モバP「撚糸の轍」 (61)

モバマスSSです。

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カラマスお疲れ様でした。

古典シリーズです。

事務所

泰葉「……ふぅ」

ちひろ「お疲れ様です」

泰葉「あ、ちひろさん。どうもありがとうございます」

ちひろ「あんまり無茶し過ぎないで下さいね」

泰葉「ありがとうございます」

杏「そそ。杏を見習ったら?」

泰葉「あはは……」

杏「ま。事務所の人達が杏みたいになったらそれはそれで問題かもね」

泰葉「まだなにも言ってないですけどね」

杏「ん。ちひろさんがそんなことを目で訴えてた」

ちひろ「うえっ!?」

杏「否定しない辺りが正直だよね。ま。いーけど」

P「……くぁ」

杏「お疲れ様だね」

P「ん?あぁ、杏か」

杏「杏だよ」

P「どうした?レッスン終わりか?」

杏「まーね」

杏「…飴食べる?」

P「珍しいな」

杏「今は違う飴を食べたい気分なんだよね」

P「そうか。ありがとな」

杏「別にお礼言われるほどのことじゃないけどね」

凛「素直じゃないね」

杏「えー……」

杏(凛にそれは言われたくないんだけど)

凛「杏も言ってたけどあんまり無理しないでね」

P「分かってるさ。二人共ありがとな」

事務所

ちひろ「杏ちゃんから聞きましたけど」

P「はい?」

ちひろ「最近お疲れなんですか?」

P「自分ではそんな自覚なかったんですけどね」

ちひろ「あんまり無理しないで下さいね」

P「えぇ。マズかったらちゃんと休みますから」

ちひろ「そうですね。でも、杏ちゃんがそんなこと言うなんて珍しいですよね」

P「意外に見てるんですよね」

ちひろ「みたいですね」

P「本人に言っても間違いなく否定しそうですけどね」

ちひろ「そうに違いないですね」クスクス

P「俺の心配は非常にありがたいですけど、ちひろさんも無理しないで下さいね」

ちひろ「勿論。分かってますから」

P「ならいいんですけどね」

ちひろ「そう言えば今、仮眠室で泰葉ちゃんが寝てますよ」

P「そうなんですね」

ちひろ「なんだかいいお仕事貰ってきてみたいですね」

P「えぇ。ドラマのお話を頂きました」

ちひろ「そうだったんですね。アイドルの子たちが喜んでいるのを見るとこっちも嬉しくなりますよね」

P「頑張らなきゃなぁ…って気持ちになります」

ちひろ「そういえば泰葉ちゃんが言ってましたけど」

P「はい?」

ちひろ「最近、お母さんが応援してくれるようになったらしいんですね」

P「良かったですね」

ちひろ「えぇ。私もそう思ったんですけど」

P「どうかしましたか?」

ちひろ「いえ、どんな番組もしっかりコメントしてくるのでメールが来るたびに動悸が激しくなると」

P「まぁ、いつだって親からの連絡はドキッとしますよね」

P(しっかり見てコメント言ってそうだしなぁ)

ちひろ「確かに私も親から連絡が来ると……」

P「どうかされましたか?」

ちひろ「いえ、言われてみたら確かに私も思う所がありました」

ちひろ「こう…心臓に悪いですよね」

ガチャ

凛「お疲れ様」

幸子「お疲れ様ですっ」

P「二人共お疲れ様」

凛「おつかれ。もう皆帰っちゃった?」

P「ちひろさんと泰葉がいた気がする」

幸子「お。珍しいですね。この時間までいるなんて……って泰葉さんの姿が見えないですけども」

P「仮眠室だとさ」

幸子「なるほどそうでしたか。先程蘭子さんが帰ってたのでもう帰ったのかと思いました」

ガチャ

泰葉「あ、すみません。私が仮眠室占領してしまって…」

P「お、噂をすればなんとやら」

泰葉「噂ですか?」

幸子「今度の主役に抜擢されて凄いですよねって話です」

泰葉「光栄ですよね。本当に」

P「実力さ」

幸子「ボクもカワイイ役で出ますよ!」

P「先方も是非に。と言っていたしな」

幸子「フフーン♪ボクの魅力がようやく皆さんにも分かってきたようですね」

P「時代が追いついたな」

幸子「……えぇ。非常に嬉しいんですけども全部肯定されると少し、ほんのすこーしだけ恥ずかしいんですが」

凛「素直じゃないね」

幸子「…む」

凛「幸子じゃないけど、私もドラマ出るからね。応援よろしく」

P「あぁ、分かってるって。物語のピースにぴったりハマったって言ってたぞ」

凛「ふーん。その監督さんはどこかのプロデューサーと同じようなことを言うんだね」

P「皆そういう印象を持つってことじゃないのか?」

凛「そういうことにしておこうかな。褒められるのは悪い気分じゃないし」

事務所

P「二人ももう帰ったしそろそろ……」

泰葉「なんだかアレですね」

P「どうした?」

泰葉「あの二人も今回出演する訳じゃないですか」

P「そうだな」

泰葉「私が主役をやっていいのかなってちょっと思います」アハハ

P「俺は良いと思うけどな」

泰葉「そうですか…なら、私も良いと思います」

泰葉「誰かに負ける為にアイドルを始めた訳じゃないですから」

P「カッコいいな」

泰葉「へっ!?あ、それじゃ、今のは聞かなかったってことでいいですか…?」

P「寧ろ他の人に聞かせたいくらいだけどな」

泰葉「いえいえ…流石にそれは…」

P「そうか?それは残念だ」

泰葉「だって、芸歴で言ったら一番長い訳ですし…そういうこと言ってるってバレたら恥ずかしいじゃないですか」

P「まぁ、そこは人それぞれなのかな」

P(お母さんに言おうかと思ったが止めておこう)

P「そろそろ帰るか?」

泰葉「あ、えっと…ちょっとだけ台本を読んでも良いですか?」

P「練習熱心だな。あんまり無理はするなよ」

泰葉「と言うか、思ったより寝ちゃったので…」カァァ

P「流石に邪魔しちゃ悪いかなと思ったが起こした方が良かったか?」

泰葉「んー…アラーム掛けなかった私のミスですね」


P「流石に帰るぞー」

泰葉「あ、はーい」

車内

P「そう言えば蘭子には連絡したのか?」

泰葉「……あっ!」

P「まぁ平気か」

泰葉「3回くらい電話が来てました」

P「一応電話しとけよ?」

泰葉「は、はい」ピポッパ

泰葉「あ、蘭子ちゃん。うん。うん。そうなの。レッスンしてて。

あ、夜ご飯あるの?うん。それじゃ一緒に食べよっか。うん。ばいばーい」

P「なんだって?」

泰葉「ハンバーグ作って待ってるって」

P「そうなのか」

泰葉「一緒に食べますか?」

P「流石にそんなに量がないだろ」

泰葉「どうでしょうか。サプライズで…どうです?」

P「変わったな」

泰葉「そうですか?」

P「あぁ、慣れてきたのか」

泰葉「どうなんでしょう?子供っぽいだけかもしれませんよ?」

泰葉「案外、素の私は子供かもしれません」

P「思い当たる節でも?」

泰葉「思い当たる節…という訳じゃないですが、やっぱり欲しい物は手に入れたくなっちゃうなぁって」

P「ドールハウスのパーツか?」

泰葉「そっちは大丈夫だと思いますよ」

P「それじゃなんだ?」

泰葉「…さぁ?」

泰葉宅

泰葉「た――」

蘭子「やみのま!」

P「やみのまー」

蘭子「おっ?おー……」

蘭子「な、なぜ我が友が?」

P「送ってきたからだな」

泰葉「送って貰っちゃった」

蘭子「ふ、ふむ……。あ、折角だからご飯一緒に…?」

P「それじゃ、お邪魔するな」

蘭子「うむ!眷属の晩餐にいざ行かん」

P「いただきます」

泰葉「いただきます」

蘭子「ど、どーぞ」

蘭子(い、いきなりすぎて心の準備が…)ゴクリ

泰葉「美味しいですね」

P「美味いな」

蘭子「ほ、ほんと…?」

P「あぁ、俺は好きな味だ」

蘭子「クククッ、我が秘術が友の三大欲求の一つを掌握した!」

泰葉「良かったね」

蘭子「うむっ!」

P(本当に美味いなコレ…)

泰葉「器用だよね蘭子ちゃん」

蘭子「そ、そうかな…?」

P「それじゃ、ごちそうさま」

泰葉「送ってくれてありがとうございました」

蘭子「冥府からの誘いに注意を怠るな!」

P「気を付けてってことか?ありがとな」

蘭子「…ありがと」

P「こっちこそ。それじゃ、おやすみ」

翌日
ロケ地

凛「ちょっといい?」

P「どうかしたか?」

凛「大したことじゃないんだけど……」

P「おう」

凛「私たちもアイドルとしてちょっとずつ有名になったと思うんだよね」

P「特に凛はそうだな」

凛「ありがと。それで、思うんだけどね」

P「あぁ」

凛「その…恋愛ドラマとかってどうやれば良いと思う?」

P「あー……」

凛「どうかしたの?」

P「言わんとしてることは分かった」

凛「そっか。周子とかに聞いたんだけどはぐらかされちゃって」

P「なるほど」

凛「ほら、雪女のやつ凄い真に迫ってたし」

P「確かになぁ…」

凛「周子に聞いても適当にはぐらかされるし」

P「そうなのか」

凛「うん。何か知ってる?」

P「さぁな」

凛「知ってるんだ」

P「まぁな」

凛「何したの?」

P「……」

凛「ふぅん。そういうことなんだ。やっぱり隣の部屋って強いね」

P「何も言ってないんだけどな」

凛「私、エスパーなんだよ?」

P「そうなのか」

凛「うん。冗談だけどね」

凛「それでちょっとお願いがあるんだけど」

P「どうかしたか?」

凛「もし、そういうドラマがあった時はよろしく」

P「……善処する」

凛「善処してね。リアルよりリアリティが必要かもしれないから」

ロケ地

幸子「どうにも浮かない顔をしてますね」

P「元からこんな顔だ」

幸子「そうでしたっけ」

P「あぁ」

幸子「それはなんとも言えませんね。折角のボクのプロデュースを出来るのに」

P「そうだな」

幸子「……本当にどうかしましたか?」

P「心配してくれるのか?」

幸子「か、勘違いしないで下さいっ。そんな顔されるとボクのプロデュースにも影響が出ると思っただけです!」

P「顔変えるか…」

幸子「そんな怪盗みたいに簡単に……」

P「ま。流石に無理だな」

幸子「ですよね」ハァ

P「考えてみたらウチの事務所のアイドルと共演するの久しぶりか?」

幸子「え?えぇ、言われてみればそんな気もしますね」

P「折角だから幸子の良い所全部表現しちゃおうぜ」

幸子「当然じゃないですかっ!」

幸子「ボクはいつでも全力で全開で最高なんですからっ!」

幸子「ま、尤も。今回は主役じゃないのが残念ですけどね」

P「主役以外の脇が上手いとドラマは締まるからな」

幸子「えぇ!分かってますよ」

幸子「あ、そうだ」クルッ

P「どうした?」

幸子「元からそんな顔って言ってましたけど、そんなはずないですよ」

幸子「毎日見てるボクが言うんだから間違いありません」

幸子「ちひろさんからスタドリ?を貰って頑張ってるみたいですけど、たまには休んだ方がいいですよ」

幸子「Pさんの体はとっくに一人の体じゃなくなってますから」

P「そうか…そうだな。それじゃ、今度買い物でも付き合ってくれ」

幸子「んっ!?」

P「よしっ!頑張ってこーい」

幸子「あ、え、は、はい。それじゃ行ってきます」

ロケ地

P(学園ものって割と展開似てるのが多いよなぁ…)

P(転校生が来て色々物語が動き出すって感じ)

P「王道は嫌いじゃないけどな」

泰葉「お疲れ様です」

P「お、転校生。お疲れ様」

泰葉「なんですかもう」

P「悪い悪い」

泰葉「別にいいですけど」クスクス

泰葉「でも、なんだか私が転校生の役をやるって変な感じです」

泰葉「ほら、昔からお仕事をしててあんまり学校に行けてなかったですから」

泰葉「学校に行く度に転校生。的な感じとでも言えばいいんですかね」

P「なるほどな」

泰葉「はい。学校を転校しても、してなくても気づいたら仲の良いグループは出来ちゃってて」

泰葉「たまに仲が良い人が出来ても、なんだかんだで有耶無耶になっちゃったり」

P「大変だったんだな」

泰葉「そうですね。子供の時、あ、勿論今も子供なんですけど、なんでだろ。とか思ったこともありました」

泰葉「今思うと、好きでこういうお仕事をしてた訳なんだからって思っちゃいますけどね」

P「大人だな」

泰葉「誰かが手助けしてくれたおかげで、お母さんとちゃんと向き合えましたから」

事務所

幸子「ふぅ」

凛「お疲れ様」

幸子「あ、お疲れ様です」

幸子「じゃなくて、ボクは全然疲れてませんよっ!」

凛「そっか。その割にはぐったりしてるけど」

幸子「ま、まぁ、余裕綽々って訳にはいかないですけどね」

凛「あと、途中から顔真っ赤だったね」

幸子「……役どころなので仕方ありませんが流石に照れますよ」

凛「可愛いもんね」

幸子「ボクですか?」

凛「泰葉」

幸子「あ、はい」

凛「勿論幸子も可愛いとは思うけどね」

幸子「…表情を変えずにさらっと言いのけるのズルいですよね」

凛「そうかな?」

凛「今回さ」

幸子「はい?」

凛「演技とは言え泰葉に迫られるわけじゃん」

幸子「まぁ…はい」

凛「ドキドキした?」

幸子「な、なんですかこの辱めは」

凛「慌てる幸子も珍しいなって」

幸子「遊んでますね!?」

凛「半分ね」

凛「もう半分は興味」

幸子「似たようなものじゃないですか」

凛「そうかな」

幸子「そうですよ」

凛「ふーん」

幸子「あっ、なるほど」

凛「どうしたの?」

幸子「明日の撮影シーンだとそういう凛さんがそういうシーンありますもんね」

幸子「予行演習じゃありませんが予習をしてたって感じですかね」

凛「そうだね」スッ

幸子「ん?なんですか?」

凛「ようやく……ね。ずっと待ってたんだ」

幸子「え、あ、ちょ、その…」

幸子(どうしたんですか!)

幸子「ち、近い近いです!」カァァ

凛「ふぅ。こんな感じかな」

幸子「ふぇ?」

凛「あ、幸子ありがとね。おかげで自信が付いたよ」

幸子「あ…えっと…どういたしまして?」

凛「今の台詞、明日の私の台詞なんだ」

幸子「そ、そういう……ってボクを実験台にしたんですかっ!?」

凛「そういうことになるね。ちょっと自信がなかったから」

凛「ありがとね」

幸子「そう言われると強く出れないですね…どういたしまして」

凛(私が誰かに迫るって役どころはないけどね)

事務所

頼子「……」

文香「なんとも……」

頼子「ちょっと驚きましたね」

文香「…はい。まだ少し心臓がドキドキしてます」

ガチャ

美嘉「おつかれー★ って二人共どしたの?」

頼子「あ、お疲れ様…です」

文香「少し刺激的な…場面に遭遇しまして…」

美嘉「刺激的?事務所で?」

頼子「はい。恐らく…城ケ崎さんにとってはそこまでのことかもしれませんが…」

美嘉「ん?どういう系の話か分かんないけどそうなんだ」

文香「…はい。普段からそういうのには…強そうですからね」

美嘉「アタシは一体どういう風に見られてるのよ…」ハァ

頼子「それは…もう。私とは遠い世界の人間かと」

美嘉「同じアイドルで同じステージで何回も踊ってる人間が何を言ってるのやら」ヤレヤレ

美嘉「『貴方の心を奪います』だっけ? イカしてるよねー」

頼子「…他人に言われると少しだけ恥ずかしいですね」

美嘉「アタシだったら拳銃で撃ちぬくポーズで決めちゃうカナー」

文香「……似合いそうですね。007のようです」

美嘉「そそ。そんなイメージ」

美嘉「文香ちゃん今どんな本読んでるの?」

文香「これですか?」

美嘉「そ。なーんか学校の図書館にありそうなカンジの本だけど」

文香「言いたいことは…分かります」

美嘉「それで、どんなカンジの本?あんまりアタシは読まないから何とも言えないんだけど」

文香「海外の小説ですね」

美嘉「おー。そうなんだ」

文香「はい。大筋は原本がありますので同じですが訳を行う人によって微妙にニュアンスが異なる気がしますね」

美嘉「へー。それで犯人とか変わっちゃったら原作の人からクレーム来ちゃいそうだね」

文香「流石に…そこまではありませんね」

美嘉「だよねー。でも海外の小説なんて読むんだ。凄いね」

頼子「城ケ崎さんは…」

美嘉「うーん…うーん……あはは」

文香「言語が違えばニュアンスも異なります…から」

文香「もしかしたら、それこそ教科書に乗ってる昔話も…当時とは意味合いは異なってるのかもしれません…ね」

美嘉「お、なんだかテレビ番組の殺し文句みたいだね」

頼子「そう言えば…城ケ崎さんはどうしてこちらに?」

美嘉「ん?レッスン終わったからとりあえず事務所によって帰ろうかなーって」

美嘉「もしかしたら送って貰えるかもだし」

頼子「なるほど…Pさんと城ケ崎さんは仲良いですよね」

美嘉「そう? まぁ、付き合い長いからねー」

文香「あ――」

ガチャ

P「おー。なんだまだ三人いたのか」

美嘉「お、良い所に」

P「なんだ良い所にって…あぁ送るぞ」

美嘉「流石だねっ★」

P「勿論、頼子たちもな」

頼子「…すみません」

文香「…ありがとうございます」

美嘉「えっと……よろしくお願いします?」

P「どうした二人に影響されたか?」

美嘉「まぁね」

車内

頼子「そう言えば…撮影は順調ですか?」

P「ん?あぁ、泰葉たちのか。おかげ様で順調だよ」

美嘉「ドラマだっけ?いいなーアタシも出たかったなー。ガッコが舞台らしいし」

P「悪い悪い。また今度な」

美嘉「ホントに?なら許してア・ゲ・ル」

文香「凛さんと…幸子ちゃんも出ていますよね」

P「お、よく知ってるな」

文香「…はい。偶然ですが」

P「そうか。二人共流石だよな。よくやってくれてるよ」

文香「流石…ですね」

文香(凛さんの言葉は誰に向けたものだったんでしょうか…)

文香「……流石にそれは無粋ですね」

頼子「どうか…されましたか?」

文香「いえ…一人言です」

周子の部屋

夕美「あ、周子ちゃんコレ使っていい?」

周子「どーぞ」

泰葉「あ、えっと…こんばんは」

周子「こんばんはー」

周子「別にあたしは一人暮らしだから問題ないんだけどさ、どしたの?」

周子「シューコの部屋の始まり?」

夕美「ま、相談事があって来たんじゃないのかな?」

周子「夕美は?」

夕美「私は泰葉ちゃんに誘われて」

周子「ふーん。でも、アレだね泰葉ちゃんから誘ったりするようになったんだね」

泰葉「ま、まぁ、大分時間も経ちましたから」

泰葉「それでなんですけど…」

周子「あ、夕美お茶取って」

夕美「はい。どうぞ。あ、泰葉ちゃんも飲む?」

泰葉「あ、すみません。ありがとうございます…じゃなくて」

周子「うんうん」

泰葉「今、ドラマの撮影を行っておりまして」

周子「うん」

泰葉「その中で女の子を…く、口説くみたいな所があって…」

夕美「きゃー」

周子「うんうん」

泰葉「どうやれば上手く出来るかなぁ…って」

周子「うん。夕美」

夕美「ん?」

周子「パス」

夕美「いや、私もそういうの全然分からないし」

泰葉「ほら、周子さんちょっと前にドラマで実らない恋…雪女でしたっけ?とかやってたじゃないですか」

周子「…皆良く観てるよねー」

夕美「いや、ほらPさんが皆に言ってたし」

泰葉「あ、そう言えばそうですね」

周子「うそーん…それが原因か」

周子(まぁ、あの時は上手く出来た気がするけどさ)

泰葉「だから何かコツがあるのかなぁって思いまして」

周子「…ないねぇ」

泰葉「あう」

夕美「絶対なにか隠してる気がするけど」

周子「特に隠してることはないけどねー」

夕美「ホント?」

周子「ホントかも」

泰葉「あくまで『かも』なんですね…」

夕美「この間頼子ちゃんに聞いたんだけどね」

周子「うん」

夕美「その雪女の演技?を勉強するためにPさんと一晩を過ごしたみたい…って」

泰葉「一晩って…その…」カァァ

周子「な、なんもしてないって!ただ、部屋で――」

夕美「部屋で?」ニヤニヤ

周子「……あー」

周子(カマ掛けられたかな)

周子「一緒に大富豪をやってただけ」

泰葉「二人で大富豪って中々斬新ですね」

周子「自分の持ってない手札=相手が持ってる訳だから意外と頭を使うよ」

泰葉「そうなんですね……」

夕美「なんか遊び方が違う気がしないでもないけど」

夕美(上手く逃げられちゃったかな)

周子「で、なんだっけ?女の子口説くの?」

泰葉「あ、そうです。そのお話なんですけど」

周子「うん。あれじゃない?好きな人のこと思い浮かべてみればいいんじゃないの?」

泰葉「好きな人?」

周子「うん。ライクじゃなくてラブなやつ」

泰葉「……私はアイドルですから。誰か好きな人なんていないですよ」

周子「うーん。そっか。それならそうだねぇ……」

夕美「そうだ。目を瞑って」

泰葉「は、はい」

夕美「あたしの質問に答えなくていいから想像してね」

泰葉「分かりました」

夕美「気づけばよくこの人といるなぁって人いる?」

泰葉「……」

夕美「困った時とか、助けてくれるなーって」

泰葉「……」

夕美「よくプロデュー――」

周子「もう、それ答え言ってない?」

夕美「あ、そだね」アハハ

泰葉「えっと…もういいんですか?」

夕美「いいよー。ごめんね」

泰葉「構いませんけど…あの質問で何が…?」

周子「よく一緒にいて、助けてくれるなぁ…って」

泰葉「?」

周子「誰か思い浮かんだ?」

泰葉「……ノーコメントです」

周子「ナイスアンサー」

夕美「アイドルだね」ケラケラ

泰葉「なんですかもう…」

夕美「ごめんごめん」

周子の部屋

泰葉「うーん…」

周子「ちなみにさ」

泰葉「はい」

周子「お相手はどちら様?」

泰葉「えっと…凛さんと幸子ちゃんです」

周子「あ、同じ事務所なんだ」

泰葉「そうですね。ドラマと言ってもゴールデンにやるような感じではないかと」

周子「昔からブイブイ言わせてた泰葉ちゃんがねぇ」

泰葉「ブイブイって…」アハハ

泰葉「アイドルをやりつつ、こう言ったドラマも出来るのは嬉しいです」

夕美「うんうん」

周子「幸子ちゃんと凛ちゃんならまぁなんとかなるかもね」

泰葉「……?」

夕美「……?」

周子「こういうことだって夕美」チョイチョイ

夕美「うん?」

夕美「うんうん。あー、うん。なるほどね」

周子「そういうこと」

周子「夕美がアドバイスくれるってさ」

泰葉「お願いします」

夕美「えっとね。あんまりに当てにならないかもしれないけど――」

翌日

事務所

夕美「おっはよー」

P「おはよう。早いな」

夕美「誰かさん達が寝惚けてスタドリをお花にやってないか確認しにきたの」

P「成長が促進されそうな気がするんだけどな」

夕美「成長の行きつく先は老いだしね。枯れちゃったら悲しいし」

P「まぁ、そうだな。流石にもうやらないさ」

夕美「うん。よろしく。あ、そうだ。聞いていい?」

P「どうした?」

夕美「泰葉ちゃん達が出るドラマってどんな話?」

P「学園ものだな。お昼か夕方くらいにやるドラマのはず。短期集中で数回やる予定」

夕美「ふーん」

P「主人公は転校生役の泰葉だな」

夕美「お、定番っちゃ定番」

P「ある日、役名は忘れたけど泰葉が転校してきてクラスメイトと問題を乗り越えたり、友情を深めたりする話だった記憶がある」

夕美「なるほど。イケメンの王子様役とかいるの?」

P「いや、そういうのはいなかった…はず」

夕美「それじゃ、女の子同士の友情とかをテーマにしてるのかな?」

P「どうだろうなぁ。全部の台本に目を通した訳じゃないからな」

夕美「そっかそっか。ありがとね」

P「急にどうしたんだ?」

夕美「別に?ちょっと気になっただけ」

P「そうか。夕美も今度ドラマとか挑戦してみるか?」

夕美「うーん…あんまり演じるのって出来ないかもしれないケドね」アハハ

夕美「お花屋さんとかだったら可能性はあるカモ」

ロケ地

凛「考えてみればさ」

P「どうした?」

凛「他の学校の制服なんて滅多に着る機会なんてない訳じゃん」

P「そうだな」

凛「そう考えると何だかお得な気分になるよねこういう状況」

P「お、凛も色々な制服を着たいとか思うのか?」

凛「…悪い?」

P「全然」

凛「ならいいけど。尤も蛍光色の制服とか、安っぽいの生地の物は嫌だけどね」

P「おおよそ学生が着そうにないな」

P(ちひろさんが着てたことがあったっけ…?)

凛「どういう人が着るんだろうね?」

P「さぁなぁ…」

凛「やっぱり…男の人はそういうのが好きなの?」

P「さぁな」

凛「ふぅん……それじゃ、質問変えるね」

P「うん」

凛「今の私の恰好は好き?」

P「あぁ」

凛「そ。ならいいかな。それじゃ、行ってきます」

P「行ってらっしゃい」

泰葉「随分とお仲が宜しいようで」

P「泰葉か」

泰葉「えぇ、泰葉です」

P「撮影は順調だな」

泰葉「だと思います」

P「今は休憩か?」

泰葉「はい。一段落しました。幸子ちゃんとかは撮影をしてますけど」

P「結構な強行軍だけど大丈夫か?」

泰葉「おかげ様で毎日が忙しいですが、楽しいので大丈夫ですよ」

P「それは良かった」

泰葉「やらなくて後悔はしたくないですからね」

泰葉「全部終わって振り返った時の轍を見て、疲れた。って言いたいです」

P「カッコいいな」

泰葉「そんな大それたものじゃないですけどね」

泰葉「も、尤も…頑張る為に休憩が必要なんも事実ですけどね」

P「それはそうだな」

泰葉「本当に分かってますか?」

P「分かってる――」

泰葉「つもり。は分かってないと同義ですよ」

P「う……」

泰葉「って良く母親に言われた気がします」アハハ

P「厳しいお母さんだな」

泰葉「それはPさんも御存知の通りでしょう?」

P「折角だから何か飲み物貰ってくるが何がいい?」

泰葉「ココアを一つ貰ってもいいですか?」

P「買ってくるな」

バタン

泰葉「……」

泰葉(あ、台本でも読んどこうっと)ペラ

泰葉「えっと…ここは、こうやって…」

泰葉「昨日の夕美さんのアドバイス。どうやって活かせばいいのやら…」

泰葉「他の人にも聞いてみたけど……」

P「難儀してるな」

泰葉「そうですね……って、ありがとうございます」

P「悪い悪い。遅くなった」

泰葉「今来たトコ……じゃなくて、今気づいたんで大丈夫ですよ」

泰葉「いいですね。ココア」

P「昔よく飲んでたな」

泰葉「なんかじんわり染みる気がします」

P「優しい味だよな」

泰葉「さて…そろそろ行きますね」

P「お、頑張ってこい」

泰葉「あ、そうだ」クルッ

P「ん?」

泰葉「先に凛ちゃんと幸子ちゃんのプロデューサーさんに言っておかないいけないことが」

P「……?」

泰葉「彼女たちの…心を奪います」クスッ

泰葉「それじゃ、行ってきます」

P(一瞬ドキッとした…色々な意味で)

撮影中

泰葉『弱い自分を見なければいけないから、虚飾の鎧を身に纏うんですね』

幸子『そ、そんな訳ないでしょう…!そもそもボクが弱いといつ、どこで、誰が決めましたか?』

幸子『このクラスの誰でもいいから聞いてみれば分かりますよっ!』

泰葉『見てれば分かります。そしてうめき声が聞こえます…助けてと』

幸子『超能力者かさもなくばインチキ占い師ですかねっ!』

P(白熱の演技だなぁ…)

P(あれ…泰葉だよな?)

泰葉『貴方の気持ちを把握するなんて造作のないことです。聞けば教えてくれましたから』スッ

泰葉『もし、何らかのしがらみがあったとしても。私には分かりません。だって転校してきたばっかりですから』

泰葉『だから、打ち明けてもいいですから』

幸子『……ッ!貴方が来なければ何も起きなかったんです!どうしてそんなことが言えるんですかっ!』

泰葉『助けなきゃ。偽善なのは分かってました。それでも――』

泰葉「お疲れ様でした」

幸子「お疲れ様でした。凄かったですね」

泰葉「幸子ちゃんこそ、鬼気迫るものがありましたよ」

幸子「そ、そうですかね。まぁ、ボクだから当たり前ですねっ!」フフーン

泰葉「流石です」

幸子「泰葉さんこそ、演技とは思えない何かを感じましたよ」

泰葉「ありがとうございます」

泰葉「あっ、そうだ。幸子ちゃん」

幸子「はい?なんですか?」

泰葉「――もし、本当に何か困ってることがあったら教えてね。力になれることはなりますから」

幸子「えっ……」

泰葉「偽善だとしても、力になりたい気持ちは演技じゃないですから」

幸子「えっ、あっ、はい……」

P「お、幸子お疲れ様」

幸子「あ、どうも……」

P「元気ないな。どうかしたか?」

幸子「あ、いえ。というか、泰葉さんに何か言いましたか?」

P「特になにも?」

幸子「そうでしたか……」

P「どうかしたのか?」

幸子「ちょっとだけ、Pさんに似てましたよ。演じてる時の泰葉さん」

P「そうか?」

幸子「はい。ちょっとビックリしちゃいました。流石ですね」

幸子「演技の幅が広いなぁって思いました」

P「幸子の演技も見てたけど、幸子らしさがあって良かったぞ」

幸子「それは…褒めてるんですか?」

P「あぁ、幸子にオファーした意味があった。って先方はきっと思ってくれるに違いない」

幸子「ま。ボクですからね。出来ないことはありませんよ」

撮影中

凛『ふーん。何かあったの?』

泰葉『えっと…特になにかあった訳じゃないですけど…』

凛『でも。なにかやってるでしょ?』

泰葉『別に何かをしてるって訳じゃないですけど』

凛『そうなんだ』

泰葉『ただ――』クスッ

ザワザワ

P(どうしたんだ…?)

泰葉『そう言えば……一灯は万灯に勝る。って言葉を知っていますか?』

凛『知ってるけど…』

凛(急にアドリブなんて…どうしたのかな?)

泰葉『周りに流されないで確固たる意志を持っているり――』

監督「カーット!」

泰葉「あ、すみません」ペコリ

泰葉「つい……」

凛「珍しいね」

泰葉「間違えて本当の名前で言っちゃいそうでした」

凛「そっちじゃなくて」

泰葉「はい?」

凛「アドリブなんて珍しいなぁって」

泰葉「あぁ、あれは何となくです」

泰葉「たまには私も頑張らないとですしね」

凛「いつも頑張ってると思うけど」

泰葉「それでも。たまには先輩っぽいところを見せないとなぁって」アハハ

凛「カッコよかったよ」

泰葉「少し…照れますね」

泰葉「台本に沿うことも大切なことですし、お仕事だから重要なことですけど、ちょっとだけ自分を出してみました」

泰葉「悪い子ですね」アハハ

凛「そう言えば」

泰葉「はい?」

凛「さっきの言葉って誰かに聞いたの?」

泰葉「どうしてですか?」

凛「ちょっと…ね」

泰葉「そこは企業秘密ですね」

凛「企業秘密?」

泰葉「私だって、凛さんの為に色々と努力したんですよ?」

凛「ふぅん」

泰葉「芸能界にいた実績としては私が上ですけど、そんなの関係ないくらい凛さんも凄いと思いますし」

凛「ふーん…」ポリポリ

泰葉「照れてますね」

凛「敵わないね」

泰葉「初めてそんなこと言われました」

凛「あんまり言わないからね」

凛「Pさんはいつも褒めてくれるから、あんまり自分がどうってこと分からないんだよね。だから……その、ありがと」

泰葉「照れてる凛さんも可愛いですね」クスクス

凛「改めて言われると恥ずかしいね」

泰葉「凛さんの笑顔は万灯にも勝りますよ」

控室

P(泰葉って色々な演技が出来るんだなぁ…)

凛「あ、お疲れ様」

幸子「お疲れ様でーす」

P「お疲れ様」

凛「一つ聞いてもいい?」

P「……ん?」

凛「泰葉さ、何となくPさんっぽさを感じたんだけど」

P「いや、俺は何もしてないな」

幸子「そうなんですか」

幸子「そうすると泰葉さんの演技が凄かった。って話になりますね」

凛「ちょっとだけびっくりした」

P「撮影以外でなにかあったのか?」

凛「別に?ただ…ちょっとだけ口説かれたかな」

幸子「あぁ…確かにそんな感じですね」

P(後で聞いてみるか……)

車内

P「お疲れ様」

泰葉「お疲れ様です」

P「最後になって悪いな」

泰葉「いえいえ。通り道でしたから」

P「ならいいが」

P「そう言えば、二人が褒めてたぞ?」

泰葉「二人?」

P「幸子と凛だな。なんだかいつもと雰囲気が違ったって」

泰葉「あぁ…まぁしっかりとお芝居しましたから」

P「なんでも俺っぽいって言ってたけど……」

泰葉「夕美さんと周子さんのアドバイスの成果ですね」

P「あの二人の……」

P(実質夕美のアドバイスか)

P「ちなみになんてアドバイスだ?」

泰葉「とってもシンプルなアドバイスでした」

泰葉「自分ならどうされたら嬉しいか。誰にどう言われたらってことを考えるといい。って言われました」

P「なるほどな」

泰葉「お二人のことはとある所から情報を仕入れまして、自分なりに整理してみたらあんな感じなりましたね」

P「そうなのか……」

泰葉「はい」

P「ちなみに」

泰葉「はい?」

P「情報源は?」

泰葉「企業秘密です♪」

P「それは残念」

P(ちひろさんかな?)

泰葉「やってみて思いましたけど、私はお芝居も大好きみたいです」

P「アドリブも入れてたな」

泰葉「お芝居とは言え、カメラの中ではその登場人物はそこに存在する訳ですから。その人達に対して何が響くか。

泰葉「そう考えてたら自然とああなっちゃいました」

P「そう言えば二人が面白いことを言ってたな」

泰葉「面白いこと?」

P「あぁ、俺みたいだって」

泰葉「Pさんみたい…?」

P「雰囲気がどうとか…って」

泰葉「アイドルの子たちにあんまり口説き文句ばっかり言ってちゃダメですよ」

P「そんなつもりはないんだが」ポリポリ

泰葉「聞いた側がどう受け取るかによるかもしれませんけどね」

P「泰葉はどうだった?」

泰葉「私ですか?うーんまぁ、ノーコメントで」

P「あらま」

泰葉「ただ、お母さんが来た時のPさんの台詞は今でも心に残ってますよ」

P「誰かから聞かされると恥ずかしいから言わなくていいぞ」

泰葉「…ふふっ」クスクス

泰葉「変な話かもしれませんが」

P「どうした?」

泰葉「モデルをやっていたからどう見られるかを意識することが出来たと思います」

P「そうだな」

泰葉「子役をやっていたからスケジュールの管理には自信があります」

P「確かにな」

泰葉「今の私がこうやってアイドルのお仕事を貰えるのはそういう過去があるからかもしれないですよね」

泰葉「昔の私も今の私も全部一本の線で繋がっていてそれは全部アイドル岡崎泰葉で結ばれている。そんな気がします」

泰葉「昔の私…間違いじゃなかった」

泰葉「ってなんだかカッコつけ過ぎですかね」

P「いいと思うぞ」

泰葉「皆さんに会って。Pさんに会って。私は変わったなぁって思います」

泰葉「冷静に何かを演じることも大事です。ただ、時には感情に任せて想いに身を任せることも大切だと分かりました」

P「大人だな泰葉は」

泰葉「まだまだ子供ですよ。コーヒーだってミルクと砂糖を沢山入れなきゃ飲めません」

P「これからも頑張っていこうな」

泰葉「はいっ。これからもよろしくお願いします」

事務所

P「ただいま戻りました」

ちひろ「お疲れ様です」

頼子「お疲れ…様です」

P「頼子はレッスン終わりか?」

頼子「はい…そんな所です」

ちひろ「折角なんで息抜きでもしますか」

P「そうですね」

P「そう言えばちひろさん」

ちひろ「どうしましたか?」

P「泰葉に凛と幸子の話とかしましたか?」

ちひろ「具体的には?」

P「例えばスカウトされた時の話とか――」

頼子「あぁ…それは私がお話しました」

P「頼子だったのか」

頼子「はい。なんでも…お芝居で使うから…と」

P「なるほどなぁ」

頼子「役に立った…でしょうか?」

P「泰葉的には役立ってたみたいだな」

頼子「それは…よかったです」ホッ

頼子「尤も…そんな話を聞いてセリフをなぞるだけではPさんをなぞることは…難しいと思いますけども」

P「そうなのか?」

頼子「限った話では…ありませんけどね」

頼子「同じような題材、同じような展開を意識しても同じ。には…なりませんから」

頼子「ましてや、反応までが同じという訳にはいきませんね」

P「なるほどな」

頼子「そう言えば……Pさんは何か言われました…?」

P「俺か?」

頼子「えぇ、心でも奪われましたか?」

読んで下さった方ありがとうございました。

中々掲示板の方に投稿することが出来ませんでした。

今後はまた少しずつでも頑張ります。

解説というほどではありませんが、今回参考にしたのは柳亭種彦の『偐紫田舎源氏』です。

偐と言うのはそのまま偽の意味になります。

源氏物語をベースにして違う登場人物、違う場面背景にて再構築(翻案)したものになります。

いつの時代も話は渡っていくものですね。

失礼いたしました。

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