月「金も仕事もない。いっそう死んでやるか」リューク「待ちな」 (34)

月「はぁ。大学を出たまでは良かったが、まさか一ヶ月で辞めることになるとは・・・」

月「玄関を見れば催促状の山。サラ金もカードローンも相手にされない。家賃滞納で月末には追い出される」

月「・・・死んでやるか」

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月「死ぬと言ってもガスはダメだな。今は検知器が作動するし、致死にならないようにできている」

月「首を吊ろうにも支えるものもない」

月「いっそう、この包丁で血まみれになってやろうか・・・よし!」

リューク「待ちな!」

「うわぁぁ!何だ!どこから入ってきた!」

リューク「俺はリューク。死神だ。」

月「ついにお出迎えってやつか。分かったよ。地獄でもどこでも連れていきな。」

リューク「勘違いするな。俺はお前を迎えに来たんじゃない。自殺を止めに来たんだ。」

月「・・・なんで死神がそんなことするんだ?」

リューク「死神があの世に連れていく魂は何でもいいわけではない。人間ってのは産まれた時に皆一定の運を持っている。運を使いきったときに人は死ぬ。」

リューク「太く短く使う者。細く長く使う者。使い方は様々だが、お前はまだ若く運が残っている。運が残っている者は死んでも天国にも地獄なも行けない。それでは俺が困る。」

月「死神の新説だな。しかし、だからってそれがどうした?この世では金がないのは首がないのと同じだ。生きていくこともできない。」

リューク「金があれば死なずに済むのか?」

月「当たり前だ。好きで死ぬものか!」

リューク「なら、金の稼ぎ方を教えてやろう。お前、医者になりな。」

月「はぁ?医大も出ていないのに何言ってるんだ?いいか、医者には免許が必要なんだ。」

リューク「そんなものは必要ない。お前は俺達死神を見ることができる。死にそうな患者には死神がいる。」

リューク「しかし、死神が足元にいればまだ寿命が残っているから助かる。逆に枕元にいる奴はダメだ。もう助からない。」

リューク「足元に死神にのみ今から言う呪文を使え。そうすれば俺ら死神がそこにいられなくなる。」

リューク「いいか、枕元にいる死神には絶対に使うなよ。一度しか言わないよく聞け」

リューク「『ココントウザイミサミサカワイイリオノカーニバル』そして手を二回叩け」

月「ここんとうざいみさみさかわいいりおのかーにばる」パンパン

月「リューク、・・・いない。・・・ハハ、ついに幻覚まで見るようになったらおしまいだな。」

月「とりあえず寝るか」

初投稿です。ネタが分かっていても暖かい目で見てやって下さい。
また明日書きます

その夜

粧裕「お兄ちゃん、大変!お父さんが死にそうなの!」ドンドンドン

月「何だ・・・粧裕か」

粧裕「何寝てるの!お父さんが大変なの、急いで来て!」

月「おい、急に引っ張るな!」

夜神の実家

粧裕「お父さん、大丈夫!」

総一郎「ウウウ・・・」

シドウ「・・・」

月「父さん、しっかりしろ!・・・なんだ、この悪趣味な置物は!どけろよ」

粧裕「はあ?何言っているの?こんなときに!」

粧裕「とにかく、お医者さんを呼んでくるから!」バタバタ

月「いや、呼ぶなら救急車だろ」

月「しかし、何だこれは・・・・・生きている?まさか、死神か?」

月「ものは試しだ『ココントウザイミサミサカワイイリオノカーニバル』」パンパン

シドウ(イヤイヤイヤ)カサカサカサ...

月「本当に消えた・・・」

総一郎「うーん、よく寝たな。おお、ライト来ていたのか。」

粧裕「こっちです。急いで」

救急隊員「救助者はどちらですか?」

総一郎「全く、お前はいい歳していつまでフラフラしているんだ・・・」

粧裕「ほら、今にも父が息子に説教して・・・・あれ?」

粧裕「違うんです!イタズラとかじゃなくて本当に・・・待ってください・・・」バタバタ

月(これは使える!)

翌日、大きく宣伝できないのでかまぼこ板に『医者』とだけ書いて待っている月。
しかし、それでもすぐに依頼が来た。

松田「ごめんください!ごめんください!」

月「はい、どちら様ですか?」

紙村「ヨツバ人事部の紙村と申します。恐れて入りますがこちらに医者がいるとお伺いしました」

月「はい、僕が医者です。」

紙村「・・・実は、うちの社長が長いこと患っておりまして、あらゆる名医に診てもらったのですが原因が分からず手の施しようがありません。」

紙村「藁にも掴む思いで、有名な占い師に聞いたところ・・・」

細木「ここから北北西に進んで一番最初に目にした4階マンションの405号にいる医者なら治せるわよ」

紙村「と、言うわけでやってまいりました。」

月「そうですか。治せるかどうか見てみないことには何とも言えません。まずは患者に会わせてください。」

三堂「紙村、気は確かか?俺のどこが医者だ!」

紙村「もう、祈るしかないんだ。見せるだけだ、何もさせはしないよ。」

月(思った通り、足元に死神がいる)

ジェラス「・・・・」

社長「ウウウ...」

月「大丈夫、ちゃんと治ります。お礼の件、忘れないで下さいね。」

三堂「バカらしい!つまみ出せ!」

月「ココントウザイミサミサカワイイリオノカーニバル」ボソボソ パンパン

社長「うーん、よく寝たな。おお、みんな心配かけてすまなかったな。腹が減ったな、何か出前を頼めんか?」

ウソダロ...デモ,アンナゲキンニ...

紙村「病み上がりですので、うどんを取ります。」

月「それでは力がつきませんよ。鰻丼なんかがいいでしょう。僕も食べるから2つね。」

紙村「・・・分かりました。お礼の方は後ほど」

それから依頼が来る度に死神をはらい続ける月。
しかし、10件に1件くらいのペースで枕元にいる死神にでくわす。

月「もう、ダメですね。では、また次の機会にお会いしましょう!」サイナラー

すると、患者は間もなくしないうちにコロリと息を引き取った。

この人は人の寿命が見える。そう噂が立つと毎日、たくさんの人から引っ張りだこにされるのでした。

後日に続きます
なんか変なのが混ざってしまいましたが無視して下さい

さて、金持ちになった月。
あぶく銭を持った男の行動なんて決まっていて・・・

@グラブにて

高田「月く~ん、私、旅行に行きたいなぁ。」

月「いいよ、いいよ。どこにでも行こう。」


@京都にて

月「食った、飲んだ・・・・Zzz...」

高田「バカな男。このお金は私が有意義に使ってあげるわ。じゃ、さよなら~」

翌日

月「高田さん?・・・はっ!」

月「ちくしょう!最後のお金を全部持っていかれた!」

月「なに、また稼げばいいさ」

@帰郷

依頼人「夜神さん、どこに行っていたのですか?私、ずっと待ちぼうけしていましたよ。」

月「悪かったよ。京都の学会に出ていてね。」

依頼人「こちらです。助けてください。」

死神「枕元やで」

月「あー、もうダメです。どうしようもありません。」サヨナラ

翌日
死神「枕元」

別の日
死神「枕元」

また別の日
死神「枕元」

月「なんなんだ!枕元ばかりで金にならない!」

月「おまけに染み付いた贅沢は抜けないわで再び借金まみれ!」

竜崎「ごめんください。」

竜崎「私は竜崎と申します。孤児園のワイミーズハウスで育ちました。その経営者、ワタリを助けてください。」

月「あの、発明家の?行きましょう。」


ワタリ「ウウウ...」

レム「・・・」ジロー

月(まただ、また枕元だよ。)

月「残念です。私にはどうしようもありません。」

竜崎「そこをなんとかお願いします。」

月「すみません、こればかりは何ともなりません。」

竜崎「せめて3日持ちこたえさせて下さい。お礼は1億円お支払します。」

月「金額を吊り上げられても仕方がないんです!私だって助けられるものなら・・・・・まてよ」

月「このハウスで息の合う四人組を呼んでもらえますか?」

竜崎「分かりました。」

HIJK『お待たせしました。』

月「私があるタイミングで膝を叩きます。そしたら直ぐに布団を180度回転させてください。一周すると意味がなく失敗します。」

HIJK『分かりました。』

月(今は待つしかない。それまで持ってくれ)

レム「・・・」ジロー、ジロー

ワタリ「う~、う~」

しばらくたち

レム(ウト...ウト...ウト...)

月(今だ!)ポン!

HIJK(リョウカイ)

月「ココントウザイミサミサカワイイリオノカーニバル」パンパン

レム(はっ!何だ何だ!なんなんだ一体)

月「計画通り!消えてしまった!」

月「1億円、これだけあればしばらくは安泰だ。やっぱり、生きているうちに頭を使わないとな」

リューク「よう、久しぶりだな」

月「リュークか、君のおかげでずいぶんと儲かった。何かお礼をさせてくれ」

リューク「あぁ、知っているさ。1億円手に入ったんだってな?行きつけの店がある。つきてきな。」

月「リュークにも行きつけの店があるのか、どこだ?」

リューク「ちょっと狭いがこの中を通る。」

月「こんなところに?何もここを通らなくても・・・分かった、分かった、行くよ。」

月「ふぅ、やっと広くなった。・・・明るいな。全てロウソクの火か?ロウソクの海だな」

リューク「あぁ、ここは運の広場だ。この世の人間全てのロウソクがここにある。」

月「さすがに70億以上は収集つかないだろ・・・」

リューク「ここは日本支部と言ったところだな。」

月「長いのから短いものまで、つまり、これは人間の残された寿命が見れるわけか」

リューク「その通りだ。これなんて直ぐに消えそうだろ?息をかけてみるか?」ククク...

月「やめておくよ。知らない人を殺したくない。」

リューク「安心しろ、これはお前のロウソクだ。」ククククク...

月「は?何言っているんだ?」

リューク「お前はもうすぐ死ぬ。」

月「寿命が残っているから死ぬべきでないと言ったのはリュークじゃないか!」

リューク「あぁ、昨日まではそうだった。だが、お前は今日運を使ったじゃないか。だから大金が手に入った」

月「・・・あれは知恵使ったんだよ!」

リューク「言ったはずだ。枕元にいる死神には手をだすなと。なぜあんなことをした?」

月「あんなことって・・・いいじゃないか人助けなんだから」

リューク「運のないやつを生かしても仕方がねぇ。それは死神の掟だ。」

月「待ってくれ。命がないのに金があったって仕方がない。この1億円をあげるから何とかしてくれよ。」

リューク「1億円くれるのか?いいだろう、地獄の沙汰も金次第だ。使いな」つ

月「なんだ?火のついていないロウソク?」

リューク「これをお前のロウソクに火を移しな。うまく火がつけば生きられる。」

月「うまくいかなかったら死ぬのかよ!チクショウ!」ガタガタ

リューク「あぁ、たぶんうまくいかないから気楽にやんな。体が震えてるぞ?」

月「これを冷静にやれる人間がいたら連れてこい・・・・・ついた!やったよリューク!」

リューク「・・・こいつは驚いた。つく筈が無かったんだが、約束通りそれはお前の物だ。俺は手を出さないからここに置いていくといい。」

月「そうか、これで生き返ったんだな!」

リューク「気を付けて帰りな。・・・・・・しかし、本当に運が良かったな。」ククク...


終り。

短編をだらだらと掲載しました。

ご存じの方もいらっしゃいますが、デスノートを古典落語「死神」のストーリーで書きました。
落語は立川志の輔さんをベースにしました。知らない方は一度聞いてみると面白いですよ。

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