緋沙子「幸平、遠月でミスコンをやるらしいぞ」 (57)

創真「ミスコンって……あのミスコンか?」

緋沙子「うむ。女子の人気投票のような、あのミスコンだ」

創真「そういうのって普通、学園祭とかでやるもんじゃないのか?」

緋沙子「月饗祭の時は、多くの生徒が自分の店とかで忙しかったからな」

創真「でもなー……そんな浮ついたイベント、中村先輩が許さないんじゃないのか?」

緋沙子「それが薊殿は、意外と乗り気らしい」

創真「中村先輩……」

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緋沙子「で、幸平は誰に投票するんだ?」

創真「へ? 別に興味ないし、参加する気ねーけど」

緋沙子「駄目だ。女子は立候補側、男子は投票側で全員強制参加らしい」

創真「マジかよ……」

緋沙子「ああ、困ったことにな」

創真「うーん……正直どうでもいいし、極星寮の誰かでも適当に……あ、何なら新戸でも」

緋沙子「ふざけるな! 真剣に考えろ!」

創真「えぇ!? 新戸、ガチなのかよ!?」

緋沙子「……いや、本来ならばどうでもよかったんだが……」

緋沙子「実は、実行委員長が、えりな様らしくてな」

創真「薙切が?」

緋沙子「ああ。どうも押し付けられたらしくて……」

創真「はー……それはお気の毒に……」

緋沙子「とはいえ、えりな様がメインで関わるとあっては、私も本気になるしかない」

緋沙子「だから、全男子は無理でも、せめてお前くらいは真面目に参加させてみせるぞ」

創真「俺、完全にとばっちりじゃねえか!」

緋沙子「ちなみに、実行委員長のえりな様には投票不可能だ」

創真「そうなのか? 不正防止とか、そういうことか?」

緋沙子「それもある。もっとも、えりな様が不正などするはずないが……」

緋沙子「何より、えりな様がアリならほぼ確実に優勝決定で面白みがない、とのことだ」

創真「あいつ、そんな人気あんのか……」

緋沙子「当然だ。さて……じゃあ改めて聞くが、誰に投票する気だ?」

創真「誰にって言われてもなぁ……考えたこともねえや」

緋沙子「仲の良い女子くらい、いるんじゃないのか? 極星寮の人達もいるし」

創真「そりゃまぁ……でも、その中から一人選ぶってなると、難しいな……」

緋沙子「ふむ……よし、ならば私が手伝ってやろう。ついてこい」

極星寮



恵「あ、創真くん」

悠姫「幸平ー! 聞いたよ、ミスコンやるそうじゃーん? しかもえりなっち主導で」

えりな「あの、だから私は押し付けられただけで……」

伊武崎「誰に投票するんだ?」

創真「いや、まだ何も決めてねーけど……」

緋沙子「まぁ、第一候補はやはり極星寮の誰かだろう。慎重に考えろ」

創真「と言われてもな……」

涼子「ここの男子は、皆ここの誰かに投票するみたいよ」

青木「まぁ、他に女子の知り合いなんかあんまりいねーしな」

佐藤「だな」

悠姫「とりあえず、青木と佐藤は私と涼子で確保したんで、幸平は恵とかどうよ?」

涼子「恵も幸平君に投票してもらえたら、嬉しいんじゃない?」

恵「ふえっ!? なななな、何言ってるべさ!?」

創真「あれ? そういえば一色先輩の姿が見えねーな。一番楽しんでそうなのに」

えりな「あぁ、一色先輩なら……」



慧『あああああどうすればいいんだ彼女たちの中から一人だけ選ぶなんて不可能だ
  なぜ権利が一票だけしかないんだこんなのってあんまりだなぜだなぜ……』



えりな「という感じで、部屋に引きこもってるわ」

創真「あぁー……あの人、全員を溺愛してるからな……」

悠姫「で、誰にするの?」

創真「んー、じゃあジャンケンで勝った奴にでも」

緋沙子「馬鹿者! 適当に決めるなと言っただろう!」

創真「つってもなー……」

伊武崎「無理にここから選ぶこともないとは思うがな」

青木「幸平は女子の知り合い多いもんなー」

佐藤「羨ましい限りだぜ」

緋沙子「ふむ……まぁ投票日までには間があるし、もう少し考えてもいいかもしれないな」

創真「まぁ、それもアリか」

涼子「あら、つれないのね。ねぇ、恵?」

恵「えぇっ!? あ、うん、えーと!」

丸井「どうでもいいけど皆、さっさと部屋から出てってくれないか……」







緋沙子「……で、誰に投票するか決められたか?」

創真「いや、全然」

緋沙子「やれやれ……仕方のない奴だな。皆、あれほど可愛らしい子だというのに」

創真「そもそも伊武崎も言ってたように、あの中から選ぶかどうかもわかんねーし」

緋沙子「他にも候補の女子がいると?」

創真「候補っつーか、よく話す女子なら他にもいるぞ」

緋沙子「なるほど……では、その女子たちの所へ行ってみよう」

創真「何か意味あるのか?」

緋沙子「彼女たちの魅力の再確認をすることで、投票先を決められるだろう?」

創真「お前、薙切が絡んでるからって、気合い入りすぎだろ……」

丼研部室



ガヤガヤ

創真「ちーっす。おお、だいぶ部員が増えて賑わってきたな」

郁魅「ん……って、ゆ、幸平!? よ、よく来たな」

緋沙子「水戸郁魅か。事前調査によると、一年の中ではトップクラスの人気みたいだぞ」

郁魅「……なんだよ、新戸緋沙子もいたのか」

緋沙子「む、まずかったか?」

郁魅「……べっつにぃ。で、何の用だ?」

創真「にくみはミスコンのこと、知ってっか?」

郁魅「え? あぁ……女子は強制立候補とかいうアレだろ。迷惑な話だぜ、まったく」

緋沙子「実は幸平は、投票先に悩んでいてな。それで今、投票候補の女子の所を回ってるのだ」

創真「どっちかっつーと、回らされてるって感じだけどな」

郁魅「……!? ま、まさか幸平、私に……!?」

創真「いやー、まぁ入れてもよかったんだけど、迷惑な話だと思ってんならやめとくよ」

緋沙子「うむ、さすがに嫌がる相手に投票するのは良くないな」

郁魅「……へ?」

緋沙子「よし、次は誰の所に行く?」

創真「うーん、そうだなぁ……あ、邪魔したな、にくみ」

郁魅「…………」

ガラッ

小西「肉魅よ聞いたぞ! ミスコンやるんだってな!」

郁魅「…………」

小西「心配するな! 俺は絶対、お前に入れてや……」

郁魅「うるせぇ!」バキッ

小西「なずぇに!?」







美代子「なんだ幸平? それに新戸緋沙子まで」

緋沙子「北条美代子か。彼女とも親しかったのだな」

創真「ああ、月饗祭で色々あってな」

美代子「アタシに何か用かい?」

創真「今度のミスコンのこと、どう思うよ?」

美代子「アレか……まぁ、勝手にやってくれって感じだな。アタシには関係なさそうだし」

緋沙子「特別、興味はなさそうだな」

美代子「幸平がアタシに入れてくれるっつーんなら、有難く受け取っておくけどな」

創真「いや、まだ決めてねーけど……」

緋沙子「幸平よ、彼女もかなり高い人気を誇っているらしい」

創真「へー、お前モテるんだな」

美代子「なっ……そ、そうなのか……?」

創真「そういや選抜の時も、男子の目を惹きつけていたって聞いたことあるなぁ」

美代子「ほ、ほー……酔狂な輩も、いたもんだねぇ」

創真(嬉しそうだな……)

緋沙子(男子の目云々は、多分露出度の話だと思うけど黙っておこう)



緋沙子「月饗祭でも出会いはあるものだな。次は誰だ?」

創真「そうだな、月饗祭で知り合ったといえば……」







ナオ「ひ、ひひひひ緋沙子お姉さま! と、ついでに幸平創真」

創真「貞塚とは、食べ物の趣味が合ったんだよな」

ナオ「幸平創真……なんで緋沙子お姉さまと、一緒にいるのかしら?」

緋沙子「おい幸平……さすがにこいつは、ないんじゃないか?」

創真「確かに、ミス遠月って感じではないかもしれないけど」

ナオ「あぁ……ミスコンの話ね。幸平は誰に入れるの?」

創真「悩み中でなー……貞塚でもいいっちゃいいんだが」

ナオ「喜んでいいのかどうか、微妙な発言ね……」

創真「まぁ、趣味が合うという点では、遠月では一番かもしれないな」

ナオ「あ、ご心配なく! 緋沙子お姉さまには、私が持てる力の限りを持って投票いたします!」

緋沙子「いや、女子に投票権はないからな」

創真「ところで新戸、なんで貞塚は同級生なのにお姉さまとか呼んでるんだ?」

緋沙子「さぁ?」

ナオ「いつでもいらして下さい……今度はお姉さま一人で……ひひひ」



緋沙子「何だかやけに疲れたな……そういえば、上級生には知り合いはいないのか?」

創真「男子なら、一色先輩とか久我先輩とか、結構いるけど……」







竜胆「幸平、上級生のフロアに珍しいじゃん! それに秘書子ちゃんまで」

緋沙子「秘書子ではありません! 緋沙子です!」

創真「女子となると、この人くらいかな」

竜胆「お、何々ー? 私が企画したミスコンの話かー?」

緋沙子「どうも幸平が、投票先に迷っているらしくて……って、企画?」

竜胆「面白そうだから、私が企画した! 盛り上がってるようで、発案者冥利に尽きるってもんだな!」

創真(この人が元凶か……)

竜胆「総帥の許可も取れてー……で、面倒なところは全部、薙切にぶん投げた!」

緋沙子(この人が元凶か……)

竜胆「そーだ! 幸平は当然、私に入れてくれるよな? な?」

創真「え、いや特に決めてないっすけど」

竜胆「なんだよー! ミス遠月なんて言葉、眉目秀麗の私のためにあるようなもんじゃんかー!」

創真「自分で言うんすか、それ……」

緋沙子(しかし……)ジロジロ

竜胆「んー?」

緋沙子(確かに容姿もスタイルも、勿論料理の腕も文句なし。社交的で友人も多そう)

緋沙子(……実は、相当モテるんじゃないか? この人)

竜胆「ふっ、幸平に続き秘書子ちゃんの心も奪ってしまうとは、罪な女だな……私」

創真・緋沙子「「奪われてません」」



緋沙子「しかし、なぜここはスタイルいい女子がこんなに多いんだ……」

創真「あと、知り合いの女子っつーと……」







アリス「あら幸平クン。それに秘書子ちゃんまで」

黒木場「……ちっす」

緋沙子(やはり、えりな様の親戚だけあって、スペックは抜群だな……)

創真「黒木場はやっぱ、アリスに投票するのか?」

黒木場「ミスコンか……他の選択肢、許されてねーから……」

アリス「なによう! リョウくんは普段お世話してあげてる、私に入れるのが当然でしょ!」プンプン

黒木場「むしろ、こっちがお世話してるんすけど……」

アリス「ところで幸平クンも、私に入れてくれるの? だとしたら嬉しいわね」

創真「アリスはこういうイベント、好きそうだよな」

緋沙子「幸平よ、やめておけ。まだ貞塚に入れた方がマシだ」

アリス「なんでよなんでよ! ミス遠月ってのは、眉目秀麗の私のための言葉じゃない!」

創真(さっきもこれ、聞いた気がするぞ……)

黒木場「幸平……お嬢に入れてやってくれ。そうしないと、こう……機嫌が悪くなる」

創真「知らねーよ……」







創真「これで目ぼしい知り合いは、大体回ったかな」

緋沙子「……ずいぶん、可愛い子の知り合いが多いんだな」

創真「そうか?」

緋沙子「ふん、まあいい。それで、誰に投票するかは決まったか?」

創真「やー、それがまだ……」

緋沙子「……はぁ。投票日まではまだ時間がある。えりな様のためにも、しっかり考えておけよ」

投票前日の夜



緋沙子「さて、そろそろ決まっただろう?」

創真「うーん、考えてはみたんだけどなー……なかなか……」

緋沙子「まだ決まっていないのか……まぁ、迷う気持ちはわからんではないがな」

緋沙子「私と共に会ってきた女子は、誰もが皆、それぞれ違う特別な魅力をもっている」

創真「ああ。それは間違いないな」

緋沙子「だが、明日には誰か一人を選ばねばならん。苦しいところだが、何とか頑張ってみろ」

創真「ああ。サンキューな、新戸」

緋沙子「礼などいい。私はあくまで、えりな様のためにやったことだからな」

創真「……ふぅ」

創真「さて……どうすっかな」

創真「田所……北条……竜胆先輩……それに……」

創真「んー……迷うけど……」

創真「……うん、ここはやっぱり、これしかないな」






そして翌日。投票が終わり……






えりな「……さて、これを全部集計しなくちゃならないのね」

えりな「こればかりは緋沙子に手伝ってもらうわけにもいかないし、頑張らなきゃ」

えりな「でも、誰の名前が書かれているのかは、やっぱり気になるわね……」

えりな「どれどれ……」



『水戸おっぱ郁魅! おっぱおっぱ!」

『北条美代子。生足ハァハァ』

『麗ちゃああああああああん! 愛してるよおおおおおおお!」



えりな「」

『茜ヶ久保ももちゃーん! も、もーっ、モアアーッ! モアーッ!」

えりな「こ、これは……日本語なのかしら……」



『木久知園果さん。あの乳房に挟まれたい』

えりな「いや、OBは対象外でしょ……」



『えりな様に一票』

えりな「だから、私には投票不可能だってば!」



『紀ノ国寧々。あの冷たい視線でさげすまれたい』

えりな「ここ、一応、世界的なエリート校だったわよね……」

えりな「投票者の名前も、記名必須にすべきだったかしら……あら? これは……」

『榊涼子。他意はないけど、極星寮の仲間だから一応。他意はないけど』

『田所恵。女子の中では一番、僕の部屋を荒らさない』

『吉野悠姫。あいつが榊に入れるっぽいので』

『榊涼子。あいつが吉野に入れるっぽいので』

えりな「ふふ……これは伊武崎君に、丸井くんに……えーと、あの二人何て名前だったかしら」

えりな「普通の投票を見ると、何だか安心するわね……さて、次は……」



『田所恵くん。彼女の作る、ホスピタリティのある料理は最高の癒しだ。

 でも、榊くんも吉野くんも、それに新戸くんも薙切くんも、みんなみんな最高に素晴らしい女性だ。

 ああ、なぜ一票だけしか権利がないのだろう! こんな思いをするのなら花や草に生まれ(ry』

えりな「あ、はい。田所恵さんに一票、と……」カキカキ

『薙切アリス。入れろって言われたんで』

『汐見潤。他の女なんかどうでもいい』

『小林竜胆。十傑二位はコピーのしがいがありそう』

『田所恵。よく話す女子は彼女くらいのものだし、弟も仲良くしてもらってる』

『田所恵。よく話すし、兄ちゃんとも仲良しなんだ』

えりな「このへんも誰だか分かりやすいわね……しかし、教師に投票ってアリなのかしら?」

えりな「コピーとかもよくわからないし……世の中にはいろんな人がいるのね……」

『水戸郁魅! 応援してるぞ、肉魅いいいいいいいい!』

えりな「水戸さん、丼研でうまくやっているようね」



『こばやしりんどう。かのじょは、ぼくのしごとを、いつもてつだってくれます』

えりな「司先輩……何があったか知らないけど、お疲れ様です……」



『小林竜胆。入れないとうるさい』

『小林竜胆。入れないと後が怖い』

えりな「この字は、叡山先輩と久我先輩ね」



『緋沙子お姉さま。愛しております……ひひひ……』

『緋沙子お姉さま……あぁ、緋沙子お姉さま……』

『緋沙子お姉さま……私を見てください……』

えりな「な、なにこれ……明らかに同一人物の筆跡だし、どうやって投票用紙を入手したの……」

えりな「とりあえず、まとめて無効票にしておきましょう。それにしても、女子っぽい字ね」

えりな「ふぅ、だいぶ終わりに近づいてきたわね」

えりな「なんだかんだで、結構楽しいものね。さて、次は……」

えりな「……ん、これは……」

えりな「…………」

えりな「ふふっ」

後日



麗「皆さん、お集まりいただきありがとうございます! お待たせしましたぁー!」

麗「いよいよ、遠月ミスコン結果発表でーす!」

男子一同「「「うおおおおおお! 麗ちゃあああああああん!」

女子一同「「「チィッ!!」」」

創真「さすがにちょっと緊張してきたな。誰が優勝すんだろ?」

伊武崎「難しいところだな……」

丸井「一年なら水戸さんや北条さん、川島さん、あとは薙切アリスあたりとか?」

慧「せっかくだし、極星寮から出てきてほしいものだけど……」



麗「それでは! 栄えあるミス遠月に輝いたのは……」

「「「「ゴクリ・・」」」」




麗「3年! 茜ヶ久保ももさんでーす!」

「「「「うおおおおおお! ももちゃああああああん!」」」」



慧「な!」

伊武崎「ん!」

丸井「だっ!」

創真「てえええええええええ!」

麗「それでは、ミス遠月の茜ヶ久保さんから、何か一言!」(チッ、コノクソロリガ)

もも「……ぶいっ」

「「「「うおおおおおお! ももちゃああああああん!」」」」



創真「はー、茜ヶ久保先輩とは……全く予想してなかったな」

伊武崎「しかし……なぜ茜ヶ久保先輩なのだろう」

慧「……なるほど、そういうことか!」

創真「一色先輩、何かわかったんすか?」

慧「考えてみてくれ。遠月の女子たちは、揃いも揃ってスタイル抜群だろう」

創真「はぁ、それが?」

慧「巨乳好きは、水戸さんや北条さん、榊くんなどに票が分散してしまった」

慧「一方、ロリ属性をもった目ぼしい学生は、茜ヶ久保先輩くらいのもの……」

慧「だからこそ、ロリ好きの票は集中し、その結果優勝することができたのさ!」

創真(やべぇ、一色先輩が何言ってるか全くわかんねぇ……)

竜胆「あーくそぅ! 茜ヶ久保に負けるなんて!」

久我「心配ないっしょ。茜ヶ久保先輩がいなくても、多分他の誰かに負けてるし」

竜胆「なんだとー!」



アリス「んもう、なんで私が1位じゃないの!」プンプン

黒木場(あ、これ、俺が八つ当たりされる流れだ……)

悠姫「ありゃー、負けちゃったかー!」

涼子「元々勝てるとは思ってなかったでしょ」

悠姫「いや、ワンチャンあるかなって」

恵「あ、あはは……」

涼子「でもまぁ、こうして盛り上がれたのなら、いいイベントだったのかもしれないわね」

悠姫「よーし、次は私が優勝するぞー!」

恵「次、あるのかな……」



麗「それでは、その他トップ10の人たちも発表しまーす!」





極星寮



涼子「お帰りなさい、新戸さん」

緋沙子「う、うむ……えりな様、お疲れ様でした」

えりな「ありがとう、緋沙子」

悠姫「結局うちで入賞できたのは、新戸っちと涼子だけかー」

恵「新戸さん、おめでとう」

緋沙子「といっても、私はギリギリの10位だったけどな」

えりな「あぁ、そうそう。これが緋沙子宛の投票用紙よ」

緋沙子「そういえば、投票された人は、それを貰えるんでしたね」

涼子「どれどれ。どんなことが書いてあるの?」

悠姫「私も見たーい!」

緋沙子「こ、こら……」



『新戸緋沙子。かわいい』

『新戸緋沙子。いつも薙切さんの隣りで頑張ってて、応援してあげたくなる』

『新戸緋沙子。いいお嫁さんになりそう』

悠姫「ほほう、なるほどなるほど」

えりな「緋沙子、どう?」

緋沙子「ん、むむ……や、やっぱり、多少は嬉しいものですね……」

悠姫「いいないいなー、私なんて結局、身内の1票だけだったし」

恵「私も友達や郷土研の人達以外からは、多分貰ってないよ」

緋沙子「……ん? これは……」

悠姫「お?」

涼子「これって……」

『新戸緋沙子。

 スタジエールでは世話になったし、薬膳の知識もためになる。

 何より、このミスコンでずっと俺に付き合ってくれたおかげで、色々な人たちの魅力を再確認できた。

 正直、最初はミスコンとか興味なかったけど、新戸のおかげで最後にはとても楽しくなった。

 新戸がいてくれれば、これからも楽しいことが沢山待っている気がする。

 だから、新戸に一票入れたい』



悠姫「…………」

涼子「スタジエール、ってことは……」

恵「創真くん、だね……」

緋沙子「な、なななななななな……」

えりな「彼、迷っていたみたいだけど、結局緋沙子に投票したみたいね」

緋沙子「ば、馬鹿な! な、な、なぜ私などに、貴重な一票を……」

涼子「こんなに情熱的な文、私にも無かったわよ……」

悠姫「ひゅーひゅー、お熱いねー。これを機に付き合っちゃえばー?」

緋沙子「つ、つ、付き!?」

恵(うぅ……なんか胸がチクチクするよ……)

えりな「どうかしら、緋沙子? 感想は」

緋沙子「わ、私は……」



創真「お、女子たちで集まってんのか。何やってんだ?」

緋沙子「ゆ、幸平!?」

悠姫「おぉ、いいところに来たねー!」

涼子「ほら、新戸さん。何か言うことあるでしょ」

緋沙子「そ、その……幸平……」

創真「あぁ、もしかしてミスコンの話か! 結局、新戸に当たったんだよな、俺」

緋沙子「あ、ありが……ん?」

えりな「当たった……って?」

創真「ああ、実はな……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


創真「……ふぅ」

創真「さて……どうすっかな」

創真「田所……北条……竜胆先輩……それに……」

創真「んー……迷うけど……」

創真「……うん、ここはやっぱり、これしかないな」

創真「紙と鉛筆を用意して、と。こんな感じで……」

創真「よし、完成! ふみ緒さん、ちょっといいかな?」

ふみ緒「ん、何だい?」

創真「こっからどれか一つ、適当に選んでくれ」

ふみ緒「これは……あみだ? じゃあここで……」

創真「よし、では開いてと……ふんふん……お、新戸に当たったか」

ふみ緒「新戸緋沙子……貞塚ナオ、薙切アリス……極星寮の子たちの名前もあるね」

創真「サンキューな、ふみ緒さん!」

ふみ緒「……? 何だったんだい、今の……?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



創真「てな感じで、結局あみだで決めたんだよ」

緋沙子「」

えりな「」

恵「」

悠姫「」

涼子「」

創真「あ、そうだ。榊と新戸、入賞おめでとう」

緋沙子「…………」プルプル

創真「ん? どうした新戸?」

えりな「…………」

恵「…………」

悠姫「…………」

涼子「…………」

緋沙子「幸平……このっ、バカぁーーーーっ!」ベチン

創真「ぎゃっ! 何すんだ、いきなり!」

緋沙子「返せ! 私の胸のときめきを返せ!」ベチベチ

創真「ときめき!? 何のことだよ!?」

緋沙子「なっ! と、ときめいてなどいない!」ベチベチ

創真「意味わかんねぇよ! おい、お前らも止めてくれ!」

恵「創真くん……今のはさすがに、ないと思う……」

悠姫「サイッテー」

涼子「酷いわね、幸平君」

えりな「地獄に落ちなさい」

創真「えぇ、まさかの味方ゼロ!?」

緋沙子「幸平……バカぁーーーーーーーっ!」



こうして、創真は女子一同に罵倒されながら一日を終えた。

数日後



えりな「はぁ……」

緋沙子「どうしたんですか? えりな様」

えりな「実は会議で、小林先輩が『今度は勝つからもう一回やろうぜ』って提案してきてね」

緋沙子「え……まさか、ミスコンですか!?」

えりな「ええ。昨日の今日だから、さすがに却下されたけど」

緋沙子「そりゃそうでしょう……はぁ、もうミスコンのことは思い出したくもないです」

えりな「緋沙子への投票用紙は?」

緋沙子「まとめて引き出しの奥深くに放り込みました。幸平のは燃やしました」

えりな「……結局、幸平君のこと、どう思ってるの?」

緋沙子「決まっています! 嫌いも嫌い、大嫌いです!」

えりな「そ、そう……」

緋沙子「それではえりな様、私は課題がありますので、部屋に戻ります」

えりな「ええ、またね」

緋沙子「ふぅ……」

緋沙子「…………」

引き出し「ガラッ」

緋沙子「…………」カサッ


『新戸緋沙子。

 スタジエールでは世話になったし、薬膳の知識もためになる。

 何より、このミスコンでずっと俺に付き合ってくれたおかげで、色々な人たちの魅力を再確認できた。

 正直、最初はミスコンとか興味なかったけど、新戸のおかげで最後にはとても楽しくなった。

 新戸がいてくれれば、これからも楽しいことが沢山待っている気がする。

 だから、新戸に一票入れたい』

緋沙子「…………」

緋沙子「ばーかっ」

えりな「あ、ごめん緋沙子。あの漫画のことなんだけど、次の巻を……」ガラッ

緋沙子「ぎゃああああああっ! え、えりな様!? な、何用ですか!?」

えりな「……今、隠したのって、もしかして……」

緋沙子「ち、違います! 幸平のアレは燃やしましたから!」

えりな「まだ何も言ってないんだけど……」

緋沙子「え、えーと、はい! 次の巻ですね!」

えりな(……結局、好きなのかしら? 嫌いなのかしら?)



END

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