【モバマス】乃々「もりくぼは静かに暮らしたいだけなんですけど……」 (23)


どうも、もりくぼです。

悪夢のような総選挙が終わり、ラジオ収録も何とか切り抜けました。
総選挙4位なんて、どうせ何かの間違いですし。
きっとみんな、すぐ忘れてくれるに違いありません。

そのためにも、私は静かにひっそりと暮らしていこうと思います。
フェードアウト……素敵な響きです。

希望を叶えるためには、行動あるのみです。
というわけで、今日ももりくぼは机の下で息を殺しています。


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なのにプロデューサーさんは。
私に無慈悲な言葉を投げかけてきました。

『明日は懇親会だから』

私はすっかり忘れていました。

そう、CDデビューの件です。

どうやら懇親会というのも、その関係で開かれるそうです。
事務所で内々に開くものだから私も出席しないといけないそうです。


もりくぼ、魂が消えそうになりながらここまで頑張ったんですけど。
これだけ頑張ったんだから、もう休ませてくれてもいいと思うんですけど。

知らない人がいないのは正直助かりますけど。
もりくぼが言いたいのはそんなことではないんです。

主役とか……むーりぃー……


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乃々「(というわけで、もりくぼは事務所の隅に退避しています)」

乃々「(今回二つのグループでCDデビューというお話なんですけど……)」

乃々「(あんな凄い人たちの中に入れだなんて……いぢめですか……)」

乃々「どうかこのまま、誰にも気づかれませんように……」

ライラ「おや、乃々さん。休憩でございますか?」

乃々「さっそくライラさんに見つかってしまったんですけど……」

ライラ「えへへー、ライラさんも一休みですよー」

乃々「あ、あの、出来れば私のことは、放っておいてほしいんですけど……」

ライラ「乃々さん、お料理いかがですか? 美味しいでございますよ?」

乃々「うぅ……聞いてくれないです」


梨沙「ちょっとアンタたち、こんなトコで何やってんのよ?」

乃々「あぅぅ……」

ライラ「おー、梨沙さん。お疲れ様でございますよー」

梨沙「ライラ……その大量の料理は?」

ライラ「えへへー」

梨沙「笑ってごまかさないの!」

ライラ「あー、残ったものはちゃんと持って帰りますですよ?」

梨沙「そういう話じゃないでしょ……」

乃々「(このまま私のことは忘れてくれないでしょうか……)」


梨沙「それに乃々! 主役がこんな隅っこで何してんのよ?」

乃々「や、やっぱりダメでした」

乃々「あんな華やかなところに行ったら、もりくぼは溶けて消えてしまうんですけど……」

梨沙「何よソレ」

ライラ「ライラさんたちは、ただ今壁の花なのですよー」

梨沙「壁の花?」

ライラ「ここから皆さんの楽しそうな様子が見られるのでございます」

ライラ「皆さんの楽しそうな笑顔を見ていると、わたくしたちも幸せな気分ですねー」


梨沙「パーティーは参加するから楽しいんでしょ?」

ライラ「うーん、そうとは限らないのでございますよ」

梨沙「え?」

ライラ「ライラさん、故郷では色々なパーティーに出席してましたですよ」

ライラ「お仕事、お見合い、政治……そういったパーティーはどこかドロドロしていたのでございます」

乃々「な、なんだかライラさんが遠い目をしてるんですけど……」


ライラ「でも、ここでは頑張った人を皆さんでお祝いしてますです」

ライラ「そして、次は頑張るぞー、と、皆さん前向きでいらっしゃいます」

ライラ「ライラさんはそれを見ていて、幸せだなーと思うのですよ」

ライラ「ここでアイドルになれて、本当に良かったのでございます」

梨沙「何よ。もう満足したみたいなこと言っちゃって」

ライラ「もちろんライラさんも、次はもっと頑張るのですよー」

梨沙「当たり前よ、そうじゃなきゃ張り合いがないもの!」


乃々「お二人がものすごく立派で眩しいんですけど……」

梨沙「……今日の主役が何言ってんのよ」

乃々「うぅ、そんな目で見ないでほしいんですけど……」

梨沙「だったらもっと堂々としてなさい!」

乃々「…………むーりぃー……」

梨沙「アンタねぇ」


ライラ「梨沙さん、乃々さんはとてもすごいのですよ?」

梨沙「え?」

ライラ「逃げ出したいくらい怖くて苦手なもの、頑張ってましたです」

乃々「いや……あの…………」

ライラ「頑張ってそれで、ファンの皆さんに応えたいって仰っていました」

ライラ「ライラさんは感激しましたです」

梨沙「う……ちょっとわかるかも」

ライラ「乃々さんのあのお言葉で、ライラさんももっと頑張るぞー、となったのですよ」


梨沙「うん、それはいいのよ。アタシが言いたいのはそういうことじゃなくて」

ライラ「おや、違いましたですか」

梨沙「乃々は今、アタシたちの前を走ってるの。みんなの目標になってるのよ」

梨沙「だから、いつまでもビクビクオドオドしてちゃ、追いかけ甲斐がないの」

乃々「あうぅ……そんなの、荷が重すぎるんですけど……」

梨沙「何も今すぐ変われなんて言わないわよ」

梨沙「でもね、頑張ってる自分を少しくらい認めてやりなさいよ」

梨沙「それも、応援してくれる人に応えるってことじゃないの?」


ライラ「えへへー」

梨沙「……なによ」

ライラ「これがいわゆる、ツンデレというものなのでございますねー」

梨沙「な、何言ってんのよ! バカじゃないの!?」

ライラ「乃々さんを励ましていたのではないのですか?」

梨沙「…………そういうのは気付いても黙ってるのがオトナなのよ」

ライラ「おー、ライラさんまた一つ勉強になりましたですよー」


梨沙「で、どうなの、乃々?」

乃々「……じ、自信なんて、とても持てる気がしないんですけど……」

乃々「………………でも、ほんのちょっとだけなら、が、頑張ってみなくもない、です…けど……」

ライラ「えへへー」

乃々「わっ、ライラさん?」

ライラ「やっぱり乃々さんはすごい方ですねー」

乃々「あ、あの……?」

乃々「(なんでもりくぼはライラさんに頭を撫でられているんでしょうか)」

乃々「(……でもこれ、なんだかものすごい落ち着くんですけど)」

乃々「(ああ……ライラさんってお姉さんでしたもんね……)」

ライラ「あー、頭を撫でるのは失礼でしたでしょうか?」

乃々「い……いえ、そんなことは………むしろ癖になりそうなんですけど……」

ライラ「えへへー」

梨沙「何やってんだか」


梨沙「ほら、あっちで乃々のこと呼んでるんじゃないの?」

乃々「うぅ……ホントはこのまま息を潜めている予定だったんですけど……」

乃々「今頑張るって言ったばかりなので……ちょ、ちょっとだけ、行ってきます……」

ライラ「行ってらっしゃいですよー」

梨沙「世話が焼けるわ……」


ライラ「…………梨沙さんはいい人でございますねー」

梨沙「何よ突然」

ライラ「人に『こうしたほうがいい』とはっきり言えるのは、優しい証拠なのです」

梨沙「別に……アタシはただ思ったことを言っただけよ」

ライラ「やっぱり梨沙さんはすごいのですよ」

梨沙「アンタの方がよっぽど……」

ライラ「はいです?」

梨沙「何でもないわ」


梨沙「アタシは向こうで話を聞いてくるけど、ライラは?」

ライラ「あー、わたくしはここでお料理をいただいてますですよー」

梨沙「そう?」

ライラ「ちょっとたくさん取りすぎたのでございます」

梨沙「乃々が帰って来てもまだ残ってそうね」

ライラ「えへへー」

梨沙「これなら乃々も逃げ込みやすいし」

梨沙「(こういうのがオトナの気遣いなのかしら)」


梨沙「それじゃ、よろしくね」

ライラ「はいです。梨沙さんが心配していたこともお伝えしておきますねー」

梨沙「よ、余計なことは言わなくていいの!」

ライラ「おー、そうでございました」

梨沙「またあとでね」

ライラ「行ってらっしゃいませー」





ライラ「えへへー」

ライラ「やっぱりライラさんは、ここでアイドルになれて本当によかったのですよー」


<〆>

思いついたものを衝動的に書いてみました
コレジャナイ感とかあったらごめんなさい

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