劇場版!駆逐戦隊!ショキカンジャー!! (683)

劇場版!駆逐戦隊!ショキカンジャー!!

~守り抜け!始まりの自分~


このスレは
駆逐戦隊!ショキカンジャー!!
駆逐戦隊!ショキカンジャー!! - SSまとめ速報
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駆逐戦隊!ショキカンジャー!! 2スレ目 - SSまとめ速報
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カチャ…カチャ…

「…まだできないの?」

「申し訳ありません…まだ調節がうまくいかなくて」

「そう…まあ、急ぐ必要はないしね」

「すぐにできるものじゃないのはわかってるし、気にしなくていいわ」

「ありがとうございます」

「…これが完成したら…」

「『奴ら』を…倒せるのよね?」

「はい…その通りです」

「ふふふ…楽しみだわ…」

「待ってなさい…ショキカンジャー…!」

鎮守府 ある一室


吹雪「…」

叢雲「…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

電「す、すごい迫力なのです…」

五月雨「ごくり…」

漣「くっ…この圧倒的な圧力(プレッシャー)…」

漣「これがこの二人の真の実力だというのか…!」

漣「…次だ…」

五月雨「え…?」

漣「次の一手で…勝負が決まる…!」

漣「この漣にはわかる…!」

吹雪「…覚悟はいい?叢雲ちゃん…」

叢雲「いいわよ…どこからでもかかってきなさい…!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

吹雪「…」

吹雪「…これだ!」シュッ

叢雲「!!」

吹雪「やったー!あがりだ!」

五月雨「おお、ということは…」

電「勝負あり、なのです」

叢雲「ば、馬鹿な…!」

叢雲の手に握られていたもの、それは…

ジョーカー…!トランプのジョーカーであった…!

そう、五人はババ抜きに興じており…

結果、叢雲は勝つことができなかった…!

すなわち、敗者…!負け犬…!底辺…!

艦娘のクズ…!

叢雲「う、嘘だ…夢でしょ…」グニャァァァ

ところがどっこい…!夢じゃありません…!

これが現実…!現実で…

叢雲「あんたさっきからうるさいわよ」ポカッ

漣「あいたっ」

叢雲「というか何しれっと艦娘のクズとか呼んでくれてんのよ、ええ?」ギリギリ

漣「うわー!ギブギブ!」バンバン

吹雪「まあまあ。そこまでにしてあげなよ」

漣「そうだよ敗者の分際でー」

叢雲「あ?」

漣「すみませんでした」

五月雨「でもババ抜き終わったけど…何しようか」

電「ジジ抜きでもするのです?」

吹雪「ほとんど変わんないよ、それ…」

漣「じゃあリアルおままごとでもすっか」

吹雪「何それ怖い」

漣「まず叢雲ちゃんと五月雨ちゃんがカップルね」

叢雲「え?ど、どっちが男役?」

漣「何言ってんのレズカップルに決まってんじゃん」

五月雨「えぇ…」

漣「電ちゃんは二人の間に望まぬ形で生まれた子供ね」

電「複雑なのです!っていうかどうやって生まれたのです!?」

漣「そりゃあ愛の力ですよ」

五月雨「すでにリアルじゃないね…」

吹雪「えっと…私は?」

漣「吹雪ちゃんは五月雨ちゃんのストーカー」

五月雨「えっ…」

吹雪「ちょ、ひかないで五月雨ちゃん!漣ちゃん、何その役!」

漣「んで、漣は五月雨ちゃんの盗撮写真を吹雪ちゃんに売る裏社会の人間」

漣「一枚二万円で売ってます」

吹雪「高っ!」

叢雲「うわぁ…そこまでして五月雨の写真が欲しいのね吹雪…」

電「ドン引きなのです」

五月雨「…」ジトッ

吹雪「え!?ちょ、ちょっと!?」

吹雪「…あ、写真で思い出したんだけど」

叢雲「ん?」

吹雪「この間、部屋を整理してたらこんなのが出てきたんだ」ピラッ

漣「何?五月雨ちゃんの入渠中の写真?」

吹雪「…」

漣「あ、サーセン」

電「えっと、これは…」

五月雨「確か…私たちが鎮守府に来た最初の頃に撮った集合写真だね」

叢雲「また懐かしいものが出てきたわね」

五月雨「なんで撮ったんだっけ?」

電「確か、吹雪さんが撮りたいって言いだして…」

漣「そういやそうだったね。なして?」

吹雪「え…?なんでだったかなぁ…」

吹雪「ずいぶん昔の話だから、あんまり覚えてないよ」

叢雲「確かに、この鎮守府に来てからずいぶん経つのよね」

電「色々あったのです」

吹雪「あの頃は…みんなどうだったかな」

五月雨「あんまり変わってないと思うけどね」

叢雲「とりあえず漣は最初から変な奴だったことは覚えてるわ」

漣「え~?なにそれ」

漣「それだと今も変な奴みたいじゃん!」

四人「は?」

漣「えっ…」

吹雪「でも、変は変だったけど、今と何か違うよね」

電「確かに…何ででしょう?」

叢雲「あの頃のあんた、なんか無理してる感があったのよ」

漣「ほぁ?」

叢雲「今思えば、そういうことだったのね…」

五月雨「あー、そっか…」

漣「え?…あっ!」

吹雪「そういえば…そうだね」

電「納得なのです」

漣「そ、その話はなにとぞ…なにとぞ勘弁…」

電「叢雲さんはなんだか怖かったのです…」

吹雪「あー、そうだね。自分から一人になろうとしてたし」

五月雨「あんまり話してくれなかったし」

叢雲「え…そ、そうだったかしら」

漣「叢雲ちゃんは孤独なロンリーウルフって感じだったね」

叢雲「何よそれ」

漣「でも漣たちは知っている!本当は寂しがり屋のウサギちゃ…」

叢雲「は?」ギリギリ

漣「ぐえー!ギブギブ!」バンバン

叢雲「五月雨は最初からドジだったわね」

吹雪「うん、それは間違いないね」

五月雨「え!?そ、それは…」

五月雨「…否定できない」

漣「悲しいなぁ…」

電「でも、あの頃と比べるとドジは減ったと思うのです」

叢雲「確かにあの頃は、三歩歩けば転んでた気がするわ」

五月雨「そんなわけないよ!捏造はやめてよー!」

吹雪「そうだよ五歩の間違いだよ」

五月雨「えぇ!?」

吹雪「電ちゃんは最初から小っちゃくてかわいかったね」

五月雨「もはや小動物だよね」

漣「おーかわいいかわいい」ヨーシヨシヨシ

電「な、なんで撫でるのです!?というか小動物って何なのです!?馬鹿にしてるのです!?」

叢雲「馬鹿になんかしてないわよ。愛でてるだけよ」

漣「そのとーり!」ヨーシヨシヨシ

電「はわわ…」

五月雨「でもあの頃と比べるとたくましくなったかな?」

吹雪「そうだねぇ。あのころは何かと驚いたりおびえたりすることが多かったような…」

漣「ますます小動物じゃないですかヤダー!」ワシャワシャ

電「はわわ!?」

五月雨「それで、吹雪ちゃんは…」

叢雲「…」

漣「…」

電「…」

吹雪「…?」

叢雲「…大して変わってないわね」

吹雪「え!?」

漣「今も昔も普通ですな」

吹雪「えぇ!?」

吹雪「そ、そんなことないよね!?何か変わってるよね!?」

吹雪「ねえ、電ちゃん!」

電「…」サッ

吹雪「なんで目そらすの!?」

漣「いやーでも変わらないって言うのはいいことですよ」

五月雨「そうだよ。昔も今もしっかり者だよ」

叢雲「そうそう。変わることばかりが良いことじゃないのよ」

電「吹雪さんはそのままでいいのです」

吹雪「み、みんなぁ…」ブワッ

漣(ちょろい)ニヤリ

吹雪「そ、そんなことないよね!?何か変わってるよね!?」

吹雪「ねえ、電ちゃん!」

電「…」サッ

吹雪「なんで目そらすの!?」

漣「いやーでも変わらないって言うのはいいことですよ」

五月雨「そうだよ。昔も今もしっかり者だよ」

叢雲「そうそう。変わることばかりが良いことじゃないのよ」

電「吹雪さんはそのままでいいのです」

吹雪「み、みんなぁ…」ブワッ

漣(ちょろい)ニヤリ

五月雨「でもやっぱりみんなあんまり変わってないね」

電「そうですね。でもそれでいいと思うのです」

漣「みんながみんな高校デビューみたいになったらいかんでしょ」

叢雲「その例えはどうなのよ…」

吹雪「みんな、本質というか、根っこは変わってないよね」


五人「でもみんな」

五人「…!」

吹雪「な、何?みんな同時に…」

叢雲「…漣から言いなさいよ」

漣「…いや、ここは電ちゃんで」

電「…五月雨さん、どうぞなのです」

五月雨「いやいや、吹雪ちゃんが…」

吹雪「…さっきババ抜きで負けた叢雲ちゃんからどうぞ」

叢雲「うっ、ここで…」

叢雲「というかなんで言おうとしてたのに言うのためらってんのよ」

漣「てめーもだろうが」

吹雪「んー、なんか言いづらくなっちゃって」

電「どうしてでしょうね」

五月雨「この状況で言うのは何か恥ずかしいよ…」

漣「かーっ!この根性なしどもが!」

叢雲「あんたもでしょうが」

叢雲「どうやら全員言いたくないようね…」

五月雨「じゃあもう言わなくていいんじゃないかな」

漣「いや!なんか面白そうだから言いなさい!」

吹雪「じゃあ漣ちゃんから言ってよ」

漣「嫌に決まってんだろうがべらぼうめ!」

電「えぇ…」

漣「ふん。まあ漣から言ってもいいが…条件がある」

電「条件…ですか?」

漣「この叢雲ちゃんの秘蔵写真をここで公開させてもらう!」ピラッ

五月雨「秘蔵写真?」

漣「そう。これは叢雲ちゃんが大破して帰った時、こっそり自室で泣いてた時の…」

吹雪「何それ見たい」

叢雲「は!?何よそれ!よこしなさい!」バッ

漣「やだー!やらせはせんぞー!」


コンコン

五月雨「ん?」

吹雪「はい、どうぞ」

提督「よう」ガチャッ

電「あれ、司令官さん?」

五月雨「提督?どうしたんですか?」

提督「いや、お前らに用があってな」

提督「ちょうど今五人そろってるって聞いたから…」

提督「…何やってんだ?」

漣「え?なにがです?」

提督「いや…」

提督「…なんで漣は叢雲にキャメルクラッチされてるんだ?」

叢雲「あー、気にしないで」グイグイ

漣「そうそう。気にしないで」ギブギブ

提督「…そうか」

叢雲「で、何よ」

提督「ああ。お前らが一か月前に倒したディープマリンのことで…」

漣「え?あいつらが何?」

提督「お前たちが行った、ディープマリンの基地…」

提督「あそこの調査を本格的に始めたくてな」

提督「それで、お前たちに事前に軽い調査を行ってもらいたいんだ」

吹雪「あそこの調査、ですか」

提督「そうだ。もしかしたら深海棲艦にかかわる何かが改めて発見できるかもしれん」

提督「なかなか手が回せなかったが、ようやく調査が開始できそうでな」

提督「ただ、場所が場所だ。奴らが何か仕掛けてたかもしれん」

提督「それでお前たちなら何かあっても対応できると思ってな」

提督「先に下見して、異常がないか確かめてほしいんだ」

五月雨「なるほど、そういうことですか」

電「今からですか?」

提督「いや、確かに早めがいいが…準備もあるだろう。好きな時でいいぞ」

吹雪「了解しました。近々行っておきます」

提督「ああ。行くときは一応声をかけてくれ」

五月雨「準備か…ショキブレスのメンテでもしてもらってたほうが良いかな?」

電「そうですね。あと、叢雲さんの槍も戦隊仕様にしてもらったほうが良いのです」

叢雲「え?あー、そうだったわ」グイグイ

漣「別にそこまでしなくてもよくねー?」ギブギブ

吹雪「いや、念のためやっておこうよ」

叢雲「まあいいけどねー」グイグイ

五月雨「…というか、そろそろやめなよ」

叢雲「む、そうね」パッ

漣「うぇっ…首が伸びて首長竜になるかと思ったぜ」バタン

提督「む?その写真…」

漣「ん、ご主人様も気になる?叢雲ちゃんの秘蔵の写真」

叢雲「ちょっと漣!」バッ

漣「ぐわっ!4の字固めは勘弁!」

提督「それはそれで気になるけど…俺はこっちのことを言ってたんだ」スッ

五月雨「ああ、さっき見てた集合写真ですか」

吹雪「掃除してたら出てきたので持って来たんですよ」

提督「懐かしいな…だってこれ、この鎮守府ができた本当に最初の頃の写真だろ?」

電「そうなのです。ずいぶん経つのです」

提督「最初の頃お前らあんまり仲良くなかったんだよな」

吹雪「え?そ、そうでしたっけ?」

提督「ああ。喧嘩とかはなかったが、関わり合うことが少ない感じだったな…」

五月雨「そうでしたっけ…」

叢雲「初対面なんてそんなもんじゃないの?」

提督「そうかもな…」

提督「ただ、この写真を撮ったあたりから打ち解けだしたんだよなぁ…」

電「え、そうなのです?」

提督「ああ。こういうのは第三者はよくわかるもんだ」

漣「へー。でもなして?」

提督「いや、知らねえよ…それこそお前らしかわからないことだろ」

提督「確か、写真を撮りたいって言いだしたのは吹雪だったろ?理由とか覚えてないのか?」

吹雪「えっと…それが思い出せなくて…」

提督「ふむ…そうか」

提督「それにしても、お前ら…」

五人「?」

提督「…」

提督「いや、何でもない」

提督「じゃあ調査の件、頼んだぞ」

バタン

五人「…?」

吹雪「…なんだったんだろう」

五月雨「さあ…?」

工廠

吹雪「明石さん、夕張さーん。いますかー?」

電「あれ、居ませんね…?」

叢雲「いつもならこの辺りにいるんだけどね…」


…ダカライマーイチビョウーゴトニー…


五月雨「…ん?」

漣「なんか聞こえますな」

電「あっちの方からなのです」

吹雪「もしかして二人が…」ヒョコッ


「トベヨォォォォォ!!」

明石「やっぱりこの辺の展開は燃えるねー」

夕張「ここから話が盛り上がっていきますからねー」

五人「…」

五月雨「…何やってるんですか?」

夕張「ん?おー、みんな!」

明石「何って…アニメ鑑賞?」

「マッテクレ…アヤマル!」

叢雲「えぇ…」

電「えっと…暇なのです?」

夕張「うん、超ヒマ!」

吹雪「あの、ちょっと頼みたいことがあるんですけど…」

夕張「お、なになに?」

五月雨「ちょっとショキブレスのメンテをしてもらいたいんです」

夕張「ん?ショキブレス?」

夕張「もう使わないと思ってたんだけど」

電「ちょっと必要になったのです」

叢雲「あと、私の槍も戦隊仕様にしてもらいの」

夕張「まあ暇だったし、それは全然かまわないわよ」

夕張「じゃあ預かっておくね。明日にはできると思うから」

吹雪「はい。お願いします」


「ワタシナノダゼ?」

漣「いやー、やっぱり助手かわいいですな」

明石「ねー。いいよね」

叢雲「…増えてるし」

五月雨「夕張さん、これってどんな話なんですか?」

夕張「えっと…簡単に言うと、タイムマシンで時をかける中二病の話」

「リーディングシュタイナー…!」

明石「はぁ…タイムマシン作りたいなぁ…」

漣「えっ、あれだけの謎技術があってできないんですか」

夕張「それはそれ、これはこれよ」

明石「そうそう。全然違うのよ」

電「違いが分からないのです…」

──────────

──────

───


「…」

「…はぁ…」

「こんなところで、一人で何やってるのかな?」

「うわぁ!?」

「あ、驚かせちゃった?ごめんね」

「な、なんですかあなたは!?いきなり…!」

「大丈夫大丈夫。怪しい人じゃないから」

「…そう言われても…」

「まあまあ。別に危ないことはしないから」

「…それで、あなたは一体…?」

「私?私はね――――――」

──────────

──────

───

吹雪「…ん…」

吹雪「…今のは…?」ムクリ

白雪「…」スヤスヤ

吹雪「誰もいない…白雪ちゃんしか」

吹雪「夢…?」

吹雪「…何だったんだろう、一体…」

翌日 ディープマリンの基地


五月雨「ここに来るのも久しぶりだね…」

電「そうなのです。あの戦いから一回も来てないですからね」

漣「もう一か月もたつのかー」

叢雲「早いものね…」

叢雲「調査って、異常がないか調べるんでしょう?」

五月雨「今のところ異常はないね」

吹雪「大丈夫だとは思うけど…油断はできないね」

電「気を引き締めていくのです」

吹雪「特に異常もなく最後の部屋まで来ちゃったね」

五月雨「ここは…コアがあったところだね」

吹雪「そう。最後に戦ったところ」

漣「よーし!さっさとドア開けて入ろう!」

叢雲「そうね。何もなさそうだし、中見てとっとと帰りましょう」

電「じゃあ、開けるので…」スッ

ピタッ

吹雪「…どうしたの?」

電「…」

電「…中から、話し声が聞こえるのです」

四人「!?」

吹雪「ぜ、全員静かに!」コソッ

五人はドアに耳を当て、かすかに聞こえる話し声に耳を傾けた


「…それで、どうなの?」

「はい…あと少しです」

「ふーん…まだ使えないの?これ」

「使えないことはないですが…いささか問題が…」

「あら、そうなの…」

「しかし…これまでよく我々見つかりませんでしたねぇ」

「そうね…でも、何かあっても私とあなたがいれば大丈夫でしょう?」

「ですが、相手はコアを破壊するほどの実力を誇ります…かなりの強敵だと思われますよ」

「うーん、確かにそうね…」

「でも、これがあればどんな強敵でも関係ないんでしょ?」

「はい。その通りです」

「この装置があれば…」

「奴ら…『ショキカンジャー』は、終わりですよ…」


五人「!!」

「ふふふ…そうよね…」

「じゃあ、頼んだわよ」

「ええ、お任せください…」


吹雪「ちょっと待ったぁー!!」バンッ

「「!!?」」

吹雪「…あ、出てきちゃった」

叢雲「まー仕方ないわ」

防空棲姫?「な、何!?あなたたちは…!」

???「と、とうとう見つかっちゃいましたか…」

五月雨「…防空棲姫…?」

漣「…いや、ただのそっくりさんですな」

叢雲「隣にいる奴は…見覚えないわね」

電「でも、もしかして…」

吹雪「あなたたち…ディープマリンですか!?」

防空棲姫?「!!」

防空棲姫?「ど、どうして私たちのことを…」コソコソ

???「ボウクウ様。あの五人組…」コソコソ

???「もしかして、噂のショキカンジャーでは?」

防空棲姫?「えっ!?本当に!?」

防空棲姫?「くっ…何てタイミングが悪いのかしら…」

防空棲姫?「仕方ない。ここで返り討ちに…」

???「このまま真正面から戦うのは分が悪いですよ…」

防空棲姫?「う、確かに…」

防空棲姫?「…ツー。その装置、使えないことはないのよね?」

???「っ!…はい。ですが…」

防空棲姫?「このままじゃどっちにしろまずいわ」

防空棲姫?「私が時間を稼ぐ。その隙にあなたは起動の準備を」

???「…わかりました」

叢雲「何コソコソしてんのよ。ぶっ飛ばすわよ?」ギラッ

防空棲姫?「ヒィッ!?ままままままま待ちなさい!」

???(…大丈夫かな…)カチャカチャ

防空棲姫?「コホン…あなたたち、ショキカンジャーね?」

吹雪「…ええ、そうです」

防空棲姫?「私の名はボウクウ。そして、こっちはツー」

ボウクウ「お察しの通り、私たちはディープマリンよ」

五月雨「やっぱり…!」

電「でも、コアは壊したはずなのです!」

漣「そーですよ。コアもないのになんであんたらいるんですか」

ボウクウ「ええ、確かにコアは破壊されてしまったわ」

ボウクウ「そしてそのコアをエネルギー源としているディープマリンは、コアを破壊されては生きられない」

叢雲「だったらどうして…」

ボウクウ「…さっきは私たちはディープマリンといったけど…」

ボウクウ「正確には、『ディープマリンのプロトタイプ』、と言ったほうが良いのかしら?」

吹雪「プロトタイプ…?」

ボウクウ「深海棲艦はコアを作り出す前に、艤装での攻撃が通らない存在として私たちを作っていたの」

ボウクウ「確かに私たちは通常の攻撃が効かない。これで目的は達成できたかに思われたわ」

ボウクウ「しかし、私たちをそれなりの数作るにはちょっと問題が多くてね…」

ボウクウ「このまま作り続けることは断念されたわ」

ボウクウ「そこで深海棲艦は他の方法を探した。そして…」

五月雨「コアが作られ、私たちの知るディープマリンが生まれた、と…」

ボウクウ「ええ。そうよ」

ボウクウ「コアが作られたことで、私たちはお払い箱。今まで深海棲艦の雑用として働いていたわ」

ツー「うぅ…辛かったです」

漣「えぇ…」

電「でも、どうしてあなたたちもディープマリンとともに戦わなかったのです?」

叢雲「そうよね。そのほうが良いんじゃ…」

ボウクウ「確かにそうなんだけどねぇ…」

ボウクウ「まあ、私たちはディープマリンが倒された時の保険として温存されてた、と思ってくれればいいわ」

五月雨「はぁ…」

漣「で、あんたらプロトタイプはなんか違うところあるの?」

ボウクウ「そうね…まず、コアがないから自由に動けるわ」

ボウクウ「あとはやっぱり、戦うときに―――」

ボウクウ「…おっと、喋りすぎたわね」

漣「ちっ」

叢雲「…まあ、それはいいとして…」

叢雲「…そこのあんた、何やってるのかしら?」

ツー「!!」

吹雪「…そういえば、その装置で私たちを倒すって言ってましたよね?」

漣「じゃあぶっ壊すか」

ボウクウ「さ、さすがに目を付けられたわ!」コソコソ

ツー「ボウクウ様、もう少し時間稼ぎを!あと少しです!」コソコソ

叢雲「とりあえずぶっ叩いときましょうか」ブンブンッ

ボウクウ「ヒィッ!?ままままままま待ちなさい!」

叢雲「大人しくしてれば痛い目には合わないわよ?」ブンブンッ

ボウクウ「お、落ち着きなさい!素数を…素数を数えるのよ!」

ボウクウ「ほら、一緒に!1、3、5…」

電「1は素数じゃないのです」

五月雨「2も抜かしてますよ」

ボウクウ「はっ!しまった!」

叢雲「こんな場所で作るから見つかるのよ」ブンブンッ

漣「そーだそーだ。なんでこんなところで作ってんだよ」

ボウクウ「だってここ便利なんだもの!コアが置いてあった関係でエネルギー供給に困らないし!」

叢雲「へぇ、そうなの。まあ関係ないわ、ね!」ブンッ

叢雲が装置に向かって槍を振り下ろした!

ツー「!!」

ボウクウ(まずい、こうなったら…!)

ボウクウ「そいやぁああああああああああ!!」ドンッ

叢雲「ぐあっ!?」

ボウクウが叢雲に向かってタックルを決めた!

吹雪「叢雲ちゃん!!」

叢雲「くっ…油断したわ」ズザッ

ボウクウ「うう、痛い…」ヒリヒリ

電(なんか、親近感湧くのです)

五月雨「こうなったら、全員変身して一気に決めよう!」

漣「それで満足するしかねぇな!」

ボウクウ(!まずい、私ひとりじゃ、全員は…)


ゴォォォォォォォォォォォォ

ツー「ボウクウ様!起動しました!」

五人「!!」

ボウクウ「よーし、これでこっちのものよ!」

叢雲「させるか!」ダダッ

ボウクウ「ククク、残念だったわね、ショキカンジャー!」

ボウクウ「これであなたたちも終わりよ!ハーッハッハッハ!!」

吹雪「させません!」バッ

漣「やらせはせん!やらせはせんぞー!」バッ

ボウクウ「うわっ!?離れなさいあなたたち!」

五月雨「よくわかりませんが、その装置を…!」バッ

叢雲「とりあえず、ぶっ壊してやるわ!」

ツー「は、離れてください!さもないと…」

電「えーいっ!」バッ

ツー「えっ」

ゴツンッ

ピカァァァァァァァァ

吹雪「ん?装置が…」

五月雨「光ってる…?」

ツー「いたた…あ!」

ツー「ま、まずいです!このままでは…」

ピカァァァァァァァァ

漣「…なんか、やばそう?」

叢雲「ええい!あんた、どきなさ…」




ピカァァァァァァァァァァァァァ!!

あたり一面が光に包まれた!

五人「うわあああああああああああああ!!?」

──────────

──────

───

…さん…

…き…さん…


「吹雪さん!!」

吹雪「うわっ!?」バッ

電「吹雪さん!大丈夫なのです?」

吹雪「い、電ちゃん?」

吹雪「うん、大丈夫…って」キョロキョロ

吹雪「…あれ?」

吹雪があたりを見渡すと、そこはさっきまでいた場所とは全く違う場所であった

吹雪「…ここは…?」

電「多分、鎮守府の近くの森なのです」

吹雪「ああ、あそこか…」

吹雪「えっと、なんでこんなところに?」

吹雪「それに、他のみんなは?」

電「わからないのです。電も気が付いたらここに…」

電「近くで吹雪さんが倒れてて、それで…」

電「他のみんなは、見かけてないのです」

吹雪「そっか…」

吹雪「やっぱり、さっきの装置のせいかな?」

電「そうだと思うのです。またワープでしょうか?」

吹雪「いや、それだったらあんな装置作らなくても…」


ガサッ

二人「!!」

吹雪「な、何…?」

ガサガサッ

電「ここ、動物は出ないはずなんですけど…」


「喰らえっ!」バッ

吹雪「うわっ!?」シュバッ

「ちぃっ!避けたか…」

吹雪「あ、危な…って、叢雲ちゃん?」

叢雲「…あら?」

叢雲「吹雪と電だったの…」

電「なんで襲ってきたのです?」

叢雲「いや、あいつらかと思って…」

吹雪「もっとよく見ようよ…」

叢雲「ご、ごめん…」

電「他の二人は見てないのです?」

叢雲「そうね。気が付いてから会ったのはあんたたちだけよ」

吹雪「とりあえず合流しないと」

叢雲「そうね…奴らも近くにいるかもしれないし、危険だわ」

電「…そういえば、ショキブレスのミニマップ使えばいいのでは?」

吹雪「あーそういえば…近くにいるんなら使えるね」

叢雲「すっかり忘れてたわ」

電「一回しか使ってないから仕方ないのです」

叢雲「じゃあ早速…」スッ


「エントリイイイイイイイイイイイイイイイ!!」ドガッ

叢雲「ぐはぁっ!?」

吹雪「…何やってんの、漣ちゃん?」

漣「ん?エントリーしただけですヨ」

電「…もしかしてずっと隠れてたのです?」

漣「うん。電ちゃんが起き上がるところから見てた」

電「最初からなのです…」

漣「それでいつ出ていったら面白いかなーって、出るタイミングを…」

ガッ

漣「…はっ」

叢雲「…」ゴゴゴゴゴゴゴ

漣「…」シュゥゥゥゥ

叢雲「…反省しなさい」

吹雪「ま、まあそこまでにしてあげなよ」

電「えっと…あとは五月雨さんだけなのです」

叢雲「そうね。じゃあ今度こそ…」カチッ

ボゥッ

叢雲「…ん?」

漣「どったの?」ムクリ

吹雪「もしかして、見つからない?」

叢雲「いや…見つかったんだけど」

電「けど…どうしたのですか?」

叢雲「…」スッ

三人「?」


五月雨「…み、みんな…」ガクガク

叢雲が指さした近くの木を見てみると、木の上で五月雨が枝にしがみついて震えていた…

四人「…」

吹雪「…何してるの?」

五月雨「起きたら誰も近くにいなかったから…」

五月雨「木に登って見渡したら見つかると思ったんだよね…」

五月雨「そ、そしたら降りられなくなっちゃって…」ガクガク

漣「うわぁ…」

電「ずっとそこに居たのです?」

五月雨「うん…漣ちゃんが起き上がって電ちゃんたちを見つけるところから見てた」

漣「最初からじゃねーか!」

叢雲「とりあえず飛び降りたら?」

五月雨「む、無理だよ…」

叢雲「…あんた、レーと戦った時の度胸はどこ行ったのよ」

五月雨「これくらいの高さの方が怖いんだよぅ…」

漣「五月雨ちゃーん」

五月雨「な、何?」

漣「パンツ見えてるよー」

五月雨「えぇ!?」サッ

フラッ

五人「あ」

ヒュゥゥゥゥゥン… ドッスーン

五月雨「いたた…」

吹雪「だ、大丈夫?」

五月雨「大丈夫…こういうの慣れてるから」

電「たくましいのかたくましくないのかわからないのです…」

叢雲「とにかく、これで全員そろったわね」

漣「どうする?あいつら探す?処す?処す?」

吹雪「どうしようかな…」

電「近くにいるのでしょうか…」

五月雨「私たちが近くにいたから、その可能性は高いけど…」

叢雲「探してみる?」

吹雪「うーん、でも探してる間に鎮守府に行かれたら…」

漣「あー、確かにそれは危険」

吹雪「うん。だから、先に鎮守府に戻って司令官に報告しよう」

吹雪「鎮守府にいれば、襲ってきてもどうにかできるはずだし」

ガサガサッ

叢雲「ふー、ようやく着いたわ…」

漣「草が邪魔だったー…吹雪ちゃん、燃やしてくれればよかったのにー」

吹雪「いやいや…」

五月雨「早く提督のところに行こう。あの人たちが来ないうちに」

吹雪「そうだね…それで、早く迎撃の準備に移ろう」

漣「…んお?あそこに誰かいますな」

叢雲「あら…って、ここにいるのって危険じゃない?」

電「確かに、捕まったりしたら大変なのです」

五月雨(…ん?)

吹雪「おーい、ここにいるのはきけ…」


五月雨「っ!!待って吹雪ちゃん!」バッ

吹雪「!?モガモガッ!」ジタバタ

叢雲「どうしたの五月雨…っ!」

漣「…んん!?」

電「え…!?あれって…」

吹雪「…プハッ…え?どうしたのみんな?」

五月雨「…」

吹雪「五月雨ちゃん…?」

五月雨「…吹雪ちゃん。あの人、誰かわかる?」

吹雪「え?えーと…」ジッ

吹雪「…」

吹雪「…!?」



吹雪?「…」

そこに居た人物は、吹雪そっくりであった

吹雪「わ、私そっくり!?」

叢雲「遠目じゃよくわからなかったけど、よく見ると完全に吹雪ね…」

漣「何あれ?ドッペルゲンガー?」

電「誰なのです…?」

五月雨「…新しい吹雪型とかじゃないよね?」

吹雪「違うと思うよ…」

吹雪?「…」スタスタ


電「…向こうの方に行ったのです」

吹雪「何だったんだろ…一体誰…?」

五月雨「…追う?」

叢雲「でも、ディープマリンが…」

漣「…あれが我々の見間違いでなければ、もしかしたらディープマリンの仕業かもしれませんぞ」

吹雪「え?ディープマリンが?」

漣「そ。吹雪ちゃんに変装して鎮守府に侵入ってこと」

叢雲「あー、あいつらがやりそうな手口ね…」

五月雨「念のため追ってみようよ。どっちにしてもここは離れないといけないんだし」

吹雪「…そうだね。気になるし」

漣「これが吹雪ちゃんのコスプレした磯波ちゃんとかだったらウケる」

電「違うと思うのです…」

吹雪?「…」スタスタ


叢雲「…艤装つけて港に向かってるわね」

吹雪「あれ完全に私の艤装だよ…」

漣「ふむ…単に変装して進入するだけなら、あんなことしないよね」

漣「じゃあ違うのかな~?」

五月雨「だったら一体…」

電「…」

五月雨「…電ちゃん、どうしたの?」

電「いえ…」

電「…さっきから、全然人に会わないのです」

吹雪「…そういえば、そうだね」

叢雲「確かに人通りが多い場所じゃないけど…一人くらい会ってもいいはずよね」

電「そうなのです。全然人の気配がしないのです」

漣「…偶然?」

吹雪「どうだろ…」

五月雨「…あ、港には人がいるみたい」

吹雪「本当だ。ちゃんと人いるね」

電「やっぱり偶然だったのでしょうか?」

叢雲「…いや、やっぱり何かありそうね」

五月雨「え?」

叢雲「…あそこ、四人いるでしょ?その四人が誰か、よく見てみなさい」

四人「…」


叢雲?「…」

漣?「…」

電?「…」

五月雨?「…」

そこに居たのは、さっきの吹雪と同様に、四人にそっくりな人物であった


四人「…!!」

五月雨「え!?あれ、私たちそっくり!?」

漣「えぇ…どういうことやねん…」

叢雲「もうわけわかんないわ…」

電「あ、吹雪さんのそっくりさんと合流したのです」

吹雪「…そのまま、全員そろって海に出たね」

漣「行っちまいましたな」


吹雪「えっと…」

吹雪「…どういうこと?」

叢雲「知らないわよ…」

五月雨「私たちのそっくりさんがいて…」

電「そして鎮守府に、他の艦娘の気配はないのです…」

漣「うーむ、謎は深まるばかり…」

続きktkr
待ち望んでたぞ

叢雲「…このままこうしてても仕方ないわ」

叢雲「当初の予定通り、司令官に会いに行きましょう」

吹雪「そうだね…とりあえずそうしよう」

電「でも、司令官さんもいないかもしれません…」

漣「いやいや、まだ他に人がいないと決まったわけじゃなし。もしそうだったとしても、その時はその時」

五月雨「うん。とにかく執務室に行こう」

スタスタ

漣「…本当に人っ子一人いませんな」

叢雲「静かな鎮守府って、なんか嫌ね…」

吹雪「でも、私たちしかいなかった頃はこうだったんだよ」

電「確かにそうなのです。電たちが出撃や遠征に行ってたら、司令官さんと妖精さんだけだったのです」

五月雨「あの頃は明石さんや大淀さん、間宮さんもいなかったしねー…」

五月雨「…ん?」ピタッ

漣「どったの五月雨ちゃん」

五月雨「…」

五月雨「…艦娘寮が…」

吹雪「え?」

叢雲「寮がどうかした?…って」

電「あれ…?」

電「…小さくなってるのです?」

吹雪「え!?何で!?」

叢雲「もっと大きかったはずよね、これ…」

五月雨「…確か、寮は一回増築されたよね?」

漣「あー、そういうえばそうだった」

電「そうなのです。艦娘が増えてきたので、大きくしたのです」

五月雨「うん。それで、増築前ってこんなじゃなかったっけ…?」

五人「…」

吹雪「…誰もいない鎮守府」

叢雲「私たちに似た誰か…」

漣「増築前の艦娘寮…」

電「これって…」

五月雨「…まさか」

五人「…」

吹雪「…執務室に行こう」

吹雪「ただし、窓の外から中を見てみる形で…」

執務室前

提督「…」カリカリ


漣「ん…ご主人様はいるね」

電「よかったのです…」ホッ

吹雪「えっと…カレンダーがあったよね?」

五月雨「あー確かあっちの方に…」

叢雲「むむむ…こっちからだと見えないわ」

叢雲「吹雪の方からは見えるんじゃない?」

吹雪「…うん」

吹雪「えーっと…何というか」

吹雪「多分、みんなも予想がついてたと思うけど…」

吹雪「カレンダーに記されてたのは、私たちが着任した頃の日付だったよ」

漣「なーんだ、ご主人様カレンダー代えるの忘れてやがんの」

電「…無理があるのです」

叢雲「…やっぱり…」

五月雨「ということは、あの装置は…」

吹雪「うん…」

吹雪「…タイムマシン、だね」

五月雨「じゃあ、あの私たちそっくりな人たちは…」

叢雲「この時代の私たちってことになるわね」

漣「マジかよ」

電「鎮守府に人がいないのも、納得なのです…」

吹雪「うん。私たち以外に艦娘がいなかったもんね」

吹雪「当然、寮はまだ改装前。だからああなってたんだね」

漣「まさかタイムマシンに巻き込まれてしまうとは…」

叢雲「あいつら、どうしてこんなことを?」

電「えっと…電たちを倒すのが目的って言ってましたよね?」

五月雨「うん、言ってたね」

電「だったら、この時代の電たちを倒すのが目的じゃないですか?」

電「この時だったら、ディープマリンについて全然知らないですから。戦い方も全く知らないはずなのです」

吹雪「あー、なるほどね」

漣「それならお手軽に倒せますなー」

五人「…」

五人「…ん?」

叢雲「…ちょっと待って…」

叢雲「この時代の私たちが死んじゃったら、どうなるの?」

吹雪「えっと、まあ後の艦隊に色々影響出てくると思うけど…」

電「ディープマリンも倒せないと思うのです」

五月雨「…というか、それ以前に…」

五月雨「…今の私たち、死んじゃうよね?」

漣「死ぬって言うか…消えるんじゃない?」

吹雪「うん…消えるねぇ…」

五人「…」

吹雪「どどどどどどどうしよう!?」オロオロ

叢雲「おちおちおち落ち着きなさい!」

叢雲「まだあわわわわわわわわわわわわわわ」オロオロ

漣「お前が落ち着かんかー!!」

漣「素数を…素数を数えて落ち着くんだ!!」

漣「らせん階段!カブト虫!廃墟の町!」

電「数ですらないのです!?み、みんな本当に落ち着くのです!」バッ

電「あっ」ツルッ

五月雨「そ、そうだよ!こんな時こそ冷静に…」

五月雨「あっ」コケッ

三人「えっ」

ゴツンッ

電「…落ち着いたのです?」シュゥゥゥゥ

吹雪「うん…ごめんね」シュゥゥゥゥ

叢雲「こんなに焦ったのは久しぶりだわ…」シュゥゥゥゥ

漣「漣も。アニメの録画予約忘れてた時以来だよ」シュゥゥゥゥ

五月雨「と、とにかく冷静になって考えよう」シュゥゥゥゥ

五月雨「運がいいことに、私たちも一緒に飛ばされたからね」

五月雨「まだやりようによっては止められるはずだよ」

吹雪「確かに…本当に運がよかったね」

五月雨「それで…今のところ、この時代の私たちが殺されることはないと思う」

叢雲「そうね。奴ら、海まで出てくることはないと思うし」

吹雪「となると、帰ってきてからが問題かな?」

電「そうなるのです。その前にどうにかするのが一番ですが…」

漣「いやー、それは厳しいっしょ」

漣「相手がどこにいるか見当もつかんからね。探してる間に狙われておしまい」

吹雪「でもそうなると、できることは限られてくるね」

叢雲「どうするつもり?」

吹雪「待ち伏せだよ。私たちは過去の私たちの近くで周囲を警戒しておく」

吹雪「一方、敵はこの時代の私たちを狙ってくるはず」

吹雪「それで襲おうとして、近づいてきたところを倒すってこと」

漣「ふむ…ストーカーというわけですな」

吹雪「いや違うよ…」

電「しかし、この時代の電たちがいつも一緒とは限らないのです」

五月雨「そうだね。むしろ別々のことが多いと思う」

五月雨「誰か一人を見てるうちに、他の人が狙われる、なんてことがあるかも」

叢雲「だったら、私たちも別々で行動するしかないんじゃないかしら」

叢雲「役割分担を決めて、誰が誰の警護をするかって言うのを…」

五月雨「なるほど…いざとなればショキブレスで通信もできるしね」

電「しかし、その分担はどうするのです?」

漣「そりゃー自分を自分で見守るんですよ」

吹雪「え?何で?」

漣「その方が面白そうだから!」

吹雪「えぇ…」

漣「冗談はさておき。我々は本来この時代にいない存在。できるだけ過去の人物との接触は避けなければなりません」

漣「特に出会ってはならないのは自分自身。かなり面倒なことになりますな」

漣「他の人なら何とかごまかせるかもしれないけど…」

漣「そんで、自分自身の警護をすると、過去の自分に見つからないようにうまく立ち回りやすいと思うわけ」

漣「常に視界にいれてれば、うっかり遭遇、なんてないと思うからね」

叢雲「ふむ、一理あるわね」

電「もしも運悪く見つかってしまったらどうするのです?」

漣「急いで変身してごまかしてください」

五月雨「それ不審者になっちゃうよ…」

吹雪「まあ、とにかく…」

吹雪「その作戦でいいかな、みんな?」

叢雲「ええ。奴らの目的がそれなら、確かに迎え撃つのがいいかも」

電「電も異議なしです」

五月雨「私も。いいと思うよ」

漣「吹雪ちゃんが得意そうだし、いいんじゃね」

吹雪「…?どうして?」

漣「いや、ストーカーだから影から見守るのは得意…」

吹雪「それいつまで引っ張るの!?」

叢雲「…失敗、できないわね」

五月雨「…だね」

吹雪「もし失敗したら…」

電「みんな、消えちゃうのです…」

漣「…」

叢雲「…漣、怖いの?」

漣「こ、怖くねーし!昨日見たホラー映画思い出してただけだし!」

五月雨「どっちにしろ怖がってるよ…」

漣「…まあ、怖いって言うか…不安かな」

漣「今回は敵もなんか今までと違うらしいし」

電「そうなのです。どう出てくるかわからないのです」

叢雲「それに、過去の私たちがどう動くかも関係するし…」

五月雨「下手にミスも犯せない…不安な要素がいっぱいだね」

五人「…」

吹雪「…大丈夫」

吹雪「私たちはショキカンジャー。どんなピンチだって乗り越えてきたでしょ?」

吹雪「きっと、今回も大丈夫!」

叢雲「…そうよね」

叢雲「奴らの力がどれくらいか知らないけど…私たちなら、きっと勝てる」

漣「そうだ!戦隊は負けなぁーい!!」

電「あの人たちの好きにはさせないのです!」

五月雨「うん、絶対に勝てる!みんな、頑張ろう!」



吹雪「よーし!みんな、絶対に守り抜こう!」


吹雪「私たちの『始まり』を!!」

五人「オー!!」

今日はここまで
続きは近々投下できるはず…多分

ショキカンジャー大好きだった
続きがあるなんて嬉しい乙

ショキカンジャー!ショキカンジャーじゃないか!!

乙かえりなさい!

まさか続きがあるとは!

乙。

このちょっと忘れた頃に放映される劇場版クオリティ・・期待大やでぇ・・

まさかの劇場版
ファンサービスが素晴らしい




グゥゥゥ…

五人「…」

五月雨「…お腹、すいたね」

叢雲「お昼食べてないものね」

電「どうしましょう?」

漣「腹が減っては戦はできぬ。空腹では勝てる戦いも負けてしまいますぞ」

吹雪「でも、食べ物なんてないし…」

五人「うーん…」

食糧庫

吹雪「いいのかな、勝手に…」

漣「大丈夫!緊急事態だから!」ゴソゴソ

叢雲「でも何もっていくのよ」

漣「すぐにはばれなさそうなやつで、持ち運びやすい、おいしいもの!」ゴソゴソ

電「…保存食の缶詰でしょうか?」

五月雨「…缶詰はあんまりストックないみたい」

叢雲「それじゃあすぐばれちゃうわね…泥棒騒ぎになったら困るし」

漣「非常食くらいちゃんと準備しとけよー」ゴソゴソ

五月雨「うーん、あとは野菜や小麦粉、お米くらいしか…」

電「調理してる時間はないのです」

吹雪「じゃあ、どうしたら…」


ガタッ

五人「!」

五月雨「だ、誰か来る!?」

吹雪「全員隠れてっ!」コソッ

ギィッ…


提督「…」

漣「ん、ご主人様?」コソッ

電「今は司令官さんしかいないから当たり前といえば当たり前なのです」コソッ

提督「…」ゴソゴソ

叢雲「…何してるのかしら?」コソッ

吹雪「さあ…」

提督「…」パカッ

提督は隠し戸棚を開けた!

五人「!?」

提督「…」ゴソゴソ

提督「…」スタスタ

バタン

五月雨「…行った?」

叢雲「行ったわね」

電「あんなところに隠し戸棚があったのですか…」

吹雪「何か取り出してたね」

漣「隠し戸棚からこっそりと何かを取り出すご主人様…」

漣「わかった!この中身はご主人様秘蔵のスケベな…」

叢雲「やかましいわよ」パシッ

電「でも実際なんでしょう?」パカッ

そこには大量のカップラーメンがあった

五人「え゛」

五月雨「すごい量…」

電「司令官さん、ずっとこれを隠してたのです?」

叢雲「あいつめ…私たちに隠れて何やってるのかしら」

吹雪「なんで隠してたんだろ?」

漣「そりゃあ勝手に持っていかれないためでしょ」

漣「奴め、姑息な隠蔽を…」

漣「じゃあちょうどいいや。これをもらっていきまっしょい」ヒョイヒョイッ

電「い、いいのでしょうか?」

叢雲「別にいいでしょ、こんなにあるんだし」

鎮守府の外


漣「とりあえず非常用のバックパックに詰めて、やかんもくすね…」

漣「…拝借してきました!」

漣「あ、これみんなの分のバックパックね。水とかも入ってるから」

電「あ、ありがとうなのです…?」

吹雪「うわ、結構色々とってきたね…」

叢雲「…まあ、大丈夫でしょ」

五月雨「…ところで火は?」

漣「ん?もちろんあるよ」

叢雲「じゃあ早く出しなさいよ」

漣「そうだよ早く出してよ吹雪ちゃん」

吹雪「…ん?」

パチパチ…

漣「おー、燃える燃える」

吹雪「…久々に変身したと思ったらこれだよ」

電「と、とても助かるのです!すごいのです!」

五月雨「そうだよ!実生活でも使えるなんてすごい!」

叢雲「…そのフォローどうなの?」

吹雪「…まあ、いいけどね…」

漣「お、お湯沸いたよー」

電「さて…いつ戻ってくるでしょうか?」ズルズル

叢雲「あの時間帯に出撃したってことは…夕刻じゃない?」ズルズル

漣「いや、この頃は近海にしか行ってなかったから、そんなにかからないんじゃね?」ズルズル

吹雪「じゃあ、帰ってくるまでに何かできることあるかな?」ズルズル

五月雨「あんまりないんじゃないかな…」ズルズル

叢雲「でも改めて見ると、鎮守府も変わったわね」

吹雪「そうだね…人もずいぶん多くなったし」

五月雨「うん。出撃、演習、遠征…艦隊行動がやりやすくなったよね」

漣「そう考えるとこの頃は大変でしたな」

電「そうなのです。毎日出撃して、家事もして…」

吹雪「人手不足だから休みもあんまりなかったしねー」

叢雲「何度司令官に八つ当たりしてやろうと思ったか…」

漣「きゃー叢雲ちゃんこわーい」

電「さ、さすがにそれはダメなのです!」

叢雲「…冗談よ」

五月雨「でも、提督が言ってたけど、私たち最初はあんまり関わり合おうとしてなかったんでしょ?」

漣「くそ忙しいのに何やってんだいチミたちは」

叢雲「あんたも含まれてんのよ」

電「ま、まあ今はそんなこともないので大丈夫なのです」

吹雪「そうだねぇ…」

吹雪「…そういえば、ここに来てからずっと思ってたんだけど」

吹雪「何か忘れてるような気がするんだよね…」

叢雲「あら、吹雪も?実は私も何か忘れてるような気がして…」

漣「ミートゥー。でも思い出せないんだよね…」

電「奇遇なのです。電も何か忘れてる気がしてならないのです」

五月雨「…実は私も。何だろ?」

五人「…」

五人「…何だっけ?」

漣「まあ五人全員思い出せないということはどーでもいいことということでしょう」

吹雪「そうかなぁ…」

五月雨「うーん、何だろうね」

叢雲「まあ思い出せないのは仕方ないわ。それより、そろそろ準備しておきましょう」

電「そうですね。もしかしたら早めに帰ってくるかもしれないのです」

ザァァァァ…


漣「ん、帰ってきた?」

五月雨「予想より早かったね」


過去吹雪「…」ボロッ


叢雲「あー、なるほど。吹雪が大破したのね」

吹雪「…なんか、ごめん」

電「いや、謝られても困るのです…」

吹雪「えっと、過去の私はそのまま入渠しに行ったね」

叢雲「残りは報告しに執務室に行ったわね」

五月雨「じゃあ作戦開始かな?」

吹雪「そうだね。全員、しっかり過去の自分を守ってね」

漣「うむ。ついでに、今のうちに誰もいない吹雪ちゃんの部屋をあさっておこう」

吹雪「…ちゃんと、守ってね?」

漣「アッハイ」

電「で、ではみんな頑張るのです!」

吹雪「よし、作戦開始!」

五人「オー!」

──────────

──────

───

ピピッ

吹雪『…こちら吹雪。全員異常はない?』

叢雲『ええ、問題ないわ』

漣『こっちも問題ないよー』

電『こちらもなのです。襲おうとしてる人物はいません』

五月雨『こっちもだよ。異常はありません』

吹雪『よし、オッケー』

叢雲『…しかし、この頃の私たち…本当にバラバラね』

吹雪『本当だね…』

漣『ご主人様嘘ついてなかったんや!』

五月雨『夕食後は基本自由だけど、こんなに単独行動してたんだ…』

電『想像以上なのです』

吹雪『見てたら会話もあんまりしてないし…』

漣『なんか黒歴史見てるみたい』

五月雨『えー…なんでこんなだったんだろ?』

叢雲『難しい年ごろなのよ』

電『他人事みたいにいってるのです…』

吹雪『…まあ過去の私たちはともかく、このまま油断せずにいこう』

漣『そですな。このままいけば何のトラブルも…』


「漣?なにやってるのよ」


漣「えっ!?」バッ

過去叢雲「あんたそんなところでコソコソ何やってんのよ」

漣「え、えと…」

漣(ショ、ショキブレスを付けてない…槍も持ってない…)

漣(これはこの時代の叢雲ちゃんだ…)

漣(…とりあえず通信きっとこ)ピッ

過去叢雲「…どうしたのよ」

漣「…」チラッ


過去漣「…」スタスタ


漣(よし、過去の漣はあっちへ行ったね…)

漣(ここでこの叢雲ちゃんをごまかせば何とかなる!)

漣「なななななな何もしてないですよ!?」

過去叢雲「…」

過去叢雲「…まあいいわ」

過去叢雲「司令官が呼んでたわ。執務室に行きなさい」

漣「えっ」

過去叢雲「…何よ」

漣「い、いや、なんでもない、デス」

過去叢雲「そう。じゃあ伝えたからね」スッ

過去の叢雲は、過去の漣が歩いて行った方向へと歩き出した

漣「!!」

漣「ちょっと待ったぁー!!」バッ

過去叢雲「…何?」

漣「え、ええと…」

漣(こ、このまま行かれたら過去の漣と遭遇する確率が高い!)

漣(それは面倒なことになる!下手に警戒されるようになったら尾行もやりづらくなるし…)

漣「あ、あっちは行き止まりだよ!」

過去叢雲「…何言ってんの?」

過去叢雲「ここ外じゃないの。行き止まりなんて…」

漣「さ、さっき急に壁が現れたんですよ!妖怪ぬりかべが!」

過去叢雲「…はぁ?」

漣「だからあっちに行っても意味ないよ!うん!」

過去叢雲「…」

過去叢雲「…はぁ…わかったわよ」

過去叢雲「何隠してるか知らないけど、行かないでおくわ」

漣「そ、それは助かります」

過去叢雲「…」

過去叢雲「…チッ」

スタスタ

漣「…」

ピピッ

漣「あ、通信だ」ピッ

叢雲『…ククク…』

漣『…?叢雲ちゃん?』

叢雲『漣…何よ今の…プッ』

漣『え?見てたの!?』

叢雲『だって過去の私と話してたでしょ?』

漣『あ、そうですた…』

吹雪『叢雲ちゃんが実況してたから全員知ってるよ』

電『何だったのです?さっきの』

五月雨『バレなくてよかったねー』

漣『へぁ!?何この晒し上げ!?』

叢雲『ぬりかべって…逆に見てみたいわよ…ププッ』

吹雪『なんか叢雲ちゃんはツボに入っちゃったみたい』

漣『あ、そう?ウケたならいいや』

漣『でも過去の叢雲ちゃんは呆れるばっかでさー』

五月雨『普通そうなるんじゃない?』

漣『しかも怖かったうー。舌打ちされたし』

叢雲『え、そんなのしたの?』

漣『したよー。超怖かったよー』

吹雪『えー、叢雲ちゃんひどーい』

叢雲『えっと、それは…あれよ。若気の至り?』

電『…何言ってるのです?』

叢雲『ていうか漣。あんた司令官に呼ばれたんでしょ?どうすんのよ』

漣『あーそうだ。どうしようか…』

電『成りすましで行くのはどうですか?』

吹雪『いや、私たちの本来の目的を忘れちゃだめだよ…』

五月雨『それはもう仕方ないんじゃないかな…あきらめようよ』

漣『まあ仕方なし。この時代の漣には犠牲になってもらおう』

吹雪『ところで漣ちゃん。過去の漣ちゃんには追い付けた?』

漣『うむ。ばっちし』

吹雪『じゃあ全員このまま続行。異常があったらすぐに通信してね』

五月雨『了解』

叢雲『漣、今度は見つからないようにするのよ』

漣『ほーい』

──────────

──────

───

吹雪(やっぱり叢雲ちゃん、今とずいぶん違うんだ)

吹雪(昨日話したけど、やっぱりみんな変わったんだね…)

吹雪(…私は変わってないらしいけど…)

吹雪(で、実際過去の私は…)チラッ


過去吹雪「…」

過去吹雪「はぁ…」


吹雪(なんか落ち込んでるし…)

吹雪(さっきからこの調子…ていうか、警護始めてからずっとだね)

吹雪(今は外の木にもたれかかって考え込んでる…大丈夫かな?)

吹雪(でも何をそんなに…)

吹雪(…自分のことなのに、わからないや…)

吹雪(…今の私が気にしてもしょうがない。このまま警戒を…)




『こんなところで、一人で何やってるのかな?』



吹雪「!?」

吹雪(何!?これは…)

吹雪(頭の中で…イメージが…)



『あ、驚かせちゃった?ごめんね』


『大丈夫大丈夫。怪しい人じゃないから』



吹雪(これは…昨日の夢…?)

吹雪(…昨日よりも、はっきり見える…)

吹雪(これって…?)

『まあまあ。別に危ないことはしないから』



吹雪(本当に何なの、これ…)

吹雪(ずっと頭から離れない…)

吹雪(…でも、嫌な感じはしない)

吹雪(むしろ、とても大切な記憶のような…)

吹雪(…記憶?)

吹雪「…!!」




『私?私はね――――――』

過去吹雪「…」

過去吹雪(またやっちゃった…大破して作戦失敗)

過去吹雪(どうしてうまくいかないんだろ?どうして失敗ばっかり…)

過去吹雪(…司令官にも、みんなにも迷惑かけてるよね)

過去吹雪(このままじゃ、私…)

過去吹雪(…どうしたらいいんだろう)

過去吹雪「…はぁ…」






「こんなところで、一人で何やってるのかな?」

過去吹雪「うわぁ!?」バッ

過去吹雪(だ、誰!?どこから…)

「あ、驚かせちゃった?ごめんね」

過去吹雪「…!」

謎の人物が、木の上から過去の吹雪に話しかけていた

過去吹雪(いつの間に…!)

過去吹雪「な、なんですかあなたは!?いきなり…!」

「大丈夫大丈夫。怪しい人じゃないから」

過去吹雪「…そう言われても…」

「まあまあ。別に危ないことはしないから」

過去吹雪「…それで、あなたは一体…?」

「私?私はね――――――」





吹雪「正義のヒーローだよ」

過去吹雪「ヒーロー…ですか?」

吹雪「そう。ヒーロー」

過去吹雪「…だからそんな恰好なんですか?」

吹雪「うん。変身はヒーローの基本だよ」

過去吹雪(何なのこの人…)

過去吹雪(見るからに怪しい…逃げたほうが良いのかな…)

吹雪「…別に私は不審者じゃないから、逃げなくていいよ」

過去吹雪「え!?別に不審者なんて…!」

吹雪「まあもう日が落ちてずいぶん経つからね。こんな時間に鎮守府内に人がいたら警戒するのも無理ないよ」

過去吹雪「えっと…何か、御用ですか?」

吹雪「ん?ああ、用って言うか…」

吹雪「…さっきも言ったけど、何してるのかなって」

過去吹雪「…」

過去吹雪「…あなたには関係のないことです」

吹雪「ふーん…」

吹雪「…本当は、誰かに相談したいんじゃないの?」

過去吹雪「…え?」

吹雪「…どうして、うまくいかないのか」

過去吹雪「!!」

過去吹雪「ど、どうしてそれを!?」

吹雪「人の心を読むのはヒーローの基本だよ」

過去吹雪「そんなヒーロー聞いたことないんですが…」

吹雪「ふふっ。でも細かいことはわからないんだけどね」

吹雪「まあここであったのも何かの縁。私でよかったら話くらい聞くよ」

過去吹雪「え、でも…」

吹雪「困ってる人を助けるのはヒーローの役目。遠慮せずにどうぞ」

過去吹雪「…」

過去吹雪(…この人、確かに怪しいけど…悪い人じゃなさそう)

過去吹雪(…何かの縁、か…)

過去吹雪「…わかりました、お願いします」

過去吹雪「…私、艦娘として、始めてこの鎮守府に着任したんです」

過去吹雪「それで着任してから、二週間ほど経つんですが…」

過去吹雪「…出撃すると、ほぼ毎回大破して、作戦失敗してしまうんです」

吹雪「…」

過去吹雪「私は旗艦を任されてて、頑張らないといけないのに」

過去吹雪「どうしても、うまくいかなくて…」

過去吹雪「司令官にも、みんなにも、迷惑ばかりかけて…」

過去吹雪「本当に、どうしたらいいかわからなくて…っ」

吹雪「…」

吹雪「そっか…」

吹雪「…つらいよね。自分が何もできずにいるのは」

過去吹雪「…」

吹雪「よくわかるよ。…私も、そうだったから」

過去吹雪「あなたも…?」

吹雪「うん。私もあなたと同じだった」

吹雪「頑張らないといけないのに、何もできずに迷惑ばかりかけて…」

吹雪「自分は何の役にも立たないんじゃないかって、思ってたよ」

過去吹雪「…」

吹雪「でも、ある人に教えてもらったの」

吹雪「『一人で気負いすぎだ』って」

過去吹雪「え…?」

吹雪「だから、あなたも同じだよ。一人で気負いすぎてるんじゃないかな」

過去吹雪「…気負いすぎ…ですか」

吹雪「うん。あなたは旗艦だからって、責任を感じすぎてるんじゃない?」

吹雪「それだと、うまくいくこともうまくいかない。何もできなくなっちゃうよ」

過去吹雪「そう、ですか…」

過去吹雪「でも、そんなこと言われても…」

吹雪「…」

吹雪「…ヒーローなんかやってるとね。色々あるんだよ」

過去吹雪「?」

吹雪「敵にやられそうになったり、捕まりそうになったり…」

吹雪「ピンチになることが多かったりするんだよね」

過去吹雪「…」

吹雪「…でもね。そんなピンチの時には」

吹雪「いつも…いつも、仲間が助けてくれるの」

過去吹雪「お仲間がいるんですか…?」

吹雪「うん。みんな強くってね。いつも助けたり助けられたりするんだ」

吹雪「それで、そうやって仲間と戦ってるといつも思うんだよ」

吹雪「『ああ、私一人で頑張る必要はないんだ』」

吹雪「『もっと仲間を頼っていいんだ』って」

過去吹雪「…!!」

吹雪「…あなただって、一人で戦ってるんじゃないでしょ」

吹雪「あなたの周りには、仲間がいるはず」

過去吹雪「仲間…」

吹雪「…旗艦の責任は、確かに大きい」

吹雪「でも、押しつぶされるほどじゃない。それなのにあなたがそうなるのは…」

吹雪「仲間を、信頼できてないってことだよ」

吹雪「それじゃあ、本当の仲間にはなれない」

過去吹雪「…」

吹雪「…まあ、出会ってまだ二週間。完全に信頼するのが難しいのはわかるよ」

吹雪「だから、全てはこれからのあなた次第。あなたがどうするかで、その悩みは解決するかが決まるよ」

過去吹雪「…あの」

過去吹雪「これから私は…どうしたら?」

吹雪「…そうだね、とりあえず、相手をよく知ることが大事だよ」

吹雪「まずは仲良くなるところから始めたらいいんじゃない?」

過去吹雪「…」

吹雪「そうすればきっと―――――」

過去吹雪「そんなの、できませんよ」

吹雪「…」

過去吹雪「仲良くなれって…そんなの無理です」

過去吹雪「誰も、私となんか仲良くなってくれません…」

吹雪「…そんなこと」

過去吹雪「いえ、そうに決まってます!!」

過去吹雪「だって、だって誰も思わないですよ…!」

過去吹雪「誰も…こんな役立たずなんかと、仲良くなりたいなんて…!」

吹雪「…」

過去吹雪「誰も何も言いませんけど、きっと心の中では思ってるはずです」

過去吹雪「『吹雪は旗艦のくせに役に立たない』って…!!」

吹雪「…」

過去吹雪「…いつも、考えてしまうんです」

過去吹雪「いつか、誰かに面と向かって役立たずだって言われるかもしれないって…」

過去吹雪「面と向かって、否定されちゃうんじゃないかって」

過去吹雪「ずっと、それが怖くて…それで…」

吹雪「…だから、極力会話を避けてたの?」

過去吹雪「…はい」

吹雪「…大丈夫だよ」

吹雪「誰も、絶対にそんなことは言わない」

過去吹雪「…私だって、そう思いたいです」

過去吹雪「でも…」

吹雪「…まあ、そう考えるのも、信頼できてないってことだよね」

過去吹雪「…」

吹雪「…本当に大丈夫だよ。安心して」

吹雪「あなたの仲間は絶対にそんなことを言わないし、思ってもない」

吹雪「それに…きっとあなたと仲良くなってくれるはず」

過去吹雪「…どうして、そう言いきれるんですか?」

吹雪「ヒーローだからね」

過去吹雪「…ヒーロー関係ないですよ」

吹雪「…このまま何もしなかったら、何も変わらないよ」

吹雪「本当にそれでいいの?」

過去吹雪「それは…」

吹雪「あなたが本当に、今の自分を変えたいって言うなら…」

吹雪「動き出さないと、何も始まらないよ」

過去吹雪「…」

吹雪「まあ、色々言ったけどさ」

吹雪「これからどうするかは、全部あなた次第。すべてがあなたにかかってる」

過去吹雪「私次第…」

吹雪「このまま、自分を役立たずだって決めつけて、動かずにいるか…」

吹雪「仲間を、信じてみようと思うか…」

吹雪「それはこれから、あなたが決めるんだよ」

過去吹雪「…」

吹雪「…なんだけど」

過去吹雪「?」

吹雪「…私の、勝手なお願いなんだけどね」

吹雪「やっぱり、仲間を信じてあげてほしい」

吹雪「仲間を信じて、守れるだけの強さを持ってほしい」

吹雪「…『本当の仲間』を持ってほしい」

吹雪「不安はあるかもしれないけど…きっと大丈夫」

吹雪「あなたの仲間は…あなたが思ってるより、ずっと強くて、ずっと素敵だから」

過去吹雪「…っ」

吹雪「…もういい時間だね。部屋に戻ったら?」

過去吹雪「…そうですね」スクッ

吹雪「…」

過去吹雪「…あの」

吹雪「ん?」

過去吹雪「…」

過去吹雪「…ありがとうございました」ペコッ

吹雪「…うん」

吹雪「頑張ってね」グッ

吹雪「…」

吹雪「さて…」スタッ

吹雪「…迎撃といきますか」チャキッ

吹雪「…出てきなさい。そこに居ることはわかってます」

ガサガサッ

イー「…どうしてお前がここにいるんだイー」

吹雪「それはこっちのセリフですよ」

イー「イーたちはボウクウ様とツー様にあの時連れてこられたんだイー」

イー「装置の裏で眠ってたからお前らは見えなかったイー」

吹雪「…あなた、よく見ると今までのイーとは違いますね」

イー「そうだイー。イーはツー様独自の技術によって新たに生み出されたイー…」

イー「言うなればエリートだイー!!」

イー「イーッシッシ…エリートのイーにかかればお前一人くらいボコボコにできるイー」

イー「今まで何度もやられたが、今度はそうはいかないイー!!」

吹雪「…残念ですが、私も負ける気はありません」

吹雪「仲間が待ってるのでね」

イー「イーッシッシ…仲間ねぇ…」

イー「仲間がいるのはお前だけだと思うなイー」

吹雪「!どういう意味!?」

イー「そのままの意味だイー…イーは仲間を連れて」

イー「この時代のお前たち全員をぶっ殺しに来たんだイー!!」

吹雪「つまり、今頃…」

イー「そういうことだイー…」ニヤリ

イー「これで邪魔は入らず、お前を存分にボコボコにできるってわけだイー」

イー「さあ、覚悟するイー!」シュンッ

吹雪「!!」

イーが素早く吹雪に接近してきた!

吹雪(速い…!)スッ

イー「イーッ!!」ブンッ

吹雪「っ!」シュバッ

イー「まだまだぁ!こんなもんじゃないイー!」シュバババッ

イーは隙を見せず、吹雪にラッシュを放つ!

吹雪「…っ」ドガガッ

対して吹雪は、それを全て腕でガードしていた

イー「イーッシッシ!その程度のガードじゃ…」スッ

イー「この攻撃は止められない、イーッ!!!」ブォンッ

吹雪「!!」

ドゴォォォォォォォォッッッ!!

吹雪「ぐあっ…!!」ズザッ

イー「イーッシッシ…いい感じに蹴りが決まったイー」

イー「このままボッコボコにしてやるイー!!」ダダッ

吹雪「…!」

シュタッ ダダッ

イー「ふん、立ち向かってくるかイー」

吹雪「はぁっ!」ビュンッ

吹雪はイーに向かって走り出し、そのまま跳び蹴りをした!

イー「何をするかと思えば…こんなもの!」ガッ

吹雪「!!」

イー「こんな隙だらけの蹴り、効かないんだ」

イー「イーーーーーーーーーーーーッ!!!」ブォンッ

イーは吹雪の脚をつかみ、地面へ叩きつけた!!

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!

吹雪「うあああっ!!!」

イー「イーッシッシ…これで終わりだイー」

イー「このまま首を絞めてぶっ殺してやるイー!!」ガッ

ギリギリ

吹雪「ぐ…」

イー「ふん、エリートのイーからすれば、お前なんて大したことなかったイー」

イー「所詮お前らショキカンジャーなんて、仲間がいないと何もできない役立たずばっかりなんだイー」

吹雪「…」

吹雪「…それは…違います…」

イー「イ?」

吹雪「確かに…私たちは、力を合わせることで…強くなれますが…」

吹雪「一人一人が…弱いなんてことは…絶対にありません…」

イー「何をごちゃごちゃと…」

吹雪「私たちには…仲間がいるから…」

吹雪「仲間のためにも…負けられないって思えるから…」

吹雪「…一人でも…強くいられるんです…」

イー「…」

吹雪「…以前、あなたと同じことを言った人がいました…」

吹雪「だから、私も…同じことを言ってあげます…」

イー「な、何を…」

吹雪「…きっと…今もみんな、頑張って戦ってる…」

吹雪「…一人きりでも…諦めずに、戦っている…」

吹雪「だったら…」

吹雪「私が諦めちゃ…いけない…!!」グッ

イー「つ、強がっても無駄だイー!!」

イー「現実を見ろ!お前は首を絞められ、動けない!」

イー「イーはお前を上から地面に押し付け、首を絞めている!圧倒的にイーの方が有利だイー!!」

吹雪「ふふ…それは…どうでしょうか…?」

イー「どういう…」



ボォォォォォォォォォォォォ!!

イー「イーーーッ!!!?」

突然、炎がイーの背中を焼いた!!

イー「イーッ!?アチーッ!!」メラメラ

吹雪「ふんっ!!」ドガッ

イー「ぐふぁっ!?」ドザッ

イー(ど、どういうことだイー…急に炎が…)

イー(…そういえばあいつ、剣を持ってない…?)

イー「はっ!」

吹雪の剣はイーの後方の、少し離れた地点にあった!

イー「い、いつの間に…」

吹雪「あなたが私への攻撃に夢中になっているときですよ」ヒョイッ

イー「な…あの時すでに…!?」

イー(そうか…今考えれば、わざわざ腕でガードしていたのはそのため…!)

イー(最初からイーの隙をつくつもりだったんだイー…!)

吹雪「戦闘能力が上がっても、洞察力、観察眼はまだまだのようですね」チャキッ

イー「ほ、ほざけイー!もう一回ぶっ飛ばして…」スクッ

吹雪「させない!!」ズバッ

イー「イーッ!?」

イー「ぐはっ…ま、まずい…」フラッ

吹雪「…ここまでです。あなたの負けですよ」

イー「な…何…?」

イー「イーの負け…だと…?」

吹雪「ええ。このまま大人しく…」

イー「…」

イー「…ふざけるな…」ユラッ

吹雪「…!」

イー「イーは…イーは今までとは違うんだイー…」フラッ

イー「エリート…そう、エリートなんだイー…」

イー「エリートであるイーが…こんな…こんな簡単に…」

イー「負けることは…」グッ

イー「許されないんだイーーーーーーーーーッ!!」ブンッ

吹雪「…」

シュバッ

イー(!避けられ…)

チャキッ

イー「!!」

吹雪「…これで、終わりです」

ボォォォォォォォォォォォォ!!

イー「そ、そん、な…」

イー「イ…イーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」


吹雪「燃え上がれ!!『ブリッジソード』!!!!」

ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

吹雪「…」

吹雪「やりすぎちゃった…」

吹雪「他の仲間のこととか、ボウクウやツーのこととか聞きたかったんだけどな…」

吹雪「…まあ、仕方ないか」

吹雪(…エリート、か…)

吹雪(昔はエリートに憧れてたものだけど、今はそう思わないな…)

吹雪(もし私がエリートだったら、色々なことを知れないままでいたもんね)

吹雪(…『役立たず』も嫌だけどね)

吹雪「さて、みんなは無事かな?」

吹雪「通信してみよう」ピッ


吹雪『こちら吹雪。みんな、敵が来た?大丈夫?』

叢雲『あー、やっぱみんなのところにも行ってたの?敵』

漣『来たけど瞬殺でしたぞい』

電『電のところにも来ましたが、無事に倒せたのです』

五月雨『こっちにも来たよ。何とかなったけど』

吹雪『よかった、みんな無事だね』

吹雪『それで、誰かのところにあのボウクウやツーが来た?』

叢雲『いや、ただの雑魚だったわ』

漣『なんかエリートとかほざいてるだけの変態だけでしたな』

電『いいえ、戦闘員だったのです』

五月雨『残念だけど、来てないなぁ…情報も聞き出せなかったよ』

吹雪『そっか…じゃあ、まだ油断できないね』

漣『ところで過去の我々は無事でしょうかね?』

五月雨『ああ、そうだ!戦ってる間に襲われてたら…』

電『あ、それなら大丈夫なのです。皆さん無事に寮まで入っていくのを見たのです』

叢雲『そう、よかった。ならオーケーね』

吹雪『だったら、全員一旦艦娘寮に集合しよう。一応安全を確認しないと』

四人『了解』

艦娘寮前

電「あ、来たのです」

叢雲「ごめん、少し遅くなったわね」

五月雨「別に大丈夫だよ。何かあったの?」

叢雲「い、いや…何も…」

吹雪「…服が汚れてる…」

吹雪「もしかして、転んだか木の枝か何かに服でもひっかけた?」

叢雲「!!い、いやいや!そんなことあるわけないじゃない!絶対!」ブンブンッ

漣「あらら、叢雲ちゅわぁ~ん…ちょっとイケてないんじゃなーい?」

漣「ドジっ娘は五月雨ちゃんだけで十分だって言ったでしょ?」

叢雲「おのれ…」

過去漣「スヤァ…」


漣「ん、部屋の中で寝てる。問題ありませんな」

吹雪「よし。全員無事…っと」

叢雲「さて、これからどうするか…」

五月雨「結局あの二人が出てこなかったからね。油断はまだできないよ」

電「そうなのです。まだ警戒を解くわけにはいかないのです」

漣「どうする?また待ち伏せ?」

吹雪「でも、このまま待ってて出てくるかな?」

五月雨「出てきたら出てきたで問題だよね」

五人「うーん…」

電「…ふぁ…」

叢雲「あら電。眠いの?」

電「い、いえ!大丈夫なのです!」

漣「まあもう遅いからねぇ。電ちゃんみたいなちびっこガールにはつらいんじゃなーい?」

電「そんなことないのです…」

吹雪「どちらにしても、みんな疲れてるでしょ?とりあえず休もう」

吹雪「疲労がたまった状態で戦っても、勝てるかわからないしね」

五月雨「でも、警戒を解くわけにもいかないし…」

吹雪「うん。だから、交代で見張りをしよう」

吹雪「今は全員寮にいる。寮の周りを見張ってるだけで大丈夫だから、それでいいんじゃないんかな」

叢雲「ふむ。いいんじゃないかしら」

漣「じゃあ寮の部屋適当に借りて休むか」

電「え?い、いいのです?」

漣「フートンで寝ないと眠れんのだよ」

叢雲「こいつ…」

五月雨「ま、まあ、いざという時に近くにいるのは助かるかもしれないから」

吹雪「じゃあ、まず私と誰か一人が見張りについてほしいんだけど…」

五月雨「あ、だったら私がやるよ」

叢雲「あら、いいの?」

五月雨「大丈夫だよ。私、まだ眠くないし。いいよね、吹雪ちゃん?」

吹雪「うん、助かるよ」

漣「いやー、やめといたほうが良いって」

五月雨「え?どうして?」

漣「吹雪ちゃんと五月雨ちゃんが二人きりってことはよぉ…フヒヒッ」

吹雪「だからそれいつまで引っ張るのさー!!」

吹雪「とりあえず!三時間後に交代ね!」

漣「えー、八時間くらい寝かせてよー」

吹雪「…漣ちゃんだけ徹夜であの二人を探させてもいいんだよ?」

漣「いえ、三時間で十分でございます!はい!」

叢雲「じゃあ先に休ませてもらうわね」

電「何かあったらすぐ呼んでくださいなのです」

五月雨「ありがとう。じゃあ、そこの屋根の上で見張ってるから」

鎮守府の屋根の上


五月雨「うーん、結構高いなぁ…」

吹雪「…また落ちないでね」

五月雨「お、落ちないよ!さすがにここからは!」

吹雪「本当に?落ちそうになっても助けてあげられるかわからないよ」

五月雨「だから大丈夫だって…もう」

吹雪「あはは、ごめんごめん」

吹雪「…そういえば五月雨ちゃん」

五月雨「ん?」

吹雪「この時代の自分に直接会ったりした?」

五月雨「!!??」

五月雨「そそそそそんなことしてないよ!会ったら大変なことになるもん!うん!」

五月雨「もともと会わないようにするためにこういう作戦になったのにそんなことするわけ」

吹雪「あー待って待って!別に悪いことじゃないんだよ!」

五月雨「ふぇ…?」

吹雪「いや、変身した状態で会ったんでしょ?なら大丈夫だよ」

五月雨「そ、そっか…」

五月雨「…ていうか吹雪ちゃん、どうして知ってるの?」

吹雪「え?えっと…」

吹雪「…私も、会っちゃったから。過去の自分に」

五月雨「え、吹雪ちゃんも?」

吹雪「うん。ちょっとね」

吹雪「ほら、何か忘れてる気がするってさっき言ったでしょ?」

吹雪「それで…思い出したんだよ。何を忘れてたのか」

五月雨「…何だったの?」

吹雪「…五月雨ちゃんも思い出したから、過去の自分に会ったんじゃないの?」

五月雨「…うん」

五月雨「そっか…そうだよね」

五月雨「…ということは、他のみんなもそうなのかな?」

吹雪「うん。そうだと思うよ」

吹雪「みんな…『誰か』から、大切なことを教えられたってことを思い出したと思う」

五月雨「『誰か』、か…」

五月雨「…その誰かが、自分だとは思わなかったよ」

吹雪「ふふっ。本当だよね」

吹雪「…どうして、忘れてたんだろうね。こんな大事なこと」

五月雨「…本当はこんなことできないからじゃないかな」

吹雪「え?」

五月雨「過去に戻って干渉するなんて、本当はできないことのはずだよ」

五月雨「だから、よっぽど強く干渉しない限り、それは『なかったこと』になるように修正が働く」

五月雨「だから忘れちゃってたんじゃないかな」

吹雪「…そっか…修正、か…」

吹雪「その修正って、すぐ起きちゃうのかな?」

五月雨「さあ、わからないけど…早い段階で起きるとは思うよ」

吹雪「ということは、過去の私たちは…」

五月雨「明日の朝には忘れちゃってるんじゃないかな」

吹雪「…」

吹雪「まあ現に自分が忘れてたし、わかってはいたけど…」

吹雪「なんだかやりきれないねぇ、せっかく言ったことが忘れられちゃうなんて…無駄なことしちゃったかな」

五月雨「そうでもないんじゃない?」

吹雪「え?」

五月雨「…私たちがやったことは、無駄なんかじゃないと思うよ」

五月雨「だって…過去の私たちは、『話したこと』は忘れちゃったかもしれないけど」

五月雨「『伝えられたこと』は、ちゃんと覚えてるはずだから」

五月雨「それがあったから、今の私たちがあるはずだから」

吹雪「…」

吹雪「…そっか。そうだよね」

五月雨「うん。そうだよ」

吹雪(…そうか)

吹雪(あの時、教えられたこと…伝えられたこと)

吹雪(ちゃんと覚えてたから、こうして強くなれたんだ)

吹雪(こうして、仲間を信頼できるようになったんだ)

吹雪(みんなと、本当の仲間になれたんだ…)

吹雪「…」

五月雨「ん?何か言った?」

吹雪「…いや、何も」

吹雪「それより寒くない?大丈夫?」

五月雨「あー…少し寒いかも」

吹雪「そんな格好してるからだよー」

五月雨「えー…吹雪ちゃんに言われたくないんだけど」

吹雪「なんで!?ほら、寒いならこっち寄りなよ」

五月雨「えっ…」ジトッ

吹雪「そういう意味じゃないよ!?ちょっと火を焚くだけだよ!」

五月雨「屋根の上で?」

吹雪「ちょっとくらいなら大丈夫だよ」ボゥッ

五月雨「えぇ…」

約六時間後  寮の一室


吹雪「…」スヤスヤ

五月雨「…」スヤスヤ


漣「おい、デュエルしろよ」ガチャッ

叢雲「そろそろ起きなさーい」

電「三時間経ったのです」

吹雪「ん…みんな?」ムクリ

五月雨「あれ、もう仮眠終わり?」

吹雪「えぇ…もう少し寝かせて…」

漣「おいこら。三時間前に漣たちをたたき起こしておいて何言ってやがる」

吹雪「まあ起きるけど…これからどうしようか」

五月雨「まだ考えてなかったよね」

漣「ふっふーん。実は先ほど収穫があったのです」

五月雨「収穫?」

叢雲「なんで漣が自慢げなのよ」

電「実は、漣さんと電が見張ってる間に、叢雲さんに探索に行ってもらってたのです」

吹雪「探索…ってことはまさか!」

叢雲「ええ。見つけたわ」

叢雲「あの二人の居場所をね」

鎮守府裏の森の一角


ツー「…うーん…」

ボウクウ「まだ連絡つかないの?」

ツー「はい…この時代のショキカンジャーを襲いに向かわせた五人全員、いまだに連絡が取れません」

ボウクウ「そう…困ったわね」

ボウクウ「やっぱりあなたが言う通り、元の時代のショキカンジャーがタイムマシンに巻き込まれて…」

ツー「ええ。我々の妨害を行ったのだと考えられます」

ボウクウ「くっ…まさか、こっちの狙いがばれるなんてね」

ツー「それはわかりませんが…どちらにしても、奴らはもうこの時代に来ているでしょうね」

ツー「まだ来てなかったら非常に好都合だったのですが…」

ボウクウ「ん?どういうことよ?」

ツー「あの装置未完成だったので、タイムスリップした時に、指定した時間と実際に現れる時間とで、少しずれが生じるんです」

ボウクウ「あー、そういえば正午を指定したはずなのに、私たちが飛んで来た時には日が落ちかけてたわね」

ツー「ええ。恐らくずれは24時間以内。どの時間帯に飛ばされるかはわかりません」

ツー「それで、我々より後に…できれば、作戦が終わった後に奴らがタイムスリップしてくれれば」

ボウクウ「問題なく、この時代のショキカンジャーを排除できたわけね」

ツー「しかし、現に作戦は失敗しています。この状況を見るに、やはりショキカンジャーは我々と同じ、もしくは前の時間帯にこの時代に来ていると考えられます」

ボウクウ「うーむ…参ったわねぇ…」

ボウクウ「もう連れてきた戦闘員はいないし…かといって私たちが出ていくわけにも…」

ツー「この場所が気づかれるのも時間の問題です。早く次の手を打たないと…」



「待ちなさい!!」

ボウクウ・ツー「!!」

「私たちから逃げられるなんて」

「思ってるんですかねぇ?」

ボウクウ「な、何!?どこから!?」

「コソコソやるのは終わりなのです!」

「覚悟してください!」

ツー「まさか…!」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエ口ー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

ボウクウ「な、ショキカンジャー…!」

ツー「うう…とうとう見つかってしまいましたか」

吹雪「ええ。追い詰めましたよ、ボウクウ、ツー!」

叢雲「ずいぶん面倒なことしてくれたわね…まったく」

漣「お前たちの様々な悪行…許せる!」

電「だから許しちゃダメなのです…」

五月雨「と、とにかく!あなたたちを倒して、元の時代に帰ります!」

ボウクウ「まずいわね…まさか正面から戦うことになるなんて…」

ツー「仕方ないです…ボウクウ様、ここは…」

ボウクウ「ええ、わかってるわ」

漣「あ、戦う前に一ついいかな?」

ツー「はい?」


漣「帰り方教えてください、お願いします!」ペコッ

漣「なんでもしますから!」

ツー「えぇ…」

漣「電ちゃんが!」

電「えぇ!?」

電「ど、どういうことなのです!?」

漣「だってー。教えてもらわないと困るじゃーん?」

漣「ここは生贄になってよ電ちゃーん。いいじゃんねー?」

電「よくないのです!」

ツー「ど、どうしましょうボウクウ様…」

ボウクウ「まあ、教える義理はないけれど…」

ボウクウ「悪の組織としては敵にきちんと説明してやるべきよ」

ツー「アッハイ」

吹雪(いいんだ…)

ツー「…あの奥のほうに、装置があるのが見えますか?」スッ

叢雲「装置…?」

五月雨「確かに何かあるね」

ツー「あれは帰り用のタイムマシンです」

ツー「使い方は簡単で、電源を入れてスイッチを押すだけで元の時代に戻れますよ」

吹雪「うわ、すごく親切な設計ですね…」

ツー「まあ我々も帰るときに面倒なことはしたくないので」

叢雲「ふーん…」


漣「うわ、電ちゃん勘弁勘弁!」

電「電の本気を見るのです!!」ゴゴゴゴ

ボウクウ「…あっち仲間割れしてない?」

ツー「チャンスですかね」

吹雪「二人とも、ストップストップ」

ボウクウ「ふん…まあこうなった以上、戦いは避けては通れないわ」

ツー「仕方ありませんね…久々に戦うとしますか」スッ

叢雲「そういえばあんた、ツーって名前のくせにツ級要素ゼロじゃないの」

漣「そうだそうだー。みんな外見似てるのにあんただけ…」

ツー「…」ガポッ

ツーは巨大なグローブと被り物を身につけた

吹雪「あ、ツ級だ!」

叢雲「完全にツ級だわ!」

漣「かなりツ級だよこれ!」

五月雨「じゃあ、ツ級の中身ってああなってるんだね」

電「意外なのです」

ツー(この人たち、力抜けるなぁ…)

ボウクウ「ツー、そろそろいくわよ?」

ツー「はい、了解です」

吹雪「みんな、準備はできてるよね?」

叢雲「大丈夫よ。二人そろってぶっ飛ばしてやるわ」

ボウクウ「…ふふふっ…二人そろって、ねえ」

五人「…?」

漣「なんですかい?もしかして、一人ずつなんて面倒なことする気?」

電「どうしてそんな…」

ボウクウ「いえ、違うのよ…そんなことはしないわ」

ツー「…ある意味ではあってるかもしれませんね」

五月雨「どういう意味ですか…!」

ボウクウ「心配しなくても、これから知ることになるわ。どういうことか…」

ボウクウ「そして、そのために見せてあげる」

ボウクウ「私たちの戦い方を…!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

五人「…!?」

叢雲「何…?この雰囲気…」

電「一体、何をする気なのですか!?」

ボウクウ「私たちは元々、それほど高い戦闘能力は持ってないわ」

ツー「しかし、あることをすることで、強い力を得ることができます」

吹雪「あること…?それって一体!?」

ボウクウ「だから、それを今から見せてあげるのよ…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ボウクウ「よーくその目に…焼き付けておくことね!!」

ボウクウ「我が力をその身体に!」

ツー「我が力をその拳に!」


ボウクウ・ツー「我等の力を一つに!!」


ピカァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


ボウクウ・ツー「深海合体!!!」

ピッキィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!

漣「うおっ、まぶしっ!?」

吹雪「な、何!?」

五月雨「一体、何が起こって…」


シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…


ボウクウ「ふ…ふふふ…」

そこには、ボウクウ一人が立っていた

電「ツ、ツーさんがいないのです!?」

叢雲「一体どこに…」

ボウクウ「いいえ、ツーはちゃんといるわ」

ボウクウ「そう…『ここ』にね」

漣「ここって…」

吹雪「…なるほど、あなたのその腕…」

吹雪「そういうことですか…」

ボウクウ「ふふふ…」

ボウクウの腕は、グローブを着けたツーの腕のように、大きくなっていた

ボウクウ「そう…お察しの通りよ」

ボウクウ「私たちは…『合体』をすることで、戦えるようになるのよ」

叢雲「合体、ねぇ…随分面倒なシステムね」

叢雲「わざわざそんなことしないと戦えないなんて」

ボウクウ「そうね…こうして二人そろっていないと戦えない」

ボウクウ「確かに面倒なシステムだけれど…」

ボウクウ「こうして合体に成功した今、そんなこと関係ないわ」

叢雲「まあどっちでもいいわ。むしろ、二人倒すよりこっちの方が楽ね」

ボウクウ「…そう言ってられるのも、今のうちよ」

叢雲「…」

ボウクウ「…あなたたちが強敵であることは知っているわ。できればこうして正面から戦うことは避けたかった」

ボウクウ「しかし、こうなった以上、もう他に方法がない」

ボウクウ「私たちは最後のディープマリン…もう、後がないのよ」

ボウクウ「だからここで負けるわけにはいかない…」

ボウクウ「ディープマリンの…深海棲艦の未来のために…」

ボウクウ「絶対に…あなたたちを倒す!!」

五人「…!」

吹雪「…それは私たちだって同じです!」

吹雪「私たちだって負けられない…」

吹雪「自分たちのためにも…鎮守府の未来のためにも!」

吹雪「絶対に負けるわけにはいかない!!」

吹雪「あなたを倒して、元の時代へ帰ります!」

ボウクウ「そう…だったら、そろそろ始めましょうか」

ボウクウ「それぞれの未来を賭けた…戦いを!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

五月雨「…来る!」

吹雪「よーし!いくよ、みんな!!」

五人「オー!!」

叢雲「はぁっ!」シュバッ

ボウクウ「…!」

ガッ

叢雲「まだまだぁ!」ブンブンッ

ボウクウ「…」ドガッドガッ

叢雲は連続で攻撃を仕掛けたが、全て腕でガードされた!

叢雲「くっ…」

ボウクウ「ふんっ!!」ブォンッ

叢雲「!!」

ボウクウは叢雲に向かって腕を振り下ろした!

ズドォォォォォォォン!!

叢雲「うわっ!?」シュバッ

ボウクウ「…まあ、これくらいは避けてくるわよね」

叢雲(…なんとなくわかってたけど、こいつ、コウワンとほとんど同じ戦闘スタイルね)

叢雲(巨大な腕を使っての攻防…シンプルで強い戦法ね)

叢雲(でも…)チラッ

吹雪「…」コクッ

叢雲(…この戦い方には穴があることは把握済みよ)

叢雲「はぁっ!」ダダッ

ボウクウ「また正面から突っ込んでくるつもり?あなた一人くらいならまた…」スッ


電「えーいっ!!」ブォンッ

ボウクウ「!?」

ガシッ

ボウクウの背後から電がハンマーを振り下ろし、ボウクウはそれを片手で受け止めた!

ボウクウ「…っ」グググ

電「まだ終わりじゃないのです!」グググ

バチバチバチバチィッ!!

ボウクウ「ぐあああ…!!」

ボウクウ「くっ…」スッ

ボウクウはもう片方の腕を振り上げた!

バシュバシュッ

ボウクウ「!?」

ボウクウ「これは…矢!?」

漣「そんだけ的が大きいと当たりやすいねー!」バシュバシュッ

ボウクウ「…っ」スッ

叢雲「そこぉっ!!」ブォンッ

ボウクウ「!!」ガッ

叢雲「ほらほらっ!反撃してごらんなさい!」シュバババッ

漣「はっはー!このままでは腕がうまく動かせまい!」バシュバシュッ

ボウクウ「…」ガガガガッ

ボウクウは、片腕で電の攻撃を、もう片方の腕で叢雲と漣の攻撃を防ぎ続けている!

叢雲(そう、両腕を使えなくしてしまえば問題ない!)

叢雲(こいつはコウワンみたいに奥の手があるかどうか知らないけど)

叢雲(このまま両腕の動きを封じて、そこで吹雪と五月雨の攻撃が通れば…!)


吹雪「よし!いくよ、五月雨ちゃん!」チャキッ

五月雨「うん!」チャキッ

ボウクウ「…」

ググッ

電「…?」

ガシッ

叢雲「!?」

ボウクウは電のハンマーと叢雲をつかんだ!

叢雲「な、何よいきなり!離しなさい!」ジタバタ

電「何のつもりなのです!?」

ボウクウ「…ふんっ!!」

グイッ

叢雲「…ええ!?」

ボウクウは、そのまま二人を空高く放り投げた!


バビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!


叢雲・電「うわあああああああああああああ!!?」

叢雲「な、何よこれぇ!?」

電「結構な高さなのです…」

電「こ、このままじゃ落ちちゃうのです!」

叢雲「まずいわ!電、着地をしっかり…」


ボウクウ「これで終わりだと思ってるのかしら?」スッ

ボウクウは両掌を空中の叢雲と電に向けた

叢雲「…?」

電「あの人、一体何を…」


ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!


ボウクウの掌から、叢雲と電に向けて光弾が発射された!!

叢雲・電「ええ!!?」

ボウクウ「空中じゃ避けられないでしょ?」

ボウクウ「私、こんな風に空中の敵に攻撃を当てるのが得意なのよ。その弾は確実に当たる…」

ボウクウ「そのまま何もできず、喰らうがいいわ!」


叢雲「くっ!!」ブンッ

電「え、えい!!」ブンッ

二人は飛んで来た光弾に向かってそれぞれ武器を振り下ろした!

ドギャァァァァァァァァァァン!!

叢雲「ぐ…まずいわ…」グググ

電「防ぎきれない、のです…」グググ


ボウクウ「なるほど、武器を使って対抗しにきたのね…」

ボウクウ「しかし、その程度では完全には防ぎきれないわ」

ボウクウ「それに、空中に放り出された状況…落下からはどうやったって逃げられない。ダメージは確実に受けるわ」

ボウクウ「さて、まずは二人…」

ボウクウ「…消えてもらうわ」


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!


叢雲・電「うわあああああああああああああああああ!!!!」

ボウクウ「…当たったわね」

ボウクウ「さて…」

バシュバシュッ

ボウクウ「…やっぱりまだ来るのね」ガッ

漣「この…!!」シュバババッ

ボウクウ「でもあなた一人くらいなら問題ないのよ?」

ボウクウ「あなたもあの二人と同じように…」スッ


ボォォォォォォォォォォォォ!!

突然、背後から炎がボウクウに襲い掛かる!

ボウクウ「な!?」

ボウクウ「くっ…後ろをとられてたなんて!」クルッ

シーン

ボウクウ「…?」

ボウクウ(…いない?)


吹雪「はぁっ!!」シュバッ

ボウクウ「!?」

吹雪がボウクウの背後に現れ、そのまま背中を切り裂いた!

ズバァァァァァァァァァァッ!!

ボウクウ「ぐああああっ!!」

ボウクウ(くっ…完全に油断したわ)

ボウクウ(さっきの炎はおとりね…)

吹雪「はぁっ!」ボォォォォォ

吹雪はさらにボウクウに向かって炎を放出した!

ボウクウ「また炎…!こんなもの…」ブォンッ

ボウクウは腕を振り、炎を薙ぎ払った!

吹雪「!!」

ボウクウ(くっ…完全に油断したわ)

ボウクウ(さっきの炎はおとりね…)

吹雪「はぁっ!」ボォォォォォ

吹雪はさらにボウクウに向かって炎を放出した!

ボウクウ「また炎…!こんなもの…」ブォンッ

ボウクウは腕を振り、炎を薙ぎ払った!

吹雪「!!」

漣「そのまま吹っ飛べ!」

ビュォォォォォォォォォ!!

矢にまとわりついていた風が、ボウクウを吹っ飛ばす!

ボウクウ「ぐああああああああああ!!!」


ボウクウ(しまった!さっきの炎は目隠し…!)

ボウクウ(矢を警戒させないようにして、攻撃を当ててくるなんて…)

ズドォォォォォォォォォォン!!

ボウクウ「ぐ…」ヨロッ

ツー『ボウクウ様!大丈夫ですか!?』

ボウクウ「ツー…大丈夫よ。このくらいなら」

ボウクウ「もろに喰らったのは二回だけ…まだ十分に耐えられるわ」

ツー『そうですか…』

ツー『しかし、こうして距離をとられたことで、相手は態勢を整えてくるでしょう』

ツー『また、攻撃を仕掛けてきますよ…』

ボウクウ「そうねぇ…」

ボウクウ「でも、さっきの攻撃で二人はつぶしたわ」

ボウクウ「完全に倒し切れてはないでしょうけど、すぐに戦線に復帰することは難しいはず…」

ボウクウ「五人相手は厳しいかもしれないけど、三人相手なら十分に戦えるはずよ」

ツー『…』


ザパァァァァァァァァァァァァ!

ボウクウ「!!」

突然、水がボウクウに襲い掛かってきた!

ボウクウ「来たわね!このくらいの攻撃なら…」シュバッ

ボォォォォォォォォォォォォ!

ボウクウ「今度は炎!?しつこいわね…!」シュバッ

バシュバシュッ

ボウクウ「!!」バッ

ボウクウ(さらに矢も…防ぐのは簡単だけど)チラッ

吹雪・五月雨・漣の三人は少し離れた距離から攻撃をしている

ボウクウ(三人あそこに固まっている。ここからどう攻撃が来るか…)

五月雨「やぁっ!」

ザパァァァァァァァァァァァァ!

吹雪「はぁぁ!!」

ボォォォォォォォォォォォォ!

漣「そらそらっ!」

バシュッバシュッ!

ボウクウ「…!」シュバッ ガガッ

ボウクウ「…」

ボウクウ(…近づいてこない?)

ボウクウ「どういうつもり…?」

ツー『ボウクウ様。さっきの攻撃を警戒しているのではないでしょうか?』

ボウクウ「さっきの?…ああ」

ボウクウ「そうか…捕まれないように、近づいてこないのね」

ツー『はい。それで遠距離攻撃に徹してるのかと』

ボウクウ「なるほど…」

ボウクウ「…甘い考えね」

スッ

ボウクウは掌を三人に向けた

吹雪「…?何を」

五月雨「!!まさか…!」


ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!


三人に向けて光弾が発射された!

三人「!!!」

ボウクウ「誰も…空に向けてしか撃てないなんて言ってないわよね」

ズドォォォォォォォォォォン!!

吹雪「ぐっ…」ズザッ

ボウクウ「む…避けたわね」

五月雨「二人とも、大丈夫?」

漣「大丈夫。この程度では負けん!」

ボウクウ「そうね…だったら」スッ

ドォォォォォォォォォン! ドォォォォォォォォォン!

吹雪「うわっ!連続で!?」シュバッ

ボウクウ「まだいくわよ!」

ドォォォォォォォォォン! ドォォォォォォォォォン!

五月雨「こ、これじゃ避けるので精いっぱいだよ!」シュバッ

漣「攻撃ができない…!」シュバッ

ボウクウ「このまま撃ち続けて…攻撃する隙も与えない」

ボウクウ「避け続けても、いつか体力は尽きる。そうなればこっちの…」


ガサッ


ボウクウ「!!」バッ

ボウクウ「…何?今の音…後ろから?」

ボウクウ「…」チラッ

吹雪「ぐ…」

ボウクウ(あの三人は正面にいる。私の視界内にいるわ)

ボウクウ(隙をついて後ろに回られたかと思ったけど…)

ボウクウ(気のせいか、別の何かの音か…)

ボウクウ(まあいいわ。さっきと同じで攻撃を続け…)


「喰らいなさいっ!!」ブォンッ

ボウクウ「!!」

ボウクウの背後から、何者かが襲い掛かった!

ドガァァァァッ!!

ボウクウ「な…どうして!?」グググ

ボウクウ「どうして…こんなに早く!?」

叢雲「ふん。どうしてでしょうね」グググ

ボウクウ「くっ…」


バチバチバチバチィッ!

ボウクウ「!!」


電「…さっきのお返し、なのです」

ズドォォォォォォォォォォン!!

ボウクウ「ぐあああああっ!!!」ズザザッ

ボウクウ「くっ…予想外だわ。こんなに早く復活できるなんて…」

叢雲「あんたがどんな予想してたか知らないけど、私たちはこの通りピンピンしてるわよ」

電「なのです」

ボウクウ「…」

ボウクウ(…いくら威力が弱まったとはいえ、光弾によるダメージは確実に受けたはず)

叢雲「…っ」フラッ

ボウクウ(…やっぱり、そのくらいのダメージは受けたみたいね)

ボウクウ(ということは、落下によるダメージが予想より小さかったってことね…)

ボウクウ(思った以上にタフね、この子たち…)

バシュバシュッ

ボウクウ「!!」ガッ

ボウクウ(矢が…まずい、このままだと遠距離、近距離から攻撃が同時に…!)

ボウクウ「だったら!」ガシッ

叢雲・電「!!」

ボウクウ「もう一度…飛ばしてあげるわ!」グイッ

バビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

ボウクウ「いくらあなたたちがタフでも、何度も攻撃を当てればいずれ倒れる!」

ボウクウ「だから何度でも飛ばして、何度でも撃ち落としてあげるわ!!」

叢雲「ぐ…」

ボウクウ「さあ、また同じ目に…」スッ


吹雪「…気づいていないんですか?」

ボウクウ「!?」

ボウクウ(いつの間に…懐に!)

吹雪「この時のあなた…隙だらけなんですよ」

ボォォォォォォォォォォォォ!!!

ボウクウ「な…」

ズドォォォォォォォォォォン!!

ボウクウ「うあああああああああああ!!」ドザッ

ボウクウ(しまった…!接近を許してしまった…!)

ボウクウ(タイミングを逃した…これじゃもう光弾を放り投げた二人に向かって撃てない)

ボウクウ(でも、まだ落下がある。さっきはダメだったかもしれないけど、今度は…)

ザパァァァァァァァァァァァァ

ボウクウ「!?」

ボウクウ(何…?水が空中に向かって…)

ボウクウ「…!」

五月雨「…よし。このままゆっくり…」ザパァァァァ

五月雨は放出している水の威力を徐々に弱めている

五月雨「…うん、オーケー!」

五月雨「二人とも、大丈夫?」

叢雲「ええ。助かったわ」ザパッ

電「ありがとうなのです!」ザパッ

ボウクウ(まさか…あれが…!)

ボウクウ(ああやって水を使い、威力を調節してゆっくりおろすことで)

ボウクウ(落下することを防いでいたのね…)

ボウクウ(くっ…まさか、こんなことが…!)

吹雪「はぁっ!」ブンッ

ボウクウ「!!」ガッ

ボウクウ「ふんっ!!」バシィッ

吹雪「ぐあっ!」

ボウクウ「くっ…まずいわね」

ツー『ボウクウ様!このままでは負けてしまいます!』

ボウクウ「わかってるわよ、そのくらい!」

ボウクウ「このままだと、完全に相手のペースだわ…」

ボウクウ「しかし、どうしたら…」

ツー『…アレを使いましょう』

ボウクウ「アレ?…ああ、あれね」

ボウクウ「そうね…この状況をどうにかするには、あれしかないわね」

ボウクウ「でも、アレを使うには…」

ツー『しかし、これしかありませんよ』

ボウクウ「…まあ、そうねぇ…」

ボウクウ「…いいわ。やってあげる」

吹雪「それっ!」ブォンッ

ボウクウ「…」シュバッ

吹雪「まだまだぁ!」ブンブンッ

ボウクウ「…」シュバッ

吹雪「くっ…」

ボウクウ「…」スッ

吹雪(!攻撃が来る!?)シュバッ

ボウクウ「…」

吹雪「…?」

吹雪(…何もしてこない?)

電「えーいっ!」ブォンッ

ボウクウ「!」シュバッ

五月雨「やぁっ!」ブンッ

ボウクウ「…」ガッ

五月雨「…!」

五月雨(しまった、捕まれる!?)

ボウクウ「…」ブォンッ

ボウクウは腕で五月雨を振り払った

五月雨「うわぁ!?」ズザッ

五月雨(危なかった…捕まれるかと思った)

五月雨(…どうしてしてこなかったんだろう?)

漣「そぉい!」バシュバシュッ

ボウクウ「…っ」シュバッ

ボウクウ「…」ザザッ

ボウクウは周囲を警戒しつつ、距離をとっている

吹雪(…やっぱり、さっきまでと戦い方が違う)

吹雪(攻撃する気がまるでない…)

吹雪(…何か、狙ってる?)

叢雲「そこぉっ!」ブォンッ

ボウクウ「!!」

ズガァァァァァァァァァァン!!

ボウクウ「ぐあっ!」ズザザッ

ボウクウ「くっ…」ヨロッ

漣「今だー!畳みかけろー!」バシュバシュッ

電「えーいっ!」ブォンッ

ボウクウ「…」サッ

ガッ  グググ…

ボウクウは攻撃を全て腕でガードしている

叢雲「吹雪!五月雨!」

吹雪・五月雨「!」

叢雲「奴は今私たちへのガードで手一杯!今攻撃すれば…!」

五月雨「わかった!行こう、吹雪ちゃん!」

吹雪「…」

五月雨「…吹雪ちゃん?」

吹雪「…いや」

吹雪「わかった、行こう!」ダダッ

吹雪(何かを狙ってるのかもしれないけど…)

吹雪(それでも、攻撃をやめる理由にはならない!)

吹雪「ここで一気に決めて…!」スッ



ボウクウ「…」ギロッ

吹雪「…!?」ゾクッ


吹雪(何!?この感じは…)

ボウクウ「…」ゴゴゴゴ

吹雪(様子がおかしい…やっぱり、何かするつもりだ!)

吹雪「みんな!ボウクウから離れて!早く!!」

叢雲「え!?」

五月雨「な、何!?」

ボウクウ「あら、気づいたのね…」

ボウクウ「でももう遅い…準備は整ったわ」

ググッ

ボウクウは両拳を組み、頭上へ振り上げた

漣「何を…!?」

ボウクウ「あなたたちは確かに強かったわ…」

ボウクウ「まさか私も、これを使うことになるとは思ってなかったわ…」

ボウクウ「でも…」

ボウクウ「これで…終わりよ!!」

ブォンッ!!

ボウクウはそのまま、両腕を思い切り振り下ろし、地面に叩きつけた!!


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!


ボウクウ「そして…!」

五人「!?」

その衝撃で、五人は空高くへ飛び上がった!

五人「うわああああああああああああああああ!!!?」

吹雪「えぇ!?」

五月雨「そ、そんな…!?」

叢雲「こんな、無茶苦茶なことが…!」

電「こ、ここで攻撃が来たら…!」

漣「かなりまずいよ!!」

ボウクウ「そして喰らいなさい!」サッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ボウクウは両掌を空中の五人に向け、力をためている!

漣「な、なんか来るよ!」

叢雲「また光弾!?」

電「いや、あの感じ…」

吹雪「もっとすごいの来ちゃうんじゃ…」

五月雨「…っ」スッ

ボウクウ「さあ、これで終わりよ!」

ボウクウ「私たちの最大の力…思い知るがいいわ!!!」

ヒュォォォォォォォォォォォォ

ボウクウ「喰らえええええええええええええ!!!」


ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!


ボウクウは両掌から、五人に向けて巨大なビームを放った!!


五人「うわああああああああああああああああ!!!」


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!

パラパラ…

ボウクウ「…」

ツー『やりましたねボウクウ様!あれを喰らっては奴らも…!』

ボウクウ「…あれは…」

ツー『…ボウクウ様?』

ボウクウ「…ふん、そういうことね」

ボウクウ「奴ら…まだ生きてるわ」

ツー『!?』

ツー『ど、どういうことですか!?』

ツー『あの状況で避けるなんて、どうやって…!』

ボウクウ「…水よ」

ツー「み、水!?」

ボウクウ「ビームが当たる寸前…水が放たれたのが見えたわ」

ボウクウ「恐らく、ショキカンブルーが他の四人に向かって水を放出して」

ボウクウ「四人をビームの軌道から外し、自分は反動で同じように回避したのね…」

ツー『そんな…絶対に当たったと思ったのに』

ボウクウ「やっぱり、かなり厄介ね…」

ボウクウ「しかし今ので、五人はバラバラの場所に飛ばされたはず」

ボウクウ「それに今度は落下のダメージも受けた…」

ツー『今が狙い目、というわけですか』

ボウクウ「ええ。一人ずつ確実に…ね」

ボウクウ「一対一なら負けないわ」

ボウクウ「…今度こそ、仕留める」

吹雪「…」

吹雪「ぐ…」

吹雪(助かった…のかな?)

吹雪(五月雨ちゃんのおかげで…避けられたんだっけ…)

吹雪(お礼…言わないと…)ググッ

ズキンッ

吹雪「!!」ガクンッ

吹雪「…体が…」

吹雪(…動かないわけじゃないけど…かなり強く打ったみたい)

吹雪(でも、まだ戦える…はず)

吹雪(…みんなは…?)

吹雪「みんな…大丈夫…?」

吹雪「…」

吹雪「…みんな…?」キョロキョロ

吹雪「…!」

吹雪「そうか…さっき飛ばされたから…」

吹雪「早く…みんなと…合流しないと…」ヨロッ

吹雪「みんな…」


ガサッ

吹雪「!」

吹雪(誰かいる!?近くに落ちてたのかも!)

吹雪「誰かいるの!?」

ガサガサッ

吹雪(返事がない…出てこないし)

吹雪(もしかして、うまく動けないのかも…)

吹雪「待ってて、今そっちに…!」


ガサッ

吹雪「…あ…」

ボウクウ「…残念、だったわね」

吹雪「ボウクウ…!」チャキッ

ボウクウ「遅い!!」ブォンッ

吹雪「!!」

ズドォォォォォォォォォォン!!!

吹雪「ぐあああっ!!」

吹雪「ぐ…」フラッ

ボウクウ「…やっぱり、満身創痍みたいね」

ボウクウ「今のあなた一人を倒すくらい、わけないわね」

吹雪「…っ」

吹雪(どうしたら…!)

吹雪(このままじゃ、まずい…!)

ボウクウ「ふんっ!」ブォンッ

吹雪「!!」

ドガァァァァァン!!

吹雪「くっ…」ドザッ

ボウクウ「あら、ぎりぎり避けられちゃったわね」

ボウクウ「でもその様子だと、もう限界が近いようね」

ボウクウ「逃げるしかないんじゃないの?

吹雪「うぅ…」

吹雪(悔しいけど、その通りだ…)

吹雪(このまま私一人で戦っても負けちゃう…!)

吹雪(ここはどうにかして逃げるしか…!)


吹雪「…」

吹雪(いや…)

吹雪「…」チャキッ

ボウクウ「あら…立ち向かってくるというの?」

吹雪「…はぁぁぁ!!」

ボォォォォォォォォォォォォ!

ボウクウ「!!」

吹雪は激しく炎を放出した!

ボウクウ「また炎…!ワンパターンね…」

ボウクウ「こんなもの…また振り払ってくれるわ!」ブォンッ

吹雪「…!」

吹雪「まだ…まだ…!」

ボォォォォォォォォォォォォ!

ボウクウ「また…!」

ボウクウ「このっ!」ブォンッ

ボォォォォォォォォォォォォ!

ボウクウ「…!」

吹雪「…っ」

吹雪(もっと…もっとだ…)

吹雪(もっと燃えて…もっと!)

吹雪(そうすれば、きっと…!)

吹雪「はああああああああああああああああ!!!」

ボォォォォォォォォォォォォ!


ボウクウ「しつこいわね…」

シュバッ

吹雪「…!」

ドゴォッ

吹雪「うっ…」

ドサッ

吹雪「う…ぐ…」

ボウクウ「まったく、往生際が悪いわね」

ボウクウ「大人しく逃げてればよかったものの…無駄な抵抗をしてくれたわね」

吹雪「…」

吹雪(だめ…このままじゃ…)

吹雪(もっと、耐えない、と…)

吹雪(…でも)

ボウクウ「さて、そろそろ止めを刺しましょうか」

吹雪「…」

ボウクウ「それで、あなたを倒した後には…」

ボウクウ「あなたの仲間も、同じ目に合わせてあげる」

吹雪「…!」

ボウクウ「あなたたちには随分手を焼いたけど…」

ボウクウ「こうなったら、どうしようもない」

ボウクウ「…残念だったわね」

吹雪「…」フラッ

ボウクウ「…まだ抵抗するというの?」

ボウクウ「無駄なことはやめなさい。何もしなければ、すぐに楽にしてあげるわ」

吹雪「…」

吹雪(ここで、私が負けちゃったら…)

吹雪(何も守れない…過去の自分たちも…)

吹雪(…今の仲間たちも)

吹雪(そんなの…絶対に嫌だ!!)

吹雪(きっと…あと少し)

吹雪(あと少しのはず…)

吹雪(あと少し耐えるんだ…!絶対に…)

吹雪「絶対に…負けられない…!」

ボウクウ「…」

ボウクウ「だったら…」

ボウクウ「そんな口もきけないようにしてあげる!!」シュバッ

吹雪「…!」

ガシッ

吹雪「ぐ…」

ボウクウ「今のあなたに、これを避ける術はないわ」

ボウクウ「このまま投げ飛ばして…」

吹雪「くっ…!」ジタバタ

ボウクウ「なっ…!大人しくしなさい!」

吹雪「はぁっ!」ズバッ

ボウクウ「ぐあっ!」パッ

ボウクウは思わず吹雪から手を離した

吹雪「はぁ…はぁ…」

ボウクウ「くっ…ふざけたことを」

ボウクウ「大人しく…捕まりなさい!」バッ

吹雪「はぁっ…!」シュバッ

ボウクウ「遅い…!」ババッ

吹雪「!!」

吹雪(だめ…避けられな…)

吹雪「…!」

ガシッ

ボウクウ「…捕まえたわ」

吹雪「…」

ボウクウ「それじゃあ、今度こそ…」

ボウクウ「特大の花火を…打ち上げてあげるわ!」グイッ

ボウクウは、吹雪を空高く放り投げた!

バビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

吹雪「…っ!!」

ボウクウ「そして喰らいなさい!」スッ

ボウクウ「これであなたも終わ…」



ザパァァァァ

ボウクウ「…?」

ボウクウ「何…?今の…」

ザパァァァァ

ボウクウ「この音…水?」

ボウクウ「足元から…?」チラッ

ボウクウ「…!」

ボウクウの足元はいつの間にか水浸しになっていた!

ボウクウ「な…いつの間に!」

「あなたの注意が上に向いている時ですよ」

ボウクウ「!!」

ボウクウ「あ、あなた…」

「えーいっ!!」

地面に撒かれた水に、電流が流される!

バチバチバチバチィッ!

ボウクウ「ぐあああああああああああああああ!!!」

ボウクウ「しまった…!電流が…」

ボウクウ「くっ!」シュバッ

ボウクウ(早く…水がない場所へ移動を!)ババッ

「どこへ行くのかしら?」

ボウクウ「…!」

「どっか行くんならあっちの方行ってくれませんかねぇ」

ボウクウ「な…」

ドゴォォォォォォォォッッッ!

バシュゥゥゥゥゥゥゥ!!

ボウクウ「ぐああああああああああああ!!?」

ズドォォォォォォォォォォン!

吹雪「…」

吹雪(やっぱり…来てくれた)

吹雪(信じてたよ…みんな)


『…ヒーローなんかやってるとね。色々あるんだよ』

『敵にやられそうになったり、捕まりそうになったり…』

『ピンチになることが多かったりするんだよね』

『…でもね。そんなピンチの時には』


『いつも…いつも、仲間が助けてくれるの』

五月雨「吹雪ちゃん!」ザパァァァァ

五月雨は水を放出して、吹雪をおろした!

吹雪「わぷっ!」ザパッ

漣「吹雪ちゃん、大丈夫!?」

吹雪「だ、大丈夫…助かったよ」

漣「いやーでもかなりボロボロだけど…」

叢雲「五月雨、漣。私と電はボウクウへ追撃しに行くわ」

電「吹雪さんのことは任せたのです!」

五月雨「わかった、私たちもすぐ行くから!」

吹雪「でもよかった…ちゃんと来てくれて」

五月雨「うん。だって吹雪ちゃん、炎で合図してくれたでしょ?」

漣「あれが狼煙代わりになってたからね」

吹雪「そう…上手くいってよかったよ…」

五月雨「それにしても吹雪ちゃん、もうボロボロ…」

漣「こりゃあもう戦えないね…休んでた方がいいんじゃね?」

吹雪「…大丈夫、だよ…」

吹雪「みんなだってボロボロなのに頑張ってて…私だけ休んでるわけにはいかない…!」ヨロッ

五月雨・漣「…」

吹雪(でも、このまま私が戦いに行っても足を引っ張るだけ…)

吹雪(ボウクウへの攻撃も問題。何とかデストロイキャノンを撃ち込めればいいかもしれないけど…)

吹雪(その前に決定打を叩き込んで、隙を作る必要がある)

吹雪(でもボウクウはかなりタフみたいだし、大抵の攻撃は腕で防がれちゃう…)

吹雪(…どうしたら)

五月雨「…」

吹雪「!!」

五月雨「?ど、どうしたの吹雪ちゃん…」

吹雪「…五月雨ちゃん、漣ちゃん」

吹雪「…お願いがあるの」

五月雨・漣「?」

電「えいっ!」ブォンッ

ボウクウ「この程度…!」バシィッ

叢雲「そこぉっ!」シュバッ

ボウクウ「ぐ…」ガッ

ボウクウ「無駄よ!!」バシィッ

電・叢雲「うあああ!!」

電「うぅ…」

叢雲「電…まだ戦える?」

電「大丈夫なのです…まだいけるのです!」

叢雲「そう…なら、問題ないわね!」

叢雲(しかし、このまま殴り合ってもキリがない…)

叢雲(どうにかして打開を…)


ザパァァァァァァァァァァァァ

ボウクウ「!?」

叢雲・電「!?」

五月雨が、上空に向かって水を放出していた!

ボウクウ「い、一体何を…」

漣「ほいほいっ!」バシュバシュッ

ボウクウ「!」ババッ

電「避けるんじゃねぇぞこらぁ!」

叢雲「漣、今のは一体…」

漣「いいから攻撃を続けて!そいつを逃がさないで!」

電「わ、わかったのです!」

叢雲「はぁっ!」ブンッ

電「えーいっ!」ブォンッ

ボウクウ「ぐっ!」ガシッ

ボウクウ「はぁっ!!」バシィッ

ボウクウは叢雲と電を弾き飛ばした!

叢雲・電「うわぁっ!」

ボウクウ「何のつもりか知らないけど、三人程度じゃ私は倒せないわ!」

五月雨「だったら四人で行きます!」ザパァァァ

ボウクウ「!!」

電「五月雨さん!」

五月雨「電ちゃん、電撃を!」

電「はいなのです!」バチバチバチバチィッ

ボウクウ「っ!」サッ

漣「逃がすか!」バシュバシュッ

ボウクウ「くっ…」ガッ

バチバチバチバチィッ!

ボウクウ「ぐああああああああ!!!」

ボウクウ「ぐ…」

叢雲「よし、このまま…!」

ボウクウ「…この、程度で…」

電「…え?」

ボウクウ「この程度で私は…ひるまないわよ!!」シュバッ

ボウクウは四人の方へ接近してきた!

漣「っ!」ジリッ

五月雨「漣ちゃん!」

漣「…!」

五月雨「…」コクリ

漣「…了解!」

電「な、何なのです!?」

叢雲「五月雨!?何をするつもり!?」

五月雨「叢雲ちゃんたちは下がってて!」

叢雲「でも…」

漣「大丈夫だから!」

叢雲「…わかったわ」

五月雨「行くよ、漣ちゃん!」シュバッ

漣「ほいさっさー!!」シュバッ

五月雨と漣はボウクウへと向かって行った!

ボウクウ「また安易に近づいてきて…!」

ボウクウ「懲りない、連中ね!」バッ

ガシッ

五月雨・漣「!」

ボウクウ「ふん…あなたたちなんて、こうして捕まえてしまえば」

ボウクウ「もうどうしようもないのよ…!」

ボウクウ「さあ、このまま大人しく消えて…」

漣「…ふふっ」

ボウクウ「…何がおかしいの?」

ボウクウ「あなたたちはこの状況をどうにもできない!ただ、私に消されるのを待つだけ…」

ボウクウ「この最悪な状況で、一体何を…!」

五月雨「…最悪な状況?…それは違います」

五月雨「これだから、いいんですよ」

ボウクウ「…もういいわ」

ボウクウ「このまま投げ飛ばして…」チラッ


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン

ボウクウ「…投げ…飛ばして…?」


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン

吹雪「うおおおおおおおおおおお!!!」


ボウクウの上空から、吹雪が落ちてきていた!

ボウクウ「な…何ぃ!?」

ボウクウ(一体いつの間に…)

ボウクウ(っ!まさか、さっき上空に向けて放った水は!)

ボウクウ(この子を飛ばすための…!)

ボウクウ(こうなったら、迎撃を…)

ボウクウ(…!)

ボウクウ(両腕が、ふさがって…!)

ボウクウ(このままじゃ、光弾で迎撃はできない!)

ボウクウ(ガードもすぐには対応しきれない…!)

ボウクウ(まさかこの子たち、そのためにわざと私に捕まったって言うの!?)

五月雨・漣「…ふふっ」ニヤリ

ボウクウ「そんな…」

ボウクウ「そんな、馬鹿なことが…!」

吹雪「…空中の敵への攻撃は、得意って言ってましたね!」

ボウクウ「…!」

吹雪「でも、この状況でも!」

吹雪「同じことが、言えますか!?」

ボウクウ「ぐ…!」

吹雪「仲間が作り出してくれたこのチャンス…」

吹雪「絶対に、無駄にはしない!!」

ボォォォォォォォォォォォォ!

吹雪「燃え上がれ!『ブリッジソード』!!」


吹雪「ブリッジバスタアアアアアアアアアア!!!」

ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

ボウクウ「ぐああああああああああああああああああ!!!!」

ボウクウ「ぐ…あ…」フラッ

吹雪「よし!みんな、いくよ!」

五人「オー!!」

ボウクウ「ぐっ…!」

電「アンカーハンマー!」ヒュンッ

漣「デッキチェリー!」ヒュンッ

叢雲「マストランス!」ヒュンッ

五月雨「キールブレード!」ヒュンッ

吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ

ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!

五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!

五人「デストロイキャノン!」

ボウクウ「くっ…」

ツー『ボウクウ様!このままでは…!』

ボウクウ「わかってるわ!」

ボウクウ「…今持てる最大の力で、迎え撃つ!」

ボウクウ「このまま…終われないわよ!」

ボウクウ「はああああああああああ!!」

ヒュォォォォォォォォォォォォ

ボウクウ「私が今出せる力…」

ボウクウ「全て…出し尽くす!!」

ボウクウ「絶対に負けないわ!!!」

吹雪「…ボウクウ。あなたの…いえ」

吹雪「あなたたちの力はとてつもなかった」

ボウクウ「…」

吹雪「それでも…最後に勝つのは私たちです!」

吹雪「私たちの力…仲間を信じる力、そして仲間との絆の力が」

吹雪「ずっと強いから!!!」

ボウクウ「…!」

吹雪「決着をつけしょう、ボウクウ、ツー!!」

漣「目標捕捉!」

電「照準よし!」

叢雲「充填完了!」

五月雨「発射準備完了!」


吹雪「これが私たちの力だ!!!」

吹雪「ってえええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!


ボウクウ「はああああああああああああああ!!!!」


ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!

二つの光線が、激しくぶつかり合う!!

ドギャァァァァァァァァァァン!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ボウクウ「…まずい…」

ボウクウ「このままじゃ…押し負ける…!」

ツー『ボウクウ様…!』


五人「いっけえええええええええええええええええええええええ!!!!!」

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

ドドドドドドドドド…

ボウクウ「…」

ツー『ボウクウ様…』

ボウクウ「…ダメね…」

ボウクウ「私たちの…負けみたいね」

ツー『…そう、ですか』

ボウクウ「…ツー」

ツー『…はい』

ボウクウ「…今まで、ありがとうね」

ツー『…こっちのセリフですよ』

ボウクウ「ふふっ、そう…」

ボウクウ「…見せてもらったわ、ショキカンジャー…」

ボウクウ「あなたたちの力と、その強さを…」


ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

──────────

──────

───

五月雨「…うん、大丈夫。タイムマシンは壊れてないみたい」

叢雲「そう?よかったわ…」

電「どさくさで壊れてたら大変なことになってたのです」

漣「それはマジ勘弁ですな」

吹雪「まあ、何ともなくてよかったよ」

漣「んで、どうする?さっさと帰る?」

叢雲「そうねぇ、帰ってもいいけど…」

吹雪「…いや」

吹雪「帰る前に…もう一回、見てみない?」

吹雪「過去の私たちを」

四人「…」

四人「…うん」

鎮守府

電「今はどこにいるのでしょうか?」

叢雲「鎮守府内で仕事中じゃないかしら」

漣「まだバラバラなんかねぇ…」

五月雨「…そうでもないんじゃない?」

叢雲「ん?」

吹雪「あー、そうみたいだねぇ…」

電「どういうことなのです?」

吹雪「ほら、あそこ」スッ

過去吹雪「ほら、司令官、みんな!早く早く!」

過去叢雲「落ち着きなさいよ吹雪…別に逃げたりしないわよ」

過去吹雪「あ…ごめんね」

過去叢雲「い、いや、別に謝ることじゃないわ」

過去電「そうなのです。気にすることじゃないのです」

過去漣「ご主人様。何が始まるんです?」

提督「ん、知らないで来たのか?」

過去漣「うむ、知らん!」

過去五月雨「えぇ…」

提督「…吹雪が、集合写真が撮りたいって言いだしてな」

過去漣「ん、そうなん?」

過去吹雪「あれ、知らなかったんだ…もしかして嫌?」

過去漣「いやいや、漣は一向にかまわんよ!フゥーッハッハッハ!」

過去漣「それにしても意外ですな」

過去五月雨「え、何が?」

過去漣「いやー、叢雲ちゃんは嫌がると思ってたんだけど」

過去電「確かにそうなのです…」

過去五月雨「私も、叢雲ちゃんは来ないかなって思ってたんだけど…」

過去叢雲「…別に」

過去叢雲「たまにはいいかなって思っただけよ」

過去漣「何!?叢雲ちゃんがデレただと!?」

過去叢雲「はぁ!?何言ってんのよあんた!」グリグリ

過去漣「ギャー!勘弁勘弁!」

提督「何やっとるんだあいつらは…」

提督「吹雪。カメラの準備はできたか?」

過去吹雪「あと少しです。ここをこうして…」

過去吹雪「よし!それじゃあみんな、並んでくださーい!」

過去五月雨「はーい。じゃあ、行こうか」

過去電「はいなのです」

過去叢雲「あんた昨日も意味わかんないこと言ってたわよね!まったく…!」ギリギリ

過去漣「えぇー!?記憶にございません!」

提督「…お前ら、行くぞ」

過去吹雪「あれ、セルフタイマーどれだろ…」

過去五月雨「え、これじゃないの?」

過去吹雪「あ、本当だ。ありがとう五月雨ちゃん」

過去五月雨「いえいえ…」

過去五月雨「それにしても吹雪ちゃん。どうして写真を撮ろうって思ったの?」

過去吹雪「…」

過去吹雪「…それはね」


過去吹雪「内緒だよ!」

過去五月雨「えー!?なにそれー!」

過去吹雪「ほら、五月雨ちゃんも並んで!撮りますよー!」

吹雪「…」

叢雲「この時だったのね、写真撮ったの」

漣「そうみたいですな」

電「みんな、昨日よりずっと仲良くなってるみたいなのです」

五月雨「提督の言ったとおりだったね」

叢雲「で、吹雪。写真撮った理由思い出したの?」

吹雪「…うん、思い出したよ」

漣「おー、何々?おせーておせーて」

吹雪「…内緒」

電「え、結局言わないのです?」

吹雪「うん…ていうか」

吹雪「みんな、本当はわかってるんでしょ?」

四人「…」

漣「さて、そろそろ退散といきますか」

電「そうですね。そろそろ…」

叢雲「あー、久々にめちゃくちゃ疲れたわ…」

五月雨「帰ったらゆっくり休もうか…」

吹雪「そうだね…」

吹雪「…ねえ」

吹雪「帰ったらさ…やりたいことがあるんだけど」

叢雲「…奇遇ね。私もよ」

漣「なんと奇遇な。漣もです」

電「たぶん、全員思ってることなのです」

五月雨「そうだね。みんな思ってるはず」

五月雨「やろうよ。提督にお願いして」

吹雪「…うん」

──────────

──────

───

提督「む…そんなことが」

吹雪「はい…」

提督「それは大変だっただろう…だが、よくやった」

提督「お前たちにはしばらく休暇をやろう。ゆっくり休むといい」

吹雪「ありがとうございます…」

吹雪「…あの、司令官」

提督「ん?」

吹雪「お願いがあるのですが…」

一週間後  鎮守府の外


ワイワイ ガヤガヤ

青葉「はーい!ではそこにみなさん並んでくださーい!」

青葉「できるだけ詰めてー!中央によってくださーい!」

長門「駆逐艦は前のほうが良いか?」

青葉「そうですね!駆逐艦の皆さんは前に並んでくださーい!」

青葉「戦艦や空母の方々は後方にー!ひな壇がありますからー!」

青葉「落ちないように気を付けてくださいねー!」

提督「うーん、やはりこれほどの人数は大変だな」

五月雨「ですねぇ」

叢雲「入りきるかしら…」

漣「いざとなれば入りきらなかった人は顔写真を右上の方に…」

電「それ欠席者みたいなのです」

吹雪「…まあ、何とかなると思うよ」

夕張「やっほー五人とも!あと提督も!」

吹雪「あ、夕張さん!」

提督「夕張。お前、もっと後ろの方じゃないのか?」

夕張「いや、軽巡はこの辺ですよ」

提督「ああ、そうか…」

明石「私もいますよ!」

提督「…何でいるんだよ」

明石「軽巡みたいなもんですから!」

提督「全然ちげえよ」

夕張「ところで提督。どうして急に集合写真を?」

明石「先週から言われてたからそんなに急ってわけじゃないけど…」

提督「ん?いや、言い出したのは俺じゃないぞ」

夕張「え?」

提督「こいつらだよ」

五人「…」

夕張「…みんなが?」

明石「へー。なんでそうなったの?」

叢雲「あー、それは…」

五月雨「えっとですね…」

夕張「…え、なんか言いづらい理由?」

漣「…実はご主人様が、集合写真を撮らないと死ぬ呪いにかかって…」

夕張「あー、そっかぁ…」

漣「漣たちはどうでもよかったんですけど、ご主人様が泣いて懇願するから」

明石「なら仕方ないね」

提督「…おい」

夕張「で、本当は何で?」

電「えっと…本当は…」

吹雪「本当は…」


過去五月雨『それにしても吹雪ちゃん。どうして写真を撮ろうって思ったの?』

過去吹雪『…』

過去吹雪『…それはね』


吹雪「…ふふっ」

吹雪「内緒です!」

明石「えぇー!?なにそれー!」

夕張「教えてよー!」

提督「おい、暴れるな。ちゃんと並んどけ」

明石「ちぇー」

夕張「仕方ない。大人しくしときますか」

提督「ふう、まったく…」

提督「…それにしても、集合写真か…」

提督「先週見た、あの写真を思い出すな」

五人「!」

提督「やはり懐かしいな…あのころと比べると」

提督「随分、人数が増えたが…」

吹雪「…そうですね」

叢雲「やっぱり、鎮守府もずいぶん変わったものね」

電「過去を見てきたから違いが分かるのです」

五月雨「本当。人数も増えて、鎮守府も変わって…色々なものが変わったね」

漣「まー我々は大して変わってないんですけどね!」

吹雪「…」

漣「…いや、吹雪ちゃんだけじゃないし」

提督「…変わってない、か」

提督「そうでもないだろ」

五人「…?」

提督「確かに、性格とかは変わってないけど」

提督「お前らは変わったよ」

吹雪「え…?」

提督「…ずっと見てきた、俺だからわかる」

提督「あの頃と比べて、お前らは…」


提督「…本当に、強くなったよ」

五人「…」

青葉「よーし、準備できましたよー!撮りますねー!」

提督「おい青葉。お前も写らんか」

青葉「え…い、いや、青葉はいいですよ…」

提督「…衣笠」

衣笠「はーい!」シュバッ

青葉「え、ガサ!?いつの間に…」

衣笠「これがセルフタイマー?押しちゃうよー」カチッ

青葉「ああ!しまった!」

衣笠「はいはい。じゃあ並ぶよー」グイッ

青葉「あ~れ~!」

吹雪(…)

吹雪(強くなった、か…)

吹雪(確かに私たちは強くなった)

吹雪(あのころと比べて、ずっと強くなった)

吹雪(でも、それはそれぞれが一人きりだったら…)

吹雪(決して、得ることのできなかった強さ)

吹雪(だけど、私たちは強くなった)

吹雪(一人きりじゃなかったから)

吹雪(仲間がいたから)

吹雪(仲間を信じられたから)

吹雪(本当の仲間になれたから…)

吹雪(…その仲間を守るために)

吹雪(私たちは、強くなりたいって思ったから…)

吹雪(…一か月前、ディープマリンを倒した時にも思ったけど)

吹雪(今回のように…これからも辛いこと、苦しいことがやってくる)

吹雪(それを乗り越えることは、簡単なことじゃない…)

吹雪(それでも私たちは、きっと大丈夫)

吹雪(どんな困難も、乗り越えられる)

吹雪(こうして手にした、強さがあるから)

吹雪(もっと大きな強さを、手に入れられるから)

吹雪(そして…)

青葉「あ、そろそろタイマーが…!」

衣笠「もう諦めなさいよ青葉」

青葉「う~…」

提督「よーし、全員しっかり写れよ!」

吹雪「…」

五月雨「…ほら、吹雪ちゃん。撮るよ?」

吹雪「…うん!」


パシャッ


吹雪(私たちには、素敵な仲間がこんなにもいるんだから!)

「…私の、勝手なお願いなんだけどね」


「やっぱり、仲間を信じてあげてほしい」


「仲間を信じて、守れるだけの強さを持ってほしい」


「…『本当の仲間』を持ってほしい」


「不安はあるかもしれないけど…きっと大丈夫」



「あなたの仲間は…あなたが思ってるより、ずっと強くて、ずっと素敵だから」



劇場版!駆逐戦隊!ショキカンジャー!! ~守り抜け!始まりの自分~  艦

本編はこれで終了。おまけを書いていくのでもうちょっとだけ続くんじゃ
次の更新はまた一週間くらいかかるかもしれません

乙乙

おまけは本編と強い関連性があるわけでもないので、蛇足だと感じる人もいるかもしれませんが、よろしければ読んでください


おまけの方が長くなるフラグまで立てやがって…


漣と間違えたんだろうけど>>302で電が怒鳴ってびびった

劇場版駆逐戦隊ショキカンジャーのパンフレットは売って無いんですか?

やっべ、おっさんこういう話弱いねん・・・めっちゃ涙腺に来よる・・・乙

>>356
はい、そのセリフは漣です。すみません…
確かにこれを電ちゃんがいきなり言ったかと思うとかなり怖い


題名センスあるわ

おまけその1 「提督の隠し事」


食糧庫

ギィッ…

提督「…」

提督「…」キョロキョロ

提督「…」ソロソロ

提督「…」パカッ


「そこまでです!」

提督「!!」

提督「だ、誰だ!?」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエ口ー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


提督「…え?」

提督「…お前ら、何してるんだ?」

電「それはこっちのセリフなのです」

叢雲「こんなところに何の用かしら?」

提督「い、いや…食料は今どのくらいかなーって…」

提督「その…確認をだな…」

五月雨「なら、もっと堂々とやればよかったのでは?」

提督「ぐっ…」

漣「ふん…ご主人様。いい加減吐いちまいなよ」

提督「何…?」

漣「今開けた隠し戸棚…その中にあるのは」

漣「ご主人様秘蔵のドスケベな…!」

叢雲「やかましいわよ」ポカッ

漣「あいたー!」

吹雪「司令官。隠し事はよくありませんよ」

五月雨「そうですよ。別に怒ったりしませんから、正直に言ってください」

提督「し、しかし…」

漣「あー、じれったい!」

漣「その戸棚の中身を見せて白状せんかー!」バッ

提督「あ!」

漣「知ってるんですよ!この中には大量のカップ麺が…」

パカッ

漣「…あり?」

叢雲「どうしたのよ漣」

漣「いや…中身が…」

吹雪「カップ麺じゃないの?」

提督「…」

漣「それがさ…入ってたのは」スッ

吹雪「…」

吹雪「…フィギュア?」

叢雲「これ…スーパー戦隊のね」

電「シリーズそろい踏みなのです…」

五月雨「あ、奥のほうにロボもあるよ」

漣「なかなか古いものもありますな」

漣「あ、ギンガブレスとドロンチェンジャーもある!」

吹雪「…えっと…」

吹雪「司令官…これは…?」

提督「…」

叢雲「どういうことよ。この戸棚にはカップ麺が入ってるんじゃなかったの?」

提督「…どうしてお前らがそのことを知ってるかは知らないが…」

提督「確かに入れていた時もあった。この中に大量のカップ麺を隠してたよ」

提督「でも一か月ほどでやめた。ここに来るのが面倒くさくなってな」

提督「それ以降カップ麺はここに入れていない」

電「そうだったのですか」

五月雨「えっと、じゃあ…」

五月雨「これは一体…?」

提督「…あれは、お前たちショキカンジャーが結成したころだ」

提督「あの一件で俺はスーパー戦隊に興味を持ってな…子供のころに見ていた懐かしさもあって、久々に見てみようと思った」

提督「それであるシリーズを見たら、はまってしまって」

提督「それ以来…こうしてフィギュアやロボを買ったりしている…」

提督「しかし買ったものを堂々と置くのは気が引けてな」

提督「それでここの存在を思い出して、この戸棚に入れているんだ」

吹雪「えぇ…」

漣「…ちなみに何を見たんですか?」

提督「海賊戦隊ゴーカイジャー…」

漣「あっ…」

吹雪「えっと、要するに」

吹雪「司令官はスーパー戦隊にはまって」

吹雪「それでフィギュアやロボを買いあさるようになって」

吹雪「もともとカップ麺を隠してたこの戸棚に、隠し入れるようになった、と…」

提督「ああ…」

吹雪「そう、ですか…」

提督「…うん」

吹雪「…」

叢雲「…」

漣「…」

電「…」

五月雨「…」

提督「…」


この後滅茶苦茶ゴーカイジャー見た


おまけその2 「大井の見る夢」


──────────

──────

───

大井「…」

大井「…」

大井「…」

大井「…ここ、どこ?」

大井は気が付くと、真っ白な空間に一人でいた

大井「あー、あれね。これ…夢ね」

大井「明晰夢ってやつかしらね…」

大井「…まあ、なんでもいいけれど」

大井「どうせ夢なら、北上さんでも来てくれないかしら…」

大井「…」


ザッ

大井「!!」

大井「…何?」クルッ

大井は音がした方向を見たが、何もなかった

大井「…誰もいない」

大井「なーんだ。北上さんが来たんじゃないのね」


「ははっ。違ってごめんね」

大井「!?」バッ

「あ、驚かせちゃった?ごめんごめん」

大井「だ、誰!?どこにいるの!?」

大井(…あたりを見回しても、どこにも誰もいない…)

大井(声だけが聞こえる…)

大井(でも…この声、まさか…)

「まったく…いきなり話しかけるから、大井さん混乱してるじゃない」

「まずは姿を見せてあげたらどうですか」

「えー、でもなんか…」

「…恥ずかしいの?」

「い、いや!そんなんじゃないし!」

大井(…四人の声)

大井(…知らない声じゃない。嫌な声でもない)

大井(とても…懐かしい声)

大井「…」

「でも姿見せてもさあ…」

「私たち、大井さんに忘れられてるかもしれないじゃん?」

大井「…忘れるわけ、ないじゃない」

「…」

大井「私はあなたたちのことを忘れたことなんて、一度もないわ」

大井「あなたたちを…大切な仲間のことを…」

大井「忘れられるわけ、ないでしょ…?」

大井「ねえ…お願い」

大井「姿を見せて…」

「…」

「…後ろ、向いてよ」

大井「…」クルッ

???「…久しぶりだね、大井さん」

???「いや…ホワイト」

大井「…ええ」

大井「久しぶりね…レッド」

大井「…久しぶりね…『ショキカンジャー』」

ブルー「レッドったら…さっさと出ていってあげればよかったのに」

ブルー「なんでわざわざ隠れて話かけんのよ」

レッド「うぐっ…」

レッド「そ、それだったらみんなだって同じだよ!誰も出ていかなかったじゃん!」

イエロー「言い出しっぺはレッドさんじゃないですか」

グリーン「うん。まずはレッドが出ていくべき」

レッド「えぇ…」

ブルー「ごめんなさいねホワイト。急にこんな…夢に出てきちゃって」

イエロー「すみません急に。驚かせちゃったでしょう?」

グリーン「悪いのは全部レッド。文句なら全部レッドに…」

レッド「え、私なんか悪いことした!?」

大井「…」

大井「…っ」ポロポロ

レッド「あわわ、ホワイト!?泣いてるの!?」

ブルー「ちょっと、大丈夫?」

グリーン「あー、レッドのせいだね」

イエロー「ちょっとー!レッドさーん!」

レッド「えぇ!?」

レッド「どうしたのさホワイト。私たちに会えたのがそんなにうれしかった?」

大井「…ごめんなさい」

レッド「え?」

大井「確かに、あなたたちに会えてうれしい。夢の中ででも…」

大井「でも、でも私は…」

大井「あなたたちに、謝らないといけないの…!」

大井「だって、私は…!」

大井「あなたたちを置いて、逃げて…!」

レッド「…」

大井「許してくれなんて言わない…恨んでくれて構わない」

大井「でも、私はずっと…」

大井「ずっと、あなたたちに会って、謝りたかった…」

大井「だから…!」

レッド「はぁ…何言ってるのさホワイト?」

大井「…え?」

ブルー「謝る必要なんてないのよ」

イエロー「あの時、逃げろって言ったのは私たちです。あなたが気に病む必要はないんですよ」

グリーン「うん。あなたはちゃんと逃げ切ってくれた。それで十分」

大井「でも…!」

レッド「ええい!うるさーい!」ポカッ

大井「あうっ」

レッド「…ホワイト。謝るのは私たちの方だよ」

大井「…?」

レッド「私たちの力が足りなかったせいで…こうしてあなたを苦しめてしまった」

レッド「罪の意識を、持たせちゃったから」

大井「そんなこと…!」

レッド「実際、あなたはこれまで苦しんできた」

レッド「自分が逃げたままだって思って、罪の意識を持ってきたから」

大井「…」

レッド「だから、お互いさまってことで、謝るのはよしてよ」

ブルー「そうよ。そんなの、私たちだって望んでない」

イエロー「それに、あなたはちゃんと私たちが本当に望んでいたことをやってくれたじゃないですか」

大井「え…?」

グリーン「…ディープマリンの壊滅。やってくれたでしょ?」

イエロー「お見事でしたよ」

レッド「私たち、ずっと見てたから知ってるんだよ」

大井「でも、私は…ほとんど何も…」

ブルー「確かに実際に手を下し、奴らを倒したのはあの子たちよ」

レッド「いやー、あの五人強かったからね」

グリーン「コアを破壊し、すべてを終わらせたのはあの五人…」

グリーン「そう考えると、あなたはほとんど何もできなかったのかもしれないね」

大井「…」

イエロー「…でも」

イエロー「それだけが全部じゃ…ないですよね?」

大井「えっ…」

レッド「…あなたは、あの子たちを危機から救ってくれたじゃない」

レッド「あなたがあそこで助けてくれなかったら、きっとあの子たちは…」

レッド「…私たちのようになってただろうね」

大井「…」

レッド「でも、あなたは救った。あの子たちを生かしてくれた」

レッド「そして、伝えてくれた。私たちが命がけであなたに託した力と…」

レッド「…私たちの、思いを」

レッド「あなたはつなげてくれた。私たちと、あの子たちを」

レッド「私たちの死は、決して無駄じゃなかったって、証明してくれた…」

レッド「だからね…」



レッド「…ありがとう、ホワイト」

大井「…っ!」

大井「…お礼を言うのは、私の方よ」

レッド「…」

大井「あなたたちがいなかったら、きっと私は…」

大井「ずっと、逃げたままでいた…」

大井「奴らから、死から逃げて…」

大井「…勇気が出せずに」

大井「大切なことに、気づけずにいた…」

大井「…でも、あなたたちから託されたものがあったから…」

大井「逃げられないって、思ったから…」

大井「そのために私は戦えたから…!」

大井「だから…!」



大井「…ありがとう、みんな」

レッド「…」

レッド「…うん」

ブルー「…そろそろ、時間ね」

大井「っ!そんな…!」

イエロー「いつまでもあなたの夢にお邪魔するわけにはいきませんから」

グリーン「うん。私たちはもう帰らないといけない」

レッド「…残念だけど、お別れだよ」

大井「…」

レッド「…ホワイト。いや、大井さん」

レッド「あなたが罪の意識を持つ必要はない」

レッド「さっき伝えたとおり、私たちの望みは果たされたから」

レッド「…これからは、『ショキカンジャーのホワイト』として、罪を背負うんじゃなくて」

レッド「『大井』として、あなたには自由に生きてほしい」

レッド「…これは、私たち全員が思っていることだから」

大井「…」

レッド「…なんだけど」

大井「?」

レッド「…私たちの、勝手なお願いなんだけどね」

レッド「…私たちが果たせなかった、もう一つの望みを…あなたに果たしてもらいたいの」

大井「…それって」

レッド「…海の平和を、取り戻すこと」

大井「!!」

レッド「…どうか、深海棲艦を倒して…」

レッド「この戦いを、終わらせてほしい」

レッド「これは私たちの、艦娘としての願い」

レッド「どうかあなたに、叶えてほしいの」

大井「…」

レッド「…あなたならきっとできるって、信じてる」

レッド「だってあなたには、素敵な仲間がたくさんいるでしょ?」

大井「…!」

レッド「だからね…お願い、大井さん」

レッド「どうか…幸せな海を」

レッド「争いのない、平和な海を…」

大井「…」

大井「…約束するわ」

大井「絶対に、奴らを倒して…」

大井「平和な海を、仲間とともに取り戻してみせる」

大井「あなたたちの望みを、絶対に果たすから…!」

大井「必ず…!」

レッド「…ありがとう、大井さん」

レッド「安心して、任せられるね」

グリーン「じゃあね、大井さん」

イエロー「ずっと言いそびれてましたけど…あなたと過ごした日々、とても楽しかったです」

ブルー「うっかりこっちに来るんじゃないわよ」

大井「…みんな」

レッド「…」

大井「…また、会える…?」

レッド「さあ、わかんない」

レッド「今回来れたのも、奇跡みたいなものだから」

大井「…そう」

レッド「…でも、大丈夫だよ」

大井「え?」

レッド「たとえ会えなくても…あなたは一人じゃない」

レッド「だって…」

──────────

──────

───

大井「っ!!」ガバッ

大井「…」

大井(…やっぱり、夢、だったのね…)

大井「…」

北上「…あ、大井っちおはよー…」ムクリ

大井「…」

北上「…大井っち?」

北上「うわっ、どうしたの!?なんで泣いてんの!?」

大井「だ、大丈夫ですよ…何でもないですから」グスッ

北上「…悲しい夢でも見たの?」

大井「…」

大井「…ふふっ」

大井「違いますよ…」

大井「…とっても、素敵な夢です」




「あなたには私たちの他にも、素敵な仲間がたくさんいるから」



おまけその3 「熱演!リアルおままごと!」


白雪「うーん…」

吹雪「白雪ちゃん?どうしたの?」

白雪「あ、吹雪ちゃん…実は、脱衣所にこれが…」スッ

吹雪「…え、なにこれ」

白雪「忘れ物だと思う。五月雨ちゃんのじゃないかな?」

吹雪「あー、そうだね」

白雪「それで、五月雨ちゃんに渡そうと思うんだけど…どこにいるか知らない?」

吹雪「ああ、それなら私が渡しておくよ。今から会うから」

白雪「そうなの?じゃあお願いね」

とある一室


吹雪「ごめん、遅れちゃった」ガチャッ

漣「もー、遅いよ吹雪ちゃん!」

吹雪「いやー、ごめんね」

漣「本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいなら、どこであろうと…」

叢雲「あんたもさっき来たばかりでしょうが」

電「自分で呼び出しておいて遅れてきたのです」

吹雪「…」

漣「…サーセン」

五月雨「えっと…それで、何するの?」

漣「ああ、リアルおままごとですヨ」

四人「…」

四人「…は?」

漣「だから、リアルおままごとだって」

電「それって、この間言ってた…」

漣「そそ。吹雪ちゃんがストーカーの奴」

吹雪「え、あれやるの!?」

漣「というわけで、これ台本ねー」スッ

叢雲「またくだらないことを…」

吹雪「このやる気を別のところで出してくれないかな…」

漣「ああん?無理に決まってんだろ!」

電「威張っていうことじゃないのです」

五月雨「…本当にやるの?これ」ペラッ

漣「当たり前じゃん。この日のために漣は不眠不休で台本を書き、どうやってみんなを辱めようか考え…」

叢雲「…帰ろうかしら」

漣「ああ!待って!嘘!嘘だから!」グイッ

三十分後

漣「じゃあみんな台本覚えたー?」

電「はい、一応…」

叢雲「もう、嫌な予感しかしないわ…」

五月雨「大丈夫かな、これ…」

吹雪「…」

漣「じゃあ最初のシーンから!よーい…」

漣「アクション!」カッ

電「五月雨お母さん…お腹すいたのです」

五月雨「よしよし…待っててね」

五月雨「もうすぐ叢雲お母さんが帰ってくるはずよ。そうすればきっと…」

バタンッ

叢雲「…帰ったわよ」

五月雨「あなた!帰って来たのね…」

電「叢雲お母さん!おかえりなさいなのです!」

叢雲「…ふん」

五月雨「それで…仕事はうまくいったの?」

叢雲「仕事?何のことかしら」

五月雨「え…?」

五月雨「あなた、ケバブ屋を開くって出ていったじゃない!」

五月雨「なけなしの全財産…諭吉一枚を元手にって!」

叢雲「ふん…そんなの嘘に決まってるじゃない」

叢雲「諭吉一枚でケバブ屋なんて開けるわけないでしょ」

五月雨「そ、そんな…!じゃあお金は…」

叢雲「パチンコでスったわよ」

五月雨「…えっ」

五月雨「そんな…そんなこと…!」

叢雲「…ふん」

電「叢雲お母さん…ご飯まだなのです?」

叢雲「…やかましいわね!」ドンッ

電「ひゃあっ!?」

五月雨「やめて!電は…電はあなたの子供なのよ!?」

叢雲「なにが私の子供よ。こんなどうやって生まれたかもわからない子供、知らないわ」

電「うう…」

五月雨「…あなた!どうしてそこまで電を…」

叢雲「…うるさいわね」グイッ

五月雨「!?」


ズギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!


電「や、やった!」

叢雲「…」

五月雨「んっ…んんっ…///」

電「さすが叢雲お母さん!電たちにできないことを平然とやってのける!そこに痺れるあこがれるゥ!」

叢雲「…ぷはっ」

叢雲「…私には、あんただけがいればいいのよ」

五月雨「あなた…///」


「…ふひひっ」

吹雪「ふひっ…五月雨ちゃぁん…ぺーろぺろぺろ…」

吹雪「叢雲ちゃんに強引にキスされる五月雨ちゃんかわいいよぉ…ふひひっ」

吹雪「ああ、あのきれいな青色ロングヘア―をモフモフしたいなぁ…」

吹雪「…でも、君は叢雲ちゃんのものだからね」

吹雪「私だけのものにしたいけど、それは…」

ピピピッ

吹雪「…もしもし」

『ククク…吹雪さん』

吹雪「!!その声は…!」

『例の場所に来てください…』

吹雪「…わかりました」

吹雪「…」キョロキョロ

漣「こっちですよぉ…吹雪さん」

吹雪「漣さん…呼んでくれたということは…!」

漣「ええ。こちら…用意できております」スッ

吹雪「おお…!」

吹雪「い、いくら!いくら出せばいいんですか!」

漣「えっと、五枚ですから…十万ですね」

吹雪「十万…これでちょうどです!」スッ

漣「ククク、毎度…」

吹雪「ああ、五月雨ちゃぁん…写真でもかわいいよぉ…」

吹雪「バナナの皮でこける五月雨ちゃんもすごくいいよ…ふひひっ」

漣「…やはり、随分その女性が気に入ってるようですね」

吹雪「ええ…もちろんです」

漣「…自分のものにしたいとは、思わないのですか?」

吹雪「…」

吹雪「…それはできません」

吹雪「彼女にはすでに、叢雲ちゃんというパートナーがいます」

吹雪「私に付け入る隙はありません…」

吹雪「大丈夫です。私はこうして、遠くから見ているだけで十分ですから…」

漣「…ふむ」

漣「では、もしも…」

漣「…確実に、彼女をあなたのものにする方法がある、といったらどうしますか?」

吹雪「!?」

吹雪「そ、それはどういうことですか!?」

漣「そのままの意味ですよ…我々の力をもってすればそんなことたやすいです」

漣「彼女を、あなただけのものにします」

吹雪「でも、私は…」

漣「…彼女の青色ロングヘア―を、モフモフしたくはないのですか」

吹雪「!」

漣「彼女のきれいな肌を、直接ぺろぺろしたくはないのですか」

漣「彼女の唇を…奪ってみたくはないのですか…?」

吹雪「…!」ゴクリ

漣「…しかし、この話に乗るとなれば、ある程度の対価は払っていただきます」

吹雪「対価…?」

漣「ええ。大丈夫、臓器を売ったりしろなんて言いません。麻薬の運び屋をやれとも言いません」

漣「少しだけ、私の言うことを聞いてもらうだけです…」

吹雪「…」

吹雪「五月雨ちゃん…」

吹雪「…わかりました」

吹雪「お願いします…!」

漣「ククク、了解です」

漣「では早速、言うことを聞いてもらいましょうか」

吹雪「はい…」

漣「じゃあ…入ってきてください」

ガチャッ

提督「…」

吹雪「この方は…?」

漣「…あなたはこれから、この男性と寝ていただきます」

吹雪「!?」

吹雪「そ、そんな…!」

漣「おや、嫌ですか?」

漣「悪い話ではないと思いますがねぇ。この男性と寝て、その様子をビデオに撮られて売りさばかれる。それだけですよ?」

漣「それだけで、彼女はあなただけのものになります」

吹雪「でも、五月雨ちゃん以外の人と寝るなんて…!」

漣「…嫌なら、断っていただいても結構」

漣「しかしそうなれば、もうあなたとは取引いたしません」

吹雪「!!」

漣「さあ、どうしますか…?」

漣「一回…たった一回我慢すれば、あなたの望みは叶います」

漣「それだけですよ…?」

吹雪「うっ…」

漣「さあ、あなたからも何か言って…」

提督「…」スタスタ

漣「…ん?」

ポカッ

漣「あいたぁっ!?」

漣「ちょっとー!何のつもりですかご主人様ー!」

提督「そりゃこっちのセリフだ!呼ばれてきてみれば何だこのありさまは!」

漣「えー、ちょっと遊ぶだけって言ったじゃないですか」

提督「意味わからん遊びをするとは聞いてない!」

叢雲「…思った以上にひどいことになったわね」

電「何とも言い難いのです」

五月雨「あ、あはは…」

吹雪「漣ちゃん!やっぱり私の扱いおかしいよこれ!」

漣「えぇー?はまり役だったじゃーん」

叢雲「びっくりするほど熱演してたわね」

電「変態じみてたのです」

五月雨「実際ドン引きだったよ」

吹雪「えぇ!?」

提督「ふむ、吹雪が五月雨のストーカー役、か…」ペラッ

提督「そんなやつとは思わなかったよ…」

吹雪「司令官まで!?」

吹雪「というか私以外にも突っ込みどころありまくりだよ!キスシーンとかあったし!」

叢雲「ああ、あれ効果音だけよ」

五月雨「うん。さすがに本当にするわけにはいかないし…」

吹雪「…ああ、そう」

電「吹雪さんの言う通り突っ込みどころは多かったですが、一番の突っ込みどころは吹雪さんがはまり役だったってところだと思うのです」

漣「漣の目に狂いはなかった!」

五月雨「演技ってわかってても怖かったよ…」

叢雲「ちょっと。五月雨怖がらせてんじゃないわよ」

吹雪「え、私のせい!?」

叢雲「それにしてもあのはまりよう…」

叢雲「あんた、本当に五月雨のストーカーなんじゃないでしょうね」

吹雪「そんなわけないよ!」

吹雪「うう、妹にストーカー疑惑をかけられる日が来るなんて…」

提督「叢雲。少し言いすぎじゃないか?」

叢雲「む、そうかもね」

五月雨「まあ、吹雪ちゃんがストーカーなわけないよ。いくらなんでも」

漣「所詮漣が考えた空想なのですよ!フゥーッハッハッハ!」

電「元凶がなんか言ってるのです」

叢雲「ごめんなさいね吹雪。言い過ぎたわ」

吹雪「うん、大丈夫。別に私は気にして…」



ピラッ



一同「…ん?」

吹雪の懐から、一枚のパンツが落ちた

吹雪(あれ、パンツ?どうして…)

吹雪(…ああ、そうだ。さっき白雪ちゃんから預かって…)

吹雪(そうそう。五月雨ちゃんに渡さないといけないんだった)

吹雪(よかった、思い出して…)

吹雪「五月雨ちゃ…」


五人「…」ジトッ

吹雪「…えっ」

叢雲「…吹雪」

五月雨「…それ、私のパンツ…だよね?」

吹雪「え?そうだけど…」

電「…どうして、持ってるのです?」

吹雪「えっと、これは…」

吹雪(…何?みんなの視線がおかしい…)

吹雪(なんか距離とってるし…)

吹雪(…ん?五月雨ちゃんのパンツ…)

吹雪(…はっ!)

吹雪「ちちち違うよみんな!別にこれは」

叢雲「そこを動くなぁー!!!」ブンッ

吹雪「ひぃっ!?槍はやめて!!」

電「五月雨さん、今のうちに逃げるのです!」

漣「瓢箪から駒、とはこういうことか…」

吹雪「違うよみんな!誤解だよ!」

吹雪「司令官!何とか言って…」

提督「…」サッ

吹雪「なんで目そらすんですか!?」

叢雲「こんなのが、私の姉なんて…!」

電「お気持ち、お察しするのです…」

漣「つらいよね、叢雲ちゃん…」

漣「でも一番つらいのは、五月雨ちゃんなんだよ」

叢雲「そうね…つらいわよね、五月雨」

叢雲「信頼してきた仲間が、自分のストーカーだったなんて…」

五月雨「…」

吹雪「さ、五月雨ちゃん…!」

吹雪「お願い、私の話を…!」

五月雨「…」

吹雪「…!」





五月雨「変態」

バタンッ

吹雪「…」

吹雪「そ、そんな…」

吹雪「私は…」


吹雪「私は無実だぁーーーー!!!!!!」


この後白雪の説明を受けて、誤解は無事に解けた

吹雪以外の五人はしばらく吹雪に優しくなった


分裂してる…

今日はここまで。次は多分日曜日
おまけのネタになりそうなものがもしもあったらどうぞ

やっぱりストーカーだったか…

明石・夕張の五人を無視して暴走気味に進む新装備開発話とか?

ショキカンジャー艦隊通常出撃

変形合体ロボ・完全版をせこせこ作る明石たち

次は歴代戦隊のレンジャーキーを集めなきゃな

使えば46砲とか瑞雲とか烈風使えるようになるんだろうか>>レジェンドレンジャーキー

ディズでニーな映画みたいにNGシーンを見てみたい

おまけその4 「復活!ショキカンオー!」


明石「うーん…」

夕張「明石さん、どうかしたんですか?」

明石「ああ、夕張ちゃんちょうどいいところに」

明石「実はさ、ショキカンオーのことなんだけど…」

夕張「ショキカンオー?」

明石「あれ、忘れちゃった?ほら、ショキカンジャーの…」

夕張「いや、覚えてますよ。あの巨大ロボですよね?」

夕張「確か、一回使ったら駄目になっちゃったんでしたよね」

明石「うん。まあ一回でも役立ってくれたからいいんだけど…」

明石「あれをどうしようか悩んでてさ…」

夕張「え、どうするって…」

明石「いや、大本営と提督が好きにしろって…」

明石「じゃあどうしようかなって思ったけど、もう戦いは終わってるじゃん?」

明石「つまり残しておく必要はないわけだけど…」

明石「かと言って解体するのももったいない」

明石「それで何かうまく活用できないかと思って」

夕張「有効活用、ですか…」


夕張「無理ですね」

明石「だよねー」

明石「じゃあもったいないけど解体かなー」

夕張「それをすてるなんてとんでもない!」

明石「え?」

夕張「明石さん…あれはただのロボットではないんですよ?」

明石「ただのロボットじゃない…?」

明石「…どういうこと?」

夕張「あれは…ショキカンジャーの巨大ロボ、ショキカンオー…」

夕張「戦隊ヒーローのロボットなんですよ」

夕張「つまり、あのロボットには!」

夕張「子供たちの夢と希望が詰まってるんです…!」

明石「!!」ガーン

夕張「それを…それを簡単に解体するなんて!」

夕張「私にはできません…!」

明石「そうか…そうだよね」

明石「ごめん、夕張ちゃん…私が間違ってた!」

夕張「わかってくれればいいんです…」

明石「そうだ…子供たちの夢と希望を壊すことなんてできない!」

夕張「そうです!守りましょう、夢と希望を!」

二人「オー!!」

明石「でも、実際どうしようか…」

夕張「壊れてる部分は修理するとして…全体的な補強が必要そうですね」

明石「でもそれだけだとつまらないじゃん?せっかくのロボットだし、もっと何か工夫を…」

夕張「そうですねぇ…あの時は時間がなかったから、あんまりいじれませんでしたもんね」

明石「じゃあどう改造しようか?」

夕張「ふふ、私にいい考えがあります」

数か月後


明石「ふふふ…よく来てくれたね、みんな!」

吹雪「お二人とも、私たちに見せたいものって何ですか?」

夕張「今から見せてあげるわ」

夕張「ショキブレスは持って来たよね?」

叢雲「ええ。言われたから持って来たけど…」

漣「何が始まるんです?」

明石「ふふ…では、とくとご覧あれ!」ポチッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

五月雨「な、何!?この音!?」

電「地面も揺れてるのです…地震なのです!?」

明石「さあ、あちらをご覧あれー!」

吹雪「…ええ!?」

叢雲「何、あれ…」

明石が指さした方を見ると、海が割れていた!

漣「モーゼかよぉ!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

夕張「驚くのはまだ早いよ!」

明石「お楽しみは、これからだ!」

吹雪「お楽しみって?」

明石「ああ!」

叢雲「そういうのいいから」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

電「…何か、出てきてるのです?」

五月雨「…五隻の、船?」

叢雲「しかも赤、黒、ピンク、黄色、青の五色…」

吹雪「これって、まさか…」

明石「ふふふ…その通り!」

明石「これはショキカンジャー専用マシン!そしてなんとぉ!」

明石「合体してロボットに変形するのだぁー!!!」

漣「な、なんだってー!?」

叢雲「結局作っちゃったのね、合体ロボ」

吹雪「あのー、もう戦い終わったんですけど…」

明石「いいじゃん!ロマンだよ、ロ・マ・ン!」

漣「ロマンなら仕方ないな」

電「えぇ…」

五月雨「えっと…大きな赤い船と、それより一回り小さい四隻の船、ですか…」

夕張「そうそう。装備もそれぞれ違うよー」

明石「とりあえず変身して乗った乗ったー!」

吹雪「うわぁ、この船大きい…」

明石『レッド専用機だからねー』

夕張『まあ単純に、合体した時にそれが胴体と頭になるからそうなったんだけどね』

叢雲「私たちが船に乗るって、新鮮ね」

漣「普段は必要ないからねぇ」

電「それで…どうしたらいいのです?」

明石『ああ、運転は適当に舵回したりスイッチ押したりレバー引いたらできるよ』

吹雪「雑!」

夕張『スイッチの中には攻撃用のスイッチもあるから気を付けてねー』

夕張『こんなところで砲撃したりしたら大変だよー』



五月雨「…え?」

夕張『…え?』

一同「…」

五月雨「…あ、押したのスイッチじゃなくてただの模様だった」

吹雪「えぇ…」

叢雲「まさかの二重ドジ…」

漣「ふん、面白くもない!」

電「…そんなこと言ってると、いつか痛い目見るのです」

夕張『ま、まあ、何ともなかったんならよかった』

明石『本当は武器の試し撃ちとかしてもらいたいけど、そっちにはあんまり力入れてないから』

明石『早速合体してもらおう!』

漣「ヨッシャー!キタコレ!」

吹雪「えっと、どうすれば?」

夕張『全員、操縦席の右の方に大きなレバーがあるでしょ?それを同時に引いて』

夕張『それでその時、「駆逐合体!」って叫んでね』

叢雲「叫ばないとダメ?」

夕張「駄目です」

吹雪「えっと…みんな、準備はいい?」

叢雲「ええ、いいけれど」

漣「いつでもいいですヨー」

電「問題ないのです」

五月雨「うん。大丈夫だよ」

吹雪「よし、それじゃ…」


吹雪「せー、のっ!」グイッ

五人「駆逐合体!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ヒュォォォォォォォォォォ

五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!

ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!


五人「完成!ショキカンオー!!」

明石「きたあああああああああああ!!!!」

夕張「やりました、やりましたよ明石さん!!」

明石「よかった…よかったよぉ、夕張ちゃぁん!!」

二人「ひゃっはあああああああああああああああああ!!!」


吹雪「…なんか、すごく盛り上がってるね」

漣「それほどこれがやりたかったんでしょうな」

夕張『五人とも、コックピットとかに異常はなさそう?』

五月雨「はい、一応…」

明石『よかった、成功したみたいだね』

明石『うん。ちゃんと赤が胴体と頭、黒が右脚、ピンクが左脚』

明石『青が左腕、黄色が右腕になってるね』

電「本当に合体したんですね…」

叢雲「完全に謎技術ね…」

漣「明石さん明石さん」

明石『はいはい』

漣「合体したはいいけど、他に何か変わってないの?」

明石『お、よくぞ聞いてくれました!』

明石『何とそのショキカンオー…』

明石『ギガデストロイキャノンの他に、装備を追加しましたぁー!』

夕張『オゥイエー!!』

電「ぐ、具体的には?」

明石『まず、剣が使えるようになったよ』

五月雨「前は殴るだけでしたもんね」

漣「うーむ、やっぱり戦隊のロボは剣くらい使えないとね」

明石『そうそう。使ってみるんなら、大きい青いボタンがあると思うから、それ押してね』

吹雪「これですか?」ポチッ

ゴゴゴゴ…

ブォンッ

五人「…!?」

明石『おー、出た出た!』

夕張『これも見事成功!やったー!』

吹雪「け、剣が出てきた…」

叢雲「出てきた、けど…」

五月雨「…あの、明石さん?」

明石『はい?』

電「これ…」


明石『ビームサーベルだよ?』

五人「…」

漣「あのー、作品違いませんか?」

明石『何を言う!強いじゃんか、ビームサーベル!』

夕張『そーよそーよ!』

叢雲「でも、戦隊ロボの剣ってもっと…」

明石『えぇー?別に悪いわけじゃないでしょ?ビームサーベル』

吹雪「そりゃあ、使えるんなら問題ないですけど…」

電「ほ、他には何か?」

明石『うん、まだあるよ!』

明石『赤い大きなボタンを押してごらん!』

吹雪「これですか…?」ポチッ

ブィィィィィィィィィィン

ガッシィィィィィィィィィン!!

ショキカンオーの胸のあたりに、Vの字に似た形のパーツが現れた!

五人「…!?」

叢雲「…何これ」

明石『ギガデストロイキャノンの他にも、必殺技を使えるようにしました!』

明石『摂氏三万度の熱光線を発射する技…』

明石『その名も…ブレストファイヤー!!』

漣「パクリじゃねーか!」

五月雨「また作品違うんじゃないですか…?」

夕張『かっこいいよ、ブレストファイヤー』

五月雨「そうかもしれませんけど…」

明石『もう一回赤いボタン押したら撃てるよ。今は押さないでね』

吹雪「はぁ…」

叢雲「…ボタン、あと三つあるわね」

電「あと三つ何かあるってことなのです?」

明石『その通り!!』

明石『さあさあ、黒いボタンを押し押した!』

吹雪「はい…」ポチッ

グィィィィィィィィィィィン

ガッシィィィィィィィィィン!!

ショキカンオーの右腕がドリルになった!

吹雪「何で!?」

夕張『殴ったり剣で切ったりするだけだと芸がないでしょ?』

明石『ドリルはロマンだよ!ロ・マ・ン!!』

漣「…もしかして、もう一回ボタン押すと必殺技撃てちゃう?」

明石『お、よくわかったね!』

明石『ドリルを巨大化させて一撃をくらわす…ギガドリルブレイクが撃てるよ!!』

漣「やっぱりな!!」

叢雲「じゃあ…黄色いボタンは?」

明石『ああ、それは押さないでね』

電「これも必殺技なのです?」

明石『うん。それは一回押すだけで発動しちゃうから』

夕張『でも、相手をロックオンして、なおかつ相手が動いてないときにしか使えないですよ』

明石『ああ、そういえばそうだった。でも念のため押さないでね』

五月雨「ちなみにどんな技なんですか…?」

明石『両手を頭上で合わせてカッターに変形…そして、自身を高速回転させて相手に突撃!!』

明石『その名も、超電磁スピン!!』

叢雲「…」

明石『じゃあ、最後のピンクのボタン!押してみて!』

吹雪「…」ポチッ



ショキカンオー「マ゛」



明石『ショキカンオーが喋ります!!』

五人「…」

叢雲「…これだけ?」

明石『そのボタンはそれだけ!』

電「…気が抜けるのです」

五月雨「まあ、危ないものばかりよりはいいかな…」

漣「あのー、お二方」

夕張『はい?』

漣「詰め込みすぎじゃないですかね?」

明石『何を言う!私たちはただ、夢と希望とロマンを追い求めただけだ!!』

夕張『そーよそーよ!』

吹雪「えぇ…」

吹雪「まあ、実際戦力としてはかなり強いと思いますけど…」

五月雨「でも、さっきも言った通り戦いはもう終わって…」

明石『うん、まあ…そうなんだけどね』

夕張『作りたかっただけよ』

吹雪「いやあ、あの時これがなくてよかった…」

明石「えー、何で?超強いよ」

叢雲「使ったら被害もすごいでしょ、これ」

夕張「確かにギガデストロイキャノンもかなりギリギリだったからね」

漣「ブレストファイヤーは下手したら生態系壊れますよ」

電「本当に、よく作れましたね…こんなの」

五月雨「技術的にはかなりすごいんじゃ…」

明石「いやあ、それほどでもないよ」

夕張「我々の力をもってすればこんなもの!」

二人「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」

夕張「じゃあ五人とも、ありがとうね」

明石「片付けは私たちでやっておくからー」

吹雪「はい…」

漣「次は二号機ですねー」

明石「ああそうだ、二号機も作らないと!」

夕張「忙しくなりますねー!」

叢雲「…元気ね」

電「…」

電(いくら二人や妖精さんの技術がすごいといっても…)

電(技術を詰め込みすぎだと思うのです…)

電(これって…オーバーテクノロジーというものなのでは…?)

電(…ショキカンオー…)

電(…大丈夫、なのでしょうか…)

電(もしも使ったら、暴走したり…)

電(…考えすぎでしょうか)

ショキカンオー「…」

電(…あれ?)

電(今少し、動いたような…)



ショキカンオー「マ゛」



おまけその5 「海の上のショキカンジャー」


ディープマリンとの戦いが終わった直後


鎮守府近海

ザァァァァァァ…

吹雪「ふぅ…久々の艤装だよ」

電「二カ月程度ですけど…しばらく使っていないと感覚を忘れそうになりますね」

叢雲「うっかり転ぶんじゃないわよ、五月雨」

五月雨「転ばないよ!いくら私でも…」

漣「フラグ乙」

吹雪「長門さん、よかったんですか?私たちのリハビリについてきてもらって…」

五月雨「この辺りは私たちだけでも十分に戦えますけど…」

長門「まあ、何があるかわからんからな」

長門「いつものお前たちなら問題ないだろうが…状況が状況だ」

長門「見たところ、やはり感覚が完全には取り戻せていない…そんな状態ではいつ事故が起きるかわからない」

長門「この海では何が起こるかわからない。いざという時対応できる者が必要だろう」

叢雲「そうね…何かあったらお願いするわ」

長門「ああ、任せておけ」

ブォォォォォォォォォォォォォォ

長門「む、偵察機が…」

妖精「…!…!!」

長門「ふむ、そうか…」

電「どうだったのです?」

長門「ああ、この先に軽巡が一隻、駆逐艦が二隻の艦隊があるそうだ」

漣「ほほう。そのくらいならちょうどいいんじゃないですかね」

叢雲「ちゃちゃっとやっちゃいましょう」

吹雪「では、行ってきます。長門さんは少し離れた位置から見ていてください」

長門「ああ。何かあったらすぐに戻ってくるんだぞ」

五月雨「ありがとうございます。では!」

ザァァァァァァ…

長門「…」

長門(…あいつらなら、心配ないはずだが…)

長門(…何か、不安だな)

吹雪「へ級とイ級だけか…みんな、油断しないでね」

叢雲「ええ。大丈夫よ、すぐに沈めてやるわ」

漣「ヨッシャー!漣たちの力を見せてやるぅー!」

電「もうすぐ射程内に入るのです…気を付けるのです!」

五月雨「うん。みんな、準備はいいよね?」


長門「…」

長門(…いや、やはり心配いらないだろう)

長門(いくらしばらく出撃していなかったとはいえ、あいつらもかなりの練度だ。あのくらいなら…)

へ級・イ級「…」

吹雪「来る…!」

吹雪「じゃあみんな、いくよ!」

五人「オー!」チャキッ


長門「…ん?」

五人「変身!!」

デデッデデー デデッデデー デデー

シュィィィィン バァァァァァァン


へ級「!?」

イ級×2「!?」

長門「!?」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエ口ー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


長門「えええええええええええええええ!!!??」

へ級「…!?」

漣「オラオラァ!!」バシュバシュッ

ドガガガッ

イ級1「…!!」

イ級1「…」ドーン

漣「ハッハー!そんな攻撃は当たらんぞー!」

バシュバシュッ ドーンドーン

イ級1「…!」

叢雲「漣に気を取られすぎたわね!」ブォンッ

イ級1「!!」

イ級の背後に、すでに叢雲が近づいていた!!

ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!

イ級2「…!」ジャキン

別のイ級が、叢雲に魚雷を撃とうとしている

叢雲「!!」

イ級2「…」

電「えーいっ!!」ブォンッ

イ級2「!?」

ドゴォォォォォォォォッッッ!!

イ級2「…!!」ジャキン

電「遅いのです!!」

ドゴォォォォォォォォッッッ!!

イ級2「…!」

ザァァァァ…

電「逃げる気なのです!?」スッ

電「…海上では電撃は撃てないのです」

イ級2「…!」

へ級「…」

ザパァァァァァァァァ!!

イ級2「!?」

突然、イ級の進行方向に大きな水柱が現れた!!

イ級2「…!」グラッ

イ級はうまく進めず、動けないでいる!!

イ級2「…!」グラグラ

五月雨「やぁっ!!」シュバッ

イ級2「!!」

ズバァァァァァァァァァァァァァァ!!

ドカァァァァァァァァァン!!!

へ級「…!!」

へ級「…」ドーンドーン

五月雨「っ!!」シュバッ

へ級「…」ジャキン

へ級は砲を構えつつ、離脱しようとしている

叢雲「逃がすか!!」

へ級「!!」ドーン

叢雲「うわっ!!」シュバッ

叢雲「くっ…下手に近づけない」

五月雨「…だったら」

へ級「…」ザァァァ


ボォォォォォォォォォォォォ!!

へ級「!?」

突然、炎がへ級を襲った!!

ボォォォォォォォォォォォォ!!

へ級「…!?…!?」

シュバッ

へ級「…!!」

吹雪「はあああああああああああああ!!!」

炎の中から、吹雪が向かってきた!!

へ級「!!」ジャキン

吹雪「遅い!!」ボォォォォォォォ!!!


ズバァァァァァァァァァァァァァァ!!


へ級「…!!」

ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

吹雪「よーし、これで終わりだね」

叢雲「久しぶりだったけど、何とか勝てたわね」

漣「当然!だって我々はショキカンジャー!!」

電「…でも、これって…?」

五月雨「ついやっちゃったけど…違うよね?」


長門「…」ポカーン


ショキカンジャーのリハビリには、一週間を要した

艤装の扱い云々ではなく、戦い方の修正のために…


今日はここまで。次は来週の日曜日だと思います。次の更新で最後の予定です
今予定してるおまけは、

・新装備開発
・NGシーンっぽい何か
・その他二本くらい

作品中にわかりづらいシーンもあったかと思います。質問等も、もしもあったらどうぞ
あと、裏話って需要ありますか?大した話ではありませんが、需要があれば書きたいと思います

ショキカンオー制作秘話


裏話の需要は有る 凄く有る 超有る

ショキカンジャーになってからの駆逐艦達の反応知りたい
名実ともにみんなのヒーローになってそう

ショキカンオーって舵の真ん中に鍵刺すシリンダー付いて無いか?

>>504
ショキカンジャーごっことかしてたら楽しそう

須賀京太郎様に処女膜捧げる陛下ポジション

ポテトポジジション明石

黒崎一護ポジション亦野誠子さん

聖別は近代化回収

俺戦術的敗北D一回遠征ググらずに駆逐艦で出撃失敗演習中破絵集めで遣るも五回負けるまで中破絵図鑑に保存サレナイこときずかずに

負け1遠征1失敗演習誤解負け←之今年のイベントか来年のイベントで一部削除アイテム解放早よ

新スレ立てた

内容は

MATANO座ラスト

どうも、>>1です
すみません、>>502のショキカンオー制作秘話は、いい感じの話が思い浮かばなかったので、見送らせていただきます
申し訳ありません
では、最後の更新をしたいと思います

おまけその6 「新たな力!?カンムスチェンジ!」


工廠


吹雪「明石さん、夕張さん。来ましたけど…」

叢雲「今度は何なのよ」

明石「おー、よく来たね」

夕張「実は新しい装備を考えたんだけどさ」

電「…もう戦いが終わってることは完全無視するのです?」

明石「うん!そんなの関係ねぇ!」

夕張「で、作る前にあなたたちの意見を聞きたいと思って」

夕張「今から説明するから、とりあえず聞いて、感想や意見を言ってくれない?」

五月雨「はい…わかりました」

漣「一体何が始まるんです?」

明石「とっても愉快で豪快な装備の説明だよ!」

──────────

──────

───

怪人「ゲーッヘッヘ!この鎮守府は俺たちのものだぁ!」

戦闘員「イーッ!!」

ドカーン バコーン

ワーワー タスケテー

怪人「ゲーッヘッヘ!そのままやっちまえぇ!!」


吹雪「待ちなさい!!」ザンッ

電「これ以上あなたたちの好きにはさせないのです!」

五月雨「覚悟してください!!」

怪人「来たかショキカンジャー!返り討ちにしてやるぜ!」

戦闘員「イーッ!!」

叢雲「そう簡単にいくかしら?」

漣「振り切るぜ!」

吹雪「みんな、行くよ!」

五人「オー!!」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!!」


五人は鍵を携帯電話っぽい装備に差し込み、そのまま回した!

ジャキンッ!!


「ショーーーキカンジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

吹雪「ショキカンレッド!」

五月雨「ショキカンブルー!」

電「ショキカンイエロー!」

叢雲「ショキカンブラック!」

漣「ショキカンピンク!」


吹雪「駆逐戦隊!」

五人「ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァン!!!

吹雪「はぁっ!」ズバッ

叢雲「ふんっ!」ドガッ

漣「そいやっ!」バシュッ

電「えいっ!」ドゴォッ

五月雨「やぁっ!」ズバッ

戦闘員「イーッ!?」

ドゴォォォォォォォォン!!

怪人「おのれ…やるなショキカンジャー!」

怪人「だがまだだ!お前ら、かかれー!」

戦闘員「イーッ!!」ワラワラ

叢雲「チッ…埒が明かないわね」

電「だったら、これでいきましょう!」チャキッ

五月雨「うん、そうだね!」

漣「振り切るぜ!」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「ケーーーイジュンジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

怪人「何ぃ!?姿が変わった!?」

戦闘員「イーッ!!」ワラワラ

吹雪「漣ちゃん、ケイジュンジャーハリケーンだ!」

漣「OK!」ズドン

漣はラグビーボールのような形の爆弾を取り出した!

吹雪「ケイジュンジャーハリケーン・爆雷!!」

吹雪「アタック!!」

漣「ほいっ、電ちゃん!」ヒュンッ

電「はい!」パシッ

電「叢雲さん!」ヒュンッ

叢雲「よっと!」パシッ

叢雲「五月雨!」ヒュンッ

五月雨「うん!」パシッ

爆弾を次々と投げ渡していく!

五月雨「吹雪ちゃん!」スッ

吹雪「OK!」ダダッ

五月雨は爆弾を地面にセットし、吹雪はそれをめがけて走っていく!

吹雪「はああああああ!!」ダダッ

吹雪「エンドボール!!」

吹雪は爆弾を、そのまま蹴り飛ばした!!

ドゴォォォォォォォォッッッ!!

戦闘員「イーッ!?」

戦闘員「…」

戦闘員「イー…?」

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…

しかし爆弾は、戦闘員や怪人めがけてではなく、空高く飛んで行った

戦闘員「イー…」

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

戦闘員「…イー!?」

しかしその直後、空から大量の爆雷が戦闘員たちめがけて降ってきた!

戦闘員「イーッ!?」


ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


戦闘員「イーッ!!」

怪人「なんということだ…」

怪人「だが、まだまだ戦闘員はいるぞ!」

戦闘員「イーッ!」ワラワラ

叢雲「ふん、数だけは多いわね」

五月雨「だったら次はこれだね」チャキッ

漣「振り切るぜ!」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「ジューーーウジュンジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

戦闘員「イーッ!」ワラワラ

五人「夜戦戦法・闇の舞!!」

モワァァァァァァァ…

戦闘員「イーッ!?」

怪人「な、なんだこれは!?」

怪人と戦闘員たちのあたり一面が闇に包まれた!

怪人「ぐ…これでは奴らがどこにいるのかわからな…」

ドガッ

怪人「ぐあっ!?」

バキッ ドゴッ

戦闘員「イーッ!?」

怪人「や、闇に紛れて攻撃だとぉ!?」

ドガッ

怪人「ぐああっ…!」

怪人「ぐっ…おのれぇ!」

ピカァァァァァァァァ…

怪人「…!?」

怪人は闇の中で、突如強い光に照らされた!


叢雲「探照灯照射…」

叢雲「突撃ぃ!!」

五人「はああああああああああああああああ!!!」

ドゴォォォォォォォォッッッ!!!

怪人「ぐああああああああああああああああああ!!!!」

怪人「ま、まずい…あれだけいた戦闘員もみんなやられてしまった…」フラッ

吹雪「さあ、残るはあなただけです!」

叢雲「ダメ押し、いってみる?」チャキッ

怪人「ぐっ…これ以上は…!」

漣「振り切…」

五月雨「もうそれいいから」

漣「アッハイ」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「ラーーーイジュンジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

電「そー、れっ!」ズドン

巨大な魚雷発射管が現れた!

五人は全員で発射管を持ち、発射管は怪人の方を向いている!

怪人「な、何をする気だ!?」

ゴトッ! ガチャッ グイッ

ガシャンッ!


吹雪「スーパー魚雷バズーカ!」

五人「ファイヤー―――!!!!」


ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!


怪人「ぐ、ぐああああああああああああ!!!!!」

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…

漣「やったか!?」

叢雲「なんでフラグ立てるのよ」

モクモクモク…

吹雪「…!」

土煙が晴れると、そこに怪人の姿はなかった!

五月雨「い、居ない!?」

漣「粉微塵になって吹き飛んだか?」

電「違うと思うのです…」

五月雨「!!みんな、あれ!」バッ

四人「!!」


女幹部「ふふふ…間一髪だったわね」

怪人「すまねぇ、助かったぜ…」

新たに現れた女幹部が、怪人を連れて遠くへ逃げていた!

女幹部「ここは退却するわ。飛行船に乗って離脱するわよ」

怪人「おう…」

ゴォォォォォォォォォォォ…

女幹部たちの上空に、小型の飛行船が現れた!


叢雲「奴ら…あれに乗って逃げる気ね!」

吹雪「そうはさせない!!」ダダッ

戦闘員「イーッ!」ワラワラ

電「戦闘員!?全部倒したはずじゃ…!」

漣「残念だったな、トリックだよ」

戦闘員「イーッ!」

五月雨「追うのは後!先にこっちを片付けよう!」

吹雪「だね!」チャキッ

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「スーーーイボマン!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

吹雪「はぁっ!!」バキューンバキューン

叢雲「ほらほらっ!」ドーンドーン

戦闘員「イーッ!!」ワラワラ

吹雪「くっ…やっぱり普通に戦ったんじゃ時間がかかる…」

叢雲「漣、準備できた!?」

漣「ほいさっさー!!」

漣「さあ、振り切…」

漣「…お前らの罪を数えろ!!」ズドンッ

突然、大発動艇のような小型船が現れた!!

戦闘員「イーッ!?」

漣「さあ、全員乗りたまえー!!」

ヒュォォォォォォォォォォ!!

戦闘員たちが、次々と船に吸い寄せられ、乗り込んでいく!

戦闘員「イーッ!?」

戦闘員「イーッ…イーッ…」ジタバタ

漣「ふん、もがいても無駄だよ!」

漣「じゃあ電ちゃん、あとよろしく」

電「はいなのです!」ジャキンッ

戦闘員「イーッ!?」


電「甲標的キャノン、発射!!」

ズドォォォォォォォン!!!!


戦闘員「イーッ!!!!」

吹雪「これで全部?」

ブォォォォォォ…

五月雨「…いや、今偵察したけど、まだ遠くに少しいる」

叢雲「遠く…距離は?」

五月雨「200…かな」

吹雪「そのくらいなら、これですぐ片づけられるかな」チャキッ

電「なのです!」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「セーーーンスイジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

戦闘員A「イー…(おい、ちゃんと狙えるか?)」

戦闘員B「イー(もう少し近づかないと無理だな)」

戦闘員C「イー(あまり近づきすぎるなよ。バレちまうぜ)」

戦闘員B「イー(大丈夫だろう。もう少しくらい…)」

バキュンッ

戦闘員B「イーッ!?」ドサッ

戦闘員A「イーッ!!(狙撃!?馬鹿な!)」

戦闘員D「イー…!?(こちらの動きがバレた…!?)」

戦闘員C「イー!?(他の隊は!?)」バッ


バキュンッ バキュンッ イーッ


戦闘員D「イー…(駄目だ…完全にやられちまってる)」

バキュンッ

戦闘員C「イーッ!?」ドサッ

戦闘員A「イー!!(C!!くそっ…)」

戦闘員D「イー!!(一旦逃げるぞ!!体勢を立て直して、改めて攻撃だ!)」

戦闘員A「イー…(ああ…)」スッ


五月雨「残念ですが、逃げられませんよ?」

戦闘員A・D「イーッ!?」

戦闘員A「イー…!?(い、いつの間に!?)」

戦闘員D「イー!!(音もなく近づいて…!)」

五月雨「…潜水艦ですから」


ドゴォォォォォォォォッッッ!!!!


戦闘員A・D「イーッ!!!!」

吹雪「今度こそ大丈夫かな?」

叢雲「ええ、もういないみたい」

電「じゃあ、早く飛行船を追いかけるのです!」

漣「でも、その前に…」チャキッ

五月雨「ああ、そうだね…」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「コーーーウクウファーイブ!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!


五人「瑞雲、発艦!!」

ブォォォォォォォォォォォォォォン!!!

怪人「…奴らは、追ってきてないな」

女幹部「足止めの戦闘員が効いたのかしらね」

女幹部「どちらにしろ、空を飛んでいる飛行船を追いかけられるはずがないわ」

怪人「そうだな…」


ブォォォォォォォォォォォォォォ…


女幹部「…?何の音」

ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

二人「うわああああああああああああああああ!!?」

グラグラ

怪人「ひ、飛行船が揺れてやがる!!」

女幹部「一体何があったというの!?」

戦闘員「イーッ!!(船体後方に、爆撃を受けました!!)」

女幹部「爆撃!?そんなまさか…!」

怪人「奴らの仕業か!?」

女幹部「何か接近してきたの?」

戦闘員「イー(小型の水上機のようなものが飛んできました)」

戦闘員「イー(爆撃はそれによるものだと思われます)」

怪人「ならばすぐに迎撃だ!!」

女幹部「いえ、さっさと逃げてしまったほうが良いわ」

女幹部「全力で逃げなさい!早くアジトに帰るのよ!」

戦闘員「イー!!(了解です!!)」

ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

女幹部「きゃあああああああああ!?」

怪人「また爆撃か!?」

女幹部「いや、今の感じは…!」

戦闘員「イー!(報告します!奴らが…)」

戦闘員「イー!!(奴らが、この飛行船まで乗り込んできました!!)」

怪人「な、何ぃ!?」

女幹部「まさか奴ら…空を飛んで来たというの!?」


叢雲「そのまさかよ」ニヤリ

女幹部「ホッ!いつの間に!」バッ


「クーーーウボマン!!!」

戦闘員「イーッ!!」バッ

叢雲「ふんっ!」ドガッ

漣「せいっ!」バキッ

戦闘員「イーッ!!」

ドコッ ズシャッ

女幹部「まさかここまで来るなんて…!」

怪人「こうなりゃ正面から戦うしかねぇぜ!」ググッ

女幹部「…いや、まだよ!」

女幹部「操縦室まで来なさい!早く!」ダダッ

怪人「お、おう…」ダダッ

電「!!逃げたのです!」

吹雪「追うよ、みんな!」ダダッ

女幹部「よし、あなたはそのまま操縦してて!」

戦闘員「イーッ!」ビシッ

怪人「おい!どうする気だ!?」

女幹部「まずはこれよ!」ポチッ

ピッ ピッ

スイッチの近くにあったタイマーが起動した!

怪人「な、何だ…!?」

五月雨「あ、いた!」ダダッ

漣「追い詰めたぞオラー!!」ダダッ

女幹部「!!もう来た…!」

女幹部「だったらこれよ!」ポチッ

ガシャンッ!!

五人「!!」

操縦席の入り口に、分厚い壁が現れた!

叢雲「何よこれ…!」

五月雨「…ダメだ、簡単には壊せそうもないね」ゴンゴン

女幹部「フフフ、成功ね!」

怪人「なあ…一体何をしたんだ?」

女幹部「一番目に押したスイッチは自爆スイッチよ。このタイマーが0になったとき、この飛行船が粉微塵に吹き飛ぶわ」

女幹部「でも、この操縦席だけは安全。爆発する寸前に脱出ポッドとなって飛び出すわ」

女幹部「そして、二番目に押したスイッチは、特殊金属でできた防壁を展開するスイッチ。簡単には壊せないわ」

怪人「つまり、こうやって防壁で時間稼ぎをすれば…」

女幹部「私たちは無事に脱出できて、奴らは爆発に巻き込まれるってわけよ」

電「な、なんだかよくわかりませんが、このままだと危ない気がするのです!」

叢雲「そうね。さっさと片を付けないと…」

吹雪「…簡単に壊せないなら!」チャキッ

五月雨「うん、これしかない!」

漣「振り切るぜ!いや、振り切らせてください!」

チャキッ

五人「カンムスチェンジ!」

ジャキンッ!!


「セーーーンカンジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

吹雪「そして!」

五人は自分の拳を突き合わせ、こすり合わせた!

ガキンガキィン!

すると五人の拳に、頑丈な鉄拳が装着された!

吹雪「さあ、いっくよー!!」

ドゴォ!!

女幹部「!?」

ドゴォ!! ドゴォ!!

怪人「お、おい!この壁、大丈夫なのか!?」

女幹部「だ、大丈夫よ!我らの科学力を結集させて作った特殊金属だもの!」

怪人「で、でも…へこんできてるぜ!?」

ドゴォ! ドゴォ!


五人「46砲パンチ!!」

ドゴォォォォォォォォッッッ!!!!

怪人「な、何ぃ…!?」

女幹部「そんなバカな…!」


「ショーーーキカンジャー!!!」


シュィィィィィィン バァァァァァァァン!!!

吹雪「さあ、これで終わりです!」

漣「派手にいくぜ!!」

シュインシュインシュインシュイン

五人の武器に、エネルギーがたまっていく!


「ファーーーイナルウェイーーーーブ!!!!」


五人「はああああああああ!!!!」ブォンッ!!

五人は武器から、たまったエネルギーを放出した!!

ビュォォォォォォォォォォォォォォッ!!!


怪人・女幹部「うわああああああああああああああああああ!!!!!!!」


ドカァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!

五月雨「…勝ったね」

叢雲「ええ…」

漣「うむ」

電「なのです」

吹雪「…でも」


吹雪「私たちの戦いは、これからだ!」

五人「オー!」

──────────

──────

───

明石「――――っていう装備なんだけど、どうかな!?」


五人「どうって言われても…」


新装備の開発はとりあえず見送りになった

しかし…もしも、またショキカンジャーが戦う時が来たのならば…

その時は、この装備の出番なのかもしれない…


おまけその7 「ショキカンジャーの新たな困難」


これは、ディープマリンが鎮守府への襲撃を繰り返していた頃の話…


夜 駆逐艦寮

吹雪「はぁ…」トボトボ

吹雪(ディープマリンの襲撃が始まってから三週間…かなりきつくなってきた…)

吹雪(いくら敵が大したことないとはいえ、こうも襲撃が続くと…)

吹雪(…ダメダメ!こんなんじゃ!)

吹雪(みんなが頑張ってるんだもん!私も…)

ワイワイ ガヤガヤ

吹雪「…ん?」

吹雪(…この部屋…ドアが開いてる。話し声も聞こえるし…誰かいる?)

吹雪(…誰がいるかだけ、ちょっと覗いてみようかな)ヒョコッ


睦月「うーん、そうなると誰がいいのかにゃぁ?」

時雨「ちょっとわかんないね…」

大潮「やっぱり、さっき挙げた誰かが良いんじゃないんですか?」

睦月「いやぁ、やっぱり無理が…」


吹雪(睦月ちゃん、時雨ちゃんに大潮ちゃん…?)

五月雨「…吹雪ちゃん、何やってるの?」

吹雪「ん?あ、五月雨ちゃん」

吹雪「珍しいメンバーが話してるなって思って、ちょっと覗いてただけだよ」

五月雨「珍しいメンバー?」

睦月「およ?吹雪ちゃんと五月雨ちゃん?」

時雨「いいところに来たね。ちょっと来てくれるかい?」

大潮「意見を聞きたいんですけど」

吹雪「あ、見つかった」

五月雨「いいけど…意見?」

睦月「実は、今度この三人で戦隊ごっこをやることになったのです」

吹雪「うん…」

吹雪「…うん?」

五月雨「…何で?」

時雨「知らないのかい?今、駆逐艦の間でブームなんだよ。戦隊ごっこ」

吹雪「何で!?」

大潮「それはもちろん!あなたたちショキカンジャーのおかげですよ!」

五月雨「えぇ!?」

吹雪「知らなかったよ…」

睦月「まあ流行りだしたのは三週間くらい前のことだからねぇ」

五月雨「あー、襲撃が始まったころだ…」

時雨「うん。それ以前から、みんなショキカンジャーのことは知ってたけど…」

大潮「具体的にどんなことをしてるかは知らなかったし、戦ってるところも見なかったので、あんまり話題にならなかったんですよ」

五月雨「確かに、鎮守府で戦ったのって最初にイーと戦った時くらいだもんね」

吹雪「あと、クウボの時もそうだけど…あの時は鎮守府の端の方だし、他に人もいなかったからねぇ」

時雨「でも、三週間前から敵が鎮守府に来るようになったそうじゃないか」

大潮「実はそのころに、何人かが隠れて戦いを見に行ったんです」

吹雪「えぇ!?」

五月雨「気付かなかった…」

睦月「それ以来、その子たちを中心にショキカンジャーの人気が爆発!合わせて戦隊ヒーローも注目を浴びるようになったんだよ!」

五月雨「そうなんだ…」

吹雪「全然知らなかったねぇ…」

時雨「ちなみに今も君たちの戦いを見に行く子は多いよ」

吹雪「危ないから絶対にやめて!!」

五月雨「まあ、とにかく私たちの戦いを見て、戦隊ヒーローが流行りだしたってことはわかったよ…」

吹雪「でも、意外だね。睦月ちゃんや大潮ちゃんはともかく、時雨ちゃんもはまるなんて」

睦月「ちょっと!ともかくって何にゃしぃ!?」

五月雨「確かに、時雨はこういう遊びに参加するタイプじゃないよね」

時雨「うん。僕も最初は、あんまり興味がなかったんだけどね…」

時雨「君たちの戦いを見てみたら、その…」

時雨「…かっこいいなって、思って…」

吹雪・五月雨「えっ…」

時雨「…所詮僕も、駆逐艦だったってことさ」

吹雪「そ、そっか…」

五月雨「じゃ、じゃあ話を戻そうか。戦隊ごっこするんだって?」

睦月「そうそう!することになったんだよ!」

吹雪「色はどんな感じ?」

時雨「睦月がグリーン、僕がブラック、大潮がイエローだよ」

吹雪「何で!?」

大潮「何でって…何がですか?」

吹雪「だって、戦隊だよ?レッドやブルーは入れないと…」

五月雨「うん。どの戦隊にも絶対いるよ」

睦月「でも、全員の意見を尊重したらこうなったよ」

吹雪「大潮ちゃんのイエローはいいとして…なんで睦月ちゃんと時雨ちゃんはその色なのさ」

五月雨「睦月ちゃんがレッド、時雨がブルーでいいんじゃないの?」

睦月「えー…だって、レッドって大体リーダーでしょ?」

吹雪「そうだけど…」

睦月「面倒にゃしぃ…」

吹雪「…それ、レッドの私の前で言う?」

五月雨「レッド以外がリーダーになることも結構あるよ」

睦月「でも睦月はグリーンが良いの!面白ギャグ枠にされることが多いグリーンが!」

吹雪「何で!?」

五月雨「じゃあ、何で時雨はブラックなの?」

時雨「ほら、僕って黒いイメージがあるだろう?」

吹雪「まあ、確かに…そうかな?」

大潮「確かに時雨ちゃんの下着も黒…」

睦月「それ以上はダメにゃしい!」バッ

時雨「それにブルーは…なんとなく、レッドの影に隠れるイメージがあって…」

五月雨「…それ、ブルーの私の前で言う?」

大潮「それで、ここからが本題なんですけど」

大潮「他にもレッドやブルーになってくれるメンバーが欲しいんですよ!」

睦月「誰が良いのかなって、今話してたんだよ」

吹雪「ああ、なるほど…」

五月雨「レッドとブルーがいればいいの?」

時雨「うん、そうだね」

睦月「でも、できればピンクもいたほうが良いかにゃぁ…」

吹雪「え?レッドとブルーとピンクの三人呼ぶの?」

五月雨「六人になっちゃうよ」

吹雪「初期メンバーから六人の戦隊はいなかったと思うけどなぁ…」

睦月「追加メンバーが一人いるってことにすればいいんじゃないの?」

五月雨「でもレッドとブルーだけだったらライブマンになれるよ」

吹雪「ゴーオンジャーもありかな?」

時雨「…だから何?」

大潮「とにかく、レッド、ブルー、ピンクになってくれる人を探してるんです!」

時雨「でも、なかなか決まらなくてね…」

睦月「何人か候補が出たけど、問題があるんだよ…」

吹雪「問題ねぇ…」

五月雨「うーん…ピンクなら、如月ちゃんとかいいんじゃないの?」

吹雪「ああ、イメージはピッタリだね」

時雨「それは考えたんだよ。でも…」

吹雪「でも?」


如月『如月ピンク♪ふふふふふ♪』

如月『いやだぁ、スーツが破れちゃう…』

如月『必殺バズーカって太いわよねぇ♪』

如月『私を…どうする気!?』


睦月「…何か、セリフが戦隊として大丈夫なのか不安になったにゃしぃ…」

一同「…」

吹雪「じゃ、じゃあ、水無月ちゃんは?髪の色とかブルーだよ」

睦月「皐月ちゃんと長月ちゃんと文月ちゃんとで組むんだって」

五月雨「あー、先に決まっちゃったんだ」

睦月「まああの四人はそうかなって思うからね」

吹雪「うーん、睦月型だと、他にはレッド、ブルー、ピンクになってくれそうな人はいないかな…」

時雨「…髪の色だけで判断してないかい?」

吹雪「い、いや!そんなことないよ!」ブンブン

睦月「でも実際、やってくれそうな人はもういないのです」

五月雨「朝潮型では誰かいるかな…」

吹雪「朝潮ちゃんは?長女だし、リーダーのレッドとか向いてるんじゃないかな」

大潮「えっと、朝潮姉さんはですね…」


朝潮『え、戦隊?新しい作戦?』

朝潮『…すーぱー、せんたい?ヒーロー?…何、それ?』

朝潮『ええ、ショキカンジャーのことは聞いたことがあるけれど…』


大潮「こんな感じで、まったく知らなかったんですよ」

吹雪「ああ、朝潮ちゃん知らなかったんだ…」

五月雨「それから説明したの?」

大潮「実際にショキカンジャーの戦いを見せてみたんですけど…」

吹雪「え…」


朝潮『大潮!これは…!』

大潮『どうですか?これが戦隊ヒーローです!』

朝潮『何してるの!?早く手伝いに行くわよ!』

大潮『…え?』

朝潮『あなたが言ってた戦隊って言うのは、彼女たちの手伝いをするってことでしょ?』

大潮『え、いや、その…』

朝潮『了解よ!朝潮、出ます!』バッ

大潮『ちょ、朝潮姉さん!?待って待って!!』ババッ


大潮「…どうも、誤解させてしまったようで」

吹雪「えぇ…」

大潮「今は何とか誤解は解いて、大潮達では戦えない、ということはわかってもらったんですけど」

大潮「今度は、『じゃあ吹雪さんたちの分も出撃で頑張らないといけない』って、張り切るようになっちゃったんですよ」

五月雨「さすが真面目だねぇ、朝潮ちゃんは」

吹雪「誤解はアレだけど…その心意気は私たちとしてはありがたいよ」

睦月「そんなわけで朝潮ちゃんはダメだったんだよ」

五月雨「じゃああとは…誰かいるかな?」

吹雪「荒潮ちゃんは?ピンクとか」

大潮「女幹部やりたいって言ってました」

五月雨「えぇ…」

吹雪「うーん、霞ちゃんや満潮ちゃんは乗り気じゃないだろうし…」

大潮「敵の怪人やりたいって言ってました」

吹雪「…朝潮型は、そんなに敵役やりたいの?」

大潮「それはそれで楽しみ方があるんでしょう」

吹雪「えっと…じゃあ、白露型はどうかな」

五月雨「白露とかレッドやりたがるんじゃない?」

時雨「実はね…みんなあんまり戦隊について知らなくってね」

五月雨「え、そうなの?」

時雨「白露を誘ってみたけど、よく知らないみたいだったから、一通り見せたり説明したりしたんだ」

五月雨「それで…?」

時雨「…ジャッカーのビッグワンに興味を持ったよ」

五月雨「あっ…」

吹雪「レッドワンはダメだったか…」

時雨「それも興味を持ったけど…レッドは他にやりたい人がいるんじゃないかって言って、断ったんだよ」

吹雪「でも見つかってないんだよね…」

五月雨「だったら夕立は?」

時雨「夕立も時雨と同じ感じだったから、見せたんだけど…」

時雨「…デカマスターに興味を持ったよ」

五月雨「えぇ…」

吹雪「じゃあ江風ちゃんとか?」

時雨「江風は今忍者にはまってるよ」

五月雨「ナンデ!?」

時雨「川内さんの影響だろうね…」

吹雪「でも忍者の戦隊ならあるし…誘えばやってくれるんじゃないの?」

睦月「他の人から誘いがもうあったらしいよ」

大潮「そっちの方が先だったので、残念ですが、断られてしまいました」

五月雨「そっか…だったら涼風は?」

時雨「うん。誘って、乗り気だったよ」

吹雪「お?じゃあ…」

時雨「でも…」


涼風『知らざぁ言って聞かせやしょう!』

涼風『浜の真砂と…』

―――中略―――

涼風『…名せえゆかりの涼風ブルーたぁあたいのことさぁ!』


時雨「…名乗りが、長いし何か違うんだ」

一同「…」

時雨「どうしようかと考えてたら、涼風は別のところから誘いがあったからそっちに行ってもらったよ」

吹雪「そ、そっか…」

睦月「吹雪型では誰かやってくれそうな人いないの?」

吹雪「うーん、深雪ちゃんかなぁ…」

大潮「あー、いいですね!あとで誘ってみましょう!」

吹雪「初雪ちゃんは絶対見る側に回るだろうしなぁ…」

時雨「でも艦娘歌合戦には参加してたじゃないか」

吹雪「…何かよくわからなくなってきた…」

五月雨「あとは誰だろう…陽炎型とか夕雲型とかから誘えるかなぁ?」

吹雪「陽炎型…そうだ!嵐ちゃんは?」

時雨「確かに嵐はヒーローのイメージが強いね、なぜか」

睦月「でも睦月、この間誘ったけど、もう他の人から誘いがあったから無理だって」

大潮「うーん、厳しいですねぇ…」

吹雪「そっか…」

吹雪「あとは…暁型とか?」

大潮「暁ちゃんとか…?」

睦月「いや、暁ちゃんは断ると思うにゃしぃ」

五月雨「そうなの?」

睦月「本当はやりたくてたまらないけど、戦隊ごっこなんてやるのはレディじゃないからって理由で断ると思うの」

一同「あぁ…」

時雨「だったら響かな?意外とノリはいい方だと思うよ」

吹雪「そうだね。響ちゃんなら…」

睦月「色は交渉次第かなぁ?」

大潮「でも、響ちゃんはホワイトのイメージありますよ」

五月雨「あー、確かに。でも…」


ワーワー ガヤガヤ


五月雨「…ん?」

吹雪「なんか、向こうの大部屋が騒がしいね…」

時雨「何だろう?」

睦月「ちょっと見てみる?」

五月雨「うん…見てみようか」

吹雪「…あれ、叢雲ちゃん、電ちゃん、漣ちゃん」

五月雨「大部屋の前で何してるの?」

叢雲「あ、吹雪に五月雨。睦月と時雨に大潮も」

睦月「あ、ショキカンジャー勢ぞろいだ!」

時雨「ショキカンジャー勢ぞろい…何か始まるの?」

漣「第三次大戦だ」

大潮「えぇ!?」

電「…嘘なのです」

叢雲「ちょっと騒がしいから気になって来ただけよ」

漣「みんなもそうでしょ?」

五月雨「まあ、そうだね」

吹雪「それで、中で何やってるのさ」

電「ちょっと見てみるのです」ギィッ

荒潮「うふふふっ!さあ、この鎮守府は~、私たちのものよ~!」

霞「大人しくしなさい!」

満潮「さもないと、痛い目見るんだから!」


吹雪「…何あれ?」

睦月「戦隊ごっこだと思うよ」

五月雨「ああ、あれが…」

吹雪「本当に女幹部と怪人やってるし…」

「待てぇ!!」

荒潮「あら~?誰かしら~?」


嵐「それ以上お前たちの好きにはさせないぜ!」

涼風「てやんでい!お天道様が許しても、あたいたちが許さないよ!」

如月「ふふふふふ♪やっちゃうわよ~♪」

深雪「私たちの力、見せてやるぜ!」

響「…ハラショー!」

デデッデデー デデッデデーン

嵐「嵐のスカイックパワー!ショキカンレッド!」

涼風「知らざぁ言って聞かせやしょう!」

涼風「浜の真砂と…」

―――中略―――

涼風「…名せえゆかりのショキカンブルーたぁあたいのことさぁ!」

如月「ショキカンピンク♪ふふふふふ♪」

深雪「ショキカンイエ口ー!いっくぜー!!」

響「麗しの不死鳥!ショキカンホワイト!」


嵐「海を護るは艦娘の使命!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

吹雪「えええええええええええええええ!!!?」

叢雲「…何これ」

時雨「だから戦隊ごっこだよ」

大潮「中でもこれはショキカンジャーごっこですね」

漣「…オリジナルとだいぶ違くない?」

睦月「アレンジは必要なんだよ」

電「色も違うのです…」

五月雨(…まだ何かある気がする)

嵐「さあ、覚悟しろ!」

荒潮「あらあら…あなたたち、やっちゃいなさ~い」

霞・満潮「了解!」

嵐「みんな!いっくぞー!!!」

五人「オー!!」


ワーワー ガンバッテー

ウオー クライヤガレー

ソンナコウゲキガキクトデモー

クラエー ミユキスペシャルー

ヤダ、スーツガヤブレチャウ…

涼風「ちっ、なかなかやるじゃないの」

深雪「おい、このままじゃまずいぜ!」

満潮「ふん、残念だけど…ここまでのようね」

霞「あと一撃で、終わらせてやるわ」

響「くっ…ここまで、か…」

嵐「…いや、まだだ…」

嵐「まだ俺たちは…諦めない!」


「よく言った!!」

満潮「だ、誰!?」

「とうっ!」シュタッ

白露「助けに来たよ、ショキカンジャー!」

如月「あなたは…いや、あなたたちは…!?」


白露「シラツユワン!」

夕立「百鬼夜行をぶった切るっぽい!」

夕立「ソロモンの悪夢!ポイマスター!」

江風「アイアム、忍者・オブ・忍者!」

江風「深紅の光弾!夜戦忍者、マロンジャー、参上!」

霞「援軍ですって!?」

嵐「あ、あんたたち…」

白露「ショキカンジャー、私たちは味方だよ!一緒に戦おう!」

嵐「…ああ!」グッ


「ちょっと待てえええええええええええ!!!」バンッ

荒潮「…あら?本物が来たわ~」

吹雪「さっきから見てたけど、何これ!?」

嵐「何って…ショキカンジャーごっこだけど」

叢雲「それにしてはオリジナルから随分改変されてるみたいね…」

漣「あんな統一感のない名乗り初めて見たんだけど」

深雪「個性があっていいだろ?」

五月雨「涼風。名乗りはもっと短くしないと、誰も聞いてくれなくなるよ?」

涼風「えー?いいじゃんか」

電「あと、どうして追加戦士が三人来るのです?」

響「別にいいんじゃないかな」

夕立「そういうことがあってもいいっぽい?」

白露「そうそう!やりたいようにやればいいんだよ!」

江風「所詮遊びだからな!」

吹雪「うーん、確かに…」

吹雪「ごめんね、割って入っちゃって」

嵐「大丈夫。実は今のでもう終わりだから」

荒潮「正確には、『私たちの戦いはこれからだ!』みたいな感じで終わろうとしたのよ~」

吹雪「…ああ、そう…」

深雪「それじゃあ、これからどうする?」

響「次の展開でも考えるかい?」

白露「でもいまいち思いつかないなぁ…」

嵐「名乗りもあんまりうまくいかなかったしな。見直したほうが良いかも…」

如月「…あ、そうだわ!」

如月「本物のショキカンジャーに、名乗りのお手本を見せてもらいましょう♪」

五人「!!?」

涼風「あー、それいいねぇ!」

夕立「近くで見てみたいっぽい!」

叢雲「え…何させる気?」

江風「ちょっと変身して、名乗りまでやってくれよ!」

五月雨「そ、そういわれても…」

エッ、ナニナニ?

ショキカンジャーショーガハジマルノ?

ザワザワ ワイワイ

漣「…なんか、後に引けなくなってしまいましたな」

電「はわわ、大変なのです…」

嵐「なあ、頼むよみんな!ちょっと間近で見せてくれよ!」

深雪「減るもんじゃないし、いいだろ?」

叢雲「…どうする?リーダー」

漣「うちらはリーダーに従いますぜ」

吹雪「うっ、こんな時だけリーダーって言って…」

吹雪「やるのはいいけど、大丈夫かな?」

五月雨「何が?」

吹雪「…私たち、さっきみたいな凝った名乗りできないよ」

ワイワイ ガヤガヤ

電「確かにさっきので名乗りのハードル上がってる気がするのです」

五月雨「そうは言っても、下手に慣れてない名乗りやっても失敗するだけだと思うよ」

電「いい感じの名乗りも他に思い浮かばないのです」

叢雲「いつも通りささっとやるしかないわ」

漣「お客さん待ってるし、やるしかないって」

吹雪「…仕方ない」

吹雪「やるよ、みんな!」チャキッ

四人「オー!」チャキッ

カチッ

五人「変身!!」

デデッデデー デデッデデー デデー

シュィィィィン バァァァァァァン!!


デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエ口ー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

「わああああああああああああああああ!!!!」


吹雪「あ、うけた」

五月雨「よかった…」ホッ

漣「ふん、名乗りの内容は問題ではない。要はかっこよく決められるかが問題なのだ」

「そのまま戦ってー!」

叢雲「た、戦うの?」

霞「私たちが相手よ!」バッ

電「うわ、危ないですよ!?」

満潮「全力で来なさい…!」

吹雪「全力でやったら二人とも燃えちゃうよ…」

「そこだー!いけー!」

「わー!頑張ってー!」

ワーワー ギャーギャー




バンッ!!

一同「!!!」

武蔵「お前ら!何時だと思っている!!!」

吹雪「む、武蔵さん…」

武蔵「もう就寝時間は過ぎているぞ。早く部屋に戻るんだ」

「はーい」ゾロゾロ

武蔵「…」

吹雪「…私たちも早く帰ろうか」

五月雨「だね」

武蔵「…待て」

漣「…はい?」

武蔵「お前たち、ちょっとついてこい」

叢雲「ど、どこに行くの?」

武蔵「いいから来るんだ」

電「は、はいなのです…」

戦艦寮の一室


吹雪「ここって…戦艦寮?」

武蔵「しばらくここで待っててくれ」

五月雨「はい…」

バタン

五人「…」

叢雲「…なんで私たち連れてこられたの?」

漣「さあ…」

電「もしかして、ものすごく怒られちゃうのです!?」

五月雨「ど、どうして私たちが!?」

吹雪「さっきの騒ぎの中心だと思われたのかも…」

漣「実際そうだったから言い訳できんね」

ガチャッ

武蔵「待たせたな」

吹雪「あ、武蔵さ…」

吹雪「…ん!?」



ゾロゾロ

武蔵の後から、戦艦や空母が大勢入って来た!

五月雨「…え?」

ザワザワ ワイワイ

電「…な、なんなのです?」

叢雲「どうして戦艦や空母がこんなに…」

漣「あのー、武蔵さん」

武蔵「ん?」

漣「もしかして、これから…」

武蔵「ああ。やってもらいたいことがあるんだが…」

武蔵「頼めるかい?」

五人「…」

五人「…はい」

吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


「わああああああああああああああああ!!!!」


吹雪「…」

叢雲「…吹雪。考えちゃだめよ」

吹雪「…うん」

「決め台詞とかないんですかー?」

五月雨「き、決め台詞?」

吹雪「えっと、特にはな…」

漣「人に隠れて悪を切る!」

電「そんなの言ったことないのです!」

「他にはないのー?」

漣「人の命は地球の未来!」

漣「燃える水雷魂!!」

「わああああああああああああ!!!」

五月雨「漣ちゃんちょっとだまってて!」

叢雲「こいつ、自棄になってるわね…」

「必殺技とかないのー?」

叢雲「撃ったら寮が崩壊するわよ!」

「ねえねえ、ダイレンジャーのポーズやりながら名乗ってみてー!」

電「あれは無理なのです!」

「うむ、戦隊ヒーロー…やはり胸が熱くなるな!」

「なかなかいいわねぇ、こういうのも」

「昔を思い出します」

「Oh!日本にもパワーレンジャーがあるのね!」

「何言ってるデース?日本の方が元ネタですヨー」

「ホワッツ!?」

ワイワイ ガヤガヤ

五人「…」



この翌日、軽巡や重巡など、他の艦娘たちもショキカンジャーを招き、ショーを見せてもらった

ショキカンジャーは、ヒーローの新たな困難を知るのであった



おまけその8 「もしも…だったなら」


シーン1


吹雪「やったー!あがりだ!」

五月雨「おお、ということは…」

電「勝負あり、なのです」

叢雲「ば、馬鹿な…!」ポロッ

漣「負けを認めたな!!」

叢雲「!!」

漣「オシリス神!!」ドドドドドドドドド

バーン!! チャリィン…

叢雲「…」

叢雲は物言わぬコインになった

シーン2


提督「いや、お前らに用があってな」

提督「ちょうど今五人そろってるって聞いたから…」

提督「…何やってんだ?」

漣「え?なにがです?」

提督「いや…」


提督「何で叢雲は亀甲縛りにされて、目隠しと猿轡をされてるんだ?」

叢雲「んー!んんー!」モゾモゾ

漣「ああ、漣に逆らったからですヨ」

シーン3


「この装置があれば…」

「奴ら…『ショキカンジャー』は、終わりですよ…」

「ふふふ…そうよね…」

「じゃあ、頼んだわよ」

「ええ、お任せください…」


漣「ちょっと待ったぁー!!」バンッ

「「!?」」

漣「喰らいやがれぇー!!!」バシュバシュッ

「「えっ」」

ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!

漣「勝った!ショキカンジャー、完!!」

シーン4

漣「死ぬって言うか…消えるんじゃない?」

吹雪「うん…消えるねぇ…」

五人「…」

吹雪「どどどどどどどうしよう!?」オロオロ

叢雲「おちおちおち落ち着きなさい!」

叢雲「コーヒーでも飲んで、落ち着いて…」ガタガタ

漣「飲んどる場合かーーーーッ!!!!」バシィッ!!

叢雲「あついっ!」バシャァッ

シーン5


漣「さ、さっき急に壁が現れたんですよ!妖怪ぬりかべが!」

過去叢雲「…はぁ?」

漣「だからあっちに行っても意味ないよ!うん!」

過去叢雲「…」

過去叢雲「…どきなさい」ドンッ

漣「あうっ」

過去叢雲(まったく…何なのよあいつ)

過去叢雲(ぬり壁なんて出るわけが…)



ぬり壁「…」

過去叢雲「…」

ぬり壁「…」

過去叢雲「…」



ぬり壁「ハーイ」

過去叢雲「きゃあああああああああああああああああ!!!!???」

漣「あーあ、だから言ったのに」

シーン6


ツー「この場所が気づかれるのも時間の問題です。早く次の手を打たないと…」

「待ちなさい!!」

ボウクウ・ツー「!!」


五人「デストロイキャノン!!」

ボウクウ・ツー「…」

ボウクウ・ツー「…えっ」


吹雪「ってえええええええええええええええ!!!!」

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

ボウクウ・ツー「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!」


デデーン


漣「長く苦しい戦いだった…」

──────────

──────

───

叢雲「…漣」

漣「はい?」

叢雲「何これ?」

漣「いや、今回の事件が、こんなんだったら面白いなーって」

叢雲「…私が大体ひどい目に合ってるだけじゃないの」

漣「うん。面白いでしょ?」

叢雲「…」

ガチャッ

吹雪「お待たせー…って、あれ?」

叢雲「ん、来たわね」

電「…何してるのです?」

叢雲「何って…何が?」

五月雨「いや…」


五月雨「何で漣ちゃんは亀甲縛りにされて、目隠しと猿轡をされてるの?」

漣「んー!んんー!」モゾモゾ

叢雲「ああ、これはね…」

叢雲「…私に逆らったからよ」


おまけその9 「ディープマリンのお仕事事情」


これは、ホッポがショキカンジャーに倒された後の話

つまり、5話と6話の間くらいの時の話


ディープマリンのアジト


クウボ「はぁ~」ポリポリ

クウボ「暇ね~センスイ」ゴロゴロ

センスイ「そうね~クウボ」ゴロゴロ

クウボ「あの子たちに仕事の邪魔されてからというもの…やることがないからこうしてだらだらするしかないわ」

センスイ「そうよねぇ…」

センスイ「まあ、最近働きづめだったし、ちょうどいいかもね」

クウボ「まあね~…」ポリポリ

センスイ「…あんた、さっきから何食べてるの?」

クウボ「ん?ポテチ。食べる?」

センスイ「のりしお頂戴」

センスイ「それにしても、私たちだけじゃなくて、コウワンやホッポまで負けるなんてね~」ポリポリ

クウボ「ねー。これじゃ前回と同じ展開じゃないのよ」ポリポリ

クウボ「非戦闘系の私たちだけならともかく、コウワンとホッポも簡単にやられちゃうなんてね」

センスイ「艦娘ってやっぱ侮れないわね~」ポリポリ

センスイ「でもまだリトウが何かやってるらしいし…いざとなればハクチもいるわ」

クウボ「そうねぇ…前回はハクチが何とかしてくれたものね」

センスイ「おかげでエネルギー集め直すはめになったけどね」

ガチャッ

コウワン「ふぅ…ただいま」

クウボ「あ、コウワンおかえりー」

センスイ「どこ行ってたのよ」

コウワン「食料の買い出しよ。こまめにいかないとすぐなくなっちゃうから」

センスイ「それはお疲れ様です」ゴロゴロ

コウワン「…殴っていい?」

センスイ「何でよ!?」

クウボ「そういえば、ホッポは?」

コウワン「ホッポは今自室よ」

センスイ「あの子、最近部屋にいること多くないかしら」

コウワン「一人でいたいのよ、きっと」

コウワン「色々と考えたいみたいね」

クウボ「ショキカンジャーの対抗策でも考えてるのかしら」

センスイ「真面目ねぇ、あの子も」

コウワン「…それだけじゃないようだけどね」

クウボ・センスイ「?」

コウワン「さーて、夕食の支度でも…と思ったけど、まだ少し早いか…」

クウボ「…そういえば、ずっと疑問だったんだけど」

コウワン「ん?」

クウボ「コウワンってさ…仕事何なの?」

コウワン「…え?」

クウボ「だって…私は工具盗んでたし、センスイは資材盗んでたし…」

クウボ「ホッポは艦隊情報の盗聴、リトウは戦闘員や怪人の作成…」

クウボ「で、センカン様は深海棲艦側と連絡とったり、色々まとめたり…」

クウボ「みんな色々仕事があるけど、コウワンの仕事は知らないのよね」

センスイ「そういえば私も知らないわ。何なの?」

コウワン「…え、あなたたち知らなかったの?」

クウボ・センスイ「知らない」

コウワン「えぇ…」

コウワン「…まあ、いいけどね」

クウボ「…もしかして、ニート?」

センスイ「…一人だけ、仕事ないの?」

コウワン「違うわよ」

コウワン「私だって仕事してるわ。それもあなたたちにも関わる、重要な仕事よ」

クウボ「重要な仕事?」

センスイ「…あ、もしかして家事?」

クウボ「あー、確かに料理とか作るのはコウワンの役割だものねぇ」

センスイ「掃除とかもしてるし…やっぱり家事が仕事?」

クウボ「つまりコウワンは専業主婦ってわけね」

コウワン「…違うわよ」

センスイ「え、違うの?」

コウワン「別に家事は私の仕事ってわけじゃないのよ。私以外に誰もしないだけ」

コウワン「あなたたちだって、料理や掃除をしてもいいのよ?」

コウワン「というかしなさい。いっつも私にばかりやらせるんじゃないわよ」

クウボ「うっ!えっと、それは…」

センスイ「…私たちは遠慮しておきますー。コウワンさんにお任せしますよー」

コウワン「…」

クウボ「じゃあそうなると、あなた何してるのよ?」ポリポリ

コウワン「…それよ」

クウボ「え?」

コウワン「あなたが食べてるポテチ…それを買うお金はどこから出てくると思ってるの?」

クウボ「…」ポリポリ

クウボ「…あっ!」

センスイ「…つまり…」

コウワン「外で稼いできてるのよ。お金をね」

クウボ「へー、知らなかったわ…」

コウワン「私たちって、見た目が深海棲艦よりも人間よりだから、外出てもあまり怪しまれないのよね」

クウボ「まあ私もたまに外に出るからそれは知ってるけど…」

クウボ「あなた、ちゃんと腕は小さくしてるんでしょうね」

コウワン「当たり前よ。そうしないと目立って仕方ないわ」

センスイ「…」

クウボ「そうだったのね…でも一体何の仕事をして稼いで」

センスイ「クウボッ!!」バッ

クウボ「な、何!?センスイ!」

センスイ「…聞いてはダメよ」

クウボ「えっ?どうして…」

センスイ「考えてもみなさい…。私たち幹部とセンカン様を合わせただけでも七人…」

センスイ「それに、戦闘員や怪人も合わせるとかなりの数になるわ…」

センスイ「そんな大勢の生活費を…」

センスイ「…普通の仕事で、一人が稼げると思う?」

クウボ「ッ!!」

クウボ「つ、つまり…」

センスイ「そう…」

センスイ「…『特殊な仕事』…でしょうね」

クウボ「…」

クウボ・センスイ「…」クルッ


コウワン「…?」

バイーン

クウボ・センスイ「…!!!」

クウボ「…ごめんなさい、コウワン!」ボロボロ

センスイ「あなたがそんなことしてたなんて、私たち知らなかった…!」

コウワン「え、何!?なんで泣いてるの!?」

クウボ「私、もうポテチ食べないから…!」

センスイ「私もトッポ食べないから、お仕事減らしていいのよ…?」

コウワン「は!?急にどうしたのあなたたち!?」

クウボ「だってあなた…私たちの生活費のために汚いおっさんたちにあんなことやこんなことされて…」

センスイ「今まで辛かったでしょう…うう…」

コウワン「…何言ってるの?」

クウボ「え?だって私たち全員の生活費をまかなうためにはそのくらい…」

コウワン「…ああ、もしかして」

コウワン「私の仕事が、そういう仕事だと思ってるわけ?」

クウボ・センスイ「うん」コクリ

コウワン「違うわぁ!!!」

クウボ「え、お金のためにおっさんたちにぺろぺろされてるわけじゃないの!?」

センスイ「お金のためにおっさんたちにエッチな服着せられたりしてるわけじゃないの!?」

クウボ「お金のためにおっさんたちに縄で縛られたりしてるわけじゃないの!?」

センスイ「お金のためにおっさんたちにその無駄にバカでかい二つの山を揉まれ…」

コウワン「うるさいわね!!おっさんおっさんって!!」

コウワン「仮にも私たち、人間と敵対する存在なわけよ!?そんなことするか!!」

クウボ「じゃ、じゃあ、おっさんたちに弄ばれたコウワンはいないわけね!?」

センスイ「よかった…!」

コウワン「…いろいろ言いたいけど、まあいいわ」

クウボ「で、本当は何してるわけ?」

コウワン「…まあ、特殊な仕事って言うのは当たってるわ」

コウワン「普通に働く気なんてないもの」

センスイ「だったら、何の仕事してるのよ」

コウワン「うーん、まあ…」

コウワン「正確には、仕事じゃないかも…」

──────────

──────

───

コウワン「…ロイヤルストレートフラッシュ」パラッ

男「!?ば、馬鹿な…!?」

男(ありえねぇ…奴にはブタのカードが行くようにしていたはず…!)

男(一体…一体どうして…!)

コウワン「…これで、あなたのチップは尽きたわ」

男「…!!」

黒服「…」スッ

ガシッ

男「…!は、離せ…!」ジタバタ

店長「ククク…」

男「…!てめぇ…!」

店長「ククク…残念だったな、カイジ君…」

男「まだだ…!まだ、金は…!」

店長「金が…どこにあるって言うんだい…?」

男「くっ…!」

店長「君のお望み通り…ポーカーで勝負してあげたじゃないか…」

店長「しかも相手は…うちのディーラーじゃない…」

店長「ただの女性客…!偶然そこに居た、君が指定した…ただの客じゃないか…!」

男「うるせえ…!どうせこいつも…お前らが仕組んだ奴なんだろ…!」

店長「仮にそうだったとしても…勝負を挑んだのは君だ…違うかい…?」

男「うぅ…」

店長「もしかしたら…沼に挑んでいたら、奇跡が起こったかもなぁ…」

店長「結局…逃げに逃げた…カイジ君の負けだよ…!」

店長「さあ、お帰りだ…!」

店長「席から引っぺがし…地獄へ連れていってください…!」

ズルズル

男「うわあああああああああああ…!!!」

男「一条…!!一条おおおおおおおおおお…!!!!」

ズルズル…


コウワン「…」

店長「…ありがとうございました」

コウワン「…お礼を言われる筋合いはないわ。私はただ、挑まれた勝負に勝っただけよ」

店長「いえ…実は我々…あの男に少々手を焼いておりまして…」

店長「あなたのおかげで、うまく処分できました…感謝いたします」

コウワン「あら、そうだったの」

店長「謝礼として…先ほどの勝ち分とは別に…こちらを差し上げます…」パカッ

コウワン「…もらえるものはありがたくいただいておくわ」

店長「それにしても…あなたはいい腕をしているようだ…」

コウワン「何のことかしら?」

店長「あれほどの強さ…イカサマでもしない限り不可能だ…」

店長「だが、我々でもほとんど見抜くことができなかった…プロの我々であっても…」

店長「本来なら、勝負中に我々がイカサマの手助けをするつもりでしたが…それをする必要すらなかった…」

店長「一体、どうやっていたのですか…?」

コウワン「…イカサマじゃなくて、ただ運が強かったってことじゃないかしら」

コウワン「ギャンブラーの持ち前の、運がね」

店長「ククク…そういうことにしておきましょうか…」

コウワン「では、失礼するわ。これはいただいていくわね」

店長「…もしよろしければ…うちでディーラーとして働いてみませんか…?」

店長「あなたが望むなら…それなりにいい席を用意しますよ…」

コウワン「…」

コウワン「…遠慮しておくわ」

コウワン「いつ死ぬかもわからない仕事をしてるものでね」

──────────

──────

───

コウワン「…って言う感じに、ギャンブルで稼いでるわ」

クウボ「…マジ?」

コウワン「マジ」

センスイ「へー、なるほどねぇ」

センスイ「あなた、超スピードでイカサマしたんでしょ?」

コウワン「見破れない方が悪いのよ」

クウボ「あのスピードを簡単に目で追える人間がいるとは思えないけど…」

コウワン「でもさっきの話の男も、なかなかの手練れだったのよ?」

コウワン「私を倒すには及ばなかったけどね」

クウボ「へー。他には面白い相手はいなかったの?」

コウワン「あー、かなり強いおじさんがいたわね」

コウワン「なんか対戦相手をコインにするだのなんだの…意味わからないこと言ってたけど」

センスイ「何それ怖い」

コウワン「私のイカサマも見破られそうになったから、あえてハッタリでどうにかしようとしたら…」

コウワン「立ったまま気絶しちゃった」

クウボ「えぇ…」

ガチャッ

ホッポ「ん、お姉ちゃん。クウボとセンスイも」

コウワン「あらホッポ。部屋から出てきたの?」

ホッポ「そろそろご飯かと思って…」

コウワン「え?…あ、そろそろ支度しないと」

センスイ「ギャンブルで働いた上に家事、お疲れ様でーす!」

クウボ「お疲れ様でーす!」

コウワン「…今日はクウボとセンスイにやってもらおうかしら」

クウボ・センスイ「え!?」

ホッポ「ん。今日はクウボとセンスイがご飯作ってくれるのか?」

クウボ「え、いや、その…」

コウワン「たまにはいいわよね、ホッポ?」

ホッポ「うん。興味がある」

センスイ「え、ええと…」

クウボ「…どうしよう、センスイ」

センスイ「私に言われても…」

ガチャッ

リトウ「…何してるの?あなたたち」

ホッポ「リトウ。仕事は?」

リトウ「一段落着いたから、休憩よ。そろそろご飯だしね」

コウワン「ねえリトウ。たまにはクウボやセンスイがご飯作ったっていいわよね?」

リトウ「あら、今日は二人が作ってくれるの?」

クウボ「いや、その…」

リトウ「興味深いわ。ぜひ作って頂戴」

センスイ「ぐっ…」

リトウ「そもそも、最近一番暇なのあなたたちでしょ?」

リトウ「いつもごろごろして…たまにはご飯くらい作りなさいよ」

クウボ「うわぁ!正論すぎて何も言い返せない!」

センスイ「だって…あいつらのせいで、仕事無くなっちゃったんだもん!」

コウワン「あなたがもっとうまくやればよかったんじゃないかしら」

ホッポ「音がうるさいから人質離すとか間抜けすぎる」

センスイ「うわああああああああああん!!!」

ガチャッ

ハクチ「ん…騒がしいけど…みんなどうしたの…?」

クウボ「ああ、ハクチ!私たちを助けて!」

センスイ「私たちが最近働いてないからって、みんなが料理を作らせようとするの!」

ハクチ「へぇ…でも私も…二人の料理、食べてみたいかも…」

コウワン「ほら、ハクチもこう言ってるわよ」

ホッポ「墓穴掘ったな」

クウボ「うわああああああああああああ!!!!」

クウボ「…あっ!そういえば、ハクチって普段何してるのよ!!」

ハクチ「え…私…?」

センスイ「そうよ!あんまり部屋から出てこないし!」

クウボ「ハクチこそ働いてないんじゃないの!?」

センスイ「そーよそーよ!!」

ハクチ「…失礼な人たちね…」

リトウ「あなたたち、ハクチの仕事知らなかったの?」

クウボ「えっ…?」

コウワン「まあこの二人、私の仕事も知らなかったらしいから」

ホッポ「仲間の仕事知らないとか最低だな」

センスイ「えっと…何してるの?」

ハクチ「んー…?株と…FX…」

クウボ・センスイ「!?」

コウワン「私が稼いだお金を、さらに増やしてくれるのよ」

ハクチ「失敗は…あんまりしないし…」

クウボ「そ、それって働いたうちに入るの…?」

ホッポ「ただごろごろしてるだけのお前たちより働いてると思う」

センスイ「ガーン!!」

コウワン「とにかく、このアジトで一番働いてないのはあなたたちよ」

リトウ「さっさとご飯作りなさい」

クウボ「…万事休す、か…」

センスイ「…」

クウボ「…センスイ?」

センスイ「…そういえば」

センスイ「もともとの仕事でも、クウボってほとんど働いてないわよね…?」

クウボ「!?」

クウボ「センスイ!?何を言って…」

センスイ「だって、私は能力の性質上、ここから離れないといけないし、ずっと張り付いてないといけなかったわ」

センスイ「ホッポもキーたちを飛ばすための場所に行かないといけないし、リトウも研究所にずっといるし…」

センスイ「そう考えると、あなたは一日一回アジトから艦娘を一人操って、工具を盗ませるだけでしょ!?」

センスイ「労力が違うのよ、労力が!!」

クウボ「センスイ…あなた、私をトカゲのしっぽ切りに使う気ね!?」

センスイ「どう、みんな!?一番働いてないのってクウボじゃないの!?」

コウワン「まあそうかもしれないわね」

ホッポ「自分ではほとんど何もしてないしな」

リトウ「確かにセンスイの方が仕事量は多そうね」

ハクチ「一番最初にやられちゃったのって、クウボだし…」

クウボ「そ、そんな!?」

センスイ「さあ!一番働いていないクウボさん!夕餉の支度をして頂戴!」

クウボ「そんな…そんなこと…!」グニャァ…


ガチャッ

センカン「…何してるの、あなたたち?」

クウボ「!!」

クウボ「センカン様!助けてください!」バッ

センカン「な、何?」

クウボ「実はかくかくしかじかで…」

センカン「ふーん、なるほどねぇ…」

センカン「何?クウボは料理がしたくないの?」

クウボ「働きたくないんです!!」

センスイ「うわ、ハッキリ言いやがったわ」

コウワン「ニート宣言したわよ」

センカン「でもコウワンたちの言い分はもっともよ。あなたもディープマリンにもっと貢献しなさいよ」

クウボ「で、でも…」

センカン「仕事がなくなったのは仕方ないわ。でも、そのあと自分にできることをやるのって大事だと思わない?」

クウボ「えぇと…」

センスイ「…クウボ。見苦しいわよ」

ホッポ「さっさと料理作れ」

クウボ「うぅ…」

クウボ「うぇぇぇぇぇん…」トントン

センスイ「玉ねぎ切ってるわけじゃないのになんで泣いてるのよ」

クウボ「働くって悲しいことなのね…」

ホッポ「もう完全にニートだな…」

コウワン「センカン様。少しくらい働かせないと、いざという時使えなくなってしまいますよ」

センカン「そうねぇ…これから料理当番はクウボにしようかしら」

クウボ「そんなぁ!働きたくないですぅ!!」

リトウ「…これは、ショキカンジャーに負けるはずよね」

ハクチ「…いろんな意味で、かわいそう…」


この日のご飯は、ちょっぴり塩味がきいていた


裏話の需要があるというレスをいただいたので、それっぽいものをして締めようと思います。興味ない人は読み飛ばしてください

この「駆逐戦隊ショキカンジャー」、劇場版ではない本編を半年ほど前に書かせていただいたのですが
本当はあんなに長く書く予定ではなく、前話合わせて300レス程度で終わらせるつもりでした
全部第一話みたいな短いギャグ調で書くつもりだったんです
それが何を間違えたのか、あんなよくわからない感じになりました

さらに言うと、私はショキカンジャーを書き始めたころ、戦隊モノについてはほとんど知りませんでした
「五人くらいいて、変身して、名乗って、バズーカ撃って、ロボットで戦う」
くらいの認識しかなくて、知ってる戦隊もほとんどありませんでした。追加戦士も頭になかったので、大井っちも最初は出す予定はありませんでしたもともとギャグで通す予定だったので、適当にやっても何とかなると思ってたんです
それで第一話を投下した後の反応を見て、「これはまずい」と思い直し、色々調べて書いていくようになりました
しかし、所詮付け焼刃の知識。かなりのボロが出て、多くの指摘もいただきました
そんなこんなで、ショキカンジャーは
「戦隊モノ素人が艦これで戦隊モノを書くとどうなるか?」
というssになりました

それで、今回の劇場版。実は、最初は「vsシリーズ」を書く予定でした
しかし、書いている途中で「ポッと出の戦隊が出たのでは、vsシリーズの良さが出ない」と思い直し、このような形になりました
vsシリーズもいつか書いてみたいですが、そのためにはもう一回ショキカンジャー本編みたいな形で書かないといけないと思うので、実現するかは不明です

これにて、このスレは終了です。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました

ちなみに、このssは何か特定の元ネタがあるわけではありません
初期艦組が戦隊やってる漫画やイラスト、ss等が他にあっても、私はそれを参考にしたわけではないので
何かをパクったわけではないと、ご理解いただけるとありがたいです

>五人くらいいて、変身して、名乗って、バズーカ撃って、ロボットで戦う
本当にだいたいあってるから困る
1話見たときは戦隊モノ知らないなんて思わなかったし

乙でした

乙乙
追加戦士で大井、大潮、時雨、睦月、川内型とか期待してたから今回の小ネタには大満足

完結乙でした
初代ショキカンジャーのホワイト以外の中の人は一体誰なんだろう

>>579
GI○Aテキニハトッテモオッケーデス

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年09月30日 (金) 11:40:19   ID: i-lW59-q

このシリーズ初見でしたが普通に楽しめました!文句なしの☆5です!

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