【安価】ハリー・ポッターと自由な主人公3【コンマ】 (918)

初めてなので手探りでやっていく感じになると思います

原作設定は程々に守る感じでやっていく感じになると思うのでお付き合い頂けると幸いです

【安価】ハリーポッターと自由な主人公【コンマ】
【安価】ハリーポッターと自由な主人公【コンマ】 - SSまとめ速報
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【安価】ハリー・ポッターと自由な主人公2【コンマ】
【安価】ハリー・ポッターと自由な主人公2【コンマ】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469373688

【名前】 エリオット・ランバート(Eliot Lambert)
【性別】 男
【血筋】 半純血
【家族構成】

父 テラム (スリザリン) 
母 マール(グリフィンドール) 
姉 ミラ(グリフィンドール)

【寮】 グリフィンドール
【杖】 サクラに不死鳥の尾羽、28センチ

【性格】

多重人格者
誠実で素直な正直者
とても家族思いで友だち思いな優しい性格の持ち主
自分への自信が欠け気味で、ストレスを溜めやすい一面もある
顔をバカにされる、家族をバカにされる、友だちをバカにされる、友だちの家族をバカにされるともう一人の人格「アポロ」が目覚める

【見た目】

怖い顔に近寄りがたい雰囲気
父「テラム」によく似ているが瞳の色は母「マール」と同じ紫

【境遇】

・父「テラム」と母「マール」の間に産まれる。二歳年上の姉「ミラ」がいる

・「テラム」はスリザリンの伝説のシーカーと呼ばれた人物。また純血でありながらマグルのマールと結婚。後に闇祓いとなる

・父「テラム」を物心がつく前にヴォルデモートに殺される。それ以降マールとミラとの三人暮らし

・四歳の時。ミラをバカにされたのがきっかけとなり、もう一人の人格「アポロ」が目覚める

・これ以降も自分の容姿が原因となり、いじめられることが多かった

・「アポロ」が現れることも多く、その度に「アポロ」はバカにした相手を意識が無くなるまで殴り飛ばしている

・またエリオットは自分が二重人格だと気付かず、「アポロ」のしたことをキレた自分がやったことだと勘違いしていた

【ステータス】
魔力【14】 体力【12】 知力【9】 魅力【3】

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 1/40 次の段階まで残り39
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 5/20 次の段階まで残り15
ドラコ 2【友だち】 9/30 次の段階まで残り21
ハンナ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
アンジェリーナ 1【友だち】 11/20 次の段階まで残り9
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

【魔力】
戦闘・授業判定にて使います

【体力】
戦闘・クィディッチ判定にて使います

【知力】
授業・テスト判定にて使います

【魅力】
<好感度>判定にて使います

<好感度>
様々な判定にて使います

ステータス
【】で囲まれた現在の値

才能値
最初に決まった『』で囲まれた数値
エリオットの才能値は
魔力『9』 体力『9』 知力『3』 魅力『1』

・戦闘の基本計算式
【魔力】+【体力】+コンマ一桁=判定値
(一緒に戦うキャラがいる時は、そのキャラの<好感度>が加わります)
これに更に様々な呪文による補正値が加わります

・杖を使う授業の基本計算式
【魔力】+【知力】+パートナーの好感度+コンマ一桁=判定値

・クィディッチの基本計算式
【体力】+クィディッチメンバーの好感度+コンマ一桁=判定値

・杖を使わない授業の基本計算式
【知力】+パートナーの好感度+コンマ一桁=判定値

・テストの基本計算式
【知力】+コンマ一桁=判定値

・<好感度>の基本計算式
【魅力】+コンマ一桁=判定値

授業について

授業ではまずパートナーを選びます

選んだパートナーは授業の成功・失敗に関わらず必ず好感度が上がります

授業に成功すると対応するステータスが一つ+1されます

例えば杖を使う授業にハーマイオニーをパートナーに選んだ場合は

ハーマイオニーの好感度が上がり、授業に成功すれば【魔力】か【知力】のステータスを上げることができるということです

自由行動について

自由行動では友だちと遊んで好感度を高めたり、自習をして4つのステータスのうちどれかを上げることができます

自習について

自習に成功すれば、ステータスに+1されます

自習にてステータスを上げる際に重要なのは『才能値』です

初回にコンマで決定した

魔力『9』 体力『9』 知力『3』 魅力『1』を指します

魔力の『9』なら魔力の自習の際、コンマの1~9までで成功判定になり

知力の『3』なら知力の自習の際、コンマの1~3までが成功判定になります

また0かゾロ目を引くと成功に加え才能値が上昇し

知力が『4』になれば、コンマの1~4までが成功判定となります

つまり既に才能値が『9』の魔力と体力は自習すれば確実に能力が上昇します

その際0とゾロ目は大成功となり、能力が一気に+3されます

戦闘について

戦闘の基本計算式は

【魔力】+【体力】+コンマ一桁=判定値です
(一緒に戦うキャラがいる時は、そのキャラの<好感度>が加わります)
これに更に様々な呪文による補正値が加わります



【14】+【11】+5+<2>(ハリーの好感度)=32

これに呪文による補正値を加えたものが判定値となります

<HP>はステータスの魔力と体力を足したものに×2をしたものとなります

①戦闘はまずはどの呪文を使うかを選択します

現在のエリオットが使える呪文は以下の通り

攻撃呪文

フリペンド-撃て-
一年生にも使える攻撃魔法の基本。敵を吹き飛ばす
(魔力補正に+3を加え攻撃する)

ウィンガーディアム・レヴィオーサ-浮遊せよ-
浮遊術。対象を宙に浮かせ叩き付ける
近くに重い物がある時に効果的な呪文
(浮遊させるもの次第で、変化する+補正を加え攻撃する)

エクスペリアームス-武器よ去れ-
武装解除術。武器を持つ相手に絶大な威力を発揮する
武器を持つものにのみ一度だけ使用可能
(強制有利判定。<HP>を削る代わりに、このターン相手の攻撃を無効化し、対応する武器のステータスを戦闘終了まで-10する)

アグアメンディ-水よ-
杖の先から水を噴出させる呪文
(魔力補正に+5を加え攻撃する)

妨害呪文

オブスキュロ-目隠し-
対象の目を隠す呪文。視力を奪うことで相手の動きを鈍くする
(判定値が相手を上回った時、<HP>を削る代わりに相手の体力を4ターン-3にする)

シレンシオ-黙れ-
対象を一時的に黙らせる。無言呪文を除き、呪文の威力を低下させる
(判定値が相手を上回った時、<HP>を削る代わりに相手の魔力を4ターン-3にする)

②呪文を決めたら、自分と相手のコンマ値を決定します
基本↓1がエリオット、↓2が相手

③それを計算式に当てはめて、自分の判定値が相手の判定値を上回っていれば、相手の<HP>がその分だけ減少します

④同じように、自分の判定値が相手の判定値を下回っていれば、自分の<HP>がその分だけ減少します

⑤また0とゾロ目は10として扱います

⑥戦う相手によっては、特定のコンマで強力な攻撃や呪文を唱えてくることもあります

⑦同じ呪文によるデバフの重ねがけはできません(別の呪文のデバフなら可能)

⑧自分のHPが尽きてしまう前に、相手のHPを0にすれば勝利となります

⑨戦闘に勝利した際、魔力、体力、知力のどれか一つを上げることができます

⑩上げる時は、自習の仕様と同じ

(知力であっても必ず+1上げることができます
才能値の判定次第で+3にでき、魔力・体力なら確実に+3上げることができます)

⑪また負けてしまった時は、このボーナスは得られません

⑫負けてしまった時も、一緒に戦った相手との好感度のみは得られます

多分、テンプレは以上

なにか貼り忘れてないか不安…

>>1は色々とミスが多いのでその時はやーいうっかりトロールと呼びながら指摘してもらえると助かります

ここまでお付き合いして下さったみなさんありがとうございました

ダンブルドア先生に、みぞの鏡を探してはいけないと注意されて以来

ハリーは毎晩悪夢にうなされているみたいだった

高笑いが響いて、お父さんとお母さんが緑色の閃光と一緒に消えてしまう夢を見るらしい…

たぶん、ヴォルデモートに両親を殺されてしまった時のことを、ハリーは覚えているんだと思う

僕は、父さんがどんな死に方をしたのかすらよく知らない…

だから幸か不幸か、そういう悪夢にうなされることは無かった

ただ、あの時鏡に映っていた自分の姿は、はっきりと心の中に焼き付いていた

あんな格好いい自分になれるかはわからないけど…

それでも、ならなくちゃいけないんだと強く思った

新学期が始まる一日前、姉さんやハーマイオニーたちが戻ってきた

ハーマイオニーは、ハリーが三日連続で夜寮を抜け出していたことに驚いて呆れていた

「どうせならニコラス・フラメルについて書かれた本を見つけてくれれば良かったのに…」とも言ってたけど

一方僕は、姉さんから編み物を教えてもらうことにした

ダンブルドア先生がウールの靴下を欲しがってたから、せっかくだし自分で編んだものをプレゼントしたい

(もうほとんど貯金も無かったからね…)

授業の予習にクィディッチの練習に、編み物の練習

全然時間が足りなくて、ハーマイオニーが寝る間を惜しんで勉強してる気持ちが少しわかった気がした

ミラ「そうそう、いい感じよ。平編みがこれだけスムーズにできるなら輪編みもすぐにマスターできるかもね」

『輪編みってなに?』

ミラ「靴下とか帽子を編む編み方のことよ」

『えっ!?じゃあこの編み方じゃ靴下は編めないの!?』

ミラ「そりゃあそうよ。交互に真っ直ぐ編み続けるだけなんだから」

『だったら最初から輪編みを教えてくれれば良かったのに…』

ミラ「甘い。基礎も知らないで、次のステップに進んでも失敗するだけよ」

ハーマイオニー「エリオットって、浮遊術を知らないうちから呼び寄せ呪文が使えたんじゃなかった?」

ミラ「それでもよ!いいからちゃんと基礎から勉強しなさい!」

ミラ「…ただでさえ魔法のセンスで負けてるのに、編み物までさくさく上手くなられたら姉としてのメンツが…」

姉さんが顔を逸らして、なにかブツブツ言っている

ハーマイオニー「聞こえてるわよ?」

『聞かなかったことにしてあげてよ…』

ロン「はい、チェックメイト!」

ハリー「またかぁ…ロン強すぎるよ…」

ジョージ「さすがのハリーも、チェスじゃ勝てないみたいだな」

フレッド「ロニー坊やの唯一の特技だからな」

ロン「唯一とか言うなよ…」

隣のテーブルでは、ハリーとロンのチェスの試合をフレッドとジョージが観戦してたみたいだ

ロン「もう一戦やる?」

ハリー「僕はもういいや。一度も勝ててないし…」

ハリー「ハーマイオニーかエリオットとやれば?」

ハーマイオニー「私も何度かやったけど勝てないの。今、チェスの本読んで勉強してるから読み終わるまで待ってくれる?」

『あ、その本チェスの本だったんだ…』

ハーマイオニーって本当に勉強家だなぁ…

ロン「エリオットは?」

『僕は編み物の練習してるから今はちょっと…』

『それに僕、チェスってすっごく苦手なんだ』

『いつも姉さんや母さんにコテンパンにやられてたし…』

ハーマイオニー「あら、ミラはチェス強いの?」

ミラ「まあね。たまにマクゴナガル先生とも勝負するくらいよ」

ハリー「マクゴナガル先生もチェス強いの?」

フレッド「ああ、凄腕らしい」

ジョージ「ミラも一度も勝てたことないよな」

ミラ「うるさいわね!そのうち勝つのよ!そのうち!」

ロン「じゃあミラ、僕と勝負しようよ」

ミラ「まあいいわよ。負けても泣かないでよね」

姉さんが黒の駒、ロンが白の駒の側の席についた

フレッド「ミラに1シックル」

ジョージ「乗った」

ロン「いくよ。ポーンをeの4へ」

ミラ「セオリー通りね。じゃああたしもポーンをeの5へ」

自在に駒を操りながら、二人ともチェス盤を真剣に眺めている

一時間か二時間くらいかけた頃、ついに決着がついた

ロン「チェックメイト…!」

ミラ「うっそ…!あぁ~あとちょっとだったのに…!」

結果はロンの勝ちだったみたいだ

姉さんは頭を抱えて本当に悔しそうにしてるし、ジョージはフレッドからニヤニヤしながら1シックルを受け取ってる…

ハーマイオニー「すごい試合だったわね…。ロン、あなた本当にチェスに関しては天才なんじゃない?」

ロン「ううん、ミラも強かったよ。次やったら負けるかも」

ミラ「そうよ!今度こそ勝つわ!もう一試合、いやもう二試合!」

ミラ「勝ち越すまでやるわよ!いいわね!ロン!」

『姉さん…そろそろ消灯時間だよ…』

ジョージ「また賭けるか?」

フレッド「やめとく。ああなったミラは何回やっても勝てないさ」

『だろうね…』

黙々と編み続けてる間に、いつの間にか僕は難なく平編みができるようになっていた

ハッフルパフとの試合が近づくと、ウッドのしごきは前よりも厳しくなった

次の試合でハッフルパフに勝てば、七年ぶりに寮対抗杯をスリザリンから取り戻せるかもしれないらしい

練習が厳しくなるのは構わないけど、僕には不安なことが一つあった、クィレル先生のことだ

前のスリザリンの試合の時みたいに、今度の試合でもハリーの箒に呪いをかけてくるかもしれない

そう思うとどうしても不安がぬぐえなくて、いまいち上手く飛べなくなってしまった

練習の帰り、ハリーからもそのことを指摘された

ハリー「エリオット、最近調子良くないね」

ハリー「やっぱり疲れてるんじゃない?勉強に編み物にクィディッチの練習もやるなんて…」

『そうなのかな…。でも、そろそろ靴下が編み終わるんだ』

『中途半端に止めちゃうと、きりが悪くてなんか嫌だし』

ハリー「あまり無理はしない方がいいよ」

ハリー「そうだ、蛙チョコレートでも食べる?」

ハリー「ハーマイオニーに貰ったものが、一つ残ってるんだ」

ハリーがポケットから蛙チョコレートを取り出した

『ありがとう、ハリー。もらっておくよ』

封を開けてチョコを口に放り込むと、甘さと一緒に疲れが溶けていくような気がした

疲れた時は甘いものが一番だって、母さんもよく言ってたっけ

『あ、カードはあげるよ。集めてるんでしょ、ハリー』

ハリーに「有名魔法使いカード」を渡すと、カードの裏を食い入るように見つめ始めた

『どうしたの、ハリー?』

ハリー「見つけたぞ…!」

ハリー「フラメルを見つけた!ほら見て、これ…!」

魔法使いカードの裏面を指差している。そこには…

-ダンブルドア教授は特に、一九四五年、闇の魔法使い、グリンデンバルトを破ったこと-

-ドラゴンの血液の一二種類の利用法の発見-

-パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名-

と書かれてあった

『ニコラス・フラメル…』

ハリー「どこかで聞いたことあるって言ったよね」

ハリー「ホグワーツに来る汽車の中だったんだ」

ハリー「ハーマイオニーなら、ここまでわかればもっと詳しくわかるかもしれない!」

そう言うと、全速力で談話室に向かって走って行った

『あ、ちょっと待ってよ!ハリー!』

スネイプ先生はわかったところで問題ないとは言ってたけど

できればわからないままの方がいいんだけどなぁ…

談話室に戻ると、ハリーたちは隅の方席で顔を合わせながら一冊の本を開いていた

ハーマイオニー「ねっ?あの犬はフラメルの『賢者の石』を守っているに違いないわ!」

ハーマイオニー「フラメルがダンブルドアに保管してくれって頼んだのよ!」

ハーマイオニー「だって二人は友だちだし、フラメルは誰かが石を狙っているって知ってたのね!」

ハーマイオニー「だからグリンゴッツから石を移して欲しかったんだわ!」

ハリー「金を作る石、決して死なないようにする石!」

ロン「スネイプが狙うのも無理ないよ。誰だって欲しいもの」

ヒソヒソ声だけど、三人ともとても興奮しているのがわかる

『金を作る石…?』

ハリー「あ、遅いよエリオット!もうスネイプが何を狙ってるのかわかったよ!」

『ハリーが速すぎるんだよ…。それで、なんだったの?』

ハーマイオニー「賢者の石よ。いかなる金属も黄金に変えて、飲めば不老不死になれる命の水の源らしいわ」

ハーマイオニー「フラメルは魔法使いじゃなくて、錬金術師だったのね」

ハーマイオニー「どおりで、魔法使いや魔法の研究を調べても見当たらなかったわけだわ」

ロン「だから僕、探し方が悪いんじゃないって言ったのに…」

ロンがポツリとそう言ったけど、ハーマイオニーには聞こえてないみたいだ

『金を作る石…死なないようにする石かぁ…』

『でも、どうしてクィレ…スネイプ先生はその石が欲しいんだろう?』

ロン「そんなの決まってるじゃないか。金を作れるってことは、大金持ちになれるってことなんだから」

ロン「誰だって欲しいさ、そんな便利なもの」

『そうなのかなぁ…。人のものを盗むって、つまり泥棒でしょ?』

『ただお金持ちになりたいからって理由でそこまでするのかなぁ…』

ハーマイオニー「じゃあエリオットは、どうしてスネイプが石を狙ってると思うの?」

『…うーん。病気の家族がいて、治す為にはすごく高い薬が必要だから、そのために石が欲しい、とか?』

ハリー「スネイプに限って、そんなことあるわけ無いよ」

ロン「エリオットは少しお人好しすぎるよ、そこが良いところだけど」

ハーマイオニー「仕方ないわ、エリオットだもの」

『……………』

喜べばいいのか、悲しめばいいのか、すごく反応に困ることを言われちゃった…

そもそもスネイプ先生は良い人で、石を狙ってるのはクィレル先生なんだけどなぁ…

でも、本当にどうしてクィレル先生は石を狙ってるんだろう?

お金持ちになりたいとか、そんな理由で人のものを盗もうとしたり、ハリーを殺そうとまでするのかな…

本当はなにか深い事情があるんじゃないのかな…?

賢者の石について調べ始めた三人をよそに

あの時の恐ろしい顔をしたクィレル先生を思い出しながら、僕はそんなことを考えていた

ウッド「さあ、今日の練習はいつも以上に厳しくいくぞ!」

ウッド「本当に真っ暗になって、なにも見えなくなるまでやるからな!」

ハッフルパフ戦を控えた最後の練習の日、ウッドはさらに燃えていた

目がメラメラと燃えているように見えるのはたぶん、僕だけじゃないと思う…

フレッド「ほとんど狂ってるな、ウッドは」

ジョージ「ただでさえ小雨が降ってるっていうのに」

ウッド「もっと真面目になれ、二人とも!そんな調子だと今度の試合には負けるぞ!」

ウッド「次の試合の審判はスネイプだ!スキあらばグリフィンドールから減点しようと狙ってくるぞ!」

フレッド・ジョージ「「スネイプが審判をやるだって!?」」

二人が声を合わせてそう言ったのと同時に、全員がウッドに文句を言い始めた

ハリー「スネイプがクィディッチの審判なんて、やったことあるの!?」

アンジェリーナ「無いわよ。私たちがスリザリンに勝つかもしれないから、ハッフルパフを贔屓しようって魂胆だわ!」

ケイティ「どうしていつも通り、フーチ先生じゃないの!?」

アリシア「誰が許したの!?ダンブルドア先生は何をやってるのよ!」

ウッド「みんな、落ち着け!僕に文句を言わないでくれ!」

みんなスネイプ先生が審判をやるのは不満みたいだ

けど、僕にはこの上なく嬉しい情報だ

スネイプ先生なら、きっと何が起こってもハリーを守ってくれる

そのために審判を引き受けてくれたに違いないからだ

ウッド「僕たちは、スネイプに付け入るスキを与えないくらいフェアなプレーをすればいいんだ!」

ウッド「そして、真っ向からハッフルパフに勝つんだ!」

『ウッドの言うとおりだよ!正々堂々戦って勝とう、みんな!』

僕たちの言葉にみんなもやる気になったみたいだ

それぞれ思い思いに意気込みを語っている

フレッドとジョージだけ、やたら汚い言葉なのが気になるけど…

ウッド「ハッフルパフは強敵だぞ。特にセドリック・ディゴリーは要注意だ」

ウッド「間違いなくヒッグスやチャンよりも優れたシーカーだ」

ウッド「きっとハリーとも良い勝負をする、がんばってくれよハリー!」

ハリーが力強く頷くと、それを合図に練習が始まった

<クィディッチ> 成功判定

【体力】+クィディッチメンバーの<好感度>+コンマ一桁=14以上で成功
0orゾロ目は10として扱う

どうあがいても成功

力がみなぎるような気がする…

体力が1上がった!

【ステータス】
魔力【14】 体力【13】 知力【9】 魅力【3】

ウッド「よし、そろそろ終わろう!みんなよくがんばったな!」

フレッド「本当に真っ暗になるまでやるなんてな…」

ウッド「いいじゃないか!途中で雨も止んだんだし!」

ウッド「僕たちの熱意が、きっと空にも届いたんだ!」

ジョージ「代わりにカラスがカーカー鳴いてるけどな」

アンジェリーナ「カラスって不吉の象徴でもあるのよね、縁起悪いわ…」

ハリー「エリオット、今日は調子良かったね!」

『うん!次の試合がんばろうね、ハリー!』

ハリー「もちろんだよ!」

僕たちはクタクタになりながら、みんなで寮に戻った

次の日の放課後、僕は校長室の銅像の前に立っていた

前に来た時は知らなかったけど、ガーゴイルの石像っていうらしい

マクゴナガル先生に事情を話して来たから、合言葉はバッチリだ

『ヴィクトリアスポンジケーキ』

像がピョンと飛び退いたのを見ると、門の先へと進んだ

校長室に入ると、ダンブルドア先生が部屋の中央に立って待っていた

ダンブルドア「やあエリオット、こんばんは」

ダンブルドア「おや、ずいぶん可愛らしい包みを持っておるのう。誰かへのプレゼントじゃろうか?」

『わかってて聞くのは、ちょっとイジワルだと思います。先生…』

ダンブルドア「ほっほ。すまんのう、いくつになっても、人からプレゼントを手渡しされるのは照れてしまうものなのじゃよ」

僕はニコニコ笑う先生に、プレゼントの入った包みを手渡した

ダンブルドア「ありがとう、エリオット。すぐに開けてみても良いじゃろうか?」

『はい、もちろんです』

ダンブルドア「どれどれ…おおう、これは暖かそうな靴下じゃ」

ダンブルドア「しかも…これはもしかして手編みの靴下なのかな?」

『はい、ピンクの靴下が姉さんの編んだものです』

『それで青い靴下は僕の編んだものです。習ったばかりなので、姉さんのものに比べると下手かもしれないですけど…』

ダンブルドア「いいや、とても上手に編めておるよ」

ダンブルドア「わざわざミラに習ってまで用意してくれんじゃろう?」

ダンブルドア「今年の冬は、足元だけじゃなく心までポカポカした気分で過ごせそうじゃ」

『喜んでもらえたみたいで、僕も嬉しいです』

本当は気に入ってもらえるか少し不安だったんだけど

先生は心から嬉しそうに、靴下を抱えてくれた

僕の靴下はお世辞にも上手な出来じゃないはずだし

姉さんなんかちょっとしたイタズラなのか、ピンクなんて色を選んだのに

ダンブルドア「そうじゃ。こんな素敵なプレゼントを貰ったからには、なにかお返しをせねばならんのう」

ポンと手を叩くと、先生はそんなことを言い始めた

『い、いえそんな、お気になさらないで下さい…!』

『それに実はマクゴナガル先生や、スネイプ先生にも同じ物を贈ろうと思ってるので、あの…!』

ダンブルドア「わしがお返しをしたいから、そうするのじゃ」

ダンブルドア「こういう時は遠慮はしなくても良いのじゃよ。その方がわしも嬉しいからのう」

『で、でも…』

さすがにダンブルドア先生からなにか貰うのは、少し気が引けるなぁ…

ダンブルドア「ふむ。どうやら形ある物ではなく、別にのぞみがあるようじゃのう」

『えっ…?』

ダンブルドア「なにかわしに聞きたいことがあるのじゃろう、エリオット」

ダンブルドア「みぞの鏡の前でも、君はなにかを聞こうとして結局遠慮してしまったようじゃし」

ダンブルドア「謙虚なのは良いことじゃが、知りたいことは知りたいと口にするのは決して罰当たりなことではない」

ダンブルドア「もっともわしに答えられることであればいいのじゃが…」

『……………』

先生の声は、本当に優しいものに聞こえた

でもきっと、僕が聞いても答えられないこともあるんだと思う…

だから色々考えながら、ふと頭に思い浮かんだことを聞くことにした

『ダンブルドア先生…。クィレル先生はどうして賢者の石が欲しいんでしょうか?』

僕がそう聞くと、先生は少しだけ驚いたみたいだ

ダンブルドア「ほう。君は隠してあるものが賢者の石だと気づいておったのじゃな」

『あ、いえ…!僕が気づいたわけじゃないんです』

『あの犬が何かを守ってると考えたのも、それが賢者の石だと気づいたのもハリーで、僕は何も…』

ダンブルドア「なるほど。ハグリッドと一緒にグリンゴッツに行ったのがヒントになったようじゃの」

ダンブルドア「あの子は実に賢い。じゃが、一つ思い違いをしておるようじゃ」

ダンブルドア「こういうのは失礼じゃが、確かにスネイプ先生は怪しく見えるからのう」

困ったように笑うと、僕に目線を合わせて真剣な顔つきで先生はこう聞いてきた

ダンブルドア「エリオット。クィレル先生が君やハリーの命を狙っているというのは、わかっているね?」

『はい…』

ダンブルドア「ならば…知らない方がいい。聞けば、君はクィレル先生に近付くことになる」

ダンブルドア「それは、君が自分自身の身を危険に晒すのと同じことじゃ」

『でも、先生…』

『クィレル先生には、僕やハリーの命を狙ってまで、石を手に入れないといけない理由があるってことですよね…』

『もし、それだけ大変な事情があるなら、なんとかすることはできないんでしょうか…?』

ダンブルドア「………君は、自分を殺そうとしてる相手のことを助けてあげたい、とそう言うのじゃな?」

とても鋭い目つきで先生はそう言った

『…クィレル先生だって、僕たちのことを殺したくて殺そうとしてるわけじゃないと思うんです』

『僕だって、ドラコのことを一度殺したいと思ってしまいました…』

『でもあれは、僕じゃなくて、もう一人の僕の意志だったし…』

『クィレル先生にもなにか事情があるんじゃないかって僕は…』

言葉に詰まる…

いまいち思っていることが、うまく伝えられない…

そうしていると、両肩にそっと手を置かれた

ダンブルドア「…君のその考え方は実に素晴らしい」

ダンブルドア「じゃが、そのような考え方ができる君じゃからこそ、クィレル先生のことは理解できんじゃろう」

『僕だから…理解できない…?』

ダンブルドア「そうじゃ…。クィレル先生は強大な力に魅入られてしまったのじゃ」

ダンブルドア「有名になりたい、自分が優れていることを証明したい」

ダンブルドア「そのような欲は、時に善悪の区別さえ無くしてしまう」

ダンブルドア「悪の道に堕ちることを、それも仕方のないことだと受け入れてしまう」

ダンブルドア「本当に悲しく、愚かな考えじゃ」

ダンブルドア「自分の事しか考えず、周りを振り返れなくなった者の末路と言って良いじゃろう」

ダンブルドア「クィレル先生が賢者の石を欲するのは、結局のところ自分の欲の為なのじゃよ」

『……………』

ダンブルドア「じゃが、君は違う」

ダンブルドア「自分の為じゃなく、誰かの為に力を欲しておる」

ダンブルドア「そういう意味で、君とクィレル先生は真逆の存在じゃ」

ダンブルドア「その思いやりの気持ちを無くさない限り、君が悪の道に堕ちることは決してないじゃろう」

ダンブルドア「そして…」

『僕が…クィレル先生のことを理解するとこも無い…ってことですか?』

ダンブルドア「…そうじゃ。じゃが喜ぶべきことなのじゃよ」

ダンブルドア「君はそれを、悲しいと感じてしまうのかもしれんがのう…」

自分の欲の為に、誰かを殺す…

たしかに、僕にはその気持ちがわからない

有名になりたいという気持ちも

自分が優れていることを証明したいという気持ちも

僕には、まったくわからないものだ…

だけど…

それでも、僕は…

ダンブルドア「さあさ、明日はハッフルパフとの試合じゃろう」

ダンブルドア「良く食べ、良く眠り、明日に備えなさい」

ダンブルドア「わしも観戦に行くからのう」

『ダンブルドア先生も見に来てくれるんですか…!?』

ダンブルドア「わしが見ておる場では、クィレル先生も何も事を起こせんじゃろう」

ダンブルドア「スネイプ先生はもしもの時の保険じゃ」

ダンブルドア「ああ見えて、君たちのことをとても心配しておるのじゃよ」

『はい、知ってます』

僕がそう答えると、先生はクスクスと笑った

ダンブルドア「それは重畳。もちろん、わしも君たちのことが心配じゃがのう」

『はい、ありがとうごさまいます』

ダンブルドア「うむ、君たちの活躍を楽しみにしておるよ」

校長室を出ようとすると、最後に先生に呼び止められた

ダンブルドア「そうじゃ、一つ言い忘れておった」

『なんでしょうか、先生?』

ダンブルドア「ふと思ったんじゃが、来年のクリスマス頃には、暖かい手編みの帽子が欲しくなるような気がするのじゃ」

僕が一瞬ポカンとすると、ダンブルドア先生はウインクをした

ダンブルドア「少し気が早すぎるじゃろうか?」

『いいえ、必ず贈ります!』

『今度はクリスマスに間に合うように!』

ダンブルドア「わしも、今度はちゃんとしたプレゼントを用意しておくことにしよう」

ダンブルドア「ではおやすみ、エリオット」

『はい、お休みなさい。ダンブルドア先生』

ダンブルドア先生は、きっと僕のことを気遣ってああいってくれたのかもしれない…

僕がそう思ったのは、ベッドに入ってウトウトし始めてからだった

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハリーorフレッド・ジョージorアンジェリーナ

一人選択して
↓1

フレッド・ジョージ
3+5=8

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 1/40 次の段階まで残り39
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 13/20 次の段階まで残り7
ドラコ 2【友だち】 9/30 次の段階まで残り21
ハンナ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
アンジェリーナ 1【友だち】 11/20 次の段階まで残り9
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

自由行動の時間です
以下から一つ選択

ハリーと遊ぶ
ロンと遊ぶ
ハーマイオニーと遊ぶ
ネビルと遊ぶ
フレッド・ジョージと遊ぶ
ドラコと遊ぶ
ハンナと遊ぶ
アンジェリーナと遊ぶ
チョウと遊ぶ

魔力を鍛える
体力を鍛える
知力を鍛える
魅力を鍛える

↓1

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハンナ

↓1

ハンナ
3+3=6

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 1/40 次の段階まで残り39
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 13/20 次の段階まで残り7
ドラコ 2【友だち】 9/30 次の段階まで残り21
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 1【友だち】 11/20 次の段階まで残り9
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

というわけで今日は以上

次回はハッフルパフ戦
もといクィディッチ決勝イベントです

ようやく賢者の石の盛り上がりまできた

このスレ内で賢者終わるかな…?

感想、質問お待ちしてます

あ、それとエリオットの台詞の表記読みにくいですかね…?

二重人格なので一人称視点に拘るための苦肉の策だったりしたんですが…

読みにくいという意見が多いようなら変えることにします

レイブンクロー戦は理由あってカットする予定です
あの試合は決戦のすぐ後だからハリーも不参加なので
エリオットがシーカーをやるのも考えたんですけど…

そのあたりの事情は話が進んでからおいおいと…

今のままの方がいいという意見が多いみたいなのでこのままで行きます

意見をくれたみなさん、ありがとうございました

ついにハッフルパフとの試合当日

ダンブルドア先生が見に来てくれる

スネイプ先生が審判をしてくれる

なによりこの試合に勝つことが出来れば、グリフィンドールの優勝が見えてくる

そんな色んな思いが胸の内を渦巻いて、僕の興奮は朝から最高潮だった

以前のスリザリンとの試合の時より、よっぽど緊張しているかもしれない

だけどハリーたちは浮かない顔をしていた

よくよく考えてみれば、三人ともスネイプ先生を疑ってるから

スネイプ先生が審判をする今日の試合は、かなり危険なものだと思っているみたいだ

ハリーは気丈に振る舞ってるけど、不安でいっぱいになっているように見えるし

ロンとハーマイオニーは、なんとかスネイプ先生の邪魔をする方法を話し合っている

スネイプ先生はハリーを守ろうとしてるんだから、邪魔したらハリーが危なくなるのに…

ハーマイオニー「いい?忘れちゃだめよ?ロコモーター・モルティス-足縛り-だからね」

ロン「何回も言わなくてもわかってるよ、バッチリさ」

ロン「スネイプが少しでも変な素振りを見せたら、すぐに呪いをかけてやる」

『もしかして、足縛りの呪いをかける気なの…?』

ハーマイオニー「そうよ。箒に乗っている時に足を縛られたら、ハリーやエリオットに呪いをかける余裕なんて無いはずだわ」

『それどころか…最悪、スネイプ先生が箒から落ちちゃうんじゃ…?』

ロン「変な素振りを見せない限り、僕らだって何もしないさ」

ロン「でもなにかしようとしたら、遠慮しないけどね」

ハリー「ありがとう、ロン、ハーマイオニー。助かるよ」

『……………』

気持ちはすっごく嬉しいんだけど、いくらなんでも発想が物騒すぎるよ…

『…ありがとう、二人とも。でも、そこまでする必要は無いと思うよ』

ハーマイオニー「何言ってるのよ!あなたたちは狙われてるのよ!」

ロン「そうだよ!命が危ないんだ!僕たちが守らなくちゃ!」

『二人とも、抑えて抑えて…!周りに聞こえたら騒ぎになるよ…!』

とっさに大きな声を上げた二人をなだめる

幸い、朝食時だから他のみんなもガヤガヤ騒いでたし、誰にも聞かれなかったみたいだ

『あのね、二人の気待ちは本当に嬉しいよ』

『でも、今日の試合はダンブルドア先生も見にくるんだ。だから、なにが起きてもきっと大丈夫だよ』

ハリー「ダンブルドア先生が…!?」

『うん。ほら昨日僕、靴下のプレゼントを渡しに行ったでしょ。その時に聞いたんだ』

ロン「そんな大事なことどうして黙ってたんだ!」
ハーマイオニー「そんな大事なことどうして黙ってたのよ!」

ものすごい剣幕で怒られてしまった…

『ご、ごめん…!すっかり僕だけ安心しちゃってて、みんなに教えるのを忘れてたよ。本当にごめん…』

ハリー「いいよ、試合前にわかっただけでも。おかげで僕もホッとした」

ハーマイオニー「そうね、ダンブルドア先生がいるなら安心だわ」

ロン「いいや、万が一ってこともあるんだ。気は抜かないよ」

ロン「なにかあったら、僕が二人を守ってみせるからね!」

ハリー「ありがとうロン、きみは最高の親友だよ!」

ロン「よせよ、当然じゃないか!」

ロンがハリーの肩を叩きながら、ニコニコ笑ってる

ハーマイオニー「…さっきまでエリオットからは、私もこんな風に見えてたのね」

ハーマイオニー「ちょっと反省しないと…」

『ううん、本当にすごく嬉しかったよ。ありがとう』

『でも、その…もしもの時は…』

ハーマイオニー「わかってるわ。私たちがよけいなことをしたら、逆に迷惑になるかもしれないものね」

ハーマイオニー「もしロンがなにかしそうになったら、私が足縛りの呪いをかけておくわ」

『だからなんでそんな発想が物騒なのさ…?』

お昼過ぎ

みんなからのエールを受けながら、僕たちは更衣室に入って真紅のローブに着替えた

ハッフルパフの選手はカナリア・イエローらしい

それぞれの寮のシンボルカラーが、そのままローブの色になってるみたいだ

たっぷり10分くらい、ウッドの激励の言葉を聞くとちょうど試合開始時刻になったみたいだ

フレッドとジョージは、「危うく遅刻するところだった」なんて軽口を叩いてる

グラウンドに向かって飛び立って行くみんなを見送ると

僕は前の時と同じように控え選手用の応援席に座った

うわぁ…スネイプ先生すごい険しい顔してる

呪いをかけようとしたら殺すぞ、みたいな視線をジッとクィレル先生に向けてるし…

そもそもこの試合でグリフィンドールが勝てば、スリザリンを抜いて首位に立つことになるし

スネイプ先生としても色々と複雑なんだろうなぁ

あとでちゃんとお礼を言っておこう

スネイプ先生が無言でホイッスルを吹くのと同時に、ブラッジャーとスニッチが解き放たれた

そして…あ、なんか思いっきりハッフルパフ側にクアッフルを投げた

スネイプ先生…

ああいうことしなければ、ハリーたちから疑われることもないのに…

ジョーダン「さて、開幕から露骨な贔屓が見えたような気がしましたが、なにはともあれ試合開始です!」

ジョーダン「お聞きください、この大歓声を!」

ジョーダン「ホグワーツ中の全ての生徒や先生、職員たちが集まったかのような熱狂に包まれております!」

ミラ「この試合でグリフィンドールが勝てば、クィディッチ・カップも見えてくるし、寮対抗杯だって夢じゃないからね」

ミラ「この盛り上がりようも当然だわ」

ジョーダン「誰も腐れスリザリンの優勝なんて望んでないということでしょう!」

マクゴナガル「ジョーダン!」

ジョーダン「失礼しました、先生」

いつも通りのノリで試合と実況は進んでいく

試合は双方、すごい勢いでの点の取り合いになった

すでに50対50、どちらも一歩も譲らない激しい戦いになっている

クアッフルとブラッジャーがせわしなく行き来する中

ハリーとハッフルパフのシーカー、セドリック・ディゴリーは競技場のあちこちを旋回している

けど未だスニッチは見つかっていないみたいだ

ジョーダン「白熱した試合になっております!」

ジョーダン「どちらも一歩も譲りません!」

ジョーダン「一体この試合どちらが勝つのか!?」

ミラ「こうなると、なにかきっかけが欲しいところね」

ジョーダン「きっかけというと?」

ミラ「たとえばスニッチが見つかるとかよ」

ミラ「現状、一進一退の攻防なわけだし、それが崩れるきっかけが起きれば…」

ジョーダン「どちらかに流れが傾くと、そういうわけですね!」

フレッド「おい、ミラがまともな解説してるぞ」

ジョージ「こりゃ参ったな。今から大雨、大雪、もしくは槍が降るぞ」

ミラ「ちょっとそこの二人!今なんか言ったでしょ!?」

マクゴナガル「ランバート!」

ミラ「だ、だって先生、フレッドとジョージが…!」

姉さん…やっぱり解説向いてないんじゃ…

ジョーダン「さあ、試合の実況に戻りましょう」

ジョーダン「ケイティ、アリシア、アンジェリーナ!」

ジョーダン「いつもの三人の華麗なパス回しが光ります!」

ジョーダン「しかしハッフルパフも負けていません!」

ジョーダン「一人が一人を執拗にマークする形でパス回しを封じております!」

ジョーダン「それならとアンジェリーナ!」

ジョーダン「クアッフルを抱え、マークを振り切りなんとかゴールに向かって疾走します!」

そのとき

ハッフルパフのビーターの一人が、アンジェリーナに向かってブラッジャーを打ち返すのが見えた

アンジェリーナは気づいていない…!

『危ない、アンジェリーナ…!』

思わず叫んだけど、ブラッジャーは無慈悲にアンジェリーナを箒から叩き落とした

ジョーダン「あーっと…!!これは痛い!ブラッジャーの攻撃がアンジェリーナの横腹に直撃しました!」

ミラ「アンジェリーナ…!」

観客席からも動揺が走る

直後、クアッフルを奪い返したハッフルパフのチェイサーが遠距離から見事なゴールを決めた

ウッドはそこでタイムを取った

みんながアンジェリーナの周りに集まる、もちろん僕も急いで駆けつけた

ポンフリー「あばらが何本か折れていますね。この程度ならすぐに治せます」

ポンフリー「ですが、これ以上のプレーの続行は許可できません」

スネイプ「…だそうだ。グリフィンドール、チェイサーの控えはいるのかね?」

ウッド「…はい、いますよ。ここに一人!」

ウッド「行けるな?エリオット…!」

『う、うん!大丈夫、やってみせるよ…!』

スネイプ「…結構。ならば試合を再開するとしよう」

スネイプ「早く位置につきたまえ」

それだけ言うと、スネイプ先生はすぐに飛び立って行った

アンジェリーナ「…ごめんなさいね、後は任せたわ。エリオット」

アンジェリーナ「きみなら大丈夫よ。がんばって」

『ありがとう、アンジェリーナ。あとはゆっくり休んでて』

顔を歪めながら右手を上げたアンジェリーナとハイタッチを交わすと、僕はソルブルに跨って飛翔した

ハリー「がんばって、エリオット!」

フレッド「きみならやれるさ!」

ジョージ「楽しくやればいいんだ!」

ウッド「ああ、いつも通りにやればいい!」

ウッド「レイブンクローとの練習試合を思い出すんだ!」

次々にみんなから応援の声をかけてもらう

観客席に目を向けると、ロンやハーマイオニーたちが一生懸命声を上げているのが見えた

最上段にはディーンたちが作ってくれた応援旗も見える

「情けないところを見せたら許さないぞ!」という声のした方に目をやると

自分のマフラーをブンブン振り回してるドラコが見えた

大丈夫、やれる…!

僕は一人じゃないんだ!

『アリシア、ケイティ。力を貸して!』

アリシア「もとより、そのつもりよ!」

ケイティ「背中は任せて!」

みんなからの応援と期待を勇気に変えて、僕はクアッフルを抱えながら一気に加速した

<クィディッチ決勝> 成功判定

【体力】+クィディッチメンバーの<好感度>+コンマ一桁=20以上で成功
0orゾロ目は10として扱う

↓1

【13】+<3>+<1>+<1>+4=22

大成功!

力がみなぎるような気がする…

<クィディッチ決勝>成功ボーナスのため、体力が3上がった

【ステータス】
魔力【14】 体力【16】 知力【9】 魅力【3】

続きを書いてくるのでしばしお待ちを

一旦乙

改めて思うがブラッジャー危なすぎだよな…頭に当たったら死ぬぞ
あと実況キャラはグリフィンじゃなくてレイブンかパフだったら良かったな
クィディッチ関連は全体的に作者のグリフィン贔屓が酷い

そういやクラッブとゴイルが空気だけど一応つるんではいるのかな
フォイも他のスリザリン生から「何でグリフィンドールの奴と…」とか思われてるんだろうけど

>>103
これは発想にありませんでした
良いアイデアだと思うので採用することもあるかと思います
ただ実況といえばジョーダンのイメージがあるのでジョーダンはたぶん固定させます

>>111
一応、まだクラッブやゴイルともつるんでます
ただ常にボディガードとしてそばに置いているというわけではありません
ドラコとしては、馬鹿な二人を面倒みてやってるという意識のほうが強くなってるかと思います

加速による反動を感じながらも、僕はクアッフルを落とすことなく相手ゴールに向かって突撃した

あっという間に相手の包囲網を突っ切ると、キーパーと1対1になる

半分不意打ちのようなものだ。加えてキーパーは一人、ゴールは三つ

この状況ならシュートを決めるほうが圧倒的に有利だと、ウッドも言っていた

『いっけえ…!』

落ち着いて左のゴールを狙うと、クアッフルは綺麗に吸い込まれていった

ジョーダン「ゴール!グリフィンドール追加点!」

ジョーダンの声と一緒に歓声が響いた

なおも直進しようとするソルブルを抑えながら、宙返りでグリフィンドール側の陣地に戻る

これで60対60の同点、試合はまだまだこれからだ

正直上手く行きすぎたくらいだし、気を引き締めないと

ミラ「ねえ!見た、見たでしょ!?あの子うちの子なの!あたしの弟なのよ!」

ミラ「すごいでしょ!格好いいわよ!エリオットー!!」

『……………』

マクゴナガル「ランバート!少しは落ち着きなさい!」

ありがとうございます、マクゴナガル先生…

嬉しいけど、すごく恥ずかしいのでとても助かります…

ジョーダン「えー、只今入ってきた情報によりますと、なんとエリオット・ランバートはソルブラーのようです!」

ジョーダン「一年生でソルブルを乗りこなせるとは、ウッドも恐ろしい選手を育成したものです!」

ジョーダンがソルブルについて説明している間にも、試合は進む

途中で完全にソルブルについての批評に変わって、またもマクゴナガル先生が怒鳴り声を上げるのが聞こえた

本当にお疲れ様です、マクゴナガル先生…

真っ向から相手チェイサーの抱えるクアッフルを弾き飛ばすと、そのまま加速しながらキャッチする

加速力と最高速度に優れたソルブルだからできる強みだ

強引に大きく旋回しながら、ゴールまで近付くとブラッジャーが風を切る音を感じてとっさに躱す

そしてゴール前に待ち構えていたアリシアにパスした

アリシアはパスしたクアッフルを、受け取ることなく箒で器用に打ち返してシュートを打った

ジョーダン「今度はアリシアがゴール!これで70対60!」

ジョーダン「グリフィンドール一歩リード!」

ウッド「よし!いいぞ!この勢いに乗るんだ!」

その言葉の通り、ウッドはハッフルパフのシュートを見事にセーブして、僕にクアッフルをパスした

もう一度、ゴールまでの最短距離を突っ切ろうと加速する

だけど、そう何度も簡単に行くわけがない

チェイサー二人が、僕の行く手を阻もうと突進してきた

こうなることは、試合前からわかっていたことだ

だから僕もウッドに同じことを聞いたことがある

『ねえ、ウッド。ソルブルが加速力と最高速度に優れた箒なのはわかったけどさ』

『小回りが効かないなら、どうやって敵のマークを振り切ればいいの?』

『どんなに速くても、敵にマークされたらそれだけで動けなくなりそうじゃない?』

ウッド「良い質問だね、エリオット」

ウッド「けど、答えは簡単だよ。そういう時は発想を逆転させればいい」

『逆転…?』

ウッド「振り切ろうとするな!強引に突っ切るんだ!」

『えぇ…』

僕は相手を怪我させないことだけを考えながら、さらに加速する

そしてウッドの言葉通り、強引に突っ切った

ウッドが言うには、このスタイルこそがソルブラーの真骨頂らしい

勢いに乗る暴れ牛を、真っ向から止める方法なんて無いそうだ

再びゴール前、1対1の状況

ここで外すほど…

ジョーダン「ゴール!グリフィンドールさらに追加点!ついに点差が開きました!」

やわな練習はしてきてないつもりだ…!

ジョーダン「こんなことがあり得るのでしょうか!」

ジョーダン「プロでも乗りこなせる者はほとんどいないというソルブルを、一年生の選手が完璧に乗りこなしています!」

ミラ「あたしの弟よ!あたしの弟なの!」

ジョーダン「競技場は完全に暴れ牛の勢いに支配されています!」

ジョーダン「グリフィンドール、さらに畳み掛けることができるのか!?」

アリシア「絶好調じゃない、エリオット」

ケイティ「ここが狙いどころね、ガンガン行くわよ」

『うん、むしろここからが本番だよ』

『たぶん、僕へのマークはさらにキツくなるだろうし』

『頼んだよアリシア、ケイティ!』

プレー再開と同時に、僕は二人のチェイサーに挟まれるようにマークを受けた

勢いに乗ったソルブルを止める方法が無い以上、二人がかりでクアッフルを持つ前から動きを止めるしかない

けど、一人に二人がかりでマークをつけるということは…

ジョーダン「ケイティ、アリシアと連携しながらクアッフルを奪いました!」

ジョーダン「二人が並んで、ゴールに向かって走ります!」

ジョーダン「ブラッジャーも躱した!ゴールは目の前だ!」

ジョーダン「ケイティ!アリシアにパス!アリシアがシュートを…!」

ジョーダン「いや!更にケイティに戻した!ケイティがシュートを打つ!」

ジョーダン「見事、ゴール!これはキーパーもたまったものじゃありません!」

ジョーダン「完全にグリフィンドールの作戦がハマっています!」

ジョーダン「これにはウッドもニッコリ!」

ジョーダン「まさにしてやったりという表情だ!」

そう、ここまで含めてウッドの作戦通りなんだ

ソルブルは加速力、最高速度、耐久力に優れたパワー系の箒

突破力は数ある箒の中でも随一らしい

ソルブルを止めるには、ソルブルに並ぶほどパワーのある箒か

それよりも速い箒でクアッフルを奪うしかない

けど普通の箒じゃそれができない

二人がかりでマークするしか対抗策が無いから、その分残りの二人のチェイサーが自由になる

ようはソルブラーは、最初から対策必須の選手なんだそうだ

ウッドがチェイサーにソルブラーが一人いるだけで、チームの強さが全然変わると言ったのはそういう理由だったらしい

僕へのマークが外れると、僕が自分で決めるか、アリシアかケイティにパスを通す

僕へのマークが強くなると、その分アリシアとケイティが活躍する

そんな感じで気づけば点差は50点にまで広がっていた

フレッド「すごいな、練習じゃあそこまで乗りこなせてなかったのに」

ジョージ「きっと土壇場に強いのさ。あとはハリーがスニッチを捕まえれば…」

その直後、ハリーが突然ものすごい急降下を始めた

セドリックも後を追うように、箒を加速させている

真紅と黄色の閃光が、どちらが速いかを競っているかのように並んでいる

そのあまりの素晴らしさに観衆は息を呑み、大歓声を上げた

ジョーダン「これは!ついにハリー・ポッターがスニッチを見つけた!」

ジョーダン「しかしセドリック・ディゴリーも負けてはいません!」

ジョーダン「いやむしろリードしているくらいだ!」

ジョーダン「それもそのはず、セドリックの箒はハープスター!」

ジョーダン「たとえニンバス2000が相手でも、急降下ならハープスターの方が勝ります!」

すごい、ハリー以上に急降下が上手い人がいたなんて…!

二人とも普通ならそのまま地面にぶつかるほどのスピードを出している

にも関わらず、まるでなんでもないことかのように地面ギリギリの位置で箒を水平に保って、更にスニッチを追いかける

セドリックが手を伸ばしている…!

でもハリーも後ろから追いかけている、直線距離での加速ならニンバスの方が上だ!

ジリジリと距離を詰めながら、今度は目の前に壁が迫った

そこで、スニッチは上に向かって飛んだ…!

そこが勝負の別れ目だった

ひたむきにスニッチを追いかけたセドリックと、たぶんスニッチの飛ぶ方向を予想していたハリー

急上昇のスタートを切る場所で差がついた

セドリックはとっさに箒から飛び上がってスニッチを掴もうとしたけど、わずかに届かなかった

そしてハリーが手を下からすくい上げるようにして、スニッチを掴むとそのまま高々と手を上げた

地鳴りのような歓声が響いた、誰もが狂喜して飛び跳ねている

ジョーダン「試合終了ーーー!!ハリー・ポッターがスニッチをキャッチ!!」

ジョーダン「グリフィンドール!260対60でハッフルパフ戦を制しました!」

みんなが一足先に着地したハリーのもとに集まっていく

『やった!やったね!ハリーさすがだよ!』

ハリー「自分でも信じられないよ…!」

フレッドとジョージは、ハリーのことを「ポッター大統領だ!」って呼びながら棍棒でハイタッチしてるし

ウッドは喜びすぎて半泣きになっている

アリシアとケイティは、控え応援席のアンジェリーナに大きく手を振っていた

??「おめでとう、グリフィンドール」

誰かがウッドに手を差し出してきた

ハッフルパフのシーカー、セドリック・ディゴリーだ

ウッドとセドリックが固い握手を交わすと、更に大きな歓声が響いた

セドリック「きみはすごいな、ハリー。良い勝負だったよ、僕の完敗だ」

ハリー「ありがとうございます、ディゴリー」

セドリック「セドリックでいいよ。また戦おう、僕たちももっともっと練習に励むよ」

セドリック「きみたちみたいな一年生が出てきたとなっちゃ、負けていられないからね!」

僕やハリーとも笑顔で握手を交わしてくれた

本当に爽やかで格好いい人だと思った

壁に突っ込んだ時に、怪我したんだろう

肩を抑えながらも、セドリックは自分の足で観衆たちの声援に応えながら競技場から去っていった

スネイプ「…大したものだ、ランバート」

『あっ、スネイプ先生!』

スネイプ「君は父上とは違う、父上はシーカーだったのだからな」

スネイプ「だが、父上にも勝るとも劣らない才能があるようだ」

スネイプ「誇りに思うのだな」

一瞬、スネイプ先生がなにを言ったのかわからなかった…

でも、スネイプ先生が僕を褒めてくれたこと

父さんに囚われすぎるな、君は君だ

と言ってくれてるんだとわかって、震えるほど嬉しくなった

『ありがとうございます、スネイプ先生…!』

色んな気持ちを込めて、僕は感謝の言葉を口にした

スネイプ先生はいつものように、それ以上なにも言わずに静かに去っていった

最後に少しだけ、ハリーに目をやったようにも見えたけど

ドラコ「……………」

ドラコ「エリオットはあんなに活躍したのに、僕はなにをやっているんだ…?」

ドラコ「僕だって代表選手なのに…」

ドラコ「僕だって試合に出れれば、ポッターなんかに負けないのに…!」

ドラコ「このまま終われるか、認めさせてやる…!みんなに僕の才能を!」

ドラコ「エリオットだけに良い格好をさせるものか!」

パンジー「ドラコ、怖い顔してるわよ…?」

パンジー「グリフィンドールが勝って恨めしいのはわかるけど、そんな顔しなくても…」

ドラコ「違う!そんなものと一緒にするな!」

ドラコは一人、競技場を出るとコメット260を握りしめて夕暮れの空を飛び回った

グリフィンドールの談話室はお祭り騒ぎだった

フレッドとジョージが、キッチンからケーキやらなんやらを失敬してきたらしく

もう何度目になるかわからないほど、みんな乾杯しては料理を口に運んでいた

ハーマイオニー「ねえ、エリオット。ハリーはまだ帰ってこないの?」

『…うん、どうしたんだろう?』

『たぶん、箒を置きに行っただけだと思うんだけど…遅いよね』

ロン「勝利に酔いしれてるんだろうさ、それくらいすごいことを成し遂げたんだ!」

ロン「でも早く戻ってくればいいのにな!今日のハリーは英雄なのに!」

誰かが僕の肩に手を置いた

振り返ると、そこには真剣な顔をしたハリーがいた

ハーマイオニー「ハリー!いったいどこにいたのよ!」

ロン「僕らが勝った!きみが勝った!僕らの勝ちだ!」

ロン「早く乾杯しよう!みんなきみを待ってたんだ!」

ハリー「それどころじゃない…!」

『ハリー…?』

ハリーが息もつかずに言った

ハリー「どこか誰もいない部屋を探そう。大変な話があるんだ…」

ハリーに連れられて、空き教室に入ると

ハリーは今見てきたこと、聞いてきたことなんだと切り出して話始めた

隠されているものが賢者の石に間違いないこと

フラッフィー以外にも、何か別なものが石を守っていること

そしてスネイプ先生が石を手に入れようと、クィレル先生を脅していたんだと…

ハリー「僕たちは正しかったんだよ、きっと人を惑わす魔法がいっぱいあるんだ」

ハリー「クィレルが闇の魔術に対抗する呪文をかけていて、スネイプがそれを破らなくちゃいけないのかもしれない…」

ハーマイオニー「それじゃ賢者の石が安全なのは、クィレルがスネイプに抵抗してる間だけということになるわ」

ロン「それじゃ三日ともたないな。石はすぐになくなっちゃうよ」

『……………』

あんまりな勘違いに、頭がクラクラするのを感じた

きっとスネイプ先生は、クィレル先生が石を盗まないように警告しただけなのに…

しかも、それは違うんだってハリーたちに教えてあげられないのが、すごくもどかしい…

ハーマイオニー「エリオット、大丈夫?顔色悪いわよ?」

『うん…大丈夫だよ。全然、平気…』

口ではそう言ったけど、全然大丈夫じゃなかった

本当になんでこんな勘違いが起きちゃったんだろう…

原因が今までのスネイプ先生の態度だとわかりきっているだけに

とにかくやるせない気持ちでいっぱいだった…

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハリー↓1
フレッド・ジョージ↓2
アンジェリーナ↓3

ハリー 3+10=13
フレッド・ジョージ 3+1=4
アンジェリーナ 3+6=9

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 14/40 次の段階まで残り26
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 2【友だち】 9/30 次の段階まで残り21
ハンナ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

自由行動の時間です
以下から一つ選択

ハリーと遊ぶ
ロンと遊ぶ
ハーマイオニーと遊ぶ
ネビルと遊ぶ
フレッド・ジョージと遊ぶ
ドラコと遊ぶ
ハンナと遊ぶ
アンジェリーナと遊ぶ
チョウと遊ぶ
セドリックと遊ぶ

魔力を鍛える
体力を鍛える
知力を鍛える
魅力を鍛える

↓1

ドラコと遊ぼう

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ドラコ

↓1

ドラコ 3+8=11

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 14/40 次の段階まで残り26
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 2【友だち】 20/30 次の段階まで残り10
ハンナ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

設定、解説は前スレに貼りますよー

興味ある人は覗いてみてね

というわけで今日は以上

真面目にほぼ完全オリジナルクィディッチ回を書いてみてとりあえず一言

マジでスニッチ150点はやりすぎなんじゃなかろうか…
エリオットにあんだけ無双させたのにあっという間にひっくり返る点数だし…

色んな戦術があるみたいだけど
これならチェイサー三人がシーカーをマークして、ビーターがシーカーをガン狙いするのが一番確実なような気がする

(反則なのかもしれないけど…)

そう思わずにはいられない>>1なのでした

読み直してるとハンナの好感度が反映されてないのに気づきました
こっちが正しいはずです


<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 14/40 次の段階まで残り26
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 2【友だち】 20/30 次の段階まで残り10
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

>>1としては

クィディッチはエリオットやその他みんなを活躍させる為のおまけの舞台装置だと思ってるので
点数そのものを変更するまではしなくてもいいかなぁと思ってます

チェイサーにしたのも仲間と協力しながら点を取るほうがエリオットらしいと思ったからですし

議論巻き起こすような発言してごめんね

それから何週間が経って

ハリーたちは、クィレル先生が口を割らないか、常に気にするようになった

ハリーたちからすれば、クィレル先生はスネイプ先生から石を守っている良い先生に見えるみたいで

ハリーは、クィレル先生に会うたびに笑顔を向けるようになったし

ロンは、クィレル先生のどもりをからかう子たちをたしなめるようになっていた

このまま二人がクィレル先生と仲良くなっちゃったらどうしようかと、内心気が気じゃなかったけど

幸い、さすがにそこまで好意的なわけじゃないのが、唯一の救いだった

スネイプ先生は実はとても良い人なんだよと、何度か伝えようともしたけど

授業のたびに、スネイプ先生は相変わらずハリーのことを目の敵にしてるせいで、到底信じてもらえなかった

それどころか

「ランバートはマルフォイとペアを組むように」

とスネイプ先生が度々指示するようになって

いつの間にか、僕までスネイプ先生に贔屓されるようになった

(ドラコには五点あげて、僕には一点なのがお決まりのパターンだけど…)

おかげで僕がいくら説明しようとしても

「エリオットはスネイプに気に入られてるから、そう見えるんだよ」

という一言であしらわれるようになっちゃって、僕としては本当に困ったものだった…

思い切って、なんでハリーにきつく当たるのか聞いてみたりもしたけど

すごい目つきでグチグチお説教されちゃったし…

本当になんでスネイプ先生ってああなんだろう…

良い人なのに、良い人なのに…

なんであんなに誤解を受けるような振る舞いばっかり…

ドラコもそうだし、スリザリンの人たちってもしかして照れ屋なのかな

『うーん…』

ドラコ「どうした、エリオット?」

ドラコ「どこかわからないところでもあるのか?」

『ねえ、ドラコ。ドラコって自分が照れ屋だなぁって思う時ある?』

ドラコ「きみは授業中に何を考えてるんだ…?」

ドラコ「そんな下らないことを考えてる暇があったら真面目に勉強しろ、バカ」

『はい…』

実際、試験が近づいてきたから

そろそろ本格的に勉強に取り組まないといけない時期になった

ハーマイオニーは復習リストを作り始めて、今まで以上に勉強熱心になったし

いつも一緒に予習してたのもあって、僕も同じペースでテスト勉強を始めた

しかもハーマイオニーは、ハリーとロンにも同じように勉強しなさいとしつこく勧めていた

ハリー「ハーマイオニーはどうしてそんなに熱心なの?」

ハリー「試験はまだずーっと先なのに」

ハーマイオニー「あと十週間しかないのよ、ずーっと先じゃないわ」

ハーマイオニー「ニコラス・フラメルからすれば、ほんの一瞬のはずよ」

ロン「僕たち六百歳じゃないんだけど?」

ハリー「エリオットもハーマイオニーと同じ考えなの?」

『いや…僕はただ勉強が苦手だから、早めに取り組まないと不安なだけだよ』

『留年したくないし…』

僕の言葉をきっかけに、ハリーとロンはしぶしぶテスト勉強に取り組むようになった

ハーマイオニーは意識が欠けているとか、もっと高い目標をもって取り組むべきだとか不満げだったけど…

結局僕たちは四人揃って、自由時間のほとんどをテスト勉強に費やすようになった

『ねえ、ロン…。世の中には自動速記羽ペンっていうものがあるらしいよ…』

ロン「それが…?」

『自動宿題解決羽ペンとかあったら、素晴らしいと思わない…?』

ロン「最高だね…全財産投げ出しても手に入れるよ」

ハリー「今みぞの鏡を見たら、その羽ペン持ってる姿が映るかも…」

ハーマイオニー「あなたたち本当にお馬鹿さんね!宿題は自分でやらないと意味がないでしょ!」

『わかってはいるよ…わかってはいるんだけどね…』

ロン「ああ…なんで空はあんなに青いんだろう…恨めしいなぁ…」

僕とロンは勉強続きの毎日にいい加減参っていた…

ちょっとくらい気分転換できるなにかがあってもいいと思うんだけどなぁ…

そんなことを考えながら、一休みしてると意外な人の姿を見かけた

ロン「ハグリッド!図書館で何してるんだい?」

ロンが声をかけると、ハグリッドはバツが悪そうにモジモジしながら現れた

後ろ手になにか本を隠しているのが見える

ハグリッド「いや、ちーっと見てるだけ」

ハーマイオニー「なんの本を隠してるの?」

ハグリッド「隠してなんかねえ!これは…そのなんだ、ちょっとした趣味みたいなもんで…」

ハリー「『趣味と実益を兼ねたドラゴンの育て方』?ハグリッド、ドラゴンを飼う気なの?」

ハリーがそっとハグリッドの背中側に回ると、本のタイトルを口に出した

ハグリッド「シーッ!ここでそんなこと喋られちゃ困る!」

ハリー「じゃあ小屋で聞くよ、それならいいでしょ?」

ハグリッドはどうしようか迷ったみたいだけど、結局僕たちを小屋まで案内してくれた

驚いたことにカーテンが全部閉まってて、暖炉はゴウゴウと炎が上がっていた

ハグリッドの出してくれる紅茶は好きだけど、今日ばかりは冷たい水が飲みたいと思うくらいすごい熱気だった

ロン「ハグリッド、これってドラゴンの卵だよね。しかもたぶん、ノルウェー・リッジバックだ」

ロン「チャーリーがルーマニアで研究してる種類だよ、写真で同じ卵を見たことがある」

炎の真ん中、やかんの下の大きな黒い卵を指差しながらロンが言った

『これがドラゴンの卵なの…!?』

『しかもヒビが入ってるよ!』

ハグリッド「ああ、そろそろ孵るんだ。お前さんたちは良いタイミングで来た」

ハグリッド「本当は教えようかちと迷ったんだが、ドラゴンの卵が孵るところなんてそう滅多に見られるもんでもないからな」

ハグリッド「俺も初めて見るんだ、貴重な経験だぞ」

ハーマイオニー「ハグリッド、ドラゴンの飼育は違法よ」

ハーマイオニー「一七〇九年のワーロック法でそう決められてるでしょ?」

ハグリッド「えーと、それはだな…あの…その…」

ロン「そもそもどこで手に入れたの?すごく高かったろう」

ハグリッド「賭けに勝ったんだ、先日村まで行って、ちょっと酒を飲んで、知らないやつとトランプをしてな」

ハグリッド「はっきりいえば、そいつも厄介払いができたと喜んどった」

ハーマイオニーの質問をスルーすると、ロンの質問に早口で答えた

ハーマイオニーは困ったように、ため息をついた

ハリー「ねえ、ハグリッド。卵が孵ったらどうするつもりなの?」

ハグリッド「それを本で調べとったんだ、えーっと、ここだ、ここを見てみろや」

ハグリッド「孵った時にはブランデーと鶏の血を混ぜて、三〇分ごとにバケツ一杯飲ませろとある」

ハリー「そうじゃなくて…どうやって飼う気なの?」

ハリー「ドラゴンなんだから、そのうち大きくなるんじゃない?」

ロン「そのうちなんてもんじゃないよ…。一週間で三倍になるらしいよ」

ロン「ノルウェー・リッジバックは、一ヶ月で火を吹くようになるってチャーリーが言ってたし…」

ハーマイオニー「ハグリッド。この家は木の家なのよ…」

ハグリッド「いや、まあ…それはそうなんだが…」

『ねえ!コツン、コツンって音が聞こえるよ!』

『もうすぐ出てくるんじゃない!?』

ハグリッド「なんだと!?」

ハグリッド「どいてくれ!エリオット!俺がママだ!」

『あ、ずるいよ!ハグリッド、僕だって見たい!』

ハグリッド「俺が貰った卵だ!ママになる権利は俺にある!」

『ママじゃなくてパパでしょ!ハグリッドは!』

ハリー「待ってよ、僕も見たい!」

ロン「押すなよ!みんなで見ようよ、みんなで!」

なんだかんだハリーとロンも興味津々みたいだ

結局、テーブルの上に卵を置いて、みんなで卵の孵る瞬間を見守ることにした

ハーマイオニー「男の人って、どうしてこういうのが好きなの?」

ロン「何言ってるんだよ、ドラゴンが孵るんだよ」

ロン「誰だって見たいだろ、そんな瞬間」

ハーマイオニー「私はそれよりもフラッフィー以外に、賢者の石を守っているのは何なのかが気になるわ」

ハグリッド「そんなこと知ろうとするもんじゃない。大体、お前さんたちはもう知りすぎとる」

ハグリッド「賢者の石だって、フラッフィーのことだって、どうやって知ったんだ?」

ハグリッドはしかめっ面をした

僕としては、これ以上みんなに危険な秘密に近付いて欲しくない

だから、心の中でハグリッドを応援した

ハーマイオニー「ねえ、ハグリッド。私たちに言いたくないだけで、本当は知ってるんでしょう?」

ハーマイオニー「だって、ホグワーツであなたの知らないことなんて、あるはず無いわ」

ハグリッドのヒゲがピクピク動いて、ニコリとしたのがわかった

あ、まずい…

ハーマイオニー「私たち、石が盗まれないように、誰がどうやって守りを固めたのかなぁって考えてるだけなのよ」

ハーマイオニー「ダンブルドアが信頼して助けを借りるのは誰かしらね、ハグリッド以外に」

その言葉が駄目押しだった

ハグリッドは誇らしげに胸をそらしてる…

『ねえ、ハグリッド…あのさ…』

ハグリッド「まあ、それくらいなら言っても構わんだろう」

ハグリッドーーーっ!!

あまりの口の軽さに心の中で絶叫すると、横でハリーとロンが小さくガッツポーズしてるのが見えた…

ハグリッド「俺からフラッフィーを借りて、何人かの先生が魔法の罠をかけて…」

ハグリッド「たしかスプラウト先生、フリットウィック先生、マクゴナガル先生、それから…」

ハグリッド「クィレル先生、もちろんダンブルドア先生もちょっと細工したし、あとはスネイプ先生だな」

ハリー「スネイプだって!?」

ハグリッド「なんだ?まだスネイプ先生を疑っとるのか?」

ハグリッド「スネイプ先生は石を守る手助けをしたんだぞ、盗もうとするはずがない」

ハーマイオニー「スネイプが石を守る手助けをしたのなら…」

ハーマイオニー「他の先生がどんなやり方で守ろうとしたのか、知っててもおかしくないわね…」

ハーマイオニーが小声で僕に耳打ちした

つまりクィレル先生は…たぶんフラッフィーを出し抜く方法以外全部わかったのかもしれない…

それを察して、スネイプ先生はクィレル先生に警告したんだ…

ハリー「ねえ、ハグリッド…。ハグリッドだけがフラッフィーを大人しくさせられるんだよね?」

ハリー「誰にも教えたりしてないよね?たとえ先生にだって」

ハグリッド「もちろんだ、俺とダンブルドア先生以外には誰一人として知らん」

ロン「そっか、それなら大丈夫だね」

ハリーとロンも似たようなことを考えてたらしく、一安心したみたいだ

突然、卵からキーッと引っ掻くような音が聞こえた

みんなが息を潜めて卵に注目すると、卵の殻がパリッと弾けて赤ちゃんドラゴンが出てきた

ハグリッド「おおう…!どうだ?すばらしく美しかろう?」

『美しいっていうより可愛いじゃない?』

『ほら、目がまだ半開きだよ。産まれたばかりだから眠いのかな?』

ハリー「美しい…?」

ハーマイオニー「可愛い…?」

ハリーとハーマイオニーがなぜか怪訝そうな顔でそう言った

ハグリッドがドラゴンの頭を撫でようとすると、牙を見せて噛み付こうとした

『だめだよ、ハグリッド』

『産まれたばかりなんだから、いきなり撫でようとしたら怖がらせちゃうよ』

ハグリッド「おおっとすまねえ!ちと興奮しすぎたみたいだ!」

『とりあえずこういう時は、握手からだよね』

『初めまして、ドラゴンさん。僕はエリオットだよ』

翼に直接生えている指の部分に触れながら、挨拶した

ピューイって鳴き声がやっぱりとても可愛い

ハグリッド「ノーバートって呼んでくれや、こいつの名前だ」

ハリー「名前…?」

ハーマイオニー「本気で飼う気なの?」

ロン「外に放してあげようよ。自由にしてあげれば?」

ハグリッド「そんなことはできん!まだこんな赤ちゃんなんだぞ!死んでしまう!」

『そうだよ!せめてもうちょっと大きくなるまでお世話してあげないと!』

『それよりハグリッド。ノーバートって男の子の名前でしょ』

『この子がもし女の子だったら可哀想じゃない?ピューイって名前にしてあげようよ』

ハグリッド「だめだ!俺が貰った卵なんだ!俺がママだ!名付け親には俺がなる!」

『だからハグリッドはママって言うよりパパじゃない!僕がママになる!』

その後、日が暮れるまで口論した結果

ハグリッドがパパ、僕がママということで話は落ち着いた

名前に関しては、僕もハグリッドもガンとして譲らなかったから、本気のトランプ三本勝負で決着をつけた

ハグリッド「ほらほらノーバートや。パパちゃんはどこだい?」

ノーバート「ピューイ!ピューイ!」

『僕、本当にこういう勝負弱すぎ…』

ハリー「ねえ、一つ思ったこと言っていい…?」

ロン「…なんだい?」

ハリー「エリオットって将来絶対、過保護なパパになりそうだよね…」

ハーマイオニー「間違いないわね…」

一週間が経つ頃には、ノーバートはミセス・ノリスよりも大きくなっていた

眠そうな半開きの目は、どうやらこの子の特徴だったらしい

まだ産まれて一週間なのに、ノーバートは握手なんて芸をマスターした

『賢いね、ドラゴンって頭の良い生き物なの?』

ハグリッド「そうだぞ。多くの奴らはただ凶暴な生き物だと勘違いしとるが、そうじゃねえんだ」

ハグリッド「古くから生きている生き物だからな、愛情を注いでやればちゃんと懐いてくれる」

ハーマイオニー「ドラゴンは訓練することも飼い慣らすことも不可能って、『幻の動物とその生息地』って本に書いてあったわよ」

ロン「チャーリーが、ドラゴンの炎にやられたっていう火傷の痕を見せてやりたいよ…」

ノーバートは顎の下や首の周りを、コチョコチョ撫でてあげるのがお気に入りみたいだった

たまにくしゃみをすると火花を出すあたり、本当に一ヶ月で炎を吐けるようになりそうだ

ハリー「やっぱりずっと飼うわけにはいかないよ」

ハリー「火を吐くようになるし、すぐにこの小屋よりも大きくなるよ」

ハグリッド「俺だって…ずっと飼えんのはわかっとる」

ハグリッド「いつかは野生に返してやらんとな…」

『でも、まだ小さすぎるよ…。それにできれば仲間のいるところに放してあげたいし…』

ノーバートは、本当にハグリッドと僕をパパとママだと思ってるみたいだし…

ここまで懐いてくれてると愛着も湧く

ちゃんとノーバートが安心して生活できる場所じゃないと、僕だって不安だ

ハグリッド「エリオット、お前さんは優しいな」

ハグリッド「きっと魔法生物飼育学じゃ、良い成績をおさめられるはずだぞ」

『魔法生物飼育学…?』

ハグリッド「三年生から習う授業だ。今はケトルバーン先生が担当しとる」

ハグリッド「チャーリーもえらく優秀でな、それが認められてドラゴン使いに…」

ロン「そうだ!チャーリーだよ!」

ロンが大きな声を上げた

ロン「チャーリーにノーバートを預ければいいんだ!」

ロン「僕、手紙を送ってみるよ!」

『チャーリーってたしか、ルーマニアでドラゴンの研究をしてるんだよね…?』

ロン「しかもノルウェー・リッジバックの研究をしてるんだ!」

ロン「きっと仲間だってたくさんいる!ノーバートも安全だよ!」

ハグリッド「あ、ああ…。チャーリーならたしかに安心だ…。でもな…」

ハーマイオニー「ハグリッド、何度も言うけどドラゴンの飼育は違法なのよ」

ハーマイオニー「私、あなたがアズカバン送りにされちゃうのは嫌よ」

ハグリッド「……………」

『ハグリッド…。もちろん僕も寂しいよ、でもノーバートの幸せを考えてあげよう』

『やっぱりここは、ノーバートが生きるには狭すぎるんだよ…』

ハグリッドの背中に手を置いて、そう言うと

しばらく黙った後に、短く「わかった…」と答えてくれた

それから自由時間のほとんどは、ハグリッドの小屋で過ごすようになった

ノーバートはやんちゃな性格みたいで、よく僕に尻尾でビンタしたり

ハグリッドのブーツに噛み付いたりするようになった

ハグリッド「難しい時期だからな、ノーバートは」

『遊びたがりなんだよ、まだ子どもだもん』

ロン「エリオットが狂った…」

ハーマイオニー「前から変わった子だとは思ってたけど…」

ハリー「さすがにその言い方はやめてあげなよ…」

遊び疲れてまどろんでるノーバートのために、ハグリッドから貰った木の縦笛で子守唄を吹いてあげた

ファングやフラッフィーにも、いつもこうやって寝かしつけてやってたんだ、とハグリッドは言った

ハグリッド「筋がいいな、エリオット。もう吹けるようになったのか」

『勉強以外なら任せといてよ』

寮までの帰り道、ヘドウィグがチャーリーからの返事を持って戻ってきた

手紙には

喜んでノーバートを引き取ってくれるということ

法律違反のドラゴンを運ぶところを見られてはいけないこと

そのために、土曜日の深夜零時、一番高い塔にノーバートを連れてきて欲しい

と書かれてあった

ハリー「透明マントがある」

ハリー「できなくはないよ。僕ともう一人とノーバートくらいなら、隠せるんじゃないかな?」

『でも規則違反だよね…』

ハーマイオニー「仕方ないわよ。早くドラゴンを預けないと、本当にハグリッドが法律違反で捕まっちゃうわ」

ロン「規則違反と法律違反じゃ、規則違反の方がマシだね」

『うん、そうだね…』

ロン「エリオットの気が進まないなら、僕が行くよ」

ロン「久しぶりにチャーリーに会えるかもしれないし」

『ううん…。僕に行かせて、最後まで見送りたいんだ』

ハリー「よし、じゃあ僕とエリオットで行こう」

ハリー「土曜日の深夜零時に…一番高い塔ってどこだっけ?」

ハーマイオニー「天文台の塔よ。ちなみに生徒は普段の立ち入り禁止」

ハーマイオニー「二重で規則を破ることになるわね」

ハーマイオニー「見つからないように、気をつけなさい」

四人で顔を見合わせていると、聞き慣れた声が聞こえてきた

ドラコ「なんの悪巧みだ、ポッター?」

『ドラコ!』

ハリー「マルフォイ…!」

ロン「盗み聞きか…?いつから聞いてたんだよ?」

ドラコ「きみに答える義理は無いね、ウィーズリー」

『いつから聞いてたの、ドラコ?』

ドラコ「ポッターたちがきみを唆して、規則違反させようとしているところからだよ。エリオット」

ロン「……………」

ドラコ「土曜日の深夜に天文台に忍び込むだって?」

ドラコ「なにを企んでいるかは知らないが、どうせろくでもないことなんだろう?」

ドラコ「しかもそんな悪巧みに、エリオットを巻き込もうだなんて」

『違うんだよ…!ドラコ、僕は…!』

ハリー「お前には関係ないだろ、マルフォイ」

ロン「そうだよ、あっち行けよ!」

ドラコ「フン…!だから言ったんだ、エリオット」

ドラコ「ポッターたちと付き合うのはやめろって」

ドラコ「こいつらに付き合ってると、きみまで駄目になる」

ドラコ「はっきりとわかっただろう?」

ハーマイオニー「エリオット…!あなたそんなこと言われてたの!?」

『初めてドラコと会った頃にね…。でも僕は、ハリーたちとドラコに仲良くなってほし…』

ハーマイオニー「最低ね!それがあなたたちのやり方ってわけ!?」

ロン「本当に卑怯だな、スリザリンは!」

ドラコ「傲慢なグリフィンドールにだけは言われたくないな!」

ハリー「なんだって…!?」

『ちょっと…!みんな落ち着いて…!』

『ケンカは駄目だよ!落ち着いて話し合おうよ、ねっ!』

ロン「マルフォイなんかと話し合うことなんてないよ!」

ドラコ「ああ、僕もきみたちと話し合うつもりなんてないさ!」

ドラコ「覚悟しておけよ、ポッター!」

ドラコ「絶対現行犯で見つけて、フィルチに突き出してやる!」

『あ、待って…!ドラコっ!』

必死に呼び止めたけど、ドラコはそのまま走り去って行ってしまった…

ハーマイオニー「…面倒なことになったわね。あの様子じゃ、土曜日邪魔しに来るわよ」

ハリー「問題ないよ、僕らには透明マントがあるんだから」

『でも、ドラコは僕たちが規則を破らないように、止めてくれようとしてるのに…』

ロン「いちいちそんなこと気に病むなよ」

ロン「あいつは僕たちが罰則を受けるところが見たいだけさ」

『ドラコはそんな悪い子じゃないよ、ただ僕たちを心配して…』

ハーマイオニー「悪い子じゃないなら、あなたに私たちとの付き合いをやめろなんて言わないわよ」

ハーマイオニー「それに、まだネビルに謝ってもいないんでしょ?」

『それは最初に会った時のことだし、ドラコだって本当は反省してて…』

ハリー「とにかく!計画は変えられないよ」

ハリー「チャーリーにまたふくろう便を送る暇は無いし、ノーバートを何とかする最後のチャンスなんだ」

ハリー「どうする、エリオット。ロンと変わる?」

ハリー「きみがどうしても規則を破りたくないなら、それでもいいよ」

『……………』

一晩悩んだ結果、僕はハリーと一緒にノーバートを見送ることにした

なんとかドラコに会って事情を説明しようと思ったけど

ドラコは僕と会うのを避けてるみたいで、連れのクラッブ君とゴイル君に何度も阻まれて

結局、土曜日になっても、ドラコと顔を合わせることはできなかった…

暗く曇った夜だった

僕とハグリッドは、最後にノーバートと握手したり、顎の下をたっぷり撫でてあげると

二人で子守唄を吹いてノーバートを眠らせてあげた

ハグリッド「長旅だからな、エサのネズミをたくさん用意しといた」

ハグリッド「ブランデーも入れてある」

ハグリッド「寂しいといけないから、テディベアのぬいぐるみも入れてやろう」

『良いアイデアだね、きっとノーバートも喜ぶよ』

丸くなって眠るノーバートを見てると、自然と涙が零れそうになった…

ハグリッド「さよなら、ノーバート…。パパちゃんは決してお前を忘れないよ」

ハグリッドはすでにしゃくり上げていた

『きっとまた会えるよ、いつの日かきっと…』

『そうでしょ、ハグリッド?』

ハグリッド「ああ、そうだな…。さよならなんて言うもんじゃねえな」

ハグリッド「元気でな、ノーバート」

ハグリッドが木箱の蓋をしめると、僕たちは透明マントに隠れて天文台の塔を目指して出発した

ノーバートはすでに、ファングよりも大きくなっていたから、二人がかりでも運ぶのは重労働だった

息を切らしながら、塔の下の階段にたどり着いた頃には、すでに零時まであとわずかだった

ハリー「もうすぐだ…!」

『うん、がんばろう。ハリー…!』

その時、目の前でなにかが動いた

危うく木箱を落としそうになりながら、透明になっていることも忘れてとっさに物陰に隠れた

マクゴナガル「罰則です!さらにスリザリンから20点減点!」

マクゴナガル「こんな真夜中にうろつくなんて、なんてことを…!」

ドラコ「先生、誤解です!ハリー・ポッターが来るんです!」

ドラコ「あいつがエリオットを唆して、一緒に規則違反を…!」

マクゴナガル「なんという下らないことを!どうしてそんな嘘をつくんですか!」

マクゴナガル「いらっしゃい、マルフォイ!あなたのことで、スネイプ先生にお目にかからねば…!」

マクゴナガル先生が、ドラコの耳を引っ張って行くのが見えた…!

『先生、待っ…』

ハリー「駄目だよ、エリオット…!見つかっちゃう…!」

『ンー!ンー!』

ハリーが僕の口を抑えている間に、先生とドラコは見えなくなってしまった…

『どうしよう、ハリー…!ドラコが僕のせいで罰則を受けちゃうよ…!』

ハリー「見つかったマルフォイが悪いんだ、気にすることないよ」

『でも…!』

ハリー「それよりも急ごう。早くしないと、零時に間に合わなくなる!」

ハリーに急かされながら、とりあえずノーバートを預けるのを優先させることにした…

らせん階段を登りきって、夜の冷たい外気に触れると、すぐに四本の箒が闇の中から舞い降りてきた

チャーリー「やあ、ハリー・ポッターだね。ロンからの手紙で色々話は聞いてるよ」

チャーリー「それときみはエリオット・ランバートかな?」

チャーリー「君のことは、ハグリッドの手紙にも書いてあったよ」

チャーリー「随分とドラゴンが好きなみたいだね」

チャーリーは、筋肉質でがっしりとした体型の陽気な人だった

燃えるような赤毛はロンたちとそっくりだ

『僕は…ドラゴンが好きなわけじゃないと思います』

『ただ…ノーバートが好きなだけです』

チャーリー「そうかい?じゃあさぞ心配だろう」

チャーリー「安心してくれ。ノーバートは責任を持って僕たちが育てるよ」

『はい、お願いします』

『それと、ありがとうございます。チャーリー』

チャーリーたちは、四人で木箱を牽引する道具を持ち出すと

それにしっかりとノーバートの入った木箱を固定した

ハリー「ノーバート、バイバイだね」

『元気でね、きっとまた会おうね…!』

最後にチャーリーたち四人と握手すると、ついにノーバートは出発した

夜の闇に消えて、本当になにも見えなくなるまで、僕はずっと手を振り続けた…

ハリー「エリオット、泣いてるの…?」

『うん…そうみたい』

『ごめんね、こんな時に…』

ハリー「いいよ、涙が止まるまで待ってるから」

『うん…。ありがとう、ハリー』

涙が乾いた頃には、時計は零時半を刺していた

今なら、まだ間に合うかもしれない…

『ハリー。僕、今からマクゴナガル先生のところに行くよ』

ハリー「本気…!?気は確かかい!?」

ハリー「きみまで減点されちゃうよ!」

『事情がどうあれ、規則を破ったのは事実だからね…』

『みぞの鏡の時にも抜け出したのに、今回まで黙っておくなんてできないよ』

『それに、ドラコにも謝らないと』

ハリー「…………」

ハリーはしばらく僕を見つめたあとに、こう言った

ハリー「…わかった。じゃあ、僕も行くよ」

『えっ…!?いいよ、きみまで付き合うこと無いよ!』

『今日だって、ハリーは僕のわがままに付き合ってくれたのに…!』

ハリー「きみが行かなくても、僕は今日抜け出してたよ」

ハリー「僕だって、ハグリッドやノーバートのことが心配だったんだから」

ハリー「なのに、きみだけ罰を受けるなんてそんなの不公平だ」

『ハリー…』

『きっと明日から、みんなに白い目で見られるよ…?』

『それでもいいの…?』

ハリー「きみだけがそんな目で見られるよりかはマシだよ」

『……………』

ハリー「ちょっと…!泣かないでよ、エリオット!?」

『…無理だよ。僕、そんなこと言ってくれた友だちなんて初めてなんだから…』

ハリー「当たり前だよ。さあ、一緒に行こう」

『うん…!』

僕たちは透明マントに隠れて、マクゴナガル先生の部屋に向かった

部屋の中からは話し声が聞こえる

たぶん、マクゴナガル先生とスネイプ先生。それにドラコの声だ

ハリーが透明マントを小さく折りたたんで、ポケットに隠したのを確認すると

僕はドアをノックした

マクゴナガル「ランバート…!それにポッター!」

マクゴナガル「あなたたち、なぜこんな時間に!」

マクゴナガル先生は、驚いて目を丸くした

『ごめんなさい、先生。お話があるんです』 

『聞いてもらえますか…?』

僕たちは部屋に入ると

僕とハリーが今日寮を抜け出していたこと

ドラコはそれを知ってて、止めるために寮を抜け出した

ということを話した

ドラコはマクゴナガル先生以上に、僕たちがここに来たことを驚いているみたいだった

マクゴナガル「…なるほど。ですが、なぜ寮を抜け出したのですか?」

マクゴナガル「なんの理由もなしにそんなことをするほど、あなたたちは愚かでは無いはずです」

『それは…。ごめんなさい、言えません』

マクゴナガル「言えない…?どういうことですか、ランバート!」

マクゴナガル「あなたに黙秘権があると思っているんですか?」

『思っていません…。でも、言えないんです…』

話してしまえば、ハグリッドがノーバートを飼っていたのがバレてしまう…

そうなれば、ハグリッドは…

マクゴナガル「…ミスター・ポッター。あなたも言えないなどと言うつもりですか?」

ハリー「はい、ごめんなさい、先生…。でも言えないんです…」

マクゴナガル「呆れました…。あなたたちのような子は始めてです…」

マクゴナガル「事情もちゃんと説明しない、言い訳すらしない」

マクゴナガル「ただ罰則を受けるために、ここに来たというのですか?」

マクゴナガル「身勝手すぎるにも程があります。恥ずかしくないんですか?」

『……………』

ハリー「……………」

ドラコ「先生!ポッターがエリオットを唆したんですよ!」

ドラコ「僕、見てたし、聞いてました」

ドラコ「エリオットは乗り気じゃなかったんです!」

『ちがうよ、ドラコ…!僕は自分の意思で…!』

マクゴナガル「お黙りなさい!どんな事情があっても、あなたたちのしたことは許されることではありません!」

スネイプ「…たしかに、そのとおりですな。マクゴナガル先生」

スネイプ「真実薬の一つでも飲ませれば、すぐにマルフォイの言っていることが真実だとわかりそうなものですが…」

マクゴナガル「生徒への真実薬の使用は禁じられていますよ、スネイプ先生」

スネイプ「左様。実に残念ですな」

スネイプ「まあ真実薬を使わずとも、父親の行いを見れば、どちらが主犯かなど火を見るよりも明らかです」

スネイプ「そうは思いませんかな、先生?」

マクゴナガル「今、大切なのは誰が主犯なのかではありません」

マクゴナガル「彼らに与える罰則についてです」

マクゴナガル先生とスネイプ先生の間で、静かに火花が散っているように見える…

スネイプ先生が静かに髪を撫でるのを見ると、マクゴナガル先生は僕たちに視線を戻した

マクゴナガル「あなたたちには後日、罰則を与えます。ポッター、ランバート」

マクゴナガル「そして、グリフィンドールから50点減点します」

『50点…』

マクゴナガル「一人50点です」

先生は尖った高い鼻から荒々しく息を吐いた

ハリー「そんな…いくらなんでもひどい…」

マクゴナガル「ポッター。ひどいかひどくないかは私が決めます」

マクゴナガル「それとも、詳しく事情を話してくれますか?」

マクゴナガル「場合によっては、50点より低くなることもあり得るかもしれませんよ?」

『……………』

ハリー「……………」

マクゴナガル「これでもまだだんまりですか…」

マクゴナガル「もういいです。もちろん、ミスター・マルフォイ。あなたにも罰則を与えますよ」

マルフォイ「僕も!?冗談ですよね、先生!」

マクゴナガル「もちろん冗談などではありません」

マクゴナガル「あなたも規則を破っていたことには変わりません」

マクゴナガル「よって等しく罰を与えます」

スネイプ「つまり、マルフォイも50点減点すると?」

スネイプ「我輩の聞き間違いでなければ、先程先生はすでに、20点の減点を言い渡していましたが…」

スネイプ「よもや訂正なさるおつもりで?」

マクゴナガル「もちろんですとも、ミスター・マルフォイもポッターやランバートと同罪です」

スネイプ「我輩はそうは思いませんな。マルフォイはスリザリンの生徒です」

スネイプ「これ以上の罰則は、寮監である我輩の管轄だ」

マクゴナガル「こんな時まで、自分の寮の生徒を贔屓なさるおつもりですか?」

スネイプ「過ぎた罰で生徒を責め立てる趣味は無いだけです」

スネイプ「無論、それが貴方の方針だと言うのなら口を挟むつもりはありませんが…」

マクゴナガル「………………」

スネイプ「……………」

マクゴナガル「…勝手になさい。ですが、ちゃんと罰則は受けてもらいます」

マクゴナガル「構いませんね?」

スネイプ「死人に鞭を打つのがお好きと見える」

マクゴナガル「スネイプ先生…?」

スネイプ「失敬。行くぞ、マルフォイ」

ドラコ「……………」

ドラコは最後まで、ハリーを睨みつけながらスネイプ先生と一緒に部屋から出ていった…

ハリーもすごい顔でドラコを睨んでたし…

どうしよう…。仲良くなって欲しいのに、僕のせいでさらに険悪になっちゃった…

マクゴナガル「さあ、あなたたちもベッドに戻りなさい」

マクゴナガル「そして自分たちのした事を、よく反省することです」

自分で撒いた種とはいえ、マクゴナガル先生の厳しい叱責は本当に身にしみた…

100点も減点されるなんて、それも僕のせいで…

たった一晩で、グリフィンドールが寮杯を取るチャンスを潰してしまった…

一体どうやったら挽回できるんだろう…

僕とハリーは、眠れない夜を過ごすことになった…

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハリー↓1 ドラコ↓2

コンマさん珍しくご機嫌斜め

ハリー 3+1=4
ドラコ 3+1=4

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 18/40 次の段階まで残り22
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 2【友だち】 24/30 次の段階まで残り6
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

自由行動の時間です
以下から一つ選択

ハリーと遊ぶ
ロンと遊ぶ
ハーマイオニーと遊ぶ
ネビルと遊ぶ
フレッド・ジョージと遊ぶ
ドラコと遊ぶ
ハンナと遊ぶ
アンジェリーナと遊ぶ
チョウと遊ぶ
セドリックと遊ぶ

魔力を鍛える
体力を鍛える
知力を鍛える
魅力を鍛える

↓1

魔力を鍛えよう

才能値は『9』なので確実に+1

0orゾロ目で+3

↓1

成功!

なんだか力が溢れるような気がする…

魔力が1上がった!

【ステータス】
魔力【15】 体力【16】 知力【9】 魅力【3】

というわけで今日は以上

途中ドラコの名前がブレてたみたいでごめんなさい

気づきませんでした

設定、説明は前スレに貼っておくので興味があったら覗いてください

では、お疲れ様でした

作者自身スネイプは限りなくグレーな存在でハリーのことを憎んでいながらも
自分の罪を償うためリリーへの愛のためにハリーを守り死んだと言ってるみたいですね

色んな意味で自分勝手で人として先生としても最低かもしれないけど
それでも愛を貫いて死んだのがスネイプの魅力だと>>1は考えています

これがただの善人ならスネイプは人気出なかったでしょうし

また作者は
リリーの優しさに惹かれながらもそういうふうに生きることができなかったのがスネイプの悲劇だとも言っています

(このSSでスネイプがどう生きるかはまだ謎ですが)

僕とハリーが、寮の点を100点も減らしてしまったという噂は瞬く間に広がった

ハッフルパフやレイブンクローの生徒、それにグリフィンドールのほとんどのみんなが

僕とハリーを見るたび、おおっぴらに悪口を言った

みんなスリザリンが寮杯を奪われるのを、楽しみにしていたから…

一部には

「ランバートがスリザリンを優勝させるために、わざと罰則を受けた」

なんて噂まであった

そのせいか、スリザリンの生徒からは

「ありがとよ!助かったぜ!」

「グリフィンドールなんか辞めて、スリザリンに来いよ!」

なんて声をかけられるようになって

僕はグリフィンドールのみんなから、「裏切り者」と呼ばれるようにまでなっていた…

一年生で僕とハリーに優しくしてくれたのは、ロンとハーマイオニーとネビルだけだった

ネビル「ハグリッドを助けるためだったんでしょ?」

ネビル「ドラゴンの飼育が違法なのは有名な話だもん。僕でも知ってるよ」

ネビル「でも夜に寮を抜け出すのは、さすがにまずかったね…」

『うん、反省してる…』

ハーマイオニー「仕方ないわ。もし別の誰かにバレてたら、ハグリッドはきっとアズカバン送りにされていたもの」

ハーマイオニー「規則を守ることよりも、大切なことがあるわよ」

ハーマイオニー「そりゃあグリフィンドールが優勝するチャンスを潰しちゃったのは、残念だけど」

ハリー「そうだね…」

ロン「二人とも、本当に励まそうとしてる…?さっきから一言多いよ?」

ロンがそう言うと、二人とも慌ててそんなつもりはなかったんだと謝ってくれた

ロン「そんなに気にすることないよ」

ロン「数ヶ月も経てば、みんな忘れるさ」

ロン「フレッドとジョージだって、しょっちゅうイタズラやっては点を引かれてるし」

ロン「それでもみんなから好かれてるよ」

ハリー「でも、フレッドとジョージは一度に100点も引かれたことないよね…?」

ロン「それは…」

ロンが言葉に詰まった

もしそんなことがあったら、とっくに騒ぎになってるはずだ

やっぱり100点もの減点は前代未聞なんだろう…

フレッド「ところがどっこい」

ジョージ「そうでもないさ」

突然、フレッドとジョージが、僕とハリーの後ろから顔を覗かせた

フレッド「僕らやミラも、一年生の時に盛大に減点されたことがあるんだ」

ジョージ「あの頃は若かったからな。無鉄砲なイタズラをよくやってたし」

ロン「今だってイタズラしてるだろ…」

フレッド「わかってないな。バレないようにやるのが大切なのさ」

ジョージ「マクゴナガルの雷が落ちないようにな」

フレッド「二人は夜に寮を抜け出してたんだろ?」

フレッド「なにが目的だったんだ?」

フレッド「抜け道探しか?ホグズミードにでも行こうとしてたのか?」

ジョージ「どうして僕たちに一言言ってくれなかったんだ!」

ジョージ「絶対見つからないように動き回るコツを伝授してやれたのに!」

『え、えっと…』

フレッドは僕に、ジョージはハリーに頬を寄せた

なんか僕たちそっちのけで盛り上がっちゃってる…

どう返したらいいものか反応に困っていると…

ミラ「こらっ!なに人の弟といたいけな一年生を、悪の道に引きずり込もうとしてるのよ!」

姉さんが二人の耳を引っ張りながらそう怒った

フレッド「いててっ!悪の道なんてとんでもない!」

ジョージ「有望な後輩へのちょっとした親切心さ!」

ミラ「なにが親切心よ!あんたたち馬鹿二人と一緒にするんじゃないわよ!」

『…姉さん。姉さんも一年生の頃、すごく点を引かれたことがあるって本当…?』

ミラ「えっ…!?いや、それは…えーっと…」

僕がそう聞くと、わかりやすく目をそらしながらあたふたし始めた

ミラ「あ、あの頃はあたしも若かったからね!ちょっと後先考えずに、無鉄砲なことしちゃったのよ!」

ネビル「二人と同じこと言ってるね…」

『何をやって減点されたの…?』

ミラ「えっ…知りたいの?あたし的には黒歴史だからあんまり話したくないんだけど…」

フレッド「そういうなよ、ミラ!」

ジョージ「僕らの馴れ初めじゃないか!」

ミラ「なにが馴れ初めよ!?」

ミラ「でもまあ…」

ミラ「考えてみたらあたしたちって、あんなに仲悪かったのに、今ではこうして一緒にいることが多いし…」

ミラ「人の縁って不思議なものよね」

『姉さんたちって仲悪かったの!?』

驚いて大きな声を上げた

いつもあんなに仲良さそうにしてるのに…

ジョージ「むしろ最悪だったさ。ことある毎にケンカしてたよ」

ミラ「あんたたちが、人に迷惑かけるようなイタズラばっかりやってたからよ」

ミラ「ピーブズに張り合ったりなんかしてたし、完全に歩く天災だったじゃない!」

フレッド「そうそう。イタズラする度に、なぜか関係ないミラが僕たちを咎めにきて…」

フレッド「僕たちもそのうちミラにイタズラを絞るようになって…」

ジョージ「で、フレッドとミラが殴り合いの大ゲンカするところまで発展しちゃったんだよな」

『殴り合い!?』

ハーマイオニー「女子相手に殴り合いって…。それってどうなの?」

ミラ「いや…でも、さっきに殴りかかったのはあたしの方だったからね」

フレッド「殴られても文句言えないようなこと言ったのは、僕たちだったしな」

懐かしそうに姉さんたちはそう語っている

殴り合いにまでなったらしいのに、今じゃそれも良い思い出みたいだ

ハリー「じゃあ、その大ゲンカで点を引かれたの?」

ジョージ「その時にも引かれたけど、マジでやばかったのはその後だな」

ジョージ「僕とフレッドで禁じられた森を探索しに行ったんだ」

ネビル「禁じられた森って入っちゃいけないんでしょ…!?」

ネビル「あそこには狼男が出るって聞くよ…!?」

『どうしてそんな場所に行ったの…?』

フレッド「そりゃあ、そこに森があるからさ!」

ジョージ「怪しい場所は調べたくなるのが、人間の性ってもんだろ?」

ネビル「僕には理解できないよ…」

ハーマイオニー「理解できなくていいのよ」

フレッド「それで森を探索してると、人食い蜘蛛の群れに遭遇してさ」

ロン「人食い蜘蛛だって…!?そんなのがいるの…!?」

ジョージ「ああ、もうウジャウジャいたよ。さすがに生きた心地がしなかったな、あの時は」

フレッド「必死に逃げてるうちに、帰り道がわからなくなってさ」

フレッド「そうしている間にも、蜘蛛は追いかけてくるし」

フレッド「これはマジで絶体絶命かと思った時に…」

フレッド「どういうわけか、ミラが現れたんだ」

『姉さんが…?』

姉さんを見ると少しだけ顔を赤くしながら、頬を指でかいていた

ジョージ「その後はミラに方角を教えてもらって、なんとか三人とも命からがら逃げおおせたんだ」

ジョージ「ま、森に入ったのがマクゴナガルにバレて、それで思いっきり点を引かれたんだけどな」

ハーマイオニー「ミラはどうして森に入ったの?」

ミラ「リーから、二人が森を探検しに行ったって聞いたのよ」

ミラ「しかもこの馬鹿二人、何を考えたのか夜の森に入ったのよ」

ミラ「本当に死んじゃうんじゃないかと思ってね。だから探しに行ったの、それだけよ」

ハリー「仲悪かったんでしょ?二人のこと嫌いじゃなかったの…?」

ミラ「当然、大嫌いだったわよ」

ミラ「どうして助けに行ったのか、あの時は自分でもよくわからなかったわ」

ミラ「でも、今になって考えてみれば、単純な理由なのよね」

フレッド「…どうしてだったんだ?」

フレッドとジョージも、真剣な顔をして姉さんの答えを待っているように見えた

ミラ「…死んでほしいと思うほど、嫌いなわけじゃなかったからね」

ミラ「だったら助けに行っちゃうものなのよ」

ミラ「きっと理屈じゃないんだわ、こういうことはね」

ミラ「あんたたちだってそうでしょ?」

ミラ「もしあたしが危険な場所に一人で行ったって知ったら、助けに来てくれたんじゃない?」

フレッド「ああ…当然さ!」

ジョージ「もちのロンだよ!」

ロン「僕の名前をネタにするなよ!?」

ロンがそうツッコむと自然とみんな笑った

『…ねえ、ハリー?ハリーはドラコのこと嫌い?』

ハリー「どうしたの、急に…?そりゃあ嫌いだけど」

『死んでほしいと思うほど?』

ハリー「いや、それは…」

答え辛いことを聞いてる自覚はある

でも、僕はあえて話した

『姉さんとフレッドとジョージも、昔は仲が悪くて…』

『でも、今はこんなに仲良しで…』

『だったら、やっぱり寮とか関係なく、みんな仲良くなれるんじゃないかって僕はそう思うんだ』

ハリー「…きみの気持ちも、言いたいこともわかるよ」

ハリー「でも…そう簡単に納得できない」

ハリー「エリオットがマルフォイと仲が良いのはわかってるけど…」

ハリー「でも僕は、どうしてもマルフォイのことが気に入らないし…」

ハリー「マルフォイだって、僕のこと嫌いだろうからさ」

ハリーは、複雑そうな顔でそう言った

『そっか…。うん、わかったよ』

『ごめんね、答え辛いこと聞いて』

『誰だって、どうしても気にいらない人とかはいるもんね』

『でもね、これだけは覚えていてあげて欲しいんだ』

ハリー「なにを…?」

『ドラコにも、本当に良いところがたくさんあるんだ』

『もちろん、悪いところもあると思うし…』

『それを言ったら、僕だって悪いところだらけなんだけど』

『だから、ドラコのことをただ嫌なやつなんだって』

『そんな風には思わないであげて』

ハリー「……………」

ハリー「…わかったよ」

長い沈黙の後、ハリーは確かにそう言ってくれた

試験の日が近づくに連れて、僕たちは夜遅くまで勉強するようになった

みんなと一緒に勉強している間は、自然と心が安らいで

毎日のように言われる悪口を忘れることができた

試験を一週間後に控えたある日、図書館で僕たちが天文学の勉強をしていると

ハリーが血相を変えて走ってきた

ハリーは、クィレル先生が誰かに脅されていて、泣き出しそうな顔をしながら

「わかりました…わかりましたよ…」

という言葉と一緒に、教室から飛び出して行ったと語った

ロン「それじゃ、スネイプはついにやったんだ!」

ロン「クィレルが闇の魔術の防衛術を破る方法を教えたとすれば…」

ハーマイオニー「でもまだフラッフィーがいるわ」

ハリー「もしかしたらスネイプは、ハグリッドに聞かなくても、フラッフィーを突破する方法を見つけたのかもしれない…」

ロン「そうかもね。これだけの本があれば、どこかに三頭犬を突破する方法だって書いてあるよ」

『……………』

どういうことなんだろう…

もしかしてクィレル先生、石を盗むのを思い直してくれたのかな?

そうならすごく嬉しいんだけど

ロン「どうする、ハリー?」

ハーマイオニー「ダンブルドア先生のところに行くべきよ」

ハーマイオニー「本当は、もっと前からそうするべきだったのよ」

ハーマイオニー「もう私たちだけで、なんとかできるようなことじゃないわ」

ハリー「でも、証拠はなにもないんだ」

ハリー「クィレルは怖じ気づいて、僕たちを助けてくれない」

ハリー「先生たちだって、僕たちとスネイプならスネイプを信じるよ」

ハリー「それに僕たちは、フラッフィーや賢者の石のことは知らないはずなんだ」

ハリー「これじゃ説明しようがないよ」

ハーマイオニーは納得したみたいだったけど、ロンは粘った

ロン「ちょっとだけ探りを入れてみたらどうかな?」

ロン「エリオットなら、スネイプに気に入られてるし」

ハリー「だめだ。僕たち、もう十分に探りを入れすぎてる」

ハリー「それにそんなことしたら、エリオットがなにをされるかわからないよ」

『いや、まあ…そうかもね…』

曖昧にそう答えると結局、これ以上は踏み込まない

先生たちに任せておくべきだ、という感じで話はまとまった

僕としては、最初からみんなに危ないことに首を突っ込んでほしくなかったから

胸のつかえが取れたような気分だった

これでなんの不安もなく、試験を受けることができると思った

けど、その考えは甘かった…

翌朝、僕とハリーのもとに手紙が届いた

-処罰は今夜十一時に行います-

-玄関ホールでミスター・フィルチが待っています-

-マクゴナガル教授-

減点のことで大騒ぎだったから、僕たちはその他にも処罰があることをすっかり忘れていた

夜十一時、ハリーと一緒に玄関ホールに向かうと

すでにドラコとフィルチさんがいた

フィルチ「ポッター、そして…ランバートか」

フィルチ「二人して、父親にそっくりだ」

フィルチ「まるで生き写しのようじゃないか」

フィルチさんは僕とハリーの顔を交互に見ると、そう言った

ハリー「父さんのことを知ってるの!?」

フィルチ「ああ…。よく知っているともさ…ジェームズ・ポッター」

フィルチ「規則破りの常習犯、あれほど私を困らせてくれた生徒はいないね」

ハリー「えっ…?」

フィルチ「まあ、今となってはどうでもいい生徒さ」

フィルチ「それよりも…」

フィルチさんは、腰を曲げて真っ直ぐ僕と視線を合わせた

フィルチ「坊や、名前は?」

『…エリオット。エリオット・ランバートです』

フィルチ「よく顔を見せておくれ…」

しわしわな両手で僕の顔を抑えると、しばらく黙った後に口を開いた

フィルチ「本当によく似ている…。瞳だけは違うが、眼差しは同じものだ」

『あの…。フィルチさんは父さんのお友達だったんですか?』

フィルチ「友達…ねぇ。ああ、そうなのかもしれん」

フィルチ「お前の父親は本当に変わり者だった」

フィルチ「私ににこやかに挨拶するのも、城の掃除を手伝おうとするのも、後にも先にもあやつくらいだった」

フィルチ「にも関わらず、多くの生徒から嫌われて孤立しておった」

フィルチ「全くもって憎々しい話だよ」

『嫌われて…?』

フィルチ「エリオット…と言ったな?」

フィルチ「規則は守ることだ。自分の身は大切にしなければ、父親が悲しむ」

『……………』

フィルチ「行くぞ、ついて来い」

フィルチさんはランプを灯して、先に外に出た

真っ暗な校庭を横切ると、ハグリッドの小屋が見えてきた

ハグリッド「フィルチか?急いでくれ、俺はもう出発したい」

どうやらハグリッドが一緒みたいだ…!

それならきっと、そんなに悪い処罰じゃないんだろう

ホッとすると、即座にフィルチさんがそれを読んだ

フィルチ「あの木偶の坊が頼りになるとでも思ってるのかい?」

フィルチ「考え直した方がいいねぇ、坊やたち?」

フィルチ「君たちがこれから行くのは、森の中なんだから」

ドラコ「森へ!?冗談じゃない!パパが知ったら何て言うか…!」

フィルチ「ああ、生きてパパに会えるといいねぇ?」

フィルチ「もし無傷で戻ってきたら、私の見込み違いだ」

フィルチさんが上ずった声で、そう言うとドラコがぶるぶると震えた

ハグリッド「こいつらを怯えさせて楽しいか?え?フィルチ」

ハグリッド「おまえの役目はもう終わりだ、ここからは俺が引き受ける」

ハグリッドがフィルチさんを睨みつけた

フィルチ「そっちの二人は、どうなろうと知ったことじゃあない」

フィルチ「が、テラムの息子になにかあってみろ」

フィルチ「どんな手段を使ってでも、お前をホグワーツから追い出してやる…!」

フィルチ「よく肝に銘じておくんだねぇ…?」

フィルチさんは嫌味たっぷりにそう言うと、ランプの灯をゆらゆらと揺らしながら城に帰っていった

『ハグリッド…。フィルチさんって父さんと仲が良かったの?』

ハグリッド「ああ、まあ…そんなとこだろうな」

ハグリッド「だからお前さんのことが心配らしい」

ハグリッド「俺も少し驚いとるんだ。フィルチが生徒にあんなことを言うなんてな」

父さんって本当に誰にでも優しい人だったんだ

でもフィルチさんは嫌われてたって言ってたけど、一体どうして…

ハグリッド「よーし、それじゃあよーく聞いてくれ」

ハグリッド「なんせ俺たちが今夜やろうとしていることは、危険なことなんだ」

ハグリッド「みんな軽はずみなことをしちゃいかん、俺から離れるなよ」

ハグリッドが先頭に立って、森の中へと進んで行った

姉さんたちが一年生の時に入ったことがあるって、つい最近聞いたけど

まさか僕たちも入ることになるなんて…

人食い蜘蛛の群れに遭遇したらどうすればいいんだろう…

ハグリッドが大きな石弓を持ってるけど、それでなんとかなるのかな…

しばらく進むと、銀色の水たまりがあった

ハグリッドが指で触ると、少し粘ついていて、それがただの液体じゃないのがわかった

ハグリッド「こいつを見ろ。ユニコーンの血だ」

ハグリッド「何者かにひどく傷つけれたユニコーンが、この森の中にいる」

ハグリッド「今週になって二回目だ。みんなでそのユニコーンを探すぞ」

ハグリッド「それが俺たちの役目だ」

ドラコ「ユニコーンを襲ったやつが、先に僕たちを見つけたら…?」

ハグリッド「俺と一緒にいれば、この森に住むものは誰もお前さんたちを傷つけはせん」

ハグリッド「でも油断はするなよ、いいな」

僕たちは無言で足元だけを見ながら歩いた

時々枝の隙間から漏れる月明かりが、落ち葉の上に点々と慕った血痕を照らし出していた

ハリー「狼男がユニコーンを殺すことなんてありえるの?」

ハグリッド「あいつらはそんなに速くない。ユニコーンは強い魔力を持った生き物だ」

ハグリッド「ユニコーンが怪我したなんてこたぁ、俺でも今まで聞いたこと無かったくらいだ」

苔のむした切り株を通り過ぎる頃、今までで一番大きい血溜まりを見つけた

ハグリッド「この酷い怪我じゃ、そんなに遠くまでいけないはずだ。もうすぐ…」

ハグリッド「木の陰に隠れろ!!」

ハグリッドが僕たちを掴んで、樫の巨木の裏に放り込んだ

なにかがすぐそばの枯れ葉の上を、スルスルと滑って行く音が聞こえた

マントが地面を引きずるような、そんな音だ…

ハグリッドが弓を構えながら、様子を伺っていると、数秒後には音が聞こえなくなった

ハグリッド「思ったとおりだ…。ここにいるべきではない何者かだ」

『狼男…?』

ハグリッド「いーや、狼男じゃないし、ユニコーンでもない」

ハグリッド「みんなはここで隠れて待っててくれ」

ハグリッド「まだ近くにいるはずだ、問い詰めてくる」

ドラコ「僕たちを置いて行く気か!?なにかあったらどうするんだ!?」

ハグリッド「ちょっと様子を見てくるだけだ、すぐに戻ってくる」

ドラコ「それでも…!」

ハリー「ドラコ、もしかして怖いの?」

ハリーがそう言うと、ドラコはキッとハリーを睨んだ

ドラコ「怖い…?この僕が?ふざけるなよ、ポッター」

ドラコ「こんなことで、怖がったりするものか…!」

ドラコは必死に恐怖を押さえつけながら、そう言っているように見えた

『大丈夫だよ、ドラコ。僕たちも一緒なんだから』

『ハグリッドだって、すぐに戻ってくるって言ってるんだし』

ハグリッド「ああ、すまん。とにかく仕事をやりおおせてしまわないとな」

ハグリッドはそう言うと、弓を構えながら前方の開けた場所に向かって歩いて行った

僕たちは、不安と恐怖を感じながらも、ハグリッドが帰ってくるのをじっと待った…

ドラコ「こんなの召使いの仕事だ…。生徒にこんなことさせるなんて…」

ハリー「やっぱり怖いんだろう、マルフォイ」

ドラコ「何度も言わせるなよ、ポッター!」

ドラコ「怖くなんかない!僕はマルフォイ家の高貴な血筋を引くものなんだ!」

ドラコ「その僕が、こんなことをやらされているのが不満なだけだ!」

ハリー「悪いことをしたんだから、その償いをしなくちゃいけないのは当然だよ」

ハリー「僕も、きみもだ。そんなこともわからないで、わがままを言う気?」

ドラコ「なんだと、偉そうに…!」

『二人とも、落ち着いて!こんな時にケンカなんかしちゃ駄目だよ!』

僕が二人の間に割って入ると、ハリーもドラコも別々の方向にそっぽを向いた…

なんで二人ともこんなにケンカ腰になっちゃうのかな…

二人に挟まれた状態で、小さくため息をついた

ドラコ「…そういえば、エリオット。休暇中に、パパにきみのことを話したんだ」

『お父さんに?』

ドラコ「ああ。寮が違うのは残念だが、仲良くしておくようにって言われたよ」

ドラコ「どうやらパパも、きみのことが気に入ったらしい」

『そうなんだ。でも、どうしてなのかな?』

ドラコ「そんなの決まってるさ。きみだって高貴な血筋を引くものだからだよ」

ドラコ「ランバート家だって、聖28一族の一つじゃないか」

ドラコ「家柄の良い者は、家柄の良い者たちで仲良くするのが自然だろ?」

ドラコは僕を見ながらも、その隣にいるハリーに向かって言っているようにも見えた

ハリー「家柄、家柄ってそんなに大切?」

ハリー「マグルにだって良い子はいるし、純血にだって悪いやつがいるじゃないか」

ドラコ「大切だね。血統というのは自分たちが如何に優れているか、その証明みたいなものさ」

ドラコ「エリオットを見てみろよ。一年生なのにずば抜けた魔法の才能の持ち主だ」

ドラコ「箒だってソルブルを乗りこなせる。ポッター、きみに暴れ牛を躾けられるか?」

ドラコ「エリオットがどれだけ優れているか、よく知っているだろ?」

ハリー「たしかにエリオットはすごいよ」

ハリー「でも、それはきみがすごいっていう証明にはならないだろ、マルフォイ」

ハリー「エリオットの自慢で良い気にならないで、自分のなにがすごいかを話しなよ」

ドラコ「ポッター…。言わせておけば…!」

二人に挟まれながら、黙って口論を聞いてると

一つ訂正しなくちゃいけないことがあったから、口を挟むことにした

『あの、ドラコ…』

ドラコ「なんだ?きみもポッターになにか言ってやりたいことがあるのか?」

ドラコ「だったら思う存分言ってやると…」

『いや、そうじゃなくて…』

『僕、たしかにランバート家の生まれだけど、純血ってわけじゃないよ?』

ドラコ「……………なに?」

ドラコ「ど、どういうことだ!?だってきみの父親はテラム・ランバートだろ!?」

ドラコ「聖28一族で、スリザリンの伝説のシーカーだって呼ばれてる…」

『うん。でも、父さんはマグルの母さんと結婚したから』

『だから僕は、血筋的には半純血ってことになるのかな?』

『そもそも、血筋とか生まれとかあんまり気にしたことなかったし…』

『聖28一族って言う言葉も、最近初めて知ったんだ』

僕がそう言うと、ハリーはにっこり微笑んで、ドラコはよっぽど信じられなかったのか口をパクパクさせた

ドラコ「きみが純血じゃない…?純血じゃないのにきみは…そんなに…」

その時、近くの茂みから物音が聞こえた

驚いて息を殺していると、ハリーがその茂みの方へと近づいていった

『ハリー…!駄目だよ、ハグリッドが動くなって言ってたでしょ…!』

ハリー「…うん。でも、見て…」

手招きするハリーに誘われて、僕とドラコはハリーの指差す方向を見た

古木の枝が絡み合うその向こうに、開けた平地が見える

そこには純白に光り輝くものがあった

『もしかして、あれが…』

ドラコ「ユニコーンなのか…?」

ハリー「たぶんね…行ってみよう」

僕たちはさらに近づいた

まさにユニコーンだった

銀色の血溜まりの中で死んでいた…

長くてしなやかな脚は、倒れたその場所でバタリと投げ出されていて

真珠色に輝くたてがみには、暗い落ち葉が広がっている

こんなに綺麗で、こんなに悲しいものは見たことが無い…

たぶん、ハリーとドラコも同じことを考えていたと思う

ハグリッドを呼ぼうと、もと来た道を戻ろうとした時

それは現れた…

暗がりの中から、ズルズルと滑るような音と一緒に地面をはってきた

そのあまりの異質さに、金縛りにあったかのように立ちすくんだ…

そしてマントを着たその影は、ユニコーンに近づいて、傷口から血を飲み始めた…

ドラコ「うわあああアア!」

ドラコが悲鳴を上げて、その場で腰を抜かした

その声に反応して、フードに包まれた影が僕たちを捉えた

そして、スルスルと近寄ってくる…

あまりの恐ろしさに声も出ない…

ハリー「うっ…」

『ハリー…!』

ハリーまでヨロヨロと倒れた

頭を抑えながら、顔を歪めている

逃げなくちゃいけないのに…

こうしている間にもあの影が迫ってくるのに…

ハリーもドラコも一歩もその場から動けそうに無かった

『…っ!』

逃げたくてたまらなかった

でも、二人を置いて逃げるのは絶対に嫌だ…!

その気持ちが、今感じている恐怖をねじ伏せてくれた

僕は杖を抜くと、影に向かって呪文を唱えた

『フリペンド…!-撃て-』

トロールさえ吹き飛ばした呪文だ

いくら不気味な影だって、きっと吹き飛ぶ…はずだった

どういうわけか、影は吹き飛ばなかった…

真っ直ぐこっちに向かってくる…!

無我夢中で何度も呪文を唱えた

けど、まるでなにかに打ち消されているような感覚だった

まずい…このままじゃ…

どうしたら良いのかが思い浮かばず、頭が真っ白になりかけた瞬間…

後ろの方から蹄の音が聞こえた

僕たちの真上を、なにかが飛び越えると、それは影に向かって突進した

上半身は人間、下半身は馬のようだった

その人が影を蹴りつけて追い払うのを、僕は息を乱しながらポカンと見ていた…

??「君たち、怪我はないかい?」

胴体はプラチナブロンド、髪は明るい金髪でとても落ち着いた声だった

『あ、あの…!危ないところを助けてくれて、ありがとうございました!』

『僕、エリオット・ランバートって言います…』

『こっちは、友だちの…』

??「ポッター家の子だね。よく知っているよ」

??「ケンタウルスの間でも君は有名だ」

??「そして惑星が、君の運命を教えてくれたからね」

ハリー「僕の運命…?」

フィレンツェ「私の名はフィレンツェだ」

フィレンツェ「早くハグリッドのところに戻った方がいい」

フィレンツェ「今、森は安全じゃないんだ…。特に、君にとっては…」

フィレンツェはそう言うと、僕たちを背中に乗せてくれた

三人も背中に乗せているのに、フィレンツェは軽快に森の中を走った

振り落とされないように、互いを支えながらなんとか捕まっていると

ハグリッド「フィレンツェ!それにハリー、みんな、無事だったか!」

ハグリッドがハァハァ言いながら、僕たちに駆け寄ってきた

フィレンツェ「こんばんは、ハグリッド」

ハグリッド「すまねぇな、フィレンツェ。世話をかけた」

ハグリッド「ベインとロナンのやつに捕まっちまってたんだ」

ハグリッド「あいつら大事なことを知っとるくせに、なにも話しはせん…!」

フィレンツェ「ケンタウルスは星を見る生き物です」

フィレンツェ「予言されたことにしか関心を持たない者も多い」

フィレンツェ「ですが、そうも言ってられない」

フィレンツェ「この森に忍び寄るものに立ち向かうためなら、僕は人間とも手を組む」

フィレンツェは僕たちを下ろしてそう言った

ドラコは未だに震えながら息を切らしていた

ハリー「ハグリッド、僕たちユニコーンの死体を見つけたんだ」

ハリー「たぶん、殺したやつにも会った…」

ハリー「あいつ、ユニコーンの血を飲んでたんだよ…」

ハグリッド「なんだって!?ユニコーンの血を飲むなんざ…」

ハグリッド「…フィレンツェ、知ってることを教えてくれ!このとおりだ!」

ハグリッドが手を合わせて頼み込むと、フィレンツェは口を開いた

ユニコーン「ユニコーンの血は、たとえ死の縁にいる時だって命を長らえさせてくれる力がある」

フィレンツェ「ですが、ユニコーンを殺すのは、非情極まりないことです」 

フィレンツェ「自らの命を救うために、純粋で無防備な生き物を殺害するのだから、得られる命は完全じゃない」

フィレンツェ「その血が唇に触れた時から、そのものは呪われる…」

フィレンツェ「生きながらの死の命なのです」

ハリー「一体誰が、そんなに必死に…?」

ハリー「永遠に呪われるなら、死んだ方がマシだと思うけど…」

フィレンツェ「その通り。しかし、他の何かを飲むまでの間だけ生き長らえれば良いとしたら…?」

フィレンツェ「完全な力と強さを取り戻してくれるのはなにか?」

フィレンツェ「決して死ぬことがなくなるのはなにか?」

フィレンツェ「みんなは知っているかい、今この瞬間に学校になにが隠されているか?」

『賢者の石…』

ハリー「そうか…命の水だ!だけど一体誰が…」

フィレンツェ「力を取り戻すために長い間待っていたのは誰か、思い浮かばないですか?」

フィレンツェ「命にしがみついて、チャンスを伺ってきたのは誰か?」

『まさか…』

ここまで言われたら、僕でも察しがつく…

思い当たるのは…一人しかいない…

ハリー「それじゃあ…僕たちが今見たのはヴォルデモート…」

その名前を聞いた瞬間、ハグリッドはうめき声を、ドラコは小さく悲鳴を上げた…

『そんな…まさか…!?ハリーが倒したんじゃなかったの!?』

ハグリッド「奴に人間らしさがかけらでも残っていれば、死ぬこともあるだろうさ」

ハグリッド「奴は生きている…。生きて、復活の時を待っておるんだ…」

ハリー「ユニコーンの血を飲んで…」

ドラコ「待てよ…!嘘だろ…!その話が本当なら、今この森には例のあの人が潜んでいるってことか!?」

ドラコ「こんな学校と目の鼻の先の森に!?」

ドラコ「危険すぎる…!一刻も早く家に帰らないと…!」

ハグリッド「お前さんの家は、ホグワーツよりも安全なのか?マルフォイ?」

ハグリッド「ダンブルドアや、ホグワーツの先生たち以上に優秀な両親が守りを固めてるのか?」

ドラコ「……………」

ハグリッド「わかったら落ち着け、取り乱すな。このことは俺からダンブルドア先生にしっかり報告しておく」

フィレンツェ「では、ここで別れましょう。君たちはもう安全だ」

フィレンツェ「幸運を祈りますよ、ハリー・ポッター」

フィレンツェ「ケンタウルスでさえも、惑星の読みを間違えたことがある」

フィレンツェ「願わくば、今回もそうなりますように…」

フィレンツェは森の奥深くへと、緩やかに走り去っていた

夜の森の中で、ぶるぶる震える僕たちを残して…

真夜中の談話室

僕とハリーは森であったことを、ロンとハーマイオニーに話した

始めは少し眠そうにしていた二人だったけど、話を続けるにつれてすっかり目を覚ますことになった

ハーマイオニー「それじゃあ例のあの人が、今あの森の中に潜んでいるっていうの?」

ハリー「でも今は弱ってて、ユニコーンの血でなんとか生きているんだ」

『でも、ユニコーンの血だと呪われてしまう』

『だから、賢者の石が、命の水が欲しいんだと思う…』

ロン「じゃあまさかスネイプは、例のあの人の手下で…」

ハリー「そう。ヴォルデモートのために石が欲しかったんだよ。自分のためじゃなかったんだ」

ハリー「命の水があれば、ヴォルデモートは力を取り戻せる」

ハリー「そして、復活するんだ…」

ハリー「フィレンツェも言っていた…。きっと惑星はヴォルデモートが戻ってくると予言しているんだ…」

ロン「でも、復活したら…」

ロン「あいつはきみのことを…殺す気だと思う?」

ハリー「たぶん、チャンスがあれば今夜殺す気だったんだ…」

ハリー「エリオットやフィレンツェがいなかったら…僕は今頃…」

『ううん…。僕はなにもできなかったよ…』

『たまたま運が良かったんだ…。フィレンツェが助けてくれたから…』

ロン「そんな大変な時に、僕…テストの心配をしてたなんて…」

ハーマイオニー「…ちょっと待って、みんな落ち着いて」

ハーマイオニー「あの人は、大人の魔法使いだって恐れるような相手なのよ」

ハーマイオニー「一年生の私たちが立ち向かえるような相手じゃないわ」

ハーマイオニー「でも大丈夫。ホグワーツにはこの世でただ一人、あの人が恐れた人がいるじゃない」

ロン「それって、誰のこと…?」

ハーマイオニー「ダンブルドアよ。ダンブルドア先生がいる限り、ホグワーツは世界で一番安全な場所よ」

ハーマイオニー「ハリー、あなたには指一本触れさせやしないわよ。そうでしょう?」

ハーマイオニーは怯えながらも、気丈に僕たちを励ましてくれた

話し込んでいるうちに、空はすでに白み始めていた…

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハリー↓1 ドラコ↓2

ハリー 3+2=5
ドラコ 3+7=10

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 23/40 次の段階まで残り17
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 12/30 次の段階まで残り18
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 3【友だち】 4/40 次の段階まで残り36
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

自由行動の時間です
以下から一つ選択

ハリーと遊ぶ
ロンと遊ぶ
ハーマイオニーと遊ぶ
ネビルと遊ぶ
フレッド・ジョージと遊ぶ
ドラコと遊ぶ
ハンナと遊ぶ
アンジェリーナと遊ぶ
チョウと遊ぶ
セドリックと遊ぶ

魔力を鍛える
体力を鍛える
知力を鍛える
魅力を鍛える

↓1

ハーマイオニーと遊ぼう

好感度判定

【3】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハーマイオニー↓1

安価とコンマは別なので問題ないです

でもできれば控えてくださいね

ハーマイオニー 3+5=8

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 23/40 次の段階まで残り17
ロン 2【友だち】 3/30 次の段階まで残り27
ハーマイオニー 2【友だち】 20/30 次の段階まで残り10
ネビル 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 3【友だち】 4/40 次の段階まで残り36
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

あの夜以来、僕は毎日のように悪夢にうなされるようになった…

フードを被った影が血を滴らせながら、父さんを殺す夢だった

ハリーも同じように自分が殺される夢を見るらしい…

ヴォルデモートが生きている…

すぐ近くに潜んでいて、今も復活するための手筈を整えている

僕たちは、いつも恐怖に苛まれていた…

ドラコもすっかり元気を無くしてしまったみたいだった…

それくらいあの夜、僕たちが見たものは恐ろしかった

ロンたちがあの光景を見なくて良かったと思う一方で

そんなに怖がらずにいられるのが羨ましいとさえ思ってしまった…

うだるような暑さと、張り詰めた不安の中でついに試験が始まった

・テスト判定
【知力】+コンマ一桁=14以上で成功

↓1

【9】+4=13

失敗…!

というところで今日は以上

いつものように前スレに解説を貼っておきます

それとハリー・ポッターシリーズ最終作

「ハリー・ポッターと呪いの子」

が2016年11月に発売決定しました

みんな買おうぜ…!(ダイレクトマーケティング)

うわぁ…やっちまったぜ…

ごめんなさいm(_ _)m

試験は、筆記試験と実技試験の二種類があった

まず実技は問題なくできた自信があった

呪文学の試験は、パイナップルを机の端から端までダンスさせられるかどうかで

どんなダンスをさせようか迷ったけど

くるくる回ったり、バク転させたり、とにかく派手に踊らせてみたら

フリットウィック先生は大喜びで、内緒でご褒美に飴をくれた

変身術の試験は、ネズミを嗅ぎタバコ入れに変える試験だった

試験だから、きっと綺麗な装飾の箱にしなくちゃいけないんだと思って

グリフィンドールの紋章が描かれた箱に変えたら

マクゴナガル先生が

「ネズミに戻すのが勿体無いくらい、上手くできています」

と褒めてくれた

その反面、予想していたことだったけど、筆記試験はかなり苦戦した

勉強したはず、覚えたはずのことがテストに出たのに

思い出すのに時間を使って、他の問題を解く時間が無くなったり…

記述式の問題は、どう説明したら正解なのかが、イマイチわからなくて悩んだり…

ただ勉強するだけじゃなくて、ちゃんと問題集かなにかで

実際の試験の練習をしておくべきだったと、試験が終わってから気づくことになった…

ハーマイオニー「なるほどね。たしかに、それは盲点だったわ」

ハーマイオニー「次からはちゃんと問題集を解いてから、試験を受けましょう」

『ハーマイオニーはちゃんと解けたの…?』

『きみだって問題集とかを解いてわけじゃないし、試験の時に困らなかった?』

ハーマイオニー「全然。ホグワーツの試験は怖いって聞いてたけど、意外と面白かったわね」

ハーマイオニー「1673年の狼人間の行動要領とか、熱血漢エルフリックの反乱とか勉強する必要無かったみたいだし」

ロン「きみって頭良いのか悪いのか、時々わからなくなるよ…」

さんさんと陽の射す校庭を抜けると、湖の木陰に寝転んだ

ロン「もう復習しなくていいんだ。解放された気分だよ」

『留年してなかったら良いんだけど…』

ロン「エリオット、もっと嬉しそうな顔しなよ」

ロン「試験でどんなにしくじったって、結果が出るまでまだ一週間もあるんだ」

ロン「今からあれこれ考えてもしょうがないだろ?」

『…そうだね、ありがとう。ロン』

ロンの言うとおりだ

終わったことは変えようが無いんだし、前向きに行こう

これでやっとしばらくは勉強しなくていいんだ…!

ハーマイオニー「ねえ。そんなに不安なら一緒に答え合わせしない?」

ロン「空気読めよ、ハーマイオニー…」

ハーマイオニー「ちょっと、それどういう意味!?」

『ごめん、ハーマイオニー…。今回はロンに味方するよ』

ハーマイオニーは少し不機嫌そうに教科書を開いて、呪文や年号の暗唱を始めた

『ハーマイオニーって、僕らが勉強嫌いなの忘れてるよね…』

ロン「できれば教科書すら開きたくないのにね…。なあ、ハリー」

ハリー「…………」

『ハリー…?どうしたの、また傷が痛むの?』

ハリー「うん…。今までも時々こういうことはあったけど、こんなに続くのは初めてだ…」

ハリーは額を擦りながら、怒りを吐き出すように言った

ハーマイオニー「マダム・ポンフリーのところに行ったほうがいいわ」

ハリー「違う…僕は病気じゃない」

ハリー「きっと警告なんだ…なにか危険が迫ってる」

ハリー「大事ななにかを忘れているような気がしてならないんだよ…」

『大事ななにか…?』

ロン「ハリー、リラックスしなよ」

ロン「石はダンブルドアがいる限り大丈夫さ」

ロン「フラッフィーだっている。あいつを突破するのはそう簡単じゃないよ」

ロン「スネイプだって、一度足を怪我させられたんだし」

ロン「フラッフィーを大人しくさせる方法は、ハグリッドとダンブルドアしか知らないんだから」

ハリー「……………」

ハリーが真っ青な顔をして立ち上がった

ハリー「そうだ…。そうだったんだ…」

ハリー「大変なことに気づいた!今すぐにハグリッドに会いに行かなくちゃ!」

ハリーはそう言うと、一人走り出した

僕たちも、急いでハリーを追いかけた

『ねえ、ハリー。大変なことってなんなの…!?』

ハリー「おかしいと思わないか!?」

ハリー「ドラゴンを飼いたがっていたハグリッドのもとに、たまたまドラゴンの卵を持った人が現れるなんて…!」

ハリー「魔法界の法律でドラゴンの飼育は禁じられてるのに、話がうますぎるんだよ!」

ハリー「もっと早く気づくべきだったんだ…!」

ハリーの言っている言葉の意味がわかって、僕たちも顔を青くした…

ハグリッドは家の外で笛を吹いていた

ハグリッド「よう、試験は終わったのか?」

ハグリッド「お茶でも飲むか?ちょうどとっておきのロックケーキが…」

ハリー「ねえ、ハグリッド…!」

ハリー「ドラゴンの卵をくれた人って、どんな人だった…!?」

ハグリッド「ん?さあな。フードをすっぽり被っててマントも着たままだったから、顔は見ちゃいねえ」

『フードに…マント…』

まさか…それって、あの時見た…

ハグリッド「別に珍しいことじゃない。『ホッグズ・ヘッド』にはおかしなやつがウヨウヨしとるんだ」

ハグリッド「もしかしたら、ドラゴン売人だったのかもしれん。そうだろ?」

嫌な予感がして、思わずへたり込んでしまいそうになった…

ハリー「ハグリッド…。その人とどんな話をしたの?」

ハリー「フラッフィーのこととか話した…?」

ハリーの声も震えていた

ハグリッド「ああ。三頭犬なんて、ホグワーツにだってそうはいねぇからな」

ハグリッド「危険じゃないのかって聞かれたから、俺は言ってやったんだ」

ハグリッド「どんな動物だって、なだめ方を知ってれば怖くねぇ」

ハグリッド「フラッフィーの場合は、ちょっと音楽を聞かせてやれば、すぐにねんねしちまうってな」

ハグリッド「…っていかん。これも内緒だった」

もう気が気じゃなかった…

呼び止めるハグリッドの声さえ耳に入らず、僕たちは城へと走った

ロン「まったく、口が軽すぎるよ!」

ロン「あの調子じゃ、ちょっとお酒が入るだけで、どんな大事な秘密だって喋っちゃうに違いないよ!」

ハーマイオニー「とにかく今は、ダンブルドア先生に会いに行きましょう…!」

ハーマイオニー「スネイプがフラッフィーを突破する方法を掴んだことを知らせないと…!」

『マクゴナガル先生に会おう!校長室の合言葉を知ってるはずだよ!』

あちこち走り回って、やっとのことでマクゴナガル先生を見つけた

マクゴナガル先生は、山のような本を抱えて歩いていた

ハリー「マクゴナガル先生!」

マクゴナガル「おや。どうしたんですか、そんなに慌てて」

『ダンブルドア先生に会わせてください!』

マクゴナガル「ダンブルドア先生に?」

マクゴナガル「ああ、またなにかプレゼントでも贈るんですか?」

マクゴナガル「そうだ、エリオット。ちゃんとしたお礼がまだでしたね」

マクゴナガル「あなたの編んでくれたコースター、愛用させてもらってますよ」

先生が嬉しそうににっこりと笑った

『本当ですか!良かった、気に入ってもらえて』

『もう暑いから靴下とか帽子よりは、そういうものの方が良いかと思って』

『模様もちょっと凝ったものにしてみたんですけど』

ハーマイオニー「そんなことは後でいいでしょ!」

ハーマイオニーに、耳元で思いっきり怒鳴られた…

耳がキーンとする…

マクゴナガル「残念ながら、ダンブルドア先生はお留守ですよ」

マクゴナガル「つい先ほど、魔法省から緊急のふくろう便が来てロンドンに発たれました」

ハリー「お留守!?こんな大事な時に…!」

マクゴナガル「なにかあったのですか?」

ハリー「急いでお伝えしないといけないことがあるんです!」

ハリー「石を…賢者の石を盜もうとしている人がいるんです!」

ハリーは焦りのあまり、慎重さをかなぐり捨てて言った

同時にマクゴナガル先生の手から、バラバラと本が落ちた

拾おうともせずに、驚いた表情でハリーを見ている…

落ちた本が気になったから、慌てて拾いながら話を聞くことにした

マクゴナガル「…どこで石のことを知ったのかは知りませんが、石の防御は完璧です」

マクゴナガル「誰にも盗むことはできませんから、安心なさい」

ハリー「でも、先生…!」

マクゴナガル「ポッター。二度同じことは言いません」

マクゴナガル「さあ、外で遊んでらっしゃい」

マクゴナガル「せっかくの良い天気ですよ」

マクゴナガル先生は、僕から本を受け取ると足早に去ってしまった…

ハリー「今夜だ…。スネイプは今夜石を盗む気なんだ…」

ハリー「間違い無い。ハグリッドにドラゴンの卵を預けたのは、スネイプかヴォルデモートだったんだよ…」

ハリー「ドラゴンの卵でハグリッドの興味を引いて、フラッフィーの情報を聞き出したんだ…」

ハーマイオニー「ダンブルドア先生に、手紙を送ったのもスネイプね」

ハリー「うん…。先生が顔を出したら、きっと魔法省の人たちはキョトンとするはずだよ」

ロン「石を盗むには、ダンブルドアが邪魔になるから、厄介払いをしたってこと…?」

ハリー「必要なことは全部わかったんだろうね…」

ハリー「このままじゃ本当に、スネイプが石を盗む…!」

ハリー「ヴォルデモートが復活しちゃうよ…!」

ハリー「なんとかして食い止めないと…!」

『でも、どうやって…?』

『本気でクィレ…スネイプ先生が石を盗もうとしているなら、僕たちにできることなんて…』

何も無い…と言おうとした時

まだできることがあるのに気づいた

そして、ちょうどその人が声をかけてきた

スネイプ「ご機嫌よう、グリフィンドールの諸君」

ハリーたちはスネイプ先生を見て、凍りついた

けど僕にとっては救いだった

まさに今会いたかった人が、来てくれたんだから

スネイプ「こんな天気の良い日に、コソコソと何をしているのかね?」

スネイプ「何か企みでもあるのかと、疑われますぞ?」

スネイプ「これ以上減点される余裕は、グリフィンドールにはないはずだが?」

その言葉に、ハリーは顔を赤くして悔しがった

『あ、あの…スネイプ先生。お話したいことがあるんです』

『以前お願いしていた、魔法薬の補習についてなんですけど…』

『また研究室にお邪魔してもいいですか?』

僕がそう言うと、スネイプ先生は目を細めた

ハリーたちは「なんてことを言うんだ…!」とでも言いたげな顔で僕を見ている

スネイプ「…よかろう。来るがいい、ランバート」

『大丈夫、安心して』

僕は不安そうなハリーたちに、小声でそう言うと、スネイプ先生の後を追った

スネイプ先生の研究室は、相変わらず薄暗くて、夜の闇の中にいるみたいだった

スネイプ「さて、君の要件を聞こうか。ランバート」

スネイプ「本当に魔法薬の補習なのか、あるいは…」

『ごめんなさい…。嘘をつきました』

『話したいことは別にあるんです…!』

スネイプ「だろうな。君は嘘が下手すぎる」

スネイプ「開心術を使うまでもなく、考えていることが丸分かりだ」

スネイプ「まあ、どのみち留年したくなければ、ちゃんとした補習を受けてもらうことになるが…」

『そんなに僕のテストの点、悪かったんですか…?』

スネイプ「今、この場で、聞きたいかね?」

顔を近づけられて、威圧されながらそう言われた

聞くまでもなく、スネイプ先生は怒っているみたいだ…

『いえ、あの、また今度…』

スネイプ「フン…仕方ない。君のあまりの頭の悪さを嘆くのは、別の機会にするとしよう」

『あう…』

スネイプ「要件を言え」

『は、はい…!』

僕はクィレル先生が、フラッフィーを突破する方法を知ってしまったこと

ダンブルドア先生が留守にしている今晩こそ、石を盗むチャンスだと思っているんじゃないか

ということを話した

スネイプ「嘆かわしい…。クィレルだけでなく、君たちにまであっさり秘密をバラすとは…」

ごめん、ハグリッド…。フォローできないよ…

スネイプ「ランバート。君に命じることは一つだ」

スネイプ「黙って大人しくしていろ。この秘密を他の誰にも話すな、それだけだ」

『えっ…。でもクィレル先生は…?』

スネイプ「石の防御は、クィレルに破れるものではない」

スネイプ「そういう細工がしてあるのだ」

スネイプ「君たちが心配するようなことは何も無い」

『でも、もし万が一石が盗まれたら…』

スネイプ「君は人の話を聞かないのが好きなようだな、ランバート」

スネイプ「我輩の言うことが聞けないのかね?」

『ごめんなさい…』

スネイプ「わかったら行くがいい」

『はい…』

追い出されるように、僕はスネイプ先生の研究室を出た…

スネイプ「…これで良かったと?」

ダンブルドア「そうじゃな。ハリーの性格からするに、きっと自分の手で石を守ろうとするじゃろう」

ダンブルドア「おそらくはエリオットも、ハリーだけ危険な目に合わすまいと協力するはずじゃ」

ダンブルドア「ミスター・ウィーズリーとミス・グレンジャーもな」

スネイプ「危険な目に合わせようとしているのは、貴方ではありませんかな?校長」

ダンブルドア「如何にもそうじゃ。じゃが必要なことなのじゃよ」

ダンブルドア「ヴォルデモートを打ち破るためには、ハリーの力がいる」

ダンブルドア「その時になってなんの試練も乗り越えていないのと、いるのとでは全く話が異なる」

ダンブルドア「わしはあの子たちに成長して欲しいのじゃよ」

スネイプ「…その為に、命の危険に晒すと?」

ダンブルドア「もちろん。あの子たちを死なせはせんよ、セブルス」

ダンブルドア「じゃが、わしの干渉は最低限にするつもりじゃ」

ダンブルドア「わしはあの子たちを信じておるからのう」

スネイプ「……………」

スネイプは虚空を見つめながら、腹立たしげに顔を歪めた

談話室に戻ると、ハリーたちが待っていた

みんな僕を見ると、慌てて駆け寄ってきた

ハリー「大丈夫だった、エリオット!?」

ハーマイオニー「無茶しすぎよ、スネイプがどれだけの危険人物かわかってるでしょ?」

『いや、まあね…』

いい加減、みんなの誤解解いておきたいなぁ…

でもスネイプ先生には何も話すなって言われてるし…

ロン「何か聞きだせたかい!?」

『ううん。石は絶対に盗めないから心配するな、としか…』

ロン「よく言うよ、今まで盗むための準備を整えてたっていうのに」

『……………』

ハーマイオニー「私たちは、廊下の前でスネイプが来ないか見張ろうと思ってたんだけど…」

ハーマイオニー「マクゴナガル先生が現れて、減点されちゃたわ…」

ハーマイオニー「堪忍袋の緒が切れちゃったみたい…」

ハリー「………もう、僕が行くしかない」

ハリー「スネイプより先に石を手に入れて、守らないと…!」

『ハリー…!?』

ハーマイオニー「だめよ、ハリー!」

ハーマイオニー「さっきも言われたでしょ!これ以上規則を破ったら、退学になるわよ!」

ハリー「だからなんだっていうんだ…!?」

ハリーが叫んだ

こんなに大きな声を出したハリーは初めてだ…

真っ青な顔に緑の目が燃えている

ハリー「わからないのかい!?もしスネイプが石を手に入れたら、ヴォルデモートが復活するんだ!」

ハリー「そうなったらホグワーツとか、退学とかそれどころじゃない!」

ハリー「あいつは必ず僕を殺そうとする!」

ハリー「僕の両親は、ヴォルデモートに殺されたんだ…!!」

怒りや悲しみや恐怖…

色んなものが混ざった叫びだった

ハリーは本気だ…

本当にたった1人でも石を守ろうとしている…

たとえ、ヴォルデモートやクィレル先生と戦うことになっても…

『……………』

そんなハリーを、一人にすることなんて僕にはできない…!

先生の言いつけを破ることになっちゃうけど

それでも…!

『わかった…。じゃあ、僕も一緒に行くよ。ハリー』

ハリーは大きく目を見開いた

ハリー「駄目だよ…。危険すぎる、きみまで危ない目には巻き込めないよ」

『その危険すぎることを1人でやるつもり?』

『今まで危ないことをする時も、怒られる時も、いつも一緒だったじゃない』

『今回だけ仲間はずれにしないでよ』

ハリー「エリオット…」

『それに僕、ハリーの気持ち、少しわかるんだ…』

『僕の父さんも、ヴォルデモートに殺されたから…』

『父さんは命を賭けて、勇敢にヴォルデモートと戦ったんだ』

『だから僕も逃げたくない』

『父さんやハリーが作ってくれた今の平和を、守らなくちゃね…!』

父さんがヴォルデモートに立ち向かうことができた理由が、今ならわかる気がする

きっと今の僕と同じ気持ちだったんだ

大切な人を守るためなら

きっとどんなに恐ろしいことが待っていても

立ち向かう勇気が湧いてくるんだ

ハーマイオニー「でも、どうやって行くの?ハリー」

ハリー「…透明マントを使うよ。マントを使えば、寮を抜け出すのは簡単だ」

ロン「でも、僕たち全員入れるからな?」

ロンが自然にそう言ったから、僕とハリーは驚いた

ハリー「全員って…きみたちも行くつもりかい?」

ロン「バカ言うなよ。きみたちだけに行かせると思うのかい?」

ハーマイオニー「私たちがいないのに、石までたどり着けると思ってるの?」

ハーマイオニー「二人とも、ちょっと無鉄砲すぎるところがあるのに」

ロン「きみもたまにおっちょこちょいだけどね」

ハーマイオニー「何か言った?ロン」

ロン「ううん…!何も!」

ロンは冷や汗を掻きながら、慌ててそう言った

そんな二人を見ていると、恐怖なんか完全に吹き飛んでしまった

僕たちだけじゃ無理かもしれない

けど、みんなと一緒ならきっと大丈夫だ…!

そう思うことができた

みんなが寝静まった頃、僕たちは談話室に集合した

ハリー「じゃあエリオット、フラッフィーは頼んだよ」

『うん、任せてよ』

『ハグリッドの子守唄も吹けるし、今はそんなにフラッフィーが怖いとは思わないんだ』

ロン「そりゃあ赤ちゃんとはいえ、ドラゴンの世話をしてたんだもんなぁ…」

ハーマイオニー「寮を出る前に、ちゃんと全員がマントに隠れられるか試しましょう」

ネビル「きみたち、何してるの?」

ハリーがマントを広げようとした瞬間、肘掛け椅子の陰からネビルが現れた

『う、ううん…。なんでもないよ』

『ネビルこそどうしたの…?こんな時間に…?』

ネビル「トレバーがまた脱走しようとしたから、探してたんだ」

たしかに、ネビルはトレバーをしっかりと掴んでいる…

ネビル「僕のことよりも、きみたちのことだよ」

ネビル「また…抜け出そうとしてるんだね」

ネビルが僕たちを見つめた

ネビル「行かせないよ。そんなことしたら、グリフィンドールはもっと大変なことになる」

ハリー「ネビル…。きみにはわからないことだけど、これは重要なことなんだ」

ハリー「グリフィンドールよりも、ホグワーツを守るために…」

ネビル「行かせるもんか!」

ネビル「僕、僕…きみたちと戦う!」

ロン「ネビル!そこをどけよ、バカな真似はよせ!」

ロンのかんしゃく玉が破裂した

それでもネビルは出口の肖像画の前で、必死にたちはだかった

ネビル「僕はもう嫌なんだ…!」

ネビル「エリオットやハリーがみんなから悪口を言われて、辛そうにしているのは!」

ネビル「そんなのもうたくさんなんだよ!」

ネビル「きみたちがどうして、規則を破ろうとしてるのかは知らないさ!」

ネビル「でも僕がきみたちを止める!」

ネビル「殴る気なら殴ればいい!」

ネビル「僕は戦う…!」

『ネビル…』

あの臆病なネビルが、拳を構えて僕たちに立ちはだかっている…

それも僕たちを守るために…

一体、どれだけの勇気を振り絞ったんだろう…

きっとその勇気は、今の僕には無いものだ…

ハリー「なんとかしてよ…」

ハーマイオニー「ネビル、本当に、本当にごめんなさい…」

ハーマイオニーが一歩進み出て、杖を振り上げようとした

『待って…!』

ロン「時間が無いんだよ、エリオット。こうしている間にもスネイプは…!」

『うん、わかってるよ…』

『でも、僕に任せてくれないかな。お願い…』

僕が真剣にそう頼むと、三人はなにも言わなかった

『ネビル、僕と勝負だ…』

ネビル「……………」

僕とネビルは一礼をした後、距離を置いて杖を構えた

ネビルは震えている…

たぶん、僕もだ…

クィディッチの試合でも、こんなに緊張したことなんて無かった

あの日、ホグワーツ特急で最初に出会ったネビル

ホグワーツでできた最初の友だちと、僕は今決闘しようとしている…

でも、ネビルは逃げようとしていない

なら、僕だって逃げるわけにはいかない…!

『いくよ、ネビル…。準備はいい?』

ネビル「う、うん…!」

『3…』

ネビル「2…」

『1…』
ネビル「1…」

僕たちは杖を振って、呪文を唱えた…!

ENEMY 「ネビル」

<HP> 16

魔力【4】 体力【4】

特殊攻撃

コンマ1~3 フリペンド-撃て-

呪文を選択してください
(呪文>>11
↓1

攻撃コンマ
↓1エリオット ↓2ネビル

エリオット
【15】+【16+3】+1=35

ネビル
【4】+【4】+4=12

35-12=23

ネビルに23のダメージ!

ネビルの残り<HP>0

ネビルを倒した!

戦闘勝利ボーナス

魅力が1上がった!

更に魔力、体力、知力のどれか一つを上げることができます

魔力、体力なら確実に+3
知力なら最低+1、最高+3

↓1

大成功!

なんだか力が溢れるような気がする…

魔力が3上がった!

【ステータス】
魔力【18】 体力【16】 知力【9】 魅力【3】

新しい呪文を習得しました

魔力レベル16
プロテゴ-護れ-
盾の呪文。バリアを発生させ身を護る
(魔力補正に+5。相手の<HP>を削る代わりに、次のターンの判定値に+3する)

魔力レベル18
フィニート・インカーターテム-呪文よ終われ-
呪文そのものを終わらせる
(自分にかかっているデバフを解除する)

僕とネビルの勝負は、僕の勝ちで終わった

勝負は長引かなかったけど、ひどく体力を消耗したような気がした

気絶したネビルを、ベッドに寝かせると、改めてみんなで透明マントを被った

ロン「僕、ネビルを見直したよ」

ハーマイオニー「あんなに怒ってたのに?」

ロン「そりゃあ急いでたんだから、怒るさ」

ロン「でも、一人で僕らと戦おうとしたんだ」

ロン「誰にでもできることじゃないよ」

ハーマイオニー「そうね」

ハリー「エリオット、大丈夫…?」

『うん…大丈夫だよ』

『行こう、みんな』

『ヴォルデモートの復活を止めるために…!』

みんなが力強く頷くと、僕たちは寮を出て、真っ暗な道を進んだ…

ごめん、魅力直すの忘れてました
こっちが正しいものです

【ステータス】
魔力【18】 体力【16】 知力【9】 魅力【4】

好感度判定

【4】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハリー↓1 ロン↓2 ハーマイオニー↓3 ネビル↓4

ハリー 4+9=13
ロン 4+10=14
ハーマイオニー 4+5=9
ネビル 4+10=14

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 36/40 次の段階まで残り4
ロン 2【友だち】 17/30 次の段階まで残り13
ハーマイオニー 2【友だち】 29/30 次の段階まで残り1
ネビル 2【友だち】 14/30 次の段階まで残り16
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 3【友だち】 4/40 次の段階まで残り36
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

自由行動の時間です
以下から一つ選択

ハリーと遊ぶ
ロンと遊ぶ
ハーマイオニーと遊ぶ
ネビルと遊ぶ
フレッド・ジョージと遊ぶ
ドラコと遊ぶ
ハンナと遊ぶ
アンジェリーナと遊ぶ
チョウと遊ぶ
セドリックと遊ぶ

魔力を鍛える
体力を鍛える
知力を鍛える
魅力を鍛える

↓1

ハーマイオニーと遊ぼう

好感度判定

【4】(魅力補正)+コンマ一桁=上昇値
0orゾロ目は10として扱う

ハーマイオニー↓1

ハーマイオニー 4+9=13

<好感度一覧>

ハリー 3【友だち】 36/40 次の段階まで残り4
ロン 2【友だち】 17/30 次の段階まで残り13
ハーマイオニー 3【友だち】 12/40 次の段階まで残り28
ネビル 2【友だち】 14/30 次の段階まで残り16
フレッド・ジョージ 1【友だち】 17/20 次の段階まで残り3
ドラコ 3【友だち】 4/40 次の段階まで残り36
ハンナ 0【顔見知り】 6/10 次の段階まで残り4
アンジェリーナ 2【友だち】 0/30 次の段階まで残り30
チョウ 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10
セドリック 0【顔見知り】 0/10 次の段階まで残り10

というところで今日は以上

次回、ついに決戦です

たぶん、前編と後編で分ける感じになるかな

いつものように解説は前スレに

ついでに前スレはそろそろ埋めときます

質問、感想はどしどしお願いします

では、お疲れ様でしたー

ネビルを気絶させて寮を出るのは、幸先が良いとは言えなかった

でも、もう後戻りはできない

なにより、今からやろうとしていることに失敗は許されない

そう考えると、僕の中で何かが変わったような気がした

ミセス・ノリスやピーブズが徘徊しているのに、いち早く気づけたのもそのおかげかもしれない

結果、順調に四階の廊下までたどり着けた

扉はすでに少し開いていた

ハリー「やっぱりだ、スネイプはもうフラッフィーを突破したんだよ」

ハリー「みんな…。戻りたかったら、これが最後のチャンスだ」

ハリー「恨んだりしないから、戻っても…」

ロン「今更なに言ってるんだよ」

ハーマイオニー「一緒に行くわ」

『もちのロンでね』

ロン「ちょっ!エリオット…!」

僕がそう言うと、みんなの緊張も少しほぐれたみたいだ

ハリー「エリオット、笛を」

『うん!』

僕はハグリッドから貰った笛で、子守唄を吹き始めた

ハリーがゆっくりと扉を押し開けた

扉はきしみながら開いて、同時にグルグルという低い唸り声が聞こえた

僕が一歩前に歩み出て、フラッフィーの目を見ながら笛を吹き続けると

膝をついて座り込んで、ゴロンと床に横たわった

グッスリ眠り込んでしまったみたいだ

ロン「吹き続けて」

ロンの言葉に相槌を返しながら、吹き続ける

ハーマイオニー「ハープがあるわね」

ハリー「きっとスネイプが持ち込んで、魔法をかけてたんだよ」

ハリー「今はもう音楽が止んでるみたいだけど」

ハリーたちが恐る恐るフラッフィーの前足をどかすと、仕掛け扉の入り口が現れた

引き手を引っ張ると、扉が跳ね上がった

ハーマイオニー「何か見える?」

ロン「何にも…真っ暗だ。降りていく階段も無い。落ちていくしかないよ」

ハリー「僕から行くよ。いい?もし僕の身に何か起きたらついてこないで」

ハリー「まっすぐふくろう小屋に行って、ダンブルドア先生にヘドウィグを送るんだ」

ハーマイオニー「わかったわ…。気をつけてね、ハリー」

ロン「死んだりするなよ…」

『……………』

笛を吹きながら、僕もハリーをじっと見た

ハリー「できればね…。じゃあ、また後で会おう」

そしてハリーは落ちて行った

下へ…下へと…

不安でたまらなくなった時、下の方からドシンという鈍い音が聞こえた

ハリー「オーケーだ!」

ハリー「軟着陸だ、これなら飛び降りても平気だよ!」

ハリーの声が響いた

ホッと一安心すると、まずロンがハリーの後に続いた

次にハーマイオニー

そして笛を吹くのを止めて、僕もすぐに飛び降りた

『ふう…。みんな無事?』

ロン「この植物のおかげでね。ほんとにラッキーだったよ」

ハーマイオニー「ラッキーですって…!?」

ハーマイオニーが悲鳴を上げた

嫌な予感がして、足元を見ると植物のツルがヘビのように足首に絡みついてきた

なんとか振りほどこうとすればするほど、ツルはますます素早く巻き付いてくる

ハーマイオニー「動かないで!」

ハーマイオニー「私、知ってる…悪魔の罠だわ!」

ハーマイオニー「動けば動くほど、早く死ぬわよ!」

ロン「死ぬだって…!冗談じゃない!」

ロン「なおさら振りほどかないと!!」

ロンが激しく暴れ始めた

そのせいか、僕たちよりも早く、ツルにどんどん巻き付かれていく…!

『ハーマイオニー…!なんとかならないの…!?』

ハーマイオニー「黙ってて!どうやってやっつけるか、思い出そうとしてるんだから!」

ハーマイオニーはすでに杖を抜いて、ツルに巻き付かれながらも、冷静に頭を働かせている

ハーマイオニー「悪魔の罠、悪魔の罠…。暗闇と湿気を好み、苦手なものは…」

ハリー「だったら火をつければいいよ…!」

ハーマイオニー「そうだわ!それよ!でも薪が無いわ…」

ロン「気が狂ったのか…!?きみはそれでも魔女か…!?」

ロンが大声で叫んだ

ハーマイオニー「あっ、そうだった!」

ハーマイオニー「インセンディオ-燃えよ-」

ハーマイオニーが杖を降ると、杖の先端から炎が吹き出した

草が光と温もりですくみ上がって、へなへなとほぐれて

僕たちに絡みついていたツルも力を無くしてしまった

冷や汗を拭いながらツルを振り払うと、足元の植物を踏み越えて奥へ続く一本道へと進んだ

ハリー「ハーマイオニー。きみが薬草学をちゃんと勉強してくれてて助かったよ」

ロン「それにしても『薪が無いわ』なんて、まったく…」

ロンがそう言うと、ハーマイオニーは恥ずかしそうに顔を赤くした

『まあまあ、みんな無事だったんだから良かったじゃない』

『この調子で行こうよ、ね!』

そうなだめると、僕たちは先を進んだ

暗い下り坂の通路の出口を出ると、目の前にはまばゆく輝く部屋が広がった

天井は高くて、アーチ形をしている

宝石のようにキラキラした無数の鳥が、部屋いっぱいに飛び回っていた

ロン「なんだろう、あの鳥?」

ハリー「いや、ただの鳥じゃないよ!羽のついた鍵鳥なんだ!」

ハーマイオニー「きっとこの部屋を抜ける扉の鍵なのね」

『アロホモラで開かないかな?』

ハーマイオニーが試してみたけど、やっぱり駄目だった

押しても引いてもびくともしない

ハリー「やっぱりあった、箒だよ。これを使えばいいんだ」

ハリーが部屋の隅から二本の箒を見つけてきた

『流れ星だね、懐かしいなぁ』

ロン「感傷に浸ってる暇じゃないよ…。どれが本物の鍵なのかわからないのに」

『えっ、本物ならきっとあれだよ』

『ほら、あの羽が曲がってるやつ』

アーチの端の方を飛んでいる鍵を指差す

ハリー「きっとスネイプが一度捕まえたんだ、簡単すぎるね」

ハーマイオニー「ねえ、ロン…。どの鍵を言ってるのかわかる?」

ロン「いや…。二人とも普通の目をしてないんだ、きっと」

なにかとても失礼なことを言われたような気がしたけど、構わず箒に跨った

同時に、鍵鳥は猛スピードでグルグルと飛び始めた

本物の鍵は偽物の鍵に混じりながら、素早く急上昇と急降下を繰り返している

ロン「簡単じゃなかったみたい…」

『そうでもないよ。ハリー、僕が下から追い込む』

『キャッチは任せたよ!』

ハリー「うん、スニッチより大きいんだ。楽勝だよ!」

僕たちは虹色の羽の渦を飛び回った

二人で本物の鍵を挟むように飛びながら、じわじわと追い込んでいく

ハリー「今だ!」

ハリーが一直線に加速すると、難なく鍵をキャッチした

下からロンとハーマイオニーの歓声が聞こえてくる

けど、そこからが本番だった

無数の鍵鳥たちが、飛んでいる僕とハリーを狙うように追いかけてきた

あんなスピードで鍵が当たってきたら…

僕たちは、部屋中を飛び回りながら時間を稼いだ

ハリーから鍵を受け取ったロンたちが、扉を開けようとしているのが見える

ハーマイオニー「二人とも、急いで!こっちよ!」

声に従って狭い出口を一気に抜けると、ロンが勢い良く扉を閉めた

同時に何本もの鍵が扉に刺さって、背筋が寒くなった…

ロン「今のが刺さってたらと思うと、ゾッとするな…」

『考えないようにしてたのに…』

ハリーが先頭を歩きながら、更に次の部屋に進んだ

真っ暗でなにも見えない部屋だった

ハーマイオニー「なんなの?この部屋…」

ロン「僕、ここがどこなのかわかったよ…」

ロン「チェスの盤の上だ…!」

ロンがそう言うと、突然光が部屋中に溢れた

たしかに僕たちは、巨大なチェス盤の上にいる…

黒の駒と白の駒も、大きさこそ違うけど見慣れたものだ

白の駒の向こう側には、次の扉が見える

そのまま通れないか近寄ろうとすると、白のポーンが二本の剣を抜いて行く手を阻んだ

ハリー「どうすればいいんだろう…?」

ロン「…見ての通りだよ。きっと向こうに行くには、チェスの試合に勝たなきゃいけないんだ」

ロン「僕たちがチェスの駒になるんだよ」

『チェスか…。ならロンの出番だね』

『僕たちの中で、一番強いんだし』

ロン「うん…。みんな、僕の言うとおりにしてくれる?」

ハリー「もちろんだよ。なにをしたらいい?」

ロン「じゃあ…ハリーはキング。ハーマイオニーはクイーン、エリオットはルークと代わって」

ハーマイオニー「ロンは?」

ロン「僕は…ナイトの位置だ」

駒はロンの言葉を聞いていたみたいだ

四つの駒がチェス盤から下りて、僕たちに持ち場を譲ると、自然に崩れ去った

ロンがナイトの騎士が乗っていた馬に跨がると、白のポーンが二つ前に進んだ

ハーマイオニー「ねえ、ロン。まさか本当に…私たちが魔法使いのチェスをするわけじゃないわよね…?」

ロン「eの5へ動け…!」

ロンが黒のポーンに指示を飛ばすと、駒はロンの言うとおり黙々と動いた

そして、次の瞬間

白の駒に、ポーンは斬り捨てられた…

チェス盤の外に叩き飛ばされて、あたりには残骸が広まった…

ロン「そうだよ…ハーマイオニー…」

ロン「これは僕たちの知ってる魔法使いのチェスと、丸っきり同じだ…!」

きっと取られたら、今のポーンと同じようにチェス盤の外に叩き飛ばされるんだろう…

ロンは顔を青くしながらも、歯を食いしばりながら、雄々しく指示を続けた

ロンと対になっているナイトと、僕の対になっているルークも取られた…

ロン「こうしなくちゃならなかったんだ」

ロン「ハーマイオニー、さあ進んで」

僕たちが駒を取れる状態になると、白の駒は自ら盤を下りて、崩れ去った

でも白は、黒の駒を取るときに何の情けもかけなかった

しばらくすると、負傷した駒が壁際に累々と積み上がった

どれくらいの時間が経っただろう…

「詰めが近い」と、ロンは急に呟いた

ハリー「ねえ、待ってよ…」

ハーマイオニー「この状況って…」

『なに、どうしたの…?』

ロン「これしか手はない。僕が取られるしか…」

ハリー「駄目だ、ロン!!」

ハーマイオニー「やめて…!!」

『他に方法があるはずだよ…!!』

ロン「無いから言ってるんだ!これがチェスなんだよ!」

ロンはきっぱりと言った

ロン「犠牲を払わなくちゃ、先へ進めない!」

ハリー「でも…!」

ロン「いいかい?進まなくちゃ行けないのは、僕でもハーマイオニーでもエリオットでも無い!」

ロン「ハリー、きみなんだ!僕にはわかる!」

『それでも…こんなこんなやり方…』

たしかにチェスは、犠牲を払わないと道が開けないゲームだ

でも僕には、そういう考え方がどうしてもできなかった

どの駒も可能な限り取られたくなくて、いつも簡単にチェックメイトまで追い込まれる…

わかっていても直しようがない…

いや、直す気なんかない…!

そんな考えは絶対に間違ってる…!

これはゲームであっても現実なんだから、尚更だ…!

ロン「…僕がクイーンに取られる」

ロン「そうしたら、エリオット。きみがチェックメイトをかけるんだ」

ロン「キングの…ハリーの睨みが効いてるからもう逃げ場はない。いいね?」

ロンは青ざめた顔で、震えながらそう言っている

その顔を見て…僕の覚悟は決まった

『…いや、駄目だよ。ロン』

ロン「…エリオット。お願いだから…」

『そのお願いは聞けない』

『ロンを犠牲にして、先に進むなんて僕はごめんだ…!』

ロン「でも他に方法は…!」

『方法が無いなら…作ればいい』

ハリー「エリオット…?」

『…ハーマイオニー。粉々呪文って、固体ならどんな物質にも効くんだよね』

ハーマイオニー「エリオット…あなた、まさか…!?」

『みんな下がって!!』

『レダクト!-粉々-』

僕は杖を抜いて、白のクイーンに呪文を向けた

僕に出せる最大出力で撃ったつもりだ

狙い通り、駒は砕け散った

そして、残った駒が襲い掛かってきた

でも数は多くない…!

なんとかしてみせる…!

石の剣の攻撃を紙一重で躱しながら、粉々呪文を向け続ける

いける、このままいけば…!

ハリー「エリオット、後ろ…!」

ハリーの声を聞いて、後ろからの攻撃を咄嗟に躱した

残っていた黒のポーンの攻撃だ…!

態勢を崩しながら粉々にすると、直後凄まじい衝撃が僕を襲った…

右肩が焼けるように痛い…

振り向くと最後の一駒、白のナイトが棘付きの鉄球を僕に振りかぶっていた…!

ハーマイオニー「レダクト!-粉々-」

鉄球が僕に振り下ろさせる直前のタイミングで、ハーマイオニーの呪文がナイトを捉えた

目の前で、粉々になったナイトが崩れ落ちていく

同時に、次の部屋への扉がパッと開いた

ハリー「エリオット…!」

ハリーたちが駆け寄ってくる

ハーマイオニーがエピスキーの呪文をかけてくれたおかげで、痛みは大分収まった

ハーマイオニー「大丈夫…エリオット?」

『なんとかね…。ありがとう、治してくれて』

ハーマイオニー「完全に治ったわけじゃないわ…」

ハーマイオニー「あくまで応急処置の呪文だもの…」

ハーマイオニー「あなたが一番よくわかってるはずよ」

『それでも…かなり楽になったよ』

『血も止まったみたいだし、出血死とかの心配は無さそうかな』

ロン「やっぱりきみって無茶苦茶だよ…」

ロンが呆れたように言った

ロン「あのまま続けてたら勝ってたのに、どうしてあんなこと…」

『でも、ロンがどうなってかわからないでしょ?』

『だったら、なんとかするしかないって…そう思ったんだ』

『さっきも言ったけど、きみが犠牲になるなんて、そんなの嫌だったから』

ロン「エリオット…」

『さあ、行こう…。急がないと』

僕は右肩を抑えながら、みんなと一緒に先に進んだ

ズキズキとした痛みが絶えず響いた

もしかしたら、骨が折れてるのかもしれない

でも、そんなことを気にしている暇は無い

まだ先はあるし、戦えなくなったわけじゃないんだ

本当になにもできなくなるまで、みんなのことを守らないと…

ロン「エリオット。本当に大丈夫かい…?」

『大丈夫だよ…。それより、次の罠はなんだろう?』

ハーマイオニー「スプラウト先生は悪魔の罠。鍵に魔法をかけたのはフリットウィック先生ね」

ハーマイオニー「チェスの駒を変身させて命を吹き込んだのは、マクゴナガル先生だし…」

ハリー「つまり後はクィレルとスネイプ。ダンブルドア先生だ」

次の扉の前につくと、ハリーが扉を開けた

悪臭が部屋全体に漂っている…

『なにかの…毒?』

ハーマイオニー「…違うわ。ほら、あそこ」

目をしょぼつかせながら見ると、前にやっつけたのよりも更に大きなトロールだった

頭のこぶは血だらけでピクリとも動かない…

ハリー「たぶん、クィレルの罠だね…」

ロン「今こんなトロールと戦わなくて良かったよ…」

小山のような足をソーっと跨いで次の扉を開けた

もう何が出てくるのか、みんなまともに見ていられないみたいだった

『大丈夫…。なにも危なそうなものは無いよ』

部屋の中央にはただテーブルがあって、その上に形の違う七つの瓶が並んでいる

中身は色とりどりの魔法薬だ

ハリー「スネイプの罠だ」

ロン「なにをすればいいんだろう」

扉の敷居を跨ぐと、今通ってきたばかりの道が燃え上がった

ただの火じゃない、紫の炎だ…!

同時に前方の出口にも、黒い炎が上がった

『閉じ込められた…!?』

えー本当にそれで進めるんだ

ハーマイオニー「みんな、これを見て!」

ハーマイオニーが瓶の横に置かれていた巻紙を取り上げた

巻紙にはなにかの暗号みたいなものが書かれている

僕にはなんのことやらさっぱりわからず、ちんぷんかんぷんだった

ハーマイオニー「すごいわ!これは魔法じゃなくて論理よ!答えはこの紙に書いてある!」

ロン「こんな時に笑ってるよ…。ハーマイオニーのやつ…」

ハーマイオニー「優れた魔法使いでも、論理の伴わない人はたくさんいるの!」

ハーマイオニー「そういう人は、ここで一生行き止まりなんだわ!」

『………ねえ、僕泣いていいかな?』

ハリー「ドンマイ、エリオット…」

ロン『知ってるだろ?悪気は無いんだよ…』

いや、わかってるけど…

魔法薬のテストが赤点確定だっただけに、ヘコむなぁ…

>>546
後で説明するからちょっと待ってくださいね

ハーマイオニーは、紙を何回か読み直した

ブツブツ独り言を言ったり、瓶を指差しながら机の前を行ったり来たりした

そして、ついにパチンと手を打った

ハーマイオニー「わかったわ!この丸い瓶が黒い火を通り抜けて、石の方へと行かせてくれる」

ハリー「二人分ってところだね…」

ハリー「元の道に戻れる薬は無いの?」

ハーマイオニーは、一番右の大きな瓶を指差した

僕たちは顔を見合わせた

ハリー「僕は…先に行くよ」

ハリー「みんなは戻って、ヘドウィグをダンブルドア先生に送ってほしい」

ハリー「しばらくならスネイプを食い止められるかもしれないけど、やっぱり僕じゃかなわないはずだから」

ロン「でも、ハリー。もし例のあの人が、スネイプと一緒にいたらどうするの…?」

ハリー「そうだね…。僕は、一度幸運だった」

ハリー「だから、二度目も幸運かもしれない。そうだろう?」

ハリーは額の傷を指差しながら、小さく笑った

チェス用意したのはマクゴナガルなのに
正規の方法を踏まない手順で扉開くのを許すかなー

そんなハリーの姿は

みぞの鏡で見た理想の自分と重なったような気がした

今まで見てきた、誰よりも格好いいと…

僕がなりたいのは、こういう勇気の持ち主なんだと…

そう思った

『じゃあ…僕も行くよ』

ハリー「駄目だ…。きみは怪我してるんだよ…?」

『きっと…この先は戦いになる』

『怪我はしてるけど、杖を振るくらい問題無いよ』

『だから、最後まで付き合わせてよ』

『精一杯がんばるから』

ハリー「うん…ありがとう」

ハリーは、微笑みながらそう答えてくれた

ロン「ハリー、エリオット…」

ロン「大丈夫さ…!きみたちならできるよ!」

ロン「スネイプや…ヴォルデモートなんかに負けるもんか!」

ハーマイオニー「ええ…!あなたたちは本当に偉大な魔法使いだわ!」

ハリー「そんなこと無いよ」

『僕は、みんなが立派な魔法使いと魔女だと思うよ』

『鍵だって、ハリー1人で充分だったと思うし…』

『悪魔の罠や、薬の暗号を解いたのはハーマイオニーだし…』

『チェスだって、僕が出しゃばらなくてもロンは勝ってたんだし…』

ロン「何言ってるんだよ、エリオット…!きみだってすごいさ!」

ロン「僕は…自分が犠牲になるしか無いと思ってた」

ロン「それ以外、なんの考えも思い浮かばなかったんだ」

ロン「でもきみは違った。無茶苦茶な力技だったけど、それでも怪我をしてまで僕を守ってくれた」

ハーマイオニー「トロールの時だってそうよ。あの時、真っ先に私を追いかけてくれたのはあなただったじゃない」

ハリー「禁じられた森でも、ヴォルデモートから僕とマルフォイを守ろうと戦ってくれたよね」

ハリー「きみだってすごい魔法使いだよ」

ハリー「ただ魔法がすごいんじゃない」

ハリー「優しくて、いつも僕たちを支えて守ってくれるじゃないか」

『みんな…』

みんなの言葉が、優しくて、暖かくて

自然と涙が溢れそうになった

こんな時に泣いちゃいけないのに…

必死にこらえながら、涙を拭うとあらためてみんなを見た

『ありがとう、みんな』

『約束しよう。必ず、またみんな揃って明日を迎えるって』

ハリー「うん」

ハーマイオニー「ええ」

ロン「もちのロンさ!」

ロンがそう言うと、みんなキョトンとした後に大笑いした

『ロン、空気読みなよ』

ハーマイオニー「こんな時に言わなくてもいいでしょ」

ロン「こんな時だからこそだよ」

ハリー「そうだね、そのとおりだ」

そして、僕とハリーは薬を飲んで黒い炎の中を進んだ

ロンとハーマイオニーに見送られて

この先にきっと、クィレル先生がいる…

もしかしたら、ヴォルデモートも…

ホグワーツのみんな、母さん、姉さん

そして、父さんのことを胸に思い浮かべながら

ついに、最後の部屋へと足を踏み入れた…

・チェス

ロンの特技の一つ
原作と違う展開にするため、担当する駒も変えました

また映画版のチェックメイト時の棋譜は考察により判明しており

これによると本当はもっと早い詰み筋があったのにも関わらず
ハリーを犠牲にしないために、あえて自分が犠牲になる詰み筋を選んだとのこと
(ロン、イケメンすぎである)

・自己犠牲

ロンが自分を犠牲にするのを咎めておきながら、自分はいくらでも犠牲になってもいいと考えているエリオットの歪みそのもの

自分に対して自信が無く、アポロに怯えているため
「自分なんて…」という想いがあり

なまじ力があるのと、自分で掲げた目標のために
「僕がみんなを守らなきゃ…!」という想いが先行しがちなのが原因

>>552

これに関しては今回の話を書く上で一番悩んだところです
最初は、そのまま原作通り話を進めようと思ってましたし

変えたのは、エリオットの性格が理由だったりします

エリオットは「みんなを自分が守らないと」という想いが強いので
ハリーたちが自分を犠牲にしようとするのは、絶対に認められない性格なのです

だから後先考えずに、チェスの駒を全て破壊することでロンを助けようとしました

仰る通りあまりに軽率な行動です
チェスに勝利しなければ、先への扉が開かなくなることだってあり得たでしょう

【続く】

ある意味ではロンの一番の見せ場を奪う展開でもあるので
そこがかなりの悩みどころでした

>>1としてはロンや他のみんなにも沢山活躍して欲しいと思ってるので

それでもこの展開にしたのは今後のことを考えて
エリオットの良いところでもあり悪いところをはっきり示しておきたかったというのが一番の理由です
歪んでいるといってもいいと思います

多分、本当ならちゃんとチェスで勝たないと通れないんじゃないかとは>>1も思います

なのでここではダンブルドアが扉を開けたということにして、先に進ませました

前の話でダンブルドアとスネイプの会話を入れたのはそれが理由だったりします

かなり無理矢理な展開なので、不満な意見が出てくるかもしれないと言うのは考えましたが

>>1的にはこれがベストだと思って書いたのでご容赦していただけると幸いですm(_ _)m

というわけで今日は以上です

感想や批評があったらぜひお願いしますね

>>1は豆腐メンタルなのであんまり言われるとへこみますが
意見や感想は本当に貴重だと思っているので大歓迎です

それだけしっかり>>1の駄文を読んでいただけてるということでもありますからとても嬉しいので

確かに今考えみるとそういう展開の方が、よりエリオットの歪みを強調できたかもしれませんね

ちょっとエリオットを持ち上げ過ぎちゃっているのが気になってはいたんですが
そういう展開は考えることが出来ませんでした

こういうところは一重に>>1の未熟さ故ですね

以後精進します

貴重な意見を下さった皆々様、ありがとうございました

ゴリラの話しようぜ

励ましや感想、ありがとうございます

後々のことを色々考えながら話を作っているので
不自然な流れが生まれていることもあるかと思います

そういうところを上手く書くのがお話を書く技量なんでしょうが
>>1もまだまだ未熟なのでお見苦しい点も多々あるでしょう

その不満を>>1へぶつけるのは構いません
少しでも多くの人に楽しんでいただけように頑張りますので

ただ感想を書いて下さった人を罵倒したりするようなことは
出来る限り控えていただけるようお願い致しますm(_ _)m

そこにいたのは、クィレル先生一人だった

いつものおどおどした雰囲気は、かけらも感じられない

ハリーに呪いをかけていた時と同じ、鋭い視線を僕たちに向けている…

ハリー「あなたが…!?」

ハリーが息を飲んだ

クィレル「ああ、私だ」

ハリー「でも、僕は…スネイプだとばかり…」

クィレル「スネイプか」

クィレル「確かに、彼はいかにも怪しく見える。おかげで役に立った」

クィレル「スネイプのそばにいれば誰だって…」

クィレル「か、かわいそうな、どもりの、クィレル先生を疑いやしないだろう?」

かん高い震え声と、冷たい笑い声を混ぜながらクィレル先生はそう言った

ハリー「でもスネイプは僕を殺そうとした!クィディッチの試合の時に!」

『ううん、違うよ…ハリー。スネイプ先生は、あの時ハリーを守ってくれてたんだ』

ハリー「スネイプが僕を…?」

クィレル「そのとおり。奴は反対呪文で私の邪魔をしていた」

クィレル「もう少しで、君を箒から叩き落とせたというのに」

ハリーは、信じられないといった表情をしていた

ハリー「じゃあ、エリオットが正しかったんだ…!」

クィレル「ああ。父親の影響か、君は随分とスネイプを信頼していたようだな?ランバート」

クィレル「私が危険だと、スネイプやダンブルドアに報告していたようだしな」

『……………』

ハリー「でもスネイプは僕を憎んでいた!だからいつも魔法薬の授業で…!」

クィレル「ああ、そうだ。憎んでいた」

クィレル「なぜなら君の父親、ランバートの父親、そしてスネイプはホグワーツの同窓だった」

クィレル「知っているか、ポッター?」

クィレル「君の父親が、度々スネイプと争っていたことを」

クィレル「ポッターもスネイプも、互いを毛嫌いしていた」

クィレル「ランバートはいつもそれを止めようとしていた」

クィレル「彼が目障りだったのか、ポッターはランバートも含めて敵視していたようだったがな」

父さんが…

ハリー「そんな…嘘だ…!」

ハリーの声が震えている…

クィレル「嘘じゃない。だからこそ愉快だ」

クィレル「父親同士は敵対関係にあったというのに、その息子たちは仲良く私に殺されに来たというのだからな」

『父さんたちがどうだったかなんて関係ありません…』

『僕とハリーは友だちです。それに、あなたに殺されるつもりもありません。クィレル先生』

僕は一歩前に踏み出して、クィレル先生を真っ直ぐ見つめた

クィレル「威勢がいいな、ランバート」

クィレル「だが君が頼りにしていたスネイプとダンブルドアは、今ここにはいない」

クィレル「それは、蛮勇というものだ」

クィレル先生がパチンと指を鳴らした

同時にどこからともなく縄が現れて、抵抗する間もなく僕を縛り上げた…!

『うっ…!?』

ハリー「エリオット…!」

クィレル「動くなよ?ポッター」

クィレル「君の大切なお友達の命が惜しければ、大人しくしているんだ」

ハリー「………!」

しまった…

これじゃあ守るどころか、僕のせいでハリーが…

クィレル「私はこの鏡を調べなければならない」

クィレル「きっとこの鏡が、賢者の石を手に入れる鍵なのだ」

クィレル「ダンブルドアが戻ってくる前に、石を手に入れ、ご主人様に献上しなければ…」

その時、初めて僕は、クィレル先生の後ろにあるものに気づいた

あれは、みぞの鏡だ…

クィレル「ああ…。見える、見えるぞ…」

クィレル「石を手に入れ、ご主人様にそれを差し出す私の姿が…!」

クィレル「だが、肝心の石がここには無い…!」

クィレル「どうすればいい…?石は鏡の中に埋まっているのか…?」

クィレル「鏡を割れば手に入るというのか…?」

クィレル先生はブツブツ言いながら、鏡をただじっと見つめている

『本当に、ヴォルデモートを復活させるのがクィレル先生の望みなんですか…?』

『一体どうして…?』

ハリー「そうだ…。あいつは僕の両親を殺した、エリオットのお父さんも…」

ハリー「みんなから名前を呼ぶのも恐れられるような人を、どうして復活させるんだ…!?」

僕とハリーは、同じ疑問を口にした

ダンブルドア先生は、クィレル先生が自分の欲の為に石を手に入れようとしていると言っていた

つまりクィレル先生は、ヴォルデモートの復活を望んでいるということになる…

それがわからない…

闇の帝王と呼ばれて、たくさんの人から恐れられたような人を

どうしてクィレル先生は復活させたいんだろう…

クィレル「少し、昔の話をしてやろう…」

クィレル先生は真剣な表情で、静かに言った

さっきまでの、冷たい笑みを浮かべた顔とは違うものだった

クィレル「世界旅行をしていた時のことだ」

クィレル「当時、私は愚かな若輩で、善悪について馬鹿げた考えしか持っていなかった」

クィレル「だがアルバニアの森で、私はあのお方に出会った」

クィレル「ヴォルデモート卿は、いかに私が誤っているのかを教えてくださったのだ」

クィレル「善と悪が存在するのではなく、力を求める強きもの、力を求めない弱きもののみが存在する」

クィレル「強者こそが正義であり、弱者こそが悪なのだとな」

クィレル先生の姿が、なぜかとても大きく見えるような気がした…

低く冷たい声が、部屋全体に響き渡っている…

『そ、そんなの違います…!』

『強ければ正しいなんて間違ってる…!』

クィレル「いいや、間違っていない」

クィレル「強くなければ、己の身一つ守ることすらできない」

クィレル「私が強く、君が弱いから、君は今無様な姿で私にひれ伏しているのだ」

クィレル「否定できるか?ランバート」

『……………』

クィレル「強くなければ、己の主義主張を通すこともできない」

クィレル「自分という存在を認めてすらもらえないのだ」

ハリー「違う…!強くなくたって、友だちはできる!」

クィレル「どうかな?所詮人は、どこまで行っても孤独なものだ」

クィレル「優秀なものと無能なもの。人はどちらに惹かれると思う?」

クィレル「君ならよくわかるだろう、ポッター?」

クィレル「有名だからと散々ちやほやされたというのに、寮の点数を引かれた途端周りの態度はどうなった?」

ハリー「それは…」

クィレル「まあ、理解できないのも無理は無い」

クィレル「私自身、君たちと同じ年頃の時には、その程度の考えしか持っていなかった」

クィレル「だが…あのお方は違う」

クィレル「私の間違いを教えてくださった、偉大な魔法使いだ」

クィレル「だから、あのお方を復活させる」

クィレル「そして、私もヴォルデモート卿のような偉大な魔法使いになる」

クィレル「それが、私の望みなのだ」

クィレル先生は、とても堂々としていた…

いつものクィレル先生とは、全くの別人だと思えるほどに…

力がなければ、自分の身すら守れない…

それは、その通りなのかもしれない…

僕は、弱い人間だ…

クィレル先生の言う、弱者という存在なんだと思う…

でも、僕は…

クィレル「だが、その為には石がいる…」

クィレル「どういう仕掛けなんだ…。ご主人様、お助け下さい!」

??「その子を使え…」

鏡を調べていたクィレル先生自身から、別の声が聞こえた…

心臓をぎゅっと鷲掴みにされるような、そんな恐ろしい声が…

クィレル「ここへ来い!ポッター!」

必死そうな声で、クィレル先生が叫んだ

クィレル「早く!ここへ来るんだ!」

ハリーが、クィレル先生の方へと歩いていく…

こんな肝心な時に、なにもできないなんて…

本当に自分が情けない…

『ハリー…』

ハリー「大丈夫だよ…。石は渡さない」

ハリーはなにかを決心したような顔で、僕にそう言って鏡の前に立った

クィレル「どうだ?何が見える?」

ハリー「…ぼ、僕がダンブルドア先生と握手しているのが見える…」

ハリー「僕、僕のおかげでグリフィンドールが寮杯を獲得したんだ」

クィレル「そこをどけ…」

再び、クィレル先生が鏡の前に立った

ハリーは後ろ向きに、ジリジリと下がっている

何かを気にしているみたいだ…

??「こいつは嘘をついている…嘘をついているぞ…」

またあの声が、クィレル先生から聞こえた…

クィレル「ポッター!ここに戻れ!今、何が見えた!?」

??「俺様が直に話そう…」

クィレル「あなた様はまだ弱っています…!」

??「それくらいの力はある…」

クィレル先生がターバンを解いていく…

僕も、ハリーも、指一本動かせなくなったようにその場で固まった…

クィレル先生がターバンを落として、体を後ろ向きにした

あまりの恐ろしさに、悲鳴を上げることすらできなかった…

蝋のように白い顔、ギラギラと血走った赤い瞳、無理矢理切り込みを入れたような鼻…

まるで蛇のようなもう一つの顔が、ハリーを見ていた…

あれが、ヴォルデモート…

ヴォルデモート「ハリー・ポッター…」

ヴォルデモート「この有様を見ろ」

ヴォルデモート「ただの影と霞に過ぎない…。誰かの体を借りて、初めて形を成せる」

ヴォルデモート「忠実なクィレルが、森の中で俺様のためにユニコーンの血を飲んでいたのを見ただろう」

ヴォルデモート「だが、それでは不完全なのだ…」

ヴォルデモート「命の水さえあれば、俺様は自身の体を創造できる」

ヴォルデモート「さあ、ポケットの中にある石よこせ…!」

ポケットの中にある石…?

まさか、ハリーはもう賢者の石を…

ハリー「嫌だ…!」

ヴォルデモート「馬鹿な真似はよせ、命を粗末にするな」

ヴォルデモート「俺様の側につくのだ、さもなければお前も両親と同じ目に合う」

ヴォルデモート「二人とも俺様に命乞いをしながら、無様に死んでいった」

ハリー「嘘だ…!!」

ハリーは、ヴォルデモートと相対しながら、力強く叫んだ

ヴォルデモート「フハハハハ…!勇敢だな、俺様はいつも勇気を讃える」

氷のような嘲笑いが響いた…

馬鹿にしているような、見下しているような笑い声が…

ヴォルデモート「そうだ、小僧。お前の両親も勇敢だった」

ヴォルデモート「父親は杖も無しに俺様に立ち向かってきた、だから殺した」

ヴォルデモート「母親はお前を守ろうした、だから殺した」

ヴォルデモート「優しい両親の死を無駄にしたくなければ、石を渡せ」

ヴォルデモート「俺様に従うのだ、ポッター…!」

ハリー「やるもんか…!!」

ヴォルデモート「強情な奴め…。ならば、お友達に聞いてみるとするか。クィレル」

クィレル「はい…!」

突然、僕の体が宙に浮かび上がった

そして縛られたまま、クィレル先生が僕を捕まえて杖を向けた

ヴォルデモート「さあ、小僧。死にたくなければ命乞いをしろ」

ヴォルデモート「ポッターに石を渡すように言うのだ…!」

ハリーの瞳が震えている…

優しいハリーのことだ…

僕の命と石を秤にかけられたら、僕の命を選んでしまうかもしれない…

それだけは駄目だ…

ヴォルデモートが復活したら、みんなの命が危なくなる…!

そんなの絶対に駄目だ…!

『渡しちゃ駄目だ…!ハリー…!!』

恐怖を押さえつけて、僕はそう叫んだ

ヴォルデモート「やはり、お前もか」

ヴォルデモート「その顔、覚えているぞ。お前はテラム・ランバートの息子だな?」

『…っ!?』

そうだ、父さんを殺したのはヴォルデモートなんだ…

だったら父さんの事を覚えていても、不思議じゃない…

ヴォルデモート「厄介な男だった。並の死食い人以上に闇の魔術に精通していた…」

『………父さんが、闇の魔術に…?』

あまりに衝撃的な言葉に、思わずそう呟いてしまった…

ヴォルデモート「そうだ。道を間違えなければ、さぞ素晴らしい死食い人になっただろう」

ヴォルデモート「だが愚かな事に、お前の父親は道を踏み外した」

ヴォルデモート「純血の家系に生まれながら、穢らわしいマグルの女を選び、くだらぬ愛に溺れたのだ…!」

ブチッ…!

その言葉に、アポロが反応したのがわかった…

頭が急激に熱くなっていく…

自分が自分じゃなくなっていくような奇妙な感覚…

お前…今…

ナンテイッタ?

意識が、覚醒する

エリオットの思考とこれまでの記憶が、僕の何に流れ込んでくる

この男に取り付いている奴が、ヴォルデモート…

父さんの仇、そして今…父さんと母さんを侮辱した相手…

フィニート・インカンターテム-呪文よ終われ-

無言でそう詠唱すると、僕を縛っていた縄がでほどけた

すぐさま杖を掴み、続け様に呪文を唱える

アポロ「コンフリンゴ!-爆発せよ-」

足元を爆発させ、クィレルとかいう男が怯んだすきに即座に距離を取った

受け身を取り立ち上がると、ちょうどあの時の、眼鏡をかけた奴の隣だった

クィレルも…このハリーというエリオットの友だちも、目を見開いて僕を見ている

クィレル「爆発呪文…!いや、その前にどうやって縄を解いた!?」

アポロ「聞かなければわからないのか?」

アポロ「無言呪文で、お前の呪文を終わらせたまでだ」

クィレル「馬鹿な…!一年生が無言呪文だと…!?」

わなわなと唇を震わせている

相当動揺しているのか、頭にきたのか、その両方か

まあ、どうでもいい

どっちにしろ、この男を生かしておく気はない

ハリー「きみは、エリオットじゃない…よね?」

ハリー「アポロ…なの?」

ハリーが恐る恐る、僕に話しかけてきた

アポロか…。勝手につけられた名前だが、名前があった方が便利なのは確かだな

アポロ「それがどうかしたか?」

ハリー「やっぱり…!エリオットはどうしたんだ!?」

アポロ「頭の中でわめいてるよ」

アポロ「どうやらあいつは、僕のことを怖がっているらしい」

アポロ「だが、しばらく我慢してもらわないとな」

アポロ「エリオットと君じゃ、あのクィレルとかいう男には勝てないだろ?」

アポロ「僕がなんとかしてやる」

杖をクィレルに向ける

さて、どうやって仕留めるか…

クィレルを殺す手立てを考えていると、頭の中でやかましく声が響いた

(駄目だ…!殺さないで…!)

(僕の声が聞こえているんでしょ…!?)

(お願い、返事をして!アポロ…!)

アポロ「…聞こえているよ」

アポロ「けど、その要求は飲めないな」

アポロ「こいつはここで殺すべきだ」

口を開くと、訝しげにクィレルが僕を見た

(駄目だよ!やめて!そんなことしちゃ駄目だ…!)

呆れたな、いくらなんでも甘すぎる…

そんな甘さが通用する相手だと思ってるのか?

アポロ「殺さないで?」

アポロ「さっきまで君の命を狙い、今まさに僕に殺気を向けている相手をか?」

アポロ「お人好しもいい加減にしろ」

アポロ「目の前にいるのは、父さんを殺した相手とその下僕だぞ?」

(それは…でも…)

アポロ「でもじゃない。殺らなきゃ殺られる」

アポロ「こんなところで死んでもいいのか?」

アポロ「ハリーだって殺されるぞ?」

アポロ「君はみんなを守りたいんじゃなかったのか?」

(でも…殺すなんてしちゃいけない…)

(そんなことしたら、ヴォルデモートのやったことと同じだ…)

(それに、僕は…クィレル先生に死んでほしくない)

アポロ「なんだと…?」

(たしかに、石を盗もうとしてるし…)

(今、僕たちやハリーを殺そうとしているのかもしれない…)

クィレル「なにを独り言を言ってるんだ…!?」

黙れ、鬱陶しい。今お前の言葉なんかどうでもいい

アポロ「かもしれないじゃない、そうなんだよ」

(でも、まだ悪いことをしたわけじゃないでしょ…!)

(だったらやり直せる…!)

(簡単に、人の命を奪っていいわけがない…!)

こいつは…

…言いたいことがわからないわけじゃない

だが、殺されたらそんな想いは無意味だ

傷つけたくないと言いながら、よっぽど家族や友だちを傷つけることになる

それは優しさなんかじゃない

ただ自分の命を軽視しているだけだ

自分の身を守ろうとしない奴が、みんなを守れると思っているのか

今までだって、僕や姉さんに守られて生きてきたっていうのに

今この時だって、僕が戦わなければあっさり殺される程度の力しかないっていうのに

アポロ「…そこまで言うなら、試してみろよ」

(えっ…?)

アポロ「気づいてるんだろ?」

アポロ「主人格は君だ。君がその気になれば、僕を眠らせて、主導権を取り戻すことだってできる」

アポロ「だが、それは君の意志が僕よりもよほど強い時のみだ」

アポロ「君が本気でクィレルを死なせたくないって言うのなら、僕の殺意をねじ伏せてみろ」

そんな事、できるわけがないけどな

(…わかった)

(きみに人殺しなんてさせない…)

(クィレル先生も死なせない…)

(僕自身の身も、ハリーのことも守ってみせるよ…!)

アポロ「……………」

選択安価

A エリオットが戦う

B アポロが戦う

(注意)

アポロはエリオットよりも遥かに強いです
ただし勝った時のボーナスは発生しません

↓1~3
多数決

今日はここまでです

次回は戦闘回になる予定です

ただ土日はおそらく更新できないかも…

それではお疲れ様でした

アポロからしても『父さん』なんだな

いやそうではなく
父親として『アポロ』が認識してるんなら父さんと『アポロ』があった事があるんじゃないかって・・・深読みかね

攻撃呪文

フリペンド-撃て-
一年生にも使える攻撃魔法の基本。敵を吹き飛ばす
(魔力補正に+3を加え攻撃する)

ウィンガーディアム・レヴィオーサ-浮遊せよ-
浮遊術。対象を宙に浮かせ叩き付ける
近くに重い物がある時に効果的な呪文
(浮遊させるもの次第で、変化する+補正を加え攻撃する)

エクスペリアームス-武器よ去れ-
武装解除術。武器を持つ相手に絶大な威力を発揮する
武器を持つものにのみ一度だけ使用可能
(強制有利判定。<HP>を削る代わりに、このターン相手の攻撃を無効化し、対応する武器のステータスを戦闘終了まで-10する)

アグアメンディ-水よ-
杖の先から水を噴出させる呪文
(魔力補正に+5を加え攻撃する)

防御呪文

プロテゴ-護れ-
盾の呪文。バリアを発生させ身を護る
(魔力補正に+5。相手の<HP>を削る代わりに、次のターンの判定値に+3する)

フィニート・インカンターテム-呪文よ終われ-
呪文そのものを終わらせる
(相手の<HP>を削る代わりに、自分にかかっているデバフを解除する)

妨害呪文

オブスキュロ-目隠し-
対象の目を隠す呪文。視力を奪うことで相手の動きを鈍くする
(判定値が相手を上回った時、<HP>を削る代わりに相手の体力を4ターン-3にする)

シレンシオ-黙れ-
対象を一時的に黙らせる。無言呪文を除き、呪文の威力を低下させる
(判定値が相手を上回った時、<HP>を削る代わりに相手の魔力を4ターン-3にする)

意識が僅かに歪みそうになる

エリオットが、必死に主導権を取り戻そうとしているんだろう

だが、その程度だ

今の僕を眠らせることなんてできない

(どうして…)

息を荒くしながら、エリオットはそう呟いた

アポロ「ああ、どうしてだろうな?」

アポロ「ハリーが死ぬかもしれないと思った時には、一瞬で僕から主導権を奪えたのに」

(……………)

アポロ「つまりはそういうことだ」

アポロ「自分が殺されるかもしれないのに、悪人であるクィレルを殺したくない」

アポロ「そんな半端な想いは命取りだ」

アポロ「自分自身である僕にすら届かない想いが、なぜクィレルに届くと思う?」

アポロ「わかったら事が終わるまで、大人しくしておけ」

同時にクィレルが呪文を発した

それを受け流して、さらに反撃する

何度か撃ち合った後、クィレルの晒した僅かなスキに水魔法をぶつけた

アポロ「グレイシアス-氷河となれ-」

僕の呪文とともに、水に濡れたクィレルが凍りついていく

すんでのところでクィレルは自ら炎を纏い、氷を打ち消した

アポロ「へえ、やるじゃないか」

クィレル「き、貴様…!」

怒りで顔が火のようにほてっている

このまま冷静さを欠いてくれれば、言うこと無しなんだが

ヴォルデモート「愚か者め…!一年生だからといって油断するな…!」

クィレル「も、申し訳ありません…。ご主人様…!」

ヴォルデモートの叱責が効いたのか、クィレルの顔から怒りの色が消えた

むしろ、恐怖に怯えているといったところか

(クィレル先生…)

(…アポロ、きみはさっき半端な想いじゃ駄目なんだって言ったよね)

(でも僕、やっぱりクィレル先生を助けたいよ)

アポロ「お前…」

(半端なんかじゃない。心の底からそう思う)

(クィレル先生は、根っからの悪人じゃない)

(だからちゃんと話したら、きっとわかってくれる)

アポロ「口でならなんとでも言える」

アポロ「そうしたいなら、行動で…」

示してみろ、と言おうとした瞬間、意識が揺らいだ

こいつ、まさか本気で…!

(クィレル先生に、伝えたいことがあるんだ)

(だから、ごめん…アポロ)

まずい…今エリオットに意識を奪われたら…

あ…いつは…

必死に抗おうとしたにも関わらず、僕の意識はそのまま落ちていった…

『ごめんね、アポロ…』

『でも、僕は死なないから』

『きみに守ってもらわなくても、僕は…』

アポロが構えていた杖を下ろして、僕はクィレル先生を見つめた

青ざめた表情で、僕を睨みつけている…

クィレル「どうした…!もう私に勝ったつもりでいるのか?」

クィレル「今の攻撃程度で図に乗るようなら…」

『違います…。僕は、クィレル先生と話がしたいんです』

僕の言葉に、クィレル先生は眉をひそめた

『クィレル先生…』

『あなたはさっき、強く無ければ自分を認めてもらえないって言いましたよね…?』

『僕、その気持ちが少しわかります…』

クィレル「わかる、だと…?」

『僕はずっと、自分の見た目をからかわれて、いじめられて…』

『その度にケンカになって、たくさんの人を傷つけて…』

『そんな自分の弱さが嫌で、ホグワーツでちゃんと友だちができるのか、本当に不安でした…』

『でも、そんな僕にも友だちができました』

『僕のことを心から怒ってくれる人にも出会えました』

母さんや姉さんだけじゃない

ホグワーツに来てから出会った人たち

僕が大切だと思う、たくさんの人たちのことを想いながら、言葉を続ける

『もちろん…。出会う人全員に自分のことをわかってもらおうっていうのは、無理なことなのかもしれません…』

『それでも、ちゃんと話して、自分の気持ちを伝えれば、わかってくれる人だっています…!』

『弱くても、その人たちのために強くなろうって、頑張ろうって思うことができます…!』

『だから、闇の力なんて必要ないと思うんです…!』

僕なりに必死に想いを込めて、クィレル先生にそう言葉をぶつけた

その人の全部を理解することはできなくても…

理解しようと、クィレル先生の気持ちになって考えれば…

そうすればきっと…!

クィレル「話とやらは、それで終わりか…?」

『えっ…?』

クィレル先生は、嫌悪の籠もった目で僕を見た

冷たく、見下しているようなそんな目で…

クィレル「君の綺麗事には反吐が出る」

クィレル「そんな子どもの理屈で、私の気が変わるとでも思ったのか?」

『クィレル先生…』

クィレル先生が、無言で杖を振ると、僕は大きく吹き飛ばされた

ハリー「エリオット…!」

ハリーが倒れた僕を助け起こしてくれた

痛みに耐えながら、クィレル先生を見る…

クィレル「くだらない偽善にしがみつき、地べたを這いずり回っているがいい」

クィレル「君が安い満足に浸っている間に、私は自らを高みへと押し上げるのみだ…!」

クィレル先生がそう吐き捨てるのと同時に、ヴォルデモートの高笑いが響いた…

『クィレル先生…どうして、そこまで…』

話せばわかってくれるってそう思ったのに…

ハリー「戦うしかないよ、エリオット」

ハリー「きみが何を言ったって、話の通じない人だっているんだ」

ハリー「ヴォルデモートも、クィレルも闇の魔法使いなんだから…」

ハリー「自分を殺そうとしてる人にまで、優しくしなくていいんだよ…」

『僕は…』

クィレル先生は、更に杖を振った

僕とハリーが反射的にそれを躱すと、ついさっきまで倒れていた場所に大きな穴が空いた…

ハリーはすでに杖を抜いている…

闘志を宿した瞳を、クィレル先生に向けて、立ち向かおうとしている

『……………』

戦うしかない…

戦うために、ハリーの力になるために、僕はここに来たんだ

足手まといにはなりたくない…クィレル先生を止めないと…

じゃないと、僕もハリーも殺される…!

『くっそぉ…!』

痛む体に鞭打ちながら、僕とハリーはクィレル先生に杖を向けた

戦闘に入る前に一つ仕様変更のお知らせです

何度か試してみたんですが、魔力と体力の合計×2だとHPが多すぎるので
×2を含まずそのままの合計をHPにすることにします

ご了承くださいm(_ _)m

ENEMY 「クィレル」

<HP> 50

魔力【35】 体力【15】

特殊攻撃
クィレルの特殊攻撃は全て無言呪文です

コンマ2

悪霊の火

呪われた魔法の火。闇の魔術で様々な生物の形を成し、意思を持っているかのように襲いかかる
(魔力補正に+15。さらに状態異常『炎傷』にし、毎ターン<HP>の一割を減少させ続ける。なおこの状態異常は解除できないが、炎傷のダメージで<HP>が0になることは無い)

コンマ5

インカーセラス-縛れ-
対象を縛り上げる呪文
(有利不利に関わらず、相手のコンマを3ターン-3にする)

コンマ8

インセンディオ-燃えよ-
杖の先から炎を噴出させる呪文
(魔力補正に+7)

呪文を選択してください
(呪文>>722
↓1

攻撃コンマ
↓1エリオット ↓2クィレル

【16】+【15】+<3>=34

以下これをエリオットの基礎値とします
エリオット
34+10+5=49

クィレル
50+4=54

54-49=5

エリオットに5のダメージ

31-5=26

エリオットの残りHP26

呪文を選択してください
(呪文>>722
↓1

攻撃コンマ
↓1エリオット ↓2クィレル

【16】+【15】+<3>=34

以下これをエリオットの基礎値とします
エリオット
34+3+2=39+3=42

クィレル
50+10=60

60-42=18

エリオットに18のダメージ

26-18=8

エリオットの残りHP8

呪文を選択してください
(呪文>>722
↓1

強制有利かつ攻撃無効

クィレルの魔力ステータスが【25】になった

クィレルの残りHP50

呪文を選択してください
(呪文>>722
↓1

攻撃コンマ
↓1エリオット ↓2クィレル

【16】+【15】+<3>=34

34+5+10=49

クィレル
40+15+2=57

57-49=8

エリオットに8のダメージ

8-8=0

エリオットの残りHP0

エリオットはクィレルに敗れた…

エリオットが敗北したところで今日は以上

クィレルは難易度高めにしたかったんですけどさすがに強すぎましたかね…

最初はハリーに血の護りの補正+10を加えて何度かやったんですけど
それだと強すぎたので…

負けた方が流れ的には自然ではあるんですが
戦闘のバランスは>>1もうちょっと色々と考えます

お疲れ様でした

確かにフリペンドは外したほうが良かったかもしれないですね

そこまで気が回りませんでした、>>1の判断ミスです

どのような条件でも必ず負ける魔法は選択肢から外すように次回の戦闘からは修正します

部屋の床に強く打ちのめされる…

クィレル先生の炎は、僕の水魔法をものともしなかった

骨がとてつもなく熱くて痛い…

火傷で皮膚がじんじんする…

そのせいか、立ち上がらないといけないのに、体が言うことをきいてくれない…

なんとか顔だけでも起こすと、ハリーが杖を吹き飛ばされるのが見えた…

クィレル先生は醜く歪んだ笑みを浮かべていた…

強すぎる… 

アポロの言うとおりだった…

僕には、クィレル先生と戦えるだけの力すら無かった…

このままじゃ、ハリーが殺される…

それだけは駄目だ…

ダンブルドア先生が来るまで、なんとか持ちこたえないと…

『ハリー、逃げて…』

『僕がなんとか、時間を稼ぐから…』

吹き飛ばされて、倒れても杖だけは離さなかった

だから、まだ戦える

立ち上がりさえすれば…

ハリー「駄目だよ…!きみ一人置いて逃げれるもんか…!」

ハリーは僕を見ながら叫んだ

そしてまた、ヴォルデモートの嘲るような声が響いた

ヴォルデモート「素晴らしい友情ではないか」

ヴォルデモート「だがその友情も、絶対的な力の前には無力なのだ」

ヴォルデモートの声に応えるかのように、クィレル先生は杖を振った

杖の先から炎を纏った鳥が現れる

その鳥は部屋中を飛び回り、あっという間に部屋全体を炎で埋め尽くした

クィレル「これで逃げることは出来ません」

クィレル「如何なさいますか、ご主人様?」

クィレル「まずはこの二人を始末しましょうか?」

ヴォルデモート「慌てるな、この小僧たちは良い手駒になる」

ヴォルデモート「仮にそうならなかったとしても、殺すのは俺様だ」

ヴォルデモート「まずはポッターを捕まえろ…!そして賢者の石を奪うのだ…!」

クィレル先生の手がハリーの手首を掴んだ

ハリーが苦しそうに悲鳴を上げる…

『やめて…!やめろ、クィレル先生…!』

力を振り絞って、なんとか体を起こす

でも、立ち上がることができない…

その時、クィレル先生がハリーから離れた

どういうわけか、痛そうに体を丸めて、自分の指を見ている…

見るみるうちに、指が赤くなって火ぶくれができた…

それでもクィレル先生は、ハリーに襲いかかった

ハリーはとっさに手を伸ばして、クィレル先生の顔を掴んだ

クィレル先生も、ヴォルデモートも悲鳴を上げている

クィレル先生が転がるようにして、ハリーから離れると、自分の顔を抑えていた

指の隙間から、焼けただれた皮膚が見える…

クィレル「ご主人様、ヤツに触れることができません…!」

クィレル「私の手が…顔が…!」

ヴォルデモート「あの力…」

ヴォルデモート「死の呪文を跳ね返したものと同じ力か…!」

ヴォルデモートが、恨めしそうにそう呟いた

ハリーは飛び起きて、クィレル先生の腕に力の限りしがみついた

クィレル先生はさらに悲鳴を上げている…

ヴォルデモート「振りほどけ…!クィレル…!」

ヴォルデモート「そして退くのだ…!」

クィレル先生は必死にハリーを振りほどくと、部屋の炎がさらに激しく舞い上がった

あまりの熱気に、思わず目を閉じると、クィレル先生の姿はどこにもなかった…

ハリーは呆然と、さっきまでクィレル先生がいたあたりを見つめている…

『逃げたの…?』

ハリー「わからない…。でも、多分そうだと思う…」

ハリー「大丈夫、エリオット…?ひどい怪我してるよ…」

『僕なら大丈夫だよ…。それより、ハリーは…』 

ハリー「僕も平気だよ。クィレルはなぜか、僕に触れなかったみたいなんだ…」

ハリー「あ、そうだ…!賢者の石…!」

賢者の石は、階段のところに落ちていた

さっきクィレル先生と揉み合いになった時に、ポケットから落ちたんだろう

『それが…賢者の石?』

ハリー「うん…。これさえ渡さなければ、ヴォルデモートは復活しない」

ハリー「早くダンブルドア先生に預けないと…!」

石を握りしめて、そう言うハリーの後ろで、妙な煙が上がった

白い煙、霞のような、炎の上げる煙とは違う…

『ハリー…!後ろ…!』

ハリーが振り向いた時には、その煙は形を成していた…

不気味なヴォルデモートの顔が、恐ろしい叫び声を上げている…

そしてヴォルデモートは、真っ直ぐハリーの体を貫いた…

ハリーが悲鳴を上げて、倒れる…

『ハリー…!?』

僕はなんとか体を動かすと、倒れるハリーを抱き留めた

ハリーの手から賢者の石が零れて、床の上に落ちる

『ハリー…!しっかりして…!』

『目を開けてよ…!ハリー…!!』

何度も呼びかけても、ハリーはぴくりとも動かない…

まるで眠ってしまったかのように、目を閉じている…

最悪の結末が思い浮かんで、それを否定しようと、何度もハリーを呼び続けた…

ヴォルデモート「ポッターが心配か、小僧?」

顔を上げる…

そこには煙のように宙に漂う、ヴォルデモートの姿…

ヴォルデモート「忌々しいことに、その護りは俺様が思っていた以上に強固なようだ」

ヴォルデモート「今のままでは、こやつに触れることさえできんとは…」

『ハリーになにをしたんだ…!?』

『ハリーになにかあったら…僕は、お前を…!!』

ヴォルデモート「俺様を殺すか?」

ヴォルデモート「クィレル一人殺せず、倒すことすらできないほど弱く甘いお前が?」

ヴォルデモートの言葉が、鋭いナイフのように僕の胸に突き刺さった…

ヴォルデモート「否、不可能だ。お前に俺様は殺せない」

ヴォルデモート「お前の父親すら、俺様を殺せなかったのだのだから」

『父さんが…』

ヴォルデモート「そうだ。たった一人で俺様のアジトに突入してきた」

ヴォルデモート「多くの死食い人を殺した」

ヴォルデモート「有能だったもの、無能だったものも」

ヴォルデモート「闇の魔術を自在に操り、その手にかけた」

ヴォルデモート「だが、俺様には勝てなかった」

ヴォルデモート「なぜだかわかるか?エリオット・ランバート…」

『……………』

ヴォルデモートは、なにかを試すような目つきで僕を見ていた…

ヴォルデモート「俺様の方が、より闇の魔術に精通していたからだ」

ヴォルデモート「どこまでも力を追い求め、闇の帝王として君臨した俺様と…」

ヴォルデモート「愛などというまやかしに囚われたお前の父親…」

ヴォルデモート「どちらが強いかは、自明の理というものだ」

『違う…』

ヴォルデモート「力こそが全てなのだ」

ヴォルデモート「力さえあれば全てが思い通りになる」

ヴォルデモート「強くなりたいのだろう…?」

ヴォルデモート「己の欲を叶えたいのだろう…?」

ヴォルデモート「ならば俺様に従え」

ヴォルデモート「賢者の石を俺様に渡すのだ…!」

賢者の石…

手を伸ばせば届く位置にある…

右手を伸ばして、揺れる炎を映しながら輝く紅い石を掴んだ…

ヴォルデモート「そうだ、それだ…」

ヴォルデモート「お前は父親とは違うだろう?」

ヴォルデモート「闇に染まりきることができず、俺様に敗れた愚かな父親とは…!」

ヴォルデモート「俺様がお前を強くしてやろう…」

ヴォルデモート「父親が到達できなかった高みまで押し上げてやる…!」

ヴォルデモート「さあ、石を渡せ…!」

頭が熱い…目眩で視界がぐるぐるする…

炎の熱気のせいなのか…恐怖のせいなのか…

それでも、今の言葉は許せない…

父さんは愚かなんかじゃない…

闇に染まらなかったのは…

ただ力だけを求めなかったのは…

父さんの心が強かったからだ…!

父さんを馬鹿にするなんて、絶対に許せない…!

だから僕は、ヴォルデモートに杖を向けて叫んだ!

『父さんは…負けてない…』

『お前なんかに負けるもんか…!!』

アポロ「アバダ・…」

自分自身が、なにか恐ろしい呪文を唱えようとした瞬間…

銀白色の光がヴォルデモートを貫いた

あれは、なんだろう…

赤い雉…?何らかの鳥が、翼を広げてヴォルデモートの周りを旋回していた

ヴォルデモート「不死鳥の守護霊…!ダンブルドアか…!?」

ダンブルドア「久しぶりじゃのう、トム」

ダンブルドア「そこまで変わり果てた姿を晒してまで、力を取り戻したいか?」

ダンブルドア先生はヴォルデモートに迫りながら、気軽に会話するような口調でそう言った

ヴォルデモート「当たり前だ…!俺様は死なん…!」

ヴォルデモート「たとえ貴様でも俺様を殺すことはできんのだ、ダンブルドア…!」

ダンブルドア「全く残念なことじゃが、その通りじゃ」

ダンブルドア「影や霞と等しくなってしまったおまえに、死を与えることはできんじゃろう」

ヴォルデモート「そして俺様は必ず復活する…!」

ヴォルデモート「どれほどの時が経とうと、貴様がくたばった後であろうと…!」

ヴォルデモート「俺様は必ず、再び闇の帝王として君臨するのだ…!」

ダンブルドア「死や恐怖よりも、強いものがあると理解できんのが…」

ダンブルドア「まさに、昔からのおまえの最大の弱点よのう」

ダンブルドア「おまえがそんな姿に成り下がったのは、まさにそれが原因じゃ」

ダンブルドア「今夜石を手に入れることができなかったのも…」

ダンブルドア「この二人を殺すことができなかったのも…」

ダンブルドア「全て、おまえが侮り蔑んだ愛に負けたからなのじゃ」

ヴォルデモート「黙れ…!ダンブルドア…!」

唸るような怒声が轟いた…

ヴォルデモート「最後に勝つのはこの俺様だ…!」

ヴォルデモート「貴様も、その小僧共も、必ず俺様の手で殺してやる…!」

ヴォルデモート「その時まで、せいぜい恐怖に身を震わせているがいい…!」

吐き捨てるように叫んだ後、ヴォルデモートは部屋の外へと飛び去っていった…

危険は去った…

そう思ったのと同時に、僕は恐ろしさに震えた…

僕の腕の中にいるハリーは、未だに目を覚ましていなかったんだから…

『先生…!ハリーが、ハリーが…!』

『ハリーが目を覚まさないんです…!』

『助けて、助けてください…!先生…!』

ダンブルドア先生は、僕の頭を撫でた

ダンブルドア「泣くでない、エリオット」

ダンブルドア「今のヴォルデモートに、ハリーを殺すことはできん」

ダンブルドア「ただ疲れて眠っておるだけじゃよ」

『で、でも…。僕…』

ダンブルドア「今夜のきみたちは、とても勇敢じゃった」

ダンブルドア「ヴォルデモートと対決し、石を守り、生き延びてみせたのじゃ」

ダンブルドア「さあ、戻るとしよう」

ダンブルドア「今のきみたちに必要なのは、休息じゃよ」

先生が杖を振るうと、たちまち部屋の炎が、水流に飲み込まれて鎮火した

銀白色の不死鳥が、出口を照らしながら滑らかに飛んで行った…

僕は、校長室の椅子に腰掛けていた…

先生がかけてくれた魔法のお陰で、傷の痛みはほとんど治まっていた

折れた骨は少しだけ時間がかかるみたいだけど…

ハリーは、医務室のベッドで眠りについていた

マダム・ポンフリーは

「大した怪我ではないですが、念のため付きっきりで看ていましょう」

と言っていた…

ダンブルドア「お食べ、レモンキャンディーじゃ」

ダンブルドア「わしはこれが好きでのう、ついたくさん買い占めてしまうのじゃよ」

言われるままに、キャンディーを口の中に放り込んだ

味はほとんどわからない…

ただ頭の中がぐちゃぐちゃだった…

ダンブルドア「まず、きみに謝らなければならん」

ダンブルドア「すまんかった。わしらの護りが不十分だったが故に、石も君たちも危険に晒してしまった」

ダンブルドア「じゃが君は、ハリーたちと一緒に石を守り抜いた」

ダンブルドア「今夜乗り越えた試練は、一年生にはあまりに酷なものだったというのにじゃ」

ダンブルドア「ヴォルデモート相手に、逃げずに立ち向かえるものは決して多くない」

ダンブルドア「その若さで、君は本当に誇れることをしたのじゃ」

ダンブルドア「自信を持って良い」

ダンブルドア先生は優しく褒めるように、僕にそう言った…

違う…

僕はなにもしていない…

『先生、僕はなにもしていないんです…』

『むしろ、みんなをもっと危険な目に合わせただけでした…』

『僕がアポロに戦いを任せていれば、ハリーだって倒れなかったかもしれない…』

『チェスの時だって、全部の駒を倒せる保証なんて無かったのに、後先考えずに行動して…』

『僕の自分勝手な判断で、僕は…』

涙が止まらない…

言葉さえろくに続かない…

誇れることなんてしていない…

自信なんて持てるはずがない…

ただ自分に対する怒りと情けなさで一杯だった…

ダンブルドア「エリオット、それは違う」

ダンブルドア「君は自分に厳しすぎるのじゃ」

ダンブルドア「たしかに、君の判断は間違っておったのかもしれん」

ダンブルドア「じゃが、友だちを助けたいと」

ダンブルドア「たとえ敵であっても、話し合って理解しようと努めた想い自体は間違いではない」

ダンブルドア「じゃから、自分を責めてはならん」

ダンブルドア「いつだって正しい答えを選べるほど、人は賢くないものじゃよ」

まるで慰めるような、そんな言い方が無性に腹が立つ…

違う…

違う…違う…

そんな事を言って欲しいんじゃない…

僕は…

僕は、誰かに…

『僕は、本当になにもしていません…』

『クィレル先生を説得できなかった…』

『ハリーを守ることだってできなかった…』

『ハリーの不思議な力が、クィレル先生を倒して…』

『僕は、それに守られただけです…』

ダンブルドア「……………」

もし、アポロに任せていれば…

もし、ハリーと同じ力が僕にもあったら…

ハリーを危険な目に合わせることだって、無かったのかもしれない…

悔しくて、自分の弱さが嫌で…

もしかしたらと思いながら、ついそれに縋りたくなった

あの力が、僕にもあれば…

『先生…。ハリーのあの力は、なんだったんですか?』

先生は何かを考えるように、瞳を動かした

そして、再び僕に視線を合わせるとこう言った

ダンブルドア「目を覚ませば、ハリーにも同じことを説明するつもりではおる」

ダンブルドア「じゃが、君と全く同じ説明をするとは限らん」

ダンブルドア「他の生徒や先生方にも他言無用じゃ」

ダンブルドア「ミスター・ウィーズリーや、ミス・グレンジャーであっても…」

ダンブルドア「それを守れるなら、教えてあげよう」

『守ります。絶対誰にも話しません』

『だから、教えてください』

自然と涙は止まった

もうあんな想いをするのは二度とごめんだ

強くなりたい…

強くなれるのなら、涙だって捨ててやる

本気で、そう思った…

ダンブルドア「…よかろう。ある古い魔法が、ハリーの身にはかけられておるのじゃ」

『古い魔法…?』

ダンブルドア「そう、血の守りと呼ばれる古より伝わる魔法じゃ」

ダンブルドア「謎が多く、強力な魔法でありながら、未だ完全に理解されておらん」

ダンブルドア「確かなことは、家族を守るために自らを犠牲にした場合に発動され…」

ダンブルドア「その力は、守ろうとした相手の中で生き続けるということじゃ」

ダンブルドア「ハリーが赤ん坊でありながら、ヴォルデモートの呪文を受けて生き残ったのは…」

ダンブルドア「ハリーの母親であるリリーが、命を賭けてハリーに護りを授けたからなのじゃよ」

『命を犠牲にして、家族を守る…』

ダンブルドア「そうじゃ。それが条件なのじゃ」

ダンブルドア「それがどのように現れるかは、定かではない」

ダンブルドア「じゃが、リリーがハリーに授けた守りは非常に強力なものじゃった」

ダンブルドア「クィレルのように野心に囚われ、ヴォルデモートと魂を分け合うようなものには触れることすらできんほどに」

『じゃあ…』

『僕がなにかしようとしなくても…』

『ハリーは…クィレル先生やヴォルデモートに負けることは無かったってことですか…?』

声が震える…

自分のしたことが、何かも空回りだったんじゃないかと思って…

心が折れそうになる…

ダンブルドア「いいや、そうではない」

ダンブルドア「この世の中に、絶対なんてものはありはせんのじゃよ。エリオット」

ダンブルドア「ヴォルデモートを思い出してみるといい」

ダンブルドア「自分の力が絶対だと信じ込み、愛の力を蔑んでおる」

ダンブルドア「自分が愛を知らないが故に、それがどれほど強いものなのかを知らんのじゃ」

ダンブルドア「結果、ヴォルデモートは力を失った」

ダンブルドア「今夜もそうじゃ。凶悪な力を盾に脅しをかけても、きみとハリーの心を砕くことはできんかった」

『……………』

それでも、僕はクィレル先生に手も足もでなかった…

殺されていたっておかしくなかった…

もし、またクィレル先生が現れたら…

ヴォルデモートが復活するようなことがあれば…

『先生…。賢者の石は…』

ダンブルドア「うむ。その事は、わしがニコラスとよく話し合う必要があるじゃろう」

ダンブルドア「石は、それほど素晴らしい物ではない」

ダンブルドア「欲しいだけの金や命など、人にとって最悪なものじゃ」

ダンブルドア「ニコラスとペレネレ夫人も、そのことはよくわかっておる」

ダンブルドア「じゃが、ヴォルデモートを始め、大方の人にとってはそうではない」

ダンブルドア「死を恐れ、それを制する力を得たいと願う」

ダンブルドア「結局、きちんと整理された心を持つ者にとって…」

ダンブルドア「死とは、次の大いなる冒険に過ぎないというのに」

『僕には…よくわからないです…』

ダンブルドア「そうじゃろう。君はまだ若い、わからなくて当然じゃ」

ダンブルドア「君が考えるべきは、君にとって間近な未来」

ダンブルドア「そして、現在をどう生きるべきかじゃよ」

ダンブルドア「あとは…そうじゃな。暖かい毛布や枕のことを考えねばならんじゃろう」

ダンブルドア「君はとても疲れておる、これ以上の話は体の毒じゃよ」

『……………』

僕は無言で立ち上がった…

そして、校長室を出ようと先生に背を向けた

ダンブルドア「部屋まで送っていこう」

『いえ、大丈夫です…。一人で、帰れます…』

ダンブルドア「その必要は無い。騙されたと思って、わしの手を取るといい」

ダンブルドア「これは校長の特権のようなものでのう」

ダンブルドア「君を一瞬でベッドまで運ぶことができる、大した魔法なのじゃ」

なんとなく有無を言わせない圧力を感じて、僕は先生の手を取った

その場で回転するような感覚に襲われて、とっさに目を瞑った

数秒後、目を開けると、医務室だった

ポンフリー「ダンブルドア先生…!」

ダンブルドア「ハリーの容態はどうじゃ?」

ポンフリー「はい、よく眠っています」

ポンフリー「その子にも直ちに休息が必要でしょう」

『先生、今のは…?』

ダンブルドア「姿くらましという魔法じゃ。便利なものじゃが、ホグワーツではわし以外に使うことができん」

ダンブルドア「さあさ、ゆっくりお休み」

ダンブルドア「朝になると、おそらく騒ぎになるじゃろう」

ダンブルドア「地下であったことは秘密にするつもりじゃが」

ダンブルドア「秘密ということは、つまり学校中が知ることになるからじゃ」

先生とマダム・ポンフリーに促されて、僕はハリーの隣のベッドに入った

先生は僕が眠りにつくまで、部屋に居続けるみたいだった

なんとなく視線を合わせたくなくて、目を閉じると

疲れと眠気が一気に襲ってきた

眠るような気分じゃなかったのに、先生の言うとおり、僕は本当に疲れていたみたいだ…

胸はざわざわしたままで、頭はとても重くて…

このまま眠ったら、きっと悪い夢を見るに違いない…

そう思いながらも、僕は深い眠りの中に落ちていった…

・不死鳥の守護霊

ダンブルドアの出す守護霊

守護霊の形は術者によって異なり、精神状態や人間関係、特に愛に影響されやすい

スネイプの守護霊が牝鹿だったのは、リリーと同じ守護霊になるほど、彼女のことを深く愛し続けていたため

・血の守り(愛の守護魔法)

家族の愛によって犠牲が生まれた時に誕生する、極めてパワーのある古の魔法

ジェームズが血の守りをハリーやリリーに授けることができなかったのは
ヴォルデモートに対して、動物的に立ち向かい
自己犠牲の精神に昇華することができずに殺されたため

また血縁者がその守りを受け入れない限り、完全に守りの力は発揮されない

ハリーが必ずダーズリー家に帰らなければならないのは
リリーの姉であるペチュニアが、その守りを受け入れており
守りの力を継続させるため

・姿くらまし(姿現し)

特定の場所から、また別の場所に移動する魔法

どこかへ行くために姿を消すのが、姿くらまし
目的地に着いて姿を現すのが姿現し

見る人の呼び方で名前が変われど、この二つは同じ魔法

ホグワーツではダンブルドア以外この魔法を使えないが
屋敷しもべ妖精は、人間の魔法使いとは異なる魔法を使っているためこれには当てはまらない

というわけで今日は以上

区切りが悪いのでなるべく早く再開したいところですが

少し時間が空くかもしれません

では、お疲れ様でした

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