【ガルパン】オーガニック的パンツァーフォー (64)

好子「優花里?最近学校からの帰りが遅いと思ったらこんなところで何してるの?」


キュララララ………


優花里「おかあさん!?こ、これはなんでも……」


好子「……それ、まさか……」


優花里「………!」ギュッ


好子「優花里、それをよこしなさい」


優花里「い、いやだ」


キュララララ……


好子「よこしなさい」


優花里「いやだ!!」


ギギギ


好子「……………」


優花里「いやだ!いやだ!やっ……やめてえええええええええ!!!」



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~~~~~~~~~~


沙織「んはああああ……ごぞうろっぷに湯がしみるぅぅぅぅ」


麻子「沙織、おばんくさいぞ」


華「齢を重ねた株のような貫禄がありますね」


沙織「何よもー、1日中狭ーい戦車の中で缶詰めなんだから、普通こうなるでしょ。ね?みぽりん?」


みほ「あはは………」


優花里「武部殿、それにしてもその体勢は、目に毒ってものです……」


沙織「きゃー、ゆかりんのえっち!」


優花里「ちがっ、違いますよ!」


麻子「秋山さんの言う毒ってのは文字通り目にしみるほど女子高生としてアウトという意味だぞ」


沙織「何それ!ゆかりんひどい!」


優花里「いやそういう意味では!!」


華「麻子さんの言う通りですよ。それに優花里さんはにしずみどの一筋でありまガボボ」


優花里「いっ五十鈴殿、潜水艦ごっこ!潜水艦ごっこしーましょ!!私Uボート!それっ、潜水ー!!」ゴボボ……

みほ「………」


麻子「ん?西住さん逆上せたか?」


みほ「ううん、ただ、幸せだなーって……みんなとこうしていられるのがね」


沙織「えぇ~?みんなとぉ?みんなとぉ?」


みほ「もう、沙織さんうるさい!」パシャ


沙織「おぶっ、み、みぼ、は、はな゛……やったなーっ!!」バッシャバッシャバッシャ


みほ「きゃーっ!!!」


バッシャバッシャ、キャイキャイ


桃「お前ら、うるさいぞ!!」

沙織「わ!!」


麻子「なんだ、いたのか先輩方」


柚子「こら、桃ちゃん、言い方。なんだかごめんねぇ、やっぱりみんな仲良しだね」


華「いえいえ、こちらこそ気づかずはしゃいでしまって……」


優花里「い、いしゅじゅ殿、すみ、すみませんでしたから……ガボボ」


華「んん~?聞こえませんね」


杏「あはは、私らのことはいーのいーの。秋山ちゃん逆上せちゃってるからほどほどにね~」


華「もちろん、殺さない程度は弁えてますわ」


杏「おぉ~こえ~」


麻子「花を活ける時の極意ってやつだな」


沙織「違うと思う……」


優花里「た、たしゅけ……ガボボ」


みほ「あわわ、ゆ、ゆかりさん……」

~~~~~~~~~~


杏「……結局みんな逆上せちゃってやんのね」ニシシ


みほ「あはは……華さんもだけど、まさか河嶋先輩まで……」


杏「あいつは挑発に弱いからね。冷泉ちゃんが面倒みる側なんて、レアなもの見れちゃったねぃ」


みほ「あは、夕方からはぱっちりですからね」


杏「朝はてんでなのにねぇ。…………ね、西住ちゃん」


みほ「なっ、なんですか?」


杏「こんな時しか言えないから言うけどさ、……ありがとね。私達がこうしてお風呂でやいやいはしゃげるのも、のんきに笑ってられるのも、全部西住ちゃんのおかげだよ」


みほ「そんな!私なんて全然大したこと……」


杏「何をおっしゃる西住ちゃん。君がいなけりゃ私たち全員卒業も待たずばらばらさ。……西住ちゃんは、もっと自分のこと、自分のやったことを胸を張って欲しいんだな」


みほ「……私の力じゃないので」


杏「うん?」


みほ「ボロボロの私をあんこうチームのみんなが支えてくれて、戦車道のみんなはどんなに厳しい訓練にも、試合中の指示にもついてきてくれて、それに、会長達が戦車道の外のことを全部頑張ってくれて、……みんな知ってますよ?だからみんなも手を抜かずに頑張った。それで手にした結果なので」

杏「……くぅ~っ、西住ちゃんにこういうこと言われるとキクなぁ」バシャバシャバシャ


みほ「わ、……会長、それはおじさんくさいですよ?」


杏「ふふふ、年上だからねぃ」


みほ「大変な時は大変って言ってくれてもいいですし、辛い時は、頼ってもらっていいんですよ。それだけのことは、会長達にしてもらってますから」


杏「……かぁ~!参っちゃうね!西住ちゃん言うようになったよね!」バシャバシャバシャ


みほ「えへへ……」


杏「全く、どこの天パちゃんの影響だろうね。妬けちゃうね」


みほ「……会長!」


杏「あはは、ごめんごめん。ま、チームみんなのおかげでもあるだろーね。……でも、ほんと
、西住ちゃんがいなけりゃ話にならなかった。感謝してもしきれないよ」


みほ「ありがとうございます」


杏「………」


みほ「……今度は、何ですか?」

杏「…………………はぁぁ~~。我ながら情けないよ。返す間もなく恩ばかりが溜まってっちゃう」


みほ「私はもう十分、色んなものをもらってます。貰いすぎと感じるくらいです。だから、私に返せる恩は返させてください」


杏「西住ちゃんはほんと、良い子すぎるんだよなぁ。……………文科相は大洗の廃校を諦めたわけじゃないのは知ってるよね?」


みほ「はい。姉を通じて、通り一遍の情報は聞いています。……でも、本当なんですか?」


杏「本当も本当。本気さ。あのメガネくんは尻尾切りで左遷にあったみたいだけど、計画は以前進行中。文科相は……や、政府はどうしたって学園艦と戦車が欲しいんだなぁ」


みほ「それって……」


杏「平和国家って建前上、そりゃ堂々とはしてないけどさ、どうにもきな臭い裏があるみたいだね」


みほ「でも、それじゃあなんのために昔の人は血を流して、なんのために不戦協定があるのか……」


杏「流した血の痛みは、後に残った数字からじゃ見えないからね。……科学技術のありえないほどの急激な進歩。それによる戦争の悲惨化。世界中が戦争なんて二度と起こそうとも思わないほどって、どんなもんだったんだろうね」

みほ「……………」


杏「そして戦争の武道化……せっかく人間の持つ非生産性の極みから、人間を磨く道にまでなったってのにね」


みほ「度し難いです」


杏「ねぇ。………まぁ、敵は国外だけじゃないみたいでさ」


みほ「え……」


杏「と、これは流石に西住ちゃんにも秘密かな。…………まぁとにかく、うちらになんとかできる、うちらの問題として、今は学園艦にハクが欲しいんだなぁ」


みほ「ハク、ですか」


杏「そ、ハク。うちはプラウダとか聖グロみたいな他国との繋がりも望めないしね。黒森峰みたいな、押しも押されもせぬ、ハクが欲しいんだ。裏からコソコソ工作しても、どうすることも出来ないビックなネームバリュー。大洗といえば、誰もが、あああの、ってなる感じのさ」


みほ「……それで、戦車道ですか?」


杏「そ。我ながら短絡的だけど、これより良い案も、早い案も浮かばないんだなぁ。……誰も知らない無名の女子校の素人チームが、全国大会でいきなり奇跡の逆転優勝!んふ……マンガだよねぇ」


みほ「でも、これを使わない手はない」

杏「そゆこと。世間からの認知度もばっちりだし、この前の選抜戦のことも、ネットニュースなんかでは事の顛末が詳し~く報じられたみたいだからねぇ。全く、どこから情報が漏れたのやら……」


みほ「あ、あはは……」


杏「大洗がホットなうちは向こうはおいそれとは手は出せない。……でも、そういう熱なんて、いとも簡単に冷ませられるからね。数年後には誰の頭からも無くなってて、ついでに存在もひっそり無くなってる、なーんてことは全く以ってありえるんだよねぇ」


みほ「だから戦車道を校をあげての名物にするということですね」


杏「そ。大洗を、この艦を好きにさせるのも、私たちと一緒に戦った戦車をろくでもないことに使われるのも、私には絶対我慢できない。そしてそのためには、環境、人材、何より……」


みほ「戦車が足りない。ですよね」


杏「そう、戦車。さっきはああ言ったけど、なんぼなんでもうちの戦車は強くはないしねぇ。……特に八九式なんて、磯部ちゃんたちには悪いけどさ、控えめにいって棺桶レベルだからね」


みほ「……だいたいの対戦校の方々が整列時点でピキピキしてますよね」


杏「ねぇ。………でも不思議だよねぇ。戦車道用の戦車。まず普通には買えないしさ」

みほ「…………」


杏「実弾を撃たれても中の人員に危害が及ぶことは決してなく、また、外装や装備はともかく、中のカーボン……あれだけは勝手に、元に戻る」


みほ「………」


杏「戦車道用の戦車は一般販売は絶対にされない。戦車を購入できる窓口は限られており、どれも一見政府の管理下にあるようだが、よくよく調べてみるとどうも違う。政府はあくまで窓口であって、実際に購入者とやりとりをしているのは……」


みほ「……………」


杏「………西住と、島田」


みほ「………!!」


杏「………正解かぁ」


みほ「………それで、用件は?」


杏「西住ちゃん、お願いだ。戦車を、分けてくれ」

みほ「…………」


杏「私は西住ちゃんの家にどんな裏があるのかは決して関与しないよ。西住家とのパイプだけで良い。あとはこっちでなんとかする」


みほ「私の持つ家とのパイプなんて、もはや会長のそれと大差ないですよ」


杏「そんなこと……いや、西住ちゃんが、ご実家とうまくいっていないのは知ってるんだ、そこには触れて欲しくないだろうことも……すまない。だが、政府が正道で辿り着ける唯一の窓口である以上うちは決して取り合ってもらえない。……仮に取り合ってもらえても、アンツィオみたくしょぼいのを掴まされるのがオチだ」


みほ「それは………」


杏「メディア活動などで資金はなんとかできても、今のままではどうしようもないんだ。頼む、西住ちゃん」


みほ「…………」


杏「無論、ただとは言わない。西住ちゃんの望むことなら、力の及ぶ限りなんでもさせてもらう。だから、頼む」


みほ「……難しい、です」


杏「……そこをなんとか」

ガララッ


優花里「西住殿大丈夫ですか!?のぼせたり……あれ?」


みほ「ゆかりさん……」


優花里「会長……?西住殿……?」


杏「……や~秋山ちゃん、いいところに。西住ちゃんちょっとのぼせちゃったみたいなんだ。私もちょっとふらふら……私の方がのぼせてるかな?なはは」


優花里「会長、いったい……」


杏「西住ちゃんにちょっと秘密の告白してたの。詮索しちゃったら秋山ちゃんが困っちゃうぞぉ~。……じゃ、お願いねん、西住ちゃん。お返事待ってるよん」


優花里「え、ちょ、告白……えぇっ!ちょっと!」


みほ「ゆかりさん……会長は大丈夫。私ももう、上がっちゃうね」


優花里「…………、西住殿がそう言われるのなら。でも、多分、西住殿、きついことですよね?それなら、私にも分けてくださいよ」


みほ「え……」


優花里「私だけなら不安なら、私たちに。すぐには整理のつかないことなら、時間を置いてもらっても良いですから。絶対に、1人で抱え込むようなことはしないでください」


みほ「優花里さん……ありがとう。でも、これはちょっと、話せないかな」


優花里「西住殿……!」


みほ「違うの、私の家に関することで、どうしてもプライベートというか……西住家なんかに優花里さんを巻き込みたくないの」

優花里「そんな、私の心配なんて無用です。西住殿は今にも死にそうなご自分の顔色を見てからそういうことを仰ってください」


みほ「……私も優花里さんに同じことを思ってるんだよ。それに、首を突っ込めば戻れないよ」


優花里「上等です」


みほ「………もう!知らない!」


優花里「お、わ、ちょっ、西住殿!西住殿ー!」

~~~~~~~~~

しほ「……首尾は?」


菊代「先だって回収した学園艦の改装、戦車道用戦車の配備、どれもおよそ一月後には目標ラインを達成する見込みです」


しほ「遅い。英米露は、島田は既に準備を終えているだろう。今は機を見る頃合いだろうが」


菊代「そうすぐには仕掛けられませんよ、あちらも。……しかし、アンツィオに加えてもう一隻手に入らなかったのは、痛手ですねぇ」


しほ「………」


菊代「みほお嬢様は、本当にお強くなられましたね」


しほ「……全く、我が娘ながら厄介だわ。これからの戦いで使い物にならないだろうから叩き出してやったら、まさか楯突いてくるとは。西住としての覚悟もないくせに」


菊代「またそういう言い方を……嘘も言い続ければ、いつか本当のところまで曲がってしまいますよ」


しほ「私の偽らざる本音よ」

菊代「全く。私はこれより、各作業の視察に向かいます。5日後には戻りますが、その間のことはエリカに頼んでありますので」


しほ「いつもありがとう、エリカ」


エリカ「いっ、いえ!私の総身は、既に西住家に捧げる覚悟です。私の全ては西住の物です」


しほ「頼もしい。……私も、あなたのような娘が欲しかったわ」


エリカ「えっ!は、や、しかし、それは」


しほ「これからが正念場よ、全身全霊で西住を支える柱となりなさい。それがあなたに与える役目よ」


エリカ「身にあまる光栄です!」


しほ「よろしい。……まほ。時は近い。覚悟は決めておくように」


まほ「………は」

~~~~~~~~

桂莉奈「だはぁ~、今日の練習も疲れたなぁ……」


優季「最近の練習ぅ、ハードすぎぃ。ありえなぁい」


あゆみ「選抜戦終わってからしばらく緩めになってたのに、最近また大会前みたいになったよねぇ」


梓「きっと西住先輩には考えがあるんだよ。それにいつまでも先輩に頼りきりじゃだめでしょ?」


優季「梓ちゃん西住先輩のことラブすぎぃ」


梓「違うし!」


あや「西住先ぱぁ↑い」

梓「……なにそれ」


あや「西住先輩を呼ぶ時、声がワントーン高い梓。……西住先ぱぁ↑い」


優季「んふ!」


あや「武部先ぱぁ↓い、冷泉先ぱぁ↓い、五十鈴先ぱぁ↓い……」


あや「西住先ぱぁ↑い!」


梓「そんなんじゃないし!」


あや「あ゛きや゛ま゛せんぱい゛」


梓「そんなんじゃないし!!!」

桂莉奈「ほあ゛あ゛ーっ!!!」


あゆみ「わっ、びっくりした!」


梓「桂莉奈ちゃん、なにそれ」


桂莉奈「行進間射撃訓練のあと、ビリだったからもう一セットやるって言われた時のあやの真似。……ほ、ほ、ほあ゛あ゛ーっ!」


あゆみ「んぶはっ!」


梓「んっふ!」


あや「そんな、そんなんじゃなかったでしょ!?」


桂莉奈「ほあ゛あ゛ーっ!!」


優季「あひひっ、あ、あ、あやはばかだなぁ~」


あや「いやいや、あれほんと難しいしきついし!……紗希ぃ、ツボんないで!」

あゆみ「すごい、レアだ、レア紗季だ」


優季「あやのばかさは紗季ちゃんをも動かすねぇ」


あや「う、うるさいうるさい!出ちゃったものはしょうがないじゃん!」


桂莉奈「これにこりたらひとの口癖をばかにしないこと!」


あや「わ、分かったよぅ、たまにしかあいーしないから……あいーっ!」


あゆみ「んは!目!白目やばい!」


桂莉奈「あ、このっ!ほあ゛あっ、あ゛っ、げふっ、げふっ!」


梓「かりな、のど、のどにきてる……!」


優季「やりすぎやりすぎぃ!」

桂莉奈「あ゛ーあ゛ー。全く!あやのばか!……そうだ、ちょっとコンビニ寄ってかない?」


梓「いいけど、なんで?」


桂莉奈「月刊怪奇UMAがでるの!」


優季「……桂莉奈ちゃん特撮?もだけど、ほんとそういうの好きだよねぇ」


あゆみ「女子高生としてどうなのそれ」


桂莉奈「好きだからいいの!それに、今月号はすごいんだから。チュパカブラの爪が付録で付いてくるんだよ!」


あゆみ「すごい、全然いらない」


桂莉奈「いる!それからそれから、実録イエティ探索記も佳境だし、日本の河童の袋とじもあるし!」

梓「それ、毎月佳境じゃない?」


紗季「藤岡弘探検隊……」


あゆみ「んふ!ていうか河童の袋とじって、どこに需要あんの?」


あや「文字通り、エロガッパにぃ?」さわさわ


優季「んひひ!あやのエロガッパ!」


桂莉奈「もー、ばかにしてぇ!見せてやんない!」


あゆみ「ああ~ごめんごめん!なんだかんだうちらも夢中になっちゃうんだよね、あれ」


梓「わかるかも。あと、先週の幽霊学園艦と人喰い戦車の謎に迫るってのは、正直わくわくしちゃった」

あや「あぁ!あれ、他のと違って珍しく記事の歯切れも悪いし、文章がだろうか、とか、かもしれない、とか、わからない、ばっかで、その困惑感が逆にリアルだったよね」


あゆみ「人喰い戦車の方は私たちいつも乗ってるんだし、ちょっと、やめてよ!って感じだったけどね」


優季「かりなちゃん、あれ今週もあるの?」


桂莉奈「ん~、表紙バレしかみてないからわかんないけど、多分なさそうかも」


優季「えぇ~?」


桂莉奈「ていうか、その記事書いたライターさん、やめちゃったらしくて……」


梓「なんかへんなの……なんで?」

桂莉奈「よくわかんないけど、ネットだと病気とか、事故とか……それから、河童の尻子玉の謎に迫る取材って」


あゆみ「ぶっは!」


あや「河童の尻子玉より追うべきものがあるでしょうが!」さわさわ


梓「んひゃひゃ!……もう!あや!」


あや「うひひ、逃げろぉ!」


あはははは、あはははは……


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とりあえず今日はここまで
明日の夜に続きを書けたら書きます

みほ「勝手に思ってるだけの想いなど 子供に伝わるわけがないだろう!」とか言うと思った

みほ「レズと女のやること、珍しくもない」

~~~~~~~~

ナカジマ「エンジン問題なし」


ホシノ「隔壁、バラスト共に異常なし」


スズキ「周囲に異常なしだね!」


ツチヤ「どうします?艦長」


みほ「現在の速度のまま潜行を続けて下さい。スズキさん、レーダーへの注意は切らさないで。ツチヤさん、何か異常を感じたらすぐに浮上お願いします」


ツチヤ「アイアイマム!」

桃「………しかし、西住が協力してくれる気になったのは良いが、なんでまた潜水艦なんだ」


杏「んー、そこは分かんないね。協力はするけど詮索はしないで、指示に従って欲しいってさ。大型の潜水艦が欲しいって言われた時はさすがに焦ったけど、探せばあるもんだね~」


柚子「うちの艦の船舶科に感謝ですね」


優花里「それから、自動車部さんにもですね」


桃「……というかお前はなんでいるんだ、秋山。西住の指定したメンバーは自動車部と生徒会だろうが」


優花里「私は西住殿の片腕として、例え火の中水の中なんです!船外活動だってやりますよ!」


柚子「潰れちゃう潰れちゃう」


みほ「………」


杏「秋山ちゃ~ん、君が心配なのは分かるけど、西住ちゃんも同じ気持ちなんだからね。ほら、見たことないような不機嫌な顔してる」


優花里「うぅっ。し、しかし、これだけは譲れません。私の矜持が……」


桃「……というか西住が秋山を連れて行きたがらないって、これ結構危ないんじゃ……」

柚子「桃ちゃんいまさら?」


桃「お、おい自動車部!お前らは良いのか!?」


ツチヤ「良いも何も、レアな乗り物転がせてさいこーだよね~」


ホシノ「いいなぁツチヤの奴。今度私にもやらせろよな」


スズキ「あいつこういう時のじゃんけんほんと強いよね」


ナカジマ「……ま、私達は覚悟の上だし、潜水艦なんて滅多に弄れないし、総意としてはラッキーって感じかな!」


桃「こ、このメカキチども!死んだらどうする!西住!なんだか知らんが絶対沈ますなよ!危なくなったらすぐ浮上しろよ!」


みほ「河嶋先輩、静かにして下さい」


桃「……う、柚子ちゃー……!」


柚子「おーよしよし」


杏「やー、西住ちゃん。ほんと悪いね。……で、何を探してるのかな?」


みほ「戦車です」


杏「へ?」


みほ「戦車です」

杏「……わ、分かった。そうだね、詮索しない、うん」


柚子「ちょっと怖いかも……」


みほ「………!」


優花里「西住殿?」


みほ「うん、多分、いる」


杏「!」


桃「い、い、いるって何だ!はっきり言え!」


スズキ「レーダーに感あり!1時の方角より急速にこっちに接近中!」


桃「わー!わー!死ぬ死ぬ死ぬ!浮上してよ西住ぃ!」


ツチヤ「艦長!」


みほ「みなさん、落ち着いて下さい!速度そのまま、取り舵の用意を!」


ツチヤ「アイアイ!!」


桃「死ぬうううううううう!!」


優花里「一体何が……」


スズキ「最接近まで…5、4、3、2、1!」


みほ「取り舵一杯!!」


ツチヤ「うおおおおお……お!?」


ナカジマ「……こ、これは?」

杏「おおー、でっっかい鮫だぁ」


桃「ひいい、柚子ちゃあ食べられるううう」


柚子「よしよし、大丈夫。鮫さんも潜水艦には噛みつかないよ」


優花里「……なんだかよくわかりませんが、危機は去ったみたいですね。良かったですね、西住殿?」


みほ「……………うん。みなさん。一旦落ち着いて下さい。間もなく海底です。着いたたところで探索を開始します。作業時間は30分。それ以上の探索は無意味なので、時間になったら切り上げます」


ツチヤ「アイアイマム!」


スズキ「ふぃー、緊張したぁ」


ホシノ「映画のワンシーンみたいとはよく言うけど、実際体感するとたまったもんじゃないね」


ナカジマ「西住ちゃんかっこ良かったねぇ。あたしなんて、ちょっと……はは」


ツチヤ「あちゃー……先輩、これは秘密ですね」


桃「西住ぃ!不安を煽るなぁ!」


みほ「河嶋先輩、うるさくしないで下さい」


桃「ゆ、ゆずちゃ、今日にしずみの当たりつよくない?」


柚子「まあまあ、桃ちゃん」


杏「ん、そろそろだねぇ」


ズズッ……


ツチヤ「とうちゃーく!」


みほ「ありがとうございます。それでは、これより探索を開始します」

ーーーーーーー


優花里「いや~それにしても、まさか本当に船外活動をすることになるとは……」


みほ『既に船外に出て20分が経過しています。残りは優花里さんから見て3時の方角を調べて、時間になったら切り上げましょう。レーダーへの注意と、目視で不自然なものを見つけたら教えて下さい』


優花里「了解!」


みほ『……あぁ、優花里さん、本当にごめんなさい。あぁ、でも、やっぱり私が行くべきです』


優花里「もう、その流れさっき散々やったでしょう?それに西住殿は、操縦がその、おぼつかないというか……」


みほ『うぅ、それは………』


優花里「まぁ、私のは片手間でやってた小型潜水艦シミュレータのおかげですが、おかげで役に立てて最高ですよ!」


ナカジマ『(潜水艦シミュレータ?)』


柚子『(うん、船舶科のもちものだけど、秋山さんは勝手に使ってたみたいね)』


桃『(こらぁ!あきやまぁ!)』


優花里「す、すみません!どうしてもUボートごっこがやりたくて……」

みほ『……優花里さん、危ないことが少しでもあったら、すぐにこちらに逃げてきて下さい。我々もすぐに迎えに行きます』


優花里「了解です西住殿!それはもう脱兎の如くに!」


みほ『絶対ですよ。……私も探していますが、感は先ほどより微弱です。見つからなければ、それで良しですが……』


スズキ『(えぇ?レーダーに反応は何もありませんよぉ?)』


優花里「……西住殿?」


みほ『……とにかく、注意は決して怠らないこと。お願いします』


優花里「了解……あ!」


みほ『なんですか?』


優花里「や、すごいグロい魚が……うわぁ、内臓丸見え……しばらく夢に出そうです」


桃『(秋山!ばか!もう、ばか!!)』


みほ『ふー、……優花里さん。報告は必要なことだけにしてください』


秋山「すみません……あれ?」


桃『(ななななんだなんだなんモガガガ)』


みほ『優花里さん、何ですか?』


優花里「あー、なんだか、ゴミ?でしょうか、金属板みたいなものが……」


みほ『!!……ありがとうございます、優花里さん。それが目標物です。速やかに回収し、帰投して下さい』


優花里「了解!なんだかよく分かりませんが、やりましたね西住殿!」


みほ『うん………』

ーーーーーーーーー


みほ「うん………」


ツチヤ「ふっふふ、グロい魚って」


ホシノ「秋山の声色すごかったな、あんな声が出るくらいって、どんなんなんだろう」


スズキ「いきなり『あ!』とかいうから、正直腰がはねたよね」


ナカジマ「ほんと、勘弁して欲しいよ………」


ツチヤ「あらら………」


杏「……えっと、西住ちゃん、戦車を探しに来たんだよね?」


みほ「はい。そうです」


杏「でも、持って帰ろうとしてるのはただの金属板って……。西住ちゃんを疑うわけじゃないけどさ、まさかそれ使って作るとかじゃないよね?」


みほ「それこそまさかです。それよりみなさん、気を引き締めてください。まだ作戦行動中です。優花里さんを回収し、学園艦の勢力圏内に戻るまでは、決して油断しないでください」

ツチヤ「アイマム!……とは言っても、さすがにこの環境にもなれてきたしねぇ」


柚子「桃ちゃんですらちょっと落ち着いてきたしね」


桃「うるさい!……あー、すまなかったな、西住。先ほどは……」


みほ「河嶋先輩、まだ作戦行動中です」


桃「んなっ!に、西住ぃ……『う、うわぁ!!』秋山、どうした!?」


優花里『こ、攻撃?されてます!わ、わかりませんが、これ、多分、魚雷と思われ……う、わぁ!たっ、助け……!』


ザザ、ザッ


スズキ「えぇ!?レーダーに反応なんて……?こ、これ、魚雷なの!?秋山は健在!だだ、だけど信号がふらふらしてます!」

みほ「優花里さん!優花里さん!?落ち着いて!!すぐに救援に向かいます!!ツチヤさん!!なにしてるの早く!!」


ツチヤ「あ、りょ、了解!!」


ガオオオオオオ……


桃「どどどどういうことだ!魚雷ってなんだ!?私達行って大丈夫なのか!?というか秋山!!秋山大丈夫か!?」


杏「………!」


みほ「優花里さん!聞こえますか!?聞いてる!?優花里さん!!返事をして!!優花里さん!!」


ザザッみほさザザザザめザッこなザザザッ、ザーッ


スズキ「あ………!」


杏「スズキちゃんどうしたの!?」


スズキ「あ、秋山の信号、ロストしました……」


柚子「え………」


杏「………!!!」


みほ「………あ、あ、あああああああ!!!」

~~~~~~~~~

沙織「……あ!見えてきた!おーい!」


華「みなさーん!!」


麻子「……潜水艦に聞こえるわけないだろ」


そど子「冷泉さん!協調性が足りない!こういうのは気分の問題よ!」


沙織「やーいそうだそうだ!おーいみんなー!!」


おりょう「ふんっ、むんっ!」


エルヴィン「おりょうの旗振りは相変わらずだな」


カエサル「ああ、元気なものだ」


真田「私も負けてられん!うおお!」


ドンガドンガ

妙子「ちょっとしたお祭りだねぇ」


忍「最近イベント無かったし、騒げればなんでもいいじゃないの」


あけび「キャプテン!」


典子「よーし!私達も出迎えバレーだ!そーれそれそれー!」


ねこにゃー「に、西住さん、大丈夫かなぁ」


ももがー「大丈夫、お迎え用のステーキとパインサラダも作ってあるっちゃ!」


ぴよたん「それからマルゲリータピッツァもずら……なんちゃってー」


ねこにゃー「そ、それあかんやつにゃー……」


あや「うわーすげー!完全に浮上だ!」


優季「かーっこいー!」


桂莉奈「ワンダバダバワンダバダバワンダバダバダ、ワンダバダバワンダバダバワンダバダバダ」


あゆみ「さっきから桂莉奈がずっとこの低音ボイスで怖いんだけど……」


桂莉奈「テーー、テレッテッテーー、テレッテッテーー、テレッテーー↑」


あゆみ「コーラスまで入れてくるんだけど……」


梓「あはは……ん?紗希、どうしたの?」


カタカタカタ……


梓「……紗希?あ、西住せんぱーい!!」

ーーーーーーーー


杏「げほっ、はぁっ!」


桃「や、やめろ西住!会長は何も悪くないだろ!!」


みほ「うああああああああああっ!!!」


沙織「みほ!やめて!どうしたのみほ!!」


華「くっ、……カエサルさん、猫田さん、すみません、手伝ってください!」


カエサル「あっあぁ!!」


ねこにゃー「わ、わ、わかったにゃ!ぬおおおおおおお!!」


梓「に、西住せん、ぱい……?」


桂莉奈「こわいよぉ……」


そど子「な、なんだっての?みんなして急に、なんだってのよ………」


エルヴィン「この様子……ただごとではないぞ」


みほ「はあ゛っはあ゛っはあ゛っ」

杏「ごめん、ごめんよ西住ちゃん……」


みほ「なんで逃げたの……!!」


柚子「私たちがいたってどうしようもなかった!会長の判断は正しい!あなたのそれは八つ当たりだよ!!!」


みほ「うる゛さい゛い゛い゛いいいい……!!」


華「み、みほさっ……」


沙織「や、やめてよぉ、やめてよぉ……!」


麻子「……待て、みんな。秋山さんは……?」


ピタ…………

沙織「み、みほ……?」


みほ「う、ぐ、うああああああああああっ」


麻子「に、西住さん……?会長、これは……」


杏「わ、私、私があんなこと言いださなければ………」


桃「ち、違います!会長はみんなのために!それに作戦立案は西住で!」


みほ「!!」


柚子「桃!!」


桃「あ……違う!西住!違うんだ!!」


杏「河嶋!もういい、もういいからやめて……」


桃「うく、か、かいちょ………」


あゆみ「ど、どういうこと……?」


優季「わかんないぃぃぃ……」

そど子「……ねぇナカジマさん、秋山さんはどうしたの?」


ナカジマ「あ、秋山は、秋山は………」


ホシノ「……秋山は……行方不明だ」


ザワッ……!


あや「どういうことですか!?」


エルヴィン「グデーリアンは、優花里はどうしたんだ!?」


優季「あきやまどのなんでいないの!?」


スズキ「ごめん、みんな、すぐ説明するから、今は落ち着いて!落ち着いてったら!ああっ!もうっ!!」


杏「わ、私から説明する……」


あゆみ「会長!!」

典子「どういうことですか!?秋山が行方不明って!!」


杏「私たちは、戦車道用の戦車を探しに行ってたんだ。それで、作戦がうまくいって、秋山ちゃんが探し物を見つけて、それで……」


麻子「待て、意味がわからない。会長、らしくないぞ。要点を簡潔に話してくれ」


柚子「秋山さんは単独での作戦行動中、何者かによる攻撃を受け、行方が分からなくなりました」


ザワッ


沙織「行方不明!?海中で!!?どういうこと!!?」


華「それは、つまり、秋山さんは」


柚子「……そういうことなの。私たちも混乱してる。秋山さんがどうしたのかとか、秋山さんのご両親への説明のこととか、いっぱいいっぱいなの、ちょっと、待ってよ、みんな……」

麻子「待てない。こっちは友達が……、と、と、とも、ともだちが、ととととと」


そど子「冷泉さん!?」


麻子「しっ、ししししっ、あきあきあやまままままっ、さささしししっししししし……?」


沙織「ま、麻子、麻子!?しっかりして!!」


みほ「……………」


ふらふら


華「みほさん……?」


梓「に、西住せんぱい!だめ!危ない!」


みほ「ゆかりさん?ゆかりさーん?」


ふらふら

カエサル「………みんな!気をつけ!2時の方角を見ろ!!」


ねこにゃー「あ……西住さん、だめっ!危ない!!」


みほ「はなして……ゆかりさんがよんでる」


華「いくら下が海だからって、ここで飛び込んだらあっという間に遭難……それ以前に大怪我です!!」


みほ「はなして!!はなして!!!ゆかりさん!!!ゆかりさん!!!ああああーっ!!!」


ザバーッ!!!


華「へ……?」

カエサル「せ、戦車……?戦車がなんで?」


みほ「……ゆかりさん!!」


カパッ

おぉーい!!!みなさーん!!!おぉーい!!!


沙織「えええ!!!??ゆ、ゆ、ゆかりん!?ゆかりんだ!!」


左衛門佐「い、生きてたのか!!!」


エルヴィン「優花里!グデーリアン!!!おぉーい!!!おぉーい!!!」


優季「おぉーい!!!あきやまどのーっ!!!」


ワーーッ!!


みほ「ゆかりさん!!!ゆかりさーーん!!!!」

杏「ど、どういうこと……?」


桃「よくわかりませんが、助かったみたいですね……秋山も、我々も」


柚子「………良かった」


麻子「………解せない」


沙織「わ!麻子!まともに!!」


麻子「うるさい。手を離すな。………何故海から戦車が?何故秋山さんがそれに乗ってる?そもそも……何故攻撃など受けた?」


柚子「もう、今はそんなこと考えなくていいじゃない……」


麻子「いや、ここは考えることをやめないべきだ。何故こんな辺鄙な海で会敵した。何もしなくても海上ですら鉢合わせる方が難しい。そもそもなんでこの平和極まる非武装の時代に『攻撃』なんてことができたんだ」


杏「………!!」

麻子「……もしかすると我々は、とんでもないことに巻き込まれつつあるのかもしれない」

とりあえず今日はここまで。
明日の夜に続きを書けたら書きます。長くなりそう

クインシィまほとジョナサンエリカは、こう、ハマりすぎてるよね

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