【ラブライブ】穂乃果「バスケで廃校を救うよ!」 (113)

・n番煎じの部活で学校を救う話。

・自分の知識が最新のルールと合ってない可能性がありますのでその辺は軽く流してください。

・とあるマンガを参考(という名のパクり)にしてます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471615017

穂乃果「学校が…廃校…!?」

ことり「お母さんそんなこと全然言ってなかったのに…」

海未「どうやら入学希望者が減っていることが原因のようですね」

ことり「確かに、今の1年生なんて1組しか無いもんね」

海未「私たちの学年も2組しかありませんし、高校のクラスの数として考えたら少ないですね」

穂乃果「私たちで…私たちで何とかしよう!!」

海未「何とかしたい気持ちは汲んであげたいのですが、一体どうするというのです?」

ことり「んー、やっぱり何かで学校を盛り上げて入学希望者を増やすのが一番いいよね」

海未「例えば…部活動で全国大会優勝、とかでしょうか?」

ことり「海未ちゃん、それはいくらなんでも…」

穂乃果「それだぁ!!」

海未「え?」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「部活だよ、部活を始めよう!」

ことり「え~っと、ちなみにやりたい部活って何かあるのかな?」

穂乃果「うん、実は昔からやりたかったのがあるんだ~」

海未「それは初耳ですね、一体なんですか?」

穂乃果「バスケット!マンガを読んでやってみたいと思ってたんだ!」

海未「マンガ、ですか…」

ことり「穂乃果ちゃんらしいと言えば穂乃果ちゃんらしいね」アハハ…

穂乃果「そういうわけだから2人とも一緒にやろうよ!」

海未「やるのは吝かではないのですが、しかしながら試合をやるには最低5人は必要ですよ?」

ことり「バスケ部自体無いし、どちらにしても部活申請の為にも5人は集めないといけないね」

海未「とりあえずは体育館の使用許可を頂きましょう、そして練習しながら勧誘もしていくという事でどうでしょう?」

穂乃果「そうだね、じゃあ生徒会室に行ってみよう!」

絵里「体育館の使用許可?それは構いませんがどうしてまた?」

穂乃果「バスケ部を作ろうと思ったんですが、まだ人数が集まっていないのでとりあえず練習だけでも始めようかと思いまして」

絵里「部活を?このタイミングでどうして?」

穂乃果「学校を廃校から救うためです!バスケで全国大会で優勝してこの学校をもっと盛り上げればきっと入学希望者も増えると思います!」

絵里「そう…」

穂乃果「?」

絵里「わかりました、体育館の使用を認めます」

穂乃果「ありがとうございます!失礼します」

バタン

絵里「バスケット、ね…」

希「手伝ってあげたら?」

絵里「希…」

希「素質はありそうやったし、えりちが手を貸せば全国優勝はともかくいい所までは行けるんとちゃう?」

希(それにもしにこっちも加われば…)

絵里「そうね、少し考えておくわ」

希「期待して待っとるよ」

穂乃果「よーし、それじゃ早速ダンクシュートの練習をしよう!」

海未「待ちなさい!そんな事できるわけがないでしょう!」

穂乃果「えー、バスケって言ったらダンクだよ!ビョーンでズゴーンだよ!」

海未「何ですかその頭の悪そうな擬音は…」

ことり「でも3人じゃまだ何もできないね」

海未「そうですね、しばらくは体力作りと基礎練習がメインになりそうですね」

海未「練習メニューは後日私が作りますので、今日はバスケに慣れるところから始めましょう」

穂乃果「じゃあ交代しながら1on1やろう、1対1の勝負だ!」


\ワーワー キャーキャー/


花陽「あれ、何だか体育館の方から何か聞こえる」

凛「ホントだ、かよちんちょっと行ってみようよ!」

花陽「わっ、ちょっと凛ちゃん!引っ張らないで~!」

凛「どうやら先輩たちがバスケットをやってるみたいにゃ」

花陽「え、バスケット!?でもバスケ部って確か無かったような…?」

凛「じゃあ部活じゃなくて遊びでやってるのかにゃ?」

ゼンコクメザスゾー!!
オー!!

凛「あ、全国目指すとか言ってるしやっぱり部活?新設するのかにゃ?」

花陽「そうなのかな…だったらいいなぁ」

凛「そういえばかよちんマネージャーやりたいって言ってたよね?」

花陽「うん、でも入学してみたらバスケ部が無くてガッカリしたんだけど…もしこれからバスケ部ができるなら…!」

凛「じゃあ先輩たちに声かけてみるね!すみませーん!!入部希望でーす!」

花陽「え、凛ちゃん!?」

穂乃果「入部希望!?」

凛「はい、かよちんは入学前からバスケ部に入ろうと思ってました、なのでよろしくお願いします!」

ことり「って言ってるけど、本当にいいの?」

花陽「は、はい!凛ちゃんが今言ってくれたように入学前から入部希望でした!」

花陽「入学してみたらバスケ部が無くて残念でしたが、でもこうして先輩たちが作ろうとしているのを見て改めて入部を決意しました」

花陽「どうかよろしくお願いします!」

穂乃果「こちらこそ、よろしくお願いします!」

ことり「それで…凛ちゃん?はどうするの?

凛「え、凛?」

花陽「凛ちゃんも一緒にやろうよ!小学生の時にミニバスやってたし」

海未「おぉ、それなら即戦力ですね!」

凛「や、そんな過剰な期待をされるとちょっと困るんですけど…小学生以来だからブランクもありますし」

穂乃果「大丈夫、こっちは始めたばかりの素人ばかりだから!」

ことり「あまり偉そうに言う事じゃないけどね…」アハハ

凛「んー…わかりました、凛も入部させてください!」

穂乃果「やったー!これで5人揃ったし試合もできるね」

花陽「あ、私はマネージャーとして入部したいんですけど…」

ことほのうみ「え?」

穂乃果「で、でも試合はできないけどとりあえず部活申請はできるね!」

海未「そうですね、それでは申請は後日改めてするとしましょう」

花陽「マネージャーとして練習メニューをしっかりと考えてきます!」

ことり「よろしくね♪」

穂乃果「選手は4人揃ったし、明日からは2on2ができるね」

海未「そうですね、1対1とは違い戦略的な事もできるようになりますし、プレイに幅が出ますね」

穂乃果「明日からの練習が楽しみだー!」

凛「…ん?」チラッ

穂乃果「どうかした?」

凛「入口で誰かが見てたような…」

穂乃果「誰もいないと思うけど…」キョロキョロ

凛「確かに誰もいないにゃ…あ、生徒手帳が落ちてる」

花陽「これは…同じクラスの西木野さん?」

凛「凛達の帰り道だし、帰りに届けてあげよっか」

花陽「そうだね、その前に教室に寄ってみようね」

花陽「住所によるとこの家だと思うんだけど…」

凛「ちょっと大きすぎないかにゃー」

花陽「こんな立派な門がある家なんて初めて見るよ」

凛「とりあえずチャイムを鳴らして…」ピンポーン

真姫母『はい?』

凛「すいません、真姫さんのクラスメイトなんですが、生徒手帳を拾ったので届けにきました」

真姫母『あら、わざわざありがとうございます。門の鍵は開けたから玄関まで来てもらえるかしら?』

凛「はい、わかりました」

凛「かよちん、行こう」ガチャ

花陽「うわぁ門から玄関までが遠い…」

凛「金持ちすげぇにゃ」

花陽「あ、あれは…バスケットコート?」

凛「ホントだ、半面だけどコートがあるにゃ!」

凛「もしかして西木野さんバスケやるのかな?」

花陽「だとしたら勧誘しておきたいところだね」

真姫母「届けてくれてありがとう、真姫ちゃんももうすぐ帰ってくると思うからちょっと待っててね」

花陽「は、はい」

タダイマー

真姫母「あら、噂をすれば…じゃあ呼んでくるわね」

マキチャーン オキャクサマヨー
ハーイ

真姫「あら、貴女達…クラスメイトの…」

凛「うん、凛とかよちん!」

真姫「…それで星空さんと小泉さんがどうしてウチに?」

花陽「生徒手帳が落ちてたからそれを届けにきたんだ」ハイ

真姫「あら、わざわざ届けてくれたのね」アリガトウ

凛「ところで西木野さんはバスケットに興味あるのかにゃ?」

真姫「べ、別に興味なんて…」

凛「でも生徒手帳が落ちてたのって凛達がバスケやってた体育館の入口だよ?」

花陽「それにお庭にもコートがあるようだし…さすがに興味無いっていうのは無理があるんじゃ…」

真姫「う…それもそうね…正直に言えば興味はあるし、それどころか中学までやっていたわ」

花陽「どうして高校ではやらなくなったの?」

真姫「それは…」

凛「それは…?」

真姫「バスケ部がなかったからよ」

凛・花陽「あ…」

凛「先輩たちがバスケ部を作るみたいで、それで凛達もバスケ部に入ったんだ」

花陽「だけど人数が足りないの…だからもし良かったら西木野さん、バスケ部に入らない?」

真姫「入るのは構わないんだけど…使い物にならないわよ?」

花陽「どういう事?」

真姫「別に下手ってわけじゃなくて、体力がなくて40分フル出場なんて今まで一度もした事ないの」

真姫「だから仮に私が入っても5人ぴったりという今の状況では最後まで試合できるかどうかは難しいところね」

凛「大丈夫!そこはかよちんがしっかりとメニューを考えてくれるから!」

花陽「そ、それにこれから入部してくれる人がいるかもしれないし…!」

真姫「…そういえば私の他にも貴女達の練習を見ている人がいたわね」

凛「そうだったんだ、気付かなかった…どんな人?」

真姫「黒髪のツインテール。身長的に同級生だと思うんだけど…クラスメイトにあんな人いたかしら?」

花陽「ん~、心当たりは無いかな」

凛「明日学校に行けばわかるにゃー!」

凛「とにかく真姫ちゃんもバスケ部員としてよろしくね!」

真姫「え、まだ入るとは言ってな」

花陽「よろしくね♪」

真姫「」

穂乃果「という事で真姫ちゃんが入部してくれましたー!」

海未「これで選手が5人あつまりましたし、一応試合もできますね」

凛「よーし、練習頑張るにゃー!!」

花陽「という事で早速練習メニューを作ってきました!」



希「さてさて、バスケ部の面々は頑張っているかな」ガラッ

希「お邪魔しま~…す…」

凛「」ハァハァ…

海未「」ハァハァ…

穂乃果「」グデーン

ことり「」シーン

真姫「」シーン

花陽「あ、希先輩こんにちわ」

希「えっと…バスケ部だよね?ボールが一つも出てないようだけど…」

花陽「はい、今は体力作りの真っ最中です」

花陽「5人しかいないので全員が40分フル出場すると想定してのメニューを作りました」

花陽「今やってるのはストップ&ダッシュを繰り返すシャトルラン、これをインターバルで50セットです」

花陽「その他のメニューはそこのホワイトボードに書いてありますが、ほとんどがチームを作る為のメニューです」

希(このメニューは…でもこれを乗り切れれば確かにすごいチームができそうやね…)

希(とはいえさすがに5人ちょうどでは大変だろうし…よし!ここは一つ…)

希「花陽ちゃん、ちょっといい?」

穂乃果「矢澤先輩?」

花陽「はい、希先輩が言っていましたが3年生にすごくバスケが上手い先輩がいるみたいです」

海未「人数も戦力も乏しい今の状況、その先輩に加入していただけたらすごくありがたいですね」

ことり「じゃあ先輩のところに行ってみようか」



にこ「お断りよ」

穂乃果「即答!?」

にこ「どうせ希にでも言われて来たんでしょ」

凛「すごいにゃ!エスパー!?」

穂乃果「お願いします!どうしても矢澤先輩が必要なんです」

にこ「だからお断り…」

真姫「本当は大したこと無いんじゃないの?」

花陽「真姫ちゃん!?」

真姫「だってそうでしょう?身長といい体格といいどう見てもバスケができるとは思えないもの」

にこ「…言ってくれるじゃない、だったら勝負よ!」

ことり「でも私たちまだまだ素人だし先輩相手に1対1で勝つなんて…」

にこ「そんなみみっちいこと言わないわ、5人でかかってきなさい!」

にこ「5対1なんだからボールはこっち先行でいいわよね」

にこ「5人のディフェンスを抜いてゴールを決めたらにこの勝ち、それでいいわね?」

穂乃果「はい、お願いします」

にこ「それじゃ、いくわよ!」ダッ

ことり「は、速い!」

花陽「ディフェンス2人ついて!」

海未「穂乃果!」

穂乃果「うん!」

にこ「甘いわ」

海未(下がった?まさかこんな遠くからシュート?)

にこ「」ダッ

穂乃果(低い!)

花陽「ダックイン!姿勢を低くしてディフェンスを抜いた!」

真姫「抜かせない!」

にこ「!」

クルン

真姫「クッ、裏を…」

凛「にゃー!」

にこ「そんなディフェンスじゃ…!」シュッ

パスッ

海未「あっさりと…」

ことり「5人抜かれちゃった…」

にこ「どう?これが今のあんた達の実力」

穂乃果「もう1回…いや、10本勝負だよ!」

にこ「ふん、何回やっても一緒よ」

花陽「ディフェンスしっかり!にこ先輩を中に入れないように気をつけてください!」

凛「身長が低い選手はドリブルが命」

真姫「しかしいくらドライブがすごくても5人でしっかり中を固めれば容易にはゴール下に入れないはず」

にこ「はぁ…見くびられたものね…」シュッ

穂乃果「え、あんな遠くから…」

ことり「これって…3Pシュート?」

スパッ

真姫「な、あの身長で遠レンジからのシュートも打てるなんて…」

花陽「しかも真横からの最も打ちにくい場所からなのにリングに全く触れずに入れた…」

凛「これは…凛達勝てるのかな…」

穂乃果「大丈夫!みんな諦めちゃダメだよ!」

海未「穂乃果…!」

ことり「穂乃果ちゃん…!」

穂乃果「人数ではこっちが多いんだから諦めなければ何とかなる!さぁ頑張って防ぐよ!」

海未「とは言うものの、これで最後の1本…」

ことり「にこ先輩、強い…!」

穂乃果「でも先輩がシュートにかける時間がだんだん増えてきてる」

凛「少しは疲れてきてるって事かにゃ?」

真姫「これが本当に最後のチャンス…」

にこ(さすがに1人で5人を相手するのは疲れてきたわね…油断しないよう…ってえぇ!?」

真姫「さすがに3人に囲まれたら突破するのは難しいんじゃないかしら?」

凛「それにこっちも腰を落としてディフェンスをすれば…」

海未「いくらあの低いダックインでも抜くのは容易ではないハズ!」

にこ「くっ、そう来るか…でも甘ぁい!」

凛「な、無理に間を割った!?」

花陽「…かかった!」

穂乃果「ここは通さないよ!」

にこ「な、突破した先に更にディフェンスを…!」

花陽「にこ先輩に一瞬隙ができた、今です!」

ことり「えい!」

にこ「あ…」

穂乃果「やったー!遂ににこ先輩からボールを奪ったよー!」

凛「勝ったにゃー!」

ヤッター!!
ギリギリカテタニャー!
バンザーイ!バンザーイ!!

にこ「じゃ、お疲れー!」( ^ω^)ノシ

穂乃果「お疲れ様でした…じゃないよ!」

にこ「チッ」

穂乃果「勝ったんだから入ってよ!」

にこ「負けたら入るなんて約束した覚え無いわよ?」

海未「スレを読み返してみましたが確かに言ってませんね…」

凛「ずるいにゃー!!」ソシテメタイニャ!!

にこ「ちゃんと確認しなかった自分たちが悪いのよ、にこは悪くないわ!」

希「にこっち、それは無いやん」

にこ「!?の、希…」

希「にこっちが勝ったら入部しないという決まりなら、負けたら入部するのが筋やん」

希「それでも入らないというなら…」ニヤッ

にこ「わ、わかった!入る、入るからワシワシは止めて!」

希「はい、よく言えました」

にこ「その代わり、このにこが入るんだからいくら新設の部活とはいえ初戦敗退なんて許さないんだからね!」

にこ「にこが入部してから一週間、みんなの様子をじっくりと見させてもらったわ」

にこ「まず経験者の真姫と凛はそこそこ上手ね、ただし真姫は体力面に不安があるし凛はハンドリングがまだまだ」

真姫「花陽式トレーニングのおかげでこれでも昔よりは体力ついたんだけど…」

凛「それでもメンバーの中で一番体力無いにゃ」

にこ「まぁでも体力は残念だけど技術力は素晴らしいわね、それに凛もめきめき上手になっているからこの調子で頼むわよ」

凛「うん、頑張るにゃー!」

にこ「さて問題は素人3人ね、海未は満遍なくこなしてくれるしセンスもあるからこれからに期待できそうだけど…」

海未(ほっ…)

にこ「問題は穂乃果とことりね、特に穂乃果!あんたシュート下手すぎよ!フリースローはさておきレイアップすら決められないってどういう事よ!」

真姫「レイアップでエアボールとか恥ずかしすぎるから試合ではやめて欲しいわね」

穂乃果「うぅ…」

にこ「しかしまぁ身長のわりにジャンプ力はあるし瞬発力もある、このメンバーならセンターを任せられそうね」

にこ「そしてことりはドリブルが壊滅的だけど、視野の広さとパスセンスが優れていると思うわ」

花陽「そうだね、だからできればガードを任せたいところだけど…キープ力がまだ不安かな」

にこ「ことりも凛と一緒でハンドリングが課題ね、二人で一緒に練習しなさい」

ことり「バスケットボールって大きいから扱うのが難しいよ~」

花陽「ん~、ならボールに慣れる為に一日中ボールを持っていてください」

ことり「え?」

花陽「トイレやお風呂の時は別ですが、基本的には朝起きてから夜寝るまで…いや、寝る時も四六時中ボールに触って手に馴染ませてください」

花陽「できれば他のみんなもお願いします」

にこ「そうね、まずはボールに慣れる、それが大事よ」

にこ「ねぇ花陽、ちょっと相談があるんだけど…」

花陽「はい、なんでしょう?」

にこ「GW中に合宿をして、最終日あたりで練習試合とかできないかしら?」

花陽「合宿は学校の許可さえ出ればできると思うけど…今年出来たばかりの部と練習試合してくれる学校なんてあるかなぁ…」

にこ「まぁ難しいとは思うけど…できれば大会までに試合をやっておきたいのよね」

花陽「そっか確かに大半が未経験者なわけだし、初めての試合が大会本番じゃ辛いものがありますね」

にこ「それにいくら戦術的な練習をしたとしても、実践でちゃんと行動に移せるかどうかはまた別問題」

にこ「試合勘は実践を積まなきゃ身につかないわ」

花陽「なるほど、さすがはにこ先輩…!」

花陽「では合宿の申請と練習試合の相手探しをしてみますね」

にこ「よろしく頼むわね」

にこ(相手が見つからなかったら…アイツに頼んでみようかしら)

ことり「合宿?」

穂乃果「って事はみんなでお泊り!?楽しそー♪」

凛「素人は気楽でいいにゃ…」

真姫「ホントよね…」

穂乃果「え?」

海未「まあ冷静に考えてみれば…朝起きてから夜眠るまであの花陽式トレーニングをずっと積むわけですからね」

穂乃果「あ…」

海未「それを楽しそうと言えるのはさすが穂乃果ですね」ニコッ

穂乃果「いや、その…」

海未「合宿が終わる頃にはどうなっているか、練習の成果が楽しみですね!」

穂乃果「」

ことり「ちなみに場所はどこでやるのかな?」

花陽「それなんですけど、急な事でもありますし学校でやろうかと思います」

花陽「なので宿泊費は無料ですが、布団などはありませんので必要な物は各自持参してください」

にこ「という事だから、GWは合宿よ!」

皆「おー!!」

花陽「昼間は今まで通り体力作りと筋力作りを主な練習とします」

花陽「更には試合を想定して戦術的な事も練習に組み込みます」

ことり「戦術的な事って?」

花陽「まぁチームとしてはまだ未熟なので複雑な事はできませんが、是非とも皆さんにスクリーンは覚えてもらいたいです」

海未「スクリーン…ですか?」

にこ「簡単に言うとボールを持った仲間の役に立つように相手のディフェンスの邪魔をするって感じね」

花陽「邪魔をすると言っても明らかな妨害はダメですよ?」

花陽「簡単に説明すると、ボールを持った仲間の事をディフェンスしている相手がいるとします」

花陽「その相手に気付かれないようにそっと背後に立ち、パワーポジションを取ります」

花陽「ボールマンは仲間(スクリーナー)がパワーポジションを取った事を確認して仲間のスレスレを抜いていきます」

花陽「そうすると抜かれた相手も反転して追いかけようとしますが、スクリーナーに邪魔をされ追いつける事ができません」

花陽「最終的にはスクリーナーも反転しボールマンと共に攻撃に転じる事ができれば相手を一人出し抜いた事になるので数的優位が保てます」

にこ「一つ注意するとしたらスクリーンの際にスクリーナーは動いちゃダメってところね」

にこ「動きながらスクリーンをかけるとファウルを取られるからボールマンもスクリーナーもそこは注意が必要よ」

花陽「凛ちゃんと真姫ちゃんはスクリーンできるよね?お手本を見せてあげようか」

穂乃果「んー、やってみると意外と難しいねー」

ことり「それにスクリーンが成功したとしても、相手が思いっきりぶつかってくるから痛みに耐えながら踏ん張るのもキツいね」

海未「でもこれを覚えれば凛やにこのシュートチャンスが増えるわけですし、重要な仕事ではありますね」

穂乃果「そうだね、穂乃果はシュートが入らないから直接点を稼ぐ事はできないけど、こうしてチームの為に頑張るのも一つの手だよね」

ことり「うん、そうだね♪」

海未「さぁ練習を再開しますよ!」

花陽「スクリーンをかけているからといって油断しないでくださいね」

花陽「相手だってなんとかしてスクリーンを防いだりかいくぐろうとするわけですから」

ことり「そっか、仲間の動きも相手の動きも注意しないといけないんだね」

花陽「いきなりやれと言われても難しいと思いますが、これが出来るのと出来ないのとでは天地の差があります、是非とも頑張って覚えてください!」

穂乃果(夜は自主練の時間なので、真姫ちゃんとにこ先輩にシュートを教わっています)

ダムダム…

穂乃果(しっかりと集中して…リングをしっかり意識して…えいっ!)シュッ

スカッ

穂乃果「…惜しい」

真姫「ちっとも惜しく無いわよ、せめてリングには当ててちょうだい」

ことり「シュートフォームはキレイなんだけどね」

にこ「しかしまぁ外れ方がなんとも多彩ね、なんとかこれを利用して…そうだ!」ピコーン!

にこ「ことり、凛、ちょっとこっちに来なさい!」

凛「何々ー?」

にこ「2人にはスクリーンアウトを覚えてもらうわ」

ことり「スクリーンアウト?」

にこ「簡単に言えばリバウンドを拾うためのポジション取り、ってところね」

にこ「言うまでもなくリバウンドは内側にいる方が有利、だからシュートが打たれたら皆そっちに行こうとする」

にこ「それを止めつつ自分が内側に入るのよ」

凛「ん~、簡単に言ってるけど難しそうにゃ」

にこ「まぁね、だからここでのプレイは多少の接触は度外視してOKよ」

凛「え、ファウルしていいの?」

にこ「それはダメ」

凛「どっちにゃー!!」

にこ「まぁお手本を見せてあげるからやってみましょう」

にこ「穂乃果、シュートお願い!」

穂乃果「外すの前提で打ってないよ!」

真姫「相変わらず入らないわね」

にこ「成功率は1割前後ってところかしら」

穂乃果「自分でもこんなに下手だと思いませんでした…」ガックリ

真姫「リバウンドはあんなに天才的なのにね」

にこ「それがせめてもの救いね」

真姫「でも穂乃果、シュートが入らないってどういう事だと思う?」

穂乃果「え…点が取れない…?」

真姫「うん、半分正解」

穂乃果「えー、あと半分は?」

真姫「じゃあ逆の立場で考えてみて、例えば相手がシュートを外した時はどう思う?」

穂乃果「ラッキー!」

真姫「他には?」

穂乃果「リバウンドを取ればこっちのチャンス!」

真姫「そう、つまり言い換えるとシュートを外すという事は相手にチャンスを与え続けているという事なのよ」

穂乃果「!」

穂乃果「つまりチームが弱い原因は穂乃果にあるって事だよね…」シュン

真姫(あ、ちょっと言い方キツかったかも…)アセアセ

凛「真姫ちゃん!穂乃果ちゃんがチームのお荷物だなんて言い過ぎにゃ!」

真姫「そこまでは言ってないわよ!」

穂乃果「お荷物だなんてそんなー!」ガーン

にこ「でも良い言い方をすれば、穂乃果次第でこのチームはもっと強くなるって事よ」

穂乃果「穂乃果次第…!」

穂乃果「よーし、シュート練習頑張るぞー!!」

にこ「練習させる人の心を折ってどうするのよ」ヒソヒソ

真姫「ご、ごめん…助かったわ…」ヒソヒソ

凛「穂乃果ちゃんも単純にゃー…」

穂乃果「とは言えやる気は出たものの、相変わらず入らないねー」ガコン

真姫「あのね、ただ投げればいいってものじゃないのよ」

真姫「シュートは外れるでもなく落ちるでもなく入るの」

真姫「打ったシュートがネットを通り抜ける、その感覚は打った本人にしかわからない」

真姫「でもわからないのと知らないのとでは似たようで大きく違うわ」

真姫「技術どうこうより、まずは入るというイメージに向かって打つ事が大事よ」

穂乃果「むー、真姫ちゃんが何を言ってるのかさっぱりわからない…」

真姫「ハァ…にこちゃん、その位置からでいいからシュートを打ってくれる?」

にこ「ん、いいわよ」

真姫「できれば目を瞑って」

穂乃果「いやいや何を言っ」

にこ「オッケー」

穂乃果(わ、ホントに目を瞑っちゃった…これはさすがに…)

にこ「」シュッ

スパッ

穂乃果「オッタマゲーション」

凛「マジか」

ことり「わぁ…」

海未「要は体が覚えている、という事でしょうか」

真姫「まずは『シュートは入る』という感覚を覚える事が大事よ、フリースローラインに拘らずどれだけ近づいてもいいからまずは入れる感覚を身につけなさい」

凛「でも穂乃果ちゃんはレイアップすら入らないのに普通にシュートしても入るわけ無いにゃ」

穂乃果「う…」グサッ

花陽「なら…コレを使ってみたらどうかな?」

ことり「それって…脚立?」

花陽「うん、これに乗ってリングのすぐ間近から投げ入れてみよう!」

穂乃果「花陽ちゃん、それはいくらなんでも馬鹿にしすぎじゃ」

真姫「花陽、ナイスよ」

穂乃果「」マジデ?

花陽「あ、にこちゃんちょっといいかな?」

にこ「練習試合の相手が見つからない?」

花陽「うん、やっぱり本戦前に新設校と試合してくれる学校なんてそうそう無いね…」

にこ「そう…わかったわ、にこに心当たりがあるからちょっと聞いてみるわね」

花陽「ごめんね…ありがとう」



にこ「花陽、練習試合の件だけど受けてもらえる事になったわ!」

花陽「良かった~、それで相手はどこの高校?」

にこ「UTX」

花陽「え…えぇぇぇぇぇぇぇ!」

凛「練習試合?」

穂乃果「おー、楽しそう!」

海未「新設の部と試合をしていただけるとはとてもありがたいですね、それで相手はどちらなんでしょうか?」

にこ「UTX」

ことり「えっと…そこって強いの…?」

にこ「古豪ってわけじゃないけど、ここ数年で実力をつけてきた強豪校ね」

真姫「確か昨年はインターハイにも出場しているわね」

海未「そんな学校がよく引き受けてくれましたね…」

にこ「相手チームに知り合いがいてね、コネみたいなものよ」

海未「そうですか…ちなみにどういった関係の方なんですか?」

にこ「んー…まぁそういうのは試合の後で話すわ」

花陽「それでは早速明日の試合について話を進めたいと思います」

花陽「まずはポジションです、ポイントガードはにこちゃんにお願いします」

花陽「シューティングガードがことりちゃんと真姫ちゃん」

花陽「スモールフォワードが凛ちゃんと海未ちゃん」

花陽「そしてセンターは穂乃果ちゃんにお願いしたいと思います」

にこ「これはにこと花陽とで決めた事だけど、簡単に説明させてもらうわね」

にこ「まずPGだけど、ボールキープ力があって且つボール運びが出来るのがにこだから、ってのが一番の理由ね」

にこ「次にSGだけど、パスセンスと視野の広さから2人を抜擢させてもらったわ」

にこ「SFの2人はシュート力とドライブの上手さで選んだわ、だから得点もしっかり頼むわよ」

にこ「そして穂乃果、身長は高いわけじゃないけどジャンプ力と瞬発力はチーム1!」

花陽「それを考えたらセンターは穂乃果ちゃんしかいません!」

にこ「ただまぁこうしてポジションを決めさせてもらったけど、あまりこだわらなくてもいいわ」

ことり「あれ、そんな感じでいいの?」

花陽「みんなまだ初心者で役割についてもしっかりと把握してるわけじゃないだろうし、それにサッカーとか他のスポーツと比べたらバスケのポジションは結構流動的で曖昧になりがちなところもあるんだよね」

にこ「ただしセンターは別よ、センターはやれる人が限られているの」

花陽「だから穂乃果ちゃんはセンターの役割をしっかりとやってね」

穂乃果「う~、よくわかってないけどとにかくゴール下を守ったり攻めたりすればいいんだよね!」

にこ「まあそんな感じでいいわ、シュートにはあまり期待してないし」

海未「確かに」

凛「特訓の成果は見られるのかにゃー?」

ことり「アハハ…」

真姫「この私が教えてあげたんだから、せめて1本くらいは決めなさいよ」

穂乃果「うん、ちゃんと決めてみせるよ!」

にこ(しかしUTXとやる事になるなんてね…普通に考えたら勝てるわけないわね)

にこ(来てくれるかどうかはわからないけど、一応声をかけておこうかしら)

にこ(事情を話せばきっと来てくれるハズ)

にこ(とりあえずLINEしとこ)

花陽「UTXのバスケ部がいらっしゃったようです!」

UTX「よろしくお願いしまーす!」

穂乃果「リーダーの高坂穂乃果です、よろしくお願いします」

ツバサ「よろしくね、あら…今日は矢澤さんだけなのね」

にこ「まぁね、いい試合になるよう頑張るわ」

ツバサ「こっちも手は抜かないつもりだからよろしくね」



英玲奈「そうか、今日は矢澤さんだけなのか」

あんじゅ「あの時みたいなワクワク感は得られないと思うけど、楽しんでいきましょう」

ツバサ「えぇ、そして勝つのは私たちよ」



穂乃果「にこちゃんの知り合いの人ってあの人?」

にこ「そう、そして一緒にいるあの2人もね」

穂乃果「どういう知り合いか…は試合の後だったね」

にこ「別に大した話でもないんだけどね、とにかく今は目の前の試合に集中よ!」

穂乃果「うん!」



審判「それでは音ノ木坂とUTXの試合を始めます、両校コートへ」

音ノ木坂スタメン
PG 矢澤にこ
SG 南ことり
SF 星空凛
SF 園田海未
C  高坂穂乃果

UTXスタメン
PG 綺羅ツバサ
SG 統堂英玲奈
SG 佐藤
SF 優木あんじゅ
C  鈴木

審判「それでは試合開始!」ピッ

穂乃果「とりゃー!」

モブ「おー、高い!」

穂乃果「よし、マイボール!」

ピッ

審判「ジャンパーヴァイオレーション!」

穂乃果「あ、あれ…?」

にこ「あんた早速何やらかしてくれてんのよ!」

穂乃果「今のって何がダメだったの?」

にこ「ジャンプボールの時はボールが頂点に達するまで触っちゃダメなのよ」

穂乃果「つまり触るのが早かったって事?」

にこ「そういう事、まさかそんな事も知らないとは思ってなかったわ」

凛「これが練習試合で良かったね」

にこ「って事で相手ボールでスローインになったから、ディフェンスしっかりね!」



※モブに記号や数字を割り振ってませんが、特定の一人ではなく客や控え選手など複数の人があてがわれていると思ってください。

ことり「わぁ~、あという間に決められちゃった…」パス!

にこ「取られたものはしょうがないわ、こっちも点をとりにいくわよ!」キャッチ!

にこ(海未がいい位置にいるわね…ここはスクリーンのサインを出して…)スススッ

海未(にこ!了解です)

英玲奈「む、ツバサ!スクリーンに注意するんだ!」

ツバサ「ふん、この私がそんな見え見えのスクリーンに引っかかるとでも思った?」クルン

ドン

ツバサ「ぁ痛っ」

海未「見事に引っかかってるじゃないですか…」エエー…

穂乃果「海未ちゃんナイス!」

英玲奈「突っ込んでくるぞ、ディフェンス!」

佐藤「しまった、抜かれた!」

凛「そのままシュートにゃー!」

にこ「」シュッ

パスッ

ことり「やったー!これで取り返したね♪」

あんじゅ「矢澤さんのドライブ、相変わらず鋭いわね」

英玲奈「おまけに低いからなかなか守りにくい」

ツバサ「更にはあの驚異の3Pの警戒もしないといけないわ」

英玲奈「他の選手の実力は不明だが、第1Qはとにかく矢澤さんにボールを回さないように注意しよう」

ツバサ「そうね、それで様子を見てみましょう」

花陽(相手の作戦でにこちゃんにボールが回る機会がかなり減りました)

花陽(現メンバーでボール運びも得点も半分以上はにこちゃんが役割を担っているので、にこちゃんを封じられると攻めの機会がなかなか訪れません)

花陽(結局第1Qは8対18と早くも10点差となってしまいました)

花陽「ポイントガードが封じ込まれて厄介な状況です」

花陽「ここは一度ことりちゃんと真姫ちゃんを交代します」

花陽「にこちゃんほどじゃないけど真姫ちゃんもガードとしてはかなりの実力者、2ガードで試合を組み立てていきましょう」

にこ「そうね、とりあえずそれでいってみましょう」

にこ「そして穂乃果はとにかくリバウンドを拾ってチャンスを繋げてちょうだい」

にこ「にこにマークがついてる分、他のメンバーに少しは通りやすくなっているはず」

穂乃果「わかった、頑張るよ!」

花陽「凛ちゃんと海未ちゃんもしっかりと周りを見て動いてね」

海未「はい、もっと集中していきます」

にこ「そうだ…相手にも同じ目に遭わせてやるわよ!海未!」

海未「はい?」

にこ「あんた、第2Qはずっとツバサに張り付きなさい!」

海未「え…えぇ?」

にこ「ツバサに一点も取らせるんじゃないわよ!」

にこ(このメンバーでツバサの運動量についていけるとしたら海未だけ)

にこ(別に1on1で勝てって言ってるわけじゃない、相手に『ツバサにボールは回せない』と思わせる事ができればOKよ)

海未(と言われましたが…まぁやるしかありませんね)ダッ

モブ「相手が一人飛び出してきた?」

モブ「これは…オールコートマンツーマン?」

モブ「いや、ボックス&1…かな」

花陽(にこちゃんの思いつきでやる事になったけど、コレはコレでアリかな?」

花陽(相手の中心人物であり得点源を抑えつつ、こっちはセンターとスコアラーがフリー)

花陽(お互いの体力次第だけど、仮に海未ちゃんが先に力尽きたとしてもきっとツバサさんの体力も相当奪われているハズ、そこが勝機!)

佐藤「これではツバサにパスが…」

英玲奈「佐藤さん、こっちだ!」ヘイッ

佐藤「はいっ」パス!

真姫「甘いわ!」

佐藤「しまった!」

凛「真姫ちゃん、ナイスカット!」

鈴木「カバーに入る!」

あんじゅ「マーク外れてるわよ!」

真姫「そういう事」パスッ

凛「意外とディフェンス脆いのかにゃ?」キャッチ

凛「からの…ミドルシュート!」

穂乃果「凛ちゃんナイスシュート!」

=タイムアウト中=

にこ「第2Qもあと3分、海未がツバサをしっかりとマークしてくれてるおかげでなんとか点差も縮まってきたわね」

海未「少しでも油断するとすぐに離されそうなので、一瞬たりとも気を抜けません…体力面よりも精神的に疲れますねこれは」

穂乃果「お疲れ様、あと3分だけ頑張ってね!」

花陽「ハーフタイムまでにせめて1ゴール差までもっていきたいところ…みんな頑張って!」



ツバサ「もう、全然ボール回ってこないじゃない!」

英玲奈「そう言うならお前も頑張ってあのマークを振り切ってくれ」

ツバサ「それができたら苦労しないわよ」

あんじゅ「動きはまだまだ素人みたいだけど、ツバサちゃんをマークする事に徹しているからあれを振り切るのは大変そうね」

英玲奈「しかしもしここで多少強引にでもツバサに回してそして決めてもらえれば、相手の士気も多少は落とせそうだな」

ツバサ「ボールをもらえるようになんとか私も頑張ってみるね」

=試合に戻りました=

ツバサ(そっちのチームがボールを持ってる時でさえこうやって付きまとわれると本当に疲れるわ…)

海未(ツバサさんの顔にようやく疲れが見えてきましたね…私のやって来た事は無駄ではなかったようですね)ホッ

英玲奈(今だ!)パス

ツバサ「ナイスパァス!」

海未「しまっ…!」

ツバサ「ふふふ、油断しちゃダメよ」

にこ「あんたもね」スティール

ツバサ「え、あれ?」

にこ「」シュート

穂乃果「ナイス!これで1ゴール差だね」

英玲奈「久々にボールがきて嬉しいのはわかるが、もうちょっと緊張感を持ってくれ」

ツバサ「ごめんごめん」

鈴木「じゃあボール入れ…なっ!」

穂乃果「凛ちゃん!いくよ!」

凛「ボールは出させないにゃ!」

あんじゅ「ボールを入れるところから2人でマーク!?」

英玲奈「鈴木さん、早く出すんだ!」

鈴木「って言われても…えいっ」パスッ

穂乃果「届け…!」キャッチ

穂乃果「取れた!よし、このままシュート…!」

ツバサ「させない!」ジャンプ

穂乃果「…しないでパス!」

真姫「ナイスよ穂乃果!」シュート

パスッ

英玲奈「同点…」

ピー!!

審判「第2Q終了!」

にこ「オッケー!同点で折り返す事ができたわ!」

花陽「にこちゃんの3連続3Pが効いてるね!」

ことり「28対28、これは点が多いのか少ないのか…」

凛「ま、多くはないかな」

真姫「それだけ海未がツバサを抑えているのが効いてるって事でもあるわね」

海未「それに穂乃果のリバウンドも素晴らしいです」

穂乃果「えへへ、よくわからないけどなんか取れちゃうんだよね~」

花陽「ここまではなんとか対抗できていますが、問題はここからです…」

にこ「そうね…こればっかりはどうしようも無いのよね…」



ツバサ「ねぇ、後半なんだけどしばらく4人で頑張ってもらえる?」

英玲奈「どういう事だ?」

ツバサ「私にオールコートで着いてくるあの子を突き放してあげようかなって♪」

あんじゅ「なるほど…ツバサちゃんも大変だと思うけど頑張ってね」

ツバサ「大丈夫、私は負けないわ」

ツバサ「やっぱり後半もずっとついてくるのね」

海未「そういう作戦ですから」

ツバサ「なら…これならどう?」ダッ

海未「え…バックコートに!?とにかくマークしないと…」

ことり「でもどのみちパスは出せないし今はマークしなくてもいいんじゃ…」

花陽「ダメです!しっかりマークしてください!」

花陽「下手に放置してマークが外れる方が危険です…でもこのままでは…」

ツバサ「ほら、追いかけて来なさい!」

海未「後半でもまだスピードが上がっ…」ガクッ

海未(違う、ツバサさんのスピードが上がったのではなく私のスピードが落ちている!)

ツバサ(ふふふ、そろそろエンジンが止まる頃かしら)

にこ(やっぱりこうなるか…技術的な事は短期間で身につけるのも不可能では無いけど、体力だけはどうしても一朝一夕で身につくものではない)

花陽(そう、いくらキツいトレーニングをしてきたといってもまだまだ始めたばかりの私たちにはそこまで耐えられるだけの体力が備わっていない!)

英玲奈「ツバサ!」パス

ツバサ「久々に出番ね!」シュッ

スパァン

あんじゅ「ナイッシュー!」

にこ「審判、タイムアウト!」

にこ「まずい事になったわね」

花陽「海未ちゃんと真姫ちゃんがもう力尽きそうです…」

凛「ウチにはもう控えの選手がいないからどちらかには試合に出てもらわないとダメだけど、さすがにこれは…」

穂乃果「ファイトでどうにかできるレベルでは無いね…」

ことり「海未ちゃん…真姫ちゃん…」

にこ(くっ、ここまでなの…!?)

ガラッ バァーン!!

希「やっほー、遅れてごめん」

にこ「やっと来た!遅いわよ!」

希「バイトがあるから遅くなるってちゃんと言ったやん」

にこ「う…でもナイスタイミングよ。審判、選手交代!」

ことり「でもユニフォームもないし、そもそも選手登録してないんじゃ…」

花陽「いえ、実は事前ににこちゃんからこの話を聞いていたのでちゃんと準備は済ませてあります!」

穂乃果「おぉ、さすがは敏腕マネージャー!」



あんじゅ「東條希…これであの時のメンバーのうち2人が揃ったわね」

英玲奈「ここから試合が面白くなるといいんだが」

ツバサ「過剰な期待は止めておきましょう、2人はともかく周りはアレだしね」

穂乃果(にこちゃんが応援を頼むほどの選手…一体どんなプレイをするんだろう…)

希「さぁ、勝ちに行こか…」ダムダム

ピー

希「え?」

審判「バイオレーション!」

にこ「あほー!まさか8秒ルール忘れてたの!?」

希「あ、そんなんあったねそういえば」

ことり(本当に大丈夫なのかなぁこの人…)

希「まぁ気を取り直して行こうやん?まずは相手からボールを奪い返さないとね」

佐藤(ツバサがフリーになったしここはツバサに…と見せかけてあんじゅへパス!)パス

希「お、当たった♪」カット!

佐藤「な…裏をかいたのに防がれた…!」

希「ま、今のシチュエーションだったらウチもそうしてただろうからね」

英玲奈「ここは通さな…」

ビュン

英玲奈「きゃっ…」

にこ「ナイスパス!からの…シュート!」

穂乃果「さすがにこちゃん!3Pをキレイに決めたよ!」



あんじゅ「英玲奈、大丈夫?」

英玲奈「あぁ、大丈夫だ…顔面の真横に鋭いパスを通されたらさすがに反応できないな」

あんじゅ「前にもやってたから来るのはわかってるけど…わかっててもあれを取るのはちょっと無理ね」

英玲奈「東條希が加入したくらいで負けるとは思えんが、気を引き締めていかないとだな」

ツバサ「そうね、また『きゃっ』なんて恥ずかしい声を出したく無いものね」クスクス

英玲奈「ちょ…///」

穂乃果「リバウンドぉ!!」

希「ナイス!穂乃果ちゃんこっちや!」

英玲奈「しまったゴール前は佐藤さん一人…!」

佐藤(いっちょまえにスリーメンだと…東條を中心に南と矢澤が左右に…きっとパスをするなら矢澤の方!)

希「」バックパス ヒヨイッ

佐藤(やっぱり矢澤の方!…ってあれ!?」

ことり「!」キャッチ

にこ「そのままシュートよ、ことり!」

ことり「ちゅーん!」エイッ

ガンッ パスッ

穂乃果「ナイスことりちゃーん!…っていうか穂乃果まだ一点もとってないような…」ガーン

佐藤(確かに右手のバックパスで左にいた矢澤にボールを投げたはず…それなのに右にいた南の方にボールが…?)

あんじゅ「東條希、相変わらずね」

佐藤「今のは一体…」

あんじゅ「何が起きたのかわからなかったのは3人の前にいた佐藤さん、あなただけよ」

英玲奈「今のはエルボーパス、バックパスで投げたボールを左の肘にあてて逆サイドへ飛ばしたんだ」

あんじゅ「あれを初めて見た時は驚いたわ、今の佐藤さんみたいに」

佐藤「エルボーパス…」

ツバサ「実力は健在って事ね」

花陽「第3Qが終了して61対65、差は4点」

花陽「ハーフタイムでは同点まで持って行きましたがまた差をつけられてしまいました」

花陽「点数を取れるようになった事でディフェンスの意識の甘さが出てしまいましたので、そこを各自注意して最後のゲームにのぞんでください」

にこ「希、にこと凛にボールを振ってちょうだい」

希「任しとき!」

穂乃果「シュート外してもしっかり拾うからね」

凛「そもそも外さないもんね!」

ことり「試合に勝ったらみんなでケーキバイキングに行こうね」

みんな「…え?」

ことり「さあ最後だよ、みんな頑張ろー!」

みんな「お、おー!」



英玲奈「ツバサが自由になって点を取れるようになったが、向こうも点を取れるようになってきたな」

ツバサ「たった4点差、油断はできないわね」

あんじゅ「最後まで気を引き締めていきましょう」

希「ことりちゃん、ボールこっち!」

あんじゅ「させないわ」

ことり「くっ、マークが激しい…!」

凛「ことりちゃん!」ヘイッ

ことり「!」パスッ

凛(大丈夫、ゴール下には穂乃果ちゃんがいる…ていっ!」

にこ「凛が3P!?」

ツバサ「でもこのコースは入らないわね」

鈴木(マズい、高坂さんにポジションを…なら飛べないように背中に体重を乗せて…)

穂乃果「む…とぉりゃぁ!!」ビョーン!!

モブ「おー、高い!!」

鈴木(体重をかけたのにものともしないなんて…どんな瞬発力してるのこの人!?)

穂乃果「そしてそのままジャンプシュート!」

ことり「ナイスゴール穂乃果ちゃん!この試合初めて決めたね!」

ガコン

佐藤「くっ、外れた…」

穂乃果「リバウンド!からのパス!」

希「ナイス!」ダムダム

あんじゅ「ディフェンスの戻りが甘い…みんな早く戻るのよ!」

希「戻るのを待つわけないやん?このまま行くで!」

あんじゅ「ふふん、ロールで回避する事は読めていたわ!」

希「なんちゃって」

あんじゅ「ボールが…無い!?」

にこ「希、ナイスよ」シュッ

スパァン

凛「にこちゃんの3Pが決まったにゃー!」



あんじゅ「ロールした一瞬で味方の位置を確認してパスを出すなんてさすがね…というかあの頃より上手くなってない?」

英玲奈「考えたくない話だな」

ツバサ「それより今の3Pでまた同点よ、試合終了まであと2分…最後まで楽しめそうね」

ツバサ「オフェンスのセンスはあるようだけど、ディフェンスはまだまだ甘いわね」

凛「抜かれた…カバー!」

ことり「私が…」

ツバサ「あんじゅ」パス

あんじゅ「ナイス!」

ことり(な…ヘルプに行こうと足の向きを変えた瞬間にパスを出された…)

にこ(さすがはツバサ、あんなタイミングでパスを出すなんてね)

英玲奈「ナイスゴールだ、あんじゅ!あと20秒、守るぞ!」

花陽「審判、タイムアウト!」

花陽「あと20秒で2点差、メンバーに余力が無いので延長戦は望みません」

にこ「つまり3Pを決めろって事ね」

花陽「はい、その為の作戦ですがボール運びは希先輩にお願いします」

希「了解。あと呼び方は希ちゃんでええよ、敬語も無しね」

花陽「はい…じゃなくて、わかったよ希ちゃん」

花陽「そして外から狙うのは…」



英玲奈「残り時間を考えたらじっくり時間を使ってから3Pで逆転を狙いたいところだろうな」

ツバサ「って事は本命は矢澤さん…」

英玲奈「他に外から打てるメンバーもいないようだしな、彼女のマークを徹底しよう」

あんじゅ「間違ってもバスカンは与えないようにね、確実に3点取られちゃうわ」

英玲奈「ああ、わかっているさ」

ツバサ「彼女のマークは私がやるわ」

希「よし、行くで~」ダムダム

英玲奈(ボール運びは東條さんか…どのタイミングでパスが来るか…)

にこ(うわぁツバサに徹底マークされてるぅ、にこには渡さないって感じね)

ツバサ(私がマークしている以上、ここにはボールは通さない!)

希「にこっちへのパスは厳しいか…なら!」ダッ

あんじゅ「そのまま中に突っ込んだ!3Pじゃないの!?」

希「レイアッープ!」

あんじゅ「させない!」

希「甘いやん」ススッ

あんじゅ「ダブルクラッチ!」

希「ほいっ」

あんじゅ「避けられた…」

英玲奈「しかしボールの勢いが強ぎる、これは入らない!」

希「うん、これは確かに入らんよ」

英玲奈「え…」

ガコン

ことり「キャッチ♪」

英玲奈「ボードに弾かれたボールがフリーの南さんのところに!」

ことり「凛ちゃんパァス」

凛「決める…!」シュッ

花陽『そして外から狙うのは…凛ちゃんです』

凛『凛!?にこちゃんじゃないの?』

花陽『おそらく相手もにこちゃんが本命だと思ってるはず、なのでその裏をかいてみようと思います』

にこ『確かに…きっと相手もにこに執拗なマークをするはず、それをかいくぐって3Pを打つのはちょっと厳しいわね』

花陽『こちらの本命はあくまでにこちゃん、というような動きを皆さんしてください』

花陽『そして凛ちゃんはフリーにならない程度にいつでもボールをもらえるようにしておいてね』

凛『わかったにゃ!』

希『ことりちゃん』

ことり『なぁに?』

希『好きな場所にいてええよ、どこからでもウチが絶対にパスを出すから』

希『だからそれを凛ちゃんに繋げてね』

ことり『了解です♪』

穂乃果『穂乃果はゴール下を守るよ!』

にこ『いや、いらないわ』

穂乃果『何で!?』

にこ『残り20秒って事を考えたらシュートクロックいっぱいまで時間を使って打つ事になるはずよ』

花陽『ブザービーターって事もありうるし、センターの仕事よりスクリーナーとして動いてください』

穂乃果『わかったよ、じゃあボールマンのフォローにまわるね!』

穂乃果(そして予想通りのブザービーター!)

凛(入れ…!)

ことり(入れ…!)

ツバサ(このコースは…!)

英玲奈(入る…!?)

ガコン!!

モブ「外れた!リングに嫌われた!」

ピー!!

審判「試合終了!79対77でUTX高校の勝利です!」

両校「ありがとうございました!!」

穂乃果「いや~、最後は残念だったね!」

ことり「そうだね、でも2点差って事は結構惜しかったよね」

バン!!

ことほの「」ビクッ

にこ「…帰る」

スタスタ

ことり「にこちゃん…機嫌悪い?」

穂乃果「インターハイに出た学校にワンゴール差っていう健闘をしたのに…」

真姫「あの相手に勝てなかったからよ」

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「気付かなかった?レギュラーは3人だけ、佐藤と鈴木は補欠よ」

ことり「えぇー!」

海未「おまけに相手は選手交代を一度もしませんでしたし、タイムアウトだって使用していません」

花陽「つまりこれが私たちの今の実力という事です…」

凛「当たり前だけど、全国の壁は高いね…」



希「でもレギュラーが3人もいたのにここまでできたのはすごいと思うよ?」

穂乃果「希ちゃん…」

希「経験者もいるとは言え、こっちは初めて一ヶ月も経ってない人も数人いるのにここまで戦えたのはすごいと思うんよ」

海未「希…」

希「たった一ヶ月でこれなら、大会本番が楽しみやね」ニコ

希「という事で花陽ちゃん、明日からの練習メニューもよろしくね」

花陽「はい!皆が最後まで戦えるようなメニュー作りをしてきます!」

凛「ほどほどにお願いするにゃー…」

花陽「何か言ったかな?」

凛「なんでもありません」

-練習試合から数日たったある日の部活-

花陽「先日の練習試合は私たちの弱点がハッキリ見えた試合だと思います」

花陽「分かりきった事ではありましたが、まず体力面が不安ですね」

花陽「人数が少ない以上、交代にも限度がありますので個人個人の体力の向上が必須です」

海未「もっと体力をつけないと…力尽きて倒れるなんて失態は二度としません」

凛「あれは作戦に問題があった気もするにゃー」

花陽「うっ…では次の問題点ですが」

真姫「露骨に話を変えに行ったわね」

花陽「ボール運びができる人が少ないですね、速いドライブは今のところにこちゃんと凛ちゃんのみなのでトランジションゲームはうちはできないと思ってください」

花陽「もっとも、希ちゃんとことりちゃんのパスセンスは素晴らしいのでパスの精度とスピード次第では可能です」

ことり「よ~し、頑張っちゃうぞ~!」

ことり(ところでトランジションゲームって何だろう?)

希「まぁ簡単に言うと展開の速いゲームの事やで」

ことり「何で考えてる事がわかったの!?」

希「カードのおかげ、かな♪」

花陽「そして点を取れる人が少ないのも問題ですね」

花陽「フィニッシャーが確立できていない事も問題ですし、何より圧倒的に外が弱いです」

穂乃果「え、にこちゃんがいても弱いの?」

海未「先日の試合では3Pを9本中8本も決めているというのに…」

花陽「まぁにこちゃんのシュートの成功率は驚異なんですが、防がれている回数も結構あるんです」

にこ「にこは背が低いからどうしても膝を曲げて溜めて打つ必要があるのよ、それが故に普通の人よりシュートモーションがちょっと長くなってしまうの」

花陽「そう、そしてそのわずかな時間はブロッカーにとってチャンスとなるんです」

花陽「外が強いと言わせたいなら身長を伸ばすかシュートの成功率を限りなく100%に近付けないとそうは言えないです」

にこ「ブロックされるのは外だけの問題じゃないけどね、でも対策は考えてあるわ」

穂乃果「おぉ、さすがにこちゃん!で、その対策って?」

にこ「まだ秘密、まあそのうちわかるわよ」

花陽「あとはやっぱり…人数ですかね」

真姫「確かに、この間の試合も希がいなかったら最後までできたかどうかも怪しいわ」

花陽「皆の体力向上を考慮してもせめてあと一人…欲を言えば経験者だとありがたいかな」

海未「そう都合よく見つからないと思いますが…」

ことり「だよね…とりあえずは今のメンバーで頑張っていくしかないのかな」

ガチャ バァーン!!

??「いえ、私が入部させてもらうわ!」

花陽「あ、あなたは…!」

希「来たね…」

絵里「9人目のメンバーとして入部させてもらうわ、あなたの希望通りの経験者よ」

花陽「入部してもらえるのはありがたいですけど、でもどうして…?」

絵里「それは…」

絵里『バスケ部の練習試合に出るそうね』

希『にこっちに誘われてね、えりちは…もうやらないん?』

絵里『私はもうあんな経験したくないのよ…』

希『それは前に言ってた中学の時の話?』

希『相手が強豪校で第1Qで50点差、それでチームメイトが諦めてしまって…』

絵里『そう、そして最終的にはありえないほどの大差で負けたわ』

絵里『勝てない相手だっていう事はわかってた、でもだからと言って試合を途中で投げ出すなんて…!』

絵里『チームメイトも私の説得には誰も応じなかった…私一人でやる気があっても周りの協力がなければ団体競技はできない、だから辞めたの』

希『そうやったね…でもね、あの子たちはきっとそんなふうにならないと思うよ』

希『廃校を救うためって事もあるんだろうけど、でもそれとは関係なくきっとあの子たちは最後まで諦めず全力を尽くすと思う』

希『えりちの望むチームの姿がきっとそこにはある、うちはそう思うんよ』

絵里『希…』

希『またバスケするかどうかはさておき、とりあえず見るだけ見てみない?』

絵里「それは…心を揺さぶられたから、かな」

花陽「え?」

絵里「本当はずっと続けたかったのに変に意地を張って自分から遠ざかって…」

絵里「でもこの間の試合を見てわかったの、好きなんだって、やっぱりバスケが好きなんだって!」

絵里「それにあなた達とならきっとどこまでも進んでいける、そんな気がしたの」

絵里「だから…改めて、バスケ部に入部させてください!」

にこ「絵里…」

希「えりち…」

穂乃果「生徒会長…いや、絵里先輩!」スッ

絵里「!」

穂乃果「こちらこそよろしくお願いします!バスケ部に入ってください!」

絵里「…よろしくお願いします!」ガシッ

花陽「希ちゃんと絵里ちゃんが入部してバスケ部に勢いがついていきました」

花陽「8人になった事で4対4の試合形式の練習もできるようになり、身内相手とはいえ実戦経験も積んでいきました」

花陽「自分たちのチームの事なので完全に客観的には見られないと思いますが、それでもこのチームならかなり良いところまで進めると思います」



凛「人数少ないからツーメンがあっという間に回ってくるにゃ…」

海未「でも以前に比べるとだいぶ楽にこなせるようになりましたね」

ことり「それだけ体力がついてきたって事だね」

真姫「そうね、前までならもう力尽きていたけど、今ならまだまだやれるわ」

希「花陽ちゃんの練習メニュー、効果はバッチリやね」

穂乃果「あ、また外した」ガコッ

絵里「ちょっ、穂乃果また…!」

にこ「シュートを外した時は連帯責任、ペアで腕立て伏せ10回よ!」

穂乃果「絵里ちゃんゴメン…」イーチ,ニー...

穂乃果「入れ!」シュッ

ガコッ

穂乃果「また外れた…前よりは入るようになってきたんだけどな~」

凛「」ポカーン

穂乃果「凛ちゃんどうしたの?顔すごいよ?」

凛「や、にこちゃんのシュート練習見てたんだけど…」

穂乃果「にこちゃん?」

にこ「」シュッ

パスッ 

穂乃果「相変わらずきれいなシュートだね…ってえぇぇぇ!打ったボールが手元に戻ってきた!」

凛「さっきからずっとにゃ…糸でもついてるのかにゃ?」

絵里「ノータッチシュートでボールに上手く回転がかかっているとああなるのよ」

穂乃果「絵里ちゃん」

絵里「上手くなれば誰でもできるわよ?穂乃果も頑張りなさい」

絵里(とは言えあんな何度も続けてするとなるとまた別だけどね…さすがにこ)

絵里「海未は私と1on1よ、攻守は1ゴール毎に交代ね」

絵里「オフェンスもディフェンスも私から盗んでいきなさい」

海未「わかりました、全力で相手をさせていただきます!」



凛「凛は穂乃果ちゃんのシュートでリバウンド練習するにゃ」

穂乃果「だから外す前提で打ってないってば!」



ことり「ねぇ花陽ちゃん、うちのチームに足りてないものって何かな?」

花陽「うーん、正直なところ色々と足りてないんだけど…強いて言えばやっぱりアウトサイドプレイヤーかな?」

ことり「っていうと…3Pシューターが欲しいって事?」

花陽「うん、にこちゃん一人に頼るのもやっぱりね…絵里ちゃんも成功率は高いけど絵里ちゃんは外より中に入りたがるタイプだしね」

花陽「だから正統派のアウトサイドプレイヤーがいてくれるといいかな、もちろん3Pにこだわらなくてもいいんだけどね」

ことり「そっか…わかった、ありがとう花陽ちゃん」



ことり「真姫ちゃ~ん、シュート教えて♪」

真姫「ヴェェェェェ、何で私!?」

ことり「みんな忙しそうだったから」

真姫「」

花陽(さて大会まであと一週間、対戦相手も決まりました)

花陽(どこが勝ち上がってくるかはなんとも言えませんが…今の実力ならどこが上がってきてもインターハイには行けそうです!)

花陽(上位3校までが全国へ行けるわけですが、UTXが逆ブロックなので決勝まで当たらないのが幸いでした…)

花陽(これならきっとよほどの事がない限りは…!)

絵里「花陽」

花陽「ピャァッ!!」

絵里「あら、驚かせちゃったみたいね」ゴメンゴメン

花陽「え、絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「総体の一回戦についてちょっと話があるんだけど…」

穂乃果(それから一週間が経ちました)

穂乃果(つまり今日は総体当日!なんですが…)

穂乃果「3年生たちが食中毒!?」

花陽「お昼に食べたお寿司があたったみたいです」

真姫「なんでお弁当にお寿司なんて持ってくるのよ!」

ことり「それで3人は?」

花陽「病院に行くほどでは無いって言ってるんだけど、お腹の調子が悪くてトイレに…」

凛「って事は試合には出られないのかにゃ?」

海未「そうなりますね」

真姫「そうなると5人しか選手がいないわけだから…全員が40分フル出場!?」

花陽「はい…!」

真姫(フル出場なんて嘘でしょ…でも、私が頑張らないと…!)

花陽(3年生不在のまま試合は始まりました)

花陽(第2Qまでは順調に進み、この時点で45対23)

花陽(普通に考えれば負けは無いと思いますが…)

真姫「ハァハァ…」

海未「真姫、大丈夫ですか?…と言っても今回ばかりは最後まで頑張ってもらうしか無いのですが…」

真姫「ハァ…大丈夫よ、私だって花陽式トレーニングをやってきたんだから、今回こそ最後までコートに立ってやるわ」

海未「真姫…頑張ってください!」

真姫「えぇ、任せて!」

花陽(絵里ちゃん…)

絵里『総体予選の一回戦なんだけど、私たち3年生は試合に出ない事にするわ」

花陽『えぇぇぇぇぇぇ!何で!?」

絵里『色々理由はあるんだけど、一番は真姫の事よ』

花陽『真姫ちゃん?』

絵里『えぇ、自他ともに認める体力が無い真姫だけど果たして本当にそうなのかな、って』

花陽『…と言うと?』

絵里『今までは試合の様子を見ながらここ一番って時に試合に出てもらってたと思うの』

絵里『ただ、それがかえってプレッシャーになっているんじゃないかな、と思って』

花陽『なるほど…体力の無さが精神面を弱くして、そしてそれが体力を奪う無限ループ…』

絵里『そう、だからあえて交代をできない状況を作って真姫の事を見てみたいの』

花陽『一回戦の相手はそこまで強いわけでも無いし、博打をするなら寧ろここしかチャンスは無い…』

絵里『花陽はどう思う?』

花陽『…さっきも言いましたがそれをやるならここしか無いと思うし…うん、やってみよう!』

絵里『ありがとう、私たちが出られない理由はなんとか作っておくわ』

花陽『わかった、でもいざという時は出られるようにしてね?』

花陽(博打ではあるけれど、ここを乗り切れば真姫ちゃんにとってそれは自信に繋がる)

花陽(そしてそれはチームにとっても大きな力となる!)

花陽(真姫ちゃん…あと10分だよ、頑張って!)



穂乃果「リバウンドぉ!」

ことり「穂乃果ちゃん、こっち!」

穂乃果「ことりちゃん!」パス!

ことり「」ヒョイ

相手「ワンタッチパス!」

真姫「ハァハァ…」キャッチ

真姫(まだよ、まだ私はやれる…というかやらなきゃここで終わってしまうわ)ダムダム

相手(相当弱っているな…これなら力で押し切られる事もあるまい)

真姫「弱ってるからって舐めてもらっちゃ困るわね」シュッ

相手「フックシュート!」

パスッ

凛「真姫ちゃんナイスシュートにゃー!」

真姫「あと数分、お互い仕事はきっちりこなしましょう」ハァハァ

審判「ゲームセット!音ノ木坂の勝利です!」

両校「ありがとうございました!」

穂乃果「おぉぉぉ勝ったー!!」

ことり「3年生が出られなくなって一時はどうなるかと思ったけど…」

海未「蓋を開けてみればダブルスコアでの勝利でしたね」

凛「真姫ちゃんも頑張ったにゃー」

花陽「うんうん、真姫ちゃんお疲れ様」

真姫「アリガト…」ゼェハァゼェハァ



にこ「上手くいったわね、絵里」

絵里「あのトレーニングを皆と一緒にこなしているからきっとやれると思ってたわ」

希「と言いつつ少し不安な表情してたけどね」ウシシ

絵里「まぁそりゃ少しはね」

にこ「さぁ皆と合流しましょ」

希「せやね、お腹痛いフリして戻ろうか」

にこ「昨日の試合の反省よ!」

にこ「あのレベルの相手にあんなに点を取られるなんてなってないわ!」

凛「試合に出なかった人が偉そーにゃ」ボソッ

にこ「うっさい、それとこれとは話が別よ!

凛「ヒイッ!」

絵里「私もにこと同意見ね、ちょっと点を取られすぎじゃないかしら?」

希「みんなはディフェンスってどうしてる?」

穂乃果「穂乃果はセンターだし、やっぱりブロックしたりそもそも打たせないようにしたり…かな」

ことり「私はとにかくゴールを守るようなつもりでやってるかな」

海未「私もことりと同じですね、守備というくらいですからゴールを守る意識をしています」

真姫「あー、それはちょっと違うわね」

凛「え、そうなの?」

真姫「ディフェンスは"守る"んじゃなくて"攻めにくく"させるのよ」

希「そうやね、要するに自陣のゴールを意識するのか、それとも相手を意識するのかの違いやね」

絵里「海未は私と1on1の特訓をしてるけど、私が守備側の時には攻めにくいと思わなかった?」

海未「そう言われると確かに…単に経験の差かと思っていましたが、そもそも意識の違いがあったのですね」

ことり「でも意識を変えるだけで結果が変わるものなの?」

にこ「それはやってみればわかるわ、という事だからこれから4対4で試合形式の練習をするわよ!」

絵里「負けたチームはジュース奢りね♪」

花陽(今日は2回戦、みんな先日の反省を踏まえたうえで試合に臨んでいるようです)

相手(1回戦とはディフェンスが全然違う、短期間でかなり成長している…!)

ことり「ディフェンスは攻めにくく…やぁ!」

凛「ことりちゃんナイスカットにゃ!」ボールチョウダイ!



絵里「うん、上手くディフェンスが機能しているわ」

にこ「未経験者組の伸びしろがすごいわね」

花陽「これなら予選突破はほぼ確実かと思います」

絵里「そうね、でも最後まで油断せずにいきましょう」

ピー!!

審判「試合終了!103対43で音ノ木坂の勝利です!」

両校「ありがとうございました!」

絵里「今回も私とにこは出番がなかったわね」

にこ「頼りになる後輩達がいるからね」

花陽「でも次は出てもらうね、特に絵里ちゃんはまだみんなと一緒に試合やれてないし」

花陽(その後も順調に予選を勝ち上がり、とうとう明日は決勝戦です!)

花陽(ちなみにこの時点で私たちのインターハイ行きはもう決定しています)

花陽(新設のバスケ部が一年でインターハイまで進んだという事もあり私たちはちょっとした有名人となりました)

花陽(そしてその結果…)

ガチャ バーン!!

花陽「大変ですー!!」

穂乃果「花陽ちゃん、どうしたの?」

海未「花陽、落ち着いてください」

花陽「が、学校が…学校が…」

ことり「学校が…?」

絵里「まさか、バスケ部の結果を待たずして廃校決定…?」

花陽「逆です!来年も存続する事が決定しましたー!!」

穂乃果「嘘…本当に…?」

花陽「はい!私たちバスケ部の活躍が多くの人に知られ、来年度の入学希望者が今年の何倍にもなっているそうです!」

海未「穂乃果!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん…私たち、やったんだね…!」

にこ「こうなったら今度の決勝戦は負けられないわね!勝ってはずみをつけるわよ!」

凛「とは言え決勝戦の相手は…」

希「UTX、やね」

真姫「練習試合の時とは違って今度はフルメンバーで挑んでくるはずよ」

海未「あの時から私たちがどのくらい実力がついたのか、確認するには絶好の相手かもしれませんね」

穂乃果「おぉ、海未ちゃんが前向きだ!」

ことり「学校の存続が決まって嬉しいんだねきっと」ニコニコ

花陽「それでは決勝戦のスタメンだけど、これまでとは大きく変えていきます」

花陽「まずポイントフォワードを希ちゃん」

凛「あれ、希ちゃんてポイントガードじゃなかったっけ?」

花陽「今まではそうだったんだけど、希ちゃんの得点力を考えるとPGは勿体無いかなって思って」

穂乃果「っていうかポイントフォワードって何?」

花陽「その名のとおり、PGの仕事もするFってところかな」

花陽「簡単にいうとゴール付近で仕事をするPGプラスFの得点能力をもつオールラウンダーです」

絵里「相手DFが脆ければ自分で中につっこめるし、仮にそこからヘルプでDFが付いても外へパスができる」

絵里「そうなればにこや最近頑張ってることりの3Pが活かせるわ」

にこ「まぁこうして口で言うのは簡単だけど、やってみると相当難しいわ」

にこ「にこが思うに実力もセンスも無いとできないポジションよ」

穂乃果「そんなポジションに希ちゃんが…」

希「まぁあまり期待せんとってな」

花陽「続けるね、ガードは真姫ちゃんとにこちゃん」

花陽「フォワードは絵里ちゃんでそしてセンターは穂乃果ちゃん、スタメンはこの5人でいきます」

凛「3年生が全員スタメンにゃ!」

海未「予選でも全員が出場した事はありませんでしたし、どういったプレイをするのか味方ながら楽しみですね」

ことり「特に絵里ちゃんは前回のUTX戦の時はいなかったし、相手もビックリするかもね」

にこ「いや、絵里の事は知ってるわよ」

穂乃果「え、何で?」

にこ「昔やった事があるのよ」

穂乃果「そういえば聞きそびれたけどUTXの人たちと知り合いなんだっけ?」

にこ「大した話じゃないけどね、とあるスポーツショップの主催するバスケの試合で当たった事があったのよ」

にこ「こっちはにこと絵里と希、あっちはツバサとあんじゅと英玲奈の3対3でね」

ことり「そうなんだ…ちなみに結果は…?」

にこ「ん、勝ったわよ」

凛「おぉ、じゃあきっと決勝戦もこっちが勝つね!」

にこ「でも延長戦までいって、苦し紛れに投げたシュートがたまたま入ってそれがブザービーターだった、っていうギリギリの勝利だったけどね」

希「あの時のにこっちのシュートフォーム、まるで野球の外野手みたいやったね」ニヤニヤ

絵里「いつもの理想的なフォームからは想像できないわよね」フフ

にこ「うるさい、勝てばいいのよ!」

穂乃果「あ、そういえばセンターって私でいいの?」

花陽「え、どうして?」

穂乃果「いや絵里ちゃんの方が身長も高いし、それにバスケ経験者の方が安心できるんじゃないかと思って」

絵里「まぁそれはそうなんだけど、でもジャンプ力や瞬発力は穂乃果の方が上なのよ?」

絵里「それにリバウンドの実力もかなりのもの、それだけでも私より適任だと思うわ」

にこ「穂乃果、センターはやりたくてやるんじゃないの…センターは任されるものなのよ」

穂乃果「にこちゃん…」

にこ「みんながあんたならセンターに相応しいと思っているの、だから自信を持ってセンターをやりなさい!」

穂乃果「みんな…わかったよ、センターの仕事をきっちりやるよ!」

花陽(そして遂に総体予選の決勝戦の日となりました)

審判「それでは決勝戦を始めます、両校コートの中へ」

音ノ木坂
PF 東條希
G 矢澤にこ
G 南ことり
F 絢瀬絵里
C 高坂穂乃果

UTX
PG 綺羅ツバサ
SG 統堂英玲奈
SG 佐藤
SF 優木あんじゅ
C 鈴木



穂乃果「あれ、佐藤と鈴木って人がいる」

にこ「どうやら二人ともあれからレギュラーになったみたいね」

海未「相手が同じメンバーだからといって実力があのままとは限りません、油断はしない方がいいですね」

絵里(言いたいことを先に言われてしまったチカ…)



英玲奈「絢瀬絵里もとうとうメンバーに加わったようだな」

ツバサ「これであの時のメンバーが揃ったという事ね」

あんじゅ「練習試合の時からどのくらい力をつけてきたのか、楽しみね」

審判「ジャンプボール」

鈴木「あの時みたいにヴァイオレーションはやめてくれよ?」

穂乃果「今度はちゃんとルールを覚えたから大丈夫だもん!」フンス

審判「」ピッ

穂乃果(やばっ、タイミング外した…!)

鈴木「よし、マイボール」パス!

あんじゅ「さぁ、いくわよ」ダッ

ことり「あ!」ヌカレタ!

ゴール!

英玲奈「ナイスシュートだ、あんじゅ」

あんじゅ「ありがとう英玲奈」

ことり「う~、早速取られちゃった…」

絵里「ことり、ボールを」

英玲奈「さぁ気を引き締めて…」

フワッ

英玲奈(え、風…?)

絵里「」ダッ

あんじゅ「絢瀬絵里、もうこんなところまで…!」

ツバサ「ディフェンスー!」

絵里「遅い!」シュッ

スパッ

観客「」シーン…

絵里「審判」

審判「え、あ…」

絵里「相手のブロック、当たってるわ」

審判「あ…バスケットカウント、ワンスロー!」

\ワーワー キャーキャー/

モブ「何、今の速攻!?」

モブ「早すぎてあっという間の出来事だった!」

ツバサ「絢瀬絵里、実力は健在ってわけね…」

絵里「ことり、決勝戦だからって緊張しなくていいわ」

絵里「それに負ける気はさらさらないけど、仮に負けてもインターハイには行けるんだから、ね」ウインク

ことり「絵里ちゃん…うん、わかったよ!」

希「えりちがバスカンも決めてくれたからこっちが1点先行やね」

にこ「相手の攻撃がくるわ、しっかりDFするのよ!」



凛「しかし相変わらず絵里ちゃんはすごいにゃ」

真姫「今まで上手い人なんてたくさん見てきたけど絵里は上手いとかそういうレベルじゃないわね」

凛「絵里ちゃんが敵じゃなくて良かった…」

真姫「そうね…でもバスケはあくまで5対5、個人の戦力よりチームの戦力の方が重要よ」

ことり「攻めにくく、攻めにくく…」

佐藤(く、抜けない…!)

佐藤(練習試合の時と比べてすごく上手くなってる…あの時は本当に素人みたいだったのに)

英玲奈「佐藤さん、こっちだ!」

佐藤「!」パス

英玲奈「」シュッ

スパッ

佐藤「ナイスシュート、助かった」

英玲奈「落ち着けば大丈夫だ、無理に抜こうとせず周りをよく見ていこう」



にこ「ことり、DFは良かったわ!これからもあんな感じで頼むわよ」

ことり「うん、DFのコツは掴んできたし頑張っちゃいます♪」

希「さて取られたら取り返さんとね」ダムダム

希(にこっちとえりちにはやっぱりマークが…振り切るのも難しそうやし、ウチが攻めようかな)ダッ

ツバサ「矢澤さんほどではないけど東條さんも相変わらずキレのあるドライブね」ディフェンス!

希「と見せかけて」ピタッ

ツバサ「!?」

希「ことりちゃん!」

ツバサ「しまった!抜くと見せかけてパス…!」

ことり「えい!」3P

スパッ

あんじゅ「3P…あの子、段違いに上手くなってるわね」

英玲奈「ベンチにいる星空さんや園田さんも相当実力をあげているかもしれないな」

ツバサ「ポジションが替わった東條さんも厄介ね…おとなしくPGやっててくれればよかったのに」



希「さぁディフェンスや、一本止めていこう!」

審判『試合終了!』

審判『203対7でUTXの勝利です!』

ツバサ『昔の借りはこれで返したわ!』

にこ『UTXにはかなわないのね』ガックリ

希『ウチの予想が外れるなんて…』ショボン

絵里『エリチカおうちにかえる!!』ビエーン!!

あんじゅ『さすがツバサちゃんね』

英玲奈『お前がいなければこんな大差では勝てなかったな』

ツバサ『アーッハッハッハッハ!』

観客『UTX!UTX!UTX!UTX!』

ツバサ「ってなるハズだったのに!!」

英玲奈「そんな妄想で1レス使うとは」ウワァ…

ツバサ「第1Qが終わって24対18?たった6点差ってどういう事よ?」

あんじゅ「そうは言うけどツバサちゃんからの失点が多いわよ?」

ツバサ「うっ」グサッ

英玲奈「相手もそれだけ力をつけてきたという事だ、あの時とは別物だと思った方がいいだろう」

ツバサ「ふん、とにかく最終的には大差で勝つわよ!」



花陽「UTX相手に6点差ですから健闘していると思います」

花陽「それにいつもと違って最初からDFが機能しているのも良いですね、DFはこのまましっかりお願いします」

花陽「第2Qは絵里ちゃんを下げて海未ちゃんを、そしてことりちゃんをさげて真姫ちゃんを投入します」

絵里「あらもう交代?まだまだやれるわよ?」

花陽「相手がこっちに対応してくる前にメンバーを変えて撹乱させてみようかなって思って」

花陽「それに絵里ちゃんと1on1で鍛えた海未ちゃんの実力も見てみたいしね」

海未「期待に応えられるよう頑張ります」

にこ「真姫ちゃんも外から打てるしにこと2人で左右から狙っていくわ」

希「了解、中からしっかり回していくからね」

穂乃果「ゴール下は任せて、外しても全部拾うから!」

にこ「あんたいっつもそれ言ってるわね」

穂乃果「あ、バレた?」ハハハ

にこ「ま、でも頼りにしてるわよ!」

花陽「相手も選手交代のようですね」

花陽「佐藤さんが同じくGの田中さんと、そして鈴木さんが同じくCの…ってえぇ!」

馬場「」ズーン

穂乃果「あの…身長はいかほど…?」

馬場「182cm」

穂乃果(182cm!?無理だよ!これ絶対勝てるわけないよ!!)

真姫「大丈夫よ穂乃果」ポン

穂乃果「真姫ちゃん…?」

真姫「私がなんとかするから、リバウンド頼んだわよ」

海未「」ダムダム

英玲奈(ボールの手さばきがやはりあの頃とは違う…心してかからないと、だな)

海未(この人も相当上手い…ですが絵里に比べたらまだ現実的な動きですね)

英玲奈「短期間でこの成長…音ノ木坂には精神と時の部屋でもあるのか?」

海未「え?」ナニソレ

ツバサ「スクリーン!」

英玲奈「しまった」ドンッ

希「海未ちゃん、そのままいっちゃえ!」

穂乃果「海未ちゃんナーイス!」



ツバサ「絢瀬さんを彷彿とさせる動きね」

あんじゅ「ベンチに下がってくれて良かったと思ったけど、これじゃ彼女が2人いるみたいね」

英玲奈「未経験者で動きが独特、寧ろ園田さんの方が厄介だな」

ツバサ(私としてはオールコートでマークされないから今回の方がマシだけどね)

穂乃果「リバウンド!」

真姫「」グッ

馬場「くっ、また相打ち…!」

海未「穂乃果、こっちです!」

穂乃果「海未ちゃん!」パス!

ツバサ「西木野真姫、身長差があるのに馬場さんを抑えるなんてなかなかの技巧派ね」

あんじゅ「せっかく大きい人を投入したのにリバウンドが取れないなんて」

英玲奈「そのせいでオフェンスが1チャンスで終わってしまうところが辛いな」

あんじゅ「なんとかこっちも攻撃の流れを作らないとね」

ツバサ「そうね、なんとかするわ」

ツバサ「」シュッ

スパッ

モブ「おー3連続3P!

モブ「さすがは綺羅ツバサ!」

モブ「これで相手に傾きかけた流れを完全に取り戻したね」

田中「ツバサがノっている…ここはなるべくツバサに回していきたいところだね」

英玲奈「あぁ、そうしよう」



凛「にこちゃんと体格もプレイスタイルも似てるからもっと付いていけると思ってたんだけどなかなかキツいにゃ」

にこ「確かにシュート力やドライブの鋭さは似たようなものだけど、でも目の良さはツバサの方が上よ」

凛「目の良さ?」

にこ「視野の広さとか観察力とか…まあそういうところよ」

ことり「そういえば練習試合の時も、私がヘルプに行こうと足の向きを変えた瞬間に逆サイドにパスを出された事もあったな~」

にこ「そんな事ができるからあの低い身長でも強豪のUTXでレギュラーなのよ」

花陽「第2Qが終わって28対40…点差は12に広がってしまいました」

花陽「真姫ちゃんが馬場さんを相打ちしてるからリバウンドは問題無いんだけど、それ以上にツバサさんがノってきています」

花陽「彼女を押さえないとここからの逆転は厳しいと思います」

花陽「とにかく真姫ちゃんはことりちゃんと交代ね、馬場さんの徹底マークお疲れ様」

花陽「真姫ちゃんが馬場さんを押さえるのに徹底してたから外からの加点ができなかったので、次からはにこちゃんと2人でお願いします」

ことり「うん、真姫ちゃんの頑張りを無駄にしないよう頑張るね!」

花陽「凛ちゃんも絵里ちゃんと交代ね」

花陽「絵里ちゃんはペネトレイトで、欲を言えばWチームが付くくらい派手に動いてください」

絵里「わかったわ、目立ちまくるわね」



英玲奈「西木野さんが下がったようだな」

ツバサ「これでようやく馬場さんが活かせる、と思ったけど…」

馬場「」ハァハァ…

あんじゅ「西木野さんの相手で結構疲労しているみたいね」

英玲奈「仕方ない、馬場さんはまた鈴木さんと交代だ」

鈴木「西木野さんがいないぶん純粋にセンター勝負ができるね、負けないわ」

英玲奈(西木野真姫…先ほどのゲームでは派手な動きこそなかったもののなかなかの技巧派だ)

英玲奈(うちの馬場さんをリバウンド合戦に参加させないだけでなく体力もしっかり奪うとは)

英玲奈「彼女を過小評価していたようだな…」

あんじゅ「英玲奈?」

英玲奈「なんでもない、さぁ第3Qも気を引き締めて行こう」

希「えりち!」パス!

絵里「オッケー!」シュッ

穂乃果「ナイスゴール!」

英玲奈「PF…想像以上に厄介なポジションだな」

ツバサ「自分で突っ込みつつ、状況に応じてそのまま決めたり中から外へボールを出したり…」

英玲奈「お前もできそうな気がするが…どうだ、やってみないか?」

ツバサ「ぶっつけ本番!?まぁやれない事は無いと思うけど…」

英玲奈(やれるんかい!)

ツバサ「ただウチは私以外に外が強い人がいないからやっても効果は薄そうね」

英玲奈「それもそうだな…外の弱さはウチの唯一の弱点といってもいいかもしれないな」

ツバサ「無いものをねだってもしょうがないわ、ウチはウチのやり方で勝ちにいくわよ」

英玲奈「ああ、そうだな」

穂乃果(しばらくお互いの得点が止まってる…もしここを決めればきっと流れがつかめる…!)

にこ「シュート…しまった、ズレた!」

穂乃果「!」ダッ

鈴木「!」ダッ

ことり「二人とも高い!」

英玲奈「取るのはどっちだ!?」

穂乃果「取った!」

スタン…ヒュワッ!!

ツバサ「な、高い…!」

英玲奈「まさかダンクか!?」

にこ「行けぇぇぇ穂乃果ーぁ!」

鈴木「させない!」バシッ

穂乃果「!?」

審判「DFファウル!2スロー」ピー

英玲奈「鈴木さん、ナイスファウルだ!」

鈴木「ファウルを褒められても嬉しくはないかな」

英玲奈「いや、今のこの流れで相手に得点を許すわけにはいかない、そういう意味ではナイスブロックでありナイスファウルだ」

あんじゅ「ましてダンクなんて決められたら流れどころか観客までもっていかれちゃうわ」

ツバサ「高坂さんのフリースローの成功率は低かったはず、リバウンドから攻めに転じる準備よ」

絵里「穂乃果、ここは重要な場面よ」

ことり「しっかり決めてね」

穂乃果(え~、そんなプレッシャーかかるようなこと言わないでよ~)ガーン

にこ「穂乃果」

穂乃果「何、にこちゃん?」

にこ「どうせ入らないから気楽にいきなさい」

穂乃果「ちょ、ちょっとにこちゃーん!?」

希(わざとあんなこと言って穂乃果ちゃんの緊張を解くなんてさすがにこっち、どっかのポンコツとは違うやん)チラッ

絵里「?」

穂乃果(な~んて怒ってみせたけど…わかってるよ、にこちゃん)

穂乃果(大丈夫…しっかり決めるよ!)シュッ

スパッ

モブ「2本とも成功ー!」

モブ「これで流れは音ノ木坂に傾くか!?」



ツバサ(…そうはさせない)ギリッ

シュッ スパッ

モブ「速攻からのゴール、さすが綺羅ツバサ!」

モブ「音ノ木坂が掴みかけた流れをこのプレイでまた引き戻したね」



ことり「ツバサさん…!抜くのは無理だし、かと言ってパスコースも…」ダムダム

ツバサ「」スッ

希「ことりちゃん!」ヘイ

ことり「希ちゃん!」パス

ツバサ「予想通り」カット

ことり「しまった、今のはツバサさんに誘われたんだ…!」

ダッ シュート!

モブ「ツバサがまた決めた!さすがは昨年のIH出場の立役者」

英玲奈「ナイスだツバサ、ここにきてゲインがあがってきたようだな」

ツバサ「第3Qが終わるまでにもっと差をつけておかないとね」



にこ「希、中からボール振って。ことりと外から狙うわ」

にこ「第3Qが終わるまでにもっと差を縮めるわよ」

希(ウチは自分から前に出るのが苦手だった)

希(周りをしっかり見て、そして適切な助言をする、それが昔からウチのやり方)

希(そんな性格だからPGがウチにはピッタリだと思った)

希(それなのにまさか…)

花陽『希ちゃん…PFやってみない?』

希(って言われてとっても驚いたんよ)フフ

希(PGは常に正面を向いてるから全体の動きを把握しやすい)

希(ところがPFとしてこうして中に入ると状況は一変、動きはある程度ガードに委ねるしかない)

希(…そう思ってた、でも違った)

希(自分でもビックリ、"ここ"はすごく居心地がいいんやね)

鈴木「まさか矢澤さんと西木野さんの動きが見えてる…?後ろに目があるとでも言うの!?」

シュンッ

ツバサ「え?」

にこ「ナイスパスよ、希」

凛「3P!」

ツバサ「…待って、私でさえ反応できなかったパスに何であなたが反応できるの?」

にこ「ふん、そろそろ来ると思ってたからね」

希「ことりちゃん!」パス!

英玲奈「コースがズレている、カットだツバサ!」

ダン! ギュイン!

ツバサ「床に当たって軌道が変化した!?」

ことり(パスを受けると改めて希ちゃんのすごさを実感する)

ことり(今のパスだってまるで手に吸い込まれるようにボールが入ってきた…さっきのにこちゃんへのパスとは違う、私へのパス!)シュッ

モブ「またスリー!」

モブ「音ノ木坂が追い上げてきた!」

あんじゅ「残り4秒、最後に1発返し…」

英玲奈「あんじゅ!」

にこ「オールコートよ、油断しちゃダメよ」スティール!!

ツバサ「矢澤さん…!でも甘い、振り切れてないわ!」ブロック

にこ「いつにこが打つって言ったのよ」パス

ツバサ「あ…」

あんじゅ「南さんがフリー!」

ことり「」シュッ

スパッ

審判「第3Q終了!」ピー

にこ「行ける、行けるわ!」

絵里「油断は禁物よ、でも今の流れをしっかりつかめば逆転も不可能ではないわ」

花陽「ことりちゃんと穂乃果ちゃんは海未ちゃんと凛ちゃんと交代です」

花陽「センターが抜けちゃうけどスクリーンアウトの練習をずっとしてきた2人だからゴール下もきっと大丈夫です」

花陽「希ちゃんを中心に3年生は第3Qの終わりのようなプレイをお願いします」

絵里「ことりや真姫ほどじゃないけど私も外はあるからね、にこと2人で攻めるわ」



ツバサ「あと10分で5点リード…」

英玲奈「10分もあれば逆転される可能性もあるが、そこから再び私たちが逆転するのも不可能ではない」

あんじゅ「つまりどっちに転ぶ可能性もあるってことね」

英玲奈「まあそうとも言えるが、ならやる事は一つ」

ツバサ「そうね…いつもどおり、ね」

モブ「開始早々にUTXが決めてきた!」

英玲奈「これで7点差、少しは心に余裕ができたか」

ツバサ「焦る必要はなくなったわね、ここからは落ち着いていきましょう」



希「7点差…焦る時間じゃないけどもっと攻めていかんとね」

絵里「今はドライブが強い選手が揃ってるし、なんとか中をかき回していきましょう」

にこ「そうね…それに今ならにこの新技が相手を惑わせられるかも」

希「にこっち、あれはまだ未完成だったはずやけど完成したん?」

にこ「ええ、このらぶりーにこにーに任せなさい!」

希「にこっち!」パス!

鈴木「また中から外へ…!」

ツバサ「また3Pでしょ、そうくるのは読めてたわ」

にこ「忘れたの?にこは元々ドライブが売りよ」ダッ

ツバサ「!」

モブ「レイアップ、キレイに決まったー!」

モブ「3Pが目立ってたけど、そういえば矢澤にはあの鋭いドライブもあったね」

モブ「UTXサイドも失念していたようだね」

海未「にこ!」パス!

佐藤「この間合いなら3Pにもドライブにも対応できる…さぁ来い!」

にこ「」ダッ

佐藤「ドライ…えっ!」

にこ「」シュッ

スパッ!!

英玲奈「フルドライブからのストップ&ジャンプ…あんな技まで身につけていたか」

あんじゅ「これで近距離も中距離も遠距離も全てが矢澤さんのフィールドになっているわね」

ツバサ「あと3分で4点差、死ぬ気で守るわよ!」

あんじゅ「マズい、短いかも!」

海未「凛、スクリーンアウト!」

凛「わかってるよ!」

鈴木「ポジションを!」

絵里「海未、凛、ありがとう」キャッチ

にこ「絵里!」ヘイ

絵里「!」パス!

英玲奈「カウンター…なっ!」

にこ「」シュッ

スパッ

モブ「センターサークル付近からのロングシュート!」

モブ「しかもノータッチで入れた!」

モブ「音ノ木坂、これは行ける…!」

=タイムアウト中=

にこ「残り30秒で1点差、追い詰めたわよ」

絵里「必ず逆転できる、みんな死力を尽くすわよ!」

花陽「凛ちゃんと海未ちゃんは真姫ちゃんと穂乃果ちゃんと交代です」

希「花陽ちゃん、お願いがあるんやけど…」



英玲奈「残り30秒…相手はおそらく時間をフルに使って攻めてくるはず」

英玲奈「シュート1本で逆転可能だが、あえて3Pを狙ってくる可能性もあるな」

英玲奈「リバウンドが取れていない事も考えるとゴール下はかなり不利…」

ツバサ「色々考えてもしかたないわ、ラスピリ前にも言ったけどいつもどおりやるだけよ」

ツバサ「24秒フルで使われても5秒前後は残ってる、じゅうぶん逆転可能よ」

英玲奈「そうだな、最後まで諦めずにいこう!」

にこ「」ダムダム

ツバサ(矢澤さんがボール運びを…?)

英玲奈(ドライブで抜いて確実に2点を取りに来るか…)

あんじゅ(ならしっかり中を固めて…)

にこ「」ニコッ

ツバサ(笑った?)

にこ「」シュッ

ツバサ「!」

鈴木「20秒以上残してシュート!?」

英玲奈(いや、それよりもフェイクも無しにツバサが真正面から打たれるなんて…)

英玲奈(ドライブかシュートからの選択肢すら与えない、それくらい自然な動き…ここにきて覚醒するか、矢澤にこ!)

スパッ

モブ「3Pが決まったー!」

モブ「残り20秒で逆転、これで2点差!」

希「みんな、ディフェンスや!」

あんじゅ「東條さんをトップにおいてボックスワン!?」

英玲奈「このタイミングで?」

ツバサ(一体何を考えているの…)ダムダム

希(わかってる…ウチにツバサさんを押さえるのは無理や)

希(ならウチのやる事は…!)

希「さぁ、抜けるもんなら抜いてみい」

ツバサ「舐められたものね!」ダッ

希(やっぱり抜かれる…でもこれは予想通り!)

ツバサ(2点じゃダメ、3P!)シュッ

英玲奈(これは入る…がマズい!)

スパッ

モブ「残り10秒、再びUTXが逆転したー!」

ツバサ「しまった、時間を残しすぎた…!」

希「時間がない!えりち!」

絵里「10秒あれば余裕で行って帰ってこれるわ!」

希『花陽ちゃん、お願いがあるんやけど…』

希『このあとそーゆー展開になってもタイムアウトは取らないで欲しいんよ』

希『流れで押し切ってみせる…!』

花陽(さっき希ちゃんが言っていたのはきっとこの展開の事)

花陽(ツバサさんが戸惑った一瞬の隙をついて真姫ちゃんから絶妙なパスが通りました)

花陽(絵里ちゃんへ繋がったボールはコート上の誰よりも速いドリブルでハーフラインを越え、そして…)

希「えりち!」

絵里「希ー!」パス!

鈴木「抜かせない!」

希「甘いで!」クルン

鈴木「ロールで回避された…!」

希「このまま決める…!」レイアップ!

英玲奈「まだだ、まだ終わらせはしない!」

希「」ニッ

シュッ

にこ「ナイスパス」

あんじゅ「矢澤さんが3Pラインに!間に合え…!」ダッ

にこ「あんじゅ!?」シュッ

ガコンッ!!

ガコンッ!

佐藤「外れた!」

鈴木「リバウンドを取ってキープすれば終わりだ!」

穂乃果(あと何秒?間に合うかな?)

穂乃果(何も考えちゃダメだ…跳べる、跳べるよ!)ブワッ

希「穂乃果ちゃん!」

絵里「穂乃果ぁ!」

真姫「穂乃果!」

にこ「そのままブチこんじゃえー!」

ズガァァァン!

ことり「決めた!穂乃果ちゃんすごい!」

凛「でも時間は?間に合ったの!?」

海未「時計は!?」

時計[00:01]

凛「まだ1秒ある!」

海未「という事は点が入りました、逆転です!」

審判「試合終了!」ピー

審判「79対78で音ノ木坂の勝利です!」

両校「ありがとうございました!」

ツバサ「練習試合の時からすごく成長していたわね」

にこ「あの時に負けたのが悔しかったからね、UTXを倒す事を目標に全員一丸となって特訓してきたわ」

ツバサ「この短期間で昨年のIH出場校を倒すとは恐れ入ったわ…でも、本選では負けないわ」スッ

にこ「できればまた決勝で当たりたいわね」スッ

グッ

穂乃果「優勝…優勝だよ~!!」

海未「まだ総体の予選ですよ?」

希「でも予選とはいえ優勝はすごいやん!」

凛「そーにゃそーにゃ!」

ことり「これで来年度の入学希望者ももっと増えそうだね♪」

真姫「新入生が花陽式トレーニングにちゃんとついてこれるといいわね」

花陽「いきなりそんなに厳しくはしないよ~…タブン」

にこ「はいはい、来年の事よりも目先の事が重要よ!」

絵里「にこの言うとおりよ、まずは総体本選について考えましょう」

穂乃果「とうとうIHか…わくわくするね…!」

穂乃果「よ~し、本選も優勝目指して頑張るぞー!!」

全員「おー!!」

とりあえず本編ここまで。

晩ご飯食べたらおまけ投下します。

花陽「大変ですー!」

凛「かよちんどうしたの?」

花陽「一旦練習は中止して職員室にきてください!」


=テレビ=
レポーター『今年の高校総体に新たな歴史が生まれました!』

レポーター『昨年の覇者に10点以上の差をつけての勝利、その立役者にインタビューをしてみたいと思います』

ツバサ『どうも』

穂乃果「あ、ツバサさんだ!」

レポーター『ここまでを振り返ってみてどうでしょう?』

ツバサ『どの試合も余裕なんて全然なくて常に緊張していました、とても疲れました』

レポーター『特に印象に残っている試合はどの試合でしょうか?』

ツバサ『そうですね…やはり決勝戦ですね』

レポーター『長野代表の新田高校戦ですね、確かに決勝戦は…』

ツバサ『あ、いや、そっちでは無くて…』

レポーター『え?』

ツバサ『借りは来年後輩達が返してくれると信じています』

レポーター『え…あ、ありがとうございました、UTXの綺羅ツバサさんでしたー』

真姫「UTX、まさか優勝しちゃうとはね」

海未「良かったじゃないですか」

真姫「え?」

海未「目標としていた相手が全国優勝したという事は…」

ことり「私たちの目標も必然的に"優勝"って事になるね」

凛「なるほど、わかりやすい目標にゃー!」

穂乃果「こっちこそ、借りは来年返すよ」

花陽(結論からいうと、私たちはIHにはいけたものの優勝はできませんでした)

花陽(準々決勝で再びUTXと当たり、今度は負けてしまいました)

花陽(とっても悔しかったけど、でもまずはそもそもの目的であった廃校を阻止する事ができたので良かったです)

花陽(しかし負けたままではいられません!)

花陽(穂乃果ちゃんも言っていましたが、借りは来年必ず返します!)

花陽(その時は皆さんも応援よろしくお願いします)



おわり

お付き合いいただきありがとうございました。
書いてみてわかったけど試合の様子を文章で説明するのすげぇ難しい。
もっと他の人の作品を見て勉強します。

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