計画犯と愉快犯の殺人計画 (4)

狭いアパートの一室。
俺が住んでいる部屋だ。
今日も俺はそこで目覚めた。

「はあ・・・・・・。」

だるい体を理性でなんとか起こして顔を洗いに洗面台に向かう。

濡れた顔を拭きながら手探りに歯ブラシと歯磨き粉をつかみ歯を磨く。

習慣を終わらせたらテレビをつけパンを焼きバターを塗る。

どこかの街の映像とともにニュースキャスターが淡々とした口調で喋っている。

『…遺体が発見されたのは野干 翔さん27歳会社員の方で、現場には足跡が一つしか見つからなかった事から、警察は野干さんが転倒して頭を打ったものとして断定しました。』

「…優秀だな、警察も」

鼻で笑ったように独り言を放つ。

あの日の事は鮮明に思い出される。何日も前から計画を練り、警察がこの判断に至るように仕向けたからだ。

野干 翔で4人目だった。
いずれも警察に殺人事件であるということすら疑われていない。

感情で人を[ピーーー]ような愚かな事はしない。

殺したい相手がいたらその人間の行動パターンを頭に入れ、手順を計算し、準備を全て整えてから行動に移す。

テレビは続けて別の「事件」を報道する。

『…殺害された遺体は赤走 超流さん44歳と土井 輝さん26歳のものと判明しました。なお、現場にはいずれも「魔」と書かれた紙が落ちていたことから、先週から起こっている連続通り魔事件と同一犯として警察は捜査を進めています。』

俺にはこの事件の犯人の心理が全くわからない。
なぜわざわざ物証となる物を残してまで存在をアピールするのだろうか。

こいつはいわゆる『愉快犯』なのだろう。
意味不明な感性を持ち、快楽のためだけに人を傷つけ、自制の全く出来ないゴミだ。
ピッコロ大魔王だってまだ野望はあるというのに。
それともなにか目的があるのだろうか?

俺は警察じゃないし考えるのも面倒くさいのでそれを想像する事はしなかった。


しかしやはり野望なんてなく、マジで快楽だけが目的であるとこの眼で確信できることになるとはこの時はまだ知らなかった・・・・・・・・・

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