杏花「号外だよー!」 京悟「ひーちゃん特集だァ!?」 改 (58)


杏花「号外だよー!号外だよー!」

京悟「ん?おいひーちゃん、久しぶりにお杏の新しい瓦版が出たみたいだぜ。一丁買っとくか?」

龍斗<悩>

京悟「どうしたそんな顔して?お杏と喧嘩でもしてんのか?」

龍斗<悩>

京悟「違うって?なんだかはっきりしねーなァ」

杏花「今回のは特別号!あのひーちゃんこと緋勇龍斗に好きな食べ物から女の子の好みまで聴きだした究極の一品!買わなきゃ損よー!」

京悟「なにィ!?おいひーちゃん、本当なのか!?」

龍斗<喜>

京悟「いったいどうしてまた…まさかお杏に脅されてんのか?…ってその顔見りゃわかるよ」

京悟「まァ自分の載ってる瓦版なんかいらねーよなァ」

龍斗<喜>

京悟「…って、もう買ってんのかよ!しかもそれが報酬って…相変わらず変わってんなァひーちゃん」

龍斗<喜>

京悟「いや褒めてねーよ…」

京悟「まァいいか。俺もちょっと気になるし、見せてくれよ」

龍斗<愛>

京悟「…おい、なんだその顔、そういう意味で言ったんじゃねーよ!ったく調子狂うぜ…」

京悟「なになに?ひーちゃんの生態その壱、ひーちゃんは甘いもの好き?」

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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

杏花「さァひーちゃん、約束通り今日は一日あたしの密着取材を受けてもらうわよ!」

龍斗<喜>

杏花「もォそんなに喜んじゃってー!あたしったら罪な女ねェ」

花音「いらっしゃーい。あ、だんな様でねーか、ゆっくりしてってけれ」

杏花「で、ひーちゃん何食べるの?」

龍斗<いつもの>

杏花「いつものって…まぁいいわ、あたしも同じので」

花音「いつものだべな。二人ともちょっと待っててくんろー」

花音「おまちどーさん。いつものお団子だっぺよー」

杏花「へェー、ひーちゃんいつもお団子頼んでるんだ。なんか似合ってるわね、アハハッ」

龍斗<喜>

杏花「嬉しそうな顔しちゃってェ。ひーちゃんは甘党…っと。あたしもいただきまーす」

杏花「…ん!これホントに美味しいわねェ!今度甘味処の特集くもうかしら」モグモグ

龍斗<友>

杏花「ひーちゃんもいいと思う?なら決まりね!次の取材も手伝いお願いするわ」

龍斗<喜>

杏花「もォ、ひーちゃんたら、あたしにぞっこんなんだから」

龍斗<悩>

杏花「照れちゃってェ!ひーちゃんは初心と…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

京悟「あァ、これお花ちゃんの所か。そういやよく団子食ってたな。…俺も腹減ってきたし、蕎麦食いに行くついでに団子でも食うか?」

龍斗<喜>

京悟「へへッ話が早くて助かるぜ。んじゃ行くか」


鬼面「…」

【鬼哭村】

九角「なに?ひーちゃん特集だと?」

鬼道衆「はっ、どうやら瓦版屋が緋勇殿に直接聞き集めた情報だそうで、売れ行きも好調とのこと」

澳継「なんだァ?龍閃組の奴らが買い占めてんのか?でなきゃたんたんの記事なんか誰も読まねーだろ」

鬼道衆「それもありますが、割と城下町の者にも人気だそうでございます」

桔梗「アッハッハ、たーさんたらやるじゃないか。あァそういえば、ほのかの手伝いとかで一緒に働いてたっけねぇ。ま、坊やにはわからない魅力があんだろうさ」

澳継「俺を子ども扱いするな!ちくしょうたんたんめ!媚ばっか売りやがッて」

桔梗「おやおや、焼きもちかい?可愛いとこあんじゃないか」

澳継「んな!誰がたんたんなんかに!」

九桐「こらこら二人とも、若の前でみっともないぞ」

興継「うるせェハゲ!偶にしか帰ってこないくせに偉そうにすんじゃねェ!」

九桐「誰がハゲだ!これは剃ってるんだ!」

嵐王「そろそろ黙らんか。若が話せんだろう」

澳継「うぐッ…」

九桐「むぅ…」

九角「ふむ、そうか…たしかに龍は掴めぬところが多いからな。俺達も長い付き合いだが、未だにあいつの考えは読めん時がある…」

九角「龍のことを知る良い機会かもしれん。桔梗と澳継で買ってきてくれ。嵐王は複製を頼む」

嵐王「御意」

澳継「な、なんで俺が!」

桔梗「今日は買出しの日だからついでだよ。ほら帰りに団子買ってやるからさっさと支度しな」

澳継「団子…!絶対だからな!」

桔梗「はいはい」

【道場】

美冬「な、なにィ!なんだそれは!」

門下生1「そ、それが今街で話題になっておりまして」

門下生2「瓦版屋の周りに人だかりができております!」

門下生3「先生のことですから恥ずかしがって買えないだろうと我々が一つ買っておきました!」

美冬「なッ、ば、馬鹿者!余計な気を利かすんじゃない!」

美冬「ま、まァせっかくだ。少しは目を通しておくとしよう」パシ

門下生2「いやぁしかし緋勇殿も罪なお方だ」

門下生3「龍泉組の方々がこぞって買っていらっしゃいましたからな!」

門下生1「手に入れるのに苦労しました!」

美冬「ふ、ふむ、そうか龍泉組の皆が…」

門下生3「あッ!そういえば緋勇殿が誰かと二人で茶屋に入っていくのを見たとか」

美冬「なにィ!誰とだ!まさか龍閃組の女か!」

門下生1「そ、そこまではなんとも…」

門下生2「ただいつも通っている茶屋だったと」

美冬「いつも通っている茶屋…?花音のところか!ま、まさか三人で…な、なななんと破廉恥な!」ワナワナ

門下生3「いやまだ女性と決まったわけでは」

美冬「こうしては居れん!」ダッ

門下生「あ!ちょ!まだ稽古が!」

【民家】

雹「ほう、龍様の」

比良坂「特集ですか?」

ほのか「はい、お手伝いをしていたら頂きまして」

ほのか「これがあればいつもお手伝いに付き合ってくださる御主人様へ何か恩返しができるかも」

雹「中々興味深いの、わらわも龍様には世話になっておる。まァ彼奴が勝手に来るだけだが」

比良坂「日頃の恩返しでなくとも、ちょっと気になりますね」

比良坂「龍斗は神出鬼没ですから」

ほのか「今嵐王さんが村の皆さんのために複製を作っているそうですから」

ほのか「私たちは少しお先に読ませていただきましょう」

比良坂「なんだかちょっとわくわくします」

雹「ほほほガンリュウも血が騒いでおるわ」

ほのか「ちなみに、これには御主人様の女性の好みも書かれているそうです」

雹「なんと!彼奴も色事に興味があるのかえ?」

比良坂「ふふ、雹さんったら、龍斗だって男の子ですよ?」

雹「むぅ、しかし彼奴は龍閃組と鬼道衆の女子に囲まれながら少しも手を出そうとせん」

ほのか「御主人様はお優しい方ですから」

比良坂「あらでもこの前美里さんと二人でお茶を飲んでいましたよ」

雹「なんじゃと?聞き捨てならんな」

比良坂「ふふ、やっぱり雹さんも興味がおありなんですね?」

雹「ぬぅ、ぬしは時折意地が悪い」

【長屋】

老人「いつもすまないねェ」

美里「いいえ、辛くなったらすぐに呼んで下さいね?」

老人「ありがたや…ありがたや…」

小鈴「オーイ!藍ィーーー!」

美里「ど、どうしたの?小鈴ちゃん。そんなに慌てて」

小鈴「こ、これ見てよ!これェ!」

美里「お杏さんの瓦版?…ひーちゃん特集って、龍斗の?」

小鈴「これが街で話題になってるんだよォ!」

美里「そ、そうなの。龍斗ったら人気者ね。ふふ」

小鈴「そんなこと言ってる場合じゃないよ!ひーちゃんが盗られちゃう!」

美里「と、盗られちゃうって龍斗は誰のものでも…」

小鈴「…比良坂さん」

美里「」ピク

小鈴「臥龍館、礼拝堂、神社、骨董品店、茶屋、果ては鬼哭村!」

美里「」

小鈴「今も龍閃組にいてくれてることが不思議なくらいの内定率なんだよ!?」

美里「りゅ、龍閃組は仕事じゃ…それに龍斗ならいつだって会ってくれるわよ?」

小鈴「甘い!ぜんざいより甘いよ藍ィ!」

小鈴「確かにひーちゃんは優しい…しかしひーちゃんが永久就職した場合…」

美里「…場合?」

小鈴「ボクなら手放さない…!お買い物さえ一人では行かせない!」

美里「で、でも龍斗だってたまには一人で…」

小鈴「ひーちゃんが一人でいるトコ見たことある…?」

美里「…!」

小鈴「例え他のみんなが忙しくても暇人の京悟が一緒に居る…」

小鈴「つまり!ひーちゃんは束縛されてることにさえ気付きはしない…!」

美里「」

小鈴「闘うんだ藍。闘わなければ生き残れない!」

美里「闘うって、どうやって…?」

小鈴「敵を知り、己を知れば百選危うからずだよ。さっそく読んでみようよ!」

美里「ま、前振りが長すぎない?」

【街道】

們天丸「今日もええ天気やなーこんな日は吉原にでも繰り出そうかのォ!」

街娘達「あ、もんちゃーん!」ザッザッザ

們天丸「ん?どないしてんそんな慌てて?」

街娘1「これ見てこれ!」

們天丸「んー?なになに?…ひーちゃん特集やとォ!」

街娘2「今巷で大人気なのよォ!」

們天丸「わいを差し置いて大人気とは龍々も隅に置けんなァ!今日は一緒に吉原へ連れて行こうかのォ!」

們天丸「ん?」

梅月「む?」ワイワイ

們天丸「乳のデカさならわいの女の子のが上やな」

梅月「こちらの方が教養は高そうだ」


「「ふっふっふっ」」


真那「何やっとんねんあの二人」

泰山「仲が良いのは良いごどだ~」

真那「それにしてもたッち特集かァ」

泰山「兄弟がみんなに好かれでておでも嬉じいな~」

真那「せやなァー」

真那「でもびっくりやわ。案外たッちも梅月せんせやもんちゃんみたいなことしとるんかな?」

泰山「兄弟は山でも大人気なんだ~、まぢの人に好がれでもおがしぐねえど~」

真那「にゃはッ、やっぱりたッちにはあの二人みたいなんわ似合わんわなッ!」

【礼拝堂】

クリス「Hello!神父御神槌!ところでこれを見てくれ!」

御神槌「どうしました?そんなに急いで―――瓦版ですか、どこか読めない字がありましたか?」

クリス「違うんだ、よく見てくれ!これはブラザーについての特集号らしいんだ!」

御神槌「なんと、龍斗氏は特集が組まれるほどの有名人だったんですか」

クリス「HAHAHA!ブラザーはあっちでもこっちでも大人気みたいだよ!」

クリス「これは教会の皆で計画していたクリスマスプレゼント選びに役立つんじゃないかと思ってね!」

御神槌「それは良い考えですね。龍斗氏なら心がこもっているものならなんでも喜んでくれそうですが」

御神槌「どうせなら好みのものを用意したいですし。…もちろん予算内でですが」

クリス「むしろ高価なものを渡したら困ってしまうだろうね」

クリス「よし、じゃあ子どもたちを呼んで作戦会議と行こうじゃないか!」

御神槌「ふふ、楽しそうですね、クリス」

クリス「もちろんだよ!サプライズパーティは仕掛ける方が一番盛り上がらなくっちゃ!」

御神槌「これは私も負けていられませんね」

【屋敷】

火邑「オーイ!嵐王居るかァ!義手の改造について相談したことがあんだけどよォ!」

嵐王「相変わらず煩いやつだ」

火邑「お!居んじゃねェか!ッて何やってんだァ?」

嵐王「若の命で瓦版の複製を作っておる。話なら後にしろ」

火邑「瓦版だァ!?御屋形様ァ一体何考えて…ッてひーちゃん特集だとォ!?」

嵐王「貴様はもう少し静かにできんのか」

火邑「こ、こんなの誰でも驚くだろうが!?たーたんの奴一体何やらかしたんでい!?」

嵐王「何もやらかしておらん。貴様と一緒にするな。爆発騒ぎばかり起こしおって」

火邑「新しい砲ができたらぶっ放したくなるのは仕方ねェだろォ!?」

火邑「それにしてもやらかしてもないのに特集組まれてんのかァ、たーたんの野郎もやるじゃァねェか!」

嵐王「貴様と違って龍斗は役に立つからな。儂の弟子に取りたいくらいだ」

火邑「な、なんかさっきから辛辣だな。しかし嵐王にそこまで言わせるのか…俺様の義手の改造も手伝わせてみるかな!」

嵐王「もし爆発に龍斗を巻き込んでみろ。貴様を一瞬で八つ裂きにしてやろう。無論若も絶対に許さんだろうな」

嵐王「鬼道衆を敵に回す覚悟があるのならばやってみるが良い」

火邑「ちょ、ちょっとした思い付きじゃねェか!そこまで言うこたないだろォ!?」

嵐王「ここまでの釘を刺しておかねば貴様はやりかねんだろう」

火邑「ぐ、そ、そうだけどよォ…」

嵐王「一冊ならもって言って構わん。おとなしく読んで待っていろ」

火邑「しょうがねェ!また来るぜ!」

【河原】

武流「…よし!試作完成だ」

十郎太「お!ハロー!武流!」

武流「あ、十郎太くん。こんにちは」

十郎太「今日も花火の試作か!せいが出るねェ!」

武流「うん、今ちょうど完成した所だよ」

十郎太「おォ!そいつはお披露目が楽しみだな!」

十郎太「おッと!そういや今巷でこいつが話題になってんだが知ってるか?」

武流「ん?瓦版?ッてひーちゃん特集!?」

十郎太「おうよ!リーダーは大宙党より有名らしい!」

十郎太「そんなリーダーが普段何してるか…気になるよなァ!?」

武流「お、おいらも正直気になる…」

十郎太「花音は今仕事中だろうからな後でもっていくとして」

十郎太「とりあえず一緒に読んでみようぜ!今買いに行ってももう売り切れてるだろうしな!」

武流「わざわざありがとう。十郎太くん」

十郎太「おれたちゃ全員揃って大宙党だろ!言いっこ無しだぜ!」

【那智滝】

弥勒「…ふむ」

壬生「む、先客がいたか」

弥勒「壬生か」

壬生「……」

弥勒「……」

壬生「…町でこんなものを見つけてな。思わず買ってしまった」

弥勒「…瓦版?……ふ、ひーちゃん特集か…」

壬生「ああ。俺も人が居る場所で読むには少し気恥ずかしくてな…」

壬生「ここなら誰も居ないだろうと踏んだんだが…」

弥勒「……俺も読ませてもらっていいか?」

弥勒「今少し行き詰まっていてな…滝を見るよりもいい気分転換になりそうだ」

壬生「無論だ。…その代わり他言無用で頼む」

弥勒「安心しろ。気安く話す相手など居ないからな。…彼以外に」

壬生「ふ、案外似た者同士なのかもしれないな。俺達も」

【織部神社】

醍醐「むぅ…」

劉「むむ…」

葛乃「…何してんだい、あんたたち?人の神社で」

醍醐「む、葛乃殿か」

劉「織部聞いてくれ。醍醐が中々読もうとしないんだ」

葛乃「何をだよ…ん、瓦版?」

葛乃「なになに?ひーちゃん特集!?アッハッハ、たー坊ったら大人気だねェ!」

劉「早く読もうって言ってるんだけどあーだこーだ言って読まないんだ」

醍醐「あーだこーだとは何だ。俺はだな、これだけ長い間一緒に過ごしてきた仲間のことを」

劉「またか!じゃあもう俺だけで読むから渡してくれよ!」

醍醐「そしたら尚更気になってしまうだろう!」

葛乃「かァー!ホント馬鹿だねェアンタ達」

劉「馬鹿とは何だ!この前皿割って爺ちゃんに叱られてたくせに!」

葛乃「んな!何でアンタがそんなこと!」

葛乃「あァもう!要するに醍醐の坊さんは長い間過ごしてきたのに理解してやれなかったことがあるかもしれないって」

葛乃「それをウジウジ悩んでんだろ!?」

醍醐「む、うじうじとは心外だ。大体俺は」

葛乃「うるせェ!男なら言い訳すんじゃないよ!」

葛乃「いいじゃないか知らないことがあったならそれでも。これから知っていきゃいいことだろ?」

葛乃「それに長いこと一緒に居たからって全部なんか理解できるわきゃないんだよ」

醍醐「…そうだな。俺が傲慢だったかもしれん」

劉「葛乃の言う通りだ。だから早く読もう!」

葛乃「こいつには全然響いてないようだね…」

葛乃「まァ良いや!ほんじゃ折角だからあたいも読ませてもらおうかねェ!」

【茶屋】

カラカラッ

「いらっしゃーい」

「――――……お邪魔します」

涼里「―――…あ、龍斗さん…奇遇ですね」

龍斗<喜>

涼里「……あなたは―――ふふ、相変わらず不思議な人ですね」

涼里「全てを見透かされているような気がする…悪い気分ではないのですが」

龍斗<喜>

京悟「おいおい、お二人さん?俺が居ること忘れてねェよなァ?」

龍斗<友>

京悟「ホントかよ?」


ガラガラ!ピシャッ

「――――失礼するッ!」

美冬「蓬莱寺!?と龍閃組の!やはり女かッ!」ズカズカ

美冬「昼間から女子を侍らせるなどなんと破廉恥な!成敗してやる!」ダンッ

涼里「…あの、私は」

京悟「…おい、ひーちゃん」

龍斗<悩>

京悟「…」

龍斗<悲>

京悟「はァ…おい美冬!勘違いしてるようだが涼里ちゃんは今さっき来たばっかだぞ!」

美冬「貴様の言うことなど信じられるかッ!」

涼里「私は本当に…」

美冬「まだ言うか!」

龍斗<悲>

美冬「ぐ、そんな目で見てもッ…!」

美冬「…こ、今回だけだからなッ!龍さんはまったく!」

京悟「俺怒鳴られ損じゃねェかこれ?」

【茶屋】

カラカラ

「邪魔するよ」
「親父ィ団子ー!」


澳継「あッ!なんでたんたんが先に食ってやがるんだッ!」

澳継「あーあッ甘いもん食う時にまでたんたんと一緒なんてついてねェ!」

龍斗<澳継を蹴る>

澳継「いってェ!何しやがるたんたん!」

桔梗「おやおや、いつもなら帰りながら食いたいとねだってくるのに」

桔梗「今日に限ってわざわざ店で食いたいと言ってきた坊やはどいつだったっけねェ?」

澳継「!きょ、今日は高いのが食いたい気分だったんだ!俺を坊や扱いすんな!」

龍斗<澳継にデコピン>

澳継「んがッ!またやりやがったな!表ェ出ろたんたん!」

桔梗「まったく…だからあんたはいつまで経っても坊やなんだよ」

【茶屋】

ガラガラッ

「邪魔するぞ」
「比良坂さん足元お気を付けください。ガンリュウさんは天井気を付けてくださいね。」
「お邪魔します」


雹「むぅ、些か天井が低くないかえ?」

京悟「おいおい!ガンリュウは無理じゃねェか!?」

ほのか「あ、御主人様!こんにちは」

龍斗<喜>

比良坂「龍斗?」

龍斗<手を差し出す>

比良坂「あ、ふふ、ありがとう」

花音「はえー今日はお客さん一杯だべなあ!おら忙しくて目ェ回りそうだ」

ほのか「あ、私お手伝いします」

花音「でんもお客さんに働いてもらうわけにはいがねっぺよ!」

雹「ならばガンリュウを働かせよう。厳密には客ではないからの」

花音「そこまでしてもらうなんて申し訳ねえだ…」

雹「ほほほ、お互い様じゃ。さてわらわはガンリュウがおらねば歩くこともできん」

龍斗<友>ヒョイ

雹「ほほほほ、愉快愉快、これは良い乗り心地じゃ」

美冬「な!」

涼里「―――!」

京悟「…お杏恨むぜ、そして親父…すまん」

店主「店壊すのは勘弁してくれよォ!?」

【茶屋前】

ワイワイガヤガヤ

小鈴「まずい!出遅れた!」

美里「どうしたの?」

小鈴「入ればわかるよ!」


ガラガラ


涼里「―――…あ…アーン」スッ

龍斗<喜>パク


龍斗<友>スッ

雹「うむ」パク


美冬「く、口を開けろォ!」プルプル

龍斗<喜>パク


龍斗<友>スッ

比良坂「あーん」パク


ほのか「御主人様どうぞ」スッ

龍斗<喜>パク


美里「」

小鈴「」



桔梗「ふー、茶が旨い」ズズッ

京悟「ひーちゃんばっかずるいぜ…」ズズッ


龍斗<友>スッ
澳継「…ふん」バクッ

【茶屋】


小鈴「ひーちゃん!」

龍斗<悩>

小鈴「ボクにもちょうだい!」

龍斗<喜>

小鈴「」パク

小鈴「藍も!」モゴモゴ

美里「え?あ、えと」

龍斗<友>スッ

美里「あ…ふふ、ありがとう龍斗」パク


澳継「…あー!」

龍斗<喜>スッ

澳継「…ケッ!」モグ

桔梗「おやおや…くっく」


京悟「あー茶が塩辛ェなァ!ちきしょー!親父ィ!団子ォ!」


ガラガラ

「失礼する」


奈涸「む、勢揃いだな」

涼里「―――……あ、兄上…」

奈涸「ふッ、順調のようだな涼里」

涼里「―――――……」スッ

龍斗<喜>スッ

涼里「―――…あ、た、龍斗さん…あの」

龍斗<悩>

涼里「―――…う…あ、あーん」パク

龍斗<喜>

奈涸「こうも見せつけてくれるとはな。…妹を頼んだぞ龍君」

龍斗<友>

奈涸「ふッ、君らしい答えだな」


ガラガラ

「失礼するよ」
「礼儀正しくせなあかんで―」


梅月「いや、失礼なことをするつもりは」

們天丸「なんや、冗談通じひんなー!」


們天丸「おっ!なんやこれ!べっぴんさん勢揃いやないか!」

梅月「やぁ、御揃いのようだね」

龍斗<友>

們天丸「龍々!見たで聞いたで!わいを差し置いて大人気なそうやないか!」

們天丸「わいは傷ついた!二人で夜の帝王になろう言うとったのに!」

們天丸「こらもう今夜は一緒に吉原へ駆り出すしかこの心の傷を癒す方法は」

梅月「そこまでにしておいた方が良いよ」

們天丸「なんで止めるんや!わいは今大事な話…を……」


美冬「…………」


龍斗<悲>


們天丸「せやな!飯場でする話しちゃうわな!さー蕎麦でも食べよやないか!あ、ちょ、ま、じょうだ…」


龍斗<悲>


ガラガラ

「…邪魔するぞ」
「……む」


壬生「なんだ賑やかだな」

弥勒「…いつもは空いているのだが、今日は君が居るからだな」

龍斗<友>

京悟「なんか珍しい組み合わせだな」

弥勒「…ふ、俺たちも急に蕎麦が食いたくなってな」

京悟「それにしても店で蕎麦って感じはしねェ面子が集まってんなァ」

壬生「俺自身不思議に思う。こうして人の輪の中で飯を食おうなどと」

桔梗「難しいことは良いじゃないのさ」

桔梗「あたしらだって龍閃組と仲良く食卓囲むだなんて考えたこともなかったよ」

弥勒「巡り合わせとは面白いものだ」


壬生「ふッ…これもみんなお前のおかげだな」

龍斗<悩>

壬生「自覚はないか…それでも、俺が変わったのはやはりお前のおかげなのだろう」

壬生「俺だけでは無さそうだがな」



京悟「おいおい…ここ蕎麦屋だぞ」

小鈴「ひーちゃん空間恐るべし…」


カラカラ

「失礼しやすよ」


支奴「おやおや、これはこれは皆さんお揃いで」

支奴「―――こんちまたまた、龍さんもお食事ですかい?」

龍斗<同>

支奴「ほいじゃあちきとおんなじだ。ご相伴あずかりますよ」

龍斗<友>

京悟「支奴がここで飯なんて珍しいな」

京悟「結構通ってるがこうして会うのは初めてじゃねェか?」

支奴「ええまァ、あちきも例の瓦版を拝見しやしてね。何だか無性にここで飯を食べたくなったんですよ」

京悟「おいおい、すげェなひーちゃんの影響力。それともお杏の書いた瓦版か?」

支奴「両方じゃないでしょうかねえ?実に美味そうに書いてありやしたし」

支奴「見てたら段々と龍さんが喜んで食ってる姿が浮かんできやしてね」

京悟「ひーちゃんは美味そうに食うからなァ」

龍斗<喜>


カラカラ


「お邪魔します」
「うおおおお!腹減ったァ!」


武流「あれ?たーさん!?」

十郎太「おお!?リーダーじゃねェか!?」

龍斗<友>

武流「普段どんな場所で食事してんのか気になって来てみたら…」

十郎太「まさか花音が働いてるトコだったとはなァ!」

龍斗<喜>

京悟「騒々しさが三割増しだな…」

武流「す、すいません」

十郎太「なんでェちっとくらい賑やかな方が楽しいじゃねえかッ!?」

支奴「賑やかという程度じゃないと思うんですがねえ」


ガラガラガラ

「邪魔するよー!」
「飯だ!」
「失礼するぞ」


葛乃「おや?なんだいたーさんじゃないかい」

劉「師叔も飯か!」

龍斗<友>

醍醐「なんだ店が龍閃組と鬼道衆で貸し切り状態だな」

葛乃「アッハッハ!確かにこの中に入ろうと思う奇特な奴らはそうはいないだろうねェ!」

劉「そうか?楽しそうじゃないか!故郷を思い出すぞ」

京悟「お前の故郷どうなってんだ」

劉「楽しいトコだぞ」

京悟「そうかよ…」

京悟「それにしても、これまた珍しい組み合わせだな」

劉「同じ物を食ってみると良いかもしれないと思ったんだ」

醍醐「お、おい!劉殿!」

葛乃「こいつらがうちの神社で瓦版を読んでてね」

葛乃「ついでに読ませて貰ってたら腹が減ってきてさ、折角だから三人で飯にしようってなったわけだよ!」

京悟「へェ」


ガラガラガラ

「邪魔するだど~」
「おッ邪魔しま~す」



真那「な、なんや!えらいことになってんなァ!」

泰山「みんな一緒で楽じぞうだなあ!」


龍斗<喜>

泰山「兄弟が楽じぞうだとおでも嬉じいど~」

梅月「やあ、真那も来たのか」

真那「あ、梅月せんせこんちわー」

真那「て、もんちゃん何やっとんの?」



們天丸「」



龍斗<悲>


梅月「彼は少し賑やか過ぎたんだ…」


ガラガラガラ

「お邪魔しますよ」
「Hello!」


御神槌「おやおや、すごいですね」

クリス「Oh…このお店潰れちゃうんじゃないか?」

店主「おいおいッ!物騒なこと言わないでくれよォ!」

クリス「HAHAHA、Sorry!」

ほのか「こんにちは御神槌様、クリスさん」

クリス「ホノカ!こんにちは!」

御神槌「こんにちは、ほのかさん」

京悟「お前らも瓦版か?」

御神槌「おや、やはりみなさんそうなんですね」

クリス「ブラザーの愛するお店なんだ!行くに決まってるじゃないか!」

龍斗<喜>

男衆回すためなのでボケ少なめです(小声)



ガラガラ

「邪魔するぞ」
「失礼する」


九角「む?なんだ賑やかだな」

九桐「おお蓬莱寺に師匠じゃないか」

龍斗<友>

桔梗「天戒様!?どうしてここに」

九角「桔梗か。嵐王が複製を終わらせてな。雑事を終わらせて尚雲と飯にすることにしたのだ」

澳継「たんたんといい、なんだってわざわざこんな薄汚い所に」

御神槌「風祭さん、失礼ですよ」

澳継「だって本当のことじゃねェか」

桔梗「ハァ…本当にあんたって奴は…」

店主「さっきから一体何なんだよォ!?」

九角「ふッ、許せ。澳継なりの照れ隠しだ」

澳継「んな!そんなわけ……!ぐッ!」


九桐「それにしても…師匠は色事においても師匠だな!流石に俺もこれは真似できん。アッハッハ!」

龍斗<喜>

澳継「…はーげ」

九桐「俺は禿じゃないと何度言ったら……む…ほう、なるほど」

澳継「…なんだよ」

九桐「いやなんでも」

澳継「上等だァ!表ェ出やがれはげェ!」

九桐「何も言っとらんだろう」

澳継「なんかムカつくんだよ!その顔!」

龍斗<澳継を蹴る>

澳継「ッってェ!何度も何度も蹴りやがって!ケツが割れたらどうすんだ!」

桔梗「そいつは元からだろ。店に迷惑かかるからその辺にしとけってことだよ」

澳継「ぐッ…」

龍斗<友>スッ

澳継「…チッ」バク


九桐「時に蓬莱寺…お前のほうは暇そうだな」

京悟「うるせェやい!ほっとけェ!」

九桐「折角だここは一つ手合わせと行かないか?」

京悟「俺ァ今機嫌が悪いんでェ…手加減はしてやれねェぞ…?」

九桐「ふッ、安心しろ俺もそのつもりだ」

店主「う、うちで何する気でェ!?」

京悟「安心しな、店の中で暴れやしねェからよ」

京悟「九桐…賭け蕎麦って知ってるか?」


九桐「聞いたことがあるな」

九桐「短い間にどれだけの蕎麦を食えるか競うんだったか?」

京悟「おうよ」

京悟「けどそれだけじゃァ面白くねェ…そこでこいつだ」スッ

九桐「七味か…蓬莱寺まさかお前」

京悟「こうするんだよォ!」ドバッ

京悟「ヘッヘッヘ…こいつをどれだけ食えるかで勝負と行こうじゃねェか…」

九桐「…面白い、受けて立とう」


們天丸「なんやなんや盛り上がっとるのう!」

梅月「起きたのかい」

們天丸「こないおもろそな状況で寝てられるかい!」

們天丸「当然勝ったもんと負けたもんにそれぞれなんかあるんやろな?」

京悟「あッたりめェよ…」


京悟「負けた奴は勝った奴に自分の一番大事なもんをくれてやる」

京悟「勝った奴は負けた奴に何でも命令できるッてェのはどうだ?」


九桐「ふッ、俺は構わんぞ」

們天丸「わいもええでー!ケツの毛までむしりとったるわ!」


京悟「よォし、しかし三人じゃ面白くねェ」

京悟「他に参加したい奴は名乗り出なァ!」



御神槌「…水を差すようですが食べ物で遊ぶのは感心しませんね」

ほのか「私も同じ意見です」


京悟「おいおい、間違えちゃいけねェぞ?こいつは漢と漢の真剣勝負…遊び半分でやるつもりはねェぜ」

京悟「食い物を粗末にするつもりもねェ。参加する奴は無理にでも完食させる」

藍「絶対に駄目よ!そんなことをしたら喉を傷めてしまうわ」


京悟「美里…漢には譲れねェもんがあるんだ」

京悟「いざというときは氣で何とかするしなヘッヘ!」


藍「もう…龍斗からも言ってちょうだい」

龍斗<悩>


京悟「ひーちゃん!もちろんお前も参加するよな?」

龍斗<悩>


京悟「ひーちゃんよォ…この前の額の傷」



涼里「―――!」



龍斗<友>



美冬「!」



藍「龍斗まで…」

御神槌「仕方がありませんね…」

ほのか「御神槌様…」

御神槌「龍斗師まで味方に着けられては何を言っても無駄でしょう」

御神槌「無事を祈るしかありません…」


們天丸「お!なんや龍々も参加するんか!これは尚更おもろくなってきたのお!」

們天丸「梅月はんもどうや!」

梅月「僕は遠慮しておくよ」

們天丸「なんやて!?逃げんのかいな!つまらんやっちゃのう…」

梅月「逃げるとは人聞きが悪いな」

們天丸「真那はんも幻滅しとるで、せやろ?」

真那「ん?うちは別にどうでも」

們天丸(後で旨いもん御馳走したるから話合わせてえな!)

真那「!せやなァーここで逃げるなんて梅月せんせ情けないわァ…真由もきっとゲンメツするやろなァ…」

梅月「…!気が変わった。僕も参加させてもらおう」

們天丸(ええで真那はん!)

真那(にゃはッ!うちと真由にごちそう!絶対やからな!)



ガラガラッ「面白そうなことになってんじゃねェか!」


火邑「俺様も混ぜやがれッ!」

京悟「いつもなら暑苦しいと言うところだが今日ばかりは歓迎するぜ火邑!」

澳継「うるせェ…」

火邑「御屋形様見ててくれよォ!俺様が圧倒的大勝利を収めてやりますからよォ!」

九角「ふッ、ああ楽しみにしている」

京悟「こいつで五人だ。他にはいねェか!」


奈涸「では俺も参加しよう」

涼里「兄上!?」


京悟「なんでェ!珍しいこともあるもんだなァ!奈涸が参加すんのか」

奈涸「ああ、龍君の一番大切なものには興味があるからな」

奈涸「それに…今から店の仕事を手伝ってもらうのも悪くない」


涼里「……………―――――――――――――――…………………」

涼里「―――――――――――――――――………」スッ



美冬「!わ、私も参加するぞ!」



京悟「おいおい…やめとけ、ただじゃすまねェぞ」

美冬「私を女子供扱いするな!」


龍斗<悲>

美冬「なッ!龍さんまで!見てろこのくらい!」ガバッズルル


京悟「なッ!」

藍「あッ!」


美冬「」フラッ


龍斗<美冬を抱きとめる>

美冬「」ガシッ

藍「待っててすぐに治すから!」ポゥ


美冬「」スウ

ピセル「」フッ



ピセル「…………………ん」

ピセル「…ああ、Bonjour龍斗。お久しぶりですね」

龍斗<喜>

ピセル「フフ、美冬がもう少しお昼寝してくだされば会えるんですが」



小鈴「…ひーちゃんッ!いつまで抱きしめてるのさッ!」

ピセル「あ、ごめんなさいワタシ」

龍斗<友>

ピセル「龍斗は優しいですね、フフ」


藍「なんにせよ無事でよかったわ」

ピセル「ご迷惑をおかけします」

京悟「美冬の奴が無茶やったせいでピセルの所為じゃねェだろ」


京悟「さて、そんじゃ人数も集まったところで始めるか」

ピセル「何が始まるんですか?」

小鈴「おバカの根性比べ」

ピセル「?」


京悟「親父ィ!準備できてるかァ!」

店主「出来てるがよォ!ちゃんとお勘定してくれんだろうなァ!?」

京悟「安心しろい!負けた奴に全部払わせてやるからよォ!ヘッヘッヘ」


京悟「席に着け野郎共!」


九桐「お前らの命貰い受ける!」

奈涸「飛水流の力…見せてやろう」

們天丸「かわいそうやから下着だけは残したるわ!」

梅月「真那、真由にも伝えてくれ…僕の生き様を!」

火邑「うおおおおお!燃えてきたぜェ!」


龍斗「いくよ?」



梅月「」ブフッ


們天丸「梅月はんが一口で逝ってもうた!」

京悟「鼻から噴き出してやがる…こいつはお終ェだな、ゴッホ」ズルズル

真那「梅月せんせほんまに情けないなァ…」


藍「すぐに治療を!」ポウ

ほのか「お、お手伝いします!」



們天丸「ぎやああああああ!汁が目にィ!あかん!こりゃアカン!」

火邑「うおおおおおおお喉が焼けるうううううぅ!」


京悟「ヘッヘ、大げさゴッホだぜ!根性が足りてねェなゴッホ!」ズルズル


奈涸「忍びの修行に比べればこの程度造作もない」ズルズル

涼里「兄上汗が……」


九桐「今までで一番の強敵かもしれんなゴッホ」ズルズル



龍斗<食べる>ズルズル


龍斗<悲>ゴッホ


京悟「情けねェなおめえら!俺ァまだまだいけるぜ!」ズルズルッ

奈涸「氣を溜めることで痛みを鈍くしているのか」

奈涸「だがそれでは体への負担が馬鹿にならんだろう」

京悟「ヘッヘ…言ったろ?手加減は出来ねェってよォ!」

奈涸「ふッ、ならば仕方がない。俺も本気を出すとしよう」


奈涸『四神覚醒・真玄武変』

涼里「―――――あ、兄上!それは!」


奈涸「うおおおおおおおおお!」ズルズルズルッ

奈涸「…俺は勝たねばならんのだ…大切なものを守るために!」



京悟「面白くなってきたじゃねェか!」


們天丸「目が!目がァァァァァァァ!」

火邑「うおおおおおおおおおおおおおおお!」


龍斗『結跏趺坐』


九桐「們天丸と火邑はともかく…奈涸と蓬莱寺、師匠は手強いな」

九桐「俺もそろそろ本気を出すときか…」


九桐『聖応現』



小鈴「…まずいよ藍!このままじゃひーちゃんが負けちゃう!」

藍「勝ち負けよりもうこんなこと辞めさせないと…」

小鈴「ここまで来てあのおバカたちが辞めるわけないよ」

小鈴「そんなことよりひーちゃんを助けないと!」

藍「ど、どういうこと?」

小鈴「京悟が初めに言ったこと覚えてる?」

藍「確か負けたら大事なものを勝った人にあげる…とか」

藍「勝った人は負けた人に命令できる…だったかしら」

小鈴「今一番優勢なのは奈涸さん、次に京悟と九桐さんが同じくらい」

小鈴「ひーちゃんは特攻向きの技ばっかりでかなり不利な状況…」

小鈴「このままじゃひーちゃんが骨董品店に永久就職しちゃう!」

藍「!」


小鈴「そして縮まる涼里さんとの距離…」

藍「!!」

小鈴「もしかしたら奈涸さんとの距離かも…」

藍「」

小鈴「そうなる前にひーちゃんを助けなくちゃ!」

藍「で、でもズルは良くないわ!」

小鈴「藍…このままひーちゃんが無理して喉を傷めてもいいの?」

藍「!」

小鈴「他三人は痛みを和らげる技を使っている…」

小鈴「でもひーちゃんがやっていることはただ氣を回復するだけ…」

小鈴「ひーちゃんだけやせ我慢をしている状況なんだよ!」

藍「!」

小鈴「今のひーちゃんには藍の力が必要なんだヨ!」

藍「…!私の力が…」


桔梗(うちの火邑と們天丸、それと梅月のことすっかり忘れてるね)


藍(龍斗…私の力を受け取って…)


藍『天使の光』



龍斗<悩>


龍斗<愛>


龍斗「行くよ―――」ズルズルズルッ



奈涸「…!面白い…!」


京悟「なんでェ一体!?」


九桐「なんだと!」



小鈴「ついに一騎打ちか…」

小鈴「藍だけに任せちゃいられないよネ!」


小鈴「涼里さんちょっと聴いて良い?」

涼里「どうかしましたか?」


小鈴「ひーちゃんとはどこまでヤッたの?」

涼里「」


奈涸「ぶッふォ!」ゴバッ


龍斗<無>ピタ


奈涸「」ガクガクッ

涼里「――あ、兄上!」

小鈴「奈涸さんは瀕死だし他二人ももう限界…」

九角「ふむ…これは龍の勝利だな」

小鈴「やったー!」


【しばらく後】

們天丸「し、死ぬかと思うたわ」

火邑「情けねェ!こんな簡単に負けちまうなんてよォ!」

京悟「何であれ負けは負けだ…約束通り持ってけドロボウ!」ヒュ

龍斗<悩>パシ

『木刀』

京悟「そいつはなァ俺がガキの頃から使ってた…」

涼里「……それはうちで安売りしていた」

京悟「…蕎麦代まで払ったら素寒貧になっちまったんだよォ!」

龍斗<友>

京悟「ひーちゃん…お前って奴ァ!」

小鈴「言い出しっぺがそれって…」

京悟「うるせえやい!」


們天丸「わいからはこれや!」

『吉原細見』

龍斗<悩>

們天丸「今度一緒に行こうやないか!」

京悟「また美冬に殴られるぞ」

ピセル「美冬がどうかしましたか?」


火邑「俺様の一番大切モンってェと義手なんだけどよォ」

火邑「流石にコイツをくれてやるわけにはいかねェからでこっちで勘弁してくれ」

『火邑の着物』

火邑「俺様のお気に入りだぜェ!」

京悟「ありがた迷惑この上ねェな…」

小鈴「やっすい木刀渡しといてよく言うよ」


梅月「僕からはこれを」

『歌集』

龍斗<友>

梅月「僕が書いた歌集だ、良かったら読んで欲しい」

們天丸「一番大事なモンが自分の歌集て寂しい奴やなァ」

梅月「君が言えたことではないだろう」

們天丸「なんやと!わいのお宝バカにすんなや!」

梅月「君が先に言ったんじゃないか!」


九桐「俺からは」

澳継「かつらか?ぷぷッ」

九桐「……これだ」

『篭手』

龍斗<友>

九桐「槍でもよかったんだがやはり師匠にはこれだと思ってな」

澳継「なんか全員一番大事なモンって感じしねえのな」

桔梗「水を差すんじゃないよ」


奈涸「では龍君、これを受け取ってくれ」

『鍵』

涼里「―――――あ…」

奈涸「店の鍵だ」

奈涸「妹共々宜しく頼むよ」

涼里「―――――――――………………」スッ


小鈴「」

藍「」

小鈴「やられた!最初からこのつもりだったんだ!」

小鈴「藍ィッ!こうなったら最終手段だッ!」

藍「ど、どうすれば?」

小鈴「ついて来て!」ダッ


龍斗<悩>

涼里「――――――あ、あの」

涼里「暇なときにでも来て下さい。人手が有ると私も助かります」

龍斗<喜>

涼里「――ふふっ」


「ひーちゃん!」

龍斗<振り返る>

メイド服を着た小鈴「この服どうかなッ!似合ってる?」

メイド服を着た藍「あ、あの…どうかしら?」

龍斗<愛>

小鈴「へへッやったね!」

藍「ふふ、ありがとう龍斗」

澳継「……」

桔梗「おやおやハイカラな格好だねェ」

ほのか「メイド服というんですよ」


桔梗「…面白そうだちょいと悪戯してやるかね」

桔梗「おッと手が滑った」バッ

澳継「あッちィッ!」バシャッ

澳継「何しやがるッ!」ガタッ

桔梗「手が滑っちまったんだよ」

澳継「思いっきりこっちに向けてやがったじゃねぇかッ!」

桔梗「細かいことは良いじゃないのさ、それより早く着替えないと風邪ひくよ」

澳継「細かくねえッ!それに俺はこのくらいで風邪なんか…へぶしッ」

桔梗「美里、小鈴こいつにも着替え用意してやっておくれよ」

小鈴「あッ!それならちょうど良い大きさのがあったヨ!」

澳継「おい!俺を無視して話を進めんじゃ…へぶしッ」ブルブル

藍「そのままじゃ本当に風邪をひいてしまうわ、今回は大人しく着替えましょう?」

澳継「ぐ、くそ!覚えとけよッ!」


【しばらく後】


「おいッ!ふざけんな!何だこの格好ッ!」

小鈴「うわー似合い過ぎてびっくりだよ」

ドレスを着た澳継「冗談じゃねえ!もう濡れた着物でいいから返しやがれ!」

龍斗<喜>

澳継「笑ってんじゃねえッ!くそぉなんで俺がこんな目にッ…」

桔梗「あっはっは!似合ってんじゃないか!」

藍「あんまり笑ったら可哀そうよ、ふふ」

龍斗<喜>スッ

澳継「ぐッ…くそッ!もう二度と着ねえからな!」バクッ



京悟「ふう」ズズ

九桐「ほら」スッ

京悟「ちきしょーッ!」ダッ


ガラガラ ピシャッ


九桐「やれやれ…」トントン「ちょいとお客さん?」


九桐「む?」

店主「今逃げたお客さんの分じゃ全然足りなかったんで代わりにお勘定してくれるかい?」ポン

九桐「………蓬莱寺貴様ーーーーーー!!!」



<終>

もしここまで待って居てくれた人いたら時間かけて本当すみませんでした
依頼してきます

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