智絵里「ほたるちゃんが」朋「幽霊に!?」 (47)



―――――事務所―――――


ガチャ
藤居朋「おはよーございまーす」

緒方智絵里「あ、朋さん、おはようございますっ」

朋「おはよー智絵里ちゃん、1人?」

智絵里「はいっ。まだ誰も生きてこの地に足を踏み入れた者はおりません」

朋「魔王の城なの?」



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前作
智絵里「水着と!」ほたる「海と!」朋「LackLuck!」




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朋「しかし暑いわね……。溶けちゃいそう」

智絵里「はい……、クローバー探しも難しい季節になってしまいました……」

朋「そ、そういえば最近聞いてなかったわ……。ちなみに昨日はどれくらいかかったの?」

智絵里「9秒82」

朋「いつの間にそんな人類最速の男みたいなタイムに!?」

智絵里「実は、晶葉ちゃんの発明のおかげなんです!」

朋「ええ……? 自動で見つけてくれるの?」

智絵里「いえ、三つ葉を10枚集めると、四つ葉1枚と交換してくれるんですっ!」

朋「智絵里ちゃんはそれでいいの!?」

智絵里「暑いので……」

朋「集めるのやめたら!?」



智絵里「あ、この前の写真集、サンプルが届いたみたいですよ」

朋「え、本当!? どこにあるの?」

智絵里「確か、あっちの棚に置いてありますっ」

朋「あっちの棚ね……」キョロキョロ

白菊ほたる「……」

朋「わあああああああ!!! ほ、ほたるちゃん!? い、いつからそこに!?」

ほたる「……」

朋「しかもそんな白装束に三角の頭巾なんてまるで幽霊みたいな……」

ほたる「……」

朋「……ほ、ほたる……ちゃん?」

智絵里「と、朋さん……」

朋「あ、というか智絵里ちゃん! さっき誰もいないって言ってたじゃん! ウソつかなくてもいいのに!」

智絵里「朋さん……?」

朋「え?」

智絵里「そこには誰もいませんよ……?」

朋「……はい?」



朋「いやいやいやいや! ほら! そこに! ほたるちゃんいるでしょ!?」

智絵里「い、いませんっ! わたしの目にはまるめたソーセージを持ったおじさんしか……」

朋「それはそれで見えたらヤバいやつだと思うけど!?」

智絵里「と、とりあえず落ち着いてください! ひっひっふー!」

朋「なんでラマーズ法なのよ! 出産に苦しんだ憶えはないから!!!」

ほたる「……」ヒッヒッフー

朋「なんでほたるちゃんがやってるの!?」

智絵里「本棚と話してる……、怖い……」

朋「その目やめて!!!」



ピピピピピピピピ

智絵里「あ、わたしの携帯です。失礼します……」ピッ

智絵里「もしもし……、あ、プロデューサーさん、お疲れ様です。……はい……はい……、えっ!? ほ、ほたるちゃんが!?」

朋「……!?」

智絵里「はい……わかりました……、失礼します……」

朋「ち、智絵里ちゃん! ほたるちゃんがどうしたの!?」

智絵里「お、落ち着いて聞いてください……」

朋「……」

智絵里「ほたるちゃんが、病院に運ばれたそうです……!」

朋「ええ!?!?!? どうして!? 何か事故に!?」

智絵里「いえ、そのくらいではほたるちゃんに傷はつきません」

朋「普通に納得できるのがイヤだけどじゃあどうして!?」

ほたる「……」ドヤッ

朋「ボディの強度にドヤ顔しないで!!! かわいいけども!!!」



智絵里「ほたるちゃんに傷をつけるには、ほたるちゃんと同じくらいの硬さのモノが必要です」

朋「なんかモンスターの攻略法を練ってるみたいで嫌なんだけど」

智絵里「しかし、そんなものは存在しません」

朋「詰んでない?」

智絵里「いいえ、方法が1つ。ほたるちゃん自身です」

朋「???」

智絵里「ほたるちゃんを使えば、ほたるちゃんにダメージを与えられますっ」

朋「これ、何の話???」



智絵里「ほたるちゃんが、自分で自分を攻撃すれば、ダメージが入るんです!」

朋「じ、自分で自分を!?」

智絵里「はいっ」

朋「ごめん全然場面が浮かばないんだけど、結局どうしてほたるちゃんは病院に……?」

智絵里「顔に止まった蚊を叩こうとして、思いっきり自分の頬を引っぱたいてしまったらしいです」

朋「ほたるちゃん!!!!!」

ほたる「//////」テレテレ

朋「いちいちかわいいなあもう!!!!!」



智絵里「えっと、確認なんですが、そこにほたるちゃんはいる……んですか?」

朋「いるわよ! ここに!」

智絵里「ではそれは……、"生霊"かも……」

朋「ええ!?」

智絵里「なにか伝えたいことがあって、現れたのかもしれませんっ!」

朋「そ、そうなの!?」

ほたる「……」コクコク

朋「そ、そうみたい……!」

智絵里「今、ほたるちゃんの声を聴けるのは朋さんだけですっ! しっかり聴いてあげてください!」

朋「ほ、ホントに……!? ほたるちゃん、何か伝えたいことが……?」

ほたる「この幽霊がよくつけてる三角のやつ、"天冠"って呼ぶらしいです」

朋「なんでこのタイミングでマメ知識を!!!」



朋「も、もっと他に! なにかあるんでしょ!?」

ほたる「もやしを漢字にすると"萌やし"らしいです」

朋「もう完全にムダ知識を披露する感じになってる!」

智絵里「砂漠で最も多い死因は溺死らしいですよ」

朋「緒方ァ!!!」

ほたる「鳥取砂丘ではそのようなことはないですよ。みなさん、ぜひ鳥取へ」

朋「みなさんって誰!?」

智絵里「へー、そうなんだ!」

朋「もう普通に会話してるじゃない!!!」



朋「もういい! 智絵里ちゃん、ほたるちゃんの病院に行こう!」

智絵里「えっ? でも、朋さん、このあとお仕事じゃ」

朋「そんなの関係ないわよ! ほたるちゃんの危機なのよ!?」

智絵里「でも……」

朋「でももだってもない! お仕事なんかよりほたるちゃんの方が100倍大切なんだから!!!」

智絵里「朋さん……」

ほたる「……」

朋「ここで行かなきゃ絶対に後悔する! ここで仕事を優先するようなあたしに、ほたるちゃんの隣に立つ資格はないわ!!!」

智絵里「……!」



朋「あたしは譲らないからね! 病院の場所教えて!」

智絵里「あ、そ、その前に、ほたるちゃんが何か言いたいみたいですよっ!」

朋「ええ!? またマメ知識!?」

ほたる「……う」ボソボソ

朋「え? なんて?」

ほたる「……り……う」ボソボソ

朋「ごめん、聞こえな……」

ほたる「ど……り……こう」ボソボソ

朋「え? もっと大きな声で……」

ほたる「ドッキリ……大成功……」

朋「」

智絵里「」ダダダ

朋「逃げたっ!?」



―――――――――――――――


朋「もう! 2人共! ひどいじゃない!!!」プンプン

智絵里「怒ってる朋さんもかわいい!(ごめんなさい……)」

ほたる「頬を膨らませる朋さんかわいい!(少し悪ノリをしてしまいました……)」

朋「もう!!!」



朋「もう2人なんて知らないんだから!」プイッ

智絵里「えっえっ」

ほたる「と、朋さん……?」

朋「……」プイッ

智絵里「」ガーン

ほたる「」ガーン

朋(……たまには反省してもらわなきゃ!)

智絵里「……」

ほたる「……」

智絵里「……ほたるちゃん、ここ、何階だっけ?」

ほたる「……7階です」

智絵里「……飛び降りよっか」
ほたる「……そうですね」

朋「待って待って待って!!!」



朋「発想が極端すぎるでしょ!?」

智絵里「もう生きていけません……」

ほたる「来世では仲良くしてくださいね……」

朋「現世でも仲良しのつもりだけど!?」

智絵里「生まれ変わっても、わたしに生まれたいな……。もしくは石油王」

朋「最期で台無し」



朋「わかった! わかったから!」

智絵里「ほたるちゃん、飛び降りの許可が出たよ……」

朋「わかったっていうのはそっちじゃなくて!!!」

ほたる「OK!」

朋「そのテンションはおかしくないかな!?」

智絵里「じゃあ、わたしが先に飛ぶねっ」ハイッ

ほたる「いえいえ、最年少ですから、私が先に……」ハイッ

朋「……え?」

智絵里「……」ジーッ

ほたる「……」ジーッ

朋「……」

朋「じゃあ……あたしが……」

智絵里&ほたる「「どうぞどうぞ!!!」」

朋「もー!!!」バンバン



―――――――――――――――


朋「というか、どうしてドッキリをしようってなったの?」

智絵里「あれは……、わたしが上京して3回目の春でした……」

朋「本当は?」

智絵里「今朝です」

朋「あら素直」


智絵里『~~♪』

ガチャ
ほたる『おはようございます……』

智絵里『あ、ほたるちゃん、おはよ……、そ、その恰好!?』

ほたる『これ、次のお仕事で使う衣装なんです。さっき衣装合わせしたんですが、似合ってますか……?』

智絵里『うんっ! とっても似合ってるよ! 火葬場まで顔パスできるように、ずっとその恰好でもいいんじゃないかなっ!』

ほたる『ありがとうございます……! ダイイングメッセージのために、智絵里さんの写真はいつも懐に入れておきますね』

2人『ふふふ……』


朋「ああ、胃が……」



智絵里『そっか、幽霊役で……』

ほたる『はい、でも"明るい役よりはやりやすい"なんて、あまり大きな声では言えないですけどね……』

智絵里『ほたるちゃん、儚い雰囲気だから適役かもねっ』

ほたる『私もそう思います……』

智絵里『ほら、そこの棚のとこみたいな部屋の端に立ってみたら、結構雰囲気でるかもっ』

ほたる『そうですか……?』トコトコ

智絵里『おおー、朋さんが見たらビックリしちゃうかもね』フフフ

ほたる『そうかもしれませんね』フフフ

2人『……』

2人『朋さんのビックリした顔、見たい!』


朋「そこで急に決まったの!?」

智絵里「この5秒後に朋さんが入ってきました」

朋「そこからのアドリブ能力凄すぎないかな!?」



朋「ま、まあ、何はともあれほたるちゃん、頑張ってね……?」

ほたる「はい、今回は、この世に未練があって成仏できない幽霊の役らしいんです。頑張りますね」

智絵里「未練かぁ……。ほたるちゃんは、死ぬ前にやっておきたいこととかある?」

ほたる「1度くらいはエレベーターの扉に挟まれずに乗り降りしてみたいですね」

朋「毎回挟まれてるの!?」

ほたる「あと、カップ焼きそばの湯切りを成功させてみたいです」

朋「あれ普通ミスらないけど!?」

智絵里「つまらない人生だねっ!」

朋「智絵里ちゃん!!!」



ほたる「そういう智絵里さんは、なにかありますか?」

智絵里「ほたるちゃんがFXでお金を溶かす顔を見てみたい」

朋「明確すぎる敵意」

智絵里「……っていうのはもちろん冗談で」

朋「あたしの知ってる"もちろん"とは意味が違う気すらしてくるわね」

智絵里「トップアイドルになるまでは死ねませんっ!」

朋「ここでまともなセリフ!? ごめん全然予想してなかった!!!」

ほたる「智絵里さん……」キュン

朋「ほたるちゃん、ちょろすぎないかな?」

智絵里「雨降って地固まる。ですねっ」

朋「暴風雨の直後にコンクリで固めるレベルの無理やりさだけど」



智絵里「朋さんはどうですか?」

朋「あ、あたし? うーん……」

智絵里「いつ死んでも一片の悔いなし……と」

朋「もうちょっと考えさせてよ! 誰がラオウだ!」

智絵里「あ、パソコンの中身ですか? 消してあげますよ?」

朋「別に見られて困るモノ入ってないから!」

ほたる「私がパソコンを触ると、もれなくデータがなくなるらしいです」

朋「それウイルスじゃないの!?」

智絵里「ほたるちゃんをウイルス扱いだなんて……酷いです……」

朋「もう智絵里ちゃんは黙っててくれない!?」



朋「まあやっぱり、もっとアイドルとして活躍しないと悔しいかもね」

ほたる「私も同感です。せっかくこうしてアイドルになれたんですから」

智絵里「はいっ! もっともっとお金を稼ぎましょうねっ」

朋「なんでそう生々しい言い方にしちゃうのかな」

ほたる「そして、トップアイドル……ですね」

朋「うん! その時には、2人が隣にいてくれるといいかな……なんて」

智絵里「朋さん……」

ほたる「朋さん……」

朋「えへへ……」

智絵里&ほたる「「もちろんですっ!」」

朋「ふふっ……。こういう時だけ、息ピッタリなんだから……」



朋「そういえば、その劇の役の幽霊はどうして死んじゃったの?」

ほたる「いえ、まだ台本を見てないのでそこまでは……」

朋「あ、そうなんだ。……まだ仕事までは時間があるわね」

智絵里「じゃあ、この前の写真集のサンプルを見てたらどうですか?」

朋「そっか、それはホントに届いてるのね?」

智絵里「はいっ。そこの棚のところに……」

ほたる「あ、私が取りますね」トコトコ

朋「ありがとー。……その服、歩きにくそうなのにごめんね?」

ほたる「いえいえ、大丈夫で……」ヨロッ ガンッ!!!!!

智絵里「あ」

朋「わ! あ、足、棚にぶつけちゃった!? 大丈夫!?」

ほたる「はい…、これくらいなら……」

ヒューーーーー
バシィィィーーーーーン!!!!!!!!!!!

智絵里「棚の上にあったタライが落ちてきましたっ!」

朋「ほたるちゃん!!!!!!」



おわり






過去作


池袋晶葉「世のため人のため雪美のためライラのため」

双葉杏「分解病りたーんず」

神谷奈緒「夏の常務も憎めない」


などもよろしくお願いします




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