上条「こんなの流れ着いてたぞ!」サローニャ「じゃあキャッチボールしよーぜ!」 (286)


・上条×サローニャ

・自己満SS。読むのがなんかもう面倒臭いところもあるから読みたいとこだけ読め

・短編だよ

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サローニャ「そんでさ、幻想殺しちゃん」ヒュッ

上条「なんだよ」パシッ...ヒュッ

サローニャ「今こうして無人島ちゃんでサローニャちゃんとキャッチボールちゃんしてるわけなんだけどさ」パシッ..ヒュッ

上条「おう」パシッ..ヒュッ!

サローニャ「そっちはなんでこんな事になったんだっけ」パシッ...ヒュッ!

上条「んー?」パシッ







上条「俺側の事情?」ヒュッ

サローニャ「うん」パシッ..ヒュッ!

上条「実は友達の青髪って奴がさ、」パシッ

上条「懸賞で当てたけど予定入って行けなくなったアメリカ行きのペアチケットをくれて」ヒュッ!

サローニャ「へー」パシッ..ヒュッ!

上条「インデックスと一緒に飛行機乗ったはいいけどハイジャックられて」パシッ..ヒュッ!

サローニャ「すげくね?ハイジャック に遭遇する確率って宝クジちゃんで一等当てるより難しいらしいけど」ヒュッ

上条「へー」パシッ






上条「てかさ、俺二度目。ハイジャック遭遇したの」ヒュッ

サローニャ「ありゃまー」パシッ

サローニャ「どんだけの運の悪さ…いやいいのかな?むしろ」ヒュッ!

上条「いや悪いだろどう考えてもさ」パシッ

上条「んでさ、なんやかんやあって飛行機墜落してさ」ヒュッ

サローニャ「ははあ、あっこの海の藻屑ちゃんになっていく飛行機ちゃんの残骸はそれでしたか」パシッ

上条「おう。んで…なぜかインデックスとか他の乗客は皆その場たまたま居合わせた空間移動系の能力者が助けてくれてさ」

サローニャ「へー?ちょーラッキーじゃん」ヒュッ

上条「だけどほら…俺、右手がアレじゃん?」パシッ

サローニャ「あー…一人取り残されたのか…」

上条「そそ。で、一人で非常用パラシュートでこの島に不時着したってわけよ」ヒュッ

サローニャ「はえー…中々普通はしない体験してるねぇ」パシッ




上条「で、お前は?」

サローニャ「んー?…後で言うー」ヒュッ

上条「なんでだよ」パシッ

サローニャ「今そんな気分じゃにゃいからー」

上条「さいですか…つーかさ、確かお前も中々普通は体験しない生き方してなかったっけ」

サローニャ「んー?まぁねぇ?」ヒュッ

上条「えーと…確か、故郷が?」パシッ

サローニャ「そそ。自分の国は戦争を仕掛けるよう誘導されて敗れて敗戦国。」

サローニャ「諸国から搾取され続けるようにされて、オマケに自分の生まれ故郷…自分が住んでた森は焼け野原にされた上に埋め立てられてるわけですからねぇ」

上条「うわーお…」

上条「あ、でもさ、そういう理由があるからってハワイの件の時は色々やり過ぎただろお前は」ヒュッ


上条「確か操って子供にC4的なの持たせて特攻仕掛けようとさせたりとか、合衆国の人間操って脅迫させたりとか…他にも」

サローニャ「まあね」パシッ

サローニャ「でも。言い訳するとさ、私は私個人の持てる能力全てを持って祖国のために大国とやりあおうとしてたからなんだけどね」ヒュッ

上条「祖国のためだけにあんな事すんのかよ」パシッ...ヒュッ!

サローニャ「いやいやそりゃー私情っていうか、自分の故郷の仇討ちってのもあったよ?」パシッ..ヒュッ

上条「グレムリンがやる行為も目的もヤバイ組織ってわかった上で協力とかさ」パシッ!..ヒュッ!

サローニャ「でも、その目的を果たす事で自国の利益とプライドも守られるんだよ?」パシッ

サローニャ「逆に。もしそれをしなければロシアはもっと大打撃を受け続ける」

サローニャ「なんとかするには時間がかかるし、その間のダメージは回復しない」

サローニャ「国民としても自分の国のために立ち上がろうしないのはもはや悪じゃないかね」ヒュッ!

上条「別に手段は他にもあったはずだろ」パシッ

サローニャ「はぁ。…まぁ幻想殺しちゃんみたいに平和ボケしてる国の学生ちゃんだと多分わかんないと思うけどー」

サローニャ「そんな簡単に出来ないから、回り道をずっとしなきゃいけないから強硬手段を取るしかなかったんじゃん」

上条「だからって、お前自身がやった事は」ヒュッ!

サローニャ「そーかもねー」パシッ




サローニャ「でもね。味方ゼロ、自分が出来る事を全て総動員して確実に 生き残って 国を動かす任務を遂行する時ってさ」

サローニャ「どんな事でもしないといけないのよ。ほんとにどんな事でも、ね」

サローニャ「祖国の利益や復讐の為に、自分の命と人生を賭けて、たくさんの命を奪うって前提で死ぬ気で行動するんだから当たり前なんだけどね」

サローニャ「ま。個人で戦争仕掛けてるようなもんだったんですわ」ヒュッ!

上条「だったら余計にやっちゃダメだろそんなの。人がめちゃくちゃたくさん死ぬんだぞ?」パシッ

サローニャ「そうだね。で?何がダメなの?」

上条「自分の国や自分個人の事だけ考えて、他人の権利を害して生きるのは」ヒュッ!

サローニャ「んー…それさ、ダメ?本当に?倫理的道徳的に?いやいやちょっと待ちましょーや」パシッ

サローニャ「そりゃそれが一番なのかもしんないよ?常識的に考えてもね。でもさ、現実的に考えよーよ?」



サローニャ「それを一番やってんの、学園都市じゃね?」ヒュッ

上条「ぐ」パシッ...ヒュッ



サローニャ「まぁ別に学園都市だけじゃないよ?侵略行為に等しい行為をやりまくる某国とか他の国とかさ?」パシッ

サローニャ「ね?つまりさ、みんな殺ってる事なんだって。って事はさ、やらなきゃこっちが殺られるんだって。ほんとーに。」

サローニャ「関係ない国や場所でもさ、その人達を蹂躙してでもやらなきゃ何も守れないんだよ?」

サローニャ「それにさ、」

サローニャ「どこかの知らない誰かがたくさん死んで、幻想殺しちゃんは本当に心底悲しむ事ができるの?」

サローニャ「悲しむフリだけでしょ?精々さ」

サローニャ「別に他国に限らないでしょ?自国の事でもそう。 」

サローニャ「もし仮に自分が不利益被る、でも彼等が死んだら自分達の利益が守られるってわかったらさ、表立って言わないだけで」

サローニャ「倫理なんてガン無視で『じゃあ悪いけど、俺は嫌な思いするの嫌だから死んでくれ』」

サローニャ「そういう感情ちゃんを抱くでしょ?」





上条「そんな事は思わないって!」

サローニャ「まぁ幻想殺しちゃんはそうかもね。ヒーローだから」

サローニャ「でも、他の人はどうかな?」

サローニャ「ほら、日本の若い人でさ、ガチの愛国者とか見た事ないしぃー、国際情勢に対してもどこか他人事でしょ?」

サローニャ「二十代の投票率とか見ててもやばいし。」

サローニャ「つまり、皆無関心か個人の現状だけで手一杯か、何もわかってないか」

サローニャ「『どうせ何も変わらない』『なんとかなるでしょー』『誰かが頑張るよ』って事なんだろうけど」

サローニャ「…いい加減気づくべきなんだよね」

サローニャ「『何も変わらない、では済まない』し、『皆がその思考だから誰もやらなくて、なんともならない』って事にさ」

サローニャ「ま。ま。ま。それは置いといて」

サローニャ「閑話休題。つまりさ、本気で、本当の本当の本気で。人生全部投げ打って祖国を救おうとか、その復讐とかしようってなったらさ」

サローニャ「モラルのある手段なんて選んでられないよ。戦争中に『その作戦はモラルが無いです!』とか『人を[ピーーー]のは悪い事です!』なんてアホでしょ?」ヒュッ


>>9訂正


サローニャ「日本の若い人でさ、ガチの愛国者とか見た事ないしぃー、国際情勢に対してもどこか他人事でしょ?」

サローニャ「二十代の投票率とか見ててもやばいし。」

サローニャ「つまり、皆無関心か個人の現状だけで手一杯か、何もわかってないか」

サローニャ「『どうせ何も変わらない』『なんとかなるでしょー』『誰かが頑張るよ』なんだろうけど」

サローニャ「…いい加減気づくべきなんだよね」

サローニャ「『何も変わらない、では済まない』し、『皆がその思考だから誰もやらなくて、なんともならない』って事にさ」

サローニャ「ま。ま。ま。それは置いといて。つまりさ、本気で、本当の本当の本気で。人生全部投げ打って祖国を救おうとか、その復讐とかしようってなったらさ」

サローニャ「モラルのある手段なんて選んでられないよ。戦争中に『その作戦はモラルが無いです!』とか『人を殺すのは悪い事です!』なんてアホでしょ?」ヒュッ





上条「…それでも、そういう事をやるべきじゃないんじゃなかったのか?だって、いくら祖国の為にって言ったって」パシッ...ヒュッ

サローニャ「そっれはー、正直何も失った事がない平和な国での温室育ちの御意見かなーって」パシッ



サローニャ「じゃあさ、例えばオンラインゲームちゃんとかでさ、よくプレイヤーキラーシステムちゃんとかーギルド同士、国同士とかでの抗争とかあるけど」

サローニャ「それらを仕掛けられた場合でも幻想殺しちゃんはやられっぱなしになりたい?」ヒュッ

上条「いやそれはやり返すけどさ」パシッ

サローニャ「でしょ?」

上条「でもそうなってもなるべく戦わないようにするとか、そうならないようにすれば、」ヒュッ

サローニャ「実際になってしまったら?」パシッ...ヒュッ

上条「その時に戦えばいいだろ」パシッ

サローニャ「じゃあつまり、その決断する時って仕掛けられた後なワケだけど」

サローニャ「その場合、その問題が解決するまでアイテム掻っ攫われ続けるわ自国の領土や採れるアイテムやジョブ枠も盗られ続けるわで生活圏滅茶苦茶にされるわけですが」パシッ

上条「それも問題点として糾弾すれば運営とかがなんとかするだろ」ヒュッ

            ・・・・・
サローニャ「そうだね。…ゲームなら。」パシッ

上条「だろ」

サローニャ「でもね、ある意味それと同じなんだよって」

サローニャ「違うのは何とかしてくれる運営者が居ない事。失った利益やたくさんのプレイヤーの命は返ってこないという事」

サローニャ「つまりさ、そういうことなんだって」




サローニャ「人は普段、本当の意味での理解を忘れがちだけどさ。ずーっと昔からこの世界には一つのルールちゃんがあるでしょ?」

サローニャ「”弱肉強食”ってさ」

サローニャ「私達は常に”生存”競争をしてるって事は忘れるべきじゃないんだよね」

サローニャ「現代社会じゃ形を変えて~ってのはよく聞く話だけど」

サローニャ「変わってなくね?本来の意味での”生存”競争って、未だにずーっとそこに座って私達を見てるんだって」

サローニャ「ほら、結局ロシアはどうなった?」

サローニャ「学園都市ちゃんの圧倒的軍事力によって負け、アメリカちゃんや諸国からどんどん搾取され続けてるわけだけど」ヒュッ!

上条「ああ…」パシッ

サローニャ「ある意味自然の摂理に従ってるでしょ?」

上条「…」ヒュッ!

サローニャ「じゃあさ、そうやって搾取され続けてるのが気にくわないならどうする?」パシッ





サローニャ「もうね、イジメが発生した時と一緒なんだよ」

サローニャ「戦わなきゃいけないんだよ。戦って、殺して、勝ち取らなきゃいけない」

サローニャ「戦わなければ、まともに生きる事すら叶わないの。…自分の生活ですら、守れないの」ヒュッ

上条「…まずは話し合うべきじゃないのか?」パシッ


サローニャ「そうだね。話し合って、平行線を辿る事が目に見えているのでないならね」

上条「…」ヒュッ


サローニャ「誰だっていい思いしたいでしょ。カースト制度の中でも出来る限り誰かの上に立って居たいでしょ?誰かが損したって自分は全く痛まないんだから」パシッ

サローニャ「どんなに叫んだってやめてなんかくれないよ?ヒーローが来てくれて助けてくれるなんてないの」

サローニャ「だったら、自分が戦うしかないじゃん。どんな手段を使っても。自分の尊厳や自分のモノを守る為には…もしくはいい思いをして生きるためには、人を押しのけてででも」



サローニャ「私は失うモノが本当に何も無くなっちゃったから余計にね。人間、何も失うモノがないと何でもできちゃうんだから」



サローニャ「あーでも…案外幻想殺しちゃんもひょっとしたらいつかわかるんじゃないかな」

上条「え?なんでだよ」

サローニャ「大事な決断を保留、保留にしてさ、」

サローニャ「例えば、その時学園都市に居なかったとして。本当に他国が攻めてきたとして」

サローニャ「大人しく蹂躙されるしかなくなって。コンビニちゃんとか…当たり前に買える物だとか、日常が消えてなくなったりとかしたら。」

上条「…」

サローニャ「…ま。結局のところ、自分の生活圏に異変が起きないと本当の意味でのそれを理解する事なんてできにゃいと思いますけども」ヒュッ

上条「気持ちはわからなくもないけどさ、それでも…」パシッ

サローニャ「…」

上条「悪いけど…俺は、サローニャのその考えには賛同出来ない。その思想の行く末は結局のところ人類の破滅だと思うから」

サローニャ「…頭ごなしに否定しないでくれるあたりはちょっとおおって思うかな」










上条「ただ、感情的には…ちょっとだけお前の味方したいかなって、思う」ヒュッ

サローニャ「…そりゃどーも。」パシッ..ヒュッ




上条「あだっ!?」ゴンッ!!!

サローニャ「あ、ごめーんごめーん。痛かった?」

上条「おう」

サローニャ「もうやめよっか。そろそろ飽きたし」

上条「そだな」

上条「はー…よっこいしょ」

サローニャ「…隣座っていい?」

上条「おう」

サローニャ「よいしょ」チョコン

上条「…海が真っ赤で綺麗だなー」

サローニャ「夕方で、日が入り始める黄昏時だもんねー」


ザザーン…ザザーン…

上条「…」

サローニャ「…」

上条「…」

サローニャ「…」



上条「そんで、お前はなんでここに?」

サローニャ「んーキラウェア火山のあの後さ、私捕まって収容されたじゃん?」

上条「ああ…そうなの?ごめんよく知らなくて」

サローニャ「己は…まぁいいや、」

サローニャ「んでさ、最近恩赦って言うの?出してもらえる事になったんだよね」

上条「はあ」

サローニャ「で、ロシアに強制帰還ってことになったんだけど」

上条「はあ」

サローニャ「所属してたロシア成教ちゃんから『オマエイラネ』って切られちゃってさ」

上条「いきなりクビかよ大変だな」



サローニャ「しかもそれ言われたの今日の空輸中」

上条「引き返さなきゃだな。つーか送還側無能じゃねーか」











サローニャ「ロシア帰っても帰る家も何にもないからねぇ」

上条「でも国に帰るのはいいんじゃないか?組織ももう関係ないワケだし」

サローニャ「まぁそうしようとしたんだけどねぇ。いろいろとめんどっちぃー事もあるんですわ」

上条「ふーんまぁいいや。んで?」

サローニャ「そしたらなんか原因不明のエンジントラブルが起きたらしくてさ」

上条「はぁ」

サローニャ「パイロットちゃんとかも皆脱出したんだけど私だけ置いてかれて」

上条「ひっでーな」

サローニャ「罪人ちゃんだからねぇ。まぁ彼等も自分の命のが大事でしょ」

上条「それで?」

サローニャ「何とか脱出してパラシュートでかなり流されつつも着陸して」

上条「上条さんとの邂逅に至ると」

サローニャ「ザッツライト」

上条「そんで、なぜかこの島に不時着してたボールがあったから」

サローニャ「そう、なんとなく現実逃避のために『ちょーどボールあるからキャッチボールしよーぜ!』ってなって幻想殺しちゃんとキャッチボールちゃんしてたわけよ」

上条「他にやる事特にねーもんな…砂浜にSOS書いたくらいで」



サローニャ「しかも幻想殺しちゃんのも私の飛行機ちゃんも墜落地点はこの島から結構離れてるし、今日ずっと見てても周囲に船とか飛行機とか一切通らないし」

上条「ホントどうしようもねーな!」ハハハ

サローニャ「ねー!ホントこれからどうしよう!?」




上条サローニャ「「あっはっはっははっはっはっ」」


上条サローニャ「「ハァ…………」」



ザザーン…ザザーン…



上条「とりま水の確保と屋根と…火の確保かな」

サローニャ「無理だと思う」

上条「なんでだよ」


サローニャ「この島なんにもないんだもん」グスッ

上条「…マジ?」




サローニャ「まじ。不時着した時見て回ったけど動物ちゃんは一匹も居ないし、島内に川とかの水がないし、植物ちゃんもほとんど無いし」

サローニャ「パッと見、99%岩ばっか」

上条「Oh」

サローニャ「ついでに向こうに堕ちた飛行機の残骸ちゃんはもうすぐアレ完全水没するし」

上条「そういや心なしかさっきより翼の部分が…」

サローニャ「ごはんなし、水もなし、火を起こす道具もなしで、屋根もなし…」

上条「詰んだな!」ニコッ

サローニャ「うぇえええん!!!なんでこんな事になんのよぉぉおおお!!」

上条「バカ、泣くなよ…大丈夫大丈夫。たぶんインデックス辺りとかが今に助けを呼んで来てくれるよたぶん。…たぶん!」

サローニャ「ぞんなのわがんないじゃぁぁん!!!」ビェ-

上条「よしよし」ナデナデ

サローニャ「ひっぐひっぐ、」

上条「よし、じゃあなんか最後くらい楽しい事しよう!」

サローニャ「楽しい、事…?」グスッグスッ



上条「水遊びとか!魚の掴み取りとか!キャッチボールとか!キャッチボールとかキャッチボールとか!?」

サローニャ「キャッチボールは飽きたって言ってんでしょ!」ベシッ


サローニャ「あ、でも魚ちゃんの掴み取りはいいかもね。とりあえず食べる物だけでも確保しないと殺し合いしてカニバリする事になりそうだし」

上条「ん?んー、じゃあ…もしそんな時が来たら遠慮なく俺を殺して食えよ」

サローニャ「…なにそれ。どこぞのアンパンヒーローちゃん気取りですか」

上条「俺が生きるより、お前が死なない事のが大事だし」

サローニャ「…なんで」

上条「さあ?でも、守りたいんだよ。お前の事」

サローニャ「…ふ、ふん、///かっこつけ…」

上条「言い方がダメか?」

上条「じゃあ、『私を食べてぇ~ん』?」クネクネ

サローニャ「3秒前のサローニャちゃんのトキメキ返してくんない?」



~ギリギリ浅瀬のとこ~

上条「それ!そりゃ!」

上条「…クッソ…全然つかまんね」

上条「つーか小魚ぐらいしかいねーぞこの近く」

サローニャ「そりゃ!ほいっ!」

ビチビチビチビチ

上条「おー…すげーな、熊みてーだ」

サローニャ「その比喩表現やめてくんない?」

上条「じゃあ…月の輪熊みたいだ?」

サローニャ「上条ちゃんがボキャ貧なのはよくわかった」

上条「…名前で呼んでくれるのか?」

サローニャ「…」パシッ.ペチッ

サローニャ「いつまでも幻想殺しちゃんなんて長いし、他人行儀でしょ」

サローニャ「しばらく…あるいは一生寄り添わなきゃいけないっていうか。一蓮托生でずっと一緒なわけだし」

上条「…それだけ聞くと結婚するみたいだな」

サローニャ「やめて」

上条「ハイ」


ばしゅっ!ばちゃっびちゃっ!

上条「なぁ、水遊びしねぇ?」

サローニャ「ねぇ知ってる?今はそんな悠長な事言ってる場合じゃないし、サローニャちゃん達は火を起こす手段がないんだよ?」バチャ!

上条「魚焼けないな」ハッ!

サローニャ「…それもそうだけど。洋服ちゃんが濡れても乾かせないでしょっつってんの」

上条「明日太陽出たら干せばいいんじゃね?」

サローニャ「へー。じゃあ明日雨降ったら全裸でいる気?」

上条「それはそれでいいんじゃないか?」

サローニャ「やだよ?それがイヤだって言ってるんだってば」



上条「じゃあ逆に全裸になってから海へ入れば服は濡れなくて済むよな?」ハッ!

上条「サローニャ脱げよ。パンツもな」キリッ

サローニャ「上条ちゃんから変態ちゃんに呼び名変えてやろーか?てめーこのやろー?」

上条「でも今こうやって靴と靴下脱いで腕まくってやってはいるけどさ、転んだりしたら濡れちまうだろ」

サローニャ「まあねん」

上条「じゃあ脱いだ方がいいんじゃないか?まじめに」

サローニャ「その発言の前が変態染みてなきゃ従ったかもね」バチャバチャ

上条「クソ…全然取れない」

サローニャ「へたっぴぃー」クスクス

上条「なぁコツとか教えてくれないか?」

サローニャ「えー?」

上条「頼むよ」


サローニャ「…えーっとね、魚ちゃんはぁー」

サローニャ「こう、水面に手が触れた瞬間に前に泳ぐのね」

上条「ほう」

サローニャ「だから、狙うのはその前!魚ちゃんが今いる地点からその進行方向を予測して…!」

ばちゃっ!

魚「」ピチピチピチピチピチ

上条「なるほど」

サローニャ「ま。こんなもんですわ」

サローニャ「首根っこというか、エラがあるとこを軽く握り潰す感じで掴むと滑りにくくなるよ」

上条「ありがとな」

サローニャ「それじゃ、あとは頑張ってー」ジャバジャバ

上条「へ?!」



サローニャ「にゃーに?サローニャちゃんはもう充分自分の食料分は確保したもん」

上条「Oh…わけてはくれないのね」

サローニャ「じゃないと上手くなろうって頑張らないでしょ?」

上条「シェアしようぜ?頑張りも食料も苦労もさ」

サローニャ「残念だけどサローニャちゃんは共産主義ではないんだよ」

上条「資本主義なんてクソ食らえだ!チクショォ!」


・・・・・。


上条「はー…」

サローニャ「おかえり。どうだった?…ズブ濡れだけど」

上条「3匹くらい取れた」

サローニャ「? 手ブラじゃん」

上条「そのあと滑って転んで服濡れて魚も全部逃した」

サローニャ「…どんまい」



上条「不幸だ…」

上条「…」チラッ

サローニャ「う」

上条「…」←何かを訴えかける子供の眼差し

サローニャ「もー…わかったよぅ、しょうがないから分けてあげるよ…」シブシブ

上条「アザーッス!!サロにゃんさんアザーッス!」

サローニャ「しばくよ?」



サローニャ「はい、じゃージャパニーズの上条ちゃんもいますし、今夜はお刺身にしまーす」

上条「ああ、火がつかないもんな…」

サローニャ「そーゆー盛り下がる事言わない!」ビシッ

上条「包丁はどうしたんだ」

サローニャ「平べったい石ちゃんを超削った」

上条「へー」

サローニャ「いやー切りにくいのなんのって。仕方ないけどさー」

上条「まさか遭難した先で刺身食えるとは思わなかったな」

サローニャ「よかったじゃん。嬉しい誤算でしょ」

上条「そうだな、ここに来ちまった事がすでに大誤算だけどな」

サローニャ「ネガティヴ発言はやめて」ペチ

上条「あうっ」


上条「もぐもぐ」

サローニャ「むぐむぐ」

上条「海水効きすぎな気も…」

サローニャ「文句言わないの。仕方ないでしょ?真水なんてないんだから」

上条「なんだろな、こうしてると家族にでもなったかのような」

サローニャ「やめて。…まぁある意味合ってるんだろうけど」

上条「?」

サローニャ「結婚ってシステムもさ、今のこの状況と同じある種の合理的共生でしょ?」

上条「?」



サローニャ「つまりね、人間って、一人では生きていけないでしょ?」

上条「まあな」

サローニャ「だから徒党を、コミュニティを組むんだよね。狼ちゃんとかと一緒。家族という名の群れを作る」

サローニャ「所属団体やパートナーを作れば自分の身に何か起きて食べ物を取ってくる事が出来なくなったりとかした時に無償で助けてもらえるでしょ?」

上条「ああ…」モグモグ

サローニャ「怪我や解雇、精神的ショックで行動不能になった時もさ、家族がいたら生き延びられるでしょ」

上条「助け合いって言葉じゃダメなのか?」

サローニャ「あとはー、生物的本能による種の存続とかも家族ってシステムがあれば、ね?」

サローニャ「生殖行為だって幾らでも出来るし、性欲処理だってし易い」

上条「別に家族じゃなくてもセックスは出来るだろ?」

サローニャ「し易い、でしょ?そもそも恋心だとかは子孫存続の本能に基づく偽造的発情だし」

上条「なんだろ、魔術師と話してるのに科学崇拝者と話してる気分だな」

サローニャ「やかまちぃ。それに片方が死ぬか何かしても片方が子供を育てあげられるし。」

サローニャ「そんで、親が老いて動けなくなったら今度は大きくなった子共がそれを助けるでしょ?」

サローニャ「とどのつまり、妻や夫、子供はそれぞれがそれぞれの生命維持装置の役割を果たすんだよね」




サローニャ「”自身の生存”、”生存補助”、”種の存続”……言うならば、家族ってのは”人生効率化システム”。」


サローニャ「ヒトという種族が生きていく上での知恵なんだろうけど」

上条「…俺、なんかその考え嫌だな。ロマンが無いっていうか、機械的…無機質すぎてさ」モグ

上条「なんていうかさ、愛がねぇよ。色んな意味で」

サローニャ「そう?サローニャちゃんは本当の気持ちじゃなくて、本能として備わってる脳の機能による嘘っぱちな感情に惑わされるよりマシだと思うけどにゃー」ハムハム

サローニャ「ま、何が言いたかったかっていうと」ケフッ。

サローニャ「お互いが生存するためのパートナー的共存関係って意味では私達は結婚してるのと同じだねって事」

上条「…たかがそれ言うだけでそんなに理屈こねなきゃダメなのか?」

サローニャ「いいでしょ別に。ヒマなんだし」


上条「…」

上条「…当麻=イリヴィカ?」

サローニャ「婿養子に来る気かよ」

上条「じゃあ、上条=サローn」

サローニャ「それ以上言ったら張っ倒すから」



・・・・・・。


上条「で、どう寝ようか?」ジリジリ

サローニャ「…取り敢えずこっちににじり寄ってくるのやめてもらえます?身の危険を感じるんですけど」

上条「いや、あんまり離れられると心細いっていうか」

サローニャ「恐がりだね」

上条「さすがの上条さんも無人島でなんの助力もないサバイバルは初めてですのことよ?」

サローニャ「ハイハイ。知らにゃい知らにゃい」コロリン

上条「ヤバいんだよ割と錯乱してるからね上条さん結構テンパッてるからね極限状態に陥ってるからね!!?」

サローニャ「極限状態になんの早すぎでしょ…まだ初日だよ?」



サローニャ「まぁまぁ。サローニャちゃんもね、おにゃのこなんでね」

サローニャ「気を遣ってくれる?離れてほしいかなーって」

上条「やめろ!俺を一人にする気だな!そんで明日になったら居なくなってるんだろ!」

サローニャ「落ち着けや」ビシッ

サローニャ「いいからほら、大丈夫だからさっさと離れてちょーだい」

上条「ヤダヒトリコワイサビシイ」

サローニャ「何故急にカタコトに…ハァ…もう。わかったわかった。わかったよ…」

上条「お?」



サローニャ「…手。」

上条「手?」

サローニャ「もう、手を繋いで寝てあげるからってコト」

上条「おー…ありがたやありがたや」ギュ

サローニャ「…変なコトしたらコロスから」

上条「しないしない!」

上条「たぶん」

サローニャ「…」パッ

上条「ああゴメンゴメン!嘘嘘!上条さん調子ブッこいてカミやんジョークが飛び出ただけだから!ね!」

サローニャ「はぁ…もう」キュ

上条「おお…サローニャの手小さいな」

サローニャ「離していい?」

上条「それに柔らかいしあったかい」

サローニャ「それ以上言うなら離してくれます?」

上条「…なんかずっと握ってたいな」

サローニャ「…あっそ」




~翌日。漂流2日目~




上条「…」

サローニャ「…」




サローニャ「朝起きたら上条ちゃんがサローニャちゃんに覆い被さってた件について」

上条「…スミマセンでした」


上条「いやほんとっわざとじゃないんすよサローニャはん…!」ヨジリ

サローニャ「誰が正座崩して良いっつった」ゲシ

上条「砂が痛いんで…」

サローニャ「で?弁明は?」

上条「いやなんか寝ぼけて寝返りうったみたいで」

サローニャ「…それで、サローニャちゃんの肉布団になった状態でその後はずっと動かなかったって?」

上条「ハイ」

サローニャ「んなわけねーだろ」ゲシ 

上条「いやこれが本当なんだって!」



サローニャ「はー…ねぇ、これは裏切りじゃないかね?せっかくサローニャちゃんがすんごく譲歩してあげたってーのにさ?」

上条「いや本当知らない…」

サローニャ「はぁ…」

上条「つーか!俺ばっかり攻めんのおかしくないですか!サローニャだって寝ぼけて俺にしっかり抱きついて頬に軽くキスしたじゃん?!」

サローニャ「は?何それ知らないんだけど」

上条「本当だって!その時俺もまどろんでたけど!サローニャさんからやってきたからね!」

サローニャ「…」

サローニャ「…そ、そんなはずは」メソラシ

上条「サローニャさんも案外満更でもなかったんじゃないんでしょうかー!?」

サローニャ「はぁ!?無い無い!そんなのないもん!違うもん!嘘だもん!」

サローニャ「ふんっ!どーせ夢でも見たんでしょ?上条ちゃんはエロエロちゃんですもんねー」ハンッ

上条「ところがどっこい…!夢じゃありません……!現実です…!これが現実……!」

サローニャ「そういうのいいから」


上条「…」

サローニャ「なぁに?」

上条「もういいじゃん…事故だよ事故。ゴメンゴメン。許してチョンマゲ」

サローニャ「おっさん?」

上条「もっと有意義な事にカロリーを消費しようぜ」

サローニャ「はぁ…まぁもういいけどさ」

上条「…喉乾いたな…」

サローニャ「あー、パラシュートちゃんの布部分に集まってた夜露ちゃんとかならあるけど」

上条「マジで?」

サローニャ「でもアレ飲んだけど超マズイからやめといた方がいいよ」

上条「でも、飲まなきゃ死ぬし…」

サローニャ「まーねー」

上条「…なあ、お互いの尿とか、汗とか飲んだら永久機関的なさ、」

サローニャ「それ以上喋らないでくれる?ひどく不愉快」

上条「さーせん」




サローニャ「はー…」

上条「いやぁ、する事なくなっちゃったな」

サローニャ「じゃあ飲み水ちゃんの確保とか、お魚ちゃん取ってくるとかしてくれます?」

上条「めんどくせー。サロにゃんちょっとそこのコンビニで買ってきてくれよー」

サローニャ「コンビニねぇよ」

上条「ちくしょう…なんで歩いてすぐにコンビニねぇんだよ…どんだけド田舎だちくしょう」

サローニャ「無人島ちゃんなんだから当たり前だろこんちくしょう」

上条「…」

サローニャ「…」

上条「でも本当喉が渇いたな…」

サローニャ「ねー…」

上条「…お互いの唾液をさ、こう」

サローニャ「ねぇいい加減気色悪いからやめてもらえないかな変態ちゃん」

上条「ついに変態になってしまったか…」

サローニャ「妥当でしょ?」

上条「違うよ!変態じゃないよ!変態という名の紳士だよ!」

サローニャ「だからそういうのいいってば」



上条「…海の水…」

サローニャ「無理に決まってるでしょ」

サローニャ「…あ、一つ思い出した!」

上条「え?何を?」

サローニャ「お魚ちゃん!お魚ちゃんの脊髄ちゃん付近の体液ちゃんなら塩分ちゃんが少ないからすする事で水分補給できるよ!」

上条「マジか!」

サローニャ「こうしててもしょーがないし!ほら、お魚ちゃん取りに行こうぜぃ!」

上条「おう!」




上条「でもきっと量が少ないだろうし、やっぱり唾液交換の方が」

サローニャ「おるぁ!!!」ドゲシッ!






・・・・・・。



上条「…」チルチルチルチル

サローニャ「…」チルチルチルチルチル

上条「…二人揃って魚の背中に噛り付いて体液すする…シュールだな」

サローニャ「仕方ないでしょ」

上条「水道ってさ…ありがたいもんだったんだな」チルチルチル

サローニャ「そりゃあね」チルチルチ-

上条「ポカリのみてぇ…」

サローニャ「買ってきたら?コンビニちゃんで」

上条「うっせーよコンビニちゃんねーよちくしょう」



サローニャ「でもまぁ良かったんじゃない?」

上条「何が?」

サローニャ「少しは色んなもののありがたみがダイレクトにわかるわけでしょ」

上条「ああわかったよ。わかったわかったもうわかりすぎなくらいわかったって。だから上条さんをどうかおウチに帰してくださいな」

サローニャ「信仰してる神様ちゃんにでも頼んだら?」

上条「無理だろ。信じてないし、右手のせいでそういうの打ち消しちゃってるらしいし」

サローニャ「…ひょっとして、右手ちゃんのせいで運悪く助けが来なかったり?」

上条「よし、右手ちぎるか」

サローニャ「冗談だってば」



上条「なんか疲れたな…」

サローニャ「もう寝る?」

上条「おう…」コロン

サローニャ「私ももう寝よっと…」コロリ

上条「おい、手を握るの忘れないでくれよ」

サローニャ「まだ怖いって?もーめんどくちゃいなぁ…」

サローニャ「はい。もう今朝みたいな事しないでよね」キュ

上条「ありがたやーありがたやー」

サローニャ「はー…いい加減一人で寝れるようになってくれませんかね」

上条「ムリヤダコワイサビシイ」

サローニャ「ねぇ、面倒臭くなるとカタコトになるのなんでなの」







~漂流記3日目~







サローニャ「…」

上条「…」


サローニャ「で?」

上条「はい」



サローニャ「昨日の夜中にサローニャちゃんの乳を揉んだのはなんでかにゃ?」

上条「…そこに乳があったからです…」





サローニャ「死ねよ。シンプルに」ゲシッ!

上条「あだっ!」


サローニャ「誰が正座崩していいっつった」ゲシッゲシッゲシッ

上条「石が突き刺さるんで…」

サローニャ「ねぇ?あのさぁ?さすがのサローニャちゃんも堪忍袋の緒が切れるんだけど?」

上条「すみません…」

サローニャ「こんな状況下で二人だけだからさ?体力消耗しないためにも協力し合おう、助け合おう、仲良くしようって思ってる時にさぁ?」

上条「はい」

サローニャ「なんでそうやってサローニャちゃんの期待を裏切るの?ねぇ?」

上条「違うんです…ちょっとムラムラしちゃっただけで」

サローニャ「だったら向こうでシコってきなよ誰も止めないからさぁ」


サローニャ「溜まってるならそれとなく影でコッソリ自慰してくるとか無かったわけ?」

上条「聞かれない所まで離れるとか…そんな事できるなら手を繋いでくれなんて言わないって」

サローニャ「…はぁ」

サローニャ「そりゃー生命の危機、自分の生存が絶望的だって感じ取ると種を残そうと発情するのはヒトの本能だよ?」

サローニャ「でもだからってさぁ、自分を律する心を持てないのはそれもうお猿ちゃんじゃないかね」

上条「はい…」

サローニャ「何揉みした?ねぇ何揉みしたの?すごい勢いで揉みしだいてたよね?」



上条「50より後は数えてないです…」

サローニャ「すげーよ50も数えながら揉んでたのかよこの変態ちゃんめ」






上条「すまん!でも本当にちょっとどうかしてたんだ!」

上条「極限状態だし、暑いし、水すら無いし!」

上条「もう俺死ぬのかなって思ったら…せめて相棒を新品から中古品に変えてから死にたいって、思って」

サローニャ「は?それサローニャちゃんをレイプしようとしてたってこと?!サイテー!!」

上条「いやっ!違う!違うって!その後チキってサロぱい揉むだけにしとこうって!」

サローニャ「気持ち悪っ!サイテー!死んじゃえバーカ!」

上条「ごめん!ほんと許して!」

サローニャ「もうしらない!向こういって!こっちくんな!あっちでマスかいてろばーか!」

上条「…でもさ、」

サローニャ「なんだよぉ!」





上条「なんで揉まれてるってわかってたのにそのままで居たんだ?」

サローニャ「(°ω°)」ギクッ




上条「え?だって相当揉んでたってわかってるし、確かその時怒らずに『明日なんでこんな事したかちゃんと聞くから』って言っただけで抵抗しなかったし」

サローニャ「///????^????///」プルプル

上条「上条さん的には『あー明日改めて怒られるのかー』と思ったからチキッてそこですぐやめたんですけど」

上条「…ひょっとしてサローニャさん…案外俺に抱かれたかっ」

サローニャ「~ッ///」







ボクッッ。






サローニャ「わかったよ!この話はこれで手打ちっ!おしまい!だから二度とこの話を持ち出さない事っ!いいね?!///」

上条「」ビグンッビグンッ


・・・・。





夜。


上条「…はぁ。今日も船も助けも来なかったな…」

サローニャ「そうだね」

上条「…」

サローニャ「…」

上条「…つか俺汗臭ッ!やっぱ2日入んないだけでもキッツイなー」

サローニャ「実はサローニャちゃんは初日から男の子ちゃんの匂いキッツイなーって思ってました」

上条「ウソ!?マジで?!」

サローニャ「まー女の子ちゃんは匂いに敏感ですからなぁー」

サローニャ「男性ちゃんよりも匂いを気にする生き物ちゃんなんだからさ、今度から気をつけなよ」

上条「そうだな。生きて帰れたら気にするわ」





サローニャ「海水で…いや髪の毛ちゃんがなー…というか裸を」ブツブツ

上条「あ、俺ちょっと海で体洗ってくるわ」

サローニャ「ちょっ、マジで?」

上条「案外いけんじゃねーの?ほら塩にも殺菌作用とかあるし」

サローニャ「えー…でもベタつかない?」

上条「臭いよかマシだろ?服もこすりあわせれば洗濯できそうだし」

サローニャ「…はあ。それしかないか…」

上条「歯磨きもしたいし」

サローニャ「それはほんとにそーね」




上条「じゃあちょっと目を閉じて、後ろ向いててもらえるか?」

サローニャ「あーハイハイ。離れるって選択肢はないのね」クルッ

上条「じゃ、脱ぐから」

サローニャ「どーぞご勝手にぃー」

上条「覗くなよ!」

サローニャ「覗かねぇよ」

上条「覗くなよ!絶対だぞ!絶対覗くなよ!後ろ振り返って上条さんのおいなりさんとフランクフルトを見るなよ!?」ゴソゴソ

サローニャ「大丈夫ですぅー。出来れば一生見たくないんでー」



上条(全裸)「…」

上条「…」

上条(…突然だけどめちゃくちゃふざけたくなった)



上条(今サローニャさんは後ろ向いててくれてるので思っクソふざけようと思います!!!!)




上条「~♪」プルプルプルン

上条(チン◯プター)

上条「~♪」クイクイクイクイクイクイクイクイクイクイ

上条(腰振り腰振り腰振りぃ!イエェエエイッッ!!!)クイクイクイクイクイクイ

上条「…やった♪やった♪やったやった~♪…」ピョンコピョンコ

上条(葉っぱ隊ダンス楽しっ!葉っぱなくて全裸だけど!!)



サローニャ「…あのさ、」

上条「どうした?」ピタッ

サローニャ「…聞きたくなかったんだけどさ、今ひょっとしてサローニャちゃんの後ろでなんかやってる?」

上条「まさか。」

サローニャ「そう。できるだけ早く洗ってね。私も早く洗いたいし」

上条「任せろ」

サローニャ「…」

上条「…」

上条「このままサローニャの頭に下条さん乗っけて『ちょんまげー』ってやったらダメかな」ボソッ

サローニャ「さっきから全部聞こえてんだぞ変態ちゃんよぉ」

上条「サーセン!!!」


・・・・・・・。




上条「お待たせしました終わりました」

サローニャ「ハイハイどーも。じゃあ次は私の番ね?」

サローニャ「あー…まぁ無駄だとは思うけどー。一応言うね?絶対覗かないで。後ろ向いててね?」

上条(上着とズボンだけ。他は干してる)「…」




上条「嫌だ!」キリッ!

サローニャ「予想外の答え来ちゃったよ。ホントどうしようコイツ」



サローニャ「…あのさ、さすがにサローニャちゃんも羞恥心ってあるからさ?見ないでほしいなって」

サローニャ「ほら、私もさっきちゃんと上条ちゃんのお願いを守って見なかったんだし…出来ればサローニャちゃんと約束してほしいなって」

上条「待ってくれサローニャ」

サローニャ「なぁに?」



上条「俺は…!出来もしない事を約束するような男じゃない!!」ドンッ!!!

サローニャ「最低じゃねーか」ベシッ



サローニャ「はぁ。ま、答えはちょっと予想外だったけど大筋は予想通りかな。」ハァ

サローニャ「上条ちゃん、サローニャちゃんのハダカ、見たけりゃ見ていいよ」シュルシュル

上条「なんですと!?」

サローニャ「最初からどーせ今の極限状態の上条ちゃんに何を何度言っても聞かないだろーなーって諦めてましたし」パサ

サローニャ「ま。サローニャちゃんも?見られて恥ずかしいボディなんてしてませんしー?」ポサ

上条「な…に…?」

サローニャ「どーせ洗濯したら明日までスケスケスカート履いてるのにノーパンちゃん状態になりますし?」

上条「わーお大胆」



サローニャ「…その、好きにして…いいよ?////」チラッ?







上条「わかった」クルッ

サローニャ(律儀に守んのかよ)ペッ







サローニャ(全裸)「なんなの…ヘタレやがって…さっきまでと言ってる事違うじゃん…いいよって言ったじゃん…」ブツブツ

サローニャ「…」チラッ

上条「…」

サローニャ「…」ジ-

サローニャ(よーし…ずっと上条ちゃんの方を向きながら体と洋服ちゃん洗お)

サローニャ(ちょっとでもこっち向いたらこっちから誘って…)



上条「…」

上条「…」

上条「…」


サローニャ(だからなんでそこ律儀なんだよ!!!)ガンッ

サローニャ(ムラムラしてんの自分だけと思ってんじゃーねーよちくしょおー!!)プルプルプルプル




・・・・・・・。


サローニャ(ノーパンにスカート、上はブラだけ)「お待たせ。終わりましたっと」

上条「長かったな」

サローニャ「ごめんねーでもサローニャちゃんもおにゃのこなもので」

上条「へーへー」

サローニャ(待てや!この格好にも無反応ってどーゆー事!?)

サローニャ「…どうする?もう寝る?」

上条「そうだな。やる事な…あ、待てよ」

サローニャ「なに?」

上条「ひょっとして、夜の間に船とか通ってるかもしれないんじゃないか?」

サローニャ「ほう…確かにその可能性も無きにしも?」

上条「今夜は俺寝ないでおく。一応360度見渡せる所まで移動しようぜ」

サローニャ「あいあい」



・・・・・。



~浜辺→島の真ん中辺り~



上条「ふー…よし、この辺りなら全部ずっと見渡せるな」

サローニャ「そだね」

上条「あ、サローニャは寝ててもいいぞ?」

サローニャ「ありがとちゃん。でもいーよ、私も起きてる」

上条「無理すんなよ」

サローニャ「お気遣いどーも」

上条「…」

サローニャ「…」

上条「星…」

サローニャ「?」

上条「あ、いや星が綺麗だなって」

サローニャ「そーだねー」

サローニャ「ああ、上条ちゃんは学園都市在住だし、街の灯りでここまできれいには見れなかったのかな」

上条「まあな」



上条「…」

サローニャ「…」

サローニャ「…昔さ、私が小さい頃ね、」

上条「うん」

サローニャ「私の故郷の”小さな森”の広場ではね、夜になると星空がすっごく綺麗に見えたんだ」

上条「…へぇ」

サローニャ「たまに暖かい紅茶と軽食持ってさ、天体観測しにいってたんだ」

上条「そっか」

サローニャ「もう、あの森は無くなっちゃったけど…あの時見た星空と同じ景色が見える」

サローニャ「…ちょっとセンチメンタルになるなぁ…」

上条「…サローニャ…」

サローニャ「ごめん…なんかサローニャちゃんもさびしくなってきちゃった」ピト

上条「…」ナデナデ

サローニャ「ん…ありがと」


上条「散々俺も甘えてたしな」

サローニャ「…しばらく抱いてもらっててもいい?」ギュ

上条「もちろん」

サローニャ「ありがと」

上条「…」

サローニャ「…」キュ

上条「…」

サローニャ「…」

サローニャ「私が言う事ではないんだろうけどさ」

サローニャ「いわゆる”仇をとる”って…加害者側に回る事なんだよね」

サローニャ「正義の味方が悪者をやっつけて問題が解決するならもっと世の中は簡単なんだろうけど」

サローニャ「加害者側へ回って、悪者と定めた敵をやっつけられもせず、ロシアの問題解決も出来ずに…」

サローニャ「自身の故郷の仇も討てずにこの島に打ち捨てられた私の…」



サローニャ「…この無念はどこへやったらいいんだろう」

上条「…」




サローニャ「そう考えたら…もういいかなって。死んじゃってもいいかなって思う」

上条「…」

サローニャ「…悲劇のヒロインちゃん気取りしてるって詰りたければ詰ってもいいよ」

上条「そんな事はしないし思わないって」

サローニャ「あーあ…なんか…ホントもう…どうでもいい…」

上条「疲れてるんだよお前も」

サローニャ「だって…もし仮に奇跡的に助かっても結局捕まってた国に帰るんでしょー…」

サローニャ「そんなの死んでるのと同じだよ…」

サローニャ「…ロシアに帰る場所はもう、ない…し…」

サローニャ「…」






サローニャ「…」ポロポロ

上条「…」ナデナデ




上条「…」

サローニャ「…」グズッ

上条「酷いこと言うかもしれないけどさ…」

上条「一度喪ったモノはどう頑張っても返ってこないし、無念は挽回できない限りはずっと無念のままだ」

上条「そんでさ、挽回する事も難しいならその想いは封印するしかないんだ」

上条「だから…もう切り換えて、新しいスタート切ろう」

サローニャ「…そんなかんたんに切り換えられるわけねーだろばか」グズッグズッ

上条「それでもだよ。ちょっとづつで構わないから、新しい事始めようぜ」

上条「新しい場所で、新しい事やって。新しい家に住んでさ」

サローニャ「…一人で?」

上条「う…あー、ならさ」




上条「俺んち来いよ。一緒に暮らそうぜ?」

サローニャ「……え?」

上条「あ、いやもちろんサローニャが嫌だったりとか他にやりたい事あったら別にいいんだけどさ!」ワタワタ

サローニャ「…」パチクリ

上条「まぁ、よかったら、な!よかったら!」

サローニャ「…考えとく」

上条「そ、そっか」



サローニャ「上条ちゃん」

上条「なんだよ?」

サローニャ「ありがと」チュ

上条「」

サローニャ「あ、ゴメン私寝るね?」ササッ

サローニャ「手、繋ぎたかったら勝手に繋いでくれていーし?」

サローニャ「おやすみちゃん!////」

上条「」


上条「お、おやすみちゃん…!」






サローニャ(ふむぅぉおおお!!!///勢いこえー!!///衝動って怖いよぉぉお!!!)

サローニャ(あーでもでも。やっぱちょっと嬉しかったしにゃー…///)

サローニャ(こういう時優しくされちゃうと弱いーっていうか)

サローニャ(次…変な事してきても…怒らないとこっかな…///)

サローニャ「…」

サローニャ(?上条ちゃんの動く気配がなくなったような?)

サローニャ「…?」チラッ





上条「ぐー…」

サローニャ(で、寝んのかよ!!!)


サローニャ(なんなの!?寝ないんじゃなかったの!?興奮してねれないとかじゃないの!?)

サローニャ(バカなの…!?死ぬの…!?)

上条「zzz」ダキ

サローニャ(え!?抱き寄せてきた!?///)

上条「へへへへ…」

上条「こいつを返して欲しければ…2億円とコップ一杯の水を」ムニャムニャ

サローニャ(…なんの夢見てんのさ)

サローニャ「はぁ。…まいっか」

サローニャ(なんか興醒めしちゃったしぃ)

サローニャ(サローニャちゃんも寝よう)コテン














~漂流4日目~






上条「サローニャ!おい!起きろ!!」

サローニャ「うにゃ?なーにー?もー…」コシコシ

サローニャ「サローニャちゃんはおネムだからもうちょい後で起こして…」コロリン

サローニャ「魚食べたいならたまには自分で…」

上条「来たぞ!!助けが!!!!」

サローニャ「ホントぉ!!!?」ガバッ!



















上条「って言ったら起きるかなって☆」

サローニャ「テメェこのやろーぉおおおおお!!!」ベチーン!!

上条「イダァーーッ!?」







サローニャ「こーいう時にそーいう事言うな!すっげー腹立つ!」プンスカ!

上条「痛い…サローニャちゃん蹴り重い…」

サローニャ「そーでしょーね!何せ上条ちゃん攻略のためにジム通ってサンドバッグちゃん毎日叩いてたからね!!」

上条「それだけ聞くと上条さんの尽くされてる感凄い」

サローニャ「うっさい!もう!余計な体力使わせないでよね!」

上条「さーせんした」

サローニャ「もうっ!」プクゥ!


上条「でさ、魚捕るの手伝ってほしいんだけど…」

サローニャ「やっぱそれだけのために起こしたんかい!」

上条「いやもう死ぬほど喉乾いて…」

サローニャ「はぁ…しょーがにゃいなーもー」

上条「…」

サローニャ「?」

上条「…」クテン

サローニャ「…上条ちゃん?」


サローニャ「…ひょっとして、そろそろ限界だったりする?」

上条「ああ、まぁ…そろそろやばいかも…」

サローニャ「…わかった待ってて。すぐとってくるから」


・・・・・。

サローニャ「上条ちゃん?まだ生きてる?」ヒョコ

上条「ん…」

サローニャ「直射日光避けられないもんなぁ…積める岩もないし葉っぱとかもないし…服を屋根にするしかないしぃ」

サローニャ「…ほら、お魚ちゃんの背中すすりなよ」

上条「せめて雨降ればな…」

サローニャ「しょーがないでしょー」

上条「ありがとな…」

サローニャ「いいって。気にしないでいいよん」




投下作業飽きたから今日はここまで。たぶん明日には完結すんじゃね?

今更だけど

・何でも許せる人向け。

・キャラ崩壊

追加。

ここまで読んでくれた人に感謝を。では。





上条「…」

サローニャ「ねぇ実はそんな弱ってないんでしょ?サローニャちゃんに色々して欲しいからとかなんでしょ?」

上条「え…?うん元気元気ー…」グッタリ

サローニャ「…どうやらホントにキツくなってるみたいだね。昨日より大分余裕なさそうだし」

上条「大丈夫だから俺の分の魚食べんなよインデックス」

サローニャ「インデックスちゃんいねーよ幻覚見てんの?サローニャちゃんだってば」

上条「あ、そうだった…今の俺は無人島で…インデックスとオティヌスとスフィンクスがいない所にいるんだった…」

サローニャ「スフィンクス?」


上条「帰りたい…」

サローニャ「もう、そんなのサローニャちゃんだって一緒だってーの」

上条「死にたくねぇ…こんなとこで死にたくねぇよ…」

サローニャ「もう。弱音吐いてちゃダメだよ。気持ちだけでもしっかりもっとかないとさ」

サローニャ「…ほら、すすりなよ」

上条「ありがと…」

上条「…」モゾ

サローニャ「あーハイハイ辛いのね…ほら、特別にサローニャちゃんが食べさせてあげるから」

サローニャ「ほら、あーん」

上条「差し出されてるのが生魚の背中じゃなけりゃあなぁ」ホロリ

サローニャ「これがあるだけでもありがたいことでしょ」

上条「そうだな…」

上条「…」チルチル

サローニャ「どう?おいちぃ?」

上条「流石に飽きる」

サローニャ「テメェ」


上条「でも…美味いよ。ありがとうな、俺の為に…」

サローニャ「いいよ。別に。その代わり私が危なくなったら助けてよ?」

上条「もちろん」

サローニャ「はー…でもほんとなんでもうちょっと生き残れそうな島に流れつかなかったんだろ」

上条「日頃の行い?」

サローニャ「…だったらサローニャちゃんはともかく、上条ちゃんがこんな目に遭うなんておかしいでしょ」

上条「いつも通りだって。上条さんはいっつも不幸だし」

サローニャ「でもさ、それも変な話だよね」



サローニャ「フツー人に優しくしたらいい事が起きるもんでしょ」

サローニャ「偽善者の善も善人の善も、生じる結果が一緒なら人は感謝するわけで」

サローニャ「感謝してたらその人に何かお返しをしてあげようって思うのが普通じゃない?」

上条「まぁ」

サローニャ「で、そうやって回り回って自分にその善行が返ってくるもんだから『情けは人の為ならず』ってじゃぱにーずのことわざちゃんがあるわけで」

サローニャ「だから、その理屈で言えば上条ちゃんにはいい事ばっかり起きるはずでさ」

上条「…いや、…大丈夫。その理屈であってる」

サローニャ「どこがさ」

上条「俺の人生、悪い事も多いけど、ちゃんといい事もいっぱいあるから」


サローニャ「…こうやってとんでもない状況下なのに?」

上条「…ほら、こうやってサローニャと仲良くなれた」

サローニャ「……たまたま一緒にいて、必要だから一緒に生きようとしてるだけだよ」

上条「それでも。ハワイのあの時だけで関係はおしまいってなってたらさ、」

上条「きっと…そういう価値観があるとか、結構いい奴だったとかさ、そういうのわかんないままだったと思うから」

上条「今まで戦った敵の一人ってだけで終わって…」

上条「その人生とか、とんでもない事をしてでも必死に守りたかった、成し遂げたかった事とか…」

上条「そういうのも考えないままだったと…思うから」

サローニャ「…あっそ」

上条「だから…こんな状況になっても。不幸ではあるかもしれないけど、」

上条「俺は、いい事起きたって思ってるから」

サローニャ「ふーん…」










サローニャ「…そーいうの、死亡フラグちゃんって言うんだっけ?」

上条「え、コレそうなの?」



















~漂流記5日目~




サローニャ「…ヤバ…そろそろサローニャちゃんも辛いかも…」

サローニャ「もう寝るのも辛いし寝れないし、喉がカラッカラなのにお魚ちゃん以外に水分は無し…」

サローニャ「…減量中のボクサーちゃんじゃないんだぞー。つーかボクサーちゃんだってもうちょっとまともに水分取れるっつーの…」

上条「…」

サローニャ「…ねぇ、上条ちゃん」

上条「…」パチ?

サローニャ「…目は開くならまだ生きてるよね」

上条「…」クイッ

サローニャ「おい、そのジェスチャーってひょっとしてサローニャちゃんにさっさと魚取って来いって言ってる?」

上条「…」b

サローニャ「いっそ見捨ててやろーかな?…ったくもう」


・・・・・・。





サローニャ「はい。悪いけど1匹しかとれなかったから」

上条「…」

サローニャ「…何?」

上条「…やるよ。」

サローニャ「はぁ?上条ちゃんのために取ってきてあげたんだからさっさと食べてくんない?」

上条「…俺より…だろ」

サローニャ「はぁ?何言ってるかわかんないって。サローニャちゃんもお腹空いてイライラしてるからさっさと食べてくれる?」

上条「…おれ…もう」

サローニャ「…だから、何言ってんの。なんでまだ元気があるサローニャちゃんより上条ちゃんが死ぬのさ」




サローニャ「あーほら、体洗ってあげるから。汗で気持ち悪いでしょ?」

サローニャ「行こっ?肩貸すし。ほら、特別にサローニャちゃんも服を全部脱いで洗ってあげるからさ」

上条「…」↑

サローニャ「…まぁ、一部分だけでも元気になってくれればそれでいいよ」





・・・・・。







サローニャ「…改めて見るとさ、結構いいカラダしてるよね上条ちゃんって」ゴシゴシ

上条「/////」

サローニャ「ほれほれー気持ちいーですかー」ヌルリヌルリ

上条「…そーぷ」

サローニャ「? なんか言った?」

上条「…」

サローニャ「まあいいや。よいしょよいしょ」

上条「…///」



サローニャ「…というか、勢いとか介護する時の気持ちでやったとは言え今かなり恥ずかしいっていうか、その、かなり…その、」

サローニャ「//////」

上条「…」↑

サローニャ「…ここも洗わなきゃダメ?」

上条「…」コク

サローニャ「まぁ今の状態なら洗いやすいけどさぁ」ゴシゴシ

上条「…ありがとう」

サローニャ「いいよ。…サローニャちゃんもなんか感触が気持ちーし」


・・・。




サローニャ「よし、終わった」

上条「…」

サローニャ「…ちょっとしばらくこうやって、浅瀬で仰向けで寝っ転がって揺蕩ってよっか」

上条「…ああ」

サローニャ「…」


ザザーン…ザザーン…



上条「…」チャプチャプ

サローニャ「…」チャプチャプ

上条「…」チャプチャプ

サローニャ「…」チャプチャプ




サローニャ「あー裸でこうやって寝るのも気持ちいいかなー…」パチャパチャ

上条「…そうだな。暑さも緩和されるし」チャプ

サローニャ「お?ちょっと元気になった?」

上条「おかげさまで」

サローニャ「そりゃよかった。ま、サローニャちゃんのスペシャルサービス受けたんだから当たり前だよねん」

上条「ああ、おかげさまで上条さんの上条さんも」↑

サローニャ「ああうん。大分余裕が戻ってきたみたいで結構ですこと」

上条「緩いところもあるからもうちょいひんやりしてると嬉しいんだけど」

サローニャ「そーだねー」

上条「…」チャプチャプ

サローニャ「…」チャプチャプ



サローニャ「母なる海って言うし、生物の始まりが海だった事からしてさ、」

サローニャ「こうやって海に浸かってるのは子宮回帰とか原始回帰になんのかな」

上条「 子宮には帰ってないだろ」

サローニャ「えー?一応”お母さん”に帰ってるわけじゃない?」

サローニャ「オマケに海はある意味では生命のスープな訳だし」

上条「あー羊水みたいではあるけど」

サローニャ「でしょ?」

上条「もういいよそれで」

サローニャ「どうでもいいみたいな返事しないでほしーなー」

上条「だってどうでもいいし」

サローニャ「もう!」



上条「…」チャプチャプ

サローニャ「…」チャプチャプ



サローニャ「…あのさ。」チャプ

上条「なんだよ」

サローニャ「やっぱり喉乾くよね」

上条「そりゃあな」

サローニャ「自分がやった事や言った事はさ、自分に返ってくるよね?」

上条「話の関連性がわかんないけど…まぁ、うん」

サローニャ「だよね。人に言った事ややった事はさ、誰かにもにされるんだよ」

サローニャ「だってそうでしょ?喧嘩も嫌味もそう。」

サローニャ「誰かに不快な思いさせる発言をすればその誰かから反発される」

サローニャ「『前に嫌な事されたから』って言って攻撃するのもそう。そしたら攻撃された人も再燃する」

上条「まぁな…」

サローニャ「だから誰かがそれを耐えなければいけないんだろう、とは思うけどさ」

サローニャ「サローニャちゃんはガンガンに反撃するから。やられたらやり返すし、場合によっては同じ事やるから」

上条「はぁ。で?」


サローニャ「でさ、」ズイ

サローニャ「上条ちゃん、前にサローニャちゃんに肉布団してきた時に事故だって言ったよね?故意丸出しで」

上条「いや故意じゃないからうん。事故だから許してください」

サローニャ「そう。じゃあパッと見そう見える行為をされても上条ちゃんは『事故だから許してあげる』んだね?」

上条「そうだな」

サローニャ「あとさ、前にサローニャちゃんに気持ち悪い事言ってたよね」

上条「ん?どれのことだ?心当たり多すぎてわからん」

サローニャ「…」

サローニャ「ほら、唾液交換とかした方が水分取れるーみたいな事」

上条「ああ、あれか。ゴメンゴメン。許してくれよ」

サローニャ「だめ。んでさ、」

眠いから今回はここまで。乙あり。



サローニャ「今からサローニャちゃんもやる」

上条「…は?」

サローニャ「だからぁ、こうしてぇ…」ヨジリ

上条「へ?おいちょっと待っ」




サローニャ「はい。上条ちゃんの上に乗っちゃった♪」

上条「」


サローニャ「んでー、肉布団ちゃんー♪」ペタン

上条「ちょっ」

サローニャ「へへーどう?気持ちぃ?」

上条「おっふ…///」

サローニャ「うんうん。気持ちぃーみたいだねん♪」スリ

上条「なん、で…?」

サローニャ「こんな事するのかって?いいじゃん。一時的な快楽に逃げる事だって大事だよ?」

サローニャ「私だってずーっとムラムラしてたんだもん。少しくらい発散に付き合ってくれてもいーでしょー」ツンツン

上条「いやでもですね」

サローニャ「…なんでよぉ。サローニャちゃんじゃ不満?」プクゥ

上条「そういうわけじゃ」

サローニャ「そうだよね。散々サローニャちゃんにセクハラしてたわけですし?サローニャちゃんに触れたかったんでしょー?」

サローニャ「だーかーらー。今ならいっぱい触っていいよ?」

上条「え、あ…いやその、それは」


サローニャ「ほんじゃーむしろサローニャちゃんから触っちゃおー」モフモフ

上条「あっ、やっ、そこはっ」

サローニャ「ほうほう。やっぱり男の子なわカラダしてますなぁーゴツゴツしてるー」サワサワ

上条「離れろよ!恥ずかしいって!」

サローニャ「イヤがるフリなんてしてもダメダメちゃん。やめてなんかあげないよん?」

サローニャ「ホントはこうやってされたら嬉しいんでしょー?」スリスリ

上条「うぐ。でも、俺達はそういう関係じゃないだろ…?」

サローニャ「じゃあ、なればいいじゃん?拒否る理由がわかんにゃいなー」

上条「それは、その…こういうのはちゃんと順番を踏んでから」


サローニャ「…そっれはー、告白して、付き合ってからって事?」

上条「そうそう。そんで、デートとかキスとかしてから」

サローニャ「今この現状でそれ言う?とゆーかー、そもそも助かるかわかんないんだよ?」

サローニャ「そんな手順いる?」

上条「いる。上条さん的には絶対いる。だから」

サローニャ「んー、…じゃあね、」



サローニャ「この五日間はプライベートビーチちゃんでデートしてるようなもんだったしぃー…、」

サローニャ「上条ちゃん」

上条「なんだよ」



サローニャ「サローニャちゃんは上条ちゃんがすっごく大好き。これからずっと一緒にいたい。私と付き合って?」

上条「え?」



サローニャ「サローニャちゃんと付き合って?」

上条「それは、」

サローニャ「だめ?いいじゃん。サローニャちゃんを上条ちゃんの彼女にしてよー」ウリウリ

上条「いや急にそんな事言われても」

サローニャ「じゃあこの無人島にいる間だけでもいいからぁー」

サローニャ「……だめ…?」ウルウル

上条「…ま、まあそれくらいなら」

サローニャ「ありがとちゃん。それじゃ条件満たしたからいいよね」

上条「あっ、お前嘘ウル目したな!?」

















サローニャ「んむっ」

上条「むぐっ、?!////」



サローニャ「ん…ちゅ。れろ」

サローニャ「ん…んっ、んんっ…」

上条「!?///」

サローニャ「ちうちう。」

上条「んっむぅ…ん、」

サローニャ「…ぷあっ。…ふふっ、美味しかったー///」クスクス

上条「あ、お…おう///」

サローニャ「しょーじきぃー、お魚ちゃんの体液より唾液交換のがいいかも?//」

サローニャ「なんかすっごく幸せな気分になるしぃ」

上条「い、いやでも上条さんはお魚でいいです!さすがに恥ずかしい!」

サローニャ「見る人なんてだーれもいないと思うけどにゃー」


サローニャ「…ねぇ。わかってると思うけどさぁ、この島ではサローニャちゃんと二人っきりなんだよ?」

サローニャ「何してもいいんだよ?サローニャちゃんにしたい事全部していいよ?」

サローニャ「…ねっ?」ニコッ

上条「だ、ダメ!女の子がそんなはしたないこと言っちゃいけません!」

サローニャ「やだ。」

上条「ええっ!?」


サローニャ「だぁって…上条ちゃんと蕩けちゃいたいんだもん」

サローニャ「ねぇ、わかるでしょ?今お互い裸で密着してんだよ?」

サローニャ「この後男の子は女の子に何してあげなきゃいけないかわかるでしょ?ね?」チュ

上条「で、でも!ほら、子供とか出来てもさ…」

サローニャ「いいじゃん。もう死ぬかもしれないんだよ?」

サローニャ「それならさ、思いっきり快楽に溺れちゃおーよ」

サローニャ「ダメですかにゃ?」

上条「あ…う、」

サローニャ「もう…上条ちゃんノリが悪い…」

上条「いや、ほら体力がさ」

サローニャ「サローニャちゃんが動くよ?」

上条「まてよ!今助けとかきたらすっごく恥ずかしい事に」








サローニャ「…だって、助けなんて絶対来ないじゃん」



上条「そんなのわかんないだろ?今に」

サローニャ「…わかるよ」

上条「え?」

サローニャ「だってさ、おかしいでしょ」

サローニャ「罪人のサローニャちゃんはともかく。上条ちゃん程の重要人物が学園都市ちゃんでモニターされてないわけないじゃん」

サローニャ「飛行機ちゃんが墜落する時のGPSの最後のポイント付近の捜索をなんでしないの?定期通信が途絶えた時間と発着予定時刻からの逆算は?衛星カメラは?」

サローニャ「なんでそれをしないの?」

上条「さあ…」

サローニャ「じゃあ百歩譲って学園都市側が助けないとしようか?」

サローニャ「それならなんで魔術サイドにも顔が効く上に禁書目録ちゃんの管理人である上条ちゃんをなんで魔術師の知り合いはサーチ術式とかでもなんでも使って助けに来ないの?」

上条「それは…ほら、俺の右手が打ち消しちゃうとか」

サローニャ「だったらその効果が消される範囲を消去法で特定してけば出るはずでしょ?」

上条「それは、…そうなのか?」

サローニャ「そーなの」






サローニャ「…それって、つまりさ、」



サローニャ「…私達を見殺しにする気、ってことなんじゃないの?」






上条「…そんなのわかんないだろ」

サローニャ「インデックスちゃんは恐らく助かっていて、助けを求めたはずなのに?」

上条「いやインデックスは携帯持ってないし、誰も知り合いがいないし金もない状態のはずだから…」

サローニャ「それでも助けぐらい求めるでしょ?大体ハイジャックられて行方不明者出してる墜落した飛行機ちゃん付近を何日も調査しない航空会社ちゃんなんて存在しないってーの。」

サローニャ「美少女ちゃん相手に全く協力しない人間ちゃんばかりって事もないでしょーし」

サローニャ「ならなぜ?…何者かに『乗客は全員見つかりました。上条さんはもう死んでたから調査しなくていいよ』ってストップかけられたって事でしょ」

サローニャ「圧力かけられるのは?幻想殺しちゃんの存在を知っていて尚且つ消そうとしてるのは?」

上条「…心当たりが多すぎてわかんないな」

サローニャ「呆れた答えだけど。ならそれでもいーよ」

サローニャ「…どっちにしろ。死亡したって報告されてたらもうおしまい」

サローニャ「他に推測できる何かがあるならどーぞ」

上条「…今の所はなんとも言えないけどさ、最後まで諦めんなよ」

上条「ひょっとしたら、俺たちの想像力じゃ及びもつかないようなのっぴきならない事情があるのかもしれないわけだし」

サローニャ「…そうだね」



サローニャ「…」クテン

上条「…」

サローニャ「…死にたくないなぁ…」

上条「…サローニャ」

サローニャ「あは。サローニャちゃんも意向ブレブレちゃん」

サローニャ「どーでもいーや本当に死んでもいーやって、思ってたのに…いざ死ぬかもってなったら途端に生き延びたくなるってのも変な話だよね」

上条「…それが本能だろ」

サローニャ「でもね、上条ちゃんと一緒にいて死ぬなら、それでもいいかなぁーって。そうも思うんだ」

上条「…死なねぇよ。きっと。今に助けが来て…」

サローニャ「…そーだねー…」

上条「…」

サローニャ「…」




ちゃぷちゃぷちゃぷ。








上条「…」
サローニャ「…」



ちゃぷちゃぷちゃぷ。




上条「…喉、乾いたな…」

サローニャ「ねー…」











ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ。




上条「…もう、……」








~漂流記6日目~




上条「…」

サローニャ「…」

上条「…」

サローニャ「…」

サローニャ「…ほら、お魚ちゃん。ご飯食べなきゃ」

サローニャ「…大丈夫だって。大丈夫、大丈夫。」

サローニャ「きっと助けが来るから。学園都市ちゃんも魔術サイドが見捨ててもさ、神様にも見捨てられない限りは絶対助けがそのうち来るよ」

サローニャ「昨日上条ちゃんが言ったようにさ、私達じゃわかんないようなのっぴきならない事情があってちょっと助けが遅れてるだけでさ」

サローニャ「サローニャちゃんが昨日言った事は無し無し!忘れて忘れて」

サローニャ「…大体さ、サローニャちゃんはともかく上条ちゃんが助けてもらえないなんておかしいじゃん」

サローニャ「今まで散々人を助けてきたのに、今まで何回も何回も世界を、人を、国を、自分の周りを救ってきたのに」

サローニャ「なのに上条ちゃんが本当に助けて欲しい時に誰も助けてくれないなんて」

サローニャ「そんなの絶対おかしいよ」


サローニャ「今まで助けてもらった人達は何してるのさ」

サローニャ「こういう時こそいつも偽善者面して言ってる『助け合い』の精神発揮する時なんじゃないの」

サローニャ「何してんのさ」

上条「…」

サローニャ「ねぇ、上条ちゃんもそう思うでしょ?」

上条「…」

サローニャ「ねぇ…起きなよ」

上条「…」

サローニャ「答えてくれなきゃ寂しいんだけど」



サローニャ「ほら、助けが来たよーって」

上条「…」

サローニャ「ボーっとしてるとちゅーしちゃうぞー」

上条「…」

サローニャ「…ぐすっ」

上条「…」

サローニャ「…へんじ、してよぉ…」

上条「…」




サローニャ「ほんと…神様ってヒドイ」グスッ

サローニャ「サローニャちゃんが何したって言うのさ」

サローニャ「故郷も無くして、所属も無くして、変えようとした祖国の現状も明るい未来も信念もお金も家族も家も食べ物も水も」

サローニャ「…初めての彼氏まで、奪って」

サローニャ「そんなにサローニャちゃんは悪い事しましたか」

サローニャ「…報われなさすぎでしょ…」




サローニャ「上条ちゃんもヒドイよ。私置いて先逝っちゃうなんて」

サローニャ「ぐすっ、ぐすっ…」

サローニャ「ふぇえぇ……っ」




























上条「待って待って、上条さん寝てただけだから」ムクッ

サローニャ「!!?」ビクッ





上条「まどろんでたら急に何か言い始めたから何言うかなって思って呼吸音とか控えてたら…」ププッ

サローニャ「~っ//////////」プルプルプルプルプルプル....



上条「ちょっとサローニャ可愛いかなって思っ」

ゴンガンドンバンガンギンドンガングジャ!!!!!!





直後に、原始的な暴力の音が連続した。










~漂流記7日目~



上条「…」グッタリ

サローニャ「…」グッタリ



上条「…」

サローニャ「…」

上条「…」



友達来たから今回はここまで。たかだかこんだけの短編書くだけで何日かかってんだよっていうね

終わり方を考え中。バッドエンドかメリーバッドエンドか、ビターエンドか…

今日は一日使って書くぞー



サローニャ「…」ムクッ

サローニャ「…」ヨチヨチ

上条「…?どーした…?」

サローニャ「…」コテン







サローニャ「…」カジカジカジカジカジ

上条「いったっ!!?ちょっ!痛い痛い痛い!!!」



上条「いったー…何してくれんだよ…首筋めちゃくちゃ噛み跡ついたんだけど…」

サローニャ「ごめん…なんか急にお肉ちゃん食べたくなって」

上条「こわっ!?何それ!?しかも急に!?」

サローニャ「目の前にお肉ちゃんあるーって思ったらつい…」キュルルル...

上条「インデックスかよ…カニバってもいいけど、せめて上条さん死んだ後にしてもらえませんか」

サローニャ「ごめんちゃい」


サローニャ「はぁー…お腹すいたなぁ…」クゥ-キュルルル...

上条「俺もだ」グゴギュルルルルルルル....!

上条「魚は…?」

サローニャ「ざぁんねん。今日は不作でーす」グダ-

上条「嘘だろ…?」

サローニャ「御不満ならどーぞ御自分でお確かめくださーい…」

上条「マジかよ…」



サローニャ「ねぇーねぇー…」

上条「…あんだよぉ…?」

サローニャ「上条ちゃんってさぁ、ひょっとして死んだ時に臓器提供ってする派?」

上条「え?あーそれは基本的に学園都市だとやらないんだよな。DNAマップの管理って死ぬ程大事だからさ」

サローニャ「ふーん…」

上条「それに学園都市は再生医療半端ねーから機械臓器とか普通にあるだろうし、場合によっては部分クローンで要人の腕とか目玉とか平気で作ってるだろうし…」

上条「…ちなみになんでまた急にそんな事聞くんだ?すげー怖いんだけど」

サローニャ「べつにぃ。空腹紛らわせるためのただの暇つぶしぃー」グダッ




上条「でももし将来的にどうするかって言われたら、やらないかも」グデグデ

サローニャ「へー?意外だね。『俺を食っていい』って言ってたりしたし、上条ちゃんみたいな性格なら『俺の死体は全部有効活用してください!』って言うかと思ってた」

上条「いやいや…だって死んだ後とはいえさ、切り刻まれるんだろ?」

上条「たぶんだけど…インデックスとか、父さんや母さんはそういうの嫌がると思うし…」

上条「脳死した段階でって言ってもさ、もし『実は誤診で脳は死んでませんでした!』ってなってたら…生きたまま色んな所をくり抜かれるわけでさ」

サローニャ「それはねーよっていうか、心配しすぎじゃないかなーって思うけど」

上条「まぁとにかく。上条さんは勘弁してほしいです。安らかに眠らせてほしいです」


サローニャ「その割にはサローニャちゃんに俺を食えって言ってるじゃん」

上条「いやほら、それはさ…なんていうか、『ちゃんと目の前にいる困ってる人』だから」

サローニャ「ほう?」

上条「だって…臓器提供の何が嫌って、『俺がこの人を救った』ってちゃんとわかんないところだよ」

サローニャ「へー…」

上条「だって、もし今目の前で死にそうな人がいて、医者から『あなたが腎臓一個くれたらこの人は助かります』って言われるんだったらさ、リアルに感じるだろ」

上条「『ああ、もし俺が助けなきゃ、本当にこの人死んじゃうんだな』って」

上条「そうなったらさ、臓器提供せずに助けなかったら…それはもう消極的な人殺しになるわけで」

サローニャ「そう?どっちかって言うと自分の身体は自分の財産なんだから緊急避難とかになると思うけど」

上条「そうかもしれないけど俺はそう思うんだよ。…でもさ、臓器提供だとそうじゃないだろ?」

上条「『あなたが目玉でも腎臓でも、とにかくなんでもいいからくれたら、どこかの誰かが何かしら助かります』」

上条「そーいうすげー漠然とした抽象的でザックリした適当な感じなわけだろ?」

上条「『本当に俺のあげた臓器でどこかの誰かが助かったのか?横流しとかされてるんじゃ?』とか、まあ不安になるし」



上条「そしたらさ、その…こんな事言うときっと非難轟々なんだろうけど…『臓器をあげる甲斐がない』って思わないか?」

サローニャ「ほう」



上条「ほら、だってさ、文字通り自分の身を削ってさ、一個しかない自分の命をちぎって。自分の生存本能に逆らって誰かにそれを与えるわけだから」

上条「なんていうか…せめてヒロイズムみたいな、『ありがとうございます!!あなたのおかげで家族が助かりました!』みたいな感謝の言葉とかがないと」

上条「その、上手くは言えないけど、そういう何かに酔っ払わないとそういう事って出来なくないか?」

サローニャ「…そうかもね。心情的には理解できないわけじゃないかな」

サローニャ「きっとそれを偽善者って言うんだろうとは思うけど」

上条「…サローニャは?」

サローニャ「私?私はね」



サローニャ「率先してーとか、生き延びたら必ず、ってわけじゃないけど」

サローニャ「しよっかなーとは思ってる」

上条「へぇ…それもロシアのために?」

サローニャ「ある意味ではね。ロシアは孤児も多いし臓器提供例は凄く少なくて助かる確率は低いからそれを少しでも助けて貢献したいってのもあるけど」

サローニャ「ただ、それとは別であげてもいいかなって」

上条「ふーん…」

サローニャ「理由を簡潔に言うなら、単純にドナー待ちの人の気持ちになってみなよってカンジ?」

上条「はあ」


サローニャ「こーいう話を振るとだいたい日本人は腫れ物扱いしたり『それはデリケートな問題だから』『よく知らないし興味がないから』って付き合ってくれないんだけど」

上条「事実そうだろ。生半可でロクに知りもしない事は語るべきじゃないだろ」

サローニャ「そだね。でも、大半の人がきっと知らないままで済ましちゃうからじゃないかね」

サローニャ「だから敢えてロクに知らないままで、これは言うんだけど」

サローニャ「もしね、ドナー待ちの人が自分だったとしたら」

サローニャ「正直ね、何が何でも死にたくないって思うと思うのね」

サローニャ「すんごい極端な話、…これも批判覚悟で言うけど」

サローニャ「災害とかでたくさんの人が亡くなることがあっても、命が失われた事を悲しまずに『くそ、俺に移植できる臓器があったかもしれないのに焼却してしまうなんてもったいない…』って思っちゃうぐらいに」

サローニャ「人によっては中国とかではよく横行してるからってんで闇ルートで手に入れようとするかもね」

サローニャ「だってよくよく考えてみてよ。すっごい単純な話、臓器一つあったら死なないんだよ?」

サローニャ「もう最悪どんな手を使ってでも手に入れなきゃいけないでしょ?」

サローニャ「だって、ほら。皆知ってて当たり前すぎる事だけどさ、」




サローニャ「『命は本当にたったの一個しかない』」




サローニャ「恐ろしくない?ゲームじゃないから死んだらそれまでで。リトライもコンテニューもないんだよ?」

サローニャ「その時自分に守りたいものがあったとして、親や配偶者、子供がいたり友達とか…大事な仕事とかがあって」

サローニャ「自分が死ぬ事が自分個人の問題じゃ済まないとか…そうだったりしてごらんよ」

サローニャ「それ考えたら死んだ後の身体なんて痛みも何も感じないわけだし、サローニャちゃんの気持ちとかなんて物より他の人の幸せ度とか考えたらさ」

サローニャ「別に誰かにあげちゃってもいいと思うんだよね」


上条「すげぇな…」

サローニャ「だって、”魂”とか、周りの人間が愛し、認識する”その人”ってのはあくまでその精神性であって」

サローニャ「肉体ちゃんそのものではないでしょ?肉体ちゃんはあくまで精神性を生み出す装置でしかないんだから」

サローニャ「その装置が精神性を出力出来なくなったのが死ぬって事でしょ?だったら尚の事リサイクルした方がいいじゃん?」

上条「合理主義だなー…」



サローニャ「まぁほら、”最大多数の最大幸福”ってあるじゃない?アレよアレ」

上条「な、何それ」

サローニャ「えー…すっごく簡単に言うと、『できる限り多くの人を幸せにして、できる限り幸せにしてあげる事が一番正しいんじゃね?』って考えの事かな」

上条「はぁ」

サローニャ「ま、要はさ、仮にサローニャちゃんはもう使わないのに、臓器提供しなかったらAさんは助からない。Aさんの家族や周りの人も不幸にする」

サローニャ「だけどサローニャちゃんが臓器提供したらAさんは助かる。Aさんが助かるとAさんも幸せでその家族や周りの人も幸せになる」

サローニャ「…とまぁ、」

サローニャ「自分のワガママ一つを通すと5人の人の権利を奪うけど、自分が譲れば5人が幸せになるっていうかね」

サローニャ「自分の腹は痛まずに、何人も幸せにできるならそうするべきって思うじゃない?」

上条「あー…まぁ?」

サローニャ「…よりたくさんの人がより幸せになるならそれが一番いいでしょ?」

上条「……そうだな!」ニコッ!

サローニャ「あ、コレなんもわかってないわ。まぁサローニャちゃんも説明下手だったけど」





上条「でもその最大多数の最大幸福っていい考えだよな。たぶんそれが一番正解な考え方だろ」

サローニャ「いやいや。いい事ばっかじゃないよ?そんな事は全然。どんな理論だってどこかに穴はあるもんだよ」

上条「えー?例えばどのあたりが?」

サローニャ「んー例えばね。最大多数の最大幸福って、逆に言えば」

サローニャ「『よりたくさんの人を幸せにできるなら、少数の人の幸せは無視してもいい』」

サローニャ「…って言い換える事も出来ちゃうのね」

上条「うーん?」

サローニャ「例えば。有名な例を挙げると、」


『電車が暴走しています。

あなたはその運転手です。ブレーキを踏む等の電車を止める行為は一切出来ません。

そして、このまま行くと線路上に縛り付けられた一人の人間を必ず轢き殺します。

そして、路線変更する事でその人を助ける事ができます。

しかし、路線変更するとその先の線路上で作業をしている5人の人間を必ず轢き殺します。』


サローニャ「あなたはどちらの人間を助けますか?って例題なんだけど」

上条「どちらも助けてみせる!どちらかが泣かなきゃならないなんて絶対させない!」

サローニャ「ああうん。上条ちゃんはそう言うだろうね。でもこれは絶対どっちかしか選べない思考実験ちゃんなんで」

上条「ええ…」


サローニャ「で、まぁたぶん大体の人は5人を助けると思うんだよね。人が死ぬって結果、その人数、幸せの総量を考えたらさ」

サローニャ「だけどー、もし、その一人の方が自分の恋人だったり、家族だったり、はたまた自分自身だったとしたら?」

上条「え、」

サローニャ「まぁ、迷うよね。場合によっては他の人の幸せなんて知るかーって言って一人の方を助けちゃうかも」

サローニャ「だけど、そういう感情論だとか、轢き殺されてしまう者の幸せや選択者のメリットデメリットとかは考えないでより多くの人が幸せな方を選ぶのが正解になってしまうってコト」

上条「…?」

サローニャ「…わかんなかった事も考慮してわかりやすく言うと、」

サローニャ「極端な話、


『このまま何もしなかったら100人中2人が幸せになるよ。

でも、誰かが一人拷問された上で死んだら100人中99人が今よりめっちゃ幸せになるよ』


ってなったら、後者を取るのが正解になっちゃうってコト」

上条「ええ…」

サローニャ「ま、それでもそうする事はある意味正しいし、現実的にも全員の権利や幸せなんて守れないからさ」

サローニャ「まぁ、最大多数の最大幸福が絶対正しいって言う人が居たとしたら」

サローニャ「それは自分がその不幸になる立場にはならないって事を前提にしてると思うから気をつけて」


上条「…なぁ、じゃあこういうのは?」

上条「率先して自分が不幸になる。それで幸せな奴が増えるなら俺がそうするよって」

サローニャ「…ある意味では立派な事だとは思うよ」

サローニャ「でも、考え方としては不正解じゃないかな。」

上条「えぇ…」

サローニャ「じゃあね、『あなたが消えた後にまたそういう判断をしなければならない時、誰が不幸になればいいの?』って聞いてあげるよ」

上条「それは…」

サローニャ「ついでに。『あなたが不幸になる事で不幸になる人もいるよ』とも」

上条「…みんなが、自己犠牲的な…利他主義とか、そういう考えになれば」

サローニャ「残念だけど、基本的に他の普通の人たちは利己主義の人ばっかなんだよ」

上条「じゃあ…」

サローニャ「まー、精々。なるべく皆が幸せで、どちらの権利を優先すべきか比較衡量した上で物事を判断するしかないわけですわ」

サローニャ「叶うならば、自分のワガママばかりじゃない、利他主義的な考えをして欲しいとは思うけど。」








上条「…そんだけ凄い考えとかあるのにお前よくロシア第一であんだけの事やらかしたよな」ジト

サローニャ「サローニャちゃん的には私情もあったけど、ある意味”緊急避難”だったの。とにもかくにも早急になんとかしなきゃヤバかったんだから」プイッ




ちょい休止。



上条「はぁー…しっかしこういう無人島に漂着することになるならもうちょっとサバイバルについて勉強しとけばよかったな…」グダ

サローニャ「あってもほぼ岩ばっかりなこの島じゃーあんまり役には立たないんだろうけどね…」グデ

上条「せめてスマホ使えればな」

サローニャ「まぁ検索したら大体なんでもわかるからね」

上条「そ。便利でいいよな。だって何かの知識を憶えておく必要がないだろ?」

上条「だって検索かけたらなんでもわかるんだからさ」

上条「ネットのどこにその知識があるかって事さえわかってれば、特定分野を勉強しなくてもすぐにわかるだろ?」

サローニャ「いやそれは…ああもういいや」

上条「?」

上条「なんだよ言えよ気になるだろ」

サローニャ「…あーほら、よく中学生とか小学生の頃ぐらいで勉強出来ない子が時たま先生に質問するじゃん」

サローニャ「『なんで勉強しなきゃいけないの?』って」

上条「能力強度を上げて凄い能力者になるため?」

サローニャ「それは学園都市の生徒ちゃん限定なんで一般論でお願いしまーす」

上条「うーん…でも俺記憶はないけどたぶんその質問しただろうな…勉強出来ないし未だによくわかんない時あるし」

上条「因数分解ってなんだよわざわざ分解すんなよ自然のままにしておけよ」

サローニャ「ああうん。で、」


サローニャ「なんで勉強しなきゃいけないと思う?」

上条「将来いい大学入っていい会社はいるため?」

サローニャ「ある意味ではそうだね。でもさ、違うでしょ」

サローニャ「大人になった時、社会に出た時に戦って生きていくために勉強するんだって」

サローニャ「戦い、生き残る術を学んでおかなきゃいざという時戦えないからだよ」

サローニャ「よくさ、上条ちゃんだけじゃなくて『勉強なんかしなくてもネットで検索かければいいじゃん』なんて検索世代ちゃんは言うけどさ」

サローニャ「携帯ちゃんもパソコンちゃんも何もないとき、または人との会話の途中で『この場合どうしたらいいか』『相手が言ったこの言葉の意味は?』なんて調べられないでしょ?」

上条「他の人かその人に聞くとか、端末手放さなきゃいいんじゃないのか?」

サローニャ「…じゃあ相手は答えてくれない人で、端末は失くしたか壊れてたら?」

上条「もう一個持っとくとか、バックアップとか」

サローニャ「だーかーらー、本物の知識として知識持ってないなら意味なんてないんだってば」

サローニャ「確かにネットって超便利だよ?サローニャちゃんだって使うし、それはそれでいいけど。それにあぐらをかいたりしたらマズイんだって」

上条「はぁ」



サローニャ「…例えばね、仮に上条ちゃんが将来会社員になって、営業マンとして他所の会社に営業しにいったとするでしょ」

上条「はぁ」

サローニャ「その時に一般的なビジネスマナーとか、商品知識とか営業トークで使う言い回しとかさ、相手の社長ちゃんの世代とかが喜ぶ話題を知ってなかったとして」

サローニャ「その時に社長ちゃんの目の前で一々検索かけて会話すんの?」

上条「いやそれはしないけど…」

サローニャ「でしょ。つまりね、そういう事なの。」


サローニャ「あと高校生ちゃんぐらいでたまにいるけど」

サローニャ「『本当に社会に出た時に役に立つ勉強だけを教えてください!』」

上条「あ、なんかわかる気がする」

上条「だって別に音楽とか体育とか図画工作みたいなのって全員がやる必要なくないか?」

上条「やりたい奴だけ、将来その道に進みたい奴だけやればいいじゃん」

サローニャ「ばかやろう」

上条「なんでだよ?」


サローニャ「はぁ…じゃあ聞くけど、上条ちゃんは将来何の職業に就くの?」

上条「…わかんね」

サローニャ「はぁ…だったら尚の事全部勉強しなきゃいけないんじゃない?」

サローニャ「何になるかわからないって、どんな知識が必要になるかがわかんないって事でしょ」

サローニャ「一生一つの仕事ができるとも限らないわけだし、転職を繰り返す可能性もあるわけだから」

サローニャ「そうなった時、少しでも生き方の選択肢が多い方がいいんじゃないの?」

サローニャ「何かに特化する職業に就くとしてもその専門知識だってさ、下地の学があるからこそちょっと学べば理解可能になるわけで」

サローニャ「…まぁ美容師になるとかぐらいなら『じゃあ専門学校行けよ。本当に必要な知識だけ学べるぞ』ってなるけど」



上条「…なるほど?」

サローニャ「うん、サローニャちゃんが説明下手だったか極限状態で朦朧としてるだけと信じよう」


~夜~


サローニャ「…ううー」

上条「腹減りすぎて気持ち悪い…」

サローニャ「…ん?」

上条「どした?」


カニ「やれやれ世知辛いぜ…まともに食物すらねぇとはな…」カニカニカニカニ


サローニャ「うぉおぉお!!見て!ちっちゃいけどカニちゃん発見んんんん!!!!」キラキラキラキラ

上条「何ィイイイ!!!?」ガバッ!



サローニャ「どりゃー!」ダダダダダ

上条「うらららららぁあぁ!!!」ダダダダダ

サローニャ「ええっ!?なんかすっごい元気に!?」

上条「ぅぅああああ!!カニは俺んだぁァアアアア!!!」ズドドドドド

サローニャ「ちょっとぉ!サローニャちゃんが最初に見つけたでしょぉ!!!?」

上条「るせー!上条さんは今急に何故かカニが食いたくなったんだよぉお!!お前のモノは俺のモノ!」

サローニャ「散々サローニャちゃんは上条ちゃんにお魚ちゃん貢いできたのにそれ言うの!?ちょっとは譲れよぉお!!!」

上条「こちとら死ぬほど腹減ってんだよォォォオオオ!!!だりゃああああらりれるれるれれら!!!」ズシャァアアア!




 

上条「グオオォォォオオオ!!!!GETォォォオオオ!!!!!」ガシィィイイイ!!!

カニ「やれやれだぜ」

サローニャ「させるかぁあああ!!!」ドゲシィッ!!!
  

轟ッッッ!!!!


上条「パンドラァ!!!?」


上条当麻はノーバウンドで10m以上吹き飛ばされた。













サローニャ「っっ獲っっったどぉぉぉおおおおおー!」ウォオォオオオオ!!

上条「くそう、くそう…!」




サローニャ「ふっふっふー!さーて、勝利の味を噛み締めますかなーっと!」

上ジ「悔しいっ…!悔しいっ…!」ダンッ...!ダンッ...!


上ジ(俺は、敗れたっ…!そしてっ…自分から恩知らずな振る舞いをした以上、わけてなど貰えるはずもない…!)

上ジ(99.9%…人は、人を救わない…!なぜなら、人は人を救わなくても…心が痛まない…痛まないからっ…!)


上ジ(殴らなきゃ殴られっ…!いじめなきゃいじめられっ…!騙さなきゃ騙され…!裏切らなきゃ裏切られる…!つまり…やらなきゃやられるんだっ…!)

上ジ(そして、それは逆も然り…!)

上ジ(くぅっ…!敗者は失うっ…!それをねじ曲げたら…なにがなにやらわからない…受け入れるべきだっ…!負けを受け入れることが…敗者の誇り…オレは…負けをぼかさないっ…!)

上ジ(胸を張れっ!手痛く負けた時こそ…胸をっ…!)







サローニャ「あ、ハイ上条ちゃん。半分こしよ?」パキョッ

上ジ「」


サローニャ「…なぁに?別に私はそこまで欲しくないし。このまま啀み合っちゃう方がいやじゃん」


上ジ「希望は…夢は…人間とは別の何か…他のところにあるような気がしてたけど…そうじゃない…!人間がつまり…希望そのものだったんだ…」



カミジ、疲れきっていた己の薄汚れた心を洗われるっ…!




ザザーン…ザザーン…


上条「なんかゴメンな…」チルチル

サローニャ「いいってことよ」モキュモキュ

サローニャ「にしても…カニちゃん、生臭い…美味しくない…」クスン

上条「…ああ、なんで俺こんなマズイもんをあんなに必死になって…」モシャモシャ

サローニャ「でもお魚ちゃん以外のもの久しぶりだねぇ」

上条「だなー…」

サローニャ「でも野菜食べたいかなー…」

上条「というかまともな料理が食べたい…」



「「ハァ…」」






~漂流記Last day.~






上条「」プ-ン

サローニャ「…おおう、遂に上条ちゃんから死臭が」

上条「まだ死んでないし…」

サローニャ「ギリギリじゃない?それでもさ」


中々終わらんのぅ。今回はここまで。

>>1もマルチエンディング形式とかゲームブック形式みたいな形で全部のエンド書いてやろうかとも考えた事ありますがさすがにメンディーなんでエンドは一つと決めてやります。

では。

ハッピーエンドじゃないっぽい事バラしたらレス激減ワロタ

それでも最後まで読んでくれる人に感謝を。エピローグ前まで投下。


上条「てかさ…実は俺、この島に来る前からロクに飯食ってなくてさ…」

サローニャ「は?」

上条「ほら、ペア旅行券もらったって言っただろ?」

サローニャ「ああ…うん。」

上条「でもさ…いくらタダ券あっても向こうでの滞在費とか交遊費とか…色々いるだろ?」

上条「だから俺…行く一週間以上前から飯とか色々切り詰めて準備しててさ…」

上条「基本的に何も食ってなくて…インデックスとか他の奴も強制ダイエットで」

サローニャ「うわぁ…そりゃあまた。…なんていうか、ツイてないね」


サローニャ(だから初日からなんかもうおかしかったわけね…)

サローニャ「…う」クラッ...

ボヤァ……

サローニャ「うっわ…なんかサローニャちゃん視界ぼやけてきた」

上条「俺なんて視界も頭もボヤけてる」

サローニャ「頭ボヤけてんのはいつもでしょ」

サローニャ「はー…つら、………ん?」





















サローニャ「………」パチクリ

サローニャ「…」コシコシ

サローニャ「…」ジ-









サローニャ「    ふ       ね     だぁ       ぁ   あ あ   ああああ!!!!!!」









上条「…マジで?」

サローニャ「マジマジマジマジマジ!!ほら!!!ほらほら!!!」

上条「…」









上条「ボヤけてよく見えねぇ…けど、」

上条「やったな…!これで、俺達っ…!!」グスッ

サローニャ「うん…!うん…!」グズッ

サローニャ「…」

上条「…」



サローニャ「…」

上条「…」



小船


サローニャ「…あれ…?」

上条「どうした…?」

サローニャ「…あの船、なんかすんごい小さい…?それに、こっちに向かって、こない…?」

上条「は…?」





サローニャ「…ひょっとして、私達を助けに来たんじゃなくて…たまたま通りかかっただけの船…?」

上条「おい…嘘だろ…?つーことはこのままじゃ、」

サローニャ「お、おーーーいっ!!!!おーーーいっ!!!!」






小船





サローニャ「…ダメ…!全然届いてない!このままじゃ、」

上条「くそ…くそぉ…!こうなりゃ声出しつつ服を振り回して…!」ヌギ

サローニャ「うん!」ブンブンッ




小船




サローニャ「う、うう…ダメ!あれ完全に後ろ向いちゃってるし!」

上条「くそ…くそぉ…」

サローニャ「…あ、でも!」



小船/⊥


サローニャ「見て!釣りを始めてる!!何アレどういう事!!?」

上条「こんな所に何しに来てんだよあの船の主は…!」ブンッブンッ



サローニャ「でも好都合!このぐらいの距離なら…!」バサッ

上条「おい、何する気だよ!?」

サローニャ「泳ぐ!!あの船まで精々300mぐらいでしょ!」ヨロ

上条「で、でも!」

サローニャ「どーせこのままじゃ死ぬんでしょ!やらずに後悔するより、やって後悔する方がマシでしょ!」

上条「視界ぼやけるくらい体力なくなってきてるのにかよ!」

サローニャ「その時はその時!!上条ちゃんは声と服をブン回すのお願い!」

サローニャ「っ」

ばしゃん!



上条「く…」

上条「う、うぉおぉお!!!」バサバサバサバサ!


サローニャ「はぁっ、はぁ…!」バシャバシャバシャッ

サローニャ「ぁっく、うぅ…!」


小船




サローニャ「帰る…!生きて、帰る…!」バシャバシャ

サローニャ「一緒に、それで、…」

サローニャ「もう一度、…新しいスタートを…!」




・・・・・・・・。



「~♪」

「…?」


サローニャ「うぉおぉお!!」バシャバシャバシャ!

サローニャ「ぷぅあああ!!」

「んなっ!?なんだアンタ!?」

サローニャ「私達を助けてください!!!」

サローニャ「私達、あそこの島でもう一週間ぐらい遭難してて…!」


「お、おう…わかったわかった。よく生きてたね、あんなとこで」






サローニャ「よ、よかったぁ…!」ホッ

サローニャ(これで、たすかる…!)

サローニャ「あの、もう一人、あの島にまだ」







「どちらか一人だけだ」

サローニャ「………………えっ?」








「重量オーバーなんだ。この小船は元々一人用だし、漁を諦めて魚捨てても乗せられるのは、あと一人だけ」

サローニャ「そ、そんな…」

「前にこの小船にそれ以上乗ったら転覆したから」

サローニャ「え、ええ…」

「まぁ、いいんじゃないか?」

サローニャ「何が…?」

「だってほら、あいつだろ?あそこで倒れてる」

サローニャ「え?!」バッ





上条「」

サローニャ(いつも思うけどほんとわざとなの!?元々食べてなかったとはいえ、なんで私より体力無いのさ!?)




「ありゃ今すぐこの船に乗せなきゃ助からないよ。だってここから急ピッチで近場の陸地に帰って助け呼んでも、助けが来るまで7日ぐらいかかるし」

サローニャ「…ちなみにおじさん何でこんな小さな船でこんな所に…」

「ん?ああ知らないか。この島付近の海域でしかとれない魚がいるんだけどこの島一応アメリカ領でさ、許可無しでデカイ船で大規模漁やるとアウトなんだよね」

「だからこーいう小船で、個人でこっそりちょっとだけとるんだよ」

サローニャ(密漁者かよ…)



サローニャ「よくこんな小さな船でここまで来れましたね…」

「まぁ時期だね。独特なペースでこの海域は荒れない状態ととんでもなく荒れる状態が続くんだよ」

「で、今からあとピッタリ3時間ぐらいしたら大荒れすんだよね。んで、帰るのに2時間半かかるから」

「つまり、今から2時間半後に陸地に帰って救助を呼んでも30分以内に救助が島に向かうのは不可能」

「そんで、3時間後以降一週間はこの付近大荒れになるんだ」

「一週間ぐらい遭難してたんだろ?あんな何も無いところで」

「プラスで7日を一人で生き延びるのは不可能に近い」

サローニャ「…7日…?」ゾッ....





サローニャ(あんな状態の上条ちゃんを残していったら100%死ぬ…じゃあ私なら…?)

サローニャ(…いや、ダメ。多分ここまで来るのにもかなり体力消耗してるし、目が霞む状態なのに)

サローニャ(だって、救助来れないぐらいに海が大荒れするんでしょ…?)

サローニャ(ただでさえ海に投げ出されないようにしなきゃいけなくなるだろうから…これ、生命線のお魚ちゃんすらとれなくなるんじゃないの…?)

サローニャ(そんなの…絶対無理…!)

「で、漁を台無しにする以上は助けたらそれ以上の金をくれるんだよな?」ニヤニヤ

サローニャ「…ええ、必ずお支払いしますね」ニコッ



サローニャ(海域を抜け出す知識が私達にない以上、こいつ殺して上条ちゃんを乗せるわけにもいかない…)





サローニャ「…ねぇ、本当になんともならないの?荷物ある程度捨てるとか」

「ならない。大体、荷物っていうかスクリューとモーターだから捨てたらこの海域から帰れないよ。」

サローニャ「…っく、」




サローニャ(つまり、二つに一つ…)




サローニャ(私が助かるか、)



サローニャ(上条ちゃんが助かるか…)













どうしよう…?









『緊急避難』            『死にたくない…!やっぱり

死にたくないよぉ…!』

     『敵として出会って、無人島で偶然遭遇して、何かしてくれたわけでもないのに助ける理由なんてあるの?』


                     『また…戻るの?あの生存が絶望的なあの島に?』


『独りで…?』    『100%助からない…!この人が嘘ついてたとしても直感で感じるもの。「もし、この機を逃せば絶対助からない!」って』       『私達は常に生存競争をしてる』



『死ぬほどお腹すいた…喉も死ぬほどカラカラ…早く陸地へ帰って、』       『人は、人を救わない』      

『”最大多数の最大幸福”…上条ちゃんと私、どちらが助かる方が周りの人含めた幸せの総量が多いか?』  『…そんなの、上条ちゃんに決まってる。私はもう全部失ったから』

















『でも、私の幸せは?』











『死にたくない。死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!』


『やっぱり私はそれでも死にたくない!!!』


『大人にもなれないまま死ぬなんてイヤ!!!』 『私、まだ15歳なんだよ?!』  『いやそりゃ上条ちゃんも同じくらいの歳だったはずだけど…』


 『上条ちゃんには悪いけど…』


『だいたい、上条ちゃんにはたくさんいろいろしてあげたんだし、「代わりに死んであげる」なんて、そこまでしてあげる義理なんて』









『…じゃあ、”見捨てる”?』








サローニャ「…」

サローニャ「……」

サローニャ「…………」





サローニャ「………。」


「…どうする?」




























サローニャ「…船を、」


サローニャ「あの島に…つけてもらえますか?」

「…それは、」

サローニャ「…はい。」



サローニャ「私じゃなくて…彼を、助けてください」

サローニャ「お願い、します…」

「…何故?いいのかい?君は死ぬよ?間違いなく」

サローニャ「あの…一応恋人、なんです。あんなんでも」

サローニャ「皆のヒーローなんです。…それに、私が生き残ってもしょうがないし、それに、…」

「なんか建前くさ…本当にいいの?お嬢ちゃん」




サローニャ「…」グスッ

サローニャ「…わかんない。なんでだろう…ほんと、なんでだろう…」ポロポロポロ





サローニャ「助けてもメリットなんてどこにもないのに。失うのは自分の命で、苦しんで死ぬ事になるのに。大体、島に来てからだって面倒しかかけられてないし。助ける理由なんてないのに。」

サローニャ「むしろどっちかって言えば敵側な人間だし。一時は憎んでた相手で、」

サローニャ「全力で見捨てる方がずっといいはずなのに…」

サローニャ「…」ポロポロポロ

サローニャ「なんでだろう……それでも、『上条ちゃんには生きててほしい』って、……ぐぅぅ、」

サローニャ「すんっ、すんっ…」


「…」

「…ま、あんたがいいなら俺は構わないけど」




~島~


サローニャ「上条ちゃん上条ちゃん」

上条「…?」パチ

サローニャ「助けが来たよ。」ニコッ

上条「ほんとか…?」

サローニャ「うん…」

上条「やっ…たー…ははは、神様っているもんだな」

サローニャ「…そうだね…」ポロポロ

上条「…?」

上条「なんで、泣いて」

サローニャ「え…?…ほら、やっと助かるからさ…」





サローニャ「でもさ、その前に」

上条「?」

サローニャ「ほら、この島から出たら恋人じゃなくなっちゃうじゃん?」

上条「え?…ああ、そうだっけ」

サローニャ「だから……ん。」チュ

上条「え、」

サローニャ「…」ギュ

上条「…」ギュ

サローニャ「…ぷぁ」

上条「…っふ」



サローニャ「…」

上条「…?」


サローニャ「…っぐ、うう…」

上条「…?」


上条「なぁ…やっぱりなにか、」

サローニャ「…」グシグシ

サローニャ「なんでもにゃい。ほら、いこっ?」ニ、ニコッ

上条「あ、ああ…」




「それじゃ、コイツを連れて行くぞ」


サローニャ「はい。お願いします」

上条「…?乗ら、ないのか…?」

サローニャ「うん…重量オーバーなんだって。でもね、あとで助けに来てくれるらしいから」

上条「そっか…じゃあ、悪いな。後で、また」

サローニャ「うん…後で、また。」

上条「なぁ…そういえば俺んちに来るって考えてくれたか?」

サローニャ「!」


上条「おれさ…帰った…あとも、サロー…ニャと、」

サローニャ「…」

上条「ずっと、一緒に、」

サローニャ「…」トトト

上条「…?」


サローニャ「Ты мне очень нравишься(ティ ムニェー オーチン ヌラーヴィシシャ)。」


上条「…?」

サローニャ「…バイバイ」ニコッ




~2時間後、無人島~




サローニャ「…」

サローニャ「…」コテン

サローニャ(はぁー…何してんだろ。私。勢いだけで決めちゃってさ…)ハァ

サローニャ(あれかな…『この後生き続けても錆びた人生しかないんだから』って?)

サローニャ(『上条ちゃんに対して消極的な殺人をした事を後悔しながら生きる勇気がない』から?)

サローニャ(それとも…やっぱりヒロイック的な何かに酔っぱらってるから?)




サローニャ「…違うなぁ……理屈なんてないや……」



サローニャ「…『上条ちゃんに生きててほしい』」

サローニャ「……いつの間にか好きになってたから…」



サローニャ「理由がそれだけって…ほんとどうかしちゃってるよ」




サローニャ(好きになるとこなんてあったっけ?ほとんどサローニャちゃんが上条ちゃんを助けてただけなんですけど)


サローニャ「ああえっとね、心理学では”対人魅力”なんて言葉があるんだけど…」

サローニャ「…ああ、聞いてくれる人はもういないんだっけ?」

サローニャ(でも…なんだろなー…)

サローニャ(スッキリしてるや)

サローニャ(あ、雲行きがどんどん怪しくなってる)

サローニャ(ふふ。なんかぁ…部屋が暗くなるみたい)














サローニャ「…消灯ですよーってね」



















今回はここまで。次回更新でたぶん終わる。エピローグだけだし。


では。







~epilogue~







「点灯しますよー。起きやがれ貴様らー」


「「「眩しっ…」」」

「むぅー!目がしょぼつくんだよ」

「さっさと起きないからだ」

「貴様…神の眠りを妨げた愚かな人間がどうなるかわかっているのか?」

「どうなるってんだよ」

「目潰しパンチを食らうんだ」

「あいだっ!!?」


進撃の妖精さんの両手ぱんちに眼球を痛めつつ、同居人達を起こす。




「あ、とうまとうま!朝ごはんまだ?」

「あーハイハイ…」

「おい人間。私のマグカップが割れた」

「今日は学校は休みなのだろう?早急にこれと同じモノをだな、」

「わかったよ、しょーがねーなー…」

「うう…お気にのマグカップだったのに…!すまない、”ユミル”…」

「お前自分の物に名前をつける人か…ってセグウェイにスレイプニールとか名前つけてたなそういえば」

「なーん」

「餌な。ハイハイごめんなースフィンクス。」

「なーお」



・・・・・。







「…ふぅ」








アレから数週間経った。










俺は学園都市に戻り、いつも通りの日常を謳歌している。

祖国で、衣食住に困らず。人類の叡智と科学に守られて快適な生活をしてる。

「楽園って、自分の家の事だったんだな」

ポカリの蓋を開けながら独りごちる。

あの島に比べればどこだって天国のような気もするけど。


「……………。」








あの島でサローニャと別れた後の道中で俺は助けてくれたおじさんから彼女の決断を聞いた。

それを聞いて戻してくれって訴えた。

俺じゃなくて、彼女を救ってくれと。

それが叶わないなら二人で死ぬ。それがダメなら今すぐ海に飛び込むと。

助けてくれたおじさんは「あの子の気持ちを無為にするな」と言ってげんこつを食らわしてきた。


悔しかった。

サローニャがあの島で俺にどれだけ良くしてくれたかを考えたら

一枚しかない生き残りチケットは彼女に与えられるべきだ。

…ああ、いや。

与えられたんだよな。だって、泳いでいって話をつけたのはサローニャだ。



…見捨てて、逃げてしまえばよかったんだ。最初から。

島に引き返さずにさっさと船を出してもらえばよかったんだ。

ちょうどいい具合に俺はダウンしていたのだから、尚更チャンスだった。

なのに

そのチケットを俺に譲った。




あれだけバイタリティがあって。

自分の哲学があった彼女が。

「死にたくない」って言ってた彼女が。

初めて明確に、俺に「好きだ」って意思を示してくれた人が。


みすみす助かる権利を放棄した。


自分の命の灯を消して、代わりに俺に灯をくれた。



何故彼女が俺に生きる権利を譲ったのか。

理由を正確には聞いてないけどなんとなくはわかっていた。



……思えば、あの島での彼女との会話は

彼女の最後の決断の内訳を聞かされていたようにも思う。



彼女は聡い。

だからひょっとしたら何か俺の想像もつかない何かで助かる方法を見つけるんじゃないかと淡い期待もした。

…あるわけないのにな。

この世は残酷で、自分勝手なヤツの集まりだ。

だから、基本的に人は好き好んで何の得にもならない事はしない。

自分の損になる事は誰もしない。

知らないヤツなんか、そいつがどれだけ困っていても誰も助けない。

だから、

誰も彼女を、







人は、自分にメリットがあるか、自分が好きな人間しか助けない。

良くしてくれる人間を失うデメリットを避けるために。



近場の陸地に辿り着いた後、土御門が迎えに来てくれた。


日本へ帰る飛行機の中で土御門が言っていた。


「知ってるか、カミやん。今回の漂流の件、実は学園都市理事会は知っていたんだ」

「知ってて、”幻想殺し”の可能性と限界を確かめようとしてたんだそうだ」

「『将来”幻想殺し”を殺す事になった時に餓死させる事は有効か?』」

「『今までのように生命の危機に陥った時に何かまた飛び出すのか?』」

「『今代の保持者が死に、”幻想殺し”が代替わりする時にはどんな現象が起きるのか?』」



「ずっとモニターしてたんだと」




「だがまぁ、彼奴らがやったのは空港でカミやんの捜査にストップをかけた事だけらしい」

「”未必の故意” ってやつだな。仕組んだわけではないけど、死ぬなら死ねと思って観戦してやがったのさ」

じゃあサローニャと抱きあってた事だとか全部色々観られてたのかよと恥ずかしみつつ。

酷く憤りを覚えた。



…だったら、助かったじゃないか。



あんたらが余計な事さえしなければ。

そんなくだらない実験をしなければ、無関係なヤツ巻き込んででも決行なんてしなければ

もっと早く助かって、


…サローニャだって、


自然、目頭が熱くなっていた。





基本、誰も救ってなんかくれない。

基本的に都合がいいだけのハッピーエンドなんて、ない。

当たり前だったのに。

だから、自分が救おうとするしかないんだ。

ずっとそうしてきたし、わかっていたはずなのに。

今までずっとそうやって何人も何人も助けてきたのに。

なんで今回は





そういえば、サローニャが最後に言ってたあの言葉はなんだったんだろうか。

俺は未だにあの言葉の意味がわからない。

翻訳しようにもあの時の言葉をよく憶えてなくて



…本人に聞いた方が早いか。



「…なぁ、サローニャ。結局あの最後の言葉ってどういう意味だったんだ?」



俺は天井に顔を向けて問いかけた。































サローニャ(裸ワイシャツ)「うにゃ?」ムニャムニャ

サローニャ「ふぁ~…ぁー…ん。…なんか言った?」コシコシ

上条「ああ、ちょっと聞きたいんだけど」

上条「ほら、あの島で最後俺を乗せてくれた時にさ、えー…ティムにぇの オーチンチンぬらぬら…うしし?とかなんとかって」

上条「アレ、どういう意味なんだ?」

サローニャ「…他国の言語ちゃん、それも一回聞いただけだから仕方ないとはいえ腹立つ間違いすんのやめてくんにゃいかね?」





上条「まぁいいじゃん。で、なんだっけ?」

サローニャ「Ты мне очень нравишься。」

サローニャ「…ロシア語で『大好き!!』、『私はあなたが本当に好きです』とか。」

サローニャ「そんな感じの言葉でーす」ゴロゴロ

上条「へぇ…あー、あのさ、俺もサローニャの事好きだから!」

サローニャ「はいはい。ありがとちゃん」



迎えに来てくれた土御門は超音速旅客機で来てたからあの島まで10分以内で助けに行ってくれた。

人は、自分にメリットがあるか、自分が好きな人間しか助けない。

良くしてくれる人間を失うデメリットを避けるために。

なら、逆に言えば好きな人間なら。

オレ
友達が困ってたら助けるという事で。


…そんな訳で、サローニャは一週間程前に俺と一緒に退院、そのまま俺の家に住んでいる。

その時正式に告白もして、俺達の人間関係を示す恋人関係の頭についていた『島限定』の言葉はとれた。

…にしても寝すぎじゃないか?今の今まで寝てるって。


上条「あれ?ロシアの方の恋人ってこうやって毎日愛の言葉を言うもんなんじゃないの?」

サローニャ「まー言うねぇ」

サローニャ「ロシアだと”家族”って枠組みが日本より壊れやすい分、そーやって頻繁に愛を確かめたがるんだよねー」

上条「壊れやすい?子供が居ない家庭が多いからとか?」

上条「ほら、子はかすがいって言うし、それがないから…」

サローニャ「んー?ああ、違う違う。あのね、」


サローニャ「日本人だと『家族=結婚』だけどー、ロシア人は『家族=恋人=結婚』なんだよ」

上条「はぁ」

サローニャ「だから日本人と家族観はちょっと違うの」

サローニャ「日本人夫婦だとさ、セックスレスとかー、相手に嫌なとことかあって家庭に不満が募ってても『子供がいるから』とか」

サローニャ「『事情があるから』『世間的ガー』とか。大体はなんやかんやで”家庭”とか”家族”という枠組みを守ろうとするでしょ?」

上条「そうかも」

サローニャ「けど、ロシア人は相手側に嫌なとこあったら子供いてもすぐ離婚して別れちゃうのね」

上条「ええっ!?」

サローニャ「まーなんというか、男女関係ありきで家族やってるみたいなとこあるからさー」

サローニャ「嫌な言い方になっちゃうけど、恋人関係のまま家族ごっこやってるみたいなもん、かな」

上条「ええ…」

サローニャ「例えば。四人兄弟がいて、上の子は前の旦那の子供だけど下の子達は今の旦那の子とかなんてフツーだし」

上条「マジかよ」


サローニャ「だからスキンシップも濃いんだよね」

サローニャ「こうやって朝起きたらほっぺにチューとか当たり前だし」チュ

上条「うあっ!?///」

サローニャ「こうやって抱きしめるとかー」ギュ-

上条「////」

サローニャ「行ってきますやおかえりとかありがとうでも抱擁するからねぇ」

上条「へ、へー素晴らしい習慣だな!?///」

サローニャ「だからー、上条ちゃんもぉー」

サローニャ「サローニャちゃんに普段からいっぱい好き好きーってしなきゃサローニャちゃんどっか行っちゃうかもよ?」ウインク☆

上条「ぬぐっ!?それは勘弁してください!!」

サローニャ「ちゃんと捕まえておいてよねー?」クスクス


サローニャ「あ、でも上条ちゃんは日本式のがいいのかな?」

上条「?」

サローニャ「ほら、日本人夫婦とかだと旦那側が『愛してるに決まってる。でも、言わなくてもわかるだろ?』でー」

サローニャ「妻側が『恥ずかしいから』なんだっけ?」

上条「何が?」

サローニャ「ん?愛してるってどうやって普段伝えるのかって」

サローニャ「でも『奥ゆかしい』ってヤツ?そもそも『愛してる』を伝えないんでしょう?」

サローニャ「基本的に普段は言わないけど記念日とかそういう特別な時とか行為の時にしか言わないんでしょ?」

上条「あー、まぁ?」

サローニャ「そっちのがいい?サローニャちゃんとしては普段から上条ちゃんにいっぱい大好きって伝えたいんだけどなー」

上条「ロシア式で!!!」

サローニャ「ほんと?じゃあ…」


サローニャ「とりあえずその座った状態でサローニャちゃんを抱っこして?」

上条「お、おう!来い!///」

サローニャ「♪」ポスッ

上条「…やっぱいい匂いするなぁ」

サローニャ「そ?ま、気を使ってるからねぇ」

上条「なんか全体的に柔らかいし///」

サローニャ「ふっふーん?ま、これからは反省して今まであんまり構ってくれなかった分もサローニャちゃんをもっと堪能しなきゃダメだからね?」

上条「わかってるって///」


      ・・・・・
サローニャ「当麻ちゃん」

上条「ん?」

サローニャ「ずっと一緒にいてね」

上条「ああ、絶対離さないから」

サローニャ「好き」チゥ

上条「俺も」





イチャイチャイチャイチャ


インデックス「…」

オティヌス「全く…私達もいるんだがな?」

スフィンクス「なー」

インデックス「静かに。とうま達がイチャつき出したら私達は空気に徹するんだよ」

インデックス「ああほら、皆で公園でも行こう?邪魔しちゃダメなんだよ」

オティヌス「…お前はいいのか?あいつの事を…いや私は別に構わないんだがな」

インデックス「…私はいいんだよ。とうまの幸せが一番だもの」

オティヌス「本当にいいのか?あのクソ甘い雰囲気ブチ壊して甘えてもいいんじゃないのか?別に私は構わないんだがな」

オティヌス「ほら、居辛いだろ?安心しろ私もだ。同居人とかシェアハウスなんかでも異性を連れ込むのは御法度なんだから、な?私は別に構わないんだがな」

オティヌス「適当に金でもやってあのグレムリンの非正規メンバー殿には御退去願おうじゃないか。まぁ私は別に構わないんだがな」


インデックス「いいの」

オティヌス「いずれ疎んじられてもか?100%邪魔者扱いされるだろ」

オティヌス「さりげなく家から追い出されるようになるぞ」

インデックス「…それでも。私もとうまとは家族で居たいんだよ」

オティヌス「わからんな。お前や私とか、いや私があいつ以上の幸せを与えればそれでいいだろうが」

インデックス「ううん。とうまが、自分で選んだ幸せだから」フルフル

インデックス「…きっと、二人とも今までずっと自分の幸せってモノがなかったと思うんだよ」

インデックス「二人とも、形や善悪は違えど誰かの為に頑張ってきたでしょ?」

インデックス「特に、とうまは誰よりも沢山の人を救って幸せにしてきたんだよ」

インデックス「だったら」




インデックス「次はとうまが幸せになる番なんだよ」ニコッ

オティヌス「…ふん」





インデックス「ほら、二時間ぐらい外で暇つぶししてこよう?」トコトコ

オティヌス「おい…だって、ほら、なぁ?いや私は別に構わないんだがな」

オティヌス「…ああクソ、この身体のサイズが本当に恨めしい」

オティヌス「”コレ”が罰か?ああ…クソったれ」

オティヌス「…」チラ


オティヌス「…フン」

オティヌス「まぁ…私は別に構わないんだがな」


バタム。



サローニャ「当麻ちゃーん…」

上条「んー?」

サローニャ「好きぃー…ほんとに好き。大好き。」モフモフ

サローニャ「今日は休みだしぃ。のんびりしよう?いっぱいキスしよ?ね?」

上条「お、おう///」








ちう。







終わり。はいハッピーエンドでした。

ちなみにではありますが

・ビターエンド:普通に二人とも助かるけどサローニャちゃんは上条さんと一緒に日本へは行かず、なんとかロシアに帰ろうとしたら妨害されるわ拒絶されるわでなんやかんやで独りでアメリカに強制帰還で新人生リスタート。

結局それっきり二人は会うことはなかったあいつ遠い空の下で何やってんのかなエンド


・バッドエンド:島で上条さんだけ死んで、サローニャだけは助かる。

散々世界を救ってきたヒーローを救わなかった世界に対しての八つ当たりで世界を焼いて滅ぼす復讐鬼:魔神サローニャちゃんとなる。

真グレムリンを結成し、魔神も魔神未満も上里勢力も何もかも滅ぼす。

        最後は世界唯一の人類となり、孤独に耐え切れなくなり自殺しちゃうエンド

・メリーバッドエンド:二人とも緩やかに島で死んでくけど最後までずっと一緒にいて愛し合う。

死ぬ間際の時も手を繋いで、死ぬのは怖いけど二人で死ぬなら死ぬのも悪くないかなエンド


でした。どれにするか迷ったけど結局コレに落ち着いた。

依頼出してきまーす。


ウート「勇者ヨシヒコ3期やるよ!勇者ヨシヒコシリーズ面白いよ!」

ウート「KKPの舞台面白いよ!個人的には『ロールシャッハ』とか好きだったよ!」



ウートガルザロキ「あなたの願い、叶えます」

現行、現在4スレ目。本スレ。大体ここに最近>>1が書いた奴とか全部書いてる。


妹達「とあるミサカのよくある思春期思考」一方「ンムグ…」→完結

打ち止め「あそぼ!」一方「しょォがねェな」→完結

上条「こんなの知らない!」

現行、2スレ目。深夜したらばでやってる


佐天「またレイプされた…」

現行、深夜したらばで立て逃げをのっとりで。


絹旗「黒夜黒夜超かまちょ」黒夜「ウゼェ…」→完結

上条「こんなの流れ着いてたぞ!」サローニャ「じゃあキャッチボールしよーぜ!」→完結


一応禁書についてはこんなもん。他のジャンルも幾つか書いてる。まぁ>>1は大した数も大したモノも書いてませんの

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