ラディッツ「何でだよ、親父!」 (41)

ラディッツ「何で俺が地球なんて辺境の星に行かなきゃならないんだよ!」

バーダック「……」

ラディッツ「それもカカロットと一緒のカプセルで、こそこそと隠れるような真似までして?」

ラディッツ「本当だったら今日もベジータ王子達と他の星を襲いに行ってた筈なのによ」

ラディッツ「急に帰ってきたかと思えば、いきなり訳の分からないこと言い始めやがって」

バーダック「……」

ラディッツ「何とか言えよ、親父!」

バーダック「……うるせェ、ガキが口答えしてるんじゃねェぞ!!」バキッ

ラディッツ「グアッ!?」

バーダック「テメェは良いから、黙って俺の言うことを聞いてりゃいいんだよ!」

ラディッツ「うぅ……」

ギネ「バーダック、それくらいに……」

バーダック「チッ」

ギネ「ごめんね、ラディッツ」

ギネ「母さんが、父さんに無理やり頼んだんだ」

ラディッツ「……どういうことだよ?」


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ギネ「カカロットは戦闘力が低くてね」

ギネ「さして力のある種族がいない辺境の星に放し子として送り込むことにしたんだけど」

ギネ「それでもやっぱり心配で、だからお兄ちゃんのアンタにカカロットの面倒を見て欲しかったんだよ」

ラディッツ「……はっ、笑わせるなよ!」

ラディッツ「いくら血が繋がってるからって戦闘力が低いカスの面倒を見ろだって?」

ラディッツ「誇り高い戦闘民族のサイヤ人が聞いて呆れるぜ!」

ギネ「ラディッツ……」

ラディッツ「大体お袋がそんな甘いことばっかり言ってやがるから、俺だって周りから……」

バーダック「テメェの弱さを人に押しつけんじゃねぇ!!」バキッボコッ

ラディッツ「ガハッ!?」

ギネ「バーダック!」

バーダック「お前が周りの餓鬼達から、よわむしラディッツってバカにされてる話は聞いてる」

バーダック「だがそれはお前自身の弱さが原因でギネとは全く関係ねぇ」

バーダック「お前の言う誇り高いサイヤ人なら尚更な」

ラディッツ「くそっ、俺だって俺だって……」

バーダック「……俺から見ればお前もカカロットも戦闘力が屑なことに違いはねぇ」

バーダック「だがなサイヤ人は戦えば戦うほど強くなる種族だ」

バーダック「今のお前はここまでやられても全くやり返せねぇ程の弱さだが」

バーダック「少しでも悔しいって思いがあるなら、経験を積んで強くなれ」

バーダック「そして強くなったら俺に仕返しに来い!」

ラディッツ「……分かったよ」

ラディッツ「絶対に強くなってアンタのことをボコボコにしてやるから、覚悟しておけよ親父!」

バーダック「それでこそサイヤ人だ」

ギネ「……ラディッツ、カカロットのことを頼んだよ」

ラディッツ「仕方ねぇから、カカロットのことは見ておいてやる」

ラディッツ「……それに悪かったな」

ギネ「ラディッツ……」

バーダック「話が終わったら、さっさと行け」

ラディッツ「うるせぇな、分かったよ」

ギネ「満月には注意しとくんだよ」

ラディッツ「あぁ」

バーダック「……達者でな」

ラディッツ「いつか吠え面かかせてやるから、首を洗って待ってろよ」

バーダック「おう、待ってるぞ」







ギネ「行っちまったね」

バーダック「そうだな」

ギネ「大丈夫かな?」

バーダック「ラディッツも一応はもう戦闘員だ」

バーダック「水も食料も豊富にある場所みてぇだし、何とかなるだろ」

ギネ「……」

バーダック「……なぁ、お前も」

ギネ「子供のあの子達ならともかく、前線を引いてるとはいえ私だってサイヤ人だ」

ギネ「下手に動いて目立つような真似して、あの子達にまで目が向いちゃ堪ったもんじゃないよ」

バーダック「そりゃそうだが」

ギネ「それにバーダック、私はアンタのことを信じてるし」

バーダック「ギネ」

ギネ「アンタと同じチームで一緒に戦って、何度も助けられて」

ギネ「そして今は何があろうと、私はアンタの傍にいるって決めてるんだ」

ギネ「アンタの強さは誰よりも私が一番知ってる」

バーダック「……下級戦士として生まれ、何度も死ぬ思いをして」

バーダック「その度に強くなっていってることは実感してきた」

バーダック「だけどお前と一緒になって、そういう強さとは違う力を手に入れた気がする」

ギネ「バーダック」

バーダック「これからどうなるか分からないが、たとえ何があろうと俺は負けない」

バーダック「生意気面したラディッツの野郎も返り討ちにしてやんねぇといけないからな」

ギネ「ふふ、そうだね」




カカロット「オギャー、オギャー」

ラディッツ「……うるせぇな」

カカロット「オギャー、オギャー」

ラディッツ「ちっ、到着までまだ時間が掛かる」

ラディッツ「こんな煩せぇ泣き声じゃ、俺の方がもたないな」

ラディッツ「睡眠装置を起動するか」ポチッ

ラディッツ「……いつか強くなって、絶対に見返してやるからな親父」

続く

ドラゴンボールssです
途中割かし主要キャラとしてオリキャラが一人出る予定です
ご了承ください

ビービービー

ラディッツ「な、なんだ!?」

ラディッツ「異常発生だと!?」

ラディッツ「くそっ、コントロールが利かねぇ!?」

ラディッツ「ただでさえ旧型なのに、一人用のポッドに無理やり二人も乗せやがるからこうなるんだ!」

ラディッツ「このままじゃ不時着だぞ!?」

カカロット「オギャー、オギャー!」

ラディッツ「うるせぇ、テメェは少し黙ってろ!」

ラディッツ「ダメだ、ぶつかるっ!!!!!」




チュドーン


ラディッツ「痛つっっ」

ラディッツ「くそったれ、今日ほど丈夫なサイヤ人に生まれてきたことを感謝したことはないぞ」

ラディッツ「……くそっ、ポッドが完全にバラバラになってやがる」

ラディッツ「そ、そうだ、スカウターの通信機で」

ラディッツ「っ、何でだ!?」

ラディッツ「通信機能がいかれちまってる!」

ラディッツ「チクショウ!」

ラディッツ「こんな辺境で帰る方法もなくて、連絡手段もなくてどうしろってぇんだ!」

ラディッツ「これも全部、お袋がカカロットが心配だなんて抜かしやがるから」

ラディッツ「……そういや、カカロットはどうした?」




ラディッツ「チッ、こんなとこに埋まってやがったのか」

ラディッツ「手間取らせやがって……って、こりゃもうダメだな」

ラディッツ「ポッドがあのザマじゃ、救命装置も使えねぇし」

ラディッツ「恨むなら、テメェの運のなさを恨むんだな」

ラディッツ「こうなっちまった以上、俺にできることはないだろうし」

ラディッツ「俺自身、今は自分のことで手一杯だ」

ラディッツ「悪いが、このまま一人でくたばってくれ」ポイっ

ラディッツ「あばよ」テクテク




ギネ『カカロットのこと、頼んだよ』



ラディッツ「…………くそっ」

ラディッツ「だからって、どうしろっていうんだ?」

ラディッツ「俺にできることなんて何も……」

ガサガサ

??「強い衝撃に、とんでもない気を感じたと思ったが何事じゃ?」

ラディッツ「何者だ!?」

??「こ、子供!?」

ラディッツ(この星の原住民か?)

ラディッツ(……戦闘力58)ピピっ

ラディッツ(ゴミみたいな戦闘力だが、どう見てもただの老いぼれにしか見えない)

ラディッツ(こんなジジィでこの戦闘力なら、思った以上にこの星を潰すのは面倒かもな)

ラディッツ(まあ今はそれどころではないが)

??「お前さんこそ何者じゃ!?」

??「この有様は一体?」

ラディッツ「おい、ジジィ!」

??「な、何じゃ?」

ラディッツ「この近くに医者はいるか?」

??「むっ、お主ケガをしておるのか?」

ラディッツ「俺じゃなくてコイツがな」

??「あ、赤ん坊!?」

??「それに何て酷いケガじゃ」

ラディッツ「それで医者はいるのか?」

??「医者がいる村までは、山を下りなきゃならん」

??「それに医者に見せたところで、この傷では……」

ラディッツ(この星の医療技術はそこまで高くないか)

ラディッツ(やはりここまでのようだな、カカロット)

ラディッツ「そうか、ならお前にもう用はない」

ラディッツ「ここで消え「ま、待てよ」」

??「確か昔、無天老師様からいただいた……」

ラディッツ「何だ、何か当てがあるのか?」

??「もしかしたら、この赤子を助けられるかもしれん」

ラディッツ「出まかせじゃないだろうな?」

??「こんな状況で出まかせなんて言う阿呆がおるかい」

??「今から儂の家に向かう」

??「一刻を争うじゃろうから、急ぐぞ」

ラディッツ(助けを呼べない以上、今は急いでこの星を更地にしても仕方ない)

ラディッツ(どちらにせよ、最低限の拠点があっても困らないか)

ラディッツ(万が一、本当にカカロットが助かってもそれも良し)

ラディッツ(いざとなったらこんなジジィ縊り殺すことなんて造作もないしな)

ラディッツ「分かった、案内しろ」

??「うむ、ついてきなさい」

つづく

以上です

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