兵藤レナ「あなたの前では」 (33)

アイドルマスターシンデレラガールズです。兵藤レナさんがメインのお話です。

兵藤レナ「ファーストキス」
兵藤レナ「ファーストキス」 - SSまとめ速報
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の続きです

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事務所

モバP(以下P)「ねーちゃん、ちょいちょい」

レナ「どうしたの?」

P「来週ってなんか予定入れちゃった?」

レナ「何も入れていないわよ」

里美「……デートですかぁ?」

レナ「あら、そうなの?」

P「んー……まぁ、二人でだからデートっちゃデートかもしれんが」

里美「ふぅーん……」

P「なんかあの一件以来、里美が冷たい気がする」

レナ「妹に嫌われちゃったわね」

P「ねーちゃんのせいなのに」

レナ「Pくんのせいよ」

P「はぁ? ってそれより、来週なんだけど」

レナ「デートね、良いわよ。どこ行くの?」

P「レッスンスタジオ」

里美「ほわぁ……」

レナ「Pくんが見てくれるのかしら?」

P「うん。ねーちゃんのデビューの目途が立ったから、どれくらいの完成度か見ておきたい」

レナ「分かったわ。どうせ、今もほぼ毎日休みみたいなものだし、気にしなくていいわよ」

P「ありがと」

里美「お仕事だったんですねぇ~」

P「そう言っただろ?」

里美「言ってませんよぉ……」

P「あれ? 言ったよね?」

レナ「どうかしら? 私は仕事だろうなって思ってたし、そんなに気にしてなかったわ」

里美「おにいちゃんとおねえちゃんは言わなくても伝わりすぎですぅ~……」

P「そう?」

レナ「そうかしら?」

ちひろ「……というか、基本的にお二人で会話してると主語がないですよね」

里美「ちひろさんの言う通りですぅ……」

P「えー? そんな事ないと思うんですけど……」

ちひろ「いやいや……。聞いてると何話してるのかさっぱりな時が結構ありますよ」

レナ「例えば?」

ちひろ「昨日だってプロデューサーさんが『どうする?』って聞いただけなのに、『私も帰るわよ』って」

P「そうでしたっけ?」

レナ「だったかしら?」

里美「以心伝心ですぅ……」

P「ま、長い付き合いですし」

レナ「そうね。なんだかんだ20年以上だもの」

P「あ、それ欲しい」

レナ「はい。付箋貼っておいたわよ」

P「あんがと」

ちひろ「それですよ! そういうのが多いんです!」

里美「ほわぁ~……すごい……」

P「えー……でも、今のはどう考えてもねーちゃんが持ってる奴が欲しいって言ったじゃないですか」

ちひろ「……良いでしょう。そこは譲歩します」

ちひろ「ですが! レナさんはどうしてプロデューサーさんが必要としてる部分に的確に付箋を貼れるんですか!?」

レナ「別に今貼ったわけじゃないのに……」

里美「じゃあおねえちゃんはいつ付箋貼ったんですかぁ~?」

レナ「この資料触り出したころだから20分前くらい?」

P「じゃない? 俺が一つ前のやつに手を付けてた時だし」

ちひろ「どうしてそんな前に付箋を貼れるんですか……サイキックですか……」

レナ「だって、Pくんが次に手を付けるの分かってたし」

P「というか、ちひろさんだってよくやってくれるじゃないですか」

ちひろ「私がやるのとレナさんがやるのでは質が違うんですよ! 私だとたまに祖語が発生してるじゃないですか!」

P「あぁー……まぁ、それは年季の違いですよ」

レナ「というか荒れてるわね。どうしたの?」

ちひろ「レナさんがお手伝いしてくれるようになってからと言う物……」

ちひろ「プロデューサーさんだけ事務処理が早すぎるんですよ!」

ちひろ「昔は仲良く残業してたのに最近は独りぼっちで残業ですよ!? 寂しい!」

P「えぇー……残業代払わなくていいから会社的には俺の方が正しいですよね」

ちひろ「会社的にとか知りません! 私が独りで寂しいんです!」

ちひろ「会社でも独り! 家でも独り! 寂しくてそろそろ死にますよ!?」

里美「死なないでください~」

P「じゃあちひろさんも早く仕事しましょうよ」

ちひろ「プロデューサーさんみたいに優秀すぎるアシスタントが居ないんです!」

P「えぇー……」

P「じゃあねーちゃんはちひろさん手伝ってあげてよ」

レナ「ん。分かったわ。でも、これで一応一区切りだから」

P「あいよー」

P「里美は暇だよな? ちょっと俺の手伝いしてくれる?」

里美「はぁい~」

里美「なにをすればいいんですかぁ~?」

P「衣装の発注とか行くからついてきて」

里美「デートですねぇ!」

P「仕事だ仕事。んじゃ行ってきまーす」

里美「もぅ~……」

ちひろ「いってらっしゃいー」

レナ「はい、これで大丈夫かしら?」

ちひろ「あ、ありがとうございます」

ちひろ「……? ところでこの付箋は?」

レナ「へ? 間違ってたところに貼っておいたんだけど」

ちひろ「えっ!? あっ……! 本当だ、数字間違ってる……」

レナ「私がチェックした限りだとそれくらいかしら。あとはこっちね」

ちひろ「こっちの付箋は?」

レナ「期限が近いのに貼ってあるわよ」

ちひろ「すみません……付箋に何か書いてください……。わたしじゃ分からないです」

レナ「あ、そうね。ごめんなさい」




モバP アパート

レナ「ただいま~……」

P「おかえり」

P「遅かったね」

レナ「そっちは早いのね……」

P「まぁ、里美送ってから直帰したしね。やる事は終わってたし」

レナ「なるほどね……」

レナ「ちひろさんが言ってた意味が分かったわ」

P「やっぱそうなの?」

レナ「えぇ、Pくんとならあんなにいちいち伝えなくてもいいもの」

レナ「やっぱり私はにはPくんが一番ね」

P「はいはい。ありがとね」

レナ「で? 優秀なプロデューサー様は家に帰ってからも書類と格闘かしら」

P「ねーちゃんのだから一応ね。明日にはまとめて提出しときたいし」

レナ「そう。ありがとね」

P「仕事だから」

レナ「素直じゃないわね。ところで何食べたい?」

P「なんでもいいー」

レナ「そんなこと言うと作ってあげないわよ」

P「カップ麺でも食うから」

レナ「ふんっ……」



P(……ねーちゃんならいけるだろ。多分)

P「念のため雪乃とデュオにするか……?」

P「いや、でもねーちゃんはソロの方が映えるだろうし……」

レナ「はい。そこまで!」

P「あ! てめぇ! 何しやがる!」

レナ「今日はお終いよ。明日にしなさい」

P「あとちょっとだけ」

レナ「煮詰まってるんでしょ? やめときなさい」

P「むぅ……」

レナ「それよりご飯にしましょ」

P「うん」



レナ「どう?」

P「どうって鳥」

レナ「まぁそうだけど」

P「いや、でも割と好き。シンプルだけどこういうのって美味い」

P「フライパン?」

レナ「魚焼きグリルよ」

レナ「火力が高いから普通に焼くより脂が落ちてヘルシーなの」

P「ほー、だから皮もパリパリしてるのか」

レナ「で?」

P「ん?」

レナ「どうなの?」

P「あぁ……」

P「とりあえずはちっちゃいとこだけど、トークと一曲って感じ」

P「ねーちゃんのソロの予定だけど、レッスンの完成度次第では雪乃あたりとデュオになる」

レナ「となると、全て来週ってわけね」

P「まぁ、そうなるね」

P「実際どうよ?」

レナ「そうね……言われた事は出来てるつもりだけど、それがどこまで通用するかはわからないわ」

P「案外弱気なのね」

レナ「弱気とは違うわよ。負ける事も知ってないと、勝った時の価値が下がっちゃうの」

P「ほー。知らんかった」

レナ「あと、負け方を知るって言うのは同時に勝ち方を知るって事でもあるしね」

P「負け方、ね」

レナ「ま、私は負けるつもりはないけどね」

レナ「デビューってギャンブルは一度だけしかないでしょ? だから私は勝ってみせるわよ」

P「それでこそねーちゃんだ」

レナ「それに、Pくんも来てくれるのよね?」

P「うん。デビューする時は何があっても着いていく」

レナ「じゃあますますPくんにみっともないとこは見せられないわよ」

P「ま、ねーちゃんなら大丈夫でしょ」

レナ「ふふっ♪ 期待には応えてみせるわよ♪」

P「期待しとくよ」

レナ「じゃあ今日は早くご飯食べて一緒に寝ましょ♪」

P「馬鹿なの?」




翌週 レッスンスタジオ

P「んー……」

P(思ってたよりも出来が悪いな。ねーちゃんにしては珍しい)

レナ「……どう?」

P「思ってたよりは」

レナ「そうよね……集中しきれないのかどうしても雑になっちゃうのよね」

P「んー……」

P「ま、とりあえずソロでもなんとかはなるから、当初通りソロで」

レナ「えぇ……」




CGプロ

P「ただいまもどりましたー」

レナ「ただいまー」

里美「おかえりなさい~」

P「あれ、来てたのか」

里美「はぃ~。学校終わってすぐに来ましたぁ♪」

P「そんなに急がなくてもいいのに」

里美「おにいちゃんに早く会いたかったんですぅ~」

レナ「あらあら、相変わらず好かれてるわね、おにいちゃん」

P「ねーちゃんに呼ばれると気持ち悪いんですけど」

レナ「なによ!」

里美「ほわぁ~……。またおにいちゃんとおねえちゃんだけで仲良くしてますぅ~……」

P「そんなことないって。ところでちひろさんは?」

里美「コンビニに行ってくるって言ってましたぁ~」

P「んじゃ、ちひろさん帰ってくるまで待ちか」

レナ「里美ちゃん、仕事じゃないの?」

P「仕事だけど、まだ時間あるし」

P「それに里美はレギュラーのラジオだから一人でも平気だろうけど、ねーちゃんの方は新規の案件だから俺が居ないとまずいし」

里美「……おにいちゃん、ついてきてくれないんですかぁ?」

P「いつものとこだぞ? 行けるだろ?」

里美「行けますけどぉ~……」

P「不安ならねーちゃんに着いていってもらってくれ」

レナ「私?」

里美「……おにいちゃんは?」

P「ねーちゃんのデビューの方を優先させてください」

里美「むぅ~……」

P「デビューの時はしばらく付きっ切りになるのは仕方ないだろ?」

里美「そうですけどぉ~……」

里美「最近のおにいちゃんはいつもいつも他の娘ばっかりで、私にあんまり構ってくれません……」

P「ま、落ち着いたらな。それまでは頑張ってくれ」

里美「むぅ~!」

P「というわけで、ねーちゃん頼んだ」

レナ「わかったわ!」

レナ「里美ちゃん、Pくんじゃなくてごめんね?」

里美「ほわぁ……おねえちゃんも大好きだから大丈夫ですぅ!」

レナ「やだもぅ、この娘可愛いわね!」

レナ「Pくんと里美ちゃんが結婚したら里美ちゃんが私のいもうとになるのね!」

P「……」

里美「楽しみですぅ!」

P「ねーちゃんと身内になると大変だぞ。それはもう」

レナ「……へぇ、一体何が大変だって言うのかしら?」

P「さぁね、自分で考えてくださいな」

レナ「なによ、もう」

ちひろ「お留守番ありがとう! 里美ちゃん!」

P「おかえりなさい。待ってましたよ」

ちひろ「あ、ただいまです。レナさんの件ですか?」

P「そうです」

レナ「……ま、いいわ」

里美「ほわぁ……」

レナ「じゃあとりあえずお仕事行きましょうか?」

里美「はぃ~」



P「で、問題はなさそうなんですけど若干不安かなって感じですね」

ちひろ「若干ってのがどれくらいかにもよるんですが」

P「見た限りだとおそらく問題は無いです。でも、緊張してるのか全体的に堅いんですよね」

ちひろ「……それはプロデューサーさんだからわかる程度の変化ではなくてですか?」

P「? いえ? 多分ちひろさんが見ても思いますよ」

P「レッスン撮影してきたのでとりあえず見てください」

ちひろ「ほんとに見て分かるんですか……?」

ちひろ「……充分に見えますけど」

P「いえ、ここの左足とか。ついさっきの同じ動きの時よりもわずかですけど遅れてます」

ちひろ「えぇー……。戻していいですか?」

P「はい」

ちひろ「えっと……。あー……確かに言われてみれば遅れてますね」

ちひろ「でも、これなら気付かないレベルですよ?」

P「それは前半だからです」

P「このまま後半に行くと……」

ちひろ「……確かに遅れが私でもわかるレベルになってきましたね」

P「多分、ねーちゃん自身もダンスの遅れわかってるので、段々と表情に余裕が無くなってきて堅い笑顔になります」

ちひろ「んー……笑顔に関しては私には違いがわかりませんけど、ダンスは確かに前半と比べると堅くなってますね」

ちひろ「せっかくの長い手足が活かし切れてないのがもったいないですね」

P「そうなんですよ。だからちょっと悩んでて」

芳乃「ほほー?」

ちひろ「私は大丈夫だと思いますけどね。デビューですし、そこまで期待するのは最初では辛いと思いますよ」

芳乃「わたくしも同じでしてー」

P「でも、ねーちゃんならもっと出来るんですよね……」

ちひろ「それはプロデューサーさんがレナさんの事を良く知っているからですよ」

芳乃「でしてー」

ちひろ「デビューは問題なく終わるのが一番ですし、最初から高望みし過ぎてもレナさんには負担にしかなりませんよ」

芳乃「確かにー。いかにレナ殿の心が強くともー。過度な要求は負担にしかなりませぬー」

P「んー……やっぱり芳乃の言う通り過度な要求ですかね?」

ちひろ「私は現状でも充分だと思っています。ん?」

P「ん? 芳乃?」

芳乃「ほー?」

P「あれ、お前いつの間に……」

芳乃「そなたがー、悩んでいると聞きつけたものでー」

ちひろ「あ、相変わらず不思議ですね……芳乃ちゃん……」

芳乃「お悩みでしたらばー、わたくしが力にー……」

P「いや、ねーちゃんの事は俺が考えるから大丈夫」

芳乃「ほー? 良いのでー?」

P「うん。俺のねーちゃんだし。芳乃の力を借りるまでもないさ」

ちひろ「俺の、ですか」

芳乃「……妬けるのでー」

P「え? 何かおかしなこと言いました?」

ちひろ「いいえ、なんにも」

ちひろ「というか、プロデューサーさんが自分で考えるなら私に相談した意味は……」

P「客観的な意見が欲しかったもので……」

芳乃「ということはー、そなたの中で答えはすでに決まっているのですねー」

P「うん。やっぱねーちゃんはソロでデビューしてもらうよ」

P「俺が気になるところも初見ならそこまで気にならないみたいだし」

ちひろ「ああ、なるほど。そういう客観的な意見でしたか」

P「そういう事です。じゃあ、とりあえずはこのまま進めますね」

ちひろ「了解しました」

芳乃「そなたーそなたー」

P「んー?」

芳乃「わたくしもー、これからお仕事がー」

P「おう! 芳乃なら大丈夫だから期待してるぞ!」

芳乃「……そなたはいけずでしてー」




デビュー当日

レナ「……」

P「緊張してんの?」

レナ「私を誰だと思っているのかしら? って言いたいとこだけど……ちょっとだけ」

P「昨夜は自信満々でテンションも高かったのにねぇ」

レナ「正直、緊張度合で言えばディーラーの時の方がよっぽどよ」

レナ「下手すれば私の首が飛ぶだけじゃ済まないし」

P「じゃあ何をそんなに怖がってるのさ」

レナ「……まったく想像もつかない、初めての事をするって言うのは怖いのよ」

P「ねーちゃんにしちゃ珍しい」

レナ「私だって案外怖がりなのよ」

P「ふーん……」

レナ「ふーんってなによ」

P「意外だなって」

レナ「そう?」

P「うん。だって、昔は泣いて怖がるのは俺で、いつもねーちゃんがか守ってくれてたし」

レナ「大事なおとうとを守るのはおねえちゃんとして当然の事よ」

P「へいへい……」

P「んー……」

レナ「キョロキョロしてどうしたの?」

P「んー……? 人目の確認」

レナ「人目ってPくんと私しか居ないじゃない?」

P「ねーちゃんもこれからはアイドルだしね。念のため」

レナ「?」

P「大丈夫そうだし、まいっか……」

P「ねーちゃん、ちょいちょい」

レナ「なに?」

レナ「きゃっ!」

P「悲鳴上げられると傷つくんですけど」

レナ「そ、そんな急に抱きしめられるなんて思ってないからよ!」

P「いや、だって昔はよくこうしてくれたじゃん?」

P「俺がいじめられたときとか、心霊特集見て寝れなくなった時とか」

レナ「覚えてたの?」

P「まぁ……断片的には」

P「でも、こうしてもらうと怖くなくなった事はちゃんと覚えてる」

P「人の心臓の音って落ち着くんだよね。ねーちゃんにこうしてもらうと、丁度心臓の音が聴こえてさ」

レナ「そう……ね。知らなかったわ」

P「昔はねーちゃんに守らてばかりだったけど、今は違うから」

レナ「Pくん?」

P「今の俺はプロデューサーで、ねーちゃんはアイドル」

P「アイドルを守るのはプロデューサーの役目だから」

レナ「Pくん……」

P「それに、ねーちゃんなら大丈夫」

レナ「……自信ないわよ?」

P「ねーちゃんに無くても俺にはあるから」

P「ねーちゃんは俺の一番だから。絶対に大丈夫」

レナ「ふふっ……根拠になってない気がするわね」

P「これでも一応は敏腕プロデューサーだから。信じて」

レナ「そうね! Pくんがそう言うなら大丈夫なのよね!」

レナ「……ありがとね。もう大丈夫だから」

P「いける?」

レナ「任せて! Pくんのお墨付きもあるし!」

P「楽しみにしてるから、よろしく!」

レナ「えぇ! 兵藤レナの実力見せてあげるわ!」




その日の夜 モバP アパート

P「ねーちゃん! 飲み過ぎ!」

レナ「えー? もう一本だけだから、ね?」

P「ダメです!」

レナ「いいじゃない! せっかくデビューもうまくいったんだし!」

P「明日もレッスン入ってるだろ!」

レナ「お祝いするって言ったのはPくんなのにぃ……」

P「したじゃん! お祝い!」

レナ「そうだっけ?」

P「結構良いお値段のワイン買ってきましたよね!?」

レナ「んー、そうね。美味しかったわよ」

P「あっという間に飲んだと思ったら、足りないって言ってコンビニに買い出し行きましたよね!?」

レナ「行ったわね」

P「あんた! 一体どれだけ飲んだの!」

レナ「ワインは二本かしら?」

P「他!」

レナ「……日本酒がえっと……二合くらいかしら、これ」

P「そうね。大体二合くらいね」

レナ「あとは酎ハイが三本にビールが……」

P「充分飲んだでしょ!?」

レナ「でも、お祝いだし……」

P「限度があるだろ!」

レナ「Pくんのけちー」

P「けちじゃない! 明日どうすんの!?」

レナ「明日の事は明日考えましょう?」

レナ「人間は日々変わっていくのよ? 過去を振り返っても意味はないし、未来を考えてもその通りになる保証はないの」

P「社会人はそれじゃダメなんですよ!」

レナ「堅実、保守……私が嫌いな言葉ね」

P「現代日本は堅実と保守で成り立ってんだよ!」

レナ「本当に詰まらない世の中よね……」

P「飲むのを止めろ! 馬鹿!」

レナ「じゃあ、飲むのやめる代わりに何かくれる?」

P「はぁ? 馬鹿なの?」

レナ「じゃあ気が済むまで飲むわ」

P「……わかった。何が望みだ」

レナ「……」

P「……」

レナ「特にないわね」

P「お前……! マジでいい加減にしろよ……!」

レナ「んー……そうねぇ……」

レナ「あ、なら一緒にお風呂入らない?」

P「……今、風呂入ったらねーちゃん死ぬんじゃない?」

レナ「そう?」

P「立てる?」

レナ「失礼ね。ほら……っとと……あ、あれ?」

P「ほら、言わんこっちゃない……」

レナ「こんなはずじゃなかったんだけど……」

P「風呂は諦めて寝なよ」

レナ「でもお風呂入らないと気持ち悪くて……」

P「帰ってきてからシャワーは浴びたでしょ?」

レナ「そうだけど……」

P「朝入ったら? 沸かせばいいだけだし」

レナ「んー……そうするしかないわね……」

レナ「とりあえずベッドまでは這っていくしかなさそうね……」

P「よっと……」

レナ「きゃあっ!」

P「だから、悲鳴は止めて。傷つく」

レナ「急に抱きかかえるからでしょ!?」

レナ「お、おろして!」

P「立って歩けないくせに何言ってんだ」

レナ「でも……! お姫様だっこなんて……」

P「我慢してください」

レナ(は、恥ずかしくて死んじゃう……!)

P「てか、顔真っ赤だけど、本当に大丈夫なの?」

レナ「だ、大丈夫に決まってるでしょ!? 早く運んで! すぐおろして!」

P「はいはい……」



P「じゃあ、おやすみ」

レナ「おやすみ……」

レナ(……び、びっくりした!)

レナ(まさかPくんにお姫様だっこされるなんて……!)

レナ(女の子みたいだったPくんなのに! いつの間にあんなにたくましく……)

レナ「……Pくんも男の人なのね……」

レナ「ちょっと……カッコよかったかも……」

End

以上です。

行き詰ると他の事がはかどりますよね。
別の書いてる途中に行き詰ってこれを書き始め、これも段々と行き詰るようになったら瞳子さんあたりでよさげなネタが降ってきてそっち書こうかなーなんて思ったり。

せめて区切りの良いところまではやってから、別のに手を付けないととっちらかるだけなのに……。

よしのんの声がようやく皆に聞こえるようになりましたね。以前聞いてた声より色っぽかった気がしますが気のせいでしょう。聞き慣れた声のはずですもんね。

では、お読み頂ければ幸いです。依頼出してきます。

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