク










----------------------------------------
矢澤宅


カチャン

にこ「ただいまー」

こころ「お姉さま! おかえりなさいませ!」

ここあ「おかえりー」

虎太郎「おかー」

にこママ「あら、にこ。おかえりなさい」

にこ「あれっ?! ママもう行っちゃうのっ?」

にこママ「ええ、もう新幹線乗らないと向こうに着くころには夜中になっちゃう」

にこ「そ、そう。分かった。いってらっしゃい・・・」

にこママ「そちらが西木野さんね」

真姫「えっ、は、はい」

にこママ「ふふっ、そんな緊張しないで。今日に限らず、いつでも気軽にうちに遊びに来てね」

真姫「ど、どうも・・・」

にこママ「それじゃいってきまーす」

にころあたろう「「「「いってらっしゃいー」」」」ブンブン



にこ「・・・・・・さ、それじゃ、真姫ちゃん、上がって」

真姫「・・・うん」



にこママ「ふふっ」クルッ

にこママ「・・・・・」テクテク


にこママ「・・・・・」.。oO








~~~~~~~~~~~~~~~~

にこママ(あらっ、にこの教科書の中に高校のパンフレットが混じってる)

にこママ(高校・・・。そっか、そろそろ進路について話し合わないといけない時期ね)

にこママ(にこはこのパンフレットの高校に通いたいのかしら)ペラペラ

にこママ「・・・・・・」ペラッ

にこママ(UTX高校・・・。アイドルの育成にとても力を入れている学校なのね。なるほどね、にこが好きそう)


虎太郎「あー」チョイチョイ

にこママ「虎太郎。にこお姉ちゃんはもうすぐ高校生になるのよ」

虎太郎「こー」

にこママ「そう。高校生」


にこママ(UTX高校・・・。アイドル育成に力を入れた高校・・・)

にこママ(でも・・・私立・・・・か)

にこママ「・・・・・・・ふーっ」クタッ...


---------------


にこ「ただいまー」

にこママ「おかえり」

にこ「ママ―っ」ダキッ

にこママ「よしよし」ナデナデ

にこ「んーっ///」モゾモゾ

にこママ「夜ご飯作るけど、手伝ってくれる?」

にこ「うん!」


---------------


にこ「ママ~。こころとここあ寝かせたよ」

にこママ「ん。ありがとう」

にこ「それじゃ、にこももう寝るね」

にこママ「待って。ちょっとお話しましょう」

にこ「お話? なになに? 何のお話しっ?」ワクワク

にこママ「進路のお話し」

にこ「あっ・・・う、うん」ビクッ

にこママ「にこは高校に進学したい?」

にこ「うん・・・まあ・・・。で、でも・・・」

にこママ「でも? どうしたの?」

にこ「しゅ、就職・・・した方が、いっ、いいかな・・・?」オソルオソル


にこママ「どうしてそう思うの?」

にこ「だ、だって、か、家計とか・・・。ママもその方楽だし、そうして欲しいでしょ・・・?」オズオズ...

にこママ「私は、ママの気持ちを聞いているんじゃないの。にこの気持ちを聞いているの」

にこ「で、でも・・・」

にこママ「もうっ」

ギュ

にこ「わっ///」

にこ「ど、どうしたの・・・?」キョトン

にこママ「にこはまだ子供なの。子供なのに、理屈や後先のことばっかり考えて、本当にやりたこと事から目を逸らして『親のためにー』なんて言って格好つけるのは、生意気よ」

にこ「な、なまいき・・・・」

にこママ「やりたい事を目一杯やらなきゃだめ。もちろんお勉強も大事だけどね。それが子供の役目よ。だから―――」

にこママ「進学したいのなら、進学なさい。学校でアイドルをやりたいなら、やりなさい。そのために必要ならアイドルグッズも揃えなさい」

にこ「でっ、でも・・・」

にこママ「家計の事が心配なの? 大丈夫だから任せないっ。私がなんとかするから」

にこ「ままぁ・・・!」ダキッ

にこママ「よしよし」ナデナデ

にこ「ありがとうっ・・・!」

にこママ「それで。にこは、やっぱりアイドル育成に力を入れているUTX高校に行きたいのよね?」

にこ「あっ、うっ、ん。んんっ?! んうぇっと、ねぇあ、あの~~・・・」モゴモゴ

にこママ「?」キョトン

にこ「コホンッ あ、ああ。UTX~? ないない。だ、だって、あ、あんな、ひょ表面ばっかり、とと取り付くってる学校な、ななんて、きょきょきょきょ興味ぃ↑ なんてななないからっ」フルフル

にこママ「・・・・・」

にこ「や、やっぱり、私が入るなら音ノ木かな~。だって、元々音楽学校だからアイドルするにしても結構有利だと思うし、それに、歴史があるし、伝統があるし、古くからあるし~・・・・」ニコォ...

にこママ(音ノ木坂学院ね。確か国立・・・)




にこママ「にこ」

にこ「なあに?」

にこママ「あなた―――」

にこママ(お金の事は気にしないの、UTX高校に通いたいならそうしなさい)


~~~~~~~~~~~~~~~~




にこママ(―――って・・・・。当時、生まれたばかりの虎太郎を抱えている私には言えなかった・・・)

にこママ(『家計の事が心配なの? 大丈夫だから任せないっ。なんとかするから』・・・そう言った直後だったのに、なんとかならないって、にこに見抜かれていた・・・・。本当に情けない、私・・・)

にこママ(あの時、音ノ木坂高校に通いたいって言ったときの にこ のぎこちない笑顔は、あまりにも衝撃的で、今でも忘れる事ができない)


にこママ(その頃からずっとこころとここあの世話や家の事は全部にこにまかせっきり。買い物一つにしたって、値段をすごく気するし。本当は、子供にそんなこと気にさせたくないのに)

にこママ(にこには苦労ばっかりさせて・・・だから、学校の成績があまり良くなかったのは知っていたけど、きつく言えなかった)

にこママ(それでも、にこが小さい頃からずっと好きだったアイドルを、音ノ木坂で始めたって聞いた時は、にこは本当に嬉しそうに話していて、笑ってくれていた)

にこママ(最初に音ノ木坂に入学するって言った時のあのぎこちない笑顔が、私のトラウマになっていただけに、アイドルで楽しそうな毎日を送ってくれているのなら、それでいいかな、って思っていたけれど・・・)

にこママ(それからしばらくして、また にこ の表情はどこかぎこちなくっていって、友達については全く話さなくなってしまって・・・・)

にこママ(だけど、何か悩みがあってもにこは一言も相談してこない。誰に似たのか知らないけど、プライドが高くっていじっぱりなんだから)

にこママ(そんなにこだから、私にできるのは、にこが甘えて来たときにそれを受け止めてあげることくらい)

にこママ(私の力じゃ現状維持もできず・・・だんだんと、にこのぎこちない笑顔を見慣れ始めて・・・そんな一番避けたい最悪の事態になってしまった時―――)

にこママ(にこが三年生になってから。特に、にこが風邪を引いてμ’sの皆さんが看病に来てくれたあたりからかしら)

にこママ(小学校の途中から今の家に引っ越してきて、以来、友達を連れてきた事は無かったのに。それに、あまり大きくないし綺麗でもない家なのを、あの子、口には出さないけれど気にしているのよね。年頃の女の子だもの)

にこママ(だから、家に友達が来たって、その日の夜に知って驚いた)

にこママ(話を聞くと、『頼んでも無いのに来てさー』なんて言っていたけど、すごく嬉しそうだった。高校に入ってからの にこ のぎこちない笑顔を見慣れていただけに、久しぶりに見た、にこの自然な笑顔)

にこママ(μ’sの皆さんに家を見られて、その時に吹っ切れたのかしら。今まで誰にも見せたくないと思っていたけど、見られてもいいやって。いじも見栄も張らなくていいやって)



にこママ(そして、今日も友達を連れてくるどころか、泊まりに来てくれる)

にこママ(それだけじゃない。今まで目を逸らしていた勉強も、最近はちゃんとできているし)


にこママ(時間はかかってしまったけど、にこにやっと望んでいる学校生活を送らせてあげることができている)

にこ(μ’sの皆さんのおかげ。μ’sが集まったのは、音ノ木坂のおかげ)

にこママ(ああ、本当に―――)

にこママ(本当に、ありがとうございます、南理事長・・・・。子供たちを導いてくれて・・・)


にこママ「・・・・・」ホロリ



にこママ(私も辛かったけど・・・)

にこママ(よかった・・・にこがいてくれて―――)

にこママ(よかった・・・ にこに “にこ” と名付けて―――)

にこママ(だって、にこのにこにこ笑顔見せられたら、私、どんなに辛かろうがなんだろうが、なんだってできちゃうものっ)


にこママ(・・・・・)グシグシ

にこママ(さ、お仕事に集中しなきゃ)

にこママ(みんなのためにもしゃんとしなきゃ!)グッ















----------------------------------------


にこ「今日は真姫ちゃんが家に泊まるから、おもてなししてあげてね」

こころ「μ’sの!」

ここあ「真姫さん!」

虎太郎「にしきのー」

にこ「こら、虎太郎。年上の人には “さん”を付けなさい」

真姫「よっ、よろしく・・・」

にこ「それじゃ、真姫ちゃんは適当に寛いでて」

買い物袋 トサッ

エプロン シュ




こころ「ささ、どうぞ真姫さん。粗茶でございます」コトッ

真姫「あ、ありがとう」




こころ「それでは私、お手伝いがありますので、真姫さんはごゆっくり」

真姫「ええ」







こころ「さあ、ここあ、洗濯物をたたみますよ!」

ここあ「えー」

こころ「えーじゃありませんっ! お母様に言われたでしょう! お姉さまのお手伝いをしてあげてね、と」

ここあ「はぁい」

オリオリ




真姫「・・・・・」チラッ



にこ「~♪」トントン

ジュ~




真姫「・・・・」ズズッ




こころ「シャツは左、右半分を折って、下から半分に折って。これをテキパキやっていくんです」オリオリ

ここあ「こう?」オリオリ




真姫「ふー・・・」コトッ









トコトコ....


チョイチョイ


真姫「?」クルッ

虎太郎「にしきの。・・・さーん」チョイ

真姫「どうしたの?」

虎太郎「読んで」スッ

真姫「これ? 絵本? 読み聞かせて欲しいの?」

虎太郎「うん」コクッ

真姫「いいけど。・・・・これは、シンデレラね」

真姫(シンデレラって、どっちかっていうと女の子向けのお話しだと思うんだけど。いいのかしら)

真姫「・・・本当に、この絵本でいいの?」

虎太郎「うん」コクッ

真姫「そう。分かったわ」

虎太郎「んっ」スッ

真姫「・・・」受け取り




真姫(絵本。一ページ一ページが厚紙でできてる。丈夫そうだけど、随分古い絵本ね。全体的に色あせてる。所々、折れ曲がっていて、角や端の部分がグニャグニャになっている。それに、一部のページが崩れ落ちそう。セロテープで補強しているけれど、そのテープも乾燥しきって、ちょっとでも触ったらボロボロと剥がれ落ちそう)

真姫(慎重に扱わないといけない本ね)


ペラッ


真姫「・・・・むかしむかし、ある所にシンデレラ という娘がいました」

真姫「シンデレラは大きな屋敷の、薄暗くて狭い屋根裏部屋にいます」

真姫「屋根裏部屋の窓からは、遠くに立派で大きなお城が見えます」

真姫「お城では楽しいパーティーが開かれていると、シンデレラは聞いたことがあります」

真姫「いつかはパーティーに参加してみたい。シンデレラはそう思いながら、屋根裏部屋に住み着いている小さなネズミたちにチーズをあげていました」


真姫「・・・・・・」ペラッ


真姫「しばらく前に、シンデレラのお母さんは病気で亡くなり、また、お父さんも狩りの最中に事故で亡くなっていました」

真姫「そして、シンデレラの新しいお母さんが、二人の娘を連れてやってきました。二人の娘はシンデレラより年上でしたので、シンデレラのお姉さんになりました」

真姫「新しいお母さんと二人のお姉さんはとてもいじわるでした。シンデレラは大変美しい娘でしたが、新しいお母さんと二人のお姉さんは自分より美しいシンデレラが嫌で、シンデレラから綺麗な洋服を取り上げ、代わりに汚い服を着させ、汚くて狭い屋根裏部屋に住まわせました」

真姫「それだけではなく、家の仕事は全部シンデレラに押しつけられました。シンデレラは毎朝誰よりも早くに起きて、部屋の掃除や、洗濯、みんなのご飯を作ったりします」

真姫「シンデレラは満足に食事もできず、たくさんの仕事をやらされ、お風呂に入ることも許されず、いじめられ・・・。シンデレラはそんなあまりにも辛い日々を送っていて、夜の寝る時間になると、いつも藁のベッドの上で一人泣いていました」


真姫「・・・・・・」ペラッ


真姫「ある日の事です。お城の王子様がお妃さまを選ぶため、舞踏会を開くことになりました」

真姫「国中の若い娘が住んでいる屋敷宛てに招待状が送られました。シンデレラが住んでいる屋敷にも招待状が届きました」

真姫「招待状を見たお母さんと二人のお姉さんは、もしかしたら、王子様のお妃さまになれるかも、などと言いながら、おおはしゃぎ」

真姫「いつかお城に行きたいと思っていたシンデレラは、そのことをお母さんに言い、舞踏会に連れて行ってほしいとお願いしました」

真姫「お母さんは、『お前のような汚い娘はお妃さまになれるどころか、お城にだって入れてもらえるわけがない』と叱りつけます」


真姫「・・・・・・」ペラッ


真姫「舞踏会当日。シンデレラはお母さんたちのために、着るドレスの用意や靴磨き、髪の手入れ等をやらされました。その後、お母さんはシンデレラに暖炉の掃除と床掃除、窓拭きをやるよう言いつけました。そして、綺麗に着飾ったお母さんと二人のお姉さんは舞踏会に向かいました。シンデレラは一緒に行かせてもらえず、見送る事しかできませんでした」

真姫「一人になったシンデレラは、悲しくて寂しくて悔しくて、暖炉の前でうずくまり、しくしくと泣きだしてしまいました」


真姫「暖炉の弱い炎だけが、暗い部屋をぼんやりと照らしていました」


真姫「・・・・・・」ペラッ


真姫「すると突然、窓の外で金色の綺麗な光が輝き、暗い部屋を明るく照らします」

真姫「シンデレラ。シンデレラ。屋敷の外から、誰かが優しい声でシンデレラの事を呼んでいます」

真姫「シンデレラが外に出てみると、そこに現れたのはなんと―――」












にこ「こころ~」パタパタ






真姫「魔法の国からやってきた魔法使いの妖精でした」

虎太郎「・・・・」ジーッ





にこ「こころ、ちょっと手伝っ―――」



こころ「ブラジャーはカップの部分を折らないようにして―――」オリオリ

ここあ「なるほど」



にこ「―――ってぅぇええ?!」

にこ(こころぉ?! 真姫ちゃんがいるのに、なんで下着を手に持ってるのぉ?! は、恥ずかしぃい)

こころ「? おねえさま? どうしました?」オリオリ

にこ「こっ、こころは何しているのっ??」アセアセ

こころ「何って・・・。洗濯物をたたんでいますが・・・」

にこ「あっ、ああ、そ、そう・・・」アセアセ

こころ「もしかして、私、余計な事を・・・?」ドヨッ

にこ「んっ、ううん!」ブンブン

にこ「そんなことない! そんなことないのよぉ・・・。洗濯物をたたんでくれていたんだよねー、ありがとうねー・・・あははー・・・」チラッ


にこ「あっ、真姫ちゃんごめんね~、虎太郎の相手してもらってー・・・」ソワソワ

真姫「えっ、あ、うん、別に・・・」










----------------------------------------
矢澤家 食卓



こころあ「「いただきます」」

虎太郎「ます」

真姫「いただきます」

にこ「ど、どうぞー、召し上がれー・・・」

にこ(うひー・・・。やっぱりもやしがメインディッシュになっちゃったぁ・・・。恥ずかし・・・。真姫ちゃん、これ見て何を思ってるかなぁ・・・)モンモン



もぐもぐ



にこ「あっ、ここあ。もっとゆっくりよく噛んで食べなさい。口の周りに付いてる。拭いてあげるからじっとしてて」フキフキ

ここあ「んぐー」


虎太郎「お魚きらいー」

にこ「好き嫌いしないの。ほら、骨取ってあげるから、食べなさい。それから、服に落とさないように気を付けて食べて。背筋もまっすぐして座って」

虎太郎「んー」


にこ「あらっ、そういえば、ここあ」

ここあ「んぁ?」モグモグ

にこ「お箸ちゃんと持てるになってるじゃない。偉いわね」ナデナデ

ここあ「えっ? そ、そう?/// えへへ///」


にこ「今日はどこで遊んでたの?」

ここあ「あのねー。今日はねー。ほーりん公園で桃花ちゃんと遊んだんだよ」

にこ「そうなの。楽しかった?」

ここあ「うん! アイドルのお話一杯したよ! ここあちゃん詳しいね! って言ってくれた! おねーちゃんがいつも教えてくれてるおかげだよ!」

にこ「んふふ。それはいいことだわ。友達は大切に、ね」ナデナデ

ここあ「うんっ」ニコニコ


にこ「友達・・・・はっ」

真姫「・・・・・・」モグモグ


にこ(忘れてた・・・。お嬢様の真姫ちゃんにうちの貧乏ごはんを食べさせてるんだった・・・・・・・)チラッ

真姫「・・・・・・」モグモグ

にこ(ううっ・・・。お金持ちのお嬢様がもやしを食べてる・・・。なんてシュールな光景・・・・。罪悪感が・・・申し訳ない気持ちになってくる・・・)

にこ「・・・・・・」アセアセッ


にこ「・・・・・ね、ねー。真姫ちゃん?」アセアセッ

真姫「・・・?」ゴクン

にこ「じ、実はこの料理、にこんちの専属料理人に作らせててね?」シドロモドロ

真姫「料理人?」

ここあ「えっ、これ、おねーちゃんが作っんむが」口抑えられ

にこ「そ、そなのよー! にこんちの料理人! が、作ったのっ」ここあの口抑え

真姫「ふーん・・・」

にこ「た、確か真姫ちゃんちにも料理人さんいるんだったよねー?」アセアセッ

真姫「いるけど」

にこ「も、もしかしたら、真姫ちゃんちのりょ料理人に比べたら、ちょーっと、にこんちの料理人の方が腕、おと劣ってるかもし、しれないから、口に合わなかったら、ご、ごめんねっ」

にこ(ちょっと・・・この言い訳は無理があり過ぎるかしらね・・・? なんて言い返されるかしら・・・? 馬鹿にされるか、無視されるか・・・。どっちにしろ、辛いわね・・・)

にこ(はぁ・・・。咄嗟にこんな事言っちゃう、見栄っ張りで、贅沢ものな私が嫌になる・・・。そのせいで余計に、こんなぼろっちくて古っぽい小さな家に住んでいる事が惨めに感じちゃう・・・・・。胸が痛い・・・)チクチク

真姫「・・・・・」ジーッ

にこ「あ、も、もしかして、お、おいしくなかった・・・? ご、ごめん・・・料理人には、後で叱っておくから・・・」シュン...

にこ(真姫ちゃんをこんな所に招き入れるの・・・やっぱり、やめた方がよかったかなあ・・・・)チクチク




真姫「叱る? ううんっ。そんなことしないで。だって―――」

にこ「だ、だって・・・?」



真姫「お料理、とてもおいしいもの」ニコリ

にこ「・・・・・・・んえっ?!!///」ドキッ

真姫「にこちゃんちの料理人さん。すごく いい腕ね」マキスマイル

にこ「っ////」キュン

にこ(えっえっ? ええっ?! な、なにこれぇ・・・/// 真姫ってこんなこと言う子だっけぇ?//// はっ?! 分かったわ! リップサービス?! リップサービスなのっ?! リップサービスよねっ?!)


にこ(・・・・それにしちゃあ、すごく自然な笑顔っていうか・・・)チラッ

真姫「・・・・・」ニコニコ ムシャムシャ

にこ(うっ・・・。か、かわいい・・・・・///)

にこ(真姫ってこんな、表情もあるのね・・・・///)

にこ(嬉しそうな顔。・・・・ってことは、ほ、本当に、こんな貧乏料理でも、おいしいって、思ってくれている・・・・のかな・・・・・・・?)

にこ「・・・・・///」カァ ウツムキ


虎太郎「良家の子女である西木野の舌を唸らせた清貧料理人矢澤であった」

ここあ「プハッ あれー? おねーちゃん、顔真っかんがむごっ」ムギュ

にこ「あ、あ・・・//////」ギュッ  プルプル

にこ(も、もうっ/// なんなのよ真姫ちゃん。急に素直になって・・・。無意識に言ってるのかしら・・・? いつも人の事バカにしてばっかりなのに・・・)




にこ「こ、コホンッ。・・・あ、あーっ! 虎太郎!」

虎太郎「?」モグモグ

にこ「お魚全部食べられたじゃないっ。えらいえらいっ」ナデナデ

虎太郎「んぐ」

にこ「次からは自分で骨を取れるようになってねーっ」ヨシヨシ





こころ「むぅ・・・さっきからここあと虎太郎ばっかり撫でてもらって・・・」モジモジ

こころ「・・・・あっ! そうだっ」


こころ「お姉さま! 聞いてください!」

にこ「どうしたの?」

こころ「はい! こころはですね、今日の音楽の授業で歌のテストがあったのです!」

にこ「テスト? どうだった?」

こころ「クラスで2番目の成績でしたっ!」



真姫「・・・・2ッ!?」ズキッ





~~~~~~~~~~~~~~~~

『なんだ! 1位じゃないのか!』

『残念だったわね。でも、お勉強がいちばんならいいの。ピアノができるよりずっとずっとすごいわ』

『そうだな。ピアノなんてできなくても全然かまわないが、勉強はしっかりやらないとな』

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫「っ・・・・・」ズキズキ







にこ「・・・・・・こころ」カタッ

こころ「は、はい・・・?」モジモジ


真姫「・・・・」ズキン ズキン





にこ「すごいじゃないこころおおお!!!」ガバッ

こころ「わわぁ///」テレテレ


真姫「?!」


にこ「いつもおとなしい こころ があ! 歌のテストで2位?! 良くやったわねええええ!!」ギュー

こころ「は、はい・・・/// クラスのみんなに見られながら歌うのが恥ずかしくて、最初は声が出なくて・・・。でも、でもっ! その後は、お姉さまにいつも教えてもらっている通り、笑顔で! 大きな声で! 歌ったのです!」


にこ「まあ! がんばったわねえ! 偉いわねえ! さすが私の妹!! 自慢の妹よおおお!」ナデクナデクリ

こころ「えへへ、スーパーアイドルの妹ですから/// これくらいできて当然です/////」ドキドキ

にこ「ああっ! こころが歌って活躍してるところを生で見たかったあ!」ナデナデ ギュー


真姫「・・・・・・・・・」





~~~~~~~~~~~~~~~~

『すごいじゃないか真姫! まだ1年生なのに2位なんて!』ナデナデ

『自慢の娘よ!』ギュー

『真姫が活躍している所を傍で見たかった! なんで仕事なんかに行ってしまったんだ!』

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫「・・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・わたしも―――」ボソッ



にこ「こころおお!」ギュー ナデナデ

こころ「/////////」ドキドキ



真姫(―――あの時、あんな風に褒めて欲しかった。発表会に見に行けなかったことを後悔して欲しかった。頭を撫でて欲しかった。抱きしめて欲しかった)


真姫「・・・・・・・グスッ」

真姫「・・・・・・・うっ、うぅ」ポロッ



虎太郎「んぐんぐ。んー? にしきの、 さーん?」

ここあ「えっ? 真姫さん・・・?」



真姫「うっ、ぐすっ、くぅ・・・」ポロポロ

にこ「あっ、えっ? ちょ? 真姫ちゃ?? へっ????」

こころ「真姫さん・・・?」

真姫「ひくっ・・・」グスグス


にこ「・・・ああ、あー! えっとー! ま、真姫ちゃん、汗すごいじゃない! ワカメスープ熱かった? ごめんねー! 汗流した方がいいから、先にお風呂入ったら? うん、そうしなよ!」

真姫「うっ、うっ・・・・」ポロポロ

にこ「ほらほら、お風呂は向こうだから。連れて行ってあげる」ギュ スタスタ







カポーン...






----------------------------------------
入浴後
脱衣所



カラカラッ


真姫「ふー・・・・」

真姫「・・・・・・」拭き拭き

真姫「・・・・・・」モソモソ



ト ト トトトト

虎太郎「にしきのさん湯ー」トト

真姫「きゃっ?!」


カラカラッ

バタン



真姫「????」

こころ「こらー! 虎太朗! フrrティンで走らない!」

こころ「あっ//// ま、真姫さん・・・/// す、すいませんっ///」メソラシ

真姫「え、ええ、大丈夫だから・・・」

こころ「ど、ドライヤー、そこにありますからっ///」

真姫「うん、ありがとう」








 < えーっ!? 虎太郎お風呂行っちゃったのーっ? 洗い物で今手が離せないのにー。こころー、ちょっと虎太朗のこと見てあげて-




こころ「あっ、はーい!」

ここあ「ここあも入っちゃお」トトト


カラカラッ

パタン




真姫「・・・・・」




カチッ

コー





----------------------------------------
矢澤家 寝室


スタスタ


真姫「・・・・・」

真姫「・・・・・」ぽつーん・・・



真姫「・・・・・・」

真姫「・・・・・・・あっ」

真姫「さっき読んでた、シンデレラの絵本・・・」

真姫「・・・・」

真姫「・・・・」ペラッ


真姫「・・・・」ジー









にこ「ごめーん真姫ちゃん。なんかほったらかしてるみたいになっちゃって」

真姫「にこちゃん・・・。ううん、別に」

にこ「・・・その絵本」

真姫「あっ、ごめんなさい、勝手に読んで。ちょっと目に付いてしまって、なんとなく」

にこ「んっ、い、いいけど、ちょっと恥ずかしいわね。そんなボロボロになってるのに、捨てずにまだ取ってあるの見られちゃって・・・、」

真姫「この絵本、古いの?」

にこ「えっ、あ、うん。確か・・・私が2歳ぐらいの頃から読み聞かせてたって、ママが言ってた。だから・・・16年前? うわっ、もうそんなに経つのね」

真姫「16年・・・」

にこ「その間にも、私が読んで、こころが読んで、ここあが読んで。気が付いたらそんなボロボロになってた。これだけボロボロになっても、小さい頃から傍にあった絵本、だって思うと、どこか特別な気持ちになっちゃってねぇ・・・」シンミリ

真姫「・・・・・・・そう」

にこ「最近はあまり読んでなかったけど。でもシンデレラのストーリーって、今思い返しても惹かれるの」

真姫「・・・・シンデレラみたいになりたいってこと?」

にこ「んー・・・・。それはちょっと違うかなあ。でも、シンデレラは私に似てるなって思うことはあるけれど」

真姫「シンデレラがにこちゃん? どうしてそう思うの?」

にこ「あっ、今、シンデレラみたいに美人じゃないくせにって、馬鹿にしたでしょ」

真姫「そんなこと言ってない」

にこ「・・・・・ふんっ、まあいいわ。・・・・ねえ、知ってる? シンデレラって灰かぶり姫とも言うんだって」

真姫「ええ、聞いたことある」

にこ「・・・・。シンデレラはね、灰を被る程の、貧乏な生活を送っていたのよ」

真姫「・・・・・・」

にこ「でも、ある日、魔法の国からやってきた魔法使いの妖精に綺麗なドレスを着させてもらって、舞踏会で踊ることができて、そして王子様と結婚して玉の輿!」

真姫「・・・・・」

にこ「いずれ私も同じように、アイドル業界という舞踏会で、輝き、踊って、いずれは超絶イケメン金持ち俳優に見初められて、玉の輿に?!」

真姫「・・・・・」

にこ「そしてそしてっ! あのみんなのスーパーアイドルにこにーが電撃入籍?! きっと世間は大騒ぎねっ」ニシシ

真姫「・・・・・」ジト目

にこ「なんか言いなさいよ」

真姫「・・・・いえ。なれたらいいわね、玉の輿」


にこ「ぬぅぁんでよ! そこは『気持ち悪い』とか『知らない』くらい言えないのっ? 言われたくないけどっ」

真姫「思ってないわよ。そんなこと」

にこ「だからぁ・・・・そういうことじゃないっての・・・・」

真姫「そういうことって? にこちゃんはシンデレラみたいに出世することに憧れてるって話じゃないの?」

にこ「あー・・・それは。違う、かな」

真姫「違うの?」

にこ「シンデレラがうらやましくて、そんな妄想はするけれど。自分がそうなりたいっていう憧れとはちょっと違う気がする」

真姫「何故・・・?」

にこ「私がまだ小さい頃、シンデレラのストーリーをちゃんと理解した時。その時にね、本当に憧れたのはシンデレラじゃなくって、魔法使いの妖精」

真姫「魔法使い?」

にこ「うん」

真姫「どうして?」

にこ「・・・・」ペラペラ

にこ「ここのページを見て。突然現れた魔法使いの妖精は灰かぶりのシンデレラに綺麗なドレスを着せて、本当のお姫様にしちゃうの。馬車も用意して、シンデレラは行きたかった舞踏会に行けることになった。その時のシンデレラの表情。ついさっきまで暖炉の前で泣いていたはずなのに、一瞬でこの笑顔よ」

真姫「・・・・・・」

ペラペラッ

にこ「次はここ。王子様とダンスをしているシンデレラ。とっても嬉しそうな笑顔でしょ」

真姫「ええ・・・」

ペラペラッ

にこ「そして、最後のページ。王子様と結婚して、本当に幸せそうな笑顔のシンデレラ」

真姫「・・・・・・」

にこ「貧乏で灰を被って、毎日辛くて泣いてばかりで、笑顔なんて無い。そんなシンデレラをあっという間に笑顔にしちゃった。この笑顔は魔法使いの妖精のおかげって思ったら、私、魔法使いに物凄く憧れた。私もこんな風に誰かを笑顔にさせてあげられるようになりたいって、強く思った」

真姫「・・・・・・」



にこ「シンデレラのような玉の輿も悪くないけれど、私はやっぱり誰かを―――ううん、世界中、宇宙中のみんなを笑顔にするくらいの魔法みたいなアイドルになりたい。妖精みたいに可愛いアイドルになりたい。それは、小さい頃からずっとずっとずっと、今でも変わらない、私、にこにーの―――」

真姫「・・・・・・」


にこ「 “夢” 」ニッコリ


真姫「・・・・・・」ポー...



にこ「ふふん。にこにーが今の所、結婚は考えてないって分かって安心した?」ニシシ

真姫「・・・・・・はっ! なっ/// ヴェ、ヴェッつにっ」フイッ

にこ「ほんとー?」ニヤニヤ

真姫「だ、だいたいねぇっ、魔法みたいなアイドルってなによっ。魔法なんて、そんな非科学的なもの、この世にあるわけないじゃない。バッカじゃないの? 玉の輿の方がよっぽど現実的よっ」カミノケクルクルクルクルクル

にこ「おっ、・・・・ふふっ」ニコリ


にこ「もーなによー!」ウキウキ

にこ「真姫ちゃんってほんとーに、夢が無いわねー」ウキウキ

にこ「でも、じゃあさ、もしだよ。もし、私が本当に魔法のアイドルになって真姫ちゃんの前に現れて、『なんでも願い事を叶えてあげる』って言ったらどうする?」

真姫「だから、その “もし” が無いって言ってるの。私は自分の力でなんだって叶え―――」ズキッ





~~~~~~~~~~~~~~~~

―――音楽が好き! 将来はピアニストになりたいっ!

『真姫はえらいな。いつも勉強ができて。このままなら西木野病院の名女医さんだぞ』
『ピアノなんてできなくても全然かまわないが、勉強はしっかりやらないとな』

―――おおきくなったら、おいしゃさんになるの

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫「かな・・・ぇ・・・」ズキズキッ

にこ「かなえ? なによ」

真姫「・・・い、いえ、なんでも・・・ない」ズキズキ

にこ「・・・・・・」

にこ「・・・もし、魔法使いが来てくれたらどうする?」


真姫「そうね・・・その時は・・・―――」

にこ「その時は・・・?」


真姫「・・・・健康に過ごせますようにってお願いするかしら」

にこ「・・・・・なによそれ、神社でお参りしているみたいじゃん」

真姫「お願い事なんだから、神社でお参りするようなものでしょ。何かおかしいかしら?」

にこ「おかしくなけどさー・・・・。はぁ・・・・」 ...ガッカリ



にこ「・・・・・・・」







----------------------------------------


にこ「ふぁ~・・・。チビ達も眠ったし、私達もそろそろ寝ましょ」

真姫「えっ」ゾクッ

にこ「真姫ちゃんのお布団用意してあるから」

真姫「あっ、あっまっ、まっ・・・てっ!」グイッ

にこ「んぁ? なに?」

真姫「あの、そのっ」アタフタ

にこ「?」

真姫「えと・・・あっ、そ、そうだっ。あいどるっ」アセアセ

にこ「アイドル?」

真姫「そ、そう! アイドルについて教えてっ。勉強がしたいのっ」

にこ「真姫・・・・あなた・・・」

真姫「っ・・・・」アセアセ

にこ「えらいじゃないのーっ! やーっと意識が高くなって来たわね! いいわっ! スーパーアイドルにこにー直々のっ! プレミアアイドル講座をしてあげるわ! さ、私の部屋にきて!」

真姫「ほっ・・・」






----------------------------------------
アイドル動画鑑賞中...



にこ「もうすぐよ、よく見てなさい」

真姫「・・・・」ジーッ

にこ「ほらっ、ここ。盛り上がっている真っ最中に、機材トラブルで急に音楽が止まっちゃうの」

真姫「これは・・・」

にこ「観客はもちろん、このアイドル達も一瞬何が起きたか分からず戸惑うでしょ」

真姫「当然の反応ね」

にこ「だけどアイドル達はすぐに対応するの! ボーカルの子は声を切らさず歌い続け、他のメンバーも目くばせのやり取りだけですぐにアカペラの音楽を始めて、そしてダンスも止めずに続ける! この見事な連携プレーに観客は更に盛り上がる!」

真姫「ええ・・・。この出来事は、前に花陽に話で教えてもらってたけど、映像で見るとこのアイドル達のすごさがよく分かる。機材トラブルなんかに負けないこの懸命な姿。これを見せられたら、誰だって応援したくなるわ」

にこ「そうでしょう! 最近のアイドルは効率よくお金を集める事ばっかり考えて、知名度を上げることだけに力を入れているだけのが散見されるけどっ、そんなのアイドルじゃなくてただのビジネスマンよ! お客さんが求めているのは楽しい夢のような時間。それに応え笑顔にさせるのがアイドルの仕事であり、根幹! この映像にあるような咄嗟の対応力はその根幹の表れよっ!」

にこ「他にもすごいアイドルはいるわよ。例えば、小さい頃の夢は漫画家かお笑い芸人って思っていた人がいてね。でもある時、その人は成り行きでアイドルやることになっちゃったの。だけどその人は運動が物凄く苦手だったらしく、ダンスレッスンに全然付いて行けなくて、そんで最初のステージはカチコチのダンスだったもんだから、色んな人に酷評されたけど・・・」

真姫「・・・・・・」

にこ「だけど、その後は本当に精一杯努力をしたみたいで、徐々にダンスも上手くなって、今じゃあ数えきれないほどのファンを抱えている―――っていうアイドルもいるのよっ」

真姫「そうなの。すごい努力家の人なのね」

にこ「どうしてそこまで努力ができたと思う? 最初は漫画家かお笑い芸人を目指していたみたいだけど、そのどちらも “お客さんに楽しい夢のような時間を過ごして欲しい!”という根幹の気持ちが、アイドルと同じだったからじゃないかって私は思うの。その大事な気持ちは元々持っていて、それが漫画家や芸人からアイドルという形になっただけ」

真姫「ええ・・・」

にこ「真姫ちゃんはどう? “お客さんに楽しい夢のような時間を過ごして欲しい!” て気持ち、ちゃんと持ってる?」

真姫「それは、まあ。始めて会ったその日から、そんなことを毎日のように言い聞かせてくる人がいるから」

にこ「よろしい。もちろん、歌やダンスが上手いのも大事だよ。だけど、それだけじゃあ乗り切れないことだってあるわよね。例えば、本番中に歌詞を間違ったり、ダンスで転んじゃったり、さっき見た機材トラブルとか、そういう間違いが起こることは人間がやっている以上完全になくすことはできない。そういう時に、 “お客さんに楽しい夢のような時間を過ごして欲しい!” っていう根幹の気持ちがあるかないかが、大きな違いになると思わない?」


真姫「ええ、確かに。とても筋の通った話だと思うわ。ホント、にこちゃんってアイドルの事に関してだけは、途端に理論的で分かりやすい事を言えるようになるわよね」

にこ「ふっふー・・・んっ?! 『だけは』 ってどーいう意味よっうぬぅぁんんんっ、ふぅ、あっ、んぁ、ふぁ~・・・」アクビ


にこ「はぁ・・・もうさすがに眠いわ・・・。今日はお終いにしましょ」

真姫「えっ! ま、まって、もうちょっと・・・」

にこ「あのねぇ・・・。今日私が学校で言ったこと、もう忘れたの? 寝不足は美容の大敵なんだから」

真姫「もうちょっと・・・もうちょっとだけ・・・。そ、そう。お話しましょ、なにか・・・」アセアセ

にこ「お話ねえ・・・」


真姫「・・・・・」アセアセッ

にこ「・・・・・」


真姫「・・・・・」モジモジ

にこ「・・・・・」


にこ「それじゃ」

真姫「う、うん・・・」ソワソワ


にこ「ピアノについて教えて」

真姫「・・・ピアノ?」

にこ「うん。ずっとアイドルについて教えてあげたんだから、今度は真姫ちゃんの番」

真姫「あっ、ああ、ええ、そうね。分かったわ」

真姫「ピアノは、弦をハンマーで叩くことで発音する鍵盤楽器の一種である。鍵を押すと、鍵に連動したハンマーが対応する弦を叩き、音が出る。また、内部機構の面からは打楽器と弦楽器の特徴も併せ持った打弦楽器に分類される。
一般に据え付けて用いる大型の楽器[注 1]で、現代の標準的なピアノは88鍵を備え、音域が非常に広く、クラシックオーケストラの全音域よりも広い[1]」

にこ「いやっ、Wikiに書いてあるような事を教えて欲しいって意味じゃあ・・・・。弾き方とかさ」

真姫「あっ、そ、そうよね。ごめんなさい・・・」

にこ「ん~・・・。どっちにしろ、実物が無いと練習もやりにくいかなー。じゃあ、やっぱり今のもっと続けて。オーケストラって色んな楽器使うイメージあるけど、それよりピアノの方がたくさんの音が出せるってこと?」

真姫「あっ、う、うん。フルート、ヴァイオリン、トランペット。楽器って色々あるけれど、単体で最もたくさんの音域を持っているのがピアノなの。だから・・・」

にこ「だから?」

真姫「だから・・・・・」

真姫「ピアノは、一番感情をこめられる・・・・最高の・・・楽器・・・・」シミジミ

にこ「へー。だから、作曲するときもピアノを使うといいのね」

真姫「ええ、その通り」


にこ「でも、真姫ちゃん一つ間違ってると思うなぁ」

真姫「間違い? 何が?」

にこ「ピアノが最高の楽器、って所」

真姫「??」キョトン

にこ「最高の楽器は他にある。それは、ピアノより広い音域があって、強弱も自由自在に変えられる。もちろん感情だってたくさん込められる。っていうか、感情と直結する。そういう楽器、あるでしょ?」

真姫「えっ? えっ? そ、そんな楽器ある・・・?」

にこ「あるよー」

真姫「なにかしら・・・。ピアノより広い音域・・・。パイプオルガンかしら? 鍵盤が数段ある物は鍵盤数が100、200を超えるし。でも、パイプオルガンもピアノの一種のような気もするけど・・・」

にこ「ちなみに、その楽器を扱うのは超簡単。子供でも扱えるの。嬉しい事に、こころも得意なのよね」

真姫「子供でも扱える・・・?? ううっ・・・。ますます分からないわ・・・」

にこ「えーっ?! 分からないのーっ?! びっくりー!」煽り声

真姫「・・・っ」

にこ「真姫ちゃんってー。音楽についてはー。詳しいんでしょー? それなのにこんな簡単な事も分からないんだー」ウププ

真姫「くっ! ま、待ちなさいっ! 今答えるから・・・!」ムムム

にこ「んふふっ。なにかなー?」

真姫「ぐぬっ・・・・」ムム...

真姫「・・・・・・・」スンッ...

真姫「降参」

にこ「えっ?」

真姫「さっぱり分からないわ。見え張ってごめんなさい。答えは何かしら?」

にこ「えっ、ちょ、ちょっと。何でそんなに簡単に答えるの諦めちゃうの? 真姫ちゃんってずっと音楽を習ってたんでしょ? そのプライドとかない訳?」

真姫「分からないものは、分からない」

にこ「・・・・・・・・・・・・・・・もう嫌」

真姫「?」

にこ「いい加減にして」

真姫「何がよ」

にこ「私の知ってる真姫ちゃんはね、からかったら怒ってくるプライドの高い子。相手が誰であろうと怯まない強気な子。自他ともに認める負けず嫌いの子。いつもひねくれたことを言っちゃう素直じゃない子、でもたまに素直な子」

にこ「私の知っている真姫ちゃんは、そんな真姫ちゃんなのに・・・」

にこ「だけど何?! 最近ずっと! なんでもかんでも受け答えが淡々としててつまんないのよ!」


にこ「カッコイイ大人の振りでもしてるわけ?! 言っておくけどぜんっっっぜんできてないからね! 今日だって、急に泣いたり、かと思ったらちょっとしたことで嬉しそうに笑ったり! そんな風にねぇ、大人は急に泣き出したりしないし、些細な事で感情を表に出さないもんよ!」

にこ「いいっ! それができてないアンタはまだ子供なの! 変に大人の振りしたってかっこわるいだけなの!」

真姫「っ!」

にこ「・・・・そんなことする理由は分からないけど・・・今みたいな事を無理に続けたら、個性を無くして、感情が殺されて・・・。そうしたら、ダンスも、歌も、ピアノも、作曲も、できなくなるわよ・・・」

にこ「・・・・μ’sはね。μ’sが最高なのは曲が最高なのもあるの」

にこ「だけど、真姫ちゃんが無理に変わろうとしたら、そんなμ’sが壊れるかもしれないの。μ’sは私が3年待ってやっと掴んだ奇跡みたいなめぐり合わせ。絶対に壊したくない」

にこ「だから・・・お願い、無理に変わろとしないで。これからも、素直じゃない、個性的な真姫ちゃんでいてよ・・・・。μ’sは全員個性がバラバラだからこそ、μ'sなの・・・」

にこ「真姫ちゃん・・・いつまでも、いつもと変わらない、ピアノも歌も、聴かせて・・・」




真姫「・・・・」

にこ「真姫ちゃん・・・」


真姫「・・・・・・・っ」

真姫「μ’sだのピアノだの・・・いつまでもそんなこと言ってられないでしょ・・・!」


にこ「はっ?」

真姫「にこちゃんは」

にこ「・・・?」

真姫「・・・・・にこちゃんは、高校を卒業してもアイドルを目指すって言ってたわよね」

にこ「・・・そうだけど。急に何よ」


真姫「いいわね! にこちゃんは自分がやりたいことができて!」 ダンッ

にこ「?!」ビクッ

真姫「私はねっ! パパの後を継がなきゃいけないの! それ以外は何もできないのっ! 他の何かをやりたいって思ってもその先に道は無いの! だって私が医者以外になることを、パパは絶対に認めてくれない!」

にこ「ま、真姫ちゃん・・・? どうし―――」

真姫「毎日やりたいことやって生きてっ! 好きな事で頑張れてっ! それをずっと続けられるにこちゃんにっ!! 私の気持ち分からないでしょうね!!!」

にこ「・・・・・」

真姫「・・・・・・・。本当なら・・・高校に入った時点で音楽は終わらせなきゃならなかった・・・。ずっと通い続けていたピアノ教室も中学校でやめたのよ・・・。だけど・・・・。穂乃果が、私の音楽が必要だって言って。それで私はμ’sに入った・・・。アイドルという形だけど、終わったと思った音楽が続けられて、私ね、本当に、楽しくて、嬉しかった・・・」

にこ「・・・・・」


にこ「・・・・・」

真姫「でも、パパは許してくれなかった。そんなパパをみんなが説得してくれた。どうしてもμ’sを続けたかった私も『医学部だって絶対に受かって見せる。言われたことはなんでもする』って泣きながら縋り付いた。そうしてやっと、私はμ’sを続けていられるの」

にこ「・・・・・」

真姫「既にこんな無理なわがままを許してもらってるの・・・。これが私の人生で、最大で最後のわがまま。これ以上わがままを言うのは・・・・無理なの。わがままが言えないのなら、もう子供じゃないでしょ・・・。いつまでも子供でいられない・・・。私は、パパが望むように、大人になるしかないの・・・・」

にこ「・・・・・」

真姫「だから、にこちゃん・・・。 『無理に変わろとしないで』 なんて、言わないで。それは、今度こそμ’sで私の音楽は終わりって言う私の覚悟を否定する事なの・・・。」

真姫「μ’sはちゃんとやるから、それでいいでしょ。余計な事を言って私を悩ませないで・・・」

にこ「・・・・・」



にこ「そういうこと・・・。よく分かった」

にこ「真姫ちゃんには子供の頃からお医者さんになるという夢があって、今でもお医者さんになりたいっていう強い意志がある―――」

真姫「っ」ズキッ




~~~~~~~~~~~~~~~~

まき「おおきくなったら、おいしゃさんになるの」ニコォ....

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫「・・・・え、ええ、その通りよ」ズキズキ

にこ「だから真姫ちゃんに迷いはない―――って私は思ってた。だから今まで私は言わなかったけれど」

真姫「・・・? 言わなかった・・・?」

にこ「だけど、今の真姫ちゃんにだったら、言ってもいいと思った。いや、言わなきゃ、って思った」

真姫「何・・・?」




にこ「真姫」ガシッ

にこ「高校を卒業しても、私と一緒にアイドルを続けて」キッ

真姫「・・・・・えっ?」ポカーン


にこ「確かに、真姫ちゃんは、お医者さんを目指した方が絶対にいい。それなら、真姫ちゃんのパパもママも全力で真姫ちゃんを助けるだろうし。その反面、アイドルなんて続けたら、どうなるか分からない」

にこ「だけど、真姫が創る音楽は最高なの。その音楽を聴きたいって思っている人、これから思う人はたくさんいる」

にこ「その人達へアイドルを通じて真姫の音楽を届けるために、真姫のどこかに音楽を続けていたいって気持ちが少しでもあるのなら、私はその気持ちに対して全力で訴えかけるわ」

真姫「・・・・・」

にこ「どう?」

真姫「・・・できない」

にこ「なんで」

真姫「私の話聞いてた? パパは―――」

にこ「パパの気持ちを聞いてるんじゃないの。真姫の気持ちを聞かせて」

真姫「うっ・・・。ううぅ・・・。わ、私は・・・」フルフル

にこ「もうっ」

ギュ

真姫「きゃっ///」

真姫「にこ・・・ちゃん・・・?」キョトン

にこ「真姫はまだ子供なの。子供なのに、理屈や後先のことばっかり考えて、本当にやりたこと事から目を逸らして『親のためにー』なんて言って格好つけるのは、生意気よ」

真姫「あっ・・・うぅ・・・・」


にこ「聞かせて。真姫ちゃんの、気持ち。本当にやりたいこと。続けたい事」


真姫「あっ・・・あっ・・・」パクパク




真姫(にこちゃんは、本当の私に気が付いてくれたの・・・?)

真姫(本当の私を守ろうとしてくれているの・・・?)

真姫(もしかして、今まで、ずっと気にかけてくれていたのかな・・・・・・。それなのに、私は・・・私は・・・)




~~~~~~~~~~~~~~~~

『真姫はえらいな。いつも勉強ができて。このままなら西木野病院の名女医さんだぞ』

まき「おおきくなったら、おいしゃさんになるの」ニコォ....

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫(私は・・・)



真姫(大切な人に―――大切なことを伝えられなかった)

真姫(大切な人を―――大切に思っていることすら気づけなかった)



真姫(また、同じことを繰り返すの?)

真姫(今まで、寂しかった・・・。伝えたいことを言えなくて・・・素直じゃない真姫の事、見てくれる人がいなくて・・・)

真姫(だから、ずっと、ずっと、待っていた。本来、私みたいな性格の女の子には望めないはずの――――――)




にこ「真姫ちゃん・・・」



真姫(―――心からの友達)






真姫「私・・・・」


真姫(伝えたいことを言えない・・・また、同じことを繰り返すの?)




真姫「わたし・・・」


真姫(いいえ。真姫はμ’sに入ったの。そこで、まっすぐな性格の子ばかりのみんなに囲まれて―――)







真姫「音楽を・・・」


真姫(ようやく、その時が来た―――)






真姫「音楽を・・・続けたい・・・」


真姫(本当の私を、見てくれる人―――大切な心からの友達に、大切なことを伝える時)





にこ「真姫ちゃん・・・!」パァ

真姫「にこちゃん・・・。にこちゃん・・・! わたし、わたし、音楽、続けたい・・・!」

にこ「うん! うん!」

真姫「私ね、すごく小さい頃に、歌と出会って、音楽が好きになって、その時の感動は今でもはっきり覚えてて・・・・」

にこ「アイドルに憧れた私と同じね」

真姫「ずっと音楽を続けたかったけど、家の事もあって、高校で音楽はお終いだって自分に言い聞かせたけど・・・・」

にこ「その葛藤は辛かったでしょ。頑張ったわね」

真姫「高校に入って終わるはずだった私の音楽。でも、μ’sが繋いでくれた・・・。それは、奇跡で・・・“音楽が好き” という気持ちはずっと強くてなって・・・。やっぱり、私は、私の音楽を途切れさせたくない・・・」

にこ「ええ、μ’sは奇跡よ。だから、その奇跡、絶対に無駄にしちゃだめ」


真姫「それにね、μ’sを通じて、私の音楽は広がったの・・・。それがすごく楽しくて嬉しくて感動的で・・・・・μ’sとして過ごせている時間は、夢みたいな時間」

にこ「私もそうよ」

真姫「でも、終わらない夢は無くて・・・」

にこ「んっ、そうかしら」

真姫「だってこんなにも私は音楽好きなのに、どう考えたって音楽を続けられる方法が見つけれらないの・・・。そうやって悩んでいる間にも、時間は止まってくれない。にこちゃんや希、エリーも、もうすぐ卒業して・・・・・・」

にこ「それは・・・」

真姫「ことほのうみが卒業したら、その一年後は、私が卒業の番。その頃の私はきっと・・・・」

にこ「・・・・・」

真姫「どんなに音楽が好きでも、私が医学部を合格するというパパとの約束は無くなってないの」

にこ「パパとの、約束ねぇ・・・・」

真姫「μ’sを辞めたくなかったから、そんな約束しちゃったけど・・・音楽を続けたいって強い気持ちを残したまま、私、医学部を合格することなんてできるのかしら・・・? 医者になれるのかしら・・・? もしかしたら、どっちつかずで中途半端で何ににもなれないかも・・・。そんなことになったら、パパに失望されちゃう・・・。兵糧攻めにされちゃう・・・。家を追い出されちゃう・・・」

にこ「えっ、真姫ちゃんのパパってそんな? ・・・・ああ、でも、あの人なら本当にやっちゃいそう。言い訳を許さない人だもんね・・・」

にこ「けれど、なにがあろうと、時間は必ず私を本当の大人にしちゃう・・・。大人なったら、嫌でも、社会的役目を果たさなきゃいけなくなる。勤労して、納税して、結婚して、出産して、教育して・・・」

にこ「えっ、ちょ、な、なに? 急にえらく生々しい現実的な話になってきたわね。確かに確定申告は大変だって話は聞くけれど・・・」

真姫「もしかしたら、私、大人の社会の中でそれなりの地位を得られたら、弱い物いじめをしていい気になるようなクズになったり、あるいは毎日馬車馬の如く働く社畜になったり、たまの休日にはスクフェスのイベントに没頭したりチラシの裏に載せる価値も無いくだらないつまらないSSを深夜になってまでもネットに投稿するくらいしか楽しみの無いアホなったり、はたまたそんな毎日を続けて、ストレスに耐えられずに、髪の毛と一緒に職を失って、平日の真っ昼間からSSを読み耽るくらいしかやることのないハゲチャピンニートになっちゃったり、・・・わたし、そんな風になってしまうかも・・・・うっ、ぐす」ウル

にこ「ちょ、ちょ」

真姫「私は一生王子様も魔法使いも来てくれないシンデレラなの・・・・・ううっ、ぐすぐす」ウルウル

にこ「ちょ、ちょ、ちょっと! まったまった! どうしちゃったのよ、いきなり。ネガティブ溢れすぎでしょ。ほらっ、ガムでも噛んで中和してっ」スッ

真姫「んぐっ、うっ、うっ・・・にこぢゃぁん」ウルウル クチャクチャ

にこ「よしよし」ポンポン

にこ「とにかく、よく分かったわよ。それが今まで真姫ちゃんが抱えてた本音なのね。要するに将来に対する不安が一杯って事かしら」

真姫「うん・・・・」クチャクチャ


にこ「・・・・そうねぇ」

にこ「・・・・・・・」

にこ「・・・・ねぇ、一つ聞きたいんだけど」

真姫「・・・?」クチャ?

にこ「真姫ちゃんのパパは、真姫ちゃんがお医者さんになる事以外を認めてくれない。頑固で、厳しい人。真姫ちゃんの将来を縛り付ける人。真姫ちゃんは、そんなパパの事は嫌い?」

真姫「んぐっ! ゴクン....そんなことはない!」

にこ「どうして?」

真姫「パパのことは嫌いじゃない・・・。そりゃあ、がめつくて、お金と地位と名誉と保身と利権のことばっかり考えてて、地元の議員との繋がりを持つために私を駒に使ってくれちゃって、そんな私には、勉強で一番を取れだの、T大医学部に合格しろだの、病院を継げだの、毎日毎日毎日まいっにちっ、同じことを言い聞かせてくる俗物で、それだけじゃない、音楽をやりたいっていう私の気持ちを踏みにじってくれちゃって、なにより一番許せないのが私達の大切なμ’Sを侮辱した事で・・・」

にこ「ほ、本当に嫌いじゃないの・・・?」アセアセ

真姫「でもね・・・―――」

にこ「でも?」

真姫「パパはすごく頭がよくて、強くて、どんなときにも弱みを見せない人なの」

真姫「その強さで、たくさんの人の命を救ってきた。たくさんの人がパパに涙を流しながら感謝しているのを、私は見てきた。その度に思うの。普段はお金と地位の事ばっかりしか言わないけど・・・―――ああ、やっぱりパパは本当の医者なんだ―――って。だから、私にとっては、パパは世界中の誰よりもかっこいい人」

にこ「・・・・」

真姫「そんなパパを看護師として支えるママもとても素敵で、パパもママも、私は大好き」

真姫「その二人の夢が、私が自分たちと同じような医者になる事。大好きなパパとママだから、私も一緒の夢を持っていたいの。幼いころの私は、ピアニストになりたいって考えたこともあったけど、その事を口に出したことは無いの・・・」

にこ「パパの跡を継ぎたい、パパみたいな医者になりたい、そう思っている真姫ちゃんも確かにいるのね?」

真姫「うん・・・」

にこ「そっか・・・。難しいわね・・・・・・」





真姫「・・・・・・・わたし、音ノ木に入るのは、間違いだったのかな」

にこ「・・・・えっ」

真姫「私、本当はUTX高校に入りたかった」

にこ「・・・・・」

真姫「中学生の頃の私は、自分のスタイルや顔はテレビに出ているようなアイドルとそんなに変わらないって思ってたし、成績だって良かったから、ずっとUTX高校に入りたいって思ってた。でも、UTX高校はきっと、私なんかよりアイドルになりたい子、アイドルに向いている子がたくさんいるだろうから音楽が得意な子もきっとたくさんいて、ピアノで2位しか取れない私よりピアノが上手な子だらけで。そんな中にいたら、私なんか埋まっちゃって、やっぱり私には音楽はダメなんだって思い知らされて・・・」

真姫「そうすれば、医学部を目指すことに集中できて、こんなに悩む必要もなかったのかなって・・・」

にこ「・・・・・・」

真姫「でも、音ノ木に入っちゃった。地味で古臭い公立の音ノ木に無理矢理入学させられて、それが嫌で嫌で、最初の内はUTX高校に編入することばっかり考えてた」

真姫「だけど、音ノ木に入る前は全然意識しなかったけど、音ノ木って元々は音楽学校なのよね。だから、設備はしっかりしているし、音楽の指導に熱心な先生もいる。なにより、古い学校だけど古いって事は、その分優れた音楽家を育てられる長年積み上げられ磨かれた、言葉じゃ説明できない何かがある。入学してまだ一年経ってないけど、確かにその何かを感じるの」

真姫「だから、音楽の才能を埋もれさせずに伸ばすのなら、音ノ木はUTX高校よりずっとずっと優れている。音大だって十分目指せる。幼い頃に思い描いたピアニストになりたいって“夢”を叶えるのに、音ノ木ほど適した学校は無いと思う・・・・。それを意識させられた上に―――」

にこ「・・・・・・」

真姫「μ’sと出会っちゃった・・・」

真姫「一度捨てた “夢” が、またこんなに強く色濃く蘇って・・・。わたし・・・。余計にどうしたらいいか分からないの・・・・・」フルフル


にこ「・・・・・」


真姫「こんなに悩んでばっかりで・・・・うっ、ひぐっ、にこちゃん・・・私、どうしたらいいのかなぁ・・・」ポロポロ



にこ「・・・・・」

にこ「・・・真姫ちゃんが何と言おうと、私の考えは変わらない。真姫ちゃんに音楽を続けて欲しい。私とアイドルを続けて欲しい」


真姫「そんなこと・・・言ったってぇ・・・パパとの約束があるし・・・もう悩むのも疲れて・・・」グスグス


にこ「悩んだらいいじゃない、たくさん。すぐに答えを出す必要なんてないんだから」

真姫「ヴェェェ?」グスグス


にこ「例えば、凛を思い浮かべてみてよ。あの子、高校を卒業したら何になるか、とか、きっと何にも考えてないわよ」

真姫「・・・・うん」グスグス

にこ「そういうもんじゃない? 高校一年生なんて。私みたいに将来何になるかを最初からはっきり決めている子はそんなにいないわよ」

真姫「・・・・・」

にこ「だから、いっぱい悩んだらいいよ。真姫ちゃんが、今の私の時間になるまで、たくさん悩んで。その時にまた、真姫ちゃんの出した答えを聞かせて」

にこ「どんな答えでも、私は応援するから。ちゃんと考えて。真姫ちゃんの人生なんだから」

真姫「・・・・・でも」

にこ「うん。音ノ木で音楽を勉強したいなら、一杯して。医学部に入る勉強は・・・まあ、それなりにやって。その結果、成績が落ちたり、浪人したり・・・。もしそうなったら、真姫ちゃんのパパは黙ってないわよね。それこそ兵糧攻めにされたり、家を追い出されたり・・・」

真姫「い、いや・・・・・」フルフル...


にこ「だけど、本当にそんなことになったら・・・・・私がなんとかする」


真姫「ゔぇ? なんとかって。なぁに?」


にこ「それは・・・た、例えば・・・」


にこ「私の家に、来る・・・・とか?」

真姫「えっ? にこちゃんの家?」キョトン

にこ「そ、そりゃあ・・・こんな小さい家だし、窮屈かもしれないけど・・・・」

にこ「将来どうするか、はっきりするまでの時間くらいは、ここで考えてもらって」

にこ「それで、もしお医者さんになるっていうのなら、浪人してでも勉強をして医学部に進んでさ」

真姫「・・・・」

にこ「・・・・受験費用がどれくらい掛るか分からないけど・・・。真姫ちゃんが卒業する頃くらいには、にこにーは超売れっ子アイドルになって、大金を稼いでるはずだから!」

にこ「そして、そのお金で真姫ちゃんはお医者さんになって、立派に働いて。働き続けたら、きっと真姫ちゃんのパパも、いつかは認めてくれるよ」

真姫「・・・・私が、音大に行きたいとか、アイドルになるって決めたら・・・?」

にこ「真姫ちゃんが音楽を続けるなら、真姫ちゃんのパパは大反対するわよね。でも、私は全力で真姫ちゃんに協力する。他の誰が何と言おうとね」

真姫「パパの反対を無視して、にこちゃんにかばわれながら音楽なんて続けたら・・・」

にこ「分かってる。最悪は、パパに見捨てられ、一生見向きもされなくなるなんて事になるかも。真姫ちゃんはパパの事が大好きだから、それは絶対嫌よね」

真姫「うん・・・・」


にこ「その時は、私が真姫ちゃんのパパを説得する」

真姫「説得・・・?」

にこ「真姫ちゃんがアイドルとか音楽を続けることの重要性を、真姫ちゃんのパパが納得するまで説明する。私はすごく有名になって、テレビにしょっちゅう出て、知らない人なんかいない程のスーパーアイドルにこにーになるから、そんな私の言うことだったら、真姫ちゃんのパパだって無碍にはできないでしょ」

真姫「・・・・・・」

真姫「・・・・」ジトー...


にこ「な、なによ、その疑いの目は・・・。そんなことできる訳ないって言いたいわけ? ・・・ふんっ」


真姫「・・・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」

真姫「・・・・」ウツラウツラ


にこ「なんだ、眠たいんじゃない」

真姫「はっ・・・いえ・・・」

にこ「もうっ、別にいいけど・・・。とにかく、今の時期に色々考えるのはまだ早いって事。はい、お終い。一杯お話ししたし、寝ましょ。」


真姫「ま、待って・・・まだ・・・」

にこ「まだ何かあるの?」


真姫「えと、あの、その・・・あっ、そ、そうっ、い、今の私はスクールアイドルだから、素人みたいな歌やダンスでも見てくれる人がいるけれど・・・。もしプロのアイドルになるとして・・・上手くやっていけるかしら・・・?」

にこ「そんなこと気にしてるの? 私、さっき話したわよね」

真姫「さっき? なんの・・・?」

にこ「運動が苦手だけど、成り行きでアイドルになっちゃった人の話」

真姫「ああ・・・」

にこ「大事なのは “お客さんに楽しい夢のような時間を過ごして欲しい!” って気持ち。その大事さは、漫画家だろうが、芸人だろうが、アイドルだろうが、同じよ。それさえあればなんとかなるのよ」

真姫「わたしは・・・・」

にこ「ピアニストも同じようなものじゃないかしら? ピアニストがピアノを弾く理由は、『自分の奏でる曲の音色を聞いて欲しい』、『音楽で感動して欲しい』、『演奏する優雅な自分の姿を見て欲しい』とかだと思うんだけど。それはつまり “お客さんに楽しい夢のような時間を過ごして欲しい!” って事なんじゃないかな。そんな気持ち、真姫ちゃんが最初にピアニストになりたいって思った時にもあったんじゃない?」

真姫「あっ・・・―――」



~~~~~~~~~~~~~~~~

まき「どうしよう、どうしよう、わたし、おひめさまみたい!」

まき「かわいくできた? どこかへんじゃない? 今日おしゃしんとるかなぁ? そうしたらママとパパにも見てもらえるよね?」

まき「すごいのすごいのすごいの! 6年生のお姉さんまでいる中で、真姫が小学校の部で2番なの! ね、真姫すごいでしょう? きっとパパとママもびっくりするよ~♪」

まき「たくさんの人にいっぱいほめてもらちゃった! すごく上手だったって! この衣装もかわいいって言ってくれた! 嬉しい! 嬉しい!」

まき「あんな広い所でピアノ弾いたのがすごかった! なんだかね、今も体が全部ワクワクして、わーっ、ってなってね、楽しいの!」

まき「音楽ってすごい!  やっぱり真姫はピアノが大好き!」

まき「パパとママ、仕事なんか放り出して、ちゃんと真姫の発表会を観に言っておけばよかった、って後悔しちゃうじゃないかな~」

~~~~~~~~~~~~~~~~




真姫「―――・・・う、うん。そう、思ってた・・・」

にこ「その気持ちが元からある真姫ちゃんと、私は一緒にアイドルを続けたい。もし、どうしてもアイドルに自信がないのなら、別にアイドルという形にこだわらなくてもいい。形を変えて―――例えば、私がダンスしているときのピアノの伴奏者でもいいし、あまり表には出ないで私の曲を作曲するだけでもいい―――どんな形でもいい。音楽を続けて欲しい」



真姫「・・・・・・」

真姫「・・・・」

にこ「寝た?」


真姫「あ、ね、寝てない。あの・・・・」

にこ「何かしら?」

真姫「分からないの・・・」

にこ「んっ?」

真姫「わたし、自分で言うのも変だけど、スタイルは悪くないし、成績だっていい。だから、どんな事でも自分でできるって思ってた・・・。馬鹿よね、パパに見捨てられたら一人で生きていく事もできないくせに」

にこ「・・・・」

真姫「でも、にこちゃんは違うわよね。スタイルは子供みたいだし、成績だっていまいちだし」

にこ「失礼ねっ・・・・」

真姫「そうじゃなくって、そんなのあんまり重要じゃないって思ったの。にこちゃんは家の色々な事を切り盛りしている。一人でも生きていけるって、にこちゃんみたいな人の事を言うんだなあって、思ったの」

にこ「なっ///  急になんなのよ。照れるわね///」

真姫「だから、分からなくて・・・。どうしてそこまでするの?」

にこ「どうしてって・・・? どういう意味?」

真姫「仮に私が音楽を続けなくても、私が家を追い出されたらここに置いてくれるとか、にこちゃんが私にしてくる事と私がにこちゃんにしてあげられる事があまりに釣り合わないと思って・・・・・・」

にこ「・・・それは・・・あれよ・・・あれ」

真姫「あれ?」

にこ「あー・・・そう。ピアノよ。最近、私、真姫ちゃんにピアノ教えてもらってるでしょ」

真姫「えっ? う、うん。そうだけど。それだけでここまでしてくれるの・・・?」

にこ「私にとっては大事なのよ。今はスクールアイドルだけど、作詞は海未がやってくれている。作曲は真姫ちゃんが。振り付けは絵里が考えてくれる。衣装はことりがデザインしてくれる」

にこ「でも、今後も私がアイドルを続けていくのなら、全部一人でやらないといけない。実際はそうじゃないかもしれないけど、それくらいの気持ちでぶつからないと、絶対上手くいかない気がするの。作詞、振り付け、衣装のデザインは、今の私一人でもなんとかなるけれど、作曲だけは今の私には無理。だから、真姫ちゃんに教えて欲しかった」

>>87

訂正


×:真姫(怖いのが長かった分、大きかった分、たくさん泣きたくなるんだよね。分かるよ)


○:にこ(怖いのが長かった分、大きかった分、たくさん泣きたくなるんだよね。分かるよ)



真姫「ピアノを教えて欲しいだけなら私じゃなくっても―――」

にこ「んーっもうっ」クシャクシャ




にこ「はーっ・・・。恥ずかしいから、言いたくなかったけど・・・」

にこ「あの・・・さ。私、前から思っていて・・・」

真姫「・・・・? 何を?」

にこ「・・・・・・真姫ちゃんが音楽に触れている時の姿―――」

にこ「―――すごく綺麗で・・・。ずっと見ていたい、って思うの・・・」

真姫「えっ・・・・?」

にこ「本当に楽しそうにピアノを弾いて、嬉しそうに歌って・・・・それを聞いて、見ていると、真姫ちゃんの心の中が直接私の心に響いてくるような・・・。それがすごく気持ちいいの」

真姫「・・・・・」

にこ「その真姫ちゃんに私の歌と、できることならピアノも合わせられたのならもっとすごい何かが生まれるんじゃないかなって、思っていた」

にこ「そして今日、私と真姫ちゃん、歌とピアノを合わせたでしょ。あの時の感覚。物凄く気持ちがよかった。ずっと浸っていたいとさえ思ったの」

真姫「・・・・・・・・・」

にこ「あの時の感覚は、私がアイドルとして多くの人を笑顔にさせるのに今後も忘れちゃいけない大事な感覚って思って。そのために真姫ちゃんが将来何になろうと、真姫ちゃんにはずっと私の傍に居て欲し―――・・・うっ///」

にこ「な、なんかこれじゃあ、告白してるみたい・・・/// 恥ずかし・・・///」

真姫「・・・・・・・」

にこ「ああ、もう! とにかく! 私は真姫ちゃんに音楽を続けてってお願いしちゃったんだからさ、そのせいで何か困ったことがあったら、真姫ちゃんを助ける責任が私にあるってだけっ」

真姫「・・・・・」

にこ「わ、分かったっ?!」

真姫「・・・・・グゥ」 ...zzz

にこ「ってぇ、ねてるんかーい・・・」
 
真姫「ヴェァッ」ガバッ

真姫「ね、寝てない・・・」フラフラ

にこ「いやいや・・・・本当に寝なさいよ。私、こんなに夜更かししたの久しぶりなんだけど」



真姫「も、ちょっとお、お、お話し・・・」フラァ... フラァ...

にこ「もうっ、さっからなんでそんなに眠りたがらないのよ・・・。怖い夢を見ちゃって寝られない小さい子じゃあるまいし」

真姫「あっ、うっ、そ、その・・・こっ、怖くて・・・」

にこ「ふーん・・・」

真姫「うぅうぅ・・・」ウツムキ



にこ「真姫ちゃん」ギュ

真姫「ヴャ?!//」 ビクッ

にこ「いー子だからもう寝るの。よしよし」ナデナデ

真姫「あっ、あっ・・・・あふっ」トローン

にこ「だいじょーぶ。だいじょーぶ。お姉ちゃんと一緒に寝れば、きっと一緒の夢が見られるから。そうしたら、怖い夢じゃなくて、大銀河宇宙No.1アイドルのお姉ちゃんの楽しい夢を見せてあげる」ヨシヨシ ナデナデ

真姫「にこ・・・おねーちゃん・・・」フニャァ~

にこ「だから安心してねむるのよー」ギュ ナデナデ ヨシヨシ

真姫「・・・・ンッ」スヤァ

にこ(あら、途端にコロっと寝ちゃった。言いたい事全部言って落ち着いたのかしら)

真姫「・・・・くー」zzz

にこ(・・・・この子って、私より背が大きくて勉強だってできるのに、こうして見ると、やっぱりまだまだただの子供ね。 こころ と ここあ と重なって見える。妹が一人増えたみたい)

にこ(そう思ったら、なんだか―――)


にこ「・・・ふふっ、可愛い」ニコニコ



ぎゅう

撫で撫で




真姫「すー・・・すー・・・・」zzz
















・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・






真姫「・・・・・・・・・」


真姫「・・・・・・・・・・???」



真姫「暗い」

真姫「暗い・・・?」キョロキョロ

真姫「暗い・・・・怖い・・・・・」オドオド

真姫「だ、だれかぁ・・・・・ここどこぉ?・・・・」オロオロ

トンッ

真姫「えっ? 何かにあたった・・?」

真姫「んんっ・・・・」ジー...









下半身が無く腕が異常に細い人「9リ゙゚} ・」ソワソワ


真姫「ひっ?!」ビクッ


トンッ


真姫「な、なに・・・? 後ろにも何か・・・」クルッ





胴体を引き摺り三本足で歩く何か「貢。村$H>」ズリズリ


真姫「?!」ゾワッ





全身触手だらけの何か「」ウネウネ

無表情で吐血している人「・、ェ(.J_7ユ 逓」ペチャペチャ

目に光る棒を突っ込んでいる人「iラヤeqカ」キョロキョロ






真姫「ひっ、ひっ・・・・や・・ぁぁ・・・」ガクガクガクガク







穂乃果「真姫ちゃん」

真姫「きゃっ?! ・・・・・えっ? だ、だれ?」

穂乃果「穂乃果だよ」

真姫「あっ、あっ・・・えっ? ほのかぁ・・・? ほ、本当に、穂乃果・・・? 私の知っている穂乃果はそんなに髪伸ばしてない・・・」ビクビク

穂乃果「そんなに怯えないで。大丈夫だから」

真姫「い、いやっ、信じられない・・・」ビクビク

穂乃果「そんなぁ・・・私は穂乃果なのに・・・。ちょっと傷つくなぁ・・・・」

真姫「・・・・」ビクビク

穂乃果「うーん・・・・。あっ、そういえばさ、真姫ちゃんって星が好きだったよね」

真姫「・・・・え、ええ・・・それが何よ・・・・」

穂乃果「じゃあさ、ちょっと上を見てみてよ」

真姫「うえ・・・?」クルッ









http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121977.jpg



Grand star-forming region R136 in NGC 2070.

Distance from the Erath : 160,000 light years
Constellation : Dorado

NASA, ESA, F. Paresce (INAF-IASF, Bologna, Italy), R. O'Connell (University of Virginia, Charlottesville), and the Wide Field Camera 3 Science Oversight Committee





真姫「あっ?! なっ・・・・!!?」

穂乃果「真姫ちゃんなら、あれが何か分かるよね」

真姫「え、ええ・・・宇宙望遠鏡の写真集で・・・見た・・・かも」

真姫「すごい・・・・・・・」ポー

真姫「神秘的・・・綺麗・・・・。言葉にならない・・・」ポー

真姫「あれは、壁紙・・・?」

穂乃果「ううん。本物だよ」

真姫「ほんもの・・・・? うそ・・・。地球から何光年も離れてるはずよ・・・?」

穂乃果「理屈はどうであれ、あの壮大さが嘘に見える?」

真姫「・・・・いいえ」

穂乃果「ふふっ。・・・・本当に、すごい光景だよね。ずっと見ていたい、って思っちゃうよね」

真姫「ええ・・・」

穂乃果「でも、真姫ちゃんはあれを見るためにここに来たんじゃないよ」

真姫「えっ・・・?」

穂乃果「これを持って」スッ

真姫「・・・? これは何? 光る棒?」

穂乃果「えっ? ああ、そっか、自分の手で持つのは初めてなのかな、真姫ちゃんは。ライブの時に必ず見ているはずなんだけど」

真姫「・・・あっ。これ、サイリウム?」

穂乃果「そうそう」

真姫「へえ・・・。だけど、なんでこれを持つの?」

穂乃果「もうすぐ始まるから」

真姫「始まるって何が? ライブ? 何の? っていうか、そもそも私はなんでこにいるの? どうやってここに来たの? 何もかもが分からないんだけど」

穂乃果「それはねー、真姫ちゃんにとって、とても良い事」

真姫「はあ? 質問に答えてない」

穂乃果「それでいいの」

真姫「何故?」

穂乃果「だって、真姫ちゃんが気にしていることは、曖昧で大事な事じゃないから」

真姫「意味が分からない」

穂乃果「それでいいの」

真姫「ねえ・・・。貴女、本当に穂乃果? さっきからなんでもかんでも思わせぶりの事ばっかり言って、気味悪いんだけど・・・」

穂乃果「最初に言ったでしょ。私は穂乃果だよ」

真姫「貴女は穂乃果とは何かが違う。違和感がある・・・・」


穂乃果「んっ、それは、そうかもね。私は穂乃果だけど、真姫ちゃんが知っている穂乃果とはちょっと違うから」

真姫「どういう意味?」

穂乃果「私は、真姫ちゃんが知っている穂乃果より、ちょっとだけ成長した穂乃果」

真姫「成長・・・?」

穂乃果「やり遂げられなかった事を最後まで見届けるために、私はここに来た」

真姫「やり遂げられなかった事? 何? ・・・ねえ、ちゃんと教えて。そんな断片的に話されても理解できないわ」

穂乃果「それは、大事な事じゃないの」

真姫「またそれ・・・。貴女は一体何者? 私の知っている穂乃果は、三バカの一員で、そんな意味深な発言ができる程賢くないんだけど」

穂乃果「そっか・・・。真姫ちゃんから見たら、私は穂乃果じゃないんだね・・・」シュン...

真姫「ええ・・・」

穂乃果「分かったよ・・・。それじゃあ、私はちょっと離れるね・・・」λ...トボトボ

真姫「えっ」






下半身が無く腕が異常に細い人「9リ゙゚} ・」ソワソワ

胴体を引き摺り三本足で歩く何か「貢。村$H>」ズリズリ

全身触手だらけの何か「」ウネウネ

無表情で吐血している人「・、ェ(.J_7ユ 逓」ペチャペチャ

目にサイリウムを突っ込んでいる人「iラヤeqカ」キョロキョロ







真姫「ひっ」ビクッ

真姫「ま、待って!」ガシッ

穂乃果「んん~? どーしたの?」ニヨニヨ

真姫「ご、ごめんなさい、貴女は穂乃果っ。間違いなく穂乃果だからっ・・・」フルフル

穂乃果「だから~? ん~? なにかな~?」ニヤニヤ

真姫「いっ、行かないで・・・」

穂乃果「んふふっ、いいよっ。傍に居て欲しいんだね。真姫ちゃんか~わいい♪」ナデナデ

真姫「くっ・・・///」プルプル



穂乃果「ささ、もう時間ないから、構えて」

真姫「構える???」

穂乃果「ここを押すとサイリウムが光るから、周りに合わせてタイミングよく光らせて」

真姫「え? え、ええ・・・?」

穂乃果「後はもうその場のノリ! うまいことやってね」

真姫「やってね、と言われても、未だに何が何だかよく分からn――――」



パッ!!


真姫「きゃあ?!」目瞑り

真姫「な、なに・・・? 急に強い光が・・・」 











にこ『『大銀河スーパーアリーナのみんなああ!!!』』



\\うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!//




真姫「!!!!!??」ビックリ






にこ『『そして、ライブビューイングのみんなあああああ!』』



\\わあああああああああああ!!!!!!!!//






にこ『『はーい!!』』

にこ『『それじゃあ いっきますよー』』

にこ『『にっこにっこにー!』』





穂乃果「にっこにっこにー!」

真姫「えっ。・・・・・えっ?」ポカーン

下半身が無く腕が異常に細い人「にっこにっこにー!」

三本足で立ち胴体を引き摺り歩く何か「にっこにっこにー!」

全身触手だらけの何か「にっこにっこにー!」

笑顔で吐血している人「にっこにっこにー!」

目にサイリウムを突っ込んでいる人「にっこにっこにー!」

亡霊「にっこにっこにー!」

殺し屋「にっこにっこにー!」

魚雷星人「にっこにっこにー!」

アルパカ星人「にっこにっこにー!」

エリマキトカゲ星人「にっこにっこにー!」

ちんすこう星人「にっこにっこにー!」

シカ「にっこにっこにー!」

その他100兆人くらい「にっこにっこにー!」







にこ『『大銀河宇宙~~???』』



\\ ナ ン バ ー ワ ン !!!!!!//



にこ『『ありがとうございます!』』

にこ『『矢澤にこでーす!!』』







\\ FOOOOOOOOOOOO↑↑↑↑ //

\\にこにー! にこにー! にこにー! にこにこにー!!!!//

\\\ 宇 宙 の Y A Z A W AAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!! ////

\\矢澤//  \\矢澤// \\矢澤// \\矢澤// \\矢澤//

\\うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!//





真姫「これは・・・にこちゃんの、ライブ・・・?」

真姫「すごい・・・なんて大勢の人・・・。なんて大きい会場・・・・」ポー

真姫「さっきまで、ここが何だか訳分かんなくて怖かったけど・・・。今は、すごすぎて、なんか、どうでもよくなってきちゃった・・・」ポー




下半身が無く腕が異常に細い人「Lächeln iː!!」

三本足で立ち胴体を引き摺り歩く何か「にこにー!」

全身触手だらけの何か「ИЇҪӤӦёёёѐѐ!!!」

笑顔で吐血している人「senyuman lutut!!!」





真姫「この人達も、ただライブを見に来ただけだったのね」






---------------


にこ『『たっん じゅん でっしょ?』』 ~♪

\\ えいっ! //



にこ『『つぅーぎぃーのじゅもんー』』 ~♪



にこ『『えーがーおーのじゅもーん』』 ~♪



にこ『『みんなでーしあーわせにー』』 ~♪



にこ『『にっこりーのじゅもんー』』 ~♪



にこ『『えーがーおーのじゅもーん』』 ~♪



にこ『『きょーぉもー あーしたもー』』 ~♪



にこ『『にっっこ にっっこ にっこにこーだーよー』』 ~♪

\\ にっこ にっこ にっこにこーだーよおおおおおおお!!! //




にこ『『 ほ・ら!  嬉しく なぁったー?』』 ~♪

\\ ドキッ! //






\\ おーっはい!//




\\ おーっはい! //






真姫「にこちゃん、小さな体をあんなに一所懸命動かして・・・」

真姫「“お客さんに楽しい夢のような時間を過ごして欲しい!”って気持ちを全身で表現している。観客全員もそれに全力で答えて、会場全体が物凄い一体感」

真姫「そんな会場へ途切れることなく投げかけられているにこちゃんの声には、何か大きな大きな力を感じる。聴いているだけで、内から力が湧いてくるような・・・」

真姫「それでいて、にこちゃんの声はとても可愛らしくて、綺麗な声・・・。にこちゃんの感情が、私の心に直接響いてくる・・・」

真姫「宇宙で一番、力強くて綺麗な声・・・最高の音・・・」

真姫「最高の音・・・・はっ」




~~~~~~~~~~~~~~~~

にこ「でも、真姫ちゃん一つ間違ってると思うなぁ」

真姫「間違い? 何が?」

にこ「ピアノが最高の楽器、って所」

真姫「??」キョトン

にこ「最高の楽器は他にある。それは、ピアノより広い音域があって、強弱も自由自在に変えられる。もちろん感情だってたくさん込められる。っていうか、感情と直結する。そういう楽器、あるでしょ?」

真姫「えっ? えっ? そ、そんな楽器ある・・・?」

にこ「ちなみに、その楽器を扱うのは超簡単。子供でも扱えるの。嬉しい事に、こころも得意なのよね」

~~~~~~~~~~~~~~~~



真姫「子供でも扱える、最高の楽器・・・。そっか・・・これね・・・」

真姫「情けないわ、私。こんなことも分からなかったなんて。子供の頃にこの楽器と出会って、使って、初めて音楽を好きだって思ったはずなのに。それをきっかけに今までずっと音楽の知識を身に付けていたはずなのに。その音楽の知識で、にこちゃんみたいな三バカのリーダーに負けたなんてね・・・」

真姫「でも、不思議と悔しくは無いわね。むしろ清々しい。こうやってにこちゃんに問いかけられて自分で気付かされたのが、どこか嬉しい」

真姫「にこちゃんは歌を通じて、私に “大事な事を忘れないで” って言い聞かせてくれているような。・・・ふふっ、考え過ぎかしら」














\\ おーっはい!//


\\ おーっはい! //


\\ おーっはい! //


\\ おーっはい! //


\\ おーっはい! //






にこ『『はいっ! はいっ! はいっ! はいっ! はいっ!』』


\\ ( ゚∀゚)o彡°ハイ!( ゚∀゚)o彡°ハイ!( ゚∀゚)o彡°ハイ!( ゚∀゚)o彡°ハイ! //










――・・・・・・パーッ.. .。.:*・゜゚・*



真姫(にこちゃんが観客を煽って、さらに全体が盛り上がった。・・・・・・すごい・・・会場の一体感が増せば増すほど・・・・・)ポワー

真姫(時間とか、距離とか、物理的なあらゆるものを超越していくかのような・・・・)

真姫(これが、大銀河宇宙No.1アイドル・・・・・)ポワー

真姫(私は・・・今も確かに、にこちゃんのライブ会場にいる・・・。大きな歓声も聞こえるはずだけど、鼓膜が破れそうな不快感だけが無くなって・・・。なんだか、体がフワフワして・・・)ポワー

真姫(これは・・・? 私だけじゃない・・・周りの全てがフワフワしてる・・・・。目をつむっても、全身に、周りを鮮明に感じられる・・・全てが分かる・・・)ポワー

真姫(全てが・・・とてつもなく大きな規模で・・・私も、大勢の観客も、その歓声も、空気も、光も、そのすべての中心ににこちゃんがいて・・・みんなが吸い寄せられるように集まってる・・・・・)ポワー

真姫(時間が経つにつれて、にこちゃんの周りには、キラキラ輝く光の量が増して、その中でダンスしているにこちゃんがとても神秘的・・・・。神秘的すぎて、他の事が考えられない・・・)ポワー

真姫(この光景は・・・この感覚は・・・)ポワー

真姫(分からないけど、とにかく、暖かくて気持ちがいい・・・)ポワー

真姫(不思議な世界・・・・・)




真姫「・・・・・・」



真姫(・・・・・・・・・知っている)




真姫(この不思議な世界にいる時の気持ち、ずっと前から知っているような気がする・・・)

真姫(これほどの宇宙的な規模のライブ、今まで見たことある訳ないのに・・・。それでも、よく分からないけど、ずっと前から知っている・・・)

真姫(それは、どこだったのか、何だったのか・・・・・よく思い出せないけれど・・・・)

真姫(ずっと前に、ずっと前から・・・ずっと・・・・・・ずっーと・・・・・・――――)









穂乃果「ずっと、何を思っていたの?」


真姫「えっ・・・・?」キョトン

真姫(ほ、穂乃果の声? 回りは物凄い数の観客が歓声をあげているはずなのに、穂乃果の声がとてもクリアに聞こえる・・・?)


穂乃果「真姫ちゃんが、ずっと前から思っていたこと。聞かせて?」

真姫「・・・なんの・・・話をしているの・・・?」

穂乃果「私ね・・・・思っていた事と向き合えず、真姫ちゃんが深い闇の中で苦しんでいるって、知っていたんだ・・・」

真姫(穂乃果・・・? 遠くの何かを見つめてるような物悲しい顔・・・。穂乃果は、私と違っていつも自分の気持ちを曲げずにきちんと表現できる子なのに・・・・そんな穂乃果とは思えない、何かをたくさん背負い込んでいる、大人っぽい雰囲気・・・)

穂乃果「真姫ちゃんは大切な友達で、大事な仲間だから、私、なんとかしてあげたかった。全力で真姫ちゃんの力になってあげるんだって、思って―――」

真姫(何を言っているのかよく分からないけれど、この雰囲気の穂乃果の話は遮れない・・・)

穂乃果「でも、できなかった。それどころか、私は真姫ちゃんの誰にも触れられたくない場所に土足で踏み込んじゃったの。・・・あの時は・・・本当にごめんね・・・・・。私には、真姫ちゃんに何かしてあげられるほどの力なんてないのに調子に乗って・・・・」

真姫「・・・・・・」

穂乃果「カリスマリーダーとか、伝説のスクールアイドルμ’sの発起人だとか言われて、大勢のファンを前にして、自分の力を過信しすぎてた。私一人なんて、ちっぽけな人間なのにね。μ’sがすごいのは、私じゃなくて、9人全員がすごいからなのにね」

真姫「・・・・・・」

穂乃果「でも、今のにこちゃんを見て。大銀河宇宙No.1スーパーアイドルのにこちゃん。たった一人であんなに、強く、綺麗に輝いてる。あのにこちゃんを見て、どう思った?」

真姫「・・・・・・・・・・かっこいい」ボソッ

穂乃果「うん。私もそう思う。本人は可愛いって言われないと怒るけれど、あんなにも大きな力を見せつけられたら、かっこいいって思っちゃうよね。こうやって宇宙中の人達を魅了しちゃう程の力を持っている人なんて、きっと他にいないよ。私なんて足元にも及ばない。だからさ・・・」

真姫「・・・・・・」

穂乃果「真姫ちゃんがどんなに深い闇の底にいたって、にこちゃんだったら絶対に、必ず、確実に、力強く真姫ちゃんの事を引っ張り上げてくれるよ」

真姫「・・・・・・」

穂乃果「でも、いくらにこちゃんがすごくても、真姫ちゃんが闇から抜け出すには、ただ待っているだけじゃダメなの」
























にこ『『それじゃラストいっくよー!!』』

\\うわおおおお! にこにぃいいい!!!//





にこ『『えがおのまほうつぎのまほう』』 ~♪

\\ 笑顔の魔法次の魔法! //



にこ『とどけまほうみんなをしあわせに』』 ~♪

\\ 届け魔法みんなを幸せに! //



にこ『『えがおのまほうつぎのまほう』』 ~♪

\\ 笑顔の魔法次の魔法! //



にこ『とどけまほうみんなを し・あ・わ・せ・にーーー・・・・・・・・・・』』 ~♪

\\ 届け魔法みんなを幸せにぃぃぃぃいいいい! //











にこ『『いえー!』』


\\ Y E A H ! ! ! ! //


















真姫「にこちゃん・・・・」ポ-



   タッタッタッ


真姫「・・・・・・・・えっ? に、にこちゃんがこっちに来る・・・?!」ドキリ



 タッタッタッ


真姫「えっ、えっ・・・? な、なんで・・・?」



タッ タッ ピタ

真姫「わ、私の前まで来た・・・?!」



にこ「・・・・・・」

真姫「う、うそっ・・・/// 近くで見ると・・・本当に、綺麗・・・・///」ウットリ

真姫「綺麗で・・・小さい体で、妖精みたいに可愛い・・・・・・」ポワー



にこ「・・・・・・」ニコニコスマイル

真姫「っ~~!!!?////」ドッキン

真姫「こ、こんな、数えきれない程の観客がいる中で、どうして私一人の前に・・・?///」



スッ

真姫「手? ・・・・・あっ。この手は・・・―――」

真姫「これは確かに、私が今日握った、にこちゃんの、小さい、女の子の手だ・・・・」

真姫「でも。この差し出された手・・・。どうすれば・・・いいの?」



穂乃果「闇から抜け出すには、真姫ちゃん自身も、闇から出ようって思わなきゃダメなの。今の真姫ちゃんは闇に慣れて抜け出すことを諦めちゃってるけれども、それじゃダメなの」



真姫「わ、わたしは・・・・・・」モジモジ



穂乃果「真姫ちゃんも手を伸ばして。手を伸ばしてくれないと、にこちゃんは真姫ちゃんを掴めない」





真姫(この手を取ったら・・・どうなるの・・・? パパが導いてくれる明日からはずれて、明日が分からない、見えない、そんな毎日を過ごすことになるんじゃあ・・・?)



穂乃果「大丈夫。にこちゃんなら、真姫ちゃんの思っている事、叶えたいことを、実現してくれる」



真姫(にこちゃんが私の叶えたいことを実現・・・? 実現した先はどうなるの? どうなるか分からないのに・・・)

真姫(・・・・・・分からないからこそ、想像もつかないような、驚きとワクワクで刺激的な、すべてが新しい事ばかりの毎日になるのかしら・・・? 毎日が魔法みたいな素晴らしい日々に・・・)



穂乃果「そう、これは まほう 。真姫ちゃん。にこちゃんの まほう を信じて」



真姫(今までもそうだった。にこちゃんと初めて会って、アイドルをたくさん教えてもらって、一緒にアイドルをやって、私が知らない世界をたくさん見せてくれた。これからも、これからも、そんな世界をたくさん見たい・・・)




にこ「・・・・・・」スッ




真姫(だから・・・わたしは・・・この、にこちゃんの手を・・・)



真姫(にこちゃんの・・・・手を・・・・)スー.....



真姫(手を・・・・)スー.....



真姫「取っ・・・・・・・・―――」













 < トントントントントン





・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・







真姫「・・・・・・・」パチッ



 < トントントン

 < カチャカチャ

 < ジャー




真姫「・・・・・・?」


 < トントントン


真姫「包丁の音・・・?」

真姫「あれ・・・・。私・・・」ポケー...

真姫「えっと・・・。昨日にこちゃんの家に泊まらせてもらって・・・。にこちゃんの部屋で寝ちゃったんだったかしら・・・」

真姫「あれっ、にこちゃんは・・・?」キョロキョロ

真姫「いない・・・」



―――私が眠る毎に、みんながおかしくなっていくのかな―――



真姫「うっくっ」ズキッ

真姫「もういやぁ・・・」ズキズキ

真姫「にこちゃん、にこちゃん・・・・」フルフル



 < トントントン



真姫「向こうにいるのかしら・・・」


ヨタヨタ...









----------------------------------------
台所





トントントン


真姫(にこちゃんいたっ。・・・・でも、後ろ姿しか分からない・・・)

真姫(いつものにこちゃんよね・・・? 別に何ともなってないわよね? 大丈夫・・・よね?)ビクビク

真姫(もう本当にいやなの・・・。にこちゃんまでおかしくなっていたら・・・私、もう正気を保てない・・・)ビクビク

真姫(お願いだから・・・お願いだから・・・)ビクビク



真姫「にこ・・・ちゃん・・・・」ビクビク



「真姫ちゃん? おはよ」トントントン



真姫「ね、ねえ・・・」ビクビク

「もう少し寝ていたらいいのに。真姫ちゃん寝不足気味なんだから」トントントン

真姫「あ、ありがとう・・・。で、でもね・・・あの・・・あの・・・・」ドクンドクン

「どうしたの?」トントントン

真姫「にこちゃん・・・? よね・・・?」ドクンドクン アセタラー..

「はあ? 何言ってるのよ」トントン

真姫「にっ、にこちゃん・・・」バクンバクン アセダラダラ




「もう、なんなのよ」クルッ













http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121978.jpg





真姫「あっ・・・・はっ・・・・・・・・・」パクパク

にこ「真姫ちゃん?」キョトン

真姫「・・・・・にっこっちゃっんっ」ガバッ

にこ「わあ?!/// ちょ、ちょっとー?!/// あっ、わ、私包丁持ってるから! 危ないから!」ワタワタ



真姫「私、怖い夢を見たの・・・」ギュウ



にこ「えっ? な、なに・・・怖い夢?」コト キョトン



真姫「みんながみんなじゃなくなる夢」



にこ「へー。それは怖いわね」



真姫「でもね・・・。確かに怖ったけど」



にこ「怖かったけど?」



真姫「・・・・・ちょっと楽しかったかも」



にこ「楽しかった? 怖かったのに?」



真姫「うん。だってね―――」

真姫「最後に まほうつかい が来てくれたの」

にこ「何よ。昨日は魔法なんてないって言ってたくせに」

真姫「うん。でも、それは間違いだったみたい。 まほうつかい は本当にいて、わざわざ私の夢の中まで来てくれて、私にすごい まほう を見せてくれたの」

にこ「・・・・・そ」ニコリ


真姫「楽しかった。嬉しかった。・・・・また怖い事があったら、その時も まほうつかいさん は来てくれるかな?」

にこ「もちろん。怖かったり悲しかったり寂しかったり、そんな時は、どこにいたって、いつだって、誰だって、みんなを まほう で笑顔にしてあげる。それが まほうつかい の役目」

真姫「うん。・・・・・うん、うん」ポロポロ ....ギュッ

にこ「 まほうつかいは ずっと、ずーっと、仲間だから。終わらない仲間」ナデナデ

真姫「うん、うん・・・」ポロポロ

にこ「だから、悩むより、焦るより、のんびりと毎日過ごしていなさい」ギュウ 背中ポンポン

真姫「ありが、と・・・うっ、ぐすっ」ポロポロ






----------------------------------------
西木野邸



ピン ポーン


真姫ママ『はい』

希「あの、音ノ木坂学園の東條と言います。真姫さんと一緒の部活をやってる」

真姫ママ『あらあらまあまあ、μ’sの。何か御用?』

希「朝早くにすみません。真姫さんはいますか?」

真姫ママ『真姫は今いないわよ』

希「えっ?」

真姫ママ『昨日から矢澤さんの家にお泊りさせてもらってるの』

希「えっ、にこっち・・・? あっ、はい分かりましたっ。それでは結構です、すみませんでした」

真姫『ええ、これからも真姫と仲良くしてあげてね』

希「はいっ、もちろんです」





希「真姫ちゃんはにこっちの所におるんかぁ・・・。ふーん・・・」

希「・・・・・」ポチポチ

prrrr


ガチャ

にこ『おはにっこにっこにー! 希―? どうしたにこ?』

希「にこっち。真姫ちゃんそっちにおるん?」

にこ『真姫ちゃん? うん、いるけど』

希「真姫ちゃんどうしてる?」

にこ『今? いまは―――』クルッ



< にしきのさーん みてみてー  プランプラン

< きゃあ?!

< こらぁ! 虎太郎! フrrティンで走り回るんじゃありません!



にこ『虎太朗の小太郎を見せつけられて慌ててる』


希「ふーん・・・・。とりあえず、情緒不安定みたいな、そういう感じじゃないんや?」

にこ『あー。昨日はなんか変だったわね。それでなんか放って置けなくて、うちに泊めたんだけど。今朝は顔色良いわね』

希「そっか。・・・・にこっち、随分面倒見がええんやね」

にこ『何よっ』

希「ううん、ええことや。ちょっと前は神社で穂乃果ちゃんの脚を取って転ばせたり、色々やんちゃしてたのになあ、って思って」

にこ『ちょ、あんた、あれ見てたの・・・・。あれは・・・その、まあ、なんというか・・・・』

希「ん~?」

にこ『・・・今思えば悪かった事しちゃったって反省してる。確かに最初は気に食わなくてさ・・・・。私が大好きなアイドルを汚されてるみたいで・・・。でも、みんなアイドルを諦めなかったし、本気だって分かったし、それで一緒に練習して、私がアイドルについて教えてあげたりしてるうち、私にも後輩ができたんだなあって、思ったり。ちゃんと面倒見てあげなきゃって思ったり・・・。特に昨日の真姫ちゃんっはなんかしおらしくて、落ち込んでいる妹を見てる気分になっちゃって、そしたら、なんか放って置けなくてて・・・ああもう、今の無し、忘れてっ』

希「んふふ、ええよ」

にこ『希はどうしたのよ。真姫ちゃんに何か用があったんじゃないの? 電話かわる?』

希「ああ、ええんよ、気にせんで。真姫ちゃんの事よろしくな」

にこ「あーうん? まあ、分かったわよ」

希「それじゃ」プツッ




希「にこっちの所に真姫ちゃんかあ・・・」








ドタドタ

「ブァー!!」



希「わっ? なんや?」キョロキョロ



花陽「まってぇ・・・・・」ヘロヘロ....

茶アルパカ「ブォー!」ドコドコ






希「花陽ちゃん? と、アルパカ?! また逃げたん?」

花陽「あっ! のぞみちゃーん! その子つかまえてぇぇええ~~・・・」ヘロヘロ....

希「よしっ、まかしときっ!」クワッ

茶アルパカ「ブォッ? ブォォォォォォオオオオオオオ!!!」┏( `皿´)┓ドコドコドコドコ┗( `皿´)┛ドコドコドコドコ

希「そ~れっ!」グワシ

茶アルパカ「ブォッ?!////」 

希「これ以上逃げたら、このふくよかな胸をワシワシするよ~?」ワシワシ

茶アルパカ「ブォン........」シュン

希「よーし、ええ子やなあ」ワシワシ

花陽「ぴゃ~・・・ありがとー希ちゃん・・・」ヘロヘロ

希「・・・・」ワシワシ

茶アルパカ「ブォォ//」

花陽「希ちゃん・・・?」

希「おっほ、ええなあ、これ。モッコモコふわっふわで」ワシワシワシワシワシ

茶アルパカ「ブゥゥオ//」

花陽「そんなにいいの・・・?」ソワソワ

希「ええ・・・」ワシワシワシワシ

花陽「・・・じゃ、じゃあ、花陽もちょっとだけ・・・」ワシッ

茶アルパカ「ンッ/// ンンンッ?!//」モジモジ

のぞぱな「・・・・・」ワシワシワシワシワアシワシワシワシワシワイワシワ

茶アルパカ「ンッアッーーーーー!!!♀♀♀!!!」









----------------------------------------
矢澤宅


にこ「はい、そこ座って」

真姫「えっ?」

にこ「髪、整ててあげる」

真姫「なんで急に? いいわよ、自分で・・・」

にこ「いいから座りなさいっての」グイッ

真姫「きゃ」ストン

にこ「じっとしててねー。まずは髪を梳くから」

真姫「・・・・・う、うん」


スー、スー


真姫「あっ・・・・・」

真姫「んっ・・・」ホワー



にこ「~♪」



スプレー シュッ、シュッ

ヘアイロン ウィーン

クルクルン

ワックススプレー シュシュ

サッサッ






にこ「はいっ。これでいつも通りの髪の毛くるくる巻き毛の真姫ちゃんになったよ」

真姫「・・・・・」

にこ「どお?」

真姫「・・・・・・うん」

真姫「うん。・・・・私だ」

真姫「・・・久しぶりに見た気がする」

にこ「・・・・・」後ろからギュ

真姫「んっ・・・」

にこ「・・・本当にそうよ。あんな生気のない真姫ちゃんなんてもう見たくないからね」

真姫「・・・うん、気を付ける」

にこ「もし、また変になったら、私がなおすから来なさいよ」

真姫「・・・うん」

にこ「絶対よ」

真姫「・・・うん」

にこ「約束よ」

真姫「・・・うん」

にこ「・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・・」


...ギュ







----------------------------------------
翌日 学校




真姫「~♪」ポロン ポロン




希(おっ、真姫ちゃんが一人で音楽室におるやんけ。よ~し・・・)


~♪

~♪




真姫「~♪」ポロン

真姫「~♪ ・・・?」ピタッ

真姫「誰かいるの?」


ガラガラ


希「おはよ、真姫ちゃん」

真姫「希? おはよ。練習まで時間あるけどどうしたの?」

希「ううん。真姫ちゃんを見つけたらからなんとなく来ただけ」

真姫「そう」


希「・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」


希「真姫ちゃん。ウチちょっと悩みがあるんやけど、聞いてくれる?」

真姫「悩み相談? いいけど」


希「あんな、ウチな、最近よく考えることがあってな。今の日常っていうのかなあ・・」


希「毎日、学校に来て、授業受けて、練習して、家帰って、体を休めて、そして一日の終わりにベッドに入って眠る―――」

希「そうやって “眠る度” に、日は跨って―――」

真姫「っ・・・」ピクッ

希「日を跨ぐ度に、月日が流れて、そして年を越す・・・・これが繰り返されて、その中で出会いと別れがあって」


希「だから今は仲の良いみんなも、いずれはすれ違っても分からないくらい大人になって、そうしたら昔の事なんて思え返せない程忙しい毎日を送って、今のμ’sの事も忘れてしまうのかなって」

希「時間の流れはみんなをそんな風にしてしまうかも。流れを止められない時間がみんなを変えてしまう。みんなが自分の知っているみんなでなくなってしまう。それがとても怖い」

希「今のμ’sとして過ごしている時間はとても楽しい。楽しいから、終わらせたくない。毎日眠る度にそんな時間が過ぎ去ってしまうのなら、なんだか眠ることに抵抗を感じてしまって」

希「眠っても眠らなくても、流れ過ぎる時間が止められるわけじゃないのにね。そうしている間にも時間が過ぎて、みんなは徐々に成長して大人になっていっている」

希「みんながすっかり変わってしまった未来の事を想像すると、まるで怖い夢でも見ているかのような感覚になるんよ」


真姫「・・・・・」


希「・・・・・」


希「・・・・もしかしたら、もう既に、そんな怖い夢の中に居たりして」


真姫「・・・・・」


希「ねえ・・・・。今も、夢の中だったらどうする?」








真姫「・・・・・・・」






真姫「・・・・ふふっ、そうね」ニコリ



希(おっ? なんや、なんや、なにわろてんねん)

希(こういう話をしただけで泣いて怖がるくらいの反応を期待してたんやけど)

希(本当に掛ってたんかな)



真姫「ねえ、希」

希「うん?」

真姫「貴女、いつも私の心を見透かしているようでドキッとするけど・・・嫌いじゃないわ」

希「ほぉ・・・」

真姫「何かといたずらを仕掛けてくるのはやっかいだとは思うけど、でも、根幹にあるのは、μ’sのことが大切で守りたいって気持ちなのよね」

希「・・・どうして、そう思うん?」

真姫「貴女のその瞳を見ていると分かるの」

希「瞳?」

真姫「ええ、キラキラ輝いている、綺麗な瞳。私たちの事を大切にしたいっていう気持ちが、貴女の瞳を見ただけで分かる。違うかしら?」


希「・・・・・・」


真姫「・・・・・・」


希「・・・・んっふっふ。どうやろなぁ? そう思わせておいて、実はウチの正体はみんなを苦しめるわるーい魔女やってりして?」

真姫「ええ。いいわ、それで。希が使い魔として小悪魔とか化け猫を従えさせていても違和感ないもの。そういう訳がわからなくて、掴みどころが無いミスリアスな貴女が、一番貴女らしい」

希「・・・・・。ふふっ、そっか。」

真姫「そうよ。だからいちいち私が言う必要もないと思うけど、貴女がさっき言った悩みにあえて答えを示させてもらうのならば・・・ 時間の流れなんかに悩まず焦らず、のんびりと毎日過ごして、希はそのままの希であり続けていれば、それでいい、って所かしら」

希「そのままウチ、ね。・・・うん、分かった、ありがとな」

真姫「ええ。今の個性的な希が、私は好きよ」マキスマイル

希「うっ・・・///」キュン

希(まさかこんな返り討ちに遭うとは・・・/// いつの間にこんなにしたたかになったやんやこの子は)









真姫「・・・・・」スッ

真姫「・・・・・~♪」スコッ

ポロン♪ ポロン♪


~♪

~♪


希「んっ・・・」耳傾け


~♪

~♪


真姫「~♪ ~♪」







希「なあ、真姫ちゃん」

真姫「~♪ ? なに?」

希「真姫ちゃんがピアノを弾くと本当に綺麗な音が出るんやなあって思って」

真姫「そ、そう?/// ま、まあ、私くらいになるとねっ、ふふんっ・・・//」カミノケクルクル

希「真姫ちゃんは、ピアノ好き?」

真姫「ええ、好きよ。とても」

希「どんなところが?」

真姫「そうねえ・・・う~ん・・・」


真姫「色々あって、どれも言葉にするのはなかなか難しいのだけれど、一つ分かりやすい例えを上げるのならば・・・・」

希「うんうん」

真姫「ちょっと、あそこの立てかけてある肖像画に描かれている人達を見て」

希「んっ?」クルッ


希「ベートーベンとかモーツァルトとか?」

真姫「ええ。知っていると思うけど、ベートーベンは200年くらい前のドイツの人。その人が想いを込めた曲が五線譜として今でも残っていて、それを見てピアノに向き合い、指を動かして鍵盤を叩けば、200年前と同じ旋律を耳にすることができる」

真姫「もちろんベートーベンに限った事じゃない。
モーツァルト、バッハ、他にも顔や名前すら知らない作曲者達でさえも、その人の文字だけでは決して遺せない感情や記憶は、実際にいた時代や地域は関係なく、ピアノを使ってメロディーとして受け取るができる。」

真姫「そんな魔法みたいな事が、ピアノで実現できるの。すごいと思わない?」

希「ほぉ、魔法・・・・・。ふふっ、そうやね、確かに魔法やな。それやったら、それができる真姫ちゃんも魔法使いやな」

真姫「えっ! あっ、ああ・・・そ、そうかしら・・・?/// そう、かもね・・・///」テレテレ カミノケクルクル

希「真姫ちゃんが想いを込めた曲たちも、いずれは、100年後、200年後、誰かの耳に届くんやろうなあ」

真姫「・・・・そこまで考えたことははなかったけれど」

希「でも、ありえん話やないやろ?」

真姫「そうだけど・・・。なんというか、恥ずかしいというか・・・///」モジモジ テレッ

希「ふふっ」ニコニコ

真姫「とにかくっ、そんなことすら可能にしてしまうようなピアノが、私は好き」

希「なるほどね。でも、ピアノって弾くのは難しいやろ」

真姫「確かに、すぐ簡単にできるようにはならないわね」

希「そこんところ、にこっちはどうなん? 最近真姫ちゃんにピアノを教えてもらってるって言ってたけど。にこっちは物覚え悪いやろ。難しいピアノを教えるのは、色々と大変やろうし、面倒やない? ウチも数学教えるのに結構骨が折れたで」

真姫「意外と大変じゃないわよ。あの人、アイドルに必要だからピアノが弾けるようになりたいって思っているらしんだけど、そうやってアイドルに結びつけた途端、急に頭が回るようになるから」

希「あはは。なんかそれ分かるわ」

真姫「それに、面倒だなんて思わないわ。にこちゃんには是非ピアノが弾けるようになってほしいの」

希「にこっちに? どうして?」

真姫「・・・・・・今の私は好きなだけピアノを弾いていられるけど、いずれそれができなくなる時が来るかもしれないから―――」

希「・・・・・・」

真姫「その時のために、私のピアノに対する想いを、私のピアノの弾き方と一緒ににこちゃんに託したい。だから、にこちゃんには、私から教わってほしい。私の教えで、ピアノが弾けるようになってほしい」


希「・・・・にこっちは、真姫ちゃんのようなピアノが弾ける才能、あると思う?」

真姫「ある」


希「本当に?」

真姫「・・・今の私は、それなりに弾けるようになったけれど、ここまでできるまでは、もうピアノなんて習いたくないって思ったこともあった。どうしても弾けない所があったりして、上手くできないのが続くと、五線譜を見るのも嫌になったりした」

真姫「・・・・それでも、今まで続けていたのは」

真姫「初めて、自分の好きな曲を自分の力で弾けた時の記憶が私の中で色濃く残っているの」

真姫「すごく楽しくて、嬉しくて、もっと練習すれば、もっともっとたくさんの曲が弾けるようになって、いずれは自分自身で新しい曲を創れるようになるんだって思って。それを色んな人に聴いてもらいたい」

真姫「そう考えたことがあったって思い出したら、どんなにピアノが嫌になる時があったって、もっと練習して、もっと上手くなってやるんだって思った。だから、今日までずっとピアノを弾き続けられた。上達していった」

真姫「最初に曲を弾いた時の楽しいって言う感覚を大切にするのが、ピアノを弾けるようになるために一番大事な事。私はそう思っている」

真姫「確かにピアノは難しいけれど、その一番大事な事をにこちゃんならできる。だから、なんとかなるわよ」


希「頭のいい真姫ちゃんがそんなに自信満々に語るんや。にこっちの成長に期待やな」

真姫「ええ。それに、にこちゃんは、私にアイドルの楽しさを教えてくれたから、今度は私がピアノの楽しさを教える番。そんな恩返しのつもりもあるの」

希「にこっちへの恩返しにね。確かに、にこっちはアイドルに関する哲学をにこっちはいつも力説してて、なんだかんだ言っても、その情熱にウチらは引っ張ってもらってるよね」

真姫「ええ」

希「アイドル研究部員が全員辞めた時も、μ’sが無くなりかけた時も、その強い情熱で最後まであきらめず、みんなの場所を守り通してくれたし」

真姫「ええ・・・・」

希「にこっちはそれだけの情熱があるんやし、なんだってできそうや」

真姫「・・・いつだか、にこちゃんに言われたことがあるの。私に向かって、『UTX高校に行けるお金があるなんてずるい』って。私から言わせれば、にこちゃんの方がずっとずるいわよ。あれだけの情熱を生まれながら持っているんだもの。お金があってもできないことはたくさんあるけれど、情熱があってできないことなんてないんだから。悔しいけれど、にこちゃん程の情熱は私には無いし、これから先身に付けられる自信も無い。だから、にこちゃんがうらやましい」

希「なるほど。そんな自分にない情熱に惚れて好きになっちゃったにこっちと、ピアノを託したいとか恩返しとかを口実にイチャイチャできるし、願ったり叶ったりって感じやね」

真姫「ええ・・・えっ?! ちょ!!///」ガタッ




ガラガラ



希「おっ?」クルッ

真姫「!///」ストン ウツムキ

にこ「真姫ちゃーん。今日もよろしくねー。あらっ? 希?」

希「やっほー」

にこ「やっほー。真姫ちゃんになんか用事?」

希「ううん。なんもないよ。ただおしゃべりしてただけ。にこっちは真姫ちゃんにピアノ教えてもらうんやろ? ウチの事はお構いなく」

にこ「ん、分かった」

テクテク

真姫「・・・・///」ウツムキ モジモジ

希(にしし。一矢報いた気分や)


にこ「よっと」ストン

にこ「あっ、椅子の高さ合せておいてくれたんだ。ありがと」

真姫「えっ・・・え、ええ///」モジモジ

にこ「あらっ? この紙は何? 楽譜じゃないわね。手紙?」

真姫「えっ、あ、うん、ええ、そう」

希「おっ、なんや、なんや、もしかしラブレター?」ニシシ

にこ「っ?!」ピクッ

真姫「違うわよ。中学生の頃の友達からの手紙。この前私がスクールアイドルをやってるよって手紙に書いて送ったら、その返事が返ってきたの」

希「へー」

にこ「・・・・」カサッ

真姫「・・・なんだか嬉しくって、暇があれば何度も読み返しちゃって」ニコニコ

希「ほほぉ」ニヤニヤ

にこ「・・・・ふーん」ペラッ

希「見たことも無い真姫ちゃんの友達にジェラシーのにこっちであった」

真姫「えっ?///」

にこ「は、はぁっ?!/// なななに言ってんの!?///」

真姫「あっ! っていうか、なんで勝手に人の手紙読んでんのよ!」

にこ「よ、読んでないっ」

真姫「うそっ、絶対読んでた!」

にこ「そんなとこに置いてあるから読んじゃうんでしょ!」

真姫「ほらやっぱり読んでる!」


希(真姫ちゃんの中学生の頃の友達か~。いつも素直になれない真姫ちゃんなのに、手紙をやり取りする程の仲のいい子、既におったんやね)




ドタバタ

ガラガラッ!



希「わっ、な、なんや?」クルッ


「真姫ちゃぁぁぁぁぁん」タッタッタッタッ ガバァ

真姫「きゃあ!?」


凛「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃああん!」スリスリスリ

真姫「ちょ?! ちょっと凛?!///」



...パタパタ

花陽「りんちゃ~ん・・・はぁっ、はぁっ・・・・・」ヘロヘロ

希「おっ、花陽ちゃん。めっちゃ息切れしとるやん。大丈夫?」

花陽「うん・・・なんだか最近走ってばっかりだよぉ~・・・はふ~」ヘロヘロ



凛「真姫ちゃん聞いてよ!」

凛「さっきそこで山内先生とすれ違ってさあ・・・たったそれだけなのに『星空さん、この前授業中寝てましたよね』って怒られて、罰として英語の課題出されちゃったの・・・。優しい先生だと思って油断してたにゃああ・・・。とにかくこのままじゃ練習する時間が無くなっちゃうのお・・・!! 真姫ちゃん英語得意でしょ! 助けてぇぇええ! お願いお願い!」スリスリスリスリスリスリ

真姫「わ、わかった、わかったからぁ/// ちょっと落ち着きなさいって!///」

凛「ホントっ?! やったやった!」スリスリスリ ピョンピョン

にこ「ちょっと・・・」ムスッ

凛「ささっ、さっそく教えて! 図書室とかでやろう!」グイッ

真姫「あっ! ちょっと引っ張らナイデッ! ・・・・///」

にこ「待ちなさいってのよ!」ギュ

真姫「にこちゃ?!///」ドキッ

凛「なんでにこちゃんが凛と真姫ちゃんの話に入ってくるのっ?!」

にこ「今真姫ちゃんはにこにピアノ教える事になってるんだから勝手に連れて行かないで! 英語の勉強は他を当たりなさい! 例えばそこで暇そうにしている希!」

希「アイタタタッ、急に英語を発音する部分のノドが痛なってきたわ。今はとても英語できそうにないわ~」

凛「凛が赤点を取ってμ’sができなくなってもいいのっ!?」

にこ「だからそれは凛が悪いんでしょ! 自分で何とかしなさいよ!」

凛「そーいうにこちゃんはどうなの?! 数学とか数学とか数学とかあ! 例えばそこで暇そうにしている希ちゃんに教えてもらったらどうなの!」

希「アイタタタッ、急に脳みその数学を使う部分が痛なってきたわ。今はとても数学できそうにないわ~」

にこ「なによもう!」グヌヌ

凛「ふしゃー!」

花陽「あの・・・喧嘩は・・・」オロオロ

凛「かよちん! かよちんも一緒にお願いしてー!」

にこ「花陽! あんまり凛を甘やかすもんじゃないわよ! とにかくここは先約しているにこが優先なのよ!?」

花陽「へっ?! あの、えーっとね・・・。実は、この前花陽ね、真姫ちゃんに期末試験対策の勉強を一緒にやってくれるよう願いしててね。だから、花陽の方が先約かなー、なんて」エッヘヘ

凛「ええ?! かよちんの裏切り者ー!!」

にこ「何言ってるのよ! そんなこと言ったら、それよりずっと前からにこは真姫ちゃんにピアノを教えてもらえるようお願いしてるからにこの方が先約よっ! そうよね真姫ちゃん!」ジッ


真姫「ヴェッ?///」ドキッ

凛「真姫ちゃん! 凛の事見捨てないよね・・・!」ガシッ ジッ-

真姫「うっ・・・///」

にこ「真姫ちゃん!」グイッ ガシッ ジーッ

真姫「えっと///」

花陽「真姫ちゃん。花陽との約束は・・・?」ウルウル

真姫「うぅ・・・///」モジモジ

にこりんぱな「「「真姫ちゃん!」」」







真姫「・・・・・・りっ、凛はどうなのよっ?」

凛「にゃ?」

真姫「英語の課題もそうだけど・・・。花陽が言っていた期末試験対策はどうなのよ・・・?」カミノケクルクル

凛「あっ、うんっ・・・。確かにそれもやらないと・・・」

真姫「どうせなら、花陽と一緒に―――」

真姫「あっ、い、いやね? ヴェ、ヴぇつにね? 私って今までずっと一人で勉強してたり、ピアノ弾いていたから、こんな風に誰かに頼られるのが嬉しいとか? 教えてあげるのが楽しいとか? 面倒見てあげたいとか? もっとみんなと一緒に何かやりたいとか? そう思ってるってわけじゃないわよ? ただ、純粋にと、・・と、とも、ダチとして・・・よ? にこちゃん、凛や花陽の力になってあげたいってだけでね? だからちゃんとみんなのこと見てあげたいって思ってなくもないかなって思ってるだけでね?」カミノケ...クル....クル....

真姫「だ、だから・・・お、おおおせっかいかもしれない・・・・かも、だけど・・・。もし、そうだったら・・・ヴェヴェ、別にいいんだけど・・・」カミノケ...クル....


凛「にゃ~????」キョトン

にこ「????」キョトン

花陽「・・・・・クスッ」ニコニコ



希「要は真姫ちゃんが言いたいんは、昼間はにこっちにピアノを教えるから、夜にお泊り会をして、そこで凛ちゃんの英語の課題と一緒に花陽ちゃんと期末試験対策の勉強がやりたいってことやろ」

真姫「なっ?!/// のっ、のぞみっ!///」カァ



にこ「・・・・」

凛「・・・・」



真姫「うぅ・・・・」

真姫「ず、図々しかったかしら・・・? あっ、いや、その、だから、嫌だったら別に―――」



凛「にゃああああああ!!」

真姫「きゃ?!」ビクッ

凛「それならそうとハッキリ言ってくれればいいのに! 素直じゃないんだから! とにかくお泊り会! やろうやろう! 真姫ちゃんのふかふかベッドで寝られる! かよちんと三人で寝ようねっ!」ガバッ スリスリスリスリスリ


真姫「なっ?!/// なんで一緒のベッドで寝る事になんのよっ/// イミワカンナイ!//」カミノケクルクル

真姫「・・・・・・・・ふふっ///」ニヨニヨ カミノケクルクルクルクルクルクルクル



花陽「真姫ちゃん!」

真姫「な、なに?」



花陽「ありがとう」パナスマイル

真姫「っ///// ま、まあ、ヴぇつに///」カミノケクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル! クル! クル! クル! クル! クル!


花陽「・・・・よかった。真姫ちゃんだ」ニコニコ




凛「にこちゃんもこれで文句ないでしょ! どっちみち夜はピアノだって弾けないんだしさ!」

にこ「・・・ふんっ、今回はこの四人でお泊りってことで勘弁してあげるわ。とにかく、今は にこ がピアノを教えてもらう時間よ! いいわねっ!」

凛「うんう・・・んっ?! 四人?! なんでさりげなくにこちゃんもお泊りに入ってるにゃあ?! 図々しにも程があるにゃあ!」

にこ「なによっ! 文句あるの?!」

凛「ううん! にこちゃんも真姫ちゃんに勉強教えてもらったらいいにゃ!」

にこ「うんうん。それは良いアイディア―――・・・ってっ?! それどういう意味よ?!」

花陽「あははっ」ニコニコ










希「一年生四人組はいつ見ても楽しいなあ」

希「どれっ」ペラッ


希「ふむ・・・。月の逆位置、か」

※月の逆位置:失敗にならない過ち、過去からの脱却、徐々に好転、(漠然とした)未来への希望、優れた直感。




希「誰かさんと同じで、ただの素直じゃないメンドクサイだけの人やったのに」ボソッ

絵里「誰かさんって誰?」

希「おわっ。な、なんや絵里ち、いつからおったん?」

絵里「今さっき」

希「そっか。来たばっかりで悪いけど行こか絵里ち。ここにおったらお邪魔やからね」クルッ スタスタ

絵里「あっ、希・・・・。え、ええ」

絵里「・・・・・・」




希「ふふ」ニコニコ

希(さすがのスピリチュアルパワーも大銀河宇宙パワーには敵わんかった、って所か。・・・重ねてきた苦労と受けてきた愛の大きさが段違いやしなあ)


希(でも、これでよぉやっと、分かったやろ)

希(一人じゃない、みんなでここまできたんだって)

希(これからもずっと、みんなと歩んでいける)

希(そんなみんなを繋いでくれるのが、愛情。それを大切にな)




「ふふ、お幸せに」









おわり






ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom