男「夢と再び会わせてくれないかwww」黒い服の女「もう無理よwww」 (36)

男(幼稚園)「パイロットってかっこいいな!なりたいなぁ!」

水色の服の少女「いいじゃない。私も大空を飛んでみたいわ」

男「飛行機でキーン!ぶぅーん!」


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男(低学年)「警察官になりたい!」

青い服の少女「いいじゃない。弱い人の味方であってね」

男「わっぱかけろわっぱ!」

男(高学年)「先生ってすごいなぁ、かっこいいや」

黄色い服の少女「いいじゃない。元気と笑顔がいっぱいね」

男「ちゃんと勉強がんばろうっと!」

男(中学一年生)「虫の研究者になりたい!」

緑の服の少女「いいじゃない。でも、ゴキブリだけは勘弁してね」

男「死に際の羽ばたき!」

男(中学二年生)「この世界の覇者となり、すべてを混沌の闇に沈めてやる………」

紫の服の少女「いいじゃない……。闇の力ですべてを等しくしてね………」

男「沈まれ俺の右腕ぇ!」

男(中学三年生)「バンドやりたいわ」

赤い服の少女「いいじゃない。ロックロールね!いえー!」

男「ギャギャギャギャーン!俺の歌を聴けぇ!」

男(高校一年生)「スマホ買ってもらったわ、アプリとか楽しすぎる」

男「ネットも使えるし、すげえ便利だわ。これ」

薄い色の服の少女「たまには私のことを思い出してね」

男「うっせえあっちいってろ。今スマホいじってんだろうが」

男(高校二年生)「草生やせるようになったわwwwwwwwwwww」

男「wwwwwwwwwwww」

男「wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

男(高校三年生)「受験やべえwwww勉強きつすぎwwwwwwww」

男「でもまあ底辺にはなりたくねえしwwwww国立めざすわwwwwwwwww」

男「あれ?俺なんで大学行くんだっけ………まあいいかwwwww周りに合わせとけwwwww」

男(大学一年生)「大学やべえwwwwwww自由すぎワロタwwwwwwww」

男「バイトwwwwwwwwサークルwwwwwwwwリア従に、俺はなるっwwwwwww」

男「あーあwwwww忙しいわ俺wwwwwwwwww」

男(大学二年生)「うえーいwwwwwwうえーいwwwwwwww」

根暗「………」カリカリ

男「何やってんのwwwwwww」

根暗「小説を書いているんだ、芥川賞を取りたくて」

男「wwwwwwwwwww小説wwwwwwwwwwwwあwwwwwそうwwwwwwwwwwwwwwww」

「…」

男「隣のかわいい子は誰なん?wwwwww」

根暗「子供の頃からずっと一緒で。こんな俺に、寄り添い続けてくれるんだ」

男「wwwwwwwwwwwwこんな根暗と一緒にいて楽しい?wwwwwwwww俺のとここいよwwwwwwwww」

「この人が書くのをやめない限り、私はずっとこの人についていく」

男(大学三年生)「研究いそがしすぎワロタンバリンシャンシャンwwwwwwwwwwww」

友「おいwwwwwww根暗のやつ、大学やめたみたいだぞwwwwwwwwww」

男「wwwwwwwwwwwww平成の太宰治かwwwwwwwwwwwwww所詮勉強が嫌でやめたんだろwwwwwwww現実逃避乙wwwwwwwwwww」

男(大学四年生)「就活やべえwwwwwwwwwww」

男「とりあえず内定もらえればいいかwwwwwwwwwwwはやく遊びてえwwwwwwwww」

男「社会に出ても一生懸命、頑張るぞぅwwwwwwwwwwwww」

男(社会人一年生)「大学気分が抜けてなくて遅刻したwwwwwwやべえwwwwwwwww」

上司「キミ、ふざけているの?社会人なめすぎじゃない?」

男「久しぶりにこんなに怒られたわww」

男(社会人五年生)「あ、やべっ………またやっちゃった………」

上司「あーあ、じゃ、残業ね」

男「はい………サビ残かぁ………」


………

男(社会人二十年生)「すいません……すいません……」ペコペコ

上司「はぁ、またミスかよ。君、いくつ?ほんと使えないよね」

男「すいません……すいません……」ペコペコ

男「はぁ………」トボトボ

根暗「…あれ?男か?」

男「おまえ……根暗……か?」

根暗「久しぶり、変わったな。お前」

男「お前も………老けたな………」

根暗「お互いだな」

「…」

男「その子っ………まだ、いたんだ………」

根暗「ああ。いろいろあったけどさ、こいつだけは、書くことだけは、何とか離さないようにやってきたんだ」

男「この子は………前よりも、綺麗になったな」

根暗「ああ、これからも美しくなっていくよ」

男(あいつ、まだ小説書き続けていたのか。立派だな)

男(それに比べて俺は何だ?毎日、毎日、叱られて、仕事して、疲れて、帰って、酒飲んで、寝て、なんてくだらない人生なんだ)

男(俺とあいつ、何が違うんだ?いや、分かってる、俺は、夢を追うことから、逃げて)

男(………あの少女がいてくれたなら。あの少女がいれば!)

男(俺にもまだ何かあるだろ!なんだ、なんだっけ、パイロット、それは無理だ)

男(警察官、もう無理。先生、つとまるはずがない。研究者、だめ)

男(闇の支配者、意味わからん。バンド、楽器ひけない)

男(ああ、俺。なんもねえな)

男「…………………………」

男「…………………」

男「…………」

男「……」



男「むなしい」ボソ





黒い服の女「そう」


男「!?あ、あのときの少女か!?」

黒い服の女「ええ」

男「やった、やったぞ!俺にもまだ何かあったんだ!やり遂げる何かが!」

黒い服の女「いいえ、もう手遅れ」

男「じゃあ、お前はいったい……」

黒い服の女「分かっているはずよ。何もできやしないあなたができる、焦燥と疲労の螺旋から抜け出す、たった一つの方法」

男「……え?……まさか……いや………そんな…………いやだ………俺は………嫌だ!わああああぁぁー!!!!やめろ!!!お前じゃない!!!どこかへ消えてくれ!!!あっちいけえ!!!!」

黒い服の女「また、拒絶するのね」









黒い服の女「でもこれからは、あなたの傍にずっといるわ」





「きいたことあるか?ここらへん変質者が出るってよ」

「まじかよ、どんなやつ?」

「なんか、会わせてくれぇー、会わせてくれぇーって叫びながらフラフラしてるらしいぞ」

「こえーなんだそいつ、きめえ」

男「………どこだ、………どこにいるんだ」フラフラ

「……やばくないか、はやくいこうぜ」

「お、おう」

男「どこにいるんだ」

黒い服の女「ここにいるわ」

男「お前じゃないんだ」

黒い服の女「誰を探しているの?」




男「夢と再び会わせててくれないか」

黒い服の女「もう無理よ」



終わりです。

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