橘ありす「大人になりたかったんです」姫川友紀「誕生日、おめでとう」 (45)

注:年齢操作

橘ありす(20)
姫川友紀(27)



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『おぉ、友紀か?』

「あ、巴ちゃん。写真送ってくれてありがとー。良い誕生日パーティーになったみたいだね」

7月31日は、ありすちゃんの誕生日

『……友紀も来りゃぁ良かったのにのぉ』

「いやー、30近いあたしが混ざるのは野暮ってもんでしょ。昔の子供たちの集まりでワイワイやるのが楽しいんだろうし」

『ほうか?友紀なら未だにありすより歳下と言っても通用しそうじゃが』

「褒めてるんだかけなしてるんだか分かんないって、それ」

ありすちゃんは、今日で20歳になった

出会った頃は、あたしより20センチも小さかった背が、8年近く経った今では逆に10センチほど差をつけられてしまった。頭を撫でるのに少々の苦労が必要になるとは、時の流れとは恐ろしいものだ

「料理の写真……美味しそうだけど、苺料理がいっぱいあるね。巴ちゃんが手伝ったりしたの?」

『大体うちとありすで作ったかの。もちろん苺パスタはありす作じゃ』

橘ありすの苺パスタ……といえば、長きにわたる衝撃創作料理の系譜を持つ恐るべきレシピだが、今日はどうだったのだろうか

『今回のは準備を重ねた自信作らしくてな、皆、舌を巻いて美味しいと言うとったわ』

「へえー、やっぱり下ごしらえとかでも何か秘訣があるの?」

『うむ、詳しくはありすに聞くといいんじゃが、苺の熟成と、パスタ選びが……』

巴ちゃんの苺パスタ論が始まってしまった

……まぁ、最近ありすちゃんに食べさせてもらったものも、まずまず……というレベルだったので、ひょっとしたら今日の苺パスタは本当に美味しかったのかもしれない

『……で、本場の苺パスタはじゃな……』

「あー、苺パスタについては今度またゆっくり聞きたいかな」

『む……ノリが悪いのう』

若干、トーンダウンした声が響いた

「……えっと、ホラ、苺パスタを食べながら説明を聞くとより美味しく感じられるんじゃない?」

『ふむ……一理ある。そうじゃな、別の機会にまた……』

ふぅ、危ない危ない

二人とも良い子なんだけれど、苺パスタのことになると、ちょっと、ね……

「あ、そういえば……ありすちゃん、お酒は飲んだの?」

講義がひと段落したところで、あたしは気になっていたことを聞いてみた

『酒か?……今日の誕生日パーティーでは飲まなかったはずじゃ』

「あ、そうなんだ」

『未成年もまだ多いわけじゃからな……ありすもここでは飲まない、と言うとった』

まだ飲んでない、か……

『さては、友紀……プレゼントに酒を用意したんか?』

「うっ、鋭いね巴ちゃん」

『うちがハタチになった時のプレゼントも日本酒じゃったからのぉ。にしてもワンパターンじゃな』

「恒例の野球グッズよりはスパイスが効いているでしょ」

痛いところを突かれたが、本当にお酒と野球以外に洒落たものなど思いつかないので、しょうがないのだ

『で、どんな酒じゃ?まさか缶ビール……』

「ナイナイ、どれだけあたしにデリカシーが無いと思ってるの」

『じゃあ、何じゃ?』

「飲みやすそうなワインにしたよ。苺酒とかも考えてみたけど」

『苺酒!?』

思わぬところに食いつかれてしまい、結局話題は苺へとループしてしまうのだった



巴ちゃんとの通話を終えて、ふと先ほどの会話の中で気になる部分が思い浮かんだ

《未成年者も多いし……ありすもここでは飲まない、と言うとった》

ここでは……ということは、別の場所で飲む予定でもあったのかも

案外、今頃クールのお姉さん達と一緒に飲んでいるのかもしれない

美波ちゃん、奏ちゃん、文香ちゃんあたり……彼女達と一緒に初の酒席に座れたなら、お洒落で素敵な初体験となりそうだ

楓さん、川島さん、は……面白そうだがちょっとアダルティ過ぎるかもしれない

ぼんやりと、ありすちゃんがお酒を飲んでいるシーンを思い浮かべていたら、メッセージアプリに着信があった

「?……巴ちゃん、何か言い忘れたことでもあったのかな……なになに……」

【今、友紀さんの部屋に向かっています】

メッセージの送り主は、巴ちゃんではなく、本日の主役だった



時計の針が11時を回ったところで、再び着信があった

【今、友紀さんの部屋の前にいます】

「……メリーさんじゃないよね?」

「ありすです」

扉の外から、くぐもった声が聞こえた

350mlの缶ビールが2つ入ったビニール袋。それだけを持った女性が、扉を開けた先に立っていた

最後に直接会ってからそれほど期間が空いたわけではない。けれども、そこにいるありすちゃんは、ただ20歳の誕生日を迎えただけで、どうしようもなく大人になってしまったように思えて、距離感を感じた

「こんばんは、友紀さん」

「ん……よく来たね」

「相変わらず散らかった部屋ですね」

「それは言わないお約束……って、片付けの暇を与えなかったのはありすちゃんでしょ」

ありすちゃんは適当にゴミを掻き分けて、座布団の上に座った。掃き溜めの中の鶴というのが相応しいかもしれない。自分の部屋に対して随分な形容だけれど

「……で、お茶も出さずに悪いけどさ……どうしたの、こんな夜遅くに」

「……えっと……ですね」

何を言おうか迷っているようだ。成長してからはこのような迷いの表情を見ることは久しく無かったので、懐かしさを感じた

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」 
↓ 
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか? 
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ 
いちいちターキー肉って言うのか? 
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」 
↓ 
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。 
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋 
↓ 
信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw 
んな明確な区別はねえよご苦労様。 
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」 
↓ 
>>1「 ターキー話についてはただ一言 
どーーでもいいよ」 
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです 
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ! 
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469662754/)


余談
7 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:06:48.44 ID:10oBco2yO
ターキー肉チーッスwwwwww
まーたs速に迷惑かけに来たかwwwwwwwww

9 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:12:33.84 ID:LxY8QrPAO
>>7
はいNG設定


この速さである
相変わらずターキー肉くん=>>1という事を隠す気も無い模様

31 ◆xmciGR96ca4q sage saga 2016/07/28(木) 12:50:19.79 ID:g6WSU+sH0
昨夜寝ぼけてスレ立てミスったんで憂さ晴らしも兼ねて久々のロイミュ飯でした。書き溜め半分残り即興なんで色々アレかもしれませんがアレがアレなんでアレしてください何でもシマリス(熱中症

建てたら荒れると判ってるスレを憂さ晴らしに建てる
つまり>>1は自分の憂さ晴らしにs速を荒らして楽しんでる

うーん、いつも通りのクズ>>1で安心するわー

「友紀さん」

「うん……」

ゆっくりと、口が開かれるのを待った

「私、大人になりました」

「そうだね。20歳の……」

「なので……お酒を、飲みに来ました」

「うん……?」

ありすちゃんにしてはなんだか随分と乱暴な話だ

「ビールを二缶買ってきました。おひとつどうぞ」

カサカサとビニール袋を漁って、ビール缶が取り出された

「あ、ありがと」

「音頭を」

「??……え、えーっと……乾杯!」

情けない音が部屋に響いた。今日のありすちゃんは何を考えているのか、さっぱり分からないけれど……まぁ、ビールを奢ってもらったのだし、有り難く頂くとしよう



あたしが親しんだ喉越しを感じている中、ありすちゃんは初めての体験に苦戦していた

「悩んでるね、ありすちゃん」

「……どうやって飲めばいいですか?」

「ええっとね」

あたしが初めてビールを飲んだ時、ビールが美味しいものだとは思えなかった。そう思ったのはよく覚えている

いつの間にか辛かったり苦かったりしたものが不快には感じないようになり、そしていつしかビールをガブガブと飲んでいた

子供と大人の境目とは、案外そういうところにあったのかもしれないけれど、ビールを普通に飲めるようになった時期は思い出せないのだから不思議なものだ

「まずは……舐めるように飲むといいよ」

「舐めるように」

「そう、チビチビとね」

恐る恐るといったふうにありすちゃんはビールを口に含んだ

「……」

「どう?」

「……よく、分かりません。これは美味しいんでしょうか」

「最初はそうかもね。でも、飲めないわけじゃ……?」

「ない……ですね」

もう一回、缶に口がつけられた。最初の関門はくぐり抜けたようだ

それなら……ワンステップ進んでみようか

「ツマミなら出せるけど、いる?」

「お茶菓子がない部屋なのに、おつまみはあるんですね」

……巴ちゃんもありすちゃんも、どうもあたしに対して年々責めがキツくなってきている気がする

ありすちゃんは悪戯っぽく口角を上げて言った

「挑戦してみたいです」

テーブルの上のゴミを押し退けて、ポテトチップス、ピーナッツ、チーズ、塩辛が並べられた

「……友紀さん……」

哀れむような目を向けないでほしい

「……さて、ありすちゃんは塩辛にチャレンジ出来るかな?」



最近の仕事のこと、アイドル仲間のこと、大学のこと。当たり障りのない会話が続いた

聞きたいことはあったけれど、この可愛い妹と初めて飲み交わせることが楽しくて、なんとなく触れずにいた

けれど、この宴会がいつまでも続くわけではなく、あたしのビール缶は空となった。ありすちゃんの方も、缶の傾き具合からしてそろそろ半分を過ぎているはずだ

冷蔵庫の中にはまだたくさんのビール缶が存在していたが、あたしはそれを出す気にはなれなかった。一人一つの缶。ありすちゃんが決めた席なのだ。それに従いたかった

時計の針は12時を示していた

ありすちゃんの缶が空となり、机の上でカランという乾いた音が鳴った

「友紀さん」「ありすちゃん」

互いを呼ぶ声が重なった

「……友紀さんからどうぞ」

「……ありがと」

「……初めてがあたしで、良かったの?」

「?」

あたしは、酔っていた。これくらいの量では普段は酔わないはずだけれど……

「あたしよりも、他の人と一緒に飲んだほうが、良かったと思うけど。こんなに雑なお酒じゃなくてさ。オトナの飲み方を紹介してもらえば良かったのに」

あたしは、本来こういうことを言う性格ではない。だから、あたしは酔っているのだ。そういうことにしておきたかった

「今日は、友紀さんと飲みたかったんです……実は、私が言いたかったことと関係するんですが」

「?……じゃあ、今度はありすちゃんから」

「はい」

「私は……大人に、なりたかったんです」

「……うん」

「幼い頃、私には憧れの人達がいました。彼女達に追いつきたくて、必死に努力をしました」

早く大人になりたいです

昔、よく聞いた決まり文句だ

「彼女達と、肩を並べたくて。一緒のステージに立ちたくて」

クールで、大人なアイドル

「最近、ようやく……彼女達に近づいている、実力がついてきたという実感が持てるようになりました」

それが、ありすちゃんの憧れ

「でも、成長するにつれて、憧れた人達に自分が近づいていくにつれて、少しだけ、寂しさを感じたんです」

「寂しさ……?」

「彼女達に、自分が認められるほど。自分が成長するほどに、関係が変わってしまっていって。それは確実な進歩のはずなのに……」

「関係の変化ね……仕方ないことだよ、それは」

「そうかもしれませんね。しかし、これは……私の感じ方の問題ですから」

「大人になるということ……昔はまだ実感していなかったけれど、ようやく今、その大変さがわかる気がします」

「……そっか」

「……色々と、変わってしまいました」

「……」

「だからこそ……いつまでも私を妹として、子供として扱ってくれた友紀さんの存在は、貴重でした」

「!」

「友紀さんは、大人なのに。私と同じ目線で付き合ってくれました。まるで友人のように、錯覚させてくれました」

まったく……

「あなたは憧れではないけれど、また別の形の……私の一つの手本」

いつの間にかあたしを置いて、大人になっちゃってさ

「私と一緒に子供になってくれて、嬉しかったです。今までありがとうございました……もう、大丈夫です」

深々と、ありすちゃんは頭を下げた

あぁ、子供の成長って、こんなに早いんだね

「今日は、友紀さんと一緒にお酒を飲めて……よかった」

「あたしも、美味しいビールを飲めて、よかったよ」

あたしの目の前には、あの12歳の少女はどこにもいなかった。20歳となった、大人の女性が座っているだけだった

「私、これからも……目標に向かって、努力を続けます。彼女達に追いついて……そこから、追い越せるように!」





「ところでこのワインは、どんなおつまみが合うんですか?」

「え~っと、あんまりお洒落なのは言えないんだけど……」

エントランスで、ありすちゃんが乗るタクシーを待つ間、適当な雑談が続いた

また、子供になりたくなったら、うちにおいでよ

もう、言う必要もない

それほどまでにこの子は強くなった

これから一緒に飲むときは、大人の愚痴でも聞いてやろう

寂しさと頼もしさを、一緒に喉に詰め込んで



タクシーのライトが近づいてきた

ありすちゃんは、あたしから離れていく

一歩ずつ、遠くへ歩いていく



……あぁ、そういえば

まだ、直接言っていなかったっけ

「ありすちゃん!」

「はい」

「もう、昨日になっちゃったけど……誕生日、おめでとう」

「!……ありがとうございます、友紀さん」


ありすちゃんは、子供のような笑顔を浮かべて、タクシーに乗り込んでいった

おしまい。

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