鳥海「大和さんは死神です」 (12)



海軍大本営。


とある提督執務室。


長門「――――――これが今回の演習の戦果だ――です」すっ

提督「取りあえずご苦労だった。どれ……」
ぺら…

提督「…………ふむ。よし上々の結果だ。皆よくやってくれてる様だな」

長門「そうだ…ですね。指揮をした私の目から見ても、皆よくやってくれていると思う…思います」

提督「……それもそうだが。何よりこの演習に於いてはお前の手腕によるものが大きいだろう。これなら、艦隊の指揮艦としても充分に運用してくれそうだな」

長門「これも提督の御指導の賜物です」

提督「いや。俺は特に何もしてないよ。これは長門、お前の自身の能力と、これまで培ってきた数多くの貴重な経験によるものだ」

長門「ありがとう…ございます。私としてもいずれは、この艦隊の戦艦として旗艦として皆を引っ張り、そして提督の直接の指揮がなかったとしても、私と皆の力でそれ以上の戦果を上げられる様に出来たら、と思っています」

提督「それは頼もしい事だな。よし…ご苦労だった。演習で疲れただろう。今日はもう下がって休んでくれ」


長門「はっ。では失礼します」ビシッ


がちゃ…


 
 

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1472559203



――――――


提督「よし。これで今日の執務は終わりだな。ご苦労だった。お前たちも…もう下がっていいぞ」

提督「天城。それに鳥海も」


天城・鳥海「「はい」」


―――


天城「………………あの…提督」

提督「ん?どうした天城」

天城「…………いえ。今日もお世話様でした。失礼します」ペコリ

鳥海「私も。本日もご指導を賜り、有難う御座いました。失礼します」ぺこり


ガチャ…


  


―――――

廊下。


天城「お疲れさま鳥海さん。大分…秘書艦の仕事にも慣れて来たみたいね」

鳥海「はい。天城さんと提督のご指導のお蔭です」

天城「そう言って貰えると嬉しいわ……と言っても私は秘書艦ではないのだけど。正式には……提督付き補佐艦。まぁこれも正式な役職ではなくて、ここの提督(あのひと)が独自にお考えになられたものだけど」

鳥海「確かに長門さんが正式な旗艦であり秘書艦ですが、でも実質この艦隊の秘書艦は、長門さんではなく天城さんであると私は思っていますから」

天城「…………」


鳥海「私は旗艦として艦隊の要になって戦う長門さんに、秘書艦として司令の執務を補佐する天城さん。執務と戦闘の担当を分ける事によって、長門さんも艦隊指揮に集中出来ますし。司令も執務と艦隊運用をスムーズに進められる。この役割分担のやり方は、私は凄く効率的であると思います」

天城「そうね……それは私もそう思うわ。実際に旗艦と秘書艦を同一艦にするのって、やっぱりちょっと負担が大きいと思うし……」

鳥海「それに……天城さんは正規空母です。他の艦隊なら正式な秘書艦であっても全くおかしくないですから」

天城「確かに戦艦と正規空母が揃っている艦隊は珍しいけど……他にない訳ではないし、同僚の戦艦が他ならぬあの長門さんなんだから、それはしょうがないかな」


鳥海「そうですね……何と言ってもあのビッグ7の一角ですからね……」


 


―――

天城「――――私はね。鳥海さんも、もう充分って言っていいくらい秘書艦としての仕事も覚えたし、他の艦隊なら秘書艦になれるかも知れないと思ってるのだけど」

鳥海「いえ…私は……この艦隊……あの司令の下で艦娘としてのキャリアを最期まで全うしたいので、重巡の私は秘書艦になれない事は承知していますから……」

天城「…………そう。確かにここの提督さんは、旗艦は戦艦か空母だって決めてらっしゃるから……でも勿体無いわね。鳥海さんの知識と見識なら、実務能力なら何処の艦隊でも重宝されるでしょうに」

鳥海「いいえ。私はここでも充分、重宝して頂いてます。それに―――――」

鳥海「補佐艦だったら可能性はゼロではないですし、そうすればあのヒトの一番お傍に置いて頂けますから……そう旗艦の艦娘よりも」

天城「…………ふーん。そうなんだ。鳥海さん…よっぽど提督の事が好きなのね」


鳥海「!?/////////////」ドキッ


鳥海「いっいえ…それは―――――――///////」かぁぁ


 


天城「ふふ…あんなオジサンのどこに、艦娘随一の才媛である鳥海さんが魅了されてしまったのかしら?」クスクス

鳥海「それは…そのっ――――――ってその話はちょっと……//////」かぁぁ

天城「そうね。ごめんなさい。でも…あのヒトの補佐艦に収まりたいのなら―――――」

天城「この私を蹴落とさないとね?」

鳥海「それは―――――寧ろ私は今のままでもいい…と思っています。もしかしたら将来的にそうなれればって…くらいで……私は長門さんは勿論、天城さんの事も尊敬していますから。今の私には今のままでも充分なんです」

天城「そう…………」

鳥海「本当ですよ?」


天城「ふふ…そういう事にいといてあげるわ」クス…


 


鳥海「まったく…本当ですからね?それから――――って……ん…あっそう言えばさっき、天城さん何か司令に言いたそうでしたけど……何も言わなくて良かったんですか?」

天城「えっ!?あ…………ええ。別に…大した事じゃ無いから……」

鳥海「そうですか……もしかしたら私が居たから言い難かったのかと思って……」

天城「そうじゃないの。ただ……」

鳥海「ただ?」

天城「ふふ…言っても意味がない―――――って思ったから」

鳥海「そうですか……」

天城「…………ねぇ鳥海さん」

鳥海「何ですか?」


天城「もし…本当にもしもだけど、私に何かあった場合は……その時は…あのヒトの事をお願いね」



 


鳥海「えっ!?」どきっ

鳥海「ど…どういう事ですか?」

天城「うーん。こんな意味深な事を言っておいてなんだけど、ホントに特に深い意味はないの。ただ、何となく言ってみたくなっただけ。ホントにそれだけなの。でも…ごめんなさい。いきなりそんな事言われたら吃驚するわよね」

鳥海「そうですよ。でも…本当に何もないんですか?」

天城「ええ。本当に何もないの。ふふ…可笑しいわね。それなのに急に今みたいな事を言ったりして……でも、もしかして何かの予兆だったりして?」

鳥海「予兆って…変なコト言わないで下さい。私はこの…今のこの艦隊が気に入ってるんですから。何かあったら困ります」

天城「ええ。そうね…それは私も一緒。私もこの艦隊に……そしてあの提督の下に配属して頂いて本当に良かったと思ってる」にこ

鳥海「はい」こく


――――


艦娘宿舎。


天城「ではおやすみなさい鳥海さん」

鳥海「おやすみなさい天城さん」


――――

天城の部屋。


天城(でも確かに……どうして急にあんな事を言ってしまったのかしら…………)はて?


天城(まぁいいわ……今日は何かちょっと疲れちゃったし、お風呂に入ったら…すぐに寝ましょー―――)

  
 



鳥海(そう……私は天城山に言った通りいやそれ以上に、天城さんの長門さん……そして何よりもあの司令が率いるこの艦隊が大好きだ)


鳥海(出来る事ならずっとこのままでいられれば…………私はそれでいい…と思っていた)


鳥海(だけど―――――――)


鳥海(大袈裟なのかもしれないけど……ある意味その夢の様だった時間は…ある日突然、終わりを告げ、今のままではいられなくなる事を余儀なくされる――――――)



鳥海(そう――――――)


鳥海(この少し後に…………)




鳥海(あの艦(ヒト)が…この艦隊(ここ)に……この司令の下に配属されたのが、その始まりだった―――――――)



 

取り敢えずここまでです。
次はいつになるか分かりませんが書けたら書きたいと思います

それでは。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom