【ラブライブ!SS】穂乃果「RPGの主人公になりました」 (237)

※注意事項
・クロスオーバー
・設定をぶち壊すかもしれない
・初めてssを書くのでミス乱発の可能性
・たまに安価を降る
・おかしな文法になるかも

かなり下手な妄想ssですがよろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470397946

開始早々ですが離脱します…申し訳ない

何があった!

0:00くらいには復帰できそうです

>>4
死*ね

※時間は2期11話くらい
※質問、誤字、脱字、設定や言動の矛盾があったらぜひレスください
※設定はアニメ基準

 ー音ノ木坂学院 屋上ー

穂「おはようございまーす!」ガチャッ

花「おはよう、穂乃果ちゃん!」

穂「花陽ちゃんおはよう!今日は凛ちゃんと一緒じゃないんだね」

花「理事長に呼ばれたから後から来るんだって」

穂「理事長に?何の話だろうね」

理「呼びましたか?」

穂「うわっ!?いつの間に!」

理「高坂さん、小泉さん。あなた達にも話があるんです。至急理事長室に来てください」

穂「あ、はい」

で?

花(話って何だろう?)

穂(さあ…そういうば今日はみんな遅いね)

花(そうなんだよね…いつもならみんなもっと早いのに。何か怖いなあ)


 ー理事長室ー

穂&花「失礼します」

理「さて、単刀直入に言います。」

理「これから別世界に行ってきただけないでしょうか」

花「」

穂「うぇえ!?別世界!?」

花(吹っ飛びすぎてて何かの冗談にしか聞こえない!!どう反応すれば…)

理「あとの7人は先に行きました」

穂「なっ、なんっ!?」

花「他の全員がすでにっ?!ていうか何で別世界に行くんですか!?」

理「パラレルワールド、というものをご存じですか?」

穂「確かその場の選択とかで未来が変わって…何だっけ、平行~世界?でしたっけ?」

理「その通りです。この世界は平和ですが、今同じ時間軸でもとんでもなく科学が発達していたり、逆に荒廃していたり、RPGのような世界もあるんです」

花「RPG!?いやそれはさすがに無理g」

理「たくさんの軸の中、存在してはならないほど危険な生き物が1体…いるのです」

花「存在してはならないほどの…」穂「危険な生き物?」

理「魔王です」

花(よりによってそういうアレかあ)

穂「魔王?」

理「はい。ベタですよね。そしてその魔王はRPGの世界にいるのです!しかもやろうと思えばこの時間軸の世界全てをどうにかできるほどの実力!」

花(ただのスクールアイドルの私達にどうしろと)

穂「私達アイドル研究部が止めるんですか?」

理「ぜひお願いしたいです!もう誰に言ってもこの事を信じてもらえなくて…!」グスッ

穂(どうしよう…)

花「(うん、でもまあ冗談にせよ本気にせよ泣いてまでお願いしてくるのを断るのも悪いよね!多分みんなもそう思って…)私達でよければ引き受けます!」

無理のある話だったが花陽は快く引き受ける振りをした。…穂乃果は若干引いていたが。

理「ありがとう!ではさっそく飛ばしますね!ご武運を!」

穂&花「え」

「「うわああああああああああ!!」」



 ー?ー

穂「ん…ここは?あれ?まさか…」

周りには誰もいない。花陽とは別の位置に飛ばされたのだろうか?
代わりに一枚の紙切れが落ちていた。

『RPG世界はドラ○エやらファイナル○ァンタジーみたいに戦うための職業がたくさんあるので早めに適職を見つけて下さいね!ちなみに別世界に飛ぶと一部の人間は変なショックを受けて元いた世界での記憶を失うことがあります!頑張って!』by理事長

本当に別世界に飛んだ…

落ちますね

 寝る前に追記
・レスできるのはしんや0時あたりが中心になります

つまらない
キャラクターが別人

キャラ名は略さないでちゃんと書けや

>> 12 でしょうね 頑張ります
>>13 了解

ツマンネ

自分のレス見直してたら何か吐き気してきた…
>>1です。明日の早朝に出かけるので今日はさっさと寝ます。申し訳ない。せめて今だけでも1.2レスします

穂乃果「まさか本当に飛ぶなんて。魔王か~。よくわからないけどどうにかして止めないとね!よし、まずは今の状況を…」
・森の中に1人
・持ち物はない

穂乃果「しょっぱなから絶望的!」

ガサッ…

穂乃果「え?」

どこかから物音がする。

?「シャアアアアアア!」

背後から人が襲ってきた!

穂乃果「うわああああああ!!?」

穂乃果は痛みを覚悟して目を閉じた。

穂乃果(あ、あれ?急に静かに…)

目を開けると、目の前の人は倒れていた。死体?に何かの影がチラついていたので、そのまま視点を上げると…

?「大丈夫?立てる?」


穂乃果「絵里ちゃん!?」

何とか帰ってこれたので投下

絵里「この辺りは危険だから丸腰でうろつくのは危険………よ」

穂乃果「いや~最初ってから絵里ちゃんと合流できるなんて心強いよ!…って、え?どうしたの絵里ちゃん!?」

絵里「ほ、穂乃果…い、生きてたのね!?良かった…!!」モギュー

穂乃果「え、絵里ちゃん!そんなに強く抱きついたら熱いし苦しいよ!」

絵里「ああ、ごめんなさい。つい嬉しくて…うん、生きててくれて本当に嬉しいわ。近くの宿に魔王戦での生存者が集まってるわ、行きましょう」

穂乃果(魔王戦…!?もう戦っちゃったの!?)

 ー宿ー

絵里「ただいま」

ことり「お帰り絵里ちゃん」

凛「おか絵里ちゃん!」

絵里「略さないの!」

穂乃果「ことりちゃんと凛ちゃん!あれ?あとの皆は?」

ことり「………穂乃果……………ちゃん」アワアワアワアワ

凛「にゃあああああああぁ!?穂乃果ちゃんの幽霊だにゃ!!」ガクガクガクガク

絵里「おおおお落ち着きなさい!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー

凛「びっくりした…」

ことり「二人とも座って。まずはお話しない?」

穂乃果「うん、そうしよう」

   穂  絵
  ∥――――∥
  ∥テーブル∥
  ∥――――∥
   凛  こ

まずは穂乃果から今の状況を話せる限り話した。

絵里「なるほどね。まず、穂乃果が元いた世界をA世界、この世界をB世界としてみましょうか」

凛「ねえ穂乃果ちゃん、A世界からμ’sは何人が別世界に行ったの?」

ことり「お母さんは『他の全員は先に行きました』って言ってたんだよね?それだと、別世界に行ったのが何人かまではわからないから…」

穂乃果「本当に全員が飛んだのなら、A世界からは9人来たと思うよ」

絵里「私もμ’sの一員なの?」

穂乃果「うん」

絵里「…そっか」

さっきから2回投下したんだけど…何でか見えない

再起動したら見えました 勝手に騒いですみません

ことり「うん、人数はちゃんと9人だね。でも1つだけ言わないといけないことがあるの」

穂乃果「言わないといけないこと?」

凛「…凛達が生き残ったことが仇になったんだね」

絵里「??」

ことり「うん。実は1つの世界に同じ人間は共存できないの」

ことり「…B世界に正常に着いたA世界のμ'sは多分6人いる」

穂乃果「共存できないって…まさか」

絵里「なるほど……よくわかった。  穂乃果、あなたも何となくわかったと思うけど、B世界のμ'sは6人死んでいるの」

穂乃果「うそ…嘘だよね、凛ちゃん、ことりちゃん」

凛「…少なくとも凛とことりちゃんは確かに見たにゃ。海未ちゃんは事故での転落死、にこちゃんは魔王の手下のほとんどを相手に一人で戦って死んだ。真姫ちゃんとかよちんは…」

絵里「凛、これ以上は穂乃果のダメージにしかならないわ」

穂乃果「いや、聞かせて。私が来たからには死因を何とかして今度こそ海未ちゃん達を助けてみせる」

凛「…わかった。真姫ちゃんとかよちんは魔王の最初の攻撃で吹き飛んだ。希ちゃんは賢者っていう職業になる試練を越えれずに、そして穂乃果ちゃんは絵里ちゃんを庇った」

絵里「ごめんなさい…あなたは私が殺したようなものだわ」

ことり「多分一番の敗因は…μ'sが9人揃わなかったこと」

穂乃果「揃わなかった?!」

絵里「私は元々魔王側でも勇者側でもない勢力についてたの。ロベルト・ハイドンという人のね」

ことり「Bの絵里ちゃんはちょっと捻れちゃってて、独りだったの。その時から魔王はいたんだけど、勇者一行で最強と言われるAーRISEすら歯も立たずに全滅しちゃったの。だからどうせ誰も魔王には勝てないからロベルトの『世界を消す』っていう目的に賛同してた。」

絵里「穂乃果は何度も説得したわ。絵里さんはこの世界の良さを知らないだけだ!って。だから何も知らずに終わらせるなんてもったいない!とか、μ'sに入って一緒に戦ってほしいとか、世界中を回って生きてて良かったって思ってほしい、とか。とにかく色んな誘い方してきたわ。μ'sに入れば穂乃果が一緒にいてくれるとわかってても私は臆病なままでμ'sには入れなかった。今更寝返ったって誰もロベルトを止めることはできない…って。」

穂乃果「…そうなんだ」

絵里「ごめんなさい、脱線したわね。話を戻すわ」

穂乃果「そうだ、来てない3人はどこに?」

凛「多分この世界から弾かれて別の世界に着いてるんじゃないかな」

ことり「でも大丈夫だとは思うよ。お母さんならすぐに気付いて何とかしてくれるはずだから」

穂乃果「そうだね!」

絵里「次はこの世界の現状かしら。まとめてみるわ」

・μ’sは魔王に負けた
・AーRISEも負けた
・A世界のμ’sが来たタイミングがよりにもよって魔王サイド全盛期(勇者の二大戦力を潰して更にえげつない戦力になった)

凛「ちょっときつくないかにゃー?」

絵里「私はみんなを信じてるわ。でも現時点のμ'sは素人同然の弱さ。というわけで…」


絵里「特訓よおおおおおおおおぉ!!」

穂乃果「特訓?」

ことり「うん、魔王を倒すだなんて言うけどそのためには強くならなきゃね」

凛「名案にゃ!付き合うよ穂乃果ちゃん!\>ω<」

絵里「場所はさっきの森でいいわね。まずは…あなたに向いた戦い方を見つけなきゃね。そのために色々な装備を持っていくわ。凛、ちょっと手伝って」

凛「了解にゃ!」

ことり「私は魔法の本を何冊か持ってるからそっちを持ってくよ。すぐ近くだから、穂乃果ちゃんも準備ができたら来てね!」

穂乃果「あ、うん…」

 ー数分後ー

穂乃果「…準備よし、器量よし、心の準備よし、左よし、右よし、前よし…さあ行くぞおお!」

 ー数分後ー

穂乃果「迷った」

穂乃果「あうう…特訓どころか帰るのもできそうにないや。まだ丸腰だし、道はわかわないし。しかも気がついたら周りは真っ暗…どうしよう」

?A「シャアアアアアア!」

?B「クルアアアアアアアァ!」

物陰から誰かが襲いかかってきた!

穂乃果「うわあああああああ!今度こそ終わった!」

今度こそ痛みを覚悟し、穂乃果は目を強くつむった。

?「はっ!」ザシュッ

穂乃果「あ、あれ?」

何も感じないし、声も聞こえなくなった。穂乃果は恐る恐る目を開けた。目の前には絵里に助けられた時のように人の死体が転がっており、人影が見えた。

穂乃果「ヒエッ…」

?「こんな時間に何も持たず外を歩き回るとはいい度胸だな。死にたいのか?」

穂乃果「あなたは…誰!?」

今回穂乃果を助けたのは見知った人物ではなかった。高そうな装飾の付いた綺麗な衣服に紺色の外套を羽織っている。長剣と短剣を一本ずつ装備して、更には奇妙な仮面を付けている。

穂乃果「あっ、えと、その…」

?「次は無いと思え」

穂乃果「あ、あの!」

?「…何だ」

穂乃果「友達とはぐれちゃって…私もどうすればいいのかな~って…」

?「言いたいことははっきり言え。お前はどうしたいんだ」

穂乃果「…武器を貸してもらえませんか?必ず返しますから!」

?(ほう、助けを求めるか同行を請うかと思っていたが…こいつは興味が湧く)

?「この剣は僕の大切な私物だ。それを見ず知らずの人間に渡してその場を去れるとでも思っているのか」

穂乃果「やっぱり…駄目ですか?」

?「いや、貸してやる。ただし僕の監視付きだ」

穂乃果「ありがとうございます!ところで監視って?」

?「今の僕には特に目的地も無いからな。お前を見ておいてやる」

穂乃果「よろしくお願いします」

穂乃果(この人が一緒に来るとなると剣を貸してもらう意味が無いと思うんだけど…)

?「ところでお前、剣の心得はあるのか?ゴブリンは弱い魔物だがある程度の知能はあるぞ」

穂乃果(あれって人じゃなくて魔物だったんだ…)

穂乃果「ありません。戦うのも初めてです」

?(……命知らずかよほどの馬鹿だな)

穂乃果「でも何とかしてみせます!やるったらやる!」

?「戦いは精神論ではどうにもならん!もういい、少しだけ使い方を教えてやる。」

魔物「ファアアアアアアァ!」トツゼンデテキテホノカニチカヨル

?「ちょうどいい、実践で直接頭に叩き込んでやる。まずは自分だけで戦って感覚を掴んでみろ。僕がいるから死にはせん」

穂乃果「え!?ちょっ!?う、うわああああああぁ!!」

穂乃果「はあっはあっ…!」ブンッブンッ

ゴブリン「ギャー!」グサリ

穂乃果(武器を持ってるから振り回してるだけで攻撃がちょっとだけ当たるし優勢っぽいけど、やっぱり剣って重い!ダンスの練習と同じくらいきつい!!)

?「相手の動きをよく見てみるんだ。幸い、向こうは頭が良いくせに真っ正面から突っ込んでくるから比較的楽に立ち回れるはずだ」

穂乃果「はっ、はい!(これでラストだああああああぁ!!)でやあああああああああっ!!」

ゴブリン「ギャアアアアアアアア」シュウウウウウ

?「ようやく倒せたか。…ふむ、筋は悪くないな」

穂乃果「本当ですか!?」パアアアア

?「…褒められても調子に乗るな。指導者がいれば多少は伸びるだろう。僕がなってやる。ゴブリンは人間の言葉を理解できん。当分は戦闘中に僕が口を出す。」

?「それと…僕はジューダスだ。ついでだがお前の名前も教えてくれ」

穂乃果「高坂穂乃果です」

ジューダス「穂乃果だな。少しの間だけだか…その…よろしく」

穂乃果「はい!よろしくお願いします!」

 ー夜明けー

穂乃果「ふう…勝った」

ジューダス(読み込みが早いな…短時間でここまで形になるとは。そろそろ魔法と技を教えて様子を見るか)

ジューダス「おい穂乃果、今から新しく…」

絵里「あっ、いた!穂乃果あああああぁ~!!」

穂乃果「絵里ちゃん!」

ジューダス「…」

穂乃果「ジューダスさん、お世話になりました!剣をお返ししま…あれ?いない」

  穂乃果                  ジューダス(離脱)
                          
 Lv1→4                  Lv53
 武器:シャルティエ             武器:短剣 
 防具:無し(服は着ている)          防具:穂乃果と同じ

今回はそろそろ落ちます
ちなみにラブライブ以外の作品のキャラですが

ロベルト→うえきの法則

ジューダス→テイルズオブデスティニー2

からです。二人とも設定は壊していきます

※基本的に事情を説明するシーンはカットします。念願のスクフェスDLでテンション上がってきたにゃ

絵里「穂乃果ぁ!心配したんだから!!」グスッ

穂乃果「ごめんね、絵里ちゃん。」

 ー宿ー

穂乃果は事情を説明した。

絵里「…で、結果的に強くなって帰ってきた、と?」

凛「んなアホにゃ」

ことり「ジューダス…どこかで聞いたような」

絵里「まあ、無事に帰ってこれたんだから何でもいいじゃない?」

凛「確かにそうだにゃ。穂乃果ちゃん、今日はゆっくり休んで明日の昼くらいに成果を見せてもらうからね!」ワクワク

穂乃果「うん、期待しててよ!」

 ーその日の夕方ー

穂乃果「たっだいまー!あれ?ことりちゃん、何読んでるの?」

ことり「あ、穂乃果ちゃんおかえり!これは魔法の知識が載ってる本だよ。それよりどこ行ってたの?」

穂乃果「いやあ、体を動かしたくてうずうずして…」

ことり「む…今日は休めって凛ちゃんに言われてたよね?」

穂乃果「ごめんなさい…w」

絵里「そうよ。結構ひどい傷だったんだから!」

2階から絵里が降りてきていた。

穂乃果「気を付けます…」

ことり「今思い返すと本当にひどい傷だったね。そのジューダスって人は何を思ってそこまでやったんだろうね?」

絵里「その人は目的が無いとか言ってたんでしょ?なら単純に穂乃果の成長の速さを見て楽しんでたんじゃないの?」

穂乃果「さあ…」

ことり「穂乃果ちゃん、これあげるね」

魔法のペンダントと頑丈な服をもらった!

穂乃果「え?このペンダント、何?」

ことり「それはね、装備者の魔力と装備から色々分析して、装備者に向いた職業の特技か魔法を一度だけ自動で修得できるんだよ。明日、試してみたら?」

穂乃果「?よく分からないけどありがとう、ことりちゃん!穂乃果は先にシャワー浴びて寝るよ」

絵里「あ、私も一緒に行くわ」

穂乃果「うん」

 ーシャワールームー

穂乃果「…この世界のことりちゃんって何者なんだろう」

絵里「は?」ポカーン

穂乃果「穂乃果がいたAの世界では何て言うかおっとりしてて、でも強かなところがあって…完璧な女の子って感じだったんだけど。この世界のことりちゃんは何か理事長のことを凄く知ってるし…怖いな」

絵里「そう?」

穂乃果「ことりちゃん本人に悪意は感じないんだけど…穂乃果の方が勝手に怖がってる感じがするの。この世界のことりちゃんは元々ああなの?」

絵里「そうね…最初はあなたの言うA 世界のことりと同じような感じだったと思う。ことりが変わったのは…魔王戦の前ね」

穂乃果「魔王戦の前…か。明日聞いてみるかな~」

 ー翌日ー

穂乃果「よーし、ジューダスさんとの特訓の成果を見せるぞ!」
凛「待ってましたあー!」
ことり「わあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
穂乃果「え!?」
絵里「いや、大声を出せば魔物が集まるかな~って冗談のつもりで言ったんだけど…」
凛「にゃあああああああああああああああああっ!!!!」
絵里「どうやら真に受けたみたい」

…周りからゴブリンが集まってきた。

穂乃果「ほ、本当に来た…」

絵里「まあいいわ。さあ、穂乃果!あなたがどんな戦い方をするのか見せてちょうだい!」

穂乃果「よーし!」

  穂乃果
 Lv4
武器:シャルティエ()長剣
 防具:頑丈な服
 アクセサリー:不思議なペンダント

ゴブリンは5体いる。あまりの大声に腹を立てたのか、顔を真っ赤にしている、意外と短気で喧嘩っぱやい性格の種族なのだろうか?

ゴブリンA.Bは落ちていたこん棒を振るいながら穂乃果に素早く接近する。あとの3体も少し遅れて続く。

凛「あのこん棒、一昨日の特訓のために用意したやつだ!」

ことり「ー昨日、装備を片付けたのは確か絵里ちゃんだったよね」

絵里「あっ、え~っと…」

穂乃果「これなら…行ける!」

穂乃果も長剣を構え、突進した。衝突すると思わせて、直前で横にステップを踏み込む。勢いのまま2体の後ろに回り込み、一体を蹴り飛ばした。もう一体を思いっきり斬り倒す。後ろの三体は構わず突っ込んできた。一撃一撃を丁寧に受け流し、着実に反撃してダメージを与えていく。かといってそこそこの時間を斬って避けるの繰り返し、まだ未熟な穂乃果が続けていられるはずもなく、斬撃を弾かれた。

バックステップで距離をとったが次の瞬間、蹴り飛ばされた一体が頭に血を昇らせてこん棒を乱暴に振り回しながら走って来た。
穂乃果はその勢いをそのまま受け流し、後ろの三体にぶつけ、まともにこん棒を当てられた一体は消滅した。

穂乃果(この3体は…一人で全部相手するのは厳しいし、ここはペンダントを使おう!)

ペンダントを握り、何となく念じた。ペンダントは応答し、微かに光り出した。

穂乃果「まぶしっ!」

訂正 ×シャルティエ()長剣
   ○シャルティエ(長剣)

ペンダントから穂乃果が修得したのは土属性の魔法だった。

穂乃果「なるほど、頭の中に文が浮かんできた!これを詠唱すればいいんだね!」

詠唱はすぐに終わり、魔法は発動した。大地を大きく揺るがし、大きな隆起と陥落を起こす。それはあっという間にゴブリン達を突き上げ、全滅させた。

穂乃果「おお、今のでものすごく疲れたけどすごい威力!みんな、終わったよ!」

絵里「さすが穂乃果ね!すごい成長だわ!」

ことり「…おかしい」

穂乃果「え?何が?」

凛「ちょっとその剣、見せて」

穂乃果「? うん」

 ー数分後ー

ことり「穂乃果ちゃん、これは穂乃果ちゃんに向いた職業の魔法じゃないよ」

凛「多分、ペンダントは穂乃果ちゃんじゃなくこの剣の属性を反映させたんだよ。この剣、土と闇の魔法と技に対応してる」

穂乃果「え!?」

絵里「じゃあ別の剣を装備してもう一度やってみない?」

ことり「ペンダントは一回しか使えないの。しかも割りと高価な物だからなかなか手に入らなくて…」

穂乃果「ど、どれくらい?」

ことり「うーん、覚えてないや」

凛「凛、この前の買い出しで見たよ。確か1個あたり約100万ラブカストーン!気軽に買えるのは上流階級の人間くらいだよ!」

穂乃果(円じゃなくてラブカストーンなんだ…穂乃果の貯金がどんどん溶けそうな予感が…)

絵里「ヴェエ!?そんな大した効果ないのに高すぎない!?」

ことり「うん、そうだね。でもかなりの腕前であればペンダント無しでも適職の魔法か技のどっちかが覚醒する可能性はあるんだよ」

穂乃果「そっか。ならもっと強くなれば覚えられるかもしれないんだね!」

凛「必ずとは言ってないにゃ」

穂乃果「それでも諦めるよりかはその可能性に賭けるよ!(別にそこまで適職を知りたいわけじゃないけど)」

絵里「…ふふっ、穂乃果らしいわね。」

 ーその日の夜のシャワールームー

穂乃果「んー…」

凛「どうしたの?やっぱり気になる?」

穂乃果「あの時使えた土の魔法はどうなったのかなーって」

絵里「忘れたんじゃない?あれは穂乃果じゃなくて剣に影響されたんだから」

穂乃果「でもことりちゃんは『修得できる』って言ってたよ」

凛「どうなの?ことりちゃん」

ことり「…」ブクブクブク

穂乃果「ことりちゃん?さっきから黙って浴槽から出てこないね。どうしたの?」

ことり「ピィッ!?あ、ごめん!考え事してて魔法のことだっけ?あれは…忘れてると思うよ。穂乃果ちゃんが特化した属性は土じゃないからね。それに、これはあくまで推測なんだけど…Bの穂乃果ちゃんは光属性に大きく強い代わりに他の属性は何1つ使えないくらい弱かったの。だからもし穂乃果ちゃんがA.Bで同じ体質なら、あの時は無理矢理土属性を引っ張り出してたことになるから体にものすごい負担がかかるの」

凛「やっぱりかあ。と、なると…穂乃果ちゃんの生存本能が害になる魔法を追い払ったって感じ?」

ことり「多分ね」

穂乃果「……ふーん」

絵里「…」ジー



 ー2階廊下ー

穂乃果「じゃあみんな、おやすみ」

3人「おやすみ」

 ー穂乃果の個室ー

穂乃果「っっっはああああ…」

絵里「お疲れ様。入るわよ」ガチャ

穂乃果「絵里ちゃん…」

絵里「どうしたの?ずいぶん大きな溜め息だったわね」

穂乃果「聞こえてたんだ…」

絵里「…相談ならいくらでも乗るから、あまり一人で抱え込まないで。私は何があっても穂乃果の味方だから」

穂乃果「絵里ちゃん…!」


 ーーーーーーーー

絵里「凛がことりと同じ雰囲気?」

穂乃果「うん。いつも通り元気な凛ちゃん…のはずなんだけど、たまにことりちゃんと全く同じ雰囲気になるの。しかも博識」

絵里「それは私も思った」

穂乃果「若干引いた」

絵里「こら!」ペチッ

穂乃果「いたたた!ごめんなさいごめんなさい!反省したから何度もデコピンしないで!」

絵里「私はμ'sにいなかったから何とも…でも穂乃果ならきっとわかる日がくるわ」

穂乃果「…うん、がんばる。ところで宿賃ってどうしてるの?」

絵里「ここは誰もいないの。多分、魔物に襲われて持ち主が逃げたんだと思う」

別機種でも主としてレスできるかテスト

※もし既出ネタあったら教えて下さい。
※今さらですが、わかりやすいように話がすすむごとに名前つけて区切りをつけます

穂乃果「そうなんだ。ところでことりちゃんが荷物をまとめてたみたいだけど、明日は何をしに行くの?良かったら私も行きたいな」

絵里「東の洞窟の巨大もぐらを倒すの」

穂乃果「巨大…もぐら」

絵里「この世界の人間は魔王に完全敗北した今、別世界からの勇者の救済を待つしか助かる道はないの」

絵里「せめてその時まで少しでも荒廃させないようにするの」

穂乃果「…穂乃果達が来たからには大丈夫だからね」

絵里「よろしくお願いします!」

穂乃果「そ、そんなにかしこまらなくていいよ!」

絵里「ふふ、そうね。と、こ、ろ、で。1つ気になったんだけど…ジューダスって人に借りてる剣、どうするの?持ち主をどうやって探すつもり?」

穂乃果「世界中を旅してれば会えるんじゃないかな(真顔」

絵里「…いい加減なところはこっちの穂乃果と同じね」

 ー翌日ー

穂乃果(結局危ないからって連れてってもらえなかった…今日は一人かあ)

ジューダス「入るぞ」ガチャッ

穂乃果「ちょっ!?」

ジューダス「…何だ、幽霊でも見るような顔をして」

ジューダス「他に誰もいない時くらい良いだろう」

穂乃果「いやこの宿の事を知りすぎでしょ!いつからこの宿を見てたんですか!?」

ジューダス「? 気付かなかったのか?外からずっと見ていたぞ」

穂乃果「」ガタガタガタ

ジューダス「安心しろ、お前のプライベートに興味はない」

穂乃果「本当ですか!?」パアアアアアァ

ジューダス「ああ。シャルティエを返してもらうぞ」

ジューダスはベッドの隣に置いてあるシャルティエを回収した。

穂乃果「あ、そうだ。ちょうど今暇なんです。特訓してくれませんか?」

ジューダス「まあいいだろう。どんな内容にするんだ」

穂乃果「魔法と技について知りたいです」

ジューダス「わかった。準備ができたら外に出ろ。この前ゴブリン達を相手にした場所だ」

穂乃果「わかりました」

 ーマホガニーの森 ジューダス視点ー

ジューダス「遅い…あいつはまだ来ないのか」

ジューダス「…わかっている、女の『あとちょっと』は信用できないことくらい」

ジューダス「彼女は…関係ないだろう!」

ジューダス「わかった、悪かった。謝るから一回黙れ」

ジューダス「…僕は自分のした事を後悔していない。これで良かったんだ」

ジューダス「そうだろう…マリアン」

穂乃果「お待たせしましたー!」

ジューダス「やれやれ…やっと来たか。さあ、始めるぞ」

…本当に馬鹿な女だ。単純で五月蝿くて…呆れるほど真っ直ぐな奴だ。あいつを思い出す。

>>1 ~ >>21 「始まり」

しまった、彼の性格をリメDの性格にしてしまった
ちょっとオリDとD2やり直してきます。ss書くまでにジューダスと彼の性格や印象を見直せなかったらこのままリメDの性格にします
ごっちゃごちゃ…

死、ねアンチ

ジューダス「いいか、高坂。まず技だ。技は簡単に言うと勘だ」

穂乃果「勘……ですか?」

ジューダス「そうだ。技は教えられるよりも自ら編み出す動きだ」

ジューダス「突然思い付いたから試したら成功した、そんな例ばかりだ。つまり技は僕が教えるものではない。お前が戦いの中で成長してやっと形になる」

穂乃果「あ、はい」

ジューダス「……期待外れとでも言いたそうだな」

穂乃果「いや別に……」

ジューダス「顔に出ている。それより次だ」

穂乃果「魔法……だったっけ。魔物との戦いだと私に向いた属性とか色々わからなかったなあ」

ジューダス「シャルは元々強い属性を持っていたからな」

ジューダス「まずは仕組みからだ。魔法は使用者の象徴を元に構成される。まあ、象徴といってもほとんどは性格から決まるが。例えば火属性は『情熱』や『渾身』だ。まあ、わかりやすいな」

穂乃果「??構成される……?」

ジューダス「ああ。まずは自分の象徴を正しく理解しろ。象徴さえ理解すればあとは勝手に頭の中に詠唱が浮かぶ。魔力さえあればいつでも使える。こんな風にな……喰らえっ!プリズムフラッシャ!!」

穂乃果の頭上から光の剣が大量に降り注ぐ。穂乃果は慌てても飛び除けた。

穂乃果「うわわわわっ!!危ないじゃないですか!何で穂乃果を狙って…………え?」

避けた先には短剣が落ちている。今度はシャルティエではない。完全に無属性の普通の剣だ。

ジューダス「以前僕が教えたのは複数対1の不利な状況で1体1に持ち込んで余裕を持って戦う、という戦い方の基本的な動きだ。今度は近遠使い分ける相手をいかに崩すかを自分で考えて僕を倒してみろ。さあ、来い」

穂乃果「え!?」

ジューダス「基礎を体に叩き込むには実践が一番早いだろう?それに……いったはずだ、当分は指導してやる、と」

穂乃果「……そうでしたね。よし!いざ勝負!」

穂乃果 vs ジューダス
Lv 4 Lv 53
武器:短剣 武器:シャルティエ
防具:頑丈な服 防具:なし

穂乃果「行きます!」㌧㌧

穂乃果は小刻みにステップを踏み始めた。

ジューダス(あいつめ……さっそく技を考え始めたか)

穂乃果は走って接近し、軽い攻撃を入れてはジューダスの周りをステップで回り込む。

ジューダス「……ただ斬りながら動くだけか?論外だな」

何と、素早く動きながら繰り出される斬撃を全て軽く受け流している。あまりに速い反応に動揺を見せた穂乃果を容赦なく斬る。

穂乃果「あぐっ……」

斬られた脇腹を片手で抑えながらすぐにバックステップで距離を取った。

その矢先にプリズムフラッシャで追撃をされた。真上から降ってくる剣を一本一本見ないと避けられない。何とか避け続けた。

ジューダス「敵から目線を逸らすとはなかなかの命知らずだな」スッ…

今度は正面から3つの光弾がまっすぐ向かってきた。これも魔法だろうか、しかし考える暇は無い。すぐに身を翻しまたもや避ける。我ながら素晴らしい反射神経だと思っているうちにジューダスがすぐ後ろに回り込んでいた。

ジューダス「切り刻む!遅い!魔人千裂衝!!」

高速で連撃を繰り出す。速い敵との戦闘経験もほとんどない穂乃果がジューダスの攻撃を全て見切れるはずもなく、剣だけでカバーできていない部位を的確に嬲られ、倒れた。

ジューダス(しまった、やりすぎたか)

穂乃果「うあ……きっつい」

ジューダス「悪かった、気付いたら全力で戦っていた。……っておい、起きろ!」ユサユサ

完全に気絶している。宿に連れ戻し、ジューダスは穂乃果の部屋でしばらく容態を見ることにした。

ジューダス「ふむ、決して軽傷ではないがこれなら…………」ブツブツ

ジューダス「ヒール!」

治癒魔法をかけた。戦闘用の魔法なのである程度の傷ならすぐに治る。

ジューダス「……こいつを見ていると放っておけん。何故だろうな」


ー数時間後ー

穂乃果「ん……」ムク

ジューダス「起きたか。勝手に部屋にいさせてもらっている」

穂乃果「あ、海未ちゃん……何でそんな口調?それより穂乃果のちんすこうは」

ジューダス「寝ぼけるな」

穂乃果「あ、ジューダスさん。おはようございます」

ジューダス「ちんすこうだと?全く……呑気な夢を」

穂乃果「えへへ、ジューダスさんとの特訓が楽しくて夢も楽しくなっちゃったのかな」

ジューダス「……楽しい、か。感じるのは痛みばかりなのにか」

穂乃果「はい。穂乃果はちゃんとした目的があって強くなる必要があるんです」

ジューダス「目的?」

穂乃果「魔王を倒すことです」

ジューダス「ありふれているな。今の世の中、そんな目標を持った者はいくらでもいる」

穂乃果「ですよね。でも……絶対に成功させなきゃ!だからそのためにも強くならなきゃ。だからジューダスさんと特訓できるのはありがたいし、強くなれてることは嬉しいです。それに、ジューダスさんと仲良しになれましたし!」

ジューダス「……そうか」

穂乃果「よし、絵里ちゃん達はまだ帰ってないみたいだし、もう1度お願いします!」

ジューダス「いや、今日はもう終いだ。表面の傷は治っているが骨や筋肉へのダメージはしっかり休まないと治らない。今日はここまでだ。その代わり、聞かせてもらえるか?お前の事に興味が沸いた。素性も…聞かせてくれないか?」

穂乃果「わかりました。」

ジューダス「信憑性に欠けるな」

穂乃果「やっぱりだめかあ」

ジューダス「どちらにせよ、お前はもうすぐ魔王討伐の旅に出るんだな?」

穂乃果「はい」

ジューダス「……高坂、僕も一緒に……いや、何でもない」

ジューダス(……何を考えているんだ、僕は。こいつを巻き込むわけにはいかない。)

穂乃果「ジューダスさん、一緒に来ませんか?」

ジューダス「本物の馬鹿だな」クスッ

穂乃果「」

ジューダス「ありがたい申し出だが断らせてもらう。僕にも新しく目的ができた」

穂乃果「そうですか……」

ジューダス「期待している、絶対に魔王を討て。死ぬな」

穂乃果「はい!」

ジューダスは剣を取って宿を出た。

ジューダス「……さあ、行くぞ」

>>22から>>38 「仮面の下に見える微笑」

>>39から「孤独」

ジューダスが宿を出て数時間経った。まだ誰も帰ってこない。

穂乃果「遅い……遅すぎる!みんな何やってるんだろ?」

穂乃果はすでに夕飯を作り終え、食べ終えていた。風呂にも入り、いつでも寝ることができる。もう深夜になるが誰も帰ってこない……。

?「……」ガチャッ

穂乃果「あ、帰ってきた!お帰り、みん……」

?「死ね」

穂乃果「え」

?「ぐっ!?この後に及んでまだ邪魔をするか!!」

突然現れ、穂乃果に武器を突きつけたかと思ったら今度は苦しみはじめた。その相手は……

穂乃果「理事長……?」

穂乃果(何で……いや、あれこれ考えてる暇がない!!今は逃げなきゃ!!)

すぐに宿を出て、まっすぐ走り出した。とにかく走った。途中でゴブリンや謎の液体に襲われながらも全て躱して走り続け、森を抜けた。

理事長?「ちっ……逃がしたか。こいつの抵抗はどうにかできんのか?」



ー廃村ー

穂乃果「はあ、はあ……」

森を抜けた先は寂れた村だった。恐らく街や西の洞窟にも行けるのだろうが、それは別の方角なのだろう。穂乃果は少し休憩をとり、すぐに歩きだした。何があったのかはわからないが、酷い有様だ。建物は焼け、作物は枯れ、死体がたくさん転がっている。その内の1人だけ剣を持っていたので頂くことにした。

穂乃果「絶対生き残って、みんなに会うんだから……!」

穂乃果は廃墟を探索した。度々襲いかかる魔物を撃退しながら焼けた家を調べた。見つけたのは地図だ。どうやら、街や別の場所に繋がるのとは真反対に逃げてきたらしい。このまま進んでも海に当たる。

これからどうするかしばらく考えた。

穂乃果「……リベンジだ」

理事長らしき人物と戦い、経緯を言わせる。変に逃げ回る策を考えておかしな動きをとるよりかは簡単だ、そう思ったらしい。早速元来た道を戻ろうとしたが、

?「てええええい!!」

穂乃果「!?」

今度は人に襲われた…木の棒で殴られたが、すれすれで避けてお返しに剣の柄で頭を叩いた。

穂乃果「てい」ベシッ

?「ヴえぇ!!」

?「……くっ、負けたわ。煮るなり焼くなり好きになさい」

穂乃果「この声……もしかして」ガサッ

?「ちょっ、何すんのよ!」

相手は黒いコートにフードを被って姿がわからなかったが、穂乃果がフードを外した。

穂乃果「やっぱり……」

西木野真姫だった。

真?「な、何よその嬉しそうな顔。…………何とか言いなさいよ!!」

ー廃村の一軒家の中ー

真?「ねえ……」

真?「いつまで泣いてんのよ……しかも私はあなたから追い剥ぎしようとしたのよ?警察に引き渡せばお手柄よ?そんで何で家に連れ込んでんのよ?まあ、どうせこの家に持ち主なんていないだろうけど」

穂乃果「だって、やっと元の世界の誰かに……!」グスッ

真?「何それ、意味わかんない……もういいわ、落ち着くまでとことん泣けばいいわ」




真?「落ち着いた?」

穂乃果「うん。ごめんね真?ちゃん」

真?「さっきも思ったけど、何で私の名前知ってんのよ」

ー事情説明ー

真?「ふーん」

穂乃果「疑わないの?」

真?「疑わないわけないじゃない。ただ、」

穂乃果「ただ?」

真?「私、先週から何の記憶もないの」

穂乃果「そうだったんだ!っていうことは……」

真?「私がそのμ'sって集団の1人っていう可能性はあるのよねぇ」

真姫ちゃんの姫が「?」になってる……イミワカンナイ

真姫「ふわあ……」

穂乃果「眠いの?」

真姫「記憶無い状態でいきなりサバイバル生活始めたから寝る時間なんてなかなか無いの」

穂乃果「そういえば穂乃果もまだ寝てないや」

真姫「ならちょうどいいわ、ここでこのまま休みましょ」

穂乃果「そうだね」

ー数分後ー

真姫「あんたねえ」

穂乃果「え?」

真姫「お人好しにも程があるでしょ」

穂乃果「何が?」

真姫「もう一回言うけど、私はあなたから追い剥ぎしようとしたのよ?追い剥ぎ」

穂乃果「生きるためなら仕方ないんじゃないかな」

真姫「まあそうだけど……食糧まで渡しちゃう?」

穂乃果「真姫ちゃんは大切な友達だから!」

真姫「呆れた!」

ー昼ー

穂乃果「ふわあ……」

真姫「おはよ、穂乃果」

穂乃果「真姫ちゃん、もう起きてたんだ」

真姫「まあね、外での生活にはもう慣れちゃったから」

穂乃果「ねえ、真姫ちゃん」

真姫「ん?」

穂乃果「真姫ちゃんはこれからどうするの?」

真姫「そうね……またいつもの生活に戻るわ」

穂乃果「なら、穂乃果と一緒に来ない?」

真姫「言うと思ったけどまさか本当に言うなんてね」

穂乃果「予想してたんだ……」

真姫「せっかく誘ってくれたんだし、付いて行くわ」

穂乃果「ほんと!?」

真姫「あまり気乗りしないけどね」

トリップ漏れしたので新しくやります

真姫「だって魔王なんて勝てる気がしないもの」

穂乃果「正直、穂乃果もそう思う」

真姫「へえ、意外」

穂乃果「でも、1度やると決めたことを曲げるのはもういやだから」

真姫「……穂乃果って言ったっけ?私で良ければつれていってくれない?」

穂乃果「何でも1回言ったの?」

真姫「何でもいいでしょ。あんた、ほっとけないわ」

穂乃果「うん、よろしく!」



真姫「準備は万端ね!で、まずはどこに向かうの?」

穂乃果「理事長」

真姫「やっぱり戦うのね……」

穂乃果「やっぱり危ないかな?」

真姫「いいわ、行きましょう。手がかりは理事長って人しかいないんだから」

穂乃果「街には行かなくていいの?」

真姫「わ、私は結構名の知れた犯罪者だからね」

穂乃果「ほえ~……」

真姫(街になんて……今更私が戻れるわけないじゃない)

真姫「ねえ穂乃果、エンチャントって知ってる?」

穂乃果「知らない」

真姫「エンチャントっていうのは魔法や技に属性や状態異常を不可できるの」

穂乃果「へえ、すごいね。センリャクノハバが広がりそう」

真姫「あんたには合わないわ、その言葉……それに、不可できるのは魔法や技だけだからね」

穂乃果「」

真姫「もしかして修得してないの?」

穂乃果「ごめん」

真姫「別にいいわ、これから覚えればいいし」

ー宿の前ー

理事長?「で、戻ってきたわけか」

穂乃果「私ですが勝ったら、全部話してもらいます!」

理事長?「愚かな……」

穂乃果「でやあ!」ダッ

穂乃果はいつも通り突っ込み、真姫は石を投げながら棒を振って攻撃する。

理事長?は1発1発を軽く避けて簡単な魔法で反撃するが、穂乃果は常に動き回って的を絞らせない。真姫は周りの物を何でも利用するので何をしてくるのかわからない。

穂乃果「せーのっ!!」ブン

理事長?「ちっ!」

穂乃果に雷落とすが、穂乃果は小さな雷雲が自分の真上に発生していることにすぐ気付きあっさり避けた。真姫には石つぶてや水の珠を飛ばすが、木を盾にして別の木の枝に跳んで乗り移り、高所から棒を振りかぶって反撃に出た

真姫(森の魔物との戦闘で思ったけど……)

穂乃果「はあっ!」シュッ

真姫(素直に突っ込んでいくから穂乃果はサポートしやすい……)

穂乃果「甘い!(1回言ってみたかったんだよねーこれ!)」

真姫(かなりいい調子だわ!いける!!)

理事長?「ふぅ・・・多少はやるようだ」

真姫「あんたが嘗めてただけじゃないの?」

穂乃果「本気出しなよ」

理事長?「では……お望み通り」

穂乃果「!?」

理事長?は体の形を変え始めた。目つきは鋭く、体型は四速歩行のそれになり、尻尾が生えた。

穂乃果「猫……!」

真姫「いえ、よく見て。尻尾が分岐してる。あれは猫又だわ」

穂乃果「さあ、第2ラウンドだ!!」ダッ

理事長?「……やはりな」

真姫「!? 穂乃果、下がって!!」

尻尾が硬化し、穂乃果の肩に刺さった。

穂乃果「っ……!!?」

理事長?「わかっていた」

尻尾は真姫にも襲いかかる。また木を盾に何とか避けたが、尻尾が更に分岐して真姫を追尾し、全身に数箇所直撃した。分岐した分、威力は低くなったが人が立てなくなるには充分だった。

真姫「ああっ!!」

一緒で全滅した。

理事長?「本気を出せばこんなものだ。くだらん。無意味な時を過ごした」

理事長は立ち去った。

ー数10分後ー

穂乃果「……真姫ちゃん、起きてる?」

真姫「まあ、動くのは辛いけど喋るくらいなら何とかね」

穂乃果「穂乃果達、助かったのかな」

真姫「というより、生かされたんじゃないの?」

穂乃果「そうかもね。ところで、これ誰か来るまで動けないんじゃ」

真姫「傷が少しでも塞がれば動けるわよ」

穂乃果「そうかな?穂乃果、肩をやられたのに全身が動かない……声出すのもきついよ」

真姫「大丈夫よ、もうしばらくしたら私が運んでく。こっちは大した傷じゃないし」

穂乃果「それにしてもびっくりしたなあ、猫になったかと思ったら……めちゃくちゃ痛かった」

真姫「図太い奴……」ボソッ

穂乃果「? 穂乃果、ちょっと寝るね」

真姫「ええ、おやすみ」

穂乃果(穂乃果の記憶ではあの時、確かに『死ね』『邪魔をするか』って言ってた……多分何かに邪魔されて穂乃果を殺せなかった、そういう解釈で間違い無いよね?なら何で……もしかして穂乃果の勘違いで、別の目的があるのかな?)

真姫(猫又……多分あれが本当の姿ね。とすると、あれは理事長って人じゃない可能性が濃いわ)

真姫「穂乃果、本当に寝ちゃったのね」

穂乃果が起きない様に静かに立ち上がった。

真姫は穂乃果を宿の個室に運んだ。これだけで更に数10分。次は痛みに耐えながら別の方向に向かった。街だ。街に辿り着くまでは数キロ道がある。今の真姫には厳しい。幸い、魔物除けの街灯が数メートルごとに置いてあったので魔物は襲いたくてもできなかった。

真姫「まったく、何で私はこんなことしてんのよ!2度と来ないって心の中で決めたのに早速来ちゃったし!」

真姫「……穂乃果、絶対治してあげるからね」

時間はかかったが、街に辿りつき、真姫は道具屋に直行した。

店主「いらっしゃい」

真姫「傷薬三人分、なるべく急いで」

男「おい、あの娘……」

男2「真姫ちゃん!?」

女「ほんとだ!」

真姫「うっ……」

男「今までどこ行ってたんだ!みんな心配してたんだぞ!?」

真姫「だって、いつまでもここでお世話になってたら悪いじゃない!」

男2「……そんなくだらんことで抜け出したのか」

女「真姫ちゃんがいなくなってから私達、真姫ちゃん成分が足りなくて困ってたんだよ?」プニプニ

真姫「ほっぺむにむにしないで!記憶の無い私を置いてくれたことは感謝してる。だからこそ長居してちゃ悪いと思ったの!」

店主「……この街の皆は真姫ちゃんが大好きだ」ゴソゴソ

男「俺達大人が手を離せない時は子供達の遊び相手してくれたよな」

女「おまけに家事とか仕事の手伝いとかしてくれてるし」

男2「街のために一番頑張ってくれてるのは真姫ちゃんだよな」

店主「でもそうじゃない。誰よりも働く真姫ちゃんが好きなんじゃない、皆はかわいくて誰よりも優しい、そんな真姫ちゃんが大好きなのさ」ゴソゴソ

女「いいこと言ったわね」

真姫「……私は勘違いしてたのかしら」

男2「ああ、かなりネガティブな捉え方してる」

男「まきちゃん」

真姫「みんな、ありがとう。でも大丈夫よ、今の私には友達がいるから」

店主「……そうかい、頑張んな。そら、傷薬」

真姫「ありがとう……私、行ってくるね」

女「たまには帰ってきなさいよ?定期的にプニらないと参っちゃう」

真姫「今度帰ってきたらいくらでもさせてやるわ」

まず自分に少し傷薬を使ってすぐに戻ることにした。帰り道も痛みに襲われたが、辛いと感じることはなかった。不思議と足取りも速い。友達が待っている……そう思うと、何だか嬉しかった。

ー宿 個室ー

真姫「ただいま。あら、目が覚めたみたいね」

穂乃果「……本当に運んでくれたんだ」

真姫「当たり前でしょ。あなたは私の…………は、初めての友達なんだから」

穂乃果「? 私の……何の友達って言ったの?」

真姫「教えてあげない(^^♪」

穂乃果「えー」

真姫「はい、傷薬」

穂乃果「わあすごい!どこで取れたの?」

真姫「ん、私の……家?かな」

穂乃果「へえ、すごい!今度行っていい?」

真姫「ええ、大歓迎よ」

>>39>>49「孤独」終わり

>>50から「妖狐」

穂乃果「絵里ちゃん達が帰ってこない」

真姫「やっぱり元の世界の理事長って人が何かしたんじゃないの?」

穂乃果「そうだと信じたい……」

真姫「さて、今後の目的地はどうするの?」

穂乃果「ここから北は廃村、西は洞窟、東は名前がない街」

真姫「名前はあるわよ」

穂乃果「で、南は……オトノキ村?」

真姫「絵里、凛、ことりって人を探すなら西、新天地を目指すなら南ね」

穂乃果「南かなあ」

真姫「3人はいいのね?」

穂乃果「絵里ちゃん達はこっちの世界でもトップクラスの強さだから魔物相手に全滅ってことはないと思うし、先に進まないとどうにもならないからね(名前も気になる)」

真姫「じゃ、行きましょうか」

ーオトノキ村への道ー

穂乃果「ハアハア……な、何これ」

真姫「魔物強すぎない!?」

スライムが5体現れた!セレブゴブリンも5体現れた!盗賊も5体現れた!

穂乃果&真姫「ひいいい!!」タ゛レ゛カ゛タ゛ス゛ケ゛テ゛ェー

?「助太刀します」

穂乃果「助け来た」

穂乃果と同じくらいの女の子が助けに入った。弓と短刀を装備している。彼女が弓を引き絞ると……

?「……せーのっ!ラブアローシュート!!」

矢が拡散して飛んでいき、8体もの魔物を仕留めた。盗賊は3人逃げ出した。

?「成功しました!」パアァ

真姫「あと2体と2人、一気に片付けるわよ!」

穂乃果「……今だ!!」

穂乃果は力を込め、できる限りの速さでがむしゃらに広範囲へ斬撃を繰り出した。それは障壁となり、誰にも侵入を許さず全ての4体の魔物を切り裂いた。

真姫「速っ!?」

穂乃果「でも威力は低いみたい!魔物は倒せたけど2人残ってる!」

穂乃果「くぬぬ……この2人強いよ!真姫ちゃん手伝って!」

真姫「すぐ行くわ!」

?「……はっ!!」

もう1度矢が飛んできた。矢は1人に突き刺さり、もう1人を焦らせる。

穂乃果「焦りが見え見えだよ!!」

相手の武器を飛び蹴りで飛ばし、隙だらけの盗賊を剣で仕留めた。

ー戦闘終了ー

真姫「助かったわ、ありがとう」

?「いえ、礼には及びません」

穂乃果「ねえ、私達バロー村に用があるんだけど暇なら一緒に来てくれない?」

?「ええ、いいですよ。ちょうど手が開いています。私の名は……」

穂乃果「園田海未」

海未「!!」

真姫「海未『ちゃん』ってその知り合いみたいな呼び方……まさか」

穂乃果「記憶は無い 弓の扱いが上手い 違いないかな?」

海未「はい、海未は私です……何故私の事を?」

穂乃果「文武両道、成績優秀、容姿端麗……」ブツブツ

海未「やめてください!」

穂乃果「すぐ照れるところも海未ちゃんだね」

海未「そういうのはいいですから教えて下さい!」

真姫「私も聞きたいわ、海未のこと」

穂乃果「うん、行こうか!」

ーー

海未「驚きました……私達の元の世界がそんなに発展してたなんて」

真姫「魔王の話どこいったのよ」

穂乃果「山頂じゃないかな」

真姫「意味わかんない!」

穂乃果「まあまあ、詳しい話は村に着いてからにしようよ」

ゴブリン「…」ザッ スライム「…」ポヨン 盗賊「俺の刃の餌になれ…」ヒョコッ

穂乃果「ね?」

海未「そうですね 」

真姫「派手に行くわよ!」

ーリザルトー

穂乃果 海未 真姫
Lv 7→11 10 2→8
武器 古い剣 弓と短刀 木の棒

ーバロー村ー

穂乃果「うーん……」

海未「どうしたのです?」

穂乃果「適職なんて無くても充分戦えるよなーって思ってるんだけど……」

海未「それは同感ですね。この世界では死活問題だとか言われてますが」

真姫「魔王が好き勝手してる時代だから戦闘関連の職が無いと就職活動も上手く行かないらしいわよ」

穂乃果&海未「あー、そういう……」



ー弓術の道場ー

海未「どうぞごゆっくり」

真姫「お構いなく」

穂乃果「じゃ、情報収集と整理だね。穂乃果は街の人に聞き込みしてくる!」ダッ

海未「穂乃果ぁ!情報なら私が……行ってしまいましたか」

真姫「ねえ、あなたに聞きたいことがあるの」

海未「何でしょうか」

真姫「あなたはこの世界に来た時、どんな状況から始まったの?私みたいに記憶無くして1人でいたの?」

海未「私は……最初、この村の中心で倒れていたそうです」

真姫「倒れてた?」

海未「はい。それで、『海未ちゃんが生きて帰って来た』とみんなお祭り騒ぎで……この世界の私は戦死していると報告を受けていたんだとか」

海未「それから道場のお手伝いとして生活しています。村の皆は優しくしたくれています」

真姫「そう、なんだ……」

ーバロー村の武器屋ー

穂乃果「忘れてたけど、まずは武器をどうにかしないとね」

?「手甲かあ」

穂乃果「!!!??(ピャー!凛ちゃん!!?)」

店員「格闘技で戦うんならいいんじゃない?よく似合ってるわ」

?「うん、確かに使いやすそう、買います。いくら?」

店員「2525ラブカストーンよ」

?「はーい」

店員(今だ!!)シュッ

穂乃果(あの店員さん、絶対お金盗んだ!許せないよ!)

?(お財布の中身が減ってる……)

穂乃果「……あの!今、その女の子からお金盗りましたよね?」

店員「!?」

凛「確かにお財布の中身がごっそり無くなってるんだけど、まさか……」

店員「あ、新手のジョークかしら?」

凛「あ、店員さんラブカストーン握ってる」

店員「わー!何勝手に調べてんの!」

穂乃果「……返しなさい」

店員「しょ、証拠!この子のお金だという証拠は!?」

凛「凛はかよちんからのお小遣いには『かよ』って書いてるよ」

穂乃果(かよキチかあ)

店員「…………さらばっ!」

凛「逃げた!!」

穂乃果「待てえええ!!」

店員「何で追ってくんのよ!?」

穂乃果「絶対に捕まえる!!ねえ凛ちゃ……君!私は別の道から行くからこのまままっすぐ店員さんを追いかけて!挟み撃ちしよう!」

凛「了解!」

ー数分後ー

店員「まだ追いかけてくるの女あいつ!?」

凛「あの人結構しぶとい!挟み撃ちまだ!?」

穂乃果「てええい!」

バロー村前に修得した高速の斬撃を放った!!

店員「ひいい!?」

凛(びびって止まった!今がチャンスにゃ!)

穂乃果&凛「捕まえた!」ガシッ

穂乃果(直接攻撃よりも壁にする方がいいかな、この技)

ーー

店員「大変申し訳ありませんでした」ドゲザァ

穂乃果「まずは盗んだお金」

店員「はい……」ジャラ

凛「助かったにゃ……ありがとね」

穂乃果「あれ?もういいの?」

凛「うん、これといって用もないし」

穂乃果(今は下手に事情説明して怪しまれたくないし、旅に誘うのは次の機会かな)


店員「……ねえ、あんた」

穂乃果「何?」

店員「あんたはどうして他人のためにここまでできるの?良い事だけしてたって利用されて終わり。この世界じゃ生きてらんないわよ」

穂乃果「そういうのはよくわからないけど、穂乃果は『こうしたい』って思ったことをやってるだけだよ。見て見ぬ振りなんて最低な真似はしたくない。だからしない」

店員「……幼稚ね」

穂乃果「そうかもね。でも自由に動ける今の内に人を救えるだけ救いたい」

店員「私も救われたいもんだわ」

穂乃果「悪い人は例外かなあ。じゃあね」

店員「甘い、甘すぎるわ……」

訂正
×バロー村
○オトノキ村

いつ海未ちゃん呼びしてたの? 見逃してたらごめん 何処か見逃しててもおかしい描写だと思ったけど

>>56完全にミスりました…すみません

穂乃果(あの時の凛ちゃん、穂乃果を知らないような反応してた。多分bからaの凛ちゃんに変わったんだ。となると、ことりちゃんと絵里ちゃんもいる可能性がある)

穂乃果「……花陽ちゃんも一緒に生活してるみたいだし、話だけ聞きに行こうかな」

ー道場ー

海未「穂乃果、帰ってきませんね」

真姫「そうね……」

ーオトノキ村から外れた街道ー

凛「……誰かいる」

穂乃果「いるよ」

凛「凛に何か用かに……用かな?」

穂乃果「お話しない?」

凛「……」

>>59おつありです!これからも頑張ります

凛「別にいいけど、何の話?」

穂乃果(3、花陽ちゃん 2、絵里とことり 1、記憶 の順に聞いていこうかな)

穂乃果「あなたはここ最近の記憶はある?」

凛「んー……あんまり。」

穂乃果「(面倒だしやっぱ一気に聞こうかな……)何があったのか記憶がある限り全部教えてくれない?」

凛「うん……」

ー記憶喪失初日ー

凛「んにゃ……ここ、どこ?暗い……」ムク

凛「人が2人倒れてる!おーい!生きてますかあー!?」ユサユサ

ことり&絵里「……ん?」ムク

ことり「凛ちゃん……絵里ちゃん……」

絵里「うぇ!?暗い!!ここどこ!?あなた誰!?あの蜘蛛は何!?助けて!」ガバッ

凛「ひゃっ!?抱きつかないで!……あ、ほんとだ、大きい蜘蛛…………の死体だあ」ウエェ…

ことり「やっぱりあの時の声は本当だったんだ。誰も記憶が無い……」ブツブツ

凛「何この状況……」

ーーー

凛「ー通り自己紹介は終わったかにゃ」

ことり「どうしよっか」

絵里「まずはこの薄暗い場所からさっさと出るのよ!!」ガタガタ

凛「でも周りはほとんど見えないしなあ」

ことり「」

凛「?どうしたのことりちゃ…………」

凛「」

絵里「ど、どうしたのよ2人揃っ………………て…………………………」

シネナカッタ巨大蜘蛛「キシャー」

絵里「」

「「「うわああああああ!!」」」

絵里「うわああああん!!今日はもうやる気無くした!エリチカ、おうちにかえる!!!」ダッ

ことり「絵里ちゃん速いって!暗いからはぐれちゃう!」

凛「何でもいいから逃げるにゃー!」


ーー

絵里「逃げ回ってるうちに外に出れたみたいね」キリッ

凛「……キャラ変わりすぎにゃ」

ことり「まずは穂乃果ちゃんと海未ちゃんかな…… ブツブツ」

凛「もう疲れた……休もうよー!」

絵里「そうしましょうか」

ことり「おやすみ」

ー2日目ー

絵里「さ、て。これからどうしましょうか」

ことり「寝る前にざっと周りを歩いてみたんだけど、ここは森みたい」

凛「ていうか今思ったけど何でこんな状況とメンツであの洞窟からスタートしたんだろ」

絵里「まあそう思うのはわかるわ」

ことり「それはね、私達μ's1行は別のせk……」

ゴブリンa「クルアアア!」ゴブリンb「……」ザッ

凛「!?」

ことり「魔物……!」

ことりはすぐさま何かの詠唱を唱え始めた。

絵里「誰あれ」

ことり「フレイムバード!!」

全身に炎を宿した雀が突進する。

ゴブリンa「ごあっ……」

雀はゴブリンaを貫き、消えて行った。

ことり「これが魔法……なの?」ボソッ

ことり「この辺はゴブリンっていう魔物がいるから気をつけてね。人に見えるけど人間の言葉は通じないし、見つけ次第どんどん襲って来るから撃退……」

凛「ことりちゃん危ないっ!」ゲシッ

ゴブリンb「げあ……」ガクリ

ことりがゴブリンの説明をしている間に接近されていたのを凛が咄嗟に蹴り倒した。

凛「間にあったにゃ」

絵里(何これ、意味わかんない)

ことり「助かったよ凛ちゃん。じゃ、話を戻そうか」

ーー

絵里「……結論をまとめるわね。私達はこれから東に向かって街を目指す!街があったらの話だけどね」

凛「ことりちゃんの意見がすごく的確だったね」

ことり「えへへ、ありがとう」

絵里「よくわからないけど魔物がいるからにはちゃんと戦闘経験も踏んでおきたいし、動くなら敵が活動的な昼間ね」

凛「よーし、行っくにゃー!」



絵里「……ねえ、ことり。何か隠してるでしょ。説明してくれない?」

ことり「ばれてたんだね」

絵里「ええ、まあ」

ことり「全部は話せないけど最低限のことなら話すよ。凛ちゃん呼んでくるね」

絵里「ありがとう」

ー2日目 戦闘中ー

ことり「ファイトだよっ!(^8^)」

凛「たあっ!」ケリック

絵里「サンダーボルト!」

凛が前線で敵を引っ掻き回し、絵里が魔法で凛の死角をカバーしていた。現時点でなかなかのコンビとなっている。

凛「勝ったにゃ!」

ことり「お疲れ様!」

絵里「ことりが教えてくれた魔法、私にもできたわ!」

ことり「あ、うん……」

ことりはあれから、2人にはこう教えていた。
・実は2人はこの世界の魔王を倒すために別世界から来た
・まずは仲間を集めろ、仲間にふさわしい人を見つけたらピンと来るはずだ
・記憶喪失は勇者として選ばれた人は皆通る道だ 多分
・魔法の「象徴」について一通り説明
・絵里は自分の象徴とそれに対応した属性の魔法を教わった
・技についても大体説明した
・ちなみに私はこっちの世界の住人だ、だから魔法も詳しい

凛「新たな戦い求めてまっすぐゴーにゃ!」

絵里「すすめーすすめー!」

凛「見て、絵里ちゃん!渾身のパンチ!からの~肘打ちフィニッシュ!どう?技っぽい!?」

絵里「それ技っていうかただの連撃じゃない?」

\\\\ 誰か助けてええええええええええ!! ////

絵里「悲鳴!?」

凛「ちょっと待っててー!」

ーー

ことり「声の発生源はここだよ!」

絵里「発生源!?」

凛「あ、かわいい女の子!」

ことり「見て、大きい魔物が1体!」

凛「たあっ!……いったいにゃー!!」ゴキイ

人の顔ではあるが、額に角が生えており、身長が5m越え、おまけに一つ目の不気味な魔物だ。凛が不意打ちをかけたが普通に蹴っただけでは硬い皮膚に敵わなかった。

凛「こいつは手強そう……」

絵里「面白そう、の間違いでしょ?」

ことり「来るよ!」

魔物は3人を仕留めることを優先した。ゆっくり振り向き、かなり力を込めて凛を殴った。
凛はフェイントをかけて的をずらし、攻撃を避ける。

絵里「行くわよ……!ライトニング!」

小さな雷が魔物を捉え、よろけさせた。

凛「今だっ!」

足の指を執拗に踏みつけていく。少々格好はつかないが今の凛がこの魔物に物理的なダメージを与えるにはこれしかないだろう。

魔物「ごああ!」

実に卑怯な手に魔物は怒り狂い、暴れた。凛、絵里、ことり全員を蹴り飛ばした。大きさに反して普通に速い。

女の子「あわわわわわ……!!」

女の子は動かない。

絵里「くっ……!」

ことり「立ちたいのは山々なんだけどっ……力が入りにくい!」

凛「まだ……やれる」ムク

絵里「凛、無茶しないで!」

ことり「回復魔法さえあればこんな傷、すぐ戻せるのに!」

凛「こっち来なよ。凛はまだまだ君の邪魔をするよ?」

魔物「……」ギロ

凛(やっぱり怖い)

女の子「一か八か……お願い、届いて!」

女の子が凛に何か魔法をかけているが気にしている場合ではない。魔物はそこら中の木を抜いて投げてきている。連続で跳んで避けてはいるがダメージが大きいため、すでに限界は近い。

凛「わっ!」

着地に失敗し、転んだ。魔物が投げた木は転んだ凛を綺麗に捉えた。

凛「ちくしょうにゃ……!!」ダンッ

凛は諦め、地面を叩いた。

女の子「お願い……!!」




凛「何これ?!」バッ

何と、凛は地中から飛び出した。

絵里「あ、あれって魔法!?」

ことり「ううん、地中に入って出てくる魔法なんて無いよ。多分あれは……」

凛「何か土の中に潜れた」

ことり「魔技……!」

絵里「魔技?」

ことり「魔法と技が組み合わさった特殊な戦闘スキルなんだけど……あの女の子がかけた魔法と凛ちゃんの技が組み合わさったんだと思う」

絵里「凛は無意識に技を覚えていた……?」

『 渾身のパンチ!からの~肘打ちフィニッシュ!! 』

絵里「なるほど……そういえば技は自分で作るんだったわね」ニヤリ

※ことりちゃんが2人にした技と魔法についての説明はジューダスとほぼ同じ内容

女の子「届いた……」フウ…

凛(ことりちゃんの解説は聞こえた。魔法と技を組み合わせてっていうことは……技さえ出せばあの子が魔法をかけ続けてる今も出せるはず。何か良い使い方は無いものかにゃ)

魔物は連続で殴りかかる。魔技の使い方を考えながらまた避けていくが数発目で避けきれず、凛のふとももを掠る。擦り傷を負い、風圧で飛ばされた。このまま飛ばされると木にぶつかる。そうなれば衝撃で間違いなく気絶するだろう。

凛「おもいついた!」

木を技で殴る。すると木の中にまで入れてしまった。また別の場所から脱出し、しばらくは魔技だけ使って逃げていた。

使い続けてよくわかった。中での移動方法は泳ぐこと。適当に足をバタつかせれば簡単に移動でき、どこからでも外に出れる。しかし移動中は息苦しく、息切れしたり止まったりすると外に追い出される。

凛(これ、潜るっていうより移動中だけ物の中身を水に変える技……?よし、閃いた)

凛は飛び出し、服を脱いで手に持った。

ことり「ノーブラ……」

絵里「発展途上国」

女の子「ハラショー!!」

凛は服を魔物の鼻に巻き付け、殴って潜った。服の中身を水に変えて窒息させていく。凛は息切れまで適当にブラつき、脱出した。魔物は倒れている。息がもたずに気絶したようだ

凛「……息できる長さは凛の方が長かったね」

女の子「助かりました……」

絵里「そういえば、何で逃げなかったの?」

女の子「いきなり襲われて、腰が抜けて……はう」

凛「何でもいいよ。実際、それで助かったんだから」

ことり「いきなり出た魔技にはびっくりしたよ……」

凛「あの技はキュートスプラッシュと名付ける!!」

女の子「私の名前は小泉花陽です。よ、よかったらうちに泊まっていきませんか?」オドオド

凛「!?」ドキッ

絵里「じゃあお言葉に甘えて……」

ことりが話を聞くと、花陽も凛達と同じ様に記憶喪失から始まり、たまたま見つけた空き家を拠点に森で採れる植物を近くの街に売り込み、何とか生活費を稼いでいたらしい。恐ろしいほど適応力が高い。

このまま3日目に突入します。




ーおまけー

凛「ねえ花陽ちゃん、あの戦闘で凛にかけた魔法ってどんなの?」

花陽「水の球を相手にぶつける魔法だよ」

凛「土属性の魔法じゃなかったんだね」

花陽「街の占い屋のおばさんに水と土属性の象徴を感じるって言われて水の象徴は理解したの。土はまだだけどね」

凛「2属性……!?」

凛「でも待って、水の魔法なら凛が潜った場所は沈んじゃうんじゃないの?」

花陽「そこを何とかしちゃうのが魔法の凄さだよ!」

凛「何か納得いかないや」

中学生のさくひんかな?

ー3日目ー

凛「おはよう」

花陽「おはよう」

凛「ねえ花陽ちゃん」

花陽「ん?どうしたの?」

凛「『かよちん』って呼んでもいいかな」

花陽「いいよ」

凛「ありゃ、あっさり」

花陽「断られたかった?」

凛「んにゃ、全然。絵里ちゃんとことりちゃんは?」

花陽「今朝早く出ていったよ。ことりちゃんはわからないけど絵里ちゃんはずっと北」

凛「何があったんだろ」

花陽「さあ……ところで、後でお買い物に付き合ってもらえる?」

凛「うん、いいよ」

ー街ー

凛「何か……変だにゃ」

花陽「みんなこっち見てるよね」

ー道具屋ー

店員「……はい、ご注文の商品です」ペイッ

花陽(対応が冷たい……)

ー武器屋ー

店員「買う物が無いなら早めに帰ってくれ」

凛「買わないとは言ってないじゃん!」

店員「チッ」

凛「……!」ギロ

花陽「凛ちゃん、抑えて」

ー帰り道ー

凛「あの街の人ってみんなああなの?」イライラ

花陽「……うん」

男「ちょっといいかな」

凛「……何の用?」

男2「ついてきな」

ー街はずれの森ー

男「どうしてお前らがここにいる?」

花陽「?」

男「とぼけんな。魔王を倒すと散々公言しておきながらいざ本番となったら犠牲者だけ出してノコノコ帰ってきやがって」

凛「? 人違いでしょ」

男2「……気に入らねえ」パチッ

男が指を鳴らすと、大量の男が現れた。今まで隠れていたらしい。

花陽「凛ちゃん、これは……」

男「仲間とやらを見殺しにして魔王から逃げ出したμ'sの裏切り者の1人、星空凛だ。殺れ」

凛「かよちん!!」

花陽「うん!」

凛は花陽を抱えてキュートスプラッシュですぐに退避した。移動中の凛はとにかく全身の力を振り絞った。土壇場で限界を超えて移動距離が増えた。もちろん消耗もするが。

凛「ぷはっ!」

花陽「どこ、ここ……?」

凛「『オトノキ村』って看板に書いてある」

花陽「しばらくはこの村で簡単な建物を借りて拠点にしない?」

凛「え?」

花陽「何があったのかは知らないけど、あの街にはもう戻れない。どこでどんな噂が立ったのか、凛ちゃんは何かの裏切り者扱いされてた」

凛「魔王……μ's……裏切り……身に覚えがない」

それからしばらくは2人で絵里とことりの行方を調べながらオトノキ村で生活を立て直した。花陽の圧倒的な資金繰りの早さに凛は呆然とした。それからは特におかしな事もなく数日間平和な日常を過ごし、今に至る。

ーオトノキ村から外れた街道ー

穂乃果(花陽ちゃん凄い。いや、そこじゃない。生き残ったμ'sのメンバーが裏切り者認定されるのなら入れ替わった絵里ちゃんとことりちゃんが危ない!傷を負った蜘蛛も気になる。もぐらじゃないの?それに……この凛ちゃん、声が冷たい)

凛「結局、凛が何で裏切り者扱いなのか、2人はどこに行ったのか、勇者として選ばれたって話は何なのか。謎だらけだよ」

凛「!? ……ねえ、ちょっと」

穂乃果「ん?」

凛「話聞くフリして誘導したでしょ」

穂乃果「え?」

凛「何か寄ってきたんだけど」

穂乃果は凛と同じ方向に向かっているつもりだった。目の前には人の形をした黒い液体が蠢いている。後ろからも何人か集まっている。
早速黒い液体は2人を襲う。咄嗟に飛び退け、各々武器を構える。

凛「魔物!?何か変だけど?」

穂乃果「やるしかないのかな」

凛「知らないよ!」

ー道場ー

真姫「ねえ、さすがに数時間帰ってこないとなるとやばいんじゃ……この村、確かそこまで広くなかったでしょ!?」

真姫「そろそろ探しに行きましょうよ!」

海未「そうですね。私も少々心配していました」

真姫「念のため武器持ってきましょ……」

真姫「あれ?海未?」

海未がいない。代わりに真姫の肩に黒い液体が落ちてきた。

真姫「え?」

天井を見上げる。そこには皮膚を溶かされて見るも無残な姿になった村人が貼り付けられていた。ところどころから黒い液体が漏れ出ており、何かの目玉が真姫を見据えている。

真姫「~~っっ!?」

声にならない悲鳴をあげ、棒を持って外に逃げ出した。

海未「おや?真姫?」

海未は武器を別の部屋に取りに行っているだけだった。しかし真姫はいない。

ーオトノキ村から外れた街道ー

凛「ふ、増えてる!」

穂乃果「斬っても殴ってもそこから分裂しちゃってるね」

凛「しかもよく見ると村にまで湧いてるきがする」

穂乃果「今は逃げるしかないのかな!?」

凛「多分……」

凛(かよちん!!)

凛は花陽を思い出し、村に全速力で走っていった。黒い液体の標的が穂乃果に変わっていく。

穂乃果「え、どうしようこれ」

ーオトノキ村 りんぱな家ー

凛「かよちん!!」バタンッ

家には誰もいない。

凛「そんな……」

?「何やってんのよあんた」グイッ

凛「わっ!」

何者かが凛を物陰まで引っ張る。

凛「誰……」

店員「村の中はあの化け物が大量発生してるの。あんなに堂々と走ってたら見つかるでしょうが」

凛「店員さん……」

凛「戦っても勝ち目ないし、どうすればいいの!?早くかよちんを助けなきゃいけないのに!!」

店員「(かよちんって誰?)きっと大丈夫よ、落ち着いて。まずは作戦会議よ。あたしの魔法なら潰せる。そのためにあんたの身体能力、利用させてもらうわ」



ー道場ー

海未「真姫?先に行ってしまわれたのでしょうか?」

?「時は満ちた」

海未「?」

?「おいで、海未……」

海未「どこかから声が!」

?「村の中央だ、すぐに来なさい」

海未「お断りします!今は穂乃果を探すことが最優先です」

?「なら穂乃果とやらをここに連れてこれば来てくれるのだな?」

海未「え?何を言って……」



ーオトノキ村から外れた街道ー

穂乃果「くぬっ!!」

攻撃が逆効果になる今は無闇に剣を振れない。策を練るついでに村人が村から逃げられるように液体の注意を自分に惹かせていた。
周りからどんどん敵が寄ってくる。さすがに穂乃果でも逃げたかった。

穂乃果(もう限界だ…)

穂乃果(いや……限界も超えてみせる!!みんな、私に力を!)

その時、穂乃果の頭の中に謎の文章が浮かんだ。

穂乃果「……!!」

ついに魔法を覚えることができたのだろうか。何でもいい、この状況を打開するにはこれしかない。全速力で距離を取り、詠唱を始めた。詠唱は意外と短い。距離を詰められる前に撃てそうだ。

穂乃果「はあああああ!!」

ついに魔法が!と、勝った気でいた。突然何かの尻尾が異空間から現れ、穂乃果を掴んで異空間に戻っていった。

※HPをそろそろ数字化します

ーオトノキ村の中央のお店ー

真姫「何よあれ!?」ゼエハア

真姫「う、うそ!?外にもわんさか居るじゃないの!!……きゃっ!?」

誰かが真姫を物陰の中に引っ張った。

店員「死にたいの?」

真姫「いきなり死にたいの?って!!そんなわけないでしょ!何よ突然!いや、今はいいわ。この状況は何!?」

凛「知らない」

店員「知ってるわけないでしょ」

店員「とにかく、この事態を何とか収めるのよ」

凛「別の街の警察には頼れないの?」

店員「駄目ね。ついさっき仕事の助っ人が終わって村から帰ろうと思ったら、いつの間にか高い壁が村にできてたの。高すぎて登ることすらできない」

凛「え?でも凛はそんな物見なかったよ」

店員「多分入るのだけならできるんだわ。1度入ったら出られないタイプね」

真姫「ならいっそ戦えば……」

凛「少なくとも物理攻撃は効かないよ」

店員「ついでに言うと、直接触れるだけでアウトだと思うわよ。何かあいつらが通った場所が溶けてる」

真姫「え!?何その反則級の強さ!!」

ー異空間ー

穂乃果「わああああっ!!」

何が何だか穂乃果にはさっぱりわからない。




穂乃果
Lv11→12
HP 321/1273

海未
Lv10
HP 1106/1106

真姫
Lv8
HP 895/895


Lv10
HP 1360/1496

ー道場の中ー

海未「あの~……」

?「待て、そう急かすな。あと少しだ」

海未(よくわからないけど、ある程度なら話ができる方のようですね)

?「よし、掴んだ」

ー異空間ー

穂乃果(これ、ふっかふかだ。ああ、気持ちいい。でも悪いけどのんびりしてる暇はないんだ。皆を守らなきゃ……あれ?何かだんだん強く締め付けられてる?)

HP250

力が入らない。どんどん意識が遠のいていく。

HP196

そのまま気を失ってしまった。

HP131



?「やっと抵抗を諦めたか。よし、いい子だ^^」

穂乃果「」



ー道場ー

異空間から出た。何かの尻尾は気絶した穂乃果を掴んだまま、道場にぬるりと出た。

海未「穂乃果ぁ!?」

?「さあ、約束だ。早く村の中央においで」

海未「約束はしていないと思いますが……いいでしょう。穂乃果を救って(?)いただいたせめてものお礼です」



ー村の中央ー

海未(これは何事ですか?何やら得体の知れない生き物が蠢いて……村人も1人も見当たらない)

?「来たか……さあ、始めよう」

海未「え?」

?「お前が園田家の摘出機としての跡を継ぐのだ……」

海未「え?」

黒い液体が海未に気付き、囲む。そして海未に今まで語りかけていた何者かが異世界から穴を開けて姿を表した。

ーオトノキ村の中央のお店ー

店員「……ねえ、あれ誰?」

凛「村の真ん中くらいにまた人がいるよ!」

真姫「海未……!?あんな目立つ場所で何やってんのあの子は!」ダッ

店員「ちょっ!?待ちなさいよ!」

真姫は海未の元へ走った。

真姫「ほら、そんなでかい化け物放っておいて周りの敵どうにかするわよ海未!」

海未「真……姫…………」

?「まさか化け物呼ばわりされるなんて……(´・_・`)」シュン

ー道場 穂乃果の意識の中ー

「起きるのです」

穂乃果「誰……?」

「今、あなたの大切な幼馴染……ん”ん”っ!な、仲間が危機に晒されています」

穂乃果「そうだ……凛ちゃんが危ない。起きなきゃ……!」

「あなたが今、救うべき存在は凛ちゃ……凛ではありません。」

穂乃果「え?」

「起きたらすぐに海未の周りの魔物を一掃するのです。」

穂乃果「??」

「とにかく!海未を助けてあげてください。μ'sは勇者であるあなたにかかっているのです!ちなみに魔法は使用するのに魔力を消費します!では、お気を付けて!」サラバッ

穂乃果「?? わかった!」

ー道場ー

穂乃果「……!」ガバッ

穂乃果(まずは海未ちゃんの周りの魔物を一掃だっけ?っていうかあの黒い奴も魔物なのかな?)

穂乃果に見えたのは
海未を狙う魔物を1人で引き受けている真姫と恐怖で震えて座り込んでいる海未。そして海未を連れて行こうとしている全身真っ黒い巨大な狐。

穂乃果「……どういう状況?とにかく、行かなきゃ!」

起き上がった瞬間、全身に激痛が走る。体力がほとんど残っていない。

穂乃果「……これは一回でも攻撃されたら終わりかな?そうだ、魔法なら遠くからでも攻撃できる!」

ーオトノキ村の中央ー
真姫「ほら、立って海未!!」
真姫は1人で液体を相手にしている。凛と店員は来ない。
海未「あなたはまさか……」
狐「何を座っているんだ、海未。幼少期から私の事は聞いているだろう?さあ、尻尾を降ろすから、乗りなさい」
真姫「行っちゃだめよ海未!!絶対に助けるから!!」
棒で叩くだけだと一切ダメージを負わすことができない。黒い液体は村の中央に集まっている。狐の大きな体のせいだろうか?なんにせよ、このままでは押し負ける。
狐「そうか、足が痺れたんだな。少し待ってなさい、すぐに連れていってやる」
真姫「どうすれば……」
その時、真姫の頬を何かの光弾が掠める。その光弾は液体状の敵を捉え、消し飛ばした。真姫が振り向くと、その数10m先に光属性の魔法を撃ち続けている穂乃果がいた。幸い、周辺に魔物がいないため魔法に集中できているようだ。
真姫「あの馬鹿……来るのが遅いのよ!(でもおかげでわかった、こいつらの弱点は光!

海未「ほ、穂乃果……」チラ
真姫「海未、穂乃果の所まで走れる?」
海未「私は……行けません」
真姫「何で!」
海未「一番戦いを挑んで負けた魔王の関係者には逆らえません」
真姫(よくわからないけどこの化け物と海未と魔王が繋がってるっていうの!?でもμ'sは魔王の対抗勢力なんだからむしろ逆らってなんぼじゃ……)
『気が付いたら村の中央に倒れていたんです』
『戦死報告を受けていたんだとか』
真姫(まさか……勘違いでこの世界の自分が魔王との戦いで死んでるって思って自信なくしてる?)

店員「待たせたわね!」バッ
真姫「やっと来た!早く手伝って!」
凛「早くかよちんに……会わせろにゃぁ!!」
凛は狐を思いっきり蹴りあげた。

狐「部外者は帰ってくれ」
凛「なら帰らせろにゃ!!」
狐「土に還るのが一番早いさ」
海未を説得するだけであって強引に引っ張ったりしなかった真姫は大目に見ていたが、直接害を加えてくるとなると違う。とうとう狐が戦闘態勢になった。黒い液体を体に集め、強引に一体化させ、巨大化していく。

店員「……ねえ、小さいのはいなくなったけど」
凛「代わりに化け物がでかくなったにゃ」
ー道場ー
穂乃果(魔法が出ない)
魔力切れで魔法を使えない。あと少しだけ休めばもう1度使えそうだ。
穂乃果「あとちょっと…!」

ーオトノキ村の中央 ー

店員「作戦通り行くわよ!」

凛「了解!」

まずは凛がキュートスプラッシュで潜……………

凛「あれ?」

店員「ちょっ!?潜れるんでしょ!?なら早く潜んなさいよ!!私の闇魔法に当たっても知らないわよ!?」

凛「あ、あれ?」

凛「……かよちんいないとできないんだった」

店員「はぁ!?」

本当は凛が土の中に潜り、中から狐をペチペチ攻撃している間に店員の広範囲で威力が高い魔法を使って狐を叩くつもりだった。

凛「詠唱止めて」

店員「もう遅いわよおお!!」ピーン

店員の魔法が炸裂した。

凛「にゃあああ!!」

真姫「うあっ!?」

海未「あっ……」

作戦は綺麗に失敗し、凛だけでなく狐に密着していた海未と真姫も巻き込んだ。しかも狐の体質が闇属性そのものらしく、魔法を完全に吸収している。

店員「」

海未 1106→600 /1106
真姫 895→355 /895
凛 1360→965 /1496

店員「……」

狐「……」ジトー

店員「たっ、退避ぃ!!」

真姫「ちょっと待って、何あんただけ先に逃げてんの!ほら海未、手繋いで!逃げるわよ!」

海未「あ、はい……」

凛「待って~!」

狐「逃がさん……海未だけは返してもらうぞ」

ーオトノキ村の中央 ー

店員「作戦通り行くわよ!」

凛「了解!」

まずは凛がキュートスプラッシュで潜……

凛「あれ?」

店員「ちょっ!?潜れるんでしょ!?なら早く潜んなさいよ!!私の闇魔法に当たっても知らないわよ!?」

凛「あっ」
凛「かよちんいないとできないんだった」

店員「はぁ!?」

本当は凛が土の中に潜り、中から狐を攻撃している間に店員の広範囲で威力が高い魔法を使って狐を叩くつもりだった。

凛「詠唱止めて」

店員「もう遅いわよおお!!」ピーン
店員の魔法が炸裂した。

凛「にゃあああ!!」

真姫「うあっ!?」

海未「あっ……」

作戦は綺麗に失敗し、凛だけでなく狐に密着していた海未と真姫も巻き込んだ。しかも狐の体質が闇属性そのものらしく、魔法を完全に吸収している。

店員「」

海未 1106→600 /1106
真姫 895→355 /895
凛 1360→965 /1496

店員「……」

狐「……」ジトー

店員「たっ、退避ぃ!!」

真姫「ちょっと待って、何あんただけ先に逃げてんの!ほら海未、手繋いで!逃げるわよ!」

海未「あ、はい……」

ー道場の脇ー
真姫「撒いたかしら……」
店員「今はまだ気付かれてないみたいね」

ー道場ー

穂乃果(海未ちゃん、真姫ちゃん、凛ちゃんがどこかに逃げてく…あと1人は誰?)

ー道場の裏ー
凛「これからどうするの?」
店員「あたしの闇魔法が効かないとなるとねえ、攻撃する手段がちょっと絞られるかも。しかもあの魔法、上級魔法だから効かないってのなら確実に火力不足になる。結構きついわ。」
凛「店員さんの魔法、すごい威力だったのに…」
店員「今はそんなこと気にしてる場合じゃないわ。作戦よ作戦」
\作戦なんて全然浮かばないよ~!/\何でもいいから考えるの!/

真姫「ねえ、海未。あなたとあの狐は何の関係があるの?」
海未「この村に来たばかりの時、私の家の家系図と思わしき図が道場にあったんです。もしかしたら私はやはりこの村の出身かもしれない、と思いました。」

\それでもわからなかったら!?/\川´_ゝ`)<もっと考える/

真姫「家系図……(こっちの世界の海未の家の……よね、多分)」

海未「その次の日、また別の場所にこんな事が記された本があったんです。」

海未が教えた本の内容は……

1.はるか昔、妖狐がまだ幼い頃の魔王に作られた
2.妖狐は強力な人種の人間を攫い、非道を尽くして魔力を吸い出し魔王に取り込むことを目的として作られた。
3.それを見かねたある人物が魔王に直接交渉を仕掛けた。
4.それは当時人類最強だった園田家の弓使い。
5.交渉の内容は「園田家の人間の魔力をくれてやる、だから、これからは決して園田家以外の人間に手を出すな」とのこと。

真姫「まさか、『こっちへ来い』みたいなこと言われてたのは…」

海未「恐らくその話が本当で、私にお迎えが来たのではないかと思います。私だって死にたくありません。でも、さきほど言ったように1度戦って負けた魔王の関係者相手に今更逆らえるはずもありません」

真姫(…同情だけで済ませたかったけど、無理そうねほんと、私が他人のあれこれに首突っ込むようになったのはあいつのせいよ。
『生きるためなら仕方ないんじゃないかな』
『真姫ちゃんは大切な友達だから!』
あいつを見てるだけでお人好しが移っちゃう)

真姫「私、海未に説明したい事があるの。2人とも時間を稼いで」

ー道場の脇ー

海未「話したい事とは?」

真姫「何であなたはそんなに臆病なの?」

海未「え?」

真姫「あの2人を見てみなさい、狐にボッコボコにされてるでしょ?特に闇魔法を味方にまでぶつけてたあの馬鹿、ナイフ一本でどうにか生き残ってる」

海未「……まさか諦めずに戦う姿を見習え、と私を鼓舞するためだけに囮として彼女達を使ったんですか」

真姫「ううん、そうじゃない。」

真姫「魔王って何が怖いの?」

海未「それは……やはり、絶対的な力量でしょうか。聞いた話では、今の人間側の戦力では到底敵わないんだとか」

真姫「それだけ?」

海未「実際に見たわけでもないのでそんなにわかりません」

真姫「そうね。魔王って知らない事も多くて怖いわよね。でもね、それはあの狐も同じよ。今、この村の中にいる全員は高確率で死ぬわ。得体の知れない化け物に閉じ込められて更に命を狙われてるから。」

海未「……つまり何が言いたいんですか?」

真姫「知らない事と戦うのは怖いってこと。少なくとも海未や私はね」

真姫「でも逆に考えれば、戦うことで知らない事を知って武器に変えれる。つまりね、あー……えっと……あーいや、もう御託はいいわ。」

ーオトノキ村の中央ー

凛は何回か狐の攻撃を直に喰らい、激しく動く力が残っていなかった。闇の光弾が凛に当たる直前、光の光弾が闇の光弾に直撃し軽い爆発を起こす。突然爆発に巻き込まれた驚きのあまり気絶し、完全に凛は戦闘不能になった。

店員「凛!!」

店員「誰かが、光魔法出してどうにかしちゃった……でも主力の凛が目を覚まさないんじゃ勝ち目は……」

店員「…いえ、勝つ必要は無い……私1人でも時間は稼いでみせる!」

ー道場の脇ー

真姫「ほら、今の魔法を相殺したの、穂乃果なの。穂乃果が諦めずに援護してたからあのショートの子は助かった。つまり私が言いたいのはね。何もせず潔く死ぬくらいなら少しでも抵抗して暴れ回ってやる方がマシな選択なのよ。」

海未「暴れ回って……ですか」

海未「たった1人で強大な敵を相手に暴れ回れるはずないですよ。勇気と無謀は別物、と小説で読まなかったんですかね?」フッ

海未は口の端を歪め、立ち上がった。

真姫「どうやら、決意は固まったみたいね」

真姫「ちなみに、この世界のあなたの死因は事故死よ、魔王とは戦ってない」

海未「……! なら、これから魔王について知らない事を暴いてやります」

真姫「あら、一緒に旅に出てくれるの?」

海未「ええ。魔王についても、あなたの性格に影響を与えた穂乃果にも、興味があります」

真姫「あら、気付いてたのね。でもいいの?穂乃果なんかに着いてったらあなたもお節介焼きになるわよ」

海未「構いません。さあ、とことん暴れてやりますよ」

真姫「今の私にできるのは精一杯の援護よ」

海未「直接は戦わないんですか?」

真姫「ええ。さっき闇魔法の人が囮になろうと走って行った時、私の武器を踏んで壊しちゃったみたい」

海未「え?じゃあ真姫は……」

真姫「大丈夫よ、一応魔法は使えるんだから。……よし、私の魔法とあなたの技の連携を即席で思い付いた。この村で一番高い場所はどこ?試してみたいの」

海未「道場の屋根の上です」

真姫「わかった。行きましょ」

ー道場の屋根ー

真姫(今私が付与できるのは最初から覚えてた風とさっき覚えた光属性。多分、エンチャント魔法で付与できる属性を新しく覚えるには覚えたい属性の魔法か技を受ければいいはず。実際、光属性付与の詠唱は穂乃果の魔法が掠ってから頭に浮かんだ。)

真姫(海未のラブ……何とかってのは一回見ただけで特徴はよくわかったわ。あれは何かの魔法で矢を増殖させてた。魔力で無い物を無理矢理増やしてるからその分海未の消費は激しい。チャンスは少ない……!)

海未「ここで何をするんですか?」

真姫「囮が押されてる、もう説明してる時間は無いわ。」

真姫「道中で見せてくれたアレをあいつ目掛けて撃ってほしいの」

海未「わかりました」

海未は弓を静かに引き、魔力を矢に込めていく。

海未「ラブアロ……

真姫(今だ!)

海未が魔力を込めた矢を飛ばすその瞬間、その矢を取って風を付与した。すると矢がかなり軽くなった。

海未「え!?」

真姫「そのまま撃って。」

海未「……わかりました」

海未「はああああ!!」

狐「何っ!?」

普通なら届かないであろう矢が風の力で遠くまで飛び、増殖し、拡散する矢を妖狐に前弾当てた。一本一本が雑魚の魔物なら容易く貫くほどの威力なのでさすがの妖狐でも大きなダメージを負った。更に……

狐「くっ……この程度で私は……ん!?」

真姫が光属性もラブアローシュートに付与していた。闇属性そのものである妖狐の全身を拒絶するかのように凄まじい痛みと傷を与えた。

店員「わかったわ。うだうだしてても何の解決にもならないって今ちょうど思い始めたころだから。魔法が使えないとなると護身用のナイフくらいしか持ってないけど?ま、最低でも病院送りで済むよう尽力するわ」

真姫「助かるわ。……海未、よく聞いて」

海未「は、はい」

店員(何か踏んだ気がする)バキィ

真姫「あっ」


ーオトノキ村の中央ー

店員「あんたの名前は凛ね?私を呼ぶ時は『店員』で良いわ。お互いの呼び名はこれで決まりね。よし、行くわよ。ハッタリは各自アドリブね」

凛「オッケーにゃ!」

店員「とうとうここまでね、化け物!!」ザッ

狐「……海未はどこへやった」

店員「近くを通った警察に強制送還してもらったわ」

狐「何……!?」

凛「もうじき色んな場所から色んな人が総力を上げて村を潰しに来るよ。それまでは……凛達が相手になってあげる」

狐「海未を……海未を返せえええええええええぇっっ!!」

狐の怒りが爆発する。怒りから闇魔法の魔力が溢れ出し、その魔力だけで2人は気圧された。
凛「…………やっぱり怖い!こんなの相手に持ちこたえるなんて凛には無理無理無理無理!逃げていい!?」

店員「まったく……本当にこんな時間稼ぎに意味なんてあるんでしょうね!?」

2人は文句を言いながらも妖狐と交戦し始めた。

>>80>>81の間のレスです。順番ミスりました、もうしわけない

妖狐はよろけてその場を離れようとした。全身全霊をかけた一回きりの連携攻撃でも倒れない妖狐を見た真姫と海未はこれでも駄目かと唇を噛む。店員は何があったのかわからず戸惑っている。

真姫「くっ……!!」

狐(何だ今のは?何が来た……!?1度隠れて体勢をととのえるべきか!)ヨロ

狐(我ながら情けない!!)

透明化してどこかに逃げて行った。魔法なのだろうか?

ー道場ー

穂乃果(まだ全身が痛む)

穂乃果(でも何か強い攻撃を誰かが当てたみたいだしもう一息だね!!しばらく魔法が使えなくても後は剣だけで終わらせる!)

穂乃果は剣を構え、走った。

ーオトノキ村の中央ー

穂乃果「お待たせっ!ってあれ?いない」

店員「てっきり赤髪の子が何かしたかと思ってたけど、予想外の人物ね。それより、ここに来たからにはあの化け物と戦う覚悟があるんでしょうね?今はびびって姿を消してるみたいだけど」

穂乃果「あれはびっくりしたけどやったのは穂乃果じゃないよ」

店員「ふうん、まあいいわ……そろそろあいつが戻ってくる。その時、一気に畳み掛ける」

穂乃果「オッケー!」

数分後……

店員「遅い」

穂乃果「もう帰っちゃったんじゃないの?」

ー道場の屋根ー

真姫「来ないわねえ」

海未(道場に連れてこられた時は傷だらけでしたが見た感じ今はずっと立っているようだし、穂乃果は元気みたいですね。)

ーオトノキ村の中央ー

穂乃果「今は完全にフリーなわけだけどこのまま本当に何もしないで待っててもいいのかな?」

店員「あいつが村から出られないようにしてるんだから結局は何もできないんじゃない?」

店員「……それにしても使うのがはじめてで緊張したけど、ナイフって意外と使いやすいのね」

穂乃果「剣も重いけどなかなか使いやすいよ」

店員「へえ。でもその剣、古そうだし壊れかけじゃない」

穂乃果「うん、新調しないとね」

店員「この戦いが終わったらあたしが助っ人やってるお店に来なさいよ、値引きしてあげ……」

狐「……ふう」ヌッ

いきなり透明化を解いて2人の前に姿を表した。

店員「びっくりしたあ!」

穂乃果(透明化できるのなら何でそのまま攻撃しないんだろう)ボソ

店員(フェアを心がけてるのか単にアホなのかの二択よ、きっと)ボソ

狐「待たせたな」



ーオトノキ村から外れた街道ー

?(何あれ、大きい狐……?魔王が差し向けた魔物かもしれないし、すぐに調べた方が良さそうね)

ーオトノキ村の中央ー

狐「さあ、私は傷を完治させたぞ。これでいつでも貴様らを殺せる!今更だが最後のチャンスをやる。海未を返せ、要求を飲まないなら今すぐ殺してやる」

穂乃果(実は待ってる間に色々回復しちゃったんだよね、こっちも)

穂乃果HP 263/1273 CC 2
※CCは0になるまで技や魔法を連携(というより連続発動)できる。HPやMPと同じく自然回復可能


ー道場の中ー


海未「なぜ私達は屋根から降りてここで隠れているんですか」

真姫「少なくとも海未はここにいた方がいいわ、見つかったら終わりなんだから」

海未「もどかしいです……」



ーオトノキ村の中央ー

店員「さあ、行くわよ」

穂乃果「よし……」トントン

狐「その反応は要求を拒否している、と捉えていいのかな?」

穂乃果「もちろん。何で海未ちゃんを必要としてるのかは知らないけどね。知りたくもない……っ!!」

店員(海未って誰?赤と青と凛がいたけど、そのうちの誰?本当に誰なの?)

狐「身の程知らずとはまさにこの事よ……」

尻尾を地面に叩きつけ、砂や土を飛ばし、2人にぶつけた。

穂乃果「痛っ……」

店員「ちっ!…………シャドウブラスト!!」

店員がかすり傷を受けながらも即座に闇魔法で対抗した。魔界から呼び寄せた暴風は穂乃果達を包む砂嵐を逆に妖狐に送り返す。互いに小さなダメージを受けて終わった。

穂乃果「でぇあっ!!」

足を斬りつけたが体毛に阻まれ、剣が通らない。

店員「ちょっと肩借りるわ!」穂乃果「わかった!」

店員の跳躍力が半端でない。穂乃果の肩に飛び乗り、そこから妖狐の背に乗っかる。もちろん、すぐに振り落とされた。少し見た感じ、これといってガードが緩い部位が無さそうで困る。

穂乃果「何かわかったことはある?」

店員「駄目ね、どうにもならないわ」

?「大変そうね、助太刀するわ」

店員「誰!?」

穂乃果(誰!?…………!! 絵里ちゃんだ!しかも強そうな雰囲気をまとってる!やった、今回は収穫が多い!多すぎるくらいだよ!)

※HPは死ぬことよりも、まともに動けなくなるまでの残り体力です
※MPは何かやりたい時以外は非表示です
※通常攻撃はHPとMPとCCを消費しません

店員「よくわからないけど助かったわ、力を貸してくれるってんならそうしてもらうからね」

絵里「あれは妖狐かしら」

狐「何人増えても同じこと……」

絵里「ホーリーランス!!」

詠唱を一瞬で終わらせた。なぜこんなに早く終わったのだろう。
魔法で生成された光の槍が何本も妖狐を囲い、貫く。

狐「むっ……!ふむ、上級魔法のようだが耐えられん威力ではない。私の弱点を突いているというにこの弱さよ……貴様の魔法攻撃力はゴブリン以下か?」

「燃えろ!バーントルネード!!」
「貫け!ライトニングアロー!!」
「凍れ!ブリザード!!」
「轟け!グランドバッシュ!!」

凄まじい勢いで魔法を撃ち出す。威力は少々低いようだが、妖狐に反撃する暇を一切与えない。それどころか動きもさせない。

「止めっ!ジャッジメント・サンシャイン!!」

聖なる太陽の炎を浴び、ついに妖狐は倒れた。

絵里「やっぱりこいつ、魔王直属の親衛隊にいた奴ね。どうしてこんなところに……」

店員「助かったわ。でもあんた、一体何者よ」

絵里「絢瀬絵里。ただの魔法剣士よ」

店員「職を聞いてるんじゃないけど……」

絵里「……それより、高坂穂乃果さんはいるかしら?」

穂乃果「私、です」

絵里「あなたはすぐに首都ライフィに来て下さい」

穂乃果「え?」

絵里「あなたにはロベルトから誘いが来てるの」

穂乃果「ロベルト……?」

「穂乃果!」

海未と真姫が走ってきた。

穂乃果「二人とも!」

店員「もうここに留まる理由は無いし、あたしはもう帰るわ。あの化け物が死んだんなら壁ももうないでしょ」

絵里(壁?)

絵里が不思議そうに村の入口付近を見渡す。その間に穂乃果達は互いに無事を確認している。絵里はどうしても壁とやらが気になり、穂乃果の勧誘をすっかり忘れて村の探索に回った。

ー道場の裏ー

絵里「いたあっ!何よここ!道が抉れて死ぬほど歩きずらい!もういい、帰る!!」イライラ

黒い液体が通った場所を溶かしている。この現象は村全体に影響を及ぼしている。建物の裏であろうと例外ではなかった。

絵里「何これ」

土の中から小さい狐の死体が出てきた。

絵里「ひっ!?」

怖い物を見ると途端に周りに誰かに見られている気がしはじめる。動きたくないけど動かないと怖い。絵里は一気に走ってライフィに帰った。

ーオトノキ村の中央ー

穂乃果(あれ?絵里ちゃんがいない。凛ちゃんとは2日くらい一緒にいたらいし、運んで来れば話を聞けるかと思ったんだけど)

真姫「それで、結局これからどうするの?村は崩壊しておまけに、誰も助けにすら来ないわけだけど」

海未「……村人の皆は無事なのでしょうか」

穂乃果「何をするにしても一回休まないとみんな死んじゃうよ。今日はもう寝よう」

真姫「まあ、そうね」

ー園田家(道場の中)ー

深夜1:11

凛「……ふあ」ムクリ

凛「かよちんはどこ……?」

凛(……?ここはどこ?)


凛「……?」

凛「……」


凛「……!!!」

凛「狐!!」

凛は外へ出て臨戦態勢を取る。しかし妖狐はいない。代わりに海未が黙々と木刀を振っている。

凛「あれ?」

海未「おや、起きましたか。凛、で合っていますか?」

凛「あ、うん。えっと……」

海未「海未です。う、み」

凛「狐はどうなったの?」

海未「わかりません。あなたが倒れてから通りすがりの誰かがあっさり倒してしまいました。いつの間にか消えていたので生きているのかは不明です」

凛「凛達の努力は何だったのさ……」

海未「おや、無駄だったとは思いませんよ?私達は全員、力を出し切った。その積み重ねで与えたダメージが彼を鈍らせたのかもしれない」

店員「残念だけど無駄になってたわよ。あいつ、透明化して隠れて出てきたかと思ったら今度は傷を全快させたとか言ってた。反則よ反則」スタスタ

海未「」

凛「店員さん!」

店員「凛、ありがとうね。あんたが頑張ってくれたおかげで長く囮として動けたわ」

穂乃果「海未ちゃん、ご飯できたよ!あ、凛ちゃん!店員さんもいたんだ」

店員「帰る場所が無いからちょっと……ね」

穂乃果「無いの?」

店員「あんた、どんどん心の傷を抉ってくわねえ」

穂乃果「??」

店員「まあいいわ。はい、これあげる」

店員は穂乃果に両身の長い剣を渡した。

穂乃果「これは?」

店員「特別サービスよ。グラムって名前の剣らしいわ。大事にしてね。じゃ、居場所のないにこはまた旅にでも出るわ」

にこ?

穂乃果「待って!名前を聞かせて」

にこ「……矢澤にこ」

穂乃果「!!わ、私は!高坂穂乃果!!絶対覚えててね!?」

にこ「? わかったわよ、覚えといてあげる。じゃあね」

ーいつものツインテールでなく髪をまっすぐ伸ばしていたのでわからなかったが、矢澤にこも知らないうちに見つけていたらしい。早くもμ'sのメンバーが集まってきている。

生きているか不明→妖狐のこと
「いたらいし」→「いたらしいし」のミス

真姫「ちょっと!」ドタドタ

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「ご飯できたからみんなを呼んでって言ったじゃない!」

海未「ああ、ごめんなさい。穂乃果はちゃんと呼びに来てくれました。今行きますね」

穂乃果「にこちゃん……」

居場所が無い……?b世界のにこは家で母の代わりをしているわけではないのか?こころ、ここあ、虎太郎はどうなっている?なぜ旅に出る?なぜ戦う力を持っている?


なぜ「強力な」闇魔法を覚えている?


『魔法は使用者の象徴を元に構成される。まあ、象徴といってもほとんどは性格から決まるが。例えば火属性は『情熱』や『渾身』だ。』

覚える魔法の強さは何に比例する?象徴の示す性格や気持ちの強さか?もしそうだとしたらにこは…………?一番の疑問は闇属性は一体どんな象徴なのか。何となく予想できてしまうので余計嫌な予感がする。そういえば、自分の象徴もよくわかっていない。謎だらけだ。

ー食事中ー

穂乃果「んっく……ねえ、この中で路頭に迷ってる人はいる?」モグモグ

真姫「路頭!?」

穂乃果「目的が無い、帰る場所が無い」

真姫「要は前の私みたいにどうしようもない状況ってことね」

凛「前の私?」

真姫「ああ、ごめんね。前の私ってのはホームレスみたいな感じだったの」

凛「……村は見た感じもう駄目だった。それにかよちんがいない」

凛「凛はもう、何もないね……」

海未「私もです。じきにこの村は出ます」

穂乃果「なら二人とも一緒に行こう」

海未「μ's……ですか」

穂乃果「うん。凛ちゃんには言ってなかったね」

凛「名前知ってたんだ」

穂乃果「穂乃果は何があろうと覚えてるからね」

凛「?」


『海未ちゃんは事故での転落死、にこちゃんは魔王の手下のほとんどを相手に一人で戦って死んだ。真姫ちゃんとかよちんは魔王の最初の攻撃で吹き飛んだ。希ちゃんは賢者っていう職業になる試練を越えれずに、そして穂乃果ちゃんは絵里ちゃんを庇った』

穂乃果(今思い返すと、b世界のμ'sは魔王と戦う前に半壊してる。その結果を2度も繰り返さないためには唯一記憶を持ってる穂乃果がみんなを守ること。となれば、早めにメンバーを集めて近くから見れるような状況を作らないとね。特に海未ちゃん、希ちゃん、にこちゃんはいつ死にかけるかわからない。凛ちゃんもたくさんの人が敵に回ってる今、放置できるはずがない)

穂乃果(……穂乃果も最低限のことは勉強しないといけないみたいだし、一緒に勉強してくれる人が欲しい。)

穂乃果「ねえ、勉強が有名な場所無いかな?」

海未「べ、勉強が有名?」

真姫「言い方が意味わかんない」

海未「平均的な学力が高い場所、という意味でしょうか」

穂乃果「そう。そういう場所なら勉強のやり方とかもわかるかなって」

凛「適当な町で図書室でも借りればいいんじゃないの?」

真姫「そうよ。あんたは頭の容量少ないんだから変に使わない方がいいわ」

海未「……(みんなのハート、打ち抜くぞ~!?バーン☆)」ボー

穂乃果「うう……わかったよ。凛ちゃんと海未ちゃん、次はもう少し重要な話に入るよ」

凛「あーい」

真姫「いやもうご飯食べきっちゃいなさいよ」

海未「…………(ラブアローシューっ!!)」ボー

ーオトノキ村ー

穂乃果達は村の中を軽く走っていた。

穂乃果「凛ちゃんにμ'sの話しないとなー」

凛「μ'sって結局、何だっけ?」ドワスレ

海未「掲げる目標は魔王討伐、でしたっけ」

凛「確かやるやる詐欺で結局負けて凛だけ帰ってきたって」

凛「凛って何なの?勇者とか言いながらこの世界に凛はいらないんじゃないの?」

穂乃果「そんなことは絶対にありえない。」

凛「じゃあ教えてよ。凛は何のために産まれてきたの?」

>>50>>96「妖狐」終わり

穂乃果「じゃ、早くランニング終わらせてお風呂入ろうよ。寝る前に話してあげる」

凛「えー……」

真姫(穂乃果ってどんどん好かれそうな性格ね)

真姫(そのうち、それっぽいあだ名が思いつきそう)

真姫(……攻略王とか)


ー寝室ー

穂乃果「……と、いうわけで穂乃果は魔王退治のお供を元いた世界でいた友達に選んで旅してるの」

凛「ふーん」

穂乃果「すっごい興味なさそう!」

凛「だって話がところどころ脱線してるもん」

海未「アルパカが人と意思疎通とか絶対魔王関係ありませんよね」

凛「実家の宣伝もしてたね」

海未「途中で出てきたツバサさんって誰ですか、何で知らない人の自慢話を聞かされるんですか」

真姫「何でμ'sの話からだんだん穂乃果の自慢話になってんのよ」

穂乃果「……ごめん」

凛「いやうん、大事な内容だけ聞き取ったからいいけどさ」

穂乃果「で、どう?」

凛「何が?」

穂乃果「二人とも、μ'sに来てくれない?」

海未「確か元の世界の私達は幼馴染みでしたっけ」

海未「確かに放っておけないほどの危なっかしい何かを私や真姫だけが感じ取っているようですね。これは黙って見過ごせません」

真姫「うんうん」

穂乃果「!?」

海未(……それ以上に『穂乃果はどこまでも遠くまで連れて行ってくれる』という期待と頼もしさを感じます。私自身の経験を積むため、そして何より穂乃果を助けるために私は付いていくべきかもしれません)

海未「μ's加入は考えておきます。私は少し用を思い出したので行ってきます。では、失礼しますね」ガララピシャ

>>99~「神に見放された村」

穂乃果の話を聞いている間、海未には2つの生き物に一方的に話しかけられていた。

一人は妖狐だ。また誘拐したがっているのかもしれないのでスルーしている。もう一人は聞き覚えのある声だ。不思議と癒される声で海未を呼んでいる。

?「道場から出た?そのまま村の中央に来てね。待ってる」

ーオトノキ村の中央ー

海未「私です。中央に着きました。とはいっても、あなたに聞こえているかはわかりませんが」

?「海未ちゃん、久しぶりだね」

海未「あなたは……誰ですか?」

ことり「南ことりと言います。こっちでは初めましてかな?」

ことり「うーん、いざとなると何から話せばいいのかな」

海未「……よろしければ、歩きながらお話しませんか?少し歩きたいんです」

ことり「うん、いいよ」


ーオトノキ村から外れた街道ー


海未「やはり……」

ことり「ん?」

海未「あなただけは記憶にあるような気がします。一緒に歩いていると落ち着きます」

ことり「穂乃果ちゃんは?」

海未「穂乃果は危なっかしくて見てられません。何もしてなくても危ないでさ。全体的にあの子は危ないです」

海未「……おや、私だけでなく穂乃果の事も知っているのですか」

ことり「うん。私達3人は幼馴染みだからね。何があっても忘れない」

海未「幼馴染み……ですか」

ことり「うん。さて、そろそろ本題に入るね」


ー音ノ木坂学院 理事長室ー

理事長「と、いうわけです。お願いします、どうか魔王討伐に助力を」

絵里「」

凛「」

ことり「」

理事長「……何か反応して下さい」

絵里「聞かなかったことにします」

凛「帰ります」

ことり「お、お母さんのお話面白かったよ?(顔が引きつっている」

理事長「μ'sの力が必要なんです」

理事長「できれば話し合いで了解を得たかった。残念です」

理事長が何か魔法を撃つ。3人の背中に当たった。するとワープホールが出来上がり、3人を吸い込んだ。

「「「!?」」」

ーワープホールの中ー

突然異次元に放り込まれ、混乱しているうちにa世界での記憶が残ったままb世界での自分自身の情報が頭の中に入り込んでくる。

ことり「嘘……!あの話、本気だったの!?」

もしかしたら、ことりの頭に情報を流すのに時間がかかったのでb世界に入るのにかなりのラグが生じ、b世界の絵里達は穂乃果と話す時間ができたのかもしれない。ちなみに、ことりと一緒に送られた凛と絵里もラグに巻き込まれている。

ことりに与えられたのは1つの役目と戦闘能力だった。

理事長「ことり、聞こえてる?」

ことり「お母さん……私、人間じゃないの?」

理事長「そんなに怖がらなくていいの。こっちの世界の私達はただの人間よ。そっちの世界の南家の祖先は鳳凰なんだってね」


ことり「鳳凰?」

理事長「理不尽にも神様が人々の願いで突然産み出されてすがられているの。放っておくのも悪いし、人々を幸せにしようとしてるわ。でも幸せとは何か?それがわからないから、神様のために調査に出た、それが鳳凰と猫又なの。南家はその鳳凰の力と役目を引き継いでいる」

理事長「結果は今でもわからず、神様はもう一人増やせば何とかなるだろうって送り出したのが知り合いの神様よ」

ことり「神様の神様に対する扱いが……」

理事長「でも知り合いの神様が実は神を装った悪神だったの」

理事長「悪神は人間界に留まって人を襲う生き物を次々と生み出して、凶悪な勢力を作り出した。いつしか彼は魔界からやってきた魔王と呼ばれるようになったの」

ことり「魔王になる経緯はよくわかったよ。一通り私が何なのかもわかった。でも何でお母さんはこの事を知ってるの?」

理事長「教えてあげたいところなんだけど……もう時間みたいなの。変に知識を披露すると怪しまれるかもだけど、上手くごまかして星空さんと絢瀬さんを守ってあげてね」

ことり「うん、わかった」

・自分が鳳凰の子だと自覚している
・b世界の自分の魔法を1つ修得(他の魔法や技はレベルアップで修得)
・b世界の自分の記憶はもらえなかった
・表向きの役目は幸せが何かを見つけることだが、一番の優先順位は魔王討伐
・技の覚え方は、b世界のことりが入れ替えを想定してメモに残してくれたのでわかった。最後に、「頑張ってね私(^8^)」とある。

b世界に飛んでから花陽救出までの説明を省きます。

ー空き家ー

花陽「今日はもう夜なのでゆっくり休んでくださいね」

絵里「ごめんなさい。お言葉に甘えさせてもらいます」


『神の使いの皆さん、そろそろ報告をください。』


ことり「……!!」

どこからか女性の声が聴こえた。絵里達には聴こえていないようだ。

花陽「あ、絵里さん。武器屋にこんなのがあってつい買っちゃったんですけど、花陽には使えなかったんです。よかったら使いますか?」

絵里「え?いいの?」

花陽「はい」

絵里「ありがとう、大事にするわ」
ーb世界に来て3日目ー

『鳳凰の子がまだいらっしゃらないようですが……』

ことり(あ、また来た。神様、だよね多分。うーん、どうやって行けばいいのかな?それにしても、2人にはことりがこっちの世界の住人だって言っちゃったけど、どうしよう)

絵里「ことり、日帰りでスノーホワイト行きの無料馬車利用券を手に入れたわ!」キラキラ

ことり「スノーホワイト……かよちゃん情報によると……確か、ずっと北の大きい町だよね」

絵里「ええ。武闘大会が開いてて、優勝チームは景品に何とかって聖剣を貰えるんだって!」

ことり「うーん……今は暇だし行ってみようかな」

絵里「決まりね!」

絵里「ええ、わかってるわ!」

絵里「え?いいの?」

ことり(ことりの武器はどうしようかなあ)

>>102で書き込めなかった文↓


ことり「かよちゃん、ちょっと北の方に出掛けてくるね、今日中には帰るから」

花陽「はい、いってらっしゃい」

海未(現時点では穂乃果との接触は無いみたいですが凛とは会っているんですね)


ースノーホワイトへの街道ー

ことり「……ここで下ろされるなんて思ってなかった」

絵里「まあ、いいんじゃない?魔物と戦って大会までに少しでも強くなれるかもしれないし」

ことり「うん、それもそうだね」

絵里「えっと大会までは……うん、ここから歩いて行けば間に合うわ。焦らず行きましょ」



ー戦闘中ー

ことり「フレイムバード!」

激寒ゴブリン「キェァァァェェェェァァァァァァァァァァ」バチィ

ことり「うううう打ち返された!?あっつい!」

マジカライオンは短い詠唱でどんどん魔法を使う。火柱を立てたかと思いきや今度は重圧をかける魔法で押さえつけ、吹雪で絵里を痛めつける。

絵里「くうっ?!」



ことり「はあっはあっだっはあっっ!!」

絵里「し、死ぬ……」

ことり「まさかこんなに魔物が強い地域だったなんてね」

絵里「何で魔物は色々な魔法を使えるのよー!」

ことり「魔王の力でも分けられてるんじゃない?」

絵里「冗談じゃないわね!」

絵里 ことり
武器:木刀(花陽にもらった) 武器:なし
防具:無し 防具:なし
Lv:1→7 Lv:1→8
絵里が修得「スパークボール」
ことりが修得「ストレートウイング」

ースノーホワイトー

ことり「武闘大会の申し込み……終わらないね……」

絵里「疲れた……」

ことり「参加人数がすごいね。優勝は厳しいかな」

絵里「タッグマッチとシングルマッチとチーム戦があるわね」

ことり「これはやっぱりタッグマッチだね」




絵里「ことり、終わったわ!」

ことり「予選まで時間あるし、武器とか色々見に行かない?」

絵里「そうね、さっそく行ってみましょうか」

ー武器屋ー

絵里「色々あるわねー」

ことり「おっ、これしっくりくる!」

絵里「お金は足りてるわね」

ことり「よーし、それじゃこれ買って勝つぞー!」

ー防具屋ー

ことり「優しい風の魔力で体力の自然回復を速める?便利そう」

絵里「魔法攻撃力……物理攻撃力……詠唱速度……」ブツブツ

ー大会会場ー

絵里「もうそろそろね」

ことり「はあ……装飾系の装備がすごく興味をそそる性能で結局防具買えなかったよ」

絵里「あ、私も」

絵里「さあ、いよいよ私達の試合ね!」

「おい、あれμ'sの南ことりじゃね?」
「ロベルト10団の絢瀬絵里もいるぞ」

ことり「!!」ゾワッ

忘れていた。変装もせずμ'sの1員が公共の場に出るなんて不注意にもほどがある。ついでに神様に会う方法を探るのも忘れていた。冷や汗が出てきた。気分が悪い。緊張する。怖い。

主審「dブロック第3試合、始めっ!!」

始まってしまった。


相手は大剣を持った2人組だ。硬そうな鎧を着ている。もしかしたら、物理攻撃は一切通らないかもしれない。

ことり(とにかく、こんな所で負けて評判下げるわけにも行かないっ!)

既にμ'sの評判は最悪だとことりはまだ知らない。知っているのはあくまで自分自身だけの情報だ。

絵里「悲しいけど木刀じゃ通らないでしょうね」

木刀を両手で持ち、頭の近くで縦に構える。

絵里「ライトニング!」ことり「フレイムバード!!」

雀の突進と落雷。かなり規模の小さい魔法だ。あっさり避けられた。

男1「金髪女の雷は厄介だ、さっさとしとめるぞ」

絵里(注意が私に向いた!フレイムバードもゴブリンを貫くくらいには強いし、私が囮として動けばどうにか決まるはず!)

広いステージで、絵里と男2人の戦いが始まる。

男1「つあっ!」

絵里(遅い!しゃがめばいける?)

男2「死ね」ブンッ

絵里「ちぃっ……!」(本気で殺しに来てる!手は抜けないわね)

ことり「フレイムバード!」

雀は男目掛けて翔ぶ。

絵里「全然遅いわ!」

ことりの援護に気付き、咄嗟に敵2人の大剣を蹴り飛ばし、木刀で猛攻を仕掛けた。体勢を崩した所で片方の男の頭に雀が直撃。多分倒した。確証は無い。

絵里「あと一人!」

絵里(……え?)

絵里(もう一人が、いない)

嫌な予感がして、振り向くとそこには大剣を拾い、ことりを叩き斬る男の姿があった。そしてもう一人の男が剣を絵里の首筋に当てる。倒せていなかった。

絵里「……降参」



いつの間に突破された?いつ大剣を拾った?いや、それよりも。

ことりはどうなった?

今、2人の試合が終わり、次の試合が行われている。その裏ではことりの命を取り止めようとたった数人で措置をしている。ことりの血が止まらない。こんな危ない大会だなんて聞いていない。

ことりは死ぬのか?



ー天界 死者の憩いの場ー

神様「なかなか帰ってこないと思ったらまさかこんな形で帰還されるとは思いませんでした。混乱しているでしょうから単刀直入に言います。鳳凰の子、南ことり。あなたは死にました」

ことり「………死ぬだなんて思ってなかったなあ」

神様「地上の様子はどうでした?幸せとは何かはわかりましたか?」

ことり「いや全然」

神様「そうですか……」

ことり「幸せを見つける以外にも私は……ことりはやらなきゃいけないことがあるの。死んでいようと、すぐに地上に戻ります」

神様「それは?」

ことり「μ's全員揃って魔王を倒して元の世界に帰ること。μ'sの9人は自分の意思でこの世界に来たわけじゃないから」

神様「そういえば、μ'sはほぼ全滅しましたが復活していましたね。あなたの口ぶりからして全員別世界から来たのですね。ですが、その必要はありません」

ことり「何で?」

神様「あなたは死んでいるから何もできません。そして何より、不必要な世界はこれから消すからです」

ことり「…………今、何て?」

神様「不必要な世界を消します。パラレルワールドとは世界が存在できる数に限界があります。そしてその数は既に限界。魔法が栄えた世界以外を全て消し、魔法が栄えた世界だけを厳選します。そして魔王と戦えるだけの力を持った戦士をこの世界に集め、魔王を打ち倒します。」

神様(というかあなたも入れ替わっていたのですか)

ことり「ふざけないでほしいな。人を幸せに導くためにあなたはいるんだよね?同じ時間軸の別世界を消すほどの力を持っていながらあなたは人を幸せにしようと直接行動しなかった。それどころか今ある幸福で繁栄した別世界を巻き込もうとしてる」

神様「魔王を打ち倒し、『この世界』に幸福をもたらすためには仕方のない犠牲です。私に助けを求めたのはあなたの世界ではない、この世界の住人です」

ことり「すごい暴論だね。そんなことしなくても魔王は倒せるし人は幸せになれる!どれだけ小さな助力だろうと、どれだけ失敗しようと神様が必死に協力してくれているその心強さだけで充分だよ」

神様「人々がいち早く求めているのは完全な幸福です。痛み、苦しみ、悲しみ、何一つ辛い事が存在しない完璧な」

ことり「……言い合ってても埒が開かない。ことりは生き返ってμ'sの皆と
合流する。世界消滅なんて馬鹿げた事はさせないからね」

神様「ことり、あなたは疲れているのです。1度ゆっくり休んで、考え直すのです」

ことり「あなたも大概だけどね」

人々の幸福を願う神とは思えない強引で身勝手なやり方にもだが、やはり自分から努力しないことにイラついた。穂乃果や海未なら自分の力を持て余さずに地道に人と協力して自然と魔王に勝てるほどの戦力と余裕を持てただろうに。この神様はあてにならない。必ず9人全員生き残って帰る、そう決心した。



ー天界 天界人の居住区ー

人がほとんどいない。

ことり「……絵里ちゃんはどうしてるのかな」

鳳凰の力で何か覗いたりできないだろうか。何となく念じてみた。何と、本当に見えた。ただし絵里ではない。海未が黒い液体に囲まれている。穂乃果は気絶していて、真姫、凛、にこも見えた(ことりは店員がにこだと気付いてはいない)なぜこの場面なのか、なぜ絵里でなく穂乃果達が見えたのか。凛はなぜここにいるのか。色々と疑問が浮かんできた。

ことり(何をどうしても絵里ちゃんの様子は見えないみたい……)

ことり(ことりの情報からして人に声を送ることはできるみたいだけど)

ことり(見た感じ海未ちゃんが魔物に囲まれてる。村?にいる4人に声送って助けてあげないと!)

ことり「…………」

ことり「…………一人にしか送れないの!?」

ことり「じゃあ、誰にするべきなんだろう」

ー穂乃果の意識の中ー

ことり(……穂乃果ちゃんは一番の友達。ことりは穂乃果ちゃんの強さを一番知ってる。だからことりは穂乃果ちゃんを信じる)

ことり「起きるのです」?

穂乃果「誰……?」?

ことり「今、あなたの大切な幼馴染……ん”ん”っ!な、仲間が危機に晒されています」?

穂乃果「そうだ……凛ちゃんが危ない。起きなきゃ……!」?

ことり「あなたが今、救うべき存在は凛ちゃ……凛ではありません。」?

穂乃果「え?」?

ことり「起きたらすぐに海未の周りの魔物を一掃するのです。」?

穂乃果「??」?

ことり「とにかく!海未を助けてあげてください。μ'sは勇者であるあなたにかかっているのです!ちなみに魔法は使用するのに魔力を消費します!では、お気を付けて!」ワンポイントアドバイス?

穂乃果「?? わかった!」

ことり(変に怪しまれて話を長引かせたら間に合わないもんね)

ことり(他に私が出来ることは!?)

現時点では実力が前のことりほど無いことから鳳凰の力を最小限に抑えてしまっているので、今のことりにほとんどできることはない。せめて物理的なサポートをしようと生き返る術を探るために街中を走り回った。人がまったくいないわけではなく、手がかりは充分にあった。


女「生き返る方法?神様が神器を使って『本来死んではならないけど死んだ人』を半年に1度だけ生き返らせるけど」


男「神器が何か?それはな、神様になる才能を持った人間だけが使える特殊な物だよ。とはいっても、1回使うだけでもごっそり力を持っていかれるから1度の使用に数日~数年間のクールタイムがあるんだ。…………って神様が言ってた」


ゴブリン「神器がどこにあるか?神様の私室でしょ(適当)」


神の使い「神様の私室?神殿にあるよ。たくさんの見張りが守ってて入れる人間なんて絶対いないけどね」




ことり「思った以上に絶望的かも……鳳凰だから~って生き返らせてもらえる可能性はあるけど、いつになるかわからないし」

ことりが情報収集している間に妖狐は敗れ、絵里も立ち去っていた。気づけば声をかけれたかもしれないだけに、もったいない。ことりがやる事に詰まって今覗いているのは、穂乃果がμ'sの話を真姫達にしているところだ。

ことり「(タスケテウェミチャン……)お~い、海未ちゃあん……」

神様「何かお困りですか?」

ことり「!!」ビクッ

ことり(神様って何でもできそうだし、気が休まらない!心の中とか覗かれたらおしまいじゃない!)

ことり「あ、えっと……」メオヨガシ

神様「生前に未練でもあるのですか?」

ことり(誰だってあるよ!!)「あ、うん。まあね」

神様「今あなたが覗いているのはお友達ですか?」

ことり「あ、うん」

ロベルト十団はうえきの法則だよ

首都ライフィ→即席で町の名前を考えようとしたらベルセリアのライフィセットを思い出したのでそのまま使った
ロベルト十団→b世界の時と同じように絵里と絡ませる

神様「……確か、生命を吹き返す神器を今使ってしまうと、次に使えるのはまた半年後でしたね」

ことり(今は使えるんだ)

神様「仕方ありません、今回は特別ですよ」

ことり「え?」



ーオトノキ村の中央ー

ことり「oh……」

ことり「何これ、生き返ってるの?」

神様『生き返ってはいませんが、今だけ実体化して自由に行動できます。とはいっても私の力では1時間が限界でしょう』

ことり「あ、うん……ありがとう」

ことり(誰か海未ちゃんをこっちに誘導しておこう)

ことり(それにしてもこの村、物理的に荒れてるなあ。嫌な気配もする。 )

海未『道場から出ました。あとは?』

ことり「じゃあ、そのままオトノキ村の中央に来てね」




ことり「あ、来た。久しぶりだね海未ちゃん」

海未「あなたは……誰ですか?」


回想終わり

海未「……つまりあなたは死んでいる状態にある、と」

ことり「にわかには信じ難いとは思うけどね」

ことり「うん。生き返るためにみんなには協力してほしいの。でも今は神様に聞かれたくないから実体化が終わって一人になってからまたお話するね」ボソ

神様(あの2人は何を話してるんでしょうか)

海未「わかりました。ところで、せっかくこうして一緒にいられるのですから、穂乃果達に会っていきませんか?」

神様(それにしても暇ですねえ)

ことり「うん、そうだね」


?「偽の勇者に頼るほど堕ちぶれたか、失望したぞ鳳凰」


海未「この声は……!」

海未が恐る恐る後ろを振り向くと、そこには妖狐の姿があった。昨日戦った時の傷はすっかり癒えている。

ことり(誰?)

神様「zzzzzzzzzzzz」

海未「……また私を必要として来ましたか」

妖狐「海未、今ならまだ戻れる。お前が魔力摘出を拒否したことを魔王にはまだ知られていない。」

海未「大切な友達と自身を守り抜くため、武器を取る選択を取りました。今の私が魔王に大人しく従うことは一切無いでしょうね?」

妖狐「そうか、残念だ……」

海未「ことり、時間を稼ぎます。応援を呼んで下さい。私達2人で敵う相手ではありません」

ことり「わかった」ダッ

ことり『神様、非常事態!助けてもらっていいかな!?』

神様「zzzzzzzzzzzz」

ことり(あてにならない)

トランクス
クレス
カイ
蛮骨

アクラビ探検してたらマグナ様に遭遇してギリギリ倒した

ラブライブキャラの性格が全体的に変わっててなあ…

ー道場ー

ことり「みんな、手を貸して!」ドタバタガラララララ

穂乃果「zzzzzzzzzzzz」

真姫「zzzzzzzzzzzz」

凛「zzzzzzzzzzzz」

ことり(寝てるぅー!たたき起こせないかな!?)

ベチッ

誰一人起きない。

ベチッ

よほど疲れていたのだろう。

ことり「おおおおおおおおお起きいいいいいいいいいいてえええええええええええ!!」

やっぱり起きない。代わりに、誰かが道場に駆け込んで、ことりに抱きついてきた。

花陽「てえええええええええええええええええぇっ!!!」

ことり「え!?」

ことり「あっ、かよちゃん!」

花陽「やっぱりことりさんだ……」エヘヘ

ことり「かよちゃん、突然で申し訳ないんだけど戦える!?」

花陽「え!?あ、戦えないこともないと思います!」

ことり「今、ものすごい敵と戦ってて、一人でも助けがほしいの!説明してる時間が無い、すぐ行ける!?」

花陽「了解です!後で訳を話して下さいね!?」

花陽とことりはそれぞれ武器を取り出し、海未の下へ走り出した。

ーオトノキ村の中央ー

海未と妖狐は激しい戦いを繰り広げている。妖狐は本気を出しているらしく、海未に猛攻を仕掛けている。海未は避けるので精一杯だ。

花陽「助太刀します!」

ことり「穂乃果ちゃん達は無理みたい!」

海未「了解しました!」

今度は海未が武器を取りに道場へ走り、ことり達が時間稼ぎとして交代する。ことりはスノーホワイトで手にいれたブーメランを投げて、手元に戻ってくる間に詠唱を終え、魔法を放つ。真っ白な白鳥の羽根が数枚浮き出し、妖狐にぶつかる。フレイムバードと同じ飛び道具の魔法、ストレートウイングだ。

妖狐「はあっ!」グアッ

気合いだけでかき消された。やはり魔王直々に生みだしただけのことはある。ところで鳳凰が堕ちぶれた、とは何だろうか。
妖狐は鋭い前足の爪を振るい、ことりを切り裂いた。

花陽「花陽の幻術もどきは大成功だね!」

妖狐「……!?」

妖狐の攻撃はことり本人ではなく、花陽が魔法で水を練り上げて作った水の人形だ。

花陽「グレイブ!」

花陽はずっと手に持っていた杖を振りあげた。すると土の1部が隆起し、妖狐を足元から突き上げようとする。……強い打撃にはなったが、ターゲットが重すぎて浮き上がらない。

妖狐「つまらん……」

ことり「?」

妖狐「何故にそこまで弱々しくなってしまったのか?南ことり」

ことり「さあね」

妖狐「以前の貴様なら再び魔王の配下として連れて帰ってやらんこともなかったというに」

ことり「再び……?」

妖狐「神の片割れの貴様ならわかるだろう、悪の道を極めたがる魔王の気持ちが」

今考えているストーリーは、このまま進むと「ことりが死んでいる間の絵里とジューダスの行方」がわからないまま話が進むんです。だから大ボスを倒すなりして一通り落ち着いたらサイドストーリーとしてこの二人を出します。他に希望のサイドストーリーがあったら教えて下さい

×死んでいる間
○妖弧vs5人を見つけるまで

いろいろわかりづらいから人ごとに時系列付きで説明が欲しいな

おk
ただ、のぞえりジューもめんどくさい過去編があるので全員事情を理解して合流させてから一気にまとめます

ことり(確かに神様が作り出した鳳凰だから、その子孫の私は神様の片割れそのものかもしれない。でも、だからって魔王との直接的な関係はなかったはず)

ことり「……何であれ、魔王と一緒にされるのは不快極まりないね」

妖狐「ん?聞いていないのか?魔王は神の悪意そのものが具現化して元の神と別々に動き出したものだぞ?」

ことり「!?いやいやそんなこと……」チラッ

神様「zzzzzzzzzzzz」

ことり「寝てんじゃないよ」イラッ

妖狐「そして、魔王が生まれたのはお前達神の遣いの後だ」

妖狐「つまりは貴様にも強い悪意や負の感情がある」

ことり「……!」ドキッ

花陽「???」

妖狐「どうだ、心当たりはあるだろう?」

確かに、無いこともない。特に神様と話していた時。あの時は一層苛立ちが強かった。恐らく、この感情の発生源でもある神様に対して無意識に生理的な拒絶反応を起こしていたのだろう。

今までのこんな自分が世界を救い、元の世界に帰ることはできるのか、と。さっきまで自信満々だったのが恥ずかしい。

ことり「そんな……こと……」

その時、一本の矢が妖狐の体のほんの一部を抉る。

海未「ことりいいいいい!!」

ことりが振り向くと、いつの間にか戻ってきていた海未が至近距離から顔を近づけ、こちらを睨みつけている。多分、話も聞いていたのだろう。

ことり「ピイッ!?」ビクッ

妖狐「さあ、死ね!!」

妖狐は鋭い槍を闇の魔法で何本も生成し、ことりに向けて飛ばした。
海未は花陽に目配せをする。花陽は軽く頷き、ことりに寄って土魔法を詠唱した。すると2人が踏んでいる地面の周辺は陥落する。一見防ぎようの無さそうだったがとっさにどうにかした。

妖狐「何……!?」

花陽「この期に及んでぇ!」

次にグレイブで壁を作り出し、杖を壁の向こうに投げる。
そして、花陽は壁を平手で叩いた。するとそこからまたグレイブが発生。
ポイー
↓──────←
↓ ↑
妖狐 杖│壁 ことぱな


グレイブは杖を粉々にし、妖狐の喉に直撃。壊れた杖の破片も一緒に飛んでいき、いくつか妖狐の目に入った。

海未「立ち止まってんじゃ!!」

海未は弓を連続で引き、射る。何度も同じ動作で疲れ、矢が数本緩く飛び、全て腕一本で弾かれたがその間に海未は花陽にグレイブで足元を押してもらって一気に距離を近付ける。懐から短刀を取り出し、そのまま勢いに乗って妖狐の頭に突き刺した。

妖狐(何だこれは!?熱い、全身が焼けるようだ!!)

花陽「ないよ!!!」

海未はすぐに距離を取り、最後は花陽が渾身の水の魔力を込めて滝のような激流を生成、妖狐に被せた。

ことり「海未ちゃん……かよちゃん……」

花陽(さっぱり話の内容がわからなかったけどこんな感じでいいかな)

妖狐「不思議なものだ」

海未「……びくともしていませんか」

妖狐「なぜそこまでしてこの屑を大切に扱うのか」

花陽「理由なんてないよ」

海未「私はことりの幼馴染みとして何となくではありますが、ことりを失ってはいけない気がします。私達のこれからの旅に必ず力になってくれる」

花陽「私もことりさんと過ごしたのは半日あるかないかくらいで短かった。でもその短い時間の間に感じた、ことりさんの優しさ、かっこよさ」

海未「何より、ことりは私達の家族みたいなものじゃないですか」

ことり「……世界が変わってもμ'sはμ'sだね」

海未「あなたと穂乃果がμ'sを忘れない限り、不滅です」

妖狐「???(意味がさっぱりわからない)」

海未「お引き取り下さい。次に会う時には私達はμ'sとして、9人の勇者としてあなたを打ち倒します」


穂乃果「帰っときなよ。こっちが見逃してあげるっていってるの」

花陽「え、誰?」

海未「おや、遅かったですね。穂乃果、真姫」

花陽(いや、誰?)

真姫「そんだけ騒がしくちゃね。凛はおきなかったけど」

妖狐「断る。今ここでこの戦いを終わらせる」

穂乃果「これ以上この村をめちゃくちゃにされてたまるもんか!!」

「そうですね」

突然誰かが穂乃果に同意し、それと同時に妖狐を赤い球体が貫き通す。更に球体は電撃を放ち、妖狐を焼き切った。

妖狐「な……に……」

海未「これは一体……!?」

ことり「神様……」

花陽「か、神様?」

神様「μ'sの9人のうち5人が揃っている……?」

ことり「……神様」

ことり「今のμ'sは、見た通り弱い。でも、前とは違う。きっと強くなって、魔王を超えてみせる」

神様「大いに結構です」

真姫「この声、誰の!?」

穂乃果「ことりちゃんの言ってる神様、かな」

Tod2は何とかリムル、マグナディウエス、フォルトゥナを倒してed入りました。他にこれといってやりたいゲームもないのでこれからはマシな更新速度になると思います

神様「将来性の高さとしては魔王を倒す可能性の1つとして充分考えられます。ですが。高坂穂乃果に園田海未、あなた達はどうでしょうね」

ほのうみ「え?」

神様「勇者とはただ輝くだけの存在ではない、それを理解していただきたい。」

神様「ただ勇気があるというだけで以前のあなた達が勇者になったわけではないのです。ましてや今のμ'sは全員、以前と比べると心身共に劣っています」

真姫「いきなり出てきて随分な言い草ね」

神様「お二方だけではない。魔王戦以降、μ's全体が突然復活し、劣化しています。何が起きたというのですか?」

ことり(……この場合は事情説明するべきなのかな?)

海未「μ'sは不滅、とでも言っておきましょうか」

神様「まあいいでしょう。ことり、そろそろ時間です」

花陽(もしかしてことりさんってすごい人!?)

ことり「待って、神様。この村を調べたいの」

神様「村?」


神様「村などありませんが……」


ことり「え?」

穂乃果「え!?ここ村じゃないの!?」

神様「何も無い平地です」

真姫「は!?」

ことり「ちょっと調べよう!」

ーー

神様「なるほど……これは妖狐の幻術です」


花陽「幻術?」

神様「はい。幻術は闇と水の魔法を合わせた魔法で、主に幻覚や幻聴を発生させます。神である私は闇魔法そのものを全身で否定していてるので通じなかったようですが」

ことり「みんな!」

花陽「あ、おかえりなさい」

ことり「狐の死体が置いてある。妖狐と何か関係あるんじゃない?」

神様「ここは神器で……死体から残留思念を読み取ってきます。すぐ戻りますからここにいてください」

海未「残留思念?」

ことり「簡単に言うと、触れた物の過去の有様を見れるの」

穂乃果「神様こんなに構ってくれるくらい暇なら働けばいいのに」

ことり「それ本人に言っちゃ駄目だよ?」


神様「終わりました。少し昔の出来事ですね。ちょうど鳳凰、猫又、追加で別の神にとある調査を頼んだ頃です」

ことり(頼んだ頃ってことは、魔王が産まれて間もない……そもそも、神様は魔王が自分の片割れだって気付いてるのかな?)

神様「ここは本当は村があったそうです。」

花陽「農村ですか?」

神様「恐らく。」

花陽「……へぇ」ジュルリ

神様「!?」ビクゥーリ

神様「ですが魔王の存在が知られてすぐ、勇者の資質を持つ人間を殺すために襲われて……全て無くなりました」

穂乃果「そんな……」

神様「生き残ったのは……高坂穂乃果と園田海未」

海未「!?」

真姫「それ、前の穂乃果と海未!?」

神様「恐らく。2人の出身はここだったんですね」

穂乃果(元の世界の音ノ木坂学院はこの世界でいうオトノキ村と同じ位置なのかな)

神様「2人は生き残りました。ですが穂乃果は家族全員皆殺しにされ、更にその死体から非道な実験を行ったことで当時園田家が妖狐と結んだある契約を破られたようです」

海未「まさか高坂家の人間を魔力摘出に利用したんですか?!」

神様「おや、知っていましたか」

穂乃果「摘出?」

真姫「かくかくしかじかイミワカル」

花陽「なるほど……ってあれ?高坂さん?の家の人を連れてったのって契約をした本人?」

神様「はい、妖狐です」

海未「……!!」ギリッ

神様「つまり、現時点では2人が勇者を名乗り魔王を倒そうと旅に出たのは家族皆殺し、更に園田家と妖狐の約束を反故にされた怒りがきっかけの復讐である可能性がありますね。」

神様「続けます。穂乃果と海未は旅立つ前に闇魔法を習得しました。その魔法の対価は魔力ではなく、自分の手で殺した生き物の死骸です。2人は妖狐への強い恨みを込めて野生の狐を斬り殺し、埋めて闇の魔力を封じ込み、妖狐を対象にこの一帯から出られない呪いをかけました。」

神様「狐の死体から見れるのはここまでです。現に妖狐がこの村から出ないのを考えると……妖狐を封じるのに充分な闇の魔力の持ち主だったのかもしれませんね、穂乃果と海未は」

穂乃果(強い怒りから闇魔法……まさか)


『あたしの闇魔法に巻き込まれても知らないわよ!』


穂乃果「ねえ、神様……闇魔法の象徴って」

神様「恨み、嫉妬、後悔……主に負の感情から生まれます。元の性格から、なんてことはあまりありませんね」

穂乃果(じゃあ、にこちゃんは何があったの?家族絡み?目の前で誰か死んだ?家を追い出された?)

『じゃ、居場所のないにこはまた旅にでも出るわ』

穂乃果(にこちゃんは……別の世界でまで独りで辛い思いしなきゃいけないの…!?)

真姫「穂乃果」グイッ

穂乃果「ほぶっ……肘は…卑怯……」

真姫「何考えてんのかしらないけど、今は話を聞きなさい」

穂乃果「はい…」

神様「いえ、この先は何もめぼしい情報は……ん? ん!?」

ことり「どうしたの?」

神様「何者かが過去の出来事を無理やり捻じ曲げようと未来から直接介入しています!女の子が2人です!」

花陽「阻止できないんですか!?」

神様「ことり!」ビシィッ

神様「ここは鳳凰の力でタイムトラベルして阻止しましょう!」グッ

ことり「それはさすがに無理かなあ……ことり、まだ弱いから」

神様「私も無理です」

一同「……」

神様「まあ……できないならしかたありませんね」

神様(介入してきた2人は村の中でお話していますね。どれどれ……)

赤髪の女の子と……もう一人の髪色は青か紺色に見える。


神様「……」

神様「やっぱり心配いりませんねこれ」カミサマノカン

真姫「は!?」

花陽「なーんだ」

神様「ですが警戒しておいてください。あなた方がことりの予告通り魔王を倒せるくらいの実力者になるとすれば、いくらでも未来からの邪魔は入ります」

神様「では、帰りましょう。ことり」

ことり「海未ちゃん、みんなに説明しておいてね」

海未「勿論です。……それでは」

ことりと神様は天からの光に呑まれ、消えていった。残ったのは穂乃果、真姫、花陽、海未の四人だ。凛は多分道場でまだ寝ているだろう。

穂乃果「朝日だ……戦ったりしてる間に夜が明けちゃったんだ」

海未「全身汗べったりです。結局、ろくに休憩できませんでしたね」

真姫「それより、この子はどうすんのよ」

花陽「あ、えっと……小泉花陽です」

海未「もう1泊していきますか?」

穂乃果「いいね、それ!」



花陽(あれ?ことりさんは結局何でここにいたんだろ)
真姫(鳳凰はことりって子よね。あとは猫又……まさか、ね)
穂乃果(ただ勇ましいだけが勇者じゃない……か。勇者といっても、色んな人がいるんだね)

海未(ことり、必ずあなたの力になってみせます。ですから、必ず帰って来てください。そして妖狐や魔王、必ず私が天誅を降します。以前の私達の意思を無駄にはさせません。覚悟…………!)

ー道場ー

海未「ここまでがことりの動きです」

凛「ほえー」

穂乃果「鳳凰!ことりちゃんかっこいい!」

真姫「えげつない……」

花陽「……」

穂乃果「花陽ちゃん?さっきから下向いてるね」

花陽「いえ……μ'sやことりさん、魔王に妖狐の話を聞いて思ったんですが」

花陽「魔力の無い世界の私達が呼ばれる理由は何なんでしょうね?」

真姫「まあ、そうよね。ことりの回想では神様は『魔法が栄えた世界を~』ってんでしょ?魔法どころか戦闘経験すらろくにない私達なんて無能の極みだと思うけど」

穂乃果「私達の世界の理事長の独断じゃないの?」

海未「そればっかりは話していても仕方ありません。今日は少し訓練をして、ことりの連絡を待ちましょう」

凛「げっ……」
花陽「ヒエッ…」
穂乃果「嫌」

海未「ほらっ!行きますよっ!!」

真姫「そうよ!私らは魔王から見たらでかい狐一匹倒せない雑魚なんだから!!」

\イヤアアアアアアアアアアァ……/


ーー
真姫「そろそろお昼ね。休憩にする?」

海未「そうですね」

穂乃果「あれから一睡もせずにやるだなんて思ってなかった……はあ、眠い」

穂乃果(ことりちゃんお誕生日おめでとう。それにしても)

……bのことりちゃんは、「穂乃果は光に特化しすぎて他の属性が使えなかった」って言ってたんだけどなあ。ことりちゃんと神様2人の話を本当の話だとすると、穂乃果は何かしらの方法で闇魔法を使えるようになってるはず。

海未「穂乃果、休憩中に申し訳ないんですが……気になったことがあるので少しいいですか?」

穂乃果「何?」

海未「あなたの剣術は少々、消極的な攻め方じゃないですか?」

穂乃果「やっぱりそう思う?穂乃果、一対一とか一対複数のコツばっかり教えてもらっててさ。正直やりづらいと思ってたよ」

海未「ふむ……あなたが言っていたジューダスとやらは自分から攻めるよりも相手のミスや自滅を誘っていく戦い方なのでしょうか?」

穂乃果「少なくとも、穂乃果らしくはないよねえ……」

海未「後衛の盾となる前衛としては微妙ですね。乱戦や大きい敵との戦いにおける動きは自分なりに考えてもいいと思います。
魔法が必要ないほどの混戦時の立ち回りについては、純正物理アタッカーである凛の意見を参考にするのもありかもしれませんね」

穂乃果「うん。物理が効かないなら魔法の火力が穂乃果より強い後衛に任せて文字通り盾になったりとか……色々試してみたいけどぶっつけは怖いなあ」

海未「大丈夫、弓使いの私がいますよ。物理的な援護は任せて下さい。あなたは小難しい事は考えず、皆を守ることを優先してください。いかに上手く戦うかで頭を使うのは後衛の役目ですから」

穂乃果「うん、ありがとう。ところでさ、3人はどうするの?海未ちゃん、凛ちゃん、花陽ちゃんのことね」

海未「私は、ことりの指示を聞いて決めます。1人でないとできないような内容なら単独行動を取るつもりです」

穂乃果「そう……花陽ちゃんと凛ちゃんは?」

海未「こういうのはリーダー直々に本人の同意を得ないとですよ」

穂乃果「そうだね」

真姫「はい、次!これでラストよ!」

花陽「グレイブ!スパイラルウォーター!!」

凛「やばい吐きそう……」

三人は穂乃果達とは別で休憩中に魔法を避ける練習をしていた。
凛は足下から隆起した土の塊を跳び退け、更に正面から襲い来る鉄砲水を手甲にぶつけて軌道を逸らした。
ー度の跳躍でここまで対応するとは思わず、穂乃果は拍手する。

凛「あ、フォノカちゃん」

穂乃果「ホノカです」

穂乃果「これからのことで、ちょっといいかな?」



穂乃果「……元の世界のこと、この世界での目的のこと、ことりちゃんのこと、私達は同じ世界に住んでる友達だってこと。何も隠さず話したつもりだけど、正直どう思った?」

凛「常軌を逸してるにゃ」

花陽「でもまあ、大きな怪物が襲ってきたり、魔法なんて人間離れした技術が発展してるくらいだしありえない話じゃないと思ったかも……」

穂乃果「この機会に真姫ちゃんも考え直してほしいの。本当に命を賭けて魔王と戦うべきなのか」

真姫「ま、魔王なんてほったらかしてみんな仲良く暮らす、なんて選択肢もあるけどね。何もはっきりしないまま終わらせるなんて私は絶対ごめんよ。私は穂乃果と行く」

花陽「花陽は……」
凛「凛は……」

花陽「凛ちゃんについていく」
凛「かよちんについていく」

真姫(10.0ね)

花陽「ど、同意見……」

真姫「どうせこのままじゃ譲り合いになって決まらないんでしょ?まず2人やりたい事をはっきりさせるために状況を整理しましょうか」

凛 花陽
・あてがない ・あてがない
・花陽を最優先 ・凛を最優先
・追われている
・かよキチ

花陽と凛は別々の買出しに出ていた。花陽は村の遠くにある無人販売の野菜を、凛は村の中にある武器屋の格闘武器を。

凛は花陽を迎えに行っている途中に黒い液体に襲われ、

花陽は帰ってきたら村が荒れ果てて得体の知れない生物を目の当たりにし涙目のところを、ことりの叫ぶ声が聞こえたので全力疾走+大声で怖さを紛らわし、ことりと合流。

凛「あてがない」
花陽「うん、ないね」

花陽「改めまして……高坂穂乃果さん、西木野真姫さん、星空凛さん」

穂乃果「はい!」
真姫「真姫でいいわ」
凛(^ω^)

花陽「私は以前、あなた達三人に救われた事がある気がするんです!どんな出来事だったのかは記憶に無いし、思い出せるのかもわからない」

花陽「でも、一緒に魔王を倒してみんなで帰って……お礼を言いたいんです。だから」

花陽「μ'sに入れて……いや、もう一度μ'sの1人として戦わせて下さい!」

真姫「……真姫よ」

穂乃果「穂乃果は穂乃果!よろしくね!」

凛「哲学?」

花陽「凛ちゃん、真姫ちゃん、穂乃果ちゃん」


花陽「よろしくお願いします」



海未(あちらはよさそうですね)

海未(さて……どうしたことか)

ー数分前(穂乃果が花陽凛を勧誘するころ)ー

ことり『海未ちゃん、聴こえる?』

海未「ことりですね。ちょうど今、手が空いています」

ことり『良かった。時間が無いから手短に説明するね』

海未「わかりました」

ことり『ことりは、神様を倒します』

海未「え!?」

ことり『今の神様はとてもじゃないけど使い物にならないの』

ことり『回想ではお母さんが言ってたけど、神様は人が幸せを求めて生まれた。だから神様の役目は人を幸せにすること』

ことり『……あの人はその役目を果たすためとはいえ、別の世界を魔王との戦いに巻き込もうとしてる』

海未「今思い返してみると、確かに許された話ではありませんね」

ことり『うん。このままだと、この世界だけのためにたくさんの世界が犠牲になる。かといって神様を敵に回すことはこの世界の全ての生き物を敵に回す。それでも協力してくれる?』

『不必要な世界を消します。パラレルワールドとは世界が存在できる数に限界があります。そしてその数は既に限界。魔法が栄えた世界以外を全て消し、魔法が栄えた世界だけを作り出し、厳選します。そして魔王と戦えるだけの力を持った戦士をこの世界に集め、魔王を打ち倒します。』




海未「あなたは生き返らなくてもいいのですか?魔王を倒して穂乃果達と帰りたいのでしょう?」

ことり『もちろん、生き返るつもりではいるよ。でも、神様を倒した上で生き返るための神器を探さないとだから、それを探す余裕があるならの話になるね。」

ことり「ことりは神様に狙われてる世界を鳳凰として救ってみせる。自分1人とたくさんの世界の命のどっちを優先するかっていったらたくさんの世界を選ぶ。こっちを選んだ以上、目的は生き返ることじゃなくなっちゃったし、この世界を敵に回す覚悟はできてる』

海未「……自分とはほぼ無関係な問題を死に急いでまで解決しようとする幼馴染みを放っておくつもりはありません」

ことり『関係はあるんだけどね~。神様が壊そうとしてる世界の中には私達の元の世界も入ってるから』

海未「それなら尚更放っておけないですね」

ことり「このことを知っているのは神様以外は私達2人だけかもしれない。なら、責任は私達にある」

各キャラの能力が上がりました。

穂乃果
Lv12→13
HP 1273→1312

海未
Lv10→変わらず
HP 1106→変わらず

真姫
Lv8→11
HP 895→1000


Lv10→12
HP 1496→1536

花陽 NEW!!
Lv7→10
HP 953→999

ーその日の夜ー

海未「寝る前に皆にお話をしておきます。今日の訓練の休憩中、ことりから連絡が来ました」

穂乃果「……!」

海未「内容を簡潔に言います。昨日私達と話をした神様は、この世界を魔王から救うために別の世界の人間をこの戦いに巻き込もうとしています。ことりはそれを阻止するために神様を倒します。どれだけの人を敵に回そうが承知の上です」

凛「冗談きついって!」

真姫「魔王だけでなく神様まで相手にしろってのね……何だか現実味がない話だわ」

花陽「……海未ちゃん。一ついいかな」

海未「何でしょうか」

花陽「勝算はあるの?」

海未「あっ

花陽「え?いや、それくらいは考えてるよね?」

海未「私としたことが」

花陽「ちょっと無謀すぎない!?((((;゜Д゜)))

穂乃果「この海未ちゃんはかしこくない!」

凛「海未ちゃん、そんな調子で大丈夫か?」

海未「もう!からかわないでください!問題もありません!」

穂乃果「……今が幸せ」

真姫「何よ突然」

穂乃果「こうして皆でお話して笑って泣いて怒って……魔王と戦うまでで今が一番幸せな時間になるのかな」

真姫「……そんなもん、襲ってくる敵全部ぶっ倒していくらでも作ればいいわ」

海未「作れるかは私達次第、というわけです」

穂乃果「……うん。」

海未「さて、打倒神様。皆さんはこれに賛同してはくれないでしょうか」

真姫「問題はこれよねえ……」

花陽「うーん……厳しくない?」

凛「凛は動く基準はかよちんだから正直どっちでもいいや」

花陽「花陽も凛ちゃんのこと大好きだよぉ?」デレデレ

海未「まあ、ねえ?穂乃果」

穂乃果「そうだね、状況がふわふわしすぎてていまいち頭が働かないだろうし何よりことりちゃんから指示がなきゃどうしようもないし……」


穂乃果「うん。まあ、しばらくは一緒でいいんじゃない?」


真姫「どんだけ考えるのが面倒なのよあんたら」

花「決まりだね!」

真姫「こら!」

凛「真姫ちゃん、μ'sの頭脳よろしく」

真姫「海未にやらせなさいよ!いらないわそんな称号!!」

穂乃果「どちらにせよ、折角一度合流できた仲間とは離れたくないよ」

真姫「はあ……結局、みんな一緒なのね。で、次の目的地は?こんなこともあろうかと地図を持って来たから、それ見て決めましょ」

海未「そうですね。出発は明日として、一度近いのは……『リーネ』という村です」

花陽(村、かあ)

花陽(オトノキ村は幻術でできた偽物の村で、本当は何もない平地だけど)

花陽(今も幻術が働いてて、どうしても村として見ちゃう。)

花陽(一体、妖狐って魔物は何が目的で幻術貼ってるんだろ?)

『特に理由は無い』

花陽(無いのぉ!?ていうか誰!?)

『……』ヤベッ

花陽(え?今脳内に直接話し掛けてきたの本当に誰なの!?)

穂乃果「……」

凛「……」

真姫「……」

海未「……」

花陽「……」

穂乃果「寝よっか」

海未「そうですね」

凛「おやすみー」

ー翌日ー

穂乃果「ふわあ……」

穂乃果「あれ?誰も起きてないんだ」

穂乃果は部屋を見渡す。全員同じ部屋で寝ていたので何かあればすぐに状況確認できる。見たところ、誰も起きる気配はない。時計は朝5時を指している。

真姫「……ん」

真姫が起きた。

穂乃果「真姫ちゃんおはよう」

真姫「おはよ」

穂乃果「今思い出したんだけど、真姫ちゃんの武器ってどこいったの?」

真姫「壊れた」

穂乃果「じゃあこれから真姫ちゃんの武器をどうするか考えないとね」

真姫「そうね」

真姫「今から買いに行ってもいいかも」

穂乃果「じゃあ行ってみる?」


ー始まりの街 武器、防具屋ー

猫又に敗れた後に真姫が薬を買いに来た街だ。早朝なので人は少ない。

穂乃果「真姫ちゃんはどんな武器がいいの?」

真姫「正直、何でもいいかも」

真姫「剣に属性付与しながら戦う魔法剣士!なんてかっこいいかもしれないけど、そんなの既にいっぱいいるしね」

穂乃果「真姫ちゃんは魔法が付与系しかないから戦い方とか武器のチョイスが難しいよね」

真姫「そうよね。しかも私自身は技も攻撃魔法も単体で覚えてるものがないから、1人になったらろくに戦えないし。いざとなったら物理だけで充分戦える武器が好ましいわ」

穂乃果「と、なると前衛向けの装備かな?」

真姫「そうね。……凛みたいに格闘で戦う自信もないし、無難に剣かしらね」

穂乃果「剣も意外と難しいよ」

真姫「あら、知らない?この世界では槍とか鞭とかたくさんの武器があるけど、一番使われてるのは剣なのよ。『前衛が武器選びに困ったらとりあえず剣』って感じでね。じゃ、とっととすませて戻りましょ」

穂乃果「ほえ~」

装備を更新します。

真姫
武器:ルーンブレード(特殊効果:魔法攻撃力+5%)
防具:革の胸当て

穂乃果
武器:グラム
防具:ルーンクローク

属性付与の魔法は使用者の魔法攻撃力が高いと、属性付与した技や魔法の威力が上がるらしい。それを聞いて真姫は魔法攻撃力+の効果が付いた剣を買った。

穂乃果は魔法を受けやすい前衛なので、魔法防御をカバーすることにした。物理攻撃は全部避けるつもりだ。


今朝2人が行き来したのは始まりの街とオトノキ村です。



洞窟ーーーーーーーーーーーーー小屋ーーーーーーー始まりの街
│ /
│ /
│ /
無人販売ーーーオトノキ村から外れた街道



オトノキ村


小屋からまっすぐ↑に向かうと廃村につく。

うおっ、すごくわかりにくい



廃村
洞窟
小屋 街


オトノキ村

こんな感じ

ーオトノキ村から外れた街道ー

帰り道、魔物と遭遇して戦っている。
ゴブリンとスライムが一匹ずつだ。今は少人数なので常に気を配って状況に応じて魔法や戦い方を変えなければならない。だからこそ、穂乃果はジューダスに教わった戦い方や覚えた魔法が活きる。

ゴブリン「ぐああああっ!」

穂乃果(正面から大剣を振り回して走ってきてる。やっかいだなあ)

穂乃果「くっ!!」

穂乃果「真姫ちゃん、攻撃は穂乃果が引き受けるから今の内に!」

真姫「わかった!」

真姫は剣を両手で持ち、右足を軸に回転。勢いと体重をそのまま剣に乗せてゴブリンに叩きつけた。脇腹を深く抉られ、ゴブリンは倒れた。

穂乃果(スライムはそのまま殴っても分解したり逆に捕まれて溶かされたりして怖いんだよなあ。ここはあの魔法で!)

穂乃果はアイコンタクトで真姫を後退させ、詠唱を始めようとした。

穂乃果「あれ?」

詠唱ができない。どうしようか戸惑っていたその時、とんでもない暴風が目の前を通り過ぎ、スライムは消し飛んだ。

真姫「うわっ!びっくりした。穂乃果、新しい魔法でも覚えたの?」

穂乃果「いや、穂乃果は何もしてないよ」

?「これが後の勇者、高坂穂乃果……?弱い、弱すぎる」

暴風を出したのは巨大な斧を担いだ青い髪の大男だった(身長は187cmで、声優は若本規夫。好きな食べ物はメロン)。

穂乃果「!?」

漢「……高坂穂乃果だな?」

真姫「何の用?」

漢「死に行く者に名乗ったとしても無駄だ
……覚悟!」

わわわ廃村
わわわわ↓
洞窟→小屋←街
わわわわわ↓
わわわオトノキ村

これでも駄目ですか(´・ω・`)

まさかの バルバトス

?「動くなー!今すぐ武器を捨てて穂乃果さんから離れなさい!!」

漢「……何だ、貴様は!?」

?「未来の大英雄、高海千歌が相手になったげる!!」

漢を制止し、勇敢にも戦いを挑んだのは高海千歌。オレンジ色の髪の毛で、特にこれといった特徴は無い。穂乃果と同じく防具は軽装だ。

漢「英雄だと……!?」

漢「貴様のような虫けらが英雄を名乗るとはな……!死にたいのか、小娘!!」

真姫「!!やb」

漢「ぶるあああああああああああああああああああ!!!!」

真姫「危ない、2人とも!!」バッ

漢は斧を振りかぶり、とんでもない速さで突進してきた。それをすぐに察知した真姫が穂乃果と千歌を射程外まで引っ張った。

真姫「あいつ、バケモンかっての……!やばいわよ、穂乃果……こいつは手強い、というより勝ち目が無いわ」

穂乃果「だからって引き下がっt」
千歌「だからって引き下がってたまるもんか!私達の全てをぶつけてやりましょう!!」

漢「覚悟だけは認めてやろう、小娘
俺の前で英雄と口にしたこと、あの世で悔やむがいい!」

千歌「上等!!」

千歌は剣を引き抜き、構えた。穂乃果の構えと似ている。

真姫「千歌って言ったわね?奴の攻撃に直撃だけはしちゃだめよ!?」

千歌「はい!」ソワソワワクワク

真姫「……?」

漢「一瞬で終わる。耐えぬ方が身のためだ……」

そう言い終えると同時に魔法を発動させた。そこら中の地面が崩壊し、亀裂から発生した土の魔力が穂乃果達を襲う。かなりの上級魔法かもしれない。

千歌「アンチマジック!!」

千歌はすぐに反応し、剣に意識を集中させ障壁を作った。その壁は穂乃果と真姫を覆い、激しい大地の振動から2人を守った。

真姫「助かったわ」

千歌「エヘヘヘヘヘwww」デレデレ

穂乃果「反撃だ!」

漢に向かって3人は走り出す。千歌と真姫は漢の全身に満遍なく剣を打ち込み、穂乃果は急ブレーキをかけ高速の斬撃を繰り出す。穂乃果はこの瞬間、頭の中でこの技をアストラルスラッシュと名付けた。何度も斬られたはずだが、漢は無傷だ。

漢「ぬるい……ぬるすぎる」

真姫「効かない!!?」

千歌(いや、効かないというより当たってない!斧だけで全部防がれてる!)

漢「どりいいいいいいいいいいあっ!!」

3人が怯んだ隙に漢はタックルをかまし、数メートル吹き飛ばした。千歌はさほど辛くもなさそうだが、2人はかなり大きいダメージを受けており、腕や脚が痺れている。

穂乃果「っぁ……!(一撃が重たい!)」

千歌(開始早々からこんなピンチになるだなんて!)

千歌「即時回復のポーションです、使って下さい」

千歌が穂乃果と真姫にポーションを渡そうとした瞬間、漢は鬼の形相でこのような発言をした。

漢「アイテムに頼る軟弱者は消え失せろ!!」

千歌「えっ!?」

漢「断罪のエクセシューションっ!」

対象の足元から次元の狭間を生み出し引き裂く上級魔法、エクセシューション。アイテムは使うためにあるというに。あまりにも理不尽な物言いに千歌は不意打ちを受け、思いっきり次元の狭間に引きずり込まれた。

千歌「う……くっ!」

真姫「何よ!何なのよあいつ!色々めんどくさい!!」ゲホッ

そして……

漢「貴様の死に場所は……ここだあああぁ!!!」

突然、漢は叫ぶ。すると同時に、漆黒の鎧を纏った男が現れ、漢の咆哮に合わせて千歌を3度斬りつける。エクセシューションから連携して発動できる具現結晶「ルナシェイド」は容赦なく彼女を叩きのめす。

漢「ここだ!ここだ!!ここだああああああああああああああああぁっ!!!」

暑苦しいったらありゃしない。しかし威力は馬鹿にならない。

千歌「ぬぐえぇっ!!」ドサッ


穂乃果
Lv13
HP 799/1312

千歌
Lv??
HP 206/????

真姫
Lv11
HP 300/1000

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira116953.jpg



↑今更ですがジューダスの見た目

千歌は立ち上がり、ポーションを穂乃果達の傍に置いてから突撃した。
剣を持った両手に力を込めて頭からの振り下ろし。漢は斧で軽く受け流し、牽制のボディーブローを仕掛ける。

千歌「させるかっ!」

両手が空いていない千歌は膝をぶつけて拳を受け止めた。

千歌(やっぱり痛い!)

漢は眉一つ動かさない。物凄く退屈そうだ。

漢「はあっ!」

漢は斧による一撃を喰らわせようとするが、

真姫「はああああああっ!!」

ポーションを飲みながら真姫が脇から手首を蹴り、斧の位置をずらして間一髪で千歌が避ける時間を作った。

斧を振った際のわずかな硬直時間中、穂乃果が魔法で追撃した。光弾は出せないが、代わりに火球を3つ飛ばす火の魔法を使えるようになっている。火球は全て漢に直撃した。

漢「ぬぅっ…………」

穂乃果「どうだ!」

漢「ふっ……俺としたことが、油断して礼を欠いていたようだ」

ついに本気を出すようだ。瞬時に接近された千歌は気圧され、剣を弾かれた。

千歌「しまった!」

漢「残念だったなぁ、英雄になりそこねて!ふふふふっ、ははははははははぁっ!!」

漢が斧を振りかぶったその時、どこからか剣が2本飛んできた。一本は漢の脇腹に、もう一本は千歌の足元に。

漢「ぬぐうっ!貴様は!?」

千歌(今だ!)
千歌「でやああああっ!」

漢「ごああ……!」

千歌は足元の剣を拾い、漢を切り崩す。二度攻撃を受けた彼は戦闘体勢を解いた。

漢「ふふ……我が飢えを満たす相手がこの世界にいようとはな。我が名はバルバトス・ゲーティア。高海千歌、その名覚えておくぞ」

空間を歪ませ、漢はその中に消えた。
…………帰った。いや、帰ってくれた。

真姫「何だってのよ、もう……」ハアー

穂乃果「死ぬかと思った!」グターリ

千歌「バルバトス・ゲーティア……」

真姫「足引っ張っちゃってごめんなさいね。すごく助かったわ」

千歌「いえ、これが私の役目ですから」

穂乃果「役目?警備員とか?」

千歌「あ、はい!そ、そうなんです!」メソラシ

穂乃果「へえー!」

真姫「あなた、未来から来てない?」

千歌「!!」ギクゥ

真姫「あの漢は穂乃果のことを後の勇者とか言ってた。それに、去り際に言った『もっと強い貴様と戦い、殺しに行く』ってのは、ここから先の時間軸の成長した穂乃果と戦うってことじゃない?」

穂乃果「ああ、神様が言ってた未来からの妨害ってやつだね!」

真姫「それで、穂乃果の名前を知ってるあなたはあいつを止めにきた。判断材料は少ないけど、ここまでは容易に浮かぶわ。違う?」

千歌「……鋭いんですね、真姫さん」

千歌「その通りです。誰かが過去を改変しようとしていたので止めに来ました」

真姫「ありがと」

穂乃果「おかげで未来を変えられずに済んだね!」

千歌「いやいや!当然のことです」

千歌「これから敵からたくさんの介入があるかもしれません。それでも、私みたいな味方がいることも忘れないでください。それじゃ、またいつか。」

千歌も空間の歪みに入り、手を振って帰っていった。
始まりの村を出てからここまで5分程度の出来事だった。

ーオトノキ村の道場ー

真姫「やーっと着いたのね……何で朝早くから死にかけなきゃなんないのよ」ドサッ

穂乃果「疲れた~」ドサッ

穂乃果「海未ちゃんにでも運んでもらおうかな~」

真姫「駄目!」

真姫「……装備が重い」ヌギ

穂乃果「ついでにここで服全部脱いでシャワー浴びに行こうよ」

真姫「賛成」

ーお風呂ー

真姫「そういえば魔法は何使えるの?今日また新しく魔法使えるようになってたわね」

穂乃果「うーん、よくわからない。光魔法が使えなくなって、かわりに火の魔法覚えてたの」

真姫「光魔法の象徴が穂乃果から消えたとか?」

穂乃果「自分の性格が偽物だって否定されてるみたいで何か怖いなあ」

ーオトノキ村の道場ー

テーンテーンテーンテーテッテレー
デンッ!

穂乃果「なんとっわったっしっがー!せいとっかいちょーにー!みんなのすすめでなっちゃったー!」ハイッ!

真姫「絶対ありえないわ、それ」

穂乃果「ありえたんだよなあ、それが」ドヤァ

真姫「ふーん」

穂乃果「あー!無視して武器の手入れしてる!信用してないなー!?」

真姫「まあね」

穂乃果「そんでもってあっさり認めるし!」

海未「朝から騒がしいでふね」フアアアァ

穂乃果「おはよ海未ちゃん!」

真姫「略さない。」

海未「おはようございます。2人とも、つい先程まで姿が見えませんでしたがどこへほっつき歩いてたんですか」

真姫「装備の新調」

穂乃果「真姫ちゃん、前衛になるかも」

海未「それはありがたいです。火力は前衛だけでも足りますし、後衛が多すぎても問題かと思っていたので」

2時間後……

海未「いい加減に…………っ!」

海未「起きなさいっ!!」シシャノメザメー

凛「にゃあああああああっ!!」ガバッ

花陽「アメシッ!」ガバッ

穂乃果「うわぁぁぁ!!」ガバッ

真姫「何で帰ってきてからまた寝てんのよ穂乃果は」ガバッ

海未「真姫もです!!」

海未「さあ早く!今日中に少しでも先に進むんです!!」

凛「あう……もう10時じゃ~ん」

穂乃果「はーい」ドテッ

海未「穂乃果寝ないでっ!!」

穂乃果「ハイイイイイッ!」ガバッ

穂乃果(敬語が崩れるほど怒ってる!これはまずい!!)イソイソ

凛(海未ちゃん叫んでばっかりで喉痛そう)イソイソ

花陽(結局、今日はどこ行くんだったっけ……リーネ村だっけ?)イソイソ

穂乃果(あー、図書室借りたら何の勉強しようかなー)




真姫「穂乃果」
穂乃果「はい」

海未「凛、花陽」
凛「にゃ」
花陽「はい」

真姫「やっと終わったのね」

海未「現時点で予定より遅れてます、急ぎましょう。今回の魔物との戦闘について、歩きながら説明します」

穂乃果「うん、行こっか」

ーパラミ平原ー

オトノキ村とリーネ村を繋いだ自然豊かで何も無いまっさらな平原だ。キや草花がそこら中に生い茂り、野生の動物と魔物が共生している。

海未「このパラミ平原の魔物は魔法をよく使うんだそうです。今日は敵の連携を崩したり、範囲が拾い魔法を避けたり防いだりすることが戦闘を上手く進める鍵になります。全員で頭を使って戦って下さい」

海未「それと、唯一火力の高い攻撃魔法を使える花陽との連携を意識して下さいね。魔法職の仲間が少ない今は花陽がメイン火力です。期待していますよ、花陽」

花陽「了解ですっ!」

穂乃果「穂乃果は難しいこと考えなくていいんじゃないの?」

海未「そうですね。ですが、団体戦は……」

穂乃果「一瞬だけそう思ったんだけど、それは敵が1人の時だけなんだよね。たくさんの相手がいるならただ押してるだけじゃ勝てないって妖狐との戦いで思い知った。数で勝っててもそれを油断してちゃあっという間に死ぬ」

海未「……ほう」

真姫「そうね。でも、それを死なずに体験できたんだからラッキーよ。今はそう思っときなさい」

穂乃果「そうだね」

穂乃果(…………)

『ふっ……俺としたことが、油断して礼を欠いていたようだ』

穂乃果(いや、1人の敵すら倒せなかった……それも、強力なサポートがついた3人がかりで)

穂乃果(千歌さんは元気そうに振舞ってたけど、あの戦いで一番辛い役回りをしたのは千歌さんだ。あの時、『みんなまとめて守る力が欲しい』って思っちゃった。……あの時点での自分の実力を過信してて、すごく情けなかった。)

穂乃果(強く、なりたい……!)

海未「……敵です」

凛「敵は待ってくれないよ。準備はいい?」

花陽「うん。」

真姫「必ず生き残る……!」

戦いになると凛ちゃんや花陽ちゃん、真姫ちゃんの顔が怖くなる。戦闘中に減らず口を叩くことはあるけど、それは大抵虚勢だ。劣勢になった時にまだ戦える、と威嚇しているのだろう。でも、足が震えてる。死ぬかもしれない、抵抗しても負けるかもなのにまだ戦い続ける。すごい精神力だよなあ。

海未「……」ググググ……

海未「月華!!」バッ

海未ちゃんに至っては魔王を倒すためにどんどん弓の新技を開発しているし、何より気迫がただ者じゃない。相手を睨むだけで殺そうとしてる。親の仇とでも対峙しているかのようなとんでもない殺気だ。

凛「真姫ちゃん、エンチャ!」
真姫「わかった!」

なぜそんなに真剣な顔なのか不思議に思ってたけど、やっと理解した。そのこの世界における『戦い』とはごっこ遊びやゲームの対戦のことじゃない。

花陽「フリーズアロー!!」

命懸けのやり取り。殺しあってるんだ。

海未「穂乃果、とどめを」
穂乃果「たあああああああああああああああああああ!!!」

そうだ、ためらうな。命を奪え。殺すことだけを考えろ。

海未「良いラストです。穂乃果も、少しは成長したようですね」

穂乃果「……うん。」

妖狐との戦いで死にかけて、バルバトスとの戦いで圧倒的な力の差を見せつけられて……命を消費する冒険2度もしてようやく学んだことだ。

穂乃果「死ぬか、斬るか、土下座してでも生き延びるのか……」

花陽「穂乃果ちゃん」

花陽「穂乃果ちゃんはこれでようやく私達と同じラインに立った。決して穂乃果ちゃんが成長したわけじゃない」

凛「か、かよちん?」
真姫「こんなところで説教なんてしてたらまた襲われるわよ」

花陽「ごめんねみんな。でも、これだけは言わせて」

花陽「穂乃果ちゃん、あなたは今まで遊び感覚で魔物の命を奪った」

穂乃果「……はい」

花陽「それは戦場に持ってくる思考じゃない。殺した相手に失礼だし、戦士として失格だよ」

花陽「穂乃果ちゃんはそれに気付いたばかりだからね。これからどんな気持ちで戦うようになるのかは穂乃果ちゃん次第だし、そもそもこの戦いは魔王を倒す練習のためにやってる」

花陽「その練習は自分の命、本番は世界の舵を取る。絶対、忘れないでね」

穂乃果「はい!」

凛(かよちんは教官か何かで?)

ーー

穂乃果「でやっ!」ブンッ

凛「はああっ!」ヒュッ

ゴブリン「オアア……」チッ

穂乃果と凛の波状攻撃に押され、ゴブリンが1歩引いた。

うみぱな(今だ!)
海未「滅殺!」ヒュッ
花陽「グレイブ!!」

花陽が正確なコントロールでゴブリンの足下を数メートル隆起させ、その下に穂乃果と凛を配置して逃げ場を無くす。更に海未が射った矢は5本に分裂して互いに弾き合い、バラバラの方向に飛び散る。

ゴスッ!グサ!
ゴブリン「ギエアアアアアア」

飛び散った矢は海未の魔力に無理矢理操られ、一斉にゴブリンを襲った。グレイブの足場から降りれば純正物理アタッカーの2人に滅多打ちにされる。降りれるはずもなくゴブリンは矢に貫かれた順調に数を減らし、全滅させたかと思ったが……

真姫「花陽!!後ろに剣持った敵がいるわ!!」
花陽「!」

リザードマン「がああああああっ!!」

花陽(しまった、魔法出した直後の硬直時間を狙われた!)

凛「かよちん!!」バッ

花陽の狙いが他に向くよう隠れ、気づかれない様接近したリザードマンの連続突き攻撃。受けたのは咄嗟に花陽を庇った凛だ。

凛「……っ!」グサ

凛 HP0/1536

海未「……」

穂乃果「このっ!!」キィン!

真姫「こいつ、盾持っててガードが硬いわ!」

リザードマンは典型的なタンクの装備をしている。面積が広い鉄の盾、体全体を覆い隠す鎧、派手なデザインの目立つ剣。自分に注意を引くための装備をしていたのもあって、この攻撃手段は誰も想定していなかったらしい。

リザードマン「しゃああああっ!!」ブンッ

穂乃果「うわあ!!」HP1121→611/1312
真姫「ちいっ!」HP711→312/1000

真姫(あいつはただ一振りしただけなのに何でこんなに重いの!?)

身のこなしが上手い穂乃果は攻撃を受けることがほとんど無かったため、メイン囮として活躍していた。その穂乃果に回避させずに大ダメージを与えることはμ'sのメンタルへのダメージにもなる。回復魔法を覚えようとしなかったことを全員悔やむ。が、それを気にしている場合ではない。

花陽「スプリンクラー!」

花陽の魔法により地面から水が湧き出し、周りを湿らせる。
リザードマンは水が弱点らしいが、水の量が多すぎて周りが見えづらい。逆効果だ。

リザードマン「今更目くらましか?残念な判断力だな。こんなもの、元々機動力と洞察力のある私からしたら動き安くなるバフ効果だ」

真姫「はは……今のうちに……吠えときなさいよ」ガハッ
真姫(~~~!花陽は何してんのよ!!)ボソ
穂乃果(真姫ちゃん、多分これは作戦だよ)ボソ
真姫(作戦?)
穂乃果(うん。あとは2人に任せて、私達は身体の傷を開かせないようにしよ!)ボソ

リザードマン「ならばその作戦とやらは失敗に終わるな」

真姫(いつの間に背後に!?)

リザードマン「覚悟……ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」ダッ

穂乃果「くっ!!」

リザードマンの攻撃が始まった。穂乃果は片手剣だけで避けて受けて激しく動き、体力が少しずつ削られていく。真姫も反撃に入るが、不安定な視界の補正もあり、軽く受け流される。崩れた姿勢の真姫をリザードマンが狙い、穂乃果がその妨害に入り……防戦一方だ。

穂乃果(何でこんなに速いの!?)

ー近くの木の上ー

海未「……なるほどね」

凛「何かわかった?」

海未「凛、起きていたのですか」

凛「起きてるけどちょっとでも動くと身体中が軋んで痛いよ。正直、寝てたい……おまけにお腹から声出さないとそっちに声届かないでしょ」

海未は凛を木の麓に運び、穂乃果達に攻防を任せて木のてっぺんからリザードマンを観察していた。花陽はずっと水を出し続けている。

海未「わかりました。もしやと思い花陽に指示を出して正解だったかも……?」

海未「彼の異常な移動速度、攻撃速度の速さは魔法ですね」

凛「バフ効果は大抵補助魔法じゃないの?」

海未「にしては、彼の周囲には魔物がいないんです。つまり、私含め4ー1のはずなんです。となると可能性として考えられるのは装飾品によるカバーか、他に魔物が潜伏しているか、ですが」

海未「彼の補助をしているのは意外な人物でした。 かなり近いので見てきます」

凛「あの……凛はずっとこのまま置いてけぼり……?」

海未「はい」

ーパラミ平原 樹海ー

海未「何が平原ですか。思いっ切り森とかあるじゃないですか」ザッザッ

海未(確か、木の上から見た時はこのあたりにいたはず……)

木の上から見えた少女。彼女は倒木に腰をかけ、足下に魔法陣を展開していた。間違いない、リザードマンに手を貸しているのは人間だ。長い金髪をポニーテールに結び、何やら紋章が刻まれた剣と胸当てを装備している。

海未「あなたの仕業だったのですね……」

海未「絢瀬絵里」

絵里「あら、私も随分有名になったものじゃない」

海未「無理を承知でお願いします。魔物にかけている魔法をすぐに解いて下さい」

絵里「そうしてあげたいけど、無理ね。これは上からの命令なの」

海未「私とて友人を見殺しにするわけにはいきません」

海未は弓を引く。すると絵里も立ち上がり、臨戦態勢を取った。右手で剣を持ち、刀身を胸の前に置いている。防御の安定を重視しているのだろうか。

海未「……参ります」

海未(……大丈夫。弓使いで1ー1が不利なのは明白ですが、地形を利用すれば……)

絵里「ムーンライト」
海未「なっ!?」

突然暗くなり、頭上から強い光が降り注ぐ。

海未「あぁっ!!」 HP 987→756/1106

光の柱が身体を焼き、魔力を吸い上げていく。

海未(耐えられない威力では……しかし、先ほどまで続いた戦闘の傷がここで足を引っ張るとは……!)

絵里「ヘルヒート」
海未(また……!)

絵里の周囲に人魂のような火球が10つほど浮かび上がり、海未に飛びかかる。海未は走って木の幹を盾にした。追尾能力があっても障害物を避けるほどの性能はないらしい。海未は木の影から飛び出して反撃した。

海未「月華!!」

海未の弓から放たれたのは螺旋状に交差しながら標的を補足する二本の矢。こちらも追尾能力持ちの技だ。

絵里「面倒ね」

絵里が剣で矢を弾こうとした瞬間、矢は互いにぶつかり絵里の目の前から真横まで大きく軌道をずらした。そこからまた追尾した絵里の脇腹を捉えた。

絵里「ぐ……!」

ダメージはどれくらい入ったのかが気になるところだが……

絵里「私の目の前で矢が弾き合って拡散、そしたまた追尾するように魔力を掛けて調整したのね、流石だわ」

海未(ほとんど効いていませんか……しかも、矢は高速で飛ぶ物なのに、完全に見切って叩き落とそうとしていた。魔法もですが、それ以前に剣士としても相当な強者……厳しい戦いになりますかね

ースプリンクラー内ー

穂乃果「だあっ!!」ブンッ

リザードマン「効かぬわ!」ガキン

こちらの攻撃を全て防いでいる。もはや穂乃果達が生きていることこそが奇跡だ。

穂乃果 HP611→115/1312
真姫 HP312→259/1000

真姫「穂乃果、代わりなさい!それ以上続けたら……!」

穂乃果「嫌だ!!!」

リザードマン(1人で味方の壁として立ちはだかり、ほぼ闘争心のみで喰らい付いてくる彼女の諦めない姿勢には素直に賞賛の拍手を送りたいところだ。それに……剣士という様式に捕らわれず、何をしてくるかわからない奇想天外たる彼女の戦いに興味がある)

リザードマン「剣術とはただ飛び掛かれば良いというものではない。それを見失ったのは剣士として貴女の負けだ」

穂乃果「反論したいけど、返す言葉も見つからないや」ハハハ…

リザードマン「ここから先は剣士、ではなく戦士としての貴女らを迎え撃つとしよう。さあ、私を楽しませてみろ」

真姫(ごめんちょっと意味がわからない)

花陽(もう魔翌力が保たない……海未ちゃんは一体何を考えてこれを?)

花陽「ごめん穂乃果ちゃん、真姫ちゃん!」

スプリンクラーが止んだ。

リザードマン「ふむ、このままでは不利と見て解いたか」

リザードマン「案外、逆かもしれんぞ

ー樹海ー

絵里「あなたの友達も大変ね」

海未「何をいきなり」

絵里「リザードマンにかけた補助は火属性の身体能力補強魔法なの。この意味が分かる?」

海未「わかりません。浅学で申し訳ありませんが」

絵里「身体能力上げる魔法にも属性ごとに色々あってね。例えば水属性は時間が経つにつれて徐々に強化。風属性なら突発的に恩恵が与えられ、火は……」

絵里「激しく動いた時を認知して細胞の働きを爆発的に加速させる」

海未「……なるほど、まるで穂乃果のような効力ですね」

絵里「あなたは何となくそんな感じの効果だと察して水の魔法を使わせた、違う?」

海未「ええ、水で弱体化させられないかとね」

ーvsリザードマンー

穂乃果「水が無くなった」

真姫「花陽を守りやすくなったからいいんじゃないの?」

リザードマン「いざ、参らん……!」ダッ

穂乃果「!?」

リザードマンの加速力が跳ね上がった。
今の穂乃果が攻撃を喰らっては確実に倒される。最悪のタイミングで敵を強化してしまった。

真姫(そう簡単に崩されてたまるかっての!!)
真姫「せいっ!」ヒュッ

リザードマン「踏み込みが甘い!!」キィン!

真姫「くっ……」

駄目だ。下手に攻撃しても弾かれる。突っ込んで来たかと思ったら防御に徹し、攻撃もほとんどされず、指摘をされ……まるでこいつから剣の指導でも受けているようだ。

真姫(スプリンクラーに当たって水エンチャは覚えた。あいつの弱点が水であると祈るしかない!)

魔力が尽きた花陽は何をするべきかわからず、鞄から何か良いものが無いか探っている。
魔法の詠唱を始めた真姫を庇い、穂乃果は懸命に戦う。

真姫「アクアプラス!」
穂乃果の魔法と技に水属性が付加された。

花陽(あった、mp回復のマジックストーン!)
花陽は不思議な石を鞄から見つけた。握ると魔力を分けて貰える、サイコストーンのような便利アイテムだ。

花陽(ここでとにかくたくさん補給する!使い切って壊れるくらいに!)



リザードマン「さあっ!」
穂乃果「ぬぐっ!!」

リザードマンの辻斬りを後ろに飛び退け、アストラルスラッシュで反撃するも最小限の動きで受け流される。

ここで打開策をと考え、真姫が連続攻撃を始めた。威力より手数を重視している。斬り上げ、後ろ回し跳び蹴り、踏み込んで突き、姿勢を低くして回りながら踵で足払い、最後に穂乃果が渾身の力を込めて背後から叩っ斬る。

リザードマン「……ふむ、今の連撃は見事だ。」

全て見切り、盾で受け止められてしまった。

真姫(まずい……このままじゃ本当に全滅する!)

花陽(……充填完了)

離れていた花陽が真姫に近付いた。

花陽「真姫ちゃん」

真姫「花陽、あんたは回復を待って離れて……」
真姫「……そのニヤついた顔、何か策があるみたいね?」ニヤリ

花陽「穂乃果ちゃんには囮になってもらおう。真姫ちゃんはこれから花陽の魔法に属性付加をしてほしいの」

真姫「わかったわ」

ー樹海ー

絵里「さて、お喋りはここまでよ。」

海未「……!」

初めて絵里は魔法を使わず接近戦を仕掛けてきた。
すかさず海未は短刀を取り出したが、絵里は長剣使いだ。まともに戦って勝てるはずがない。

絵里の牽制の突きをサイドステップで躱し、短刀を逆手で持ち、首あたりの高さで構える。

海未「わかってはいましたが私は近付かれると無力化してしまいますね」

絵里「弓使いが何を今さ…らっ!」

絵里は止まることなく突きから剣を振り上げ、そのまま海未の頭に叩き落とす。

海未「…………隙だらけですね」

突然、海未が姿勢を低くして光の速さで絵里の真横を通り抜ける。すると、絵里の服の全体に細かい切り傷ができた。すれ違いざまにどれだけの速さで腕を動かしたというのか。

絵里「ぐっ……!?」

海未「秘剣『風霧』」

絵里「弓一筋じゃあないって訳ね……」

海未「もちろん、私の主な役割は弓による援護」

海未「ですが剣道も少しかじっているので、これくらいはね」

絵里「少し……」
海未「ええ、少し」
絵里「嘘おっしゃいな」

海未「さあ、一回一回止まってないでさっさと再開しましょう。お喋りはここまで、ですよ」

絵里「面白いじゃないの……」

ーリザードマンー

リザードマン「奥義!魔王炎撃波!!」

穂乃果「!!」

穂乃果「うわっ!うわわ!」

危なかった。剣が突然轟炎に包まれ、リザードマンがそれを振るうと広範囲に炎が舞い散った。発動前に放たれた異常な熱気を感じ取って事前に後退していたため、どうにか当たらずに済んだ。

穂乃果(まずいなあ……こっちは全員瀕死に近いし、あいつもそろそろ穂乃果のことを飽きて『ただのアホ』って思い始めてる節がある)

穂乃果(本格的に後がなくなってきた……!)

リザードマンが他に技を繰り出してくる可能性を考えると、攻めようにも足が動かない。

ーー

真姫「ちょっと花陽?穂乃果からこんなに離れていいの?」

花陽と真姫は作戦のため、20メートルほど距離を取っている。

花陽「ボコヘル!」

花陽が謎の魔法を唱えると、2人の周辺の地面が陥落した。当然、2人ともそれに巻き込まれる。

んんんリんん穂んんんんんんんんんん
ーーーーーーーーーーーー┐ぱな┌ーーーーーーー
んんんんんんんんんんんん│まき│
んんんんんんんんんんんん└ーー┘穴の深さは1mくらい

真姫「?ぇえ!落とし穴!?」

花陽「ここから魔物を魔法で狙い撃ちします」

真姫「……で、私はなにするの?」

花陽「穂乃果ちゃんが攻撃を始めたら合図をお願いしていいかな?」

真姫「まあ、いいけど……」

ーvsリザードマンー

穂乃果がここに来て猛攻を始め、意地を見せる。
全体重を乗せた振り下ろしを盾で見事受け止められ、
反撃を剣で弾いてからのスライディングをバックステップで避けられ……

ーまきちゃんー

真姫「今よ!」

花陽「グレイブ!!」

ーリザードマンー

バックステップをすると同時に隆起した土がリザードマンを襲う。水が付加されているため、威力もそこそこある。
ドゴォッ!
無論空中での回避策が無いまま腹に直撃し、そのまま打ち上げられた。

穂乃果(走れ、手を止めるな、諦めるな、力を入れろ、強く踏み込め、今余ってる力全部残さずぶつけろ、これが最後のチャンスと思え!!)

恐るべき加速で落下前のリザードマンに接近した。
剣と盾に守られていない胸に向けて右肩をぶつけ、剣を持っていない左手で力強く殴った。魔力、闘気を込めて思いっ切り振り上げる。

穂乃果「吼えろ!!」ドォッ

ゴスッ!!衝撃が鎧ごしにしっかり伝わる。

リザードマン「不覚!!」

渾身の一撃を喰らい、リザードマンは更に上へ吹き飛んだ。

穂乃果「だああああああああああああああああああ!!!」トンッ

続けて落下中を狙い得意のステップで距離を近付け、肩の関節が外れるくらいの勢いで剣を突き出す。鎧を貫通して剣が脇腹に突き刺さり抜けなくなったが、穂乃果は剣を引かず押し続けた。

穂乃果「一撃じゃ生温い!!」

剣を持つ右手に火の魔力が集まり、溢れ出す。グッと力を込めると、剣先が強い爆発を引き起こし、リザードマンを吹き飛ばした。

リザードマン「見事だ……」

無意識に編み出した新技は、リザードマンを焼き尽くしていく。
ついに勝ったのか?穂乃果は疲労と安心が重なり、その場に倒れ込んだ。

ーまきちゃんー

真姫「おおお……」花陽「倒した……」






穂乃果vsリザードマンんんんんんんん樹海
んんんんんんんんんんんんんんんんんんん
んんんんんんんんん凛んんんんんんんんん
んんんんんんんんんんんんんんんんんん絵里vs海未
まきぱな

ーvsリザードマンー

穂乃果がここに来て猛攻を始め、意地を見せる。
全体重を乗せた振り下ろしを盾で見事受け止められ、
反撃の突きをサイドステップで避けてから、足を狙ったスライディングを滑るもバックステップで避けられ……

ーまきちゃんー

真姫「今よ!」

花陽「グレイブ!!」

ーリザードマンー

バックステップをすると同時に隆起した土がリザードマンを襲う。水が付加されているため、威力もそこそこある。
ドゴォッ!
無論空中での回避策が無いまま腹に直撃し、そのまま打ち上げられた。

穂乃果(走れ、手を止めるな、諦めるな、力を入れろ、強く踏み込め、今余ってる力全部残さずぶつけろ、これが最後のチャンスと思え!!)

恐るべき加速で落下前のリザードマンに接近した。
剣と盾に守られていない胸に向けて右肩をぶつけ、剣を持っていない左手で力強く殴った。魔力、闘気を込めて思いっ切り振り上げる。

穂乃果「吼えろ!!」ドォッ

ゴスッ!!衝撃が鎧ごしにしっかり伝わる。

リザードマン「不覚!!」

渾身の一撃を喰らい、リザードマンは更に上へ吹き飛んだ。

穂乃果「だああああああああああああああああああ!!!」トンッ

続けて落下中を狙い得意のステップで距離を近付け、肩の関節が外れるくらいの勢いで剣を突き出す。鎧を貫通して剣が脇腹に突き刺さり抜けなくなったが、穂乃果は剣を引かず押し続けた。

穂乃果「一撃じゃ生温い!!」

剣を持つ右手に火の魔力が集まり、溢れ出す。グッと力を込めると、剣先が強い爆発を引き起こし、リザードマンを吹き飛ばした。

リザードマン「見事だ……」

無意識に編み出した新技は、リザードマンを焼き尽くしていく。
ついに勝ったのか?穂乃果は疲労と安心が重なり、その場に倒れ込んだ。

ーまきちゃんー

真姫「おおお……」花陽「倒した……」


ー樹海ー

幻のオトノキ村の園田家の道場では家宝としてこの短刀が仕舞われてしました。園田家全盛期の頃の家主が考えついた5つの剣技を装備者の脳に伝え、邪な生物の存在を真っ向から否定する不思議な刀剣。

5つの剣技のうち2つは考えた本人すら使うことができなかった幻の技。私自身、その剣技はまだ2つしか使えませんし、この刀の力を最大限に引き出すにはまだまだ力不足ですが、きっと全ての剣技を体得してみせます。そのために、

海未「まずは目の前の敵を片付けなくてはね。居合『閃光』」

絵里「ちいっ……!」

絵里「ホーリーランス!!」

居合抜きの体勢を取った海未に対し、苦し紛れだが魔法を出した。いくつもの光の槍が海未の下へ上空から降り注ぐ。

海未「……魔剣『絶影』」

海未は居合を止め、真っ直ぐ飛び上がり光の槍が刺さる前に姿を消した。

次に姿を見せたのは絵里の正面の空中。
海未は着地と同時に縦に一太刀浴びせるが、海未が目の前に来た時点でこの攻撃が来ると読んでいた絵里は全速力で真横にステップを踏んで避けた。

すかさず火の魔力を集中させ、炎に包まれた剣を上方向に振り、海未にヒットさせた。更にもう一度、今度は海未の背中に剣を当て、地面に叩きつけた。

絵里「爆炎剣!!」

海未「いやあっ!!」HP756→120/1106

顔から強く地面に叩きつけられ、おまけに剣がぶつかった位置の土からは小さい火柱を吹かれた。

絵里「正直、ここまでやるとは思わなかったわ」

胸ぐらを掴まれて強引に立たされ、剣の柄で首を殴られた海未はその場に崩れ落ちた。

海未「う……そ……」HP0

絵里「……ふう」

『……何もここまでやる必要ないんやない?』

絵里「希、見てたの?」

希『あんまり乱暴はいかんよ』

絵里「……わかってるでしょ?これは人を殺す仕事なの。元々、選択の余地なんてないわ」

希『そんなことせんでも、地上の仕事やっとればええやん』

絵里「だって、あいつらが……」

希『愚痴なら家で聞いたるて。ほら、はよお帰り』

絵里「……むう」

希『そんな顔せんと。帰ったらおいしい板チョコ食べよ?ほな、切るな』

絵里「……まったく」ハア

絵里(それにしても)

海未の絶影の斬撃を受けた地面を見てみる。
なんと、深く抉れている。これをまともに喰らったら確実に死ぬだろう。苦しむ暇すらなさそうだ。

絵里「ほんと、末恐ろしい」

※5つの剣技は「~剣『~~』」と、技名に「剣」が入っています。「居合『』」とかは海未ちゃんのオリジナル技。

絵里「こんなのと戦い続けてたら命がいくつあってもたりない。2度と戦いたくない相手だわ」

「待ってよ、絵里ちゃん」

絵里がその場を去ろうとした。しかし聞き覚えのある声を聞いて、足が止まる。
振り返った先には満身創痍の凛がいた。

絵里「…………凛」

凛「何してるの、絵里ちゃん?」

絵里「あなたが危ない目に遭う必要は無いわ。死ぬ前に帰りなさい」

凛「何してるのか聞いてるの。」

絵里「それを言う必要もないわ」

凛「答えて」

絵里「知ってどうするつもり?」

凛「どうもしない」

絵里「……言ったところで助けてくれないじゃない」

凛「言わないから助けてもらえないんだよ」

絵里「あなたなら何とかしてくれるっていうの?ありえない」

凛「そんなこと無い!凛だけじゃ無理でも、穂乃果ちゃん達にも相談……」

絵里「あいつの名前を出さないで!」

絵里「イライラするのよ、できないと決まっていることをやり遂げようと無駄に熱くなる奴って……!」

凛「絵里ちゃんはμ'sの何を知ってるっていうの?」

絵里「知らないわよ。知りたくもない」

凛「何も知らない人にこの努力を全否定されてたまるもんか!!」

凛「もういい。μ'sに絵里ちゃんなんていらない。」

倒れた海未を脇に抱えて、凛は穂乃果達の方に走っていった。

絵里「……何も知らないのはあんたたちよ」

ーパラミ平原ー

穂乃果「いたた……」ヨロ

真姫「大丈夫?まっすぐ立ててないじゃないの」

花陽「それにしても、様子がおかしいね」

真姫「確かに、不気味なほどに生き物の気配がしない」

花陽「あ、凛ちゃん!」

樹海から外へ走ってくる凛の姿が見えてきた。

穂乃果「よかった、無事で」

花陽「もう動いてて大丈夫なの!?」

凛「うん、傷は浅いから」

凛「……それより」

真姫「海未……」

凛「あの時戦ってた魔物がやけに強い原因を止めに行った海未ちゃんが戻って来なくて、見に行ったらやられてた」

穂乃果「海未ちゃんを早く休ませないと!急いで村に急ごう。一応、全員揃ってるよね?」

真姫「全員死にかけだけど、どうにかね。幸い、今は魔物がまったくいないから戦闘を起こさずに村へ行けるわ」

『ホノカチャン!!』

会話の途中に、空から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

穂乃果「ことりちゃんだ!こんにt」

ことり『逃げて!!』

穂乃果「え?」

ドッ!!

ことりの悲痛な叫び声とほぼ同時に大きな地震が起こり、真っ白い光が穂乃果達を包んだ。激しい閃光に思わず目を閉じる。

眩しい光が少しずつ弱まり、止んでいく。
穂乃果が目を開けて見えた光景は、魔物に支配された最低最悪の結末を迎えた世界だった。

穂乃果「………………………………何……これ…………」

空は灰色、空気は汚染され建物は全て崩れ落ち、魔物が徘徊している。

穂乃果「そうだ、みんなは……!?」

仲間は全員その場にいる。しかし、驚きのあまり声も出ないようだ。


凛「 ,#&’.!”,?`'´‥/??*&#&‘, 」パクパク
花陽「くぁwせdrftgyふじこlp」
真姫「なっ!?なっ!?なあっ!?」キョロキョロ

穂乃果(自分以上に動揺してる人がいると不思議と落ち着く法則)

ことり「間に合わなかった……!」

穂乃果「うわっことりちゃん!?」

いつの間にやらことりが実体化して傍に立っていた。

ことり「みんな、まずは落ち着いて。魔物が来る前に落ち着ける場所を探して、体勢を整えるの」

穂乃果「わ、わかった」

ことりがptに加入しました

穂乃果
Lv13→14
HP 115/1312→1396
武器
「グラム」特殊効果:レベルアップ時の能力上昇値に+補正をかける
防具
「ルーンクローク」特殊効果:魔法ダメージ軽減

海未
Lv10→11
HP 0/1106→1161
武器
「竹弓」
「短刀」特殊効果:闇属性の敵に与ダメージ+30%
防具
「なし」

真姫
Lv11→13
HP 259/1000→1098
武器
「ルーンブレード」特殊効果:魔法攻撃力+5%
防具
「革の胸当て」


Lv12→13
HP 1/1536→1600
「鉄の手甲」
防具
「なし」

花陽
Lv10→14
HP 999/999→1210
武器
「なし」
防具
「なし」

ことり
Lv8
HP 819
武器
「ブーメラン」
防具
「なし」
装飾品
「ホーリィシンボル」特殊効果:HP自動回復(微)
「タリスマン」特殊効果:物理防御力+5%


ことり「もはや惨状だよぉ」


>>99>>184「神に見放された村」終わり
>>185~「改変」

ことり「ちょっ、これ何があったの!?」

穂乃果→死にかけ
海未→死にかけ
真姫→死にかけ
凛→死にかけ

穂乃果「いやあ、はははw」
凛「はははのは~ん?」
海未「」

真姫「余裕かましてんじゃないわよ」

花陽「ちょっと強い敵と当たったんです」

ことり「それは災難だったね……」

そう言うとことりはその場にいる全員を引っ張り、自分の周りに集めた。

真姫「何してるの?」

ことり「湧き上がる命の泉よ、全てを癒せ……リザレクション!」

ことりの詠唱が終わると、暖かい光が空から降り注ぎ、穂乃果達の傷を優しく癒していった。

穂乃果「おお……」965/1396

海未612/1161(気絶)

真姫852/1098

凛1201/1600

ことり「これである程度は戦えるはずだよ」

穂乃果「ありがとう!よし……行こう」


道中、何度か魔物との戦闘を挟んで
比較的安全な建物を見つけた。

ーー

中に入ってみると、長い机と数人分の椅子が置いてあり、部屋の端には物置棚が設置されている。

真姫「やーっと一息つけるのね!」ガタッ

??「うわっ!誰よ?!」ビクッ

真姫「うわっびっくりした!」

凛「あっ!!」

穂乃果「にこちゃん……」


にこと再会しました。


にこ
Lv16
HP 1419/1419
武器
アンテニー・ダガー(特殊:敵の攻撃を防御成功してから数秒間、魔法の詠唱時間を5割短縮)
ミセリコルデ
防具
無し

凛「何してたの?」

にこ「あ、えっと、これは~……」

両手にたくさんの食糧を持っている。どこかの店にでも盗みに行ったのだろうか。知り合いがさらっと犯罪を起こしていることに気まずい空気が流れる中、穂乃果が口を開いた。

穂乃果「にこちゃん、お願い」

にこ「…………?」

穂乃果「もう穂乃果達から離れないで」

にこ「えっ?」

穂乃果「にこちゃんは1人じゃないんだよ」

にこ「何よ、突然」

穂乃果「にこちゃんは大切な仲間だから」

穂乃果「辛いことを1人で抱え込むのだけはやめて」

にこ「…………何が言いたいのかはよくわからないけど、あんたこそ何か勘違いしてない?」

穂乃果「つまり?」

にこ「まあ、その……あれよ。肩の力抜きなさい」

穂乃果「……」

にこのよくわからないフォローで会話が止んだ。

強敵との戦いから続けて海未を庇いながらの戦闘を休み無しで繰り返した穂乃果達は既に体力の限界だった。全員喋る気力も無くし、ことりがいつ現状の説明をするかタイミングを図っているうちにほとんどが寝てしまった。

ー深夜ー

穂乃果「……」

ことりがパーティに参加してから穂乃果はずっと真剣な表情をしており、笑ったりしなくなっている。

ことり「みんな寝てるけど、穂乃果ちゃんは寝なくていいの?」

穂乃果「ちょっと……眠れなくてさ。外の空気吸ってくる」


にこ「……怪しい」

ーー

建物の外へ出た。虚しいほど平面的な地形の町で、漁る物も建物もないこの一帯では、好戦的な魔物が少ない。特に夜は寝静まっているようだ。よほど騒がしくなければ怒られたり襲われたりもしないだろう。

穂乃果「はあ……」

適当な場所に倒れ込み、空を見上げる。

穂乃果(オトノキ村を出てから、何もできてない)

穂乃果(魔物との戦いじゃ攻撃に参加することがほとんどなかったし、あの強い敵も、聞けば花陽ちゃんの魔法があったからこその勝ちだってわかったし)

にこ「こんな夜中に何やってんのよ」

穂乃果「にこちゃん……」

穂乃果「ちょっと、稽古に付き合ってくれない?」


ーー

穂乃果「…………殺すくらいのつもりで来てね」

にこ「気は進まないけど、そうするわ」

穂乃果が提示したのは、本番の戦闘と同じ、殺すつもりでの本気の戦い。にこは両手に短剣を、穂乃果は長剣を握って構えた。

穂乃果「にこちゃん、ナイフを2本に増やしたんだね」

にこ「あんたこそ、あの時渡した剣使ってくれてたのね。嬉しいわ」

穂乃果「友達からもらった大切な剣だからね。っと、いきなりタイムかけてごめん。さあ、そろそろ始めよう」

ーー

まず、穂乃果は出だしに火の魔法を唱えた。

穂乃果「フレイムドライブ!」

バルバトスとの戦闘で使った魔法だ。剣先から発生した3つの火球が色んな角度からにこを襲う。

彼女は火球が追尾でなく真っ直ぐにしか飛ばないことにすぐに気付き、一つ一つの着地点や飛ぶルートを読んで、左へ走って全弾避けた。

その先には剣を持って走ってくる穂乃果の姿が。
ファイアスフィアは距離を詰める穂乃果を見えなくする目隠しだった。

穂乃果「アストラルスラッシュ!!」

にこに向けて連続の斬りを見舞い、数発掠らせた。これも完全に決まってはいない。不意打ちをかけたのにすぐに回避行動に移られた。

穂乃果(やっぱり……)

お返しと言わんばかりに、にこが右手の短剣を強く握りしめて穂乃果を右斜め下に振り下ろした。

にこ「…………?」

穂乃果(ああ、にこちゃんも本気だ。戦場を「知って」る。しかも、普通に近接戦闘も強い。駄目だ、勝てない)

避けようともせず、直撃する。穂乃果は全身の力を抜き、へたりこんだ。

にこ「穂乃果、王手」チャッ

穂乃果「参りました」

ーー

にこ「本気の勝負って言ったのはあんたじゃないの、そのあんたがまっ先にヘタれこんじゃ意味ないじゃない。で?何に悩んでるの?」

穂乃果「えー、恥ずかしくて言いたくないなあ。お姉ちゃんのにこちゃんならわかるんじゃない?(いやしかし、この穂乃果の気持ちを悩みと見抜くあたり流石にこちゃんだね)」

にこ「何でにこの家庭環境知ってるのよ……まあいいわ。そうねえ……あんたのその様子からして、『自分が皆からしたらいらない子なんじゃないか』って思ってるとか?」

穂乃果「い”っ」
リ;`・ヮ(#∑☆三ギクゥ

にこ「図星ね」

にこ「要するに自信喪失ね、面倒な症状だわ」

穂乃果「症状て」

穂乃果「…………にこちゃん、穂乃果は確かめたい。穂乃果はμ'sに必要なのかな?」

にこ「そのμ'sってのがあんたにとってどんなものなのかはわからない。でも、誰か一人でもあんたに力を借りたがってるってんなら、それだけで充分よ」

穂乃果「穂乃果に……力を……」

にこ「それとも、あんたはその仲間を放って、今すぐ誰よりも強くなりたいっていうの?」

穂乃果「ううん、穂乃果はみんなを守りたい……つもりだったけど、もしかしたら違うかも。正直、一番守りたいのは穂乃果の居場所かもしれない」

にこ「それはみんなそうよ。当たり前なの。自分を否定されたくないから、必死に自分を守る場所を作ったり守ったりするのよ」

穂乃果「その場所を無くさないために、穂乃果はμ'sの一番の前衛になりたい。今は無理でも、いつか凛ちゃんも真姫ちゃんもにこちゃんもみーんなぶっ飛ばしてみせるんだから」

にこ「言ってくれるじゃない。まあ、普通はそうなるでしょうね。みんな必死なのよ。今言った『自分を守る場所』の中から出されたくないから、出されないようにその中で強くなる。」

にこ「他人を蹴落とすことになるけど、仕方ない。何も傷つけずに願いを叶えようなんて、心が贅沢だからできるのよ」

穂乃果「でも、本当になれるのかな?穂乃果1人じゃ強くなれてないし、誰にも勝ててない。世界中の強者を知って、穂乃果の想いや実力がちっぽけだって思い知らされた。」

にこ「世界を知れば自らの小ささもわかる。そこから人はまた成長する
のよ」

穂乃果「そこから……」

穂乃果「最近強い敵と当たってばかりなんだけど、穂乃果はその強敵を全部倒せるほど成長できるかな?むしろ頑張り時はこれからなのかな?」

にこ「そうでしょうね」

穂乃果「何かごめんね、弱音吐いてばかりで。聞いてくれてありがとう」

にこ「これくらいどうってことないわ。人生の先輩からのアドバイスよ」

ーー

二人は話を終えて建物の中に戻った。穂乃果はすぐに寝たらしい。
寝ている全員ににこが適当な布を被せていく。

にこ「みんなは寝たみたいね。でも、あんたは起きてるんでしょ」

ことり「安心できる状況じゃないからね」

にこ「見張り番ならにこがやるわ。あんたは寝てなさい」

ことり「一人でいいの?」

にこ「代わってほしかったら起こすわ」

ことり「でも眠れないからいいよ」

にこ「そう?奇遇ね」

ことり「……」
にこ「……」

ことり「にこちゃんはどうして闇魔法を覚えてるの?」

にこ「それ、闇属性の象徴を知ってて聞いてるの?」

ことり「駄目かな?」

にこ「聞いても面白くなんてないけど……」

ーー

にこがaの世界から飛ばされた場所は、リーネ村だった。
海未と同じ様に、にこの戦死報告を受けていた村人はひたすら喜んだ。
記憶がないというにこは、しばらく村の畑仕事の手伝いを続けていく。
妹と弟もおり、そこそこ幸せに暮らしていた。

ある日……

おばさん「げっ、魔物だよ」

にこ「わあ、本当にあんな生き物いたのね」

ここあ「ええ、恐ろしいものです」

にこが家の中から見ているのは、とかげが人の体を呈しているような化け物。胸当てを付け、片手剣を持つ「ドラゴニュート」という上位の魔物だ。

今はなぜか田舎に来て畑を荒らしているが、本来なら彼がrpgの隠しダンジョンにいるくらいのふざけた強さであることを知る人間はその場に誰もいない。

ここあ「こころ、虎太郎、行きましょう」スチャッ

おばさん「あー、待ちな。ここはにこちゃん、やってみるかい?」

にこ「え?」

おばさん「この村に魔物が来た時は、誰かが率先して村から追い出すんだよ」

おばさん「少子化が進んでて、次の代の代表者をにこちゃんにするって数年前に決めたから、今の内に色んな作業に慣れといてほしいんだ」

にこ「わかったわ」

鍬を持ってたら外に出た。

にこ「なかなか迫力のある化け物ね……」オソルオソル

にこがある程度接近すると、ドラゴニュートがにこに気づいた。

にこ「う~わ~……う~わあああぁぁ~……こっわいわねえ」

ドラゴニュート「矢澤にこ、やはりここにいたか!」

にこ「へ!?」

右手の人差し指に力を込めて魔法の詠唱を始めた。

にこ「な、何よ……いきなり叫び出したかと思ったら黙り込んで何してんのよこいつ」

にこ(何かやばそうだし、逃げ……)

ドラゴニュート「ディバインセイバー!!」

村全体を囲って円の形の枠が浮き上がり、枠の外部から中心にかけて収束していく聖なる雷が村全てを巻き込んでにこを襲う。結構な速さで迫って来た。

にこ「うそ……こんなの……聞いてないっ!」

あわやと思われたその時、にこを光の壁がドーム状に囲みだした。
壁の中は真っ暗で、雷の轟音だけが聞こえてくる。

にこ「何?何が起こってるってのよ?!」

にこ「出しなさいよ!!」

にこ「みんなを助けなきゃ……っ」バンバン

にこ「開いてよ……!!」ドンドンッ

ーー

にこ「しばらくして壁が消えたと思ったら、消し飛んでたのよ」

にこ「何もかも……」

ことり(にこちゃんの存在を知って来たのかな?だとしたら、何かしら情報が魔物側に漏れたのか、それとも未来からにこちゃんを殺そうと改変に来たのか……)

にこ「ね。こんな話聞いたところで空気が重くなるだけだったでしょ?」

にこ「吐きそう……思い出すだけで気分悪くなるわ。話題変えましょ」

ことり「じゃあ、構わず変えるよ」

にこ「どうぞ」

ことり「にこちゃんは穂乃果ちゃんと一緒に来る気、ない?」

にこ「そうねえ……あいつのこと嫌いじゃないし、別にいいけど」

ことり「え?本当!?」バッ

にこ「な、何よ急に」

ことり「ううん、何でもないっ」

それから話題を転々と変え、二人は朝まで喋っていた。


チュンチュン……⊂( ・ 8 ・ )⊃


穂乃果「ふえぇーい……」ムクッ

ことり「お、早いね」

にこ「あ、起きた」

凛「凛のラーメン!!!」ガバッ
花陽「ご飯の時間です……」ムクリ
真姫「何よ騒がしいわね……」ムクーリ

海未「おはようございます。トッリ冷えてますか……」フワア

ことり「あ、海未ちゃん起きた?」

海未「私が倒れた後、絢瀬絵里はどこへ行きましたか?」

凛「知らない」

海未「そう……」

ーー

ことり「……食糧が」

凛「無いっ」

海未「無いなら仕方ありませんね」

穂乃果(パンが恋しい……)

ことり「さて。みんな座って」

花陽「なにかするの?」

ことり「現状を把握してほしいの」

穂乃果「あれ?じゃあにこちゃんにμ'sのことは……」

ことり「夜、話しておいたよ」

にこ「今までやったこと全部聞いたわ」

凛「いつの間に……」

ことり「でね、実は……」

1.これ魔王の仕業なんです

ことり「自分を倒す可能性のある勇者がたくさんでてきたから、人間と魔物を別の世界に飛ばしたの。私達は『a世界のμ'sが来ないまま魔物に支配された世界』に飛んだの」

凛「え?じゃあ凛達が来なかったら、昨日までいたあの世界も魔物に滅ぼされてたってこと?」

ことり「うん。多分、μ'sが復活してることが魔王を慎重にさせたんだね」

凛「ヒエエ」


2.私が実体化してるのはですね……
ことり「天界にいる人間も飛ばされたんだけど、『別の世界の地上に』追い出されたから、ことりみたいに死んだ人も普通にいるの」


3.死んだ人について
ことり「死んでる人も生きてる人と同じ、痛みとかを感じて普通に活動できます。ただし、死んでる人がまた殺されたりしたら、その存在そのものが消えるから二度は死ねないんだ」


4.飛ばされた生き物
ことり「みんなばらばらです。人も魔物もランダムに飛びました」


5.なぜそんなことを知っているのか
ことり「実は、事前に魔王から説明があったの。」

穂乃果「説明?」

ことり「うん。こうしてやるから覚悟しとけー!って」

真姫「犯行予告ね」


6.これからどうすればいいの?
ことり「そろそろ魔王からルール説明が来るはず」

真姫「そんなこともわかるの?」

ことり「魔王が『こういうゲームです』って、開始時間とか色々詳しく教えてくれたんだよ」

ことり「さ、そろそろ静かにしようか

㌧……コツコツッアーマイクテスマイクテス

にこ(マイク……)

魔王『全世界の人間共、初めまして。私こそが魔王だ』

穂乃果「魔王……っ!」

魔王『予測不可能な事態に陥り混乱状態だろうが、落ち着いて聞いてくれ。これはゲームだ』

魔王『今、私のいる世界を「魔界」と名付けよう。』


花陽「あの、魔王が言ってる魔界って昨日までいたb世界のことだよね」

真姫「そうじゃない?」


魔王『魔界には打倒魔王を掲げる勇敢な戦士がたくさんいた。彼らが束となっては流石の私も不利だと思った。そこで。』

魔王『魔界にいる生き物全てに別の世界へ飛んでいただいた。つまり、今、魔界にいるのは私だけということだ。ちなみに、誰がどの世界へ飛んだかは知らない』

魔王『ここまで勿体ぶって何が言いたいのかというと、「魔王と戦えるのは見事魔界へ帰ることができた者だけ」ということだ。』

魔王『元々、世界を行き来できる実力者などほとんどいない。選りすぐりの戦士を手っ取り早く集めることができるだろう』


海未「魔王と戦えるのはよほど強い人のみ、ということですか……」


魔王『一年以内に私を殺すことができればゲームは人間の勝ち、私の死と同時に全ての生き物が魔界に帰れる。逆にできなければ……一年通過と同時に魔界から別世界へ飛んだ人間全てがはじけ飛んで死ぬ』

魔王『人間共の中に私を超える猛者が混じっていることを期待しよう……では、さらば』


真姫「声が止まったわね」

にこ「放送はこれで終わりかしら」

真姫「そうみたいね」

凛「簡単にまとめると何をすればいいのかにゃ?」

ことり「一年以内にあの世界に帰って魔王を倒すことだね」

花陽「でも、帰るにはどうすればいいのでしょうか」

ことり「神器、だね」

ことり「天候操作とか時間移動とか基本的に人間離れしたことは神器が無いとできないんだ(神様も例外ではない)。そして、神器は天界にある」

海未「となると、最初の目的は天界を探すことですね」

穂乃果「その天界に行く方法をどうやって見つけるから、だね」

ことり「実は魔王からの犯行予告の後、地上から天界に行く方法を調べといたの。どの世界にも『光の祠』っていう場所があって、そこで試練を乗り越えると天界に行けるらしいの」

ことり「ちなみに、光の祠はどの世界でも『首都ライフィ』にしかないよ」

真姫「ライフィね。で、現在地は?」

┐(・8・)┌

真姫「わからないのね……」

凛「ええええー」

にこ「わからないんなら手当り次第当たればいいわ」

海未「では、行きましょうか」

ズラズラ

待ってる。続きはよ

イケメン金髪王子須賀京太郎様に処女膜を捧げる女勇者の穂乃果ちゃん早よ

穂乃果「にこちゃん」

オナカスイタニャー ハナヨモ

にこ「ん?」

穂乃果「すごく自然に溶け込んでたし皆も気にしてないみたいだったから気になったんだけど、もしかして一緒に来てくれるの?」

にこ「だめかしら?」

穂乃果「ううん、ただの確認。にこちゃんなら来てくれるってわかってたし、これ以上にこちゃんを一人にはできないからね」

にこ「頼もしい奴。でも一番強くて可愛いにこちゃんがみんなまとめて引っ張っていっちゃうんだから!」
にこ「……危なくなったらにこのこと、支えてよね?一緒に考えてよね?」

穂乃果「? うん」キョトン

二人も外に出た。

ーー

穂乃果「壊れた建物、そこら中をうろつく魔物、砂漠みたいな土。改めて見ると」

海未「荒れていますね」

真姫「まさに荒廃した世界って感じね」

凛「気が滅入るにゃ~」

花陽「運が悪かったら、光の祠を見つけるまでに世界一周するはめになるんですね……」

にこ「何だっていいわ。魔王をぶっ飛ばしゃいいんだから。さ、行きましょ!」フンスッ

ことり「ありゃ、先に行っちゃった」

海未「全員スルーしていましたが、やはり同行するんですね」

真姫「面倒くさいわねぇ…………」

凛「でも真姫ちゃん、ちょっと嬉しそう~?」ニヤニヤ

真姫「くぬっ…………そんなわけ!」

凛「顔真っ赤にゃああああああああwwwwwwwww」ダッ

真姫「待ちなさい!!」ダッ

海未「…………喧嘩の中に平和を感じますね」

穂乃果「うん」

花陽「笑える状況じゃないけど、何だか緊張が解けるね」

ー小屋ー

まず最初に辿りついたのはあの時、b世界の三人と過ごした小屋だった。

穂乃果「方角的には……南から来たから、穂乃果達のスタート地点は真姫ちゃんと会った時の廃村かな」

真姫「連想して思い出したんだけど。あの化け猫、次こそぶちのめすわよ」

穂乃果「当然!!」

穂乃果「…………ここから、また始まるんだ」

ーオトノキ村ー

海未(穂乃果の机の引き出しに枯れ果てた虫の死体がいっぱい放置してある……旅立つ前から闇魔法をほぼ無限に使える状態にしていたのですね。それにしても、狐の過去だけでなく穂乃果と私の過去も一緒に見てしまうとは。神器の残留思念とやらは相当見える範囲が広いのでは……?)

ーパラミ平原ー

海未「ここも誰もいませんね」

穂乃果「この世界に飛ばされた人間は意外と少ないのかも?」

ーリーネ村ー

凛「収穫は無し、と」

花陽「お米があるので充分!です」

海未「さて、次は……」

真姫「リーネ村までしか道は知らないから、ここから先は完全に未知の世界ね」

穂乃果「さあ、次だよ!」

ーハクナギの森ー

パラミ平原と真反対の方角的には恐ろしい広さの森がある。
殺風景だった平原とは打って変わり、どこを見ても木しかない。

凛「あっついにゃあ~!」

にこ「これはちょっと気が滅入るわ……」

穂乃果「それでも進むしかないんだよねー」

海未「熱いと言うから熱いんですよ。心頭滅却すれば?はい、凛!」

凛「虚しい」

にこ「涼しくなりなさいよ」

ことり「ことりもちょっとそこまでする気力が無いかな」

穂乃果「うん、無理」

海未「じゃあ私一人だけでもしておきます」スンッ

穂乃果「海未ちゃんのその顔怖い」

一同は歩き出した。草をかき分けて進んでいくうちに、凛がこんな物を見つける。

凛「大きいきのこだ」

穂乃果「真っ赤でおいしそう……」

にこ「ルグニカオオ紅テングダケ」

ことり「え?」

にこ「このきのこの名前よ。胞子を吸うと物の色が間違って見えたり、魔法が封じられたりして何気に厄介なのよ」

海未「詳しいですね」

にこ「その症状はきのこ本体から離れて少し休めばすぐ治るわ……」

にこ「症状は軽いの……」

花陽「にしては、ちょっと顔が怖いね?にこちゃん」

穂乃果「他にまずいことがあるの?」

にこ「あるわ。周りをよく見て」

凛「同じきのこがいっぱい!生えて……るんじゃなく、置いてあるね」

にこ「ルグニカオオ紅テングダケを主食とする魔物『ワイバーン』の備蓄ね。それはいいのよ。問題は……」

にこ「ワイバーンが強くて凶暴ってことよ。だから、そいつが戻って来たりしたら大変な戦闘になるからすぐにここから……」

ワイバーン「」ジロリ

にこ「」

花陽「」

ことり「」

穂乃果「」

凛「」

海未「」

「「「「「「うわああああああああああああ!!」」」」」」ダッシュ

ワイバーン「キエアアアアアア!?」ビクッ


花陽「わあああーー!!怒って追いかけて来ます!!」

にこ「全速力で走りなさい!人間と同じように二足歩行で右手左手を使いこなすから近接戦闘じゃ勝ち目はないわ!!」

凛・海未・ことり「うわわわっ!」ダッ

にこ「ちょっ、あんたら走るの速っ!?」

巨大な翼を羽ばたかせたワイバーンに追われる中、凛と海未とことりはにこ達と差をつけて逃げ切ってしまった。

花陽「いたっ!」ズコー

にこ「花陽!」


花陽が木の根元に足を引っ掛けて転んだ。にこと穂乃果は立ち止まり、ワイバーンから逃げ切るのを諦めてそれぞれ戦闘態勢に入る。

止まった獲物を視認し、ワイバーンも地面に降り立つ。

花陽「ごめんなさい……っ」

穂乃果(今の転び方からして多分、足捻ってる……まずい)

空中よりも地上での生活が長かったのか、とても筋肉質だ。地面に足をつけただけで物凄い衝撃と砂埃がにこ達の視覚を妨害する。

にこ「花陽はゆっくりでいいから今すぐ逃げなさい!反省なら後でやってよね!」

花陽「でも、」

早速、接近してきた。ワイバーンは長ったらしい尻尾を真横に振るう。
にこは花陽を抱えて穂乃果の肩から木の枝に乗り移り、穂乃果は真上に跳んで避けた。

にこ「あんたがそこでトロトロしてる間に私達が死んだらどうすんの?その足じゃ逃げ切れないんだから、今の内に距離稼ぐ!ほら!」

穂乃果「人生、選択肢がたくさんあるし現に残って戦うか逃げるかの選択が求められてるけども。少なくとも後悔だけはしないように選んでね」

花陽「う……わかった……」

木から降りて花陽を置いた。花陽が早歩きで凛達を追いかけていくのを見送って、二人はワイバーンと睨み合う。

穂乃果「……花陽ちゃんが逃げるまでのやり取りを黙って見てたね、あいつ。王者の余裕ってやつかな」

にこ「また肩乗っちゃったわ。ごめん」

穂乃果「いいって。それにしてもあいつの尻尾凄いね。地面に垂らしてても高さ1mはありそう」

にこ「攻撃範囲だけでも充分反則だわ」

穂乃果「次の攻撃は受け止めて威力を見てみようか」

にこ「オッケー!にこが受け止めるわ」

次は右手を大きく振りかぶった。

そのままワイバーンの力強い振り下ろしをにこが受け止めた。攻撃が当たる箇所に両手の短剣を交差して防御を一点に集中させ、更に穂乃果が後ろからにこを押して支えている。


鋭い爪と短剣の刀身が上手くぶつかった。後は耐えるのみ。

にこ「くぬっううぅ!」ミシミシ
穂乃果「っだああぁ!!」

重たい。二人がかりでも耐えることはできず、力に押し切られて二人とも吹き飛ばされた。

にこ「くっ…………はあっ!」

辛うじて受身を取って転ばなかったにこが
アンテニー・ダガーの詠唱加速効果でシャドウブラストを唱え、反撃。
(防御を崩されても受身や反撃などの対処をできれば防御は成功判定)

魔界からの突風がワイバーンの全身を切り裂き、わずかながらダメージを与えているようだ。

穂乃果「何てこったい」ゼエハア

にこ「よく見ると、硬い鱗が覆ってるわ。そんでもって一撃で防御を簡単にぶち壊すあの重たさ……攻守ともに隙がないシンプルで厄介な強さね」

穂乃果
HP 1266/1396

にこ
HP 1309/1419

今度は高く飛び上がり、前逆さま宙返り3回半抱え型で落下の勢いをつけて尻尾を強く振り下ろす。

にこ「うわっ!」

ドッスーン

直撃を紙一重で避けるも、衝撃で大きく吹き飛ばされた。

穂乃果「う……いたたたた」

にこ「短距離走できそうなくらい飛んだわね……痛いわぁ」
にこ「……」チラ

にこ「花陽はもういないわ。何なら、皆とは別方向に逃げて撒いてもいいのよ」

穂乃果「面倒だからいいよ。ここで倒すのが一番簡単だって」

にこ「あんたらしいわね。来るわよ!」

ワイバーンが口から火の球を吐いてきた。
転がって避けたが、テニスで馬鹿打ちでもしたような速さだった。
少しでも油断したら直撃は免れない。

にこ「突撃よ!」

二人が走り出した。ワイバーンは火を吐き続ける。
火が分裂してそれぞれに襲うが、ジグザグに走って的をずらすことで連続で避けた。

二人があと少しで物理攻撃を仕掛けることができるという距離でワイバーンが思いっきり息を吸い、一段と気合の入った火を吹いた。

穂乃果「あっつ!?」

それは弾幕ではなく壁となり、二人の進行を妨げる。
二人を怯ませた隙に火の玉をまた二人に新しい火を吐いた。

穂乃果「しまっ……!」

にこ「! 危ない!!」バッ

穂乃果を庇い、にこの胸に二発直撃した。

にこ「っっ!」HP1309→906→506/1419

にこはその場で倒れ込む。

穂乃果「にこちゃん!」

にこ「大丈夫……多分」ガハッ

『反省なら後でしてよね!』
穂乃果「………………今は一つのミス気にしてる間に死ぬよね」

ワイバーンが殴り合える距離まで近付いてきて、右腕を真横に降る。穂乃果はしゃがんで避け、そのままの体制で土を握ってワイバーンの目にかけた。

ワイバーン「!?」

穂乃果(当たった!)

足に力を込めて飛び上がり、怯んだ所をアッパーのような動作で切り上げた。剣が当たったのは腹から首まで。
見たところ、傷はほとんどない。痛そうな反応もしていない。

穂乃果「硬い……!」

着地と同時に後ろに飛び退いて距離を取る。
続けて前宙し、その勢いを利用して剣を強く振り下ろした。

穂乃果「かったい!!」ガキッ

今度も攻撃は効かなかった。もはや斬るというより叩いているようだ。

穂乃果(今の本気の攻撃を弾かれて確信した、今の実力じゃあどんなに強力な物理攻撃も効かない。となると、頼みの綱は魔法……)

先ほどのシャドウブラストの時に見せたにこの高速詠唱なら……
そう思い、ワイバーンと再び距離を取って周りを見回してみるも
にこが見当たらない。

穂乃果「え、何で!?」

隙を見てワイバーンが羽を羽ばたかせて突風を作り出す。
穂乃果はあっさり吹き飛ばされ、木の幹に背中が強く衝突した。

穂乃果「がっは!!(しまった……!)」HP1266→1145/1396

更に追撃、次に穂乃果を襲うのは炎弾だった。
木にぶつかって倒れている間には既に吐かれ、穂乃果が立ち上がる前に捉えた。

穂乃果「うわああああああ!!」HP1145→309/1396

買ったばかりのルーンクロークが焦げている。
熱さのあまりどこに喰らったのかよくわからない。服が焦げている場所からして、腹に直撃か。

穂乃果(まずい……立つ前にこのまま次の攻撃に移られたら確実に死ぬ)

穂乃果「まだ……やれる!」ヨロ

このままでは負けるとわかっていても、戦う意志を見せる。ワイバーンはその覚悟を認め、戦闘を続けることにした。

剣を腰の高さで横向きに倒して両手で構える。
力がほとんど入らない。こんな状態でまともに攻撃を避けたりはできないし、歩くだけでも負担が強いだろう。

穂乃果(1歩も動かず楽して攻撃するには魔法かな)

目を閉じて全神経を魔力に集中させて、火魔法の詠唱を進めていく。
しかしワイバーンは待ってくれない。もう一度火を吐いてきた。
穂乃果は詠唱を終了させ、火球発射と同時に倒れて避ける。

穂乃果(痛い)ドシャアア

穂乃果が飛ばした火はワイバーンの開いたままの口内に突撃した。

穂乃果「これがほんとの口内炎ってね」ヘヘヘ

更に次の瞬間、穂乃果のすぐ真上で闇の魔法が発動する。

??「ブラックスピア!!」

それは悶え苦しんでいるワイバーンに向かい、飛んでいく何本もの槍。

ワイバーン「ギャアアアアアアア!!」グサグサグサグサリ

槍は鱗を貫いて大ダメージを与えたようだが、まだ生きている。

穂乃果「このままじゃまだ倒せてない、そしたら負ける……どうすれば?」
穂乃果「!!」ヒラメキーノ

穂乃果は最後の力を振り絞ってワイバーンの近くまで走り出した。
ワイバーンに当たらず地面に刺さった槍を引き抜き、逆手に持って刺そうとしたが、それに気付いた彼は苦しみながらもすかさず尻尾で周囲を薙ぎ払う。

穂乃果「ぬっぐあぁ!!」

すぐにそう感づいた穂乃果は思いっきり高く跳んで尻尾を避け、ワイバーンに向けて槍を投げた。穂乃果は足で着地する余力が無くなり、背中から落ちる。

穂乃果「ぐえっ!」ドサリ
穂乃果「敵は…………?」
穂乃果「………………倒せた、かな」フウ

投げた槍は喉から入って背中から貫かれており、ワイバーンは立ったまま動かなくなっていた。どうにか勝ったかもしれない。とはいっても実力以前に元々の身体能力の差が大きすぎて、勝てたのが奇跡と言えるくらいだ。

穂乃果(ターン制のrpgなら3ターンまでに負けそう)
穂乃果(さて。さっきの闇魔法は多分……)

穂乃果「にこちゃんだよね、勝てたよ」

にこ「マジ?」ガサッ

にこが木から降りてきた。

穂乃果「あー、木の枝に乗ってたんだ」

にこ「物理攻撃は通らないみたいだから隠れて上手いこと魔法で援護したつもりだったけど、そこまで撃てなかったわ」

穂乃果「ううん、助かった!しかも新技まで身に付けちゃったね」

にこ「ま、やるときゃやるって。さて、これからどうしようか」

穂乃果「このまま待っててもどうにもならない、適当にすすもう!」テクテク

にこ「ちょっ、待ちなさい!」

この後、穂乃果はにことはぐれたことに気付かずどんどん進み、元いた場所からは随分離れてしまった。その場で待機していたにこは二人を探しに戻って来た花陽達と合流し、穂乃果を探してまた適当に進み出した。


ーずっと東の方向ー

穂乃果「あ、あれ?にこちゃんは?」

ーー

各キャラの能力値が上がりました。

穂乃果
Lv14→16
HP /1396→1500

にこ
Lv16→17
HP /1419→1465


アストラルスマッシュ(穂乃果)

魔法
ブラックスピア(にこ)

魔技
デモンズランス(穂乃果、にこ)



※これから穂乃果サイド、凛サイドに別れます。
メインは穂乃果サイドです。

それぞれの進行方向
凛サイド:北
穂乃果サイド:東
にこ(これといってやりたいこともないので凛サイドと合流):北
?:東
?:東

ー穂乃果サイドー

何も考えず東に向かって歩き続けてきた結果、当然の結果ではあるが、はぐれてしまった。

何度か魔物を退けているうちに森を抜けてしまったようだ。その先には知らない街がある。ここの被害はほかの街や村ほど酷くはない。魔物はほとんどおらず、人もぼちぼちいる。

穂乃果「まさか、ここって……」
穂乃果「どっち?」

海未から聞いたことりの回想の終盤では、絵里とことりでスノーホワイトに来た。首都ライフィだけでなくスノーホワイトもどんな場所にあるのかは知らない。この街がスノーホワイトかライフィなのだろう。

結局、このままでは誰かが欠けている状態が続く。ハクナギ森に戻るか、ここで情報収集や装備の新調をするか。森に戻って合流を優先してもいいが、合流できる前に魔物に殺される可能性が高い。

穂乃果「もう夕方だし休みたい、今日はここに泊まろう………………」

ー宿の個室ー

どうやら大きい民家の残骸を再利用して宿にしているらしい。個室が驚くほど多い。元々宿として使っていたりしたのだろうか。

穂乃果「宿、かあ」

穂乃果「そういえば、別世界に飛んで何日経ったのかな。もう数えるのも手間かかるや」

穂乃果「……みんなどうしてるんだろう。やっぱり、元の世界の時間もこっちと一緒に進んでるのかな」

ー翌日ー

穂乃果(すぐに部屋を追い出された……)

穂乃果(広い街だなあ。まずは何を調べようか)

ほのメモ

1.人について
魔界から飛ばされた人が多いらしく、元々この世界で生き延びていた人は少ない。ちなみに、「実力を持ったかしこい馬鹿」がこの街にいるんだとか。「かしこい」の時点で何となく想像はついちゃうね

2.ここはどこか
首都ライフィでした!

3.街はどんな状態か
そこそこの活気があり、どの店も機能している。みんな魔王を倒す気満々だ。裏切り者認定されていた穂乃果も戦力として期待されているみたい。というか身バレした!どうしよう海未ちゃん(> <)

4.光の祠
割と普通にある。ただ、天界の神器から元の世界に戻れることを誰も知らないみたいだからほとんど使われてないと思うよ。

5.光の祠の試練の内容
「天界で最強の戦士である絢瀬絵里に実力を認めてもらう」
これは行くっきゃないよね?

ー光の祠ー

穂乃果「殺風景だあ」

なかなか規模が小さい祠で、余計な物が一切置かれていない。
人が何人かいるみたいだが、ここで試練を行うのだろうか?

穂乃果(何が起こってるんだろ?周りの人に話聞いてみようかな)




穂乃果「ねえ、君」

すぐ近くにいた少年に話しかけた。緑の髪色で、刺々しい髪型だ。右腕に何やら黄色い巻き物をしている…………?

「ん?何だ?」

穂乃果「ここで天界に行く試練があるの?」

「ああ、そうみたいだな。多分」

穂乃果「多分……」
「ああ、多分」

穂乃果「いっぱい人がいるけど、試練の時にはいつもこれくらいいるの?」

「いや、こんなにいなかったと思うぞ」

穂乃果「いつもはどれくらい?」

「知らん。」ドーン

穂乃果「…………うん。今日は何があったの?」

穂乃果「…………うん。今日は何があったの?」

「………………!あんた、知らねーで来たのか。じゃあ、よく聞いてくれ」

少年は無気力な表情をしていたが、突然、真剣な顔になった。

「これから、天界で人が殺されるらしい……」

穂乃果「え!?」

「何でも、神器を借りて魔界に戻ろうとした奴を捕まえて処刑にするとか何とか」

穂乃果「は!?」

「世界を元通りにしようと頑張ってる奴を無慈悲にも罪人扱いだぞ!?許せん…………!あんたもそう思うだろ!?」

穂乃果「もちろん!!」

「だよな!あんたとは気が合いそうだ!」

穂乃果「そうだ、処刑までの時間は!?」

「少なくとも今日じゃないと思う!今から試練に合格すれば間に合うぜ!」

穂乃果「よーし、絶対阻止する!そんで魔界に行く!」

「おうよ!!」


『あーあー、光の祠の皆さん!僕の声が聞こえているかな?』


どこかからか声が聞こえてきた。声の主は見えない。

穂乃果「……!試練の時間かな」

『これから、天界行きの試練の説明をするよ』

『試練の内容は非常に単純だ。天界で最強の剣士と名高い絢瀬絵里を倒す』

『では早速、皆さんを会場まで送ります』

穂乃果「え?」

あまりにもいい加減な説明に戸惑っている間にその場にいる全員を光が包み、消し去った。

ぶっちゃけテイルズとうえきクロスしたのにすごく後悔している
もしかしたらエタって別の設定でやり直すかもしれない

※穂乃果サイドを1度区切ります

ー凛サイドー

凛「っはあああああああぁ……」

凛「歩いても歩いても木、木、木。もういい加減見飽きたにゃ」

ワイバーンから逃げ出して少し時間が経ち、走ってきた道を戻っていたころだ。花陽とは合流したばかり。

花陽からは穂乃果とにこが戦闘をしていることを聞き、その場所に向かってみて合流できたのはにこのみ。

にこいわく「ワイバーンを倒した後、穂乃果が勝手にどこかへ行った」
とのこと。それを聞いた全員で穂乃果を探しているところだ。

凛「ねえ、あれから何時間歩き続けてるのさ!?いい加減疲れたよ!」

海未「無駄口を叩けるくらい元気じゃないですか……」

ことり「……」
花陽「……」ハア
にこ「……」

凛「み、みんな顔が怖いにゃあ……もっとこう、笑おうよー!ね、真姫ちゃん!」

凛「…………ん?」

凛「真姫ちゃん?」

にこ「あら、いないわね」

ことり「あー、どこかではぐれたのかな?」

花陽「探しましょう」

海未「仕方ありませんね」

凛「あ"あ"あ"あ"!!」

にこ「うるさい」



書き溜めしてから投下してるんですが、pcとタブレットがその書き溜めのデータごと壊れました
ぶっちゃけ最悪のタイミングですがもう少しだけやります

それから凛達は数時間歩き続けた。何度か森の出口に辿り着いたが、穂乃果と真姫がまだ森に残っている可能性を捨てきれず、
引き返した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー

凛「…ねえ、そろそろ疲れない?」

にこ「そう、ね」

花陽「だんだん暗くなってきたし、今日は野宿かな」

海未「確かに歩き通しですね。探している私達が倒れたら元も子もありませんし。みなさんはどうしたいですか?」

ことり「海未ちゃんに任せる」
凛「うん」
にこ「右に同じ」
花陽「じゃあ私も」

海未「この自主性の無さよ」

海未「…わかりました、今日はここで野宿です」

にこ「んーでも、経験者はこの中にいるの?」

ことり「ことりは飲食の必要が無かったからなあ、食べることも久しぶり」

花陽「料理くらいならできるけど、環境が環境なので…」

凛「…」スッ

海未「食糧なら…うーん…」

海未「無いです」

にこ「えっ」

海未「恐らく穂乃果のせいかと…今朝、すっごい食べてましたし」

にこ「んがあーーっ!!」
ーーーーー
ーーーー
ーーー

凛「…」ガサガサ

ことり「かよちゃん」

花陽「ん?」

ことり「凛ちゃんの様子が変だよ」

トリ漏れするかも。したらまた新しく作ります

凛「ふうー……」スッ

軽く息をついた凛は手甲を装着し、どこかへ歩いていってしまった。

ことり「追いかけてみる?」

花陽「>>227」


花陽の台詞を選んで下さい(軽くストーリー分岐)
選択肢
1→「もちろん」
2→「私は遠慮します…」
3→「そんなことよりご飯です!」

この3つ以外は無視します

三日間こなかったら適当に選んで進めます

1で

花陽「もち」

ーーー
ーー


ことり「何をしに行くんだろ…」

花陽「親友の私に隠し事はさせないぞっ!」プンスコ

ことり「前から思ってたけどかよちゃん、思ってること割りとガンガン言うね」

ーーーー
ーーー
ーー

花陽「……長いね」

ことり「まだ歩くのかな、もう10分は経つけど」

花陽「迷ったらどうしようか」

ことり「凛ちゃん一人に迷わせるよか良いと思います」

花陽「確かに」ケラケラ

凛「……ふっ」ザッ

ことぱな(笑いだした!)

凛「ぶえくしっ!」

ことぱな「」

ーーー

凛の後をつけ続けた二人は、途中途中で猫の死体や不気味な人形を見かけた。
人が捨てたものだと思ってあまり見ない様に進んで行く。
それからしばらく歩いた先に、一基の墓がぽつんと設置されていた。

二人は草木に身を潜めたまま、墓の前に立った凛を見ていると…

凛「そこかっ!」

ピュッ
カスッ


突然こちらに振り向き、ナイフを投げられた。ことりの
頬をかすって木に刺さっている。

ことり「ヒエエ」

花陽「のわあああああああぁ!!」
ことり「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

凛「あれっ?何でかよちんとことりちゃん?」

ーーー

凛「何だ、二人共ついて来てたんだ…」

ことり「ごめん…好奇心が行けと」

凛「今は凛に近寄らない方が良いと思うにゃ~」

花陽「え、それどういう…?」

凛「こういうことさ!」ビュッ

二度目のナイフ投げ。
近くに魔物が潜んでいたらしく、ナイフが刺さって即死した。

ことり「おおおお…お見事」

よほど練習したのだろう。見事に額を貫いている。

凛「最近、凛をピンポイントで狙う魔物が急増してるんだよね~」

花陽「まさか、それで気を遣って一人だけ離れr」

凛「違う違う!原因をつぶしに来たの」

凛「……人間を辞めて、ね」

凛「心配ないよ、姿形は変わらないから」

花陽「そうじゃなくて!」

ことり「どういうこと!?」

凛「…」

凛「もしかしたら凛、猫又かもしれない」

花陽「ええぇっ猫又!?
   …………って何だったっけ?」

ことり「あれ?何だっけ?確か神様の…あれよ、お供?」

ことり「私も鳳凰の子だし、可能性が一切ないわけじゃないけど…」

凛「凛ね、わかるんだ。どうして凛が狙われてるのか」

凛「今の猫又は、すっごく悪い奴なんだ。前代の鳳凰を利用して
  悪事を働いてるの。だから凛が次の猫又になって、今の猫又を止めるの」

凛「矢澤さんとまた会った日の夜、夢の中で誰かにそう言われた」

花陽「だからって、何も告げずにこんなことしなくても!」

凛「ノンノン、まだ話は終わってないにゃー。
  凛が猫又になって戦いを挑んで来ると読んでるのか、
  魔物が本気で殺しにきてる。だからー」

花陽「だから気を遣って黙ってたの?」

凛「大丈夫、猫又だけでも仕留めるよ。みんなに人殺しはさせn」

ことり「それ、自分から死にに行くのと同じだよね?」

凛「その…だから…あーっと…はい、そうです」

ことり「それで猫又かもしれない凛ちゃんが死んだら、大打撃だよね」
ことり「みんなも悲しむよね」
ことり「迷惑かけるとか巻き込むだとか、今更水くさいよね」
ことり「ねえ?」
ことり「因みにこれ今まで全部誰かしら言ってることだからね?
    元の世界でもこの世界でも似たようなこと何っっ回も」

凛(こういう時のことりちゃんは誰よりも怖いっ!)

花陽「………凛ちゃん」

凛「はい…」

花陽「一生懸命と無鉄砲は別ものですよ?」

凛「っっ!!」ゾオッ

凛「すいませんでしたあ!!」

凛(まずい…これがみんなに知られたらっ!)

海未「許せませんねぇ…」
真姫「あなたがそんな最低な人とは思わなかったわ。さよなら」
絵理「ハッ」
穂乃果「うわあ」
矢澤「にっ殺にっ殺にー!」

凛(最悪、見捨てられる!)

凛「隠してたことは悪かったと思ってるよ。でも猫又はちょうど今、一人でこの森
  にいるから…最悪でも相討ちで収める。もう二人は戻ってて。このことは内緒にしててね」

にこ「ぬああああああにが『隠してたことは悪かったと思ってる(キリッ』よこのスケベ猫!」

海未「……………はぁ」

凛「す、すけ…?いやそれより!いつの間に!?」

にこ「ずーっといたわよ!」

花陽「えっ」
ことり「えっ」
凛「えっ」

海未「気付きませんでしたか?いや~これは失礼」

凛「海未ちゃんジェイドみたい」


海未『にこ、あれを』
にこ『ん?』
海未『三人して武装したままどこかへ歩いています』
にこ『え?』
海未『こそこそしてて怪しいですよね。見えなくなる前に、
   目印を残しながらついていきましょう』
にこ『何でにこまで~!』ズルズルズル


ことり「尾行を尾行するだなんて…」

にこ「凛」

凛「っっ………はい」ビクビク

にこ「言いたいことはわかってるわね?」手首コキッ

凛「ま、まさか殴」

にこ「とっとと猫又とやらをぶっ飛ばすわよ!!」

凛「え?」

にこ「何とぼけてんのよ。この森の中にいるんでしょ?」

凛「でも、みんな…」

花陽「も~!まだ引きずってるの?いい加減にしないと私も怒っちゃうよ!」

海未「それとですね。一人で行くのと五人で行くの、どっちが生存率高いと思ってます?
   まさか五人でも一人の相手に負けるとか思ってませんよね?」

にこ「そうよ。例え五人で勝てなくても、一人じゃできないことがあるの。
   それはね、協力よ!普通に二人で戦うのが1+1で、協力して
   戦うのは1+1+1(協力補正)なのよ!!」

ことり「にこちゃん主人公みたい」

凛「みんな……」

凛「わかったよ、全員で行こう」

海未「ただし、その『全員』は真姫も含めてですけどね」

ことり(すっかり忘れてた)

凛「それだと結局今日は戦いに行けないじゃん!いや、
  真姫ちゃんを悪く言いたいわけじゃないけど」

海未「アホですかあなたは!私達がこうしてゆっくりしてる間に
   真姫は辛い思いをしているのかもしれませんよ!?」

凛「うっ…はい」
凛「で、でも。真姫ちゃんが猫又に捕まえられたり…」

海未「狙いはあなたでしょ」

凛「と、捕らえた真姫ちゃんを人質に」

海未「そんな時間かかることするくらいなら普通に
   一対一で殺しに来るでしょ」

凛「はい」

にこ「…………真姫ちゃんに冷たいのね」

凛「いや、そうじゃなくて。猫又はとても厄介なんだ。
  放置しておいたらまずい。」

凛「それに、あいつはここから近い場所にいるの。凛にはわかるんだ」

にこ「そうやってまたかっこつける…
   放置したらまずいのは魔王とかも一緒でしょ?
   それに、猫又になる前のあんたがわかるんなら、向こうもわかるわよ」

にこ「とにかく、真姫ちゃんは生きて見つかる。それくらい信じとけばいいの
   時間は無いけど、あんま焦るんじゃないわよ?」

ことり「さすがにこちゃん」

凛「ソウデスネー!」

花陽(μ'sの三大イケメンの一人目はにこちゃん確定ですね)

海未「さて、どうします?元のキャンプ地点からずいぶん歩いてしまったし、
   すでに周りは真っ暗です」

にこ「うおお!話に夢中で気づかなかったわ!」

花陽「いやいやちょっと暗すぎません!?ホラゲじゃいるまいし!」

ことり「あまり動かない方が魔物も刺激しなくてよさそうだね」

凛「じゃあ、今日はここをキャンプ地点にして、
  元のキャンプ地点に置いてきた荷物は明日取りに行く?」

海未「それがいいでしょう」

ことり「みんなは寝床を作ってもらっていいかな?
    ことりは気休めとして、簡単な魔力の防壁を張ってくるから」

にこ「らじゃ」

花陽「あっ、私もついてく!護衛だよ!」

ことり「可愛い護衛さんですね!」

花陽「ふふふ、いざとなったら頑張っちゃいます!」

海未「見ていて微笑ましいですね」
にこ「そうね」

凛「凛も行くにゃー!」

海未「あれは寝床作るのが面倒なだけですね」
にこ「でしょうね…」

海未「しかし、凛は厄介な病気になりましたね」

にこ「病気?虫歯とか?」

海未「いえ、そういうのではなく…かなり焦っているようですね。
   真姫を忘れるほど……………若干の余裕の無さを感じます」

海未「まだ、親友である花陽を関わらせないために一人で解決しようとしているのでは?」

にこ「つまりはそれって、既に諦めてるのと同じよね。
   ここにいる全員でかかっても倒せないと勝手に決めつけてるから
   被害を抑えようとしてるんでしょ」

海未「そう思うほど強力な敵だと感じ取っているんですね」

にこ「だからって、何でも一人で抱え込んでいいはずがないわよ。
   それを凛はちょいちょい忘れてるわ」

海未「今回は…いえ、今回も厳しい戦いになりそうですね
   敵よりも凛の気持ちを落ち着かせないとね」

にこ「心配ない、馬鹿は頑丈って昔から決まってるわ」

にこ「まあ、馬鹿だからこそこんな単純なことに気付けてないんだろうけどね」

海未「しかし、あまりに反対するようなら
   花陽とことりだけでも待たせる選択肢も…」

にこ「全員で行くと決めたのよ?大丈夫。私達がついてる。
   あいつは一人じゃない。それに、花陽達のことだって、心配なら
   守りゃいいじゃん。それこそ単純よ」

海未「にこは真っ直ぐですね。
   なんと言うか芯が硬いというか、全然曲がらないというか
   羨ましい。私もそれくらい自信を持ちたいものです」

にこ「持ちゃいいじゃん」

海未「ちょいちょい無茶言うよね?!」

このSS誰に需要があるの

自演しないだけ偉い

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