ちひろ「くちびるは喋るためじゃなく」奏「おしおきのためにある……」 (227)

デレマスSSです。

デレステしかしたことがないので違和感ありまくりかもしれません。

細かいミス・誤字などは脳内補完でお願いします。

あと、キャラ崩壊・テンプレ注意かもしれません。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469717201


一応世界観が繋がっている前作↓

ちひろ「合宿という名の」未央「おしおき?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469027880/)



読まなくてもさほど問題はありません。


今回は予定通りLiPPS編なのですが



1.集団でまとめておしおき

2.個々にあわせて別々のおしおき



と二つ案が浮かんでおり、どちらにしようか迷っているところです。

そこで、どちらの方により興味を惹かれるかお聞きしてもよろしいでしょうか?


明日の夜まで様子を見て本文を投下したいと思っています。

もしよろしければみなさんのご意見をお聞かせください。

両方で

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」 
↓ 
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか? 
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ 
いちいちターキー肉って言うのか? 
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」 
↓ 
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。 
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋 
↓ 
信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw 
んな明確な区別はねえよご苦労様。 
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」 
↓ 
>>1「 ターキー話についてはただ一言 
どーーでもいいよ」 
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです 
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ! 
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469662754/)


余談
7 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:06:48.44 ID:10oBco2yO
ターキー肉チーッスwwwwww
まーたs速に迷惑かけに来たかwwwwwwwww

9 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:12:33.84 ID:LxY8QrPAO
>>7
はいNG設定


この速さである
相変わらずターキー肉くん=>>1という事を隠す気も無い模様

31 ◆xmciGR96ca4q sage saga 2016/07/28(木) 12:50:19.79 ID:g6WSU+sH0
昨夜寝ぼけてスレ立てミスったんで憂さ晴らしも兼ねて久々のロイミュ飯でした。書き溜め半分残り即興なんで色々アレかもしれませんがアレがアレなんでアレしてください何でもシマリス(熱中症

建てたら荒れると判ってるスレを憂さ晴らしに建てる
つまり>>1は自分の憂さ晴らしにs速を荒らして楽しんでる

うーん、いつも通りのクズ>>1で安心するわー

みなさんありがとうございます。

では今回は集団でまとめておしおきコースにしたいと思います。

余力とネタが尽きなければ2も書くかも……?(白目)

それでは今回もよろしくおねがいします。

モバP(以下P)「……周子」


周子「どったのPさん?」モグモグ


P「……どうしたじゃない」



シーン……



P「なんでお前しかLiPPSのメンバーが集まってないんだ!」バンッ!


周子「そんなのあたしに聞かれてもねー」モグモグ


P「今日は打ち合わせがあるから絶対に遅れるなとあれほど伝えておいたのに……!」ハァ…


周子「あのメンバーの前じゃそんな言葉が意味を持たないことは、Pさんが一番知ってると思うけど」モグモグ


P「それはそうなんだが、まさか本当にこうなるとは思わなかったぞ」


P「何日も前から釘を刺していたからな」


周子「言葉で釘を刺すよりも、本人たちを釘で刺しておいた方がよかったんじゃない?」ゴックン


P「一理どころか百理ぐらいあるな……」



周子「てゆーか、今回はいつものじゃないっぽいよ?」


P「……? どういうことだ?」


周子「ん、これ見て」スマホ スッ


P「これは……LINEか?」


周子「そ。うちの事務所のアイドルたちのLINEなんだけどさー、ここここ」チョイチョイ


P「ん……?」




アイオライト『ちひろさんの「おしおき」受けたら、Pさんに「おしおき」出来たよ』


橘です。『詳しく願いします』


クローバー『詳しく教えてくださいっ!』


働かない『kwsk』


カワイイボクですよ!『世界一カワイイボクに、特別に教えてくれてもいいですよ!』


黒猫『その話……詳しく……』
















P「……なんだこれ。『詳しい話を聞きたい』っていう返事が延々と続いてるんだが」スッスッ


周子「たぶんキリ無いんじゃないかなー。しばらく続くよそれ」


P「なんてこった……。知らないうちに、この事務所は変態の巣窟になってしまっていたのか……」


周子「それって自分もちゃんと入れてる?」


P「…………」プイッ


周子「まー、そんなことだろうと思ったよ」


周子(もっとも、みんな変態ってレベルじゃない気もするけどねー)


P「……で、どうしてこのLINEと他のメンバーの遅刻が関係するんだ?」


周子「んー、まぁこの会話の最後の方でさ、一体なにがあったのかが語られたんだよねー。で、それの最後にこれが」スッ









アイオライト『あの時のPさんの表情……凄かった。今思い出しても滾るものがあるね』




P「ちょっと待てコラァ!! 何言ってんだこいつは! そっちの趣味か!」


周子「あたしに言われてもねー」


P「薄々気づいてたけど、これ絶対凛だろ!」


P「あいつ、やけにノリノリだと思ったら、ちょっと楽しんでたのか!」


周子「今さら気付いたんだ」


P「くっそ~……俺にも非があることは自覚してたから、大人しく罰を受けたというのに……!」


P「でも、これがどうして今回の遅刻に繋がるんだ?」


周子「んー、まぁ端的に言えば、『おしおき』さえ我慢すれば、そのあと好きPさんをいじれるってことになってるからかな?」


P「なんでそうなる?!」


周子「ちひろさんが『おしおき』のためになにかするでしょ?」


周子「で、凛ちゃんの話では、その中で協力してるPさんが暴走するから、そこに付け込んでPさんにあれやこれやと……」


P「ねぇ、今付け込むって言った? あと、やっぱりあれは凛だったのか」


周子「あ、ヤバッ。ま、いっかー」


P「で、今回はそれに乗っかったと……」


周子「そーいうことなんじゃないかな」



周子「奏ちゃんは確実にそうだと思うよ。この前言ってたし」


周子「美嘉ちゃんはそれに巻き込まれてるって感じじゃないかなー」


周子「志希ちゃんはそもそもLINE見ないから、単なる遅刻やね」


P「あいつ……ん? それじゃあフレデリカは?」


周子「え? フレちゃんならいるよ。ほら」スッ


P「ん?」クルッ


フレデリカ「…………」プラーン


P「……お前は何やってんだ。天井からさかさまにぶら下がって」


フレデリカ「忍者のマネ!」


P「だとしたら、ずいぶんとドジな忍者だな」


フレデリカ「えへへ~。可愛いでしょ?」


P「おう、可愛いぞ。わかったから、そろそろ元の姿勢に戻ってくれ。怪我しそうで心臓に悪い」


フレデリカ「頑丈さが取り柄ですので!」シュタッ


P「初耳だな」


周子「フレちゃんは今日も平常運転やね」モグモグ


P「お前もな」



P「はぁ……ということは、来てないのは奏・美嘉・志希の三人か」


P「奏と美嘉はいいとして、志希は起こしに行かないとな……どうするか」


ちひろ「お困りのようですねPさん!」サッ


フレデリカ「あ! 悪魔だ!」


ちひろ「フレデリカちゃん?」ゴゴゴ…


フレデリカ「って凛ちゃんが言ってました!」


ちひろ「情報提供ありがとうございます。今回は見逃してあげましょう」


フレデリカ(あっちゃ~、危うく死ぬところだった♪)


ちひろ「それは置いといて……Pさん、どうやら今回もお困りのようですね!」


P「まぁそんなところですね。志希の遅刻に関してはいつものことなんで、もう慣れたことではありますけど」


ちひろ「Pさんはアイドルには甘いですからね~」


ちひろ「ここら辺で、一度気を引き締めてもらった方が良いんじゃないでしょうか?」


ちひろ「このまま見逃しておくと、もっと酷いことになりかねませんよ!」


周子「今まで放置してたことに驚きだけどね、あたしは」



P「う~ん、確かにそう言われると、今までがちょっとおかしかっただけかもしれんなぁ……」


P「いつもはちゃんと叱ろうと思っていても、あいつらの姿を見ると、どうも怒るに怒れなくて……」


ちひろ「それが甘いと言っているんです!」


ちひろ「今回はまだ軽微な打ち合わせだったので大丈夫でしたが、これがもし大事なイベントだったらどうするんですか!」


P「でも、あいつらはそういう時にはきちんと来ますから……」


ちひろ「それが駄目なんですよ!」


ちひろ「どちらもお仕事である以上、大小なんてありません!」


ちひろ「アイドルとしてテレビに出させてもらっているのであれば、どんな時でもきっちりしておくべきです」


P「……なんかちょっと言い訳が強引すぎません?」


フレデリカ「実は、ちひろさんが『おしおき』を楽しみたいだけだったりー?」


ちひろ「……それについては否定しません!」


P「否定しないんかい!」


ちひろ「でも、私が言っていることの半分ぐらいは、きちんと筋が通ってると思いませんか?」


P「うっ……」


ちひろ「彼女たちが学生だとしても、働いている以上は大人としての振る舞いを強制せざるをえません」


ちひろ「というより、ミーティングに遅刻するのは、たとえ子供でも大人でも許されないことでは?」


P「う゛っ」


ちひろ「こういうクセは、大人になっても中々治せるものではありません。ならば、早いうちに治しておくべきです」


ちひろ「それに、本当に彼女たちの事を案ずるのであれば、そちらの方がよろしいかと」



P「うーん……確かにそうかもしれませんね」


P「……よし、決めました! 今回ばかりはきちんと教育しましょう!」


P「三人にはちょっと痛い目を見てもらうことになるのが心苦しいですけど」


周子「まー、それぐらいがちょうどいいんじゃない?」


P「なんだ、周子は協力的なのか。てっきり反対するものかと思ったぞ」


周子「まーね」


フレデリカ「三人が驚く姿に興味ある感じ?」


周子「まーそんなとこやね。フレちゃんはいいの?」


フレデリカ「アタシは暴力的じゃなかったらオッケーだよ♪」


フレデリカ「確かにあの三人が驚く姿って見たことないもんねー♪」


ちひろ「じゃあ全員一致ということで『おしおき』を行いたいと思います」


ちひろ「準備をしたいので、実行は後日ということで宜しくお願いします」


P「わかりました」


ちひろ「二人も他の子に言ったりしないでね」


周子「んー」


フレデリカ「りょーかい♪」


周子「ついでに聞くけど、何するかは決まってるの?」


ちひろ「それについては当日のお楽しみということで♪」


ちひろ「Pさんには事前に協力してもらいますが」


P「俺の理性が保つ範囲でお願いします」


ちひろ「前回も理性が保つ範囲でしたが?」


P「なんのことですかねぇ」



ガチャ



奏「おはようございます」


美嘉「お、おはようございます……」ビクビク


P「お、噂をすればなんとやらだな」


奏「あら、みんなで集まってどうしたの? なにか相談事かしら」


P「ああ、大事な会議に遅れてきたお前たちをどうやって懲らしめるか相談していたんだ」


奏「ふふ……怖いわね。なんだかゾクゾクしちゃう」


美嘉「ちょ、ちょっと奏ちゃん! 今はそんなこと言ってる場合じゃないって!」


美嘉「Pさんやっぱり怒ってんじゃん!」


奏「そんなことないわよ。ほら、見て」スッ


P「あぁ、俺はめっちゃ怒ってるぞ。どういう手に出るかわからんなぁ」ワキワキ


美嘉「あぁ~……あれは大丈夫なやつだね」


P「まぁこれは冗談として、遅刻したことに関しては後で説教だ。覚えとけよ」


奏「おしおきされちゃうのかしら?」


P「残念だが、その手には乗らんぞ。大方の事情はすでに把握済みだ」


奏「あら残念。またの機会ね」


P「それが来るのはいつになるかわからんがな」


P「さぁ、さっさと会議室に行くぞ。遅刻した分は急がんとな」


奏「しょうがないわね……。今日の所はひとまず我慢しておくわ」


P「いつも我慢してもらえると助かるなぁ……」




トコロデシキハ?


アイツハネボウダ。タブンマニアワン。


ソレデイイノ?


テハウッテアル。トッテオキノヤツヲナ。




周子「……ふぅ」


フレデリカ「……んー?」

短いですが、今日はここまでです。

思ったよりLiPPSのメンバーを書くのが難しい……書き溜めが全然できませんでした。申し訳ない。

今回は亀更新になる可能性大です。すいません。

ではまた明日見ていただけると嬉しいです。おやすみなさい。

再会します。書き溜めはあまりありません。ごめんなさい。

では、よろしくお願いします。


数日後



志希「うがーっ! あたしはモルモットじゃなーい!」ジタバタ


P「誰も人体実験するなんて言ってないだろ……」


P「まったく……なんで自分が椅子に紐でグルグル巻きに拘束されてるのか、ちゃんとわかってんのか?」


志希「はっ! もしや、じぇーけー志希ちゃんにあれやこれやするつもりだったり?!」


フレデリカ「エロ同人誌みたいに?!」


志希「いやーん! 志希ちゃん貞操の危機っ!」


フレデリカ「ふっふっふ♪ よいではないかー! よいではないかー!」


志希「あーれー♪ お代官様さまー♪ おーやーめーくーだーさーいー♪」クルクル


P「コラ! フレデリカ! せっかく縛った紐を外すな! 失踪するだろ!」


P「っていうか、話が進まないからフレデリカは離れてろ!」




志希「あぁ! お代官様……私には将来を誓い合った方がっ……!」ヨヨヨ


フレデリカ「ふふふ……わしのものになれば、毎日贅沢三昧の日々でござるよ?」


志希「ヤバいっ! 志希ちゃんちょっと揺れ動きそう~♪」


志希「でもあたし的には~、やっぱり誰かの所にお世話になるのはちょっと違う的な?」


フレデリカ「なんと! であれば、ただで逃すわけにはいかぬ! 者ども! であえであえ~♪」


志希「わぁ~お! 絶体絶命!」


志希「くっ! 敵の手にかかるぐらいなら……切腹っ!」


フレデリカ「ハラキリ~♪ フジヤマ~♪」


志希「スシ~♪ テンプーラ~♪」


P「人の話を聞けっ!!」



未央「やっぱりこの二人は見てるだけで疲れるねー」


美嘉「ほんとにねー……」


奏「でも、二人の個性が出てていいじゃない。Pさんは大変だけど」


卯月「あはは……」


P「ったく……いいか? 今日はちひろさんから大事な話があるからちゃんと聞くんだぞ」


志希・フレデリカ「「はぁ~い♪」」


P「ホントにわかってんのかぁ……?」


P「まぁいい……ちひろさん、お願いします」


ちひろ「今日は急に呼び出したりしてごめんなさいね」


美嘉「大丈夫だよ★ ちょうどみんなでヒマしてたところだし」


奏「五人そろって明日まで休みだしね……珍しいわね?」


ちひろ「確かにそうかもしれませんね」


ちひろ「LiPPSの人気は衰えることを知らず、今でもうちの稼ぎ頭ですからね」


未央「そのLiPPSが休みっていうのは……これは何かの陰謀を感じますなぁ!」


卯月「確かに珍しいですよね」




ちひろ「実はですね、みなさんにぜひ参加してほしいイベントがありまして!」


ちひろ「今日はそのイベントの提案に来てもらったんです!」


フレデリカ「イベント~?!」


ちひろ「そうです! きっとみなさんも忘れられない思い出になると思いますよ!」


志希「して、それはどういったお祭りかなー?」


ちひろ「はい! それはもう、楽しい楽しい――」





















ちひろ「『おしおき』 の 時 間 で す !」





志希「さらばっ!」ピュー


P「あっ! こら志希! 逃げるな!」ダッ


志希「キミの匂いなら歓迎だけど~、危険な匂いはオコトワリしてるんだよね~♪」タタタ


P「待てコラ!」


志希「にゃーはっはっは! 捕まえてごらん~♪」


P「クッソッ! ……なんてな」ニヤリ




ガチャ




響子「…………」


志希「あっ! 響子ちゃんだ! 突撃~♪」


響子「…………」スッ…


美嘉(あれは……タッパー?)


響子「志希さん……」


志希「なになに~? あたしへの差し入れ? だとすればあとにしてほしいかなー! 今から失踪予定だから――」


響子「くさやです」パカッ


志希「」ドシャァァ!!


美嘉「ひっ……!」


響子「…………」ガシッ


響子「…………」ズルズルズル…




バタン…




美嘉「」ドンビキ


奏「」ドンビキ


卯月「」ドンビキ



P「……よしっ。志希確保」


美嘉「ね……ねぇ、プロデューサー……」


P「どうした美嘉?」


美嘉「もしさ……もしだよ? 例えばの話なんだけどさ……」


P「なんだ?」


美嘉「もしアタシが、ちょっと今日は帰りたいかなぁ~? とか言ったらさ」


P「おう」


美嘉「……あんな感じになっちゃうの?」


P「……その可能性は高いな」


美嘉「…………っ!」ゴクッ


P「大体これでわかっただろ? 今回の趣旨が」


P「素行不良のアイドルたちに対する罰。今回お前たちに参加してもらうイベントはそれになる」


美嘉「アタシは特になにもしてないよ! いつもはちゃんとしてるじゃん!」


未央「監督責任だよ、美嘉ねぇ」


美嘉「未央?!」




未央「私も受けたんだ。監督責任の名の下にね」


美嘉「え……冗談でしょ?」


未央「本当だよ」


美嘉「…………」チラッ


P「本当だぞ。未央は全く関係ないのに巻き込まれた」


美嘉「ウソ……!」


未央「大丈夫だよ美嘉ねぇ。監督者はそれほどキツイ罰は受けないから」


美嘉「…………」ホッ


未央「……ただ」


美嘉「ただ……?」


未央「ただ……胃に穴が開くぐらい、心が穏やかじゃなくなるのは確かかな」


美嘉「」




未央「下手すれば、そのまま罰を受けていた方が幸せかもしれない」


美嘉「ヤダーっ! もう帰るっ!」ダッ


P「まぁまぁ落ち着けよ美嘉。志希の二の舞になりたくはないだろ?」ガシッ


美嘉「そうだけどさー!」ジタバタ


奏「まぁまぁ落ち着きなさいよ美嘉」


奏「おしおきを我慢すればその後は……ね?」


美嘉「うっ……そういえばそうだったね……」


奏「この前はそのために私に着いて来てくれたんでしょ?」


奏「だったら、今がチャンスじゃない。この機を逃すなんてありえないわ」


美嘉「くぅぅ……奏ちゃんがそう言うなら……」


奏「で、Pさん? 今回はどんな『おしおき』をするのかしら?」


奏「悪いけど、ちょっとやそっとじゃ折れたりしないわよ」


P「うーん、ちひろさんの言うとおり、やっぱり奏は手ごわそうだな」


奏「あら、Pさんにそう言ってもらえるなんて光栄ね」クスッ


P「俺みたいな奴に言われて嬉しいのか……?」




未央「まぁまぁ二人とも! ちょっとテレビでも見て落ち着こうよ!」


未央「おしおきって言っても私たちの時には半分お泊り会みたいなものだったしさ!」


未央「さすがのちひろさんたちも、そこまでエグい手は使ってこないって!」


ちひろ「そこで私の名前を出すところに悪意を感じるんですが」


ちひろ「未央ちゃんも参加しますか?」


未央「遠慮しておきますっ!!」


未央「さぁさぁ! 早くテレビでも見て、心を落ち着かせよっ!」サッ


ちひろ「あからさまに話を逸らしましたね」


美嘉「あはは……でも、未央の言うとおりかもね。ちょっと落ち着きたいかも」


奏「ふふっ、この事務所はただでさえ騒がしいものね。もっと平常心で――」




ピッ


ブンッ




凛『プロデューサー……キス、して……?』


P『凛…………』スッ


凛『あっ……』


P『目を閉じろ……』


凛『…………』コクッ


P『優しく、してやるからな……』


凛『うん…………んっ……!』ビクッ


P『…………』


凛『んんんんっ――!』プルプル


凛「……ぷはっ!』


P『……どうだった?』


凛『もうっ……バカッ……!///』カアッ





未央「おおぅ……!」


卯月「わあっ……! 凛ちゃん大胆です……っ!///」カアッ


美嘉「…………!」プルプル


奏「…………」シーン


未央「美嘉ねぇ?」


卯月「奏ちゃん?」


奏「…………りっぷすっ゛!!」ドシャァ…


卯月「わっ!!」ビクッ!


P「おーおー、想像以上の反応だな。あのクールの代表とも言える奏がギャグキャラみたいになってるぞ」


美嘉「か、かなで、ちゃん……?」プルプル


未央「美嘉ねぇは顔を真っ赤にしてプルプルしてるね」


未央「ちょっと予想外かなぁ。私的には美嘉ねぇの方が先に沈む気がしてたんだけど」

前作のリンク踏んでなかったから気付くのが今になったが、あんたかw
期待



美嘉「未央……あんた、まさか……!」


未央「あったりーっ! 未央ちゃんは協力者でーすっ!」


卯月「協力者ってなんですか?」ポカーン


美嘉「反応見るあたり、卯月は関係無さそうだね……」プルプル


P「まぁな。卯月はこういうことに加担させちゃいけないだろ」


美嘉「なんか卯月に対して甘くないっ?!」


P「バカ野郎お前! 卯月は天使なんだぞ! 汚していいわけあるか!」


ちひろ「自分が汚れ役ってことは自覚してるんですね」


P「卯月を汚していいのは俺とちひろさんだけなのっ!」


ちひろ「すいませーん、巻き込まないでいただけます?」


卯月「…………///」カァァ


未央「あ、しまむーが美嘉ねぇと同じぐらい真っ赤に」


>>39 ありがとうございます!





P「ま、茶番はさておき、よく耐えたな美嘉」


美嘉「当たり前じゃん……! こんなの慣れっこだから……!」


美嘉「なんってったってアタシは――」クルッ




凛『プロデューサー……』


P『どうした?』


凛『今日は……帰りたくない……』


P『……はぁ、しょうがない奴だな』ギュッ


凛『あっ……///』


P『うち、来るか?』


凛『…………///』コクッ


P『…………優しくしてやるからな』


凛『…………最後まで、二人一緒だよ?///』





美嘉「かりすまっ゛!!」ドシャァァ…


P「ここまで予想通りだが」


ちひろ「見事に手の平で踊らされてましたねー」


未央「協力しておいてなんだけど、ちょっとヒくかなー。この手際の良さというかなんというか」


卯月「あ、あの、えっと」カァァ


P「おう、卯月。大丈夫だ。あれは凛が今度新しく出演するドラマ用に撮った練習映像だ」


P「実際はキスしてるように見えるだけだからな。安心しろ」


卯月「そ、そうなんですかっ?! いきなりの事だったので、ちょっとドキドキしちゃいました……」カァァ


未央(可愛い)


P(可愛い)


ちひろ(さすがのPさんも、卯月ちゃんの前では『本当にキスした』とは言えないんですね……)






P「さて、主犯たちは確保できたことだし、次のステップに進みましょうか」


ちひろ「そうですね。フレデリカちゃんもご協力ありがとうございました」


フレデリカ「えへへー♪ フレちゃんもたまにはやるでしょ?♪」


未央「映像に集中させるためとは言え、黙ってるフレちゃんなんて久しぶりに見たかも」


卯月「確かにそうかもしれませんね!」


フレデリカ「ふっふっふ! フレちゃんの美人は安くないのだ!」


P「しゃべってれば超美人の方は、かなり安売りしてるがな」


フレデリカ「あれー? ほんとだ!」


P「ま、俺たちからのお願いとはいえ、お前も黙っているのは辛かっただろう」


P「よく頑張ったな」ナデナデ


フレデリカ「///」ポッ


未央「わっ! もっと珍しい姿が!」


卯月「うーっ……私も撫でてほしいです!」


未央「しまむー?! 急に何言ってるの?!」


卯月「私は何も知らないのに巻き込まれました! ちゃんと説明が欲しかったです!」


卯月「だから、これは、その……そう! お詫びとして、ナデナデを所望します!///」カアァ


未央「可愛い(しまむー、無理しなくてもいいよ?)」


P「可愛い(未央、本音と建前が逆になってるぞ)」


ちひろ「可愛い(Pさんも人の事言えてないですよ)」


P「そういうちひろさんもですよ。ていうか、さらっと人の心読むのやめてもらえます?」


未央「プロデューサーもね」




卯月「ううっ……!///」シュゥゥ…


P「ははは、卯月はまた後で撫でてやるからな。ただ、今は時間が惜しい。会場の都合もあるしな」


P「先に移動の準備をしておこう」


未央「そういえば、今回はどういう内容なの?」


未央「私、ここからのことは何も聞かされて無いんだけど?」


P「んー、まぁそれはついてからのお楽しみだな」


未央「なにそれ!」


P「しいて言うなら、今回は三人の他に特別ゲストがいるってことぐらいだな」


卯月「よくわかりませんけど、どなたなのか気になりますね!」


P「ははは、卯月には移動中に詳細を話してやるからな」


P「ま、それは別として、特別ゲストは三人にゆかりのある人物だぞ」


P「な、フレデリカ」


フレデリカ「そうだねー。知ってるようなー知らないような?」


未央「えっ? フレちゃんは知ってるの? それが誰なのか」


フレデリカ「アタシは知ってるけどー、今日会うのはアタシの知ってる人とは違う人かも!」


未央「よくわかんないよ……」


フレデリカ「フレちゃん出来る女だから! プロデューサーからお口チャックな約束してるんだ~♪」


P「今は意味がわからんとは思うが、向こうに着けば、あながち間違ってないってわかるぞ」


未央「えっ?! 今の発言が意味を持つの?!」


フレデリカ「ちょっと未央ちゃんヒドイよ~! フレちゃん傷ついたっ! プンスコ!」


P「いや、こればっかりはお前のいつもの発言のせいだろ……」


P「とにかく、その辺も向こうに着けばわかることだ。さっさと会場に行くぞ!」


未央・卯月・フレデリカ「「「はぁーい!」」」


今日はここまでです。

やっぱりLiPPSは書くのが難しい。でもキャラが増えると、会話を考えるのが楽しいです。

次回はちょっとシリアス入るかもしれません。でも、全体的には同じようなノリです。

静かに読んでいただきありがとうございました。また明日もよろしくお願いします。

では、おやすみなさい。


10時から再開予定です。


例のごとく、書き溜めはほとんどありません。ごめんなさい。


今回はちょいシリアス入る予定です。すぐ終わりますが。


では、今日もよろしくお願いします。



美嘉「――――はっ!」


奏「あら美嘉、おはよう。いい夢見れたかしら?」


美嘉「か、奏ちゃん? ……ここは?」


奏「見たところロケバスの中みたいね。いつもはPさんに社用車で現場まで送ってもらってるから、自身はないけど」


美嘉「ロケバスかぁ……アタシ達、これからどうなるんだろう……」


奏「覚えてる? 私たちに何があったのか」


美嘉「確か事務所に居て……それでちひろさんにイベントがあるから参加しないか、って言われて」


美嘉「……それで志希ちゃんが倒れて……未央にテレビを勧められて……」


奏「それ以上は言わなくていいわ……頭痛がするから」ハイライトオフ


美嘉「う、うん……」



奏「さて……一体私たちはどこに連れて行かれるのかしらね? 教えて下さると嬉しいんだけど? 運転手さん」ハイライトオン


運転手「すいません……プロデューサーさんに言わないで欲しいとお願いされていまして……」


奏「あらそう。まぁそんなことだと思ったわ。思っていたけど残念ね」


美嘉「とすると、到着まではまったく予想できないってことかぁ……」


奏「何一つわからないってこともないとは思うけどね」


奏「ほら、このあからさまに閉めてあるカーテンをめくれば、景色からどこに向かってるかぐらいは目星がつくんじゃない?」ピラッ


美嘉「そっか! それならどんな『おしおき』が来るのかも予想できそうだね!」


奏「二人で協力しましょ。志希はあんな状態だしね」スッ…


志希「」


美嘉「……息、してるよね? ちゃんと……」


奏「さっき確認したから大丈夫よ。それに、後でプロデューサーの匂いでも嗅がせれば復活するわよ」


美嘉「それ凄い予想できるなー」





奏「さ、おしゃべりはこれぐらいにして、そろそろ作業に取り掛かりましょうか」


奏「思ったよりあっちの方が上手みたいだし、さすがの私もちょっと落ち着いていられないわ」


美嘉「奏ちゃんが動揺するって、なんだかすごいね」


奏「自分でも驚いてるわ。まさか、あんな三文芝居でここまで揺れ動かされるなんてね」


美嘉「三文芝居っ……! 奏ちゃん、ちょっと怒ってる?」


奏「ええ、怒ってるわ。不甲斐ない自分にね」


奏「あんなもの見せられて、こんなにも落ちけなくなってる自分が居ただなんて知りたくなかった」


奏「それに、凄く嫉妬してる。どうしようもないぐらい」


美嘉「それは……凛に?」


奏「ええ、そうよ。ライバルが多いのはわかっていたし、凛もその内の一人だったってことも気づいてた」


奏「でも、あんなに積極的だとは思ってなかった。LINEでみんなに自慢する辺り、行動に移すような子じゃないって勝手に思い込んでけど」


奏「でも『アレ』を見せられていろいろ考えた。もしかしたらあのLINEはみんなへの勝利宣言だったのかも、って」


奏「自分だけはみんなよりも一歩Pさんに近づいたぞ、っていう報告だったのかもって」


美嘉「それは……ちょっと考えすぎじゃない?」


奏「分かってる。分かってるわ。でも……どうしても心のどこかでその考えが姿を現すの。拭いきれないのよ」


奏「それだけあの映像は衝撃的だった。少なくとも、私にとってはね」


奏「それだけ私の中のPさんへの想いが強いって証明にもなったんだけどね」


美嘉「奏ちゃん……」





奏「……ふふっ、辛気臭いのは私には合わないわね。この話はここでお終いにしましょ?」


奏「それに、これからの『おしおき』を乗り切れば『お楽しみ』があるんだしね」


美嘉「……やっぱり奏ちゃんは凄いよ」


奏「あら、嬉しいわ。お世辞で褒められるのも、案外悪くないわね」


美嘉「お世辞じゃなくて、アタシは本当にそう思ってるよ!」


奏「ありがとうね、美嘉。さ、本当に作業に戻らないと」


奏「事前の準備を怠らないのがイイ女の条件だと思わない? カリスマギャルさん?」


美嘉「…………! ……そうだね★」






運転手「……もうすぐ到着しますよ」


美嘉「はぁ……結局なんにもわからなかったね」


奏「そうね……フレデリカがいない事がなにかヒントになると思ったんだけど」


美嘉「そういえば、ここに来る途中でフレちゃんがいないことは気にしてたけど、周子ちゃんがいないことには何も言ってなかったよね?」


奏「そうね。周子に関しては、心配する必要はないから」


美嘉「え、言い切っちゃうんだ」


奏「まあね。今回に関しては、周子があちら側ってことはありえないから」


美嘉「でもあの時の遅刻メンバーに周子ちゃんは入ってなかったよね?」


美嘉「そうなると『おしおき』メンバーには入らないし、そう考えると、向こうと手を組むって可能性も考えられる気がするけど……」


奏「その心配は無用よ」


美嘉「どうして?」


奏「周子はこっちの味方だからね」


美嘉「確信してるの?!」


奏「ええ。だって、この『おしおき』が行われるように上手く誘導してほしい、ってお願いしたからね」




美嘉「なにそれ?! 初耳なんだけど?!」


奏「敵を騙すなら、まず味方から、よ」


美嘉「すっかり騙されちゃったよ!」


奏「ふふっ……上手く騙されてくれてありがとうね、美嘉」


美嘉「騙されたくて騙されたわけじゃなーい!」


奏「ごめんなさいね。お詫びと言ってはなんだけど、きちんと説明するから」


美嘉「ううっ……」


奏「凛からLINEが来たでしょ? その後すぐに周子にお願いしたのよ」


奏「『Pさんが私たちの素行を気にした時は、さりげなく今回の話を持ち出してほしい』ってね」


美嘉「えっ? あの後すぐにお願いしたの?」


奏「ええ、そうよ。『おしおき』の話が出さえすれば、その後はなんとでも言い訳が聞くしね」


奏「まずはそのチャンスを掴むのが最優先だと思ったの」


美嘉「はぇ~……凄いね。あの短時間でそんなところまで考えてたの?」


奏「こういう時には頭が働くのよ。まったく、我ながら嫌になるわね」


美嘉「……知れば知るほど奏ちゃんって凄いよね」


奏「あら? 褒めても何も出ないわよ」


美嘉「むしろあげたいぐらいだよ……」








ブロロロ……キキッ




運転手「到着しましたよ」


奏「あら、もう着いたのね。結局、なにも予想できなかったわね」


美嘉「そうだね。まぁ、なんとかなるっしょ」


運転手「足元に気を付けてください」


奏「ありがとうございます」


美嘉「ありがとうございます」


奏「ほら志希、行くわよ」


志希「」


奏「……これはもう駄目ね。置いていくしかないわ」


美嘉「ええっ?! それはさすがに可哀想じゃない?」


奏「でも私たちじゃ運べないでしょ? Pさんならまだしも」


美嘉「うーん……確かにそうだけど……」






ちひろ「その心配はありませんよ」


美嘉「ちひろさん!」


奏「あら、元凶のお出ましね」


ちひろ「何のことかわかりませんねぇ」


奏「ふふ、怖い人……」


ちひろ「私もまったく同感ですよ。奏ちゃん♪」


ちひろ「さて、志希ちゃんのことですが、問題はありません」


美嘉「え? でも、ちひろさんでも無理じゃない? 志希ちゃん運ぶの」


ちひろ「大丈夫です! 優秀な助っ人を用意しましたから!」


美嘉「 ! (ま、まさかPさん……!)」


ちひろ「こちらです!」




バンッ!




美嘉「……えーっと」


奏「ちひろさん、一応確認するけど、これって見間違いじゃないわよね?」


ちひろ「はい! 私たち裏方の人間がいつもお世話になっている秘密兵器――」






















ちひろ「四輪駆動型運搬用台車ですっ!」





美嘉「……つまりこれで」


奏「志希を運べってことね……」


ちひろ「はい! 従来の2方向ではなく、8方向に車輪が回ることによって、より多次元的な動きが可能になった優れものです!」


美嘉「台車の性能は聞いてないから!」


ちひろ「ですが、志希ちゃんを担ぎ上げることが出来ない以上、これに乗せていくしか手がないと思います」


ちひろ「唯一の男手であるPさんは、今準備中ですしね」


ちひろ「それに、使ってみると意外と気に入るかもしれませんよ?」


奏「……まぁ、ちひろさんの言う通り、今はこれ以上にいい手は思いつかないわね」


美嘉「それはそうだけど……」


奏「なんにせよ、ここで突っ立っていてもどうしようもないんだし、さっさと行きましょう」


奏「美嘉、志希の足持って」


美嘉「うぇえ……いいのかなこれ……」


奏「さ、いくわよ。せーのっ」


美嘉「よっと!」




ドサッ




奏「出来たわね。……あら、意外といいじゃない。サイズもぴったり」


ちひろ「でしょう? では、行きましょうか♪」


美嘉「……なんか、凄い犯罪臭のする絵面だなぁ」


奏「臭いがするなら志希にピッタリじゃない」ガラガラ


美嘉「えっ?」


奏「……忘れて」ガラガラ


美嘉「う、うん……(実はちょっと今の状況を楽しんでる?)」








<ピロンッ♪




奏「……あら? 誰かからLINEね」ガラガラ


美嘉「あ! アタシが見るよ!」スマホスッ


美嘉「えーっと……あ、LiPPSのラインだね! 差出人は……周子ちゃん?」


奏「あら。現場の状況を報告してくれたのかしら?」


ちひろ「心配には及びませんよ。おそらく、向こうはそんな状況ではないと思いますから♪」


奏「なにを勘違いしてるか知らないけど、こちらの話よ?」


ちひろ「誤魔化さなくても大丈夫ですよ。気づいてますから。周子ちゃんがそちらの味方だってこと」


美嘉「えっ゛?!」


奏「……嘘よ」


ちひろ「嘘ではありませんよ。大方、今回の『おしおき』の話をPさんの前で盛り上げるようにお願いしたんでしょう?」


ちひろ「私が見逃さないとでも?」


奏「…………油断してたわ」


ちひろ「だから私も今回の話を無理に盛り上げたんですよ」


ちひろ「周子ちゃんを罠にかけるために……ね♪」


美嘉「どうしてそこまでアイドルたちに『おしおき』したがるのさ……」


ちひろ「あ! 酷いですね! 私はただ皆さんのことを想って行なっているだけですよ!」


ちひろ「それに今回は、それほどキツイおしおきではありません!」


美嘉「ホントにぃ~?」


ちひろ「本当ですよ! 見てください、あれを!」ビシッ!


美嘉「えーっと、あれは……お城?」





奏「……まさかとは思うけど」


ちひろ「ふっふっふ……そろそろ今回の企画の趣旨を説明しましょう!」


ちひろ「今回皆さんには……結婚式に参加してもらいます!」


美嘉「……嘘でしょ」


奏「確認したくないけど……もしかしてその主役って……」


ちひろ「はい♪ もちろん周子ちゃんです♪」


ちひろ「LINEを確認してみたらどうですか? きっと私の説明に確信が持てますよ♪」


奏「……美嘉、周子はなんて?」


美嘉「ん? あぁ、そういえば中身をまだ見てなかったね。えーっと――」




周子『あたし、まだ死にたくねい』




美嘉「……ちひろさん?」


奏「全く確信が持てないんだけど?」


ちひろ「まぁまぁ♪ 幸せすぎて死にたくない、ってことかもしれませんよ!」


ちひろ「あまりに幸せすぎて、誤字にも気付かずに送信したんだと思います!」


美嘉「本当かなぁ……?」


奏「……急ぎましょ。色んな意味で嫌な予感がするわ――」





周子(…………なんやろ。今まで適当に生きてきたツケが回ってきたんかなぁ……)










卯月「うわぁ……! 周子ちゃん、とっても綺麗です!」キラキラ


凛「うん。本当、凄く綺麗だよ」ハイライトオフ


響子「いいなぁ~。私も着てみたいです!」ハイライトオフ


まゆ「白い肌に白いドレス……映えますねぇ」ハイライトオフ


智絵里「とっても……似合ってますっ!」ハイライトオフ


瑞樹「ええ、本当ね」ハイライトオフ


ありす「待ってて欲しかった……」ハイライトオフ


あい「素晴らしいね」ハイライトオフ


雪美「うん……とっても綺麗……」ハイライトオフ


泰葉「まるで、お人形さんみたいです……」ハイライトオフ


藍子「一枚撮ってもいいですか?」ハイライトオフ


早苗「いやー、やっぱり女なら結婚に憧れるわよね!」ハイライトオフ


美優「そうですね。いつかは私も……」ハイライトオフ


留美「ふふ……負けないわよ」ハイライトオフ






周子(どこで間違ったんやろ……)

初っ端シリアスでしたが、なんとかいつものほのぼのに戻れました。


明日は月曜日……うん、ツラいね。でも頑張ろう。


書き溜め無くなったので、再投下は明後日になるやも……。でも、なるべく明日投稿できるように頑張ります。


今日も静かに読んでくださり、みなさんありがとうございました。


では、おやすみなさい。


再会します。


書き溜め作れず、また12時までと短めですが、今日もよろしくお願いします。




ガチャ



P「おー、お前らここにいたのか」


周子「プロデューサー!」


P「周子メインの撮影だからってお前らがここでずっと居てていいわけじゃないぞ」


P「きちんとエキストラ役をしてもらわないと」


P「ほら! 早く行った行った! 式場はもうカメラまで準備万端だぞ!」


アイドルたち『はーい』ゾロゾロ




バタン




P「ふぅ……まったくあいつらは」



周子「プロデューサー……」


P「ん? おお! 似合ってるじゃないか!」


P「やっぱり映えるなぁ」


周子「それはそれで嬉しいんだけどさ……なんであたしがこんなことになってるわけ?!」


P「自分でウェディングドレス着ておいてよく言うよ」


P「ちひろさんから聞いてるだろ? 飛び込みで入ったブライダル業界のお得意様からの仕事だ」


P「空きがお前ぐらいしかいなかったからな。急遽頼んだってわけだ」


周子(絶対ちひろさんの策略でしょ……!)


P「いやー、ほんと上手いこと予定が空いてたよなぁ」


P「エキストラ役のアイドルたちも、偶然にも今日が空きみたいだったようだし」


周子(そこもちひろさんの策略……いや、もう考えないようにしよう)




周子「それにしても、エキストラ役の人選間違ってない?」


P「ん? そう言われればそうかもしれんな」


P「雪美とかありすとか、結婚にはまだ早いもんなぁ」


周子(そういうことを言ってるんじゃなくて!)


P「でもまぁ、親戚の子みたいな設定ならなんとかなるだろ」


P「っていうか、撮影で映るのは基本的に周子だけみたいだから、そこらへんは気にしなくてもいいぞ?」


周子「いや、あたしが気になるから」


P「そうか? 俺が昔行った同僚の結婚式では、あれぐらいの歳の子もいたぞ?」


周子(ダメだ……Pさんに話しても意味がない……)



コンコン




ちひろ「失礼します」ガチャ


P「あ、ちひろさん。お疲れ様です」


ちひろ「お疲れ様です……わぁ、周子ちゃん、とっても似合ってますね」


周子「ありがとうございます、って言いたいところですけど、素直にそう言えませんね……」


ちひろ「うふふ、照れちゃってるのね」


P「ははは、可愛い奴だなぁ!」


周子「プロデューサーは黙ってて!」


ちひろ「ふふ、Pさんに見られるのが恥ずかしいみたいね」


ちひろ「ごめんなさいPさん、エキストラ役の子たちの誘導お願いできますか?」


ちひろ「私は周子ちゃんに今回の企画の内容を説明したいので」


P「普通は逆だと思うんですけど……」


ちひろ「エキストラ役の子たちは殺気立って……いえ、緊張してるみたいなので、私よりもPさんに居てもらった方が安心できるかと」


P「そうですか? まぁ、そういうことなら協力しますよ」


ちひろ「はい、ぜひお願いします」


P「わかりました。じゃあ、周子のことはよろしくお願いしますね」


周子「いってらっしゃーい」ヒラヒラ


P「おう。また後でな」スタスタ




ガチャ……バタン








周子「……で、説明してくれます? 今回の事について」


ちひろ「……どこから説明してほしいですか?」


周子「んー、全部かな」


ちひろ「奏ちゃんに協力したことについてもですか?」


周子「はぁ……やっぱりバレてたんだ……」


ちひろ「当然です。私を誰だと思ってるんですか?」


周子「ホントやねー。この事務所でちひろさん以上に食えない人なんていないもんね」


ちひろ「……そうとも限りませんがね」


周子「ん?」


ちひろ「なんでもありませんよ……」

あと12時間もあるねやった!


>>79 おいやめろ




ちひろ「さて、大方の企画内容はすでにご存じだとは思いますが、何か気になるところはありますか?」


周子「バージンロードを歩く様子を撮影するっていうのはわかるんだけど、父親役とかはいるの?」


ちひろ「一応用意されていますよ。なるべく本番の結婚式に近づけて欲しいという相手方からの希望ですから」


周子「……じゃあ、新郎役も?」


ちひろ「はい。もちろん準備済みです。すでにスタンバイしてるんじゃないでしょうか?」


周子「そっか……」


ちひろ「――新郎はPさんが良かったですか?」


周子「えっ?!」


ちひろ「いえ、今そんな顔をしていたので」


周子「い、いや? そんなことあらへんけど?」アセアセ


ちひろ「凄い動揺ですねー。嘘つくの下手過ぎませんか?」


周子「急にそんなこと言われたら誰でもなるよ!」


ちひろ「そんなことじゃ、エキストラ役の子たちに怒られちゃいますよ?」


ちひろ「彼女たちはアイドルと言っても、中身はまだ子供の子たちが多いんですから」


ちひろ「きっとそのウェディングドレスを着たいと思っている子も少なくないと思いますよ?」


周子「そこなんだけどさ、人選おかしくない?! 危うく白いドレスが真っ赤になるところだったよ?!」


ちひろ「あらあら、物騒なことを言いますねぇ」


周子「でも冗談に聞こえないでしょ?」


ちひろ「はい♪ 私もそうなることを予想して、あえてあの人選にしましたから」


ちひろ「いやー、苦労しましたよ。あれだけの数の予定を調節するのは」


ちひろ「でもなんとかなるものですね♪」


周子「……あたしは狐をイメージしてるけどさ」


ちひろ「はい?」


周子「ちひろさんって……本当に狸だよね」


ちひろ「…………褒め言葉と受け取っておきますね♪」




ちひろ「さぁ! そろそろ時間も迫ってきたことですし、仕上げのメイクと衣装合わせを行って式場に行きましょうか!」


周子「ふぅ……これはもう覚悟決めるしかないね」


ちひろ「そうは言っても、意外と嬉しいんじゃないですか?」


周子「まぁ確かに、こういうのって何回も出来るわけじゃないからね」


周子「アイドルやってるうちはまず無理だろうし」


周子「でも出来るなら、もっとまともな理由で着たかったかな」


周子「どうせこれも『おしおき』の一つなんでしょ?」


ちひろ「そうですねぇ……周子ちゃんは今回は共犯者ですから、こういう形で『おしおき』を用意させてもらいました」


ちひろ「ですが、これも一応ちゃんとした仕事であることに変わりはありません」


ちひろ「相手の方ともきちんと話し合って決めたことですしね」


周子「え? じゃあこれ、本当にちゃんとした撮影なんだ」


ちひろ「そうですよ? 私がしたのは新婦役を周子ちゃんにしてもらうための交渉だけで、それ以外は全てPさんにお任せしてありました」


ちひろ「ですから、一応マジメにやってくださいね」


周子「……そっか。それなら、うん。なんか嬉しいかも。ありがとね、ちひろさん」


ちひろ「手の平返すの早いですねー」


周子「自分が今までしてきたことを振り返ってみれば、その理由もわかるんじゃないかな?」


ちひろ「なんのことだかわかりませんねぇ」






コンコン




ちひろ「はい」


スタッフ「塩見さん、そろそろ会場入りお願いします」


ちひろ「わかりました。最終チェックに入ります」


スタッフ「よろしくお願いします」


ちひろ「……さぁ、周子ちゃん。そろそろ覚悟決めて準備お願いしますね」


周子「はーい。ちゃんとした仕事なら、シューコちゃん頑張るよ」


ちひろ「そこまで肩肘はらずに、リラックスした状態で構いませんから」


ちひろ「それでは、メイク室へ移動しましょうか」


短いですが、今日はここまでです。


次回はいよいよ式決行編です。次回も読んでいただけると嬉しいです。


静かに読んでくださり、みなさんありがとうございました。


それでは、おやすみなさい。

11時ごろから再開する予定です。


そして今回も少しシリアス入ります。私はギャグを頑張りたいのに…そっか、ギャグセンスが無いから書けないのか(白目)


今回は少し書き溜めあるので、昨日よりかは多めに投稿できるかと思います。


それでは今日もよろしくお願いします。





奏「……で、これは一体どういうことなのかしら?」




ガヤガヤ…




美嘉「いやー、まさかアタシたちだけじゃなかったとはねー」


美嘉「さすがに予想してなかったよ」


奏「ちひろさんが言うには、本当の撮影らしいけど――」チラッ


カメラマン「1カメオッケーです」


奏「……どうやら本当みたいね」


美嘉「ここまでくると、どこからどこまでが『おしおき』なのかわかんないよね」


奏「聞けば凛たちの時は、胃もたれしそうなぐらいの映像を見せられたみたいだし」


奏「案外ここからが本当の『おしおき』なのかもね」


美嘉「うーん……あながち否定しきれない……」


美嘉「でもさ、いくら結婚式の撮影を見せられるからって、それだけで『おしおき』になるかな?」


美嘉「確かにアタシ達の中にはそういうのに憧れてる子もいるとは思うけどさ、アタシはそこまでだし……」


美嘉「それに志希に関しては『おしおき』までいかないんじゃない?」


奏「……それが普通の撮影だったらね」


美嘉「え? どういうこと?」


奏「ほら、あそこを見てみて」


美嘉「どれどれ……」





凛「ありす、何見てるの?」


ありす「橘です。今ちょうど『ごんぎつね』を読んでいたところです」


凛「『ごんぎつね』? 昔、教科書で読んだことあるかも。確か……」


ありす「はい。『イタズラ好きの泥棒キツネが最後には猟師に鉄砲で銃殺される』というお話です」ハイライトオフ


凛「ふーん……おもしろそうだね。私も一緒に見てもいい? ちょっと懐かしい気分になっちゃって」ハイライトオフ


ありす「かまいませんよ。どうぞ」


凛「ありがと。――ねぇ、まゆも一緒に見ない?」


まゆ「いいですねぇ。たまにはそういうのも」ハイライトオフ


凛「ほら、こっちおいでよ」


まゆ「はい♪」タタタ…





美嘉「」


奏「あの凛がまゆを誘うなんて夢にも思わなかったけど」


奏「どうやら現実みたいね」


美嘉「アタシはまだ現実だなんて受け入れられないんだけど」


奏「別にいいけど、早めに気持ちの整理をつけたほうがいいわよ」


奏「多分、みんなの様子を見る感じ、今回の主役の内の一人は――」


志希「…………。――――!」ガバッ


美嘉「おわっ! ビックリしたぁ!」


奏「あら志希、おはよう。いい夢見れた?」


志希「…………」クンクン


美嘉「志希?」


志希「……プロデューサーの匂いがする!」


美嘉「え?」


志希「んっふっふ~♪ 隠れても無駄だぞー♪」ピュー


美嘉「あ! ちょっと! ……行っちゃった」


奏「……遅かったみたいね」


美嘉「え? どういうこと?」






奏「美嘉、よく聞いてね。これから起こることは全て現実なの」


志希「ん~……こっちの方かなー♪」


奏「私も信じたくないけど、出来るだけ自分を保つようにするから」


志希「……なーんてね! 志希ちゃんの前では、隠れても無駄だよーん♪」ガチャ


奏「あなたもしっかり耐えなさい」


志希「にゃははー! プロデューサーはっけー……ん……」


美嘉「ちょ、ちょっと奏ちゃん! 何を言ってるのかさっぱり――」




バタリ




P「お、おい! 志希! 急に倒れるなよ!」


美嘉「え? 志希――」クルリ


P「お、おい、美嘉! 手を貸してくれ!」


美嘉「」バタリ


P「美嘉ぁぁぁぁぁ!」


奏「それとね、志希はああ見えて繊細だから――」ハイライトオフ


P「か、奏! なにがどうなってるんだ!」


凛「Pさん? もう来てたん――」サーッ


まゆ「……凛ちゃん? 一体なにが――」パタリ


ありす「大丈夫ですか?! お二人とも一体なにが――」フリーズ


奏「気を付けてね――」バタッ


P「死ぬな―――っ!」





周子「……ふーっ」


ちひろ「緊張しますか?」


周子「そりゃあね。ここまで本格的だと、なんか本当に自分が結婚するみたいに思えてくるよ」


ちひろ「それはよかったです。ぜひその気持ちを大切にしてくださいね」


ちひろ「そちらの方が、より魅力的に映りますから」


周子「はいはーい。周子ちゃん頑張るよ」


ちひろ「では、しばらくしたらこちらにもカメラが入りますので」


ちひろ「そこからは打ち合わせ通りにお願いしますね」


周子「はーい」


ちひろ「あと、扉を開ける前の『あの言葉』も忘れずにね」


周子「りょうーかーい」


ちひろ「では私はもう行きますので。後はよろしくお願いします」


父親役「はい。わかりました」


ちひろ「それでは」スタスタ…




周子「……はぁ」


父親役「……緊張するかい?」


周子「そうですねぇ……なんだか実感がわかなくて」


父親役「ははは、まぁそういうものだよ」


父親役「私も昔、娘の結婚式にこうして出たことがあったけど」


父親役「どうも実感が湧かなくてね。もう今日が終われば、娘が自分の元から旅立ってしまうとわかっているのに」


父親役「どうしてもそれを理解できない。いや、もしかしたら、無意識に理解したくないと思っていたのかもしれない」


父親役「何と言っても、手塩にかけて育てた娘だったからね。祝福しなくてはいけない立場なのに、それを素直に祝福することが出来なかった」


周子「そうなんですか……」


父親役「喧嘩別れ……というほどでもないけどね、子供離れ出来ない自分がいることになんとなく恥ずかしくなってしまって」


父親役「まともな言葉一つかけることもできずに、嫁いでいってしまったよ」


父親役「そこで始めて、娘が結婚したのだと自覚してね……大体そういうものだよ」


父親役「まぁ娘には、なんと薄情な父親なんだ、と思われているのかもしれないけどね」





周子「…………」


父親役「ははは! なんて――いくら撮影とはいえ、あんまりこういう湿っぽい話はしない方がいいね」


父親役「なんともみっともない話だった。すまないね」


周子「…………」


父親役「君は今はアイドルだから、こういう機会がくるのは随分と先になるだろう」


父親役「私もこの業界はそこそこ長い。そういうアイドルたちを何人も見てきた」


父親役「実感が湧かないのも無理はないだろう。それを一番わかってるのは、おそらく自分自身だと思う」


父親役「だから――」


周子「確かに実感が湧きません。アイドルだから、こうして式を挙げることがもっと先になることも想像できます」


周子「でも、それ以上にあたしが想像できないのは――」


周子「もし『その時』が来たとして、こういう風に横に誰かが立っていてくれるのかな、ってことです」






父親役「それはまた……どうしてだい?」


周子「あたし、実は実家を追い出されて、路頭に迷っていた時にスカウトされてアイドルになったんです」


周子「女の子だったし、まさか家を追い出されるとは思ってなくて油断してたんですけど」


周子「いやー、あの時の両親の表情は今でも忘れられないですね」


父親役「それは……大変だったね」


周子「もしPさんにスカウトされてなかったら、今頃どうなってたかわかりません」


周子「そう考えるとゾッとします」


父親役「確かにそれは怖いね」


周子「はい。でも、アイドルになった後は、ちゃんと前みたいに接することが出来てます」


周子「年末年始は実家に帰ったり、向こうも差し入れを送ってきてくれたり……あ、あたしの実家が和菓子屋なんで」


周子「でも、たまに思うんです……もしかしたら、本当はまだ怒ってるんじゃないかなって」


周子「ちゃんとした仕事ならまだしも、アイドルなんていう先の見えない仕事についちゃったし」


周子「本当はもっと安定した仕事に就いてほしいとか考えてるんじゃないかなぁ……って」


父親役「周子ちゃん……」


周子「なーんて、これも今話すべき内容じゃないですね。ごめんなさい」


周子「なんか急に話しちゃった……いつもはこんなことないんですけど。あはは……」





父親役「…………これは僕の感想なんだけどさ」


周子「はい?」


父親役「きっとそんなことはないと思うよ。きっと周子ちゃんのご両親は、君のことを心から応援してるはずさ」


周子「……そうですかね」


父親役「ああ。もちろんそうさ。そうに決まってるよ」


周子「あたしもそう思ってるんですけど、なんだか芯の芯までは信じることが出来なくて……」



すいません。勝手ながら、イベドリンク消費のためにちょっとだけ停止します。


12時ごろ再会予定です。


ではまた後程。

再会します。



父親役「……これは僕の昔話なんだけど、少しだけいいかな?」


周子「……?」


父親役「実は、昔の僕が君とまったく同じ状況でね」


周子「そうなんですか?」


父親役「うん。僕の場合は小さな工場だったけどね。そこを継がずに、今みたいに役者の道を選んだ」


父親役「昔っから憧れててね。小さな箱の中で輝く多くの俳優――その姿がとてもかっこよくて、僕もああなりたいと思った」


父親役「それで、ある日、親に全てを打ち明けたんだ」


父親役「『工場は継がず、役者になる』ってね」


周子「反応はどうでした……?」


父親役「それはもう、酷いものだったよ。鼓膜が破れるぐらいの怒号と物が飛び交った」





父親役「半ば逃げるようにして、僕は実家を追い出された」


父親役「それからは大変だったよ。住むところから家事まで、何から何まで自分でしなくちゃいけなかったし」


父親役「それに、オーディションにも参加しないといけなかった。そのための台本を読む時間さえないぐらい忙しかったのにね」


周子「あー……それはあたしも経験ありますね」


父親役「それで実家を追い出されてから何年か経ったある日、とうとう念願のオーディション合格を勝ち取った」


父親役「名前も何もない、登場人物の友人役だったけどね」


父親役「そこで僕は悩んだ。そのことを親に報告するかどうかを」


父親役「あれだけの怒号を浴びせられたんだ。きっと、今回の事を祝福してくれるはずもない。そう思っていた」


父親役「でも実際は全然違った。意を決して実家に報告に行ったら、二人はとても喜んでくれたよ」


父親役「そんなにお金があるわけでもないのに、それなりに豪華な祝賀会を開いてくれたしね」


父親役「二人は泣いて喜んでくれてね。僕も思わず泣いてしまったよ」




父親役「その後に知った。二人が僕の出演したドラマや雑誌を集めていてくれたことを。ほんの数秒しか出番のないものであってもね」


周子「それは……確かに嬉しいですね」


父親役「うん、あれは本当に嬉しかったよ。過去がどうであれ、こんなボンクラを応援していてくれたなんてね。」


父親役「そういう経験があって、その後自分が父親になって、娘の事がたまらなく心配になって……そこでやっと気づいた」


父親役「どんなことがあっても子供を応援してくれる親なんていうものが、空想でもなんでもなく、実在するんだってね」


父親役「僕はどちらかというと、そういう物には否定的だったんだけどさ、ここ最近になってわかったよ」


周子「素敵な話ですね」


父親役「まぁ、長々と話しちゃったけどさ、結局何が言いたいかって言うと」


父親役「周子ちゃんのご両親は、間違いなく周子ちゃんの事を心の底から応援してくれてるはずだよ」


父親役「じゃなきゃ、自分が追い出した娘を迎え入れたり、わざわざこっちに差し入れを届けてくれたりはしないと僕は思うな」


周子「それは……」


父親役「それは自分でもよくわかってる、でしょ? 僕と周子ちゃんはこの数分間が初めての共演だけど、君の人の良さはひしひしと伝わるよ」


父親役「だからこそ、言えないんだ。物分かりが良すぎて、逆に何を言ったらいいかわからなくなる。そんな風に顔に書いてあるよ」


周子「そう、ですかね」


父親役「こう見えて人を見る目はある方だと自覚しててね」


父親役「そうでなくても、特に君のような素直な子は表情に出ちゃうんだよ」


周子「…………」


父親役「何も悩むことは無い。自分の気持ちを素直に伝えるだけでいいんだ」


父親役「今は手紙だけじゃなく、意志を伝える方法はいくらでもある。顔を見て話しづらいなら電話でもいい」


父親役「まずは自分の意志を伝えることが大事だと僕は思うよ」


周子「…………ありがとうございます」




父親役「ま、もしものことがあった時は、あのプロデューサー君に頼ると良い」


父親役「今回のような仕事も、いつもなら断っているところだけど」


父親役「周子ちゃんのプロデューサー君を見て何か伝わるものがあってね」


父親役「それで特別にこの仕事を引き受けたんだ。彼は内に何か凄いものを秘めている気がするよ」


周子「あはは……それは当たってると思います」


父親役「そうだといいけどね」アハハ






カメラマン「カメラ入りまーす」


父親役「お、そろそろ始まるみたいだね」


周子「よろしくお願いします」


父親役「ははは、こちらもよろしく。足踏んじゃったらごめんね」


周子「そこはあたしも気を付けます」


D「それじゃあ、本番入りまーす」


周子「……あの」


父親役「なんだい?」


周子「色々ありがとうございました」


父親役「あはは……なんだか照れるね」


周子「今度、プロデューサーと一緒に実家に帰ってみます」


父親役「あぁ、そうするといい」


D「それじゃあよろしくおねがいしまーす!!」



周子「……話は変わるんですけど」


父親役「なんだい?」


周子「『親の心子知らず』ってことわざがありますけど」


父親役「……? それは僕も知ってるけど」


周子「『子の心親知らず』tってことわざもあるんですよ」


父親役「へぇーそうなんだ。それは知らなかったな」


周子「……だから」


D「それじゃあ本番5秒前!」


周子「きっと娘さんも、父親役さんの事、ちゃんと理解してくれてると思いますよ」


D「4秒前!」


父親役「…………!」


D「3!」


周子「だからあたしが」


D「2!」


周子「娘さんに代わって」


D「1!」


周子「娘さんと一緒に言いますね――」


D「アクション!!」カチンッ


周子「『――お父さん、ありがとう』」


父親役「――――っ!!」




ギギィ……!









周子(路頭に迷っていたあたしを救ってくれたPさんには本当に感謝してる)


周子(実家にも帰れるようになったし、今はたくさんのユニットや大切な場所がある)


周子(それにPさん……イタズラ好きで、たまにちょっとウザいと思う時もあるけど――)


周子(カッコいいところもある)


周子(凛ちゃんやまゆちゃん程じゃないし、あの中に入りたいとは思わないけど……)


周子(あわよくば……と考えたこともある)


周子(それでもやっぱり、Pさんはあたしよりもお似合いの人がいると思うし)


周子(何より『軍団』の標的にされるのはごめんだと思ってた)


周子(だからこそ、ここまで大人しくしてきたのに……)




ギギィ……!




P「周子……」タキシード


周子(なんでPさんが新郎役なん!)






司会者「それではみなさま、座席下に用意しております籠を手に取っていただいて、祝福の華吹雪をお願いいたします」


父親役「行こうか」


周子「は、はい」


周子(うわぁ……みんなめっちゃこっち見てるやん……)


凛「……ごんぎつね」ボソッ


ありす「……ごんぎつね」ボソッ


まゆ「……ごんぎつね」ボソッ


周子(ごんぎつねってなに?!)

今日はここまでです。


父親役の人は周子よりもかなり年上なので、必然的に周子が敬語を使っているという状態です。


書いてて自分でも違和感ありました。


よくて明日、遅くても明後日には完結したいところです。そう言って実現したことなどありませんが……。


今日も静かに読んでいただきありがとうございました。


では、おやすみなさい。

11時ごろから再開します。


例によって書き溜めできませんでした。ふぁっく。


本日もよろしくお願いします。




奏「……周子」ヒラヒラ


周子(奏ちゃん……!)


美嘉「ヤッホー……! 似合ってるじゃん……!」ヒソヒソ


周子(に、美嘉ちゃん……と)


志希「うぅぅ……ハスハスし放題ぃ……!」


周子(ごめん、志希ちゃんが何言ってるのかはわからない)






美嘉「周子ちゃん、綺麗だねー」


奏「……でも、さっきの表情を見た限り、Pさんが新郎役っていうのは聞いてなかったみたいね」


志希「あれにはあたしもびっくりしたよ~!」


奏「周子だけじゃなくて、他の子も聞かされて無かったみたいだしね」


奏「みんなドミノみたいにパタパタ倒れていくし」


美嘉「その節はどうも……///」


志希「でも~、これは撮影なんでしょ? だったら、そこまで気にする必要なくな~い?」


奏「卒倒第一号が何言ってるのよ」


志希「あれはちょっと計算違いだっただけ! 天才でも間違える時ぐらいあるのだ~♪」


奏「どういう計算よ……」


美嘉「ま、なんにしても、中々いい感じじゃん。特に『おしおき』って感じもしないし」


美嘉「それに、周子ちゃんのウェディングドレス姿も見れたしね★」


志希「確かにそうだね~。いーにおいだった~♪」


奏「そうね……美嘉の予想通り、このまま何もなければいいけど」





美嘉「あ、そろそろ周子ちゃんが……」


奏「……Pさんの隣に」





周子「……Pさん」


P「……周子」





志希「……なーんか、ちょっといい感じ?」


美嘉「うん……Pさんも、まんざらでもない、って感じの顔してるね」


奏「…………」


美嘉「……確かに今回はなにもない撮影だけどさ」


美嘉「…………自分があそこにいれたらな、って……どうしても考えちゃうよね」


奏「……そうね」


志希「あたしもそれに関しては同感かな~♪」


美嘉「へぇ、意外だね。志希はあんまりそういうのに興味持たないイメージだけど」


志希「あたしだって女の子なんだから~ちゃんとそういうのにも興味あるよー♪」


志希「あたしはただ、プロデューサーをハスハスしたいだけ!」


美嘉「それもどうなの? っていうか、それあんまり関係なくない?」


志希「関係あるよ~! 結婚したら……ずっとハスハスし放題じゃん!」


美嘉「あぁ……そういうこと」


志希「それとも美嘉ちゃんは、あんまりそういうのに興味ない? 生殖の方が好み?」


美嘉「せっ……!/// ちょ、ちょっといきなり何言ってんの?!」カァァ


奏「やめなさい志希。こう見えて美嘉は純情なんだから」


志希「そんなのみんなが知ってること~♪」


美嘉「ちょ、ちょっと! 今のどういうこと?! 詳しく――!」


奏「ほら、始まるわよ。大人しく座ってなさい」


美嘉「今の話、く、詳しく!」


志希「なんのことかわかんな~い♪」




周子「Pさん……」


P「周子……」


父親役「……ほら、手を」


周子「あ、うん……」パッ


P「周子……さぁ」スッ


周子「…………」ギュッ


牧師「……それでは誓いの言葉を述べさせていただきます」


P「…………」コクリ


牧師「その昔、神はアダムの肋骨からイブを御創りになられました」


牧師「このように神は、男性や他の生き物を土から創りますが、女性は違って書かれています」


牧師「神は、男性にふさわしい伴侶として、男性の体の一部をとって女性を御創りになられたのです」


牧師「この表現は『女性は、男性の一部』ということではなく、両者の一体性を強調したものと言われています」


牧師「こういうわけで、男性は父母を離れて女性と結ばれ、二人は一体となるのです」


P「…………」コクリ


周子(そーなんや)



牧師「それでは誓約をしていただきます。みなさまご起立ください」




ガヤガヤガヤ…




牧師「塩見周子さんとPさんは今結婚しようとしています」


牧師「この結婚に正当な理由で異議のある方は今申し出てください。異議がなければ今後何も言ってはなりません」






美嘉「か、奏ちゃん……」


奏「どうしたの? 美嘉」


美嘉「異議……申し出なくていいの?」


奏「申し出るも何も、正統な理由の異議なんてないじゃない」


奏「それにこれは撮影なのよ? こんなところでエキストラ役の私たちが邪魔してどうするのよ」


美嘉「い、いや、でもさ……なんかイヤ~な予感がするんだよね……」


志希「あたしも~キケンな臭いをビンビン感じてるよ~」


奏「……思い過ごしでしょ。ただのワンシーンなんだから、二人とも大人しくしてなさい」


美嘉「で、でもさぁ……」


奏「美嘉」


美嘉「う……うん……」


奏(そう、これはただの撮影……)


奏(結婚式といえばあのシーンもあるはず……)


奏(でも、さすがにそのシーンの再現なんて、ないわよね?)





牧師「どうぞお座りください」




ガヤガヤガヤ…




牧師「Pさん、あなたはこの女性を健康な時も、病の時も、富める時も、貧しい時も、良い時も、悪い時も、愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか?」


P「はい、誓います」


牧師「周子さん、あなたはこの男性を健康な時も、病の時も、富める時も、貧しい時も、良い時も、悪い時も、愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか?」


周子「…………」


P「……周子?」


周子「え? あ、はい! 誓います!」


周子(これは撮影……これは撮影なんだ……!///)


牧師「あなた方は自分自身をお互いに捧げますか?」


P「はい、捧げます」
周子「は、はい! 捧げます!」



牧師「それでは、指輪の交換を」スッ


牧師「指輪の円形は終わりの無い永遠の愛を、そして貴金属で出来ていることは朽ちることの無い永遠の価値を意味しています」


牧師「Pさん あなたはこの指輪を周子さんに対するあなたの愛のしるしとして彼女に与えますか」


P「はい、与えます」


牧師「周子さん、あなたはこの指輪をPさんのあなたに対する愛のしるしとして受け取りますか」


周子「はい……受け取ります」


牧師「周子さん あなたはこの指輪をPさんに対するあなたの愛のしるしとして彼に与えますか」


周子「はい……与えます」


牧師「Pさん、あなたはこの指輪を周子さんのあなたに対する愛のしるしとして受け取りますか」


P「はい、受け取ります」


牧師「……では指輪を交換してください」



P「周子、左手を……」


周子「う、うん……」スッ


P「…………」ススス…


周子「あっ…………」


周子(指輪……あたしの手に……嵌まってる)


周子(Pさんが……Pさんが入れてくれたんだ……)


P「…………?! 周子、大丈夫か?」


周子「えっ……?」ツー…


周子「わっ……いつのまにか涙が……」ゴシゴシ


P「体調悪いのか? だとしたら一旦中止に……」


周子「ううん、大丈夫……ただちょっと、嬉しかっただけ」


P「 ! ……そうか」


周子「うん……ごめん、Pさん。続けよっか」


牧師「……よろしいですか?」


周子「はい、お願いします」ズビッ


牧師「では続けます…………」



美嘉「……周子ちゃんさ」


志希「泣いちゃってたね~。鼻水ドバドバ~♪」


奏「そこまでではないでしょ……それにしても」


美嘉「うん……なんか、本当にお似合いだね。あの二人」


奏「周子も『あわよくば』なんて考えてたんだろうけれど、やっぱりここまで本格的なものになると、抑えられてた感情が溢れ出しちゃったんでしょうね」


美嘉「周子ちゃんの場合は、Pさんとの出合い方が凄いもんね」


志希「路頭に迷っていた美少女を敏腕プロデューサーが偶然にも発見する……なんて、どこの少女まんが?」


美嘉「それ言えてるかも」ケラケラ


美嘉「でも……だからこそだと思うよ」


美嘉「そういう少女漫画みたいな絵空事を実際に体験してるわけなんだし」


美嘉「たぶん、普通に出会ったアタシたちよりも、ずっとカッコよく見えてるんだと思うよ」


奏「珍しく分析?」


美嘉「珍しいことはないよ!? こう見えてアタシも色々頑張ってるんだから!」


奏「例えば?」


美嘉「最新のコスメとか……そういうやつ」


奏「……まあそう言われればそうね」


美嘉「なーんか府に落ちないけど……まぁ、いっか」




美嘉「とにかくさ、もうこれ、アタシ達の出番ないよ」


美嘉「多分これ、ここまで完璧な式を見せつけて、『お前らもうちょっとちゃんとやったら、これぐらいのこと出来るんだぞ~』とか、そう言う感じの『おしおき』なんだよ」


志希「馬の前に人参見せつける的な!」


美嘉「そうそう、そういうカンジ! だからさ、もう何も心配しなくても大丈夫だって。もう痛い目なんか見なくて済みそう――」


奏「本当にそう思ってる?」


美嘉「え? なんで?」


奏「あなた、今の自分の顔をちゃんと見た方がいいわよ。ほら、鏡」スッ


美嘉「えーっと、どれどれ……」


美嘉「…………えっ?」ツー


奏「……どうやら体は正直のようね」




志希「奏ちゃんが言うといかがわしく聞こえちゃうけど~概ね正解かな~?」


志希「心と体が真逆の反応示しちゃって~、おーばーひーと! ばーんっ!」


奏「美嘉……あなた本当は、納得しきれてないんじゃない?」


美嘉「な、なにを……」


奏「ここまでの物を見せつけられて、平常心でいられる方が難しいわよ」


奏「特に、この事務所においてはね」


志希「でもそれは自分も同じっしょ?」


奏「…………」


志希「さっきから美嘉ちゃんへの反応が淡白なのも~、本当は自分の感情を抑えるのに精いっぱいだったからなんじゃないかなーと思ったり思ってなかったり!」


志希「でもあたし、鼻は良く効くからさ~わかっちゃうんだよね~」


志希「本当は今すぐにでも、この式を止めたいっていうのが奏ちゃんの本音なんじゃない? ファイナルアンサーなんじゃない?」


奏「――――そう、かもしれないわね」




美嘉「奏ちゃん……」


奏「ごめんなさい、美嘉。悔しいけど、志希の言った通りよ」


奏「私自身、自分を抑えるのに精いっぱいなの」


奏「自分では抑えきれない感情……美嘉にはバスで話したでしょ?」


奏「あれと同じ……いいえ、もっと大きな感情が、私の中で渦巻いてる」


志希「あ! 今のなんかちょっと蘭子ちゃんっぽい!」


美嘉「志希はちょっと静かにしていよっか」


奏「凛に先を越されちゃったから、なおさらね。こんなに気分が暴れ狂うのは」


奏「このままじゃ周子にも先を越されちゃうんだ、って思うとどうしようもなくなって……」


奏「このままじゃどうにかなりそう……いえ、もうどうにかなってるのかもしれないわね」


奏「私、今凄く――――この式を止めようと思っているから」





美嘉「えっ?! ちょ、ちょっと! それはさすがにまずいよ! いくらなんでも!」


奏「ええ、わかってるわ。もしそんなことをしたら、Pさんにもっと迷惑がかかる」


奏「このまま何もせず、ただ座って全てが終わるのを見ているのが、誰にとっても一番いい結果を生むんだってことも……」


奏「それでも……それでも私は…………」ギュッ


美嘉「奏ちゃん……」


志希「…………それならいい方法があるよ」


奏「えっ?」


美嘉「えっ? い、今の話本当なの?!」


志希「通販番組のミキサーでジュース作るぐらい簡単だよー」


美嘉「ほ、ほんとなの? それ」


志希「ほんと、ほんと♪」


美嘉「……一応聞くけど、マジでこの式を止めるとか言わないよね?」


志希「うそっ! なんでわかったのー?!」


美嘉「やっぱり!」


志希「でもさー、もうその方法しか無くない? ニンジャじゃあるまいし」


志希「ましてや私はまだ時間を止めるストップウォッチすら開発してないよ?」


美嘉「いや、確かにそうだけどさ……」


志希「それに……あんまりのんびりはしてられないと思うなー」


美嘉「ど、どういうこと?」


志希「ねー、奏ちゃん」


奏「…………」


美嘉「か、奏ちゃん?」


志希「奏ちゃんは『そこ』が一番嫌なんだよねー。『そこ』に近づくにつれて、悲しい臭いが強くなってきてるよ~」


奏「…………」


美嘉「奏ちゃん……?」


奏「……入場、誓いの言葉、指輪の交換とくれば、もう残るのは一つしかないんじゃない?」


美嘉「…………あっ」


美嘉「誓いの……キス……」




牧師「――――そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える」


牧師「愛はいつまでも絶えることがない」


牧師「いつまでも存続するものは信仰と希望と愛と、この3つである」


牧師「このうちで最も大いなるものは愛である……」パタン


牧師「主が、あなた方を見守り、そして、あなた方を導いてくれる事でしょう。アーメン」


P「アーメン」


周子「アーメン」


アイドルたち『アーメン』


牧師「……それでは、新郎はベールを上げて」


牧師「――――誓いのキスを」


周子「…………!!」


P「…………はい」

今回はここまでです。


お酒飲んだ後にSSを書いてはいけない。睡魔に殺されそうになる(白目)


予想よりも進んだので、上手く行けば次回ぐらいで終わるかもしれません。


明日(今日)は、夕方に一度した後に、いつもの時間帯で完結となる予定です。次回もよろしくおねがいします。


静かに読んでいただき、皆さんありがとうございました。


では、おやすみなさい。

5時30分ぐらいから再開予定です。その後、少し間を空けて深夜に再度投稿します。


本日もよろしくお願いします。




周子(えっ? ちょっと待って……! まさか本当に……しないよね?)


P「…………」ベールスッ


周子「ちょ、ちょっと待ってプロデューサー……!」ヒソヒソ


P「どうしたんだ、周子?」


周子「まさかとは思うけどさ、その……本当にキスとか……しないよね?」


P「何言ってるんだお前、当たり前じゃないか」


周子「だ、だよねー! さすがにあたしもびっくりして――!」


P「するに決まってるだろ。結婚式なんだから」


周子「えっ……?」ビクッ


P「キスまでして、それで結婚式終了だろ。今さらなにを言ってるんだお前は」


周子「」




P「好きでもない男と、しかも仲のいい同僚たちの前でキスをする」


P「辱めを受けるんだ、周子」ニヤァ


周子「」


周子(えーっと……ちょっと待って)チラッ









卯月「わぁ……!」キラキラ


凛「」


まゆ「…………」ハンニャガオ


智恵理「嘘です……そんな、見捨てられた……」ブツブツ


瑞樹「わからないわ」


ありす「りんね、てんせい……っと」タブレットスッ


雪美「魂は繋がってる……つまり、正妻は私……」


泰葉「あぁ、なるほど……やっぱり私は人形……まんまと踊らされていたんですね……」ハイライトオフ


藍子「あははーあははー」パシャパシャ








周子(うわー……どのみち、あたし死んじゃうやん……)チラッ




奏「…………?」


周子(奏ちゃん……! 助けて……!)


奏「…………」ヒラヒラ


周子(えーっ! なんで手を振るだけなの?!)


周子(そ、そうだ……! 美嘉ちゃんなら……!)チラッ


美嘉「うっ……ぐすっ……えぐっ……!」


周子(なんで号泣?! 親族並みに泣いてるけど?!)


周子(こうなったら最後の頼み……志希ちゃん!)チラッ


志希「…………」スッ


周子(あれは……画用紙?)


志希「『手続き終ったら、被検体に使ってもいい?』」


周子(あ、これダメなやつだ)






P「さ、周子……仕上げだ。手短に済ませよう」


周子「ぷ、プロデューサー……」


P「俺はあんまりしたことないから下手かもしれないけど、許してくれ」アゴクイッ


周子「んっ……!」


周子(うわぁぁぁ……! ほんとに……ほんとにやっちゃうんだ……!)


P「心の準備は、いいか?」


周子「う、うん……」


周子(な、なに言ってんのあたし!」


P「それじゃあ……いくぞ……」スッ


周子(プロデューサーの顔が、迫ってくる……!)





周子(こんなことして、タダで済むとは思ってない……)


周子(いくら撮影でも、こんなことすれば、きっとファンの人達は怒ると思うし……)


周子(それに――事務所のみんなが一番黙ってない……)


周子(でも、それがわかってても……なんでだろう……)


周子(あたし今、凄く幸せだ……)







P「周子……」ススス…


周子(もうあと数センチのところまで、プロデューサーの唇が来てる……)


周子(……あたしにはチャンスは無いと思ってたし、欲しいとも思ってもなかった)


周子(でも……)


周子(本当はこういうのを望んでいたのかもしれない……)


周子(今の自分の気持ちを考えると、そう判断せざるを得ない……)


周子(…………だとすればこのまま)


周子(流れに身を任せた方がいいのかも――)





周子「ぷろ、でゅーさー……」スッ


美嘉(周子ちゃんが、瞼を閉じた……?!)


奏(まさか、周子……)


志希「ありゃりゃ、これは本格的にヤバげ?」


美嘉「どう、しよう……」ポロポロ


奏「美嘉、そこまで泣く必要ないでしょ……?」


美嘉「でも、でもさぁぁ……あんなの見せられたらさぁぁ……なにも言えないじゃん……!」ボロボロ


美嘉「二人を止めたい気持ちはあるよ……? でもさ……」


美嘉「それと同じぐらい、周子ちゃんの気持ちもわかっちゃうんだもん……!」ボロボロ


奏「それは……」


美嘉「奏ちゃんもそれを理解してるから、何も言わないんでしょ……?」


奏「…………」


美嘉「プロデューサーのこと、諦めたくない……でも、アタシには無理……!」


奏「…………っ!」





奏(そう……LiPPSとして同じ時間を共有してきたからこそ――いや、そうじゃなくてもわかる……)


奏(今の周子の気持ちが……)


奏(私がもし同じような立場にいたとしたら……)


奏(きっと、邪魔されたくない……)


奏(だから、今の私には……悔しいけど、なにも出来ない……!)


奏「…………っ!」ギュッ







志希「じゃ~あ、あたしが止めに入っちゃおうかなぁ~♪」


奏「…………!!」


美嘉「し、志希、それ本気?!」


志希「あたしはいつでもホンキ~……って、そうでもないかー♪」


奏「…………志希」


志希「でもさぁ? 二人は本当にそれでいいのー?」


志希「なし崩し的にとはいえさー、あのまま二人が本当にちゅーしちゃったらさぁ」


志希「たぶん、二人そろって遠いところに行っちゃうよ?」


奏「……っ! それは……!」


志希「いくら企画とは言えー、今までどおりにはいかないっしょ!」


志希「あたしはそれだけは嫌だな~♪ プロデューサーの匂いはあたし一人だけのものにしたいし~♪」


志希「二人がやらないなら~、この薬品をばら撒いて、強制的にストップさせるまで~♪」スッ


美嘉「ちょ、ちょっと! それ本当に大丈夫なの?!」


志希「人体に害はないよ~♪ ……理論上は♪」


美嘉「それ絶対ダメなパターンじゃん――――!」ガミガミ…




奏(そうよ……! もしこのまま周子とPさんがキスをすれば――)


奏(Pさんはともかくとして……周子は絶対本気になる――!)


奏(それは別に悪いことでもなんでもない……私に止める資格があるわけでもない……)


奏(でも、二人の中には、絶対に今までとは違う感情が芽生えるはず――!)


奏(このままじゃ二人は私達を置いて、どこか遠くに――二人だけの場所に行ってしまう……!)


奏(でも、だからなに……? それは私には関係なくて、そもそも二人がそれを望んでいるのなら――)


奏(私にはそれを止める権利は無い……)


奏(それでも……それでもPさんとのキスだけは……絶対に……!)






凛『プロデューサー……キス、して……?』















奏「――――っ!!」




周子(ファンのみんな、ごめん)


周子(事務所のみんなも、ごめん)


周子(でも今だけは――)


周子(今だけは『塩見周子』としての気持ちを優先させてほしい……!)


周子「…………っ!!」プルプル

















奏「待ちなさいっ!!」






P「……奏?」


奏「そこまでよ、Pさん」


P「お、おい、急にどうしたんだ。今撮影中だぞ」サッ


周子「あっ……」シュン


奏「それ以上は駄目よ。いくらなんでも」


P「…………あのなぁ。お前、自分が今なにをやってるのかわかってんのか?」


奏「…………」


P「今回の撮影は、うちが単独で企画したものじゃない。いつもお世話になってる企業さんとの合同企画なんだよ」


P「今日まで何回も企画会議をしてきたし、ここを貸し切るのだってとても苦労した」


P「これだけの機材と安くないウェディングドレスも借りて、お前の想像以上の人材を配置して、今日という日を迎えてるんだ」


P「そう、今日という日の為だけに、莫大な時間と費用がかかってるんだよ」


P「なのにお前ときたら……急に出てきて、それら全部をぶち壊す気なのか?」


奏「それは…………」


P「…………なんとか言ったらどうだ!」


奏「…………っ!」ビクッ





P「まぁ……お前のことなんだから、なにかしら考えがあってのことなんだろうな」


P「だとすれば、今すぐそれを言ってみろ。聞いてやるよ」


P「ただし……何も無かったり、お前のただのわがままだって言うんだったら……どうなるかわかってんだろな?」ギロッ


奏「…………あなたこそ、なにを考えているわけ?」


P「あ゛?」


奏「こんなことして、ただで済むと思ってるの?」


P「……どういうことだ?」








奏「ウエディング業界の方とのお仕事……ええ、それはわかるわ。それに、こうやって本番に近づけて撮影をしているのもわかる」


奏「臨場感が出るし、さぞ魅力的に撮れるでしょうね」


奏「でも、わざわざそれだけのために、周子とキスまでする必要があるの?」


P「それは関係ないだろ」


奏「関係あるわよ! ……少なくとも私には関係ある」


奏「いいえ、私以外でも、大いに重要なことよ!」


P「どういう意味だ?」








奏「あなたはプロデューサーなのよ?! あなたは裏方で、私たちアイドルをサポートしてくれる存在……」


奏「表向きの煌びやかな私たちだけじゃなく――」


奏「表には見えない暗い部分も受け止めてくれる存在……!」


奏「私たちアイドルにとって、あなたは紛れもなく必要な存在なの……!」


奏「私たちにとっての……心の支えなのよ……っ!」ポロポロ


P「…………」


奏「そんな大切な人が……私達の中の一人だけを選ぶなんて……」


奏「そんなの耐えられると思う…………?」ポロポロ






凛「……そうだよプロデューサー」スクッ


P「凛……」


凛「私は奏の言ってること、凄く理解できるし、共感できる」


まゆ「まゆはプロデューサーさんの事を信じています……でも、今回ばかりは辛抱ならないですねぇ」


智絵里「お願いですっ……見捨てないでください……!」


P「いや、俺は別に見捨てるつもりじゃ――」


瑞樹「いいえ、プロデューサーくん、今回の事は、私たちみんなを見捨てたのも同然よ」


美優「たとえ演技だったとしても、その行為は私たちにとっては特別なものです」


あい「見ていて、あまり気分のいいものじゃないね」


P「お前ら……」





奏「…………ただキスシーンが欲しいだけなら、他の俳優でも起用すれば済むことじゃない……っ!」ボロボロ


奏「なのに……どうしてあなたがその役目を、わざわざ引き受けるのよ……!」 


奏「他の人がするなら……それなら……まだ割り切れるのに……!」


周子「奏ちゃん……」


P「奏…………」






奏「……ぐずっ…………ごめんなさい……急にこんなこと言ってしまって」


奏「周子も……本当にごめんなさい。節操のない女だと思われるかもしれないけど……それでも、こればっかりは……」


周子「……うん、ええよ。あたしも多分、同じことしたと思うし……」


奏「優しいのね……ありがとう」





奏「……どのみち、大切なお仕事を台無しにしてしまった私に、この事務所のことを語る資格なんてないわね……」


奏「ごめんなさいPさん……こんなことになってしまって……」


P「……いや、いいんだ奏。俺も少し、考えが甘かったのかもしれない」


P「まさか、そこまで俺を信頼してくれてたとは思わなくて……」


奏「……うふふ、そうよ。あなたは自分で思っている以上に、ここにいる人たちに信頼されてるんだから……」



奏「もう少し自分の行動には気を付けた方が良いわよ」


P「……あぁ、わかった」


奏「ふふふ……はぁ……。こんなことになってしまった以上、もう私がアイドルとしてお仕事に出ることは出来ないわね……」


P「…………! 奏?!」





奏「今までありがとうPさん。お世話になったわね」ゴシゴシ


P「お、おい! 何言ってるんだ?!」


奏「もうこの業界にはいられそうにもないからね……せめて引き際ぐらいは綺麗にさせて?」


P「バカ言うな! 例えそうだったとしても、俺がなんとかしてやる!」


奏「それは無理よ……いくらあなたでも、これだけのことをした人間を活かすことなんてできない」


奏「それはあなたが一番わかってるでしょ?」


P「それは……っ!」


奏「いいの。いつか絶対こうなるだろうと思っていたことだし」


奏「今回の事も申し訳ないとは思うけど、後悔はしてないわ」


P「……すまん」


奏「謝らないで、Pさん……。これは全部『私が一人でやったこと』だから」


奏「でもそうね……もし、お詫びをしてくれるんだったら――」


















奏「私とキスしてくれる?」




P「…………! だが、それは……」


奏「ええ、私がさっき自分で言ったことと矛盾するわね」


奏「でも、私はもうアイドルを辞めるんだから、関係ないんじゃない?」


奏「これからすることはただの遊び――どこにでもあって、誰にでもあるような経験……」


奏「そう……Pさんはただ一時の過ちで、ただの一般人とキスをするだけ……」


奏「アイドルとはダメでも、それ以外の人間なら自由恋愛の範囲じゃないかしら」


P「そんなのは……ただの屁理屈だろ……!」


奏「屁理屈じゃないわよ。ちゃんと筋が通ってると思うけど?」


P「……お前、本当にアイドルを辞めるつもりなのか? たった、これだけの事で……」


奏「Pさんにとってはこれだけのことかもしれないわね。でも、前に言ったでしょ? 私にとってキスは――」





グイッ






奏「―――― 人一倍特別な意味を持つのよ」



美嘉( ! か、奏ちゃんがプロデューサーを強引に引き寄せて……!)


周子(キスする――――!)




















?「ちょーっと待った―!!」




一旦ここで中断します。続きは11時ごろを予定してます。


次回『解答編』。見ていただけると嬉しいです。


では、後ほど。また会いましょう。

もう少ししたら再開します。

よろしくお願いします。



バタンッ!


ブォンブォン!!



卯月「な、なんですか?!」


?「オラオラオラーっ! どけどけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


?「どけどけー♪」





ブォンブォンブォン!!





智絵里「きゃぁぁぁぁ!」





ブルルルルル……キキッ!!





周子(フルフェイスヘルメットを着た集団が……)


奏(バイクに乗ってやってきた……?!)


?「ふーっ! 意外と熱いねーこれ♪」


奏「あっ……えっ……あなっ、あなた誰……?!」


?「え? アタシ?」





ヘルメット ヌギッ





フレデリカ「フレちゃんでーす♪」


周子「」


奏「」


美嘉「」








フレデリカ「わおっ! シューコちゃん、お人形さんみたいにキレイだねー♪ 特別にフレちゃんとの記念写真をあげちゃうぞ♪」ガシッ


周子「」


フレデリカ「はーい! 笑って笑って~! せーのっ……しるぶぷ、れっ♪」カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ!!


周子「」


フレデリカ「あっ! いつの間にか連射モードになってた!」


フレデリカ「でもこっちの方が笑顔10倍、幸せ10倍♪ アタシってばいい女~♪」


志希「フレちゃんってばいい女~♪」


フレデリカ「おほほ! フレちゃん、こう見えても出来る女ですのよんっ♪」


志希「あらあら奇遇ですわね! こう見えて志希ちゃんも……出来る女ですのよっ!」


フレデリカ「まぁ! それはそれは驚きですわね! 具体的にどれぐらい出来る女なのかしら?」


志希「パンが無ければお菓子を食べるように勧めますのよっ!」


フレデリカ「ってそれ、悪女やないかーい!」パシンッ!


志希「いや~ん! ギロチンの刑~♪」


フレデリカ「生首でサッカーしようぜっ♪」


周子「」


奏「」


美嘉「」






手下1「…………」スタスタ…ピタッ


奏(サングラスを掛けた小さな子が目の前で立ち止まった……ってか、なんか磯臭い……」


手下1「…………そんなにキスが好きなら――」ポイッ





ビタンッ! ピチピチピチ……





手下1「鱚(きす)でも喰ってるれす」


奏「」





手下2「…………美嘉おねぇ、じゃなかった……カ、カリスマさん!」


美嘉(……! い、今の声……確実にみりあちゃんだよね……!)フヒッ


美嘉(まさか、今回唯一の巻き込まれ役である私にねぎらいの言葉を……!)


手下2「えーっと、うーんと……なんだっけ……あっ! そういえば切り取った台本があったような……」ゴソゴソ


美嘉「…………♪」ニコニコ


手下2「たしかここら辺に……あっ! あった!」


美嘉「…………!」ワクワク


手下2「あのね! 美嘉お姉ちゃん!」


美嘉「な、なにっ?!」ドキドキ


手下2「ペドいんだよ、カリスマギャル(笑)」(重低音)


美嘉「」ピシッ


手下2「…………? どうしたの? 美嘉お姉ちゃん?」


美嘉「…………ご――」


手下2「…………?」


美嘉「ごちそうさまですっっっ!!」ハナヂブシャー! ドサッ


手下2「わあっ! プロデューサーが言った通りだーっ!」ピョンピョン


手下2「っていうか、ペドいってなんだろう?」キョトン






P「…………」スタスタ


P「よっこいしょっと……」バイク コウブザセキ マタガリー


P「ほーら奏、笑って笑って~♪」


奏「」


P「はい、チーズ!」パシャ


奏「」


P「おー! やっぱり素材がイイと映りも違うなぁ!」


P「というわけだ奏。すまないな」


P「今回の結婚式、全部ドッキリなんだよ」


奏「」






P「大体、俺がお前たちのことを一番気にかけてるって知ってるだろ?」


P「俺みたいなどこの馬の骨かわからんような奴とのキスシーンなんて見せられて、ファンの皆様が心穏やかなままだと思っていたのか?」


P「だとすれば、そんなシーン撮影するわけないだろ」


P「ていうか、相手がイケメン俳優でも、絶対お前たちとキスシーンなんてさせねぇから」


ちひろ「ブ男の僻みですか? 顔面と同じで醜いですねぇ」スタスタ


P「すいませんちひろさん。ちょっと泣いてもいいですか?」


ちひろ「冗談ですよ」


P「よかっ――」


ちひろ「半分は♪」


P「ありすー、ここから一番近い自殺の名所はー?」


ありす「オッケーグーグルではありません。ありすです」タブレット スッ


ちひろ「全部冗談ですよ!」





P「まぁまぁそのぐらいにして……」


P「さて、奏、これでわかったか?」


奏「」


P「お前は真面目だし、遅刻もしないほうだけどさ」


P「変に自分の欲望に忠実なところがあるだろ」


P「今回も、これがドッキリじゃなかったらどうするつもりだったんだ?」


奏「」


P「フリーズしてる……まぁ、話は聞こえてるだろうし、続けるぞ」


P「いつもは冷静だけど、変なタイミングで欲望に忠実になる。それと同時にお前はなぜか冷静でなくなる」


P「いつものお前なら普段の俺の傾向からして、こんな企画を立てるはずがないと判断するだろうけど」


P「事務所のテレビで見た凛と俺との『三文芝居』が効いたみたいだな」


凛「アレ、Pさんの顔の部分は合成だから」


凛「実際はマスク被った未央と抱き合ってるだけだし」


ちひろ「それにしても、ずいぶんと艶めかしい声を出していましたけどね」


凛「もしこれが本番だったら、って思ったらね。なんかうまく出来た」


ちひろ「驚きですねー(棒)」





P「お前は見た目は随分と大人びてるけど、年相応の子供っぽい部分がある」


P「当然まだ子供なんだから何も問題はないんだけどな、申し訳ないが、仕事の場ではもうちょっと大人になってくれ」


P「現場では、自分にとって嫌なことでも我慢しなくちゃならない時もある」


ちひろ「まったくもってPさんが言えた義理ではありませんね」


P「俺の場合、アイドル達に聞いてから判断してるからセーフなんですー」


ちひろ「アウトなんですよねぇ」


P「とにかく! 今回みたいな大事な仕事の時は、もっと冷静になるように心がけるんだぞ」


奏「」


P「沈黙は肯定と受け取っておくぞ」






周子「……あのさ、Pさん」


P「ん? なんだ周子」


周子「……ちょっといい?」


P「おう、いいぞ」


周子「……まずさ、入場の前……いや、それ以前に、父親役の人もことなんだけどさ……その人も今回の事知ってたわけ?」


P「ん? あぁ、当然だぞ」


周子「あたし、結構深い話とかしたんだけど……」


P「え、そうなんですか?」


父親役「そうだね、確かにしたよ。まさかあそこまで深くなるとは思わなかったけどね」


周子「……あれは全部ウソだったんですか?」


父親役「いや……今さら何を言っても信用できないとは思うが、あの話は本当だよ」


父親役「僕は『カメラセッティングまで時間があるので、出来ればリラックスさせてあげてください』と頼まれただけでね」


父親役「その要望通り、軽い話をしようとしただけだよ」


父親役「まさかあそこまで親身になってくれるとは思っていなかった。完全に想定外だった」


周子「そうですか……」


父親役「あそこで言ったことは本当だよ。……それでも、周子ちゃんの気分を害してしまったかもしれないね。本当に申し訳ない」フカブカ


周子「ちょ……! 頭を上げてください!」


周子「いいんです! あたしも嬉しかったし、別に気にしてませんから」


父親役「すまないね……」


周子「それに、悪いのは全部Pさんとちひろさんなんで」


P「まったくもって否定できない」


父親役「もう少し反省の色を見せたらどうだい」





周子「そ、それでPさん? 次なんだけどさ……」


P「もう気付いてるとは思うが、志希は初めからこちらのグループだ」


周子「はぁ……やっぱり……」


P「だから言っただろ? 『手は打ってある』って――」







おしおき開催決定日の数日前




志希「でー、急に呼び出してなんの用? あたし、まだおねむなんですけどー!」


P「……今回そのことについてお前に話がある」


志希「んー?」


P「最近自分がどれだけ会議に遅刻したり無断欠席したのか覚えているか?」


志希「3回から先は数えてないっ!」


P「舐めてんのか!」バンッ!


志希「でも~それはしょうがないっていうか~」


志希「あたしの研究は世界を救うことになるんだしー」


志希「むしろ、ちょっとは見逃してほしいっていうか?」


P「……まぁいいだろう。どうせお前はそう言うと思った」スチャ


志希「…………? 急にガスマスクつけてどうしたの? 今のあたし、そんなにきょーれつだっけ?」クンクン


P「今のお前はそこまで強烈じゃない。むしろいい匂いだ」


P「強烈になるのは――ここからだ」スッ





コトッ





志希「なにこれ! ……缶詰? 赤と黄色の2色ってあんまり見ない気がするけど……」




P「……志希、腹減ってるだろ。食ってもいいぞ」


P「日本国内ではなかなか手に入らない珍しい缶詰だ。お前も疲れてるだろうし、今日は特別にお前だけに食わせてやろう」


志希「えっ?! それ本当っ?!」


P「あぁ、しっかり食え……」


P「なんなら俺が開けてやろう。どれ……」


志希(てっきり怒られるのかと思ってたけど~、なんかラッキー♪)


志希(それにしても、なんか見覚えのある缶詰だな~……確か向こうの学校で……)


志希(だめだ……興味なさ過ぎておぼえてな~い♪ まいっか♪)


P「ちなみに志希、博識のお前なら知ってるかもしれないから一応聞いておくが」


P「これ、なんの缶詰が知ってるか」


志希「にゃはは~♪ 今思い出そうとしたけど、全然わかんない――」






『Surströmmings』






志希「――――――!?!!!?」ゾクゾクゾクッ!!



P「そうか……さすがの志希も――」


志希「ちょーっと待った―っ!!」


P「ん?」


志希「あ、あのさ……これからはちゃんと会議にも出るし、遅刻もしないからっ……!」


志希「だから……あの、その……志希ちゃんイイ子になるから……っ!!」


志希「それだけは勘弁して下さいっ!!」ドゲザー


P「おーおー、どうやらこいつがなんなのかわかったようだな。こいつのあまりの恐ろしさに、キャラが崩れてるぞ」


P「しかしなぁ、志希よ。それはちょっと甘くないか?」


志希「へ?」





P「俺は今まで、散々お前に対して注意してきた」


P「今度遅れたら本当に怒るぞ。今度ばかりは本当に怒るぞと……」


P「でもお前は一向に俺の注意を聞こうとしない」


P「そればかりか、俺が怒らないことをいいことに、悪化の一途をたどるばかりだ」


志希「にゃ、にゃははは……」タラー


P「だからな、志希。俺は考えたんだ」


P「ここらで一つ、一生記憶に残って消えないようなドギツい『おしおき』を喰らわせようと」


志希「は、あはは……」サーッ


P「まぁ、遠慮するなよ。幸い、しばらくこの事務所には誰も来ないし」カンキリ カチャリ


P「それにここはメインの事務所とは少し距離の離れた会議室だ。少しばかり異臭がしても騒ぎにはならんよ」


P「それに俺はこの通り完全防備だし。存分に、心置きなく地獄を見ると良いぞ」グググ…


志希「ちょ、ちょっと待って!」


志希「ほ、本当にごめんなさいっ! これからは、本当に心入れ替えてお仕事しますから! だからどうか今回だけは――!」ドゲザー


P「…………本当にそう誓うか?」


志希「はいっ! 誓います! あたしの研究にかけてっ!」


P「…………」


志希「ううっ……!」ボロボロ


P「…………はぁ。やっぱり俺は甘いな」スッ


志希「…………!」パァァ


P「だが条件がある」


志希「じょ、条件?」ビクッ




P「どうせお前の事だから知らないとは思うが、今アイドルたちのLINEでこんなものが話題になっている」スマホ スッ


志希「なにこれ……? おしおき?」クンクン


P「俺のスマホを嗅ぐな……」バシッ


P「この前、素行不良のアイドル達に対して『おしおき』を敢行してな。幸いにも上手くいったんだが――」


P「俺の油断でな……手ひどい返り討ちを受けた」


志希「へぇー」クンクン


P「でだ。今、その返り討ちをワザと引き起こそうと、素行不良を装っているアイドルがいる」


志希「だれー?」


P「LiPPSのメンバー、お前の良く知る奏だ」


志希「あー、確かに奏ちゃんならしそー!」


P「奏は見た目通り大人びてはいるが、時折自分の欲望に忠実になる時がある」


P「それはいいことなんだが、俺としては少し治してほしい所でもある」


志希「なんで? 自分の欲望に忠実なのは、生物の本能として当然のことじゃ~ん!」


P「志希……お前の優秀な頭でちょっと想像してみろ」


P「オートロック式のマンションのはずなのに、玄関開けたら、襟元に口紅のついた自分のシャツと包丁を持つアイドル達が立っていた経験ってあるか?」


P「ちなみにシャツの口紅は奏が付けたものだ」


志希「あっ……」サーッ


P「……そういうことだ。俺自身にのみ被害が出ているからまだいいが、このままだと文屋にあることないこと書かれるのは時間の問題だ」


P「そのためにも、今回のお前みたいに忠告代わりの『おしおき』を行いたいと思う」


P「だからな、志希。お前は俺に協力しろ。そうすれば『今ここで』これを開けるのは止めといてやる」




志希「な~んだ! 簡単なことじゃ~ん♪」


志希「それ嗅ぐことに比べたら、お安い御用だよ~♪」


P「……そうか。ありがとうな」ニヤリ


P「とりあえず、数日後にまたLiPPSの会議を行うつもりだ。そこでお前はわざと欠席しろ」


P「そこから『おしおき』の話を出して、奴らを罠に嵌める」


P「詳細はまた後日連絡する。今日はもう帰っていいぞ」


志希「そういうことならこの志希ちゃんにおまかせあれ~♪」


志希「それじゃーねー♪」タタタ





バタン





P「…………」ピポパ


P「…………」プルルルル…


P「……もしもし、響子か?」


P「この前言ってたアレ、用意できたか?


P「うん、うん……そうか。よくやった」


P「それじゃあ、決行日はまた連絡するから」


P「うん……おう。約束通り、今日は女子寮で晩御飯一緒に作ろうな」


P「うん……それじゃあな」ピッ


P「ふぅ…………」


P「『コイツ』は無しにしても、度重なる遅刻の分の罰は受けてもらうぞ、志希」





周子「――じゃあ、あの日のは……」


P「志希に言ってたのは、ちひろさんが『おしおき』の話を出したら適当に逃げてくれってだけだ」


P「あとは、適当な賑やかしと奏への煽りかな」


P「今回の『おしおき』は、奏が暴走することを前提に構成されたものだから、まず奏が暴走しないといけない」


P「そこで今回は、奏が式への乱入を躊躇したり、最悪それを思いつかない時は、志希が奏をそそのかしてくれる、っていうのが役目だった」


P「やり方は全部あいつに任せっきりだったからちょっと心配だったけどな」


P「なんにせよ、上手く行ってよかったよ」


P「だから、くさやの件については、あいつは知らなかった」


周子「えげつない……」


P「まー、今回の件で一番反省すべきなのはあいつだからなぁ……」


P「フレデリカはお前の挙動に違和感を感じて、こちら側に密告してくれたから免除になったけど、あいつも大概だし」


周子「フレちゃんが密告者だったんだ……」


P「まぁ、あいつを責めないでやってくれ。半ば強制的にこちらに引き込んだみたいなものだしな」


P「それと、志希に関してはもう一つちゃんとした手を打ってある」


周子「それは?」


P「あいつが家の扉を開けると同時に『例の缶詰』が開く仕組みになっている」


周子「」


P「ちなみにあいつは知らない。どういう反応が返ってくるか楽しみだな」ハハハ




P「さてと、そろそろ行くか……おーい、奏、もう復活したか」


奏「ぴ……Pさん…………/// 」プルプル


P「おいおい、らしくないじゃないか。顔が真っ赤だぞ」


奏「そんなのはどうでもいい……! 一体いつから……」


P「ん? いつからって、最初っからだが?」


奏「…………最初?」


P「『あら美嘉、おはよう。いい夢見れたかしら?』だっけか?」


奏「」


周子「あ、またフリーズした」


P「……あぁ、それとな、奏」


P「最後のお前の気持ち…………しっかり受け取ったぞ!」


P「妖艶な雰囲気をいつも漂わせていたからちょっと心配だったが……」


P「ちゃんと純粋な子に育ってくれてたんだな! お父さん嬉しいゾ☆」


奏「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!/////」ジタバタ




P「ようしっ! 拓海、出してくれ!」


拓海「オッケープロデューサー!! しっかり捕まってろよ!!」


手下1「それではれす~♪」ヒョイ


手下2「まったねー♪」ヒョイ


フレデリカ「それじゃあね♪ アディオス♪」ヒョイ


志希「土星の向こうまでごー♪」ヒョイ






ブォンブォン!! ブロロロロロ……






周子「なんか……嵐のように去って行ったね……」


卯月「外見が中国雑技団みたいになってましたね……」


凛「で、ちひろさん、これどう収拾付ける気?」


ちひろ「そうですね……では、一通り終わったことですし」ヨイショ


周子「何その看板――って、あぁ……」


ちひろ「では、美嘉ちゃんは気絶してますし、奏ちゃんはそっとしてあげた方が良さそうなので、ここにいる全員で行きましょう」


ちひろ「はい、ではあちらのカメラに向かってください」


周子「……あーもう、こうなりゃヤケクソだ」


ちひろ「いきますよーっ! せーのっ!」


全員『ドッキリ大成功!!』
















奏「~~~~~~っっっ!!!///」プシュ~


美嘉「」ビクンビクン


今回はここまでです。


明日の夜、後日談を追加して完結になります。


蛇足になりますので、そういうのが嫌いな人はここで一旦終了となります。


ただ、ちょっとした補完もつける予定ですので、読んでいただけると嬉しいれす……。


静かに読んでいただき、みなさんありがとうございました。


では、おやすみなさい。

いつものように、11時ごろから投稿再開します。


今回で完結になります。


再度通告しますが、今回は後日談、つまり蛇足ですので、そういった類のものが苦手は人はご注意ください。


それでは、本日もよろしくお願いします。




一か月後





周子「――ん、それじゃあ行ってくるね。また年末に帰ってくるから。それじゃ」ピシャ


周子「ふぅ――プロデューサー、お待たせ」


P「もういいのか?」


周子「うん、どうせまた年末に帰ってくるし。それに――」


P「それに?」


周子「お菓子貰ったしね」モグモグ


P「……それでいいのか、お前」






P「それにしても、お前が急に実家に行きたいなんて言うからびっくりしたよ」スタスタ


P「ま、ちょうどよかったけどな」


周子「ほんとだよね。あたしも自分でびっくりしてるよ」スタスタ


周子「でもやっぱり、一か月前のあの人の話の影響が大きいのかもね」


P「お前の父親役をしてくれた人か。まぁ、お前がそういうんならそうなんだろうな」


P「それに、今度あの人が主演の映画に出るんだろ? 何の因果か、あの人の娘役で」


周子「うん」


P「凄ぇよなぁ。あの人、結構な有名人だからさ、あのドッキリのオファー取るのにも苦労したけど」


P「まさかあのドッキリの後も、こんな形で関係してくるとはなぁ」


周子「あたしもびっくりしたよー。あの後すぐにネットで調べたけどさー」


周子「想像以上に大物で絶句した」


P「どんな映画だっけ? たしか、すれ違いに悩む家族の更生までの道のりを描いたハートフルストーリーだったっけか?」


周子「プロデューサーってさ、そういうワザとらしい誤魔化し方好きだよね」


周子「なんでヒロイン級のあの役だけ決まってなくて、それ以外は決まってたの?」


周子「おまけに二つ返事した後、すぐに顔合わせからのレッスンだったし……どこまでがPさんの手中?」


P「さぁなぁ……俺は全部、お前の実力と人間性あっての結果だと思ってるけどな」


周子「……まぁ、言いたくないならいいけどさ」


周子(あの時、ちひろさんが呟いてた意味が今わかったような気がする……)






周子「ていうかさ、本当によかったの? わざわざこっちに来てくれて。しかも、LiPPSのメンバー全員で」


P「ん、それについては問題ない」


P「あの時撮影したドッキリ収録のLiPPSライブディスク――」


P「発売当初から今日にいたるまで、売上首位独占状態だしな」


P「売り上げ枚数も2位とダブルスコア差で圧勝とくれば、そりゃあ、あのちひろさんから旅費全額支給っていう奇跡も起こるもんよ」


P「ドッキリはおまけにも関わらず、あそこのPV流した途端に予約数ハネ上げだったらしいからな」


P「さすがにヤバい所とか、ネタバラシの部分は編集してあるが」


周子「それにしても気前良すぎない? 別に一週間も休み取らなくても……」


P「長すぎる旅は嫌か?」


周子「美味しいもの食べられるのは嬉しいけどさー、またなにかあるんじゃなかなって、勘ぐっちゃうよね」


P「まー、そこに関しては安心しろ。今回は売上首位独走おめでとう記念もあるが、それ以上にフレデリカのお願いでもあるからな」


周子「フレちゃんの?」





P「あの時、フレデリカには半ば強制的に引き込んだって言っただろ? その見返りに、一つ願い事叶えるって約束したんだよ」


周子「で、それが一週間の旅?」


P「初めは単純に『みんなとどこかに行きたい』ってだけだったんだけどな」


P「なんでもフレデリカ曰く『やっぱりみんながスマイルじゃないとね~♪』らしい」


周子「フレちゃんホンマええ子やわぁ~」


P「ただ、さっきの売り上げの話だけじゃなくてな」


P「さすがのちひろさんも『ちょっとやりすぎました』って反省しててな」


P「その謝罪の意味も込めて、一週間分に伸ばしてくれたんだよ」


周子「まーね、あれは確かにえげつなかったよ。ていうか、あれを収録しておいて、よくファンからクレーム来なかったね」


P「そこはまぁ……上手く編集したから」


周子「はぁー……大人って汚い。シューコちゃん、もうずっと子供でええわぁ」


P「まぁそう言うなよ。俺も反省してるし、こうしてお前たちの要望通り着いてきてることだしさ」


P「名目上は、プロモーション撮影の同伴ってことになってるけど」


周子「それで許されると思ったら大間違いだよ、Pさん」


P「うぐっ……それは、まぁ、そうだが……」


周子「ほーんと、女の子の夢をあんな風に終わらせちゃってさ……シューコちゃん、ちょっと怒ってるんだよ」


P「そうか…………それなら」


周子「ん?」


P「それなら、あの時の続きでもするか? 今ここで」


周子「…………はぇ?」




周子「ちょちょちょ……! プロデューサー何言ってんの?! 冗談に決まってるじゃん!」アセアセ


P「いや、なんかしてほしそうな顔を……」


周子「してないから!」


周子(あの時もそうだったけど、あたしってそんなに表情に出やすかったっけ……?!)


P「……なんてな。こんな道のど真ん中でしたら、それこそパパラッチの恰好の的だ」


周子「……そうだね」


P「ん? なんか残念そうだな」ニヤニヤ


周子「……うるさい!///」


周子(こういうところなんだろうなぁ……っ!)



美嘉「おーい! プロデューサー!」


P「おーっす! お待たせ」


周子「おまたせー」モグモグ


奏「あら、周子。また何か食べてるの?」


周子「実家のお菓子。食べる?」モグモグ


奏「気持ちはありがたいけど、さっき軽く食べたばかりなの。ごめんなさい」


P「ん? なにか食べたのか?」


奏「冷やしぜんざいが売ってたから、それを食べたのよ。でも……」チラッ


志希「やだーっ! もう一杯食べる~!」


美嘉「だーかーらー! この後、移動したらすぐお昼御飯なんだからダメだって!」


志希「あたしは食べれなくてもいーのに~!」


フレデリカ「アタシが志希ちゃんの分も食べますから! だからこの子だけはっ!」ガバッ


美嘉「それでもダメ! どうせ羨ましくなって後悔するんだから! 今は我慢してなさい!」


奏「さっきからずっとあんな感じで」


P「……小学生かあいつらは」





周子「それにしても美嘉ちゃんさ、ちょっとシャキッとしてるっていうかなんていうか」


P「先月の監督責任の件が響いてるんだろうな」


周子「最後のアレは、美嘉ちゃんにとってはむしろご褒美のような気もしないでもないけど」


P「美嘉はLiPPS内だと周りに流され気味なところがあったからなぁ」


P「このキャラの濃いメンツの中なら、致し方ない感じはするけども」


P「それでも、今回の事で以前にもまして芯が強くなったというかなんというか」


P「自分を貫く精神を持つようになってくれてよかったよ」


周子「いきすぎて、ちょっとお母さんっぽくなってるけどね。てか、実際に何人かには呼ばれてるみたいだし」


P「ははは……まぁそっちのほうが美嘉的にもいいんじゃないか?」


P「あれ以降、小学生組にも人気出てるみたいだしな。お世話が丁寧で」


奏「この前、早苗さんが頭抱えてたわよ」


P「……聞かなかったことにしよう」




P「おーい、美嘉! 別にいいんだ。今回ばかりは志希を許してやれ」


美嘉「ええっ? でもプロデューサー、本当にいいの?」


P「いいんだ、いいんだ。今回ばっかりは仕方ない。どれ、志希。俺が買ってやろう」


志希「やったー! さっすがー♪ キミってば、わかってる~♪」


P「まぁ、やっと退院できたんだしな。今日ぐらい好きにやってもいいだろう」


志希「そうだよね~♪ さすがのあたしも~、家の玄関開けて気付いたら一週間経過してた時は自分を疑ったよ~♪」


P「そこから二週間近いリハビリがあったにも関わらず、よくそんなに明るくいられるね。お前」


志希「最初はちょっと怒ってたけど~、キミのシャツが送られてきた時に全部どーでもよくなっちゃった~♪」


奏「…………Pさん? 私、初耳なんだけど」ハイライトオフ


P「よぅし、志希! 好きなもの買ってやるから、早くお店に行くぞぉ!!」


フレデリカ「隊長! フレちゃんもお抹茶欲しいでゴザル!」


P「よし、フレデリカも来い! 今日は大盤振る舞いだ!」ダダダ


志希「にゃは~♪」タタタ
フレデリカ「めるし~♪」タタタ






美嘉「あぁ~……疲れた……」


奏「ふふ、お疲れ様、美嘉。はいこれ、お茶」スッ


美嘉「ん、ありがとう」パシッ


美嘉「んくっ、んくっ……ぷはぁ! ふー……生き返る……」


奏「もう、止めてよ。おっさんくさいわよ」


美嘉「ごめんごめん」エヘヘ


奏「仮にもカリスマ高校生なんだから、人の目があるところでは注意した方がいいわよ」


奏「誰がどこで見てるかわからないんだし」


美嘉「あはは……」


奏「……でもまぁ、せっかくの旅行なんだし、少しぐらいハメ外しても大丈夫よね」


美嘉「…………! うんっ!」





奏「さて、あの三人が帰ってくるまでどうしましょう?」


美嘉「あ、ごめんなんだけど、アタシちょっとお花摘みに行ってくるね」


美嘉「あの二人の相手してたら、ちょっと汗かいて化粧も崩れちゃったし……」


奏「あら、そう。気づかなかったわ。ごめんなさいね。手伝えばよかったかしら」


美嘉「ううん、大丈夫だよ。あの二人に振り回されるのは慣れてるしね……」トオイメ


美嘉「それじゃあ、ちょっと行ってくるね!」タタタ…






奏「…………はぁ。本当に元気ね、あの三人は」


周子「いつまでも子供だからねー」


奏「そのくせやたら大人な部分もあるんだから……ホント、反応に困っちゃうわよね」


周子「で、そういうところに惹かれちゃったと」


奏「周子……?」


周子「今さら隠すことないでしょ、奏ちゃん。お互いの気持ちは、もうバレバレなんだしさー」モグモグ


奏「それもそうねぇ……。自分的には、もう少し自制心のある女だと思ってたんだけど」


奏「それもあの人にあっさり覆されちゃったしねぇ……」


周子「そういうやけに大人っぽいところが、多分あたしたちがプロデューサーに勝てない要因だよ」モグモグ


周子「無邪気な顔して、腹の中ではこっちのこと見透かしてほくそ笑んでるんだから。ほんと、ヤになっちゃうよねー」モグモグ


奏「で、そういうところが好きになっちゃったと」


周子「…………」ゴックン


奏「沈黙は肯定と受け取るわよ」


周子「誰かさんの言葉だ、それ」





奏「…………ごめんなさいね。周子」


周子「どうしたの? いきなり」


奏「…………あのドッキリの時、もし私が乱入しなければ、周子はPさんとキスしてた」


奏「もし私が周子の立場だったら、きっと邪魔されたくない」


奏「いいえ、私じゃなくても、周子自身もきっと私と同じ気持ち――」


奏「あの一瞬を誰にも邪魔されたくないと思っていた」


奏「私はそれが分かった上で、それでも、ああやって乱入してしまった……」


奏「そのことがずっと、頭から離れなくて……。私はあなたに対して、酷い裏切りをしたんじゃないかと、後悔しているの」


周子「ずいぶんと難しいこと考えてるんだねー、奏ちゃんは」モグモグ


奏「周子……?」


周子「あたしは別に気にしてないよ?」


周子「確かにあの時はこの上ないぐらい幸せだったし、ずっとこの時間が続けばいいなーとか思ってたけどさ」


周子「でも、多分それはみんな一緒で」


周子「奏ちゃんがさっき言ってたことと同じように」


周子「私が奏ちゃんと同じ立場だったら、たぶん同じように乱入してると思うよ」


周子「だから、別に謝る必要もないと、私は思うなー」


奏「周子…………」



周子「それにさぁー」ノビー


周子「うちの事務所は個性的で我の強い子ばっかじゃん?」


周子「あんな棚から八つ橋みたいな状態でリードしても」


周子「たぶん誰も納得しないと思うんだよねー」


周子「だったらさ――――」


周子「きちんと自分の実力で、あの人を勝ち取らないとね」ニカッ


奏「…………ふふっ、そうね。確かにその通りだわ」


奏「こんな濃い味ばかりのプレートの上じゃ、薄い味付けで満足してくれそうにないものね。あの人は」クスッ


周子「塩加減が大事ってことだねー。塩見だけに」


奏「あら、楓さんのモノマネか何かかしら?」


周子「それを狙ってフってきたでしょ。上手く返せなかったけど」




奏「―――ふふふ」
周子「――――あはは」





曲がり角の影







美嘉(はぁぁー……。まったく、二人きりで話したいだろうなと思ったから席を外してみれば――)


美嘉(やっぱり二人は強敵だなぁ……)


美嘉(――アタシもカリスマギャルとして、本腰入れていかないと!)タタタ…





奏「それにしても遅いわね。あの三人、まだ悩んでるのかしら」


周子「そうだねー。そろそろ旅館のチェックイン時間――」






リンロン♪ リンロン♪






奏「あら? 二人同時にLINE? 珍しいこともあるのね」


周子「送り主は……プロデューサー?」


奏「え? 私もプロデューサーからよ?」


周子「個人のLINEに同時に送信って……要件はなんだろう?」スマホ スッ


奏「一緒に居るんだし、直接言えばいいのにね」スマホ スッ













P『お前たちには、夜にちゃんとしたご褒美をやろう』クチビルスタンプ











周子「…………っ!///」プルプル


奏「あの人は……っ! 本当に……っ!///」プルプル


周子「これは確かに、直接は言えないねー///」カァァ


奏「はぁぁ……。ほんっっっとに、あの人にだけは勝てそうにないわね……///」カァァ








フレデリカ「カナデちゃーん! シューコちゃーん! 見て見て~! チキンのオジサン~♪」クチモトベトー


P「こらフレデリカ! 早く口を拭かないとアイスクリームが垂れるぞ!」


志希「だいじょーぶだよ~♪ なんせ……♪」


フレデリカ「二人とも~♪ ちゅーしよーよー! あま~いフレちゃんを、しるぶぷれ♪」


奏・周子『 ! 』





志希「あいす~♪ あいす~♪ ……って二人とも、どったの? なんか顔赤いけどー?」


周子「な…………///」カァァ


奏「なんでもないわよ…………///」カァァ


フレデリカ「……はっ! ま、まさか!」


奏・周子『 !? 』


志希「なになにっ?! フレちゃん?!」


フレデリカ「これが噂に聞く……ネッチュウーショー!」


志希「はてはてそれは、どんなショー?!」


フレデリカ「ネッチューなショーだよっ!」


志希「マズイっ! それは激ヤバッ!」


P「なにも言ってるんだお前らは……ったく」


P「二人とも大丈夫か? 本当に熱中症なら大変だ……」


P「早く旅館に行かないとな……」ズイッ


周子(顔が……!)


奏(近くに……!)


P「…………お楽しみはこれからだもんなぁ?」ボソボソ


周子「――――っ!!」ゾクゾクッ!


奏「――――っ!!」ゾクゾクッ!





美嘉「ゴメンゴメン! お待たせ~!」


P「おっ、来たか。そろそろ旅館に行こうと思ってるんだが、もう大丈夫か? 何か欲しいもとかあるなら買ってやれるけど」


美嘉「大丈夫だよ~! ちょっと狙ってたスイーツはあったけど、ここらへん探してもどこにもなくってさ~!」


美嘉「場所が違うみたい! 残念!」


P「そうか……まぁ、そう言うと思って買っておいたぞ。ほい、抹茶シェイク」スッ


美嘉「うそっ! これ探してたヤツじゃん! ありがとう~プロデューサー♪ どこに売ってたの?」


P「志希たちと行った店の奥にあったのを偶然見つけてな。路地裏の小さな店だったから、かなり見つけづらいと思うぞ。『偶然』見つけられてよかったよ」


美嘉「そうだったか~。それは盲点だった!」


美嘉「それにしても、よくわかったね! アタシがこれ欲しがってたって」


P「あれだけ熱心に調べてたら、そりゃあ誰でも気づくだろう」


P「それに――――」


P「俺はアイドルたちのことはなんでもお見通しだからな!」


P「欲しがってるものを欲しいときにプレゼントする」


P「それがプロデューサーってもんだ」


美嘉「あはは! なにそれ!」


美嘉「ほんと、プロデューサーって訳分かんないけど、変に頼りになるよね~★」


P「ははは、褒めてもなにも出ないぞ!」







P「全員乗ったか~?」


美嘉「大丈夫っぽいよ★」


P「ぃようっし! それじゃあ旅館に行くか!」


P「旅は長いんだ。のんびり行くぞ!」


周子「はーい♪」


美嘉「いぇーい♪」


フレデリカ「やっほー♪」


志希「にゃはは~♪」


奏「ふふふ♪」


P「それじゃあ、レッツゴー!」











ブロロロロ……















終わり





お疲れ様でした。


プロット当初はここまで長くなることもなく、また、ここまで真面目要素多めになることもなかったはずなのですが……。


蓋を開けてみれば、とんでもないことになり私自身驚いています。


ですが、自分なりには満足いく内容になったように思います。


拙筆ではありましたが、最後まで書ききれてよかったです。


最後まで静かに読んでいただき、みなさん本当にありがとうございました。


次回、くちびるは快楽のためにある(仮)R-18 LiPPS編 第2章!!


……ではなく、刻んでくストーリー Hi-Fiなおしおき(仮) L.M.B.G+α編を予定しています。


現段階のプロットを踏まえ、投稿は8月末になると思いますが、その間に別のネタを投稿出来たらしたいと思っています。


そちらの方も読んでいただけると幸いです。


では、おやすみなさい。

駄作ではありますが、気づいたらまとめられてました。まとめサイトさんありがとうございます。


自惚れと言われても仕方ないと思いますが、それなりに好評だったようです。ありがとうございます。


身の上話など、どうでもいいと思う方も多いとは思いますが、お酒を飲んでいることもあって、非常に気分がいいです。


というわけで、ウソ予告のLiPPS第二章書こうかなと思います。当然のごとくR指定で。



すいません、間違えてアゲてしまいました。申し訳ないです。


エッチなの書いたことは当然ありませんし、書けるイメージも全然思いつきません。


それにプロットも何も考えてないまっさらな状態で、本当に今の気分で決めちゃったことなので今月中には無理だと思いますが、年内には書きたいと思います。


出来る限り頑張りますのでそちらも機会があれば、興味があればぜひ読んで下さると嬉しいです。


ただ私はお恥ずかしながら「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ♡ 」とか、そういう系が好きなので、たぶんそっち系統になると思います。


なので、そういうの苦手な人には合わないと思います。ご了承ください。


ここからは本当の蛇足ですが、Love∞DestinyのPVでフロント二人の位置に拓海を置くと、途中で照れます。

拓海スキー な人には一見の価値ありかと。

あと、LiPPS内での呼称確認のために、貯めていた思い出の鍵を全て使ってしまいました。パステルピンクよ、またどこかで会おう……。


本当の蛇足、失礼しました。


言ってしまった以上は書かないと駄目なんですよね……ほんと、頑張ります。

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