俺たちは奴隷ではない。 (13)


俺たちは、戦士だ。

俺たちには、朝も昼も夜もない。

目が覚めると同時に戦いが始まる。

区切られた闘技場。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471426741


相対するのは、四足の獣のこともあるし。

俺たち同様、飼われた戦士でもある。

戦いが終われば、また眠るだけだ。

傷を負うことも多々ある。

だが俺たちに高価な薬を使ってくれる主人は、そういない。


そう、俺たちは飼われている。

だが、俺は奴隷ではない。断じて奴隷などではない。


かつて俺は、一匹の獣だった。

ありあまる力に物を言わせ、あらゆるものを隷属させた。

最強の自負があった。

誤りだった。


最強は俺ではなかった、俺のいた集落は襲われ。

俺は捕らえられた。

抵抗するつもりはなかった。俺は負けたのだから。

なんの説明もなく、闘技場に投げ込まれたときは驚いた。

だが、俺のすべきことは明らかだった。

相手を倒す。ただ、それだけだ。

俺は、新たな仕事と身分を得た。


言われるがままに闘技場に赴いた。

勝ち、そして負けた。

強さとは、力だけではないことを俺は知った。

戦いが楽しくなった。

そう、俺は戦いが好きだ。

無理に戦わされているわけではない。


なかには、そういう奴もいるだろう。

明らかに集中できていない者。

自暴自棄になっている者。

彼らも、かつては俺と同類。

狭い社会の中で最強を自負していたのだろう。

いまだ、新たな自分の居場所に馴染めていない。

彼らこそが奴隷だ。

俺とは違う。


ああ、そろそろ時間だ。

普段は直前まで眠っているからな。

話ができて、楽しかったよ。

さて今日は、どんな相手だろうか。

わくわくするよ。

じゃあ生きていたら、また会おう。


トレーナー「いけ!ピカチュウ!」


ピカチュウ「ピ!ピカチュウ!」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom