城ヶ崎莉嘉「お姉ちゃんが見てないっ!」 (174)



※設定は一応アニメ基準

※キャラ崩壊

※誤字脱字

※若干の百合描写

※ありきたりなネタ



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474897072



城ヶ崎美嘉「ふぁ……」

莉嘉「あれー? お姉ちゃん、寝不足ー?」

美嘉「うーん……。ちょっと昨日は寝るの遅かったから……」

莉嘉「そういえば、ずっとなんか観てたね」

莉嘉「でも夜ふかしはお肌に悪いよー? アイドルとして、そんなことでいいのー?」

美嘉「なーに生意気なこと言ってんのよ」

美嘉「大体、誰のせいだと思って――」



莉嘉「その点、アタシはバッチリ寝たからね! 今日も元気いっぱいだよー☆」

莉嘉「今日のダンスレッスン、お姉ちゃんよりうまくできるかもねー!」

美嘉「莉嘉はむしろ寝すぎでしょーが」

美嘉「今朝だって、アタシが起こしてあげなかったら寝坊確実だったくせに」

莉嘉「そ、そんなことないよ!」

美嘉「それにダンスだって――アンタ、まだ細かいとこ、テキトーにやる癖が抜けてないでしょ?」

美嘉「この前のステージも――」

莉嘉「い、いちいち言われなくたって分かってるもんっ!」



美嘉「ほら、タイも曲がってるし! だらしないよー」グイッ

莉嘉「こ、これは着崩し! こういうファッションなのー!」

美嘉「アンタのそれは、今朝、慌てて着替えたからでしょうが……」

美嘉「それに着崩すのと着崩れるのは違うの。その辺、莉嘉はもうちょっと勉強が必要だね」

莉嘉「むぅ……! もう、ちょっとは褒めてよー!」



莉嘉「あ、ファッションと言えば! ねぇねぇ、お姉ちゃん!」

美嘉「んー?」

莉嘉「今度の雑誌の撮影、私服で撮るんだって!」

莉嘉「だから、アタシの考えたコーデを――」



赤城みりあ「あっ! 莉嘉ちゃんと美嘉ちゃんだっ!」

みりあ「おはよー!」



莉嘉「あ、みりあちゃん! おは――」

美嘉「みみみみ、みりあちゃんっ!!」ダッ



美嘉「おおお、おはよう!! きょ、今日もカワイイね★」

美嘉「あっ! その服、とっても似合ってるよ!!」ハァハァ

みりあ「えへへ♪ ありがとー!」

みりあ「でもちょっと、子供っぽくないかな?」

美嘉「そそそ、そんなことないよ!!」

美嘉「みりあちゃんの可愛さをバッチリ引き出してるよ! アタシが保証するって!!!」ハァハァ!!

みりあ「ホントー!?」



みりあ「でもね、もうちょっと大人っぽい服も着てみたいんだー」

美嘉「だったら、今度アタシがコーディネートしてあげるよっ!」

美嘉「だから、今度一緒にまた――」

みりあ「――――!! ――♪」



莉嘉「むぅ……」




みりあ「あ、そういえば、プロデューサーに呼ばれてたんだった!」

美嘉「あ、そ、そうなんだ……」

みりあ「うん! 美嘉ちゃん、今日も頑張ろうね!」

みりあ「莉嘉ちゃん、あとでレッスンでね!」

スタスタ


美嘉「あぁ……! カワイイなぁ……みりあちゃん……!」ウットリ

美嘉「ふひひ……★」

美嘉「――あ、それで莉嘉、なんの話だっけ……?」

莉嘉「…………なんでもない」

美嘉「へ?」

莉嘉「なんでもないもん!!」プイッ



莉嘉(なにさ! お姉ちゃん、みりあちゃんにデレデレしちゃって……)

莉嘉(確かにみりあちゃんはカワイイけど……。でも、もうちょっと、アタシのこと見てくれてもいいじゃん!)

莉嘉(妹そっちのけでイチャイチャしちゃってさ……)

莉嘉(むぅ……! なんでアタシが、こんなモヤモヤした気持ちにならなくちゃいけないんだろ……)

莉嘉(それもこれも全部、お姉ちゃんが悪いんだ……!)



莉嘉(いいもん! お姉ちゃんがその気なら……)

莉嘉(アタシだって……)

莉嘉(アタシだって――!!)



莉嘉「というわけで」

莉嘉「協力して、未央ちゃん!!」

本田未央「と、唐突だね……、莉嘉ちー……」



莉嘉「お願い! アタシのこの作戦には、未央ちゃんの協力が必要不可欠なの!」

未央「えっと……、話が見えないんだけど……」

未央「作戦って……?」

莉嘉「決まってるじゃん!」

莉嘉「お姉ちゃんにふくしゅーするの!」

未央「ふ、復讐っ!?」



莉嘉「そう!」

莉嘉「いっつもみりあちゃんばっかり可愛がって、全然アタシのこと見てくれないお姉ちゃんへのふくしゅー!」

莉嘉「アタシがお姉ちゃんにされたように――お姉ちゃんの前で、アタシと未央ちゃんがイチャイチャするの!」

莉嘉「そんな、ちょーラブラブな姿をこれでもかって見せつけて――」

莉嘉「それでお姉ちゃんに、アタシの気持ちを思い知らせてやるんだから!」

未央「い、イチャイチャって……」

莉嘉「だからお願い未央ちゃん! お姉ちゃんにふくしゅーするために、アタシのお姉ちゃんになってよ!」

未央「な、なるほど……」

未央(つまり、最近、自分に構ってくれない美嘉ねぇへの当て付け、意趣返しがしたいと……)



未央「は、話は分かったけどさ……」

未央「でも、なんで私なのかな?」

未央「ほ、ほら! お姉ちゃん役なら、シンデレラプロジェクトで、他にもっと適任がいるんじゃない?」

未央「例えば、同じ凸レーションのきらりんとか……」

莉嘉「うーん……」



莉嘉「確かに、きらりちゃん、年上だけど……」

莉嘉「でもきらりちゃんは、どっちかって言うと、『お姉ちゃん』っていうより、『お母さん』ってカンジだし……」

未央「……確かに、杏ちゃんとかへの対応は母性に溢れてるけども……」

未央「じゃ、じゃあ、シンデレラプロジェクトの頼れるリーダー、新田のみなみんなら――」

莉嘉「美波ちゃんは、お姉ちゃんっていうより、お姉さんってカンジだし……」

莉嘉「それに、お姉さんの前に、"大人の"って付くカンジだし……」

未央「ううむ……、否定できない……」

莉嘉「でしょー?」



莉嘉「だからやっぱり、未央ちゃんしか適任はいないんだよ!」

莉嘉「それに未央ちゃんって、三人兄弟の真ん中なんでしょー?」

莉嘉「なら、お姉ちゃんキャラはもちろん、妹キャラとして、アタシの気持ちも分かってくれるかなって!」

未央「って言っても、ウチは男兄弟だけどね……」

莉嘉「お願いー! 未央ちゃーん!」ウルウル

未央「う、ううむ……」



未央(まあ、莉嘉ちー、お姉ちゃん子だしねぇ……)

未央(そんな大好きなお姉ちゃんが、いくらみりあちゃんとか、仲良し相手とはいえ――他の子ばっかに構ってたら、面白くないって思っちゃうか)

未央(……確かにその気持ちは分かるし、ここは一つ――)

未央「よーし……、相分かった……!」

未央「いいよ! この未央ちゃん、カワイイ莉嘉ちーのために一肌脱ごうじゃありませんかっ!」

莉嘉「ホントー!?」

未央「うんうん! お姉ちゃんだろうがなんだろうが、バッチ来いだよ!」

莉嘉「わぁーい! 未央ちゃん大好きー!」ダキッ

未央「ほほほ……! 愛いやつ愛いやつ……」ナデリナデリ


――――――
――――
――




「お姉ちゃーん!」



美嘉「んー?」

美嘉「あれ、莉嘉に未央? どうしたの? 二人して……」

莉嘉「えへへ~♪ 未央ちゃん、大好きー!」スリスリ

未央「うんうん! 私も大好きだぞー! 莉嘉ちー!」ナデナデ

美嘉「えーと……」



莉嘉「どう!? お姉ちゃん!」ドヤッ

美嘉「へ……?」キョトン

莉嘉「アタシと未央ちゃんは、ちょーラブラブのそーしそーあいなんだよ!!」

美嘉「う、うん。そうなんだ……?」

莉嘉「これからだって、いっぱいイチャイチャしちゃうんだからね!」

莉嘉「だから今日は、お姉ちゃんと一緒に帰ってあげませーん!!」

美嘉「は、はぁ……?」



莉嘉「ふふふっ……! どう? くやし――」

美嘉「良かったね、莉嘉。未央に遊んでもらってるんだ」

莉嘉「へ……?」

美嘉「未央、ありがとね。莉嘉の相手してくれて」

美嘉「なんか迷惑とかかけてない?」

未央「迷惑だなんて! カワイイ妹ができたみたいで、私も楽しいよ!」

美嘉「そっかそっか★」

美嘉「ああでも、なんかやらかしたら、遠慮なく叱ってくれていいからね?」

莉嘉「あ、あの、えっと――」

美嘉「莉嘉も、未央が優しいからって、あんまワガママ言っちゃダメだよ?」



美嘉「じゃあアタシ、先帰るけど……。アンタもあんまり遅くならないようにね?」

莉嘉「おねえ――」

美嘉「未央、妹のことよろしくね」

未央「うん! 任せてよ!」

美嘉「それじゃ、お疲れさまー★」スタスタ

莉嘉「なっ……!」



――――――
――――
――


莉嘉「お姉ちゃんのバカー!!」

莉嘉「なんなの!? あの涼しい顔……!!」

莉嘉「アタシたちのイチャイチャにも、ちょー無関心だったし!」

未央「まあまあ、莉嘉ちー」

未央「さすがに、さっきの一回だけ仲良くしてるとこ見せたって、美嘉ねぇもヤキモチなんて焼かないって」

未央「ほらほら! 悔しがってるヒマがあったら、もっと美嘉ねぇがジェラシーしちゃうようなプランを考えようよ!」

莉嘉「そ、そうだね! さすが未央ちゃん! そうこなくっちゃ!」

莉嘉「よぉーし……! 見ててね、お姉ちゃん!」

莉嘉「あんな風に澄ましていられるのも今のうちなんだから……!」



――翌日――


――346カフェ――


莉嘉「そんなわけで、お姉ちゃんへのふくしゅー大作戦、開始っ☆」

莉嘉「お姉ちゃんの前で、アタシと未央ちゃんが仲良くお茶してるとこを見せて、『ぐぬぬー!』って顔にしてあげるんだから!」

莉嘉「いくよ! 未央ちゃんっ!」

未央「おー!」



莉嘉「じゃあ早速、お姉ちゃんに見える位置に座って――」

莉嘉「って、アレ?」



みりあ「あ、新作のケーキだって! おいしそー!」

美嘉「おっ、ホントだー★」



莉嘉「んなー!? またみりあちゃんと一緒にいるー!!」

莉嘉「ぐぬぬ……!」

未央「ま、まあまあ……」

未央「ほら、まずは私たちも何か頼もうよ」

莉嘉「あっ! そうだね!」

莉嘉(ふん! いいもんね!)

莉嘉(お姉ちゃんとみりあちゃんより、アタシと未央ちゃんのほうがいっぱいラブラブしてやるんだからっ!!)



莉嘉「えーと、これがいいかなー? でも、こっちもおいしそー……」

莉嘉「あっ、これも食べてみたいって思ってたし……」ウーン

莉嘉「どうしよー……」

未央「んー? どれどれー?」ズイッ

莉嘉「わぁ……!」

莉嘉(み、未央ちゃん、近い……!)

莉嘉(あ、でも、この距離感! 仲良しカップルっぽくていいかも……♪)

未央「なるほどー」

未央「じゃあ、私、これ頼むからさ。莉嘉ちーは、もう一個、好きなの頼みなよ」

未央「それでそれぞれ、半分こにしない?」

莉嘉「えっ、いいの?」

未央「うん。私もそれ、食べてみたいって思ってたし」

莉嘉「わぁ! ありがとー♪」



莉嘉(やった! 未央ちゃん優しー☆)

莉嘉(それに二人で半分こって、すっごくラブラブ同士ってカンジだよね!)

莉嘉(どう? お姉ちゃん。謝るなら今のうちだぞ――)チラッ



美嘉「どう? みりあちゃん、決まった?」

みりあ「あ、あの、もうちょっと考えたいかな……」

みりあ「うーん、これかな……。あ、でも、これもおいしそう……」ウーン

みりあ「ごめんね、美嘉ちゃん。先に頼んでいいよ?」

美嘉「ふむふむ。なるほど」



美嘉「すいませーん、菜々ちゃん、注文いいですかー」

安部菜々「はいはーい! お伺いします!」

美嘉「みりあちゃん、どれとどれで迷ってるんだっけ?」

みりあ「え? うん、これと、これと……」

美嘉「そっか! オッケー★」

美嘉「じゃあ菜々ちゃん。メニューの、ここからここまで、持ってきてくれる?」

みりあ「へ?」



莉嘉「えっ!?」



みりあ「み、美嘉ちゃん……? あの……」

美嘉「ああ、気にしないで? 全部アタシがご馳走してあげるから★」

みりあ「ええー!? そんなの悪いよー!」

美嘉「気にしない気にしない! こういうときこそおねーさんに甘えてよ★」

みりあ「で、でも……!」

みりあ「そ、それにほら、こんなには食べられないし……、残しちゃったら勿体ないし……」

美嘉「ダイジョウブダイジョウブ! 残したのは全部アタシが食べるから!」

みりあ「美嘉ちゃん、これ全部、食べきれるの……?」

美嘉「心配しないで。ほら、よく言うでしょー? 甘いものは別腹って」

美嘉「それにアタシ、こう見えて結構マジメだからね! (みりあちゃんが食べ残した)食べ物を残すなんてこと、真っ当な真人間としてできるわけないじゃん!」

みりあ「そ、そっかぁ……! すごいねー、美嘉ちゃん!」

菜々「やっぱり若いですねぇ……。ナナなんかは最近、甘すぎると胃が……」



莉嘉「な、なぁ……!」ワナワナ




莉嘉(なにそれ!? お姉ちゃん、アタシには我慢しろとか言うくせに!!)

莉嘉「ぐぬぬ……!」ギリギリ

未央「さ、さすがカリスマギャル。太っ腹だねぇ……」

莉嘉「――ふん! いいもんね。まだ全然、負けたわけじゃないんだから!」

「お待たせしましたー」

莉嘉「あ! 来たよ未央ちゃん! あんなの気にしないで食べようよ!」

未央「あはは……。そうだね」



未央「おー、どっちも美味しそうだね!」

莉嘉「カリスマJCのセレクトだもん! とーぜんだよ!」

未央「じゃあ、莉嘉ちー。はい、あーん」

莉嘉「へ!? あ、あーん!?」

未央「ホラホラー? ラブラブするんでしょー?」

未央「こんなんで恥ずかしがってちゃダメだぞー?」

莉嘉「そ、そうだね! うん!」

莉嘉「あーん……」パクッ

莉嘉「うーん! おいしー♪」



莉嘉「じゃあ、お返し! 未央ちゃんも、あーん☆」

未央「あーん……」パクッ

未央「うーん! カワイイ莉嘉ちーに食べさせてもらうと、美味しさ倍増ですなー♪」

莉嘉「えへへ♪ そうでしょー☆」

莉嘉(さっすが未央ちゃん! ラブラブのしかた、よく分かってるー!)

莉嘉(どうどう? お姉ちゃん。カワイイ妹が、自分以外とちょー仲良くしてる光景は――)



美嘉「はい、みりあちゃん!」

美嘉「あーん……!!」ハァハァ

みりあ「あーん」パクッ

みりあ「うん! おいしいね!」パァァアアア

美嘉「あはぁ……」トローン



美嘉「じゃ、じゃあ、今度はこっちね! あーん!」

みりあ「あ、あーん……」パクッ

美嘉「どうどう? みりあちゃんっ!?」

みりあ「うん! これも甘くって好きだよー!」パァァアアア

美嘉「おほぉ……!」デレェ

美嘉「じゃ、じゃあ、今度は――」

みりあ「み、美嘉ちゃん!」

みりあ「さっきから、私ばっかり食べさせてもらってて、悪いよ」

みりあ「ほら、美嘉ちゃんも食べて?」

美嘉「うん? そう?」

美嘉「じゃあ……」パクッ

美嘉「うーん! ホントにおいひいねー!」チュパチュパ

みりあ「美嘉ちゃん、それスプーンだよー?」

美嘉「ふひ★ ふひひひひ……★」トローン



莉嘉「な、なぁ……!」



莉嘉(なに!? あの甘やかしっぷりっ!!)

莉嘉(いっつもアタシのことは叱ってばっかなのにっ!!)

莉嘉「がるるるるる…………!!!」

未央「うーむ……」

未央「なんか美嘉ねぇから、仲良しって言葉で言い表せない、アブナイ香りが漂ってる気が……」



みりあ「ほら! これとか、クリームがすっごくおいしいんだよ!」

みりあ「美嘉ちゃんも食べてみて!」

みりあ「はい! あーん!!」

美嘉「みみみみ、みりあちゃんからの『あーん』……!!!」ハァハァハァハァ!!

美嘉「ああああへへぇぇ――」デレェェ


ベチャ


みりあ「あっ……!」



みりあ「ご、ごめんね!? ほっぺに付いちゃった!」ワタワタ

美嘉「あー、あはは、気にしないで★ ちゃんと口開けてないアタシが悪いんだし」

みりあ「ホントごめんね。今、拭くから……」

美嘉「大丈夫だよ。これくらい――」

みりあ「…………」

ヒョイ

パクッ

美嘉「!?★!!☆?!!★??」



美嘉「み、みりあ……ちゃん……?」

美嘉「い、いま……なにを……」

みりあ「あ、ご、ごめんね!?」

みりあ「このクリーム、すっごくおいしいから……。だから、拭いちゃうの、ちょっと勿体なくて……」

みりあ「でもやっぱり、お行儀悪いよね……。えへへ……」

美嘉(おっほぉぉぉおおおお!!)「うんうん! 気持ちは分かるよー★」



莉嘉「……なん……だと……」ワナワナ



未央「確かにあの二人、ホント仲がいいねぇ」

未央「こりゃ、莉嘉ちーがヤキモチ焼いちゃうのも当然かも――」


ベチャ


未央「って、あ……!」

未央「あちゃー、服にクリーム落ちちゃった……」

莉嘉「だ、大丈夫っ?」

未央「まあ制服じゃなくてブラウス部分だし。胸元、開けてたのが幸いしたかな」

莉嘉「そっか、なら良かっ――」

莉嘉「………………」



莉嘉(……ちょっと待って)

莉嘉(未央ちゃんの胸元に落ちたクリーム……)

莉嘉(お姉ちゃんとみりあちゃんのあのラブラブっぷり)

莉嘉(加えて、みりあちゃんが繰り出した、ほっぺのクリームを『ヒョイからのパクッ』)

莉嘉(お姉ちゃんを見返すために、アタシは――いや、アタシたちは、あれ以上のラブラブっぷりを見せつけなきゃならない……)

莉嘉(だったら、このじょーきょーで、アタシが取るべき選択は――!!)


未央「ねぇねぇ、莉嘉ちー! 胸元のクリームって、ちょっと色っぽくないかな?」

未央「なーんて――」


ガシッ!!


未央「へ? 莉嘉ちー――」

莉嘉「大丈夫だよ、未央ちゃん」

莉嘉「アタシたち、ちょーラブラブのそーしそーあいだもん」

莉嘉「だから、ここはアタシが――」

莉嘉「アタシが綺麗にしてあげるっ!!」ガバッ

未央「ちょっ!?」


ペロペロペロペロペロペロッ!!


未央「ひゃぁ!?」



未央「ちょ、ちょっと莉嘉ちー! 落ち着い――ひゃん!!」

莉嘉(お姉ちゃんに対抗するためは、あれ以上にラブラブしなきゃならない!)ペロペロペロ

莉嘉(だったらこっちは直接、口で舐めとっちゃうもんねっ!!)ペロペロペロ

未央「もう取れた! クリームとれ――」バチンッ

未央「って、待って莉嘉ちー! ホック! ホック外れたから――んんっ!!」ビクッ



未央「……ぜぇー……はぁー……!」

莉嘉(ふぅ……! どうよ、お姉ちゃん!)

莉嘉(この、所構わず路チューするバカップルもびっくりのいちゃつきっぷり!!)

莉嘉(これだけやれば、さすがに少しは――)



みりあ「うーん……」

美嘉「どうしたの、みりあちゃん? まだ何か頼みたいものある?」

みりあ「へっ!? あ、あのね……」

美嘉「もう、アタシたち、お姉さん同士でしょ? 遠慮はなしだよ★」

みりあ「う、うん。あのね……」



みりあ「メニューのこれ……、この一つのドリンクを、二人で一緒にストローで飲むっていうの……」

みりあ「これ、やってみたいなぁって……」

美嘉「え……、ええっ!?」

みりあ「えへへ……。この前観たドラマでそういうシーンがあってね。ちょっといいなって思ったの」

みりあ「でも、一人じゃできないし……。だからって女の子同士でやるのは、変だって言われそうで……」



みりあ「だから――」

美嘉「バトラー」パチンッ

美嘉「この『ハート型ストロー付き ラブラブカップルジュース』、よく冷やして持ってきて。カップサイズマシマシで」

菜々「ナナはバトラーじゃなくてメイドですけど……」

菜々「でもかしこまりました!」

菜々「いやー、これを頼んだの、美嘉ちゃんたちが初めてですね。元々、ナナが冗談で考えたメニューだったんですけど――」



未央「うーむ……。美嘉ねぇのデレっぷりもだけど、みりあちゃんの魅力っていうか、魔性っぷりの結構なもんだねぇ」

未央「こりゃ、将来大きくなったら――いや、今現在もう既に、無意識に周りの男子たちとかを魅了したり、勘違いさせまくってるのかも……」

未央「みりあちゃん……、末恐ろしい子だよ……!」ウンウン

「お待たせしましたー」コト

未央「ん? 莉嘉ちー、なんか注文したの?」

未央「アイスと、コーヒー?」

莉嘉「――うん」

莉嘉「未央ちゃん。さっきのお詫びに、アイス食べていいよ」

未央「そう? なんか悪いねー」

未央「じゃあ、お言葉に甘えて……」パクッ

未央「うん。おいし――」


菜々「み、未央ちゃん!?」

菜々「そ、"それ"、注文したんですか……!?」


未央「へ?」



未央「このアイスとコーヒーが、どうかしたの?」

菜々「そ、それ……、メニューとしては、『コーヒーフロート』なんです……」

未央「コーヒーフロート? ああ、あのコーヒーにアイスが乗ってるやつね」

未央「なるほど。これってじゃあ、本来、別々に食べちゃダメだったんだ」

菜々「ええ……、だからそれ……、本来は、合わせていただくものなんです……」

菜々「カップル同士で……」

未央「へ?」

莉嘉「…………」ガシッ

未央「へ? へ? 莉嘉ちー……?」



菜々「酔った川島さんと早苗さんが、冗談で考えたメニューだったんですけど……」

未央「ちょ、ちょっと莉嘉ちー……?」

未央「な、なんでコーヒーを口に含んでるのかな……?」

未央「それで……、なんで顔を寄せてくるのかな……!?」

未央「ま、待とうよ……! ほ、ほら! 美嘉ねぇに対抗したいなら、私たちもおんなじやつ頼めばいいじゃん!」

未央「さ、さすがにこれは……」

未央「あ、ちょ、ち、近いよ莉嘉ちー! ちょっと近すぎるよ!?」

未央「お願い待って! 話せばわか――」


ジュルルルルルルル…………!!!!

ンンーーーー!!!


菜々「いやぁ、若いですねぇ……」シミジミ



フフフ! コレクライヤレバ、オネエチャンモ……

ッテアレ? ミオチャン?

ドウシタノー!? シッカリシテー!!


みりあ「えへへー♪ 最初は恥ずかしかったけど、でも、実際にやってみると結構楽しいねー!」チュー

みりあ「……って、美嘉ちゃん? どうしたの?」

美嘉「――ん? ああ、いや、なんでもないよ」ツヤツヤ

美嘉「ただちょっと、世界平和について考えてたんだ……」ツヤツヤ

みりあ「世界平和……?」

美嘉「世界はこんなに美しいのに……、なぜ、醜い争いはなくならないのか――」ツヤツヤ

美嘉「どうして、人は分かり合えないんだろうね……」ツヤツヤ

みりあ「んー?」チュー



――――――
――――
――


――ステージ撮影後 凸レーション控室――


ガチャ


未央「みんなー、お疲れさまー!」

諸星きらり「あ、未央ちゃん! おっすおっす☆」

莉嘉「わぁ! 未央ちゃん、来てくれたんだ―!」

未央「ニュージェネも別スタジオでお仕事あったからね」

未央「帰りに寄ってみたんだ」



莉嘉「えへへ! 今日のアタシのダンス、ちょーセクシーだったんだよ!」

莉嘉「カメラマンさんもお客さんもメロメロだったんだから!」

未央「莉嘉ちーは、凸レーションのセクシー担当だもんね!」

莉嘉「ふふん! もっちろんだよー!」

きらり「なんだか最近、未央ちゃんと莉嘉ちゃん、今まで以上に仲良しだよね?」

莉嘉「今、未央ちゃんはアタシのお姉ちゃんだからね!」

莉嘉「アタシたち、ちょーラブラブのそーしそーあいなんだからっ!」

きらり「にょわ~、そうなんだ☆」

きらり「二人でラブラブで、ハピハピなんだねっ!」



未央「あれ、そういえば、みりあちゃんは?」

きらり「みりあちゃんなら、お手洗いに行ってくるって――」

ガチャ

みりあ「戻ったよー!」

きらり「お、噂をすればっ!」

莉嘉「おかえり、みりあちゃ――」



美嘉「みんなお疲れー★」

美嘉「あれ、未央も来てたんだ。お疲れ!」



莉嘉「お、お姉ちゃんっ!?」



みりあ「そこの廊下で一緒になったの」

みりあ「美嘉ちゃん、さっきの撮影、見ててくれたんだって!」

美嘉「アタシのほうの仕事が早く終わったからねー」

美嘉「みんなのステージ風景も見ておきたいと思ってさ」

莉嘉「そ、そっか……」

未央「……ふむ」



未央「それで、美嘉ねぇ?」

未央「今日のみんなの頑張りについて、先輩からのお言葉がいただきたいですなぁ~?」

莉嘉「――!!」

美嘉「んー? そうだねぇ……」

美嘉「みんな、着実に歌もダンスもうまくなってると思うよ」

美嘉「きらりちゃんの、さりげないメンバーへのフォローは、すっごくいいと思うし――」

きらり「うぇへへ……。きょーしゅくでありますっ!」ビシッ

美嘉「みりあちゃんの目いっぱい楽しんでお仕事してる姿は、とっても魅力的だしね」

みりあ「えへへっ! ありがとー!」



美嘉「まあ、強いて言えば、もうちょっと周りを見るようにして、ダンスに連帯感が出るといいのかな」

美嘉「特に莉嘉? アンタ、自分だけどんどんテンポ上げて、みんなとズレてるとことか、まだちょっとあるからね?」

美嘉「そういうところ、今はまだ若いからって許されてるかもだけど、クセになったら直すの大変だよ?」

莉嘉「むぅ……」

美嘉「だから――」

未央「み、美嘉ねぇ! でも、莉嘉ちーのトークとかさ、いつも会場を盛り上げてるじゃんっ!?」

美嘉「え? ああうん、まあ――」



莉嘉「――いいもん!」プイッ




莉嘉「お姉ちゃんなんかに何言われたってカンケーないしっ!」

莉嘉「その分、いっぱい未央ちゃんが褒めてくれるもんねっ!」ダキッ

未央「り、莉嘉ちー……」

莉嘉「えへへ……! 未央ちゃん大好き!」ギュッ

みりあ「莉嘉ちゃん、未央ちゃんと仲良しだねー!」

莉嘉「そのとーりっ! アタシと未央ちゃんはそーしそーあいだもんっ!」

莉嘉「お姉ちゃんなんかに負けないんだからっ!」



みりあ「負けない……? 莉嘉ちゃんと美嘉ちゃん、勝負してるの?」

美嘉「え? いや、そんなことは――」

莉嘉「そうだよっ! お姉ちゃんなんか、アタシと未央ちゃんがコテンパンにしちゃうんだからっ!」

未央「ちょ、ちょっと、莉嘉ち――」

みりあ「そっかー! そうなんだ!」

みりあ「じゃあ、莉嘉ちゃんには未央ちゃんがいるから、みりあ、美嘉ちゃんに味方してあげるねっ!」ギュッ

美嘉「!?」

莉嘉「!?」



美嘉「みみみみ、みりあちゃん!?!?!?」

みりあ「美嘉ちゃん一人じゃ寂しいでしょー?」

みりあ「だから、みりあが協力してあげるよー!」

美嘉「い、いやぁ、別にアタシと莉嘉は――」

莉嘉「じょ、じょうとーだよ!」

莉嘉「アタシと未央ちゃんと、お姉ちゃんとみりあちゃん――」

莉嘉「どっちがよりラブラブか、この場で白黒――白星黒星つけよーじゃん!」

みりあ「わーい! ラブラブばとるだねー! 負けないよー!」

莉嘉「きらりちゃん! ジャッジよろしくっ!」

きらり「にょわ!?」



美嘉「こ、コラ! きらりちゃんまで巻き込むな!」

美嘉「未央からもなんか言ってやって!」

未央「……あはは、ごめんね、美嘉ねぇ」

未央「でも、私は今、莉嘉ちーのお姉ちゃんで、莉嘉ちーの味方だから――」

未央「よーしよーし、莉嘉ちー!」ナデナデ

未央「莉嘉ちーは可愛いなぁ」ナデナデ

莉嘉「えへへへ……♪」スリスリ

みりあ「わぁ! 二人とも仲良しさんだぁ……!」

みりあ「私たちも負けないよー!」

美嘉「ちょ、ちょっと、みりあちゃ――」

みりあ「みーかちゃん!」


みりあ「大好きっ!」ニコッ


美嘉「お、おほぉ……!」ビクン



みりあ「えへへー♪ 美嘉ちゃーん!」スリスリ

美嘉「おっ……おほぉっ……!!」

みりあ「美嘉ちゃん……、いい匂いするね! さすがカリスマギャルっ!」スンスン

美嘉「え、ええ!? そ、そうかな……///」


莉嘉(へ、へぇ……! ちょっとはできるみたいだね!)

莉嘉(でも、それくらいのこと、アタシの未央ちゃんだって――)クンクン

莉嘉「未央ちゃん! なんか美味しそうな匂いするね!」

莉嘉「フライドチキン食べたでしょっ!」

未央「やめて莉嘉ちー! 恥ずかしいからっ!!」



みりあ「じゃあ美嘉ちゃん! ちょっとしゃがんでくれる?」

美嘉「へ? こ、こう……?」スチャッ

みりあ「うん! じゃあ、美嘉ちゃん――」


みりあ「よーしよーし……」ナデナデ


美嘉「んほぉ!? み、みりあちゃん……!?」



みりあ「美嘉ちゃん、いつも私たちのこと、頑張ってるって褒めてくれるけど――」

みりあ「でも、美嘉ちゃんだっていっぱい頑張ってるの、知ってるから……」

みりあ「だから、いつものお礼に、みりあがよしよしってしてあげる!」ナデナデ

みりあ「よしよーし……。えらいぞー、美嘉ちゃん……!」ナデナデ

美嘉「ん、んへぇ……」トローン


莉嘉(み、みりあちゃん……! なんて恐ろしい技を……!)

莉嘉(でも、ナデナデくらいなら、コッチだって……)

莉嘉(――いや、待って)

莉嘉(ここで、アタシが未央ちゃんの頭を撫でたところで、それは所詮、みりあちゃんの後追い……、二番煎じに過ぎない……!)

莉嘉(後手に回った時点で……、何をしても、アタシたちの不利は揺るがしがたい事実……!)

莉嘉(だったら、この戦況を覆すには――)



莉嘉(覆すには……)

未央「……?」


莉嘉(――その常識を、覆すっ!!)モミモミッ!!


未央「ひゃあ!? 莉嘉ちー!?」

莉嘉「未央ちゃん! アタシも未央ちゃんを褒めてあげるよ!!」モミモミ

未央「そ、それは嬉しいけど……、なんで胸を揉んで――んっ!」ビクッ

莉嘉「未央ちゃん! よくここまで育ったね!」ナデナデ

未央「!?」

莉嘉「おっきくて、柔らかくて、ハリがあって……!」プルンプルン

莉嘉「よーしよし、えらいぞー! 未央ちゃんの胸、えらいぞー!!」モミモミナデナデ

未央「ん……! ひゃんっ……!!」ビクンビクン



莉嘉「さあ、きらりちゃん! 判定はっ!?」モミモミ

きらり「ええぇっ!?」

きらり「あの、えっと……」


美嘉「あ、あひぃぃぃいい……」トローン

未央「んっ……、うぅん……! あんっ……!」ビクンビクン


きらり「ど、どっちも、どっちかなぁ……」

莉嘉「くっ……!」

莉嘉(引き分けか……!)

莉嘉(でもいいよ! むしろそうでなくちゃ、張り合いがないもんねっ!!)



みりあ「そうだ!」

みりあ「いっつも頑張ってる美嘉ちゃんに、今度はマッサージしてあげる!」

美嘉「えっ、あ、あの……」

みりあ「ほら、座って?」スチャ

みりあ「もみもみ~♪」モミモミ

みりあ「どう? 気持ちいい~?」モミモミ

美嘉「ああ……、みみみみみりあちゃんの……ちっちゃい手が……!!!」

美嘉「ふ、ふひひひぃぃ……★」デレェェ



莉嘉「あ、アタシだってそれぐらいできるよっ!」モミモミッ!!

未央「きゃんっ!? こ、今度はお尻!?」ビクッ

莉嘉「お尻だって結構こるんだからっ!」モミモミッ!!

莉嘉「未央ちゃんはお尻もおっきいから、よくほぐさないとねっ!!」モミモミモミッ!!!

未央「き、気持ちは……嬉しいけど……」

未央「し、下着がずれて……食い込んで――あっ!///」ビクンッ



みりあ「そういえば、テレビで観たんだけど……」

みりあ「確か、この辺にあるツボを押すのがいいんだってっ!」

みりあ「えいっ!」ギュムッ

美嘉「あひっ!!」ビクンッ

みりあ「どう? 気持ちいいかな?」

美嘉「み、みりあちゃぁん……」トローン

みりあ「美嘉ちゃん、顔が赤くなってる?」

みりあ「そっか! けっこーが良くなってる証拠だねっ!」


莉嘉(つ、ツボ……!? つ、ツボは……)

莉嘉(うぅ、ダメだ……。アタシじゃ分かんない……)

莉嘉(……ううん!)

莉嘉(――それでも、まだ諦める時じゃないよね……!)

莉嘉(これはお姉ちゃんと、アタシとの全身全霊をかけた戦いなんだ)

莉嘉(ここでお姉ちゃんを討ち果たし、姉より優れた妹だっているって、証明してやるんだ!)

莉嘉(だったらアタシは、全力で、これまで経験した全部を全部――全てを統べて、立ち向かわなきゃっ!!)



莉嘉(そう、思い出すの、城ヶ崎莉嘉……!)

莉嘉(確か――人体において重要な器官は、その正中線に集中しているはず! そう、有香ちゃんも言っていた……!)

莉嘉(正中線……、身体の真ん中……!)


未央「り、りきゃちー……」ピクンピクン


莉嘉(見極めろ、アタシ……! 未央ちゃんの重要器官……!)

莉嘉(頭……? じゃないっ!)

莉嘉(胸……? 違うっ!)

莉嘉(おへそ……? 否っ!!)



莉嘉(となれば、残されたものこそが正答)

莉嘉(それすなわち――!!)



莉嘉「お股の中心っ!!」クリクリッ!!

未央「――――――!!!!」ビクンッ!!



きらり「にょ、にょわぁ……」



未央「お゛……! おほぉ……!!!」ビクンビクン

莉嘉「あ、あれ……!? 間違ったかな……!?」

未央「あ……あひっ……」ヒューヒュー

莉嘉(未央ちゃん、なんだか苦しそう……)

莉嘉(む、向こうの様子は……!?)チラッ



みりあ「えーい! えーーい!!」ギュゥゥ

美嘉「あへぇぇぇ!!! んほぉぉぉおお!!!」ビクンビクン



莉嘉(で、でも、お姉ちゃんもおんなじような顔してるし……)

莉嘉(そうだよね!)

莉嘉(気力、体力、技術、戦術、時の運……)

莉嘉(全てを出し尽くして――それでも、まだ勝利へ至らないと言うならば……)

莉嘉(最後に大事になってくるのは…………!)



莉嘉「自分を信じる心だよねっ!!」カッ




みりあ「えーい! えーい!! えーい!!!」ギュム! ギュム! ギュム!


莉嘉「うぉぉおおおお!!!」クリクリクリ!!!



美嘉・未央「「あひぃぃぃいいいいいんっっっ!!!!!」」ビクビクビクッッ!!!




きらり「あ、杏ちゃん……、助けて……!」



莉嘉「ふっ……! どう? お姉ちゃん」

莉嘉「これで分かったでしょ。アタシと未央ちゃんのラブラブパワーが」

莉嘉「まあ、誰にでも間違いはあるからね。今から謝るって言うなら、許してあげても――」

莉嘉「って、未央ちゃん?」

未央「」ピクッ……ピクッ……



ミオチャン!? ドウシタノー!?

シッカリシテー!!



みりあ「ふぅ……。これで結構ほぐれたかな……」

みりあ「どうかな、美嘉ちゃん。みりあ、マッサージ、上手くできてた……?」

美嘉「――うん、そうだね」ツヤツヤ

美嘉「みりあちゃんのおかげで、スッキリしたよ。まるで生まれ変わったようにね」ツヤツヤ

美嘉「ああ……、この世には、みりあちゃんのような素晴らしい存在がいると言うのに……」ツヤツヤ

美嘉「どうして、世界から争いがなくならないのだろうね……」ツヤツヤ

美嘉「醜い戦争、凄惨な闘争――醜悪に奪い合い、潰し合うことが人間の本能だなんて……、そんな悲しいことが真理だなんて……」ツヤツヤ

美嘉「なんて世界は残酷なんだろう……」フゥ……

みりあ「んー?」



――――――
――――
――


莉嘉(ダメだ……)

莉嘉(ダメだダメだダメだダメだっ!!!!)

莉嘉(何をやっても、どうやっても、お姉ちゃんはアタシを見てくれない)

莉嘉(お姉ちゃんとみりあちゃんの仲を超えられないっ!)

莉嘉(きっとまだまだ足りないんだ……)

莉嘉(お姉ちゃんに見せつけるために……、お姉ちゃんに突きつけるために……)

莉嘉(お姉ちゃんに思い知らせるためには、もっともっと、すっごいラブラブなことを未央ちゃんとしなくちゃダメなんだ!)

莉嘉(でも……、これ以上って、アタシにも思いつかないよ……)



莉嘉(どうしたら……)


「――――――! ――――!!」


莉嘉「ん?」

莉嘉(誰かがしゃべってる?)


「――。――――――!!」


莉嘉(会議室……、ここから聞こえてくる)

莉嘉(でも、こっちのフロアって、基本あんまり使われてないって聞いてたけど……)

莉嘉(ま、まさか! シンデレラプロジェクト解体の話が、もう密かに進んでるとかっ!?)

莉嘉(だ、だったら大変だっ!)

莉嘉(コッソリ聞いて、Pくんにチクっちゃうもんねっ!)ササッ




「――――――きです」



莉嘉(さぁ……、一体、どんな話してるのー?)



「諸君、私は―――が好きです」



莉嘉(女の人の声……。でも、美城常務じゃない……?)

莉嘉(誰だろ? なんか聞いたことがある気もするけど……)




「諸君、私はせいこうが大好きです」



莉嘉(っていうか、なんの話……?)

莉嘉(せいこう? 成功? ってなんのこと……?)



「室内戦が好きです」

「野外戦が好きです」

「白昼戦が好きです」

「夜戦が好きです」

「侵略戦が好きです」

「防衛戦が好きです」

「連戦が好きです」

「観戦が好きです」

「複数戦が好きです」



「ベッドで、公園で」

「トイレで、更衣室で」

「窓辺で、玄関で」

「プールで、浴場で」

「ホテルで、民宿で」


「この地上で行われるありとあらゆるせいこう行動が大好きです」



莉嘉(やっぱりこの声……、どっかで聞いたことはあるんだけど……)

莉嘉(でも、あんなコワイ雰囲気の口調の人なんて知らないし……)



「振動するバイブレーションの容赦ない洗礼が、唸りと共に相手の理性を吹き飛ばすのが好きです」

「快楽に突き上げられた恋人が、さらなる弱点への猛攻で顔がぐちゃぐちゃになった時など、心がおどりました」

「私の操るイボ付きの88cmが、あの人の肉壺を洪水にするのが好きです」

「悲鳴を上げて蜜を噴き出させるパートナーの口を口で塞ぎ、押し倒した時など、胸がすくような気持ちでした」



「上下で揃えた純白の下着姿の彼女を、無慈悲に蹂躙するのが好きです」

「興奮状態の彼女が、既に何回戦を経ながらも、何度も何度もこちらを求めてくる様など感動すら覚えます」

「清楚で通っているあの人を暗がりに連れ込み、自分色に染め上げていく様などもうたまりません」

「啼き叫ぶ年上が、私の動かした手指とともに、響き渡るリモコンローターでビクビクとよがり狂うのも最高です」

「愛しい彼女が、可愛らしいオモチャで仕返ししようと微笑ましくも企んでいるところを、80cm振動機能付きオーダーメイドのディルトが、その下着ごとずっぷりと貫いた時など絶頂すら覚えました」



「最愛のあの人に無茶苦茶にされるのが好きです」

「必死に守るはずだった貞操が蹂躙され、身も心も犯され、堕とされていく様はとてもとても悲しいものです」

「年上のテクニックに翻弄されて屈服させられるのが好きです」

「未知の技の数々に圧倒されて、雌犬の様にベッドを這い回るのは恥辱の極みです」



「諸君、私はせいこうを――悪魔の様なせいこうを望んでいます」

「諸君、私に賛同する同志諸君」

「皆さんは一体何を望みますか?」



「更なるせいこうを望みますか?」

「情け容赦のない、鬼の様なせいこうを望みますか?」

「羅武雷火の限りを尽くし、三次世界の規制を殺す、嵐の様なせいせんを望みますか?」



橘ありす「ユリーク!」

北条加蓮「ユリーク!」

多田李衣菜「ユリーク!」

白坂小梅「ユリーク!」


「「「ユリーク! ユリーク! ユリーク! ユリーク!」」」



莉嘉(な、なに……!? ホントになんの話……!?)

莉嘉("ゆりーく"って、一体――)



「よろしい――」



アナスタシア「ならば"百合ーク"だっ!!」



莉嘉「アーニャちゃん!?」



「あれー? おかしいっスね……」

「奈緒ちゃん、ここにあった私のDVD、知らないっスか?」

「いや、ごめん、分かんないけど……」

「そうっスかー。うーん、どこ行ったんだろ……」

「そうだ。なあ比奈さん、ここにアーニャ来なかった?」

「フルボッコちゃんが観たいって言ってたから、DVD持ってきたのに、置きっぱだし……」

「まだ取りに来てないのかな?」

「うーん……。他と混ざらないように、赤い袋に入れといたんスけど……」

「うーん……。分かりやすいように、赤い袋に入れといたんだけどな……」

「「ん?」」



アーニャ「ほう、そこで聞き耳を立てていたのはリカでしたか」

莉嘉「あ、えっと、その……」アセアセ

莉嘉「ごめんね!? 別に盗み聞きしたかったわけじゃなくて……」

アーニャ「構いません」

アーニャ「むしろ、リカがこうしてここを訪れたのも、何かの縁、なのでしょう」

莉嘉「縁……?」

アーニャ「ダー。ズヴィズダ――星の巡り合わせ、です」



莉嘉「どういうこと……?」

アーニャ「リカ。あなたは今、何か悩みを抱えている」

アーニャ「違いますか?」

莉嘉「え!? う、うん、そうだけど……」

アーニャ「そしてあなたがここに来た――導かれたということは、その悩み、問題の解決に私が協力できる、ということです」

莉嘉「ほ、ホントに!?」

莉嘉「アーニャちゃん、未央ちゃんともっとラブラブになれる方法を知ってるの!?」

アーニャ「なるほど。リカのお相手はミオでしたか」

アーニャ「カニィーシナ。私、リカのお役に立てます!」

アーニャ「今よりもっと濃厚で、濃密な関係に、愛しの彼女となれると、約束しましょう!」グッ

莉嘉「濃厚……! 濃密……!!」

莉嘉(す、すごい! さすがアーニャちゃん! よく分かんないけどすごい!)

莉嘉(よぉーし、待っててね、未央ちゃん!)

莉嘉(そして、首を洗って待ってなよ、お姉ちゃん!!)

莉嘉(アタシ、未央ちゃんと、お姉ちゃんには想像もつかないほどの関係になっちゃうんだからっ!!)



莉嘉「じゃ、じゃあ、早速だけど、アーニャちゃん!」

莉嘉「どうしたら、未央ちゃんともっと仲良くなれるっ!?」ズイッ

アーニャ「アー、そうですね……」

アーニャ「ミナミから教えてもらった日本語に、こんな言葉があります――」

アーニャ「『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』」

莉嘉「彼を知り……?」

アーニャ「リカ」

アーニャ「まずは、ミオの『弱点』を知ることから始めましょう」



莉嘉「弱点……?」

莉嘉「えっと、アーニャちゃん? アタシ、未央ちゃんと仲良くなりたいんだよ?」

莉嘉「別に未央ちゃんとケンカとか、バトルしたいわけじゃなくて……」

アーニャ「ダー。分かっていますよ」

アーニャ「でも、リカ。『弱点』――相手の持つ弱さを知ることは、二人の関係を深める上で重要なことです」

莉嘉「そ、そうなの……?」



アーニャ「誰にでも、多かれ少なかれ、自らが短所だと思っている部分があります」

アーニャ「そして、人なら誰しも――そんな自分の弱点は、他人には隠しておきたいと思うものです」

アーニャ「特に親しい関係の人になら尚更、『嫌われたくない』、『見損なわれたくない』という思いから、それを隠そうとします」

アーニャ「でも、そんな自分の弱点を、弱い部分を相手に知ってもらって――そして分かってもらえたなら……」

アーニャ「自分の魅力的な部分だけじゃなく、弱くて恥ずかしい部分も認めてもらえるような間柄になれたら……」

アーニャ「そうなった時こそ、二人はただの仲良しではない――それより深く、心で繋がった関係となるのです!」



莉嘉「で、でも……、じゃあどうやってその『弱点』を探るの?」

莉嘉「未央ちゃんだって、教えたくないんじゃ……」

アーニャ「そうですね」

アーニャ「とりあえず、ここはコレを使いましょう」スッ

莉嘉「なに? その白い粉……」



アーニャ「ずばり、眠たくなる薬、です!」

莉嘉「!?」

アーニャ「リカ、これを飲み物に混ぜて、ミオに飲ませるのです」

アーニャ「普通に聞いてもダメなら、身体に聞きましょう!!」グッ

莉嘉「ちょ、ちょ!? それって未央ちゃんに一服盛るってこと!?」

莉嘉「さ、さすがにそれは、悪いんじゃ……」



アーニャ「リカ」

アーニャ「人と人が分かり合い、手を取り合うというのは、簡単なことではありません」

アーニャ「それは本来、立ち塞がる困難を超え、押し寄せる波乱を打破し、降りかかる艱難辛苦を振り払った末に――ようやく成されるもの」

アーニャ「そんな苦難の道を進むにあたって……、多少の犠牲はつきものです」

アーニャ「それにリカはさっき、ミオとバトルしたいわけじゃないと言いましたが……」

アーニャ「たとえ親しい者同士であっても、闘う時は――闘争の夜は来るものなのです」

莉嘉「そ、そうなの……?」

アーニャ「ダー」



アーニャ「親しいからこそ、お互いを想っているからこそ――お互いに愛しているからこそ……」

アーニャ「闘争し、抗争し、奔走し、競争し――そして生存したいと思う」

アーニャ「愛しい人と、ぶつかり合ったり、すれ合ったり、上になったり下になったりする……」

アーニャ「そうなった時、相手の弱点を知っていることは大きなアドバンテージになります」

アーニャ「愛とは――すなわち戦争なのですっ!!」

アーニャ「だからリカ!」

アーニャ「あなたも、二人の幸福な未来のために、戦いへ身を投じるのです!」

アーニャ「命令《オーダー》は唯ひとつ《オンリーワン》」

アーニャ「『既成事実』《ラブアンドデスティニー》、以上《オーバー》!」

莉嘉(あ、アーニャちゃん、日本語上手くなったね……)



――――――
――――
――


未央「ふぅ~、今日のレッスン、ちょっと頑張り過ぎたかな……」

未央「でも、私はニュージェネのリーダーなんだし……、やっぱ人一倍頑張って、しまむーやしぶりんを引っ張っていかないとね!」

莉嘉「あっ、未央ちゃん!」タッタッタ

未央「おや、莉嘉ちー」



莉嘉「レッスンお疲れさま!」

莉嘉「はい! こ、これ……」スッ

莉嘉「の、飲んで……?」

未央「おっ! カワイイ莉嘉ちーからの労いの一杯ですなぁー?」

未央「ありがとう!」


ンクンクンク……


莉嘉「………………」



未央「ぷはぁ! いやー、五臓六腑に染み渡りますなぁ~!」

莉嘉「あ、あの、未央ちゃん!」

莉嘉「疲れたでしょっ!? ほら、そこに座って、お話しよっ!」グイグイ

未央「んー? うん、そうだね。そうしよっかっ!」




莉嘉「――でね! 最近の男子ったら情けないんだよー!」

莉嘉「カブトムシとかも、怖いって触れないんだからー!」

未央「あはは……! 確かに、うちの弟も、最近ゲームばっかしてるし……」

未央「最近は、そういう子がふえて……きて……る……」ウツラウツラ

未央「の……」パタリッ

未央「」スゥースゥー

莉嘉「わ、わぁ……」

莉嘉(アーニャちゃんの言った通り、ホントに寝ちゃった……)



莉嘉(でも、ここからどうすればいいんだろ……)

莉嘉(アーニャちゃんは、未央ちゃんが眠ったら、あとはアタシの思うように――したいようにやればいいって言ってたけど……)

莉嘉(したいようにって言われても……)



莉嘉「ほっぺた、つついてみるとか?」フニッ

未央「むにゃむにゃ……」

未央「しまむー……ぴにゃこら太のモノマネ……うまいねぇ……」ムニャムニャ

莉嘉「耳元で話しかけてみるとか?」

莉嘉「おーい、未央ちゃーん……。弱点教えて―……」コショコショ

未央「し……しぶりん……!」ウーンウーン

未央「わるかった……、プリンセスブルーでいいから……」ウーンウーン

未央「その……アズールなんとかだけは……」ウーンウーン

莉嘉「やっぱダメだよねぇ……」



莉嘉(やっぱり起こして、直接聞くしか――)

未央「……しまむー……、しぶりん……」

莉嘉「ん?」

未央「私……頑張るよ……」

未央「もっともっと頑張って……、ちゃんとリーダーやるから……」

未央「だから……」

未央「いかないで……!」グスッ

莉嘉「未央ちゃん……」



莉嘉(そっか……)

莉嘉(未央ちゃん、いつも元気で前向きだけど――)

莉嘉(こんなに、弱気な部分も、あったんだね)

莉嘉(弱気……。じゃあこれが、アーニャちゃんの言ってた、『弱点』ってこと?)

未央「……ふたりとも……」ウーンウーン……

莉嘉「えっと……」

莉嘉「……よーしよーし」ナデナデ

未央「……んっ……」

未央「…………♪」スゥースゥー

莉嘉「ふふふっ……」



――――――
――――
――


莉嘉「というわけで、未央ちゃんの『弱点』を発見したよ」

アーニャ「ハラショー! すごいです、リカ!」

アーニャ「私はもっと、何回かトライする必要があると思っていましたが……、初めてでいきなり成功させるなんてっ!!」

莉嘉「え、そ、そう……? ふふっ……、まぁね☆」

アーニャ「さ、参考までに……、ナニをどうやったのか、聞いてもいいですか?」

莉嘉「どんな風って言われても……」



莉嘉「慰めてあげただけだよ?」

莉嘉(ナデナデ~、って……)

アーニャ「な、慰めたっ!?」

アーニャ「ダーティシトー!! い、いきなりでそ、そこまでいくなんて……!!」

莉嘉「え? そんなに驚くこと……?」

莉嘉「普通に、手で、こう……」

アーニャ「手で! 慰めたっ!!」

アーニャ「そ、それで、ミオは!? ミオの反応は……!?」

莉嘉「いや、別に……」

莉嘉(まあ、安心してくれたのかな)

莉嘉「ぐっすり寝てたけど」

アーニャ「ぐったり寝てしまうほどにっ!!」

莉嘉(アーニャちゃん、なんで顔赤いのかな?)



アーニャ「どうやらリカは、私が思っていた以上の逸材、ですね」

アーニャ「これは考えていた工程を、いくつか飛ばしても良さそうです……」

莉嘉「アーニャちゃん、それで次は何をすればいいのー?」

アーニャ「そうですね……、次は……」


アーニャ「裸のつきあい、しましょうか!」


莉嘉「裸の付き合いって……」



莉嘉「ああ、一緒にお風呂入るってやつだよね」

アーニャ「ダー! 私も、初めてはおフロでしたね!」

アーニャ「あの時は……すごく……すごく、気持ちよかったです……!」ウットリ

莉嘉(アーニャちゃん、お風呂気に入ったんだ)

アーニャ「だからリカも、ミオと一緒に裸のつきあいを――裸の突き合いをすれば、より関係が進展するはずです!」

莉嘉「そっかそっか! オッケー☆」



莉嘉(なーんだ。一緒にお風呂入るだけなら、最初の時より簡単じゃん!)

莉嘉「分かったよ。じゃあ早速、未央ちゃんを誘って、行ってくるねー!」

アーニャ「さ、さすが莉嘉……! 積極的ですね……!」ゴクリ

アーニャ「ち、ちなみに、ど、道具は、ありますか……?」

莉嘉「道具?」

莉嘉(シャンプーとか、タオルとか?)

莉嘉「うん。用意はあるから、大丈夫だよー☆」

アーニャ「よ、用意済みですかっ!!」

アーニャ「さすがリカ……! ヤル気マンマンですね!!」ハァハァ

莉嘉(だからアーニャちゃん、なんで顔赤いんだろ……)



――――――
――――
――


――346プロ 社員用浴場――


シャァァー


未央「♪め~の~まえにあるのは~、未知への扉~」シャカシャカ

未央「♪君も、僕も、みんな――」

莉嘉「みーおちゃん!」

莉嘉「お背中、お流ししますよ~☆」

未央「おっ! ホントにー?」

未央「じゃあ、お願いしようかな」



莉嘉「かゆいとこありませんか~?」ワシャワシャ

未央「いやぁ~、快適ですぞ~!」

莉嘉「未央ちゃん、やっぱ胸大きいね……!」ワシャワシャ

莉嘉「いいなー! どうしたら、そんなボインになれるのー?」ワシャワシャ

未央「別に特別なことはしてないってば」

未央「それに、莉嘉ちーはまだまだ成長期だし、それに美嘉ねぇだってあんなにセクシーなんだもの」

未央「心配しなくたって、将来有望だって!」

莉嘉「えへへ! そうかな~!」ワシャワシャ

莉嘉「って、未央ちゃん! 今はアタシといるんだから、お姉ちゃんの話は禁止ー!」コチョコチョ

未央「ひゃははっ! ゴメンゴメンー!!」



カポーン


未央「ふぅ~、極楽極楽……」

未央「生き返りますなぁ~」

莉嘉「未央ちゃん、なんかオヤジっぽい~!」

未央「おやおや……。この美少女を指して、オヤジっぽいだなんて……、言ってくれますなぁ……」

莉嘉「だってホントのことだも~ん!」

未央「そんな莉嘉ちーには……、こうだっ!」ピュッ

莉嘉「わぷっ!? やったなー!?」

莉嘉「えいっ! お返し!」バシャ

未央「ぬわっ! ええい! まだまだっ!」ピュッ! ピュッ! ピュッ!



莉嘉「未央ちゃん! その水鉄砲みたいなの反則ー!」バシャバシャ

未央「ふっふっふ! この未央ちゃんスプラッシュはお風呂にて最強っ!」ピュッ! ピュッ! ピュッ!

莉嘉「だったらアタシだって――」



美城常務「君たち」



莉嘉「わぁ!?」

未央「じょ、常務っ!?」



常務「仲が良いのは結構だがな」

常務「しかし、ここは他にも多くの人間が利用する場所だ」

常務「ならば君たちも、いくらリラックスできる空間と言えども、常識ある人として――」

常務「そして、美城に所属する者として相応しい、マナーと節度を持った行動を常に心がけなさい」

莉嘉「ご、ごめんなさい……」

未央「すいませんでした……」

常務「分かればよろしい」スタスタ



未央「び、びっくりした~」

未央「常務みたいなトップな御仁でも、こういうところ使うんだね……」

莉嘉「っていうか、アタシは常務のあのスタイルにびっくりだよ」

莉嘉「何歳だとしても、かなりのプロポーションだよね……」

莉嘉「すごいね……。どうしたら、あんなになれるのかなぁ……」

未央「すごいねぇ……」



――――――
――――
――


莉嘉「というわけで、未央ちゃんと裸の付き合いしてきたよー☆」

アーニャ「お、おかえりなさい!」

アーニャ「それで、き、気持ち良かった、ですか……!?」

莉嘉「え? うん。そりゃそうだよ」

莉嘉「未央ちゃんなんて、『極楽~』なんて言ってたし」

アーニャ「極楽までイクほどの!? ずいぶん激しくシたんですねっ!!」

莉嘉「……激しく?」



莉嘉「ああ、でもそうだね。かけあいっことかしたし」

アーニャ「ぶっかけあいっこ!?」

アーニャ「そ、それは……、一体……!?」ガクガク

莉嘉「別に、普通に、手で……」

アーニャ「て、手ですか……! 手でいじるだけでも、そこまでできるんですか……!」

アーニャ「勉強になりますっ!」フンス



莉嘉「未央ちゃんってばずるいんだよー!」

莉嘉「ぴゅーって、水鉄砲みたいなの飛ばしてくるのー!」

アーニャ「水鉄砲っ!?」

アーニャ「すごいですね、ミオは……! そんなことができるんですか……」

アーニャ「さ、さすが、パッションがほとばしってますね!」

莉嘉「『未央ちゃんスプラッシュ』だってさ。もう、顔ばっか狙ってきてね」

莉嘉「アタシも教えてもらったけど、上手くできなくて……」

アーニャ「おおお教えてもらったんですか……!?」カァァアア

アーニャ「……よ、良ければ今度、私にも教えてくださいっ!」

莉嘉「うん? うん、まあ未央ちゃんに言っとくよ」



莉嘉「そうそう! あとね!」

莉嘉「かけあいっこしてるの美城常務に見つかって、怒られちゃったのー」

アーニャ「!?」

アーニャ「そ、それは……、大丈夫、だったんですか……!?」

莉嘉「うん。もっと怒られるかと思ったけど、軽く注意されて終わりだったよー」

アーニャ「か、軽い注意で済んだんですか……!?」

アーニャ「ズドーラヴァ! 大企業のトップは、マイノリティーにも理解があるんですねっ!!」

莉嘉(だから、なんでアーニャちゃんは顔が赤いんだろ……?)




アーニャ「――さて、リカ」

アーニャ「あなたとミオの関係は、もはや他の追随を許さない、とても親密で深いものになっています」

莉嘉「そ、そうかな? あんまり実感ないけど……」

アーニャ「ですから、あと、私が二人のために提案できるのは一つだけです」

莉嘉「そ、それって……?」

アーニャ「ダー。それすなわち――」



アーニャ「ホテルですっ!!」




莉嘉「ホテル? 二人でお泊りしろってこと……?」

アーニャ「ニェット、少し違います」

アーニャ「『お泊り』ではなく『休憩』。そして、より正確に言うなら、『ホテル』ではなく――」

アーニャ「『お城みたいなホテル』ですっ!!」

莉嘉「お城みたいな……?」

莉嘉「って、そ、それって……!!///」カァアア



莉嘉「いやいや待ってアーニャちゃん!」

莉嘉「さ、さすがにそういうのは、早いっていうか、行き過ぎじゃないっ!?」

莉嘉(お姉ちゃんだって、さすがにみりあちゃんとそんなことはしてないだろうし……)

アーニャ「そんなことありません」

アーニャ「私から言わせれば、むしろ二人で今まで、そういうことがなかったのが不思議なくらいです」

莉嘉「ええっ!? アタシと未央ちゃんってそこまで!?」



アーニャ「リカ」

アーニャ「リカは言いましたね? 『ミオとラブラブになりたい』と……」

アーニャ「確かに今の状態でも、二人の関係は十分、ラブラブと言えるものかもしれません」

アーニャ「しかしそれでも――いえ、だからこそ」

アーニャ「これは必要なことです」

莉嘉「え、ええ……!?///」



アーニャ「いつも傍にいて、多くの時を共に過ごすのは、二人の仲を深めるためには大事なことです」

アーニャ「しかし、いつも傍にいて、その愛情が当たり前になってくると――だんだん、その大切さは忘れられてしまうのです」

アーニャ「長く同棲を続けたカップルが、しかし結婚に至らず、ズルズルとそのなあなあの状態を引き延ばしてしまうように」

アーニャ「あるいは、長年連れ添った夫婦の、その愛が今ではすっかり冷めてしまうように」

アーニャ「大切なものが日常になったが故に、その価値が日常に埋もれてしまうのです」



アーニャ「ですから、リカ。あなたたちも今一度、その価値を想起し、改めて心に、それも強烈に刻む必要があります」

アーニャ「そしてそのためには、今までのようなまぐわい程度ではもはや足りません」

アーニャ「だいせいこうを!! 一心不乱のだいせいこうを!!」

アーニャ「忘却の彼方へと追いやられつつある思いを引きずり出し、心の眼を開かせましょう」

アーニャ「意中の彼女に愛情の味を思い出させ、夢中の彼女に嬌歌の音を思い出させるのです!」

莉嘉「アーニャちゃん……」



莉嘉(そうだ……、アタシはお姉ちゃんを超えなきゃならない)

莉嘉(だったら、今までみたいなお姉ちゃんの真似じゃなくて――まだ、お姉ちゃんもしたことがないようなことを――)

莉嘉(お姉ちゃんのその先を目指さなきゃっ!!)



莉嘉「話は分かったよ」

莉嘉「でも、現実的な問題として……、そういうホテルって、未成年は入れないんじゃないの……?」

アーニャ「心配ないです。そこは考えてあります」

アーニャ「確かに莉嘉の言う通り、ああいった施設は、未成年が利用することは難しいです」

アーニャ「――では、リカ。ここでちょっと思い出してみてください」

アーニャ「私たちがアイドルとして所属する、この会社の名前はなんですか」

莉嘉「へ?」

莉嘉「そんなの、346プロダクションでしょ?」

莉嘉「346プロ……」

莉嘉「346……『美城』……」

莉嘉「まさかっ!!」

アーニャ「気づいたようですね」



アーニャ「そうです!」



アーニャ「お城みたいなホテルが使えないのならっ!!」

アーニャ「美城をホテルみたいに使いましょうっ!!!」



莉嘉「あ、アーニャちゃん……天才……!?」

アーニャ「我がロシア連邦の発想力は世界一です!」

アーニャ「こんなこともあろうかと、普段は使われていない一室、そのカギを入手しておきました」チャリ

アーニャ「さあ、リカ! 征くのです!」

アーニャ「二人の愛を無限に繋ぐために」

アーニャ「次のせいこうのために」

アーニャ「次の次のせいこうのために!!」

莉嘉「うん! アタシ行ってくる!」



――――――
――――
――


未央「うーんと、この部屋かな?」

未央(莉嘉ちーから、呼び出されたけど……、こんな人気のないとこでどうしたんだろ?)

未央(それも、メールや電話じゃなくて、直筆の手紙って……)

未央「莉嘉ちー、いるー?」


ガチャ



莉嘉「あっ、未央ちゃん。来てくれたんだね」

莉嘉「嬉しい……!」

未央「そりゃ、莉嘉ちーの頼みを無下になんてしないさ」

未央「でも、なんでこんな部屋に呼んだの? 話なら、またいつものカフェで――」


ガチャリ


未央「あれ……? カギかけちゃうの……?」



未央「あの……、莉嘉ちー……?」

莉嘉「……カフェじゃ、ダメだよ」

莉嘉「こんな風に、未央ちゃんと二人っきりになれる場所じゃなくちゃ」

未央「お、おぉ……」

未央「あ、あはは! 嬉しいこと言ってくれるねー!」

未央「そんなに未央ちゃんのことが恋しくなっちゃったのかな?」

未央「もう、ホントに莉嘉ちーはカワイイ――」


ガバッ


未央「わぁ!?」


どさっ



未央「り、莉嘉ちー!?」

未央「突然、押し倒してきて、どうし――」

莉嘉「未央ちゃん……」

莉嘉「好きだよ」

未央「へ……?」

莉嘉「未央ちゃんは、アタシのこと、好き?」

未央「う、うん……?」

未央「当たり前じゃん! 大好きだぞ、莉嘉ちー!」

莉嘉「ふふふっ……、そうだよね……」

莉嘉「アタシたち、超ラブラブの相思相愛だもんね」

莉嘉「だから、この先に進んでも……、いいよね?」

未央「こ、この先って……?」



莉嘉「……未央ちゃんは、どういうのが好きかな?」

莉嘉「例えば――これとかかな?」ブィィイイイイイイイ……

未央「!?」

未央「ちょっ、莉嘉ちー!? そ、そのイボイボで振動してるのって……」

莉嘉「えへへ……! 大丈夫だよ☆」

莉嘉「アタシも未央ちゃんのこと大好きだから!」

莉嘉「だから、いっぱいシて、もっともっと仲良くなろうね!」



未央「いやいや!」

未央「さ、さすがにそういうのは、違うんじゃないの!?」

莉嘉「そんなことないよ! むしろ、こうならないほうが不思議だって、アーニャちゃんも言ってたもん!!

未央「どういうこと!?」

莉嘉「そっか。いきなりコレは嫌だったよね」

莉嘉「でも安心して? アーニャちゃんに色々貸してもらったから!」

莉嘉「未央ちゃんはどれが気に入るかな?」

莉嘉「これは? こっちはどうかな?」

莉嘉「ふふ……、まあこれから二人で、いっぱいするうちに見つければいいよねっ!!」

未央「ひぃ、ひぃいい……!!」



未央「ちょ、ちょっと落ち着こうよ!」

未央「莉嘉ちー、当初の目的を見失ってない!?」

莉嘉「そんなことないよ。これでいいの」

莉嘉「……これじゃなきゃダメなの」

莉嘉「お姉ちゃんを振り向かせるために――」

莉嘉「お姉ちゃんに見せつけて、思い知らせるためには、お姉ちゃんたち以上のことをしなくちゃなんだよ!」



莉嘉「未央ちゃんなら分かってくれるよね!」

莉嘉「協力してくれるよね!」

莉嘉「アタシのお姉ちゃんになってくれるって、言ったもんね!!」

莉嘉「あんなお姉ちゃんと違って、未央ちゃんなら、アタシのこと見てくれるよね!!」

莉嘉「未央ちゃ――」



未央「莉嘉ちー!!」ダキッ

莉嘉「ひゃ!?」




莉嘉「あ、み、未央ちゃんからしてくれるの……?」

莉嘉「う、うん……、いいよ……」

莉嘉「でも、初めては、優しく――」

未央「ねぇ、莉嘉ちー」

未央「ちょっと聞いてくれる?」

莉嘉「え……?」



未央「莉嘉ちーはさ――美嘉ねぇが、他の子ばっかり見てて、自分を構ってくれないことが不満なんだよね……?」

未央「自分をちゃんと見てくれないことに、怒ってるんだよね?」

莉嘉「そ、そうだよ……?」

未央「莉嘉ちーのその気持ちは、私も分かるよ。だからこそ、私は協力したんだけどさ……」

未央「でも、莉嘉ちー」

未央「美嘉ねぇが自分を見てくれないって言うけどさ――」



未央「じゃあ、莉嘉ちーは美嘉ねぇのこと、ちゃんと見てる?」



莉嘉「えっ……?」



莉嘉「な、なんで、アタシの話になるの……?」

莉嘉「い、今はお姉ちゃんが――」

未央「いいから、ちょっと考えてみてよ」

未央「ちょっと思い出してみて?」

莉嘉「お、思い出してって……」

莉嘉「当たり前じゃん! お姉ちゃんのことなら見てるよ。だってアタシたち姉妹だよ!?」

莉嘉「いっつもアタシのこと見てくれないお姉ちゃんを見てて、見せられてて……、それでアタシ、怒ってるんだもんっ!!!」



莉嘉「そうだよ! お姉ちゃんはいっつもいっつも……!!」

莉嘉「ここ最近だって――」


美嘉『みみみみ、みりあちゃんっ!!』

美嘉『おおお、おはよう!! きょ、今日もカワイイね★』

美嘉『みりあちゃんの可愛さをバッチリ引き出してるよ! アタシが保証するって!!!』


莉嘉「みりあちゃんばっかり見てて、みりあちゃんばっかり褒めて……!」


美嘉『特に莉嘉? アンタ、自分だけどんどんテンポ上げて、みんなとズレてるとことか、まだちょっとあるからね?』

美嘉『そういうところ、今はまだ若いからって許されてるかもだけど、クセになったら直すの大変だよ?』


莉嘉「アタシにはダメ出しばっかり!」


美嘉『あんたのそれは、今朝、慌てて着替えたからでしょうが……』

美嘉『それに着崩すのと着崩れるのは違うの。その辺、莉嘉はもうちょっと勉強が必要だね』


莉嘉「アタシのことなんて、全然褒めてくれなくて……!」



美嘉『ほら、タイも曲がってるし! だらしないよー』

美嘉『それにダンスだって――アンタ、まだ細かいとこ、テキトーにやる癖が抜けてないでしょ?』


莉嘉「そうだよ! アタシのことは叱ってばっかで……」

莉嘉「……怒って、ばっかで……」


美嘉『今朝だって、アタシが起こしてあげなかったら寝坊確実だったくせに』


莉嘉「それで……それで……」

莉嘉「あれ……」

莉嘉「あれ……?」

未央「………………」



莉嘉「お姉ちゃん……、いっつも朝、起きられないアタシのこと、起こしてくれて……」

莉嘉「アタシが準備できるまで、待っててくれて……」

莉嘉「アタシのダンスやファッションとかも、チェックしてくれて……」

莉嘉「ここ最近、遅くまで起きてるのだって……」

莉嘉「アタシたちのステージの録画、観てたから……」



莉嘉「お姉ちゃんは……」

莉嘉「お姉ちゃんは、アタシのこといつも見ててくれた……?」

莉嘉「いっつも、アタシのこと……」

未央「うん、そうなんだよ」

未央「おかしいと思ってたんだよね」

未央「あの面倒見のいい美嘉ねぇが、一人の子に構ってばっかりで周りが見えなくなるなんて」

未央「それで大事な妹のことが見えなくなるなんてこと、考えられなかったから」

莉嘉「そんな、アタシ……」



莉嘉「お姉ちゃんは、ずっとアタシのこと見てて、気にしてくれてたのに……」

莉嘉「どうしよう……」

莉嘉「アタシ……、お姉ちゃんにヒドイこと言っちゃった……」

莉嘉「ヒドイこと、思っちゃった……」グスッ

未央「莉嘉ちー……」

莉嘉「そうだよね……」

莉嘉「妹が、こんな自分勝手で、ワガママじゃ、嫌だもんね……」

莉嘉「アタシなんて、いっつもお姉ちゃんに叱られて、注意されてばっかりで……」

莉嘉「そりゃあ、みりあちゃんみたいな素直でいい子のほうがいいもんね……」

莉嘉「アタシなんて……」グスッ



未央「莉嘉ちー、美嘉ねぇが、莉嘉ちーを叱ったり注意したりするのが、自分を嫌ってるからだって思ってるの?」

莉嘉「えっ……、違うの……?」

未央「むしろ逆だよ」

未央「美嘉ねぇがそうやって厳しいのは――大切な妹が、ちゃんと成長してほしいって思ってるからじゃないかな」

莉嘉「成長……?」

未央「自分に憧れてアイドルなって、まだまだ未熟なとこも多い妹に――」

未央「悪いところは直して、まだまだのとこは伸ばして、もっともっと技術を磨いて、もっともっと楽しんで――」

未央「人としても、アイドルとしても立派に成長して、輝いてほしい」

未央「そんな願いがあるからじゃないのかな」

未央「私なんかは、莉嘉ちーがカワイイからさ。お願いは聞いちゃうし、したいことには協力しちゃって――目いっぱい、甘やかしちゃうけどさ……」

未央「でも、美嘉ねぇみたいに、悪いところをダメだって、しっかり怒ってくれるっていうのも――優しさだと思う」

莉嘉「お姉ちゃん……」



莉嘉「未央ちゃん……、アタシ、どうしたらいいかな……」

莉嘉「これから、どうしたら……」

未央「莉嘉ちーはどうしたいの……?」

莉嘉「それは、やっぱり……、謝りたい……」

莉嘉「それで、伝えたいっ!」

莉嘉「『ありがとう』って……!!」

未央「なら、その思いを、素直に言えば――」

莉嘉「でも!」

莉嘉「でも……、今更、そんなこと言ったって、遅すぎるよ……」

莉嘉「きっとお姉ちゃんは、もうアタシのことなんて……」



未央「――アイドルの美嘉ねぇにはさ、たくさんのファンがいる」

未央「カリスマギャルの美嘉ねぇには、たくさんリスペクトしてる人がいて、モデルの美嘉ねぇはたくさんの人気がある」

未央「先輩アイドルの美嘉ねぇには、私も含め、色んな子が目標にしてるよ」

未央「でもね――」

未央「城ヶ崎美嘉の――その大切な妹は、莉嘉ちーしかいないんだよ」

未央「大事な家族は、莉嘉ちーだけなの」

未央「きっと美嘉ねぇにとって莉嘉ちーは、心に輝く一番星なんじゃないかな」



未央「家族ってさ、特に莉嘉ちーと美嘉ねぇは、他の人より多くの時間を一緒に過ごしているだろうからさ」

未央「だから、その大切さをうっかり忘れちゃうこともあるかもだけど……」

未央「でも、家族同士が想いを伝え合うのに、遅すぎるなんてことはないんだよ」

未央「いつも一緒にいて、いつも傍にいるからこそ――いつ伝えたっていいの」

莉嘉「み、未央ちゃん……」

未央「確かに、改めてそういうこと伝えるのって、気恥ずかしいってのも分かるけどさ――」

未央「でも、今日私にしようとしてたことに比べたら、全然でしょ……?」ニヤリ

莉嘉「あ、う、うん……」

莉嘉「そだね……///」

未央「ふふふ……」



未央「行ってきなよ、莉嘉ちー」

未央「お姉ちゃんの未央ちゃんはここまで」

未央「あとは姉妹水入らずで、ね?」

莉嘉「うん……」

莉嘉「ありがとう、未央ちゃん!」

莉嘉「やっぱり、未央ちゃんにお姉ちゃんを頼んで正解だった!」

未央「私も、カワイイ莉嘉ちーが妹で良かったよ」

莉嘉「えへへ☆」



莉嘉「アタシ、行ってくるっ!」

莉嘉「それで、伝えてくるねっ!!」タッタッタッタッタ



未央「ふぅ……。やれやれ……」

未央「確かに妹の気持ちも……、そしてお姉ちゃんの気持ちも、分かったかもねぇ……」

未央「っと、浸るのはまだ早いか……」ピポパポ……

未央「――あ、もしもし? 新田みなみんさんですか?」

未央「あの、おたくのアナスタシアさんの件なんですが――」



――翌日――


未央「おはよーございまーす!」ガチャ

島村卯月「あ、未央ちゃん! おはようございます!」

渋谷凛「おはよう、未央」

未央「おはよ、二人とも! 今日も頑張ろうねっ!」


新田美波「全く……。アーニャちゃんに悪気がないのは分かってるけど、だからって、あんまり変なことを他人に教えちゃ駄目だよ?」

アーニャ「イズヴィニーチェ……、ごめんなさい……。反省してます……」シュン

みりあ「ねぇねぇ! ウサミン星って電車で行けるのー? みりあも行きたいなー!」

菜々「いえ、あの……、そのですね……」ダラダラ

きらり「み、みりあちゃんは、もうちょっと大きくなってから、行けると思うにぃ……☆」


美嘉「おはよ、未央」

美嘉「待ってたよ」

未央「美嘉ねぇ? どうしたの?」

美嘉「もう、とぼけないでよ★」

美嘉「お礼、ちゃんと言っとかなくちゃと思ってね」

美嘉「妹のこと……、ううん、アタシのことも含めて――」

美嘉「ありがとう」

美嘉「昨日、莉嘉と話したよ」

美嘉「もう、次から次に、色んなことまくし立ててきてねー」

美嘉「あんな莉嘉、久しぶりに見たかな」

未央「そっかそっか! それは重畳!」

未央「それでそれで? 美嘉ねぇからの謝礼のほうはいかほどで~?」



美嘉「あはは、そうだね」

美嘉「……ホント未央には、一言だけじゃ感謝し切れないもんね」

未央「じょ、冗談だって! 天下のカリスマギャルにそこまで言われると、逆に困っちゃうよー!」

未央「……莉嘉ちーさ、強がってはいたけど、やっぱり辛そうだったからさ」

未央「だから、また元気になってくれたのなら、私はそれで満足だよ」

美嘉「ふふっ、ありがとう」



美嘉「――そうだね」

美嘉「そこまで言ってくれるんなら、やっぱりアンタに任せて大丈夫そうだね」

未央「うんうん! 莉嘉ちーは大事な仲間だからね!」

未央「これからも、私にできることなら、なんでも力になるよっ!」



美嘉「『仲間』ねぇ……」

美嘉「それも悪くはないけど……」

美嘉「でもやっぱり、"これから"のアンタたちの関係を言い表すには、ちょっと合わないんじゃない?」

未央「へ……? これからのって……?」


ガチャ

莉嘉「みんなー、おはよー☆」


美嘉「おっ、噂をすれば……」



美嘉「ほら莉嘉。未央、もう来てるよー?」

未央「莉嘉ちー、おはよー!」

莉嘉「あ、み、未央ちゃんっ!?」

莉嘉「おおおお――」

莉嘉「おはよう……ございます……」ゴニョゴニョ

未央「あれ? 莉嘉ちー?」

美嘉「こら、莉嘉。何縮こまってんの」

美嘉「昨日、ちゃんと話して、それで決めたでしょ?」

美嘉「未央に、自分の気持ちを伝えるって」

莉嘉「そ、そうだけど……」



未央「ん? なになに?」

未央「なんの話……?」

美嘉「未央も、何ビミョーにとぼけてんのよ」

未央「へ……?」



美嘉「アンタ、莉嘉と付き合うんでしょ?」



未央「!?」


「「「!?!?!?!?」」」


莉嘉「…………///」カァアアア



未央「あー、えっと……」

未央「そ、そりゃあね! 莉嘉ちーとはこれからも、大切な仲間として付き合いを――」

美嘉「これからは『恋人』になるんだから、未央もしっかりしてよね」

美嘉「まあ、どっちも女の子だけど……、でも、年上のアンタが引っ張っていくことが多くなると思うし……」

未央「こここ、恋人っ!?」



未央「あの、莉嘉ちー……?」

未央「これは一体……」

莉嘉「あのね……」

莉嘉「昨日、未央ちゃんに言われた通りに、お姉ちゃんと話して、仲直りできたんだけど――」

莉嘉「そのあとでね、お姉ちゃんに言われたの」

莉嘉「『アンタは、未央のこと、ちゃんと見てる?』って……」

未央「えっ……」



莉嘉「それでね、改めて考えてみたらね――」

莉嘉「未央ちゃんは、こんなアタシのワガママにも嫌な顔一つせず付き合ってくれて……」

莉嘉「アタシの話を聞いてくれて、アタシのこと見てくれて、アタシのこと考えてくれて……」

莉嘉「アタシのことを導いてくれた……」

莉嘉「あの時の目的は、お姉ちゃんにふくしゅーしてやろうってことだったけどさ……」

莉嘉「それでも、未央ちゃんとお茶したり、お話ししたり、他にもいっぱいいっぱい仲良くしてたあの時間は――すっごく楽しかったの」

莉嘉「さ、最後の、あの部屋の出来事は、勢いに任せただけのことだったんだけど……」

莉嘉「でも、あの時、アタシのことを好きって言ってくれて――やっぱりすごく嬉しかった」

莉嘉「それでやっぱり、アタシも未央ちゃんのこと好きだって、改めて思ったの」



莉嘉「そんな大好きな未央ちゃんと、これからも、もっと一緒に過ごしたい」

莉嘉「一緒にお花見したり、一緒に花火に行ったり、一緒にお月見したり、一緒にスキーに行ったり――」

莉嘉「いっぱいワクワクして、いっぱいドキドキできる……」

莉嘉「初めてだらけしたいって、思ったんだ……!」

美嘉「うんうん」コクコク

未央「い、いや、そう言ってくれるのはありがたいけど……」



「ま、まさか未央ちゃんと莉嘉ちゃんが……! お、おめでとう、でいいのかな……?」

「まあ、色々大変だろうけど、私は応援するかな。今度、二人に似合う花でも持ってくるよ」

「アーニャちゃん!? なんで指揮者みたいな動きをしてるの!? やっぱり反省してないでしょ!?」

「いやぁ……、甘酸っぱいですねぇ……。こういうのも青春ですか……」シミジミ

「未央ちゃんと莉嘉ちゃん、どうなるのー?」

「え、えっとね……? 簡単に言うと、未央ちゃんは莉嘉ちゃんのお姉ちゃんになって、それで美嘉ちゃんは未央ちゃんのお義姉ちゃんになるんだにぃ……」


未央「ちょ、ちょっと! みんな待って!?」



未央「み、美嘉ねぇ!」

未央「み、美嘉ねぇもさ、莉嘉ちーに一旦落ち着くようにって――」

美嘉「――未央」

美嘉「莉嘉はさ――まだまだワガママで、甘えたがりで、子供っぽくて……」

美嘉「アンタにも、いっぱい苦労をかけると思う」

美嘉「でも、それでも、アタシにとっては大切で、かけがえのない妹だから」

未央「いや、あの、美嘉ねぇ……?」

美嘉「だから――」



美嘉「妹を泣かせたら――許さないよ★」ニコッ



未央(逃げ道がねぇ!?)



莉嘉「――未央ちゃんっ!」ダキッ

未央「り、莉嘉ちー……!?」

莉嘉「不束者ですが――」

莉嘉「これから、末永くよろしくお願いしますね?」

莉嘉「未央お姉ちゃん……、じゃなくて――」



莉嘉「未央お姉さま……///」



未央「莉嘉ちー!? キャラが曲がっていてよー!?」


――――――
――――
――



――????――


「アナスタシアさん! このたわわなお山はどうしましょう?」

アーニャ「凌辱しなさい。当然です、不健全極まる。手加減なしです」

「ま、待ってください、ありすちゃん、おねが――あぁんっ!!」

「このかわいい唇はどうしよっか、アーニャちゃん」

アーニャ「塞ぎましょう。舌は入れましょう」

「か、加蓮! これはいくらなんでも冗談がすぎ――うむぅ!?」

「こ、この、立ってきた突起は?」

アーニャ「堕としましょう。いい声で歌うように」

「だ、だりー? おいおい、これがお前のロックなの――はうぅ!!」

「こ、この、ヒクヒクしてる穴は、どうしよっか……?」

アーニャ「侵略しなさい」

「お、おいおい小梅……! 目を覚ませ――おほぉ!!!」


アーニャ「目についたものは片端から攻め、目についたものは片端からしゃぶりなさい」

アーニャ「存分に喰い、存分に飲みなさい」

アーニャ「この蕩け切った年上たちは、諸君らのご馳走となり果てるのです」



アーニャ「♪Welcome to this pussy time――」

アーニャ「♪この爛れた世界へようこそ」

アーニャ「♪君とズッコンバッコン、ズッコンバッコン――」



「あらあら、アーニャちゃん」




「昨日、あんなにいっぱい、おイタはダメだってお仕置きしてあげたのに……」

「またそんなに調子にのって……」


アーニャ「!!」



「やっぱり全然、反省の色が見えないなぁ……」

「これはもっと――」

「もぉっっと、いじめてあげないと、ダメなのかな……?」ブィィイイイイン




アーニャ「88cm!!」

アーニャ「ウラー! それは素敵ですっ!! 大好きですっ!!」














美しい姉妹愛が書きたかっただけ。

肉食系(意味深)な姉妹に振り回され、ミツボシがりゅーせーしちゃう、『よくばりSi☆☆★s』的なウ=ス異本とか出ないですかね。

誤字脱字、予想以上の長さはごめんなさい。

読んでくれてありがとう。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom