レイ「てめぇ等の血は何色だ!」(46)

レイ「ケン、次男トキとはこうして再開を果たし、三男のジャギは倒したのだろう?一先ずマミヤ達の待つ村へ戻ってはどうだ?リンやバットもお前に会いたかろう」

ケンシロウ「うむ…。その事についてお前に言わねばならぬ事が一つある」

レイ「何だ?」

ケンシロウ「俺はジャギと闘い、そして勝った。だが…殺してはいない」

トキ「…」

レイ「…そうか」

ケンシロウ「レイ、すまぬ。ジャギはお前の両親の仇。そしてアイリの幸福を奪った男。だが、そんな男でもやはり俺の兄であった」

レイ「もう過ぎた事だ。俺はお前に言ったな。例え命をくれと言っても拒まぬと。お前がそうしたのなら、俺は何も言わぬ」

ケンシロウ「レイ…」

今回はレイ編か

レイ「だが、一つだけ聞かせてくれ。ジャギとはどんな男なのだ?」

トキ「レイ、それほど気になるならば、ジャギに会ってみるがいい」

ケンシロウ「トキ」

トキ「ケンシロウ。お前がジャギに止めを刺さなかったのは、それなりの理由があるのだろう。言葉よりも実際に会えばレイにもその理由が良く解ろう」

レイ「…そうだな。俺は悪党共の中を生き抜いてきた男だ。会えばどんな男かすぐ解る」

レイ「ケン、トキ。お前達は先にマミヤの村へ戻ってくれ。俺はジャギという男に会って、それから戻る」

トキ「」コクリ

ケンシロウ「ジャギは此処からそう遠くない、オアシスにある酒場を根城にしている」スッ

レイ「分かった。では村で会おう」

ケンシロウ「…」

トキ「どうしたケンシロウ。何か不安な事でもあるのか?」

ケンシロウ「何事も無ければ良いが…」

―オアシス―

レイ「アイリ…」サッ

レイ「このケープを俺達の父と母の血で染めた男が此処に…!」ググッ

レイ「ケン、すまぬ。会えば間違いなく俺はその男を殺さずにはおれぬだろう」

レイ「フッ…恩を仇で返す事になりそうだな」

部下A「ん?何だ、見ない顔だな」

レイ「おい。ジャギという男を知らんか?」

部下A「あ?何を隠そう、俺はそのジャギ様の部下よ!…あ、あいひひ」

レイ「その男の元へ案内しろ」ググッ

部下A「分かった!分かったから乱暴はしないで!」

―クラブSTORK―

部下A「ジャギ様~!」

ジャギ「…」スーッ…スーッ…

部下A「ジャギ様?」パッ

ジャギ「」パチッ

ジャギ「見ぃたぁなぁ~?」ギロッ

部下A「今まで何度も見てるじゃないっスか。それよりもジャギ様に会いたいってヤロウが」

ジャギ「ケッ…例の変な男か?」スポッ

部下A「いえ。何かえれぇ怖くて鋭い目をした長髪の男です」

ジャギ「ああ?面倒臭ぇな…。テメェ等で遊んでやれよそんな奴ぁ」

レイ「それはアイツ等の事か?」

ジャギ「…なんだテメェは?」

部下A「ああ!ジャギ様!皆が倒されて!」

レイ「胸に七つの傷!それに黒いヘルメット…!貴様か…貴様が俺の両親を殺し、アイリの幸せを奪ったジャギか!」

ジャギ「テメェの親?アイリ?そんな奴らぁ知らねぇな」

ジャギ「だが、俺様のかわいい部下を痛めつけてくれた礼はしねぇとな…」ギロォ

レイ「なにィ…」ギロッ

レイ『こいつは本当にケンやトキと同じく北斗の兄弟の一人なのか…?』

レイ『あの二人とは全く違う!こいつは悪だ!悪党を知る俺の勘が間違いないとそう言っている!』

ジャギ「ぬぁんだぁ!その目は!」グワッ

レイ「ひょおぅ!」シュッ

ジャギ「ッ…!これは南斗水鳥拳か!」

レイ「貴様は処刑する!」ササッ

ジャギ「売られた喧嘩は買ってやるぜ。買うのはテメェの命になりそうだがな」バッ

部下A「うわっ、どうしよう。止めるべきか、それともここから逃げるべきか」オロオロ…

男「お前達の大将の闘いだ。見届けろ」

部下A「あっ、お前!」

レイ「その腰にぶら下がっている銃は飾りか?使ったらどうだ?無理はするな!」

ジャギ「こんな物はもはや使うまでもない」ポイッ

ジャギ「この北斗の三男、ジャギ様に喧嘩を売った事を骨の髄まで後悔させてやろう!ほおおおお…」

レイ「むっ!?」

ジャギ「ふはははは!見ろぉ!俺様のこの速い突きがかわせるかー!」ブォガガガ

     北 斗 羅 漢 撃

レイ「くっ!」ババッ

ジャギ「ほう…上手く避けたな。信じられぬくらい華麗な足捌きよ」

レイ「腐っても北斗の兄弟か。恐ろしく鋭く切れる拳よ…うっ?」ピキーン

レイ「何時の間に秘孔を!」

ジャギ「だが、その足を封じられては避けようがあるまい!死にやがれ!」ババッ

     北 斗 千 手 殺

レイ「俺の南斗水鳥拳の奥義は足の動きだけではない!しゃおぅっ!」

     天 地 分 龍 手

ジャギ「げえっ!?」ズバアッ

ジャギ「ぐあっは!」ドシャア

レイ「南斗水鳥拳の鋭い手刀は大気の中に真空波を生む!そしてその真空波は10メートル先の敵をも切り刻む!」

ジャギ「な…何て奴だ」

レイ「見ろ、このケープを!これはアイリが付けるはずだった純白のケープが、貴様の手によって赤く血で染められた!」

ジャギ「くくっ!」

レイ「今度は貴様の血で、貴様の全身を真っ赤に染めてやろう!はあっ!」パシーン

ジャギ「なっ!?両手で床を叩き付けた衝撃で空に…!」

レイ「貴様の様なゲスには過ぎた技だが、冥土の土産にするがいい!」

南斗水鳥拳奥義
       飛 翔 白 麗

部下A「おおっ…」ボワーン

ジャギ『これは避けねばマズイな…』

レイ「でりゃあーーーっ!」

ブシュンッ!

レイ「外した!?ヤツは…?」キョロキョロ…

ジャギ「ほおおおお…」

レイ「!…先程見せた構え…、いやこれは何かかが違う!」

ジャギ「貴様を甘く見ていた様だ。さっきの技は見事だった。次は俺の秘奥義を見せてやろう」

レイ「ううっ!何だこの男から放たれる異様な雰囲気は…」

ジャギ「貴様にこの技が受けられるかな?…行くぞ!」

北斗神拳秘奥義
     無 想 羅 漢 撃

ブォガガガ!

レイ『空に逃げるしかない!』

レイ「たあっ!」バアアアッ

ジャギ「ほう…そう来るか…だが!」バアアアッ

ジャギ「この拳は空でも放てるのだ!」

レイ「なにっ!」

ブォガガガ!

レイ「うおおおお!」ババババ

レイ『だめだ、とても避けられん!ならば…!』

       飛 燕 流 舞

ジャギ『この男、相討ちするつもりか!』

ジャギ「フン、付き合い切れんわ」スタッ

レイ「なにっ!」スタッ

ジャギ「テメェみてぇな命知らずと真面目にやり合っちゃ、命が幾つあっても足りねぇ」

レイ「俺が逃がすと思うか!」バッ

ジャギ「アイリ…そう言えば思い出したぞ。ユダの野郎がしきりにその名を口にしていたのをな」

レイ「ユダ!?貴様、ユダを知っているのか!ユダとアイリに何の関係があると言うのだ!答えろ!」

ジャギ「いちいちテメェに答える義務なんざねェか!知りたきゃユダに会って直接聞けや!」

ジャギ「…と言いたいところだが、一つだけ教えてやろう。俺はユダの話に乗って一人の女を連れ去った。それだけだ」

レイ「ならば俺の両親や、アイリの婚約者を殺したのは!」

ジャギ「そんなの俺様の知ったこっちゃねぇ。俺が言えるのは、女を一人連れ去った。それだけだ」

レイ「本当の仇はこの男ではなくユダ…。あの男だと言うのか…」

男「ジャギよ。お前、ホントに手を下していないのか?」

ジャギ「お?貴様は何時からそこに居たんだよ。存在感無さ過ぎてまるで気付かんかったわ」

ジャギ「北斗神拳を学んだ俺様ですら気付かぬとは貴様、暗殺者の素質あるんじゃねぇか?」

レイ「お前は…。俺も気付かんかったが、この男と知り合いなのか」

男「それはどうでも良い話だ。…で、ジャギ。さっきの質問に答えてもらおうか」

ジャギ「さぁなぁ…。俺様もケンシロウを貶める為に数え切れねぇくらい殺しまくってたからなぁ。いちいち誰を殺ったかなんて覚えてねェよ」

レイ「貴様!」

ジャギ「冗談だよ。誰を殺したのかは覚えてねぇが、誰を殺さなかったのかは覚えてる。ユダの野郎と組んだ時は誰も殺ってねェ。これは確かだ」

ジャギ「第一、シゴトはほとんどユダの野郎が一人でやったからな。俺はその後に目ぼしい獲物をかっさらっただけだ」

ジャギ「あれがお前の妹だったのか?あれは高く売れたぜ?一ヶ月分の食料になったな。フハハハハ!」

レイ「例え殺したのは貴様ではないとは言え、アイリを物扱いした事は許さん!」

男「待て。このままジャギと闘いを続ければ、無事では済まんぞ。そうなったら本当の仇であるユダはどうする?」

レイ「しかし…!」

男「ジャギはその後でも遅くはなかろう。ケンシロウが何故この男を生かしたか、その理由もまだ分かってない事だし」

ウダ編なんだろうなぁと思ったらレイ編っぽくてワロタ

覚醒したジャギがレイごときに苦戦したらあかんやろケンシロウと互角の死闘演じてるんやぞレイなんかラオウの人差し指で背中をチョンてされて軽くあしらわれるレベルなんやから

ここですらメインになれないウダェ…

>>14>>16

レイとユダを同時に纏めようと思いましたが、サウザーの時みたいに長くダレてしまうと思い、それぞれ単独で書きたいと思います。
ユダ編の前にレイはどうやって生存したのか、それを書いて自分の中で構想を纏めたいと思っています。

>>15
このジャギの脳内設定は、サウザー以外の南斗六聖拳とは五分か、僅かに上。レイの脳内設定も「ジュウザよりも実力上位」という説を採用した前提となっています。

レイ「…命拾いしたな。だが、次は無いと思うがいい」

部下A「へっ!おっ、おととい来やがれってんだ!」

レイ「」ギロッ

部下A「トワッタ!わひぃ!」ヘタッ

ジャギ「…オメェが関わっているって事は、あの野郎がここに来たのは…」ジロッ

男「結果的にはそうだが、俺が直接ここに来る様に促したわけじゃない」

ジャギ「なんだぁそら?まぁ、羅漢撃の弱点つーか、まだまだ修練不足なのが解ったのは収穫だったわ」

男「弱点?」

ジャギ「ああ。あいつみたいに相討ち狙って来られるとチト厄介だわ。ケンシロウみたいに相手の出方を伺う奴や、避けようとするタイプなら良いんだが」

ジャギ「…ったく、テメェらは何時まで寝てんだ。いい加減起きやがれ」ドガガッ

部下B「いでっ!」

部下C「あででっ!」

ジャギ「おい!お前はこれから何を…ん?相変わらず音も無く消えやがったか」

―荒野―

男「レイ、よくあそこで我慢したな」

レイ「…お前か。そう言えばお前が誰なのか、まだ聞いてなかったな。色々知っている様だが」

男「ああ、知っているぞ。例えばお前がマミヤの事を好きだって事もな」

レイ「なっ」

男「マミヤに想いを伝えんのか」

レイ「フッ…さあな。見ろ、あそこに村がある。急いで戻る必要もあるまい。休んで行くとしよう」

男「うむ」

ジャッキー様の寝息がかわいくてハァハァしたのはさておき、変に改心してなくて悪のままなのがイイ
サウザー編もダレてるとは特に感じなかったので思いのままに書いてほしいなーと思いますた

>>20
このジャギは、自分の弱さとケンシロウを認めているだけで、決して善人でもなければ世の為人の為と考える性格でもありません。

ただし、コンプレックスを受け入れているので、コンプレックスを満たす為の代償行為をする必要がなくなったので、むやみやたらに虐殺したりや卑怯な手段を用いる事をしなくなっただけです。

比較的筋は通す様になりましたが、基本的には原作同様に悪サイドと認識しています。

レイ「そう言えば、アミバを改心させたのはお前らしいな。奴は腕は立ったが、あの性格だけはどうにもならんかった。大したものだ」

男「いや、あれは改心していない。ただ単に向ける方向性を変えただけだ」

レイ「どういう事だ?」

男「そのどうしようもない性格こそ、アミバの長所だったという事だ。物事は何でも表裏一体で一長一短だ。表から見て駄目でも、裏から見ればとんでもない才能だったりするのだ」

レイ「お前はこの時代には珍しいタイプの人間だな。ケンやマミヤとも違う」

男「それはそうだ。俺はこの世界の存在ではないからな」

レイ「ん?それは何かの冗談か?」

男「真面目な話だが、お前達からすれば冗談に等しい事だな。だからその辺は深く考えなくて良い」

レイ「では、今こうして俺と共に居るのも、何か理由(わけ)あっての事か?」

男「うむ…。その事なんだが」

レイ「どうした?」

男「聞けばお前は多分激怒するか激しく落ち込むと思うんだが…」

レイ「フッ、心配するな。何でも言ってくれ」

男「そうか。いや、俺達の世界では、お前達の世界の事で話題になる事が多くあるんだ」

レイ「?…まあ、続けてくれ」

男「誰と誰では誰の方が強いとか、こいつはもっとこうだったら良いのにとか、お気に入りのキャラクターは誰それとか、とにかくお前達は俺達の世界では結構な人気者なわけだ」

レイ「意味の解らん話だが、悪い話ではなさそうだ」

男「その中でもレイ、お前の人気は上位に部類されると思う」

レイ「フッ。何だか知らないが、光栄な事だ。それがどうして俺が怒ると?」

男「さっき物事は表裏一体と言ったな。人気がある故に話題も多いのだが、話題が多くなると不評も多くなる」

レイ「ほお…。例えばどんな事だ?」

男「最初はケンシロウと互角だったのに、何時の間にかケンシロウの引き立て役兼解説役になってるとか…」

レイ「」ピクッ

男「中ボスに過ぎないウイグルの鞭を見切れない(笑)とか、さらにその部下であるライガとフウガに苦戦(笑)とか…」

レイ「…気にするな。続けるんだ」ユラリ…

男「極め付けはラオウ相手に相討ち覚悟で放った究極奥義が、マントで目隠しされた末に指一本で撃墜(笑)とか…」

レイ「」ゴゴゴ…

男「そんな事もあってか、お前は時にこう呼ばれる事がある」

―ヘタレイ(笑)

男「…と!」

レイ「そうか…。それはなかなか面白い呼び方だな。フ、フフフ…」グゴゴゴ…

男「だが、本来のお前はそうではない。…と俺は思っている」

レイ「!」ピタッ

男「そのヘタレな部分を含めてこその人気もあろう。だが、違う世界の人気を博したところでお前が得るものなど何もない」

レイ「それはその通りだが」

男「俺は俺の世界に訴えたいわけだ。レイは本当はもっと強いのだ!…と」

レイ「お前という男は…。だが、それこそお前に得るものがあるのか?」

男「何かを得る為に訴えるのではない。ただそうしたいから、そうするのだ」

レイ「さっきの話だが、ラオウと言えば北斗の長兄。会った事もないその男に俺が指一本で倒されるとは、どういう事だ?」

男「それは向こうの世界の話だ。こっちの世界では違う事になるかも知れん」

レイ「フッ…どこまでも解らん奴だ。さて、まだ日は高い。マミヤの村までの距離を稼いでおこう」スッ

男「ああ」スッ

レイ『ヘタレイ…か』フッ

男「ん?あれを見ろ」ポン

レイ「どうした?」

男「ヨロヨロしながらやっと歩いている感じだが」

レイ「あれはバット!」タダッ

バット「うう…ケンに…ケンに会うまでは…」ガクッ

レイ「おいバット!どうした、何があった!?」

バット「レイ…!村が…村が拳王侵攻隊という連中に…!」ハァハァ…

レイ「何!」

バット「早く…!リンやマミヤさん達が…ううっ…」

レイ「ケンやトキはまだ帰り着いていなかったのか…」

男「バットと入れ違いに戻っているのかも知れないが、そうでないなら村はガラ空きも同然!」

レイ「くっ!すまぬ、バットを頼めるか!俺は急いで先に村へ戻る!」

男「わかった」

レイ「バット、安心してその男と後から戻って来い。仮にケンとトキが戻っていなくとも、皆はこの俺が守ってみせる!」

バット「レイ…頼んだぜ…」

レイ『拳王侵攻隊…!もしやラオウもその村に…!』

レイ「指一本でこの俺を倒せるものならやって見せてもらおう!」キッ

―マミヤの村―

ガロン「諸君!私は少しも強制はしない。忠誠は自らの意思で行わなくてはな!」

ガロン「子供と言えども、拳王様に忠誠を誓ってもらおう。その焼き印を自らの身体に押し付けるのだ!」

リン「」チラッ

ガロン「もし嫌だと言うなら、あの鉄板の上で黒焦げになるまで踊ってもらう事になるが…」ニヤッ

リン「誓いません!あなた達の様な悪魔には決して従いません!」

ガロン「何っ!?」

リン「悪魔に従えば人間でなくなる…。そうケンは教えてくれたもん!」

ガロン「むぅ…なんと、自分から!」

雑魚A「へへへ、お嬢さん。手を貸してあげようか?」ガシッ

リン「ああっ!」

雑魚A「おい、準備はいいか?」

チョロッ…ボシューッ

雑魚B「へへっ、バッチリだ」

―おい!

雑魚A「ん?な、何だ?」

ガロン「その手を離さぬか馬鹿者めが!」

雑魚A「えっ?隊長?」

ガロン「この様な幼い子供が拳王様に逆らおうとしているのだぞ!見上げた勇気と思わんのか!」

雑魚A「えっ?えっ?あのー…」

―おい!

雑魚A「今度は何だ!」

レイ「人の皮を被った悪魔め!」ギロッ

雑魚A「…ちょっと、どうしたらいいの?」オロオロ

レイ「リン!しっかりしろ!」

リン「レイ…。大丈夫、アイリさんもマミヤさんも、他の皆も無事だから…」

リン「安心したら涙が…」ポロッ

ガロン「むぅ…自分の事よりもまず他人の事を!」

レイ「気丈なようでもまだ幼い子供!それをこんな目に…!許さねぇ!」バッ

レイ「てめぇの血は何色だ!ラオウ!」ピシッ

ガロン「なにっ?…おおっ、け…拳王様!」

ラオウ「うぬは何をしておる。例え幼い子供であろうとも、この拳王に忠誠を誓わせるのがうぬの役目であろう」

ガロン「ははっ…しかしながらこの子供は忠誠を拒みました故…」

ラオウ「ならば何故処刑せぬ!どんな小さな禍根も絶つ!それが俺の生き方だ!」

ガロン「それは存じております。存じておりますが…」

レイ「お前がラオウか。ちょうど良い。この場で俺が片付けてやろう!」

ラオウ「ん~?」チラリ

リン「」ビクッ

レイ『俺は引き立て役でもなければ解説役でもない!ここでそれを証明するのだ!』

リン「レイ!その人と闘っちゃダメ!」

レイ「リン!」

レイ『まさかお前まで俺の実力を疑っていると…?』

レイ「フッ…心配するな。俺は闘う事でしかお前やケンに借りを返せぬ男だ」

レイ『ケンやトキを待つまでもない!ラオウの首は俺が取る!』

ラオウ「お前が南斗水鳥拳のレイか!ならばお前に一つ聞こう」

ラオウ「お前は北斗七星の脇に輝く小さな星を、見た事があるか?」

レイ「ない!」

ラオウ「ならば俺と闘う時ではないという事だ!」

レイ「おい、何処へ行く!貴様はここで俺が倒す!」

ラオウ「図に乗るなレイ!」ブォォッ

グワアアアッ!

レイ「うおうっ!くっ、何という闘気だ…!」

ラオウ「…解ったか。貴様では俺と闘う事はおろか、この俺を馬から降ろす事さえ出来ぬわ!」

レイ「フッ…余計に貴様を倒しておきたくなった」ニヤッ

ラオウ「ほう…まだ虚しい闘いとも呼べぬ闘いを挑むつもりか。ならばよかろう、掛かって来るがいい」

レイ「そこで馬ごと死ねっ!」ババッ

南斗水鳥拳奥義
       朱 雀 展 翔

ラオウ「おろかな!」ガバアッ

レイ「!」ハッ

―マントで目隠しされた挙げ句に指一本で撃墜(笑)

レイ「そんな小細工で南斗水鳥拳を止められるか!」

レイ「でりゃでりゃあ!」

スバズバァッ!

ラオウ「ぬうっ!?」

レイ「ひょう~…しゃうっ!」ズバアッ

ラオウ「おおりゃあ!」ブォン

リン「ああっ!」

ピシーン

ラオウ「ぬっ…俺の身体に傷を…!」

レイ「俺は南斗六聖拳の一つ、南斗水鳥拳を極めた男!そんな駄馬の上で俺を倒せはせぬ!さっさと降りて来い!」

ラオウ「貴様~…!むっ!もう戻って来おったか」

ケンシロウ「レイ!」

トキ「ラオウ…」

ラオウ「レイ。南斗水鳥拳、楽しませてもらった。確かにうぬの拳を甘く見過ぎておったわ」

ラオウ「その上トキとケンシロウまでが現れた以上、お前達と同じ地上に降り立たねばなるまい!」ズンッ

ラオウ「そしてお前達には死、あるのみ!」

レイ「死ぬのは貴様だ!」ササッ

ケンシロウ「レイ、これより先は北斗の闘い!南斗を巻き込むわけにはいかぬ。後は任せるがいい」

レイ「南斗も北斗もない。お前が倒すべき敵は俺にとっても倒すべき敵だ。そうだろう?」

ケンシロウ「レイ…」

トキ「ケンシロウ、良き友を持ったな。なればこそ、尚更お前をここで闘わせるわけにはいかぬ」

レイ「トキ!俺ではラオウに勝てぬと言うのか?」

トキ「そうではない。お前の気持ちは有り難いが、北斗神拳は一子相伝!伝承者ではない者の北斗神拳は封じねばならぬ」

トキ「北斗の拳を封じるのもまた北斗の拳!これは北斗2000年の掟なのだ。解ってくれ」

レイ「トキ…」

トキ「」コクッ

レイ「フッ…わかった。後は任せるぞ」

トキ「うむ」

男「おお、レイ。無事だったか」

レイ「指一本で撃墜されているとでも思ったか?バットの傷の具合は?」

男「命には別状はないよ。この世界の子供達は本当に賢くて強い。俺達の世界に連れて行きたいくらいだ」

レイ「リンやバットが特別なのだ。ケンの背中を見続けてきたからだろう」

レイ「ケンの背は、子供達に人としての生き様を無言で伝えている。やはり奴はこの時代に必要な男だ」

男「それはお前もだ」

レイ「なに?」

男「お前にもケンシロウでは果たせない役割があろう。その役割もまた、この世界に欠かせないものだ」

―闘いが終わって―

ケンシロウ「昔のラオウならば…倒せていたものを…」ガクッ

ラオウ「フッ…ケンシロウ、そしてトキよ!これが終わりではない!ここから俺とお前達の闘いが始まるのだ!」ガクッ

ラオウ「俺は拳王!拳王は膝など地に付かぬ~!」ググッ

雑魚A「拳王様!肩をお貸し…隊長」ポン

ガロン「案ずるでない。拳王様が身を預けるのはあの黒王号のみ!それに拳王様はあの程度の傷で終わる男ではない」

ガロン「我らはただ、拳王様の後を付いて歩けばそれで良いのだ…。我々の余計な手助けは不要だ」チラッ

ガロン『あの子のあの目…あれは只者ではない!成長したらどんな大人になるか、何を成すのか今から楽しみでならぬわ…』

男「これでお前はトキ以外の北斗と拳を交え闘い、北斗四兄弟全ての拳を直に目撃したな。どう思った?」

レイ「奴らはとんでもない化け物だ…としか言う事は出来んな。出来れば誰とも二度と闘いたくはないもんだ」

男「そんな化け物のうち三人とやり合ってピンピンしてるお前も大概だと思うぞ」

男「少なくともヘタレイではない」

レイ「フッ…どうかな。三人とも決着が付くまで闘ったわけではない」

男「それは元々、北斗の三人がお前と生死を賭けて闘う相手ではなかったという事だろう」

男「それにお前は人の為に生きる義星の宿命を背負った男。闘いに生きる宿命ではないのかも知れん」

レイ「その知識も向こうの世界とやらで仕入れたのか?熱心な事だ」

―マミヤの村・夜―

男「トキ、病の癒えたその身体でもラオウの相手は容易ではなかった様だな」

トキ「勿論だ。だが、今日は決着を付ける宿命にないと感じた。それはおそらくラオウも感じていただろう」

トキ「むしろ、ケンシロウの成長の為に今日という日があった様に思う。ケンシロウは私が想像した以上に成長した」

トキ「北斗神拳伝承者としての自覚が深まったに違いあるまい」

男「そうか。今日は北斗七星が良く見えるな」

トキ「ああ」

男「トキ、今のお前に死兆星は見えているか?」

トキ「…いや、見えない」

マミヤ「こんばんは。二人で何を話していたの?北斗七星がどうとか言ってたみたいだけど」

トキ「マミヤさん。なに、ちょっとした星占いみたいなものだ」

マミヤ「どんな?」

男「北斗七星の脇に、何か見えるか?」

マミヤ「…えーと北斗七星は…と」キョロキョロ

マミヤ「あった!その脇には…」

男「…」

トキ「…」

マミヤ「…何も見えないわ。ガッカリ」

トキ「」フッ

男「」フッ

マミヤ「ちょっと、何笑ってるの!?人がガッカリしてるのに!」

男「それは見えない方が良いんだよ。良かったな」

マミヤ「え?あら、そうなの」

トキ「今日はもう遅いし、拳王軍との対峙もあって疲れたであろう。もう休むとしよう」

マミヤ「ええ」

―ラオウの居城―

ラオウ「トキの病は癒え、ケンシロウはこの俺とも五分に闘うまでに成長しおった」

ラオウ「それにあのレイ。今までまるで眼中に無かったが奴も油断ならぬ」

ラオウ「覇道は遠い…が、障害が強大であれば強大であるほど、このラオウの拳もより高まると言うもの!」

ザク「拳王様。既に夜も更けております。傷の回復の為にも早めにお休み頂きます様…」

ラオウ「分かっておる。待っておれケンシロウ、そしてトキ!俺は再び覇の道に帰って来る!この傷を癒してな!」

ラオウ「…ぬお!?」ビクッ

ザク「!…如何なされました拳王様!」

ラオウ『我が頭上に…死兆星が…』ワナワナ…

―おわり―

※ガロンとは原作でレイに倒された、拳王侵攻隊隊長で火闘術を使う男です。



ガロン編まだー?(チンチン

乙でした!
でも思いの外さっくり終わっちゃった(ショボーン
ガロン編とか超楽しみ!

なんかラオウだけ普通に死にそうな気がしてきた

>>1さん
ユダ編待ってます

>>45
もう来てる

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