女「おはようございます、先輩」先輩「……おはよ」 (71)

名前と地の文をつけて某所に投稿しようと思っていたものを、台詞だけにしてキャラ追加してストーリーを大幅にいじったものです。
三点ほど注意があります。
まず、「先輩」「後輩」という単語が何回も出てきますが、上下関係を示す意味として使う場合はひらがなで書きます。漢字で書かれているものは登場人物の一人です。
次に、性別としての女性を表す場合は「女の子」「女子」という言葉を使っていて、たんに「女」とある場合はすべて主人公のことを指しております。
最後になりますが、このお話は百合物です。

一応完結させていますが、少しずつ投稿していきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371038912

○梅雨

女「今日は悪い天気ですね」

先輩「悪い天気? 晴れてるけど」

女「晴れてるから、ですよ。梅雨なのに」

先輩「雨好きなの?」

女「梅雨は雨が降らなきゃだめです。私たちは学校行ってるのに何休んでるんだって感じします」

先輩「なるほど」

女「でも濡れるのは好きじゃないなあ」

先輩「そりゃそうだ」

女「私、全部の天気が好きで嫌いで、全部の季節が好きで嫌いなんです」

先輩「ふうん」

女「先輩は?」

先輩「私もそうかな。どれも良いところがあれば悪いところもある」

女「ですよねえ」

先輩「じゃあ学校着いたからこの辺で」

女「また放課後でーす」



友「おっはよー」

委員長「おはよう、女」

女「おはよ」

友「テンション低いね、どしたん」

女「別に」

委員長「不機嫌モード?」

友「こんな晴れてるんだからさー元気出しなって」

女「晴れてるからやなの」

委員長「梅雨だもんねえ」

女「うん」

友「わっかんないよ!」

女「友みたいな人にはわかりっこないもん」

友「あー、あたし怒っていいのこれ」

委員長「だめですよ。許しません」

友「委員長さー、女にばっか甘いからずるいよほんと」

女「幼馴染だもんねえ」

委員長「うん」

友「ぐれてやろっかな」

女「早く雨降んないかな」

友「濡れるから嫌だ。早く夏よこい」

女「夏はさあ、暑くないと夏じゃないよね。暑いの嫌だけど」

友「まあ、そうだな」

委員長「だから梅雨も雨じゃないとってこと」

友「なるほどわからん」

女「雨の中傘も差さずに帰ったらどうなると思う?」

友「濡れる」

委員長「怒られる」

女「だよね。今度やってみたいんだけどなあ」

委員長「先輩と?」

女「先輩と」

友「女子高なのに?」

女「女子高なのに」

友「図書委員なんだっけ」

委員長「そうだよ」

友「なぜお前が答える」

委員長「女のことならよく知ってるから」

女「できたら日記に書くんだ」

友「日記なんて書いてるんだ」

女「二人ともやろうよ」

友「お、交換日記?」

委員長「いいね、やろう」



友「何そわそわしてんの? トイレ?」

女「最低」

友「……ごめんなさい」

委員長「許します」

友「いいんちょー!」

女「もうすぐ、先輩と会えるから」

委員長「好き好きだねえ」

女「委員長、本借りてたでしょ。私が返すよ」

委員長「ほんと? ありがとう」

友「もうすぐさー、期末テストじゃん。勉強教えてよ」

女「いいよ」

友「まじ?」

委員長「じゃあ私の家で」

友「友だちの家行くのって高校生になってはじめてだわ」

女「私が委員長の家に行くのはこの二ヶ月で五回ぐらい」

委員長「私が女の家におじゃましたのはもう、両手じゃ数えられないね」

友「今ちょっと傷ついた。お前らほんと仲いいな」

女「よしよし元気出しな」

友「ちくしょう」

女「じゃあ委員長、本渡しておいて」

委員長「お願いねー」


女「こんにちは、先輩」

先輩「こんにちは」

女「まだ降らないんですかね雨」

先輩「そうらしいね。天気予報でも言ってた」

女「はあ、憂鬱ですねえ」

先輩「晴れてるのにね、おかしい。その本は」

女「委員長……幼馴染の借りてた本です」

先輩「へえ。いるんだったね、幼馴染」

女「その子と、あとは友っていう子といつも一緒にいるんです」

先輩「ふうん、そういえばそろそろ期末テストだったね」

女「そうなんですよー。先輩勉強してますか?」

先輩「進学だからね。がんばってるよ」

女「三年生って大変ですねえ。私も二年後かあ」

女「期末テストなんですけどね、友が一緒に勉強しようって。委員長の家で集まることになりました」

先輩「……そういえば夏がくるね」

女「ですね。夏休みはいつも委員長の家に泊まるんですよ」

先輩「……」

女「どうかしましたか?」

先輩「別に」

女「そうだ、委員長たちと交換日記始めるんです。先輩もどうです?」

先輩「やんない」

女「先輩のこと、書いてもいいですか?」

先輩「いいよ」

女「わーいやったあ! じゃあ、じゃあ、今度雨の日に一緒に帰りましょう」

先輩「わかった。今日は?」

女「今日も帰りましょう。でも日記に書くのは雨の日のことです。そう決めてます」

先輩「ふうん」

女「……」

先輩「……」

女「それ、何読んでます?」

先輩「小説。難しい」

女「うわーほんとだ。よく読めますねえそういうの」

先輩「ぜんぜん理解できないよ。でも、そっちのほうがいい」

女「そういうものですか」

先輩「だってさ、わかんないほうがいいよ」

女「悲しくなりますね」

先輩「やるせないね」

女「先輩、来年の今頃はもう、ここにはいないんですね」

先輩「うん」

女「夏休み」

先輩「?」

女「どこか遊びに行きません? 二人で」

先輩「……いいと、思う」

いったん投稿終了です。

百合に釣られたけど…あんまり萌えない…
会話がロボットみたい。もうちょっと音っぽい会話を書いてほしいな

あと、
>「先輩」「後輩」という単語が何回も出てきますが〜
このあたりがよくわからない。
3の「先輩は?」や6の「先輩と?」なんかは名前呼びしてるの?

>>14
音っぽい会話、ですか。その辺りがよくわからないからこそ、ロボットのような会話しか書けないのだろうと反省しております。
書き上げたものを見返してみると、たしかに淡々としすぎていました。ただやっぱり、どうすればいいかわかりません。
百合と書いたわりには普通に想像されるような展開はないので、そこは申し訳なく思っています。

呼び方に関してはそれであっています。私が最初に書いたために余計混乱させてしまいました。
基本的に会話で出てくる「先輩」は「○○さん」としてしか使われておらず、「せんぱい」と書いたときにだけ本来の「先輩」という意味となります。ややこしいですね。
また敬称をつけることはありません。これも混乱させてしまった原因なのでしょう。上でも書きましたように「○○さん」のかわりとして「先輩」という言葉を使っているからなのですが、いっそ名前をつけてしまったほうがわかりやすかったでしょう……。

そういうわけで「さん」とか「ちゃん」という言葉も一切なく、これから先もただ淡々としたなんの面白みも萌えもないお話が続きます。

わかりやすい萌えが嫌いなのでこのくらいの方が好き
ちょっと鼻につく部分もあるけど続きが気になる

わかりやすい萌えが嫌いなのでこのくらいの方が好き
ちょっと鼻につく部分もあるけど続きが気になる

 別の日

友「ここが委員長の部屋かー!」

女「ゆっくりしていって」

友「なんでお前がそれを言うし」

委員長「半分、女の部屋だからねえ」

友「で、先輩ってさー、ぶっちゃけどうなの?」

委員長「女と逆みたいな人かなあ」

友「明るくておしゃべり?」

委員長「女以外にはそう。女といると、おとなしくなる」

女「あー、やっぱ先輩、私以外にはそうなんだ」

委員長「女だってそうじゃん」

友「え、何それ」

委員長「女は先輩にだけは、元気な女の子してるの。だから先輩とは逆な人」

友「まじそれ、本気? 知らなかったんだけど。ショックなんだけど!」

委員長「まあ私と二人なときもわりと元気だけどね」

友「……泣いていい?」

委員長「だめ」

女「だってさあ、先輩に合わせようと思って明るく振舞って、疲れちゃうんだもん。友とかには別に、てきとうでもいっかなあって」

友「普通そういうこと本人の前で言うか!」

女「どうせ許してくれるんでしょ?」

友「まあ、別にいいけどさ」

女「だから気楽なわけ。先輩とは、会える時間もそんなにないし、いい印象持っててほしくて」

委員長「女の子だねえ」

友「女の子って面倒だよな、あたしも女の子だけど」

友「ま、それはいいとして。ここ教えて」

委員長「いいよー」

女「あーだるいー」

友「もうお前何しに来たんだよ!」

女「遊びに」

委員長「これで女は中学のとき学年でも上位の成績なのです」

友「まじで」

女「まじ」

友「このやろう」

女「ねえ何か本貸して? 漫画でも小説でもいいから」

委員長「女の子同士のものでも?」

女「いいよ」

友「いいのかよ! ていうか持ってるのかよ!」

女「口より手を動かしなよ」

友「かーっ、すっげー腹立つ」

委員長「テストで見返そう!」

友「いいなそれ。見てろよ?」

女「こうして友にモチベーションを与えるのが私の役目なのであった」

友「こいつ!」

女「……」

友「……」

委員長「……」

女「うわ、うわー」

委員長「なになに?」

女「ちょっと過激じゃありませんかねこれ」

委員長「そうかなあ、普通だと思うけど」

女「へえ」

委員長「ドキドキする?」

女「するねえ」

友「……」

女「やっぱさ、いろいろ、難しいね」

委員長「そうだね」

女「でもさ、好きなんだからしょうがないよ。先輩の代わりなんているわけないし」

友「……」

女「よし!」

友「あーもう、ちったあ静かにできないのか!」

女「友、今年の夏休み、ここに泊まりにきなよ!」

委員長「いいねえ」

友「なぜお前がそれを言う」

女「半分私の部屋みたいなものですから」

友「そういうキャラなのね先輩には」

女「友がかわいそうだから、もうちょっと私のこと知ってもらおうと思って」

友「その優しさも悲しいわけだが」

委員長「お泊まり、楽しみだね」

友「まあな」

女「でさ、前に交換日記するって言ってたけど、誰からする?」

友「決めてなかったのかよ……」

委員長「実は私が一日分書いてきたのでした」

女「おー、準備いいね」

委員長「次は友!」

友「言いだしっぺが最後か。まいいや。てきとうでいいんでしょ?」

女「二人の日記見るの楽しみだなー」

友「あたし、別に作文得意じゃないし。あんま期待しないでよ」

女「前の人のにコメントも書こうよ」

友「うえー」

委員長「はやく回ってこないかなあ」

六月_日(_曜日)晴れ
委員長

 記念すべき一ページ目は私が書きます。なんだか緊張するね。こういうの、やったことないんだあ。
 えと、こういう無駄な言葉とかも書いちゃっていいよね、うん。
 そうだ。友は今度はじめてうちに来るんだし、せっかくなのでここで家族を紹介します。勉強しに来たときに言えなかったし。
 私の家は三人家族です。お父さんとお母さんと私。
 お母さんは料理が上手で、女はいっつもおいしいおいしいって言ってくれます。だからお母さん、女が来るの楽しみにしてるんだよ。
 お父さんは女のこと、もう一人の娘みたいに見てます。まあ私と女はいつも一緒だったから、姉妹みたいなものなんでしょうね。
 とにかく、みんな優しいので楽しみにしててね。
 あ、これだけは言っておくけど、ちゃんと夏休みの宿題は持ってくること。
 遊ぶだけじゃなくって、宿題をきちんと終わらせることも目的だから。女もだからね?
 宿題を忘れるなんて私が認めません。
 あとゲームとか漫画とかも持ってきたほうがいいよ。趣味合わなかったら大変だし。
 私たちの昔話とかは、さすがに長くて書ききれないので直接教えます。それも楽しみにね?
 あとは何書こうかな。
 うーん、最初だしこのくらいでいいかな。それじゃあ友、次はよろしく。



 字、きれいだね。正直うらやましい。書道とかやってた?
 文の頭を一マスあけててなんじゃこりゃって思ったけど、そか、これ作文のアレなんだね。ふーん、字数かせぎにちょうどいいね。
 読書感想文があったら使わせてもらおう。って、使わなきゃだめかふつう。
 このコメント、どのぐらい長ければいいんだ? 一行でもいいよね、それじゃかわいそうだからやんないけど。
 家族の紹介ありがとう。まあ委員長の家族なんだしいい人に決まってるだろうけど、ちょっと安心した。
 あたしもちょっとは自分のこと知っててほしいし、その日は昔の写真を持ってくよ。じゃあね。

六月_日(_曜日)くもり

 大変なことに気づいた。
 これこのままだとあたしが女のに、女は委員長のに、委員長はあたしのにコメントする機会がない。
 直接言えばよかったんだけど、それじゃここに書く話題ないからさ。この問題はあとの二入に任せた。
 これで終わり、は、ちょっとそっけなさすぎるよね。
 女にいいしらせがある。明日からまた雨が降るらしい。ちゃんと放課後になっても降ってるかはしらないけど、欺待していいんじゃないかな?
 女の記念すべき一回目に先輩のことが書けるなんてよかったじゃないか。
 ただし、もしも雨が降らなかったからってあたしのせいにするんじゃないぞ。しったことか。
 もう少し何か書こうかな。
 そうだ。ゲームの話なんだけど。あたしあれ得意だよ。四つくっつけたら消えるやつ。五連鎖できるんだぜ、どうだ。
 今度ぼっこぼこにするから待っておくといい。
 最後に女。
 今日のこの日記には一つだけ間違った漢字を仕込んでおいた。あてられるものならあててみろ!



 へえ、友もあのゲームするんだ。実は私と委員長もするんだよね。
 ちなみに二人とも十三連鎖できます。ぼこぼこにされるのが今から楽しみです。
 それから、間違った漢字は見つけました。
 「人」と「入」だよね。それから「期」と「欺」も含めて二つも間違ってるよ。あとで消されないようボールペンで上書きしておきました。
 委員長、このことは友の手にこれが渡るまで内緒だよ。そして思いっきり笑ってやろう。
 友、他人を欺こうとしたらツキがまわってこないよ?
 なんちゃって。これで漢字覚えたよね。今度から間違えないように!
 先輩とのこと、心配してくれてありがと。

先輩「何書いてるの?」

女「交換日記です」

先輩「あー、やるとか言ってたね。見ちゃだめ?」

女「まだ始まったばっかですし、あんまり見てほしくない、かも」

先輩「そ」

女「……」

先輩「雨、降ってるね」

女「梅雨ですから」

先輩「昨日までの天気が嘘みたい。天気予報なんてずっと傘マークついてたよ」

女「ですねえ」

先輩「よかったね」

女「でも、降ったら降ったで嫌ですね」

先輩「ほんと」

女「……」

先輩「静かだね、今日は」

女「そうですか?」

先輩「うん」

女「……」

先輩「……あのさ、今日一緒に帰らない? 傘忘れちゃって」

女「私も忘れちゃいました、傘」

先輩「いいかもね、たまには雨にうたれるのも」

女「まじですか」

先輩「だって日記に書くんでしょ?」

女「私、もう一着制服持ってるんです」

先輩「私も。じゃ安心だね」

女「かばん置いていきましょう。で、明日一番早く登校して」

先輩「なんかわくわくするね」

女「しますします」

先輩「帰ろっか」

女「はーい!」

六月_日(_曜日)雨


 今日は先輩と手をつないで帰ったよ。雨の中。
 雨ってきもちいね。先輩の手は柔らかかったし。濡れた先輩はすごくかわいかった。ドキドキしたよ。
 もう梅雨はいいや。早く夏になればいいのになあ。



委員長

 風邪をひかなくて安心したよ。
 友の件はわかった。でも笑いをこらえるのは大変そうだよ。
 なにせあのゲームで私たちをけちょんけちょんにしてくれるらしいし。これ書きながらにやにやしちゃう。
 それじゃ友、楽しみにしてるからねー!

友「これまじ? ちょっ、消えないんだけどこれー!」

友「まじにボールペンじゃないかちくしょう女のやつ!」

友「いやああああ、あの笑いはこういう意味だったのかよ! 教えてくれよ!!」

友「くそっ、このー。消えろよ! やだああああああ」

友「……国語勉強しよ」

いったん投稿終了です。
この日記みたいなのは読みにくいと思いますが、なんとなくやってみたかったものです。

素敵やん

読点多用だから読み難いのかも。あと、倒置法の多用も気になるかな
半音に出来る文字はぁぃぅぇぉ使うとか、三点リーダとかもうちょっと使ってみては?
まぁ好みだと思うけどね…

あんま気にならねーけど。
友がかわいいわ

>>36
読点の多さは自分でも気になっていた。やはり減らしたほうがいいですよね。
「ぁぃぅぇぉ」はあまり好きではないのですが、普通に「ー」を使えばよかったかもしれません。
倒置法の多さは自分では気づくことができませんでした。指摘していただきありがとうございます。

○夏

友「ああ、この波の音。あの青い空! 夏だー海だー!」

女「そうだね」

委員長「波の音って心地いいよね。それにこの部屋涼しいし」

友「ってなんでやねーん! ちくしょー、なんで夏なのに海に行かないんだよ。しかも」

友「クーラーきかせた部屋で波の音入ってるだけのCD流すって。そんなんで夏気分味わおうをするな」

女「だって外暑いし」

友「夏は暑いから夏なんじゃないのか!」

委員長「それとこれとはー」

女「べつ」

委員長「この音癒されるねえ」

友「お泊まり会っつうからもっと楽しいものかと思ってたけど、だらだら過ごしてるだけじゃん」

女「そういうもんでしょ」

委員長「そういうものだよねえ」

友「ひまだー!」

女「じゃあゲームしようよ」

委員長「あれしよう、友が私たちを負かせてくれるやつ」

友「うぇっ、まだ覚えてるのかよ……」

女「負けるのが怖いんだ。あんだけ余裕そうな態度だったのに」

友「む」

委員長「やめなよ女。友だって私たちの実力を知ってればあんな無謀なことは書かなかったよ」

友「ちょっと待て。私が一ヶ月以上前のままでいると思うなよ? 進化した私を見せてやる!」

女「のぞむところだ」

友「……」

女「……」

友「あ、おいじゃまするなよ」

女「そういうゲームですから」

友「……」

女「……」

友「おい、返してくるなよ!」

委員長「……」

友「ちくしょう勝てない」

女「話にならないね」

友「終わり! もうやだ! なーどっか行こうよ」

委員長「どっかって?」

友「どこか」

委員長「もっと具体的に」

友「目的なく歩く」

女「暑いから却下」

友「雨の中ずぶ濡れで歩いたんだろー? だったら暑い中でも余裕だって」

女「やだよう」

友「こいつ、背高くてきれいなのになんで性格はこんななんだ」

委員長「昔からだからねえ」

友「よくつきあってこれたな……」

女「お隣だもん」

友「じゃあ女の家に行こう」

女「だーめっ」

委員長「散歩しようか」

女「いいよ」

友「……なんなのこの差」



友「あっついー」

女「だからやだって言ったのに」

委員長「日焼け対策ばっちり!」

友「委員長が日傘差してるとお嬢様っぽいな」

委員長「うふふ」

友「そうそうそんな感じ」

女「わかる」

友「ね。あたしらには似合わないもん」

女「友はこんな日も普通に走り回ってそう。あ、これ褒めてるから」

委員長「女は汗一つかかなそう」

女「だらだらだよ」

友「だらだら?」

女「うん」

先輩「……あっ」

女「あっ……」

友「え?」

委員長「先輩だよ、ほら」

友「へえこの人が」

女「こんにちは先輩、奇遇ですね!」

友「うわキャラ違う」

先輩「……こんにちは」

委員長「私は委員長でこっちが友です」

先輩「どうも」

友「ども」

女「先輩はどちらに?」

先輩「ちょっと出かけようと思って」

女「もしよかったら一緒に散歩しません?」

先輩「え、それは……」

友「なあ見られてるぞ。あたしたちじゃまか?」

委員長「数は多いほど楽しいですよ。どうぞお気になさらず」

先輩「……じゃあ、いいよ」

女「やったー!」

友「うわー女のテンションが……。なんか見ちゃいけないもの見てる感じ」



先輩「どこに向かっているの?」

女「さあ、適当ですよ」

先輩「そうなんだ。へえ」

委員長「先輩はどこへ出かけるつもりだったんですか?」

先輩「いや、その。暇だったから散歩しようと思って」

友「あたしらと一緒だ」

女「だー!」

友「……やりにく」

委員長「じゃあてきとうなとこまで行っててきとうに帰ろうか」

女「いいねてきとう。ってあれ、先輩が友と話してる」

委員長「嫉妬する?」

女「んー別に。じゃましちゃ悪いよね」



先輩「ちぇっ」

友「いやー女の相手よくしてられますね」

先輩「いつもだし。というかやっぱ他の人と話すときは静かなんだ」

友「先輩は逆らしいじゃないですか」

先輩「ばれてるんだ……」

友「そりゃばれますって。ていうか普通に今みたいに話せばいいのに。そのほうが見た目に合ってますよ」

先輩「だってさ、しょうがないじゃん。ギャップ萌えっての狙ってるんだから」

友「女もそうなのかなー」

先輩「ところであの二人どういう関係?」

友「幼馴染らしいっすよ」

先輩「そうじゃなくて。もしかしてできてる?」

友「男子高校生ですかあなたは! 別に、そんな風には見えませんけど」

先輩「そうだよねそうだよね」

友「古い付き合いらしいっすからね」

先輩「へえ」

友「いってもあたしなんて出会って四ヶ月も経ってないですから。そこまで深くは知りません」

先輩「……私三ヶ月ちょっと。負けた」

友「知るかっ!」

先輩「私さあ、どうしたらいいんだろ」

友「先輩は女のことどう思ってるんですか?」

先輩「好き、だけどさ」

友「そういう意味で?」

先輩「うん。女から何か聞いてない?」

友「言いません。先輩のことも女には言いません」

先輩「ほう。いい子だね」

友「それだけがとりえですから。今度、家に誘ってみては?」

先輩「ふうむ考えておくよ。ありがとう」

友「いえいえ」

先輩「難しいなあ」

友「そりゃ女の子同士ですからね。うち女子高ですけどそんな話なんてまったく聞かないし」

先輩「普通隠したがるもんねえ」

友「でもあたし応援してますよ。女は友だちですし」

先輩「お、頼りになるね。アドレス交換しようよ」

友「いいですよー」

先輩「……じゃあそろそろ帰ろうかな」

友「女とは話さないんですか?」

先輩「だって正直ちょっといにくいし。どうせ家に来てもらうから今日はいいや」



先輩「じゃあね、三人とも」

委員長「さようなら」

友「またでーす」

女「さよーならー!」

女「で、何を話してたの?」

委員長「あててみましょう。ずばり内緒です」

友「正解」

女「ひどい」

友「まあ言える範囲のことは日記に書いておくから期待しておきなさい」

女「期待、してますからね」

友「そこ強調すんなし」

八月_日(_曜日)晴れ


 先輩のメールアドレスをゲットした。
 あの人けっこう気さくに話してくれるんだね。まるで先輩と話しているときの女のよう!
 女だったらなんか違和感あるけど、先輩なら普通に話せるかな。女は今のままでいてくれ。
 これから先輩と仲良くなってやるよ。あ、でも安心しな。あたしにそっちの趣味はない。
 話は変わるけど、二人ともあのゲーム強すぎ。やっぱ頭のよさとか関係あるのかな?
 絶対リベンジしてやるから覚悟しとけな。
 とここまで書いたけど、委員長の家にみんな泊まってるんだから書く意味なくないか?

委員長

 こうして紙に書くのと声にするのとではだいぶ違うんじゃないかな。
 だって友、先輩との話は日記に書くって言ったときにやついてたもん。
 隠し事してあとからばらすのってけっこう楽しいのかもね。
 言いたいけど言えないってときの感覚って不思議だよね。だから片思いってドキドキするのかな。
 ね、どう思う?
 ちなみにあのゲーム、頭のよさはあんまり関係ないみたい。

委員長「こんにちは」

先輩「こんにちは。本の返却? こんな日なのに珍しいね」

委員長「出校日の放課後ですもんね。やっぱりぜんぜん人がいないです」

先輩「私としては楽でいいけどね」

委員長「あとどのくらい開いてますか?」

先輩「三十分ぐらいかな」

委員長「じゃあ少しお話ししましょう」

先輩「いいけど……」

委員長「……」

先輩「あのさきみ、委員長、女とはどういう関係?」

委員長「気になります?」

先輩「まあ、ね」

委員長「女とは幼馴染です。家が隣なんですよ」

先輩「それだけ?」

委員長「それだけとは」

先輩「ないならいいけどさ」

委員長「あ、でも私の好きな人って女なんです」

先輩「っ!」

先輩「へ、へえそうなんだ」

委員長「はい」

先輩「それはその、どういう意味で?」

委員長「ご想像にお任せします」

先輩「むむ。じゃあ私の都合がいいほうにとらえるよ」

委員長「ご自由に」

先輩「女ってさあ、昔はどんな子だったの?」

委員長「友に対する女と先輩に対する女の中間ぐらいの性格でしたね」

先輩「バランスよさそう……」

委員長「先輩はどうして女と喋るときはおとなしいんですか?」

先輩「ギャップ萌えを狙ってたり」

委員長「難しそうな小説を読んでいるのも?」

先輩「それも少しある」

委員長「ふふっ。女に言ってみたらどうですか、好きだって」

先輩「どうせ私は三月に卒業する。つきあえたって悲しくなるだけだよ」

先輩「だから女も遠慮してる、と思う」

委員長「そうでしょうか」

先輩「どの道離れ離れになるんなら、片思いってことにしておいたほうがいい思い出になるさ」

委員長「言わないほうがいいことってありますもんね。ドキドキしますし」

先輩「おっ、わかってるじゃん」

委員長「……でも、寂しいですね」

先輩「まあね。いつか笑い話にできるさ。女に面と向かって『実は昔お前のことが好きだったんだ』なんて」

委員長「私はたぶん笑えないと思います」

先輩「……お互い、大変だね」

委員長「私は女には笑っていてほしい。せめて高校生のうちは、ただ悲しいだけの別れをさせたくありません」

委員長「おせっかいかもしれませんけど二人のこと全力で応援しますから。ちゃんと向き合ってください」

先輩「……善処はするよ。そろそろ閉めるから出よう」

委員長「はい。さようなら」

先輩「今日はいろいろ話せて楽しかったよ。ありがとう」

八月_日(_曜日)晴れ
委員長

 今日は二人に先に帰ってもらったよね。あのあと図書室に行ったの。先輩と会った。
 いろいろ話したけれど、思っていたより話しにくい人じゃなかったね。
 大変なんだね、みんな。私もこれでけっこう大変です。
 私は女と先輩のこと応援してるからね。
 夏休みも半分を過ぎようとしているけれど、二人は宿題終わった? 私は終わりました。
 これからどうやって残りの休みを過ごそうかな。
 またうちに遊びに来てね。



 宿題終わらせるの早いね。私はもう少しかな。
 委員長の家もいいけど、友の家にも行ってみたいよね。なんかいろいろすごそう。
 そっか、先輩と話したんだ。まあ詳しいことは聞かないよ。どうせ教えてくれないだろうし。
 いいさ。今度先輩の家に遊びに行くことになったから。ふふん、向こうから誘ってくれたんだよ。
 今から楽しみ!

女「おじゃましまーす」

先輩「どうぞ。私の部屋はこっち」

女「緊張しますね」

先輩「実は私も、けっこう緊張してる」

女「わあ。ここが先輩のお部屋ですか。いいですね」

先輩「ありがと」

後輩「あの、こんにちは!」

女「え……こちらは?」

先輩「あー私の妹の」

後輩「後輩です。来年お姉ちゃんの高校に入学する予定です」

女「へえ……。よろしくね」

後輩「よろしくお願いします! 挨拶だけしたかったので私はこれでっ!」

先輩「ちゃんと閉めていきなよ」

後輩「はーい」

女「……私の、一つ下かあ」

先輩「私からもよろしく頼む。あれでけっこう恥ずかしがりなんだ。だからさっさと逃げてった」

女「かわいいですね」

先輩「自慢の妹だ」

女「本、たくさんありますね」

先輩「難しそうなのばっかでしょ?」

女「どのくらい読んでます?」

先輩「半分ないくらい。しかもぜんぜん理解できないよ」

女「ですよねえ」

先輩「ほんっと難しい。文字読むの苦手なのかも」

女「図書委員なのに?」

先輩「そ。しかも三年連続なのに」

女「おかしいですね」

先輩「……夏休みもさあ、そろそろ終わりだね」

女「はい」

先輩「そしたらさ、勉強も超がんばって、試験受けにいって。結果がどうあろうと三月には卒業」

女「もう、半年しかないですね」

先輩「休日とか除いたら……」

女「寂しくなります」

先輩「四月からは妹のことよろしく」

女「……」

先輩「なんか今日、喋らないね」

女「先輩はよく喋りますね」

先輩「なんかさ、寂しいんだよ。だからもっと女と話していたいなって思って」

女「私も寂しいです。だけど話したいことがありすぎて何を話せばいいのかわかりません」

先輩「いつもと逆だ」

女「ですね」

先輩「よーしじゃあ何して遊ぼうか。そだ、あのゲームしよう。私超強いよ。十連鎖とかできるし」

女「いいですね。力の差を見せてほしいです」



先輩「つよっ。女って上級者?」

女「ネットでは私ぐらいが初級者って扱いらしいですよ」

先輩「こわい」

女「妹とされてるんですか?」

先輩「そうそう。ちょっと呼んでくるよ」

先輩「おーい妹!」

後輩「呼んだ? あ、女せんぱい」

女「せんぱい?」

後輩「はい。来年から私もそこなので、女せんぱいって呼びます。いいですよね」

女「いいけど、じゃあ私は普通に後輩って呼ぶね」

後輩「……なんだか照れます」

先輩「む。こらそこ!」

女「は、はい」

先輩「妹はもう帰りなさい」

後輩「えーお姉ちゃんが呼んだから来たのに」

先輩「お姉ちゃんの言うこと聞くの!」

後輩「ちぇ」

女「あ、あの。ちょっと三人で写真撮ってもいいですか? 友や委員長に送りたいので」

後輩「いいですよ!」

先輩「……まあ女の頼みなら」

女「じゃいきますよ。……ほいっと」

後輩「それでは女せんぱい、来年からよろしくお願いします!」

女「こちらこそ」

先輩「……」

女「……怒ってます?」

先輩「別に。怒ってないもん」

女「あはは……」

先輩「よし、今日は朝まで寝かせないから」

女「泊まっていいんですか?」

先輩「女がよければ」

女「じゃあ親に連絡しときます」

先輩「このゲームで女を絶対に倒す!」

女「ふふん、やってみてください」

八月_日(_曜日) 晴れ


 写真見た? 私と先輩と、先輩の妹だよ。後輩っていうんだって。
 来年うちに入学するらしい。合格したらだけど。女せんぱい、なんて呼ばれちゃった。
 先輩は写真にうつるのが嫌いなのか、ちょっと怒っていました。こんなにかわいいのにね。
 家で何をしていたかというとあのゲーム。お泊まりして朝までずっとやってたんだ。すごく楽しかったよ!
 もうすぐ二学期が始まるね。夏の終わりってなんだか切なくなるね。
 体育祭があって中間テストがあって文化祭があって期末テストがあって、なんだかあっという間に冬になってしまいそうでこわい。
 私たちがここに入学してから、もう少しで半年が過ぎようとしているんだね。もう、私たちが一年生でいられるのは半年しかないんだね。
 そう考えるとなんだか寂しい気持ちになります。



 後輩かー、たしかに先輩とちょっと似てるとこあるね。いい子そうだ。
 あたしも先輩とのメールのやり取りで妹がいるってのは知ってたんだけど、見たのははじめて。実際に会ってみたいな。
 今度先輩の家におじゃましちゃおうかな。
 それとさ、女。こんなことあたしが言うのもなんだけどさ。
 先輩とのこと、はっきりさせたほうがいいと思う。
 お前が怖いのもさみしいのも全部、来年には先輩と別れるからだろ。
 私たちと別れるときに自分がどんな顔してるか、知ってるか? そうやってずっとおびえてたってだめだ。
 あたしらがついてるから安心しなって。
 なーんて、おせっかいだよな。面と向かっては言えないからここを使わせてもらう。
 あたしらに返事しなくていいし先輩とどうなったかの報告もいらない。
 決めるのはお前だぜ。

ここまでで半分です。残り半分は遅くても明後日中に。
しかしここから先は「お前何言ってるんだ」状態になってあれなので、sageでの投稿となります。

お前何言ってるんだ状態、全然OKだと思うけど。
頑張ってな

おつおつ
いいじゃーんすごく良いかんじじゃーん

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