絵里「穂乃果へのプレゼント何にしようかしら。指輪?」 (24)

絵里「ふふ。流石にいきなり指輪なんて渡されたら困っちゃうわよね」

絵里「でも…」


穂乃果『えっ…!? こ、これって』

絵里『はめてみてくれる?』

穂乃果『うん…///』

絵里『似合うわよ、穂乃果。その指輪の宝石に負けないくらいあなたは輝いてるわ』


絵里「穂乃果…」トクン

絵里「…」

絵里(穂乃果の誕生日、私は彼女に告白しようと思います)


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海未「ん?」

海未「あれは絵里? なぜ絵里があんな高級店に入ってるんでしょう」

海未「確かにあそこに売っているものなら絵里には似合うでしょうが」

海未「…」

海未「…私も、あんなところで指輪を買えたら良かったのですが」


穂乃果『えっ…!? 海未ちゃんこれ、指輪…』

海未『好きです、穂乃果。私と結婚を前提に付き合って下さい』

穂乃果『海未ちゃん…うん!』


海未(穂乃果の誕生日、私は彼女に告白しようと思います)

真姫「穂乃果に渡す指輪…なんとか間に合ってよかったわ」

真姫「ネットで見た時絶対これ!って思ったものなのよね。穂乃果になら、きっと…」

真姫「…」


ことり「穂乃果ちゃん、喜んでくれるかなぁ…」

ことり「私バイトだけどちゃんと3カ月分のお給料で買ってるし充分いいものだよね」

ことり「穂乃果ちゃん…! 最近バイトのお手伝いしてくれて一緒の時間が増えて…もう我慢できないよ」


希「やっぱこの指輪ええなぁ~。穂乃果ちゃんに似合うやろうな~」

凛「へへ。指輪なんてあげたら穂乃果ちゃんきっとビックリするにゃ」

花陽「ほ、ホノカチャン! こ、こここの指輪受け取って下さい! ああ~、緊張するよぉ」


にこ(穂乃果の誕生日、私は彼女に告白しようと思います)

雪穂「はい、お姉ちゃん。誕生日おめでとう」

穂乃果「わー! ありがと雪穂! ねえねえ、あけていい?」

雪穂「はいはい。そんなこと言ってもう開けてるじゃん」

穂乃果「おぉー! 格好いい靴だー!」

雪穂「そ。お姉ちゃんいっぱい運動してるしあって困ることはないかなーって」

穂乃果「雪ちゃんありがとー! お姉ちゃんはこんないい妹を持てて幸せだよー!」スリスリ

雪穂「ちょ、お姉ちゃん! もう…」

穂乃果「へへ。本当にありがとう、雪穂」


雪穂「ところで、μ'sの人たちが誕生会開いてくれるのって何時から?」

穂乃果「うーん。それが何だかトラブルがあったみたいで夕方からになっちゃったんだよね」

海未「…なんですかこれは」

絵里「え、えーっと」

ことり「指輪…だよね? これ、どうするつもりだったの?」

希「まさかそれ、今日の誕生日会で穂乃果ちゃんに渡すつもりやったん!?」

花陽「それでそのまま告白するつもりだったとか…」

絵里「うっ…」

絵里「ち、違うわよ!? こ、これは…そう! さっきもらったのよ!」

真姫「そんな高級ブランド指輪もらえるとかありえないでしょ…。白状しなさいよ」

絵里「はい…」


にこ「あー、もしもし穂乃果? ごめん、ちょっと誕生会遅れそうなの…うん。ごめん」

絵里「…というわけなの」

海未「…」カタカタ

ことり「そ、そうなんだ…。絵里ちゃんも、穂乃果ちゃんのこと好きなんだ…」プルプル

花陽「え…? ことりちゃん、絵里ちゃん『も』って…」

ことり「!!」ポロッ

希「ん? ことりちゃんなんか落としたでー…ってこれ!」

真姫「これも指輪!? しかもブランド物の…ことり、まさかあんたも」

ことり「あ…!」

海未「ことり、あなたも私や絵里と同じことを……、はっ!」

にこ「そういう海未も指輪買ってきてるみたいね。もう、どうなってんのよこれ…」

ことり「…」

海未「…」

にこ「…」

希「…」

花陽「…」

真姫「…」

凛「…」

絵里「ここにいる全員同じことを考えてたのね。こんなことがあるなんて…」

真姫「私が言うのもなんだけど、付き合ってるわけでもないのに指輪って…」ハッ

希「まさか、この中の誰かはもう穂乃果ちゃんと付き合ってるん!?」

「…」

海未「というわけではなさそうですね…」

ヒデコ「穂乃果! こっちこっち!」

穂乃果「みんなやっほー! ごめんね、いきなり私も混ぜてなんて言って」

ミカ「いいよいいよ~。最近穂乃果とは休日一緒に遊びに行けなかったし」

フミコ「μ'sの活動とか家の手伝いとかで忙しそうにしてたしね。あとことりのお店の手伝いも」

フミコ「…とと、それより」

ヒデコ・フミコ・ミカ「穂乃果、誕生日おめでとう!」

穂乃果「えへへ。みんなありがとう! 覚えててくれたんだね」

ヒデコ「ま、プレゼントは特にないんだけどね」

ミカ「ごめんね。あ、でも今からゲーセン行くし何か取れたらあげるってことで!」

フミコ「なるほど…。じゃあ穂乃果、何か欲しい物とかあったら言ってね?」

穂乃果「えー? そんな悪いよー」ニコニコ

にこ「…」

真姫「…っ」

凛「わ、私! 急用思い出しちゃったにゃー!」ガタッ

にこ「ダメ! 行かせないわよ!」

希「そう言って抜け駆けしに行くつもりやったんやろー! ズルいで凛ちゃん」

花陽「わわ…」

海未「はぁ…」

ことり「…ねぇ。みんな今からどうする?」

絵里「今からって…」ハッ

ことり「今から、みんなで穂乃果ちゃんの誕生日会の準備するんだったよね?」

凛「あ…」

にこ「…この雰囲気の中で、パーティなんてやれるのかしら?」

海未「っ…」

希「…」

ことり「無理、だよね…」

真姫「みんなが恋敵だったなんて分かったらそうそう仲良くパーティ、ってわけにはいかないわよ」

海未「誰が抜け駆けするか分からないですしね」

花陽「うん…」

絵里「私も…。今日はこの指輪を渡すつもりだったから他にプレゼント買ってないし」

絵里「かと言って何も渡さないのも嫌なんだけど…」

海未「買いにいかせるわけにはいきませんね。その間に穂乃果を呼びだすとも限りません」

海未「…とにかく、今日はみんな告白禁止です。いいですね?」

花陽「うん…」

真姫「しょうがないわね」

ことり「プレゼントは何か特別なものじゃなくて今から料理とかケーキを作って誤魔化せばいい…かな」

絵里「穂乃果には悪いけどそれしかないわね…」

希「誕生日会は中止って言ったらきっと悲しむやろうし、やるにはやらんとな」

にこ「はい! そうと決まれば今日は仲間同士! 当初の予定通り準備するわよ!」

凛「…」

ヒデコ「よし! もうちょっともうちょっと…」

穂乃果「あー! 惜しい!」

フミコ「今日はなんにも取れないね」

ミカ「うわっ、もうお金ないよ~」

ヒデコ「私もないわ。それじゃそろそろ別のとこ行こうか」


ミカ「穂乃果ごめんねー。何にも取れなくて」

穂乃果「いいよいいよ~。誕生日だからってあそこまで粘ってくれて申し訳ないくらいだよ」

フミコ「ま、ミカは自分が欲しいやつにばっかりお金入れてたしね」

ヒデコ「じゃああとはその辺ブラブラしてよっか。穂乃果、時間まだ大丈夫?」

穂乃果「う~ん…」


穂乃果「ねえみんな。誕生日ってわけじゃないけど、少しだけ私のお願い聞いてくれない?」

にこ「希、これ切っといて」

希「は~い…」

ことり「…」

海未「ことり、ことり! 火が強いですよ!」

ことり「あ…。ご、ごめん」

絵里(みんな辛そうにしてる…。私だってそうだけど、恋敵と仲良く料理なんてできないわよね)

にこ「ちょっと真姫ちゃん! もっとこれ綺麗に剥いてよね!」

真姫「えぇ? にこちゃんはちょっと神経質すぎるんじゃないの?」

花陽「…」

海未「ことり!」

にこ「真姫ちゃん!」

花陽「…」ウルル…

希「ん…?」

花陽「…うっ……だめ…泣いたら…」グシュ…

絵里「花陽…」

花陽「ダメだよ…。今日は穂乃果ちゃんの誕生日で、楽しい日なんだもんね」

花陽「私が泣いてたら、穂乃果ちゃんきっと心配しちゃうよ…」

ことり「かよちゃん…」

にこ「っ…」

海未「…」

絵里「やっぱり、今日はもう解散にしましょう」

海未「っ! しかし…」

ことり「ごめんね、海未ちゃん。もう私も限界なの…」

海未「ことり…」

希「まだ失恋したわけやないけど…今みたいな気持ちがそうなんかな」

凛「凛ももう泣きそうだよ…」

にこ「…今日はゆっくり家で休むべきかもね。明日は日曜だけど練習で顔合わせなきゃなんだから」

真姫「そうね…」

絵里「穂乃果には私から連絡しておくわ」

絵里「ごめんね、穂乃果…」

海未「まったく…8人もの女の子にこんな想いにさせるなんて、なんて罪な穂乃果なんでしょう」

穂乃果「…」

ヒデコ「穂乃果? どうしたの?」

穂乃果「今日の誕生会は中止にさせて欲しいって…」

ミカ「えーっ!? 何それ」

フミコ「何かあったの?」

穂乃果「それが分からないんだよね。他の誰にメールしてもぎこちない返事しか返ってこないし」

穂乃果「…」

フミコ「事故…ではないと思うけど」

ミカ「誰か病気で倒れたとか?」

ヒデコ「喧嘩でもしたのかな?」

穂乃果「ごめん! みんなもうちょっとだけ付き合って!」

絵里「穂乃果…」ボソッ

亜里沙「お姉ちゃーん、お客さん来てるよ」

絵里「私に…?」


絵里「あ…!」

穂乃果「はぁ、はぁ……絵里ちゃん! 良かった…全然体調悪いとかじゃなさそうで」

絵里「穂乃果…。ごめんね、私たちで誕生日会を開くって言っておいてこんなことして」

絵里「でも…理由は聞かないで欲しいの。私たちは……私、は…」

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「! え…な、何かしら?」

穂乃果「今日の夜6時半、伝えたいことがあります。学院の講堂まで来て下さい!」

絵里「え…!?」

絵里「穂乃果…。私に伝えたいことって何?」

絵里「もしかして、告白…」

絵里「…」ギュッ

にこ「なわけないでしょ」

絵里「っ! にこ!? それに真姫も…?」

真姫「エリーが最後よ。ほら、早く来なさい」

にこ「こんなところにみんな呼びだして…一体何のつもりなの? 穂乃果…」


花陽「…」

ことり「…」

フミコ「えー、今日はお集まりいただいてありがとうございます」

フミコ「これより、『高坂穂乃果、BirthDay Live』を開演します!」

絵里「は?」

穂乃果「みんなー! こんばんはー!」

海未「穂乃果…」

穂乃果「今日は急に呼びだしちゃってごめんね。でも、絶対に伝えたいことがあるんです!」

穂乃果「ではその前に…まずは一曲聴いて下さい!」

穂乃果「Someday of my life !」
http://www.youtube.com/watch?v=2iVuE4PB8Co

穂乃果「今日ここで伝えたいことは、みんなに出会えて本当に良かったってこと」

穂乃果「こうして、誕生日にみんなの前で歌えることを、穂乃果はとっても嬉しく思います!」

花陽「穂乃果ちゃん…!」

希「うん…。ウチも、穂乃果ちゃんと会えて嬉しいで」

穂乃果「なので! 私を生んでくれたお母さんはもちろん、私と一緒にいてくれるみんなに感謝です!」

穂乃果「みんなありがとう!」

真姫「…穂乃果」

穂乃果「はい! じゃあヒデコちゃん、ミカちゃん、例のやつよろしく!」

ヒデコ「OK~!」

ミカ「はい、どうぞ」

絵里「え、ええ…。何? これは…」ガサゴソ


絵里「…スクールリング!?」

海未「これは…確か」

ことり「音ノ木のスクールリングだよね?」

穂乃果「正解です! へへへ~、実はことりちゃんのお店のお手伝いしてたのこれ買うためだったんだよね」

穂乃果「このスクールリングは私からみんなへの誕生日プレゼントです! …って、これじゃ逆かな?」

穂乃果「でもいっか。だって、誕生日は祝ってもらう日じゃなくてみんなに感謝する日だもんね」

凛「わぁ…」

穂乃果「私はみんなとずっと一緒にいたい! みんなのことが大好きです!」

穂乃果「だから、その…喧嘩してるなら早く仲直りしてね?」

絵里「…!」

穂乃果「それでは次の曲! 『愛は太陽じゃない?』!」
http://www.youtube.com/watch?v=yLXo8a8_boI&feature=youtube_gdata

絵里「まったく…土曜日とはいえ講堂と購買を開けさせるなんて、穂乃果ったら」

海未「本当の本当に恐ろしい行動力ですよ」

ことり「うん。私たちが喧嘩してると思ってこんなことまでしちゃうんだもん」

真姫「穂乃果らしいわよね」

希「…こんなことされたら、仲直りせんわけにはいかんよね」

にこ「ええ…」

花陽「…私、穂乃果ちゃんに告白するのやめようと思います」

凛「えっ…?」

花陽「穂乃果ちゃんのことは本当に大好きだけど、今はまだ穂乃果ちゃんとは恋人になれないかなって思って」

花陽「穂乃果ちゃんは私たちの…みんなのアイドルで、今は誰のものでもなく輝いてて欲しいから」

絵里「花陽…」

そして…―――

穂乃果「で、結局あの日は何が原因だったの?」

ことり「ぎくっ」

海未「あ、あの日は…そうですね。ちょっと意見の食い違いがあったとかそんな感じです」

穂乃果「ふーん? でも良かった~、みんな仲直りしたみたいで♪」


絵里(あのバースデーライブの後…私たちは、いつの間にか笑っていました)

絵里(そしてみんなで、μ'sとしてアイドルでいる間は告白しないと約束し合いました)

絵里(今は穂乃果と恋人になるよりみんなと友達のまま、アイドルを続けたい。そう思うから…)

絵里(だからこれからは第2ラウンド。『みんな』でいられなくなる前にどこまで穂乃果に近づけるか)

絵里(卒業式の日に、彼女のくれたスクールリングにお返しをできるのは誰か決めるつもりです)


絵里(それまではまた…ずっとみんな一緒に)


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