【ラブライブ!サンシャイン!!】33分Aqours (45)

果南「んー!ようやく今日も終わったねー!ダイヤも鞠莉もお疲れ様!」

ダイヤ「ええ、果南さん、ありがとうございます。」

鞠莉「あら、ダイヤったらもうお疲れ?」

ダイヤ「ええ、少々…」

ダイヤ「情けないですわね、久しぶりとはいえ朝練で堪えてしまうなんて」

果南「まっ、ダイヤは仕方ないよ、生徒会の色々に家の事に舞踊なんていうハードワークでしょ?」

果南「私とか千歌だったら同じ生活してたら授業中に居眠りしちゃうぐらいだよ」

鞠莉「確かに千歌だったらイメージが簡単にできちゃうわね」

ダイヤ「お二人とも、そう言ってしまうのは千歌さんに失礼ですよ」


ダイヤ(辛いのは事実ですけれど、念願とも言える2年ぶりのスクールアイドル活動!)

ダイヤ(根をあげていられたりもしませんからね)

ダイヤ「さて、今日も部活を頑張りましょうか、そのためのエネルギーも補給して…あら?」

ダイヤ(菓子パンが入ってませんわね、部室に置いてきてしまったのでしょうか)

ダイヤ「まぁ部室についてから頂けばよろしいですわね」

ガラガラガラ

ダイヤ「いったいどこに…あら?これは」

キャアアアアアアアアアアアア!!!



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千歌「んー!授業終わったー!今日も活動がんばるぞー!」

梨子「相変わらずこの時間になるといきなりスイッチ入るね」

曜「まっ、そういう所が千歌ちゃんの良さだからね」



ガタン!

果南「千歌!ちょっと来て!!」

千歌「あ、果南ちゃん」

梨子「ど、どうしたんですか、そんなに慌てて」

果南「ちょっと部室でトラブルがあって」

曜「まぁまあ果南ちゃん、ちょっとお茶でも飲んで落ち着いてよ」

果南「や、そんな事してる暇じゃ」

曜「ビー玉コロコローっと」

カタン カタン コロコロ

カタン パタン! パタン! コロコロ カタッ

ガチャン!

トクトクトクトクトクトク


曜「はい!」

果南「………これ普通に入れちゃだめなの?」

果南「っていうか教室にこんな道具作っちゃって怒られないの?」

千歌「それで、何かあったの?」

果南「あー、それは実際に見てもらった方が早いと思うから部室まで来て欲しいんだけど」



千歌「わかったよ!よーし、曜ちゃん、Aqours号を!」

曜「ヨーソロー!」

チャリンチャリーン

 「ちょっと梨子ちゃん、こっち狭いからちょっとそっちに体寄せて!あ、果南ちゃんはもうちょっと前に出て、千歌の手におしりが当たっちゃってるから」


 「千歌ちゃん、こっちもこれ以上スペース取れないんだからガマンして!あ、果南さん、できればもうちょっと体は前に倒してもらえれば…」


 「あーちょっと二人とも!あんまり押しちゃダメだよ!バランスが取りづらいから」


 「ねえ、これ歩いて行っちゃダメなの?」


千歌「それで、これは」

ダイヤ「………」

梨子「ダイヤさん、すっごく落ち込んでるね」

果南「それが、ダイヤが部室に忘れていった菓子パンを誰かが食べちゃたらしくて」

鞠莉「空になった袋のゴミが捨てられてたわ」

千歌「なるほど……今日の体育館の利用予定は?」

梨子「2年生は使って無かったよね」

鞠莉「3年生もそうね」

果南「1年生はこの時期は校庭を使ってたような気がするよ」


千歌「つまり、本来だったらダイヤさんの菓子パンはあることさえ誰も気づけなかった……」

千歌「それに、部室は学校の規則で施錠されていて密室だった…」


千歌「これは難事件だね、これは10スレにも及ぶ程の長編名探偵SSに……」

曜「犯人を捕まえたよ!」

千歌「!?」カァーン


ルビィ「うっ……え、えっと…」

ダイヤ「ルビィ、あなたが…」

曜「ルビィちゃんの口の周りにパンクズが付いてたのを花丸ちゃんと善子ちゃんが見てたんだって」


千歌「い、いや、でもルビィちゃんの朝ごはんがパンだったかもだし、まだ決まったわけじゃ……」


花丸「ルビィちゃん、朝練前に朝食を食べれてないって言ってたずら」

千歌「!!??」カカァーン

ダイヤ「それに黒澤家の朝食はいつも和食ですわ、私が先に食べてましたから今日も白米とお味噌汁、それに鮭の塩焼きだったのは間違いありません。」



千歌「で、でも動機が…」

曜「自白も出てるよ」

ルビィ「ルビィが食べました……」


千歌「!!??」カカカァーン



千歌「まだ密室トリックが」

ルビィ「朝練で忘れものしてて、それを休み時間に取りに行くために職員室で鍵を借りました」

千歌「!!!」ギリリィィン


梨子「これは決まりだね……。」

果南「自白も証拠も揃ってるしね。」

ダイヤ「……まぁ朝に起こしてあげる事ができなかった私の落ち度もあります。今回は多めに見てあげて」



千歌「果たしてそうでしょうか」


梨子「うわ、出た。」

曜「でも千歌ちゃん、ルビィちゃんの自白も出てるし…」

千歌「果たしてその自白、鵜呑みにして良いのかな」

梨子「いや、自白は鵜呑みにしていこうよ」

果南「それに今ダイヤも許す流れになってたよ」


千歌「でも、まだ始まってないんだよ!」

果南「え?」

千歌「TOKYO MXでは『ラブライブ!サンシャイン!!』どころかまだ『食戟のソーマ』もようやく始まったぐらいなんだよ!」

千歌「ここで、中途半端にチャンネルをつけちゃったら最初の方を見逃したままもやもやしてることになっちゃうよ!」

梨子「千歌ちゃん、そもそも内浦じゃソーマ見れないよ」



千歌「だから…」

千歌「この簡単な事件……」

梨子「   」バン!

曜「   」バン!

果南「  」バン!

花丸「  」バン!

ダイヤ「 」バン!

ルビィ「 」バン!


千歌「……」キィーン

千歌「私が、33分持たせてみるよ!!」


(ナレーション:小原鞠莉)
普通にやればたった5分で終わる超イーズゥイーな事件を正味33分のラブライブサンシャイン放送までの時間までなんとか持たせる名探偵。

33分スコォールアイドォ探偵、高海千歌。

次々と出てくる珍推理に、ガァンガァン増える一方の容疑者。

その果てに真犯人は見つかるのか見つからないのか。


ただいま6分よ。



曜「今日の時間割を見直してみたけど、今日は体育館を利用してるクラスはいなかったみたいだよ」

梨子「そうなれば生徒の誰かが偶然ダイヤさんの菓子パンを見つけることはないってことね」

千歌「うーん…」

千歌「ダイヤさん、この現場は最初来た時のまま?」

ダイヤ「…多少椅子に座ったりはありましたが、それほど動かしてはいないはずですわね」


千歌「じゃあ現場は当時のまま……」

千歌「ん?これって…紐?結構硬い……」

千歌「……!!」ピーン

千歌「わかったよ、真犯人が!」

曜「本当!?千歌ちゃん!!」

千歌「犯人はあなたですね……」

千歌「鞠莉さん!」


鞠莉「ホワッツ!?」

果南「ちょ、ちょっと待ってよ千歌。鞠莉は今日ずっと教室にいたんだよ。」

千歌「そう、鞠莉さんは本来なら取れるはずがない。」

千歌「だからトリックを使った」

千歌「彼女にしか………理事長にしかできないトリックをね!!」




鞠莉さんは理事長をしていてもやっぱり根っこは女子高生、甘い物に目が無い…。

そして二年ぶりのスクールアイドル活動、まだ勝手も取り戻せなくて疲れた体はエネルギーを欲しがっていた。

そんな鞠莉さんは偶然目にしてしまった……ダイヤさんの鞄に入っていた菓子パンを。

それを見つけた時に鞠莉さんは思ったの、アレを食べてしまおうと…!


ダイヤ「鞠莉さん……なんてことを」

鞠莉「What!?!? Dia!? What!?」

曜「衝動的犯行……だったんだね」

鞠莉「ん、んんー、でもずっとダイヤと一緒にいた私にはできないわよ」

千歌「そう、本来ならできない犯行……それを可能にできるんだよ、理事長である鞠莉さんならね!」

カァァン!




鞠莉さんはまず、部室にわざと鞄を忘れ、それを取ってくるからと言って一旦二人の視界から消える。

そして用意したのが一本のワイヤー。

それをダイヤさんの鞄からこっそりと盗っておいた菓子パンの袋に通し、自分の名前を書いた紙を貼りつける。

そして菓子パンを窓から思いっきり投げる


イメージ鞠莉『シャァァイニー!!!!』


宙を飛んだ菓子パンは校舎の反対側に届き、偶然開いていた窓からホールインワン。


梨子「すごい肩だね」

曜「さっすが理事長」



するとそれを先生が偶然拾う。先生はパンの袋にかかれた紙を見てそれが鞠莉さんの物だって思った。

そして先生は気を効かせてそれを理事長室の机の上に持っていってくれたんだよ。


曜「浦の星の先生は皆優しいからね…」


それから鞠莉さんはワイヤーの先を手に理事長の立場を口実に授業の前に部屋に入り机の上のパンを回収。

今度は鞠莉さんはその菓子パンに通してあったワイヤーを結ぶの。

するとこの学校には鞠莉さんが用意した壮大なワイヤーでの菓子パン移動ルートが完成するんだよ!


曜「す、すごい!」

梨子「いや、どんな長さのワイヤーなの」

でもすぐに持ちこんだらダイヤさんにバレると思った鞠莉さんはパンはそのまま理事長室に放置したの、ちょっとだけ扉を開けたままね。

ここまで来たら後は簡単。鞠莉さんはそれを授業中に自分の席までセッティングされたワイヤーを適度に引っ張って、ちょっとずつちょっとずつ菓子パンを手繰り寄せ、遂にはその手に。


梨子「地道だなぁ…」

曜「でも授業の時間はいっぱいあるし、果南さんのストーカーなぐらいだからね」


そうして手に入れた菓子パンを鞠莉さんはダイヤさん達の前で完食。その後はワイヤーを引っ張りながら袋をゴミ箱の中に誘導して偽装工作が完了したの!


曜「なるほど……完璧だね!」

梨子「ダイヤさんは目の前で食べられてなんで気づかないの」


鞠莉「ふむ、ちかっち、大した推理ね。」

鞠莉「でもそれだったら最初に盗んだ時点で適当に袋を隠しておいて、ダイヤと探すときにこっそりゴミ箱に入れた方がてっとり早くないかしら?」


千歌「!!」カーン

千歌「そ、それはー、入れてる所を見られてバレないように念入りにトリックを…」

果南「それに千歌の推理だと締め切られた部室の中に袋が入るのは無理がない?」

千歌「!?」カガーン

千歌「そ、それは授業の間になんやかんやで鞠莉さんが加工した特別な袋になっていたから!」


ダイヤ「ちょっと千歌さん、そこは一番重要な部分じゃありませんの?」

果南「そうだよ千歌、なんやかんやってなんなの?そこをハッキリさせないと」


千歌「………」

千歌「なんやかんやは…」

梨子「……」バン

曜「…」バン

果南「?」バン

ダイヤ「…」バン

鞠莉「…」バン

千歌「………」バン!!



千歌「なんやかんやだよ!!」


梨子「……」ダン

曜「!」ダン

果南「?」ダン

ダイヤ「!?」ダン

鞠莉「!?」ダン


梨子「千歌ちゃん…よくそれを堂々と言えるね」


果南「千歌、そもそもそんな特別な加工、突発的な犯行でやらないと思うよ」

ダイヤ「それに今日の授業は移動教室が多かったので作業をする余裕もないですわ」

千歌「………!!」

千歌「それは……」

ダイヤ「それは…?」


千歌「なんか頑張って引っぱったら行けるよね!」


ダイヤ「……」

鞠莉「……」

果南「……」

曜「千歌ちゃん…」




曜「ダメだったねー」

千歌「うーん、良い線行っていたと思うんだけどなぁ」

梨子「でも菓子パンの盗み食いで33分持たせるなんて難しくない?」

梨子「もう犯人はルビィちゃんで良いんじゃないかな?自白も出てるんだし、ダイヤさんも許そうとしてたみたいだし」

曜「あ、でも私達がライブしてみたら10分ぐらいは持たせられそうだしね」

梨子「あ、それよ!」

千歌「待って!」

千歌「もうちょっと……もうちょっとだけ…まだ何かがひっかかるの」

千歌「それに、今週のこれからが11話なんだよ?ここで新曲発表なんてしたら最終回の曲がCDに入らないよ」

千歌「千歌ね…33分持たせるって言ったし、しっかり最後まで頑張りたいの!」

梨子「…千歌ちゃん!」

曜「……そうだね千歌ちゃん!よーし!それじゃあ少し聞き込みしてみようよ!」

千歌「うん!行くよ!曜ちゃん!梨子ちゃん!」

曜「もっちろん!」



梨子「千歌ちゃんがあんなに頑張ろうとしてるんだもんね。」

梨子「うん、私ももうちょっとつき合ってあげようかな」


ミータコトーナイユメノキドー
オイカケテー

千歌「……」タッタッ

シャイニーロードハシリダスコノキモチー
千歌「あ、先生ちょっとお話がー」



曜「あ、ごめん、ちょっといいかな?今日のお昼の事なんだけど……」



梨子「うん、うん…そっか、ありがとうね。」

梨子「いいのいいの、大丈夫だから」


チョットマッテナンテムリ!
トビダソー!


曜「それじゃあ皆、いい?」

曜「ぜんそくぜんしんー?」

「「「「ヨーソロー!!」」」」

カシャ!!


ボクタチノナカノー
ユウキガーサーワイデルー


ポロロロン
ポーントンテーンテーンテーン
テッテテーン
梨子「まっすぐなー思いがー皆を結ぶー」

梨子「本気でもー不器用ー、ぶつーかりあうこっこっろー」

モットカークシテルノー


千歌「はい、それじゃあこのみかんが一瞬で消えます!」

千歌「ワン!ツー!」

千歌「ふぁい!」モグモグ

千歌「ふぉれがひかのひょうまじゅちゅです!」モグモグ


ホラ!イッショニネ!


ハジメータイマーイストーリー・・・

千歌「ねえ梨子ちゃん……普通ってどういうこと…なのかな」

梨子「え?」

千歌「ほら見て、このアリさん達…」

アリ「」ゾロゾロゾロ

千歌「でもこの子達はきっとそれぞれに個性があって、違いもあるって思うの」

千歌「だけどその違いっていうのは千歌にはわかんなくて、千歌は皆から見たらどこにでもいる普通で…」

梨子「千歌ちゃん……」


梨子「やっぱり千歌ちゃんって変な人ね」

千歌「え、なんなの!千歌は真面目に考えてるのに!」

梨子「千歌ちゃんにはその子達の違いはわからないかもしれないけどそれでもいいんじゃない?」

千歌「え?」


梨子「だって千歌ちゃんはアリさんじゃないんだから。」

梨子「千歌ちゃんは私とどこが違うのかわかってるでしょ。」

梨子「私だけじゃない、曜ちゃんに花丸ちゃんに善子ちゃんに…」

梨子「私達は私達の個性もわかってる。」

梨子「私達がわかってるなら他にもわかってる人達はいっぱいいるはず。」

梨子「だから千歌ちゃんは、千歌ちゃんの魅力を…Aqoursを通して皆に教えていけばいいんじゃないかな」


千歌「梨子ちゃん…」

梨子「はい、じゃあちょっと勝負しましょ!手がかりを見つけた方が飲み物をおごるって事で!」

千歌「あ、ちょっと梨子ちゃんずるいよ!待てー!」

梨子「フフ、待たない!」


千歌「っと、どうだった?」

曜「ダメ、なーんにも手がかり無し」

梨子「こっちもダメ、ルビィちゃんの目撃証言はあったけど……」

千歌「うーん……どうすれば……」

prrrrr

千歌「あ、高海です…果南ちゃん?」

千歌「え?うん……うん…すぐに行くよ」

千歌「果南ちゃんが面白い証言を拾ったって!」


千歌「果南ちゃん、情報って?」

果南「うん、なんかこのツンデレっぽい感じのお姉さんが、面白い証言をしてくれたんだけどね」

ツンデレ「ヴェェ!?ナンデ私がそんな事教えないといけないのよ!」

曜「ツンデレな感じだなー」


果南「なんだか聞いたところだと、誰かが体育館の近づくところを目撃してるみたいだよ」

千歌「本当!?」

果南「ほら、もうちょっとツンデレな感じで答えてみて」


ツンデレ「もう!ツンデレな感じって何なのよ!教えないわよ!」

梨子「ツンってしてるね」

ツンデレ「まぁせっかくだし教えてあげるわ、感謝しなさいよね」

梨子「おぉっデレってしてる」


ツンデレ「でも大した事じゃないのよ、ちょっとバック駐車してる時に見かけたんだけどね?」

ツンデレ「ここの生徒が体育館……で合ってるわよね、そっちの方に走っていくのを見たわ」

ツンデレ「この私ほどじゃないけど中々可愛かった子だったわ」

梨子「高嶺のflowerって感じがするね、千歌ちゃん」


曜「あ、そういえば今日は1年生の体育で屋外でソフトボールあったよ。」

千歌「となると…その授業の最中にちょっと抜け出せば…」

果南「ちょっとは力になれたみたいで良かったよ」

千歌「うん!ありがとね果南ちゃん!」


曜「………ところで果南ちゃん、なんで靴に綿棒が刺さってるの?」

果南「…え?」

千歌「あ、ホントだ…クスッ……果南ちゃん…靴に綿棒が…プッ」

梨子「なんで……どこで……クッ」

ツンデレ「え、なんで、なんで靴に綿棒…刺さってるの……フフッ」

ツンデレ「イミ…ワカンナイ…クスッ」


千歌「っと、皆集まってもらってごめんね」



ダイヤ「それで皆さんを集めたという事は…」

千歌「うん、ダイヤさん、わかったよ……真犯人が。」

ルビィ「え!?」

千歌「この怪奇事件の犯人…」

千歌「あなたでしょ…?花丸ちゃん!」


花丸「え!?マル!?」


千歌「今日体育の時間があったのは1年生だけ。」

千歌「だから花丸ちゃんはこの体育の時間に体育館に行って菓子パンを盗み食いしたの」

ルビィ「あの…千歌ちゃん、今日の体育は皆でソフトボールだよ?」

千歌「そう、花丸ちゃん達1年生の体育は屋外球技。」

千歌「けれど、だからこそ花丸ちゃんは犯行に及ぶことになったんだよ!」

カァーン


体育の授業でソフトボールに興じる一年生の皆。

その授業の最中に花丸ちゃんはいきなり催してしまう。

当然花丸ちゃんは慌てて先生に言ってトイレへ向かう。

ソフトボールは打順が回ってくるまでフリーだからね、時間はいっぱい取れるはず。


曜「そうなの?花丸ちゃん」

花丸「あっ…うん。でも大して長い間は離れてないずら。」


そして…トイレを出た花丸ちゃんは少し崩れた運動服を直すの。

その時!ポケットに入れっぱなしにしていた花丸ちゃんの100円が落ちた!

当然花丸ちゃんはそれを拾おうと追いかけるけどそれはコロコロコロと転がっていく!


梨子「いや、トイレから部室まで結構あるよ?」


100円が勢いが失われそうなタイミングで偶然コオロギにぶつかり、更に100円は転がっていく。

そうして転がっていった100円は次に小石、のっぽパン、シーラカンスぬいぐるみ(L)うちっちーにぶつかって転がる勢いが増していったんだよ!


梨子「途中からはぶつかったら止まるよね?」


最後に100円が勢いを失った時、花丸ちゃんの目の前には私達の部室があった。

100円を追いかけて、ソフトボールの授業で疲労困憊の花丸ちゃん。

目の前にあった菓子パンは花丸ちゃんにはかなりのご馳走。

用務員のおばあさんが窓を拭いていたから花丸ちゃんは部室に侵入できたの。


梨子「密室トリック崩れたよ!?」


そして菓子パンをそのまま食べてゴミはゴミ箱に。


ルビィ「花丸ちゃん、そういう所は素直だからねー」

花丸「いやあ照れるずら」

梨子「照れてる所じゃないから」


その後に用務員のおばさんが鍵を閉めれば密室は完成!

こうして花丸ちゃんは自覚のないまま事件を起こしてしまったというわけだよ!


ダイヤ「確かにそれなら…」

花丸「うーん、でもマルはトイレで離れてた時間はそんなに長くないずら」

花丸「打順もすぐに来ちゃったから慌てて戻ったから。」

ルビィ「それで花丸ちゃんと打順を入れ替えてたからね」

千歌「!?」 カッ!

花丸「打順を待ってる間は善子ちゃんと三人で喋ってたずら。」

.                                   梨子「あれ?そういえば善子ちゃんは?」
ルビィ「花丸ちゃんの打順はすぐだったから急いで戻ってきたし…」

ルビィ「それにその推理だったらルビィも容疑がかかっちゃうよ?」

千歌「はっ!!」

千歌「………」



千歌『ねえ梨子ちゃん……普通ってどういうこと…なのかな』

梨子『だって千歌ちゃんはアリさんじゃないんだから。』



千歌「そうか、犯人はアリさんなんだよ!」

曜「え?」

カァーン!


カァァァアーーン

夏の部室、内浦の学校に巣を作っていたアリさん達は食料難に困っていた。

この熱い夏、巣の仲間全員を養えるだけの食事を確保できなかったから…

曜「内浦の夏は熱いからね…」

梨子「それだったら蟻なんてとっくの昔に絶滅してるよね?」



そんな中、あるアリさんが気付いたのがこのちょっと年期の入った後者に空いた隙間。

中に入ってみたらそこは私達の部活だった!!


曜「なんて運命のいたずら!!」

梨子「あ、それはちょっとありそう」


そして辺りを見渡せば視界に飛び込んできたのは菓子パン!


アリA『オイ!あそこに菓子パンがあるぞ!!』(CV:高海千歌)

アリB『ほんとうだ!!これならしばらくは持つぞ!!!』(CV:高海千歌)


そして机をよじ登り到達!そのままダイヤさんの菓子パンを人海戦術で運んだの。

だから今頃アリさんの巣はウハウハだろうね、ダイヤさんの菓子パン一個が丸々蓄えられてるんだからね。


梨子「………あれ?千歌ちゃん、それだとパンの包装はどうするの」

曜「あ、そうだね、それだと袋が机の上とかに残っちゃうし、アリさんじゃ開けられないもんね」


千歌「!!」

千歌「え、えーっと…それは適当に通りがかったキリギリスさんが開けてくれたのがこう……風に飛ばされて…」

曜「それもそっか。キリギリスとアリさんは腐れ縁だからねー」

梨子「童話通りなら仲悪いでしょ」


千歌「つまり犯人はAqoursの誰でもない、この内浦の自然が生んだトリックだったんだよ!」

花丸「千歌ちゃん、ちょっと待つずら」


千歌「花丸ちゃん、どうしたの?」

花丸「そもそも蟻には視力の情報だけで菓子パンを食べ物だって判断する事は不可能ずら」

千歌「!?」ギギギィイン


花丸「もっというと袋に入っていて机の上にある状態の菓子パンを見つけることはアリにはできないずら」

千歌「!?」ギギギィイイン

果南「それにキリギリスにだって袋は開けられないでしょ」

千歌「えっと……それはこう………知能が高いキリギリスが…」

果南「いやいや、そんなのいないって」

千歌「…ハッ!!」キーン!

------------------------

青狸「」スッ(きびだんご)

パク

キリギリス「!!!」

キリギリス「!!」パカ

------------------------

千歌「も…」

梨子「?」

千歌「な、なんでもないよ」

曜「でも推理はまた振りだしだね」

千歌「………」

曜「千歌ちゃん……やめる?」

千歌「……やめないよ!だってまだ残り時間が7分はあるんだから!」


曜「そうだよね!よーし!私も頑張るよ!」

梨子「うん!私も!」

千歌「曜ちゃん、梨子ちゃん…ありがとう!」




(ナレーション:高海千歌)

「お待たせいたしました、東海バスをご利用いただきまして、ありがとうございます!」


推理も確信をついていたはずだったけれど、また真相のしっぽは闇の中に消えてしまった。

今のままじゃ千歌の推理には決定打が足りない。

そして思ったより投下に手間取って放送までに時間が押されていた。

千歌は…ヤツを頼ることにした。


車内アナウンス「次は長浜、長浜になります」

千歌「あ、降りまーす!」ピンポーン


「善子さんまたよろしくねー」

善子「こっちこそどういたしまして!あとヨハネよー!」

千歌「善子ちゃん」ガタン

善子「あら千歌、今日は堕天使占いで部活には行けないって…」

千歌「情報が欲しいの」

善子「…例の生徒会長菓子パン事件の事ね」

千歌「うん、ダイヤさん周りの人間関係の話とか…」

善子「……ベルゼブブよ、汝の」

千歌「善子ちゃん」スッ    つ(国木田花丸ブロマイド)

善子「………」キョロキョロ スッ

善子「聞いた話なんだけど…生徒会長は人柄こそ好かれてはいたし、人気も高かったけどスクールアイドル部の建設に反対だったせいか、それなりに恨みを買うことも多かったらしいわ」

善子「それと私はヨハネよ」


千歌「ダイヤさんにそんな過去が……じゃあ犯行にはその私怨も関係が…?」

善子「………むむっ!見えてきたわ、堕天使からの天啓、しかとその耳にー」

千歌「善子ちゃん……」スッ   つ(国木田花丸水着写真)

善子「……」キョロキョロ スッ

善子「いいえ、今では彼女たちはスクールアイドル黒澤ダイヤのファンになってるわ。」

善子「それに生徒会長はなんだかんだで良くしてあげてたらしいわ、彼女を恨む人っていうのはこの学院にはなかなかいないんじゃないかしら。」

善子「それと呼ぶならヨハネって呼んで」

千歌「じゃあ善子ちゃん、そのファンの子達がダイヤさんの私物を欲しがったりした可能性も」

善子「ええ、あるわね」

善子「あと私はヨハネよ」

千歌「情報ありがとう、善子ちゃん」


善子「だからヨハネだって……っていないし!」

「………」カタッ



善子「…あら、いらっしゃい」

(・8・)「幼なじみを振り向かせる方法を……」つ(堕天ブローチ)

善子「いい?押してダメだったなら引いて意識させてみるの、それから」




果南「それで、今度こそ真犯人はわかったの?」

千歌「うん……この菓子パン消失事件、今度こそその全貌がわかったよ……」

千歌「そして…その真犯人はあなただよね。」

千歌「よしみちゃん!!!」

よしみ「え、私?」

果南「誰?」

カァーン


私達のクラスメートでライブのお手伝いもしてくれてるよしみちゃん、そんな彼女はダイヤさんの大ファンだった。

Aqoursにダイヤさんが加入して、相当テンションが上がってたなんて話は千歌も聞いてたよ。

そんなよしみちゃんは朝早くに登校して気付いた…。

ダイヤさんが忘れた菓子パンをね!

ダイヤさんのファンであり、ウラ追っかけだったよしみちゃんにはそれはただの菓子パンじゃない…

それはよしみちゃんの目にはさぞ

よしみ「えっと……千歌?私、どっちかって言ったら千歌のファンだよ?」

千歌「え?」


千歌「いやいやー、まっさかー」

よしみ「何言ってるの、友達っていうのはあるけど、ファーストライブで踊る姿を見てから私はAqoursが大好きだから手伝ってるんだよ」

よしみ「梨子ちゃんも曜ちゃんも応援したいって思ったけど、一番はあの時センターで踊ってた千歌なんだから。」

千歌「……え、えーっと、そのー」

梨子「顔真っ赤よ」

千歌「梨子ちゃんうるさい!」


ダイヤ「……千歌さん、ファンを大事にして想いに応えるというのも大事なことですよ」

千歌「……うん。」

千歌「ありがとうね……よしみちゃん」

よしみ「まあそんなワケだから、これからもドンドンこき使ってよ!」

曜「うーん、でもこれじゃあまた振りだしだね。」


千歌「……大丈夫だよ、曜ちゃん今度こそわかったんだよ。」

千歌「この全ての発端の真犯人が…」

曜「おぉ!ついに!」

千歌「この朝練に部室に忘れられた菓子パンを偶然発見し、衝動のままに食べてしまった犯人……」

千歌「それはあなただね」



千歌「ルビィちゃん!!!」


梨子「……え?」


梨子「え?ちょ……え?」


千歌「食べちゃったんだよね?ルビィちゃん」


ルビィ「……はい、最初から言ってます…。」

曜「だよね……」


千歌「毎朝の朝練の疲れとギリギリで起きてて朝食抜きから来た出来心だったんだね……。」

梨子「うん、皆知ってたよ」


千歌「自白……してくれるよね?」

曜「もう……してるよ」


梨子「でも、結局ルビィちゃんが食べちゃっただけなのに時間使っちゃったね」

曜「まぁ、ダイヤさんは結局許してあげて」

曜「でもなんとかサンシャインまでの33分、しっかり持たせられたね」

千歌「それだけじゃないよ」

千歌「部室っていうのは私達にとっては息の休まる場所…」

千歌「そんなところで誰かを疑う事件なんて…認めたくないでしょ」

梨子「やっぱり千歌ちゃんって変な人。」

曜「でも私達ならなんだかすぐ忘れちゃいそうだけどね。」

千歌「あっ……それもそっか!それに相手が曜ちゃんだったらあんまり気になんなかったよ」

曜「あ、千歌ちゃんも?」

梨子「そうそう!そういえば聞き込みしてる時に近所のおばさんからこんなのを貰ったの」


千歌「Aqoursウォーター?」

曜「あ、知ってる!淡島の人達が私達を応援するために出してくれてるんだって!」

千歌「ふーん、味はどうなの?」

曜「んー?先に一口……普通のおいしい水!」

梨子「でも、喉は乾いてるでしょ?特に千歌ちゃんは。」

千歌「そうだね!いっぱい喋ったからねー。」

千歌「それじゃあこれからのAqoursと最新話のアニメに乾杯しよっか!」

曜「おっ!いいね!先に口つけちゃったけど」

梨子「千歌ちゃん!」

千歌「よーし!これからの私達に!かんぱーい!」

「「かんぱーい!」」

千歌「あ!しいたけ!」

曜「ホントだ!」

梨子「え!?」



イントロ
(ユメ語るよりユメ歌おう 歌:Aqours)


ビシャビシャビシャビシャビシャ

千歌「………ッ」

ビシャビシャビシャ

曜「……ッ、クッ」

ビシャビシャビシャビシャビシャ

梨子「………フー」



もっと何か 探してどんどん外へ行くんだ

やってみたら 意外とハッピー見つかるもんさ

-Fin-

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