10年後のミリオンスターズ (24)

これはアイドルマスターミリオンライブの二次創作になります。駄文、キャラ崩壊などが過分に含まれているので、そういうのがお嫌いな方はそっとブラウザバックしてください。

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…アイドル。それは少女達の憧れであり、永遠の夢だ。光り輝くステージでかわいい衣装を着て踊り、見る者達を魅了する。世俗的でありながらも、どこか神秘性をもつものだ。
10年前、とある事務所に50人ものアイドルが誕生した。彼女達は紆余曲折な道のりを経て、Sランクアイドルへと至った。これは彼女達の10年後の姿を見る物語である。

「ティンとくるアイドルが最近いない…ですか。」

12月、木枯らしが吹く寒々しい外の世界を写したかのように、765プロ事務所内は閑散としていた。

「うむ、そうなのだよ…。街を歩いていても、ティンとくる娘たちがいない。最近改めて彼女達の凄さを思い知ったよ。」

10年前にデビューした50人のアイドル。後にその輝きからミリオンスターズと呼ばれた彼女達は、今や各々の道を歩んでいる。

「僕も最近、あいつらに会ってませんね。元気にやってるのかな。」

聞きかじったところによると、芸能界に残り続けた者もいれば、別の職業についた者。結婚したのもいれば、果てには一人旅に出たのなんかもいるらしい

「経営的にはまだ問題ないといっても、このままでいいわけもない。久しぶりに765プロ主催のオーディションでもするかね?」

「オーディション、ですか。ティンとくる人と、逢えるといいんですけどね…」

ミリオンスターズがアイドル業界に伝説を残して次々と引退してから、765プロは燃え尽きたかのように活動を休止していた。最初は純粋に大仕事を終えて休んでいた部分もあったが、それからは新しいアイドルが増えなかったからだ。オーディションもしたし、養成所からの移転も募った。スカウトも積極的に行おうとしたが…実りはなかった。ミリオンスターズのような輝きを感じることができなかったのだ。そんなことを繰り返していたら、マスコミやネットの住民に過去の栄光にしがみつき、その幻想を追おうとしている最低な事務所だと揶揄され、次第に765プロへの所属募集自体が減っていった。

「俺だって、分かってるんだけどな。あいつらが凄すぎただけなんだって。」

魅力的だった、そう思う。一人一人が確固たるものを持ち、自分の魅了を最大限にファンに伝えていた。キラキラしていた。だからこそ、失った時の喪失感は酷かった。アイドル、特に女性アイドルには、期限があるということは理解していたつもりだった。だがその現実は、俺の胸に想像以上のしこりを残していた。

そうして沈んでいると、声をかけてくる女性がいた。

「なんて顔してるんですか、プロデューサーさん。」

「ああ、志保か…」

北沢志保。ミリオンスターズの一員であり、アイドルを引退した後は765プロ専属のトレーナーになってくれている。…現状は仕事が無いに等しいのだが。今は、髪をさらに伸ばして、腰まであるストレートになっている。

「ちょっと昔のことを思い出していただけさ。心配かけて悪いな。」

気を遣わせないように、務めて明るく言う。

「……。変わりませんね、プロデューサーさんは。」

溜息をつきながら、志保はそうこぼす。

「誰よりも私たちに自分や765プロの仲間を頼れと言うくせに、誰よりも自分ひとりで解決しようとする。」

そういうところ、嫌いです。そんな声が聞こえた気がした。

「うん、そうだな。俺はお前達より一回り大人だから、背負ってたところもあったんだろうな。」

「過去形じゃなくて、今もですよ。分かってるんですか?」

訝しげに、軽く怒ったような表情で志保は言ってくる。その表情に、なぜかほっとした。

「ははは。いや、わかってるさ。けど、これは本当に俺の問題なんだよ。未だにお前達に幻想を抱いてる、俺自身のさ。」

そうだ、これは俺自身の問題だ。過去の栄光にしがみつき、離れようとしない未熟性を、幼児性を未だに改善していない。いや、むしろ改善しようともしていない俺自身の問題なのだ。

「しょうがないんじゃないですか、それは。」

少し照れたようにしながら、志保はそう言う。

「しょうがない…?」

「そうです、しょうがないんですよ。わ、私たちが、み、魅力的過ぎたのがいけないんです。」

耳まで真っ赤にしながら、志保はまくし立てる。

「だから、プロデューサーさんは悪くありません。魅力的なものを魅力的だと思うことを、そうじゃないものをそう思わないことは、おかしなことなんかじゃありませんよ。…天邪鬼だった私が、言えたことじゃないかもしれませんけどね。」

「志保…。」

「ほっとかないよ。…春香さんが千早さんに伝えて、千早さんが私に伝えてくれた言葉です。765プロは皆家族なんだから、ほっとくことなんてできません。」

懐かしむように、はにかみながら志保は言う。

「だから、私はプロデューサーさんをほっときません。皆が引退した今でも、ミリオンスターズはミリオンスターズです。だから、絶対にほっときません。」

「……。志保に、こんなことを言われる日が来るなんてな。」

「茶化さないでください。私も結構恥ずかしいんですから。」

ぷりぷりと怒りながら、笑う。器用なようだが、あの日々にはよく見た光景だ。

「また、ひどい顔。」

志保の呟く声で、意識が現実に戻る。どうやら少し妄想の世界に浸っていたらしい。

「……そこまで重症なら、逆に一度皆さんに会ってきたらどうです?多少は気が紛れるかもしれませんよ。」

どうせ仕事はないですし、と小声で付け足す。結構根に持ってるのだろうか、志保。

すいません、送信ミスで14と15の間が抜けました。これが14.5の部分になります。

…ああ、ひどく懐かしい。皆で笑いあって、競いあって…。楽しかった日々が、懐かしい。こんなことでは前に進めないことを自分で分かっているのに、この記憶に沈むことが何より心地いい。

無意味な憧憬、無意味な感傷。しかし何よりも愛おしい。無くして初めて大切だと分かるとはよく言うが、そんなレベルのものではなかった。

…これは泥沼だ。人を溶かす溶解液だ。抜け出すことは出来ず、中のものを永遠と苦しめ続ける。

「…うん、それもいいかもしれないな。皆の現状を理解することで、この感傷も薄れるかもしれない。」

嘘だ。そんな希望などない。甘い蜜に浸かっていたいという気持ちは変わっていない。ただ単に、皆に会いたいだけだ。

それを知ってか知らずか、志保は微笑みながらこう言った。

「……大丈夫ですよ、プロデューサーさん。皆揃ってミリオンスターズですから。」

これにてプロローグ終了です。10年後のミリオンスターズが見たいなあという自分の勝手な妄想から書き起こしたテキトーなストーリーとなりますが、お付き合い頂けるととても嬉しいです。初投稿ですので、気長にみてもらえれば。リアルの方が結構忙しいので投稿はかなりまばらになると思われます。ご容赦ください。

あー、すみません。自分の中で構想は立てていたのですが、会う人を安価で選んでもらった方がいいかと思いましたので、スレを立て直すことにしようと思います。申し訳ございません。

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