ヤヤ「風邪引いた……」【ハナヤマタ】 (32)

ヤヤ自室


ヤヤ「うーん……」

ヤヤ「ん……」

ヤヤ「あー…… 寝てた……」

ヤヤ(すごい汗、拭かないと……)

ヤヤ(今は…… 12時……)

ヤヤ(何か食べないとダメよね、少し元気出たら下いこ)

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ヤヤ「はぁ…… 暇だなぁ……」

ヤヤ(前は『風邪で学校休めるなんてラッキー』って思えてたのに、今は学校行きたくて仕方無い……)

ヤヤ(こう思えるのもなるとかハナとか、よさこい部のみんなが居るからだよね)

ヤヤ(なる達と普通に話して、なるが興奮してるところを見ていたり、ハナのこと適当にあしらったり)

ヤヤ「はぁ…… 学校行きたかったかったなー」

ヤヤ(まぁそのためにも早く風邪治さないと)

ヤヤ(でも私が居ない内に私の居場所無くなってたらどうしよう……)

ヤヤ(いや、みんなが私が居ない時に陰口言うような子じゃないってことはわかってるけど)

ヤヤ(それでもきっと私が居なくてもみんなはよさこいの練習してるだろうし、私が居ない間にみんな上手くなってたらどうしよう)

ヤヤ(みんなは出来るようになってるところ、私だけ出来なくてみんなの足引っ張っちゃったら……)

ヤヤ「……」

ヤヤ(はぁ…… 何考えてるのよ、私)

ヤヤ(風邪引いてると嫌なことばっかり考えちゃう、寝ましょ……)

ヤヤ「……」

ヤヤ「すぅ……」

なる『ねぇヤヤちゃん』

ヤヤ(ん、なる居たの)

なる『なんだか…… 暑いね』

ヤヤ(うーん…… まぁ風邪引いてるし……)

なる『そ、そうじゃなくて…… 』

ヤヤ(あれ、そう言えばなんでなるここに居るの?)

なる『こんなに近くに居るとドキドキしてきちゃうよね』

ヤヤ(えっ!? ちょっとここ私のベッドの中でしょ!)

なる『わたしの胸、今すっごく熱いんだ…… 触ってみて?』

ヤヤ(いやいやいや! 無理無理無理! こんな状況あり得ないから)

ヤヤ「もう! なるー!」

なる「は、はいー!?」

ヤヤ「え?」

なる「よ、呼んだ…… ? ヤヤちゃん」

ヤヤ「へっ? なるがベッドの中じゃなくてベッドの脇に居る?」

なる「べ、ベッドの中!?」

ヤヤ「てことはさっきのは夢?」

なる「や、ヤヤちゃん…… 寝ぼけてるの?」

ヤヤ「夢ってことは…… さっきのは……」

なる「だ、大丈夫? どんどん顔赤くなってるよ?」

ヤヤ「わ、わぁぁぁぁぁ! 違うの! 今の忘れてぇ!」

なる「えっ? えぇー!?」

ヤヤ「えっと…… つまりなるは学校が終わってお見舞いに来てくれて」

なる「ヤヤちゃんが眠ってたから横でそっと見ていたら…… 急に飛び起きて」

ヤヤ「ご、ごめん…… 凄くインパクトのある夢で……」

なる「どんな夢だったの?」

ヤヤ「そ、それがよく思い出せないのよね……」

ヤヤ(ほんとははっきり覚えてるけど)

なる「あー、確かに 夢ってそういうのよくあるよね~」

ヤヤ「はは…… あ、そう言えばまだ4時前よね? よさこい部は?」

なる「あ、今日はよさこい部は休みだったの 全員揃ってないと練習の意味が無いって」

ヤヤ「そっか……」

なる「マチさんとタミお姉ちゃんは今日の内に生徒会の仕事をまとめて片付けるみたいで」

なる「ハナちゃんとランちゃんもお見舞いに行きたいって言ってたんだけど、わ子ちゃんが『あんまり大勢で行くのも迷惑』って」

ヤヤ「だからなるだけ来たのね」

なる「うん」

ヤヤ「まぁあいつらうるさそうだし、なるだけ来てくれて良かったわ」

なる「あはは……」

なる「そう言えばヤヤちゃんは体調大丈夫?」

ヤヤ「あ、うん……」

ヤヤ(そう言えばさっきより体、熱いかも……)

なる「……」

ヤヤ(まぁなるに心配かけたくないし、適当にごまかしとこ)

ヤヤ「うん! 大丈夫! 明日にはきっと治る…… って言うか今日だってほんとは学校行っても良いくらいだし!」

なる「ほ、ほんと!? 良かったぁ……」

なる「あ、そうだ すっかり忘れてたけどこれ、おばさんが作ってくれたお粥」

ヤヤ「あ…… そう言えば朝ご飯食べた以来何も食べてないや」

なる「だ、ダメだよ! 風邪引いた時はちゃんと何か食べないと!」

ヤヤ「ごめんって それじゃあ食べるね」

ヤヤ(て、言ってもなんか食欲無いな…… 適当に一口食べればなるも納得してくれるかな)

ヤヤ「はむ…… ん、もういいや」

なる「えっ? 一口だけ?」

ヤヤ「うん もうお腹いっぱい」

なる「ダメだってちゃんと食べないと、風邪悪くなっちゃうよ!」

ヤヤ「だから大丈夫だって、体調だって良くなってるって言ってるでしょ?」

なる「…… ヤヤちゃん嘘ついてるでしょ」

ヤヤ「えっ?」

なる「体調良いとか風邪が良くなってるとか、ヤヤちゃん嘘ついてるでしょ!」

ヤヤ「そ、そんなこと」

なる「あるよ…… だってヤヤちゃんの顔凄く赤くて、見るからに悪くなってるし」

ヤヤ「う……」

ヤヤ(そんな見てわかるほどなのか……)

なる「風邪の時まで意地張っちゃダメだよ」

ヤヤ「……」

ヤヤ「じゃあちょっとキツい、かも」

なる「お粥の残り食べられそう?」

ヤヤ「うーん……」

なる「じゃ、じゃあさ…… わたしが……」

ヤヤ「ん、何?」

なる「わ、わたしがヤヤちゃんに…… た、たべ…… 食べさせてあげる、ね…… ?」

ヤヤ「は…… ?」

ヤヤ「はぁ!? ちょっと何言ってんのなる!」

なる「だ、だってヤヤちゃん体動かすのも辛いんでしょ? だから……」

ヤヤ「そ、そんなこと言っても……」

ヤヤ(なるに食べさせてもらうのは嬉しい…… ってそうじゃなくて!)

ヤヤ「そんな恥ずかしいこと出来な……」

なる「や、ヤヤちゃん!?」

ヤヤ(やば…… 大声出そうとしたら頭クラってきた…… ほんと体調悪くなってきたかも……)

ヤヤ「だ、大丈夫だから…… 自分で食べられるから……」

なる「もー! ヤヤちゃんのバカー!」

ヤヤ「え?」

なる「さっきからずっと意地張って……」

ヤヤ「う……」

なる「どうしてヤヤちゃんはいっつもそうなの?」

ヤヤ「……」

なる「風邪引いて辛いんだったら周りに甘えたっていいのに、そんなに無理してたらこっちが心配だよ!」

ヤヤ「ごめん……」

ヤヤ「…… ほんとのとこ、さっきから結構頭重くて体ダルいんだよね」

ヤヤ「だからさ…… お、お粥食べさせて…… ほしい」

なる「うん!」

ヤヤ「……」

ヤヤ(こんな風になるに言い負かされるなんて珍しいかも)

ヤヤ(…… あれ)

ヤヤ(そう言えば私上手く丸め込まれてる…… ?)

ヤヤ(まぁいいか……)

なる「はい…… あ、あーん……」

ヤヤ「ちょっと、手震えてるけど大丈夫?」

なる「な、なんかヤヤちゃんに食べさせてあげるの緊張して……」

ヤヤ「まったく…… こぼさないでよ」

なる「が、がんばる」

なる「あ、あーん」

ヤヤ(うぅ…… やっぱりこれすっごく恥ずかしいんだけど……)

ヤヤ「あ、あむ」

ヤヤ(相変わらず頭痛いし、恥ずかしさも合わさってさっきから顔熱いままだし……)

なる「ど、どう?」

ヤヤ「…… 冷めてる」

なる「だ、だよね……」

ヤヤ「でも…… なるが食べさせてくれるの、嬉しい」

なる「っ……!」

ヤヤ「あ、ちょっ! 今の無し! い、今のは頭がぼーっとしててつい思ったこと言っちゃったて言うか……」

なる「う、うん……」

ヤヤ「あ、いやそうじゃなくてっ!」

なる「じゃあ、わたしそろそろ帰るね」

ヤヤ「うん…… 今日は急に大きな声だしちゃって、ごめんね」

なる「ううん! わたしこそヤヤちゃん風邪引いてるのに押しかけちゃって…… 迷惑じゃなかった?」

ヤヤ「そんなこと無いって、風邪ひいた時ってどうしても心細くなっちゃうでしょ? ……なるが来てくれて嬉しかった」

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ「けほっ、けほっ」

なる「だ、大丈夫!?」

ヤヤ「うーん、あんまり大丈夫じゃないけど…… まぁ薬も飲んだし、後は眠ればなんとかなるでしょ」

なる「……」

ヤヤ「そんな心配そうな顔しないでいいから、たかが風邪なんだし」

なる「でも……」

なる「そうだ、風邪ってうつせば治るって言うよね? だったらヤヤちゃんの風邪わたしにうつしてよ!」

ヤヤ「え…… ?」

ヤヤ「もうなるったら何言ってんのよ そんなことしたらなるもこんな風に苦しんじゃうし、第一どうやってうつすのよ」

なる「それは…… く、口移し、で……」

ヤヤ「く、口移し…… ?」

なる「か、風邪って喉とか鼻とかにウィルスがいるんだよね…… だ、だったら ちゅーしたら……」

ヤヤ「ちょ、ちょっと何言ってんのよ!?」

なる「や、ヤヤちゃんを治すためだから! 別に変な意味なんて無いから!」

ヤヤ「少し落ち着けー!」

なる「わ、わたしはヤヤちゃんが心配で……」

ヤヤ「いくらなんでもそれじゃ誤魔化せないからね……」

なる「うぅ……」

ヤヤ「…… 風邪はうつせば治るなんて迷信に決まってるじゃない」

ヤヤ「それにもし治ったとしても私のせいでなるが苦しむなんて絶対嫌よ」

なる「……」

ヤヤ「もし……」

なる「え?」

ヤヤ「もしなるがキスしたいなら…… いつだってしてあげるから…… もちろん私からね」

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ「だから、今日は我慢して」

なる「…… うん」

ヤヤ「うん…… 何かほんと眠くなってきちゃった」

なる「薬のおかげかな、じゃあわたし帰るね」

ヤヤ「うん…… 今日は…… ありがと」

なる「…… 早く元気になってね」

ヤヤ「お見送りとか出来なくて…… ごめんね」

なる「うん、ばいばい」

ヤヤ「また明日……」

少し後

なる「や、ヤヤちゃんの部屋に忘れ物してきちゃった……」

なる「ヤヤちゃん眠ってるかな…… 起こさないようにしなくちゃ……」

なる「…… 失礼しま~す」

ヤヤ「…… すぅ」

なる(ヤヤちゃん眠ってる…… 顔色も良くなってるし明日には学校来てくれるかな)

ヤヤ「……」

なる「……」

なる(ヤヤちゃん…… 起きないよね……)

なる「ねぇヤヤちゃん、わたし やっぱりヤヤちゃんのことが心配だよ」

なる「ヤヤちゃんが嫌でも、わたしに風邪がうつってヤヤちゃんの風邪が治るならわたしはそうしたい」

なる「だから…… これはわたしのワガママだよ」

なる「…… ちゅっ」

なる「元気になってね、ヤヤちゃん」

次の日


ハナ「おっはよー ございまーす!」

マチ「うわぁっ!」

タミ「おはようハナちゃん」

マチ「お、おはよう」

マチ(いきなり後ろからぶつかられてびっくりした…… ヤヤちゃんは毎日これをやられてるのかしら……)

タミ「あれ? なるちゃんとヤヤちゃんは一緒じゃないの?」

ハナ「それが…… 今日は二人とも風邪で休みみたいで……」

マチ「はぁ? お見舞いに行ってうつされるって…… まったく……」

タミ「ははは……」

なる「けほっ、けほっ……」

なる「うぅ…… 頭痛い…… 喉も痛いよぉ……」

なる「ヤヤちゃ~ん 助けてぇ~」

なる「でもこれはヤヤちゃんからうつった風邪だって思うと……」

なる「うへへ……」


おわり

ハナヤマタ原作最新コミックス8巻は全国書店で大好評発売中、表紙のわ子ちゃんが目印デス!
また、ハナヤマタBlu-rayBOX「晴鳴五子路(はなこころ)」が2016年12月23日に発売決定!

もう一度みんなで「一緒によさこい、しませんか?」

読んでくれた方ありがとうございました。

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