杏子「遊戯は私の事が嫌いなんだ」 遊戯「え!?」(21)


童実野町・某居酒屋にて……

4人「乾杯~」

遊戯「そういえばこの4人で飲むのって何気に初めてだね」

城之内「そういやそうだな。俺はたまに本田と2人で飲んでるけど」

本田「全員の都合が中々合わなかったからな」

杏子「ごめん、特に参加出来てないの私よね」

遊戯「杏子はアメリカに住んでるんだし仕方ないよ」


城之内「それで調子はどうなんだよ? もう毎日バリバリ舞台で踊りまくってるのか?」

杏子「まだそこまでは行ってないわよ。でも少しずつだけど夢へは近づけてる感じ……城之内と本田は?」

本田「俺は毎日工場で汗水垂らしながら働いてるよ。まあそんなに変わり映えもしない毎日だな」

城之内「俺は順調にプロデュエリストへの道を進んでるぜ。この城之内克也様の名前が世界に轟くのも時間の問題だな」

本田「何言ってんだよ。未だにバイト生活から抜け出せてないくせに」

城之内「うるせえな。俺は大器晩成型なんだよ!」

遊戯「あはは」


城之内「ていうか俺と本田には聞いて遊戯には聞かねえのか……って、あー悪い、悪い。そーだったな、うん」

本田「城之内、それを聞くのは野暮ってもんだぜ。なあ遊戯」

遊戯「え? な、何?」

城之内「だってお前ら定期的に手紙や電話でやり取りしてるもんな。そりゃ聞く必要ねえよな、色々話してんだから」ニヤニヤ

本田「しかも昨日杏子が日本に帰った時に真っ先にお前の家に行ったって聞いたぞ。昨日はお楽しみでしたね、遊戯君」ニヤニヤ

遊戯「べ、別に何もないよ! 部屋でちょっと話したくらいで……あ、杏子からも何か言ってよ!?」

杏子「…………」

遊戯「って、杏子?」

城之内&本田「?」


杏子「あ、ごめん。えっと、何の話してたんだっけ?」

城之内「何だよ、せっかく盛り上がってたのにジッとコップ見つめて……って、お前全然飲んでねえじゃん」

本田「何だ、もしかして杏子って酒苦手なのか?」

杏子「いや、そんな事ないよ。むしろお酒は好きで向こうでも結構飲んでた」

城之内「だよな。何となくお前はそんなイメージがある」

杏子「ちょっと、どういうイメージよ……けどなぜか飲んでるとすぐ記憶が飛んでっちゃうのよね」

遊戯「え? それ本当?」


杏子「寝ちゃうって訳じゃないと思うんだけど……もしかして私ってお酒は好きだけど弱いのかなと思って」

遊戯「そうなんだ。じゃあ今日もあんまり飲まない方がいいかもしれないね」

城之内「何言ってんだよ、杏子! 今日は初めてこの4人で飲むんだぜ! そんな細かい事は気にするなって!」

本田「そうだ、そうだ。万が一酔いつぶれても俺らがいるんだ! 何も心配はねえよ!!」

遊戯「2人とも? 何言って……」

城之内「(ヒソヒソ)おい、お前は見たくねえのかよ遊戯。酔いつぶれた杏子の姿をよぉ」

本田「(ヒソヒソ)上手くいけば酒に酔って乱れた杏子が見れるかもしれないぜぇ」

遊戯「本当に何言ってんの、2人とも!?」


杏子「ちょっと、男3人で集まって何話してるのよ?」

城之内「何でもねえよ! とにかくお前は何も心配せず好きなだけ飲めって事だ!」

杏子「怪しいなぁ。でも確かにこの4人で飲むんだし変な遠慮はいらないわよね……んっ」ゴクゴク

本田「よっ! いい飲みっぷり!!」

杏子「……ぷはっー! 美味しいー♪」

遊戯(本当に大丈夫かなぁ……?)


数分後……

杏子「…………」ゴクゴク

三人「…………」

城之内「何か杏子の奴、急に静かになったな。そして黙々と飲んでる……」

遊戯「最初の内は騒いでたのにね」

本田「何か俺らが想像していた酔い方と違うな……てか目が据わってねえか、あいつ?」

杏子「……すいません。生1つお願いします」

三人「…………」


城之内「しかしちょっと飲むペースが早過ぎるな。遊戯、お前軽く注意してやれよ」

遊戯「え? 僕が?」

本田「悪い。今の杏子正直俺らじゃちょっと近寄り辛くてさ」

遊戯「飲めって囃し立てたの城之内君達じゃないか……いいよ、分かったよ」ハァ

杏子「…………」ゴクゴク

遊戯「ねえ杏子、ちょっと飲み過ぎじゃないかな? 少しペース落とした方が良いと思うんだけど……」

杏子「…………」ギロリ

遊戯「!?」ビクッ


杏子「…………」ジィー

遊戯「な、何?」

杏子「遊戯はさ……」

遊戯「う、うん」

杏子「遊戯は私の事が嫌いなんだ」

遊戯「え!?」

城之内「何だ、何だ?」

本田「何か分からんが面白い事が始まりそうだぞ」


遊戯「いきなり何言い出すんだよ、杏子?」

杏子「いいもん、分かってるもん。遊戯が嫌いだって事知ってるもん」

城之内(もんもん可愛いな、おい)

遊戯「だ、誰もそんな事言ってないでしょ? 何でそういう話になる訳?」

杏子「だったらさ……だったらさ……」

遊戯「杏子?」



杏子「何で全然手を出してくれないのよ!!」



遊戯「は、はあ!?///」

城之内&本田「ぶぅぅぅ!!!」←ビール噴いた


杏子「これでも結構アプローチしてるのに! でも全然そういう話にならないし……そんなに私に魅力がないか畜生!!」

遊戯「い、いきなり何言い出すんだよ杏子! というか酔ってるよね? 酔ってるからそんな事言うんだよね!?」

杏子「昨日もよ! 遊戯と久々に会えるの楽しみで服装だって気合入れて来たのに、遊戯ったら何時もと全然変わらないしノーリアクションだし!」

遊戯「そ、それは……服装が何時もと違ってたのは分かったけどアメリカだとそれが普通なのかと思って……」

杏子「それで家に行ったらお爺さんも気を使ってパチンコに出てくれて晴れて2人きりに慣れたと思ったら!!」

杏子「何でそこで新作ゲームの話を嬉々として始めるのよ! しかも笑顔で一緒にプレイしようって……私が求めてるのはそういうプレイじゃない!!」テーブルドン!!

遊戯「杏子落ち着いて! 声、声大きいから!!」


城之内「いやいや、これは流石遊戯君が悪いと思いますよねー本田さん」

本田「据え膳に手を出さないなんてこれだから草食系男子は困りますよねー城之内さん」

遊戯「外野は黙っててよ、もう!!」

遊戯(ていうかいきなり過ぎて流してたけど今の発言がもし本心なら杏子って僕の事を……え? 本当に?)

遊戯(いや、何となくそうだったらいいなーとは思ってたけどこんな風に気持ちぶつけられるの初めてだし……な、何か頭が混乱して来たぞ?)

杏子「うえ~ん、遊戯に嫌われたぁ~(泣」

城之内「あ、遊戯は杏子を泣かした! これはいけません、いけませんよぉ~」

本田「泣かした~泣かした~先生に言ってやろ~」

遊戯(とにかく今は杏子を落ち着かせないと! 後あの2人そろそろマジでムカついてきたぞ……)イライラ


遊戯「泣かないで、杏子! 僕、別に杏子の事嫌ってなんかないから!」

杏子「……だったら何で手を出さないの?」

遊戯「それは……杏子の事を意識してない訳じゃないけど……やっぱり恥ずかしいというか……」ゴニョゴニョ

杏子「ふ~ん……じゃあ私の事好き?」

遊戯「え? それは……」

城之内&本田「(・∀・)(・∀・)ニヤニヤ」

遊戯「す、す、す、好き、だよ……///」

杏子「…………」


杏子「じゃあキスして」

遊戯「……はい?」

杏子「私の事好きならここでキスして」

遊戯「はあ!? ちょ、流石にそれは……///」

杏子「やっぱり私の事嫌いなんだ……嫌いだからキスしたくないんだ」プイッ

遊戯「そ、そういう問題じゃないでしょ!?」

杏子「……私はしたいのに」グスッ

遊戯「杏子……」

城之内「遊戯、ここは男を見せるべきだと俺は思うぜ。杏子の方から求めてんだからさぁ」

本田「お前だって杏子の事を想ってんだろ? 秘めた思い何て今時流行らねえぞ」


遊戯「…………」

杏子「…………」

遊戯「…………」

杏子「…………」

遊戯「……杏子」

杏子「……何よ?」


……ちゅ♪


杏子「!」

城之内(おっ、行った)

本田(けど頬か)


遊戯「……これでいい?」

杏子「……口で良かったのに」

遊戯「ごめん、それは無理……だって今の杏子酔ってるし普段と違うし」

遊戯「こういう事は酔ってない時に、ちゃんと気持ち伝えてからしたいし」

遊戯「だから今はこれで我慢して……それと色々鈍くてごめんね」

城之内&本田(真面目だ……)

杏子「…………」

遊戯「えっと、杏子……うわっ!?」

ドン!!


杏子「えへへ~遊戯~♪」

遊戯「ちょ、杏子? 何をいきなり押し倒して……え? え?///」

杏子「遊戯ぃ~♪」スリスリ

遊戯「ちょっと、杏子! やっぱり酔っぱらい過ぎだって!?///」

<ワーワー

城之内&本田「…………」

城之内「なんつーかあれだな。青春だな」

本田「だな。まあ俺らもう学生じゃねえけど」

城之内「へっ、この4人が集まれば何時でも何処でも青春だよ」


本田「ところで城之内、お前彼女出来たか?」

城之内「残念ながらなぜか出来ない。お前は?」

本田「工場の女はおばちゃん達ばかりだからな。出会いもねーよ」

城之内&本田「…………」

本田「そういえば静香ちゃんってまだフリーだよな? 良かったら……」

城之内「ぶっ殺すぞ」

杏子「遊戯大好き~あははは♪」ハグハグ

遊戯「ちょ、そんなとこ触らないで……うわああああぁぁぁ!?///」



翌日、杏子はこの日の事を綺麗さっぱり忘れてましたとさ。

<おわり>


一応補足しますが全員成人設定です。読んでくれた人ありがとうございました。

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