男「この推理小説、犯人にマーカー引かれてやがる! ふざけんな!」 (20)

男「さぁって、さっき図書館で借りた小説でも読むか……」

男「……」ペラ…

男「……ん?」

男「なんだこりゃ!?」

男「この推理小説、犯人にマーカー引かれてやがる! ふざけんな!」

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男「――なぁんてな」

男「俺、ミステリー読む時、別に推理しながら読むタイプじゃないし」

男「犯人が分かったところで、さしてショックはないわ」

男「むしろ、刑事コロンボとか古畑任三郎とかを見る感じで楽しめるしな!」

男「半田任男……お前が追い詰められるザマを楽しんでやるぜ!」



 銀田一が駆けつけると、部屋の中には火涯射太郎の変わり果てた姿があった。

「これは……死んでいる!」







男「お、いよいよ事件か。面白くなってきた」



 半田が唇を噛む。

「必ず犯人を見つけましょう!」







男「おいお~い白々しすぎるぜ、半田ァ~!」



 銀田一の問いに、使用人は声を細めた。

「実は……半田さんはね、火涯さんに恨みがあったんですよ」

「え、本当ですか!?」







男「おっ、いよいよ半田も年貢の納め時か!?」



「間違いない……犯人は半田さんだ!」

 銀田一の目が光った。







男「もう真相にたどり着いたか! でもまだ100ページぐらい残ってるけど……?」



「この話が本当なら、半田さんにはアリバイが成立する!」

 推理が振り出しに戻ってしまい、銀田一が頭を掻きむしる。







男「おお、アリバイ工作とは! やるじゃん、半田!」

男「さて、残り20ページぐらいしかないけど……」

男「おおっ、ついに銀田一が半田に天誅を!」







 銀田一は人差し指を突きつけた。

「犯人はあなただ!」



「新反認介さん!」

 目を白黒させる新反。







男「誰!? 誰だよこいつ!?」

男「半田にばかり気を取られてて、他の登場人物なんか全然気にしてなかったわ!」



「ありがとうございました、銀田一さん」

「半田さんこそ、お元気で」

 銀田一はトレードマークのアフロヘアーを豪快に掻きむしりながら、地平線の彼方に去っていった。







男「終わっちゃった……」

男「半田は犯人じゃなかったのか……」

男「ふざけんなァァァァァッ!!!」





< 完 >

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