ありす「私にキスして」 (16)

みなさんこんにちは、橘ありすです。

私は最近ある悩みがあるのです。

実は、先日文香さんから告白されて、お付き合いをしているのですが。

その告白された日以来キスをしていないのです。

いや、何回かしようとしたんですよ!?

しようとする度にお互い真っ赤になってそこで終わっちゃうんですよ!

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例えばですが、文香さんと並んで肩寄せ合って座ってる時にですね、文香さんを横目で見てキスをおねだりしてみたのですよ。

で、いつまでもこないので目をうっすら開けてみると、文香さん真っ赤になってぷるぷる震えてんですよ。

文香さんのヘタレっぷりに呆れつつも、「あーもう!文香さんかわいいですねぇ!」とか叫びたい私もいるわけでして。

なんかいつもの私じゃないですね、落ち着けクール・タチバナ。

あ、これ無かったことにしたんだっけ。

まぁ、そんな感じでそこから進んでいないわけですね。

奏さんにその場面見られてニヤニヤされるし。

というか、奏さんはいつのまに桃華を手籠めにしたんでしょうか。

最近、よく首筋にキス跡が残ってる桃華見るんですけど。

で、桃華も桃華で奏さんとのこと惚気ますからね。

いや、私だって文香さんとイチャイチャというか、もっと親密になりたいですよ?

だから、私からも積極的に! 積極的に……

ああ、そういえば私も顔真っ赤になってそれ以上進めないヘタレでした。

いやですね? 文香さんがソファーで寝ていたのですよ、こくりこくりって。

で、ですね? とりあえず練習練習って思いましてというか言い訳しまして、寝てる文香さんにキスしようとしたんですよ。

あと数センチってところで文香さんが起きてしまいまして……

で、慌てて離れてそのままですよ。 あの時強引に行っていれば……とか思ってしまったり。

それで慌てて真っ赤になってるとこに「ありすちゃん?」って首傾げて聞いてくるのですよ?

文香さんかわいいいですよね? ですよね!

……これ私文香さんにちょっと熱過ぎますね。

落ち着け、私はクール・タチバナだ……だからこれ黒歴史!

ともかくですね、文香さんとキスするために色々策を練っているわけですが、ことごとく私のヘタレで失敗しているわけでして。

うーん、どうしたら文香さんと自然にキスする雰囲気に持ち込めるのでしょうか。

やっぱ、デートするべきなんでしょうかね。

実は、まだデートというものをしたことがないのですよね、オフが中々重ならないもので。

うーん、ここは癪ではありますが奏さんと桃華にお願いしてダブルデートしてもらうべきでしょうか。

ちょこちょこ二人で出かけているみたいですしね。

やっぱ定番は遊園地ですかね。

ジェットコースター乗って、お化け屋敷行って、最後は観覧車で……

うん、ベタですがこれでしょう。完璧なプランです。

問題は、桃華と奏さんと文香さんと私のオフが重なる日なんですよね……

えーと、とりあえず桃華にメール送っておきますかね。

「……ありすちゃん?」

ふえっ?

「ふふふ文香さん!?」

アイエエエエエ!? 文香=サン!? 文香サンナンデ!?

今日文香さんお仕事で事務所帰ってこないはずじゃ!?

「あうっ」

「いたっ」

慌てて振り返ったせいで文香さんとおでこをぶつけてしまいました。

「いたたたた……ごめんなさい文香さん、大丈夫ですか?」

「はい……ありすちゃんこそ……大丈夫ですか?」

「私は大丈夫です」

……おでこじゃなくて唇だったらなー……いけないいけない。私どこまでキスに飢えてるんですか。

「文香さん今日お仕事じゃなかったですか?」

「それが……先方の方のトラブルで撮影が延期になったのです」

ああ、なるほど。そういう理由なんですね。

「ところで……唐突なんですが、ありすちゃん」

はい。

「キスしましょう」

はい。はい!?

「お付き合いしてから……恋人らしいことできませんでしたし……」

まぁ、確かにそうですけど。

「せっかく……ありすちゃんがキスしてほしいって言ってくれてるのに……私は、恥ずかしがってばかりで……」

まぁ、私も積極的に行けなかったとこもあるので文香さんだけの責任ではないんですけれど。

「なので……今度は私からです。ありすちゃん、キスしましょう」

「……いいですよ」

ここは私が文香さんにおねだりする側でしょう、キスを。

受け入れる体制を整えて、私は待ちます。

少しずつ、文香さんが近づいてくるのがわかります。

私の吐息と文香さんの吐息が交わる距離まで近づいた時、文香さんの動きが止まるのを感じます。

どうしたのかなと思ったのですが、同時に文香さんから恥ずかしさ以外の別の感情が伝わってきました。

……文香さん、やっぱまだ怖いんですね。私を傷つけてしまうかもしれないのが。

「文香さん」

「……」

大丈夫ですよ、文香さん。

「一緒に進んでいこうって決めたでしょう? 大丈夫です、私は文香さんの傍にいます。いさせてください」

だから、私にキスをして。

文香さんにの首に手を回します。

「へへっ、これで私にキスする以外離れる方法ありませんよ?」

割かし大胆なことしてますが、これくらいしてもいいでしょう?

文香さんは、それを受けてくすっと笑いました。

そして、私たちはあの日以来のお互いを感じたのでした。

「……やーっと、キスしたのですねあの二人」

「そうね、思ったよりかかったわね 文香ヘタレだしね」

「ありすも大概ヘタレですからね お互い奥手なのに好きあってるから紅茶じゃ渋みが足りませんわ」

「今度、ブラックのコーヒーでも飲んでみる?」

「……そうですわね、あの二人だとコーヒーじゃないと苦さが足りませんですわ」

「……だーれがハニートーストに追いハチミツかけたくらい甘いですか?」

「あ、ありす?」

「出っ歯亀とは……奏さんも桃華ちゃんもいい趣味お持ちですね」

「ふ、文香 いや、なかなか進展しない友人たちの心配をね?」

「余計なお世話です! で、いつから見てたんです?」

「ありすが悶えながら色々計画してるところからですわ」

「っ!!!! ほぼ最初からじゃないですか!」

「ありすちゃん真っ赤ー」

「うーうー」

「そのうーうーいうのをなんとやらですわ」

「なんか……収集つかなくなってきました……」

「まぁ、ありす文香一歩前進おめでとう」

「あ、ありがとうございます? なのかな……」

「まあまあ、いいじゃない」

「いいんですのこれで?」

「オチが……ないですね」

「落とす必要ないですよ!?」

「どうしてこうなったのですの」

終われ

ご精読ありがとうございました。
アイリ、僕はね。中身のないありふみSSを書きたかったんだ。
思ったより甘くならなかったので夜半のお茶請けにしていただければ幸いです。

ありすとかの呼称違いはわざとなのでご容赦願います。

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