モバP「夕美はマジメでいい子だなあ」 (23)


夕美「むーっ」

P「どうかしたか?」

夕美「その『マジメでいい子』って言うの、やめてほしいな」

P「やめてほしいって言われてもなあ」

夕美「言われても?」

P「今もこうして俺のためにアロマを焚いてお茶を淹れて肩を揉んでくれてる訳で」

夕美「それは事務所に来たら入り口でプロデューサーさんが倒れてるからっ」


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P「ちょっと仕事が忙しくてな」

夕美「もう、ちゃんと休まないとダメだよ?」

P「だからこうして休ませてもらってるじゃないか」

夕美「私は倒れる前に休んでほしいんだけど……」

P「そんなことより、このアロマいい香りだな」

夕美「でしょっ?これはラベンダーのアロマでね、頭痛とか筋肉痛に効果があるんだよっ」

P「ふむふむ」


夕美「香りもさわやかでリラックスや安眠したい時に良いから今のプロデューサーさんにピッタリかなって♪」

P「確かに凄くリラックスしてきたよ。でも、こんなのよく持ってたな」

夕美「だって最近のプロデューサーさん、とっても大変そうだったから」

P「夕美」

夕美「なに?」

P「やっぱりお前はマジメでいい子だな。しかもかわいい」

夕美「もうっ!」


P「事実だから仕方ないだろ」

夕美「しかもなんか増えてたよねっ」

P「かわいい」

夕美「それ!」

P「だめか?」

夕美「だめっ」

P「その『だめっ』がもうかわいい」

夕美「もーっ、プロデューサーさんのばかぁーっ!」ユサッユサッ


P「ちょっ、そんっ、な、強っ、く、揺さっ、ぶらっ、ない、でっ、脳がっ、揺れっ、るっ」グラッグラッ

夕美「あっ、ゴメン!大丈夫?」

P「あ、ああ……大丈夫だ」

夕美「本当?今のはやりすぎたよね……ごめんなさい」

P「いやあ、何ともないからそんなに謝らなくても」

夕美「で、でもぉ」

P「そういうところが『マジメでいい子』なんだよ」

夕美「むぅ……なら、わかった」

P「わかった?」


夕美「私、相葉夕美は今日を持って不真面目な悪い子になりますっ」

P「夕美が?不真面目に?」

夕美「そうだよっ」

P「いやー、無理じゃないかなあ」

夕美「ふんっ、プロデューサーさんはそう思ってればいいよ」

P「なら、例えばどんなことをするんだ?」

夕美「えっ?……えーっと」

P「考えてなかったのか」


夕美「えぇと、うーん……そうだっ、まずはそのプロデューサーさんのお茶を勝手に飲んじゃう!」ゴクッ

P「勢いで飲み干したけどそれ元々は夕美が淹れてくれたのだし俺の飲みかけ……」

夕美「……っ」カァ

P「夕美さーん、顔真っ赤ですよー」

夕美「う、うるさいなあ!」

P「そんな照れながら言われてもかわいいだけだぞ」

夕美「ううぅ」

P「ほら、やっぱり無理だって」


夕美「プロデューサーさんなんてもう知らないっ」

P「あれ?夕美?」

夕美「もうプロデューサーさんとは喋ってあげないんだから」

P「夕美ー?」

夕美「つーん」

P「ほんとに無視するつもりなの?」

夕美「……」プイッ


P「……そうか」ショボン

夕美「……」

P「夕美がその気なら仕方ないな、俺も仕事に戻るよ」

夕美「……」

P「夕美のおかげで疲れも取れたよ、ありがとうな」

夕美「……」


P「……」カタカタ

夕美「……」チラッ

P「……」カタカタカタカタ

夕美「……」チラッチラッ

P「……」カタカタカタカタカタカタ


夕美「……ね、ねえプロデューサーさん」

P「夕美?」

夕美「ぷ、プロデューサーさんが寂しそうだから、無視はやめにするねっ」

P「……」

夕美「……え、えぇと」

P「やっぱり夕美はマジメでいい子だなあ」

夕美「ううぅ……」


P「なあ、なんでそんなに『マジメでいい子』が嫌なんだ?」

夕美「なんでって、だってみんな私のことをそうやってからかうんだもん」

P「うーん、別にみんなからかってる訳じゃないと思うぞ」

夕美「え?」

P「まあ多少茶化してる部分もあるかもしれないけどさ、みんなそれが夕美のいいところだって思ってるからそう言うんじゃないかな」

夕美「そ、そうなのかな?」

P「だって夕美みたいにマジメな子が居なきゃグループなんかは回っていかないだろ?」


夕美「ま、まあ……」

P「だからマジメなところも間違いなく夕美の良いところだよ」

夕美「でも、マジメな女の子はつまらないって大学で聞いて」

P「そんなの言わせとけば良いさ。俺は夕美のマジメでいい子でかわいいところに魅せられて、プロデュースしたいって思ったんだからさ」

夕美「プロデューサーさん……」

P「そういう訳だから、夕美はそのままの夕美で良いんだよ」

夕美「……うんっ!」


P「それに、夕美もただマジメってだけじゃないしな、暴走気味なとこあるってか……」ボソッ

夕美「へ?」

P「いや、こっちの話だ」

夕美「そっか」

P「ああ」

夕美「はー、なんだか気が楽になったよ。ありがとうねっプロデューサーさん」

P「それは良かった」


――翌日


P「おはようございま……すごいアロマの匂いだな」

ちひろ「あっ、プロデューサーさん」

P「おはようございますちひろさん」

ちひろ「夕美ちゃんに何か言いました?」

P「どうかしたんですか?」

ちひろ「なんだか夕美ちゃん、今日は一段とやる気満々で」




夕美「ほらっ、二人とも自主レッスン行こっ」

唯「ええー、遊びに行きたいー」

夕美「ダメだよ、ちゃんとレッスンしないと!」

友紀「ふ、二日酔いが……」

夕美「友紀ちゃんもシャキっとして」

友紀「うへぇ、だ、誰か……」

唯「助けてえー!」



ちひろ「あんな感じなんです」

P「あぁ……」

P「夕美、やっぱお前はただマジメなだけじゃないよ」

P「ま、そこも含めて魅力的なんだけどな!」

ちひろ「今日はターゲットになってないと思ってそんなこと言って」

P「何言ってるんですか、俺は夕美に振り回されるのも嫌いじゃありませんよ」

ちひろ「へぇ」


P「なんですかその不穏な表情は」

ちひろ「いえ、別に?」

夕美「プロデューサーさんっ!」

P「っ」ビクッ

夕美「お願いがあるんだけど、いいかなっ?」ニコッ

P「ヨ、ヨロコンデー」



おしまい

夕美ちゃんが可愛いだけのお話
読んで頂きありがとうございました
書けば出るを信じて引いてきます

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