男「そ、そんな……! 仮面の男の正体が兄さんだったなんて……!」 (30)

仮面の男「時は満ちた……そろそろオレの正体を明かすとしようか」

男「お前は……! たびたび俺の前に現れては、助言や手助けをしてくれた男!」

男「お前の正体はいったい何者なんだ!?」

仮面の男「オレの正体、それは――」カパッ

男「!!!」

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男「兄さん……!?」

兄「フフフ、オレのことを覚えていてくれたか」

兄「仮面など介さず、まともに顔を向き合わせるのは、いったい何年ぶりのことか……」

男「そ、そんな……! 仮面の男の正体が兄さんだったなんて……!」

女幹部「オホホ、ずいぶん驚いているようね」

男「お前は……! 俺の敵でありながら、たまに俺を助けてくれたりした妖艶な女幹部!」

男「なぜ、今このタイミングでここに!?」

女幹部「それは私の正体を教えてあげるためよ」

男「正体……!?」

女幹部「私の正体は――」

姉「あなたの姉だったのよ!」バサァッ

男「姉さん!?」

男「あの優しかった姉さんが、魔王配下の女幹部……!? ウソだ!」

姉「残念ながら、真実なのよ……」

男「どうして!? どうして姉さんが……!」

謎の幼女「うふふ……」

謎の少年「えへへ……」

男「お前たちは……! 時々俺の前に現れては、意味深な言葉を残していく子供たち!」

男「どことなく俺に似てる気もするが、いったい誰なんだ!?」

謎の幼女「お兄ちゃん」

謎の少年「お兄ちゃん」

男「え!?」

男「お兄ちゃんって……まさか!?」

妹「あたちはね、お兄ちゃんの妹なのよ」

弟「ぼくはね、お兄ちゃんの弟なの」

男「そんな……! どうりで似てると思ったけど、俺に妹と弟がいたなんて……!」

女神「こうなってしまっては……わらわの正体も明かさねばならぬな」フワッ…

男「女神様!?」

男「俺に魔王を倒すための力を授けて下さったあなたにも、秘密があるというのですか!?」

女神「もちろんじゃ」

男「どんな秘密があるというのですか!?」

女神「ふふふ……」

女神「昔はよく、あなたを膝に抱いて絵本を読んであげたわね」

女神「一人の勇敢な若者が魔王を倒す、英雄物語を……」

男「!」

男「女神様……あなたは母さんなのか!?」

母「そうよ」

男「そんな、母さんはあの事件で亡くなったとばかり……!」

魔王「フハハハハ……!」

魔王「ずいぶんと混乱しておるようだな。まあ無理もないことだが」

男「魔王ッ! まさかお前まで現れるとは! 今日こそ決着をつけてやる!」

魔王「フハハハ……まあそう焦るな」

魔王「今から貴様に面白いことを教えてやるのだからな」

男「面白いこと……?」

魔王「……我が息子よ」

男「!?」

男「息子だと……!? 俺が……!?」

男「ということは……魔王、お前は俺の父親……!?」

父「そうだ」

男「ウソだ……!」

父「残念ながら本当のことだ」

男「俺は信じない……! 絶対に信じないぞ!」

精霊「ワン!」

男「お前はいつも俺の近くにいる動物の精霊!」

精霊「ワン、ワン!」

男「まさか……お前も!?」

精霊「ワン!」

男「この鳴き声……どこかで聞いたような気がする」

男「そうか……! お前は昔、俺が飼っていた犬か!」

犬「ワン!」

男「お前は死んだとばかり思っていたけど……」

男「精霊として転生して、ずっと俺のことを見守ってくれていたのか……」

男「ようするにだ、お前らは全員グルだってのが分かった」

男「なぜだ!? なぜこんな回りくどいことをして、俺に力を与えた!?」

父「フハハ、決まってるだろう?」

父「お前を覚醒させ、この世界全てを救う戦士に育て上げるためだ!」

兄「騙してて悪かったな」

姉「これも世界のためなの……許してね」

妹「キャハハ、がんばってね、お兄ちゃん」

弟「アハハハ、がんばってよ、お兄ちゃん」

母「これはあなたにしかできないことなのよ」

犬「ワン!」

男「これまでの戦いは全て……全て、仕組まれたものだったのか……!」

男「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

男「あー……面白かった。全力で叫んじゃったよ」

兄「ナイス演技だったぜ。お前、俳優になれるんじゃねえの?」

男「おだてるなよ、兄貴」

姉「やっぱり面白いわね。この『謎のキャラの正体は肉親だったごっこ』は」

妹「おもしろかったー!」

弟「ぼく、もっとセリフ欲しかったな」

父「たまには家族全員で、こういう大がかりなお遊びをやるのもいいもんだ」

父「ま、母さんが女神ってのはちょっと無理がある設定の気もするが――」

母「なんですって!?」

父「ごめんなさいっ!」

犬「ワン、ワン!」

男「ポチ、もう吠えなくていいんだぞ。ごっこ遊びは終わったんだから」



「あのー……」

近所のおばさん「回覧板を届けにきたんですけど……」



一家「ドア開けっ放しだったーっ!!!!!」








おわり

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