橘ありす「雪美さんがスマホを片手にうろうろしています」 (14)

雪美「………」ウロウロ

雪美「………」ハタ←立ち止まる

雪美「………」スッ、スッ←画面を人差し指でこすっている

雪美「………」ハッ←はっとしている

雪美「………」ハァ←ため息をついている

ペロ「にゃあ」


ありす「………」


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ありす「あの、雪美さん。どうかしたんですか? 元気がないようですが」

雪美「………」スッ

ありす「この画面は……ああ、ポケモンGOですか。雪美さんも始めたんですね」

雪美「………」コクーン

ありす「今の様子から察するに……なにか、このゲームで困りごとがあるんですね」

雪美「ありす……エスパー……?」

ありす「論理的思考の結果です。ロジックです」フンス

雪美「すごい……」

ありす「そんな、大したことでは」ニヘラ

ありす「それで、困りごとはいったい」

雪美「……うまく……つかまえられない……」

ありす「なるほど。確かに、スマホでのこういったゲームが初めての人には、少し操作が難しいかもしれませんね」

雪美「あと……どーどー……どーどー」

ありす「ドードーばかり出るのは仕様です。仕方のないことです」

ありす「私もすでにドードリオに進化させていますから」

雪美「……進化?」

ありす「あれ。雪美さん、ひょっとしてポケモン自体が初めてなんですか」

雪美「………そう」

ありす「そうだったんですか。では、誰かに誘われて始めることに?」

雪美「P………」

ありす「P……そこで机に突っ伏してお昼寝しているPさんのことですか」

雪美「………」コクン

ありす「まったく、あの人は……仕方がないので、私がPさんにかわっていろいろ教えます」

雪美「……本当……?」

ありす「これでも一応、ゲームは得意なんです。雪美さんの先生役なら、きっとこなせます」

雪美「……ありがとう」

ありす「どういたしまして」フフ

ありす「ちなみに、ほしいポケモンとかはありますか?」

雪美「……ニャース」

ありす「ニャースですか」

雪美「ペロ……ニャース……同じ」

ありす「えっと、同じ猫だということですか」

ありす「それなら、ニャースの進化系であるペルシアンも猫ポケモンですよ」

雪美「ペロシアン……」

ありす「ペルシアンです」

ペロ「にゃ!」

ありす「まずは、ポケモンの捕まえ方を練習しましょう」

雪美「……ありす……先生?」

ありす「せ、先生、ですか? なんだかいい響きですね、ふふ」

雪美「ありす先生……」

ありす「えへへ」

雪美「ありす先生……」

ありす「えへへ……って、これじゃ話が進みませんっ」

雪美「………?」

ありす「こほんっ」

ありす「とりあえず、雪美さんのスマホの画面を見てください。ズバット……こうもりのポケモンが部屋にいるはずです」

雪美「……うん……Pの頭の上を飛んでる……」

P「zzz」

ありす「あの人は放っておきます。そのズバットに向けてボールを構えると、緑の丸が大きくなったり小さくなったりするはずです」

雪美「………」コクン

ありす「この丸の色はポケモンの捕まえにくさを現していて、緑は一番捕まえやすいほうです」

ありす「この丸の内側に入るように、モンスターボールを投げるのがコツです」

ありす「最初は距離感をつかむのが難しいので、今ここで何度か投げてみてください」

雪美「………」ポイッ

すかっ

てんっ、てんてん……

雪美「………」

雪美「Pの頭にボールが……痛い……?」

ありす「いえ、これは現実の映像を背景にして新たに映像をかぶせているだけなので、ボールをぶつけたからと言ってPさんが痛いわけでは」

雪美「本当……?」

ありす「本当です」

P「う、うう……あん」

雪美「………! うめいた……!?」

ありす「今のはただの寝言みたいなものです。気にする必要ないです」

雪美「そう……?」

ありす「そうです」


P「んん……ありす。ありすは今日も……今日も」

ありす「………」

雪美「ありす……気にしてる……」ジトーー

ありす「あっ、え、ちがっ。これはその、違うんです!」

ありす「その、気にしていないといえばもちろん不本意ながら嘘になってしまうんですけれども、雪美さんに言いたかったことはそういうことではなくてええとつまり」ワタワタ

雪美「………」

ありす「と、とにかくっ! ズバットを捕まえる続きです!」

雪美「………」ポイッ、ポイッ、ポイッ

雪美「………!」

雪美「捕まえた……ズバット」ウキウキ

ありす「やりましたね」

雪美「でも……Pの頭に何回も……」

ありす「ですから、ぶつけても現実のPさんにはなんの傷もありません。安心してください」

雪美「………」コクン

ありす「さて、次はニャースですが……ゲットできる場所に心当たりがあります」

ありす「昨日外でゲットしたので、同じ場所に行けば会えるかもしれません」

雪美「………」ウズウズ

ありす「次のレッスンまで時間もありますし、行ってみますか?」

雪美「……行く……」

ありす「では、早速出発しましょう」

ありす「大丈夫です。先生にお任せくださいっ」フンス!

雪美「ありす先生……頼りになる……」

泉「本当にね」

ありす「当然です。なんといっても私は……って、泉さん!? いつの間に!」

泉「がんばって、ありす先生」ニコニコ

ありす「も、もうっ……!」カアァ

ありす「い、いきますよ、雪美さん!」ズンズン

雪美「あ……ありす、待って……」トテトテ

泉「ふふ。なんだか本当の姉妹みたい」

泉「ありすちゃんはお姉さんらしくしようとしているし、雪美ちゃんもなんだかんだでありすちゃんに甘えているし……」


さくら「イズミーン! 助けてぇ!」

亜子「もうドードーばっかり見るのはいやや~!」

さくら「ラッキー! ラッキー出してぇ」

亜子「アタシはペルシアン!」

泉「あなたたちは甘えすぎ」

亜子「と言いつつも、すでにパソコンを立ち上げて検索体勢に入っているいずみが好き」

さくら「だいすきー!」

泉「……私も気になっているから、調べるだけ」

さくら「えへへぇ」

亜子「でへへぇ」

泉「その気持ちの悪い笑いを続けるようなら、検索やめるけど?」

さくら「わぁっ、冗談冗談♪」

亜子「アタシらの英知こといずみの力を貸して、な?」

泉「はあ、まったく」

泉「しょうがないなぁ」クス

泉「とりあえず、外に出る?」

さくら「出よう出よう!」

亜子「さすがはいずみ!」

泉「はいはい……あ、でもその前に」

その後


P「zzz」

P「……ん」

P「ああ……寝ちゃってたのか」

P「ん? なぜ頭に冷えピタが貼られているんだ?」

P「あ。メモが置かれてある……」


『雪美ちゃんが心配しないように応急処置しておきました 泉』


P「……なんだこりゃ?」


後日


未央「な、なんと! この短期間でこれだけの数のポケモンを……」

卯月「すごいですね……」

さくら「こっちにはイズミンがいますから!」

亜子「ついにアタシたちニューウェーブは、ニュージェネを越えてしまったんです……」

未央「おおっと、それはどうかな? これから私たちが逆転する可能性だってあるわけだし!」

亜子「つまり!」

卯月「つまり!」

さくら「勝負!」



泉「なんだか、勝手に勝負が始まってしまったんですけど」

凛「いいんじゃない? 喧嘩じゃなくて遊びなんだし」

泉「それはそうですけど」

凛「……ちなみに、やる以上私も負けないよ」

泉「……凛さんも意外と乗り気ですね」

凛「そういう泉は?」

泉「同意見です」

凛「ふふふ」

泉「ふふふ」


未央「おお、なんかクール両名が火花を散らしている」

亜子「本気にさせたら怖い二人や」

ありす「あそこの6人は何かしらで争うみたいですけど、私達はのんびりやっていきましょう」

雪美「………」コクン

ありす「ところで、あれから図鑑はどのくらい埋まったんですか?」

雪美「………」スッ

ありす「どれどれ……へえ、結構埋まってますね……」

ありす「……あれ?」

雪美「?」

ありす「雪美さん。ここのレアポケモンであるラプラスの欄が、埋まっているんですけど……」

雪美「昨日、Pとお仕事……その帰り……捕まえた」

ありす「………」


ダダダッ


ありす「Pさん! 昨日雪美さんをどこに連れて行ったんですか!」

P「おわあっ!? なんだ、急に大声で!?」



雪美「………?」

ペロ「にゃあ」

雪美「ペロ……ほら」

雪美「ニャースが進化して……ペロシアンになった……同じ」

ペロ「にゃ!」



ありす「ペルシアンです!」

P「誰に向かってツッコんでるんだ君は」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます。
ペロシアンかわいい

シリーズ前作:渋谷凛「七夕」大石泉「短冊」橘ありす「織姫」佐城雪美「……彦星」

その他過去作
佐藤心「不器用はぁと」
二宮飛鳥「話をしよう」 結城晴「いきなりだな」

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