早川健「アイドル?」白菊ほたる「私立探偵…?」 (143)

※注意

・「快傑ズバット」と「モバマス」のクロスSSです。ズバット寄り
・と言うか宮内洋です
・オリジナル設定あり
・色々と色々です
・みどりさんとオサムくんはお休みです



(OP:地獄のズバット)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471605887

--林道--


白菊ほたる「……」トボトボ…

ほたる「……っ…」トボトボ…

ほたる「………」プツッ

ほたる「あっ…靴ひもが…」ス

ほたる「どうしよう…これじゃ……」

ほたる「………」

ほたる「…やっぱり不幸なんだな…私…」

ほたる「………」チラ

(ほたるが来た道を振り返る)

ほたる「これで…よかったんだ…」

ほたる「私がいると……みんなまで不幸になってしまうから……」

ほたる「あの優しい人たちに……これ以上の迷惑は……」

ほたる「…………」

ほたる「私がいなくなったから……きっと……」スクッ

ほたる「行かなくちゃ…どこかへ……離れないと…不幸が…」

ダッカー構成員1「待ちな」ザッ

ほたる「?!」

ザッ ザッ ザッ ザッ

ダッカー構成員1~5「……」

(ほたるを囲むようにダッカー構成員が立っている)

ほたる「…!」キョロ キョロ

ダッカー構成員1「白菊ほたる、だな?」

ほたる「あ……」ジリ…

ダッカー構成員1「…」ガシッ!

(ダッカー構成員1がほたるの腕を掴む)

ほたる「きゃっ…!」

ダッカー構成員2~5「……」ニヤニヤ


ダッカー構成員1「来い」
グイッ!

ほたる「だ、誰か…あ……(今…私は助けを呼ぼうと…誰かを「不幸」に巻き込もうと……)」

ほたる(私は…もう誰も「不幸」にならないように……もう誰も「不幸」にしないようにしようと思って…出てきたのに……)

ダッカー構成員1「へっへっへっへ」

ほたる(私は……)

ジャーンジャーンジャーン…

ダッカー構成員1~5「?!」

ほたる「…?」


ジャーンジャーンジャーン…

???「………」ツカ…ツカ…ツカ…ツカ…

(何者かがギターを弾きながら山道を下って来る)

ほたる(ぎ、ギター……?)

ジャーンジャーンジャーン…

???「………」ツカ…ツカ…ツカ…ツカ…

ダッカー構成員1~5「……っ…」
ジリ…ジリ…

ジャーンジャーンジャーン…

???「………」ツカ…ツカ…ツカ…ツカ…

ダッカー構成員1「き、貴様何者だっ?!顔を見せろ!」

???「顔を見せろ…ね」ツカ

ダッカー構成員2~4「……」ジリ…

???「フッ…いいぜ、見せてやるよ。一瞬だけしか見ることはできねぇだろうけどな」

ダッカー構成員1「ど、どう言う意味だ?!」

???「どう言う意味も何も、そのまんまの意味さ」

(謎の男が肩をすくめる動作をする)

ダッカー構成員2「野郎…誰だか知らねえが舐めた口を利きやがって…!」
ブンッ!

???「当たらねえよ」スッ ドム!

ダッカー構成員2「うぁ……」

ダッカー構成員3「…っ!このっ!」バッ!

ダッカー構成員4「舐めやがって!」バッ!

ダッカー構成員5「やっちまえ!」バッ!

???「ハッ!フンッ!トイヤッ!」
バキッ!ドカッ!ゴスッ!

ダッカー構成員3~5「ぐぉ……」

ダッカー構成員1「なっ…?!」

???「ふぅ……」ツカ…ツカ…

ほたる(この人は……?)

???「………」ツカ…ツカ…

ダッカー構成員1「こ、このおっ!」
ブンッ!

???「トオッ!」バキィッ!

ダッカー構成員1「グワッ…!」

???「………」ツカ…ツカ…ツカ…ツカ…

???「………」ジャーン…

ダッカー構成員1~5「ウワァァ……」
グラッ…ドサッ

(???がギターを弾くと同時に固まっていたダッカー構成員たちが崩れ落ちる)

???「ほらな、一瞬だけしか見られなかっただろ?」クル

(謎の男がほたるの方へ向き直る)

???「怪我はないかい、お嬢ちゃん?」

ほたる「は、はい…」

???「そうかい、そりゃあ良かった」

ほたる「あ、あの……」

???「何だい?」

ほたる「どうして…私を助けてくれたんですか…?」

???「はっはっはっは…そんなの決まってるじゃないか」

???「俺が君を助けられる場所に居合わせることができたからさ。人助けにそれ以上の理由が必要かい?」

ほたる「……!」

???「君、名前は?」

ほたる「白菊ほたる…です…」

???「白菊ほたるちゃん、か。いい名前だ」

ほたる「あ、ありがとうございます……あっ…あなたは…?」

???「早川健、さすらいの私立探偵さ」ニコッ

ほたる「早川健…さん……すみません…」

健「…?何がだい?」

ほたる「それは……」

健「…!危ない!」ヒュンッ!!ザスッ!

(早川が飛んできたものを咄嗟にギターで受ける)

健「名刺…おいでなすったな」
ザスッ ポイッ

(ギターに刺さっている名刺を抜いて捨てる)

健「随分と乱暴な名刺の渡し方じゃねえか。え、「悪徳P」さんよ」

悪徳P「ホゥ……」ザッ

悪徳P「俺を知っているのか?」

健「ああ、かなり有名ですからね。『暗澹党』のボス、『ミスター暗澹』の用心棒、殺し屋プロデューサー、『悪徳P』。名刺投げの達人。但し、その腕前は日本じゃあ2番目だ」スッ

悪徳P「2番目、だと?…俺以外に日本一がいるとでも言うのか?」

健「ヒュー、チッチッチッチ」クイッ

健「ふっふっはっはっは」スッ

(早川が自分を指差す)

悪徳P「お前が…?…面白い、勝負してみるか?」

-------------------------------------------------


悪徳P「…見ていろ。この紙製の名刺、これが俺の手にかかれば……ヒャァオ!」
ヒュンッ!ザスッ…!

ほたる(堅い木の幹に名刺が…?!)

悪徳P「この程度で驚いてもらったら困るぜ?ヒャァァァオ!」ヒュヒュヒュヒュン…!
ザスザスザスザスザスッ…!

悪徳P「どうだ?日本一とはこう言うことを言うんだ」

(木の幹に名刺が「P」の字を描くように刺さっている)

健「………」

悪徳P「やれるものならばやってみろ」
スッ

健「………」ハシッ

(早川が差し出された名刺入れを受け取る)

健「ふぅ………」スッ

健「トイヤッ!」
ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ…!
カカカカカカカカカン…!

悪徳P「なっ…?!」

健「はっはっはっはっは」

健「1文字だけじゃあ寂しかったんでね」

(「P」字型に刺さっている名刺の下に「E」「R」「F」「E」「C」「T」を描く様に名刺が刺さっている)

健「「完璧」な仕事だろ?」

悪徳P「ぐ……」

健「『どうだ?日本一とはこう言うことを言うんだ』」

悪徳P「……っ!」クルッ
スタスタスタスタ…

健「フッ…」

---とある小さな芸能事務所--


モバP「ほたるぅぅぅぅぅ!!」
ギュッ!

ほたる「きゃっ…!」///

モバP「ほたるぅぅぅぅぅ!ほたるぅぅぅぅぅ!」

ほたる「あ、あの……」///

モバP「心配…したんだからなぁぁぁ…!」

ほたる「……!」

モバP「「今までお世話になりました」なんて…書き置きを残して……残して………」ギュッ……

ほたる「…………」

モバP「もう二度と…こんなことはするな…!いい…な?!」

ほたる「………はい…」

モバP「……っ……ほたるが無事で良かった……」ギュッ…

ほたる「モバP…さん……」

モバP「ほたるぅぅ……ほたるぅぅぅ………」ギュッ…

ほたる「………」キュッ…

健「………」

モバP「ありがとうございました…早川さん…!改めてお礼を言わせてください」

健「いえ、お気になさらないでくだい」

モバP「そうも行きません!もう…何とお礼を言わせていただいたら…いいか……っ……ほたるぅぅぅ……」

健「……ほたるちゃんの事をとても大切に考えてらっしゃるんですね」

モバP「はい……それは……もう……ほたるぅぅぅぅ……」ギュッ…

ほたる「………」

???「私からもお礼を言わせてください」

健「…」クルッ

(早川が背後を振り返る)

???「私はこの事務所の社長をやらせていただいている者です」

健「あぁ、これは」スクッ

社長「あの子を助けていただき本当にありがとうございました」

健「当然の事をさせていただいたまでです」

--小さな芸能事務所 社長室--



社長「全てはこれから始まったんです。一ヶ月前に届いた…これから……」スッ

(社長が一枚の書状を机に置く)

健「なになに…『お前たちの平穏を10億円で売ってやろう』」

社長「最初はイタズラか何かだと思いました。ですが…」

健「…その日から『暗澹党』の連中が…と言う訳ですか?」

社長「はい…」

健「その…具体的には?」

社長「「よくないこと」が起きるようになりました…それも毎日のように…」

健「「よくないこと」?」

社長「社用車が「壊れた」結果、取引先との待ち合わせに遅れてしまったり…その取引先との話は潰れました……資料が「無くなってしまって」いたり……」

健「………」

社長「ご覧になられた通りこの事務所は小さな事務所です…ちょっとしたことでもこの事務所にとっては大きなダメージとなってしまうのです…」

社長「それだけならまだしも…「よくないこと」は段々と社員たちにも起きるようになっていきました……」

健「…「事故」が起きるようになったんですね?」

社長「はい…ある時はスタジオの機材が「事故」により落下して怪我人が出ました…またある時は自動車の「事故」により……」

健「社長さん…」

社長「証拠がないのです…証拠が…何一つ……警察からも証拠がない以上はどうしようもないと言われました……あぁ……」

(社長が頭を抱える)

健「…そうですか」

健(これは間違いなく『暗澹党』の仕業だ。「書状」が送り付けられる、送り付けられた場所では「よくないこと」が起きるようになる)

健(…疑問は二つ、だな。まずは一つ目はどうやって『暗澹党』は「よくないこと」を引き起こしているのか。そして二つ目は……)

社長「どうしてこの事務所なのでしょうか…」

健(そうだ。どうしてこの事務所なんだ。こう言っちゃ難だが、脅迫するならもっと他の場所を狙ったっていいはずだ)

健(……何かあるな…)

社長「私には10億円などと言う大金は用意することは出来ません…しかし、このままでは……私は事務所の皆が傷付くのには…もう…耐えられない…」

健「…心中お察しいたします」

社長「特にほたるちゃんは酷く弱ってしまっていて……今回も自分さえ居なくなれば…と考えてしまったらしく……」

健「ほたるちゃんが…?どうしてです?」

社長「彼女は…ほたるちゃんは…自分がこの「不運」を呼んでしまった…そう考えているようなんです…」

--小さな事務所--


ほたる「モバPさん…あの……」

モバP「違う。ほたるは何も悪くなんかない。悪いのは全部『暗澹党』だ」

ほたる「でも……」

モバP「ほたる」ポン

(モバPが左手をほたるの頭の上に置く)

モバP「ほたるは悪くない…悪くないんだ」

ほたる「……すみません…」

モバP「どうして謝るんだ?この事務所が目を付けられたのは、ほたるの所為じゃないし、事務所のみんなに「事故」が起きるのも、ほたるの所為なんかじゃない」

ほたる「でも……」

モバP「はぁ…「でも」禁止」ビシ

(モバPが左手で軽くデコピンをする)

ほたる「あう…」

モバP「次「でも」って言ったらまたデコピンするからな?」

ほたる「……」ス…

(ほたるがモバPを見上げる)

モバP「それから…居なくなるのも禁止だ。ほたるをプロデュースできなくなったりしたら、それこそ「不幸」だ」

ほたる「モバP…さん…」

モバP「「不幸」の原因はお前じゃない。だからお前が出て行かなくちゃいけない理由なんて一つもないんだ…お前はここに居ていいんだ」

ほたる「私……」

モバP「…いいんだ」ポン ポン

ほたる「……っ……」

モバP「………」

ほたる(モバPさんは…とっても優しい人……私にも…優しくしてくれて……)

ほたる(モバPさんだけじゃなくて……事務所の皆さんも優しくて…いい人ばかりで……)

ほたる(半年前にこの事務所に移籍させてもらったときは不安でいっぱいだったけど……すぐに不安なんかなくなって……)

ほたる(ここは…優しくて、温かくて…私を必ずトップアイドルにする、って言ってくれる人も居て……)

ほたる(…………)

ほたる(ここに……居たい……)

ほたる(居たい…けど…)チラ

(ほたるがモバPを見る)

ほたる(……私は居たら…いけない……周りを不幸に…温かい人たちを不幸にしてしまうから……)

ほたる(…どうしたらいいかは分からないけど…私さえ居なくなれば…そう決意したのに……)

ほたる(…なのに………)ポス…

(ほたるがモバPの胸に顔を埋める)

モバP「………」ギュッ…

ほたる(………なのに……)

--人気のない陸橋の下--


健「急に呼び出したりしてすまんな、東条」

東条進吾「なぁに、お前から急に呼び出されるのには慣れてるよ」

健「フッ、そうか。それで早速で悪いんだが…」

東条「『暗澹党』のことだろ?」

健「…流石は東条。話が早い」

東条「『暗澹党』は警察の方でもずっと動きは追っている」

健「だが、全く尻尾が掴めない」

東条「…ああ、奴らが脅迫を繰り返していることは間違いないんだ。しかし決定的な証拠がな…」

健「………」

東条「…早川。今度は『暗澹党』に喧嘩を売るつもりなのか?」

健「悪いな、もう売っちまったよ」

東条「…!お前と言うヤツは…!」

健「悪党を前にすると拳がムズムズしちまう体質なもんでね」

東条「幾らお前でも『暗澹党』ほどの組織に1人で喧嘩を売るのは危険だ!」

健「じゃあ黙って『暗澹党』の悪事を見逃せって言うのか?」

東条「『暗澹党』は警察の捜査でもボスが『ミスター暗澹』と名乗る人物だと言うことだけしか分からない、それぐらいの組織なんだぞ?!」

健「そりゃあそうだろうさ。法律やら何やらを守らなくちゃあならねぇ警察じゃあな」

東条「…!お前は……」

健「蛇の道は蛇だよ、東条。警察にゃ出来ねえやり方ってのもあるのさ」

東条「…これからどうするつもりなんだ?」

健「さぁな。ま、好きにやらせてもらうよ。…またな」クルッ

(早川が東条に背を向ける)

東条「……」

健「……」ツカツカツカツカ…

東条「……待て、早川!」

健「……」 ピタ

(早川が立ち止まる)

健「…何だ、東条?」

東条「……」ゴソッ
ツカツカツカツカ…スッ

(早川に歩み寄り茶封筒を差し出す)

健「これは?」

東条「今まで『暗澹党』の被害に遭った企業のリストと…『ミスター暗澹』を偶然捉えた写真だ」

健「ほう…」

東条「あまり役に立つものではないとは思うが…無いよりはマシだろう」

健「…恩に切るぜ」ハシッ

(東条からリストと写真を受け取る)

東条「…すまない」

健「それはこっちのセリフさ」

東条「……」

健「……」クルッ
ツカツカツカツカ…

(早川が再び東条に背を向け歩き出す)

東条「…早川」

健「……」ヒラヒラヒラヒラ

(早川が後ろ向きのまま手を振る)


--夜 ホテル 宿泊室--


健「………」ペラッ

(早川が東条から受け取ったリストを見ている)

健(今まで『暗澹党』の被害を受けた企業に法則性は見出せない。てんでバラバラだ)

健(だが…何かが引っかかる。上手くは言えないが何かが…)

健(奴らは大企業から小さな町工場まで見境がない…ここに何か手がかりがある様な気がする…)

健(そう…何か手がかりが……ん?)

健(木を隠すなら森の中…もしも奴らの狙いの一つが捜査を混乱させることだったとしたら…)

健「………」 スクッ

(早川が立ち上がる)

--翌日 小さな芸能事務所--


健「おはようございます」

モバP「あぁ、早川さん!おはようございます!」

健「少しお邪魔させていただいてもよろしいでしょうか?」

モバP「もちろんですとも。さあ、中に入ってください!」

健「どうも」

(早川が会釈をしてから中に入る)

-------------------------------------------------


モバP「安物ですが」コトッ

(モバPが健の前に湯呑みを置く)

健「すみません、こちらが押しかけた側なのにお茶なんか出していただいて」

モバP「暑い中わざわざ来ていただいたんです。むしろお茶ぐらいしかお出しできなくて…」

健「……」クイッ

(健が湯呑みに入っている緑茶を一口飲む)

健「……ふぅ…これはモバPさんが淹れてくださったんですよね?」

モバP「あっ…え、ええ…」

健「飲む人のことを考えて淹れた…そんな温かい味がします」

モバP「あ……えっと……」

健「美味しいです」ニコッ

モバP「あ……あはは…ありがとうございます」ガシガシ

(モバPが照れ隠しに頭をかく)

健「ふふっ…」クイッ

健「ふぅ……」

~~~♪

(微かな歌声が聞こえ始める)

健「おや…」

~~~♪

健「………」

~~~♪

健「………」パチ

(早川が目を瞑る)

~~~♪

健「……」

~~~♪

健「……ほたるちゃんですか?」

モバP「はい、今歌の練習をしているところなんです」

健「…思わず聞き惚れちゃいましたよ。ほたるちゃんはいい歌声を…」

モバP「そうなんですよ!」ガタッ!

モバP「ほたるはの歌声はいい歌声なんです!それだけじゃありません、ほたるの歌には力があるんです!聞く人の心に……それから、笑顔が誰よりも可愛らしくて…!……あっ…」ストン

モバP「……す、すみません…」

健「はっはっはっは…あなたはほたるちゃんの才能に心底惚れてるんですね」

モバP「……は、はい…」
ガシガシガシガシ

~~~♪

健「………」

モバP「最初にほたるを一目見た時に直感したんです。この子ならトップアイドルになれる…って」

健「なるほど…だけどそれじゃぁありませんよね?」

モバP「えっ…?」

健「あなたがほたるちゃんに向ける目は…とても優しかった」

モバP「………」

健「………」

モバP「…よく人を見られているんですね」

健「私立探偵ですから」

モバP「この子を幸せにしてあげたい…そう…思ったんです」

(モバPが視線を落とす)

モバP「最初に出会ったとき…ほたるはとても暗い顔を…悲しそうな目をしていたんです…聞けば「不幸体質」だ、とかで…」

健「不幸体質…(社長さんからも聞いた。確か…)」

モバP「自分は周りを不幸にしてしまうから…以前所属していた事務所も、その前の事務所も、その前の事務所も倒産してしまったから…と」

健「………」

モバP「スカウトしようとした時も言われたんです…「止めといた方がいいですよ…」って」

健「モバPさんは?」

モバP「「いや、止めない。俺は今君をトップアイドルにすると決めた」…って…あはは…その……」

健「フッ、男でしたね」

モバP「えっ……あ……あはは……」
ガシガシ

健「あなたみたいな人に想われるなんて、ほたるちゃんは幸せ者だ」

モバP「お、想う…?!いや…その…そんなんじゃ……!」ワタワタ

健「誰かを想う、素敵なことじゃぁないですか」

モバP「いや、だ、だって…そんな…一回りも違うんですよ?」ワタワタ

健「それが?」

モバP「そ、それがって……!」ワタワタ

健「少なくとも…ほたるちゃんは幸せだと思いますよ。あなたに大切に想われて」

モバP「あ……」

健「有言実行、あなたはちゃんとほたるちゃんを幸せにしてみせたんです」

モバP「…………で、ですか…ね?」

健「ええ。だってあなたは今さっき言ったじゃないですか、ほたるちゃんの笑顔は誰よりも可愛らしい、って」

健「ほたるちゃんは貴方と出会って笑顔を思い出せたんだと思います」

モバP「笑顔…を……」

------------------------------------------------

ほたる「私…幸せです…」 ニコ

------------------------------------------------

モバP「………」

健「………」

バリィン!ガシャァァン!!

健・モバP「?!」

「うちのアイドルはただの「商品」なんかじゃありません!」

「そうですか。あなたの考えはよーく分かりましたよ。全く以ってくだらん考えです」

(社長室から2人の男の大声での口論が聞こえる)

「くだらない、ですって?!」

「ああ、くだらん考えです。アイドルは「商品」だ。それ以上でもそれ以下でもない」

「か、帰ってください!あなたの様な人にこの事務所は絶対に渡せません!」

「ハハハ、分かりましたよ。今日のところは帰らせてもらいます。ま、最終的にはあなたは私の話を聞くしかないでしょうがねぇ。聞けば相当お金に困っているそうじゃないですか?」


「ど、どうしてそれを…?!」

「噂で聞いたんですよ、ハハハハハ!それではまた。合併に応じられる気になられたらいつでも仰られてください」

「ぐ……」

「ハハハハハハハハ!」
ツカツカツカツカツカ…

健(口論だ。1人は社長さんの声だったが…)

ガチャッ

ガラの悪い男「……」

モバP「っ!」

(ガラの悪い男がドアを開け姿を見せる)

ガラの悪い男「……」チラッ

モバP「……」ギリッ…!

ガラの悪い男「…間違えたか」バタン

ツカツカツカツカツカ…

健「………」

モバP「何が…「商品」だ…!」

健「……今のは?」

モバP「5910(ゴクドー)プロの社長です。…くっ、今日もまた…!」

健「(5910プロ…)とにかく社長室へ行きましょう!」スクッ

モバP「は、はい!」スクッ

健(今の男…何かが……)

--社長室--


健「社長さん!」バーン!

(ドアが勢いよく開けはなたれる)

社長「はぁ……はぁ……」

ほたる「………」

(ほたるが社長の手に包帯を巻いている)

モバP「社長!」

社長「あぁ…モバP君に…早川さん……」

モバP「社長、お怪我を…!」

社長「ははは…大丈夫だ…気付かないうちに割れた湯呑みの破片で手を切ってしまっただけだよ」

健「……」チラ

(早川が一瞬割れた湯呑みに目をやる)

社長「ぐ……」

ほたる「あ…すみません…」

社長「いや…大丈夫だ」

ほたる「………」

モバP「くそっ、5910プロめ!また合併の話を…?!」

社長「あぁ…今日も断らせてもらったが…」

ほたる「巻き終わりました…」スッ

社長「ありがとう、ほたるちゃん」

ほたる「いえ……」

健(健気な子だな…怪我に包帯を……ん…怪我?…「気付かないうち」に割れた湯呑みで手を………そうか!)

(早川が何かに気付く)

健「5910プロってのはどんな連中なんです?!」

社長「…大きな事務所です。その力で最近は次々と小さな事務所を合併して……」

モバP「吸血鬼の様な奴らです!合併とは名ばかり、実態は必要な「商品」…例えばアイドルだとか…が手に入ったら後は「捨てて」しまうんです」

健(そうか…そう言うことか…!分かったぞ!)バッ!

モバP「早川さん…?!」

健「すみません!今すぐやらなきゃいけないことが出来ました!」

--ダッカー本部--


首領L「フハハハハハ!それでこそ悪の大組織ダッカーの一員だ、ミスター暗澹よ!」

ミスター暗澹(派手な仮面をつけている男)
「お褒めにあずかり光栄です、首領L」

首領L「今回も順調の様だな!」

ミスター暗澹「はい、間もなく10億円が手に入ります。そして…」

首領L「もう一つの目的も果たせると言う訳か!」

ミスター暗澹「フフフ、そう言うことです」

首領L「警察はどうしている?」

ミスター暗澹「ご安心を、首領L。無能な警察には証拠を掴むことなど不可能です」

首領L「フハハハハ、そうか!だが、油断するなよ、ミスター暗澹!聞けば早川健が貴様らの事を嗅ぎ回っているそうではないか?」 バッ!

(首領Lがマントを翻らせる)

首領L「ヤツの本職は探偵だ。もしや、と言うこともあるやもしれぬ」

(アイキャッチ)

--路地裏--


配管工「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
タッタッタッタッ…

ダッカー構成員1「…」バッ

(配管工の行く手を遮るようにダッカー構成員1が立ちはだかる)

配管工「あぁ!」クルッ
タッタッタッタッ…

ダッカー構成員2「…」バッ

(方向を変えた先にもダッカー構成員2が行く手を遮るように立ちはだかる)

配管工「あぁっ…!」

悪徳P「逃がしゃしないぜ」
ツカツカツカツカツカ…

ダッカー構成員3~5「……」ツカツカツカツカツカ…

悪徳P「押さえておけ」

ダッカー構成員1、2「はっ!」
ガシッ!

配管工「うわっ!」

(配管工がダッカー構成員1、2に取り押さえられる)

悪徳P「フッフッフッ…」

悪徳P「明日あのオンボロ事務所でガス管が破裂して大事故が起きる。そう、これからお前がガス管の修理に向かうオンボロ事務所でな」

配管工「な、何を…?」

悪徳P「フッフッフッ…本当は事故なんかじゃねぇんだがな」 スッ

(悪徳Pが懐から瓶を取り出す)

悪徳P「これは俺が「プロデュース」の為に作った薬だ」キュッ キュッ カポン

(悪徳Pが瓶の蓋を開ける)

悪徳P「我ながら良く出来たものだと思っている。効き目は抜群、しかも2時間で完全に体内で消滅する。証拠は何も残らない」スッ

(悪徳Pが瓶から錠剤を取り出す)

悪徳P「さぁて、今から俺がお前が上手くガス管に細工が出来るように「プロデュース」してやるよ」

配管工「だ、誰がそんな事なんか…!」

悪徳P「いいや、お前は必ず俺の「プロデュース」を受ける。受けてガス管に細工をする。フフフ…」

(悪徳Pが錠剤を掲げて笑う)

配管工「…!ま、まさか…!」

悪徳P「ホゥ、察しがいいな。そうさ、これは飲んだヤツをある種の催眠状態にする薬だ」

悪徳P「催眠状態にある時に受けた俺の「プロデュース」はお前の深層心理に植えつけられる」ツカ…ツカ…

悪徳P「催眠状態から目覚めたお前は仕事に向かう。俺の「プロデュース」を受けたことはサッパリ忘れた状態でな」ツカ…ツカ…

悪徳P「お前は自分でも気付かないうちにガス管に細工をする。俺たちの仕業だと言う証拠を掴める筈がない。よしんば警察が何かに勘付いたとしてもお前が捕まるだけの話だ」
ツカ…

配管工「……ひ…」

(悪徳Pが配管工の前に立つ)

悪徳P「その時は塀の中から無実を訴え続けるんだな。聞き入れられることはねえだろうがなぁ、フフフ…」

悪徳P「俺の「プロデュース」は日本一だ。日本一の「プロデュース」を受けられることに感謝するんだな」ガシッ

(悪徳Pが配管工の鼻をつまむ)

配管工「~~~っ!」

悪徳P「『暗澹党』に逆らう馬鹿には仕置をしてやらねぇといけねぇからな。 フフフ……呼吸をしねえってワケにはいかねえよなぁ」

配管工「~~~っ!」

悪徳P「さあ、観念して口を開け…」

「そう言うことだろうと思ったぜ」

悪徳P「?!」

「ハッ!」ヒュン!

悪徳P「ぐわっ!!」 バシッ!ポトッ

(飛んできた小石が悪徳Pの手に当たり、悪徳Pが手に持った錠剤を落とす)

悪徳P「ぐ…き、貴様は…!」

「トウッ!」シュタッ

健「チッチッチッチッチ」

悪徳P「早川…健…?!」

ダッカー構成員1~5「?!」

悪徳P「どうしてこの場所が…いや、どうして俺の「プロデュース」方が分かった?!」

健「探偵ってのは鼻が利くのさ。薄汚ねえ悪党共の臭いを辿ってきたらここに辿り着いた」スン

(鼻をすする動作をする)

健「それだけさ。…そうやって事務所の職員や出入りする業者を洗脳して「よくないこと」を引き起こしてやがったんだな」

健「それにしても…便利な時代になったもんだぜ。こーんな小さな機械でも録音ができる」スチャ

(小型録音機を懐から取り出す)

悪徳P「!!」

健「今の話は全部録音させてもらった。決して証拠を掴ませない「暗澹党」、どうやらそれも昨日までのことだったみたいだな」

悪徳P「き、貴様…!」

健「悪徳P、お前は「プロデュース」の腕も日本じゃあ2番目、いや3番目以下だな。俺の知ってるプロデューサーは薬なんぞ使わずに人を変えてみせたぜ」

悪徳P「ぐ……や、やれ!録音機を奪え!」

ダッカー構成員1~5「はっ!」バッ!

健「ハッ!タァッ!トイヤッ!」
バキッ!ドカッ!ボゴッ!

ダッカー構成員1~5「ぐわぁ…」
ドサドサドサッ…

健「取り巻きは全員オネンネしちまったぜ?」

悪徳P「早川……!」

健「さて、お次は…」

悪徳P「クッ…名刺隠れ!」バッ!
バサバサバサバサ…!

(大量の名刺が舞い上がる)

健「…!しまった!」

(悪徳Pの姿が消えている)

バサバサバサバサ…!

健「逃げられたか…!」






健「…大丈夫でしたか?」

配管工「え、ええ…」

健(…出来ればこの場でとっ捕まえておきたかったが…)チラ

健(逃してしまった以上はこの録音機を警察に届けるのが先決か)

健(これは『暗澹党』の悪事の動かぬ証拠になる。『暗澹党』の本部の捜索さえ出来れば……)

健(…………)ダッ!

--街路--


健「……」タッタッタッタッタッ…!

健(これさえ警察に届けることができれば……)タッタッタッタッタッ…!

「……さん!」

健「むっ?」ピタッ!

「……さん!…さん!…早川さん!」
タッタッタッタッタッ…!

健(この声は…)

モバP「早川さぁぁぁん!!」
タッタッタッタッタッ…!

--------------------------------------------


健「何ですって、ほたるちゃんがいない?!」

モバP「はい…いつの間にか事務所からいなくなっていて…それで…それで……!!」

健「落ち着いてください!」ガシッ

(早川がモバPの肩を掴む)

モバP「あ……は……はい………」

健「………」

モバP「えっと……その……」

健「ほたるちゃんは必ず僕が探し出します。だからモバPさんはこれを」
ガシ

(モバPに小型録音機を握らせる)

モバP「これは…?」

健「『暗澹党』の悪事の証拠です。これを近くの警察署まで届けてください…!」

モバP「『暗澹党』の…」

健「お願いします…!」

モバP「……分かりました…!」
ギュッ

(モバPが小型録音機を握りしめる)

モバP「早川さんも……どうかよろしくお願いします…!」

健「はいっ…!」スッ

(早川がモバPから離れる)

健「モバPさん、ほたるちゃんが居そうな場所に心当たりは?」

モバP「心当たり……あっ、あそこだ!きっとあの丘だ…!」

健「あの丘?」

モバP「はい…!もしほたるがいるとしたら……」

--小高い丘--


ほたる「…………」


--回想 星がよく見える夜--


モバP「見ろ、ほたる」

ほたる「…!わぁぁ……」

モバP「どうだ?」

ほたる「すごく…綺麗です……星ってこんなに……綺麗だったんですね……」

モバP「ここは周りに建物がないからな。星が綺麗に見えるんだ」



モバP「……ふぅ…なあ、ほたる」

ほたる「…?」

モバP「俺はさ、辛いことがあったりした時はこうやって星空を眺めることにしてるんだ」

ほたる「…理由を聞かせてもらっても…いいですか…?」

モバP「ふふっ…むしろ聞いてもらえなかったらどうしようかと思ってたところだ」スッ

(モバPが星空を指差す)

モバP「ほたるはこの星空に浮かぶ星全部を数えられるか?」

ほたる「えっと…すみません…私には…」

モバP「ちなみに俺には出来ない」

ほたる「えっ…」

モバP「きっと誰にだって出来やしないんだ。星空に浮かぶ星を全部数えるだなんてことは……はぁ……星空って本当に広いよなぁ…」

ほたる「………」

モバP「辛い時に星空を見上げるとこう思えるんだ……「この星空に比べたら、俺はなんて小さなことでクヨクヨしてるんだ」ってな」

モバP「つまり……何が言いたいかって言うとだな……その……」ガリガリ

(モバPが照れ隠しに頭をかく)

モバP「その……辛いことがあったら上を見ろ」

ほたる「上を……」

モバP「下を向いていたら星空は見えない。顔を上げるのは大変かもしれないが……それでも顔を上げたら星空はそこにあるんだ」

ほたる「………」

モバP「えーっと……その……だから……」ガリガリ

ほたる「こんな風に温かい言葉をかけてもらえるのが……嬉しくて……それで……思わず……」ツー…

ほたる「すみません……」ゴシゴシ

モバP「………」

ほたる「私…今までこんな風に……温かくしてもらえたことが………」

モバP「ほたるぅぅぅぅぅ!!」
ギュッ!!

(モバPがほたるを両手で抱きしめる)

ほたる「きゃっ…?!」///

モバP「ほたるぅぅぅぅ!!ほたるぅぅぅぅぅぅ!!」

ほたる「あ、あの……!」///

モバP「いくらでも温かくしてやる…!これからも…ずっと…ずっと…!!」

ほたる「……!」

モバP「お前の居場所はあるんだ…だから……その…ほたるぅぅぅぅぅぅ!!」

モバP「お前のことも……お前のことも………っ……」

モバP「お前のことも必ず幸せにするから……な…!」

ほたる「……「も」…?」

モバP「ああ…だって俺はもう幸せだからな…!ほたるをプロデュースできる…ほたると進める…ほたるといれる…それだけで俺は「幸せ」なんだ…!」

ほたる「「幸せ」……私が……モバPさんを……「幸せ」に……」

モバP「ああ……ああ……「幸せ」だ……とっても……ほたるは俺に「幸せ」をくれるんだ…」

ほたる「モバP…さん……」

モバP「「幸せ」に…なろう…」

-----------------------------------------------

ほたる「……っ…」

(ほたるが下唇を噛む)

ザッザッザッザッザッ…

ほたる「!」クルッ!

(ほたるが足音がした方へと振り返る)

健「ここにいたんだな」

ほたる「早川…さん…」

健「……」

ほたる「どうして…」

健「モバPさんに聞いたのさ」

ほたる「モバP…さんに……」

健「ほたるちゃんを探してくれって頼まれてな。…ほたるちゃん、どうして急に居なくなったりしたんだ?」

ほたる「それは………」

(ほたるが下を向く)

健「………ふぅ…」ザッザッザッザッ…

健「隣、失礼させてもらうよ」スト

(早川がほたるの横に腰を下ろす)

健「………」

ほたる「………」

健「……君があの事務所から居なくなったところで問題は何も解決しないぜ」

ほたる「………」

健「自分がいなくなりさえすれば、問題は解決するとでも思ってたのかい?」

ほたる「………」

(ほたるは下を向いたまま答えない)

健「………」

ほたる「………」

健「事務所が狙われたのは君のせいなんかじゃない」

ほたる「………っ…」

健「君がモバPさんたちの前から姿を消したところで何にもなりは…」

ほたる「じゃあどうすればよかったんですかっ…!」

健「……」

ほたる「他に私に何ができたって言うんですか…?!」

健「ほたるちゃん……」

ほたる「私は…大切な人たちが傷付くのにもう……耐えられなくて………」
ポタッ…

(ほたるの頬から落ちた涙が地面を濡らす)



健「大切だからこそ…「不幸」が及ばないように別れる」

ほたる「そうです…!私が悪いんです…私がいたから…「不幸」が…!」

健「モバPさんが1回でも君にそんな風に言ったことがあったかい?」

ほたる「……え…?」

健「モバPさんだけじゃない、社長さんだってそうだ。誰か一人でも君の所為だって言った人がいたかい?」

ほたる「…それ……は……」

健「いなかっただろ?…当然さ。あの事務所の人たちは誰もそんな風に考えてる人なんていやしないんだからな」

健「…ほたるちゃんは一番の「不幸」ってのは…どう言うことだと思う?」

(早川が空を見る)

健「俺は…一番の「不幸」ってのは大切な人と一緒にいる事ができない事だと思うんだ」

ほたる「………」

(ほたるが早川の表情から何かを感じ取る)

健「いいヤツだったよ…正義感が強くて、熱くて、お人好しで……」

ほたる「…その人…は……」

健「……」フルフル

(早川が首を振る)

健「殺されちまったよ…」

ほたる「……!」

健「気付くのは決まって失ってからなのさ…気付いた時にはもう遅い。ソイツとの時間がどれだけ掛け替えのないものだったのか…悔やんだって遅いんだ」ポン

(早川がギターに手を置く)

健「一緒に居たいと思う相手が居るなら難しいことを考える必要なんざぁない。一緒に居たけりゃ一緒に居りゃあいいんだ」グッ

(早川が帽子を深く被る)

健「大切なヤツと一緒に居られる、それはとっても「幸運」なことなんだぜ。……ほたるちゃん、君はどうしたい?」

ほたる「私……は……」

健「………」

ほたる「……は…」

健「…自分の心に正直になるんだ」

ほたる「……っ……私は……私はっ……」スッ…

(ほたるが顔を上げる)

ほたる「モバPさんたちと……一緒に……居たい……!」

健「……よく言った」ポン

健「……」サスサス

(ほたるの背中に手を置き、さする)

ほたる「…っ……ぐすっ……うぅ………」

健「君がそう思ってるってことは、モバPさんたちも同じように考えてるってことだ」

ほたる「…っ…でも……」

健「君が居ることがモバPさんたちの「幸せ」なんだ」

ほたる「「幸せ」……」

------------------------------------------------

モバP「それだけで俺は「幸せ」なんだ…!」

------------------------------------------------

ほたる「……!」

健「帰ろう、ほたるちゃん」 ニコッ

ほたる「………っ…」コクッ

健「………」スクッ スッ

(早川が立ち上がり手を差し出す)

ほたる「………」 ギュ…スクッ

(ほたるが早川の手を取り立ち上がる)

健「君を待っている人たちがいる」

ほたる「………」コクッ

健「ああ、そうそう。一つ言い忘れてたことがあった。『暗澹党』の奴らだがな…もうすぐ全員お縄につかされるぜ」

ほたる「……?!」

健「決定的な証拠を掴んだんだ。今ごろモバPさんが警察にそれを届けてくれている」

ほたる「…じゃあ……」

健「ああ。もう誰も傷付くことは……」

健「…!」バッ

(早川がほたるを抑え込む)

ズダダダダダダダッ…!

ほたる「……!!」

(早川たちが頭上を機関銃の一斉射撃が掠める)

健「…このままジッとしてるんだ」

ほたる「……」コクッ

健「……」スクッ

(早川が草むらから立ち上がる)

健「往生際が悪いぜ、ミスター暗澹」

ミスター暗澹「チッ…!」ザッ

ダッカー構成員1~10「………」ザッ

(木の陰からミスター暗澹とダッカー構成員たちが姿を現す)

ミスター暗澹「早川……」

健「年貢の納め時だってことがまだ分からねえらしいな、え?」

ミスター暗澹「誰の年貢が納め時だって…?!」

健「……」スッ

(早川がミスター暗澹を指差す)

健「お前だよ、『ミスター暗澹』。いや、それともこっちの名前で呼ばせてもらった方がいいか…『5910プロ社長』!」

暗澹「な?!」

健「表でも裏でもロクでもねぇことに明け暮れてたとは…呆れを通り越して逆に尊敬しちまったぜ」

暗澹「……ッ!」

健「『暗澹党』の被害にあった芸能事務所は潰れるか……すぐに『5910プロ』に合併されていた。フン、大方他は実益を兼ねた目眩しってところか?」

ミスター暗澹「……そこから…俺たちのやり方を掴んだのか…?!」

健「あの事務所が被害に遭って得するヤツを考えたのさ。犯人さえ分かれば、どんな手を使っているの目星も付けられる」

ミスター暗澹「…俺が…「ミスター暗澹」だと言うことは…?」

健「耳の形さ。俺と事務所で会ったことを覚えているか?その時に見た耳の形と、お前さんの趣味の悪いマスクからはみ出ててる耳の形が一緒だと気付いたんだよ」

ミスター暗澹「バカな…それだけの手かがりから……」

健「俺は探偵だぜ?他にもお前が『5910プロ社長』だって理由を10は言える。…観念しな」

ミスター暗澹「ぐ……」ガシッ グイッ

(ミスター暗澹が仮面を外す)

5910プロ社長「チィィ…まさか俺たちの手口はおろか…俺の正体にまで気付くヤツが現れるとはな…」

健「芸能界の支配でも考えて同業者を潰して回っていたのか?」

5910プロ社長「………フッ…フフッ…」

健(…何だ?)

5910プロ社長「フッ…フフ…フハハハハハハハハ!そうだ、その通りだ、早川!ハハハハハハ!」

健「…何がおかしい?!」

5910プロ社長「いい薬になったと思ってなぁ!どうやら俺はいつの間にか慢心してしまっていたらしい。ハハハハハハハ、次からは気を付けさせてもらうとしよう」

健「次はないぞ、5910プロ社長!」

5910プロ「いや、ある。…見せてやれ」

ダッカー構成員11、12「……」 ザッ

モバP「うぅ……」

(傷だらけのモバPを抱えたダッカー構成員11、12が木の陰から現れる)

健「?!」

ほたる「……!!」

5910プロ社長「惜しかったなぁ…早川。『暗澹党』に警察の捜査が及ばないのは何故か、もう少しよく考えてみるべきだったなぁ」

健「…!警察署にスパイを送り込んでいたのか!」

5910プロ社長「フフフ、俺は石橋は叩いて渡るタイプでなぁ。用心と言うものはしておくに越したことはない」

ダッカー構成員11「回収した録音機です」スッ

5910プロ社長「フハハハハハ!」ガシッ

(5910プロ社長がダッカー構成員11から小型録音機を受け取る)

5910プロ「これでまた証拠はなくなった。残念だったなぁ!」

健「貴様ァ…!」

5910プロ社長「おおっと、動くなよ!少しでも妙な素振りを見せたら…」

ダッカー構成員12「……」 ガシャ

モバP「ぐ……うぅ……」

(ダッカー構成員12がモバPに機関銃を突きつける)

5910プロ社長「…分かっているなぁ?」

健「汚ねぇぞ!5910プロ社長!」

5910プロ社長「ハハハハハハハ!どうとでも言え!」

ほたる「早川さ……!!」

5910プロ社長「やれ」

ダッカー構成員1~10「………」
ダダダダダダダダッ…!

健「ぐ…う…!」ジリ…ジリ…ガラッ…

健「うわぁぁぁぁ……!」ヒュゥゥゥゥ……

(機関銃の一斉射撃を受けた早川が崖から落ちる)

ほたる「あぁ……!」

モバP「あ……ぁぁ……!」

5910プロ社長「ハッハッハッハッハ!」

5910プロ社長「早川健は死んだ!後は…」チラ

ほたる「……っ!」

5910プロ「小娘とコイツを始末するだけだ」

モバP「ほ、ほたるには……」

ダッカー構成員12「うるせぇ!」バキッ!

モバP「ガハッ……!」

5910プロ「フッフッフッフ、ハッハッハッハッハ!」

--山中--


ダッカー構成員11「人質と引き換えに10億円を用意するように電話をしました」

5910プロ社長「で、あのオイボレは?」

ダッカー構成員11「事務所を処分する時間をくれ、とのことです」

5910プロ社長「ハハハハハ、そうかそうか!バカなヤツだ、「商品」の為に事務所を潰すなんてなぁ!ハッハッハッハッハ!」

ほたる「……っ…」

モバP「………」

(ほたるとモバPが木に括り付けられている)

5910プロ社長「ま、結果的に吸収には失敗
しちまったが、そんなことはどうだっていい。別にあんなチッポケな事務所、吸収できなかったら吸収できなかったで構わねえからなぁ」

ダッカー構成員11「人質は…」

5910プロ社長「ああ、殺せ。フッフッフッ、「10億円と引き換え」とは言ったが、「生きて返す」とは言っちゃいねえ」クルッ

(5910プロ社長がほたるとモバPの方へ向き直る)

5910プロ社長「と、いう訳でお前らはもう用済みだ。フハハハハ!運が悪かったなぁ!俺の正体さえ知らなければ死なずに済んだものを!」

ほたる(「運が」…「悪かった」………「不幸」……)

5910プロ社長「まあ…これも運命だと思って諦めることだ」サッ!

ダッカー構成員1~5「……」
ガチャガチャガチャガチャガチャッ!

(5910プロ社長が手を挙げるのと同時にダッカー構成員たちが機関銃をほたるとモバPに向かって構える)

ほたる(私はやっぱり…周りを…「不幸」に……)

5910プロ社長「何か言い残したいことはあるか?」

ほたる(こんな…運命なんて……)

モバP「………るな…」ボソッ

5910プロ社長「…は?」

モバP「ふざけるなって言ったんだよ……この野郎…!」

5910プロ社長「……何だと?」

モバP「運命だと思って…諦めろ…だ?…誰が……諦めたりなんかするかよ……バーカ……!こんなクソッタレな運命なんか……認めてたまるか……!」

ほたる(……!)

モバP「運が…悪かっただ…?ハハハ……運が悪かったのは……お前の方だよ…!」

5910プロ社長「…フン、自分がどう言う状況下に置かれているのか分かっていないらし……」

モバP「分かってるさ…よーくなぁ…!ゴホッゴホッ…!」

モバP「半年前になぁ…俺のところには幸運の女神様が来てくれたんだよ……笑顔が可愛い……女神様がなぁ……!」

5910プロ「…はぁ?」

モバP「俺はその女神様と約束したんだよ……大事な……約束を……!」

ほたる(半年前…女神…約束……)

ほたる(……!もしかして…)

-------------------------------------------------

モバP「いや、止めない。俺は今君をトップアイドルにすると決めた」

----------------------------------------------

ほたる(…………)

モバP「その女神様はなぁ…どんな「不幸」にも負けたりなんかしてなかった……どれだけ打ちのめされても……決して挫けたりなんかしなかった……!」

ほたる(あ……)

モバP「だから…俺も負けられないんだ…!こんなところで約束を果たせずに……死んでたまるかよ!「不幸」なんか…吹き飛ばしてやるっ……!」

ほたる(私は……)

モバP「俺は負けない!早川さんだって…死んじゃいない!」

5910プロ社長「ハハハハハ!バカなことを…ヤツが撃たれて崖から落ちたのを見ただろ?」

モバP「いいや…まだ死んだと決まっちゃ……いないぞ…?運良く助かってるか……しれねえぞ…?」

ほたる(私は……)

モバP「いや…助かってる…そうに決まってる…!早川さんが…あれぐらいで死ぬもん…かよ…!」

ほたる(私は………っ…ううん…私もっ…!)

5910プロ社長「……フン、くだらん。お前がどう思おうが……」

ほたる「私も…負けないっ…!!」

5910プロ「っ?」

ほたる「私も…私も「不幸」に負けたりなんかしない!私は…トップアイドルになるっ…!」

モバP「…ほたる……」

ほたる「私が居たら「幸せ」だって言ってくれる人たちが…居るから…私は……こんなところでは死ねない!!」

5910プロ社長「テメェまでそんなふざけた事を……!」

ほたる「あなたみたいな卑怯者になんか…早川さんは負けない!」

5910プロ社長「……ッ!!言ってくれるじゃ…ねぇか!」

5910プロ社長「お前ら揃いも揃って…!!いいぜ、そんなに死にたきゃ……今すぐブッ殺してやるッ!…構えろ!」

ダッカー構成員1~5「……」スッ

5910プロ社長「俺を舐めたことを後悔しながら死……!」

ゴォォォォォォォォォォォォォ……!!

5910プロ社長「?!」

5910プロ「な、何の音だ?!」

『フラァイトスイッチ!オンッッ!』

カチッ シャコン!

シュゴォォォォォォ…!!

『ゼェェェッ!」

ブンッ!シュルッ

『ズバァァッッッ!』

ヒュゥゥゥゥン…シュタッ!

(???が崖の上に降り立つ)

???「ゼェェッッ!」
ブンッ!ブチッ!

(???の振るったムチでほたるを縛り付けていた縄が切れる)

ほたる「…!」シュルッ ヒュゥゥゥゥン…!ストッ

(???がそのままほたるをムチで崖上まで引き上げる)

???「ゼェェッッ!」
ブンッ!ブチッ!

(???の振るったムチでモバPをを縛り付けていた縄も切れる)

ほたる「…!」シュルッ ヒュゥゥゥゥン…!ストッ

(???がモバPも崖上まで引き上げる)




???「逃げるんだ」

ほたる「は、はい…(この声…)」

モバP「ほたる!」スッ

ほたる「……」コク

スッ ギュッ

(ほたるがモバPから差し出された手を握る)

ほたる・モバP「………」
タッタッタッタッタッタッタッ…!

???「………」コク

(手をつないで走り出す二人を見て???が頷く)

5910プロ社長「き、貴様…何者だ?!」

???「はっはっはっはっは…」

???「ズバッと参上!」ビシッ!

???「ズバッと解決!」ビシッ!

???「人呼んでさすらいのヒーロー…!」 スッ…

???「快傑ズバァァッット!!」

(BGM:地獄のズバット)

5910プロ社長「ズバットだとぉ?!」

ズバット「悪行を重ね非道の限りを尽くし、あまつさえ罪もないほたるちゃんとモバPさんをも殺そうとした『ミスター暗澹』もとい『5910プロ社長』っ、許さんっ!!」

5910プロ「くっ…やれッ!やれえッ!」

ダッカー構成員1~10「……」
ダダダダダダダダ…!

ズバット「ズバァァッッ!」バッ!
ヒュゥンヒュウンヒュゥンヒュウン…スタッ!

(ズバットが機関銃の一斉射撃を躱しながらジャンプで地面に降り立つ)


ズバット「ゼェェェッ!ゼェェェッ!ゼェェェッ!」ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!

ダッカー構成員11~13「グワァァァァッ!」ヒュゥゥン ヒュゥゥン ヒュゥゥン
ドサッ!ドサッ!ドサッ!

(ズバットのZ剣でダッカー構成員3人が一瞬で投げ飛ばされ力尽きる)

ダッカー構成員14「このっ…!」ブンッ!

ズバット「ハッ!ズバァァッッ!」
スッ ドスッ!

(ダッカー構成員14の攻撃を難なく躱し、腹にZ剣の柄を叩きこむ)

ダッカー構成員14「グァッ…!」
ユラッ…ドサッ!

ズバット「ゼェェッッ!」ビュン!ヒュルッ!

ダッカー構成員15「ガッ…!」

(Z剣ががダッカー構成員15の首に巻きつく)

ズバット「ズバァァッッ!」ブンッ!

ダッカー構成員15「ウォアッ…!」
ヒュゥンヒュウンヒュゥンヒュウン…ドサッ!

ダッカー構成員15「……」ガクッ

(ダッカー構成員15が投げ飛ばされ力尽きる)

5910プロ社長「う、う、撃てぇッ!」

ダッカー構成員1~10「………」
ダダダダダダダダッ…!

ズバット「ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!」キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!

(ズバットがZ剣を回転させ機関銃の弾を全て叩き落とす)

5910プロ「ば、バカなッ…?!」

ズバット「ズバァァッッ!」バッ!
ヒュゥンヒュウンヒュゥンヒュウン…スタッ!

(ズバットが大ジャンプをしダッカー構成員1~10の中心に降り立つ)

ダッカー構成員1~10「!!」

ズバット「ゼェェェッ!」ドガッ!

ダッカー構成員1「グワッ…」

(ダッカー構成員1が蹴りを顎に喰らい吹き飛ばされる)

ズバット「ゼェェェッ!」ビシッ!シュルッ!

ダッカー構成員2「ウッ……!」

(Z剣がダッカー構成員2の首に巻きつく)

ズバット「ズバァァァァッ!!」ブンッ!

ダッカー構成員2「ぐわぁっ…!」
ヒュゥゥン…!ドガッ!

ダッカー構成員3~5「うわぁっ!」
ドサリ…

(ダッカー構成3~5が投げ飛ばされたダッカー構成2に巻き込まれ倒される)


ダッカー構成員6~10「……」」
ダダダダダダダダッ…!

ズバット「ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!」キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!

(ズバットが機関銃の弾を全て叩き落とす)

ズバット「ゼェッッ!ゼェッッ!ゼェッッ!ゼェッッ!ゼェッッ!」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!

ダッカー構成員6「グワッ!」

ダッカー構成員7「グオッ!」

ダッカー構成員8「ギャッ!」

ダッカー構成員9「ウワァッ!」

ダッカー構成員10「グアァッ!」

(返しのZ剣の一振り一振りが正確にダッカー構成員たちを捉えていく)

ズバット「ズバァァッッ!」
ヒュゥゥン…パァン!

ダッカー構成員6~10「……」
ドサドサドサドサ…!

(ズバットがZ剣を地面に叩きつけると同時にダッカー構成員たちが崩れ落ちる)

5910プロ社長「ひ、ヒイッ…!」
ジリ…ジリ…

(5910プロ社長が怯え、後ずさる)

ズバット「……」 ザッ ザッ ザッ ザッ…

5910プロ社長「ひ…あ、悪徳P!悪徳P!」

悪徳P「ヒャァァァオ!」
ヒュゥゥンヒュゥゥンヒュゥゥンヒュゥゥン シュタッ!

(悪徳Pが宙返りをしながら現れる)

ズバット「ムッ…!」

悪徳P「フフフ…貴様がズバットか。初対面の相手には名刺をきちんと……渡さなきゃァなぁ!喰らいな、名刺乱れ投げッ!」ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ!

ズバット「ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!」キィン!キィン!キィン!キィン!

悪徳P「ヒャォッ!ヒャォッ!ヒャォッ!ヒャォッ!ヒャォッ!」
ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ!

ズバット「ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!ゼェッ!」キィン!キィン!キィン!キィン!

(ズバットがZ剣で次々と飛んでくる名刺を叩き落とす)

悪徳P「くっ…やるな!ならこれはどうだ!ネクタイ縛りッ!」
ヒュルルルルル ギシッ!

ズバット「!!」

(悪徳Pが手に持っているネクタイが伸びズバットの首に絡みつく)

悪徳P「フフフ…ネクタイは1人で結ぶモンだが今日だけは特別に手伝ってやるよ」ギリギリギリギリ…

(悪徳Pがネクタイでズバットの首を締め上げる)

ズバット「ぐ……」

悪徳P「お前の死に様をプロデュースしてやる…!」ギリギリギリギリ…

ズバット「ぐ……あ……」

悪徳P「フッフッフッフ…」
ギリギリギリギリ…

ビコーン!ビコーン!

ズバット(あと3分しかない…!)

ズバット「……」ガシッ!

ズバット「ズバァァッッ!」グイッ!

(ネクタイを掴み引っ張る)

悪徳P「うぉぉわっ!」ヨロヨロヨロッ…!

(悪徳Pが引き寄せられる)

ズバット「ゼェェェェッッ!」バキィッ!!

(ズバットが悪徳Pの顔面を渾身の力で殴る)

悪徳P「ぐぁっ…!!」パッ

(堪らず悪徳Pがネクタイを手放す)

ズバット「ゼェェェッ!ゼェェェッ!ゼェェェッ!ゼェェェッ!」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!

(すかさずズバットがZ剣の連撃を食らわせる)

悪徳P「ぐぁっ…あぁっ…あぁ…あああっ…!」ヨロッ…

ズバット「ゼェェッ!」ガシッ!

悪徳P「うぁっ……」

ズバット「ズバァァッッ!」ドスッ!

悪徳P「ガッ……!」

(ズバットが悪徳Pのスーツの襟を掴んで引き寄せ、悪徳Pの首にZ剣の柄の一撃を決める)

悪徳P「う……あ………」
フラッ……バタッ…

悪徳P「フ…フフフ…まさか…俺が……死に様をプロデュースされちまう……とは……な……」ガクッ…

ズバット「………」

5910プロ社長「ヒィィッ…!」
バッ!タッタッタッタッ…!

(悪徳Pが倒されたのを見た5910プロ社長が逃げ出す)

ズバット「…!待てっ!」バッ!

------------------------------------------------

5910プロ社長「はぁっ…はあっ…はあっ…はぁっ……!」タッタッタッタッ…!

ズバット「ゼェェェッ!」ビュン!ヒュルッ!

5910プロ「ぐぁッ……!」

(Z剣が5910プロ社長の首に巻きつく)

ズバット「ズバァァッッッ!」ブンッ!

5910プロ社長「グワァァァァッ!」
ヒュゥゥゥン…ドサッ!

(5910プロ社長が投げ飛ばされる)

ズバット「2月2日、飛鳥五郎と言う男を殺したのは貴様か?!」

(ズバットがZ剣で5910プロを締め上げながら問い詰める)

5910プロ社長「ち、違う…違う…!」

ズバット「貴様だろうッ!!」

5910プロ社長「し、知らん……知らん……!」

ズバット「嘘をつけぇッッ!ズバァァッッ!!」ブンッ!

5910プロ社長「ぐあぁぁぁッ……!」
ヒュゥゥゥン…ドサッ!

(5910プロ社長がまたも投げ飛ばされ地面に叩きつけられる)

ズバット「本当の事を言えぇぇッ!」
ギリギリギリギリ…

5910プロ社長「し、知らん…!本当に…知らん…!俺はその日は…メキシコシティで…テキーラを飲んでいたんだ…!」

ビコーン!ビコーン!ビコーン!ビコーン!

ズバット(ムッ!あと1分しかない…!)
ヒュルッ スッ

5910プロ社長「…ッハァ…!」

ズバット「ズバァァッッッ!」
ヒュゥンヒュウンヒュゥンヒュウン…

(ズバットがZ剣を直し錐揉み回転で跳び上がる)

5910プロ社長「あぁぁ……」

ズバット「ズバァァッット!アタァックッ!!」ドゴォッ!

5910プロ「げへっ…!」ガクッ

(5910プロ社長がズバットアタックを食らい気絶する)

ビコーン ビコーン

カシャッ

健(やはり飛鳥を殺したのはコイツでもなかった…)ヒュッ!ビシッ!

『この者
極悪連続恐喝犯人』

5910プロ「う……ぁぁ………」

健「…………」

--後日 警察署--


東条「『暗澹党』の悪運もここまでだったようだ。警察の方でもようやく令状をに出す事が出来た」

東条「前々から5910プロの社長にはキナ臭い噂が絶えなかったが…まさか『暗澹党』のボス『ミスター暗澹』でもあったとはな…」

健「叩けば叩くほど埃が出てくるってか?」

東条「そんなところだ。今『暗澹党』の本部と『5910プロ』の捜索を進めているんだが…あまりに悪事の証拠が出て来すぎて人手が足りないぐらいだ」

健「そうか。……そりゃぁお疲れさん」

東条「…早川」

健「ん?」

東条「今回は警察の力だけではどうすることもできなかった。警察内部に入り込んでいたスパイを一網打尽にできたのも、お前があの音声を録音してくれた…」

健「……」ポン

(早川が東条の肩に手を置く)

東条「…む?」

健「持ちつ持たれつ、だぜ?東条、こっから先の仕事はお前さんたちにしかできない」

東条「……」

健「あとは頼んだぜ」

東条「……フッ、お前と言うヤツは…」

健「はっはっはっは…」

東条「これからどうするつもりなんだ?」

健「ちょっと招待を受けててね、とりあえずはそこに行ってくる」

東条「招待?」

健「ああ」クイッ

(早川が帽子の鍔を押し上げる)

--小さなLIVE会場 控え室--


健「よっ!」

モバP「早川さん…!」

ほたる「来てくださったんですね……!」

健「ライブ衣装に身を包んだほたるちゃんを一目見たくなったもんでね。ヒュー、こりゃあまた大したもんだ!」

モバP「そうでしょう!そうでしょう!」

健「よく似合ってますね、元々可愛いほたるちゃんが更に可愛く見える」

モバP「素材がいいですからね、ほたる本来の魅力を引き出す衣装にしてみました!」

ほたる「はぅぅ……」///

健「よっ、ほたるちゃん可愛い!」

ほたる「もぅ………」///

健「はっはっはっはっは!」

ほたる「……」///

健「しっかし、本当に良かったのかい?こんなモンもらっちまって」ピラ

『特等席 特別招待チケット』

ほたる「あっ……は、はい…!」

モバP「俺たちからのお礼です。…ありがとうございました!」

ほたる「その…もっとすごいお礼とかができたら良かったんですが……」

健「チッチッチッチ、いやいやこんな貴重なモノはないぜ?むしろ貰いすぎちまって申し訳ないぐらいだ」

健「だって俺は未来のトップアイドルの最初のLIVEを特等席で観た男になれるんだからな」ウィンク

ほたる「あっ……」

健「ふふっ…」

ほたる「………ふふっ…」ニコ///

健「………」コッコッ

(早川がモバPを肘で小突く)

モバP「?」

健「笑顔が誰よりも可愛いらしいってのは本当ですね」ヒソヒソ

モバP「でしょう!!ほたるの笑顔は世界一可愛いらしいんです!!」

ほたる「も、モバPさん……」///
シュゥゥ…

モバP「あっ…!」

健「はっはっはっはっは!」




--終--

(ED:男はひとり道をゆく)

浴衣ほたるの下がり眉が可愛すぎたのと、見返したズバットがカッコよすぎたので書きました
何を言ってるか分からねーと思うが(ry

つまりは勢いだけで書きました
お目汚し失礼しました

>>1の中では今でも日本一の男は早川健です
探偵の癖に親友の妹の存在と、もう1人の親友の婚約者の存在を知らなかったのは(ry

快傑ズバットはなかなか見ることが難しい作品かとは思われますが、名作なので是非見ていただきたい作品です
ズバットと爆発を抜きにして宮内洋は語れません

ザボーガーやキカイダーみたいに快傑ズバットのリメイク映画とか作られないかな…と考えながらも「早川健」はやっぱり宮内洋にしかできないよな…などと思いつつ

ズバットの真似は危険ですから、絶対にしないでね

乙!
ズバットは昔BSで最終回だけ見た事あるくらいだったけど、面白かった

おつ
飛鳥くんの名前を見るとついズバットのOPを思い出してしまうな

おつ
モバマス×特撮SS何気に多いね

おつおつ

のっけから名刺投げ日本一対決でやられたわ



いつかズバットネタはやりたいと思っていたけど先を越されてしまって悔しい

しかし、面白いので仕方ない

スーパーヒーロー作戦で始めて見てから一目惚れだったなぁ…

乙!やっぱり早川は日本一だ!

なんかどっかで見た事ある作風だな
なんかシリーズ物書いてたか?

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