貴音「おや?こんなところにくっきぃが」 (23)


貴音「ふむ、これは手作りのくっきぃのようですね」ジロジロ

貴音「大皿の上に様々な種類のくっきぃが並べています」

貴音「あーもんどになっつ、ここあにおれんじ、星型にはーと型と色形の種類が様々です」

貴音「そして皿の横にある『ご自由にどうぞ by春香』と書かれた用紙」

貴音「これは食べても問題ないという証。素晴らしい、好感がもてます」

貴音「ふむ」

貴音「ここで食べないのは逆に失礼にあたりますね」

貴音「時間が経ち湿気ったくっきぃ程、美味しくないものはありません」


貴音「では、いただきます」ガシッ

貴音「………」ザラザラザラ

貴音「………」ムッシャ ムッシャ ムッシャ


貴音「………」ゴックン


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貴音「ふう……御馳走様でした」

貴音「大変美味し…く……」

貴音「おい……お……」

貴音「………辛ぁ!!!」

貴音「な!?これはなんで辛ぁぁ!!」

貴音「げほっごほぉ!こ、これは……塩の辛さ?」

貴音「まさか……砂糖と塩を間違えたのでは?」

貴音「くっ…めまいが……うぅ」バタン


<ガチャ

響「ただいまだぞ~」

貴音「………」

響「って貴音!?どうしたんだ!」

貴音「うぅ……響……」

響「貴音!しっかりしろ、いま救急車を呼ぶからな!」

貴音「あ……」

響「あ?」

貴音「甘いものを……ください……」

響「は?」


貴音「ふう……響がさぁたぁあんだぎぃを持っていたおかげで九死に一生を得ました」

響「この大皿一杯のガチ塩クッキーを食べたのか?」

貴音「はい、塩分過剰摂取で動けなくなりましたが、糖分を摂ることによって見事中和できたようです」

響「……これって結構ヤバイレベルの塩分だぞ?
  それを糖分で中和できるなんて貴音の体はどうなっているんだ?」

貴音「これは異なことを、辛いものを食べたあとに甘いものを食べると、辛さが和らぐでしょう?」

響「まあ、うん」

貴音「それと同じことです」

響「う~ん、そうなのかな?」

貴音「そうなのです」


響「貴音、自分もう仕事に出ないといけないんだけど、体の調子は大丈夫か?」

貴音「はい、大丈夫です」

響「それならいいんだけど、なにかあれば直ぐに連絡するんだぞ?」

貴音「ありがとうございます、響」

響「うん、それじゃあ行ってきます」タッタッタッ


<バタン


貴音「ふふ、響は本当に優しいです」

貴音「しかし今回は本当に危なかったですね」

貴音「これもあのくっきぃを食べてしまったばっかりに……」

貴音「いえ、ちゃんと味見をしなかった私にも責任がありますね」

貴音「春香も決して悪気があったわけではないのでしょうし」

貴音「ここは寛容なる心で春香に接することとしましょう」


<ガチャ


春香「ただいま帰りました!」

貴音「ふん!」ピシャ!

春香「痛ぁ!」


春香「痛!お尻が痛ぁ!」

貴音「………」

春香「貴音さんなにするんですか!?」

貴音「………っ!」ピシャ!

春香「痛い!ちょっ無言でお尻を叩かないでください!」

貴音「黙りなさい……春香……」

春香「いや貴音さんは黙ってないで説明してくださいよ!」

貴音「説明?……あれを見なさい」


春香「あれ?私が作ったクッキーを盛った皿ですね、な~んだ貴音さんやっぱり食べてくれた」

貴音「ふん!!」ピシャ!


春香「さっきから何なんですか!?ていうか、私のお尻を叩いてるそれってリボンですか?」

貴音「その通り、水をたっぷり含ませたりぼんです」

春香「うわ~、道理で痛い上に冷たいわけですね」

貴音「はい、こうやって勢いをつければっ」ピシャ!

春香「はう!痛いですねって止めろ!!」

貴音「止めません!!」

春香「なんでですか!?」

貴音「あんなに塩辛いくっきぃを食べさせておきながら、なんでと言いますか!?」


春香「え?塩辛い?ほ、本当ですか?砂糖と塩を間違えたのかな……」

貴音「まじです!危うく塩分の過剰摂取で生命が危ないところでした!」

春香「い、生命って大げさな……クッキーの一個くらいで」

貴音「一個ではありません全部です!」

春香「全部!?あれ大皿に盛ってましたよね!?」

貴音「全部を一気に口に流し込み、塩分に気づいたときには大半が胃袋の中に収まっていました……」

春香「う、うわ~」

貴音「うわ~ではありません!春香、まず私に言わなければならないことがあるでしょう!」

春香「あ、はい……え~っと……」


春香「一気食いは胃に悪いですよ?」

貴音「ふん!!」ビシャ!!


春香「いや、まず貴音さんに謝らないといけないのは わかってはいるんですよ?」

貴音「わかっているのなら謝りなさい!」

春香「でもなぜか素直に謝れないというか……」

貴音「何故ですか?」

春香「だって普通に食べてればすぐに気づいたのに貴音さんが食い意地が張ってるせいだとか、
   そもそもあれだけのクッキーを一気食いしたら糖分の過剰摂取で体に悪いのにとか
   ご自由にどうぞとは書いたけど普通は他の人達の分も残しておくべきとか、色々考えてしまって」

貴音「………」

春香「まあでも私が砂糖と塩を間違えたのは事実ですから」


春香「貴音さん、ごめんなさい」ペコ

貴音「微妙にもやっとする謝罪ですね……」


春香「あ、あははは……いや、でも本当に反省はしてるんですよ?」

貴音「本当ですか?」ジー

春香「ほ、本当ですって」

貴音「………」

春香「いや、だから無言でリボンを構えないでください!」

貴音「わかりました、信じましょう」

春香「ほっ」


貴音「その代わり……」


次の日


<ガチャ


響「はいさーい!」

貴音「おはようございます、響」モグモグモグ

春香「響ちゃんおはよー」

響「おはよーって…なんだこの机を覆い隠すほど大量のクッキーは!?」

貴音「春香の手作りです、一晩で作ってもらいました」モグモグモグ

響「春香こんなにクッキーを作ったのか?気合入ってるな~」

春香「作ったというか貴音さんに作らされたというか……」ハァ

響「あ~なるほど」

貴音「………」モグモグ


貴音「もぐもぐ、ごっくん」

貴音「………ふう」

響「あれだけのクッキーを完食したぞこのアイドル」


貴音「春香、御馳走様でした」

春香「貴音さん満足してもらいましたか?」

貴音「はい、とても」

春香「よかった……本当によかったです……」ウル

響「そりゃ あれだけ食べれば満足するよね、春香もお疲れ様」

貴音「くっきぃをいただき、真にありがとうございました」ペコリ

春香「どうも……」ペコ


貴音「本当に感謝いたします」

春香「喜んでもらえたらそれでいいです……」


貴音「はい、とても嬉しかったで……うっ!」


響「貴音?」

貴音「う……うぅ」プルプル

響「ど、どうしたんだ貴音!?苦しいのか!?」

貴音「う……ぅ……」

春香「貴音さん!?ま、まさか私また砂糖と塩を間違えて……」

響「そんな!あれだけのガチ塩クッキーを一気に食べたら本当に命に関わるぞ!?」

貴音「………」


貴音「うぅ……響……春香……」

響「貴音!しっかりしろ!」

春香「いま救急車を呼びますからね!」

貴音「か……」

響「か?」

貴音「辛いものを……ください……」

響「………」

春香「………」

貴音「出来れば……塩辛いものを……」


貴音「ふう……響が塩きゃらめるを持っていたおかげで九死に一生を得ました」

響「………」

貴音「春香の塩昆布も美味しかったですよ」

春香「………」

貴音「どうやら糖分過剰摂取で動けなくなりましたが、塩分を摂ることによって見事中和できたようですね」

響「………」

貴音「今回の事で塩分糖分どちらとも摂り過ぎには注意が必要ということを、身を持って知ることができました」

春香「………」

貴音「ふふ、これで私も一回り成長を……おや?響、春香も……濡れたりぼんを持って何を」


響「ふん!!」パッシーン!

春香「えい!!」バッチーン!

貴音「はぅ!!」







おわり


終わりです
ありがとうございました

前作前々作です

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合わせて見ていただけると幸いです

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