梨子「とりあえずホームセンターで梯子をかってきたわ」

梨子「よいしょっと…｣ｶﾞﾀ

梨子「やった、届いた！」

梨子「ここを渡れば千歌ちゃんのお部屋…！」

梨子「私しか知らない、秘密の架け橋」

梨子「待っててね、千歌ちゃん！｣ｷﾞｼ

ｷﾞｼ…ｷﾞｼ…

梨子「うう…こ、怖い…｣ｵｿﾙｵｿﾙ

梨子「はぁ…ほんの2mくらいなのに、長かった…」

梨子「待っててね、千歌ちゃん｣ｸﾞｯ

梨子「あれ…？｣ｸﾞｲｸﾞｲ

ｶﾞﾀｶﾞﾀ…

梨子「窓…鍵がかかってる…」

梨子「うぅ…｣ｼﾞﾜ

梨子「ひどいよ千歌ちゃん…」

梨子「この窓はいつもあけておいてくれるんじゃなかったの…」

梨子「ここ最近、いつもカーテン閉まっててお部屋の中は見えないし…」

梨子「…あけてよ、お願い、千歌ちゃん…｣ｶﾘｶﾘ

梨子「千歌ちゃん、千歌ちゃん…｣ｶﾘｶﾘｶﾞﾀｶﾞﾀｷﾞｼｶﾞﾀｯ

梨子「…はぁ」

梨子「また明日、学校でね」

梨子「おやすみ、千歌ちゃん」

ｷﾞｼ…ｷﾞｼ…

次の日

梨子「おはよう、千歌ちゃん」

千歌「！｣ﾋﾞｸｯ

千歌「お、おはよ…り、梨子ちゃん」

梨子「今日は早いね、千歌ちゃん｣ﾆｺﾆｺ

千歌「う、うん…」

梨子「どうしたの？どこか具合悪いの？」

千歌「う、ううん！」

梨子「ふふっ、へんな千歌ちゃん」

梨子「こんなに早起きして、学校始まるの、まだまだ先だよ？」

千歌「…っ」

千歌「り、梨子ちゃんも…早いね」

梨子「うん！」

梨子「だって、千歌ちゃんと行きたいもの」

梨子「千歌ちゃんが出てくるの、待ってたんだよ」

千歌「待ってたって…いったい何時から…」

梨子「4時くらい、かな？」

千歌「4時っ…!?」

梨子「だって昨日は、千歌ちゃん先に学校行っちゃったじゃない」

千歌「だって…！」

梨子「ねえ、どうしてなの、千歌ちゃん？」

梨子「どうして、私を避けるの？」

千歌「そんなことないよ…」

梨子「嘘｣ｸﾞｯ

千歌「痛っ…ちょっと、梨子ちゃん！」

梨子「答えて」

梨子「私の、どこが悪いの？」

梨子「私、頑張って直すから…」

梨子「だから、教えて？」

千歌「…それだよ」

梨子「えっ…？」

千歌「最近、変だもん…梨子ちゃん」

梨子「私が…変…」

千歌「…｣ｺｸ

梨子「ど、どういうこと、千歌ちゃん…」

梨子「私はただ、千歌ちゃんに…」

千歌「そんなこと言ってるのが、もうおかしいの！」

梨子「千歌ちゃん…」

千歌「ねえ、梨子ちゃん…」

千歌「この際だから、聞くよ？」

千歌「しいたけのこと…知らない？」

梨子「っ！」

梨子「し、しいたけちゃん…まだ帰ってこないのね」

千歌「…」

梨子「大きかったから…自分で…」

千歌「…私は、そうは思えないよ」

千歌「いくらしいたけでも、あの鎖を千切ったりできないもん…」

千歌「きっと、誰かが連れてったんだ…」

梨子「千歌ちゃん…」

千歌「それでね、そんなことしそうな人、考えてみたんだ」

梨子「待って！そのことと、私がおかしいってことと、一体…」

千歌「絶対に関係ない？」

梨子「関係ない！」

千歌「そっか…」

梨子「どうして…こうなっちゃうの…」

千歌「なんでだろうね…」

梨子「千歌ちゃんにとって、私って…」

千歌「あ、バス、来たよ」

梨子「千歌ちゃん！」

千歌「朝からそんなことばっか言ってたら、輝けないよ？」

千歌「梨子ちゃんとは…もっと楽しいお話がしたい」

梨子「なら！」

千歌「だから…今は静かにしてて」

千歌「ほら、乗るよ？」

梨子「うん…」

ﾌﾞﾛﾛﾛ…

梨子「…」

千歌「…」

ﾌﾟｼｭｰ…

千歌「…着いたね」

梨子「うん…」

放課後

ダイヤ「千歌さんたち、また練習休んでますの？」

ダイヤ「ラブライブ予選も近いというのに…まったく」

曜「…」

ルビィ「おねえちゃん…その」

ダイヤ「どうしたんです、あなたたちまで」

曜「それが…」

千歌「…」ｻﾞｯ

千歌「梨子ちゃんの家…そっちだよ」

梨子「そうね」

千歌「ここ、私んちの玄関だけど」

梨子「そうね」

千歌「帰らないの？」

梨子「どうして？」

千歌「どうしてって…！」

梨子「…？」

千歌「なんで当たり前みたいについてくんの！？毎日毎日！」

梨子「だって…」

千歌「たまには普通に帰ってよ！」

梨子「ち、千歌ちゃん…」

千歌「たまには…ほっといてよ」