男「友人の話なんだけどさあ」女(あんた、友達いないでしょ)(20)

男「その子、片思いしているらしいんだ」

女「コイバナ? 大好物!!」

男「その子は確か、俺と同級生であっていたかな。もう大学1年のころからの片思いらしくて」

女「足掛け2年の恋……。青春してるねえ」

男「でも片思いの相手が、彼女の親友が好きらしいんだ」

女「あらら」

男「だから修羅場ってほどじゃないんだけど、なんとなく親友とギスギスしたらしい」

女「わかるわかる。私だって経験あるもの」

男「でも、彼女は恋しちゃったんだから仕方ないと開き直ってた」

女「その子、強いね」


女「そして、女の友情のなんと儚きことよ」ヨヨヨ

男「彼女が恋したきっかけは、修羅場からは程遠い、ちょっとした出来事だったらしい」

女「どんなの?」

男「彼女、自転車通学なんだけど」

女「私の親友も20分かけて通学してるよ、タフだよね」

男「学校で自転車を止めるときに、ドミノ倒しで自転車を倒しちゃったらしいんだ」

女「うん」

男「20台ぐらい」

女「うげえ」

男「それを彼女は、律儀にも自転車を1台1台起こしていたんだけど」

女「けなげね」

男「彼女が言うには、それを通りすがりの王子様が手伝ってくれたんだって」

女「かっこいい」

男「それでコロっと落ちたらしい」

女「チョロいけど可愛い」

男「恋愛してるねえって感じだよね」

女「私もそういう恋愛がしたくて、ラブレターもどきを書いたなあ」

男「俺らには縁遠い感じだけど」

女「やめてよ。私に似合わないのはわかってるけど傷つくよ?」

男「でも、その王子様には意中のお姫様がいるわけ。彼女の親友のことなんだけどね」

女「悲しいね」

男「でも、彼女はそれを気にせず玉砕覚悟で告白することにしたんだ」

女「告白できたの?」

男「でも、告白しようとしたんだけど、先を越されたんだって」

女「えっ、まさかの展開?」

男「その子、王子様がお姫様に告白する場面に出くわしちゃったんだ」

女「ああっ……」


男「玉砕覚悟だった彼女もこれにはたまらない」

女「だろうね」

男「自転車で20分の距離を、泣きながら帰ったんだって」

女「おいたわしやー」

男「でも、彼女はへこたれない」

女「お?」

男「あきらめずに猛アタックしたらしいよ」

女「おお」

男「最近、それもやめちゃったらしいけど」

女「なんでさ」

男「なんとなく親友に悪い気がしたから……、だってさ」」

女「なんじゃそりゃ」


男「お前、そんなこと気にしないよな」

女「うん、気にしないよ」


女「えっ?」

女「……うすうす気づいてたけど、もしかして、その親友って私?」

男「お前からも、気にせずドンドン行けって話してやってくれよ」

女「えー」

男「無理なのは、わかっているけどな」

女「いや、確かに嫌だけど……」

男「お前にそれを期待するのは酷な話だよなあ」

女「確かに立場的に言いにくいけど、そんな言い方やめてよ」


男「あっ、別の友人の話なんだけど」

女「無視して次の話いくの!?」

男「その友人、お前に惚れてたんだって」

女「!」


女「いや、それって……」

男「さっきの話の王子様なんだけどな」

女「だよねえ」

男「そいつはこっぴどく振られたらしいんだ」

女「知ってるよ。私が『好きな人がいるので無理です』ってフったからね」

男「そいつは昔っから成績優秀、運動神経も抜群、おまけに性格が良い」

女「うん」

男「ムカつくほど完璧人間なんだ」

女「あのレベルで完璧だとちょっと怖いよね」

男「だから、振られると思ってなかったらしい」

女「それも納得できるレベルのスーパーマン」

男「だから振られた後、呆然自失って感じで」

女「突然、固まって動かなくなったよ」

男「あまりにもショックだったのか、その翌日は食べ物が喉を通らなかったらしい」

女「そこまで私のこと好きだったのか……」


女(あっ、今さっきの言葉、自分で言ってて恥ずかしい……)

男「でも、さすがは完璧人間。すぐに持ち直して再アタックすることにした」

女「すぐって言っても、1日立ち直れてないけど」

男「自分の振り向いてもらおうと、それはそれは必死にアピールしたらしい」

女「されました」

男「でも、結局、お姫様の心を変えることができなくって」

女「変わりませんでした」

男「お姫様を諦めることしか できなくなった彼は」

女「ねえ、お姫様って呼び方やめてよ。むずがゆいから」

男「半ばヤケになって、海外に短期留学することにしたらしい」

女「無視?」

女「留学って?」

男「半年ぐらい、こっちに戻らないんだって」

女「へえ」

男「ヤケになっても留学を選択するあたり、流石というか、ムカつくぐらいハイスペックだよなあ」

女「フられたから留学って、ちょっとだけ意味が分からない感じもするけどね」

男「ちなみに行先はオーストラリア」

女「私が海外旅行で行きたいって常日頃言ってる場所じゃない」

男「本人いわく、お姫様へのあてつけらしい」

女「ぐぬぬ」

男「でもヤケになって海外に飛び出すんだから、ちょっと心配だよな」

女「まあ、うん」

男「俺が心配できる立場じゃないのはわかっているけど」

女「友達ですらないもんね」

男「お前なら声をかけたのかなあ」

女「無理」

男「お前なら、あいつの心の傷もなんとかできたかなあ」

女「傷をつけた本人にそんなこと期待しないでよ」


男「……これは俺の友人の話だけど」

女「また話の流れを無視するの? というか、私のこと軽く無視してない?」

男「……うーん、一方的に長々と語りすぎてちょっとひどいかな」

女「そうだよ」

男「でも、たぶんこれで最後だから我慢してくれ」

女「えー」


男「そいつは小学校の時から、10年以上の付き合いのある幼馴染なんだ」

女「私じゃないの」

男「昔っから、歯に衣着せない天真爛漫なやつで」

女「天真爛漫……。褒められてるのかな。にしし」

男「にしし、って感じで歯を見せながら笑う奴だったんだ」

女「だった?」

男「その顔が可愛かったんだけど」

女「可愛かった?」

男「そんなあいつが大好きだったんだけど」

女「……」

男「本当に、大好きだったんだよ」

女「……」

男「それなのに」

女「……」

男「あいつは事故で死んじゃったんだ」

男「俺は昔から落ち込みやすくて」

男「そんな俺に『もっと笑ったほうがいいよ』って言ってくれたっけな」

男「そんなあいつの言葉に、あいつの笑顔に励まされてて」

男「大好きで」

男「好きだったのに」

男「なんで死んじゃったんだよ」


女「……ごめん」

男「こんな長々と墓石に語り掛けてるなんて、未練がましい奴だな」

男「俺は情けないやつだ」

男「本当に情けない。あいつの前で愚痴をこぼしてるなんて、本当にバカだ」

男「だから、これでこの墓の前で悲しい顔を見せるのは最後にするよ」

男「あいつも笑ってくれって言ってたしな」



男「でも」


男「……俺の友人の話なんだけど」

男「胸に穴が開いたようで寂しいよ」

~おまけ~


男「っていう話を考えたんだけど」


女「勝手に私を殺すな」

友「なんで俺、海外逃亡してんの」

女友「勝手に人の恋心暴露しないでくれる?」


友「えっ?」

女友「あっ」

安価 >>17

1.本編ルートの続きを書いていく
2.おまけルートの続きを書いていく
3.その他(内容を記入)

今日中に安価つかなかったら終了でいっか

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