絹代「おかえりなさいませ!」 まほ「…何故ここにいる」 (29)

前スレ ミカ「やあ、お帰り」 まほ「…何故ここにいる」


まほ「西、何故ここに…」

しほ「それは私から説明しましょう、来週に知波単との合同演習がありますね?
彼女はその先遣として来たのですが空き地に戦車停めて中で野営してるの見たら
なんかかわいそうになって…」

絹代「いやあ、野営するのも訓練のうちだと思ってましたが家元が泊まっていけと
仰るものですからお言葉の甘えることにしました」

まほ「…まあそういうことなら断る理由はありませんが何でもかんでも拾ってくる
のはやめてくださいね…」

しほ「もう、まほったら」

絹代「よろしくお願いしまっす!」

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菊代「皆さん、晩ご飯の用意ができましたよ」

しほ「じゃあみんなで夕食にしましょうか」

まほ「そうですね」

絹代「いただきます!…ってこれは!」

まほ「おい、どうした?」

菊代「あの…、何かお気に召さないことでも…」

絹代「こっ…、これは銀シャリではありませんか!それもこんなにたくさん!」

菊代「え…、ええ…」

まほ「お前ら普段なに食べてるんだ…」

絹代「普段は麦飯かコーリャンで、白米なんて元日と天皇誕生日の年2回だけで…」

菊代「今どきコーリャンなんて白米よりコストが高くなると思うんですけど…」

しほ「まあ質実剛健なのはいいことだと思います」

まほ「なんぼなんでもやり過ぎだと思います」

絹代「こんなに大量の銀シャリ…、はっ!まさか闇米!?」

まほ「そんなわけないだろ…」

菊代「自主流通米ですから安心して召し上がってください」

しほ「まほ、そういえば今日は昇段試験があったわね、どうだったの?」

まほ「お母さま、無事合格しました。これで2段です」

絹代「あの、昇段試験というと…」

まほ「ああ、私は戦車道の他に剣道もやってるんだ。最初は体育の授業の選択科目としてだけだったのだが、
顧問の先生に筋がいいから本格的にやってみないかと言われてな」

絹代「おお!それはすごいですなあ!」

しほ「西さんは何か戦車道の他に武道はやってらっしゃらないの?」

絹代「はい!銃剣道をたしなんでおります!」

まほ「えっ」

絹代「着剣した三八式歩兵銃で『鬼畜米英!』と叫びながら藁人形を刺突する爽快感は
何ものにも代えがたいです!でも対戦相手がいないのが悩みの種でして…」

まほ「そりゃ、高校生で、しかも女子で銃剣道やってるとこって他にないだろう…」

菊代「ちょっと聞いたことないですね…」

しほ「少年少女銃剣道は小中学生までですからねえ」

絹代「ええ、小学生からいきなり大学生・社会人ですからねえ」

まほ「お母さま、詳しいですね…」

数日後…

まほ「やれやれ、ようやく帰ってくれたか。まったく西のやつ、毎朝4時半に起きて
乾布摩擦始めるからこっちまで寝不足になったじゃないか。でもこれでやっと平穏な
日常に…ん?」

カチューシャ「マホーシャ!お帰り!」

ノンナ「お邪魔しています」

まほ「なんでお前らがここにいるんだよ!」

カチューシャ「あれ?ここって戦車道の選手のための無料宿泊所じゃないの?」

まほ「そんなわけあるかぁぁぁぁ!」

カチューシャ「でも西住流のHPに『才色兼備で良妻賢母な美人家元が貴方をお待ちしております!』って…」

まほ「お母さまぁぁぁぁ!」

しほ「いいじゃないのまほ、賑やかで」

菊代「お嬢様、申し訳ありません…、私も止めたんですが…」

ノンナ「家元、お世話になります。つまらないものですがお納めください」

カチューシャ「モスクワの味・パルナスのクレーモフよ!」

まほ「お前ら一体何人だ」

菊代「パルナスってだいぶ前につぶれたんじゃ…」

しほ「悪いわねえ、気を遣ってもらって」

アンチョビ「よお、お前らも来てたのか」

ペパロニ「お世話になるっす!」

カルパッチョ「ご迷惑にならないようにと、お米と野菜とパスタを持参したのですが…」

ダージリン「こんな言葉をご存知かしら?『家を飾るものはそこを訪れる友人たちであれ』」

オレンジペコ「エマーソンですね」

しほ「ネットの力ってすごいわねえ、どんどん人が来るわ」

まほ「あわわわわわ」

菊代「もう収拾がつきませんね…」

ミカ「やあ、また御厄介になるよ」

まほ「貴様ぁぁぁぁ!どのツラ下げて戻って来やがったぁぁぁぁ!」


ワイワイ  ガヤガヤ

まほ(ダメだ…、もう限界だ…)

しほ「あら?まほはどこに行ったの?」

菊代「おっ…、奥様!大変です!こんな書置きが!」

『全てに疲れました、遠いところに旅立ちます。 まほ』

しほ「…まあ、お腹が空いたら戻ってくるでしょ」

菊代「うわっひでえ」

大洗女子学園…

沙織「ちょっと…、なにあれ…」

みほ「お…、お姉ちゃん…、ジャージにチューリップハット姿でウクレレ片手に何を…」

まほ「やあ、風と一緒に流れて来たのさ」

華「目や顔色が尋常じゃないんですけど…」

まほ「というわけでしばらくの間泊めてくれ」

みほ「急にそんなこと言われても私たちみんな寮住まいで部外者は泊められないし…」

沙織「あそこだったら泊めてもらえるんじゃない?」

秋山理髪店…

まほ「やあ、お帰り」

優花里「あ…、あの、何故ここに…」

数日後…

まほ「いらっしゃいませ」

客「いやあ、秋山さん、いい子が来てくれたねえ」

淳五郎「ええ、ウチの新しい看板娘ですよ」

好子「優花里も『お姉ちゃんができた』って大喜びで…」

客「優花里ちゃん小さい頃から一人っ子で淋しそうにしてたからねえ」

まほ(これが真の幸福なんだ…、ここが本当の私の居場所だったんだ…!)

沙織「お姉さん、すっかりゆかりんのとこの住み込み店員になっちゃったねえ」

麻子「まあ本人も秋山さんご一家も満足みたいだし問題ないんじゃないかな」

華「めでたしめでたしですね」

みほ「…由々しき問題だわ…」

沙織「え?」

みほ「もしもしお母さん?みほだけど…」

しほ「大変お世話になりました、後日改めてお礼に伺いますので」

好子「はあ…」

まほ「やだぁぁぁ!あんな家に帰るのやだぁぁぁ!私はここで理容師になるんだぁぁぁ!」

優花里「うわあああん!お姉ちゃん行っちゃやだぁぁぁ!」

沙織「みぽりん、本当にこれでよかったの?ゆかりんもお姉さんもガチ泣きなんだけど…」

みほ「なに言ってんの、お姉ちゃんが帰らないと私があの家を継がなきゃいけなくなるんだよ?
そんなの絶対にいやだから。でもこれで一安心だね♡めでたしめでたし♡」

沙織「…やだもー」

その後、再び家出して山奥の温泉旅館に住み込んだまほを主役に
新シリーズ、『湯けむりタンクコマンダー』が始まるのだがそれは
また別の話である。

            終

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