【DTB×まどか☆マギカ】黒「魔法少女?」ほむら「契約者?」 (260)

【DAKER THAN BLACK】と【魔法少女まどか☆マギカ】のクロスSSです。

地の文はたまに入ります。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1475857145



10年前。

突如、見滝原近辺を襲った異変、通称『地獄門』(ヘルズ・ゲート)といわれる未知の領域が出現した。

その時からこの世界は本当の“空”を失い、夜空を覆う満天の星空は偽りの星達のものとなった。

時を同じくして、『契約者』と呼ばれる、特別な能力を身につけた者達が現れはじめた...が。

その存在は、明るみにされていなかった。

人類の発展を支えてきた彼女達―――魔法少女のように。


――――――――――――――

 ___<ギュィーン・・・デーレレッテ デレレーレデレレー
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| ( ^ω^ )))  
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /


      <デーレレッテ デレレーレデレレー デーレレッテ デレーレダッダン
 ___ ♪ ∧__,∧.∩

/ || ̄ ̄|| r( ^ω^ )ノ  
|.....||__|| └‐、   レ´`ヽ   
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪



        \  さいごのガラスをぶち破れ~   /

          \ 見慣れた景色を蹴散らして~  /
     ( \/ /_∧   <./|   /|       /\___
     ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
      / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/   /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
         i⌒ヽ  ./   ̄>__         .|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\    .|| |::
     i    | /ヽ   ヽ  ∠__/   ̄       .|| |::




      世界が逆に回転する~
                           - 、   - 、

                 _,, -― "⌒ヽ-、   ヽ    \
           -=≡ ,,-"        i ヽ    ヽ  ヽ.ヽ
         -=≡   /      ,,-ヽ  .i  i     i   i ii
       -=≡   ./ /    /  i  |.i  |     |   i ii
      -=≡   / ./、Д , )./     | '⌒/⌒)(_ヽ  !   ! !!
      -=≡    | |/ ̄∨/      ゙ -/ /-⌒) i
     -=≡, ~⌒| | ⌒l/ /          | | ヽ (ヽi  
     -=≡ー-ヽ | | | | /        .| |  し' (         i i
     -=≡   ./ノ|)  |         | |_∧、_つ    i | i
     -=≡  (__|  |.| .|        / | ´Д`)       .i i l 
⌒ヽ   -=≡    !  ヽ \      /     /    /  / //
 ⌒ヽ   -=≡   ヽ  \ ヽ、    /     /   /  / .'
  '"⌒ヽ  -=≡    \  ⌒ヽ⌒ン     /   _,,-'' ,,-"
  ヽ   ヽ、_-=≡     \       ,, -" _,, - '' - "
    )__ノ⌒    -=≡    ゙ ー---- "
 ー"  





        / ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            ./ / | 日常を飛び越え~
           / /  \        
           / /     ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄
         ./ /_Λ     , -つ

         / / ´Д`)  ./__ノ
        /    \ / /

        .|    へ/ /
        |    レ'  /、二つ
        |     /
       /   /

       /  /
      /  /
     / ノ
   _/ /

  ノ /
⊂ -'
       __
      |日常|
        ̄ ̄




.    __    __  __  _  _ ___ __   __ _  _   __  __  _         _
   LL)_)/A\L」くく LKく L三 L」くく   丁冂_r=L| /A\ Lト、}]      //
   ┌──┐─‐.、 ┌──┐       / ̄ヽ    ,. -─ 、─‐┬──┐  //
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   |    ||  く. |    |   /} 厶弌    、{    | 冫}!     `´  \
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                                    黒  の  契  約  者




タタタ

「はぁっ、はぁっ...」

使い魔「」フワフワ

魔女「~~~!」

ガッ

「ぐっ...!」

魔女「」ガパァ

ヒュッ キュッ

魔女「?」

「死ね...!」

バチィ


――――――――――――――
銀(イン)「......」

黄(ホァン)「どうだ」

銀「だめ。見つからない」

黄「なにやってやがるんだあいつは」

猫(マオ)「銀、あいつのアパートにもいないのか」

銀「いない」

黄「まさかあの野郎、逃げやがったんじゃ...」

ドサッ

黄・猫「「!?」」



「はぁ...はぁ...」

猫「おい、黒(ヘイ)。そんなぼろぼろでどうした」

黒「...怪物に襲われていた」

猫「なに?契約者か?」

黒「わからない。だが、少なくとも野生動物とは思えなかった」

黄「へっ、契約者以上のバケモンがそうそういてたまるかよ」

黒「俺を疑っているのか?」

黄「勘違いするんじゃねえ。俺は契約者なんざハナッから信用してねえよ」




猫「それで、その怪物は?」

黒「仕留めたと思ったら、これを残して消えた」

黄「なんじゃこりゃ...宝石?」

猫「ふむ...俺は見たことないな」

黒「俺もだ」

黄「俺も知らねえが...とりあえず、コイツは俺が組織に持っていく。おめえらは任務に取り掛かりな」

猫「今回の仕事はなんだ?」

黄「ターゲットはこいつだ。...ぼんやりとしか映らねえせいでツラまでは見えねえがな」ピラッ


黒「女か。それも服装からして中学生のようだな」

猫「こんな子まで契約者ね...やれやれ、世知辛い世の中だ」

黄「おっと、早まるなよ。今回の仕事は殺しじゃねえ。こいつの目的を掴めとのお達しだ」

猫「目的だと?」

黄「つい先日のことだ。組織の息がかかった倉庫の中から大量の武器が盗まれたんだとよ」

黒「武器だと?」

猫「売って金にするには大胆すぎる。契約者とは思えない合理性の欠けた行動だな」

黄「組織もそこのところが引っかかっているらしい。それに、契約者ならもっと痕跡を残さずに盗むことくらい容易いはずだ」

猫「と、なると、もしかしたら契約者じゃないなにか...かも?」

黄「まあ、それを調べるのも狙いだろうな。場合によっちゃ実験材料か即戦力にでもするか...ってとこか」



黒「...それで、俺たちはなにをすればいいんだ」

黄「お前らは見滝原中学ってとこの生徒を調査しな。そんでこの女の生態を探れ」

猫「調査ったって、俺はともかく黒にどうしろっていうんだ。大学ならまだしも中学校じゃロクに入ることもできないぞ」

黄「中に入れとは言ってねえよ。そこら辺を張って、怪しい奴がいればあとを追えばいい」

猫「簡単に言ってくれるぜ、まったく」

黄「今さらだろうが。オメーらは黙って仕事をこなしてりゃいいんだよ」

―――――――――――――――――

翌日


とある書店


まどか(今日は私の好きなアニメ、薔薇のモーリスのコミカライズが発売される日)

まどか(でも、近所の書店では売り切れ続出でもうビックリ!そこで、普段は寄らないちょっとマニアックなお店に足を運んだのです)

まどか「でも、うぅ...コーナーが色々ありすぎてよくわからないよぉ」

まどか「あっ、ここ...」

『薔薇のモーリス 女性向けコーナー』

まどか(えと、これでいいのかな?でも、表紙もそれっぽいし、最後の一冊だし、多分これ...だよね)スッ



キコ(おっ、薔薇のモーリスの最新同人誌、もうラス1とは。流石に人気ありますねぇ)スッ

ピタッ



まどか「......」

キコ「......」


まどか「あ、えと...」

キコ「あー...」

キコ(気まずい...このパターンは気まずい...)

キコ(相手がいい歳こいたOLならまだしも、こんな小さい子に食らいつくほど私も子供じゃあありませんよ)

キコ(でも、私だってこの本を買うのをずっと楽しみにしてましたからね。ここは譲れません!茅沼キコ、心を鬼にして...いざ尋常に勝負!)

キコ「いいですかぁ、お嬢さん。この本は」

まどか「ご、ごめんなさい。わたし、別の本屋さん探します」

キコ「って、アラ?」


キコ(思ったよりも楽に引いてくれた)

キコ(いや、それはいいんですよ?けど、なんか私の方が負けたっていうかあの子の方が大人っていうか)

キコ(それに寂しそうなあの背中...あの子も結構な数をまわったと見ました。私があと少し遅かったらと思うと...そうだ!)

キコ「ちょおっと待ったぁ!」

まどか「は、はい!?」ビクッ

キコ「あなた、薔薇のモーリスのDVDは持ってますか?」

まどか「さ、最新刊までは」

キコ「ドラマCDは?」

まどか「全部持ってます」

キコ(同士認定!それに、声も可愛くてかなりイイ...決まり!)

キコ「よかったら、この本一緒に読みませんか?お金は私が出しますから」

まどか「え、でも...」

キコ「おやおや、いいんですかぁ?これを逃したら二度とお目にかかれないかもしれませんよぉ?」

まどか「うぅ...」

キコ「そんな遠慮しなくていーんですよ。タダでやってもらうつもりはありませんし」

まどか「?」

―――――――――――――――

数時間後

キコ「~♪」

まどか「うぅ...///」



トコトコ

猫「ん、あのピンク...後ろのちっこいピンクは友達か?」

猫(あのちっこい方の制服...いや、あいつが標的の線はなさそうだな。髪はもう少し長めだったはずだ)

猫「ここの制服を着てたからってそうそう都合よく見つかるわけがないか。あの制服の女の子なんざ腐る程いるってのに...はぁ」

ガサッ

猫「?」

エイミー「」ヒョコリ

猫「ゲッ!このパターンはまさか」

エイミー「にゃあああああ♡」

猫「やっぱりかああああ!!」ダッ



キコ「いやー、中々イイのが録れました」ホクホク

まどか「///」カアァッ

キコ「まだ赤くなってるんですか。まあ、同人誌と商業誌を間違えるのは誰もが通る道ですよ」

まどか「だ、だって、表紙も似てたし、それにあんなにえっちぃのだったなんて...///」

キコ「でも、最後の方は結構ノリノリで録ってたじゃないですかぁ」

まどか「~~~~///」

キコ「そういう初心なところも可愛いんですけどねー。あっ、ここのタバコ屋ですよ」




タバコ屋

銀「......」

キコ「んちゃっ」

銀「...友達?」

まどか「は、初めまして」

キコ「まどかちゃんです。今日は、私とまどかちゃんで朗読したんですよ」

銀「まどか...?」

キコ「この子もモーリスの大ファンなんですよ。その熱意はこのテープを通して聞いてみてください!」

銀「」コクリ


ガササッ スタタタタ

キコ「ムッ!」

ガララ

キコ「いない...どうやらただの通りすがりの猫のようですね。まったく、キルシーちゃんの試聴の邪魔になるところでしたよ」

銀「キコ」

キコ「はいはーい。それじゃ、セットして...スタート!」


――――――――――――――――――――
その頃の猫

タタタタ

猫「クソッ、毎度毎度繁殖期は厄介だ」

エイミー「にゃああああああ!」

猫「追いつかれてたまるかぁぁぁぁ!」ダッ

ププー

猫「へ?」

車「」キィィィイイ

猫「はぁぁぁぁぁ!?」

猫(う、嘘だろ...こんなバカげたことで...死...)



カチリ



猫「......」

猫「......?」

猫(いたく...ない...?)キョロキョロ

ほむら「......」

エイミー「なぁ~お」

ほむら「...今回は友達がいるのね」



猫(なんだ、この嬢ちゃん...この子が俺たちを助けたのか?)

ほむら「エイミー、ここは危ないから公園で遊びなさい」スッ

エイミー「にゃぁ」

猫(しかし変わった服だな。コスプレってやつか?)

ほむら「あなたも。...エイミーと仲良くしてあげてね」ナデナデ

猫(ふむ。ちょいと細いが、悪くない足首...じゃない。この嬢ちゃん、どこかで見たような)

ほむら「じゃあね。車には気をつけて」シュイン

猫(服が変わった...ん?あの服...まさか)

エイミー「にゃぁお」

猫「ハッ!」

エイミー「にゃああああ♡」

猫「ま、マズイ!この距離じゃ逃げられな――――」


――――――――――――――――――――――

同時刻

タバコ屋

ア――――ッ!

まどか「あれ?いまなにか聞こえたような...」

キコ「気のせいじゃないですかぁ?」

銀「おわった」

キコ「どうでしたか?今回も最高だったでしょ!?」

銀「うん」

キコ「でしょでしょー!もはや同人誌どころかアダルト版の公式と言っても差し支えない展開にセリフ回し!やっぱこの作者センスありますよね!」

銀「うん」

まどか「その"同人誌"の意味はよくわからないけど、すごく面白いですよね。テレビじゃ流せないっていうか...」

キコ「そう!それが同人誌の面白さなんですよ!一時創作...所謂公式の作品も確かに素晴らしいですが、公共の電波を気にしない二次創作ならではの発想に巡り合えるこの瞬間...ンーッ、たまらない!」

まどか「ですよね!この子たちの会話なんてストーリーの展開上、絶対に見られないですもんね!」

銀「私も、そう思う」

キコ(むっふっふ...その調子ですよまどかちゃん。そのままこちらに堕ちてくるのです)

この後、三人で薔薇のモーリスについて濃厚に語り合った。

―――――――――――――――――――

翌日 公園

黄「首尾はどうだ?」

黒「いまのところ不審な奴は見ていない」

猫「俺はそれらしいのに出会ったぞ」

黄「本当か!?」

猫「ああ。車に引かれかけたところを助けられた。顔まではよく見れなかったが」

黄「おまえ、なんで跡を追わなかった」

猫「そこはツッこまないでくれ...俺は大事なモノを失いかけたんだ」

黄「契約者のクセになに言ってやがる。組織の命令とテメェの命以上に大切なモノがあるかよ」

猫「お前もこの姿になってみればわかるさ。繁殖期の恐ろしさってやつがな」



黒「とにかく、ターゲットとは会ったんだな?」

猫「それらしいってだけだがな」

黒「奇妙なコスプレに加えて、一瞬で制服に変わる、か」

黄「ほぼクロと見て間違いねえだろう。お前らは引き続きそのガキを探しな。それと銀」

銀「......」

黄「念のために言っておくが、俺たちの指示なしに観測霊を使うのは控えとけ。この前みてえに捕まりでもしたら面倒だからな」

銀「」コクリ


今回はここまでです

―――――――――――――――――――

ほむら(ここ数日間、この時間軸の見滝原市を探っていて判明したことがある)

ほむら(この時間軸の最大の差異点、『地獄門』というエリア)

ほむら(なぜこんなものがあるのか。なぜここにあるのか。詳しくはわからない)

ほむら(けれど、それだけだ。それだけしか世界は違わない)


和子「はーい。それじゃあ自己紹介しましょう」

ほむら「暁美ほむらです」


ほむら(だから、こんな挨拶もいつもと変わらない)

ほむら(まどか...今度こそ、あなたを救ってみせる...!)キッ

まどか「ふぇ?」


昼休み


さやか「ねえ、さっきの転校生...」

仁美「ええ。まどかさんを見てましたわ」

さやか「初対面でガンつけられるって、あんたなにやらかしたのさ」

まどか「うーん、暁美さんとは初めて会うけど...」

さやか「じゃああれだ。ガンとばしてたんじゃなくて、あんたに釘着けだったんだ。まどかは可愛いからね~」

仁美「あらあら」

まどか「まさかぁ、そんなこと...」

ほむら「鹿目まどかさん」



まどか「は、はい!?」ビクッ

ほむら「あなたが保健係よね」

まどか「う、うん...」

ほむら「連れてってくれる?保健室」

さやか(おやおや、いきなり御指名とは)ヒソヒソ

仁美(あながち間違いではなかったかもしれませんね)ヒソヒソ



廊下

コツコツ

まどか「......」

ほむら「......」

まどか「あ...あの、どうしてわたしが保健係だって...」

ほむら「早乙女先生から聞いたのよ」

まどか「あ、そうなんだ...あの、暁美さん?」

ほむら「...ほむらでいいわ」

まどか「じゃあ、ほむら、ちゃん?」

ほむら「......」

まどか「カッコイイ名前だよね。燃え上がれ~、みたいな...あはは...」

ほむら「......」


スタスタ

まどか(保健室への行き方も知ってるみたいだし、ほむらちゃんの方が前に立ってるし...あんまり喋りたくないのかな。だったら、なんでわたしを...)

さやか『じゃああれだ。ガンとばしてたんじゃなくて、あんたに釘着けだったんだ。まどかは可愛いからね~』

まどか(まさか、そういうことは...ないよね?ほむらちゃん、女の子だし)

キコ『愛に性別や種族なんて関係ない。カーッ、薔薇のモーリスのこのテーマのブレなさは最高ですよ!』

まどか(わ、わたしもモーリスのテーマは好きだけど、でも)

銀『「愛を咎める権利は誰にもない。例えそれが一目ぼれだとしても。近親だとしても。そして...異種族間だとしても」モーリスはジュールの胸板をその鼻でまさぐり―――』

まどか(な、なんでさっきからそういう言葉ばかり浮かんでくるの!?)


ほむら「鹿目まどか」


銀『モーリスは気が付いた。彼が私に囚われているのではない。私が彼に囚われているのだと』

まどか(ほ、ほむらちゃんがわたしを意識してると思っちゃうのは、わたしがほむらちゃんに惹かれてるからなの?)

まどか(あ、頭がくらくらしてきた。わたし、いったい―――?)

ほむら「鹿目まどか?」

まどか「ひゃい!?」ビクッ

ほむら「...?」


ほむら「...鹿目まどか。あなたは自分の人生が尊いと思う?家族や友達を大切にしてる?」

まどか「えっ、わ、わたしは...大切だよ。家族も友達も大好きで、とっても大切な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ。嘘じゃないよ」

ほむら「そう...もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうなんて絶対に思わないことね」

ほむら「さもなくば...全てを失うことになる」

まどか「...?」

ほむら「......」クルッ

スタスタ



放課後 ファーストフード店



エスカレーター「」ウィィィン


まどか「―――っていうことがあって」

仁美「不思議な雰囲気の人ですね、暁美さん」

さやか「文武両道、完璧美少女かと思えばちょっぴり電波さんとは。カーッ、キャラ立ちすぎでしょ転校生!」

まどか「うーん...でもね、ほむらちゃん、その...」

まどか「」

さやか「どうしたの?急に固まっ...て...」




黒「......」モグモグ

ザザッ

黒「...どうした」

猫『相変わらず食い意地張ってるな。そのハンバーガー、いくつ買ったんだ』

黒「35個だ」

猫『ポテトは』

黒「LLサイズ6個だ」

猫『...お前、ちゃんとターゲットを探してるんだろうな?』

黒「余計な心配をするな。契約者は非合理的な行動をしない。ここを選んだのは、見滝原中学の生徒の出入りが多く、腹を満たすこともできる場所だからだ」

猫『一石二鳥って言いたいのか?お前が言うと説得力があるんだかないんだか...まあいい。そこはお前に任せたぞ』



コソコソ

さやか「すっげーハンバーガーの数...」

仁美「お連れの方は...いませんよね。あれを一人で?」

さやか「いやいやまさか...って、あの人次々にハンバーガーを平らげていってるよ」

仁美「見た目は細いのにスゴイですわね」

さやか「30過ぎたら絶対に太るって、あれ。謎だらけの弱電波転校生に超大食いの細いイケメンか...なんか妙な一日だね」

まどか「......」

さやか「どうしたの?」

まどか「...あの人のハンバーガーを見てたら、なんだか胸焼けしちゃって....」

さやか「あー...そりゃしゃーないわ。あたしも胸焼けしてきたかも」

仁美「今日は飲み物だけにしておきましょうか」


――――――――――――――――

廃ビル付近

ほむら(...もうここも何度目になるかしら)

ほむら(まどかが使い魔に、アイツに遭遇しやすい場所...)

ほむら(...今度こそ、止めてみせる)

コツ コツ


コソッ

猫「......」


―――――――――――――――――

ファーストフード店

ザザッ

黒「どうした」

猫『それらしい奴を見つけた。あんな人気のない場所に一人で入るなんてめったにないからな』

黒「場所は」

猫『○○ビルの近くだ』

黒「わかった」ガタッ


さやか「あっ、あの人帰るみたい」

仁美「結局、全部食べてしまったのですね」

まどか「いつもあれだけ食べてるのかな。...あれだけ食べてあの身体って、羨ましいなぁ」

さやか「体重は乙女の最大の悩みだからねぇ」

仁美「けれど、我慢のしすぎのよくはないのですよ。...あら、もうこんな時間。それでは、お稽古があるので私はお先に失礼しますわ」

さやか「おー、頑張って」

まどか「またねー」



まどか「わたしたちもそろそろ帰ろっか」

さやか「そだね。...まだ時間はあるな。できれば仁美も一緒がよかったけど...」

さやか「ねえ、まどか。帰りにCDショップに寄りたいんだけど、いいかな」

まどか「上条くんへのお見舞い用に?」

さやか「あ、あっははは。まぁね」

―――――――――――――――――

廃ビル

黒「見失っただと?」

猫「...スマン。中が複雑な構造なのもあるんだが、少し目を離した隙にいなくなったんだ」

黒「気付かれたのか」

猫「わからない。ただ、見失ってからすぐにこうして入口で張ってたからこのビルからは出てないと思うんだが...」

黒「...お前はここを見張っていろ。俺が中を探してくる」

猫「了解だ」



チュィン チュィン

QB「はぁっ、はぁっ」タタタ

ほむら(逃がさない...!)

QB(彼女は確かに魔法少女だ。けれど、僕は契約をした記録はない。彼女はいったい...?)

QB(とにかく、いまは彼女を撒かなきゃ)

ほむら(角を曲がった...でも、逃がさない!)

バッ

ほむら(くっ、相変わらず遮蔽物が多すぎてどこにいるのか...!)



黒(銃声らしき音が聞こえた...だいぶ近いな)



ほむら(どこ...どこから出てくる...?)

カツン

ほむら(...?)

カツン

ほむら「ッ」

カツン

黒「......」

ほむら「......」

ほむら(物陰からゆっくりと現れた男)

ほむら(彼の出で立ちは、有体にいえば奇妙だった)

ほむら(全身黒づくめに、細い体躯。なにより目を引いたのは、その双眸を隠す仮面)

ほむら(黒い死神―――私が彼に抱いた第一印象は、まさしくそれだった)

今回はここまでです



ほむら(何者...?どう見ても不審者だけど...)

黒「...聞きたいことがある」

ほむら「......」

黒「数日前、この町にある武器が大量に盗まれた。お前が盗んだのか」

ほむら「...!」

黒「答えろ」

ほむら「...さあ、なんのことかしら。それよりも、武器なんかがこの平和な町にあることの方が驚きだわ」

黒「ならその手に持っているものはなんだ」

ほむら「......」

黒「...今は答える気がないならそれでもいい。大人しく着いてくるなら手荒な真似もしない」

ほむら「あなたのような身なりの人を信用できるわけがないでしょう」

黒「......」


コソリ

QB(彼はまさか...『組織』の『契約者』?)

QB(何故彼が彼女に迫っているかはわからないけど、好都合だ)

QB(この隙に鹿目まどかと接触しよう。いまなら邪魔も入らないはずだ)

タッ



ほむら「......」ジリ

ほむら(何者かはわからないけれど、こんな人に構っている暇はない)

ほむら(それに、どう見ても堅気の男には見えない。なら、少し乱暴だけれど...)

ほむら「忠告しておくわ。これ以上私に踏み込まないで。でないと、命の保証はできなくなる」

黒「どういう...ッ!?」

パァン。

突如、ほむらは手に持つ拳銃を天に掲げ発砲する。

撃ちぬいたのは窓ガラス。大量の破片が両者に降りかかる。

黒「チッ」

黒は素早くワイヤーを打ちつけられるポイントを探し、側の鉄骨に投擲しガラスの雨から逃れる。

この時、一瞬だけほむらから視線が外れたのだが―――

黒(消えた?馬鹿な...)

音も無く、少女は消え去っていた。




CDショップ

サイゴノガラスヲブチヤブレー

まどか「見慣れた景色を蹴りだして~♪」

セカイガギャクニカイテンスルー

まどか「日常を跳び越え~♪」

『助けて...』

オノレノカラダトソノスベテヲ

まどか「存在否定はさせない~♪」

『助けて...!』

まどか「空を飛べなかった名も無いヒーローは...え?」

まどか(誰かが呼んでる...?)

『助けて、早く...!』

まどか(ど、どうしよう...とりあえずいかなきゃ!)

タタタッ

さやか「あれっ、まどか?」

さやか(どこ行くんだろう...?)




まどか「こっちでいいのかな...」

ガタン

まどか「?」

ドサリ

まどか「ひゃっ!」

QB「はぁ...はぁ...」

まどか「酷い怪我...大丈夫!?」

QB「タスケテ...」

ガシャン

まどか「ひっ!?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「で、でも...この子、怪我して...」

ほむら「......」

まどか「ほむらちゃん?」




さやか「まどか、こっち!」

ブシュウウウウ

ほむら「うっ!」

さやか「まどか早く!」

まどか「さ、さやかちゃん!」

ほむら「まっ...!」


タタタ

さやか「なんなのさあの転校生。コスプレして通り魔かよ!?」

さやか「あんたもあんたでなにその白いの!?」

まどか「わからない...わからないけど、助けなくちゃ...!」

モワワ~ン

さやか「あれ?なんか景色が...」


―――――――――――――


ほむら「......!」


―――――――――――――

黒「これは...」

黒(あの時と同じ...)




魔女の結界

ジャキ

まどか「え?」

ジャキ ジャキ

使い魔「」ジャキ ジャキ

まどか「ひっ!?な、なにこれ...」

さやか「バケモン!?あ、あわわわ...夢じゃ、ないんだよね」

使い魔「」ジャキ ジャキ

さやか「こっ、こっちにくる!」

まどか「いやああああああ!!」


カッ


まどか「あ、あれ?さっきの子たちが...」

さやか「消し飛んだ?」



マミ「危なかったわね。もう大丈夫よ」

まどか「あ、あなたは?」

マミ「私は巴マミ。あなた達と同じ、見滝原中学の三年生よ」

さやか「あの、さっきのはいったい...?」

マミ「説明してあげたいのだけれど...その前に」

スタッ

ほむら「......」

さやか「うっ、転校生...」


マミ「魔女なら逃げたわ。仕留めたいのなら、すぐに追いかけなさい」

ほむら「私が用があるのは...」

マミ「呑み込みが悪いのね。見逃してあげると言っているの」

ほむら「......」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「......」

クルッ




マミ「行ったみたいね...ひとまずキュゥべえを治療しましょう」

パァァァ

まどか「すごい...傷が塞がってく...」

QB「ありがとうマミ。助かったよ」

マミ「お礼はこの子たちに」

QB「助かったよ、鹿目まどか。美樹さやか」

さやか「うぇぇ?あたしたちを知ってるの?」

QB「僕、君たちにお願いがあるんだ」

まどか「お願い?」

QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」



コソッ

黒「......」

黒(なんだあの白いやつは...契約?魔法少女?なにを言っている)

黒(そもそもあいつは契約者なのか?マオと同じ、憑依型の...?)

ザザッ

猫『黒、あの嬢ちゃんが出てきたぞ』

黒「......」

黒(いまは、奴が先か)



マミ「......」

マミ(気のせいかしら。さっき、誰かに見られていたような...念のために、場所を変えた方がいいかも)

さやか「マミさん?」

マミ「ご、ごめんなさい。...二人とも、いまは時間は空いてるかしら」

まどか「空いてます」

さやか「あたしも大丈夫ですよ」

マミ「それじゃ、私の家で説明しましょうか」


―――――――――――――――――――

夜 某所

ほむら「......」

ほむら(間に合わなかった、か...けれど、悔やんでいる暇はない。まどかを契約させないように細心の注意を払わないと)

ほむら(それに、あの仮面の男...ただの不審者とは思えない。彼が今後も姿を現し邪魔するようなら、その正体も探らないと...ッ)

カツン

黒「......」

ほむら(噂をすれば...)


ほむら「...後を追ってきたのかしら」

黒「お前には聞きたいことが山ほどある」

ほむら「答える必要はないわ。さっき言っていた武器のことなんて私は知らない」

黒「武器のことだけじゃない。さっきの金髪の女と白い動物、それに化け物が出る奇妙な空間についてもだ」

ほむら(...!この男、キュゥべえが見えているの?)

黒「もう一度言う。お前が大人しくついてくるなら、手荒な真似はしない」

ほむら「......」

信用できない。そう直感したほむらは変身しようとする。が。

ほむら「......!」

変身を終えた時には既に、目にも止まらぬ速さで距離を詰めた黒に右腕を掴まれていた。

ほむら(速い...!)

黒「...これが最後の忠告だ」

ほむら「......」



ほむら「...警告したはずよ、これ以上、私たちに関わらないで」

バッ


黒(力づくで振り払われた...!?)

技術もへったくれもない、女子中学生とは思えないほどの力で振り払われた黒に思わず驚嘆の色が浮かぶ。

その隙を突き、ほむらは盾に左手を入れ拳銃を取り出し黒に突きつける。

黒は己に向けられるその銃身に左手で射線を逸らし、右手で懐から取り出したナイフを振るう。

その身を切裂く寸前に、ほむらは身を屈め回避。

右手のナイフによる追撃を防ぐため、左手で黒の右手を払い、再び左手の銃を突きつける。

黒は宙回した勢いのままほむらの左手を蹴りあげ、左手に持ち替えたナイフを突きだす。

眼前にまで迫るそれにも怯まず回転を加えた裏拳を黒の左手に当て逸らす。

三度突きつけられる拳銃。さしもの黒も、射線を逸らす余裕はない。

黒は膝を折り曲げ、限界まで上体を逸らし銃弾を回避。そのまま腰を捻り、ほむらの胴体へと向けて回し蹴りを放つ。

ほむらはとっさに肘を挟み込みダメージを軽減。しかしその体重差を覆すことはできず、数メートル弾かれる。

黒の死神はその隙を見逃さない。

黒の目が赤く光り、契約者特有のランセルノプト放射光が身を包み、掌がほむらの顔面へと突き出され


カシャン


時が止まった。



ほむら「......」ハァハァ

ほむら(なんて身のこなし...やっぱり、ただの不審者じゃない)

ほむら(このまま逃げても、おそらくずっと追ってくる。そして無駄な消耗をすることになる。なら...)

静止した黒の身体に、銃を突きつける。

ほむら(当たり所がよければ助かるけれど、もしも悪ければ...)

ほむら(...今さらよ。迷う事なんてないわ。まどかを救うために、何人も―――それこそ、まどかさえ何度も殺してきたのだから)

引き金が引かれる。時間が動けば弾丸は彼を貫く筈。

黒の掌から距離をとるのと同時。



時は、動き出した。



黒「......!」ドサリ

ほむら「...言ったでしょう。これ以上踏み込めば命の保証はできないって」

倒れた黒に背を向け、ほむらは息を整えつつ歩き出す。

ほむら(それにしても...なぜあの男は私が武器を盗んだことを知っていたんだろう)

ほむら(今までのループ通りの道を通り、監視カメラに決して映らないように移動したはずなのに)

ほむら(この時間軸の最大の差異点、地獄門となにか関係が...?)




ヒュッ




ほむら「ッ!?」

突然だった。細い糸状のモノがほむらの右足に絡みついた。

それがなんなのか―――確認した時にはもう遅い。

ほむら「―――――ああああぁぁぁぁぁ!!!」

ほむらの全身を電流が駆け抜ける。

倒れるほむらを見下ろすのは、銃弾を受けたはずの黒。

ほむら「なん、で...」

黒「俺のコートは、俺の能力の発動に反応して防弾仕様に変わる」

黒「お前の能力はわからなかったが―――スピードは俺が上だったな」




黄「終わったか。殺っちゃいねえだろうな」

黒「加減はしておいた。直に目を覚ますだろう」

猫「しかしヘイ。さっきの戦い、結構際どかったんじゃないか?」

黒「...かもな。ホァン、早く車に乗せるぞ」グイッ

黄「わぁってる。...おっと、追加の指令を忘れてた」

黒「?」

黄「尋問には組織の男―――俺の監視役が立ち会うらしい。尋問はソイツの指示があってからだとよ」

今回はここまでです

――――――――――――――


学校

さやか「ねー、まどかぁ。...願い事、何か考えた?」

まどか「ううん、さやかちゃんは?」

さやか「あたしも全然。なんだかなぁ...いくらでも思いつくと思ったんだけどなぁ...。欲しいものもやりたいこともいっぱいあるけどさ」

さやか「命懸けってところでやっぱ引っかかっちゃうよね。そうまでする程のもんじゃねえよなぁーって」

まどか「うん...」

QB「意外だなぁ。大抵の子は、二つ返事なんだけど」

さやか「マミさんにも、よく考えろって言われてるのもあるけど...きっと、あたし達がバカだからだよね」

まどか「え~...そうかなぁ?」

さやか「そう、幸せバカ。別に珍しくなんかない筈だよ。命と引き換えにしてでも叶えたい望みって」

さやか「そういうの抱えてる人は、世の中に大勢いるんじゃないのかな」

さやか「願いが思いつかないってことは、その程度の不幸しかしらないってことじゃん。恵まれすぎてバカになっちゃってるんだよ」

まどか「......」

さやか「なんで、あたし達なのかな?こういうチャンスが欲しいと思っている人は、他にもっといる筈なのに...」

まどか「さやかちゃん...」

さやか「昨日は聞きそびれちゃったけどさ、マミさんもどうしても叶えたい願いがあったのかな...?」

まどか(マミさんやほむらちゃんも...)

まどか(...そういえば、ほむらちゃんなんで今日は休んだんだろう)



とある廃屋

ほむら「ぅ...」

黒「目が覚めたか」

ほむら「......」

黒「盗んだ武器はどこへ隠した」

ほむら「...私の、盾の中に...」

黒「俺との戦いの時に使っていたものか」

ほむら「はい...」

黒「だが、どうやってだ。あんな小さいものに入る筈が無い」

ほむら「あの盾は...私の魔法...」

黒「魔法...お前もあの金髪の女と同じ『魔法少女』なのか。魔法少女とはなんだ」

ほむら「魔法少女は...インキュベーターと契約して...」



組織の男「暁美ほむら。見滝原中学2年の転校生で、元々は虚弱体質だったが、ある日を境に健康そのものになった...か」

猫「あの嬢ちゃんになにしたんだ?」

組織の男「自白剤を打った。少し不安だったが、ちゃんと聞いてくれたようだ」

黄「......」

組織の男「なぜこんなに温い手を―――とでも言いたげな目だな。簡単なことだ。武器を盗まれたこと自体が問題じゃない。その先にある目的が問題だからだ」

組織の男「目的によっては奴を傷付けない方がいいかもしれない...そういう判断だ」

猫「それにしても、魔法少女、か。最初に黒から聞いた時はあいつもあのピンクに染められたんじゃないかと心配したぞ」

黄「だから足を洗わせろって言ったんだ。...銀のやつはもう手遅れかもしれねえけどよ」

黒「契約者は淡い幻想(ゆめ)など抱かない。二次元に対してもな」

黄「おめえはさっさと尋問を終わらせろ」

猫「しかし、『契約』して『魔法少女』になる、か。あくまでも強迫観念に駆られてる俺たちよりも『契約者』の名前が相応しい気もするな」

黄「ケッ、どっちにしたってバケモンには変わりねえ」


黒(こいつの名前、能力、魔法少女、インキュベーター...これらは判った。あとは...)

黒「なぜ、あれだけの武器を盗んだ。テロでもするつもりだったのか」

ほむら「......」

黒「なにかと戦うためか」

ほむら「...はい」

黒「相手はわかるのか」

ほむら「...ワルプルギスの夜。...最大の魔女が...この街に...」



組織の男「......!」

猫「ワルプルギス...大量の武器が必要になるとは、なんかの怪獣みたいだな」

黄「へっ、アホ言ってんじゃねえよ。そんなもんが来るのがわかってるなら、戦わずにさっさとトンズラこきゃいいだろ」



黒「...なにか逃げられない理由があるのか」

ほむら「......」

ほむら(まどかを...守るため...)

ほむら(まどかは...私の...大切な...ッ!)

ガリッ



黒「どうした?」

ブッ ベチャッ

黒「!」

ほむら「」キッ

黒(口の中で肉を噛みきり正気を取り戻したか。しかし...)

ほむら(こいつらにまどかのことが知られれば、彼女の身に危険が及ぶ)

ほむら(それだけはさせない―――絶対に!)

黒(なんなんだ、こいつのこの執念は。ここで逆らえばロクな目にあわないのは解るはずだ。なのに...)


『李さんだってあるでしょ。理屈や計算抜きにして守りたいもの』


黒「......」


組織の男「正気に戻ったところで悪いがひとつ聞かせろ」

ほむら「?」

組織の男「お前から自白剤で聞きだしたのは『武器の隠し方』『魔法少女とインキュベーター』『ワルプルギスの夜』。この三つだ。上辺だけのことしか聞けていないからな」

組織の男「お前の言うワルプルギスの夜は、あれほどの武器を使わなければ勝てない相手なのか?」

ほむら(自白剤...そんなものを使われていたのね)

ほむら(幸い、まどかのことは話していないみたいね。...ここでワルプルギスについて誤魔化す意味もない、か)

ほむら「ええ。勝てるかどうかわからないけれど」

組織の男「いまのままでは戦力が不足していると捉えても構わないな」

ほむら「否定はしないわ」



組織の男「なるほど」

黄「あんた、こんなガキの言う事を信じるつもりかよ?」

組織の男「この状況で俺たちを騙そうとするならもっと現実的な話をする。違うか、契約者」

猫「それもそうだ。契約者なら合理的に考えて、実現性の高い嘘をつく。少なくとも、魔法少女だの魔女だのファンシーなものは交えずな」

組織の男「それに、お前が俺に渡した宝石の特徴も魔女のグリーフシードに一致している。ここまできて嘘だと断言する理由もないだろう」

黄「...それで、あいつの処分はどうするんだ」

組織の男「上に確認をとってくる。お前達はそいつが逃げ出さないように見張っていろ」ガチャリ パタン

ほむら(...いまこの部屋にいるのは、男が二人と猫が一匹。一番厄介なあの男さえ凌げればどうとでもなりそうだけれど...)

黄「下手なこと考えるんじゃねえぞ。仮にオメェが逃げ出せたとしてもだ。組織の手にかかりゃあっという間に見つけられちまう」

黄「とにかくいまは大人しく待ってな。従ってりゃ悪いようにはされないだろうよ」



ガチャリ

組織の男「上からの指令がきた。黄、猫、黒。お前達はワルプルギスの夜を倒すまで暁美ほむらに協力しろ...とのことだ」

ほむら「!」

黄「なっ!?どういうこった!?」

組織の男「この街は組織の拠点の一つだ。さっきの話が本当なら、この街は間違いなく壊滅するだろう。それだけは避けなければならない」

黄「だからってよぉ」

組織の男「上に逆らうのか」

黄「ぐっ...」

ほむら「ちょっと待ってくれるかしら。確かにそこの男は強い。けれど、だからといって魔女に勝てるわけでは」

組織の男「その点は心配するな。黒は魔女と戦い倒した経験がある」

ほむら「!」

ほむら(魔女は魔法少女でしか倒せないはずじゃ...)

組織の男「当然ながら、こちらも武装に関しては積極的にバックアップさせてもらう。契約者は、世間の目につくわけにはいかないため、黒以外は駆りだせないがな」

ほむら「つまり、武器は好きに持って行ってもいい、と?」

組織の男「そういうことになる。職員にはこちらから話を通しておく。...まだ不満があるか?」



ほむら(...この提案、私にとって拒む理由はほとんどない)

ほむら(けれど、そんな都合の良い話があるのかしら。ワルプルギスの夜を倒した後にそのまま組織とやらに連れて行かれるかも...)

ほむら(...関係ないわ。私がどうなろうとも知ったことじゃない。まどかを救えるのなら、なんだって利用してやる)

ほむら「いいえ。それで充分よ」

組織の男「よし。黒、黄。暁美ほむらの世話は任せたぞ」

黒「わかった」

黄「こいつらだけで手いっぱいだってのに...ったく」

組織の男「それと猫。お前に渡したいものがある。ついてこい」

猫「?」


―――――――――――――――



マミ「ティロ・フィナーレ!」カッ

魔女「」シュウウウ

さやか「マミさんカッコイー!」

まどか「わぁ...!」

マミ「もう、見世物じゃないのよ。ちゃんと今後の参考にしてくれてる?」

さやか「い、一応は...」

マミ「困った後輩ね...それじゃあ、今日は帰りましょうか」




テクテク

まどか「あの、ちょっと気になってたんですけど、マミさんはどんな願いを...?」

マミ「私は...生きること、かしらね」

マミ「数年前になるわ。家族でドライブに行った時、大規模な交通事故に巻き込まれてね。そこでキュゥべえと出会って...考える余裕もなかったってだけ」

まどか「......」

マミ「あなた達には選択肢がある。だから、きちんと考えてほしいの。それは、私にはできなかったことだから」

さやか「...あのさ、マミさん。願い事って、自分のことじゃないと駄目なのかな?」

マミ「というと?」

さやか「例えば、あたしなんかよりずっと困ってる人がいて、その人のために願い事をするとかできるのかなって...」

マミ「あまり関心はしないわ。...あなたは、その人の夢を叶えたいの?それともその人の夢を叶えた恩人になりたいの?」

さやか「!」

マミ「他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておくべきだわ。同じようでも、全然違うことよ、これ」

マミ「...キツイ言い方でごめんね。でもそこをはき違えたまま進んだら、きっとあなた後悔することになるから」

さやか「...うん、そうだね。あたしの考えが甘かった。ごめん。...っと、あたしはこっちだから」

マミ「私もここで。じゃあね、二人とも」

まどか「またね~」

テクテク

まどか「魔法少女、かぁ...やっぱり憧れちゃうなぁ」

ノート「」パラリ

まどか(さやかちゃん達には笑われちゃったけど...もしもわたしが魔法少女になったら、こういう衣装にしたいなぁ)フフッ



キコ「あの脚本家、あれ以上キャラを増やすなんてどうかしてますよ!」

マユコ「だよなー。大した内容じゃない癖に需要ないキャラばっか増やしてどうすんだっつーの」

キコ「あれ明らかに自分の推しキャラを贔屓したいがために出しただけですもん。しかもそのせいで主要キャラの出番が食われてるし!」

マユコ「アーッ、思い出しただけで腹立ってきたぁ!」


ドンッ

まどか「きゃっ」

キコ「おっと、すみませ...まどかちゃんじゃないですかぁ!」

まどか「キコさん!」

マユコ「この子知り合い?」

キコ「この前知り合ったんですよ。キルシーちゃん交えて三人でモーリスについて濃厚に語り合った仲です」

まどか「うぇへへ...」

マユコ「へーえ、結構可愛いじゃん」

キコ「そうなんですよ。この色々とちっちゃいところがまたなんとも...あっ」




キコ「ノート落としてましたよ」ヒョイ

まどか「あっ」

マユコ「その反応...ははーん、さては夢小説でも書いてたなオメー」

まどか「夢小説?」

マユコ「トボけちゃって。お姉さんたちに見せてみ」パラッ

キコ「これは...」

まどか「あっ、それは、その...」

キコ「スッゲー可愛いじゃないですか」

まどか「え?」



キコ「これコスプレ用のデザインですよね。なんのアニメを基にしたんですか?」

まどか「こ、コスプレっていうかなんというか...」

マユコ「あたし、こんな衣装見たことねーよ。一時創作でここまでできるなんて天才かよ」

キコ「なんというかこう、着てみたい意欲に誘われますね...そうだ!これを作ってキルシーちゃんも入れて4人で着てみませんか!?」

まどか「うぇ?」

マユコ「おっ、いいねー!中々映えるんじゃねーの!?」

キコ「これなら1着1週間もあれば余裕でできそうですし...っと、まどかちゃんの意見も聞かなくちゃですね」

キコ「ああ、勿論お金とかその他諸々は私たちでやるから大丈夫ですよ」

まどか「いいんですか?」

キコ「モチですよ。。ぶっちゃけ私が趣味で作りたいだけですし」

まどか「わぁ、ありがとうございます!」

キコ「じゃ、出来たらまた連絡いれますから。ノート借りますね」

マユコ「あたしらこっちなんで。じゃーなー」

まどか「さようなら~」

今回はここまでです。

あらかじめ言っておきますが、DTB原作のようにほむらが黒さんに恋をする展開はないとだけ断言しておきます。




まどかの部屋

まどか「~♪」

QB「ゴキゲンだね、まどか」

まどか「キコさん達に、わたしの考えた服、凄く褒められちゃったんだ」ウェヒヒ

QB「きみがノートに書いていたアレかい?変わった人間もいるものだね」

まどか「それでね、完成したら着せてくれるって。楽しみだなぁ...♪」

QB「その時に契約するのかい?」

まどか「違うよ。コスプレ...っていえばいいのかな」

QB「きみにもそういう趣味があったなんて意外だね。僕にはとんと理解できないや」

QB(服なんて所詮は肌を覆う布、そもそも服なんて着る必要なんてないと思うんだけどね。やっぱり人間の価値観はわけがわからないよ)


――――――――――――

翌日

タバコ屋

銀「......」

黒「どうだ」

銀「ダメ。見つからない」

黒「そうか。...今まで見つけたことが無かったんだ。気にしなくていい」

銀「...黒。ポケットの中、見せて」

黒「?...グリーフシードがあるだけだが」ゴソゴソ

銀「それ、貸して」



銀「......」ギュッ

黒「それを握っているとなにかわかるのか」

銀「ぼんやりと感じる」

黒「なにか違うのか?」

銀「わからない」

黒「俺のポケットの中に入っていたのがわかったのは」

銀「わからない。なんとなく感じた」

黒「そうか。...まあいい。場所は」

銀「南東の公園の近く。使い魔か魔女かはわからない」

黒「わかった。とにかく俺はソイツを狩ってくる。2時間連絡が無ければ黄に連絡しろ」

銀「」コクリ


学校

ほむら(午前中の魔女探しはあの男に任せているけれど、大丈夫かしら)

まどか「あの、ほむらちゃん」

ほむら「......」ジッ

さやか「止めときなよ。あの目、もの凄い敵意剥きだしだよ」ヒソヒソ

まどか「だ、大丈夫だよ。ちょっと聞きたいことがあるだけだから」ヒソヒソ

ほむら「...何かしら」

まどか「こ、この前休んでたからどうしたのかなって思って」

ほむら「...別に大したことじゃないわ。話はそれだけかしら」

まどか「う、うん...」

さやか「ちょっと!まどかはあんたを心配してるんだよ!もう少し言い方ってモンが」

ほむら「二人とも」


ほむら「魔法少女のことは、もう聞いてしまったのよね」

さやか「...聞いたらなによ」

ほむら「忠告しておくわ。決してキュゥべえの言う事を信じては駄目。契約することは、全てを諦めることと同意義だから」

まどか「ほむらちゃん...?」

ほむら「忠告はそれだけよ。それじゃあ」スタスタ

さやか「く~っ!なんなのさあいつ!」




携帯「」ブー ブー

ピッ

ほむら「もしもし」

黄『学校が終わったら××へ来な。黒が今日の分の稼ぎを渡す手はずになってる』

ほむら「わかったわ」



放課後

さやか「おまたせーっ」

まどか「今日もよろしくお願いします」

マミ「それじゃ、はりきって行くわよ」






マミ「ここにも反応は無し、と」

さやか「今日は外れっぽいね」

マミ「そういう時もあるわよ。さっ、遅くならない内に帰りましょう」


翌日

マミ「今日も反応はなし、か」

まどか「それだけ街が平和ってことですよね」

マミ「そうね。今日はこの辺りにしておこうかしら」





数日後 夜

マミ(おかしい...この数日、魔女どころか使い魔の気配が一切見当たらない)

マミ(今までこんなこと無かった筈なのに...本当に、魔女がこの街から消えてしまったのかしら」

QB「随分悩んでいるようだね」

マミ「キュゥべえ。...ちょっと、魔女のことでね。もしかしたらこの街にはもういないんじゃないかって思って」

QB「そういえば、ここ数日きみは使い魔とすら戦っていなかったね。けど、残念ながらきみの予想は外れだ。魔女や使い魔はちゃんといる」

QB「ただ、理由はわからないけれど、暁美ほむらがなにやら関与しているらしい」

マミ「え?」



翌日 夜 公園

コツコツ

マミ「......」

ほむら「巴マミ」

マミ「来たわね。...要件はなに?」

ほむら「これ以上、あの二人を魔法少女に誘導しないで」

マミ「誘導?」

ほむら「あなたは無関係な一般人を巻き込んでいる」

マミ「二人はキュゥべえに選ばれたの。無関係なんかじゃないわ。私はただ、二人に後悔しない選択をしてほしいだけ」

ほむら「迷惑よ。魔法少女なんて、この街にはもう要らない」

マミ「自分より強そうな子は邪魔ってわけね。だから私たちが戦えないほどに魔女を狩って鹿目さんたちの考える時間を奪い、キュゥべえを狙った...そんなに自分の力に自信が無いのかしら」

ほむら「...あなたとは戦いたくないのだけれど」

マミ「そう。なら、もう会わないように努力して。話し合いで済ませられるのはもうこれで最後だと思うから」ザッ

ほむら「......」




猫「随分と厳しく言われちまったな。ま、あんなこと言ったら当然か」

ほむら「相変わらず監視に勢が出るわね」

猫「そう邪険にするな。組織と関わるからには、見張りの一人や二人が付くのは常套なんだ」

ほむら「それがあなたの組織とやらの命令なのね」

猫「そういうことになる。おっと、流石に私生活までは報告はしないから安心しろ」

ほむら「......」ジーッ

猫「ま、所詮は俺も契約者。そう易々と信頼を得られるとは思ってないさ」

ほむら「用件は」

猫「この後、例の場所で黒と合流しろ。そこで今日のグリーフシードの稼ぎを渡すとさ」

ほむら「わかったわ」

ほむら(いまのところ、グリーフシードの収穫と武器の調達は順調。後は巴マミをどうにか確保しないと...)





―――――――――――――

数日後

病院 待合室

まどか「わたしここで待ってるね」

まどか(さやかちゃんの邪魔しちゃ悪いもんね)

さやか「そう?んじゃ、遅くなるようだったらメールするから」

まどか「うん」





「...ふぅ」

「...エイプリル、溜め息多い」

「そりゃそうよ。体調管理くらいしっかりできてるから健康診断なんかしなくてもいいってのに、わざわざあいつは...」

「健康は大事。ノーベンバー、いつもそう言ってる」

「せめてMI6のもとで受ければいいのに、たまには民間の病院を使ってみたいだなんてさ。お蔭でこっちは何時間待たされるんだっての」

「肝心のあの男も飲み物買いに行ったきり連絡つかないし。パチンコでもやってんのかしら」

「ノーベンバー、パチンコは嫌いって言ってた。耳に悪い。煙草臭い。財布に優しくない。合理的じゃない」

「言ってみただけよ...はぁ」




さやか「おまたせー」

まどか「あれっ、早かったね」

さやか「それがさー、なんかいまは都合が悪いみたいで会えなかったのよ。せっかく来たのにさぁ」

まどか「残念だったね」




病院 駐輪場付近

まどか「上条くん、早く退院できるといいね」

さやか「ホントにね。...あれ?」

さやか(なにか壁に刺さって...これって!)

まどか「どうしたのさやかちゃん」

さやか「まどか、離れ」

カッ

さやか「ッ!」

ドンッ

まどか「きゃっ!?」



まどか「あ、あれ?さやかちゃん?」キョロキョロ

まどか(壁に刺さってるコレ...グリーフシード...ッ、まさか!)

QB「まどか!」

まどか「きゅ、キュゥべえ!さやかちゃんが結界に...!」

QB「間に合わなかったか...ごめんよ、気付くのが少し遅れてしまった」

まどか「ど、どうしよう!このままじゃさやかちゃんが!」

QB「落ち着くんだ。幸い、魔女は孵化していないみたいだからしばらくは大丈夫なはずさ。まどか、きみはマミを呼んできてくれ。僕は万が一の時のためにさやかと合流して魔女を見張ることにするよ」

まどか「で、でもそれって」

QB「いいから早く!」

まどか「わ、わかった!すぐに呼んでくるからね!」タタタ

QB「さて、と」

QB(しかし妙だね。僕の予測では、結界が開きかけるのはもう少し後だったはず。もしかして、誰かが先に結界に気付いて飲みこまれたのかな?)

QB(とにかく今はさやかと合流しよう。大切な契約候補を失いたくないからね)


―――――――――――――

結界

さやか「マズイ...帰れなくなっちゃったよ」

さやか(まどかが無事なのはいいけど、マミさんどころかキュゥべぇさえいないなんて...これって絶体絶命ってヤツだよね)

さやか(どうしよう。いまは学校の荷物くらいしか手持ちがないよ。こんなので使い魔なんかに出会ったら)

「ちょっといいかな」

さやか「うひゃぁお!?」ビクッ


さやか(ヤバイ!見つかった!とにかく逃げなきゃ...って)

さやか「あれ?人間?使い魔じゃない?」

「使い魔?」

さやか「い、いや、こっちの話」

さやか(白いスーツに短めの整った金髪...なんていうか、いかにも紳士って感じだね)

「少々道に迷ってしまったんだが...きみはここに詳しいのかな?よければ教えてくれると助かるのだが」

さやか「詳しいっていうかなんていうか...」

「なんでも構わない。知っていることがあれば教えてくれないか。...おっと、自己紹介がまだだったね」



ノーベンバー11「私の名はジャック・サイモンです。よろしく、お嬢さん」

今回はここまでです。

タタタ

まどか「マミさん、こっちです!」

マミ「ありがとう。さて...キュゥべえ。状況は?」

QB『まだ魔女が孵化する気配は無いよ』

マミ「美樹さんは?」

QB『いま視界に捉えたよ。なにやらお...』

マミ「キュゥべえ?」

QB『...いや、なんでもない。とにかく、さやかとは無事に合流できたから、結界を刺激しないように慎重に進んでくれ』

マミ「オーケー、わかったわ。いきましょう」

まどか「はい!」



コソリ

猫「あいつら入っちまったぞ」

ほむら(また先を越されてしまった...仕方ない)

ほむら「猫。あなたはすぐに黒をここに呼んで。私は先に彼女たちを追うわ」

猫「了解だ」

猫『聞こえたか、黒。病院の駐輪所前だ』ザザッ

黒『わかった。すぐに向かう』ザザッ

猫「よし。これで...」

草むら「」ガサガサ

猫「?」

エイミー「にゃあああああ!」バッ

猫「ゲッ、またおま」

ガバッ ゴロゴロゴロ

結界「」スポッ

猫「アーッ...」

ほむら「......」ハァ



結界内

ドサリ

猫「ゲフッ」

エイミー「ふにゃあ」

猫「いてて...なんだこの不気味な場所」

ほむら「これが魔女の結界よ」

猫「なるほど。黒が言ってた通り、中々不気味なところだな」

ほむら「わかったら大人しく着いてきなさい。でないと死ぬわよ。...おいで、エイミー」

エイミー「にゃあ」

猫「言われずともな。ああ、ついでにだが、もしも俺が勝手なことをし出したらよろしく頼むぞ」

ほむら「?」

猫「猫の脳は人間に比べて小さくてな。その不足分を組織のサーバーを通じて補っている。だから、組織のサーバーを断たれると俺の自我はこの身体で保てなくなる」

猫「ここは電波が悪いみたいだ。いまはまだ繋がっているが、もしかしたらどこかで切れるかもしれん。その時は身体の方を護ってほしいってことだ」

ほむら「わかったわ。...行くわよ」


―――――――――――――――――

同じく結界内

ノーベンバー「魔法少女に魔女、ね」

さやか「あー...やっぱ信じられないよね」

ノーベンバー「いいや。ここでそんな嘘をつく意味も無いからね。私は信じるよ」

ノーベンバー「とにかく、現状はあまりよろしくない...そういう認識でいいかな?」

さやか「それで大丈夫っス。いや~、話しが早くて助かりますよ」

ノーベンバー「ちなみにきみはまだ魔法少女ではないのかな?」

さやか「うん。あたしはまだ決意が固まってなくて...面目ないです」

ノーベンバー「つまり、もう願いの目処はついていると」

さやか「えっ?い、いや~、あはは...」

ノーベンバー「まあ深入りはしないさ」



QB「さやか。無事でよかったよ」

さやか「キュゥべえ!来てくれたんだ」

QB「いま、まどかがマミを呼んできてくれたようだ。もうしばらくの辛抱だよ」

さやか「は~、助かったぁ」

ノーベンバー「なるほど。そこの猫ちゃんがキュゥべえか」

QB「!」

さやか「えっ、おじさんキュゥべえが見えるの?」

ノーベンバー「白くて耳の長い猫ちゃんだろう?この通りさ」

QB(この男、やはり...)


さやか「キュゥべえ、どうなってるの?あんたって魔法少女の素質がある人にしか見えないんでしょ?」

ノーベンバー「ひょっとして、私も魔法少女の素質があるのかな?」

QB「残念ながら、きみに素質は無いよ。...極まれにイレギュラーがあるんだ。きみはその枠だったということさ」

ノーベンバー「それは残念。願いはないが魔法少女には興味があったのに」

さやか「えっ」

ノーベンバー「冗談さ。猫ちゃん、これからどうすればいいのかな?」

QB「...そうだね。ひとまず、魔女が孵化するのを見張るとしよう。居場所を突き止めておかないといつ不意を突かれるかわからない」

QB「ただ、もしマミ達が来る前に魔女が孵化して襲ってきたら...」

さやか「...うん。お願いね」


――――――――――――――――――


まどか「うぅ......」

マミ「大丈夫?鹿目さん」

まどか「ごめんなさい...やっぱり慣れなくて...」

マミ「怖くて当然よ。でも大丈夫。私がついているから」

フニャァ

まどか「泣き声...?」

エイミー「にゃあ」

まどか「あっ、エイミー」

マミ「知ってるの?」

まどか「はい。わたしがよく見る野良ネコなんですけど...迷い込んできちゃったのかな?」



カツン

ほむら「二人共」

まどか「ほむら...ちゃん?」

マミ「...何の用かしら。言った筈よね、二度と会いたくないって」

ほむら「今回の魔女は私が仕留める。あなた達は下がっていて」


コソリ

猫(オイオイ。そんな強気で食ってかかったら...)



マミ「そうもいかないわ。美樹さんとキュウべえが待ってるもの」

ほむら「彼女達の安全なら保障するわ」

マミ「信用すると思って?」シュルル

ほむら(しまっ...!)

マミが手をかざすと共に、抵抗する間もなくほむらはリボンにより縛りあげられた



猫(やっぱりな。あれじゃ火に油を注ぐようなモンだ)

マミ「ちゃんと帰りに解いてあげるから、心配しないで」

マミ「行きましょう、鹿目さん」

まどか「は、はい...」

ほむら「待って...ぐっ...」ギチリ

ほむら(行ってしまった...仕方ない)

ほむら「猫」

猫「わかってる。嬢ちゃんたちをサポートするんだろ」

ほむら「ええ。それと、魔女が出てきたら決して気を抜かないで」

猫「こんな不気味な場所で気を抜く方が難しいと思うが...わかった」


まどか「ほむらちゃん、私達を心配してくれたんじゃ...」

マミ「そうかもしれない。でも、万が一のこともあるわ」

マミ「...彼女は信用できない」

まどか「...マミさん、なんだか無理してませんか?」

マミ「え...?」

まどか「あの...マミさんが望むなら、私、いつでも契約しますからね」

マミ「で、でもあなたは願いがまだ無いんじゃ...」

まどか「私、ずっと自分が嫌いだったんです。気が弱くて何にもできない自分が...でも、そんな私を変えることのできるチャンスがあることをマミさんは教えてくれた...だから、そんなステキなマミさんの手助けが出来たら、凄く嬉しいなって...」

マミ「...私なんて、そんな憧れるようなものじゃないわよ。いつも色んなものを怖がって...いまもそう」

マミ「無理矢理カッコつけて強がってるけど、戦った後はいつも震えてた。独りの夜は、ずっと泣いてた。私なんて...」

まどか「でも、いまは一人じゃないですよ」

マミ「...私と一緒に戦ってくれるって言うの?」

まどか「はい!」

マミ「...ありがとう。その気持ちはとっても嬉しいわ。駄目だなぁ、ちゃんと先輩らしくしなきゃいけないのに...」グスッ

マミ「でも、願い事はちゃんと決めなきゃ駄目よ?」

まどか「わかってますよぉ」ティヒ


使い魔「」キィキィ

まどか「!」

マミ「気付かれたみたいね...さっさと片付けるわよ!」


マミ(私は一人じゃない...もう、何も怖くない!)



コソリ

猫(...あの嬢ちゃん、浮かれすぎじゃないか?ちょっとマズイかもな)

猫(黒の奴、早く来るといいが...)


――――――――――――――――

さやか「そういえば、おじさんはどうしてここにいるの?」

ノーベンバー「それが私にもサッパリでね。ツレの分まで飲み物を買ってたら、妙なシミに気が付いてね。一瞬眩暈がしたと思ったらここに来ていたんだ」

さやか「そういうことってあるの?」

QB「珍しくはないね。僕を見ることができない人間が偶然結界の近くを通りかかって取り込まれたケースもある」

さやか「おじさん、運が悪かったね。でも、もうすぐマミさんが来てくれるから大丈夫だよ」

ノーベンバー「随分とその子を信頼しているんだね」

さやか「スッゲーカッコいいんですよ。美人だし、強いし、スタイルいいし、なにより優しい!魔法少女抜きにしてもあたしメチャクチャ憧れてるんだ」

ノーベンバー「そこまで豪語してくれるなら心強い」

バァン

マミ「無事かしら、美樹さん!」

さやか「噂をすれば...大丈夫!キュゥべえとおじさんもいてくれたから心細くなかったし」



マミ「あなたは?」

ノーベンバー「初めまして。ジャック・サイモンです。どうぞよろしく」

マミ「巴マミです。あなたはどうして...」

QB「マミ!魔女が来るよ!」

マミ「!」


ズモモ


シャルロッテ(人形)「」ポテッ

まどか「へっ?」



ノーベンバー「あれが魔女か。随分とファンシーだね」

まどか「可愛い...」

さやか「おかしいな、いつもはもっとドロドロしてたりするんだけど...」

QB「あれでも魔女だ。危険なことには変わりないよ」

マミ「せっかく登場したところ悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」

魔女が現れた台座の支柱を蹴り飛ばし、落下させる。

マミは手に持つマスケット銃を振り抜き、魔女を吹き飛ばし壁に叩き付けた。

魔女は動かない。

マミは魔女の頭を撃ちぬき、リボンで縛り上げる。

まどか「わぁ~!」

さやか「いっけー!」

マミ「ふふっ」クスッ

ノーベンバー「......」キュポッ

上空へと持ち上げられた魔女へと向けて、マミは大砲を向ける。

マミ「喰らいなさい...ティロ・フィナーレ!!」

放たれた弾丸は魔女を貫き、そして



シャルロッテ(本体)「」ズルン

マミ「―――え」




ザクッ

シャルロッテ「!?」


魔女の右目に氷の柱が突き刺さる。

マミ「え...?」キョトン

ノーベンバー「道理で無抵抗だと思ったら、なるほど、それがきみの狙いだったわけだ」

まどか「氷...?」

マミ「い、いまのは...」

シャルロッテ「」ギョロン

マミ「っ!」タッ


ノーベンバー(よし、彼女が一旦距離を置くことができた。あとは...)

さやか「お...おじさん?いま、なにを」

QB「...彼は『契約者』だ」

さやか「契約者?」

ノーベンバー「詳しい話は後だ。マミちゃん、一旦こっちに来てくれ」

マミ「は、ハイ!」

銃弾で牽制しつつ、マミはまどか達のもとへと向かい、合流。

そのままノーベンバーの指示でリボンで小規模な結界を張った。

魔女は食らいつこうとするが、リボンに阻まれる。

マミ「でも、これじゃあすぐに...!」

ノーベンバー「すまない、もう少しだけ頑張ってくれ」


ノーベンバー「見ての通り、魔女は私たち4人を標的と見なしてしまった。しかし、このまま4人で固まっていれば誰かが犠牲になる可能性が高い」

ノーベンバー「そこでだ。私とマミちゃんはこのまま二手に別れ、攪乱しながらあの魔女と戦う。君たちは、どちらかが彼女、残った方が私と共に行動してくれ」

さやか(おじさんが何者かはわからないけど、たぶんマミさんと一緒の方が安全だから...)

さやか「...まどか。あんたはマミさんと行って!あたしはおじさんと戦うから!」

まどか「え?あ、う、うん」

マミ「話は纏まったかしら。私が魔女を撃ったら左右に散って。わたしが右で、ジャックさんは左で!」

ノーベンバー「では、御武運を」

マミ「行くわよ!」

パァン

魔女「~~~!」ジタバタ

マミ「鹿目さん!」

まどか「はいっ!」

ババッ


シャルロッテ「」グルン

マミ「最初ははこっち...なら!」

まどかの身体にリボンが絡みつき、エイミーと共に縛り上げられる。

まどか「ひゃっ!」

マミ「これで運びやすくなった。少し乱暴で悪いけれど、我慢してね」

まどか「は、はい」


ノーベンバー(最初があっちで助かった。お蔭でちゃんと対価が払える)

ライター「」カチッ

さやか「ねえ、おじさん...さっきの氷はおじさんだよね。どうやってやったの?」

ノーベンバー「この際、なにが出来るかを把握してもらった方が合理的か...私の能力は、水分を凍結させること。それでさっきの氷を作ったんだ。ちなみにその水分は、さっき買ったジュースで」スゥ

さやか(な、なんだかよくわからないけど、これが『契約者』ってやつなんだ...)

ノーベンバー「あの魔女があそこまで無抵抗だったのが非合理的で気になってね。予めジュースで手を濡らしておいたのさ。残念ながらその予感は当たってしまったわけだ」フゥゥ

さやか(スゴイ...あの時はみんな動けなかったのに、一人だけすごく冷静に判断して...)

ノーベンバー「......」スウゥゥ

さやか(煙草を吸う姿もサマになっててカッコイ...)

ノーベンバー「ゲホッ、ェホッ、ヴェホッ!」ゴホゴホッ

さやか「」

ノーベンバー「ォエッ...煙草は嫌いなんだ...」

ノーベンバー「自分の身体はもとより、周りの人間にも被害を及ぼす...百害あって一利なしさ」

さやか「じゃあなんで吸ったの!?」

ノーベンバー「それが対価だからね」

さやか「サマにならない...契約者っていったい...」


コソリ

猫(あのMI6の伊達男、なんでこんなところにいるんだ)

猫(これじゃあ、あの嬢ちゃんのサポートができない...どの道、あの怪物相手に俺のサポートなんてたかが知れてるか)

猫(待てよ。これで黒があいつと鉢合わせでもしたら...!)

猫「黒。応答しろ!」

ザザッ ピー

猫「クソッ、やっぱり電波が悪すぎて届かん!」

猫(けど、俺はこうして意識を保てている...わけがわからん。なにが起きてるんだ?)


マミ「ハッ!」ドンドンッ

シャルロッテ「」ブルブル

ノーベンバー「そうら、こっちも」ブンッ

シャルロッテ「!」ザクッ

ノーベンバー「まったく...エイプリルがいれば、こうチマチマと攻撃しなくてもいいんだがね」

マミ(いける、このままなら...!)

シャルロッテ「」ズルン

ノーベンバー「!?」

マミ(ジャックさんとも私とも違う方に...!?)



シャルロッテ「」ニパァ

猫「へ?」

シャルロッテ「」グパァ



まどか「エイミーがもう一匹!?」

マミ「くっ!」ジャキッ

マミ(間に合わない...!?)


サクッ

シャルロッテ「?」

―――バチッ

シャルロッテ「!!!???」

突如、魔女は開口し、悲鳴のようなものを上げながら痙攣し始める。

数秒後、魔女は力なく倒れ地に伏せた。

猫「これはまさか...」

魔女に刺さったナイフと、括りつけられたワイヤー。

猫が恐る恐るとその先を視線で辿ると―――



黒「......」




マミ「あれは...」

さやか「黒い...変質者!?」

今回はここまでです。
どうでもいいけど稲妻フラッシュ短歌はゴランには勿体ない神BGMだと思います。




スタッ

黒「...無事だったか」

猫「間一髪でな。助かった」ヒソヒソ

黒「まだお前が契約者なのはバレていないか」

猫「たぶんな。見つかったのはついさっきだ」ヒソヒソ

黒「なら、そのまま普通の猫のフリをしていろ」グイッ

猫「え、なんで掴んで」

ブンッ

猫「のわああああ!?」

マミ「え?っとと...」キャッチ

マミ「もう。猫ちゃんを助けてくれたのはいいけど、乱暴な人ね」



ノーベンバー「まさかきみまで関わっているとは思わなかったよ、201BK」

黒「......」

さやか「おじさん知り合いなの?」

ノーベンバー「ちょっとしたね。...聞かせてもらおうか。なぜきみがここにいる」

黒「」チャキ

さやか「ひっ、刃物!?」

ノーベンバー「そんな物騒なモノは仕舞ってくれ。私に交戦の意思はないんだが」

黒「......」

ノーベンバー「ハヴォックのことを根に持っているのか」

黒「...あいつは、もう誰も殺したくないと言っていた。昔とは変わっていた」

ノーベンバー「だが、いずれ彼女は能力を発動してしまう可能性が高かった。善人ぶるつもりはないが、あれが合理的判断だった」

黒「それがどうした。俺がお前を許す理由にはならない。この前はアンバーがいたが、いまは...!」



ノーベンバー(話し合える雰囲気じゃない、か)

ノーベンバー「さやかちゃん、離れているんだ」

さやか「あの人は敵なの?」

ノーベンバー「残念ながらね。大丈夫、これはわたしたちの問題だ。彼も無関係な人間に危害は加えないさ」

さやか「...でも」


シャルロッテ「」ピクッ


まどか「?」

まどか(いま、魔女が動いたような...)


シャルロッテ「」ズルン

マミ(脱皮!?マズイ!)

シャルロッテ「」グバァ

ノーベンバー「ッ!」

さやか「えっ」

ノーベンバー(間に合わな...)

パァン

魔女の牙がノーベンバーとさやかへと触れる寸前、マミの放った弾丸が牙に命中しへし折った。

シャルロッテ「~~~~~!!」

激痛に悶える魔女の隙を突き、ノーベンバーはさやかを連れて距離をとろうとする。が

ノーベンバー(なにっ!)

運悪く、悶える魔女の頭部が、鞭のようにしなり二人に襲い掛かる。

避けられないと判断したノーベンバーは

ドンッ

さやか「―――ぁっ」

さやかを突き飛ばし、そして。

ゴ ッ

一人、魔女の体当たりで吹き飛ばされた。


マミ「このッ!」

マミは、魔女が彼らから意識を逸らすよう絶え間なく銃弾を浴びせる。

彼女の狙い通り、魔女はマミ達へと向かっていく。

さやか「お、おじさん!」

ノーベンバー「ゲホッ...」

ノーベンバー(いかんな...眩暈がする...吐き気も...頭と内臓が少しやられているかもしれん)

ノーベンバー(これでは戦おうとしたところで足手まといだな)

さやか「どうして...」

ノーベンバー「なに。どうせ避けられないなら、どちらかが無事な方がいいと合理的に判断したまでさ」ゲホッ

ザッ

黒「......」

さやか「あ、あんた...!」

ノーベンバー「...君の力ならいまの私を殺すのは容易いが...どうする、201BK」

黒「......」


シャルロッテ「」ブンッ

まどか「ま、マミさん!」

猫(マズイんじゃないのか、嬢ちゃん)

マミ「くっ...!」

マミ(しぶといわね...あとどれだけ撃てば終わるの)

マミ(それに、鹿目さんと猫ちゃんたちを庇いながら戦い続けるのは限界が―――)


カチッ


マミ(しまった!銃のストックが―――)

シャルロッテ「」ニパァ

ヒュッ サクッ

シャルロッテ「?」

バチッ

シャルロッテ「!!」



シャルロッテ「」ズンッ


マミ「あなた...」

黒「立てるか」

マミ「え、ええ。...あなたは、いったい―――ッ」

シャルロッテ「」ニュルン

マミ「本当にしつこい...!」

黒「だが、再生速度が遅くなっている。直に限界を迎える筈だ」

マミ「...あなた、味方と思っていいのよね」

黒「いまはあの魔女を倒す。それだけだ」

マミ「聞きたいことはたくさんあるけれど...わかったわ」

黒「いくぞ」



パァン

バチィ

さやか「すごい...マミさんもそうだけど、あの仮面の変質者もちゃんとマミさんの動きについていけてる」

ノーベンバー「流石、といったところかな。...やはり、個人の技量では私より彼らの方が優れているな」

さやか「...ねえ、あの人もさっき言ってた契約者なの?」

ノーベンバー「ああ」

さやか「さっきは聞きそびれたけど、契約者ってなんなの?」

QB「契約者は、対価を支払うことで超常的な能力を引き起こす人間のことだ」

ノーベンバー「きみは契約者のことを知っているんだね」

QB「様々な場所を渡り歩いてきたからね。そういう機会もあるんだよ」

ノーベンバー「なるほど」


シャルロッテ「......」

マミ「だいぶ息が上がってきたんじゃないかしら...これでトドメよ」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」カッ

黒(ティロ・フィナーレ...?)

ズアッ

シャルロッテ「」シュウウウ


モワワァ~ン


マミ「...ふぅ。これで終わりみたいね」



病院

まどか「も、戻ってこれたぁ~」ヘナヘナ

マミ「助かったわ。ジャックさんに、黒コートのあなた。お礼をしたいのだけれど...」

黒「必要ない...そのグリーフシードはお前が持って行け」クルッ

マミ「魔女のこともちゃんと知ってるのね。どうやら話してくれそうにもないけれど」

ノーベンバー「おや。私にトドメを刺さなくてもいいのかい?」

黒「...お前の命に拘るつもりはない。今後、俺の邪魔をしないならそれでいい」

ノーベンバー「感謝するよ。現状、戦うことはお互いのためにならないからね」

黒「......」

ヒュッ キュゥッ

まどか「ワイヤーでどこかへ飛んでいっちゃった...」

さやか「あたし達の命の恩人なんだろうけど、なんだったのかねぇあのひと」

まどか(なんだろう。あの人を見てると...)

QB(彼がBK201...なるほど。聞きしに勝る強さだね)


ノーベンバー(私の命に拘るつもりはないが、怒らずにいられなかったというわけか。相変わらず妙な契約者だ)

ノーベンバー(...彼のことも気になるが、いまは...)

ノーベンバー「...すまないが、マミちゃん...病院の受付まで...運んでくれると...助かる...」

ノーベンバー(いかん、意識が...)バタリ

マミ「ジャックさん!?」

マミ(大丈夫...死んでるわけじゃない。ひとまず、私の魔法で応急処置をして...)

マミ「鹿目さん、美樹さん。受付で担架を借りてきて!」

まどさや「はい!」



まどか(その後、エイミーたちを自然に帰して、ジャックさんが担架で運ばれるのを見届け、わたしたちの濃い一日は終わりました)

まどか(マミさんの本音を聞いたり、手強い魔女に遭遇したり。『契約者』というジャックさんと謎の仮面の人と出会ったり...本当に濃い一日でした)

まどか(あの仮面の人は何者だったのか...よくわかりません。けれど、気のせいでしょうか)

まどか(あの仮面の人の背中を見ていると、ほむらちゃんの姿がよぎるのは)




病院 某所

ほむら「...まだ解けないのかしら」ブラーン

今回はここまでです。

――――――――――――――

翌日

公園


猫「昨日は色々と災難だったな。黒とはニアミスするわ、あの黄色の髪の嬢ちゃんからは忘れられるわ...お前を見つけた黄が黒を呼び戻したお蔭で大事はなかったがな」

ほむら「...大したことじゃないわ」

猫「俺も、あの後もしばらくあのエイミーとかいう猫に追われて大変だった...」

黄「銀の奴はどうした」

猫「例の如くあのピンクと遊んでる」

黄「ったく、一丁前に俗世づきやがって...まあいい。今回はあいつは必要ねえからな」



黒「それで、話はなんだ」

黄「MI6の伊達男が入院したらしい」

猫「まあ、あの様子じゃ無理もないだろうな」

黒「話はそれだけか」

黄「あ?...まあ、そんだけだ。暁美ほむらの件が終わるまでは新しい指令も無しだとよ。そこまでワルプルギスとかいうのが気になるのかねぇ」

猫「あれだけの装備でも足りないらしいからな。そうだろう?」

ほむら「ええ。あれで勝てれば苦労はないわ」

黄「へっ、どうだかね。...まぁいいさ。俺には関わりの薄い話だ。バケモンの相手はバケモンってな」

黒「...用事が無いなら俺は帰るぞ」スタスタ

黄「んじゃ、俺も少し羽を伸ばすかね」スタスタ

ほむら「......」



猫「どうした?」

ほむら「...組織というから、もっと結束は固いと思っていたけれど...」

猫「まぁ、所詮は契約者と人間だ。互いの実力を信頼はしているが、それだけだ。あれでも少し前よりはだいぶよくなったんだぞ」

ほむら「あれで...随分とビジネスライクな考えなのね」

猫「それで、お前はどうするんだ?」

ほむら「別にどうもしないわ。魔女を探してグリーフシードを補充する」

ほむら「できれば巴マミを戦力に引き入れたいけれど...」

猫「そのことなんだがな。お前がそのまま交渉しにいったところで昨日の二の舞になる気がしてならない」

ほむら「...でも、あれ以外に方法を知らないわ」

猫「お前はもう少しコミュニケーションって奴を覚えろ。幸い、いい手本が近くにいるしな」

ほむら「いい手本?」


――――――――――――――――――――――――

病院

ディケイド「怪我は大事ないのかね」

ノーベンバー「ええ。まだ存分に身体を動かせる訳ではありませんが」

ディケイド「きみほどの男がここまでされるとはな。一体なにがあったんだ?BK201の星も共に輝いていたらしいが、奴と遭遇したのか」

ノーベンバー「契約者とて人間です。質量を持った巨大な塊をぶつけられればたまったものじゃない」

ディケイド「つまり」

ノーベンバー「車にはねられたんですよ。最近の車は音があまり出なくてね。気が付いた時にはドカン、ですよ」

ディケイド「...まあ、きみがそう言うのならそういうことにしておこう。なにを調べているのかはわからんが、あまり無茶はしてくれるな。きみはMI6の最高のエージェントなんだからな」

ノーベンバー「御心遣い、感謝します」

ガララ



ノーベンバー(明らかに不審な報告でも追及せずにそのまま流した。まるで、お前もこの事を口外するなとでも言うかのように。まさか、彼は魔女のことを知っている?いや、だとすれば私が魔女の結界に巻き込まれたという情報はどこで手に入れた?)

ノーベンバー(それに、私はここに入院したことを彼に伝えていない。エイプリルが連絡を入れた可能性もあるが...)

ガララ

エイプリル「ヤッホー」

ジュライ「......」

ノーベンバー「君たちか。ちょうどいい。君たちはディケイドに私が入院していることを伝えたか?」

エイプリル「してないわよ。相方がこんなヘマした姿を見られたら私の評価も下がりそうだし」

ジュライ「」フルフル

ノーベンバー「なるほど」

エイプリル「えっ、もしかしてあの人来ちゃったの?」

ノーベンバー「いいや。私も上司にこんな姿を見られたくはないと思ってね」

ノーベンバー(と、なると、一体誰が彼に...?)


コンコン

「失礼します」ガララ

エイプリル「ドモー」

ノーベンバー「いらっしゃい、ミサキ」

未咲「......」

ノーベンバー「どうしました?」

未咲「いえ。本当に入院しているとは思わなくて。急にあなたから電話がかかってきた時は、半ば冗談かと思っていました」

ノーベンバー「流石にそこまで意地の悪いことはしませんよ。それで、例のものは」

未咲「ああ、ハイ。まずは見舞いの品と...」

エイプリル「おっ、リンゴ?ありがとね~」

未咲「それと、頼まれていたDVD」

エイプリル「えっと...『ハリー・ポッ○ー』『魔法少女リリカルな○は』『C.○さくら』...また妙なものも借りてきたわね」

未咲「失礼ですが、なにに使用するつもりで?」

ノーベンバー「ジュライが見たがっていましてね。ここで私の看病をつきっきりでさせるだけでは申し訳ないと思い、頼みました」

未咲「そうなの?」

ジュライ「......」

ジュライ「」コクリ


エイプリル「これは珍しいものを見たわ。ドールが娯楽を愉しむなんてね」ケラケラ

未咲「...まあ、なんにせよ、大事が無くて幸いです。期限は一週間なのでそれまでには返却しておいてください。店舗はここです」ピラッ

ノーベンバー「ありがとうございます」

未咲「では私はこれで」

エイプリル「あら、もう帰っちゃうの?」

未咲「仕事がありますので」

ノーベンバー「その前に一つだけ」

未咲「?」

ノーベンバー「貴女に頼んだこの三作品、共通点はなんだと思いますか?」

未咲「共通点...?」

ノーベンバー「正解は『魔法』。こんなモノが実在したら、素敵なことだとは思いませんか?」

未咲「...?」

ノーベンバー「...失敬。冗談のつもりでしたが、今回ばかりは通じなかったようだ」

未咲「はぁ...まあ、お大事に」

パタン



ノーベンバー「...さて。では、早速見るとするかな」

ジュライ「」コクリ

エイプリル「あたしはパス。映画とかあんまり興味ないし」

ノーベンバー「それは残念。...ところで、きみは『魔法』というものは実在すると思うかい?」

エイプリル「さぁねえ。少なくとも、誰も見たことがないんなら無いんじゃないの?」

ノーベンバー「合理的な答えだな。私もそう思う」

エイプリル「んじゃ、あたしは適当に店行って呑んでくるわ。なんか用があったら連絡ヨロシク」

ガララ


ノーベンバー「ジュライ、きみはどうする?」

ジュライ「...ノーベンバー、嘘ついた」

ノーベンバー「私の意を汲んでくれたのは助かったよ。...怒っているのかい?」

ジュライ「違う。ノーベンバーが嘘をついてまで見たかったモノが気になった」

ノーベンバー「そうだな...きみには協力を頼んだ方が合理的か」

ノーベンバー「ひとつだけ約束してくれ。この件は私たち二人だけの秘密、つまりは誰にも話さないことを」

ジュライ「」コクリ


――――――――――――――――――


ホウムラン軒(ラーメン屋)

王泰明(店主)「いらっしゃい...おっ、きみか」

黒「お邪魔します」

泰明「今日もイイ喰いっぷりを見せてくれよ!」

黒「そんな期待するようなものじゃ...」


ガララ

泰明「いらっしゃい」

未咲(たまにはこういうのも...って)

黒「あれ?霧原さん?」

未咲「李くん?こんなところで会うなんて奇遇ね」

黒「霧原さんもお昼ですか?」

未咲「ええ。ちょっと知人のお見舞いに行ったついでに腹ごしらえをしたくて」

黒「あのホテルのパーティで一緒になった人ですか?たしか斎藤さん...」

未咲「彼じゃないわ。仕事相手よ。誰かまでは教えられないけど」

黒「そうなんですか。...すぐに良くなるといいですね」

未咲「そんな大層な怪我じゃないらしいから大丈夫よ。...隣、いいかしら?」

黒「どうぞ」



ズルズル

未咲「李くんはよくここに来るの?」

黒「ええ。お昼のメニューに困ったら大体ここに来ます」

泰明「それで毎回丼ぶりの山を作ってくんだよねぇ」

黒「それほどでもないですよ」ズルズル

泰明「言ってる側から何杯目なんだか。李くんの食いっぷりは一つの名物みたいなもんだよ」

泰明「ウチとしてもこんなに美味そうに食ってくれるのはありがたいしね」ハハッ


コソコソ

ほむら「......」

猫「信じられない、ってツラだな」

ほむら「だって、あの愛想のない仏頂面で、目付きが悪い男があんなにも物腰が柔らかくなるなんて...」

猫「そのままお前に当てはまることだな」

ほむら「まるで二重人格じゃない」

猫「そうだな。どっちがあいつの本性かはわからないが」

猫「とにかく、俺が言いたいのは、あそこまでとは言わないが、人あたりはよくできるようにしとけってことだ」

王理花(店主の娘)「あっ、フェルナンデス!」

ほむら「えっ」

猫「みゃぁ」

ほむら「ふ、ふぇるな...?」

理花「相変わらず可愛いんだから。お腹空いたの?ちょっと待っててね、すぐにキャットフード持ってくるから」

猫「ふにゃぁ」

ほむら(こいつも黒に劣らず大概ね)



黒(暁美ほむら...?こんなところでなにを)

未咲「どうしたの?」

黒「いえ、あのフェルナンデスって野良猫、この辺りでよく見るなと思って」

泰明「理花がよく面倒見るから懐いちまってんだろうねぇ。理花、猫の餌はこっちの仕事が片付いてからにしてくれ!」

理花「はーい」

黒「すいません。ちょっと外の空気を吸ってきます」

泰明「そのまま食い逃げとかは止めてくれよ?」ハハッ

黒「そんなことしませんよ」


ガララ

黒「なんの用だ」

ほむら「...別に。なにもないわ」

猫「こいつにコミュニケーションの手本を見せに来ただけだ」

ほむら「ちょっと...」

猫「そうやってすぐに顔を曇らせるのも悪い癖だな。...で、どうだ。基礎くらいは教えてやってくれないか」

黒「......」

黒「笑顔くらいは作れるようにしておけ。話はそれからだ」

猫「だとさ」

ほむら(笑顔...)

ほむら(...無理よ。例え嘘でも、もう笑うことなんて...)


ガララ

未咲「ごちそう様でした」

泰明「毎度ありー」

黒「あれ、もう帰るんですか?」

未咲「普通はラーメンは一杯食べれば充分なのよ。...あれ?」

ほむら「......」

未咲「この子は知り合い?」

ほむら「...え、えっと」

黒「道を尋ねられたんです。この子、最近転校してきたみたいで」

黒(俺に話を合わせろ)コソッ

ほむら「は、はい。その、まだ退院したばかりで土地勘が鈍くて」

未咲「どこか行きたいところがあるの?」

ほむら「え?えっと...」

黒「病院です。いつでも通えるように道を覚えておきたいらしいです」

未咲「そうなんだ。よかったら一緒に行こうか?私も用事があるの」

ほむら「だ、大丈夫です。散歩も兼ねてますから」

未咲「そ。早く慣れるといいわね。それじゃあね」

黒「はい。さようなら」



ほむら「...彼女は?」

黒「外事四課だ。警察の組織で、契約者絡みの事件専門の人間だ」

ほむら「それって、あなたの敵じゃ」

黒「どちらかといえばな」

ほむら「じゃあ、なんであんなに仲良くしているの?」

黒「イチイチ目くじらを立てて対立する意味もない」

猫(よく言うぜ。アンバーの時といい、昨日といい、完全に頭に血が上っていた癖に)

黒「お前にどんな事情があるかは知らないが、わざわざ敵を増やす意味はない。まずは相手の信頼を得るために立ち回れ」

ほむら「......」

今回はここまでです

乙です
時系列的にはアンバーと会った後で、ケンジとはまだ会っていない頃かな?

>>169
時系列的にはアンバー、ケンジとは会った後で、きよぴー回の前の頃です。


夕方 マミの家

ピンポーン

マミ『はーい』

ほむら「...暁美ほむらよ」

マミ『あ、暁美さんっ!?』

マミ『と、とりあえずあがって!すぐにお茶を淹れるから!』

ほむら「はぁ...」


マミ「こ、紅茶...です」

ほむら「」ペコリ

マミ「......」

ほむら「......」

マミ(気まずい)

マミ(ぜ、絶対昨日、置いて行っちゃったことを怒ってるのよね?殺されかけたことやジャックさんのことが重なった所為で忘れていたとはいえ、縛ったまま置いて行くのは我ながらヒドイと思ったわ)

マミ(思い出してすぐに病院に見に行ったらリボンが切り裂かれてたから、脱出できたとは思ったけど...そりゃ怒るわよね)


ほむら「巴マミ」

マミ「はいっ!」ビクッ

ほむら「私の忠告の意味、理解してくれたかしら」

マミ「...ええ。私一人だったら、たぶん...」

ほむら「なら、もうまどか達を結界に連れまわすべきじゃない。わかるわね」

マミ「そう、ね。私があの魔女に負けてたらきっと彼女たちは望まない契約をしていたから...」

ほむら「......」



ほむら(こういう時はたしか...)


黒『独りであることを気にしている相手には、こちらから譲歩し歩み寄ってやれ。それだけでもかなり有効だ』

黒『...なるべく笑顔でな』


ほむら(...どうせこのままでは協力ができそうもない。なら...)



ほむら「...寂しいのかしら」

マミ「え?」

ほむら「私は、可能ならばあなたとは敵対したくない。むしろ、力を貸してほしいと思っている」

マミ「え?」

ほむら「あなたさえよければ、力を貸してもらえると嬉しいわ」

マミ「!」




ほむら「」ニ コ ォ

マミ(目元はそのままで、口端が痙攣してもの凄い不自然な笑顔に...!)

マミ(怪しい、怪しいわ!この子は一体なにが目的なの!?)

マミ(......)

ほむら「......」ヒクヒク

マミ「...ぷっ」

ほむら「えっ」

マミ「ふふふ。ご、ごめんなさい。あなたって凄く不器用なのね」クスクス



ほむら「え、えと...」

マミ「ふふっ...昔ね、お母さんから教わったの。『料理の美味い男と笑顔を上手に作れる女は信用しちゃいけない』って」

マミ「でも、もの凄い必死に笑顔を作ろうとしてるあなたを見てたら、今まであなたに対して必要以上に警戒していた自分が馬鹿らしくなっちゃって」

ほむら「...そんなに変な笑顔だったかしら」

マミ「ええ。信頼してほしいって言うのが凄く伝わってくる笑顔だったわよ」

ほむら「......」プイッ

マミ「拗ねちゃった?」

ほむら「...そ、そんなことより協力の件は?」

マミ「私なんかでよければ、力になりたいわ。勿論、内容次第になるけれど」

ほむら「!」

マミ「...今までごめんなさい、暁美さん」


ほむら(...いつもそうだ)

ほむら(誰にも頼らないと決めているのに、こうして裏の無い善意を向けられると)


ほむら「...いいえ、こちらこそ」

ほむら(いつだって、信じたくなってしまう)


―――――――――――――――――――――

病院

ノーベンバー「これで借りたものは全て見終わったか」

ジュライ「......」

ノーベンバー「さて、早速だが質問だ。きみが見たこの三作品の『魔法』。このどれもが同じ原理で発動されていたと思うかい?」

ジュライ「......」フルフル

ノーベンバー「私もそう思う。...なぜこんな質問を?という顔だね」

ノーベンバー「『魔法』とはそもそもなんなのかを確かめておきたかったのさ。一般認識における『魔法』をね」



ノーベンバー「...さて、ジュライ。いきなりで悪いが、ひとつきみに頼みたいことがある。いいかな?」

ジュライ「」コクリ

ノーベンバー「この周辺に、桃色のツインテールで小柄な少女、髪飾りを付けた青い髪の少女、黄色い髪のロールを巻いた少女、耳毛の長い白猫。この内、誰かを見つけたら案内してほしいんだ」

ジュライ「...観測霊を飛ばしてみる」

ノーベンバー「よろしく頼むよ」




――――――――――――――――
廊下

タタタ

さやか「ハァ...ハァ...」

さやか(信じない。恭介の腕が二度と治らないなんて!)



恭介『もう治らないんだ!奇跡や魔法でもない限り!』


さやか(奇跡も魔法もある。あたしは知っている。あたしが、恭介の腕を治すんだ!)


屋上

さやか「キュゥべえ!」

QB「やあ、さやか。...その様子だと、願いが決まったみたいだね」

さやか「うん。あたしの願いは恭介の腕を治すこと。できる?」

QB「その程度なら、きみの素質があれば充分だ。本当にその願いでいいのかい?」

さやか「うん。やって!」

QB「それじゃあ...」ピクッ

さやか「どうしたの?」

QB「いや...」


ノーベンバー「おや。邪魔してしまったかな」

ジュライ「......」


さやか「おじさん!なんでここに...って、そっか。おじさん昨日入院しちゃったんだ」

ノーベンバー「たまたま見かけたから声をかけようかと思ったんだが、例の『契約』中だったかな?」

さやか「う、うん...止めないでね、おじさん」

さやか「あたし、どうしても叶えたい願いがあったんだ。でも、ずっと悩んで先に延ばしたせいで恭介を傷付けたし、それに...」チラッ

ノーベンバー「?」

さやか「...おじさんにも怪我させちゃったし」

ノーベンバー「ああ、これなら心配ないさ。大した怪我でもないからね」

さやか「でも、あの時あたしを庇ったから」

ノーベンバー「昨日も言ったが、どの道私はやつの攻撃を受けていた。そんなに気に病むことじゃないさ」

さやか「けど、あたしが最初から魔法少女になってれば、おじさんも怪我せずに済んだかも...」

ノーベンバー「...契約をするかどうかはきみの意思次第だ。最初から止めるつもりはないよ」

さやか「じゃ、じゃあ」

ノーベンバー「ただ、その前に少し私に時間を譲ってくれないかな?」

さやか「え?」


ノーベンバー「私は魔法少女の契約システムに個人的な興味があってね。彼に聞きたいと思っていたんだが、会う方法がわからなくてね。実を言うと、きみに声をかけようとしたのもそのためだ」

さやか「...えっと、時間を譲るって、あたしが契約する前にキュゥべえと話したいってこと?」

ノーベンバー「そういうことになる。もしきみがいますぐ契約すれば、彼がここにいる理由も無くなるからね。いまは一秒を争う事態でもないだろう?」

さやか「そりゃまあそうだけど...わかった。おじさんにはお世話になったし、言う通りにするよ」

ノーベンバー「ありがとう。さて、ネコちゃん。早速だが...」

QB「僕は応じるとは言ってないけどなぁ」

さやか「答えてあげなよ。昨日散々お世話になったんだからさ」

QB「やれやれわかったよ」

今回はここまでです


QB「それで、僕に聞きたいことはなんだい?」

ノーベンバー「きみの魔法少女システムを聞いた時にふと気になってね。なぜ、君たちは魔法少女を生み出すんだい?」

QB「願いを求める少女がいるからさ。そして、願いを叶えた対価として魔女と戦うのが魔法少女の使命さ」

ノーベンバー「...言い方を変えよう。君たちはなぜ、『願いを叶えてまで魔法少女を生み出す』んだい?」

QB「!...」

さやか「おじさん?」

ノーベンバー「仮に魔法少女が存在せず、魔女が放置されていたとしよう。だが、それできみに何のリスクがあるんだい?」

ノーベンバー「君たちが魔女に襲われる可能性があるから?いいや、そんなことはない。魔女が襲うのは人で、しかも君たちは魔法少女のソウルジェムがグリーフシードでなければ浄化できない仕組みを作るほどに魔女について知っているんだ。ならば、魔女に襲われないように回避することも容易いはずだが」

さやか「そういえば...」

ノーベンバー「それに、きみは契約者の存在を知っている口だった。なら、わざわざ少女が願いを叶えるの待つよりは、契約者を雇った方が合理的だと思うが」

QB「......」



QB「僕が魔女を倒してほしいと願うのは、魔法少女候補が死ぬ確率を減らしたいからさ。さあ、これできみの問いには―――」

さやか「待ってキュゥべえ。それじゃ、『どうして願いを叶えてまで魔法少女にしたがるか』って質問に答えてないよ」

QB「...やれやれ、きみもか」

さやか「...どうしてキュゥべえはあたし達の願いを叶えてくれるかなんて考えたこともなかった」

さやか「でも、よく考えたら引っかかるところが多い気がするんだ。どうして魔女を倒す以外に魔力を回復させられないのかとか」

さやか「だからお願い。あたしにも教えて。キュゥべえがいったいなにを考えているのかを」

QB(...このぶんだとさやかは契約しそうにないね。仕方ない)

QB「わかった。見せてあげるよ。勿論きみにもね、ジャック・サイモン」


***************************

僕たちが契約を結ぶ理由。

全てはね、この宇宙の寿命を延ばすためなんだよ。

君たちはエントロピーっていう言葉を知っているかい?

簡単に例えると、焚き火で得られる熱エネルギーは、木を育てる労力と釣り合わないってことさ。

エネルギーは形を変換する毎にロスが生じる。宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方なんだ。

だから僕たちは、熱力学の法則に縛られないエネルギーを探し求めて来た。

そうして見つけたのが、魔法少女の魔力だよ。

僕たちの文明は、知的生命体の感情を、エネルギーに変換するテクノロジーを発明した。

ところが生憎、当の僕らが感情というものを持ち合わせていなかった。

そこで、この宇宙の様々な異種族を調査し、君たち人類を見出したんだ。

人類の個体数と繁殖力を鑑みれば、一人の人間が生み出す感情エネルギーは、その個体が誕生し、成長するまでに要したエネルギーを凌駕する。

君たちの魂は、エントロピーを覆す、エネルギー源たりうるんだよ。

とりわけ最も効率がいいのは、第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移だ。

ソウルジェムになった君たちの魂は、燃え尽きてグリーフシードへと変わるその瞬間に、膨大なエネルギーを発生させる。

それを回収するのが、僕たち、インキュベーターの役割だ。

********************************

―――――――――――――――――――――――――


さやか「魔法少女が...魔女に...?」

ノーベンバー「...これは驚いた。てっきり私は君たちが生み出した廃棄物の処理をさせているだけだと思っていたが...」

ジュライ「......」

QB「これでわかっただろう。なぜ僕らが契約を結ぶのか―――その質問には答えたよ」

さやか「ふざけないでよ!魔女を産みだしたのはあんただっていうの!?」

QB「否定はしないよ。正確には君たちの絶望が」

さやか「そんな屁理屈はいらない!あんた、自分がなにやってるのかわかってんの!?」

QB「なにも僕たちが悪意を持って魔女にしている訳ではないとは説明しただろう?ちゃんと君たちとの合意のもとに契約しているからね」

さやか「でも、あんたそんなこと言ってなかったじゃん!」

QB「聞かれてなかったからね。聞かれていないことは言う必要がないよ」

さやか「この―――」

トンッ

さやか「へっ?」

ノーベンバー「失礼。あまりに怖い顔をしていたものだから、つい」


ノーベンバー「さやかちゃん。私はね、彼の言っていることもわからなくはないんだよ」

さやか「なっ!?おじさん、コイツの味方をするの!?」

ノーベンバー「どちらに味方をする、という訳ではないんだが、彼の全てを否定するつもりはないとだけ言っておこうか」

ノーベンバー「さっき頭の中に流れてきた映像だが、きみは随分と昔から魔法少女を生み出してきたようだね」

QB「そうだよ。僕たちは有史以前から多くの少女たちと契約してきた。当然、その中には人類の文化の発展に関する願いも少なくなかった」

ノーベンバー「つまり、私たちがこうして生活できているのも彼らの恩恵が大きいということさ。...まあ、少女のみを犠牲にするというのは考えものだが」

さやか「でも、魂を抜かれて魔女になるなんて、そんなの...!」

ノーベンバー「私は納得した上でなら構わないと思うよ」

さやか「!?」


ノーベンバー「例えば、昨日の金髪の子...マミちゃんだったかな。きみは彼女をどう思う?」

さやか「どう思うって...カッコよくて、優しくて、憧れてるよ」

ノーベンバー「彼女も魂を抜かれていて、いずれは魔女になる存在だとしても?」

さやか「そ、そんなの関係ないでしょ。マミさんはマミさんだよ」

ノーベンバー「その通り。彼女が契約していようがいまいが私たちには些細な問題だ。それで彼女の人間性が貶められる訳ではないからね。尤も、本人がソウルジェムについてどう思うかはその人次第だが」

さやか「...そんなに簡単に割り切れないよ」

ノーベンバー「そう思うなら契約しなければいいし、彼女たちにも魔女のことは内緒にしておけばいい。世の中には知らない方が幸せなこともある―――それだけのことじゃないかな」

ノーベンバー「まあ、強いて不満を挙げるなら長生きをするのが難しいってところかな。ソウルジェムのその性質からして、あまり長生きできないんだろう?」

QB「否定はしないよ。実際、本来の寿命に達するまで魔女にならなかった例はほとんどない」

ノーベンバー「そういう説明はあった方がいいかもしれないな。それだけでもこういう不満は減るだろう」

QB「なるほど。参考にしておくよ」



ノーベンバー「とにかくこうして真相を知れたんだ。ならきみはネコちゃんを憎み全てを否定するよりも、きみ自身がなにを選択するかを考えるべきじゃないかな」

さやか「そう、なのかな...ありがとおじさん。ちょっと頭冷やして考えてくる」

QB「契約したくなったらいつでも呼んでくれ。僕はどんな願いでも受け入れるよ」

さやか「あんたは黙ってて。...それじゃ、お大事に」

ノーベンバー「ごきげんよう」

さやか(あたしがなにを選ぶか、か...)




QB「やれやれ。だいぶ嫌われてしまったみたいだ」

ノーベンバー「おや?ショックを受けているのかい?」

QB「そういう感情があれば僕もこの星に来る必要はなかったんだけどね」

ノーベンバー「それもそうか。では、次の質問だが...」

QB「まだ続けるつもりかい?」

ノーベンバー「せっかくの機会だからね」

QB「...ジャック。僕は聞かれたことには嘘はつかないと言った。だから、このまま質問を続けるならそれはそれで構わない」

QB「けれど、きみはさっきさやかに言ったよね。世の中には知らない方が幸せなこともあると。それはきみにも当てはまることだと思うよ」



ノーベンバー「ふむ。ということは、きみはなにか重要な―――」

クイッ

ジュライ「」フルフル

ノーベンバー「ジュライ?」

ジュライ「ノーベンバー、僕を信じて」

ノーベンバー「......」

QB「聞きたいことはあるかい?」

ノーベンバー「...いや。今日はここまでいい。付き合ってくれてありがとうネコちゃん」

QB「そうかい。じゃあ、僕はこれで」



ノーベンバー「...ジュライ。きみはなにか知っているのか?」

ジュライ「」フルフル

ノーベンバー「ならばなぜ?」

ジュライ「キュゥべえは嘘をつかないって言っていた」

ジュライ「だから、たぶんノーベンバーは知らない方がいいことがあると思った」

ノーベンバー「...なるほど。合理的な判断だ。好奇心でパンドラの箱を開ける必要もない、か。助かったよジュライ」

ジュライ「...ノーベンバー、少し変わった」

ノーベンバー「?」

ジュライ「魔女は僕たちも襲う。だったら、魔法少女もハヴォックみたいに危ないはず」

ノーベンバー「...変わった、か。確かに以前なら殺してしまった方がいいと考えただろうね」

ノーベンバー(契約者でありながらおよそ契約者らしくない彼―――201BKの影響、かもしれないな)

ノーベンバー「さて。怪我人は怪我人らしく、舞台からおりるとしようか。ジュライ、迎えが来るまで私の部屋にいるといい」

ジュライ「」コクリ



――――――――――――――――

キコの家

キコ「じゃーん♪どうですかコレ?」

まどか「スゴイ...わたしが考えた服が実際に...!」

マユコ「まだキコの分しかできて無いけどな。けど、コツは掴んだからまどか達の分も時間の問題だぜぇ」

銀「...触らせて」

キコ「どうぞどうぞ~」

まどか(そっか、キルシーちゃん、目が見えないから...)

銀「......」ペタペタ

キコ「どうですかな?」

銀「...見えないけど、感じる。すごくかわいい」

キコ「でしょ~!キルシーちゃんのぶんもちゃんと作りますからねぇ!」

銀「」コクリ

マユコ「さっ、二人の寸法測るからな。動くなよー」

キコ(李さん鎖骨コレクションに加え、キルシーちゃんとまどかちゃんの魔法少女コレクションがこのカメラに...あぁん、完成が待ちきれない!)









帰り道

まどか「随分暗くなっちゃった...あっ、大丈夫だよ。キルシーちゃんはちゃんと送り届けるから」

銀「ありがとう」

まどか「ウェヘヘ...ねえ、キルシーちゃん。その、いきなりこんなことを聞くのもなんだけどいいかな」

銀「」コクリ

まどか「私の先輩がね、いつも大変で辛そうなの。でも、その人は特別な事情があって、わたしじゃ全然届かないところにいて」

まどか「どうにか力になりたいんだけど、わたしになにかできることはないかなって...」

銀「...私は大切な人は、側にいてくれるだけで嬉しい」

銀「きっと、まどかも側にいるだけでいい」

まどか「でも、わたし、ドジでノロマで、なんの取り得もないし...」

銀「ちがう。まどかは優しい。一緒にいて、楽しい。...だめ?」

まどか「...ううん。ありがとう」



「~♪」

まどか「あれ?仁美ちゃん?」

仁美「こんばんわぁ、鹿目さん。奇遇ですわね~」

銀「......」

仁美「あら、お友達ですかぁ?」

まどか「うん。キルシーちゃんっていうの」

仁美「あらあらまあまあ。素敵ですわぁ。是非鹿目さんと共にご一緒くださいまし~」

まどか「へ?あの、どこへ行くの?」

仁美「ここよりも素敵な場所ですわ~」

まどか(な、なんか仁美ちゃんの様子がおかしいよ)

銀「......」

仁美「ではお先に失礼しますわ~」

まどか(な、なんか工場に入っていってるし...心配だよ)

まどか「うぅ...ごめんキルシーちゃん。わたし、仁美ちゃんを追うね」

銀「私もいく。まどかが心配」

まどか「え?あ...ありがとう」

銀「......」

今回はここまでです

―――――――――――――――

その頃

男「......」フラフラ

コソッ

黒「......」

猫「なるほど。ああいう様子のおかしいやつを見つけたらソイツが妖しいってわけか」

黒「たまに酔っ払いの時もあるがな。大体はこれで魔女に辿りつく」

男B「......」フラフラ

猫「おっ?」

ゾロゾロ

猫「似たような奴らがいっぱい来たな。これは当たりなんじゃないか」

黒「このまま奴らに同行して魔女を探る。お前は巻き込まれないように...」ピクッ




銀の観測霊『......』




猫「銀の観測霊?なんでこんなところに」

銀の観測霊『......』

黒「なにかあったのか」

銀の観測霊『......』

スゥッ

猫「...?消えた?」

黒「いや、場所を移動しただけだ」

スゥッ

銀の観測霊『......』

猫「なんだ、消えたと思ったらまた出てきたぞ」

黒「...ついてこいということか」


工場

ゾロゾロ

まどか(い、いっぱい人が集まってきちゃった...!)

銀「......」

仁美「さあ、はじめましょう~」

まどか「なにをするつもりなの?」

仁美「魂を肉体から解放するのです。今夜はその儀式ですのよ~」

まどか「儀式?」

ドボドボ

まどか「あ、あれって...!」

仁美「儀式に必要なものですわ~」

まどか「駄目だよ!あれは混ぜたら危ないって,,,ッ!」

まどか(仁美ちゃんの首に魔女の口付けが!)

まどか「仁美ちゃん!」

ドムッ

まどか「うっ」

仁美「いけませんわ~これは神聖な儀式なのです~」

まどか「仁美ちゃん...目を覚ましてっ!」

銀「...ヘイ」ボソッ



ガシャン


仁美「!?」



黒「......」

男「お、おれたちの儀式がぁ...」

女「じゃぁまをぉしないでぇ」

ガッ ドサッ

仁美「あら?」

襲いくる人々を瞬く間に気絶させていく黒。

仁美「あららぁ?」

気が付けば、残るは仁美のみ。

仁美「あ、ら」

あっという間に腕を掴まれ、電流を流され気絶してしまった。


まどか(昨日の仮面の人...!)

黒(確かこいつは昨日の...)

まどか「え、と...助けてくれたんですか?」

黒(...念のため気絶させておくか)スッ

クイッ

黒「?」

銀「」フルフル

黒「......」

銀「...魔女は、たぶん近くにいる」ボソッ

黒「わかっている。...詳しい話は後で聞く」ボソッ

銀「」コクリ

黒「お前達は適当な場所に隠れていろ。俺は魔女を狩りに行く」タッ

ガチャ バタン

まどか「えっ、あ...行っちゃった」

銀「......」

まどか「キルシーちゃん、あの人と知り合いなの?」

銀「......」

銀「」フルフル



グリーフシード「」ピシッ

黒「これか...」

グリーフシード「」ズアッ

黒「!」



コソッ

猫(...黒の奴は結界に入ったか)

猫「無事だといいが...まあ、今までも大丈夫だったんだ。そこまで心配することもないだろ」

???「魔女退治がそう簡単にいけばあたしらも苦労はしないんだけどねえ」

猫「知った口をきくじゃ―――って」

ガシッ

猫「のわっ!」

???「喋る猫か。キュゥべえの言ってた通りだ」

猫「なっ」

???「別にとって食おうって訳じゃない。ただちょっとあたしに付き合ってもらいたいだけさ」


ハコの魔女の結界

黒(なんだここは...水の中...いや、平衡感覚がおかしい、のか?)

ハコの魔女「」フワフワ

黒「お前がこの結界の魔女か」

黒は魔女へとワイヤーを投擲するが、しかしあらぬ方向へと落ちていき魔女を捉えることができない。

黒(この妙な空間のせいか...それにこの浮遊感...)

この足場すら定かではない空間では、相手に近づくのも容易ではない。

かといって、ワイヤーもまともに投げられないためひどく動きづらい。

黒にとってこの魔女との相性は最悪だった。


黒「チッ」

ハコの魔女「」カッ

黒「?」

ザザッ

画面にノイズが走り、映し出されるのは血濡れの女性のシルエット。

やがて画面は鮮明になりその姿を表す。

『―――ちゃん』

黒「―――ッ」

『お、にい、ちゃん』


黒「白(パイ)...!?』

『お兄ちゃん、また流れ星見つけたよ!』

かつて妹と交わした言葉が、光景が次々に移り変わり黒の精神を侵食していく。

仮面の下で、呼吸は乱れ、焦燥と恐怖で動悸が早くなる。

黒「白...!」

思わず手を伸ばすも、届かない。

かつて離した手はもう彼女には届かない。

やがて、周囲は赤色に染まり、妹と緑の髪の女性が映し出される。

黒「やめろ...白、アンバー!」

いくら叫ぼうとも届かない。やがて、白はあの時のように光を手にして―――全てが消えた。



黒(白...)

力なく浮かぶ黒の身体に魔女の使い魔が纏わりつく。

『嫌だ...こんなことしたくなかった...消えてほしくなんてなかった...!』

画面に泣きじゃくる幼い自分の姿が映し出される。その周りには、今まで葬ってきた人々の屍が積み上げられていた。

黒(俺も...お前のところに...)

使い魔は黒の腕を引っ張りはじめるが、黒に抵抗の意思はない。

もう疲れた、と虚脱感に身を任せ、そして―――


『...ヘイ』


黒「ッ!」

黒の視界の傍らに蠢く光。

やがて、それは少女の形に変容していく。

黒(...この前も、お前に助けられたな)

銀『...ヘイ』

黒「...聞こえてる」

黒は目蓋を閉じ意識を集中させる。そして

バチッ

使い魔に電撃を流し、両手が解放されるのと同時。眼前のモニターに掌を突き出す。

ハコの魔女「!!」

突然の反撃に対応できなかった魔女は、画面の中の本体を掴まれる。

黒(...俺はまだ、なにも終えていない。白のことも、アンバーのことも。だから)

黒「俺の邪魔をするな」

バチィ


工場

モワワ~ン

グリーフシード「」カラン

黒「くっ...はぁっ、はぁっ...!」

黒(戻ってこれた、か...)

???「へーえ。よく戻ってこれたね。それも契約者って奴の力かい?」

黒「!」クルッ

猫「ヘ、黒!助けてくれ!」

???「そんなに喚かなくてもいいよ。ホレッ」ポイッ

猫「のわっ!ったく、猫使いの荒い奴だ」

黒「...なんだお前は」

???「魔法少女って言えばわかるか?あんたの魔女狩りに迷惑してるモンだ」

黒「喋ったのか」

猫「違う。始めから大体のことは知ってたんだ。あのキュゥべえとかいう奴から聞いてたらしい。俺は確認のために使われただけだ」



???「...ひとつ聞かせな。あんたは魔法少女じゃねえくせになんで魔女なんかと戦ってんだ」

???「どう見ても正義だのなんだのと口にする輩には見えないが...まさかとは思うが、んなおちゃらけたことを言うんじゃないだろうね」

黒「ただの仕事だ」

???「仕事ねえ。なんの職業かは知らないが、ま、仕事なら仕方ない。あたしがどうこう言えることじゃないか。...けど、あんたの手に入れたグリーフシードは気になる」

黒「なにが言いたい」

???「あんたのグリーフシードを全部寄越しな。そしたらあたしも今日は素直に帰るよ」

黒「......」

一瞬の静寂、黒はワイヤーを投擲するが、少女はそれをあっさりと躱す。

黒「チッ」

???「おっと危ない危ない。...このワイヤーは、『渡さねえ』って答えでいいんだな」

杏子「だったら力づくでも奪ってやるよ。覚えときな。あたしの名前は佐倉杏子。これからあんたをボコる魔法少女だ」

今回はここまでです。



杏子の突き出す槍を躱し、すれ違いざまに斬りつけようとした黒のナイフはしかし身をかがめることによって躱される。

その体勢から放たれる蹴りを黒は飛び退き回避するが、しかしすぐに距離を詰められる。

振るわれる槍を、ナイフで捌きどうにか対抗する黒。

杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねーよ!」

黒「......」

パシッ

杏子「ッ!?」

杏子の油断をついた黒は、足払いによって体勢を崩した。

杏子「...なんてな」

槍の柄が不規則に蠢き、追い打ちをかけようとした黒の鳩尾に減り込み後方に吹き飛ばした。


黒「ぐっ...!」

杏子「そうらもう一発!」

三節棍と化した槍を振るうが、しかしその寸前で近くに巻きつけたワイヤーを引くことによって回避。

杏子「チッ、便利だなそれ」

一旦間を置き、仕切り直し。

再び突撃してくる杏子に、黒はナイフで対抗する。

次々に振るわれる槍とナイフ。

やがてナイフを柄で防ぎ鍔迫り合いの体勢になる。

杏子(体術は互角ってとこか。けど、体力の分有利なのはあたし―――ッ!)

黒の身体が蒼く光る。


杏子(コイツはたしか!)

危険を察知し飛び退く杏子。黒は追い打ちをかけるように、落ちていた瓶を投げた。

杏子「くっ」

杏子(こいつを割ったら破片を食らっちまう)

割れないよう、柄で瓶を跳ね上げる。

ホッとしたのも束の間。黒の蹴りが杏子の左ほほに突き刺さった。

黒「キュゥべぇから俺のことを聞いていると言っていたからな。警戒するとは思っていた」

杏子「クソッ、もう容赦しねえ!」




「そこまでよ、二人とも」



シュルルル

黒「なっ」

杏子「コイツは...!」

マミ「これでいいのよね、暁美さん」

ほむら「ええ、感謝するわ」




黒「くっ...」ギリギリ

黒(解けない...!)

マミ「ごめんなさいね。あなたも縛っておかないとこの子が納得しないと思うから」

マミ「...久しぶりね、佐倉さん」

杏子「てめえ、マミ!なんでこんなところにいやがる!」

マミ「可愛い後輩に呼ばれたのよ。あなたの方こそなぜここにいるの」

ほむら「大方、グリーフシード目当てでしょう」

杏子「...そうだよ。そこの黒いのとイレギュラーが乱獲してるってキュゥべぇから聞いたんだ」

ほむら(インキュベーター...余計なことを)

マミ「暁美さん、彼と知り合いなの?」

ほむら「......」


ほむら(現状の戦力は決して悪くない。黒と『組織』の武力、そして巴マミ)

ほむら(いまここで佐倉杏子を味方につければ、更に戦況は好転する。なら...)

ほむら「...ええ、そうよ」

黒「!」

マミ「詳しく聞かせてくれるかしら。その人も恩人とはいえ、気にかかることは多いもの」

ほむら「わかったわ。でもその前に...佐倉杏子」

杏子「なんだよ」

ほむら「あなたはグリーフシードが欲しいのでしょう。私が黒に頼んで回収してもらったぶんはあなたに譲ってもいいわ」

杏子「その言い方だと、なんか条件があるみたいだな」

ほむら「その通りよ。あなたには手を貸してほしい」


杏子「手を貸すって、なににだよ」

ほむら「それは―――」

プルルル

マミ「ごめんなさい、ちょっと失礼するわね」ピッ

まどか『ま、マミさん。いまどこですか?』

マミ「もう着いてるわ。魔女の方も片がついているからもう安心よ」

まどか『よかったぁ』

マミ「暁美さん。先に鹿目さんと合流したいのだけれどいいかしら」

ほむら「...そうね。彼女をずっと一人にしておくわけにもいかないわ」


数分後

まどか「あれっ、ほむらちゃん」

マミ「これからは彼女とも協力していくことにしたの」

ほむら「......」

まどか「そうなんですか、よかったぁ」

杏子「あんたがマミの可愛い後輩ってやつか」

まどか「え?」

杏子「ハンッ、これまた見るからに甘ちゃんな奴だな、オイ」

まどか(だ、誰だろうこの子)

杏子「先に言っておくぞ。あたしはあんたみたいな平和ボケした奴がこの世界に首ツッこんでくるのが腹が立ってしょうがないんだ。もしもお遊び気分で魔法少女になんかなってみろ。その時はあたしがイの一番にぶっ潰してやるからな」

まどか「え、えっと...」

マミ「佐倉さん、そんな言い方はないでしょう」

杏子「ヘッ、あたしはこんなのと仲良くなるつもりはねーからな。何も気にする必要なんかねえだろ」


黒「...銀」ボソッ

銀「」コクリ

クイッ

まどか「キルシーちゃん?」

銀「まどか。時間」

まどか「え?...あっ」

まどか(もうこんな時間...)

マミ「後始末は私たちがしておくから、あなたはお友達を送ってあげて」

まどか「わかりました。...マミさんにほむらちゃん、それにお兄さんも助けてくれてありがとうございました」


杏子「さて。露払いも済んだことだ。あんたの目的を話してもらおうじゃねえか」

ほむら「もうすぐこの街に『ワルプルギスの夜』がやってくる」

マミ「!」

杏子「なにっ!?」

ほむら「私の目的は奴を倒すこと。この男も協力者の一人よ」

杏子「なるほどな。それで、ワルプルギスが来るって根拠はなんだよ」

ほむら「統計よ」

杏子「統計?この辺りで出没したって記録はないはずだが...」

マミ「けれど、大がかりな準備をしてまでそんな嘘をつくはずもないわよね」

ほむら「私を信じられないならそれでも構わない。それで、あなたたちはどうするの?」

マミ「私は協力するわ。ずっと暮らしてきたこの町を壊されるわけにはいかないもの」

杏子「報酬はあるんだろうな」

ほむら「さっき言ったぶんとワルプルギスの夜のグリーフシードをあげるわ」

杏子「...ま、悪くはねえな。あんたの言葉が本当なら、隣のあたしの町まで被害が出るかもしれないしな。とりあえずあんたのこれからの行動を見て決めさせてもらう」


――――――――――――――

ほむらの帰り道

黒「どういうつもりだ。なぜ組織のことまで話した」

ほむら「ワルプルギスの夜と戦うには仕方のないことだったわ。私たちだけではどうしたって足りないもの」

ほむら「それに、この戦いが終わればME技術とやらで組織に関する記憶は改ざんできるのでしょう。なら問題はないはずよ」

猫「ま、合理的な判断だな。いざという時に信用を損ねて計画がおじゃんにでもなったらそれこそ最悪だ」

猫「それに、話したといっても『契約者を雇っている組織がある』って表面的なことだけだ。そこまで問題視することじゃないだろう」


ほむら(どうにか一応の協力を結べたわね)

ほむら(黒、巴マミ、佐倉杏子。おそらくこれ以上の戦力は望めない)

ほむら(...いまのところは、順調に進んでいる。このままうまくことが運べばいいけれど)

ピチョッ

ほむら「雨...?」

ほむら(今日は雨だなんて予報は出ていなかったのに...)


――――――――――――――

タバコ屋

まどか「えっと、友達を送ってて...うん、うん。今から帰るから。心配かけてごめんね」ピッ

銀「...怒られた?」

まどか「ちゃんと事情を話したから大丈夫だよ。それよりキルシーちゃん、今日みたことは...」

銀「誰にも言わない」

まどか「ありがとう」

ポタッ

まどか「あれ?」

パラ パラ パラ

まどか「わぁ...雨が降ってきちゃった。今日は降るって言ってなかったのに...」


バサッ


???「使う?」


まどか「へっ?」

銀「......」

???「こんな雨の中を走るわけにもいかないでしょ。私は二本持ってるから大丈夫だよ」

まどか「え、えっと...」

銀「まどか。その人は大丈夫」

まどか「キルシーちゃんのお友達なの?」

銀「......」

???「よければ家まで送ってくよ。暗い夜道に女の子一人じゃ心細いでしょ。私もそうだし」

まどか「じゃ、じゃあよろしくお願いします」

???「うん、こちらこそよろしく。それじゃあねキルシーちゃん。身体を冷やさないように」

銀「」コクリ



シトシト

まどか「あの、いまさらですけど、わたしに付き添ってくれていいんですか?」

???「?」

まどか「誰かを迎えに行ってたんじゃ...」

???「違うよ。傘を二本持ってたのは雨が降るって知ってたから」

まどか「え?でも、天気予報でも今日は降らないって言ってたのに」

???「なんでわかったと思う?」クスッ

まどか「う~ん...」

???「答えは、私が未来が視えるから」


まどか「未来を...!?」

まどか(よくわからないけどなんだか凄そう...!じゃあ、この人も魔法少女なの?)

???「なーんてね。冗談だよ」

まどか「えっ」

???「そんな能力があれば私ももっと楽だったかもしれないなぁ。もしかして本気にしちゃった?」

まどか「そんなぁ~」ガーン

???「ごめんね。まさかこんなに簡単に信じてくれるとは思わなかったから」

まどか「...にゅぅ」


テクテク

???「まどかちゃん、だっけ。キルシーちゃんとは仲がいいの?」

まどか「最近会ったばかりなんですけどね」

???「そっか。あの子、色々と事情があってあまり友達がいないからあなたがなってくれたのは嬉しいな」

まどか「...もしかして、お姉さんもモーリスが好きなんですか?」

???「えっ。...ああ、私そっちには疎いんだ。ごめんね」

まどか「」シュン

???「まあ、それはともかくとして。これからもキルシーちゃんと仲良くしてくれると嬉しいな」

まどか「もちろんです。キルシーちゃんは大切な友達ですから」

???「ありがとう」フフッ



プルル

まどか「あっ...ちょっとごめんなさい」

まどか「もしもしママ?もうすぐ着くよ」

詢子『結構雨足も強くなってきたみたいだけど大丈夫なのか?』

まどか「うん。友達のお姉さんが送ってくれてるから」

詢子『そうかい。じゃあ、その人にお礼が言いたいから変わってくれるか?』

まどか「わかった...あれ?」キョロキョロ

まどか(お姉さんがどこかに行っちゃった)


テクテク

???「~♪」

スッ

男「......」

???「どうしたの、雨霧。そんな難しい顔をして」

雨霧「アンバー。なぜ一般人である彼女と接触した?俺はお前を能力以上に信頼しているし文句をつけるつもりもないが、今回ばかりはさすがに不可解だ」

アンバー「別に。深い意味はないよ」

アンバー「ただ、あの子の友達はどういう子なのかって気になっただけ」

雨霧「わからんな...彼女が奴の友人であることになにか意味があるのか」

アンバー「そういうのじゃないってば。ただの興味本位。今回はそんなに干渉するつもりないし」

雨霧「...まあ、いくらお前がEPRのリーダーとはいえ、プライベートまで縛るつもりはないが、一般人との接触はなるべく控えてくれ。おまえにとっては余計な心配だろうがな」

アンバー「そうだね。でも心配してくれるのは嬉しいよ。ありがとう」

今回はここまでです

生存報告だけ失礼します

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年04月08日 (土) 10:24:43   ID: VruR3JLQ

すげーいい感じだったのに未完かよ…残念

2 :  SS好きのBK201さん   2017年06月12日 (月) 07:31:01   ID: YdQLCVrO

どういう事だ作者...。

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