【ガルパン】まほ「私は戦車道がないからこの学校に転校して来たんだが…」 (628)


ピピピピピピピピピ

まほ「!」ガバッ

まほ(早く登校の準備をしなくては)

まほ「…」

まほ「そうか」

まほ「もう家じゃないのか」


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スタスタ

まほ「…」

まほ(うーん…)

まほ(…やっぱり、このセーラー服は私に似合わないんじゃ)

まほ(みほやエリカに見られたら笑われそうだな)

まほ「…」

まほ(故郷や戦車のことは忘れると決めたんだ)

まほ(ここから戦車とは違う新しい道を歩まなくては)


3年生教室

まほ「…」

まほ(誰にも声をかけれない…)

まほ(友達ってどうやって作るんだったか)

まほ(…そう言えば、私が黒森峰で慕われていたのは戦車に乗っていたから)

まほ(私から戦車を取ったら何も残らないんだな…)

まほ(…大洗にいるのも1年だけ)

まほ(戦車道のない静かな日々を過ごそう)

まほ(…お腹すいたな)

まほ(食堂ってどこだっけ)

ナカジマ「ヘイ彼女~、一緒にお昼どう?」

まほ「ん…?」

スズキ「ナカジマ…西住さんポカンとしてるぞ」

ナカジマ「あはは、いきなりゴメン」

ホシノ「改めて、よかったらお昼、一緒にどう?」

まほ「え?私と…か?」

ナカジマ「うん!」


食堂

ナカジマ「ナンパしちゃった~」

スズキ「私たち、一度西住さんとお話ししてみたかったんだ」

ホシノ「なんかキリッとしててカッコ良いんだもん」

まほ(と…友達が出来なくて悩んでただけなんだが…)

ナカジマ「あ、ごめん紹介が遅れたね」

ナカジマ「私はナカジマ!この2人がスズキとホシノ」

スズキ「私たちは自動車部なんだ」

ホシノ「2年にツチヤってヤツがいて、いつも4人でツルんでるんだ」

まほ「そうなのか」

ナカジマ「今、自動車部に入ってくれたら友達になってあげよう…!」

まほ「…自動車部か」

スズキ「バカな冗談はよせ、西住さんはもう私たちの友達だろ」

ホシノ「よろしくね、西住さん!」

まほ「友達…」


まほ「やっと友達ができた」

まほ「大洗には1人で来たから…」

ナカジマ「まぁ人生色々あるよね~」

スズキ「エンストしたりパンクしたりハイドロプレーニングでスベったり…」

まほ「何を言ってるんだ?」

ホシノ「家族と揉めたとか?お父さんの愛車を電信柱にぶつけて大破させて大喧嘩とか」

まほ「そういう訳では…」

ナカジマ「んじゃあ、親の転勤とか?」

まほ「…」

スズキ「…」

ホシノ「まぁまぁ、冷める前にご飯食べよ」


生徒会室

柚子「それは一種の情報操作なのでは…?」

杏「だいじょぶだいじょぶ」

桃「わかりました、直ちに取り掛かります」


教室

ナカジマ「今日帰りにお茶してかない?」

スズキ「ツチヤも誘ってさ、西住さんに紹介するよ」

まほ「帰りにお茶?今時の若い子みたいだな」

ホシノ「いやいや、西住さんも若い子でしょ」

まほ「ははは…実家が結構厳格で…」

まほ「前の学校でもそういうこと一切したことなくてな…」

ナカジマ「ほーん」

ホシノ「西住さん、しっかりしてるもんな」

スズキ「…西住さんってさ、前いた学校って黒森…」

スタスタスタ

桃「…」

柚子「…」

杏「…」モグモグ

「会長…?」

「なんで生徒会が…」

杏「やぁ!西住ちゃあん」

まほ「ん?」

ナカジマ「生徒会長、それに副会長と広報の人」

桃「少々話がある」

まほ「?」


杏「必修選択科目なんだけどさぁ…戦車道とってね、ヨロシク」

まほ「この学校は戦車道の授業はなかったのでは」

桃「今年から復活した」

まほ「私は戦車道がないからこの学校に転校して来たんだが…」

杏「いやぁ運命だねぇ!」

まほ「必修選択科目って自由に選ぶものだろ」

杏「とにかくヨロシクー!」バシンッ

まほ「断る」

杏「…」

まほ「私は戦車道のないこの学校を選んで転校して来た」

まほ「戦車道が復活しようが、戦車道はやらない」

杏「…へーぇ」

桃「おい貴様、会長が戦車道をやれと言っているのだ」

まほ「あ?」ギロッ

桃「う…」

桃(怖い…)

杏「まぁまぁかぁしま、強制は良くないよ~」

杏「とりあえず西住ちゃん、戦車道の選択も視野に入れといてねぇ」


まほ「奴らはなんだったんだ、この学校のチンピラか何かか?」

ナカジマ「アレが生徒会なんだよねぇ…」

ホシノ「生徒会に何言われてたの?」

まほ「今年から復活する戦車道を選択しろと」

スズキ「え!?戦車道復活するの!?」

ナカジマ「おぉ、戦車かぁ…」

ホシノ「私、ちょっと戦車に興味あったんだ!」

ナカジマ「…で、戦車道と西住さんになんの関係があるの?」

まほ「…」

まほ「…実は、実家が代々戦車乗りの家系で」

ホシノ「えぇ?」

まほ「でも…いい思い出がなくてな」

スズキ「やっぱり、黒森峰の隊長の西住さん?」

まほ「…」

ナカジマ「え?なに?知ってるの?」

スズキ「私、戦車道に結構前から興味があって」

スズキ「全国大会とか昔からテレビでよく見てたんだ」

スズキ「黒森峰は毎年優勝する強豪校なんだけど」

スズキ「去年は準優勝だった…」

ホシノ「なんで?戦車のメンテが上手くいってなかったとか?」

まほ「隊長である私のせいなんだ」

ナカジマ「…」

まほ「それで、お母様を怒らせてしまって…ほぼ勘当されたようなものだ」

ホシノ「勘当!?そこまでする!?」

まほ「だから戦車を避けてこの学校に来たんだが…」

スズキ「なんかゴメン…嫌な事思い出させて…」

まほ「いいんだ、気にすることはない」

ナカジマ「もう断っちゃえよ、戦車道!」

ホシノ「でもあの生徒会長に通用するかどうか…」

スズキ「私たちがついていくからさ!」

まほ「…ありがとう」


ナカジマ「授業終わった!あとはホームルームだけだね」

プ-ン

まほ「なんだ?」

桃『全校生徒に告ぐ、体育館に集合せよ、体育館に集合せよ』


体育館

まほ「何が始まるんだ?」

ナカジマ「さぁ」

ホシノ「ウチの生徒会がやる事だから」

まほ「皆慣れてるんだな…」

桃「静かに」

桃「ではこれから、必修選択科目のオリエンテーションを行う」

『 戦 車 道 入 門 』ドォ-ン…

まほ「…はぁ」


以下略


杏「という事でヨロシクゥー!!」


ナカジマ「戦車道推しハンパなかったね」

ホシノ「でも特典もハンパなかったな」

スズキ「…やろっかな、戦車道」

ナカジマ「お!スズキ本当か!?」

スズキ「憧れてたからなぁ、戦車道」

ホシノ「戦車いじってみるのも面白そうだしね」

ナカジマ「…みんなでやる?戦車道」

まほ「すまない、私はやめておく」

ナカジマ「…そだね、西住さん、戦車に乗らないためにこの学校に来たんだもんね」


その夜、まほの家

まほ「…」

まほ「戦車道…か」

~~~~~

ザァァァァァァァァ

ブクブクブク…

まほ「こ、小梅ッ!!!」

~~~~~

まほ「…」


次の日

ナカジマ「お、西住さん華道にしたんだ」

まほ「女らしくなりたくてな」

スズキ「西住さんカッコいいからね~、そのままでも良いんじゃない?」

ホシノ「女らしい西住さんって絶対ヘンだよー」

まほ「ヘンか…」

ナカジマ「凹んじゃったよ」

ホシノ「ゴメン西住さん!良いと思うよ華道!」

スズキ「じゃあみんなで華道にするか」

まほ「え?皆は戦車道したいんじゃ…」

ナカジマ「西住さんと同じがいいな」

ホシノ「ツチヤにも華道にしろってメールしとくよ」

まほ「いや、やりたい戦車道をとるべきだ」

スズキ「いいからいいから、私たちが戦車道やってると思い出したくない事思い出させてちゃうかもしれないしね」

まほ「私は大丈夫だから」

ナカジマ「友達に嫌な思いはさせたくないのさ…!」

ホシノ「てゆーか私たちのメインは自動車だからね、自動車さえあれば他には何もいらないってこと!」

まほ「皆…」


食堂

「戦車道とってみよっかなー!」

「楽しそうだよねー!」

ナカジマ(戦車道の話題がすごい…)

ホシノ「そ、そういえばツチヤがもっと西住さんと仲良くなりたいって言ってたよ」

スズキ「アイツだけ2年だから部活以外じゃあまり会えないしな」

まほ「そうなんだ、嬉しいな」

プ-ン

桃『3-A西住まほ、3-A西住まほ、至急生徒会室に来る事、以上』

まほ「…」

ナカジマ「よし、みんなで断りに行くか!」

スズキ「物申してやろうか」

ホシノ「あの生徒会長は強敵だぞ~」

まほ「大丈夫、1人で行く」

ナカジマ「え?」

まほ「私なら大丈夫だ」


生徒会室

桃「これはどういう事だ?」

杏「…なんで選択しないかなぁ」

桃「我が校、他に戦車経験者は皆無です」

柚子「終了です…我が校は終了です!」

まほ「言いたい事はそれだけか?」

まほ「戦車道はやらないとハッキリ言った」

杏「んな事言ってると、アンタこの学校に居られなくしちゃうよ」

まほ「脅しか」

桃「脅しじゃない、会長はいつだって本気だ」

杏「そーそー」

柚子「今のうちに謝ったほうがいいと思うよ?ね?ね?」

まほ「話にならないな」

まほ「戦車道はやらない、帰らせてもらうぞ」


杏「西住ちゃんと仲良くしてる連中…自動車部だっけ?」

杏「西住ちゃんが戦車道やらないなら自動車部を廃部にしちゃうよぉ?」

まほ「なんだと?」

まほ「そんな事できるわけないだろ」

杏「それができちゃうんだよなぁ…こやま!あの…廃部の申請書的なヤツ!」

柚子「こちらです」ピラッ

杏「この用紙にチョチョイとペンを走らせて、印を押せば自動車部はその瞬間廃部だよ?いいの?」

まほ「ふざけるな」

杏「あのさぁ、私は本気だよ?」

杏「生徒会長の特権ってスゴイんだよー」

まほ「…」

杏「自動車部になんか高そうなクルマとかあったよね」

杏「自動車をすべて売っぱらって、戦車道部の資金にしよーかなぁ」

柚子「いいですね!それ!」

桃「少しは腹の足しにはなるでしょう」

まほ「…」

まほ「…」

まほ「…」

まほ「…わかった」

杏「ん?」

まほ「戦車道、やろう」

柚子「!!」

桃「フッ」

まほ「ただし、角谷杏」

杏「あ?」

まほ「私の友人を人質にとるような貴様の遣り口は本当に気に入らない」

まほ「貴様だけは絶対に許さない」

まほ「覚えておけ」

杏「んお…」

杏「ま、まぁー…これから仲良くやろーよ」

杏「西住ちゃん」


杏「コレで一安心だねぇ~」

桃「しかし西住の奴、会長を許さないと…」

柚子「恨まれて戦車の主砲で撃たれたりして…」

桃「会長、その時は私が全力で守ります!」

杏「いや、その時は死ぬから…かぁしまも私も」

杏「まぁ西住まほに戦車道をやらせるっていう目的を果たせたし、今日のところはこれでオッケーだねぇー」


ナカジマ「えぇ!?結局戦車道選択したの!?」

まほ「あぁ」

スズキ「あんなにやりたくないって言ってたのに…」

まほ「まぁ…色々あってな」

ホシノ「西住さんの人生、色々ありすぎだろ」

まほ「すまない、共に華道をやろうと決めたのに」

ナカジマ「いやぁ…実はさ、私たち生徒会に戦車のメンテ係を頼まれちゃって」

ナカジマ「なんと戦車道履修者と同じ特典ももらえちゃうの!」

まほ「そうなのか」

まほ「脅されたりしたのか?」

スズキ「若干…だけどね」

まほ「あのチンピラ生徒会め…」

ホシノ「西住さんと華道やるつもりだったから断ろうと思ってたけど」

ホシノ「西住さんが戦車道やるなら、メンテ係も良いかなって」

ナカジマ「今から生徒会室行ってお願いするつもり」

まほ「なんだか申し訳ない…振り回してしまって」

ナカジマ「いいのいいの!」


翌日

桃「思ったより集まりませんでしたね」

柚子「全部で18人ですね、私たちを入れて21人…」

杏「まぁーなんとかなるでしょ、けっかおーらーい」


華「いよいよ始まりますわね」

沙織「さらにモテモテになったらどーしよー!」


優花里「…」ワクワク


まほ(なんか個性的な人ばっかだな)


桃「これより、戦車道の授業を開始する」

優花里「あのー…戦車は、ティーガーですか?それとも…」

杏「うーんと、なんだったっけなぁ」


IV号「」ボロォ

優季「なにこれ」

桂利奈「ボロボロ」

あゆみ「ありえなーい」

華「侘び寂びでよろしいんじゃ」

沙織「これはただの鉄錆」

まほ「…」ジ-ッ

まほ「…」

まほ「装甲も転輪も大丈夫、これでいけるな」

「「「 お ー 」」」

優花里「…!」ワクワク

杏「にひひ」

まほ「!」

まほ「…」ギロ

杏(わぁお、めっちゃ嫌われてんな…当たり前かー)


沙織「戦車、1両しかないじゃん」

柚子「えっと…この人数だったら…」

桃「全部で5両必要です」

杏「んじゃあーみんなで戦車探そっか」

「「「 え ー … 」」」

優季「探すってどういうことですかぁ?」

桃「我が校においては、何年も前に戦車道は廃止になっている」

桃「だが、当時使用していた戦車がどこかにあるはずだ」

桃「いや、必ずある」

桃「明後日、戦車道の教官がお見えになるので、それまでに残り4両見つけ出すこと」

カエサル「して、一体どこに?」

杏「いやぁーそれがわからないから探すの」

梓「なにも手がかりないんですか?」

杏「ない!」

桃「では、捜索開始!」

まほ(貴様らが始めた戦車道なんだから予め探しとけ)ジロジロ

杏(…すんげー睨まれてる)

沙織「聞いてたのとなんか話が違う…」

沙織「戦車道やってるとモテるんじゃ…」

杏「明日カッコイイ教官来るから」

沙織「本当ですか!?」

杏「ホントホントぉ、紹介すっから」

沙織「ほぉぉぉ!行ってきまーす!!」


まほ「戦車を探すと言っても…まだこの学園艦の地理がわからない…」

まほ「どこを探せばいいのやら…」

華「あのー…、西住先輩…?」

まほ「ん?なんだ」

華「まだこの学校に転校してきて間もないみたいで…」

沙織「もし良かったら戦車探しついでに案内しましょうか!?」

まほ「それは助かる」

沙織「西住センパイって戦車道経験者なんですよね!」

まほ「…あぁ」

沙織「やっぱりモテるんですか!?」

まほ「…前の学校で戦車に乗ってたときは男性のファンもいたな」

沙織「キャーすごい!私、西住センパイと同じ戦車に乗りたい!そうすればモテるかも!」

華「沙織さん、先輩の足を引っ張るとモテませんよ」

沙織「あ、どうしよ…」

まほ「ははは、練習あるのみだ」

まほ「…それに、私には戦車道部にまだ友達がいないんだ」

まほ「2人とも、私と一緒に戦車に乗ってくれないか?」

沙織「勿論です!!」

華「よろしくお願いします、西住先輩」

沙織「あ、紹介遅れました!2年の武部沙織です!」

華「同じく2年の五十鈴華です」

沙織「もう沙織って呼んでください!」

華「私のことも華と呼んでいただければ嬉しいです」

まほ「そうか…沙織、華、これからよろしく頼む」

沙織・華「はい!」

沙織「んじゃあ捜索開始っと!」

紹介すっから(男性教官とは言っていない)


優花里「…」コソコソ

まほ「…」

まほ「あそこでコソコソしてるのは沙織たちの友達じゃないのか?」

優花里「ひっ」

沙織「知らなーい…華知ってる?」

華「…他のクラスの方でしょうか」

まほ「君も一緒に戦車探し、手伝ってくれないか?」

優花里「ひぇ!!いいんですぁ!?」ビクッ

優花里「あ、あの…普通二科、2年3組の秋山優花里といいます」

優花里「えと…不束者ですが、よろしくお願いします!!」

華「こちらこそよろしくお願いします、五十鈴華です」

沙織「武部沙織!」

まほ「私は…」

優花里「ぞ、存じ上げております!!」

優花里「西住まほ殿!!ですよね!!」

まほ「…知っているのか」

優花里「勿論であります!!私、西住殿のファンでして!!まさかこの学校で西住殿と戦車道ができるなんて夢にも思ってませんでした!!」

沙織「すごい喋るね」


華「西住先輩って、戦車道業界では有名な方なんですか?」

優花里「そりゃあもう!!西住まほ殿はあの戦車道の名門校!黒森峰女学院の元隊長であり、西住流家元の長女で…!」

優花里「…あ、っと…スミマセン、喋りすぎました…」

まほ「優花里は戦車が好きなのか?」

優花里「は、はい!!」

まほ「そうか、なら私の事情も知っているんだな」

優花里「はい…」

沙織「え?なになに?西住センパイって何か訳アリなの?」

華「沙織さん、あまり詮索するのは良くないですよ」

まほ「君たちとは共に戦車に乗る仲間になったんだ、私が何故ここに来たか話そう」

まほ「その代わり、君たちのことももっと知りたいな」

沙織「センパイ…!」

優花里「あ…あの…」

まほ「優花里、君も仲間だ」

まほ「一緒に戦車に乗ろう」

優花里「うっ…!あの西住まほ殿と一緒の戦車に乗れるなんて…!」ウルウル

華「泣いちゃうほど嬉しいんですね」


まほ「沙織はそんなにモテたいのか」

沙織「そうです!素敵な旦那さんと家庭を築くのが夢なんです~」

まほ「華は華道の家元の育ちなんだな」

まほ「本当は私はこの学校で戦車道じゃなくて華道をやりたかったんだがな」

華「もし私でよろしければ、華道を教えしますよ」

まほ「そして優花里は戦車オタク」

優花里「お、おたッ…」

優花里「マァハイソウデスオタクデスセンシャダイスキデス…」

沙織「すごい早口になった」

華「恥じることではないですよ」

まほ「戦車に詳しいのは良いことだ、この学校では1番有利なんじゃないか?」

優花里「西住殿にそう言ってもらえるだけで感激であります!!!」

沙織「元気出たりなくなったり忙しいね」


華「…ん」

沙織「どうかした?」

華「あっちからにおいが」

優花里「においでわかるんですか?」

華「花の香りに混じって、ほんのりと鉄と油のにおいが…」

沙織「華道やってるとそんなに敏感になるの!?」

華「私だけかもしれませんけど…」

まほ「すごい」

優花里「ふむ」

優花里「では、パンツァーフォー!」

沙織「パンツのアホォ!?」

優花里「…」

まほ「パンツァーフォー、戦車前進って意味だ」


沙織「やった!あったー!」

まほ「38tか」

沙織「なんかさっきのやつよりちっちゃーい…」

優花里「38tと言えば、ロンメル将軍の第7装甲師団でも主力を務め、初期のドイツ電撃戦を支えた重要な戦車なんですぅ!軽快で走破性も高くて…あ、tっていうのは、チェコスロバキア製ってことで、重さの単位のことではないんですよ!」

優花里「…あ」

沙織「戦車のことになるとホントにイキイキするね」

優花里「スミマセン…」


桃「ご苦労、運搬は自動車部に依頼しておくので引き続き捜索を続行せよ」

桃「1両見つかりました」

杏「やればできるもんだねぇ」モグモグ

桃「ん?電話が…また見つかったのか」

桃「もしもし」

まほ『貴様らも探せ』

桃「…あー…」


そして

桃「八九式中戦車甲型、38t軽戦車、M3中戦車Lee、Ⅲ号突撃砲f型、それからIV号中戦車D型」

桃「どう振りまけますか」

杏「見つけたもんが見つけた戦車に乗れば良いんじゃない?」

柚子「そんなことでいいんですか?」

桃「38tは我々が」

桃「お前たちはIV号で…」

まほ「…構わない」

桃「では、IV号Aチーム、八九式Bチーム、III突Cチーム、M3Dチーム、38tEチーム」

桃「明日はいよいよ教官がお見えになる、粗相のないよう、綺麗にするんだぞ」

沙織「どんな人かなぁ~」

優花里「…」


「…それだ!」

「ブラ透けちゃうよ~」

桃「今日は戦車を洗車すると言ったろ」

杏「うまいねぇ、座布団一枚!」

桃「決してそういう意味で言ったのではありません…」

柚子「それよりちょっとは手伝ってくださいよ~」

桃「…会長、西住の様子は…」

杏「2年生たちと仲良くやってるみたいだねぇ」

桃「…いつ西住に命を狙われるかわかりませんよ」

杏「んな大袈裟な」

桃「だってほら、背後にいますよ…」

まほ「…」

杏「おわぁびっくりしたぁ!!…どったの?西住ちゃん」

まほ「サボってないで貴様も戦車を洗車しろ」

杏「お、西住ちゃんも座布団いちまーい!」

まほ「黙れ」

このまほさんは敵前逃亡した1年だけじゃなく桃ちゃんも平手打ちしそうだな

【ガルパン】みほ「そっか…もう家じゃないんだ…」では杏がみほを戦車道に引き入れる為に廃校の件を伝えて土下座して頼んでいたな。

なお、これ以外では脅迫まがいのお願いしか見た事が無い模様。

まぁ、しほの戦車道面をしっかりと受け継いでいるだろうしな。


「…それだ!」

「ブラ透けちゃうよ~」

桃「今日は戦車を洗車すると言ったろ」

杏「うまいねぇ、座布団一枚!」

桃「決してそういう意味で言ったのではありません…」

柚子「それよりちょっとは手伝ってくださいよ~」

桃「…会長、西住の様子は…」

杏「2年生たちと仲良くやってるみたいだねぇ」

桃「…いつ西住に命を狙われるかわかりませんよ」

杏「んな大袈裟な」

桃「だってほら、背後にいますよ…」

まほ「…」

杏「おわぁびっくりしたぁ!!…どったの?西住ちゃん」

まほ「サボってないで貴様も戦車を洗車しろ」

杏「お、西住ちゃんも座布団いちまーい!」

まほ「黙れ」

>>67ミスりました、すみません


桃「よし、いいだろう」

桃「後の整備は自動車部の部員に今晩中にやらせる」

桃「それでは、本日は解散」

「「「 は ぁ ~ い 」」」

沙織「早くシャワー浴びたーい…」

優花里「早く乗りたいですね」

まほ「ん?…あぁ」


沙織「あ~そろそろ丘に上がりたい…」

沙織「アウトレットで買い物もしたいし~」

華「今度の週末は寄港するんじゃ?」

沙織「どこの港だっけ?」

沙織「私、港港に彼がいて~大変なんだよね~」

華「それは行きつけのカレー屋さんでしょ?」

優花里「あ、あの!良かったらちょっと寄り道していきませんか?」

まほ「ん?」

優花里「ダメですかね…」

まほ「いいぞ、行こうか」


『せんしゃ倶楽部』

沙織「こんな店があるんだ…」

華「すごいですねぇ」

沙織「でも、戦車ってみんな同じに見える」

優花里「ち、違います!全然違うんですぅ!」

優花里「どの子もみんな、個性というか特徴があって…」

優花里「動かす人によっても変わりますし!」

華「華道と同じなんですね」

沙織「うんうん!女のコだってみんなそれぞれの良さがあるしね~」

沙織「目指せ!モテ道!」

まほ「話が噛み合ってないぞ」


沙織「戦車道って安全なの?顔はケガしたくないなぁ…」

優花里「大丈夫です!試合では実弾を使いますけど、十分安全に配慮されてますから!」

ニュース『…栄光を手にするのは誰になるのか、楽しみですね』

ニュース『次は、戦車道の話題です』

ニュース『高校生大会で、昨年MVPに選ばれて国際強化選手となった、西住みほ選手にインタビューしてみました』

まほ「…」

インタビュアー『戦車道の勝利の秘訣とはなんですか?』

みほ『…勝利の妨げになるものを徹底的に排除することです』

まほ「ッ…」

沙織「?」

沙織「…そうだ!これから西住センパイの部屋に遊びに行っていいですか?」

まほ「え?」

華「私もお邪魔したいです」

まほ「…」

まほ「あぁ」

優花里「…あの~…」

まほ「優花里も来てくれ」

優花里「ありがとうございますぅ!!」


まほの家

まほ「すまない、片付けてなくて」

沙織「そんなことないですよ~」

華「西住先輩らしい、綺麗な部屋ですね」

沙織「よし、じゃあごはん作るか!!」


沙織「じゃあ食べよっか!」

華「はい!」

優花里「はい!」

まほ「あぁ」

「「「いただきまーす」」」

まほ「…沙織、美味しいな」

沙織「いやー男をオトすにはやっぱ肉じゃがですからね~」

華「オトしたこと、あるんですか?」

沙織「何事も練習でしょお?」

優花里「とゆうか、男子って本当に肉じゃが好きなんですかねぇ」

華「都市伝説じゃないですか?」

沙織「そんなことないもん!」

まほ「ふふっ」

まほ「…花も綺麗だ」

華「ごめんなさい、これくらいしかできなくて…」

まほ「花があると部屋が明るくなる、私は部屋に花を飾ったことないからな」

華「ありがとうございます!」


沙織「それじゃあまた明日ですー!」

優花里「お休みなさいです!」

まほ「あぁ、気をつけて帰るんだぞ」

まほ「…」

まほ(こういう、女の子らしいことをするのって楽しいんだな)

…!?
みほに何が起きたと云うのか。

1:まほの代わりとばかりにしほに洗脳された
2:みほが勝利の為なら仲間も切り捨てる性格になっている
3:自分の気持ちを封印してしほの言うままになっている。

2だったらみほがまほを追放した可能性が出て来そう(汗)

アワアワしてて面白いみぽりんは存在してないようだ

>>85
その分、まほがまぽりんに変わっていく(と信じたい)

>>74に有ったみぽr…みほの台詞と>>13に有ったまほの回想から思った…。

もしかして小梅は…(汗)
いや、まさかな…。

つまり、みほが小梅をフレンドリーファイアしたってこと?

>>91
流石に、それは無いと信じたいね…。
少なくとも、この世界で小梅を助けようとしたのはまほだろうな。


翌日、通学路

まほ(しまった、深夜まで勉強していて寝坊してしまった…)

まほ(ちょっと気が緩みすぎたか…)

まほ「…ん?」

麻子「…」フラフラ

まほ「おい…大丈夫か?」

麻子「ツライ」

まほ「え?」

麻子「生きているのが…ツライ…」

麻子「これが夢の中なら…いいのに…」

まほ「しっかりしろ…」

麻子「だが…行く!…行かねばならぬ…」フラフラ

まほ「肩貸すぞ」


そど子「冷泉さん、これで連続245日の遅刻よ」

まほ「遅刻しすぎだろ」

麻子「朝はなぜ来るのだろう…」

そど子「朝は必ず来るものなの、成績が良いからってこんなに遅刻ばかりして、留年しても知らないよ」

まほ「大丈夫なのか…」

そど子「えと、西住さん?もし途中で冷泉さんを見かけても、今度からは先に登校するように」

まほ「あ、あぁ」

麻子「…そど子」

そど子「…何か言った?」

麻子「別に」


麻子「悪かった」

まほ「気にするな」

麻子「いつか借りは返す」


戦車倉庫前

亜美「こんにちは!」

沙織「騙された…」

まほ(…沙織を騙したな?)ジロ-ッ

杏(…見られてる)

桃「特別講師の戦車教導隊、蝶野亜美一尉だ」

亜美「よろしくね!」

亜美「戦車道は初めての人が多いと聞いていますが、一緒に頑張りましょ!」

亜美「…あれ?」

亜美「西住師範の…まほさん!?」

亜美「なぜここに…!?」

まほ「…ご無沙汰しております」

亜美「戦車道…やめられたのでは…?」

まほ「また、戦車に乗ることになりました」

亜美「そう…またあなたの動かす戦車が見れるなんて嬉しいわ!」

「西住師範って?」

「有名なの?」

亜美「西住流っていうのはね、戦車道の流派の中でも最も由緒ある流派なの!」

まほ「…」

沙織「…」

沙織「きょ、教官!教官はやっぱりモテるんですか!?」

亜美「ん?」

まほ(沙織…)

亜美「モテるというより…狙った的を外したことはないわ!撃破率は120%よ!」

「「「 お ー 」」」

優花里「教官!本日はどのような練習を行うのでしょうか!」

亜美「そうね!本格戦闘の練習試合、早速やってみましょ!」

柚子「え!?あの、いきなりですか!?」

亜美「大丈夫よ!何事も実践実践!」

亜美「戦車なんてバーッと動かしてドァーッと操作してドーンと撃てばいいんだから!」

亜美「それじゃ、それぞれのスタート地点に向かってね」


亜美「はぁい!みんな早く乗り込んで!」

桃「我々も乗り込みますか」

杏「うん」

杏「…」

杏「かぁしまー」

桃「はっ」

柚子「しかし、いきなり試合なんて大丈夫ですか?」

杏「まぁどーにかなるから…」ゲシッ

まほ(広報を踏み台に…どこまで下衆なんだコイツは…)ジッ…

杏「…」ピクッ

杏「かぁしまー…やっぱひとりで乗る」

桃「え?乗れますか」

杏「頑張る…」

桃「そんなこと言わず、遠慮なく私を踏み台にしてください!」

あや「えーなに?SMプレイ」

優季「生徒会こわーい」

桃「黙れ貴様ら!!」


亜美「じゃあ、各チームそれぞれ役割を決めてくれる?」

沙織「ナントカ長とかナンやら手とか、何が何だかわかんない!」

華「私たちのチーム、4人しかいないですし…」

まほ「じゃあ、装填手は通信手と兼任だな」

優花里「もちろん、西住殿がコマンダーですよね!?」

まほ「いや…私は…」

華「ではどうしたら…」

沙織「もう、クジ引きでいいよー」


IV号車内

華「鉄臭いです」

沙織「狭い上に暑苦しい、こんなんでドライブすんの?」

亜美『それでは、全戦車パンツァーフォー!!』

優花里「ふへへ、いよいよ戦車を動かす時が…!」

華「あのー…どうやって動かせば…」

まほ「まず、イグニッション入れるんだ」

華「コレですか?」ポチ

ドルルルルルルルル…

優花里「いやっほぉぉぉぉう!!最高だぜぇぇぇええ!!!」

沙織「…人が変わった」

まほ「優花里、うるさい」

優花里「ぇあ、…スミマセン…」

華「あのー…それからどうすれば…」

まほ「あとはアクセルを踏んだら前進、前のレバーが操縦桿で、右がシフトレバーだ」


キュラキュラキュラ…

沙織「なんかお尻がブルブルするぅ」

華「音もすごいです」

優花里「これが良いんですよぉ!!」


沙織「ちょっと!ぶつかる!ひだりひだり!!」

ガサァ

沙織「左って言ったのにぃ!」

華「すみません!聞こえなくて!」

まほ「車長は足で方向を合図してやるんだ」

沙織「足?」

まほ「操縦手の肩を進む方向に蹴るんだ」

沙織「親友にそんなことできないよぉ~!!」

華「思いっきり蹴ってください…!」

沙織「えぇ~…」

沙織「…じゃあ、左!!」

ドゲシィッ

華「グエ」

華「あの…もう少しお手柔らかにお願いします…」

まほ「よく親友をそんな風に蹴れるな…」

沙織「センパイが蹴れって言ったんじゃん!」

まほ「軽く当てる程度でいいのに…」


亜美「みんな、スタート地点に着いたようね!」

亜美「ルールは簡単!すべての車両を動けなくするだけ!」

亜美「つまりガンガン前進してバンバン撃って、やっつければいいわけ!」

亜美「わかった?」

杏「いやぁ~随分ざっくりっすね」

柚子「会長に言われたくないんじゃ…」

亜美「戦車道は礼に始まって、礼に終わるの」

亜美「一同、礼!!」

「「「よろしくお願いします!」」」

亜美「それでは、試合開始!!」


IV号車内

優花里「いよいよ攻撃開始ですねぇ~!」

優花里「とりあえず撃ってみます?」

まほ「闇雲に撃って敵に場所を知られたら、すぐやられるぞ」

沙織「ねぇ、真っ先に生徒会潰さない?」

沙織「教官、女の人だったんだもん!」

華「まだ言ってるんですか?」

沙織「私が決めていいんですよね!?車長なんだから!」

まほ「沙織…私も生徒会を潰したくて仕方がない」

沙織「よぉし!じゃあ生徒会チームのいる方へ前進!」

沙織「って、どっち?」

ズドォン!!

沙織「なに!?なにが起こったの!?」

まほ「八九式…」

ドガァン!!

沙織「こわぁい!!逃げよぉ!!!」

ギュラギュラギュラ…

沙織「あ…」

まほ「前方にIII突」

華「どうしましょう…!」

沙織「挟まれたぁ!!あっちに逃げよぉ!」

華「聞こえません!!」

沙織「右斜め前!!」ゲシィッ

華「グエ」

ドォン!!…ズドン…!!

ギュラギュラギュラ…

まほ「…ん?」

麻子「zzz…」スヤァ

まほ「!?」

まほ「危ない!!」


麻子「!」

麻子「フンッ」ピョインッ

まほ「すごい飛び乗ってきた」

まほ「…ん?今朝の…」

沙織「あれ?麻子じゃん」

麻子「沙織か」

まほ「友人なのか?」

沙織「はい、幼馴染なんです」

沙織「なにやってんのこんなところで、授業中だよ?」

麻子「知ってる」

沙織「はぁ…」

ドガァン!!

麻子・沙織「うわっと!」

まほ「危険だから中に入るんだ!」

麻子「ん」


麻子「…酸素が少ない」

優花里「大丈夫ですか…?」

沙織「麻子、低血圧で」

まほ「今朝も辛そうだったな」

沙織「え、麻子と会ったんですか?」

まほ「あぁ」

沙織「だから遅刻したんですね~」

ズドォン!!

沙織「もぉやだぁー!!どうすればいいのよー!!」

まほ(目の前に吊り橋)

まほ「停車しろ!」

ガクンッ…

優花里「今出たら危ないですよー!」

まほ「安心しろ、2発目までまだ時間はある」

まほ「華、私が見てるからゆっくり前に進め!」

華「…」ゴクリ

ギシィ…ギシッ…

まほ「そう、その調子…」

まほ「左に寄りすぎ、少し右へ」クイックイッ

ブチッ

ギギギギギィ

沙織「うわぁぁぁあああ!?」

まほ(履帯で橋のワイヤを切ってしまったか)

華「落ちるー!!」

沙織「いやだぁぁぁああ!!」


エルヴィン「撃てぇぇぇい!!!」

ドォン!!


ガコォン!!

沙織「んぎゃあああ!!」

まほ(IV号被弾…!…まだ大丈夫そうだな)

華「」

沙織「…あ!」

優花里「五十鈴殿!」

沙織「華大丈夫!?」

優花里「操縦手失神!行動不能!」



まほ(八九式とIII突が組んだか…)

まほ「仕方ない、操縦は私がやろう」

ガクンッ

沙織「うわっ!?」

ギュラギュラギュラ

まほ「立て直した…?」

麻子「…」

沙織「麻子運転できたんだ!?」

麻子「説明書見て今覚えた」

優花里「今ァ!?」

沙織「さっすが学年主席!」

まほ「おい、凄すぎだろ」


エルヴィン「とにかく撃ち込め!!」

典子「連続アタァーック!!」

バレー部「それそれそれそれ!!」


沙織「なんか後ろに下がってるけど!?」

麻子「わかってる」


桃「回り込め回り込め!」

梓「とりあえず生徒会について行こー…」


まほ「前進!」

麻子「ほい」

ギュラギュラギュラ

ドガァン!!

華「ひぇ!?え!?え!?」ビクゥッ

まほ「華、大丈夫か?」

華「はい!…すみません」

まほ「いいんだ、少し休んでろ」

華「いえ、大丈夫です!」

まほ「ふっ」

まほ「優花里!砲塔を回転させろ!」

優花里「ふひひっ、了解!!」

キコキコキコ…

沙織「…早く回って~!撃たれる前に撃っちゃってよぉ~!!」

優花里「はい…!」

まほ「発射用意!停止だ!!」

ガクン

優花里「…!」

まほ「…撃てぇッ!!!!!」

ド ォ ン ッ !!!


…バコォン!!…シュパッ


まほ(III突撃破)

沙織「ほぁ…すごっ…!」

優花里「ジンジンしますぅ…」

華「なんだか…気持ちいい…」


亜美「有効!Cチーム行動不能!」

亜美「…やるわね!」


まほ「今度は八九式だ」

優花里「はいっ!」


典子「きてるきてる!フォーメーションB!!」

バレー部「はい!」

ドンッ!

典子「外したッ!」


まほ「撃てッ!!」

ドォン!!


ドゴォ!!…シュパッ

典子「マトモにアタック喰らったぁー!」


ガラガラガラ…

沙織「あっ、また来る!」


桃「フッフッフッフッ…」

桃「ここがお前らの死に場所だぁー!」


まほ「憎き生徒会だぞ、沙織」

沙織「もうなんでもいいよー!」

まほ「私はよくない、…撃てぇぇッ!!!」

ドォン!!バゴォ!!

沙織「やったぁ!」


…シュパッ

杏「あ~やられちゃったね」

柚子「桃ちゃんここで外す?」

桃「桃ちゃんと呼ぶな!!」


梓「やっぱ西住流ハンパなーい…」

あや「逃げよ逃げよ?」

優季「そうしよそうしよ!」

ギュラララララララ…

ばつんッ…ぶしゅううううう…シュパッ

桂利奈「勝手に壊れたよ?」

あゆみ「えぇ…」


亜美『DチームM3、Eチーム38t、CチームIII号突撃砲、Bチーム八九式、いずれも行動不能!』

亜美『よって、AチームIV号の勝利!』

沙織「私たち勝っちゃったの?」

華「…みたいです」

優花里「すごぉい!西住殿のおかげですぅ!!」ぎゅー

まほ「んぷぇ」

麻子「勝ったというか、他のチームが脱落したというのが正しいな」

優花里「…って、あぁ!すみませんすみません!!」

まほ「…ふふっ」

亜美『回収班を派遣するので、行動不能の戦車はその場に置いて戻ってきて』


桃「フッ、やはり彼女に戦車道を受講させたのは正しかった」

杏「作戦通りだねぇ」

柚子「いつ、牙をむかれるかわからないですけどねぇ」

杏(多分もう向かれてる)モグモグ


亜美「みんなグッジョブベルィーナイス!!初めてでコレだけガンガン動かせれば上出来よ!」

亜美「特にAチーム!良くやったわね!」

まほ(私もそう思う)

亜美「あとは日々、走行訓練と砲撃訓練に励むように!」

亜美「わからないことがあったらいつでもメールしてね!」

桃「一同、礼!!!」

「「「ありがとうございました!!」」」


浴場

沙織「ふはぁぁあ~、なんか告白されるよりドキドキしたぁ」

華「されたことありましたっけ?」

沙織「お父さんはいつも私のこと、大好きだって言ってるもん!」

まほ(…お父様と最後に話したの、いつだったか…)

華「最初はどうなることかと思いましたけど、すごくワクワクしました」

優花里「はい!大変充実してました!」

まほ「そうか」

沙織「うんうん」

沙織「…でもさぁ、車長はやっぱ西住センパイがやってくださいねー」

まほ「え?」

華「私たちではやはり、戦車のこと良くわかりませんし…」

優花里「西住殿、頼りになりますし!」

まほ「私が…」

まほ「…私のせいで…黒森峰は…」

華「よろしくお願いします」

沙織「お願いしまーす!」

優花里「よろしくお願い致します」

まほ「…」

まほ「わかった、こちらこそよろしくお願いする」


華「他はどうします?」

沙織「私は何が向いてるかなぁ!」

まほ「…沙織は誰とでも仲良く話せるから、通信手が向いてそうだな」

沙織「いいかも!メールうつの早いし!」

華「それは、関係ないんじゃ」

沙織「ぶー」

まほ「あとは…」

華「…あの!私、砲手をやってもいいですか!?」

まほ「ん?」

華「んっ…ジンジン痺れた感触が忘れられなくて…」モジモジ

華「それになんだか強い自分になれそうなんです!」

まほ「じゃあ華が砲手だな」

優花里「では、私が装填手をやります!」

まほ「あとは操縦手だな」


ザパァ

沙織「麻子!操縦手お願い!」

麻子「もう書道を選択している」

沙織「えーーー…」

まほ「キミがいてくれると助かる」

華「冷泉さんお願いします!」

優花里「あの!運転はお見事でした!」

麻子「悪いが無理」

沙織「麻子ぉ!遅刻ばっかで単位足りてないじゃん!戦車道とれば色々特典があるんだよ!?」

沙織「このままじゃ留年なんでしょお!?」

麻子「…」

麻子「ふむぅ…」

麻子「…わかった…やろう、戦車道」

麻子「西住さんに借りがあったしな」

沙織「つか単位欲しいんでしょ」

麻子「借りを返すだけだ」

沙織「はぁ…」

華「5人揃いましたね!」

優花里「改めてよろしくお願いします!」

まほ「ふふっ」

沙織「じゃあ!やっぱあそこ行かなきゃ!」


ショッピングモール

麻子「なんでココなんだ」

優花里「てっきり、戦車道ショップへ行くかと…」

沙織「だって、もうちょっと乗り心地良くしたいじゃん?」

沙織「乗ってるとお尻痛くなっちゃうんだもん」

まほ「は?クッションひくのか?」

沙織「ダメですか?」

まほ「ダメではないが…見たことないぞ、戦車にクッション持ってく人」

沙織「あ!これ可愛くない!?」

華「これも可愛いです!」

まほ「…」

沙織「あとさぁ、土足禁止にしない?」

まほ「!?」

沙織「だって汚れちゃうじゃん」

麻子「土禁はやりすぎだ」

沙織「えー?…じゃあ色とか塗り替えちゃダメ?」

優花里「ダメですぅ!戦車はあの迷彩色がいいんですからぁ!!」

華「あ、芳香剤とか置きません?」

沙織「鏡とか欲しいよね、携帯の充電とかできないのかなぁ」

まほ「戦車は揺れるんだから落ちたら壊れるぞ…」


翌日

八九式「…」バレー部復活!!

III突「…」ド派手ェ

M3「…」真っピンクゥ

38t「…」金ピカァ

まほ「なんッ…だ、コレは…!」ドンビキ

まほ「特に生徒会のセンスが酷い…!」


杏「いいねぇ、この勢いでやっちゃおっか!」

桃「はっ、連絡してまいります」

柚子「え!?なんですか!?」


沙織「んんんんんー!」

沙織「私たちも色塗り変えればよかったじゃーん!」

優花里「うぇあああー!!38tが!III突が!M3が八九式がなんか別のものにぃー!!」

優花里「あんまりですよねぇ!?」

まほ「…」ポカ-ン

優花里「西住殿?」

まほ「コレが…今時の女のコの戦車というものか…」

優花里「いやぁ…どうなんでしょ…」

まほ「黒森峰でやったら確実にお母様に殺されてしまう…信じられん…」

まほ「でも…こういうの、楽しいな」

まほ「戦車ってこういう楽しみ方もあるのだな」

沙織・華「ふふふっ」




ダージリン「大洗女子学園?」

ダージリン「戦車道を復活されたんですの?」

ダージリン「おめでとうございます」

ダージリン「…結構ですわ」

ダージリン「受けた勝負は、逃げませんの」


練習終了後

桃「今日の訓練、ご苦労であった」

「「「お疲れ様でしたー…」」」

桃「えー急ではあるが…今度の日曜日、練習試合を行うことになった」

「「「 え ぇ ー !? 」」」

桃「相手は、聖グロリアーナ女学院」

まほ(聖グロ…ダージリンか…)

沙織「どしたの?」

優花里「聖グロリアーナ女学院は全国大会で準優勝したこともある強豪です」

華「準優勝…!」

桃「日曜は学校へ朝6時に集合!」


生徒会室

桃「いいか?相手の聖グロリアーナ女学院は、強固な装甲と連携力を活かした浸透強襲戦術を得意としている」

桃「とにかく相手の戦車は硬い」

桃「主力のマチルダⅡに対して、我々の方は100メートル以内でないと通用しないと思え」

桃「そこで、1両が囮となって、こちらが有利になるキルゾーンに敵を引きずり込み」

桃「高低差を利用して、残りがこれを叩く!!」バァン!

梓「ほぁ」

カエサル「うんうん」

典子「よし!」

まほ「…」

杏「西住ちゃぁん、どうかした?」

まほ「あ?」

杏「い、いいから言ってみてよ」

まほ「聖グロリアーナは、当然こちらが囮を使ってくることは想定済みであろう」

まほ「裏をかかれて逆包囲される可能性もある」

柚子「あー確かにねー」

桃「黙れ!!私の作戦に口を挟むな!!そんなこと言うのならお前が隊長をやれぇ!!」

まほ「あ゛ぁ゛?」ギロォッ

桃「ひッ!?…怖い…」

杏「ま、まーまー!」

まほ「まったく…」

杏「でもまぁ隊長は西住ちゃんが良いかもね」

まほ「なぜだ」

杏「西住ちゃんがウチのチームの指揮とって」

まほ「なぜなんだ」

杏「ふふーん」パチパチ

まほ「…何か裏があるのか?」

杏「な、ないってぇ」

まほ「言っておくが、私は貴様のことを一切信頼していないからな」

杏「ひっどいなぁ~」

杏「買ったら素晴らしい商品あげるから」

柚子「え?なんですか?」

杏「干し芋3日ぶーん!!」ビシィ

まほ「いらん」

典子「…あの、もし負けたら」

杏「大納涼祭りであんこう踊り踊ってもらおっかなぁ…」

「「「え゛ぇ゛!?」」」

まほ「?」


沙織「あんこう踊り!?」

沙織「恥ずかしすぎるー!!あんなの踊っちゃったらもうお嫁にいけないよー!!」

優花里「絶対ネットにアップされて、全国的な晒し者になってしまいますぅ…」

華「一生言われますよね…」

まほ「おい…呪いの踊りが何かなのか…?」

沙織「つか勝とうよ!勝てば良いんでしょう!?」

優花里「わかりました!負けたら私もあんこう踊りやります!」

優花里「西住殿1人に、辱めは受けさせません!」

華「私もやります!」

沙織「私も!」

沙織「みんなでやれば恥ずかしくないよ!」

まほ「…ありがとう」

まほ「…いや、負けても私は踊らないぞ」

沙織「えぇ!?」

まほ「なぜ生徒会の指示でそんなのやらなきゃいけないんだ」

華「生徒会の言うことは絶対ですし…」

まほ「そろそろ角谷とは個人的に決着つけてやろう」

優花里「うわぁ暴力はダメですってぇ!!」

沙織「勝てば良いんだから!ね!センパイ!!」


翌日、大洗町

『ぴんぽんぱーん、本日、戦車道の親善試合が午前8時より開催されます』

『競技が行われる場所は、立入禁止となっておりますので、皆様ご協力をお願い致します』

『なお、アウトレット他、見学席を設けておりますので…』


桃「本日は急な申込みにも関わらず、試合を受けていただき感謝する」

ダージリン「構いませんことよ?」

ダージリン「それにしても…個性的な戦車ですわね」

桃「んなッ」

ダージリン「ですが、私たちはどんな相手にも全力を尽くしますの」

ダージリン「サンダースやプラウダみたいに下品な戦い方は致しませんわ?」

ダージリン「騎士道精神でお互い頑張りましょう」

A子「それでは、これより聖グロリアーナ女学院対大洗女子学園の試合を始める」

A子「一同、礼!」

まほ(個性的な戦車のおかげでダージリンに気付かれずにすんだ)



桃『用意は良いか?隊長』

まほ「言われなくても大丈夫だ」

桃『すべては貴様にかかっている、しっかり頼むぞ』

まほ「貴様らは黙って私の指示に従えばいい」

桃『んぎぎぎぎ…』

杏『かぁしま、落ち着け』




A子『…試合開始!!』




見学席

ナカジマ「始まった始まった、殲滅戦かぁ」

スズキ「西住さん大丈夫かなぁ」

ホシノ「…どうする?私たちの整備した戦車が故障して負けたら…」

ナカジマ「こ、怖いこと言わないでよぉ!」

ツチヤ「ジュース買ってきたよ~」

スズキ「サンキュー」

ツチヤ「試合どんな感じ?」

ホシノ「西住さんのIV号を囮にして誘い込む作戦っぽいよ」

ナカジマ「空撮で試合内容がよく見えるんだ」

スズキ「今映ってるのが敵を誘い込む場所かな」

ホシノ「おい、バレー部がバレーしてるぞ」

ツチヤ「1年生トランプやってんじゃん」

ナカジマ「会長に至ってはビーチチェアで寝てるし…大丈夫なのかなぁ…」


桃「…遅い!」

杏「待つのも作戦の内だよ~」

桃「いやぁしかし…」

まほ『Aチーム、敵を引きつけつつ待機地点にあと3分で到着する』

桃「Aチームが戻ってきたぞ!全員戦車に乗り込め!!」

優季「えーうそー!」

あや「せっかく革命起こしたのに…」

まほ『あと600メートルで敵車両射程内!』


桃「ぐぐぐ…」

桃(見えた!!)

桃「撃て撃てぇ!!」

ドォン!!ズドン!!

まほ「おい!?待て!!」

ドガァン!!

沙織「味方を撃ってどうすんのよー!!」

まほ「何考えてるんだ…!」ギリッ


ダージリン「こんな安直な囮作戦、私たちには通用しないわ」

ギュラギュラギュラ

桃「撃てぇ!!」ズドン!!

ドォン!!ズガァン!!

桃「撃て撃て撃てぇぇ!!」

まほ「おい何してるんだ!!落ち着いてちゃんと履帯を狙え!!」

ドガァン!!バゴォン!!

桃「もっと撃てぇ!!撃て撃て撃てぇ!!見えるもの全て撃てぇ!!」

まほ「…ッ」イライラ

優花里(…西住殿、怖ッ)


ダージリン「全車両、前進」

ギュラギュラギュラ…

ダージリン「…攻撃」

ドォン!!ズドン!!


ドガァァァン…!ガラガラ…

典子「すごいアタック…!」

優季「ありえなーい!」


まほ『落ち着け!攻撃を止めるな!!』

あや「無理ですぅ!」

あゆみ「もういやぁ!!」

桂利奈「うわあああん!!」

梓「待って!逃げちゃダメだってばぁ!!」

ドガァン!!…シュパ!


ジャラララララ…

柚子「あれれ!?」

杏「んおー外れちゃったねぇ履帯」

杏「38tは外れやすいからなぁ」


まほ「沙織!各車状況を確認しろ!」

沙織「えぁ!?…はい!」

沙織「…っと、Bチームどうですかー?」

妙子『なんとか大丈夫です!』

沙織「Cチーム!」

エルヴィン『言うにに及ばず!』

沙織「Dチーム!」

シ-ン…

優花里「…さっき、1年生が逃げていくのを見ました…」

まほ「…」

沙織「Eチーム!」

杏『ダメっぽいね!』

桃『無事な車両はトコトン撃ちかえせ!!』

まほ「…全員話を聞け!!!」

沙織「…え?」

まほ「なぜ訓練通りにやらない!なぜ作戦通りにやらない!!」

まほ「お前たちがやっているのは戦車道でもなんでもない!!」

まほ「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとでも思っているのか!!河島ぁ!!!」

桃『ひっ…』

まほ「指示通りにできない者は1年のようにサッサと戦車から降りろ!!!」

まほ「邪魔をするな!!!」


「「「 ・・・・・・ 」」」


まほ「はぁ…はぁ…」

沙織「…」

優花里「…」

華「…」

麻子「…」

まほ「はッ…」


みほ『…勝利の妨げになるものを徹底的に排除することです』


まほ(…これじゃ)

まほ(…これじゃ、みほと…西住流と同じじゃないか)


エルヴィン「…」

カエサル「…!?エルヴィン!前!!」

エルヴィン「ん?え?」

ドゴォ!!…シュパ!


優花里「あぁ!!III突が!!」

華「ここから逃げないと…!」

沙織「センパイ!どうしたらいいの!?」

まほ(西住流が嫌で戦車道をやめたのに…)

沙織「…センパイ?」

まほ(結局戦車に乗って…私…何をしているんだ…)

麻子「逃げるぞ、いいな?隊長」

ギュラギュラギュラ


あけび「どうしたらぁ!」

典子「とりあえずIV号に着いて行け!」


ダージリン「…紅茶が冷める前に、終わりそうね」

ギュラギュラギュラ…


柚子「…聖グロ、窪みに落ちた私たちに気付かずにIV号と八九式を追いかけて行きましたね」

杏「かぁしまー、西住ちゃんに怒られちったねぇー」

桃「…」プルプル

杏「…泣いてんの?」

杏「まったく…こやまー、履帯直すの手伝えー」

柚子「は、はい!」


ギュラギュラギュラ

典子『たいちょー!!どうしたらいいですかー!?』

沙織「センパイ!どうしたらいいかって!」

まほ「…」

優花里「Bチーム!真っ直ぐじゃなくてジグザグに進まないと!」


ドバァン!!

典子「うわッ!?」

…シュパ!


優花里「八九式も撃破されました!!」

沙織「もーどうしたらいいのよー!!」

華「西住先輩!!」

麻子「隊長、どこに行けばいい!」



ナカジマ「あちゃー…絶不調だね」

スズキ「…やっぱり整備不良?」

ホシノ「そうじゃないことを願うしか…」

ツチヤ「整備、気合入れて頑張ったのになぁ」


まほ(なぜ私は戦車に乗ってるんだ)

まほ(生徒会に脅されたから?沙織たちと仲良くなったから?)

まほ(この先はどうする)

まほ(全国大会でも目指すのか?)

まほ(いくら連覇してたとはいえ、黒森峰の時でも優勝は簡単じゃないのに)

まほ(こんなところで戦車道なんかやったって)

まほ(初戦で敗退するに決まってる…)

まほ(私は…何のために戦車に乗ってるんだ…)


沙織「…」イライラ


沙織「 ま ぽ り ん !!! 」

まほ「…え?」

まほ「ま、まぽりん?」

沙織「そうだよ!まぽりんセンパイのことだよ!」

まほ「なんだその呼び名は…」

沙織「呼び名を気にしてる場合じゃないでしょ!!」

沙織「もし大洗が負けたら、絶対にあんこう踊りやってもらうからね!?」

まほ「いや…アレだけは…」

沙織「だったら私たちを勝利に導きなさーーーーーい!!!」

まほ「さ、沙織…」

華「まほ先輩!」

優花里「西住殿!」

麻子「西住さん、私に戦車に乗れと言っておいて、ここで終わらす気か」

まほ「皆…」

まほ「よし…全車、このまま市街地へ向かえ!」

麻子「おう」

まほ「…」

まほ「…III突は?八九式はどこにいった」

優花里「西住殿がボーッとしてる間にやられちゃったんですよぉ!」

まほ「なんてことだ…」

沙織「ホントだよ!!」


市街地

麻子「くそぅ、しつこく追ってくるぞ…」

まほ「振り切ってくれ!」

麻子「ほいほい」

まほ「華!砲塔を後ろへ!」

華「はい!」キコキコキコ…

まほ「撃てぇ!!」ドォン!!

ガィン!!

華「あぁッ、マチルダに弾かれてしまいました!」

まほ「気にするな、今は牽制だ!」

まほ「優花里、装填急げ!」

優花里「はいッ!」ガコォン

麻子「左に曲がるぞ」


ギュラギュラギュラ

ずぼぉッ

沙織「マチルダが旅館に突っ込んだよ!」

まほ「麻子、停止!」

ガクンッ

まほ「チャンスだ華、落ち着いて狙え」

華「は、はい!」キコキコ…

華「…!」カチッ

ドガァァッ!!

優花里「マチルダII撃破です!!」

華「あ…旅館ごと吹き飛ばしてしまいました…」

まほ「麻子前進!残り4両が追ってくるぞ!!」

麻子「おう」


華「…敵戦車4両に追い詰められてしまいました…!」

麻子「どうすればいい」

まほ(考えろ…)


ダージリン「こぉんな格言を知ってる?」

ダージリン「イギリス人は恋愛と戦争では…」

ダージリン「…手段を選ばない!」


沙織「なんか言ってるよ!恋愛!?」

優花里「そんな場合じゃないですぅ!」

まほ(左に抜けるか…?いや危険だ!)


ズドン!!…シュパッ!


杏「かぁしまぁー!よく当てたな!マチルダ撃破だぞー!」


華「生徒会チーム!」

優花里「履帯直したんですね!」


ルクリリ「くそ!あんなところから!!やられた!!」

ダージリン「ルクリリ、撃破されたからといって、その言葉遣いはいけませんわ」


柚子「桃ちゃんもう1両狙って!」

桃「わかってる!桃ちゃんと呼ぶな!」


ダージリン「アッサム」

アッサム「はい」

ズドォン!!


…シュパッ!

杏「やーらーれーたー!」


まほ「今のうちに右脇を通れ!」

ギュラギュラギュラ

まほ「停止!油断してるマチルダを撃て!」

ズバァン!!…シュパッ!

まほ「前進!建物を盾にして逃げろ!」

ギュラギュラギュラ


オレンジペコ「あっという間に、こちらも残り2両ですね」

ダージリン「…なかなかやりますわね」

ダージリン「挟み撃ちにするわよ!」


まほ「チャーチルとマチルダは足が遅い、必ずこちらが回りこむことができる」

まほ「待ち伏せるぞ」


ギュラギュラギュラ…

まほ「マチルダが出てきた!撃て!」

ドォン!!…シュパッ!

沙織「やった!残りはチャーチルだけだね!」

まほ「油断するな!後ろからチャーチル接近!」

まほ「ぶつかり合って勝てる相手じゃない!相手の背後を狙え!」

まほ「横の道路に入って建物に隠れるぞ!回りこむんだ!」

ギュラギュラギュラ…

まほ「なるべく音を立てず、チャーチルの後ろに忍び寄るんだ」

沙織「…」

麻子「…」

優花里「…」

華「…」

まほ「…今だ!そこの十字路から顔を出してチャーチルの弱点を狙え!」

優花里「あぁッ!?」

沙織「チャーチルの砲塔コッチに向いてるよ!?」

麻子「ちっ、気付かれてたか…」

まほ「華、撃てぇ!!」

華「…」カチッ


アッサム「…」カチッ 


ドォン!ドガァン!!!


……シュパッ!


A子『大洗女子学園チーム、全車両走行不能』

A子『よって、聖グロリアーナ女学院の勝利!』


まほ「…」

沙織「…」

華「…」

優花里「…」

麻子「…」

まほ(負けてしまった…)

ダージリン「あなたが隊長さん?」

まほ「…あぁ」

ダージリン「…って、え?まほさん!?」

まほ「ダージリン、ご無沙汰だな」

ダージリン「え?いつからいらしたの?」

まほ「最初からいたぞ」

ダージリン「というか、何でいるんですの?」

ダージリン「確か…戦車道を辞めたと聞いて…」

まほ「あぁ、戦車道を辞めて大洗に転校して」

まほ「何故かまた戦車道をしている」

ダージリン「そう…なのね、びっくりしましたわ」

まほ「…」

ダージリン「…何か悩みがあるようね」

まほ「…あぁ」

まほ「私は、なぜ戦車に乗っているのか…この先どうしたらいいのか…」

まほ「わからないんだ」

沙織「まぽりんセンパイ…」

優花里(その呼び名、定着させる気ですか…)

ダージリン「…私でよろしければ、相談に乗りますわよ」

まほ「いいのか?」

ダージリン「もちろんですわ」

オレンジペコ「お紅茶も用意しますよ」

まほ「…ありがとう」

まほ「では…今からでも」


杏「にっしずみちゃーん!!」

杏「どこいくのー?」

まほ「…な、なんだ?」

杏「負けたらあんこう踊りするって約束したよね~」

まほ「…私はやらないぞ」

沙織「私はって何!?まぽりんセンパイ自分だけ逃げる気!?」

優花里「そりゃないですよぉ~!」

麻子「八九式が撃破されたのは西住さんのせいだぞ」

華「まほ先輩、やはり私たちのことを仲間だと思ってなかったんですね…」

まほ「いや…そういう訳では…」

杏「西住ちゃん…西住流から逃げて、あんこう踊りからも逃げるんだ」

杏「逃げてばっかりだね」

まほ「んぐッ…!!」

杏「まぁまぁ、連帯責任で私たちも踊るから」

桃「え゛ぇ゛!?」

柚子「私たちも踊るんですかぁ!?」

ダージリン「あんこう踊り…って、なんですの?」

杏「メッチャかっちょええダンスだよ、見ていってよ」

ダージリン「まぁ」

まほ「角谷、嘘をつくな」

まほ「頼むダージリン、帰ってくれ」

ダージリン「ペコ、ビデオカメラ持ってきましょうか」

オレンジペコ「はい」

まほ「やめろ」


あ、あ、あん、あん♪ あ、あ、あん、あん♪

まほ「」クネクネ

沙織「まぽりんセンパイ左右逆!」クネクネ

華「もっとしなやかに!」クネクネ

優花里「恥を捨てましょう!」クネクネ

麻子「テキトーにやってると逆にみっともないぞ」クネクネ

杏「西住ちゃーん、もっとあんこうの気持ちになんないと~」クネクネ

まほ「角谷杏…貴様だけは…」クネクネ


ダージリン「まぁ」

アッサム「うわぁ」

オレンジペコ「ダージリン様、カメラ越しに見るのも恥ずかしいんですが」


まほ「…」

優花里「まぁ…今回は練習試合ですし、そんな気にすることないですよ」

沙織「そーですよー」

華「このあと7時まで自由時間ですけど、どうします?」

沙織「買い物行こうー!」

麻子「…」スタスタ

沙織「麻子、どこ行くの?」

麻子「おばぁに顔見せないと殺される」

沙織「あぁ…そうだね、じゃあ私たちだけで買い物行こっか」

まほ「私はダージリンと話があるから聖グロ艦に行ってくる…」トボトボ

華「足取りがおぼつかないですね…」

優花里「よっぽどあんこう踊りが嫌だったんですかね…」

沙織「誰だってやだよ」


聖グロリアーナ女学院、学園艦

ダージリン「…勘当…ですか」

まほ「あぁ」

ダージリン「優秀な戦車乗りのまほさんでも、そんなことがあるんですわね」

まほ「…」

ダージリン「…で、戦車道のない大洗に転校したのはわかりますけど」

ダージリン「なぜ大洗で戦車道が復活した途端、まほさんも始めたんですの?」

まほ「…生徒会にやれと言われた」

ダージリン「戦車には嫌々乗ってるのかしら?」

まほ「今はもう嫌ではない、新しい仲間と頑張っている」

まほ「…ただ、目標がないんだ」

ダージリン「目標、ですか」

まほ「黒森峰のときは」

まほ「西住流の後継者として、黒森峰の隊長として」

まほ「大会連覇が目標だったが」

まほ「…戦車道無名校の大洗にいる私は」

まほ「大会連覇は雲を掴むくらい難しい目標だ」

まほ「絶対達成できない目標は目標とは言えない」

ダージリン「…」

ダージリン「…先程の練習試合のとき、大洗の戦車が全て」

ダージリン「一瞬、ピタリと止まったの」

ダージリン「あのとき、何があったのかしら?」

まほ「…」

~~~~~

まほ「ちゃんとやる気のない者は1年のようにサッサと戦車から降りろ!!!」

まほ「邪魔をするな!!!」


「「「 ・・・・・・ 」」」


みほ『…勝利の妨げになるものを徹底的に排除することです』


まほ(…これじゃ)

まほ(…これじゃ、みほと…西住流と同じじゃないか)

~~~~~


まほ「…西住流が嫌で逃げてきたのに」

まほ「今回、結局私は西住流の戦い方をしてた」

まほ「それに絶望していたんだ」

ダージリン「…ふふ」

まほ「?」

ダージリン「だったら、見つければ良いんじゃないかしら?」

まほ「何をだ」

ダージリン「新しい仲間たちと、西住流ではない…西住流を上回る戦車道を」

まほ「西住流を上回るって…どうやって…」

ダージリン「公式戦で黒森峰を倒すのよ」

まほ「ふ、不可能だ!!よく考えてみろ!大洗には戦車が5両しかないんだぞ!?」

まほ「それに対して黒森峰は…」

まほ「…今まで私が指揮してたドイツ戦車群が全て敵になる、そう考えただけで恐ろしい…」

ダージリン「こんな言葉を知ってる?」

ダージリン「…下を向いていたら、虹を見つけることはできない」

まほ「…チャップリンか」

ダージリン「前を見て突き進みなさい」

ダージリン「あなたは、西住流育ちということを差し引いても」

ダージリン「素晴らしい戦車乗りよ」

ダージリン「戦車から逃げてきたのに、また戦車に乗ることになった」

ダージリン「…なぜそうなったのか、その答えがきっとあるはずよ」

まほ「…ダージリン」




麻子「…遅い」

沙織「夜は元気なんだからー!」

優花里「西住殿は?」

麻子「先に乗船してるぞ」


そど子「出航ギリギリよ」

麻子「すまんなそど子」

そど子「その名前で呼ばないで!」


まほ「おかえり」

沙織「まぽりんセンパイ!」

まほ「…華?何があったのか?」

華「…」

優花里「えーいや、あの、それより」

華「…お母様に、二度と家の敷居をまたぐなと言われてしまいました」

まほ「な!?…なにか、あったのか?」

華「いいえ、心配はいりません」

華「お母様に認めてもらう、そのために私は戦車に乗ります」

沙織「華…」

まほ「…親が家元だと、お互い苦労するな」

華「そうですね」

まほ「…私も、お母様に…認めてもらうわけではないが」

まほ「西住流を上回るために、戦車に乗る」

まほ「もう中途半端な気持ちで戦車には乗らないと決めた」

まほ「…だから皆、私について来てくれるか?」

沙織「ついて行きます!」

優花里「どこまでとついて行きますよー!」

華「えぇ、もちろん」

麻子「ダージリンさんに良いアドバイスもらったみたいだな」

まほ「ありがとう、これからもよろしく頼む」


あゆみ「どうしようどうしよう~!」

あや「歴女のセンパイたち、私たちが戦車から逃げた後に隊長がすごく怒ってたって言ってたよね~!」

優季「こわぁ~い!」

桂利奈「どーすんの…?」

梓「…謝るしかないよ」

紗希「…隊長」ツンツン

あや「あ!隊長たち帰ってきた!!」

あゆみ「梓おねがーい…!」

梓「えぇ!?」

梓「…」

梓「あのっ…西住隊長!」

まほ「ん?」

梓「戦車を放り出して逃げたりして、すみませんでした!」

「「「すみませんでした!!」」」

あゆみ「最後に頑張る先輩たち、カッコよかったです!」

優季「すぐ負けちゃうと思ってたのに…」

あや「私たちも、次は頑張ります!」

桂利奈「絶対頑張ります!!」

まほ「…あぁ、私と一緒に頑張ろう」


杏「これからは、作戦は全部西住ちゃんに任せるよ」

桃「え!?」

まほ「…わかった」

まほ「…角谷」

杏「ん?なーにー?」

まほ「ダージリンが、私が戦車にまた乗ることになったのは意味があると言っていた」

杏「ほー」

まほ「…まだその答えはわからないが、必ず見つけてみせる」

杏「じゃー答えが見つかったら、戦車道を勧めた私に感謝してもらわないとね~」

まほ「嫌だ、私はお前が嫌いだ」

杏「あれー?西住ちゃんツンデレ?」

まほ「黙れ」

まほ「…とにかく、練習を重ねて、公式戦で結果を残そう」

杏「また聖グロと当たるかもしれないし、公式戦は勝たないとね~」

まほ「あぁ」

沙織「…公式戦?」

優花里「戦車道の、全国大会です!!」


試合抽選会場

まほ「…」スッ…

『大洗女子学園、3番!』

「「「 お お ー 」」」


ペパロニ「へ?アライグマ女子学園?」

アンチョビ「大洗、だ!」


優花里「初戦はアンツィオ高校…」

沙織「それって強いの?」

優花里「一時期、アンツィオは戦車道は衰退していたと聞きますが」

まほ「しかし…現隊長がアンツィオに来てから、また成長し力をつけてきているみたいです」

まほ「油断はできませんね」

沙織「えー?大丈夫?」


まほ(…初戦は安斎か…)


エリカ「…」

みほ「…」


柚子「初戦から侮れない相手ですね…」

桃「どんなことがあっても負けられない…」

桃「負けたら我々は…」


>>201
ミスってました



試合抽選会場

まほ「…」スッ…

『大洗女子学園、3番!』

「「「 お お ー 」」」


ペパロニ「へ?アライグマ女子学園?」

アンチョビ「大洗、だ!」


優花里「初戦はアンツィオ高校…」

沙織「それって強いの?」

優花里「一時期、アンツィオは戦車道は衰退していたと聞きますが」

優花里「しかし…現隊長がアンツィオに来てから、また成長し力をつけてきているみたいです」

優花里「油断はできませんね」

沙織「えー?大丈夫?」


まほ(…初戦は安斎か…)


エリカ「…」

みほ「…」


柚子「初戦から侮れない相手ですね…」

桃「どんなことがあっても負けられない…」

桃「負けたら我々は…」

赤星「ああ、まほさんが隊長でいてくれたらなぁ…」

みほ「なにぃ!?今なんと言った?」

赤星「いえ、何でも!」

みほ「忘れたのか、間違っても私の前でその名を口にしてはならんと言ったのを! 隊長は、この私だッ!!」

みほ「ねえお姉ちゃん、その人たち誰?」

まほ「みほか……」

みほ「お姉ちゃんの事を悪く言う人たちはみんないなくなったんだよ、いつ戻って来ても大丈夫だよ?だからそんな人たちと一緒にいないで、早く私と一緒に黒森峰に帰ろう?そんな人たちといたらお姉ちゃんが汚されちゃうよ。ねえ、ねえお姉ちゃんったら。どうして無視するの?」

病み住殿だとこんな感じか


戦車喫茶ルクレール

沙織「すごーい、押しボタンからケーキまでみんな戦車だ~」

華「美味しそうですね」

沙織「ねーアンツィオ高校って強いの?」

まほ「アンツィオは保有戦車の半数がカルロヴェローチェという豆戦車だ」

まほ「他に火力のあるセモヴェンテ自走砲も保有している」

沙織「豆戦車?」

優花里「軽戦車よりも小型で軽量で軽装備な戦車です!タンケッテとも呼ばれますね!」

優花里「砲塔を持たず、機関銃が主武装となります!」

沙織「そんな戦車があるの?弱そ~」

華「勝てるかもしれませんね」

まほ「だが油断は禁物だ」

まほ「隊長の安斎はアンツィオ戦車道を再建し、隊員からの信頼も厚い」

まほ「敵戦車が殆ど豆戦車だからと言って、舐めてかかると足元すくわれるぞ」

沙織「そんなにスゴイ隊長なんだ~」

麻子「負けたら単位はどうなる」

沙織「貰えるわけないじゃん」

麻子「…」

沙織「それより、全国大会ってテレビ中継されるんでしょ?ファンレターとか来ちゃったらどーしよー!」

華「生中継は決勝だけですよ?」

沙織「じゃあ、決勝行けるように頑張ろー!」モグモグ

沙織「まぽりんセンパイも食べて!美味しいよ!」

まほ「あぁ」

エリカ「隊長…!」

まほ「ん?」

みほ「…」

エリカ「あ、いや…元…隊長…」

まほ「みほ…」

沙織・華「?」


みほ「お姉ちゃん…本当に戦車道、やってるんだね」

まほ「…」

みほ「無名校で素人さんたちと乗る戦車は楽しい?」

まほ「何が言いたい」

みほ「西住流家元の長女で黒森峰の隊長だった西住まほが」

みほ「今じゃ戦車道無名校でお友達と戦車ゴッコなんてしてるって世間に知られたら」

みほ「西住家の恥だから」

みほ「今すぐ大会を辞退して戦車道を辞めて欲しいの」

沙織「はぁ?何その言い方」

華「失礼ではありませんか?」

みほ「誰ですか?貴方たち」

優花里「私たちは、まほさんと一緒に戦車に乗ってます!」

みほ「…お姉ちゃんは貴方たち凡人と一緒に戦車に乗っていい人間ではないんです」

みほ「全国大会を辞退してください」

麻子「まほさんは西住流から追い出されたんだろ、だったらどこで戦車に乗ろうが関係ないだろう」

みほ「お姉ちゃんは戦車に乗る限り、西住流の名に泥を塗り続けるんです」

みほ「これ以上、西住流の邪魔をしないでください」

麻子「それはこっちのセリフだ、私たちの戦車道の邪魔をするな」

みほ「…」イラッ

エリカ「隊長、もう行きましょう…!」

まほ「みほ」

みほ「…なに」

まほ「私は西住流を…黒森峰を倒す」

みほ「…ふっ」

みほ「聞いた?エリカさん」

エリカ「…」

みほ「何の実績もない、こんなド素人の集まりが…黒森峰を倒すんだって」

みほ「…呆れた」

みほ「行こうエリカさん」スタスタ

エリカ「あ、…はい」

エリカ「…」ペコリ

まほ「…」


沙織「な…なにあの子!可愛い顔して感じ悪い!」

華「あの方がまほ先輩の妹さんなんですか…?」

優花里「西住みほ…まほ殿が黒森峰で隊長だったときは、副隊長でした」

沙織「今はあの子が黒森峰の隊長ってこと?」

まほ「…」

華「…ケーキもう一つ食べましょうか」

麻子「もう二つ頼んでもいいか」


連絡船

まほ「…」

優花里「寒くないですか?」

まほ「ん?あぁ、大丈夫だ」

優花里「全国大会…出場できるだけで、私は嬉しいです」

優花里「他の学校の試合も見られるし、大切なのはベストを尽くすことです」

優花里「たとえ負けたとしても…」

杏「それじゃ困るんだよねぇ~」

桃「絶対に勝て」

桃「我々はどうしても勝たなくてはいけないんだ」

柚子「そうなんです、だって負けたら…」

杏「しーっ!」

杏「まぁとにかく!全ては西住ちゃんの肩にかかってるんだから!」

杏「今度負けたら何やってもらおっかな~」

杏「考えとくねぇー」スタスタ

まほ「…はぁ」

まほ「アイツはヒトを不快にする天才だな」

優花里「だ、大丈夫ですよ!頑張りましょう!」

まほ「…アンツィオは何か戦車を隠しているという噂もある…」

まほ「それが分かれば作戦を立てやすいんだが…」

優花里「…」


翌日、優花里の部屋

好子「…じゃあ、ごゆっくり!」

華「…いいご両親ですね」

ガラララ…

まほ「え?」

沙織「ゆかりん!?」

優花里「あれ?みなさんどうしたんですか?」

まほ「優花里こそ…」

華「連絡がないので心配して…」

優花里「すみません、電源を切ってました」

沙織「つか、なんで玄関から入ってこないのよ!」

優花里「こんな格好だと、父が心配すると思って…」

「「「あー…」」」

優花里「でも丁度よかったです!」

優花里「是非、見ていただきたいものがあるんです!!」


『実録!突撃!!アンツィオ高校』

華「こんな映像があるんですね」

沙織「どこで手に入れたの?」

優花里「ふふん」


優花里『私は今、アンツィオ高校に来ています』

優花里『では、潜入します!』


まほ「これ、どうしたんだ?」

優花里「帰る途中、自分で軽く編集してきました」

優花里「テロップもまだ、仮なんですけど…」

沙織「いや、そうじゃなくて…」


優花里『では、無事潜入できましたので、アンツィオの制服に着替えたいと…』

優花里『これでどこから見ても、アンツィオ高の生徒です!』

優花里『それにしても平日なのに、屋台がたくさん出ていますが…学園祭か何かなのでしょうか…』

優花里『あのー、私転校してきたばっかりでよくわからないんですけど、今日ってなんかのイベントでしたっけ?』

『いつもの日だよ?』

優花里『随分と出店も多いですね』

『ウチはいつもこんなもんだって!ウチの学校は貧乏だから少しでも予算の足しにしないとね~』

優花里『そうでしたか!どうもであります~』

優花里『なんとこれは賑やかで楽しそうですねぇ』


沙織「つか、最初にコンビニの制服に着替えてたのはなんで?」

優花里「コンビニの定期便に乗り込んでで学園艦に潜り込んだんです」

沙織「なるほど…」


優花里『はっ!?戦車を飾ってるお店があります!』

ペパロニ『アンツィオ名物鉄板ナポリタンだよ~!美味しいパスタだよ~』

ペパロニ『あ、そこの彼女食べてきな~』

ペパロニ『…はい、300万リラ!』

優花里『えぇ~…いつの為替レートですかぁ?』

ペパロニ『いや…300円…』

優花里『では、早速!』モグモグ

優花里『美味しいです!!』

ペパロニ『だぁろぉ~??』ドヤァ

優花里『ところで、戦車っていったら秘密兵器があるって聞いたんですけど』

ペパロニ『なにぃ?どこで聞いたァ?』

優花里『は、すみません…』

ペパロニ『おめぇ通だネェ!ここだけの話っつーか超秘密なんだけど~…』

ペパロニ『重戦車を買おうとしてるんだー!』

優花里『買おうとしてる…?』

ペパロニ『そうそう!今こうやってお小遣い貯めてなぁ、えーと…イタリアの、なんだっけ』

優花里『イタリアの重戦車と言えばP40…とかですか?』

ペパロニ『そー!!それそれぇ!!』

ペパロニ『P40をそりゃもう気も遠くなるくらい昔から貯金しまくって、私らの代でようやく買えそうなんだ!』

優花里『今は買えないんですか?』

ペパロニ『2回戦目の時には買えるさァ!!』

優花里『では1回戦目ではP40は出てこないと…』

ペパロニ『必要ねェよ!アライグマだかコアラの森だか知らねえけど、重戦車が無くても一捻りさァ!!』

優花里『そ、そうですか…!頑張ってくださいねー!』

ペパロニ『アリベデルチー!!』

優花里『ありがとうございました!』

優花里『…どうやら1回戦ではP40は出ないようです!これは大きな収穫ではないでしょうか!

優花里『これでレポートを終わります!』


麻子「なんという無茶を」

優花里「頑張りました!」

沙織「いいの?こんなことして…」

優花里「試合前の偵察行為は承認されています」

優花里「西住殿、心配していた秘密兵器は出てこないそうでありますよ!」

まほ「ありがとう、敵に重戦車が出ないと分かれば戦術も立てやすい」

沙織「無事でよかったよゆかりん~」

麻子「怪我はないのか」

華「ドキドキしました…」

優花里「…心配していただいて恐縮です…わざわざ家まで来ていただいて」

華「いいえ、おかげで秋山さんのお部屋も見れましたし」

優花里「あの…部屋に来てくれたのは皆さんが初めてです」

優花里「私、ずっと戦車が友達だったので…」

まほ「ふふっ」

麻子「何にせよ、1回戦を突破せねば」

華「頑張りましょう!」

沙織「1番頑張らなきゃならないのは麻子でしょ?」

麻子「なんで」

沙織「明日から、朝練はじまるよ…」

麻子「…え」

乙です。

見た感じ闇ぽりんかなぁ……´・ω・) ナム
エリカは心労が凄そうだな(汗)

アンツィオはP-40無しか。
慢心し過ぎたか(苦笑)


翌日

桃「それでは本日の練習を終了する!」

桃「解散!」

「「「お疲れ様でしたー」」」

まほ「お疲れ様」

沙織「疲れたー、甘いもの食べたーい」

まほ「何か食べて帰るか?」

沙織「うん!」

華「…」チョン

沙織「あ、…私たち、ちょっと用事があるから…まぽりんセンパイ先帰ってていいですよー」

まほ「ん?あぁ」


ナカジマ「お、西住さーん」

まほ「ナカジマか」

ナカジマ「今から帰り?」

まほ「あぁ」

ナカジマ「私は今日も戦車の整備だよ~」

まほ「本当に助かる、私たちが戦車に乗れるのは君たち自動車部のおかげだ」

ナカジマ「そう言ってもらえると嬉しいよ」

ナカジマ「IV号も整備しようと思ってるんだけど、2年生たちが練習で使ってたから後回しにするね」

まほ「え?」


ギュラギュラギュラ…

沙織「9秒!さっきよりちょっと速くなったかも!」

優花里「やった!」

華「次はもっと速くなってみせます」

まほ「皆…」

「「「あ」」」

まほ「まだ練習してたのか」

沙織「私たち、まぽりんセンパイの足引っ張らないようにしなきゃと思って…」

華「妹さんたちを見返してやりましょうね」

まほ「…ありがとう」ニコッ


翌日

桃「全国大会は目前だ!練習量増やすぞ!」

「「「 お ぉ ー !!! 」」」


まほ「うむ、いい感じだ」

杏「よぉーし、その調子だよぉ~」


まほ「これが私たちのパンツァージャケットか」

華「皆さんお似合いです」

沙織「良いじゃん気に入っちゃった!」


『第63回 戦車道全国高校生大会 第1回戦』

桃「整備終わったかー!?」

「「「はーい!」」」

エルヴィン「準備完了!」

典子「私たちもです!」

まほ「IV号も完了だ」

桃「じゃ、試合開始まで待機!」

杏「ん?」

ブロロロロ…

アンチョビ「たーのもー!」

杏「おーチョビ子ー!」

アンチョビ「チョビ子と呼ぶな、アンチョビ!」

桃「で?何しに来た安斎」

アンチョビ「アンチョビ!!」

アンチョビ「試合前の挨拶に決まってるだろ?」

アンチョビ「私はアンツィオの、ドゥーチェアンチョビ!そっちの隊長は?」

まほ「久しぶりだな、安斎」

アンチョビ「ふふふ…西住、こんなところで再開できるとは思ってなかったぞ」

アンチョビ「黒森峰を去ったと聞いたときは心配したが、またこうやって西住と戦車道の試合ができるなんて嬉しいぞ!」

まほ「そうか」

アンチョビ「フン!相手が西住流だろうが、島田流だろうが私たちは負けない!」

アンチョビ「じゃなかった勝つ!」

まほ「ふふっ…相変わらずだな、安斎」

アンチョビ「…西住、黒森峰にいた時より表情豊かになってないか?」

まほ「…そうか?」

アンチョビ「まぁいい!今日は正々堂々勝負だ!」

まほ「あぁ、よろしく」


カエサル「…ひなちゃん?」

カルパッチョ「たかちゃん!久しぶりー!」

カエサル「久しぶりー!」キャッキャッ

おりょう「なんかイチャついてるぜよ」


まほ「…相手はCV33が7両にセモヴェンテ3両、フラッグ車は恐らく安斎が乗るセモヴェンテ」

まほ「CV33に惑わされるな、セモヴェンテに気を付けろ」

まほ「八九式と38tは偵察を、III突とM3は我々フラッグ車の護衛を頼む」

「「「はい!」」」

まほ「…パンツァーフォー!!」

ギュラギュラギュラ


アンチョビ「アヴァンティ!!」

ギュラギュラギュラ


八九式…東側偵察

38t…西側偵察

IV号…フラッグ車

III突・M3…IV号の護衛


典子『こちら八九式、偵察中!異常なし!』

杏『こちら38t~いじょーなーし』

沙織「このまま前進でいい?」

まほ「あぁ」

まほ「アンツィオはCV33を偵察に使うだろう、CV33に見つかったところで撃破されることはないから」

まほ「落ち着いて対処するぞ」

まほ「情報を密にして、相手フラッグ車を見つける」

『『『はい!』』』

典子『…あ!』

典子『CV33発見!』

沙織「八九式チームがカルロヴェローチェを見つけたみたいだよ!」

まほ「さすが快速戦車…来るのが早いな」

典子『その数…4両!』


まほ『八九式チーム、今からそっちに向かう!距離をとって牽制しろ』

典子「ヤバイです!めちゃくちゃ機銃打ってきます!」

ガガガガガガガガ

あけび「痛い痛い痛い!」

妙子「装甲薄いから衝撃が伝わってくる~!」

忍「キャプテン!逃げますか!?」

典子「気合だ!」

忍「…で、逃げるんですか?」

まほ『八九式は機銃でも抜かれる!機銃でも撃破判定になるから逃げろ!』

典子「気合で逃げろー!」


CV33車内

ペパロニ「へっへーん、逃がさねぇぞぉ?」

ペパロニ「おぉい野郎ども!囲んでやれ!」

『『『おおおー!!』』』


典子「囲まれた!」

忍「逃げれませんよ!」

典子「止まると機銃で蜂の巣にされる!止まらず動き続けろ!」

ドォン!

あけび「砲撃が当たらなーい!」

妙子「なにこれ暴走族ー!?」

まほ『落ち着け!どこへ行く!』


ペパロニ「よおし!このまま例の場所まで誘導するぜ!」


沙織「まぽりんセンパイ!八九式チームがドンドン遠くに!」

まほ「…まずい」

まほ「八九式!どうにか逃げ出すんだ!」

『ガガガガガガガ!!!』

典子『くっそぉ!』

まほ「八九式!」


あけび「当たって!」

ドォン!

ガシャァン!

典子「ナイスアタック!CV33をひっくり返したぞ!」


ペパロニ「フッ…」

ペパロニ「おーい、連れてきてやったぞぉー」


カルパッチョ「ご苦労様です」

ズドォン!!


ドガシャァ!!

典子「な、なんだ!?」

…シュパッ!

典子「やられたぁ!!どこから!?」

妙子「いたた…あそこにセモヴェンテが…」

典子「ちくしょう!!誘き出された!!」

あけび「でもこちらもCV33を1両撃破して…」


「よっこらせ」ドシン


忍「ひっくり返したCV33を起き上がらせて再び走り始めた…」

あけび「撃破できてなーい!?」

典子「申し訳ございません隊長!なんの戦果もあげられず撃破されてしまいましたー!!」


まほ「怪我はないか!?」

典子『大丈夫です!すみません!』

まほ「生徒会!CV33に囲まれても惑わされるな!振り切るんだぞ!」

杏『あーい、…と言いたいところだけど』

杏『CV33、3両に追いかけ回されてる最中だよ~』

桃『あーしつこい!!』

まほ「絶対に連れてかれるな!」

杏『西住ちゃん、今のところの目標は?』

まほ「CV33に惑わされずセモヴェンテを見つけ出して叩くことだ」

杏『んじゃー私たち、CV33にセモヴェンテのとこまで連れてってもらうわ~』

まほ「なに!?」

杏『っつーことで、援護ヨロシク~』

まほ「…わかった、絶対撃破されるなよ」


カルパッチョ『ドゥーチェ、八九式を撃破しました』

ペパロニ『私のおかげっすよね!?姐さん!!』

アンチョビ「あぁそうだ!キオッジャ作戦成功だ!」

アンチョビ「ペパロニ!この調子でドンドン敵戦車をセモヴェンテのもとへ連れてこい!」

ペパロニ『私に任せてくださいッス姐さん!!』


まほ「情報を整理しよう」

まほ「八九式が東側に偵察に行き、誘導されセモヴェンテに撃破された」

優花里「そのセモヴェンテはフラッグ車ではないとのことですね」

まほ「西側に偵察に行った38tも、西のセモヴェンテのもとへ誘導されている」

まほ「そのセモヴェンテもフラッグ車ではないだろう」

華「わざわざフラッグ車の場所なんて教えるわけないですもんね」

まほ「東と西にセモヴェンテ…フラッグ車のセモヴェンテを炙り出さねば…」

カエサル『隊長!』

まほ「どうした」

カエサル『八九式を倒したセモヴェンテを放っておいていいのか?』

優花里「アンツィオはCV33を、セモヴェンテへの誘き出し以外に」

優花里「レーダー代わりに戦場に張り巡らせて、我々の戦車の位置の特定をすると考えられます!」

まほ「IV号とIII突とM3が固まって動いてると特定されると、忍び寄る東のセモヴェンテにやられる可能性があるということか…」

まほ「III突チーム、頼んでいいか?」

カエサル『もちろん!』

エルヴィン『よし!東側へ行くぞ!東のセモヴェンテは八九式を撃破したところにまだ隠れてるかもしれん!』

ギュラギュラギュラ

まほ「任せたぞ、CV33に気を付けろ!」


ガガガガガガ

桃「あーもう機銃がウザったい!!」

杏「こやまー、38tも装甲薄いから機銃でも危ないかもよ~」モグモグ

柚子「会長!干し芋食べてる余裕ないですよぉー!」

桃「あたれぇ!このぉ!ちょこまかと!!」ドォン!

杏「かぁしまがCV33に当てられたら大したもんだよ」モグモグ

杏「…!」

杏「こやま!停止!!」

柚子「はいぃ!!」ガクンッ!

ズボォ!!

桃「なっ!?」

杏「西住ちゃん!セモヴェンテの砲撃着弾!!私たちの付近にいるよ!!」

まほ『すぐ行く!!』


東側

ペパロニ「ん?」

ギュラギュラギュラ

ペパロニ「III突発見!!野郎ども!次の獲物だ!!」

「「「おおおー!!」」」


左衛門佐「暴走族が来たぞ」

おりょう「セモヴェンテのもとへ連れてってもらうぜよ」


アンチョビ「西側では38tが、東側ではIII突がセモヴェンテのもとへ…いいぞ!その調子だ!」

西セモヴェンテ車長『ど、ドゥーチェ!!』

アンチョビ「どうした?38tが釣れたか?」

西セモヴェンテ車長『38tどころか、IV号とM3も釣れましたぁ!!』

アンチョビ「おおお!入れ食いじゃないか!」

西セモヴェンテ車長『入れ食いなんですけど、場所がバレました!囲まれてます!!』

アンチョビ「なんだってぇ!?」


まほ「撃て!!」ドォン!!

梓「撃てぇ!!」ドン!ズドン!!

桃「当たれぇぇぇ!!」ドォン!

柚子「桃ちゃんハズレ」


西側CV33車長『…ドゥーチェ!セモヴェンテが集中砲火を!豆戦車では対処できません!』

アンチョビ「…畜生!」

アンチョビ「東側はどうだ!?」

ペパロニ『東ではセモヴェンテとIII突が激しく交戦してるっス!!』

カルパッチョ『ペパロニ!III突は私に任せてドゥーチェの護衛を!』

カルパッチョ『ドゥーチェの場所を知られてはマズいです!!』

西セモヴェンテ車長『ドゥーチェすんません!!撃破されましたぁ!!』…シュパッ!

アンチョビ「…西にいる38t、IV号、M3がこっちに来る可能性があるな…」

アンチョビ「ペパロニ!こっちに来てくれ!」

ペパロニ『わかったッス!今行くッスよドゥーチェ!!』

アンチョビ「III突は任せたぞ!」

カルパッチョ『はい!』


エルヴィン「このセモヴェンテなかなかやるぞ!」

カエサル「ここは装填スピードの勝負だな…ッ!」ガコンッ

左衛門佐「おりょう!絶対セモヴェンテに背を見せるな!」

おりょう「わかったぜよぉ!」


西側

桂利奈『めっちゃCV33が付きまとってくるー!』

あや『機銃うざーい!』

あゆみ『でもCV33について行けばまたセモヴェンテに会えるんじゃ…』

まほ「いや、残ったセモヴェンテはフラッグ車と東のセモヴェンテだけだ」

沙織「東のセモヴェンテはIII突と交戦中だよ!」

まほ「このCV33は私たちをフラッグ車セモヴェンテから引き離そうとしてるはずだ」

まほ「CV33を振り切り、フラッグ車を探せ!」

『『『 お ー !! 』』』


アンチョビ「やるな大洗…!だが勝負はこれからだ!!」




その頃…

黒森峰女学院、射撃練習

みほ(明日は1回戦…遠距離射撃の最終調整しとかないと)

エリカ「…次、III号!」

III号車長「はい!」

ドォン!!

エリカ「的に命中、しかし中心から左下…」

エリカ「もっと精度を上げなさい」

III号砲手「すみません!」


エリカ「次!パンターG型!」

小梅「はい」

ドォン!

エリカ「…ど真ん中、小梅のパンターは優秀ね」

小梅「ありがとうございます」


エリカ「次!ラング!」

ラング車長「はい!」

ドォン!

ラング砲手「あっ」

エリカ「…的に命中せず」

ラング砲手「す、すみません!」

エリカ「動いてない的なんだからしっかり狙いなさい!もう一度!」

みほ「待ってください」

エリカ「…隊長?」

みほ「あなたをレギュラーから外します」

ラング砲手「え!?」

ラング車長「隊長!?」

みほ「どちらかが動いているのならともかく」

みほ「止まった戦車から止まった的に当てられないような砲手は」

みほ「黒森峰には必要ありません」

ラング砲手「も、申し訳ありません!次は当てます!」

みほ「次はありません」

ラング砲手「そんな…ッ」

ラング砲手「こ、高校生活最後の全国大会なんです!」

ラング砲手「このラングで…このラングの仲間たちと最後の試合に出たいんです!!」

ラング砲手「もう一度チャンスを下さい!!」

みほ「…」

みほ「…はぁ」

ラング砲手「…に、西住隊長!」

みほ「あの…」

みほ「あなたの素敵な思い出とか、どうでもいいんです」

みほ「邪魔なので早く戦車から降りてもらえませんか?」

ラング砲手「ッ…!」グスッ

ラング砲手「うぅ…」ヨロヨロ

ラング車長「しかし隊長!全国大会も目前です!今砲手に居なくなられては困ります!」

みほ「4ヶ月前にレギュラーから外した砲手は、今の砲手より0.78%命中率が高いです」

みほ「…どちらが役に立ちますか?」

エリカ「…」


ドガァン!!…シュパッ!

カルパッチョ「…あ」

カルパッチョ「惜しかったんだけどなぁ…負けちゃった…」


エルヴィン「セモヴェンテ撃破!よく頑張ったカエサル!!」

カエサル「装填のし過ぎで…腕がヘンだ…」

ガシャアン!!

左衛門佐「なんだ!?」

おりょう「履帯が切られたぜよ!」

エルヴィン「転輪まで吹き飛んでるぞ!…後ろ!敵フラッグ車セモヴェンテ!!」

カエサル「フラッグ車…こっち来てたのか…!」

左衛門佐「早く後ろへ向けろ!」

おりょう「履帯がやられてるんだって!」

ドゴォン!!…シュパッ!

エルヴィン「やられた…ここまでか…」


アンチョビ「すまんカルパッチョ!遅れた!」

カルパッチョ『ドゥーチェすみません…やられてしまいました』

アンチョビ「ここまでよく頑張った!…あとはドゥーチェアンチョビに任せろ!!」

アンチョビ「ペパロニ!ピッツァ作戦だ!」


沙織「III突チームが東セモヴェンテを撃破したけど、フラッグ車セモヴェンテに撃破されちゃったよ!」

まほ「敵の残りはフラッグ車セモヴェンテとCV33、7両か…」

優花里「こちらはIV号、M3、38tですね」


優季「さっきまでしつこかったCV33がみんないなくなっちゃったよ~」

梓「どこに消えちゃったんだろう…」

ズガァン!!…シュパッ!

桂利奈「あい!?」

梓「なッ!?やられた!?どこからぁ!?」


華「まほ先輩!M3チームが!」

まほ「セモヴェンテか!どこに隠れてる…!」


桃「マズい!あと我々とIV号しか残ってないぞ!」

柚子「相手はまだ8両もいるのに~…!」

杏「…ヤバイねぇ」


ペパロニ『姐さんお見事!』

アンチョビ「お前たちが敵の場所を教えてくれるおかげだ!」


まほ「…監視されてる気分だ」

優花里「じーっと見られているような感じがしますね…」

沙織「さっきゆかりんが言ってたアレだよ!」

沙織「CV33をレーダー代わりにして私たちの場所をセモヴェンテに伝えてるんだよ!きっと!」

華「豆戦車は偵察に最適ですね…」


杏「あー、後ろの木の陰にいるねぇ…CV33、見られてるわ」

桃「くそ!豆戦車なんか片っ端から蹴散らしてやる!」

柚子「桃ちゃんが豆戦車に当てられるわけないじゃん!」

杏「とりあえず身を隠そう、西住ちゃん!どこへ行く?」

まほ『しッ!!』

杏「へ?」

まほ『静かにしろ、耳を澄ませるんだ』

杏「…」

ガラガラガラ…

杏「戦車の音…」

まほ『右!!この走行音はセモヴェンテだ!!』

杏「こやま!逃げッ…」

ドゴォン!!…シュパッ!


まほ「くそッ!38tまで!」

沙織「どうするの!?絶体絶命だよ!」

まほ「…おそらく、360°すべてCV33に囲まれてるだろう」

優花里「完璧に監視されてますね…」

麻子「私たちの動きと隙はお見通しということか」

華「木が生い茂って…私たちからはCV33すらどこにいるか…」

まほ「ここに留まっていたら確実にやられる…」

沙織「まぽりんセンパイ!この先に草原があるよ!」

まほ「よし、草原に行けば奴らも隠れる場所がなくなる」

まほ「麻子!前進しろ!」

麻子「おう」

ギュラギュラギュラ

まほ「早くこの森を抜けるんだ!」


ペパロニ『姐さん!IV号が動いたッス!』

アンチョビ「なに!?どこへ向かった!」

ペパロニ『えーっと…地図地図…』

ペパロニ『あれ?あぁ上下逆か』

アンチョビ「おいペパロニ!ちゃんとしろ!」

アンチョビ「まったく…ほかのCV33もIV号の場所を教えてくれ!!」

『IV号はそっちに向かってます!』

アンチョビ「そっちってどっちだ!」

『ドゥーチェのところです!』

アンチョビ「え?」

アンチョビ「…あッ!来たぞォ鉢合わせだ!目の前にIV号!」

ギュラギュラギュラ

アンチョビ「そこだ!撃てぇ!!」

ズドン!!


沙織「目の前に敵フラッグ車!!!」

まほ「そこにいたのかッ」

ガシャァン!!

麻子「くっ…!履帯切られた…」

優花里「マズいですよ!!」

まほ「落ち着け!!」

まほ「華、相手は装填完了まで数秒かかる」

まほ「落ち着いて狙うんだ」

華「はい」

華「…」ジッ…


アンチョビ「あー!!焦るんじゃない!履帯に当たったぞ!!早く装填しないと!!」ガコンッ

砲手「スンマセンドゥーチェ!」

アンチョビ「よし!撃t(ry

ズドァン!!…シュパッ!


『アンツィオ高校フラッグ車、走行不能!』

『大洗女子学園の勝利!!』


まほ「…」

沙織「勝ったよまぽりんセンパイ~!!」

優花里「西住殿~!!」

華「まほ先輩やりました!!」

まほ「ふっ…皆のおかげだ…」

まほ「よく頑張ってくれた…まさかアンツィオに勝てるとはな」

「「「 お ー い !!!」」」

「西住隊長ーッ!!」

「やったよー!!」

「わーい!!」

杏「ぶぃ!」


アンチョビ「…負けちゃったか」

アンチョビ「いい感じだったんだけどなぁ…詰めが甘かったか…」


『一同、礼!』

「「「ありがとうございました!!」」」

パチパチパチパチ

華「すごい拍手…」

沙織「勝ったー!」

優花里「初公式試合でアンツィオに勝てるなんて…」

アンチョビ「いやぁー今年こそはイケると思ったんだがなぁ…」

アンチョビ「でも、いい勝負だった」

まほ「あぁ、あそこまでの追い込まれるとは…さすが安斎だ」

アンチョビ「決勝まで行けよ?我々も応援するから!」

アンチョビ「だよなー!?」

アンツィオ高生「「「おぉおーーー!!!」」」

アンツィオ「ほら笑って!もっと手振ってー!」

まほ「ははは、ありがとうな」


アンチョビ「諸君!!試合だけが戦車道じゃないぞ!」

アンチョビ「勝負が終わったら、試合に関わった選手スタッフを労う!これがアンツィオの流儀だ!!」

まほ「コレがあるからアンツィオ高は他校から愛されるんだよな」

沙織「へー」

アンチョビ「我が校は食事のためならどんな労も惜しまない!」

アンチョビ「この、この子たちのやる気がもう少し試合に活かせるといいんだけどなぁ~…」

アンチョビ「ま、それはおいおいやるとして…」

アンチョビ「せーのッ!」

「「「「「いただきまーす!!!」」」」」


黒森峰

黒森峰生1「…隊長…厳しすぎだよね」

黒森峰生2「私たちを道具と扱ってる感が否めないよね…」

黒森峰生3「はぁ…帰ってきてくれないかなぁ…西住まほ隊長」

黒森峰生1「私…逸見副隊長が隊長に相応しいと思う」

黒森峰生2「わかる!元隊長っぽいよね、副隊長」

黒森峰生3「逸見さん、元隊長のこと尊敬してたからなぁ…私、副隊長について行きたい」

黒森峰生A「そんなこと言ってると、レギュラーから外されるよ?」

黒森峰生1「あッ…」

黒森峰生B「エリカ副隊長より、みほ隊長が黒森峰の隊長に相応しいに決まってるでしょ?」

黒森峰生C「みほ隊長について行けないのは使えない奴だから、わかる?」

黒森峰生2「それにしても隊長はやりすぎだと思う!」

黒森峰生A「じゃあ辞めれば?戦車道」

黒森峰生B「隊長の言う通り、勝つためには邪魔なものを排除すべきなのよ」

黒森峰生C「あんたたちみたいなのをね」

黒森峰生3「そ、その考えは間違ってる!」

黒森峰生A「実際、強いのは私たちとあんた達…どっちよ」

黒森峰生1「…」

黒森峰生A「あ、赤星さーん」

小梅「?」

黒森峰生A「赤星さんは隊長派?副隊長派?」

小梅「…良くわかんないけど、私は今の隊長について行きます」

黒森峰生1「なんでッ!?」

小梅「それは…まほ先輩でも、みほさんでも…隊長にはついて行くべきだと思う」


みほ「…」


エリカ「…!」ケ-タイポチポチ

エリカ(大洗…アンツィオに勝ったのね!)

エリカ(隊長…!無名校なのにアンツィオを倒すなんて…流石です!)

エリカ(隊長の戦車道は間違ってなんかいないんですね!)

みほ「エーリカさん」

エリカ「ぎゃッ!?…みほ?…驚かさないでよ…」

みほ「ごめんなさい、なんかエリカさん嬉しそうな顔してたから」

エリカ「え?いや、何でもないわよ」

みほ「そう」

みほ「…今、隊員がね」

エリカ「なに?」

みほ「隊長派と副隊長派に別れてるんだって」

みほ「どう思う?」


翌日
第1回戦、黒森峰女学園 対 知波単学園

絹代「本日はよろしくお願い致します!正々堂々戦いましょう!!」ビシィッ

みほ「はい、お願いします」


エリカ「隊長、対知波単の作戦を考えてないんですが…流石に慢心しすぎではないですか?」

みほ「負ける訳無いじゃないですか、あんなところに」

エリカ「まぁ…そうですが…」

みほ「皆さん、今日は試合ではありません」

みほ「訓練です」

みほ「本物の動く戦車を的に出来る貴重な訓練です」

みほ「知波単を有効に使いたいので、勿論フラッグ車は最後まで残してください」

みほ「砲撃の精度を上げましょう」

「「「はい!」」」

エリカ「…」



~~~~~

みほ『隊長派と副隊長派に別れてるんだって』

みほ『どう思う?』

エリカ『…』

エリカ『ふん、くだらないわ』

エリカ『隊に分裂なんてあってはならないこと』

エリカ『副隊長派とか言う奴らに、説教してくる』

みほ『よかったぁ、エリカさんと対立したらどうしようかと…』


エリカ『お願い、今はみほの指示に従って』

エリカ『私もわかってる、みほの西住流は間違った方向に進んでるって』

エリカ『元隊長はいなくなっちゃったけど…いつか、いつかきっと私が黒森峰を正しい西住流へ導いてみせる』

エリカ『だから今は我慢して、全国大会目前にして隊を乱すわけにはいかないわ』

副隊長派『『『…はい』』』

~~~~~



『黒森峰女学園の勝利!!』


「あっという間だなー」

「黒森峰つえー」


みほ「これで訓練を終了します」

みほ「皆さんの精度も上がってます、素晴らしいです」

みほ「一部を除いて…」ジッ

副隊長派「「「…」」」

みほ「実は少数精鋭のプランも私の中にあります」

みほ「使い物にならない役立たずを引き連れるより、そっちの方が効率的だと私は考えています」

みほ「役立たずにならないように、頑張りましょう」

エリカ「…」


絹代「いやぁ~、徹底的に叩きのめされてしまいましたなぁ!」

絹代「流石黒森峰であります!我々にも本気を出していただいて感無量であります!」

みほ「いえいえ、いい訓練になりました」

絹代「へ?訓練?」


エリカ「…みほ」

みほ「なんですか?エリカさん」

エリカ「知波単の隊長に『訓練』って言ったでしょ、アレは流石に失礼よ」

みほ「…」

エリカ「それに隊員を使い物にならないだの役立たずだの…士気にかかわるわ」

みほ「…だから言ったじゃないですか、少数精鋭プランもあるって」

みほ「『副隊長派』とかいう邪魔なモノを排除して、ね」

エリカ「ッ…」ゾワッ

みほ「エリカさんは優秀な人です、失いたくはないので」

みほ「…私の邪魔だけはしないでくださいね?」

エリカ「…」

みほ「次の相手は…プラウダかぁ」

みほ「きっと調子に乗ってるから」

みほ「徹底的に潰さないと」


大洗女子学園

沙織「ふふーん!クラスのみんなにチヤホヤされちゃった!」

華「沙織さん、結構調子に乗ってましたよね」

沙織「ちょっとぉ!聞こえ悪いよその言い方!」

優花里「まぁまぁ、あのアンチョビ殿率いるアンツィオに勝てたんですから!鼻も高くなりますよ~」

まほ「その通りだ」

まほ「勝てて良かった…ここで負けてたら…」

麻子「負けたらなんかまずいのか?」

まほ「え?」

優花里「生徒会に負けるなーなんて言われてましたけど、やっぱり勝ち負けより大事なものって戦車道にはあると思うんですよぉ」

華「そうですよ、戦車道が無ければまほ先輩や優花里さんと仲良くなれてないかもしれませんしね」

沙織「麻子も単位取れず留年決定になってたかもだしね」

麻子「…」

優花里「そりゃ勝つ方がいいですけど、勝つことよりも大事なものを手に入れることができるじゃないですか」

まほ「…そうだな、黒森峰のときには沙織たちのような親友はいなかった」

まほ「勝ち負けだけが戦車道ではない、大洗に来て初めて知ることができた」

まほ「大洗で戦車に乗って本当に良かったと思っている」

沙織「黒森峰ってそんなに厳しいの?」

まほ「…あぁ」

優花里「そりゃそうですよ!西住殿を勘当するレベルですよ!?」

華「勘当されたのは知っていますが…なぜそこまでされなくてはならなかったのですか?」

まほ「…」


第62回 戦車道 全国高校生大会

決勝戦 黒森峰女学園 対 プラウダ高校


ドガァ…ッ!!

小梅「うわあッ…!」

ガラガラガラ…

みほ「小梅さん!!」

エリカ「小梅車、崖下へ転落!!」

まほ「小梅ッ!!」

みほ「助けに行かなきゃ…!」

まほ「待て!!みほ!!お前はフラッグ車だ!!」

みほ「でも小梅さんたちが!!」

まほ「審判団に救助の要請を…!」

みほ「それじゃ間に合わないよッ!!」

エリカ「隊長!!プラウダがすぐそこに!!」

まほ「みほ!逃げろ!!エリカ、フラッグ車の盾になれ!!」

みほ「でも小梅さんが!!」

まほ「救助の要請は!?」

まほ車通信手「嵐のせいで救助が遅れるみたいです…!」

まほ「くそぉッ!!」ガンッ

みほ「今ならまだ間に合う…ッ」

ゴィンッ!!!

みほ「ぐっ…」

エリカ「プラウダの攻撃!今外出るのは危険よ副隊長ッ!!」

まほ「みほは逃げろ!!ここで負けたらマズイ!!」

みほ「小梅さんを見殺しにしろって言うの!?」

まほ「わかってる!!わかってる…」

まほ(考えろ…どうするべきなんだ…ッ!)


カチューシャ「あははッ、コレで終わりね…!」


ドォン!!

…ドガシャァン!!

みほ「ぎゃッ!!」

……シュパッ!


西住邸

しほ「…」

まほ「…」

しほ「…黒森峰の連覇が途絶えてしまったわ」

しほ「全て、隊長であるあなたの責任よ」

まほ「…」

しほ「黒森峰の負ける様は、滑稽だったわ」

しほ「仲間の戦車が落ちただけであの慌てよう」

しほ「あの動揺の仕方は西住流とは程遠いわね」

まほ「仲間が落ちたんです、大切な仲間が」

しほ「戦いに犠牲は付き物よ、落ちた戦車に気を取られなければ逆転のチャンスもあったはず」

しほ「みほも相当慌ててたようね、隊長であるあなたがしっかり指揮できていない証拠よ」

しほ「黒森峰の隊長として、西住流の後継者として」

しほ「恥ずかしい姿を全国に晒したわね」

しほ「西住流、一生の汚点よ」

まほ「…申し訳ございません」

しほ「赤星さんの犠牲も無駄になってしまったわね」

まほ「ッ!」

まほ「…戦車道は戦争じゃありません!!やはり犠牲は出すべきではない!!」

しほ「…」

しほ「そんな甘いことを言っているから負けるのよ」

しほ「あなたのしていることは西住流に反しているわ」

しほ「撃てば必中、守りは固く、進む姿は乱れ無し、鉄の掟、鋼の心、それが西住流」

しほ「今のまほに、当てはまるものは何一つもない」

しほ「…恥を知りなさいッ!!」ドンッ

まほ「ッ」ビクッ

しほ「仲間が犠牲になったからといって、心乱れるようじゃ」

しほ「黒森峰の隊長、西住流の後継者は務まらないわッ!」


まほ「…お母様は」

まほ「…お母様は、仲間が意識不明の重体になっても」

まほ「二度と目を覚まさないかも知れないと医者に言われても」

まほ「平気なんですか」

しほ「…」

しほ「…西住流は、そんなことで揺らいだりしないわ」

まほ「…そんなこと?」

まほ「小梅が二度と目を覚まさないかも知れないのに…そんなことで片付けられる訳ないじゃないですか…!」

しほ「あなたもまだまだ西住流を名乗るには程遠いわね」

まほ「辞めます」

しほ「…え?」

まほ「戦車道、辞めます」

しほ「な、何を言っているの?」

まほ「私に西住流は無理です」

しほ「あなた何言ってるかわかってるの!?」

まほ「もう黒森峰も戦車道も西住流も!!辞めます!!」

しほ「まほ!!!!」

まほ「私には耐えられない!!家を出て行きます!!!!!」


みほ「お姉ちゃん!!本気なの!?」

まほ「…あぁ」

まほ「戦車道のない学校に転校する」

みほ「考え直してよ!お姉ちゃんがいないと…!」

まほ「みほも『西住流』の心配か?小梅が生死を彷徨っているんだぞ!!」

みほ「違うよ!家族がバラバラになるなんておかしいよ!」

まほ「私はお母様の考えが理解できない、家元の娘として生まれてきた以上、こうなる運命だったんだ!」

みほ「嫌だよお姉ちゃん!行かないで!」

しほ「まほ」

みほ「お母さん!お母さんもお姉ちゃんを止めてよ!」

しほ「転校手続きに判を押したわ」

しほ「二度と、この家の敷居を跨がないこと」

まほ「…はい」

みほ「お母さん!!!」


沙織「…そんなことがあったんだ…」

華「まほ先輩のお母様も、厳しい方ですね」

優花里「い、意識不明の方は…?」

まほ「今は元気だ」

沙織「よかったぁ…」

麻子「…そんなことがあって、怖くないのか?戦車に乗るのが」

まほ「…戦車道は安全だと言われているが、怪我人が出ないわけではない」

まほ「死者は1人も出てないが、小梅は死にかけた」

まほ「君たちもそう言う目に合ってしまうのかと思うと…怖い」

華「まほ先輩…」

まほ「ただ、戦車に乗って楽しいと思ったのは初めてだ」

まほ「黒森峰のときにはなかった感覚だ」

まほ「犠牲を出してまで勝つことにこだわるなんて…そんなの間違っている」

優花里「そうですよ!」

まほ「私は誰1人犠牲を出さずに、黒森峰を倒してみせる」

麻子「…勝てるのか」

まほ「…勝てないかもしれない」

まほ「だが、黒森峰では味わえない喜びを、ここでは味わえることができる」

まほ「君たちに会えて本当に良かった」


まほ、大洗女子学園転校後…

しほ「みほ、あなたが西住流の後継者よ」

しほ「あなたが継がなきゃ、西住流は終わってしまう」

みほ「…」

しほ「…姉のことは忘れなさい」

みほ「忘れられる訳ないよ…」

しほ「それを乗り越えれば、西住流に近づくことができる」

しほ「失うことを恐れていては、勝てないのよ」

しほ「みほは黒森峰の新隊長、元隊長の失態を絶対に繰り返してはいけないわ」


みほ(大好きなお姉ちゃんがいなくなっちゃった)

みほ(大好きなお姉ちゃんが、自慢のお姉ちゃんが、憧れだったお姉ちゃんが…)

みほ(もういない)

みほ(小梅さんも意識が戻らず寝たきり)

みほ(私の大切な人たちがどんどん消えていく)

みほ(私に残るのは戦車だけ)

みほ(私から戦車を取ったら…私に一体何の価値があるんだろう)

みほ(何もない)

みほ(…私が生きていくには一生戦車に乗ってないとダメなんだ)

みほ(戦車に乗って生き抜くためには…)

みほ(…)

みほ「撃てば必中、守りは固く、進む姿は乱れ無し、鉄の掟、鋼の心」

みほ「『どんな犠牲も厭わない』、それが西住流」


みほ「新隊長の西住みほです、よろしくお願いします」

「副隊長が隊長…」

「大丈夫かな…」

「まほ隊長…なんで辞めちゃったの…」

みほ「誰ですか、文句言ってるのは」

みほ「消えてください」

ざわっ…

エリカ「み、みほ?」

みほ「私は隊長です、逸見副隊長」

みほ「これから黒森峰戦車道を引っ張るのは私です」

みほ「それを認められないと言うのなら」

みほ「これほど黒森峰の勝利の妨げとなるものはありません」

みほ「私を隊長だと認められない人」

みほ「消えてください」

みほ「今すぐ!!」


大洗女子学園、生徒会室

柚子「次は2回戦かぁ…大丈夫かなぁ…」

桃「弱気になるな!絶対優勝するんだぞ」

杏「とりあえずリベンジしないとねぇ」

柚子「次の相手は聖グロリアーナですからね」

桃「戦車の数も増やしてくるだろう…」

柚子「こっちも戦車を増やさないと…」

杏「まー…」

杏「どーにかなるっしょー」


翌日、戦車探索中…

杏「見つかったー?」モグモグ

桃「いえ、まだのようです」

柚子「ごめんなさい、仕事を手伝わせてしまって」

華「構いませんよ、早く見つかってない戦車の情報が分かると良いんですが…」


桃「西住、次の聖グロ戦、どうする」

まほ「…当然だが、練習試合よりは力を入れてくるだろう」

まほ「チャーチル、マチルダの他に巡航戦車クルセイダーも加わる」

まほ「守りは固いが足の遅いチャーチル、マチルダをクルセイダーが上手くカバーしてくるはずだ」

まほ「…厳しい戦いになりそうだ」

桃「どうにかしろ、西住」

まほ「どうにかって…」

まほ「強い戦車が無ければどうにもならないだろ!」

桃「練習試合では聖グロを後一歩まで追い詰めることができたし、1回戦ではアンツィオに勝つこともできたんだぞ!」

桃「何が何でも聖グロに勝つんだ!」

まほ「…何故そこまで勝つことにこだわる」

杏「そりゃー勝ちたいじゃん」

まほ「何故だ」

杏「何故だって…西住ちゃんは負けてもいいの?」

まほ「私には…今、明確な目標がある」

まほ「西住流を倒すことだ」

まほ「みほの西住流を倒し、西住流が間違っていることを証明する」

まほ「それが私の目標だ!だから勝たなくてはならない!」

まほ「角谷」

まほ「お前の目標はなんだ、勝たなくてはならない理由はなんだ」


杏「…」

桃「それは…!」

杏「かぁしま!」

桃「…」

まほ「…私は西住流に勝たなくてはならないと言ったが」

まほ「本音を言うと無理だ、黒森峰に勝てるわけがない」

桃「おい西住!さっきと言ってることが…」

まほ「ティーガーに勝てる戦車が大洗にあるか!?パンターやエレファントと互角に戦える戦車があるのか!?」

桃「…」

まほ「…それでも勝たなくてはいけない理由があるのか?」

まほ「負けるわけにはいかない理由があるのか?」

まほ「角谷」

まほ「何故貴様は」

まほ「私を戦車に乗せた」

杏「…」

杏「…ごめん西住ちゃん」

杏「今は話せないや」

まほ「話せない理由はなんだ」

杏「ただ、勝ちたい気持ちは西住ちゃんと一緒」

まほ「…」

杏「ははは」

杏「まぁ、西住ちゃんには感謝してるよ」

杏「あんがとね」


浴場

桃「皆、本日は戦車の捜索ご苦労だった」

桃「新しい戦車と砲身を見つけることができた、次の試合には間に合わないが、コレで我々の戦力も多少は上がるだろう」

桃「次は聖グロリアーナ戦だ、リベンジするぞ」

桃「西住」

まほ「ん?」

桃「締めろ」

まほ「…あぁ」ザパァ

まほ「…」

杏「西住ちゃーん」

杏「ここは黒森峰じゃないんだし、難しいことは言わなくていいよ~」

まほ「…干し芋の言う通りだな」

まほ「よし皆!」

まほ「次も頑張るぞ!!!」

「「「「「 おぉーッ!!!!! 」」」」」



ドガァァッ!!…シュパッ!

『大洗女子学園の勝利!!』


オレンジペコ「そんなッ…!?」

ダージリン「…こんなことがあるのね」

オレンジペコ「練習試合のときと全然違います…西住流、流石ですね…」

ダージリン「これは西住流の戦い方ではないわ」

ダージリン「西住流の殻を破った、まほさんの本当の実力よ」


優花里「勝った!勝ちましたよ西住殿!あの聖グロリアーナに!!」

沙織「すごいよまぽりんセンパイ!」

麻子「良い指揮だった」

まほ「皆のおかげだ」

華「まほ先輩、ハイタッチしましょ!」

まほ「いえーい」パチン


翌日

カチューシャ「嘘よ…カチューシャたちが負けるなんてあり得ないわ…」

カチューシャ「黒森峰は西住流の隊長が辞めて弱体化したって噂だったのに!」

ノンナ「黒森峰新隊長は元隊長の妹さん、西住流の人間です」

カチューシャ「知ってるわよ!…でも、去年と戦い方が全然違う…」

カチューシャ「同じ西住流とは思えない…」


ペパロニ「いやぁ~全国大会の試合会場で出店やると儲かるっすねぇー!」

ペパロニ「しかも強豪校同士の対決!客も多くて稼ぎまくり!」

アンチョビ「ペパロニ、お前、黒森峰とプラウダの試合見れたか?」

ペパロニ「そんな暇ないっすよ!鉄板ナポリタン作るので忙しかったんすから!」

カルパッチョ「メインは試合観戦で来たのにあまり見れませんでしたね…」

アンチョビ「お前らはまだ来年もあるのに…強豪校の戦いをしっかり見とけよな…」

カルパッチョ「…あれ、なんか黒森峰の生徒同士が言い争ってません?」

アンチョビ「ホントだ、勝ったのにどうしたんだろう」

ペパロニ「今黒森峰って二つの派閥に分かれてるみたいっすよ」

アンチョビ「え?」

ペパロニ「犠牲を厭わない冷徹無比の隊長派と、元隊長の意思を受け継ぐ副隊長派に分かれてるみたいっすね」

アンチョビ「どっから聞いたそれ!?」

ペパロニ「黒森峰ファンのお客さんが言ってたっすよ、それで今黒森峰が荒れてるみたいで」


黒森峰1「あんた私の戦車を撃ったでしょ!?」

黒森峰A「隊長の命令よ、囮ごとプラウダを叩きのめせってね」

黒森峰A「文句があるなら隊長に言えば?」

エリカ「ちょっとあなたたち!何言い争ってるの!」

黒森峰1「副隊長!隊長のやり方にもう我慢できません!」

エリカ「…」

みほ「私のやり方に納得できないんですか?」

黒森峰1「…そ、そうです!囮作戦も私たちを使い捨ての道具としか思ってないでしょ!!」

みほ「そっちの方が役に立つんで、あなたたちは」

黒森峰1「わ、私たちも黒森峰生として誇りを持って戦車に乗ってるんです!」

みほ「…」

黒森峰1「私は…私はエリカ副隊長が隊長に相応しいと思います!!」

黒森峰1「元隊長と同じ意思のエリカ副隊長が本当の西住流です!」

みほ「…そうですか」

みほ「なら、次の継続戦はエリカさんに全部任せます」

エリカ「えッ!?」

みほ「本当の西住流とやら、見せてくださいよ」


第63回 戦車道 全国高校生大会

1.聖グロリアーナ女学院 ◯
2.ワッフル学院 ●

3.大洗女子学園 ◯
4.アンツィオ高校 ●

5.BC自由学園 ◯
6.青師団高校 ●

7.ヨーグルト学園 ●
8.サンダース大付属高校 ◯


9.コアラの森学園 ●
10.継続高校 ◯

11.マジノ女学院 ●
12.ボンプル高校 ◯

13.プラウダ高校 ◯
14.ヴァイキング水産高校 ●

15.知波単学園 ●
16.黒森峰女学園 ◯


第二回戦

1.聖グロリアーナ女学院 ●
3.大洗女子学園 ◯

5.BC自由学園 ●
8.サンダース大付属高校 ◯


10.継続高校 ◯
12.ボンプル高校 ●

13.プラウダ高校 ●
16.黒森峰女学園 ◯


ケイ「…」

アリサ「…」

ケイ「…」

アリサ「…」

ケイ「ヨーグルト戦、BC自由戦をアリサに指揮を任せて」

ケイ「順調に勝ち上がったと思ってたら…」

ケイ「まさか無線傍受をしてたなんて…」

アリサ「…ごめんなさい」

ケイ「ウチはフェアーな戦いをするのがモットーだっていつも言ってるでしょ!!!」

アリサ「ヒイイイイイイイ」

ケイ「アリサにサンダースを任せるのはまだ早いみたいね」

ケイ「次の準決勝戦、私が指揮をとるわ」

ナオミ「…」クッチャクッチャ


西住邸

しほ「…みほ」

しほ「なんですか、あの戦い方は」

みほ「どういうこと?」

しほ「囮を使ってキルゾーンに誘い込む作戦はよくあること」

しほ「しかしその囮ごと撃つとは何事かと聞いているの」

みほ「お母さんの教えの通り、犠牲を厭わない戦い方だよ」

しほ「そんな戦い方、教えた覚えはないわ」

みほ「去年の全国大会、忘れたの?」

みほ「お姉ちゃんのせいで」

しほ「犠牲が出てしまったのと犠牲を出すのは違うわ」

しほ「仲間を使い捨てるなんて戦車道に反しています」

みほ「…お母さん、言ってることめちゃくちゃだね」

しほ「みほ、誰に向かって口を聞いているの」

みほ「お母さんの西住流はもう古いんだよ」

しほ「みほ!」

みほ「そんなことより」

みほ「お姉ちゃんが全国大会出てるって知ってる?」

しほ「…え?」

みほ「これ、選手名簿」

みほ「大洗とかいう無名校だから気に留めなかったんだろうけど」

みほ「ほら、『隊長…西住まほ』」

しほ「!?」

しほ「あの子…何故また戦車道を…?」

みほ「お姉ちゃん、私に黒森峰を倒すとか言ってきたの」

みほ「まぁ次のサンダース戦で負けると思うけど」

みほ「仮に…、仮に決勝まで上がってこれたら」

みほ「私の西住流で徹底的に叩きのめすから」

みほ「そしたら私が西住流後継者に相応しいこと認めてね」

みほ「お母さん」

しほ「…」


黒森峰1「副隊長…すみません…私が余計なことを言ったばかりに…」

エリカ「…いいのよ、みほより私の戦い方が正しいことを認めさせるチャンスだわ」

エリカ「隊長の…隊長の西住流を…」

エリカ(しかし隊長は黒森峰を一年早く去ってしまった…)

エリカ(まだまだ教わってないこと、教わりたいことはたくさんあったのに…)

エリカ(次の相手は継続高校…)

エリカ(隊長がいたときでも、練習試合で苦戦した相手…)

エリカ(勝てるの…?)


ダージリン「…」

ダージリン「美味しい紅茶ね、ノンナ」

ノンナ「ありがとうございます」

カチューシャ「んもおおおお!ノンナもダージリンもなんで和んでんのよ!」

カチューシャ「私たち全国大会敗退したのよ!?」

カチューシャ「高校生最後の全国大会よ!?お互い2回戦敗退だなんて…!」

ダージリン「それは残念なことね」

カチューシャ「紅茶啜ってる場合じゃないでしょお!?」

カチューシャ「黒森峰を倒して、継続をボッコボコにして、決勝でアンタを倒して優勝する予定だったのに!」

ダージリン「お互い、西住姉妹にやられてしまいましたわね」

カチューシャ「…お互い?」

ノンナ「黒森峰元隊長の西住まほさんは、現在大洗女子学園の隊長をやられてます」

ダージリン「『大洗の』まほさんとの試合は、とても楽しかったわ」

カチューシャ「西住まほって、カチューシャに負けて戦車道辞めたって奴だよね?」

ノンナ「ええ」

ノンナ「今回私たちは、妹の西住みほさんに負けました」

カチューシャ「わかってるわよそんなこと!!」

カチューシャ「まほだかみほだかどーでもいいわ!西住流が憎い!!んぎいいいいい」ジタバタ

ダージリン「私、みほさんと直接お話をしたことないんだけど」

ダージリン「どんな方?」

ノンナ「私も試合の挨拶をした程度なんで、どんな方かはわかりませんが」

ノンナ「味方ごとプラウダを攻撃する指示を出したそうです」

カチューシャ「血も涙もない奴よ!仲間を助けようとした姉のほうがまだ私は好きね!」

ノンナ「助けようとしてるところを撃ったのは誰ですか」

カチューシャ「うるっさいわねぇ!!」

ダージリン「そう…姉と妹でずいぶん違うのね」







……

………

…………

………………

みほ「私には戦車しかない」ブツブツ

みほ「私には戦車しかない」ブツブツ



みほ「…そうだよね?ボコ」






大洗女子学園、戦車倉庫

ナカジマ「長砲身付けたついでに、外観も変えておきました」

優花里「F2っぽく見えますね!」

ナカジマ「そうでしょう?」

まほ「ありがとう、自動車部の皆にはずっと世話になりっぱなしだ」

ナカジマ「いえいえ、まぁ大変だったけど、凄くやり甲斐あったよ」

柚子「砲身が変わって新しい戦車が一両…」

桃「そこそこ戦力の補強はできたな」

まほ「…ルノーには誰に乗るんだ?」

そど子「今日から参加することになりました、園みどり子と風紀委員です」

そど子「よろしくお願いします」

杏「略してそど子だ、いろいろ教えてやってね~」

そど子「会長!名前を訳さないでください!」

柚子「戦車の操縦は冷泉さん、指導してあげてね」

そど子「私が冷泉さんに!?」

麻子「わかった」

そど子「成績が良いからって良い気にならないでよね」

麻子「じゃあ自分で教本見て練習するんだな」

そど子「何無責任なこと言ってんの!?ちゃんとわかりやすく懇切丁寧に教えなさいよ?」

麻子「はいはい」

そど子「ハイは一回でいいのよ!」

麻子「はーい」


桃「次はいよいよ準決勝!しかも相手は準優勝経験もあるサンダース大付属高校だ!」

桃「絶対に勝つぞ!負けたら終わりだからな!」

あゆみ「どうしてですか?」

桂利奈「負けても次があるじゃないですか」

優希「相手は強豪校だしぃ」

あや「そーそー、胸を借りるつもりで…」

桃「それじゃダメなんだ!!!」

「「「・・・・・」」」

杏「…勝たなきゃダメなんだよね」

まほ「…」

まほ「負けてもいい、なんて考えは持つべきではない」

まほ「練習を開始するぞ!」

「「「はい!」」」

杏「西住ちゃん!」

まほ「なんだ」

杏「後で大事な話があるから生徒会室に来て」

まほ「…」


練習後、生徒会室

ぐつぐつ…

杏「いやぁ~、やっぱり皆で鍋を囲むのは良いねぇ」

桃「凄く美味しそうです」

柚子「いい香り~」

まほ「…話ってなんだ」

杏「まーまーあんこう鍋でも食べてぇ」

柚子「会長の作るあんこう鍋は絶品なんですよ!」

杏「まず最初にね?あんこうの肝をよく炒めるといいんだよ」

杏「そこへ味噌を入れてぇ」

まほ「鍋の作り方なんかどうでもいい」

「「「………」」」

柚子「コタツ、暑くないですか?」

まほ「…大丈夫だ」

杏「こやまが予算やりくりして買ったコタツなんだよ~」

杏「他にもいろいろ買ったよなぁ」

柚子「冷蔵庫とか、電子レンジとか、ホットプレートとか」

杏「体育祭や合唱祭や学園祭の前には、よくここで寝泊まりしたからなぁ」

杏「去年は大カレー大会っていうのもやってたなぁ!」

まほ「思い出話はいい」

柚子「あ、私たち一年生のときから生徒会やってて」

杏「そぉだ!珍しいものがあるんだよぉ」

杏「これ、アルバム!」

杏「ホラァかあしまが笑ってる」ペラ

桃「そんなもの見せないでくださいよ」

杏「これはハロウィンパーティで…」

まほ「いい加減にしろ!!!」グイッ

杏「ぐッ」

ガチャンッ


桃「うわッととと!」

柚子「危ない溢れちゃう!」

杏「に、西住ちゃぁーん、制服が伸びちゃうよぉ」

桃「西住!会長をはなせ!」

柚子「暴力はダメだよ!?穏便に穏便に…」

まほ「大切な話ってなんだ!!負けるわけにはいかない理由のことだろ!!」

まほ「私を脅してまでも戦車に乗せた理由はなんだ!!」

杏「…」

杏「今までごめんね、西住ちゃん」

杏「負けたら廃校になるんだ」

杏「この学校」

まほ「…は?」

まほ「またテキトーなこと言ってるな」

杏「本当なんだ!!」

杏「戦車道の全国大会で優勝しないと…」

杏「大洗女子学園は廃校となる…!」

まほ「…」

まほ「…本当なのか?」

柚子「うん…」

桃「本当だ」

「「「「・・・・・」」」」




トコトコ…

まほ「廃校…か」

まほ「はぁ…」



杏「…あぁー~~…」

杏「言うつもりなかったのに…余計なプレッシャー与えたくなかったのにぃ…」

桃「仕方ありませんよ…西住、キレてましたから」

柚子「会長が胸倉掴まれたときはどうなることかと…」

杏「はぁあ…」

柚子「お茶、淹れましょう」

桃「会長、いつも通りヘラヘラしてください」

桃「言ってやったぜ、くらいの気持ちで」

柚子「干し芋も食べましょう」

杏「…食べる」


まほの家

まほ「…」

まほ(負けると…無くなってしまうのか、大洗女子…)

まほ(私は卒業できるが…沙織たちや一年生は…)

まほ(それに…干し芋のあの顔)

まほ(本当にこの学校が好きなんだな…)

まほ(黒森峰から逃げて来た私とは…)

ぴんぽーん

まほ「…」

まほ(誰だ…こんな時間に)

ガチャ

まほ「はい」

エリカ「…やッ!夜分遅くにすみません!」

まほ「!?、エリカ!?」


まほ「ほらコーヒーだ、飲め」コトッ

エリカ「ありがとうございます…」

まほ「どうやってここまで来た?」

エリカ「ヘリです」

エリカ「大洗の学園艦が黒森峰からヘリで2時間ほどの距離にありましたので…」

エリカ「つい…」

まほ「ついって…夜間飛行は危険だろ」

エリカ「すみません…」

エリカ「…ボードに写真がいっぱいですね」

まほ「あぁ、この学校の友達だ」

エリカ「友達…ですか」

まほ「彼女たちは自動車部、大洗最初の友達だ」

まほ「彼女らがいなければ、大洗は戦車道ができないと言っても過言ではない」

まほ「彼女たちは歴女チーム」

まほ「歴史好きの集まりだが、愉快で楽しい連中だ」

まほ「彼女らの知識は戦いの役に立つ、欠かせない存在だ」

エリカ「…」

まほ「それはバレー部だ」

まほ「根性論でゴリ押しするけど、彼女らの根性は本物だ」

まほ「バレー部の八九式の活躍はすごいぞ」

まほ「その子らは一年生チーム」

まほ「まだまだヒヨッコだが、必ず成長する」

まほ「未来の大洗戦車道を担うだろう」

まほ(生徒会はいいや、褒めるの嫌だし)

エリカ「…この人たちは」

まほ「ルクレールで会ったよな」

まほ「私と一緒に戦車に乗る二年生たちだ」

まほ「私は彼女らと戦車に乗るのが楽しいんだ」

まほ「この子が沙織、隣にいる美人が華」

まほ「眠そうにしてるのが麻子、敬礼しているモジャモジャが優花里だ」

エリカ「…隊長って」

エリカ「そんな風に笑うんですね…」

まほ「え?」

エリカ「あ、いや!変な意味じゃなくて!」

まほ「…アンチョビにもダージリンにも言われた」

まほ「大洗に来てから表情が豊かになったと」

エリカ「楽しいですか?大洗は…」

まほ「あぁ」


エリカ「…黒森峰よりも…ですか?」

まほ「…」

エリカ「隊長が突然…いなくなって…」

エリカ「みほもおかしくなって…」

エリカ「隊員たちも…対立するようになって…」

エリカ「私もうどうしたらいいか…」

まほ「エリカ…」

まほ「すまない…私は逃げたんだ」

まほ「それはとても恥ずかしいことだ」

まほ「恨まれても仕方がない」

エリカ「誰も隊長のこと恨んでいませんよ!!」

まほ「…」

エリカ「…お願いです、隊長」

エリカ「決勝戦まで、上がって来てください」

エリカ「隊長の戦車道が正しいことを証明してください!」

エリカ「みほに教えてやってください!!隊長の戦車道を!!」

エリカ「私は私で、隊長の戦車道が正しいこと証明してみせます」



翌日、西住邸

エリカ「いッ…家元、お話があります!」

しほ「…逸見さん」

しほ「なんですか?話とは」

エリカ「あの…!」



準決勝

黒森峰女学園 対 継続高校


みほ「今日は副隊長に全ての指揮を任せます」

エリカ「…」

エリカ「昨日も言った通り、別働隊Aチームと本隊Bチームに分かれます!そして敵フラッグ車を挟み撃ちにする作戦です!」


Aチーム(俗に言う副隊長派)

ティーガーII(エリカ車)
パンター×4
Ⅲ号戦車
Ⅳ号駆逐戦車


Bチーム(俗に言う隊長派)

ティーガーI・フラッグ車(みほ車)
ティーガーII
パンター×4(小梅車含む)
Ⅳ号駆逐戦車×2


エリカ「…継続本隊を発見」

エリカ「隊長、そちらの準備は大丈夫ですか」

『…』

エリカ「隊長、挟み撃ちをします」

エリカ「準備はよろしいですか」

『…』

エリカ「隊長?」

エリカ車通信手「…反応がありませんね」

エリカ「みほ!!」

エリカ車砲手「敵BT-5、BT-7合計5両接近!」

エリカ「チッ、バレた…!」

エリカ「Aチーム、迎え撃て!!」



みほ車通信手「あーあ、バレちゃった」

みほ車装填手「いくら呼びかけても答えませんよ~」

みほ車砲手「高みの見物といきますか」

みほ車操縦手「BT如きに乱されて…副隊長もまだまだだな」

みほ「エリカさん、残念ながらBチームはエリカさんの指示なんか最初から聞いてないよ」

みほ「エリカさんの西住流とかいうやつ、見せてよ」


ドォン!!ズガァン!!

エリカ「本隊は!?」

エリカ車通信手「未だBチームと通信取れません!」

エリカ「なんでよ!合流して継続を一網打尽にする作戦なのに!!」

エリカ車通信手「…パンター走行不能、Aチーム、私たちだけです」

エリカ「みほ!!みほ!!どこにいるのよ!!」

エリカ車装填手「…裏切られたんじゃ」

エリカ「…」

ガチャァン!!

エリカ車操縦手「あッ!履帯損傷!動けません!」

エリカ車砲手「後部にBT-42!!」

ずばぁん!!…シュパッ!

エリカ車装填手「…やられました」

エリカ「…くそ」

エリカ「くそッ!くそッ!くそッ!!」

エリカ「くっそォッ!!!」



みほ車通信手「Aチーム全滅だよ、隊長」

みほ車砲手「呆気なかったですね」

みほ車装填手「副隊長殿の西住流(笑)なんてあんなもんでありますよ」

みほ「Bチーム、全車前進」

みほ「隊列を崩さず継続本隊へ突撃」

みほ「軽戦車の陽動に惑わされないでください」

みほ「フラッグ車に攻撃を集中、これを迅速に撃破せよ」

みほ「…エリカさんたちに本物の西住流を見せつけてやりましょう」

~~~~~

…シュパッ!

『黒森峰女学園の勝利!!』


エリカ「…」

みほ「見てた?私たちの戦い方」

みほ「継続なんて8両で十分なんだよ?」

みほ「別の隊が異常事態で来れなくなることなんて、よくある事」

みほ「それに対応できなかったエリカさんの負け」

エリカ「わざと来なかったんでしょ」

みほ「エリカさんに期待してたんだけどなぁ」

ミカ「いやぁ、負けてしまったよ」

みほ「…」

エリカ「…」

ミカ「流石黒森峰、だね」

みほ「どうも」

ミカ「戦車道には人生の大切なことが詰まっている」

みほ「…なんですか、突然」

ミカ「君にとって大切なものとは何かな?」

みほ「何故あなたにそんなこと言わなくちゃいけないんですか」

ミカ「参考にしたのさ、黒森峰の強さの秘訣が知れると思ってね」

みほ「…大切なもの?そんなの勝つことに決まってるじゃないですか」

ミカ「そうだね、勝つことは大切だ」

ミカ「他には?」

みほ「他はありませんよ」

ミカ「君にとって仲間は大切なものではないのかい?」

みほ「大切ではありません、いつでも切り捨てることができます」

みほ「それが強さの秘訣です」

みほ「では」スタスタ

ミカ「去年の決勝戦、仲間を一目散に助けようとしたのは」

ミカ「君らしいね」

みほ「ッ」ピク

ミカ「それって、すごく大切なことなんじゃないかな」

みほ「だから負けたんですよ!!」

みほ「仲間を助けようとしたから黒森峰は負けたんです!!」

みほ「あの時咄嗟に見捨てていれば黒森峰は勝てたんです!!」

みほ「仲間を大切にするから負けるんです!!」

みほ「それがわからない限り、あなたは絶対に私に勝つ事はできませんよ!!」

ミカ「なるほどね…でも」

ミカ「もし負けたら、君には大切なものが何も残らないね」

みほ「うるさい黙れ!!私には戦車しかないんだ!!!」

アキ「ミカ!煽らないの!帰るよ!!」グイッ

みほ「ふーッ、ふーッ」

エリカ「…」

エリカ(みほ、あなたの戦車道は間違っている)

エリカ(だけど私は、みほを見捨てたりはしない…!)

このSSみほの描写を読んでいると、この御三方を思い出す

マスターガルバトロン「部下などただの駒。使い捨ての消耗品」

カーズ「どんな手をつかおうが…………最終的に…勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」

DIO「「勝利して支配する」!それだけよ…それだけが満足感よ!過程や…!方法なぞ…! どうでもよいのだァ―――ッ」

ダーク秋山
ブラック華
シャドウ麻子
オルタナティヴ武部

>>451
ブラックウィドウ(黒い未亡人)を連想した

???「悪いがお前を[ピーーー]のが俺の受けた依頼なんでな」
???「まんまと引っかかってくれたな」
???「助けるつもりなど元よりない」
???「きれいに引っかかったな、バカなネズミが」




ーー
ーーー
ーーーー
ーーーーー

病院

みほ「小梅さんッ!!」ガラッ

小梅「」ピッ...ピッ...

まほ「…」

エリカ「…」

みほ「小梅さん…?」

まほ「いつ、意識が戻るかわからないそうだ」

まほ「…二度と目を覚まさないかもしれない」

みほ「そんな…そんな!もっと早く助けていれば…!」

みほ「救助隊を待たずに私が行っていれば…!」

みほ「こんなことには…!」

まほ「仕方のない事だったんだ」

みほ「お姉ちゃんは小梅さんの命より勝つ事のほうが大事なの!?」

まほ「そんな訳ないだろう!!」

まほ「ただあそこでみほが外に出ればプラウダに撃たれる可能性だってあったんだ!」

まほ「中はカーボンで守られていても、外側は被弾したら火をふく!」

まほ「みほだって死ぬかもしれなかったんだぞ!!」

まほ「実際、みほの戦車は炎上したじゃないか!」

みほ「…じゃあどうすれば小梅さんは助かったの?」

みほ「嫌だよ…このまま目が覚めないかもしれないなんて…」

まほ「…隊長である私の責任だ」

みほ「そんなこと言ったってなんにもならないじゃん!」

まほ「…」

エリカ「…」

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー




小梅「みほさん?」

みほ「わっ!?小梅さん…」

小梅「落ち着いた?さっき継続の隊長さんになに言われたの?」

みほ「何でもない…よ」

小梅「…」

小梅「みほさん、もっと自分に自信を持っていいと思うよ?」

小梅「今まで苦戦してたプラウダや継続に簡単に勝っちゃうんだもん」

みほ「…」

小梅「だから、もし私がまた死にかけても」

小梅「構わず突き進んでね」

みほ「そんなこと言わないでよッ!!!」

小梅「…え?」

みほ「あ、いや…二度と…足を引っ張るような真似はしないでってこと…」

小梅「…」

小梅「私が寝たきりのとき、一番心配してくれてたの…みほさんなんだってね」

小梅「エリカさんが言ってた」

小梅「ありがとう」

みほ「…」

小梅「私、みほさんのこと好きだから」

みほ「えッ!?へぁ!?」

小梅「いや!変な意味じゃなくて!」

小梅「尊敬してるんだ、強くて優しいし」

小梅「今は厳しいけどね、でもそれは黒森峰の隊長だからでしょ?」

小梅「みほさん、立派だなぁって」

みほ「…」

小梅「というか、私って結構黒森峰が好きみたい」

小梅「エリカさんも好きだし、チームメイトのみんなも好き」

小梅「…でも」

小梅「私が目を覚ましてからチームのみんなの雰囲気が悪いから」

小梅「最近、ちょっと寂しいな」

みほ「…」


西住邸

亜美「ルールの追加…ですか」

しほ「はい」

亜美「連盟に掛け合ってみます…難しいと思いますが」

しほ「助かるわ」

亜美「でも、なぜ今になってなんですか?」

しほ「…」

亜美「『選手が大怪我、又は危険な状態であるときは、試合を中断し、第一に救助しなければならない』」

亜美「戦車道で大怪我をする選手は稀にいますが、試合を中断してまで駆けつけなくてはならない重大事故など」

亜美「滅多に起きないじゃないですか」

しほ「起きた後、じゃ遅いのよ」

亜美「確かにそうですが…去年の黒森峰対プラウダの事ですか…?」

しほ「…接戦の途中に試合が中断されるのは」

しほ「逆転できるチャンスであり、逆転されるピンチでもある」

しほ「もしあの時、試合を中断していたら」

しほ「黒森峰は勝つことができたかもしれない」

しほ「しかし、黒森峰をあそこまで追い込んだプラウダは」

しほ「途中で試合を止められて、逆転負けとなって、納得いくのかしら」

亜美「…難しいところですね」

しほ「もしかしたら、このルールの追加が、却下されるかもしれない」

しほ「ただ、約束したの」


エリカ『家元!お願いします!大好きな戦車道で友人たちを不幸にしたくないんです!!』

エリカ『戦車道は、絶対に安全でなくてはなりません!!』

エリカ『お願いします!このルールを追加してください!!』


しほ「これからの戦車道を担う少女たちを」

しほ「支えるために私たちがいます」

亜美「仰る通りです」

しほ「だから頼むわね」

亜美「わかりました師範、来年度の大会には」

しほ「いや、今すぐお願いするわ」

亜美「え!?今すぐ!?」

しほ「今開催されてる全国大会から、このルールを追加してほしい」

亜美「さすがにそれは…!」

亜美「い、いえ!やってみます!戦車に通れない道はありません!」

しほ「頼りにしてるわ、私からも働きかけます」



亜美「…ということなんですが」

七郎「いや蝶野くん、流石に厳しいよ」

亜美「お願い致します、これは日本戦車道の未来のためです」

七郎「…戦車道は古くからある、ルールを追加するのは容易いことではないよ」

亜美「存じております」

七郎「しかも現在行われている全国高校生大会から適応させてくれなんて…」

七郎「明日はサンダースと大洗女子の準決勝だよ?」

七郎「間に合うわけがないよ」

亜美「お願い致します」

七郎「蝶野くん…無理だよ」

亜美「明日には間に合わなくても、せめて決勝には…!」

七郎「決勝と言っても…」

亜美「戦車道は安全でなくてはありません!」

七郎「い、言いたいことはわかるよ…」

七郎「去年の決勝も、黒森峰の子が意識不明になって…マスコミも戦車道の安全性に疑問を抱いた…」

七郎「『若者の戦車離れ』…なんて言葉もよく聞く」

七郎「競技人口も減ってきて、私も頭を抱えているのだよ…」

亜美「そういう時だからこそ、このルールを追加するべきです」

亜美「このルールと、あの学校があれば」

亜美「日本戦車道は変われるかもしれません」

七郎「あの学校?」

亜美「大洗女子です」

亜美「無名校がまさかの準決勝まで快進撃」

亜美「各メディアも注目し、戦車道に興味を持つ人も増えています」

亜美「そこで戦車道連盟は選手の安全を第一に考えていると証明できれば!」

七郎「な…なるほど…」

七郎「しかしルールを追加すると言っても…何回も言うけど簡単ではないのだよ…」

七郎「戦車道連盟加盟校から、同意書等の署名があれば、効果はあるかもしれないが…」

亜美「わかりました!」

七郎「へ?」

亜美「署名、集めればいいんですね?」

七郎「え?あ、あぁ」

ピポパ

亜美「もしもし、蝶野です、師範」


西住邸

エリカ「加盟校の署名…ですか…」

しほ「ええ」

しほ「連盟の用意する同意書に、サインと印が必要になる」

しほ「…黒森峰には、私から話しておくとして」

エリカ「残りの加盟校は…19校…!」

しほ「日本全国各地に散らばる学園艦に出向いてまわる必要があるわね」

しほ「しかも同意してもらえるとは限らないわ」

しほ「辛抱強く説得するにしても」

しほ「…圧倒的に時間が足りない」

エリカ「私がヘリで!できるだけ沢山の学園艦に!」

しほ「あなたはまだ決勝が残ってるでしょう!練習に励みなさい!」

エリカ「でも…決勝戦までには…!」

しほ「…とりあえずあなたは練習に戻りなさい」


小梅「あ、エリカさん」

エリカ「小梅…」

小梅「なんか隊長が、『今日の練習は副隊長に任せます』って…」

エリカ「え?」

小梅「なんかみほさん、調子悪いみたい」

エリカ「そう…」

小梅「…なんか、エリカさんも調子悪そうだね」

エリカ「…」

エリカ「…実は」

~~~~~

小梅「…エリカさん、裏でそんなに頑張ってたんだ」

エリカ「もう、あんたみたいな戦車で傷付く人を見たくないの」

小梅「ふふ、嬉しいな」

エリカ「でも…間に合いそうにない…」

小梅「署名のこと…?」

エリカ「どうしよう…」

小梅「…」

小梅「…」ケ-タイポチポチ

エリカ「?」

小梅「…もしもし、あ、ご無沙汰です!」

小梅「ノンナさん!」

エリカ「…へ?」


エリカ「ノンナって…プラウダの副隊長…?」

小梅「すみません…お願いがあるんですけど…」

小梅「結構大変なお願いになるんですが…時間も無いですし…」

小梅「…ありがとうございます!」

小梅「あ、詳しいことはウチの副隊長が説明しますんで!」

小梅「はい、エリカさん」

エリカ「え…あ…」

エリカ「も、もしもし…」

ノンナ『もしもし』

エリカ「く、黒森峰副隊長、逸見エリカです!」

ノンナ『はい、プラウダ高校副隊長のノンナです』

エリカ(なんかプラウダと電話で話すなんて変な感じ…)

ノンナ『…で、お願い事とはなんですか?』

エリカ「引き受けてくれるの…?」

ノンナ『時間がないんですよね、早く』

エリカ「あ、はい!」


プラウダ高校

ノンナ「…と言うわけです」

カチューシャ「はぁ!?何言ってんのノンナ!!」

カチューシャ「あの憎き黒森峰の願いなんて聞き入れちゃって!!」

カチューシャ「断りなさいよ!」

ノンナ「これも同志の為です」

カチューシャ「黒森峰は同志なんかじゃないわ!!」

ノンナ「違います」

ノンナ「日本全国の、戦車に乗る同志の為です」

カチューシャ「?」

ノンナ「日本戦車道の未来を救うのは、カチューシャです」

カチューシャ「ふ、ふぅん…カチューシャがねぇ…悪くないわ」

ノンナ「そうと決まれば行動に移しましょう、時間がありません」

カチューシャ「でも日本全国回るのはキツいわね…まずあそこに行くわよ!!」

ノンナ「Понятно」


エリカ「なんでプラウダの副隊長と仲良いの?」

小梅「去年の決勝、私が病院送りになったでしょ?」

小梅「プラウダの人たちも心配してくれてたみたいで」

小梅「それで、私が目を覚ました時にノンナさんが手紙をくれて」

小梅「それからメル友です!」

エリカ「ふぅん…」

小梅「さぁ、練習に戻りましょう!」

エリカ「そうね…私の代わりにプラウダが頑張ってくれているものね」


聖グロリアーナ女学院

オレンジペコ「ダージリン様、お客様です…」

ダージリン「どちら様?」

カチューシャ「お邪魔するわよ!ダージリン!!」ヅカヅカ

ダージリン「あらカチューシャ」

ノンナ「お邪魔します」

カチューシャ「突然だけど、この同意書にサインと印しなさい!」ドンッ

ダージリン「まぁ怖い」

ノンナ「かくかくしかじかです」

オレンジペコ「そんなことが…」

ダージリン「そう、なら喜んで協力させてもらいますわ」

ダージリン「ペコ、印鑑」

オレンジペコ「はい」

カチューシャ「他にも協力してほしいことがあるの」

ダージリン「何かしら?」

カチューシャ「これでプラウダ、聖グロ、黒森峰の署名が集まったわ」

カチューシャ「残り17校」

ダージリン「…署名集めを手伝えって言うのね」

カチューシャ「日本戦車道を救うカチューシャの手柄を分けてあげると言ってるの」

カチューシャ「ありがたく思いなさい?」

ダージリン「ふふっ、わかったわ」

カチューシャ「私たちは先に厄介そうな継続に行くわ!署名ついでに、カーベーたん返却の同意書にもサインしてもらうんだから!」

カチューシャ「行くわよノンナ!」

ダージリン「私たちは近くの知波単学園に行きましょう」



準決勝 大洗女子学園 対 サンダース大学附属高校


まほ(負けたら…廃校…)

杏「西住ちゃぁん、いつも通り頼むよ~」

まほ「…あぁ」

まほ「皆には言わないのか?廃校の件」

杏「言わない、みんなには余計なプレッシャー与えずに、のびのびやって欲しいから」

まほ「そうか」


沙織「今日の試合会場って雪原じゃなかったっけ?」

優花里「ここ数日、吹雪が酷くて試合ができないので、急遽ここになったみたいです」

麻子「とは言え東北地方だ、寒い」

華「雪原よりはマシじゃないですか?雪も降ってませんし」


ケイ「アンジー!」

杏「おっすーおケイ」

ケイ「今日はよろしく!快進撃を続ける無名校!戦えるのを楽しみにしてたわ!」

杏「あははー、お手柔らかに」

ケイ「マホ!」

まほ「ケイ、久しぶりだな」

ケイ「まさかダージリンを倒しちゃうなんてね!流石マホだわ!」

まほ「大洗の皆のおかげだ」

ケイ「ふふふ、無名校相手だからって私たちは絶対油断しないから」

ケイ「覚悟しておいてね!」



ケイ「…さ、行くわよみんな」

「「「「「イエスマム!!!」」」」」

ケイ「アリサ、あなたはズルなんかしなくても実力があるわ」

ケイ「私にその実力を見せてみなさい」

アリサ「は、はい!」

ナオミ「…ケイはアリサに期待してるんだよ」

アリサ「え?」

ナオミ「次期サンダース大付属の隊長はアリサなんだからね」

設定資料や漫画によって、ナオミが2年だったり3年だったりするんで
ここでは3年生ということでお願いします



『試合開始!!』

まほ「…パンツァー、フォー!!」



ペパロニ「鉄板ナポリタンいかがっすかー!美味いよ安いよー!」

ペパロニ「姐さん!ちょっとは手伝ってくださいよ!」

アンチョビ「私は試合を見に来たんだ!店番はやらん!」

ペパロニ「えーッ!?だって稼ぎ時っすよー!?準決勝なんすから!」

カルパッチョ「私もじっくり試合見たいです…」

ペパロニ「手が止まってるぞぉカルパッチョ!」

カルパッチョ「はいはい…」

アンチョビ「…シャーマン軍団15両に対して」

アンチョビ「大洗は6両…」

アンチョビ「どう挑む…西住!」


まほ(相手はシャーマン15両…)

まほ(囲まれたら終わりだ)

まほ(なるべく試合会場の端を移動して、ジワジワと敵を倒すしかない)

まほ「フラッグ車の干し芋、聞こえてるか」

杏『…聞こえてるよー』

まほ「今回は逃げに徹しろ、待ち伏せや砲撃はしなくていい」

まほ「わかったか干し芋」

杏『…あのさぁ西住ちゃん、私も武部ちゃんたちみたいに名前で呼んで欲しいな』

まほ「黙れ干し芋」

典子『ふふふッ…』

エルヴィン『会長がいじられる様子は実に愉快だ』

梓『あはは…』

まほ「偵察に集中しろ、フラッグ車のヘッツァーを囲んで進むぞ」

まほ「風紀委員、大丈夫か?」

そど子『え、えぇ』

まほ「少ない練習でいきなりの準決勝だ、不安かもしれないが…」

そど子『だ、大丈夫よ!いざとなったら私たちが盾になるわ!』

まほ「君たちも立派な戦力だ、すぐには失いたくない」

まほ「とりあえずこの陣形のまま、前進するぞ」


サンダース大付属高校

チームA…M4×2、M4A1×1
チームB…M4×2、M4A1×1
チームC…M4×1、M4A1×2
チームD…M4×1、M4A1×2
チームE…M4(ケイ車)、M4A1(アリサフラッグ車)、ファイアフライ(ナオミ車)

ケイ「3両1組で行動よ」

ケイ「相手は6両だけど油断は禁物、あの聖グロを撃破してるわ」

ケイ「お互いフォローしつつ、慎重に進撃よ!」

「「「「「イエスマム!!!」」」」」


まほ「…各自、偵察を怠るな」

梓『…!』

梓『隊長!2時方向にM4です!』

そど子『え!?え!?撃てばいいの!?』

まほ「落ち着け園!下がれ生徒会!」

柚子『はい!』

まほ「華、いけるか?」

華「任せてください」キコキコキコ…

まほ「他に敵はいないか!?」

典子『確認できません!』

エルヴィン『単騎で偵察か…?』

沙織「まぽりんセンパイ!顔出してると危ないよ!」

まほ「…」じーっ

まほ「あのM4の砲塔はM3を狙ってる!」

梓『桂利奈!昼飯の角度!!』

桂利奈『あいいーッ!!!』

ガィンッ!!!

あや『きゃあッ!?弾いた!?』

まほ「今だ!華!撃てぇ!!」

典子『隊長!!10時方向にM4とM4A1!!』

まほ「なにッ!?全車後退!!」

ドォン!ズドォン!!

そど子『ぎゃあ!』

杏『うわっと…!』

まほ「撤退だ!囲まれる前に逃げるぞ!」



ケイ「ナイスフォローよチームブラボー!」

ケイ「こうやってじわりじわりと敵を追い詰めていくわ!」


沙織「まぽりんセンパイ~、どこまで撤退するのー?」

華「逃げすぎやしませんか?」

まほ「恐らくシャーマン軍団が一斉に襲ってくるだろう…敵から見えてる場所に長時間いるのは危険だ」

まほ「ケイが率いるチームは、チームワークが抜群なんだ」

まほ「忍び寄って一両ずつ、地道に撃破して行くしかないな…」

まほ「III突!八九式!あそこの高台に登って周りを見回してくれないか?」

典子『はい!』

エルヴィン『了解…!』



エルヴィン『磯辺さん、何か見えるか?』

典子『…あ!』

典子『あそこ!木の陰!M4一両とM4A1二両!』

エルヴィン『え?どこだ?』

典子『木の色と同化してるけど、ハッキリ見えます!』

エルヴィン『あ、あれか!視力いいんだな…』

まほ「やはり3両で1組か…」

典子『隊長!他に敵はいません!』

まほ「よし、忍び寄るぞ…!」


まほ「引きつけて…引きつけて…まだだ…よく狙いを定めて…」

まほ「今だ撃て!!!」

ドドドォン!ズドガァン!!

華「M4A1撃破です」

桃『くそぉ!なぜ当たらない!』

パゾ美『む、難しい…』

あゆみ『あ!当たった!M4倒しちゃった!!』

優季『あゆみすご~い』

まほ「油断するな!まだ一両残ってる!」

ドガァン!…シュパッ!

左衛門佐『…射抜いたぞッ』

まほ「良くやったIII突!!」



アリサ「ち、チームチャーリーがあっという間に全滅したってぇ!?なにやってんのよ!!」



アンチョビ「す、すごい…!西住だけじゃない!メンバーの実力も素人とは思えないぞ…!」

ペパロニ「へ?どーなったんすか?」

アンチョビ「お前、パスタ作ってる場合じゃないぞ!ちゃんと見とけ試合!!」

>>489
ヘッツァーじゃなくて、まだ38tでした
すみません


カエサル『いきなりシャーマンを3両撃破!絶好調じゃないか!』

忍『これ、いけるんじゃないですか!』

桂利奈『この調子でガンガンいったれー!』

桃『アンツィオと聖グロを倒した我々は確実に力をつけている!!』

柚子『桃ちゃんはまず命中率を上げないと…』

まほ「皆、慢心してはいけないぞ」

華「でも、勢いって結構重要じゃありませんか?」

優花里「サンダースも焦ってると思いますよ西住殿!」

沙織「まぽりんセンパイ!私たちは強いんだよ!」

まほ「しかし…」

ズボォ!ぼすん!

典子『着弾!7時方向にシャーマン3両!』

エルヴィン『おりょう!砲身を左に向けろ!』

あや『迎え撃てー!』

桃『返り討ちにしてやる…ッ!』

そど子『指示に装填に砲撃に通信に…初心者向けじゃないわよこの戦車…!』

ゴモ代『頑張ってそど子~』

華「撃ちます」



『すみません!チームアルファ、2両撃破されました!』

アリサ「まだあんたには仕事があるわ!C7地点に向かって!」

『ハイ!』


桃『逃げたぞ!追え!』

桂利奈『生きて返すなー!』

まほ「待て!深追いはするな!」

エルヴィン『しかし隊長、ここははバーッと行ってドーンとやるべきではないか?』

あけび『蝶野教官もそう言ってたじゃないですか♪』

まほ「あの人は特殊で…」

麻子「西住さん、追うのか?」

まほ「皆、冷静になって私の指示に従ってくれ!」

桃『いや、1両でも多く敵を減らすべきだ!ねぇ会長!』

杏『みんな!!!!!』

杏『隊長は西住ちゃんだ!!』

杏『しっかり西住ちゃんの指示に従って…』


ズ ド ガ ァ ン !!!

…シュパッ!


杏『…え?』

典子『あ』

エルヴィン『…おい』

梓『うそ…』

そど子『ちょっとぉ!?』


沙織「いたたた…何なの~…?」

まほ「…」

華「あ、あれ?砲塔がまわりませんわ…?」

優花里「に、西住殿…!」

麻子「…戦車が動かないぞ」

まほ「…やられた」



アンチョビ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!??」

ペパロニ「うるさいっすよ姐さん!」

アンチョビ「西゛住゛が゛や゛ら゛れ゛た゛あ゛!!」

カルパッチョ「あの距離でⅣ号を仕留めるなんて…やっぱりファイアフライの副隊長は凄いですね…」



ケイ「ナイスナオミ!!よく当てたわね!!」

ケイ「アリサのⅣ号の誘導とファイアフライへの指示も完璧ね!」

ケイ「やっぱりアリサは無線傍受なんてしなくても出来る子なのよ!ね!」

アリサ「は、はいい!!」

ケイ「強力な敵は倒したわ!…いっきに叩き潰すわよッ!!」

「「「「「イエスマム!!!」」」」」



杏『………ッ』

杏『ふぁ、』

杏『ファイアフライの射程内だ!全車逃げろ!!』




アリサ「大洗は混乱して蜘蛛の子散らすように逃げてったわ!!見つけ次第片っ端から始末しなさい!!」

アリサ「奴らは西住流がいないと素人同然!!私たちは勝ったも同然だわ!!」

ケイ「アリサ、油断しないの」



ポッ...ポッ...

ザアアアアアアアアアアアアアアア...

ペパロニ「げぇ、雨降ってきた…」

ペパロニ「姐さーん、屋根の中入らないと風邪ひくっすよー!」

アンチョビ(…西住がやられて…大洗もここまで、か)


桃「柚子ちゃん!逃げろぉ!」

桃「もっと遠くへ!もっともっと!!」

桃「速く!逃げろッ!」

柚子「ど、どこまで逃げるの桃ちゃん!!」

桃「どこまでもだ!できるだけサンダースから離れるんだ!」

柚子「ほかの戦車とはぐれちゃったよ!?」

桃「気にしてる場合か!この戦車はフラッグ車なんだぞ!」

桃「この戦車が撃破されたら負けるんだぞ!」

桃「大洗が廃校になっちゃうんだぞ!!」

桃「絶対負けるわけにはいかないんだ…!!」

柚子「桃ちゃん…」

杏「かぁしま」

杏「落ち着け」

桃「に、西住がやられたんですよ!?西住がいなきゃ我々は初心者の集まりなんですよ!?」

桃「強豪校のサンダースなんかに勝てるわけないじゃないですかぁ!!」

桃「あぁああぁ~!!大洗は廃校だぁぁぁ!!!」

杏(…無線切っといてよかった)

ガコォン!!

柚子「きゃッ!?」

桃「やられた!!廃校だぁぁ!!」

杏「落ち着け!まだやられてない!!」

杏「左にM4…かぁしま!そこどけ!」

桃「へぇ?」


杏「よーく狙って…」キコキコ…

杏「くらえ!!」ドォン!!

…バコォン!

桃「弾かれた!やっぱり38tじゃM4は倒せない…!」

杏「いーや、手応えありだね!」

柚子「会長!次弾が来ます!どこに逃げますか!?」

杏「動かなくていい!次は履帯を狙ってやる…」

桃「会長!!撃たれますって!!」

ぼすんッ!!

桃「…あれ?外した…」

柚子「あのM4、桃ちゃんと同じくらい下手になったね」

杏「一発目で砲身ひん曲げてやったんだよ、あのM4はもうマトモに撃てはしないさ」

ドォン!!

ガシャッ!!

柚子「敵の履帯破壊しました!」

杏「よぉし回り込め!」

ギュラギュラギュラ…

杏「…弱点はここかなぁ~?」

ドォン!!…シュパッ!

桃「え、M4撃破!」

柚子「M4A1二両、こちらに砲撃してきます!」

杏「よっし!逃げるが勝ちだ~!」


杏「西住ちゃんが撃破されるなんて想定内!」

杏「むしろ西住ちゃんが大洗に来たのが想定外!」

杏「西住ちゃんがいようがいまいが、絶対優勝して廃校を免れるつもりだ!」

杏「私は絶対に諦めない!絶対に負けない!なぜなら強運の持ち主だから!」

杏「だよなぁ!かぁしま!小山!!」

桃・柚子「「はい!!!」」

杏「おっと…無線きりっぱだった」


杏「あーあー、みんなー生きてるー?」

梓『M3無事です!』

そど子『B1なんとか逃げ切りました!』

典子『八九式生きてます!』

エルヴィン『III突、M4A1を一両撃破!現在撤退中!』

杏「よぉし、みんな生きてるな!」

杏「敵は西住ちゃんを倒して調子に乗ってるはず!」

杏「大洗素人軍団の真の力を見せつけてやろう!!」

典子『根性でいきましょう!コレでも西住隊長に皆シゴかれてますから!!』

梓『ご、合流した方が良くないですか!?』

エルヴィン『38tの護衛につかなくては…』

杏「護衛はいらない!!」

そど子『大丈夫なの!?』

杏「大丈夫だよなー、小山ー」

柚子「だ、大丈夫です!」

杏「とゆーことで、みんな頑張ってねー!」


梓「西住隊長が撃破されたから会長が隊長の代理になると思ったんだけど…」

あゆみ「なる気なさそうだね」

あや「てか副隊長って桃ちゃん先輩だっけ?」

優季「怒鳴ってばっかりで副隊長らしいこと何もしてないよねぇ」

桃『こらぁ!!聞こえてるぞ一年!!』

桂利奈「わー怒ってる」



典子「私たちにできることはなんだろか…」

あけび「八九式じゃM4の装甲を破れそうにないし…」

忍「やっぱりコソコソ偵察でもする?」

妙子「それがいいね!」



エルヴィン「今の大洗で1番の火力は我々だ」

カエサル「切り札というわけだな」

左衛門佐「やはり高所で待ち伏せが一番か?」

おりょう「気付かれないようにカムフラージュする必要があるな」

エルヴィン「大きい木の枝とかのせまくるか」

カエサル「もういっそ…土に埋めちゃうか」

「「「それだ!!!」」」

杏『え?埋めるの?III突を?』



そど子「どうする!?私たちは何をする!?」

ゴモ代「それは車長のそど子が決めてよ~」

パゾ美「私たちも待ち伏せる?当てられる自信ないけど…」


サンダース大付属高校、残り車両

チームA…M4A1×1
チームB…M4×2
チームC…×
チームD…M4A1×2
チームE…M4(ケイ車)、M4A1(アリサフラッグ車)、ファイアフライ(ナオミ車)


アリサ「ちょっ…やられすぎじゃない…?」

ケイ「素人だってナメてかかるのは、やめた方が良いわね」

ケイ「チームアルファのM4A1はチームブラボーと合流して3両で行動しなさい」

「イエスマム!」



「戦車の回収に参りました、お怪我はございませんか?」

優花里「ぜ、全員無事であります」

まほ「…」

沙織「ま、まぽりんセンパイ…」

華「ここじゃ危険ですし、戻りましょう」

まほ「…」

沙織「悔しいのはわかるけどさぁ…戻って応援しよ?」

まほ「…あぁ、私は皆を信じている」

まほ(しかし負けたら廃校だぞ…)

まほ(干し芋…大丈夫なのか…?)


そど子「…隊長も負けちゃったし、会長は隊長を引き継がないし、どうすれば良いのよ~…」

ゴモ代「相変わらず会長には無茶させられるね」

ガキィンッ!!

パゾ美「ひぃあ!?」

そど子「え!?くらったの!?」

ゴモ代「弾いたんだよそど子~!」

パゾ美「目の前!M4A1が二両!」

ゴモ代「どーすんのそど子ー!周りに味方はいないよ!?」

そど子「えーっと…えーっと…」

そど子「突っ込んじゃえ!!」

ゴモ代「え!?西住隊長には闇雲に突っ込むなって訓練受けたじゃん!」

パゾ美「規則に反するんじゃ…」

そど子「今は私が規則よ!!戦車全速前進!!」

ゴモ代「そど子が壊れた~!!」ギュラギュラギュラ

そど子「そのままシャーマンに突撃!!」

ゴシャアッ!!

そど子「パゾ美!そのままゼロ距離射撃よ!!」

ズドォン!!…シュパッ!

そど子「やったあ!初撃破よ!!」

ゴモ代「…でも、もう一両のM4A1に回り込まれちゃったよ」

ドガァン!!…シュパッ!


カエサル「…ぜぇ、ぜぇ」

エルヴィン「III突を埋める穴を掘るなんて…ちょっと無茶過ぎたか…」

おりょう「でも雨で土がぬかるんでるおかげで、掘りやすくあるが…」

左衛門佐「パンツァージャケットがドロドロだ…」

カエサル「でもIII突がすっぽりハマる穴を掘らなくても、上から土をかければ十分隠せるだろう」

エルヴィン「おりょう、III突を穴に入れてくれ」

おりょう「わかったぜよ」

ギュラギュラギュラ…

おりょう「ふぅ、半分以上はハマったか?」

エルヴィン「よし、土をかけて埋めるぞ」

エルヴィン「左衛門佐、III突に入ってくれ」

左衛門佐「え?」

カエサル「当たり前だろ、もんざが撃たなきゃ誰が撃つ」

左衛門佐「私ごと埋めるのか?」

おりょう「当たり前ぜよ、ホラ急げ」

左衛門佐「…作戦が終わったら、ちゃんと掘り起こしてね」


ドガァン!ずぼぉん!

典子「くそ…偵察のつもりが見つかってしまった…」

妙子「キャプテン!シャーマン3両のアタックが止まりません!!」

あけび「キャプテン!顔出してると危ないですよ!?」

典子「こうした方が敵の砲身がどこ向いてるかわかるんだ!河西!左に避けろ!」

忍「はい!」

ボスンッ!!

典子「…右!やっぱり左!左に寄りながら蛇行しろ!」

ドンッ!ずぼぉん!!

妙子「あぶなッ!キャプテン!西住隊長のマネは危険です!」

典子「根性でどうにかなる!!」

忍「キャプテン!どこへ逃げ込みますか!?」

典子「この道をジグザグに進め!」

あけび「キャプテン!目の前に大きな水溜りが!」

典子「根性で突っ込め!!」

忍「スタックする可能性が…!」

典子「こんじょオォォォオー!!!!!」

忍・あけび「根性ーーーッ!!!」

ざぱぁぁん!!

典子「ぶはッ…!泥水が顔に…」

妙子「顔出してるから…」

忍「でも水溜りは超えられました!」

典子「よし、主砲と機銃でシャーマンを牽制射撃だ!」

典子「スピードを下げさせろ!」

ドォン!ダダダダダダダダダダ…

ざぱぁッ

ギュルギュルギュル…

典子「先頭のシャーマンがスタックしたぞ!そのまま撤退だ!」


チームA・M4A1「くそ…スタックしちゃった…」

チームB・M4甲「ロープで引っ張ってやる、待ってろ」

チームB・M4乙「八九式も逃げていったし、落ち着いて救出するか」


チームB・M4甲「よーし、ロープ結んだし、引っ張るぞー」

バコォン!ドガァン!!…シュパッ!

チームB・M4甲「え?」

チームB・M4乙「ぐ…やられた…どこからだ!?」

チームA・M4A1「あ!あそこ!M3!!」

チームB・M4甲「畜生あんなところから…!くらえ!!」

チームA・M4A1「サンダースをナメるな無名校がぁ!!」

ドォン!ズドォン!!…シュパッ!

あや「…メガネ割れた」

梓「私たち、活躍できたかなぁ…」

杏『ナイスファイト!!澤ちゃん!!』


チームA・M4A1「八九式が38t連れて戻ってきた!逃げろ!」

チームB・M4「ロープで繋がってて逃げれないんだって!!」

杏「素人軍団、舐めんなよー!!」



アリサ「チームアルファ、ブラボーが全滅したみたいです…」

ケイ「…ふふふッ、マホを倒せば終わりだと思っていたけど」

ケイ「なかなか楽しませてくれるわね」


左衛門佐『…』

左衛門佐『…ジメジメする…暑苦しい…』

エルヴィン「集中しろ左衛門佐、コッチは雨の中、お外で偵察だぞ」

エルヴィン「屋根があるだけありがたいと思え」

左衛門佐『B1とM3がやられたみたいだぞ、残りは私たちと八九式と38tしか残ってない』

左衛門佐『無線で言ってたぞ』

エルヴィン「だからこそ集中するんだ」

エルヴィン「携帯の電池無くなるとまずいから一旦切るぞ」

カエサル「おい!M4A1だ!」

左衛門佐『撃つのか!?』

エルヴィン「いや、フラッグ車じゃない…撃つな」

エルヴィン「私たちが狙うのはフラッグ車かファイアフライだ」

エルヴィン「場所がバレたら逃げられん、来たるべき時まで根気よく待つのだ」

おりょう「狙える相手がいるのにもどかしいぜよ…」



アンチョビ「ふぇッくしょイッッ!!」

ペパロニ「ほら言わんこっちゃない、風邪ひいたんじゃないっすか?」

アンチョビ「こんな面白い試合があるか!?西住はこんな逸材たちを育て上げたのか…!」

カルパッチョ「タカちゃんもますます強くなったのね…」ホロリ



典子「よし!フラッグ車を探すぞ!」


ケイ「…随分ウチの子たちを可愛がってくれたわね」


妙子「後ろからM4です!」

典子「根気で倒すぞ!!」

ズバァン!!!ゴロゴロ……シュパッ!

典子「あっという間に負けた…」

妙子「M4のキューポラから顔出してる金髪…サンダースの隊長だよ…」

あけび「通りで強いわけだね…くそう金髪めっ」

忍「自分も金髪じゃん」


アリサ「…チームデルタのM4A1が38tにやられました」

アリサ「残りは私たち3両だけです」

ナオミ「…」クッチャクッチャ

ナオミ「…こうも相手にウロチョロされると、私の出番もないな」

ケイ「退屈そうね、ナオミ」

ケイ「こんなに楽しい試合なのに」


エルヴィン「…ん」

エルヴィン「M4とファイアフライが来た!」

エルヴィン「もしもし!?左衛門佐!起きてるか!?」

左衛門佐『この時を待ってたさ…』

左衛門佐『一発で決めてやる…!』

左衛門佐『ファイアフライ!!覚悟!!』

ズドォン!!!

…シュパッ!


ナオミ「なッ!?」

ケイ「あんなとこから!?まるで固定砲台ね!!」


エルヴィン「ご苦労だった左衛門佐、ファイアフライ撃破だ」

カエサル「私たちにできることはココまでだな」

おりょう「さらばもんざ…」


ケイ「…ナオミの仇を討つわよ!」キコキコ…

ズドォン!!!

ケイ「もう一発!」

スコーン

ケイ「ん?」


杏「おケイ!かくごー!!」


ケイ「ノコノコ出て来たわねフラッグ車…!」

ケイ「目標変更!38tよッ!!」


左衛門佐「まだ私はやられてないぞー!!」

ズゴゴゴォォォォ

エルヴィン「なッ!?左衛門佐!?」

おりょう「操縦できたのか!?」

左衛門佐「ええと…どうやって曲がるんだっけ…!」

左衛門佐「もういい!坂を下って加速して…」

ドドドドドドドド

左衛門佐「M4に突撃じゃああああ!!!」

ズゴシャアアア

ケイ「うわっと…!文字通り突撃砲ね…!」

「履帯破損!」

「砲塔旋回装置故障しました!」

ケイ「…どうやら大洗を甘く見ていたのは私のようね」

ケイ「アリサ、あとは任せたわ!」

アリサ『そんな!?隊長!?』


杏「ナイス突撃!III突ちゃん!」

杏「えーっと、M4の弱点はここだっけか?」

ズドン!…シュパッ!


杏「おらー待て待てー」ドォン!


アリサ「38tなんかに追い回されてんじゃないわよ!」

装填子「でもあの38tの砲手はヤバいです!的確に射抜いて来ますよぉ」

装填子「すでに通信機が破壊されてます!」

アリサ「残り私たちしかいないのに通信機なんか必要ないじゃない!!」

装填子「でも止まったりしたら確実に履帯を壊されます!」

アリサ「アンタが38tを仕留めれば良い話でしょお!?」

砲手「止まってくれないと狙いが定まりません…!」

アリサ「つべこべ言わず当てなさい!!」

カコォン!

アリサ「イ゛ッ…素人に当てられてアンタに当てられないわけないでしょ!!」

装填子「とにかく逃げないと負けちゃいますよぉ!」

アリサ「…このタフなシャーマンがやられるわけないわ!」

アリサ「なにせ…五万両も作られた大ベストセラーよッ」

アリサ「丈夫で壊れにくいし、オマケに居住性も高い!」

アリサ「馬鹿でも乗れるくらい操縦が簡単で!」

アリサ「馬鹿でも扱えるマニュアル付きよッ!!」

ズゴォン

アリサ「うぐッ!」

砲手「お言葉ですが自慢になってません゛ーッ!!」

アリサ「う゛る゛さ゛い゛わ゛よ゛ぉ゛!!」


杏「いいねぇこやまー、もっと蛇行して煽っちゃおっか~」

柚子「油断しちゃまずいんじゃ…」

杏「私は1秒たりとも油断なんかしてないぞ~」


アリサ「なんであんなしょぼくれた戦車に追い回されるわけ!?」

アリサ「そこ!右!私たちの学校は、アンタたちとは格が違うのよ!!」

アリサ「撃てぇ!!」ドォン

アリサ「…何よその戦車、小さすぎて的にもならないじゃない!」

アリサ「当たればイチコロなのに!」

アリサ「修正!右三度!」キコキコ

アリサ「装填急いで!」

アリサ「全くなんなのあの子たち、無名校のクセにこんなとこまで勝ち上がってきちゃって」

アリサ「どうせ廃校にになるクセに!!」

アリサ「さっさとつぶれちゃえばいいのよ!!」

装填子「…はぁ」ゴソゴソ


杏「…ん?」

アリサ「ーーーッ!!ーーー!!!」

柚子「なんか…わめきながら逃げてますね」

杏「かぁしまみたいだね」

桃「えっ」


アリサ「なんでタカシはあの子が好きなのぉ…?」

アリサ「どうして私の気持ちに気付かないのよぉ~!!」

装填子「車長!集中して下さい!!」

アリサ「うるさいわねぇ!!」

アリサ「どうせあんたたちはケイ隊長とナオミ先輩が卒業したらサンダースは終わりだとか思ってんでしょお!」

アリサ「私じゃ隊長は務まらないとか思ってんでしょお!?」

砲手「思ってませんから!落ち着いて下さい!!」

がくんッ!

アリサ「何!?」

操縦手「履帯が切られました…!」

アリサ「何やってんのよばか!!」

操縦手「車長が指示も出さないで、タカシがどーだこーだ言ってるからでしょ!?」

アリサ「私のせいだって言うの!?」

砲手「喧嘩はやめて下さい!それどころじゃないでしょ!!」

装填子「oh…こりゃ反省会だぁ…」


杏「…シャーマン狩りにも慣れてきたね~」

杏「さて、終わりにすっかぁ」


ドガァン!…シュパッ!


『大洗女子学園の勝利!!!』



まほ「皆!よくやってくれた!」

まほ「大洗女子がここまで勝ち上がったのは、私がいるからではなく」

まほ「皆が優秀な戦車乗りだからだ!」

まほ「それぞれの車両を活かした良い戦いをしてくれた!」

まほ「本当に感謝している!」

梓「えへへ…」テレテレ

カエサル「隊長がやられたときはどうなるかと思ったがな」

典子「根性があればどんな敵にも勝てます!」

そど子「緊張したぁ…」

まほ「河島!」

桃「へッ!?」

まほ「大活躍だったじゃないか、サンダースのシャーマンを何両撃破した」

河島「え?いや、それは」

杏「西住ちゃん!」

まほ「なんだ干し芋」

杏「今回の38tの砲手は私だよ~」

まほ「は?」

杏「すごいでしょ」

まほ「…貴様が性格悪いのは知ってるが」

まほ「まさか河島の手柄も横取りするとはな」

杏「えっ」

まほ「どうせ干し芋食って踏ん反り返ってたんだろ」

杏「酷いなぁ西住ちゃん」

まほ「貴様に言われたくはない」


ケイ「いやー、やられちゃったわ!」

まほ「ケイ」

ケイ「マホを倒したときは勝利を感心したんだけどね!」

ケイ「まさかそこから大逆転されるとは!」

ケイ「…やっぱりマホはどの学校にいても優秀な隊長なのね」

まほ「どうかな…」

ケイ「ふふっ、マホの笑顔ってとってもキュートなのね!」

まほ「え?」

ケイ「黒森峰のときは、いつも怖い顔してるなぁーって思ってたけど」

ケイ「そんな風に笑うなんて…チョット意外でね!」


沙織「まぽりんセンパイって、笑うと各校の人たちに意外そうな顔されるよね」

華「昔はそんなに笑わない人だったんでしょうか」

優花里「黒森峰時代は隊員に厳しい人と言われてましたからね」

桂利奈「今でも厳しくないですか」

妙子「訓練のときになるとチョット怖くなるよね」

エルヴィン「だが、それは我々を想ってのことだ」

沙織「それに訓練が終われば優しいまぽりんセンパイに戻るしね」

麻子「…笑わない人が笑う」

麻子「…確かにおばぁがニコニコしてたら気持ち悪いな」

沙織「コラ麻子」

河嶋な


>>533 桃ちゃん先輩ごめんなさい…



柚子「みなさん片付けて帰りますよー」


麻子「こりゃまた各車両派手にやられたな」

優花里「自動車部の皆さんには頭が上がりませんね」

カチューシャ「こんにちは~家元さ~ん」スタスタ

まほ「ん?」

カチューシャ「決勝進出おめでとう」パチパチ

まほ「…カチューシャ?」

沙織「ちょっと、こんなとこ来たら危ないよ?お母さんとこ戻りな?」

カチューシャ「子供扱いすんじゃないわよ!私は高校3年生よ!」

沙織「えっ」

まほ「カチューシャはプラウダ高校の隊長だ」

華「あのプラウダ高校の」

カチューシャ「去年、プラウダを優勝に導いたのはこのカチューシャなのよ!!」ビシィ

麻子「…てことは、西住さんが勘当されるキッカケがこの子供か」

カチューシャ「私はあんた達より年上の先輩なのよ!?粛清するわよ!!!」

カチューシャ「…まぁ、今日は喧嘩売りに来たわけでも試合の申し込みに来たわけでもないわ」

カチューシャ「アンタの黒森峰の後輩、頑張ってるわよ」

まほ「…みほか?」

カチューシャ「違うわよアンタ妹を後輩って呼んでるの?」

カチューシャ「一匹いるでしょ?躾のなってないイヌみたいなのが」

まほ「エリカか」

沙織(それでわかるんだ…)

カチューシャ「これにサインと印鑑を押しなさい」

カチューシャ「そして決勝、全力を尽くして挑むのよ」

カチューシャ「黒森峰にはアンタの意志を継ぐもの、アンタの帰りを待つものがいるわ」

カチューシャ「妹なんかに負けんじゃ無いわよ」

まほ「…ありがとう、カチューシャ」

沙織「何の紙?それ」

カチューシャ「子供はすっこんでなさい!」

沙織「…こわーいあの人…」

優花里「小さな暴君と言われている地吹雪のカチューシャ…」

優花里「黒森峰時代の西住殿とは違った厳しさがありそうですね」

華「まぁ去年の優勝校ですし」


カチューシャ「もしもし!ノンナぁ、そっちはどう?」

ノンナ『サンダース大付属のケイ隊長からサインをいただきました』

カチューシャ「ふふふ、大会だと一気に2校からサインをもらえて楽ね!学園艦に行く手間も省けるし」

ノンナ『…聖グロのアッサムさんから連絡があったのですが、アンツィオ高校学園艦に隊長がいなかったとのことです』

カチューシャ「はぁ?めんどくさ!」

ノンナ『現在捜索中とのことです』

カチューシャ「決勝まで時間がないってのに…」

カチューシャ「まぁアンツィオは聖グロに任せましょ、この後はヴァイキングとメイプルね」

ノンナ『わかりました』

カチューシャ「全く…これ以上手間かけさせないで欲しいわ」

カチューシャ「…お腹すいた」

ペパロニ「鉄板ナポリタンいかがっすかー!」

カチューシャ「あら美味しそう、一つください」

ペパロニ「あいよー!」

アンチョビ「それにしてもいい試合だったなー!」

カルパッチョ「そうですねー」

カチューシャ「…あ」

アンチョビ「ん?」

カチューシャ「アンタ、アンツィオの…!こんなところにいた!」


エリカ「勝った…!?」

エリカ「大洗女子が…サンダースに!?」

小梅「決勝の相手が決まったね」

エリカ「戦うんだ…」

エリカ「隊長と…!」

「なんだサンダースじゃないのか」

「いくら元隊長が率いてるとはいえ、ねぇ」

「戦車も6両しかないし楽勝でしょ」

「呆気ない決勝になりそうだね」

みほ「油断しないでください」

エリカ「みほ!?」

みほ「私は西住まほに負けるわけにはいきません」

みほ「大洗女子を全力で叩き潰します」

みほ「ここで負けたら自分には何も残らないと思うこと」

みほ「マグレで勝ち上がってきた素人集団に、戦車の本当の恐ろしさを教えてあげましょう」

みほ「戦車道は仲良しクラブじゃありません」

みほ「わかりましたか?」

エリカ「…」

小梅「はい」

みほ「返事!!」

「「「「「 は い !!!!! 」」」」」


そして

杏「さぁー!いよいよ決勝戦だよー?」

杏「目標は優勝だからねー!」

桃「大それた目標なのは分かっている、だがここまで来れたんだ」

桃「共に頑張ろう」

まほ(干し芋…最後まで廃校の件は言わないつもりか…)

杏「んじゃ、西住ちゃんも何か一言」

まほ「…あぁ」

まほ「明日対戦する、黒森峰女学園は」

まほ「…私のいた学校だ」

まほ「だが今は、私にとってこの大洗女子が」

まほ「私の母校だ」

まほ「サンダース戦ではすぐにやられてしまって申し訳ない」

まほ「あの時は皆に救われた」

まほ「今度は私が」

まほ「大洗女子隊長として、皆を引っ張る番だ」

まほ「私は皆の力が欲しい」

まほ「明日…全員で頑張ろう」

「「「「「 お お ーーーーー ッ !!! 」」」」」


「…大洗女子は新しくポルシェティーガーと三式中戦車が加わり、38tをヘッツァーに改造してⅣ号にシュルツェンを取り付けた模様」

「整備に強い自動車部のメンバーがポルシェティーガーに乗り」

「よくわかんない陰キャのメンバーが三式に乗るみたいです」

「両戦車の新メンバーも素人ですね」

みほ「偵察、ありがとうございます」

「…戦力アップしたと言ってもこの程度です、偵察なんか必要あったんですか?」

みほ「…私は、今まで西住まほに勝ったことはありません」

みほ「これまでいろんな作戦、いろんな方法を試してみましたが」

みほ「姉を越えることが出来ませんでした」

みほ「だから私は西住まほを倒すためなら何も惜しみません!全力を尽くします!」

「…」

みほ「明日」

みほ「私か」

みほ「西住まほ」

みほ「どちらかが戦車に乗る」

みほ「最後の日となります」

「…それって」

みほ「私が勝つということは、西住まほを二度と戦車に乗れないようにボコボコにするということ」

みほ「私が負けるということは、西住流に泥を塗る程度じゃ済まされません」

みほ「きっと家元に、二度と戦車に乗せてはもらえないでしょう」

「隊長…」

みほ「負けるわけには…いかないんです」


桃「練習終了!」

桃「やるべきことは全てやった」

桃「あとは各自明日の決勝に備えるように!」

「「「「「はい!!」」」」」

桃「では、解散!」


沙織「ねーまぽりんセンパイ」

まほ「ん?」

沙織「まぽりんセンパイんちでご飯会やらない?」

華「沙織さんのご飯食べたいです」

優花里「前夜祭ですね!」

麻子「祭りじゃないだろう」

優花里「物の例えですよぉ」

まほ「ふふっ」


まぽりんち

「「「「「いただきまーす!」」」」」

まほ「ふむ、美味しい」

華「カラッと揚がってますねぇ」

優花里「いつでもお嫁にいけますよぉ」

沙織「…重大な発表があります」

「「「え?」」」

沙織「実は私…」

優花里「婚約したんですかぁ!?」

華「彼氏もいないのに?」

沙織「違うわよぉ!!」

沙織「じゃん!」サッ

沙織「アマチュア無線二級に合格しましたー!」

華「まぁ」

優花里「四級どころか二級なんて!」

まほ「二級って…黒森峰でも持ってるやつ、なかなかいないぞ…!」

沙織「いやぁ~大変だったよぉ~」

沙織「麻子に勉強付き合ってもらって~」

麻子「教える方が大変だった」モグモグ

まほ「すごいぞ沙織!」

優花里「通信手の鑑ですね!」

沙織「明日の連絡指示はまかせて!どんなとこでも電波飛ばしちゃうから!」

まほ「まさか免許を取ってるなんてな…まぁ婚約はあり得ないと思ったが」

沙織「あぁー!まぽりんセンパイひどいー!」

沙織「よし!私優勝したら婚約する!」

麻子「どういう理屈だ!」


沙織「まぽりんセンパイも彼氏の1人でも作ってみなさい」

まほ「…彼氏か」

まほ「そんなこと、考えたことなかったな」

華「理想の男性とか、いるんですか?」

まほ「理想?理想…理想…」

まほ「うーん…」

まほ「彼氏かぁ…」

まほ「どんな男がいいものか…」

沙織「そ、そこまで悩む?」

優花里「理想なんですし…」

まほ「だったら」

まほ「沙織みたいに優しくて」

まほ「華みたいに穏やかで」

まほ「麻子みたいに冷静で」

まほ「優花里みたいに面白い人がいいかな」

麻子「何重人格なんだそれは」

沙織「まぽりん欲張りすぎ~!」

優花里「私って面白い人なんですか」

華「嬉しいですね」

まほ「ま、まぁ…お前たちのことが好きなことには変わりないからな」

優花里「!?」キュン

沙織「!?」キュン

優花里「に、西住殿に告られました~!」ワシャワシャ

沙織「なんでドキッとしたのあたし!?確かにまぽりんセンパイは女の子の中でもカッコいい方だけど!」

華「真に受けてる方が2名いますね」

麻子「友達としてだろ、ときめくんじゃない」



杏「…さぁ、明日で最後だ」

杏「誰よりも、私が頑張らなくちゃ」

杏「どんな結果になっても…」


決勝戦

みほ「では攻撃隊と守備隊に別れます」

みほ「攻撃隊は敵フラッグ車を徹底的に狙い、守備隊は味方フラッグ車を囲み要塞を築きます」

黒森峰1「…攻撃隊って副隊長派で固められてるし、どーせ切り捨てられるんだろ」ヒソヒソ

黒森峰2「…私たちは副隊長の為に戦うだけだ」ヒソヒソ

黒森峰3「副隊長派で大洗を倒して、今度こそ見返してやるんだ」ヒソヒソ

みほ「突然ですが編成の変更があります」

みほ「フラッグ車を私のティーガーから副隊長のキングティーガーに変えます」

エリカ「え?」

黒森峰1「なッ!?」

みほ「副隊長のキングティーガーを守備隊で囲みます」

黒森峰2「副隊長が私たちから引き抜かれた…!」

黒森峰3「副隊長の指揮で動けないじゃないか…」

みほ「その代わり、赤星さんを攻撃隊の隊長として攻撃隊に加えます」

小梅「はい」

黒森峰1「え?隊長派の赤星さんが私たちの隊長…?」

黒森峰2「私たちのこと切り捨てるつもりはないのかな…」


エリカ「隊長…なぜ突然フラッグ車の変更を…」

みほ「西住まほを倒すのは私です」

みほ「旗なんて邪魔なもの背負って倒せるほどぬるい相手じゃないですから」

エリカ「…」


攻撃隊(副隊長派)

パンター×5(攻撃隊長小梅車含む)
Ⅳ剛駆逐戦車×4
Ⅲ号戦車
ヤークトパンター


守備隊(隊長派)

ティーガーⅠ(みほ車)
ティーガーⅡ×2(エリカフラッグ車含む)
パンター
Ⅳ号駆逐戦車×2
ヤークトティーガー
エレファント
マウス


亜美「これより、黒森峰女学園対大洗女子学園の決勝戦を始めます」

亜美「礼!」

エリカ・桃「「よろしくお願いします」」ペコリ

みほ「…」ジッ

まほ「…」

亜美「…戦車道は礼に始まる」

亜美「基本中の基本を忘れたの?」

まほ「お願いします」ペコリ

みほ「…」ペコ


※大洗フラッグ車…Ⅳ号

亜美『試合開始!!』

まほ「パンツァーフォー!!」

ギュラギュラギュラ

沙織「ついに決勝だよ!」

華「絶対に勝ちましょうね」

まほ「…」

優花里「どうしたんですか?西住殿」

まほ「…綿密に作戦を立てたつもりだが…相手は重戦車で固めた黒森峰…」

まほ「…倒せるのか…」

麻子「何今更弱気になっているんだ」

ねこにゃー『あ、あああああのののの…西ッ、西…住…隊長…』

まほ「ん?どうした猫田」

ねこにゃー『は、は、発言権を…い、いただけますかな…?』

まほ「遠慮する必要ないぞ」

沙織「まぽりんはちょっと怖い顔してるけど実際はすごく優しいんだよ、怖がらなくてもいいよ」

麻子「お前はとうとう『センパイ』もつけなくなるほど馴れ馴れしくなったな」

まほ「私は別に構わない、皆友達だからな」

杏『私も西住ちゃんと友達になれて嬉しいよぉ~』

まほ「お前だけは敵だ」

杏『…』ショボン

まほ「で、猫田、どうしたんだ?」

ねこにゃー『あの…!ボクたち…戦車ゲームをよくやっているんだけど…』

ねこにゃー『その…知識を活かして…今回の決勝のマップに敵が潜伏してそうな場所を…』

ねこにゃー『リストアップしてみた…んです』

まほ「なるほど」

まほ「沙織、猫田のポイントを地図に表してみてくれ」

沙織「うん!わかった!」


沙織「…こんな感じかな」

まほ「ほう」

優花里「黒森峰は駆逐戦車が多い…」

優花里「高所から狙撃してくるなら、ねこにゃー殿のポイントから行うのが効率的ですね」

まほ「猫田、これは助かる」

ねこにゃー「え?そ、そう?」

まほ「戦略をゲームでシミュレーションする…今の時代はやはりコンピュータだな」フム

沙織「まぽりん、パソコンとか使えなさそう」

まほ「うるさいな」

まほ「…さて」

まほ「猫田ポイントで一番近いのは…N9地点か」

まほ「優花里、双眼鏡」

優花里「どうぞ!」

まほ「…N9地点の丘に敵はいるか…?」ジッ

まほ「!!」

まほ「麻子!!左!!」

麻子「お?」ガコンッ

ズボォッ!!!

華「きゃっ」

沙織「あぶなッ!」

まほ「猫田、ビンゴだ」

まほ「N9地点にヤークトパンター!」


ヤクパン車長「なッ!?避けられた!?」

小梅「…流石隊長…簡単には倒せそうにないね」


まほ「よし!猫田ポイントを避けつつ敵の懐に潜り込むぞ」

沙織「まぽりん!ここの山道を通っていくのが良いかも!」

優花里「黒森峰は隊列を成して行動しますからね!脇から突っついて隊列を崩せば混乱するはずです!」

ねこにゃー「ほ!ふおおおお!隊長の役に立てたでござる!!」

ももがー「我々の知識が活かされたナリ!」

ぴよたん「でも慢心はいけないぴよ」


みほ車通信手「ねぇ隊長、なんで小梅を副隊長派の連中につけたの?」

みほ車砲手「今回も切り捨てるのかと思ってました」

みほ「切り捨てるよ」

みほ車装填手「あ、なーんだ、結局は切り捨てるんですね」

みほ車操縦手「赤星さんも利用するってことか?」

みほ「小梅さんは優秀な人ですから」

みほ車通信手「…隊長のしたいことがよくわかんなーい」

みほ車砲手「ほら、隊長は元隊長とタイマン張りたがってるじゃないですか」

みほ車装填手「しかし副隊長派の人間は元隊長殿を倒すことによって、副隊長殿の西住流とやらが正しいことを証明しようとしているんですよね」

みほ車操縦手「つまり副隊長派に元隊長を倒されると困るってわけだ」

みほ「まぁ、倒せないと思うけど」

みほ車通信手「なるほど!だから副隊長派の連中に好き勝手させないために小梅をつけたんだね!流石隊長!」

みほ車装填手「そして副隊長殿は我々に囲まれていて全く動けない…!」

みほ車砲手「全ては隊長の掌の上ってわけですね」

みほ車操縦手「新時代の西住流はエゲツないな」

みほ「小梅さんはⅣ号だけをこちらに連れてくるようにと指示してあります」

みほ「その時は…1対1で西住まほを倒し」

みほ「私の西住流が日本で一番最強だと母と戦車道界に知らしめるのです」

みほ車通信手「んじゃあここにあるキングティーガーとかエレファントとかマウスとか全く使わないんだね」

みほ車砲手「決勝戦なのにみなさん暇そうですね」


エリカ「…」

装填手「副隊長…良いんですか?隊長に好き勝手やらせて…」

エリカ「…」

砲手「この決勝戦で行動を起こさないと、本当に黒森峰が西住みほに飲み込まれちゃいますよ?」

エリカ「じゃあここで、目の前に背面晒してるみほを撃って、元隊長に挑みに行く?」

エリカ「そんなことしたら、私たちの未来はないわ」

エリカ「待つのよ、来たるべきその時まで」

装填手「…来るといいですけど」

エリカ「絶対に来るわ」

エリカ「西住まほは最強の戦車乗りなんだから」


まほ「2時方向にⅣ号駆逐戦車!撃て!!」

ドォン!ズドォン!!

…シュパッ!

ナカジマ「よっしゃ!」

スズキ「ホシノやるぅ~」

ホシノ「いえーい!」

ツチヤ「コレも西住センパイの指導の賜物だね!」

まほ「次!3時方向パンター!」

ドォン!!

ガシャァッ!!…シュパッ!

ねこにゃー「い゛に゛ゃッ!?」

梓「三式が!」

まほ「撃て!!」

…ズガァン!!…シュパッ!

エルヴィン「パンター撃破!」

ももがー「…やっぱり現実はゲームのように上手くいかないナリ…」

ぴよたん「ぴ」


小梅「攻撃隊、一気に畳み掛けます!」

小梅「Ⅲ号、左側から砲撃して大洗の陣形を乱してください!」

小梅「Ⅳ号駆逐!敵八九式に集中砲火!動きを止めて!」

黒森峰1「更にこちらのパンター1両、Ⅳ駆逐1両が撃破されました!」

小梅「怯まないで!私と後ろのパンターで大洗の前方を塞ぐ!」

小梅「後方のⅣ号駆逐はM3を狙って!」

黒森峰1「Ⅲ号が敵Ⅳ号に撃破されました!」

小梅「構いません!八九式の足止めに成功しました、逃げられる前に撃破してください!」

小梅「あなたのパンターは前に出て!敵Ⅳ号の動きに注意!」

黒森峰2「はい!」

どがん!!…シュパッ!

黒森峰2「うわッ!?…Ⅳ号にやられた…すみませんパンター行動不能です!」

黒森峰1「こちらのⅣ号駆逐がまたやられました!」

黒森峰1「だ、大丈夫ですか!?赤星さん!」

小梅「…」

小梅「順調です」


ペパロニ「ほえー、すごい撃ち合いっすねぇ、大迫力だ」

カルパッチョ「あの黒森峰相手に互角に渡り合ってますよ、あの大洗をここまでにするなんて、流石西住さんですね」

アンチョビ「しかしフィールド奥の…黒森峰の本隊とも言える守備隊にはティーガーやエレファントやマウスがいる!」

アンチョビ「ここで苦戦してたらマズイぞ西住…!」


みほ車通信手「…攻撃隊の連中、大洗なんかに苦戦してるよ?結構撃破されてるし」

みほ「…あははは」

みほ車砲手「…どうしたんですか?」

みほ「小梅さんには『Ⅳ号だけをこちらに連れて来るように』とは言いましたけど」

みほ「まさか本当にそうするつもり?」

みほ車装填手「え?どういうことですか?」

みほ車操縦手「…副隊長派と大洗を相打ちにして、元隊長のⅣ号だけ残すってことか」

みほ車通信手「え!?じゃあ小梅は副隊長派とⅣ号以外の大洗が全滅するように上手く指示して動かしてるってこと!?」

みほ車砲手「大洗に副隊長派を撃破させつつ、大洗を撃破していく…すごい戦術ですね」

みほ車装填手「これは赤星殿のほうが副隊長にふさわしいんじゃないですか?」

みほ「そうだね、この大会が終わったら小梅さんを副隊長にしよう」

みほ車操縦手「そろそろ戦う準備しとけ、赤星さんが元隊長を連れて来るぞ」


あや「やられた…またメガネ割れた」

あゆみ「やっぱり黒森峰つよいねー…」

梓「私たち…このままでいいのかな」

優季「まぁ来年もあるから~」

桂利奈「また来年がんばろー!!」



忍「負けちゃった…やっぱり八九式じゃキツイなぁ」

典子「なに言ってんだ!私たちは根性が足りなかったんだ!!根性があれば重戦車も倒せるはずだ!!」

あけび「そうですね!根性で来年こそは撃破しましょう!」

妙子「来年に向けて特訓ですね!!」



桃「来年来年って…来年には学校はないかもしれないんだぞ…」

杏「かぁしま!!今は余計なこと考えんな!!装填急げ!!」

桃「は、はい!!」



カエサル「エルヴィン!敵に背後を見せるとまずい!」

エルヴィン「分かってるが…囲まれている以上…!」

おりょう「おい!どこいくぜよ!」

左衛門佐「突撃砲は戦場のど真ん中だとダメだな…」


まほ「くっ…」

まほ(黒森峰にあるまじき大胆な戦い方…この隊を指揮しているのは誰だ…?)

まほ(みほやエリカはティーガーに乗っているはずだが…)

沙織「まぽりんどうするのー!?」

まほ「ひとまずココから抜け出すぞ!ポルシェティーガーが先陣、突っ切れ!」

まほ「その後ろにIII突とヘッツァー、ヘッツァーの後ろにⅣ号がつく!」

まほ「B1!Ⅳ号の後ろについて守ってくれ!」

そど子『ごめんなさい西住隊長!やられちゃいました!』

まほ「仕方ない…!突っ切れ!!ナカジマ!!右のⅣ突を撃て!!華は左のⅣ突!!」

ドォン!ズドォン!!

ホシノ『チッ…外した!』

華「Ⅳ突撃破です」



小梅「逃さないで!!側面晒してるIII突とヘッツァーに火力集中!!」


ドガァン!…シュパッ!

エルヴィン「くそぉ!!やられた!!」



黒森峰1「!!」

黒森峰1「チャンス!!Ⅳ号の後ろがガラ空き!!」

黒森峰1「撃てぇ!!!」



まほ「しまッ…!麻子ォ!!パンターに狙われてる!!」

麻子「ッ…!!」



ズドォォン!!…シュパッ!



まほ「…なッ!?」


小梅「…」


黒森峰1「…え?あれ?」


黒森峰1「後ろから撃たれた…?」


小梅「…」


黒森峰1「…赤星さん、なんで私のこと撃ったの?」


まほ「今のうちだ逃げろ!!全速前進!!」


小梅「逃さない」ドォン!


ガシャアッ!!……シュパッ!

ナカジマ「ぐっ…ココまでか…」


小梅「次、ヘッツァー狙って!」

黒森峰1『待ってよ赤星さん!!』

黒森峰3『確実に敵フラッグ車を守ったよね!?なんで味方を撃ったの!?』

小梅「…」

小梅「隊長の作戦の邪魔をするなら、消えてもらいます」キコキコキコ

黒森峰3『ちょちょちょッ!味方を撃つなんておかしいって!!待って赤星さ』

ドガァンッ…!…シュパッ!


沙織「なんで!?なんで味方同士で撃ってんの!?」

まほ「わからない…ただあのパンターのおかげで助かった」

麻子「あれを動かしているのは…心当たりないのか?」

まほ「…わからない」

優花里「それより、これからどうするんですか!?もう私たちと生徒会チームしか残ってないですよ!!」

華「絶体絶命です…」



アンチョビ「なんてことだ…会場も大混乱だ…」

ペパロニ「そりゃそーっすよ」

カルパッチョ「Twitterも盛り上がってますよ」ポチポチ

アンチョビ「お前Twitterなんかやってんのか」

カルパッチョ「たかちゃんドンマイって呟かないと…」ポチポチ

ペパロニ「呟かないで直接メールすりゃいいだろ」



小梅『すみません隊長、ヘッツァーを仕留め損ねました』

みほ「いい働きをしてくれました小梅さん」

小梅『引き続き私はヘッツァーを撃破します』

みほ「任せます」

みほ「さて、行くよ」

みほ車装填手「元隊長を倒しに行きますよ~!!」


杏『どうする西住ちゃん!』

まほ「…敵にはまだティーガーやエレファントやマウスが…」

沙織「ま、まぁ…私たちここまで頑張ったよ!」

優花里「そうですよ!今回の全国大会で私たちはかなりの経験値を得たはずです!」

華「やはり、相手が悪かったですね…」

桃『おまえたちぃ!!諦めるのか!?諦めたらこの学校は…ッ』

杏『 か あ し ま ァ !!!!! 』

桃『ヒッ』ビクッ

麻子「…なんなんだいったい」

杏『…諦めたら試合終了だよ!』

杏『負けてもいい、悔いの残らないように戦い抜こう!!』

まほ「…負けてもいいのか?」

杏『重要なのは悔いの残らないように、だよ?』

まほ「…わかった」

まほ「皆もわかったな?」

沙織「う、うん!」

優花里「了解であります!」

華「妹さんに一泡吹かせるためにここまで来たんですものね」

麻子「私は隊長の指示に従うだけだ」

まほ「よし、干し芋!これから東に向かって…」

ボスンッ!!

杏『おっと』

優花里「仲間殺しのパンターが追って来ましたよ!」

杏『くそ、逃げるぞ小山!』

ギュラギュラギュラ

まほ「撃て華!!」

ズドン!…ゴインッ

華「は、弾かれてしまいましたッ」


小梅「…」


まほ「こ、小梅!?」

沙織「あのパンターのキューポラから顔出してる人、まぽりんの知り合い?」

麻子「当たり前だろうが、元チームメイトなんだから」

華「優花里さんみたいに癖っ毛がありますね」

優花里「とても仲間を撃ちそうな方には見えませんが…」

ギュラギュラギュラ

沙織「私たちには目もくれずヘッツァーを追ってったよ!?」

まほ「去年の大会で…死にかけた子だ」

まほ「私が転校した後に目を覚ましたらしいが…」

華「無事でよかったじゃないですか」

まほ「…仲間を撃つような子じゃなかったはずだが」

麻子「今のうちに背面晒してるパンターを撃ったらどうだ」

優花里「…いや、パンターの相手をしている暇はなさそうですよ」

まほ「…ん」



ギュラギュラギュラ

みほ「みつけた」

みほ「お姉ちゃん」



まほ「皆、気合入れろ」



アンチョビ「おい見ろカルパッチョぉ!Twitterやってる場合じゃないぞぉ!!」

カルパッチョ「とてつもない撃ち合いですね…流石西住流の西住姉妹…」

ペパロニ「すっげぇ…ティーガーとⅣ号がインファイトしてるよ…」



エレファント車長『隊長のティーガー相手にⅣ号で互角に渡り合うとか…元隊長も腕は衰えてないね』

ヤークトティーガー車長『しかもⅣ号の中身は元隊長以外ど素人のハズなのに…』

マウス車長『やっぱり聖グロとサンダースを倒しただけあるのかな』

エリカ「…」

エリカ車装填手「…ヒマですね」

エリカ「油断しないで」

エリカ車装填手「でも、Ⅳ号がティーガーに勝てるとは思えません…」

エリカ車装填手「全国大会の決勝は、こーしてボーっとして終わっちゃうんですかね」

ゴインッ!!

エリカ車装填手「うぎゃッ!?」

エリカ「弾いたわッ!だから油断するなって言ったでしょ!?」

エレファント車長『あんなところにヘッツァー!!』

ヤークトティーガー車長『こんなところでフラッグ車潰されたら隊長に殺されちゃうよ!?』

マウス車長『迎え撃て!あのミドリガメを甲羅焼きにしてしまえ!!』


杏「くっそお!やっぱりこの距離じゃキングティーガーは抜けないか…ッ!」

杏「重戦車軍団の砲弾がとんでくるぞ!小山撤退!!」

柚子「はい!」

桃「…会長、負けてもいいとは…」

桃「負けたら…廃校なんじゃ…」

杏「別にぃ?」

杏「負けイコール廃校じゃないし」

桃「え?」

杏「全国大会優勝なんて廃校回避のプランのうちの一つに過ぎない」

杏「私の頭の中には他にも廃校を阻止する計画がいくつかあるんだよ」

柚子「ほ、本当ですかぁ~…?」

杏「私を誰だと思ってんだー、大洗女子生徒会長の角谷杏様だよ~」



エリカ「…行くわよ」

エリカ車操縦手「え?隊長にここを動くなと言われたハズでは…」

エリカ「ここにいたら、またあのヘッツァーに狙われるわ」

エリカ車通信手「ヘッツァーなんかに負けないと思うけど…」

エリカ「あのヘッツァーはサンダース戦でシャーマンを何両も撃破したのよ、乗ってるやつは只者じゃない」

エリカ車装填手「…とか言って、元隊長と直接戦いたいんじゃないの?」

エリカ「うるっさいわねぇ!!」

エリカ「さっきからココを動くな動くなって言われてイライラしてんのよ!!みほに好き勝手やられてイライラしてんよぉ!!」

エリカ「ほら行くわよ!!みほと隊長のところに!!」

エリカ車砲手「…怒られてもしーらない」

ギュラギュラギュラ

エレファント車長『ちょ、副隊長!どこ行くの!!』

ヤークトティーガー車長『ココを動くなって隊長に言われたでしょ!』

マウス車長『ちょっと待ちなさいって!!』


優花里「はぁッ…はぁッ…」

まほ「大丈夫か優花里…!」

優花里「すみません西住殿…腕は鍛えてきたつもりなのですが…」

華「申し訳ありません、私がちゃんと狙ってないばかりに…」

まほ「今は岩陰に隠れている、3分ほど休憩しよう」

麻子「相手は重戦車なのになんだあの動きは…向こうの操縦手は何者だ…」

沙織「大丈夫かな…生徒会チーム」


みほ車砲手「どこに消えたんですかねぇ」

みほ車装填手「きっとⅣ号は疲れ果ててどっかに隠れて休憩でもしてるんですよ」

みほ車通信手「体力ないね~、強い女の子はモテるのに!」

みほ車操縦手「お前は座ってるだけだろ」

みほ「ねぇ、さっきから何発撃ってるの?」

みほ車通信手「え?」

みほ「Ⅳ号は車長以外ど素人なんだよ?」

みほ「なんですぐ倒せないの?」

みほ車砲手「も、申し訳ありません…」

みほ「役立たず」

みほ車装填手「た、隊長殿…Ⅳ号の履帯の跡です…向こうの岩陰に向かったと思われます」

みほ「そんなの最初から気付いてるから」

みほ「みんなが無駄口叩いてる間にさぁ」

みほ車装填手「…」

みほ「さっさと行ってよ」ゲシッ

みほ車操縦手「いたッ…わかった…」


優花里「西住殿!!ティーガーが来ました!!」

まほ「よし、川の向こうの林に逃げるぞ」

麻子「おう」

まほ「あの石橋を渡れ!」

華「崩れないでしょうか…」

まほ「大丈夫だ!…多分!」



みほ車通信手「敵Ⅳ号は石橋を渡ったよ!」

みほ「追って!早く!」

みほ車装填手「!?」

みほ車通信手「後ろからキングティーガー!?隊長殿!副隊長殿が来ました!!」

みほ「へ!?なんで!?」

みほ「エリカさん!なんでここにいるの!?動くなって言ったでしょ!!」

エリカ『…』

みほ「エリカさん!エリカさん!!」

みほ「チッ…キングティーガーの履帯を切って!!」

みほ車砲手「え!?」

みほ「早く撃って!!」

みほ車砲手「キングティーガーはフラッグ車ですよ!?もし撃破してしまったら…」

ガキィン!!

みほ「ぐっ…」

みほ車通信手「Ⅳ号に撃たれてるって!キングティーガーなんか気にしてる場合じゃないよ!!」

みほ「…役立たずばっかり…ッ!!」ガンッ


エリカ車操縦手「ティーガーに続いて石橋を超えますよ!」

エリカ「行って!!」



柚子「来ました会長!」

桃「敵フラッグ車、石橋の上を渡ってます!側面ガラ空きです!!」

杏「この時を待ってた!!これで終わりだ黒森峰!!」


ズガァァァァンッ!!ガラガラガラガラガラ…

…シュパッ!


エリカ車装填手「危なッ!?橋を渡った瞬間に橋が崩れましたよ!?」

エリカ「どうやらヘッツァーに狙われてたみたいね…」

小梅『副隊長、危ないですよ…フラッグ車が周りから丸見えの橋の上を護衛なしに渡っちゃあ…』

エリカ「助かったわ、小梅」


杏「…」

桃「…」

柚子「…」

杏「撃つ瞬間に、後ろから来てたパンターに撃たれて」

杏「外しちゃったみたい」

杏「ごめん」



エレファント車長「橋が崩れた!これじゃ川を渡れない…!」

ヤークトティーガー車長「迂回しないと!キングティーガーを止めないと隊長に殺される!」

マウス車長「ちょっと待って…」ノロノロ


みほ「エリカさん!お姉ちゃんを倒すのは私だからね!?手を出さないでよ!!」

エリカ『…』

みほ「返事してよこのバカ!!」

みほ車通信手「隊長撃たれてるって!集中して!」

みほ「わかってるよそんなこと!反撃してよ!」

みほ車砲手「木々に隠れて…狙いにくいです」

みほ「林の中に入って!」

みほ「…Ⅳ号はどこ!?早く見つけてよ!」

みほ車装填手「た、隊長殿…焦りすぎですよ」

みほ「前から言ってるでしょ!?私はお姉ちゃんに勝ったことないの!!」

みほ「油断したらすぐやられちゃうんだから!みんなも集中してよ!!」

みほ車操縦手「まずは落ち着くことが先だと思うが」

みほ「うるさい!前進してッ!」ゲシッ

みほ車操縦手「イタッ…聞こえてるんだから蹴らないでくれるか…」

ガシャンッ!!

みほ「え!?」

みほ車装填手「後ろから!?いつの間にか後ろに回り込まれています!!」

みほ「あぶな…エンジンをかすめてる…」

みほ「砲塔後ろに回して!!前進しながら撃って!!」

みほ車通信手「隊長!この先はダメだよ!」

みほ「関係ない!Ⅳ号を撒かないと負ける!」

みほ車操縦手「前進していいのか」

みほ「早く前進しろって!!」

みほ車通信手「ちょ!!ダメ!!止まって!!」

みほ車操縦手「おい!危ないからレバーに触るな!!」

みほ「邪魔しないでよ!!バカ!!」

みほ「この試合終わったらみんなレギュラーか
ら外してやる!!」

みほ「役立たずは二度と戦車に乗れないって分からせてやるから!!」

みほ「西住流っていうのは…」ヒュッ

みほ「ーーーーーーえ?」




ガラガラガラガラガラガラ…


まほ「止まれ!!麻子!!」ガガガッ

麻子「…落ちてったぞ、ティーガー」

まほ「み、みほ!!!!!」


エリカ車装填手「隊長車が崖から転げ落ちて行きました…!!」

エリカ「みほーーーーーッ!!!!!」





パラパラパラ…

…シュパッ!

みほ車装填手「う…」

みほ車通信手「痛い…」

みほ車砲手「助けて…下さい…」

みほ車操縦手「脚が…」


みほ「…」

みほ(痛い)

みほ(崖から落ちたんだ)

みほ(私ったら、熱くなりすぎて)

みほ(周りが全く見えてなかった)

みほ(…)

みほ(砲弾がお腹の上に)

みほ(お腹が痛い)

みほ(血が止まらない)

みほ(私、ここで死ぬのかな)

みほ(戦車道の家元に生まれて)

みほ(戦車ひと筋で)

みほ(私の人生、まっとう出来たよね)


「役立たずは二度と戦車に乗れないって分からせてやるから!!」


みほ(…もしかして、私が役立たずだった?)

みほ(勝手に熱くなって、戦車を落っことして)

みほ(みんなに怪我させて…)

みほ(役立たずで戦車に乗る資格のないのって、私だったのかなぁ)


もし負けたら、君には大切なものが何も残らないね


みほ(…)

みほ(…私が死んでも何も残らない)

みほ(役立たずで戦車に乗る資格がない私が死んだところで)

みほ(誰も悲しまないし、誰も気にしない)

みほ(私の人生、なんだったんだろ)

みほ(…死にたくない)

みほ(こんなところで死にたくない)

みほ(昔、お姉ちゃんとⅡ号戦車に乗ってた時みたいに)

みほ(エリカさんや小梅さんたちと、厳しくてもやり甲斐があった中学時代の時みたいに)

みほ(楽しく…戦車に乗りたいなぁ…)

みほ(お姉ちゃん…お母さん…黒森峰のみんな…)

みほ(ごめんなさい…)

みほ(ごめんなさい…ごめんなさい…!)




みほ!

みほ!!!


みほ(…え?)


まほ「みほ!!」

エリカ「大丈夫!?みほ!!」

みほ(お姉ちゃん…?エリカさん…?)


みほ車砲手「隊長…」

みほ車通信手「まほ隊長…」

まほ「お前たちも大丈夫か!?」

みほ車装填手「一番怪我しているのは…みほ殿です…!」

エリカ「あんたたち全員助けるから!もうちょっと我慢して!」

みほ車操縦手「なぜ…隊長と逸見さんが…ここに…」

みほ(あぁ…あぁぁあ……)

まほ「みほ!もう大丈夫だからな!」

みほ「おね…ェ…ちゃ…」

みほ「お姉…ちゃぁん…!!」






『只今、大怪我をした選手がいるため、試合を中断しております』

『現在、怪我人を救助ヘリに収容しております』

『救助が完了しましたら、試合を再開いたします』

『選手の皆さんは戦車のエンジンを切って待機して下さい』



ダージリン「間に合ってよかったわね」

カチューシャ「このカチューシャ様のおかげね!!」

ケイ「私も手伝った甲斐があったわ~」

アンチョビ「お、みんな来てたのか」



亜美「娘さんは大怪我をしていますけど、命に別状はないそうです」

しほ「…ありがとう、あなたのおかげだわ」

亜美「…感謝をするなら高校生の皆さんにお願いします」

しほ「よかった…間に合って本当によかった…」

このままハッピーエンドっていうのもある意味溜飲が下がらないな、みほには何らかの禊(みそぎ)が必要だろう

このSSのみほはどことなく「Vivid Strike」のリンネ・ベルリネッタを思わせる処があるので
大洗に敗北し、周囲に責められてみほ引きこもり化

どちらが西住流後継者に相応しいか、まほと対決

まほ『人を見下して貶めるくせに辛くなったらすぐ逃げ出す。その腐った性根、私がぶち壊してやる!』

くらいやっても良さそうな…


みほ「…」

みほ「…」

みほ「…あれ」

みほ「ここは…」

まほ「みほ!」

まほ「お母様!みほが目を覚ましました!」

しほ「みほ!」

みほ「お姉ちゃん…お母さん…!」

まほ「ここは病院だ」

みほ「いてて…」

しほ「安静にしていなさい、しばらく入院生活が続くわ」

みほ「ほかのみんなは!?」

まほ「みほよりも軽傷だ、安心しろ」

みほ「よかった…」

みほ「…そういえば試合は?」

まほ「勝ったぞ」

みほ「勝ったの…?」

みほ「…どっちが?」

まほ「黒森峰の勝ちだ」

みほ「え!?」

まほ「あの後、エリカのキングティーガーと一対一で戦ったんだがな」

まほ「負けてしまったよ」

みほ「エリカさんがお姉ちゃんを倒したの…?」

まほ「あぁ、そうだ」

みほ「…隊長に相応しいのはエリカさんだね」

しほ「みほ…」

みほ「お母さん…ごめんなさい」

みほ「私…自分勝手なこと…」


しほ「みほ、これも全部私が悪いの」

しほ「私がまほを勘当したのが間違いだった」

しほ「あの日から全てが狂ってしまったの」

しほ「まほ、みほ」

しほ「本当にごめんなさい」

みほ「お母さんだけのせいじゃないよ」

みほ「私は仲間を仲間と思ってなかった」

みほ「私は…戦車道に相応しくない人間なの」

みほ「お姉ちゃん」

みほ「私の願い、きいてくれる?」

まほ「なんだ」

みほ「黒森峰に戻って来てほしい」

みほ「私がめちゃめちゃにしてしまった黒森峰を」

みほ「西住流を再建してほしいの」

みほ「お願い、お姉ちゃん」

みほ「私は…もう戦車道をやる資格がない」

みほ「私はもう戦車道をやめるよ」


大洗女子学園、生徒会室

杏「…妹さん、大丈夫そうだった?」

まほ「あぁ…安静にしていれば一ヶ月後には退院できる」

杏「そか、そりゃーよかった」

まほ「…すまなかった」

杏「なんで謝るのさ」

まほ「私のせいで優勝できなかった」

杏「西住ちゃんのせいじゃないよー」

杏「ここまでやってくれたんだ、西住ちゃんには感謝してる」

まほ「…皆には廃校の件は言わないのか」

杏「『突然だけど、私たちが優勝できなかったせいで学園は廃校です!』なんて言えないよ」

まほ「確かにな…」

杏「みんなには責任を感じて欲しくないからさ」

杏「それに、まだ私は諦めてないし」

まほ「…お前は強いな」

杏「そー言えば西住ちゃん」

杏「黒森峰に戻ってこいって言われたんだって?」

まほ「あぁ…」

杏「戻りなよ、黒森峰の子たちは突然西住ちゃんがいなくなっちゃってさみしいんだよ」

杏「みんな待ってるよ、西住ちゃんの帰りを」

まほ「ふふ、戦車道の大会が終わったら私は用済みか」

杏「まー、そーゆーことかな」

まほ「まったく…お前は」

まほ「…お母様にも頼まれたんだ、帰って来てくれって」

杏「お母さんと仲直りしたの?よかったじゃん」

まほ「…私は残りの高校生活、黒森峰のために頑張りたい」

杏「よく言った、転校手続きしてあげよう」

まほ「杏」

まほ「短い間だったが、ありがとう」

まほ「楽しかったよ」

杏「…ぉ」

杏「…私もすごく楽しかった、ありがとう西住ちゃん」


沙織「ええーーーーー!?まぽりん黒森峰に帰っちゃうのぉ!?」

優花里「突然ですぅ!突然すぎますぅ!!」

華「本当に帰ってしまうのですか?」

麻子「さみしいじゃないか」

まほ「一緒に黒森峰に来るか?お前たちならすぐにレギュラーだぞ」

沙織「もうまぽりん!冗談はよしてよぉ」

まほ「ははは、すまん」

まほ「ただ、みほとお母様と約束したんだ」

まほ「残りの高校生活、黒森峰の戦車道のために頑張ると…」

華「それなら仕方ありませんね」

麻子「西住さんなら荒れた黒森峰を再建できるだろう」

優花里「またティーガーに乗る西住殿を見れるなら…しかし西住殿と一緒に戦車に乗れなくなるのは…」

まほ「お前たちと戦車に乗れて本当によかった」

まほ「沙織、華、優花里、麻子」

麻子「本当にありがとう」



ナカジマ「西住さん帰っちゃうのかー」

まほ「学校生活でも戦車道でも、お前たちに救われたよ」

ホシノ「楽しかったよ、私たちも」

スズキ「戦車に乗れたしね」

まほ「ありがとう、大洗は最高だ」


エリカ「みほ、具合はどう」

みほ「大丈夫だよ」

小梅「これ、お見舞いのお菓子」

みほ「ありがとう小梅さん」

エリカ「…隊長が戻って来たわよ」

みほ「え?」

小梅「お姉さんが大洗から黒森峰に転校してきたの」

小梅「そろそろこの病院に来るみたい」

みほ「お姉ちゃん…」

みほ「ねぇ、エリカさんはどうやってお姉ちゃんを倒したの?」

エリカ「え?私が隊長を倒せるわけないでしょ」

みほ「へ?でもお姉ちゃんはエリカさんに負けたって…」

エリカ「あんたを助けた後、隊長のⅣ号と一対一で戦ったのよ」

エリカ「全然倒せなくて…」

エリカ「負けるって思ったときに」

エリカ「Ⅳ号が弾を撃たなくなった」

エリカ「弾切れしたらしいのよ」

小梅「Ⅳ号は試合中、最初から最後まで戦い続けていたからね」

エリカ「そこに迂回してきた小梅や守備隊が集結してきてⅣ号を囲んだの」

エリカ「隊長はそこで降参を選んだわ」

エリカ「もし弾を温存していたら、私は隊長に負けていたはずよ」

みほ「そう…なんだ」

みほ「やっぱりお姉ちゃんには敵わないなぁ」


ガララッ

みほ「お姉ちゃん!」

まほ「みほ」

エリカ「隊長、黒森峰に戻ってきていただいてありがとうございます」

まほ「エリカ、小梅、突然いなくなって迷惑かけた」

まほ「すまない」

小梅「いえいえ、また隊長が戻って来てくれて嬉しいです」

まほ「…隊長は私じゃないだろ」

まほ「みほが決めたんだろ?」

まほ「エリカが隊長で小梅が副隊長って」

みほ「うん、隊長に相応しいのはエリカさん」

みほ「隊長の指示を忠実に従う小梅さんが副隊長に適任かなって」

エリカ「あんた、本当にもう戦車に乗らないの?」

みほ「…うん、私はもう戦車に乗る資格がないから」

みほ「みんなにあんなに迷惑かけて…」

まほ「みほ、お土産だ」

みほ「ん?なに?」

みほ「!?」

みほ「なにこれ!?大洗限定レアボコ!?」

まほ「なんか売ってた」

みほ「ありがとう!!これ知らない!!」

みほ「ありがとうお姉ちゃん!!本当にありがとう!!」

まほ「ふふ、みほの笑う顔久しぶりに見たな」

エリカ「なによ、今までショボくれてたくせにぬいぐるみ一つで元気になっちゃって…」

まほ「お前たちにもお土産だ」

エリカ「あ、ありがとうございます!」

小梅「干し芋…ですか?」

まほ「あぁ、うまいぞ」


西住邸

しほ「帰って来てくれてありがとう、まほ」

まほ「いえ、また私を家族と認めていただいて嬉しい限りです」

しほ「悪いのは私よ、本当にごめんなさい」

まほ「顔を上げてくださいお母様」

しほ「無名校を準優勝まで導いた、あなたの実力は本物ね」

まほ「優秀なのは私ではなく大洗の皆です」

しほ「…聞いた話によると、大洗女子学園は廃校になるらしいわね」

まほ「…はい」

しほ「まほは、あの学校が好きかしら」

まほ「はい、大好きです」

しほ「そう」

しほ「私にできることがあれば、やらせてもらうわ」

まほ「お母様?」


文部科学省

杏「もう一度、もう一度チャンスをください」

廉太「優勝できなければ廃校だと約束したでしょう」

廉太「もう、大洗女子学園の廃校は決定したんです」

杏「そこをなんとか!ウチの生徒は優秀な人間が多いんです!」

廉太「廃校になるからといって、生徒が消えて無くなるわけではない」

廉太「転校先で、その実力を発揮してくれるだろう」

杏「お願いします!廃校だけは!」ガバッ

廉太「こ、こら…」

廉太「学生が大人に土下座なんかするもんじゃない、顔を上げなさい」

杏「お願いします…お願いします…」

「失礼します、お客様がお目見えです」

廉太「あぁ、わかった…」

廉太「とにかく廃校は決定事項だ、君はもう帰りなさい…」

亜美「失礼します」

しほ「…」

七郎「…やぁ辻くん」

廉太「に、西住流家元!?児玉理事長!?」

杏「え…?」

しほ「辻廉太さん、大洗女子学園廃校の件についてお話しに参りました」


杏「かぁしまー!こやまー!」

桃「どうしましたか会長!」

柚子「何かあったんですか?」

杏「文科省がチャンスをくれた!」

桃「へ?」

杏「廃校撤回のチャンスをくれたんだ!」

柚子「ほ、本当ですかぁ!?」

桃「一体どうやって…」

杏「そりゃー私の腕にかかれば?国家公務員相手でもねぇ」

桃「さ…流石会長です!!」

柚子「チャンスって…?」

杏「大学選抜チームに勝つこと!」

桃「…」

柚子「…」

桃「それは…戦車道でってことですか?」

杏「おう」

柚子「大学選抜って黒森峰より強いんじゃ…」

桃「しかも西住は黒森峰にかえっちゃいましたよ!?また呼び戻すんですか!?」

杏「まぁーどーにかなるっしょ、大学選抜との試合も何ヶ月もあとだし」

柚子「えぇ~…」


病院

まほ「着替え、ここに置いておくからな」

みほ「ありがとうお姉ちゃん」

みほ「…そういえば、私の戦車が落ちたとき」

みほ「どうやって助けてくれたの?試合中なのに…」

まほ「ルールが変わったんだ、去年の小梅の件があるからな」

みほ「ルールってそんな急に変えられるもんなの?」

まほ「エリカが頑張ってくれたみたいだ」

みほ「エリカさんが?」

みほ「私が助かったのはエリカさんのおかげってこと?」

まほ「あぁ」

みほ「あのとき…私はエリカさんのこと…邪魔者扱いしていたのに…」

みほ「エリカさんが私を助けてくれたんだ…」

まほ「この先の戦車道、さらに安全になっていくかもな」

みほ「エリカさんにお礼を言いたいんだけど…」

まほ「今エリカは各校の隊長に新隊長就任の挨拶に行っている」

まほ「各校の隊長もルールの変更に協力してくれたみたいでな、そのお礼も兼ねているようだ」

みほ「そうなんだ…じゃあ帰って来てからお礼を言うよ」

まほ「あぁ」

みほ「…お姉ちゃん、大洗はどうだった?」

まほ「楽しかったよ」

まほ「同級生も後輩たちもいい子ばかりだ」

まほ「明るくて優しくて…彼女たちに会えないのは寂しい」

みほ「そんなに楽しかったんだ…」

みほ「お姉ちゃん、変わったよね…良い意味で」

まほ「なんか皆によく言われる」

みほ「お姉ちゃんの笑顔、たくさん見れて嬉しいよ」


まほ「…それに大洗にはアレがあるだろ」

みほ「あれ?」

まほ「みほの好きなヤツ」

みほ「なんかあったっけ…」

まほ「そのぬいぐるみだよ、ボコだっけ?」

まほ「そのキャラのミュージアムが大洗にあるだろ?」

みほ「…」

みほ「…え」

みほ「知らない…」

まほ「大洗にいたとき、沙織たちと行ったんだ」

まほ「あ、沙織たちってのはⅣ号のメンバーで…」

まほ「ちなみにつまらなかったぞ」

まほ「写真も撮って来たぞ、なんかみんな目が死んでるけど」ペラ

みほ「な、生ボコーーーーーーッ!!??」

みほ「大洗にこんなとこあったの!?知らなかった!?」

みほ「中にどんなのがあんの!?ねぇお姉ちゃん!!ボコミュージアムって何があるの!?」

まほ「え、え?なんか…ディズニーランドのパクリみたいなアトラクションとか…」

まほ「着ぐるみのショーとか…」

まほ「あとそのぬいぐるみはそこで買ったものだ」

みほ「大洗行きたい!!ボコミュージアム行きたい!!」

まほ「退院したら行ってみたらいいさ、ボコミュージアムはともかく…大洗は良いところだ」


数日後

エリカ「今日はみほが退院する日ね」

小梅「そうだねー」

エリカ「行くわよ、みほの家に」

小梅「え?」

エリカ「あの子、戦車道やめるとか言ってたけど、黒森峰にはあの子が必要よ!」

小梅「ふふふ、そうだね」



西住邸

まほ「お、エリカ、小梅、どうした」

エリカ「隊長!」

まほ「…だから、隊長はお前だろ」

エリカ「…しかし隊長のことなんて呼んだら良いか…」

まほ「西住先輩とかでいいだろ」

エリカ「に…にし…呼びづらい…」

まほ「別にまぽりんとかでもいいぞ」

エリカ「え?」

まほ「それはそうと、何の用だ?」

小梅「みほさんに会いに来ました」

まほ「みほに戦車道に復帰して欲しくて…!」

まほ「あー…」

まほ「みほなら転校したぞ」

エリカ・小梅「「・・・・・」」

エリカ・小梅「「 は ぁ ! ? 」」


大洗女子学園

先生「転校生を紹介します」

沙織「この時期に転校生…?」

華「別に不思議じゃありませんよ」

先生「黒森峰女学園から転校してきた西住みほさんです」

みほ「に、ににに…西住みほです…よろしくおねがいします…」

沙織「…」

華「…」

沙織「あーーーーーーーーーッ!?」ガタンッ

みほ「ひっ」ビクゥ



休み時間

沙織「まぽりんの妹だよね!?」

みほ「ま、まぽりん!?」

華「戦車喫茶でお会いしましたよね…」

みほ「あ、はい…覚えてます…」

みほ「あのときは失礼な態度とってしまってすみません…」

沙織「…この子、こんなオドオドした性格だったの?」

みほ「いやあの…すみません…」

華「アレじゃないですか?戦車に乗ると性格が豹変するとか」

沙織「戦車喫茶のときは戦車乗ってないじゃん」


生徒会室

桃「会長!!まさか彼女が転校してくるとは…!!」

柚子「しかしこの子は戦車道を引退したと宣言していますが…」

杏「…このチャンスを逃すわけにはいかないねぇ」

桃「またヒールを演じるんですか…?」

杏「演じる?私は根っからの悪者だよー」

杏「西住ちゃん姉のときみたいに…頑張ってもらうよーん」フヒヒ



沙織「なんで大洗に転校してきたの?」

みほ「大洗は良いところだとお姉ちゃんが言っていたので…あとボコミュージアムが」

華「大洗でも戦車道を?」

みほ「戦車道はやりません…私に戦車に乗る資格ないですから…」

沙織「えー?私たちの戦車、車長がいなくて困ってるんだけど…」

みほ「すみません…」

スタスタスタ

桃「…」

柚子「…」

杏「…」モグモグ

「会長…?」

「なんで生徒会が…」

杏「やぁ!西住ちゃあん」

みほ「えっ…」

沙織「生徒会長、それに副会長と広報の人」

桃「少々話がある」

みほ「なんですか…」



杏「必修選択科目なんだけどさぁ…戦車道とってね、ヨロシク」



おわり





エリカ「まったーーーーーーーー!!!」

♪パンツァーリート

みほ「エリカさん!?」

エリカ「大洗女子学園、逸見エリカ!」

小梅「同じく赤星小梅!」

エリカ「以下18名、試合に参戦する!」

エリカ「短期転校の手続きは済ませてきた、戦車道連盟の許可も取り付けてある!」


ティーガー車内

通信手「また大洗のメンバーと一緒に戦えてよかったですね、隊長」

まほ「だから隊長はエリカだろ、混乱するからやめろ」

通信手「えー?じゃあなんて呼べば…」

まほ「まぽりんでいい」

通信手「じゃーまぽりんセンパイ」

装填手「えぇ…本当にそう呼ぶんですか…」

砲手「わたくしは西住先輩と呼ばせていただきます…」

操縦手「西住さんでいいか」

まほ「…お前たち」

通信手「ん?」

まほ「茨城に生き別れの姉妹とかいないか?」

4人「「「「 え ? 」」」」




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