服部瞳子「…もうはぐれないようにね」(24)

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服部瞳子「昔からの付き合いだから」
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の続きです

お願いします

P「誕生日おめでとう、瞳子」

瞳子「あら、覚えていてくれたのね。うれしいわ…」

P「まぁな…ほれ、プレゼント」ヒョイ

瞳子「なにかしら?この封筒」

P「貰いもので悪いんだが…お前に良いかな、と思って」

瞳子「へぇ…」ガサガサ

<温泉日帰り旅行チケット:ペア>

瞳子「…これ」

P「ちょっとした伝手で手に入れてな。行きたいときは俺に言ってくれ、スケジュールを調整するから」

瞳子「でも…」

P「いいから貰っておけって。結構有名所みたいだぞ?」

瞳子「…ありがとうPさん。…でもペアチケットね」

P「なに?…本当だ、うっかりしてたよ。友達でも誘ってみたらどうだ?」

瞳子「これ、誰でもいいのよね?」

P「まぁ…そうだな」

瞳子「…」

-数日後-

ガタン…ゴトン…

<車両走行間は席をお立ちにならないよう…

P「…」

瞳子「…♪」ペラ…ペラ…

P(どうしてこうなった…)

P「なぁ、瞳子…別に俺じゃなくても…」

瞳子「ほらみてPさん、これいいじゃない?着いたら行ってみましょう?」

P「そ、そうだな…」

瞳子「旅行なんて久しぶりで…ついはしゃいじゃうわね♪」ニコニコ

P「…俺も旅行なんて久しぶりだなぁ!いや~、ワクワクしてきた!」

瞳子「もう…Pさんそんな大声で…恥ずかしいわ」クスクス

P「す、すまん…」

P(瞳子が楽しそうなら、それでいいのかも…)

-温泉街-

ガヤガヤ…

瞳子「この賑やかな感じ、いいわよね」

P「平日を選んで来たが…すごい人の数だな」

瞳子「ガイドブックは読んだわ…何から行きましょうか?」

P「そうだなぁ…あ、俺にも見せてくれよそれ」

瞳子「いいわよ、えっと…これとこれがあっちにあって…」

P「ふむふむ…これなんかどうだ?見た感じうまそうだ」

瞳子「ふふ…最初から食べ物?」

P「うっせ。せっかく来たんだから美味いもの食いたいじゃないか」

瞳子「…そうね、それじゃ…」

ドンッ!

瞳子「きゃっ!…すいませ…」フラッ…




P「瞳子!」ガシッ!

瞳子「…ありがとう、Pさん」

P「危ないだろ、ちゃんと周りを見ろ」

瞳子「ごめんなさい…気を付けるわ」

P「…にしても人が多いなぁ。こりゃはぐれたら目も当てられんぞ」

瞳子「携帯があるから大丈夫じゃ…」

瞳子「…」ギュッ

P「…ん?もう手を離してもいいんじゃないか?」

瞳子「これではぐれないわよね?」

P「お前…天才か」

瞳子「さぁ…時間は限られてるわ。行きましょう」グイグイ

P「ま、まだ大丈夫だって!引っ張るなよ!」

-1時間後-

瞳子「ふふふ!Pさん、ハムスターみたいね」

P「ほふふ?(そうか?)」モグモグ

瞳子「はしたないわよ、食べてから喋りなさい」

P「むぐぐ…ゴクン。お前は俺のお母さんか」

瞳子「いいえ?貴方の担当アイドルよ」

P「…マジで返されると俺が滑ったみたいだからやめてくれ」

瞳子「え?本当にお母さんじゃなくて…」

P「わかったわかった!…恐ろしい天然ちゃんだ」

瞳子「?」

P「もう今の下りは忘れろ。…次はどこに行きたいんだ?」

瞳子「次は…ここなんかどうかしら?」

P「じゃああっちだな。よーし、行くぞ!瞳子」グイッ

瞳子「あっ…」

瞳子「…♪」

-温泉宿-

P「あ~!遊んだ遊んだ!」

瞳子「こんなに遊んだのは本当に久しぶり…いよいよメインの温泉ね」

P「結構テレビなんかで見るよな、ここ」

瞳子「そうね…まさか自分で来れるとは思わなかったわ」

P「おっし、ゆっくり風呂にでも浸かって普段の疲れを取るぞ!」

瞳子「…いつもお疲れ様、Pさん」

P「か、家族風呂?!」

受付係「はい…そちらのチケットは家族風呂の入浴チケットとなっておりまして…」

瞳子「本当ね…右下に小さく書いてあるわ」

P「ま、マジか…全然気が付かなかった…」

P「…別々で入る、というのは?」

受付係「時間制ですのでそれは構いませんが…」

P「ならいいか…じゃあそれで…」

瞳子「…私は一緒でもいいわよ?」

P「…は?」

瞳子「だってせっかくの景色も二人で楽しみたいし…Pさんとお話ししたい事も沢山あるわ」

P「いや、仮にもアイドルなんだから…」

瞳子「二人きりで温泉に遊びに来てるんだからもう一緒よ。…そうじゃない?」

P「ぐっ…むむむ…」

-家族露天-

P「うおぉぉ!こりゃすごい景色だ!」

P「露天風呂って形容しがたいワクワク感があるよな~♪どれ、早速…」

カラカラカラ…

瞳子「…」モジモジ

P「…言ってたわりには恥ずかしがるんだな、お前」

瞳子「き、気分が大きくなっていたのよ…」

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ザパァ~…

P「あぁ~…このまま溶けてしまいそうだ…」グデー

瞳子「ほんとにいい気持ち…景色も綺麗ね…」

P「…もう一日も終わりか」

瞳子「ねぇ、Pさん」

P「なんだ?」

瞳子「…ありがとう」

P「お前が楽しかったならそれでいいさ」

瞳子「誕生日がこんなに嬉しいものだったなんて…忘れていたわ」

P「…」

瞳子「もう一度アイドルになってから…なにもかも忘れていたんだ、って気付いたの」

瞳子「ファンの応援も…仲間の心強さも…貴方がいつも傍にいるって事も」

瞳子「全部…私が勝手にしまい込んでいたのよ、辛い記憶と一緒に」ポロポロ…

P「瞳子?!な、なんで泣くんだ?」オロオロ

瞳子「毎日が楽しくて…幸せで…でも怖いの」

P「怖い?」

瞳子「壊れるのが嫌で…無くなるのが嫌で…」ポロポロ…

瞳子「…夢はいつか終わってしまうの…そうだったでしょう?」

P「…瞳子!」ガシッ!

瞳子「…?」グスッ

P「事務所の仲間もいる。昔の仲間だってお前を応援してる…俺もお前の味方だ」

P「俺達はあの頃をやり直すことは出来ないけど、ここからまたやって行くことは出来るぞ」

P「結果はどうであれ終わらない夢は無いが…見るなら楽しく!夢を見た方がいいだろ?」

瞳子「…ふふふ。貴方はいつもそうやって私をその気にさせて…どうなっても知らないわよ?」

P「賭けているのはお互い様だ。絶対に後悔はさせない…もう二度とな」

-家族風呂前、廊下-

P「…」ホカホカ

瞳子「…」ホカホカ

P・瞳子(は、恥ずかしい…!)

P(雰囲気に飲まれてなんかくっさい事言った気がするぞ…)

瞳子(す、少し感情的になりすぎたわ…)

P「さ、さぁて!そろそろ帰ろうか!」

瞳子「え、えぇ…お土産も買って帰りましょう」

P「事務所の人達はお菓子でいいか?」

瞳子「そうね…沢山お菓子を買って…事務所に置いておきましょうか」

P「よし、それで行こう。…ほら」スッ

瞳子「…もうはぐれないようにね」ギュッ

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-列車内-

ガタン…ゴトン…

瞳子「うぅ~ん…」ノビー…

瞳子「…」チラッ

P「…zzz」

瞳子(もう一度、トップアイドルを目指して…そしてトップアイドルになった時…その時は…)

瞳子「…待っていてね、Pさん」

ガタン…ゴトン…

おわり


間に合いました。瞳子さんお誕生日おめでとうございます!ありがとうございました

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