男「怖い夢の話をしよう」 (21)

~日曜日~

友「おい男、何か今日は眠そうだな」

男「うん、ちょっと眠いわ」

友「じゃ、退屈だから何か面白い話をしろよ」

男「おいおい、いきなり無茶ぶりするなよ。俺そんな面白いネタ持ってないし」

友「じゃあ何か、怖い話でもしてくれよ。夏だし。怪談とかさ」

男「怪談ねえ……。うーん。あっ、そうだ」

友「ん? 何だ」

男「昨日の夜さ、何か奇妙な夢を見たんだ。怖い夢だったと思う。それを話してみるよ」

友「おお、怖い夢! 聞かせてくれ。面白そうだ」

男「わかった」

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昨日は夜の10時ごろには部屋の電気を消して寝ころんでいたんだ。
普段は仕事の関係で就寝時刻はいつも午前1時より遅くなっていたので、俺にとってはかなり早い時間帯に床に就いたことになる。

暑いので窓は全開にしていた。隣の家で子どもと親のしゃべり声が聞こえる。どうやら風呂場でしゃべっているらしい。


とりあえず床オナをして、ふと時計を見たら11時手前。それぎり時計は見ていない。寝落ちしたからだ。


気が付いたとき、俺は相変わらず自分の部屋にいた。電気は付いていたように思う。

夏の夜だ。虫の声がする。
窓はやはり全開である。ちょっと涼しすぎる。





ここで急に場面が転換する。



森の中にいた。うっそうと茂った木々。ちょっと陰鬱な雰囲気。
昼間のようだが木立の陰で暗く感じる。

俺は何故か羽美ちゃんになっていた。
羽美ちゃんって誰かって?
『かってに改蔵』って漫画に出てくるヒロインの女の子でちょっとアレな娘なんだ。

知らない?
うーん、何ていうの。猟奇的なヒロインというか。ヤンデレ……なのかな。まあそんな感じのキャラなのよ。

俺の視点から羽美ちゃんの姿が見えるんだが、なぜか俺が羽美ちゃん自身だということを知っている。


羽美ちゃん(=俺)は森の中で迷ったのか彷徨い歩いていた。

すると、森の奥に駅のホームがあった。かなり田舎のようで、無人の駅だ。改札などなくそのまま中に入れてしまう。

駅には電車が止まっていた。
姿は見えなかったのだが、電車の中では改蔵たちがいて、彼らが自分が来るのを待っていたのだと羽美ちゃんは知っていた。

羽美ちゃんは走る。急いで走る。あと少し。あともう一歩で電車に乗れる。
電車の扉に手を伸ばした瞬間、電車は音もなく動き出した。


間に合わなかった。


羽美ちゃんはその場に立ち尽くしていた。森の闇が深まっていく。





ここで再び、場面が転換する。




夜になっていた。

そして視界は奥深い森の中から急に都会に変化していた。
俺は凄く高い所から眼下を見下ろしている。

高層ビルがたくさん、にょきにょきとタケノコのように生えてきている。そんな印象をもった。

何処の街なのかは分からないが、何となく東京や大阪のイメージ。凄く明るい街だ。

高層ビルの何室かには明かりがともっている。
ぐっと目を凝らして見てみると、中の様子が鮮明に見えた。


その一室では、二人の男が全裸で寝転がっていた。

二人とも仰向けで、縦に並んでいた。お互いに、相手に足を向けて寝ころんでいて、アレが連結しているような状態ではなかった。


二人の男の姿形が全く同じで、グルグル眼鏡のハゲ親父だった。


どこかで見たようなキャラクターだと思って、後でネットで調べたら『加トちゃん』だった。
旅行とかに行ったときに土産物屋でキーホルダーとか置いているやつ。地域限定版とかいろいろあったような気がする。

彼らの様子をしばらくじっと眺めていたが、変化はなかった。
彼らはぴくりとも動かず、そのままの姿勢で寝ころんでいた。





ここでみたび、場面が転換する。




目を開けると、再び自分の部屋の中だった。明かりは点けっぱなしになっている。

やはり窓は全開でかなり涼しい。いや、肌寒いくらい。

なんとなく、部屋の戸を開ける。本当の部屋では開き戸なのだが、なぜか引き戸になっていた。
戸が開いた。別に部屋の外に出るつもりはなかった。


と、その時、戸が急にひとりでに閉まり始めた。


戸の前にはだれもいない。
俺は一瞬ビビったが、すぐに手を差し出して戸が閉まるのを止めようとした。
手を介してかなり強い力が戸にかかっているのを感じた。

止められない。

手を挟みそうになった瞬間。急にかかっていた力はなくなり、戸は閉まる直前で静止した。

俺は再び戸を開けた。
戸の前にはやはり誰もいない。

視線をずらした。下の階に続く階段が見える(俺の家は二階建てで、部屋は二階にあった)。


暗い階段の陰で、壁に寄りかかっている『何か』が見えた。


と思ったとき、俺の体はすくんで身動きが取れなくなった。

このときになって、『怖い』という感情がみるみる湧き上がってきた。

動けない。

動けない。

動けない。

動けない。

動けない。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

『何か』は全体にぼやけた白いものだった。
よくよく見ると、白い服のようだ。


これ、たぶん死に装束。


白いものは、死に装束を来た人間のような『何か』だった。


その正体を俺は知らない。

男「終わり」

友「……えっ。続きは?」

男「いや、ここで目が覚めたんだよ。目が覚めたときはちょっと動悸がしてて、とにかくすごく怖かった」

男「電気はちゃんと消えてた。時刻は午前2時15分。窓は全開で、結構涼しかったわ。秋ももう近いんだな」

友「で、続きは?」

男「いや、だからこれで終わりなんだって」

友「なんだよ、オチがついてないじゃん」

男「いや、夢にオチがつくほうが珍しいと思うんだが」

友「ん、待てよ。……最後に『階段』が出て来たから、お前は一応『カイダン(怪談)』を話したことになるわけか」

男「無理やりなオチの付け方だな。いや、落ちたかそれで?」

友「てか、こうやって聞いてみると、そこまで怖い夢かって思うけど。中途半端だし。起承転結のないオムニバス形式って感じ」

男「いや、実際起きた瞬間は凄い怖かったんだって。その後、朝まで眠れなくて電気をつけてネットやってたもん」

友「だからお前、ちょっと眠そうな顔してるのか」

男「うん」

友「夢とかよく見るの?」

男「いや、たまにだけど。見るときは毎回、支離滅裂で変な夢だわ」

友「へえー。面白いな、それ。俺なんて全然夢見ないし」

男「面白くねえよ……怖いし」

友「まあ、また暇つぶしに夢の話でもしてくれよ」

男「ああ」

友「ところで、一つ質問していいか」

男「ん、何だ」

友「その、羽美ちゃんってキャラをオカズにオナってたのか?」

男「それはない」

友「じゃ、隣の家の子どもか。幼女だったんだろ?」

男「ちゃうわ!」

友「じゃ、隣の人妻」

男「ねーよ!」

友「……なるほど、ということは」

男「ということは?」

友「グルグル眼鏡のハゲ親父だな! お前ホモか!」

男「ちげええええええええええええええっ」




                                           (おわり)

以上
>>1が実際にさっき見た夢。起きてから眠れないので取りあえず書き起こしてみた次第。
もちろん男と友の会話部分は創作
マジで眠れない……

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