僧侶「のんびり」勇者「二人旅」(102)

―――――

かつて英雄がいた。
魔王によって闇に包まれた世界を救うべく
英雄達は戦った。

犠牲はあった。
だが英雄達はついに魔王を打ち倒した。
だが魔王が死に際に放った呪いにより
生き残った英雄、即ち
勇者と僧侶は死ねない体になった。

これはかつて英雄であった者の
のんびり二人旅である…

~とある山道~

勇者「ひぃ、ふぅ」

僧侶「勇者様、本っ当に体力落ちましたよね。今じゃ私の方が足腰強いんですもの」

勇者「僧侶がこんなにアウトドア派だとは思わなかったよ。歩くの好きだよね」

僧侶「そうですね、自然に触れ合いながらのんびり山道を歩くのは楽しいです」

勇者「それにしても…もうちょっと歩くペース落とさない?」

僧侶「これでもかなりゆっくり歩いてるつもりなんですけどねー」

勇者「そ、そう…」

テクテク

バサバサ

僧侶「あっ、モズですよ勇者様」

勇者「へぇ、鳥好きなの?」

僧侶「そうですね。小さい頃から生き物の図鑑を読むのが好きでしたから。特に鳥の名前はけっこう知ってるつもりです」

エッヘン

勇者「へぇー鳥博士って訳だ」

バサバサ

僧侶「あっ、キジ!めずらしいです!」

ダッダッタ

勇者「追いかけていっちゃった…俺この辺の道詳しくないんだけど…」

ポツン

勇者「どうしよう」

勇者「僧侶はひとつの事に集中すると周りが見えなくなるからなぁ、しっかしこれからどうしようか」

スッ

?「もしもし…」

勇者「気配!」

?「何かお困りのようで」

勇者「あ、あぁ…ところで貴方は?」

?「なぁに、通りすがりの変態ですじゃ」

勇者「変態…?」

変態「いかにも。この山道には様々な変態が潜んでいますのじゃ」

勇者「なんて山道だ。ちなみに貴方はどういう変態なんだい?」

変態「そうですな…あんたみたいな青年の尻穴に、あっつあつのおでんのタマゴをねじこんで…再び取り出し出産ごっかをさせる事、かのぅ」

勇者「ふぅん…」

変態「そして、たまたまここにあっつあつのおでんがあるのじゃが?」

勇者「なぁるほどね…」

変態「たまごも味が染みて、ほほっ、美味しそうじゃよ?」

ツルン

勇者「本当だ…いい塩梅のたまごだ…」

変態「どうじゃ、入れて、みるかえ?」

勇者「…」

変態「我慢は体に毒じゃよ…素直になるのが一番じゃて」

ツツ…

勇者「おいおい…」

スッ シリアナ ムンズ

勇者「ぐぬっ!?」

変態「力を…力を抜くのじゃ…」

勇者「う…あぁ…」

変態「ゆだねよ…ゆだねよ…」

勇者「はぁっ、んくっ…」

トロォン

勇者「ち、父上…母上…俺…今日…とうとう…あぁ、産んでくれて…ありがとう…」

ポロッ

変態「そうじゃ…今ここに生きている事を…感謝し…プレイに望むのじゃて」

ヒョイ
アツアツ タマゴ

変態「では、主役の登場じゃ」

アツアツ

勇者「あ…熱々だ…火傷するに、違いない…」

変態「ならば、止めるかの?」

勇者「え…」

変態「無理強いするのはワシとて不本意…ここで止めるのも、また勇気」

勇者「でも、ここまできて…」

変態「早く決めた方がよいぞ。おでんが冷めるまで時間はそう長くはない故、な…」

勇者「…」

ゴクリ

勇者「そんな…俺に決めろって…言う、のか…よ…」

変態「…」

勇者「くっ…」

変態「さぁ、どうする。ワシが尻穴を広げていられる時間も、そう長くはないぞ」

ヒクヒク

勇者「んくっ…確かに…俺も限界が近い…」

変態「決断、するのじゃ」

勇者「俺は…」

変態「さぁ、如何に!?」

勇者「俺はぁーー!」

キュッ

変態「!?」

シオシオシオ

変態「し、尻穴を…そうか、それが答えという訳じゃな」

勇者「すまない…だがやはり、食べ物で遊ぶのは駄目だと教えられてきたのでね」

変態「ホッホッ…それもまたよかろう」

勇者「本当に…本当にすまない」

変態「よいよい。とは言え、このまま大人しく引き下がるは変態の名折れ…落とし前はっ…」

グワッ

変態「つけさせてもらうじゃて!」

ズボンヌ!

勇者「!?」

変態の拳は、音より速く
勇者の尻穴を貫いていた。

勇者「っー!?」

変態「ワシの拳には火薬が握り込まれている…この意味が分からぬお前さんではあるまい?」

勇者「ぐっ…貴様ァァァ!」

変態「言葉には気をつけるのじゃよ…ワシが起爆装置を作動させれば…たちまちお前さんの尻穴は…」

『HARETUUUUU!』

変態「じゃぞい」

勇者「ぐっ、卑怯者め!貴様の血は何色だ!」

変態「赤…だけど…」

ジリ…

勇者「ぐっ…降着状態か…」

変態「勘違いするでない。ワシの方が遙かに有利じゃて」

勇者「有利…ふふっ」

変態「何がおかしいのじゃ」

勇者「貴様が有利だと…笑わせるな!」

キュッ
ギチィ

変態「!?」

ギチギチ

変態「あぐぁっ…尻穴が締まって…ワシの腕を…ぐぁぁぁぁぁっ!」

勇者「貴様が俺の尻を吹き飛ばすなら、その腕を失う事となる…果たして安い代償かな…?」

変態「ぬぐっ…やりおる。伊達に勇者を名乗ってはおらぬという事か」

勇者「あンた、俺の事が勇者だと知っているのか…」

変態「ふふ、有名人じゃよ、お前さんは」

勇者「もう随分古い話さ…何年前の事かも忘れてしまったよ」

変態「じゃがワシは知っている…そうじゃよ…知っていて当たり前なのじゃよ…なぜならば!」

ヌギッ
セナカ

勇者「!…その背中の紋章…そうか、あんたは…」

変態「我が一族に代々受け継がれる、背中の紋章…そう、これは魔導を極めし者の証!」

勇者「あんた…魔法使いの娘か…」

―――――

魔導の紋章
それは魔導を極めし一族の
母から娘へと受け継がれるもの。

かつての勇者の仲間にも
魔導の紋章を持つ魔法使いという女性がいたという…

―――――

変態「魔王を倒した英雄は勇者、僧侶、戦士、魔法使いの四人。うち戦士と魔法使いは魔王との戦いで死んだといわれておる…」

勇者「あぁ、その通りだ。そして生き残った俺と僧侶は魔王の死に際に放った呪いで不死に…」

変態「ふふ…」

勇者「…何がおかしい?」

変態「魔王が放った…呪いで不死に、とな…ふふ、当の本人も真実を知らぬとは、とんだお笑い草じゃて」

勇者「真実…だと…?」

変態「そもそも魔王に人を不死にする力などは無い…魔王が干渉できるのはあくまで魔物だけじゃからのぅ」

勇者「なっ…」

変態「人を呪うは人の所業、魔物にあらず…つまりお前さん達に呪いをかけたのは人間という訳じゃ」

勇者「なっ…」

変態「魔王を倒した時、そこにいたのは…誰じゃ?」

勇者「俺、僧侶…戦士に魔法使い…」

変態「お前さんと僧侶は呪いをかけられた当事者じゃから除外…戦士は魔法や呪術の類は使えぬ脳筋…ならば…」

勇者「…嘘だ」

変態「答えは、出たじゃろ?」

勇者「嘘だ」

変態「お前さん達を呪い、不死にしたのは」

勇者「嘘、だ…」



変態「魔法使い…ワシの母様じゃ」

勇者「嘘だー!」

変態「嘘なものか…魔王を倒した時点で、お前さん達英雄四人は皆瀕死の重傷を負っていた。なのに何故、勇者と僧侶だけが生き延び、戦士と魔法使いだけが死んだ?魔王が呪いをかけたのだとしたら、何故全員にそうしなかった?」

勇者「…」

変態「魔法使いは…母様は…お前さん達を心の底では憎んでいたんじゃ…そして同じくらい、愛していた」

勇者「…?」

変態「気づかなかったのか?母様は勇者…お前さんを愛していたのじゃ。お前さんと僧侶が互いに惹かれ合っていると知ったうえで、のぅ」

勇者「なっ…」

変態「母様は僧侶の事も妹のように可愛がっていた。じゃから本心を押し殺し、お前さん達二人を見ていた。愛おしさと憎らしさ…二律背反…その身を焦がす炎を胸に宿していた母様の辛さ…分かるまいて…分かって、よい筈がない…断じて!断じてじゃ!」

勇者「なっ…」

変態「その歪んだ感情が…今際の際に暴走した。母様の膨大な魔力を触媒にし、その感情は呪いに形を変えお前さん達に降り注いだ…」

勇者「なっ…」

変態「愛した二人に生きて欲しい…だが憎い…自分には決して手に入らない者の愛…永遠に…永遠に…永遠に永遠に永遠に!」

変態「なら」





『永遠に、愛し合うがいい』

勇者「なっ…」

変態「それが、元はどんなものだったのか、もはや分からぬモノになり果てた…呪い?魔法?願い?…分からぬさ、そのどれでもあり、どれでもない…分からぬのじゃ…もはやワシにも…私にも…そう、この気持ちが…ワシの物なのか…母様のものなのか…ワシは…私は…なんじゃ?…いったい…何だ?」

勇者「お、お前…何を言って…」

変態「魔導の紋章は…まれにその記憶も引き継ぐ事がある…母様は、そう言っていた…」

勇者「記憶を…引き継ぐ…?」

変態「ワシの背中に突然魔導の紋章が浮かび上がった、あの日…魔王が死に、そして母様が死んだ事を理解した。同時に、そこで起きた事が…まるでその場にいたかのように脳内に駆けめぐった」

変態「母様の無念、後悔…勇者への想い…僧侶への想い…戦士への嫌悪…その瞬間、ワシの体はワシだけのものでは無くなった…ワシは…私は…魔法使いなのじゃ…魔法使い…なのよ…」

変態「それから私は知識の限りを尽くし、禁呪にまで手を出し、延命し続けた。勇者、貴方は魔王を倒してどれくらい経ったか忘れたと言ったわね…私もよ。私ももう、どれくらい生きているかなんて…忘れてしまったわ」

勇者「…」

変態「生き続けて…何がしたいのか分からなかった…ただ、いつか貴方達に会いたいと…再び会いたいと…ただそれだけが私を突き動かした」

変態「その間に、色々あったわ。なんやかんやで今みたいな性癖に目覚めたりもした」

勇者「へぇ」

変態「いくら延命しても、外見を若いまま保つには限界があった…いつしか外見は気にならなくなった…そして今みたいな老婆になったのよ」

変態「そうしていつしか、私はこの山道に生息する変態と呼ばれるようになったのよ」

勇者「なるほど実に合点がいったぜ」

変態「ねぇ…私は一体何者?」

勇者「…」

変態「答えて…勇者…こんな姿で…自分の意志でここにいるのかも分からない…私は…ワシは…あぁ…分から、ない」

ボロッ

勇者「!」

ボロボロ

勇者「変態の顔から…塩が…」

変態「あ、あぁ…そん、な…今になって…体が…」

勇者「な、何が起こって…」

変態「これは…この症状は…禁呪の代償…魔法の裏返し…延命術は禁忌の術…前触れも無く術者から対価を奪う…!」

勇者「対価…だと?」

変態「対価とは、つまり命…しかも転生できぬよう、塩となり完全にその魂は消滅する…!」

勇者「なんだって…じゃあお前は…」

変態「あ、ぁ…いや、だ…消える…私…ワシ…あぁ…そんざい、きえ、塩、わた、あ、あ、あ、あ、あ…」

サラサラサラ

変態「いんがりつのかなたに…きえ…て…」

サラ…

勇者「す、すべて塩になった…」

テクテク
ヒョイ ペロッ

勇者「塩、か…」

ガサゴソ

勇者「…ゆで卵、を」

パリパリ ツルン
ヒョイ サラサラ ファサー

勇者「…」

ジッ

勇者「…」

ギンッ

勇者「…」

ズズズ
アングリ

勇者「…」

ガブッ
モチュ モチュ モチュ

勇者「…」

モチュ ゴクン

勇者「…」

ジンワリ

勇者「うまい…なかなか良い塩だ」

 
 
 
 
『NAKA☆NAKA☆EE☆SHIO☆DA』



勇者「お塩祭りじゃーー!」

ザザッ
ピョーン

僧侶「ヒャーハー!」

クイックイッ キュキュキュ

僧侶「オゥ全部見てたぜ一部始終、寝ないで起きてた四六時中」

ズンチャ ズンチャ

勇者「なら分かんだろ、悲劇だろ、ハイアンドロー?」

クルックル タターン

僧侶「そうねまったく、真実にチンピク」

勇者「オイお前女だろ、セイホー?」

チェケラッチョ ラッチョ

僧侶「急に言われても、受け止められねーってゆーかー」

勇者「だよねー」

ダヨネー

僧侶「言うっきゃないかもね、そんな時ならねー」

勇者「だよねー」

ダヨネー

僧侶「言うっきゃないかもね、そんな時ならねー」

「「だよねー」」

・ ・ ・ ・ ・

僧侶「魔法使いさん…」

ポロポロ

勇者「泣くな僧侶、それよりゆで卵をどんどん食べろ」

モチュモチュ

僧侶「はい、こうやって塩になった魔法使いさんを有効利用する事が、供養になりますから…」

ファサー
モチュモチュ

勇者「そうだ、俺達にできるのはこれくらいだからな…」

モチュモチュ

勇者「…」

僧侶「…」

モチュモチュ

勇者「…た」

僧侶「?」

勇者「飽きた」

僧侶「ですよねー」

勇者「てか塩分過多だよ、コレステロール過多だよ!」

僧侶「私もさすがに…板東英二じゃないんですから」

勇者「そういや板東英二ってなにやってる人だっけ」

英二「野球選手やっちゅーねん!」

僧侶「どこ守ってましたっけ」

英二「ピッチャーや!」

勇者「本当にゆで卵好きなんですか?」

英二「僕ぁねーほんばにでーゆで卵がねー」

・ ・ ・ ・ ・

英二「ふぅ…」

勇者「すげぇ、塩を全部使い切った」

僧侶「あれだけの量の塩を使うためにどれだけゆで卵を食べたのでしょうか…」

英二「ほな、僕は帰るわ。今はユーチューバーとして忙しいねん」

勇者「あっ、はい」

僧侶「お疲れさまです」

僧侶「さて」

勇者「なんやかんやあったが」

僧侶「また、のんびり山道を歩いていきましょうか」

勇者「うむ」

・ ・ ・ ・ ・

こうして勇者と僧侶は山道の散歩を再会した。

いっぽうその頃…

~異次元・因果律の彼方~

ボヤ~

魔「うぅ…」

魔「ここは…そうか…今の私は意識だけの存在…」

魔「転生もできず、永遠にこの空間で意識だけで存在し続ける…禁忌に触れた者の、なれの果て、ね…」

?「そう、禁忌に触れればそうなるのが、さだめ」

魔「貴方は…」

?「ふふ、お前と同じく禁忌に触れた者さ…久しい、と言えば分かってもらえるかねぇ?」

魔「…この吐き気を催す感じ…まさか、戦士…?」

戦士「そう、お前と同じ…俺も因果律の彼方を永遠に漂う意識体なのさ」

魔「なぜ貴方がここに」

戦士「俺はお前達に会う前から、そういう事に携わってきたんでね…死んでここにくるのは道理さ」

魔「そうだったのね…」

戦士「しかし、お前さんも一途だねぇ。それに素直じゃない。せっかく長い時の果てに勇者に会えたのに…大切な事は何一つ伝わらないまま…こんなとこに来ちまうんだから」

魔「全部見てたの…悪趣味…」

戦士「そう言われてもよ。ここじゃ嫌でも見えちまうのさ…干渉できない世界を…永遠に、な…」

魔「…」

戦士「お前も、だ。これから、永遠に、あの二人を…嫌でも、苦しくても見るしかないんだ…」

魔「…ぐぅっ」

戦士「そんな嫌そうな顔するなよ…これから永い…永ぁぁぁい付き合いになるんだからよぉぉぉ?」

魔「貴方って本当にっ…!」

戦士「フヒヒ…いっそ、ひとつになろうぜ…意識なんていつまで保っていられるか…なら俺と一緒になって、ひとつに…なろうぜ…」

戦士「あの時、みてェによぉ…!」

魔「っ…」

その時、魔法使いは過去の出来事を思い出していた。
あの時、の事。
戦士に襲われた時の事を…

・ ・ ・ ・ ・

~過去、竜の城~

ここは竜の城。
魔王が従える四天王がひとり
ドラゴンの支配する城である。

勇者「さすが四天王の城。魔物の強さも今までと段違いだ」

戦士「あぁ。集団で攻めてこないのが救いだな」

僧侶「はい、回復もどうにか追いついています」

魔「でも、この様子じゃドラゴンには勝てそうにないわね。まだまだレベルアップが必要よ」

勇者「そうだな…レベルアップ、か」

戦士「…うむ」

ジッ

魔「何よ戦士、あまりこっちを見ないで。吐き気がするから」

戦士「…」

勇者「なぁ、みんな」

勇者「俺達はレベルアップしなければ、この先戦い続ける事はできないだろう。だが、ちまちまレベルを上げている時間は無い」

魔「?、そうね。さっき言った通りよ」

勇者「で、だ。手っ取り早くレベルアップする方法が、この世界にはあるんだ」

戦士「なぁ勇者、回りくどいのは無しにしようや…つまりだ」

ズカズカズカ

魔「ちょ、近寄らな…」

ガシッ ビリビリビリ

魔「!?、な、何を」

戦士「つまり、こういう事だぁ」

ガシッ

魔「やだ、やめてよ!」

勇者「…」

魔「勇者…?見ていないで助けてよ…」

勇者「…」

フルフルフル

魔「なっ…!?」

勇者「この世界では、性的干渉によりレベルアップするというルールがある…つまりそれがさっき言った、手っ取り早いレベルアップの方法って訳だ」

ズカズカズカ

勇者「…」

僧侶「…」

勇者「さぁ僧侶、俺達も」

僧侶「はい、勇者様…」

ヌギッ

僧侶「かしこまりましたかしこー!」

この僧侶、ノリノリである。

戦士「つー訳だ、俺達も楽しもうぜぇ…」

ベロォ

魔「やっ…嫌ぁぁぁ!」

・ ・ ・ ・ ・

こうして
戦士のひのきのぼうは
バイキルトしてピオリムって
最終的にマダンテしましたとさ。
なかだし、なかだし。

・ ・ ・ ・ ・

~異次元、因果律の彼方~

魔「っ本当に嫌な記憶を思い出したわ…吐き気がしそう」

戦士「ンハハ、吐くにも実体が無い俺らにはなぁ~吐くゲロさえ無ぇんだよ~!」

魔「あの時…勇者でさえ助けてくれなかった…絶望しかなかった…貴方のせいで私の中には…勇者への憎しみが生まれた…」

魔「愛憎…ふたつの相反する感情が私の身を焦がした…」

魔「それからなんやかんやあって、魔王との戦いの中…声がした」

戦士「…声、だぁ?」

魔「その声は…私に力をくれた…勇者と僧侶を呪う力を…歪んだ形とはいえ、私の望みを叶えてくれた、その声…」

戦士「おいおい、望みを叶えるって、そいつぁ…まさか…」

魔「私にその正体は分からない…でも、それは人が触れてはならない…決して耳を傾けてはならないモノだと…それだけは分かった」

戦士「魔法使い…お前は…」

魔「悪いわね戦士…胸糞悪い記憶なんか…思い出さなければ…こんな事しなくても…よかったのよ…」

グニャ

戦士「!?」

グニャ ギシッギシッ

戦士「あ゛、う…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!やめ!俺の存在が!あ゛あ゛あ゛!い、や!きえ、たく、な…あ゛、む…」

ギシッギシッ

戦士「あ゛、い…やだ……」

ぷつん

魔「感謝して欲しいわね…永遠のくさびから解放してあげたんだから」

?「くききっ、物は言いようだねっ」

魔「…」

?「ねぇねぇ、どんな気持ち?嫌いだった奴の存在を消し去るのって、どんな気持ち?」

魔「…せいせいしたわ」

?「くききっ、だろうねーよかったねー!」

?「ねぇねぇ、次は何をする?何をしたい?君が望めば、やってあげてもいーんだよ?」

魔「…」

?「くききっ、まぁいっか。ちょーっとくらい、休むのも大切だよねっ。じゃ、またねっ!」

ボワァ

魔「…」

ボヤァ

魔「はぁ…また、か」

魔「この力は…世界の理を…法則を歪めてしまう…使っては…いけなかった…なのに…」

魔「感情が制御できない…こんなんじゃまた…私は…」

魔「どうしたら…いいの…勇者…助、けて…」

そうして魔法使いの意識は因果律の彼方にゆるやかに溶けていった…

・ ・ ・ ・ ・

~とある山奥、小屋~

勇者「オラオラッ」

僧侶「アンアン」

そりゃもう、お楽しみの事で…

勇者「桜島大根だオラァ!」

僧侶「アーン」

勇者「アカヤガラだオラァ!」

僧侶「アンアーン」

勇者「ヤゲン軟骨だオラァ!」

僧侶「アアアアーン」

※これらの食材は後でスタッフが美味しく頂きました

・ ・ ・ ・ ・

スタッフA「はぁ…」

スタッフB「なんで俺達が…」

スタッフC「文句いうなよ。この小屋で客がプレイに使った食材は俺達スタッフが処理する決まりなんだから」

スタッフA「なんで、こんな山奥のラブホみたいな所に就職しちゃったかなぁ…」

スタッフB「不況だからさ」

スタッフC「ほらほら、無駄口叩いてないで。早く食材を処理しようぜ」

トントン
ザクザク

グツグツ

スタッフC「ほら、大根とヤガラと軟骨のごった煮だ」

スタッフB「味付けはシンプルに醤油と酒だけでーす」

スタッフA「では」

「「「いただきます」」」

モチュ…
モチュモチュ…

スタッフA「…」

スタッフB「アカヤガラは美味いね」

スタッフC「うん、アカヤガラは美味い」

モチュ

スタッフC「あっ、お前等大根と軟骨も食えよ!」

スタッフA「味薄すぎて…無味の軟骨の不味いこと不味いこと」

スタッフB「大根も然り。ちゃんと味付けするべきだったな」

スタッフC「でも残さず、美味しく頂くんだ。それが俺達スタッフの仕事!」

スタッフA「最近はコンプライアンス、コンプライアンスってうるさいからねぇ」

スタッフB「生きづらい世の中になったもんだ…」

モチュモチュ

スタッフA「はぁ…」

モチュモチュ

スタッフB「…」

スタッフB(もう嫌だ…こんな仕事…止めたい…いや、そもそもこんな世界…なくなってしまえば…)

キィン…

スタッフB「…?」

キィン…

スタッフB(何だ…頭痛か…いや、この感覚は初めてだ…)

キィン…

?「くききっ、願った?ねぇ、願った?」

スタッフB「!?」

?「こんな世界はなくなってしまえばって…願っちゃった?」

スタッフB「この声は…直接脳内に!?」

?「そうだよ、テレパシーってやつだよっ!」

スタッフB「何だと…お、おい、スタッフA、C!」

スタッフA「…」

スタッフC「…」

?「他のひとは気にしなくていーよ。ちょーっと時間の流れを遅くしてるから。ぼくと君でゆーっくりお話ししよっ!」

スタッフB「お、お前は一体何者なんだ…す、姿を見せろ!」

?「姿かー、そういうの面倒なんだよねっ。それよりさ、それよりさ!願った、よねっ?」

『こんな世界はなくなってしまえば、いい』

?「って。願っちゃったよねっ?」

スタッフB「あ、あぁ…確かに…」

?「くききっ、くききききっ!」

スタッフB「!?」

?「やったね、やった!近年まれにみる、いい願いだよっ!さーっそく、叶えちゃおっかなー、くききっ!でーもー、普通に叶えちゃつまらないもんねっ。僕がちょちょいとアレンジしちゃおう!」

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